平成19(行コ)11 白山ひめ神社御鎮座二千百年式年大祭奉賛会損害賠償請求控訴事件(原審・金沢地方裁判所平成18年(行ウ)第2号)

裁判年月日・裁判所
平成20年4月7日 名古屋高等裁判所 金沢支部 その他 金沢地方裁判所 平成18(行ウ)2 住民訴訟
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判決文本文17,428 文字)

- 1 -主文 原判決を次のとおり変更する。 ( ) 被控訴人は,Aに対し,2000円及びこれに対する平成18年3 月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を白山市に対して支払うよう請求せよ。 ( ) 控訴人のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,第1,2審を通じて,被控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1当事者の求めた裁判 控訴人( ) 原判決を取り消す。 ( ) 被控訴人は,Aに対し,1万5800円及びこれに対する平成18年3月 16日から支払済みまで年5分の割合による金員を,白山市に対して支払うよう請求せよ。 被控訴人本件控訴を棄却する。 第2事案の概要 本件は,白山市長であるAが同市の職員を同行して白山ひめ神社御鎮座二千百年式年大祭(以下「本件大祭」という)の奉賛会発会式に出席し白山市長。 として祝辞を述べたところ白山市の住民である控訴人が上記行為以下本,,(「件行為」という)は,特定の宗教を助長,援助,促進する効果があり,政教。 ,,分離原則に違反し違憲でありこれに伴う公金支出は違憲・違法であるとして地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき,白山市の執行機関である被控訴人に対し,Aに対して,上記支出額相当の損害賠償金1万5800円及びこれに対する平成18年3月16日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を白山市に対して支払うよう請求す- 2 -ることの義務付けを求めた住民訴訟の控訴審である。 原審は,控訴人の請求を棄却したため,これを不服とする控訴人が本件控訴を提起した。 なお,略語は,特に断らない限り,原判決に準ずるものとする。 前提事実次のとおり補正するほかは,原判決の事実及び理由の第2の2に記載のとおりである これを不服とする控訴人が本件控訴を提起した。 なお,略語は,特に断らない限り,原判決に準ずるものとする。 前提事実次のとおり補正するほかは,原判決の事実及び理由の第2の2に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)( ) 原判決2頁6行目の「所在する」の次に「宗教法人である」を加える。 ( ) 原判決2頁12行目末尾に次のとおり加える。 「Aは,同日午前9時30分から同日午前10時までの間,白山市a町b番地所在の松任グリーンパークにおいて,消防訓練安全祈願祭に出席し,その後,レッツホールつるぎに赴き,同日午前11時10分までの間に,本件発会式に出席した。消防訓練安全祈願祭の会場とレッツホールつるぎとは,約6㎞離れていた」。 ( ) 原判決3項9行目と同10行目の間に次のとおり加える。 「オ本件発会式は,白山市職員の勤務時間,休暇等に関する条例3条1項()。 が規定する週休日である平成17年6月25日土曜日に開催された(),,,同市の公用車市長車運転職員は同日同条例8条2項に基づき公務の必要から勤務を命じられ,同日の勤務に関して,白山市一般職の職員の給与に関する条例16条1項,20条,白山市一般職の職員の給与の支給に関する規則8条1項に基づき,当該業務を含め3.5時間の勤務相当分の時間外勤務手当として7567円を支給された。 Aは,同日の勤務に関して,白山市常勤の特別職の職員の給与に関する条例3条に基づき,時間外勤務手当を支給されなかった。 Aに随行した秘書課長は,同日の勤務に関して,白山市一般職の職員- 3 -の給与に関する条例8条の2第2項に基づき,時間外勤務手当を支給されなかった(乙9の1ないし4」。 ) 争点及び当事者の主張次のとおり,当審における当事者の補充主張を付 般職の職員- 3 -の給与に関する条例8条の2第2項に基づき,時間外勤務手当を支給されなかった(乙9の1ないし4」。 ) 争点及び当事者の主張次のとおり,当審における当事者の補充主張を付加するほかは,原判決の事実及び理由の第2の3に記載のとおりである(但し,原判決4頁8行目の「国弊神社」を「国幣神社」と改め,同9行目の「宗教次式」を「宗教儀式」と改める)から,これを引用する。 。 (当審における当事者の補充主張)《控訴人の主張》( ) 本件大祭の性格 本件大祭は,一神社の大祭ではなく,全国的に波及する一大宗教行事であると同時に,奉賛者が白山市民に止まらず全国から集まることから,白山市の観光一大イベントということはできるが,白山観光協会が奉賛金を支出することは,白山市が本件大祭を間接的に援助するものである。 ( ) 地方公共団体の事務 社会通念上の儀礼の範囲とは,地方公共団体の首長が冠婚葬祭及び公益に資する儀式に出席することと考えられるが,本件大祭は50年に一度の一大宗教儀式であると同時に,大祭奉賛会が総事業費5億円を集め,神社の宗教施設の新設及び神社史の発行という白山ひめ神社の維持発展の一大節目となる歴史的な神事の儀式である。したがって,この一大宗教行事にAが白山市民を代表して,大祭奉賛会の役員就任を受託し,自ら発会式に出席して祝辞を述べたこと(本件行為)は,宗教的活動をしたことになり,地方自治法の規定する地方公共団体の事務には該当しない。 ( ) 他の式典等の出席 被控訴人の後記主張の行事に白山市の市長又は市長の代理が出席していることは,市の広報又は地元新聞でも報道されていないので,控訴人を含む市- 4 -民はその事実を知る由もないが,本件に関しては,地元新聞及びその他全国紙が,被控訴人の本件発会式への出席を 席していることは,市の広報又は地元新聞でも報道されていないので,控訴人を含む市- 4 -民はその事実を知る由もないが,本件に関しては,地元新聞及びその他全国紙が,被控訴人の本件発会式への出席を報道したことにより,白山市が霊峰白山信仰及び白山ひめ神社を援助,助長,促進したことを市民に深く印象づけたものである。 《被控訴人の主張》( ) 控訴人の主張は争う。 ( ) 本件大祭の性格等 本件大祭は,白山ひめ神社が斎行する宗教行事であり,平成20年10月8日から同月12日までの5日間を予定しているが,大祭次第及び神賑行事の日程等については,未だつまびらかではなく,また,その決定過程に白山市が関与するものでもない。白山ひめ神社は,全国約3000社にのぼる白山神社の総社であり,全国的に知名度の高い神社であること,初詣には地元及び遠方からの参詣者が例年18万人から20万人を超えるほどの実績があ,,,,り正月以外の平素であっても結婚式新車の祈祷子供のお祝いや厄祓いその他のお祓い等に参詣客も多いこと,白山室堂宿泊者はここ数年約1万5,,000名近くから2万4000名余りの実績があることこの実績に加えてユネスコが進める世界遺産登録にあたって,文化遺産・自然遺産を兼ね備えた複合遺産として白山の暫定リスト入りを目指しており,白山ひめ神社が石川,福井及び岐阜の各県に跨る文化遺産の中核にあることから,伊勢神宮の式年遷宮と同様,本件大祭には,多数の観光客の来訪が見込まれるものであ。 ,,,るしかるところ白山市は白山ひめ神社を市の行政区域内に抱えていて平素はもとより,殊に大祭時にあっては,否が応でも,宿泊,飲食,観光,土産の販売等の事業について,観光客を受け入れる中心的役割を担わざるを。 ,,,得ない立場にある以上 政区域内に抱えていて平素はもとより,殊に大祭時にあっては,否が応でも,宿泊,飲食,観光,土産の販売等の事業について,観光客を受け入れる中心的役割を担わざるを。 ,,,得ない立場にある以上のとおり本件大祭は観光の一大イベントであり白山市としては,観光基本法3条の趣旨,目的の実現として,かかるイベントの機会を捉え,同市の知名度を向上させ,更なる観光客の誘致,ひいては- 5 -観光に関連して諸商工業施設の活性化,誘致などを通じて,市民の福祉増進に資することを期待しているものである。 ( ) 地方公共団体の事務,支出した費用の適法性 上記のとおり,白山ひめ神社は宗教団体ではあるが,全国的に名前が広がっている神社であり,その神社の大祭の実行は,一宗教団体の儀式というに止まらず,白山市の観光の一大イベントとして,同市もその実行に関わりのある立場にある。したがって,Aが白山市の市長の立場で,来賓として本件発会式に招かれて,白山市の職員を伴い,同市の公用車を使用して参加し,祝辞を述べたこと(本件行為)は,地方公共団体の事務を遂行したことに当たる。すなわち,Aが白山市長として白山市住民の福祉の向上に資するため市民や各種団体と接し地域の状況等を知ることは,適切に行政を執行する上,,,で欠くことのできないものであり当該交際自体は調整交渉的交際でなく儀礼的交際として,市の行政事務全般の円滑な執行を究極の目的として行われたものである。 Aが上記事務を遂行するに当たり,白山市の職員を伴い,同市の公用車を使用して参加した費用は,事務遂行上必要な経費である。しかして,事務遂,,,行上必要な経費であるか否かは当該地方公共団体の財政規模従来の慣習当該団体との繋がりの程度その他諸般の事情に照らして,その内容及びそれに要した費用の額が社会通念 である。しかして,事務遂,,,行上必要な経費であるか否かは当該地方公共団体の財政規模従来の慣習当該団体との繋がりの程度その他諸般の事情に照らして,その内容及びそれに要した費用の額が社会通念上相当なものであるか否かによって判断するほかないところ,Aが本件発会式に出席し,祝辞を述べるに当たって支出した費用が控訴人主張の金額であったとしても,その額は上記基準に照らして,社会通念上相当な額である。 ( ) 他の式典等の出席 ア白山市長又はその代理として助役が,他の宗教団体の発会式類似の式典に最近出席した行事は,次のとおりである。 (ア) 平成17年7月6日県神社総代会創立50周年記念式典- 6 -学習センターコンサートホール助役代理出席(イ) 平成19年8月4日松任まつり安全祈願祭松任金剣宮ほか(ウ) 平成19年5月18日,同年9月18日,同年10月24日宮中新嘗祭献穀田お田植え式・御祓穂式・献納式白山市c町地内(エ) その他,市内における道路,官民の施設等の起工式及び竣工式に併せて実施される安全祈願祭及び修祓式イ上記各行事は,宗教との関わりは皆無であるといえないが,その実体は習俗や伝統文化行事に関連するものであって,特定の宗教を,市が助成,援助及び促進する効果を持つものではない。 ウ上記アのとおり,白山市長は,発会式類似の式典ではないが,観光及び,,,宣伝の対象として各種の長い歴史上の文化遺産としての宗教施設旧蹟祭り等を取り扱い,又はこれらを展示したり宣伝するための施設の設置及び文書等の作成に関与している。そのようなものとして,以下の各事業があり,しかして,同事業は,平成17年2月の市町村合併によって行政区域が拡大し,新市名を冠することになった白山市において,観光基本法の精神及び地方自治の本旨に基づき, うなものとして,以下の各事業があり,しかして,同事業は,平成17年2月の市町村合併によって行政区域が拡大し,新市名を冠することになった白山市において,観光基本法の精神及び地方自治の本旨に基づき,市民相互間における共有意識の醸成による円滑な行政運営の推進と観光産業による地域の活性化を推進することを目的として実施された施策であって,特定の信仰及び教義を印象づけることを目的としたものではない。しかるに当該施策の目的及び性質上,域内の有形・無形の文化財等を取り扱うことは不可避であるところ,当該文化財等は,域内住民の精神性の営みの発露として形成されたものであり,信仰や宗教と全く無関係に存することはむしろ稀といわざるを得ず,当該施策の目的,効果,態様等を考慮することなく,信仰や宗教に関連する文化財等を対象に含んでいるとの理由のみをもって,政教分離原則に反する- 7 -と主張することは,極めて皮相的であり,失当である。 (ア) 白山市の施設である「白山市石川ルーツ交流館」が,平成19年4月28日から同年5月27日までの「美川おかえり祭り」企画展実施のために,白山市内の旧美川町所在藤家神社の台車やその製作技術及び習俗を展示したこと(イ) 白山市が,平成17年9月5日に「観光ポスター霊峰白山に抱かれる清き水の郷へ」と表示するポスターを制作したこと(ウ) 白山市が,平成16年8月3日から同年12月12日まで開催の「巡回展ふるさとの文化展『祈りの山河』チラシ及びパンフレット」を制作し,同市内の宗教に関わりのあるものの文化,観光財の展示と文書を制作したこと(エ) 白山市が,同市出身の仏教哲学の先達,同市内の各地域の祭事,寺社仏閣等の建造物,風習を歴史的にまとめて「映像で見る松任市の歩み」及び「図説まっとう物語」を制作したこと第3当裁判所の判断 (エ) 白山市が,同市出身の仏教哲学の先達,同市内の各地域の祭事,寺社仏閣等の建造物,風習を歴史的にまとめて「映像で見る松任市の歩み」及び「図説まっとう物語」を制作したこと第3当裁判所の判断 認定事実次のとおり補正するほかは,原判決の事実及び理由の第3の1( )に記載の とおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)( ) 原判決11頁12行目と同13行目の間に次のとおり加える。 「会員(4条)大祭奉賛会の目的に賛同し,1口1万円以上の奉賛金を納める者を会員とする」。 ( ) 原判決11頁14行目の「以下の事業」の次に「以下「本件事業」とい (う)を加える。 。 ( ) 原判決12頁18行目と同19行目の間に次のとおり加える。 - 8 -「(エ) 白山ひめ神社は,平成17年6月25日付けで代表役員宮司の名において,次の旨の趣意書を作成し,配付している。 当社(白山ひめ神社)の創建は崇神天皇の7年と伝えられ,来る平成20年には鎮座以来2100年の目出たき年を迎えることになります。 そこで,当社としては大祭奉賛会を結成し,社頭整備の諸事業を計画実,,。 施し盛大に式年大祭を執行し御神慮をお慰め申し上げたく存じます何卒趣旨にご賛同いただき,御協賛を賜りたくお願い申し上げます。 (オ) 上記規約及び趣意書に付された事業計画(案)には,次の旨記載されている。 a大祭齋行平成20年10月8日(水)から同月12日(日)の5日間に亘り盛大に執り行う。 b禊場造成及び付帯工事崇敬者並びに青少年の心身修行の場として禊場を新たに設け,有効に活用してもらう。新たに井戸を掘削し水源とし,併せ一般参拝者が利用する手水の水源ともする。 c齋館移築及び車道新設工事齋館は,昭和7年に新築された由緒ある建造物であるが,後方に移 に設け,有効に活用してもらう。新たに井戸を掘削し水源とし,併せ一般参拝者が利用する手水の水源ともする。 c齋館移築及び車道新設工事齋館は,昭和7年に新築された由緒ある建造物であるが,後方に移築し,保存すると共に,白山講記念会館と廊下でつなぎ双方の利便を図る。併せて齋館跡地に駐車場,車道を新設し,物資等の搬入に利用を計る。 d手水舎新築工事北参道手水舎は,昭和37年建立であるが,手狭で混雑するので,大きな手水舎を建立し,参拝者の便宜を計る。旧手水舎は,南参道に移築する。 e仮称遊神殿新築工事- 9 -第二参集殿前に,地上1階地下1階の建物を建設し,1階は神馬・絵馬の展示場とし,参拝者の無料休憩所,地下は会議・講習会等に利用できる多目的な部屋とする。 f白山ひめ神社史発刊神徳発揚のため現在進められている図説・年表・通史の神社史を本件大祭の記念事業として執り行う。 gその他付帯事業境内地取得等。 (カ) 白山ひめ神社の宮司は,広報誌『白山さん』において,本件大祭や大祭奉賛会発足の趣旨等について,次のとおり説明している。 白山ひめ神社は,平成20年10月には本件大祭を迎えるので,宗教心の醸成を軸とする活動が柱となる事業を定めて,白山ひめ神社の将来に向けた末永い強化育成を始めたいと祈願する。本件大祭は,同月8日から同月12日の5日間を予定している。記念事業は,第1に神道禊道場の造成を主眼として青少年の育成に努めると同時に,かつて白山ひめ,,,神社が山岳信仰修験の山として多くの信仰を集めたこともありまた泰澄大師によって,日本における神仏習合の草分け的存在であったことも考え合わせて,山伏の滝行が可能な施設とも考えている。第2には従来,白山ひめ神社に奉納された絵馬を一堂に掲載できる施設として,併,,,せて一般来訪者の ける神仏習合の草分け的存在であったことも考え合わせて,山伏の滝行が可能な施設とも考えている。第2には従来,白山ひめ神社に奉納された絵馬を一堂に掲載できる施設として,併,,,せて一般来訪者の休憩所となし階下には研修室も設ける方針であり仮称ながら,この施設を『遊神殿』と命名したいと思っている。第3には手水舎の大型化など旧施設を若干手直しする予定である。ついては,白山ひめ大神様の御神徳発揚のために格別の御芳志を賜りたくお願い申し上げる」。 ( ) 原判決12頁19行目の「甲5の3,5の4」を「甲5の1ないし5」と 改める。 - 10 -( ) 原判決13頁6行目末尾に次のとおり加える。 「本件発会式で,大祭奉賛会会長は『崇敬者皆様方の総力を結集して,こ,の度の奉賛事業が遂行されますよう』との挨拶を述べ,白山ひめ神社宮司は,御礼の挨拶で『崇敬者各位の絶大なる御協賛によって諸事業が完遂,され,来る平成20年に本件大祭が盛大にご奉仕できるように皆様方のご協力を賜りたい』旨のお願いの言葉を述べ,参会者一同,大事業達成のため尽力することを誓い合い,本件発会式を祝った」。 ( ) 原判決13頁12行目と同13行目の間に次のとおり加える。 「エ白山ひめ神社について(ア) 白山ひめ神社は,同社について次の旨説明している。 白山ひめ神社は,霊峰白山を神体山として,生きとし生けるものの『いのち』の祖神(おやがみ)と仰ぐ白山ひめ大神(しらやまひめのおおかみ)を奉斎したことに始まり,その創立は遠く崇神天皇の御代,,『()』と伝えられ延喜式内の名社であり古来下白山しもしらやまと称せられた本社は,霊峰白山の『まつりのにわ』として設けられた白山本宮で『加賀ノ一宮』として尊崇され『白山(しらやま)さ,,ん』として広く親しま 喜式内の名社であり古来下白山しもしらやまと称せられた本社は,霊峰白山の『まつりのにわ』として設けられた白山本宮で『加賀ノ一宮』として尊崇され『白山(しらやま)さ,,ん』として広く親しまれている北陸鎮護の大社である。 (イ) 白山ひめ神社は,明治4年,国幣小社となり,明治6年,白山嶺上神祠を白山ひめ神社の本社と達せられ(太政官布告,明治7年,白)山嶺上の白山神祠を白山ひめ神社の本社と称えたのを奥宮と称えることとされ(内務卿大久保利通達,大正3年,国幣中社となり,昭和)26年,財務局から白山山上の白山奥宮境内地3000町歩が無償下付された。 (,,,,,)」甲5の1ないし5甲10の1 甲16甲17の1乙1 争点( )(Aの本件発会式出席に関する公金支出が政教分離原則(憲法20 条1項,3項,89条)に違反するか)について- 11 -( ) まず,Aが本件発会式に出席し,白山市長として祝辞を述べた行為(本件 行為)が,憲法の定める政教分離原則に違反するか否かについて検討する。 ア憲法20条3項にいう「宗教的活動」とは,およそ国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いを持つすべての行為を指すものではなく,そのかかわり合いが我が国の社会的・文化的諸条件に照らし相当とされる限度を超えるものに限られるというべきであって,当該行為の目的が宗教的意義を持ち,その効果が宗教に対する援助,助長,促進又は圧迫,干渉等になるような行為をいうものと解すべきである。そして,ある行為が「宗教的活動」に該当するかどうかを検討するに当たっては,当該行為の主催者が宗教家であるかどうか,その順序作法(式次第)が宗教の定める方式に則ったものであるかどうかなど,当該行為の外形的側面のみにとらわれることなく,当該行為の行われる場所 に当たっては,当該行為の主催者が宗教家であるかどうか,その順序作法(式次第)が宗教の定める方式に則ったものであるかどうかなど,当該行為の外形的側面のみにとらわれることなく,当該行為の行われる場所,当該行為に対する一般人の宗教的評価,当該行為者が当該行為を行うについての意図,目的及び宗教的意義の有無,程度,当該行為の一般人に与える効果,影響等,諸般の事情を考慮し,社会通念に従って,客観的に判断しなければならない(最高裁昭和52年7月13日大法廷判決・民集31巻4号533頁参照。 )イこれを本件についてみると,前記第2の2の前提事実及び第3の1の認,,,定事実によれば白山ひめ神社は宗教団体に当たることが明らかであり本件大祭は,平成20年に白山ひめ神社の鎮座2100年となることを記念して行われる祭事であって,同神社の宗教上の祭祀であることが明らかである。また,大祭奉賛会は,会員から志納された奉賛金等を白山ひめ神社に奉納して,上記の本件大祭の斎行及びこれに伴う諸事業(本件事業),,を奉賛することを目的として白山ひめ神社が中心的に関与して結成され同神社内に事務局を置く団体であり,その目的としている本件事業は,上記祭祀(本件大祭)自体を斎行することであるとともに,これに併せて,禊場,齋館,手水舎等,上記神社の信仰,礼拝,修行,普及のための施設- 12 -を新設・移設し,同神社の神社史を発刊することを内容とするもので,同神社の宗教心の醸成を軸とし,神徳の発揚を目的とする事業とされているのであって,かかる本件事業が宗教活動であることは明らかであるし,これを目的とする大祭奉賛会が宗教上の団体であることもまた明らかというべきである。 そして,本件発会式で,大祭奉賛会会長が「崇敬者の総力を結集して,奉賛事業が遂行されるよう」との挨拶を述 であるし,これを目的とする大祭奉賛会が宗教上の団体であることもまた明らかというべきである。 そして,本件発会式で,大祭奉賛会会長が「崇敬者の総力を結集して,奉賛事業が遂行されるよう」との挨拶を述べ,宮司も「崇敬者各位の協賛によって諸事業が完遂され,本件大祭が盛大に奉仕できるように協力を賜りたい」旨の言葉を述べ,参会者一同が,事業達成のため尽力することを誓い合い,本件発会式を祝ったことが認められるのであるから,本件発会式は,上に判示した大祭奉賛会の本件事業を遂行するため,すなわち,本件大祭を奉賛する宗教活動を遂行するために,その意思を確認し合い,団体の発足と活動の開始を宣明する目的で開催されたものであると認めるのが相当である。 そうすると,白山市長であるAが来賓として本件発会式に出席し,白山市長として祝辞を述べた行為(本件行為)は,白山市長が,大祭奉賛会が行う宗教活動(本件事業)に賛同,賛助し,祝賀する趣旨を表明したものであり,ひいては,白山ひめ神社の宗教上の祭祀である本件大祭を奉賛し祝賀する趣旨を表明したものと解するのが相当であるし,本件行為についての一般人の宗教的評価としても,本件行為はそのような趣旨の行為であると理解し,白山市が,白山ひめ神社の祭祀である本件大祭を奉賛しているとの印象を抱くのが通常であると解される。また,前記事実関係からすれば,Aは,大祭奉賛会及び本件発会式が前記趣旨・目的のものであることを認識,理解していたものと認められ,したがって,同人は,主観的にも,大祭奉賛会が行う本件事業を賛助する意図があったものと推認され,ひいては,本件行為が白山ひめ神社の祭祀である本件大祭を奉賛するとい- 13 -う宗教的意義・効果を持つことを十分に認識,了知して行動したものと認めるのが相当である。 もっとも,本件発会式は,白山 ひいては,本件行為が白山ひめ神社の祭祀である本件大祭を奉賛するとい- 13 -う宗教的意義・効果を持つことを十分に認識,了知して行動したものと認めるのが相当である。 もっとも,本件発会式は,白山ひめ神社の境内ではなく,同神社外の一般施設で行われたものであり,また,それ自体は,神道の儀式や祭事の形式に基づいていたものではなく,宗教的な儀式とはいえないと解されるけれども,これらの点を考慮に入れても,上記認定判断は左右されないとい。 ,,,,うべきであるまた一般に市長が上記説示のような発会式に出席し市長として祝辞を述べる行為が,時代の推移によって宗教的意義が希薄化し,慣習化した社会的儀礼にすぎないものとなっているとは到底認められないし,一般人が社会的儀礼の一つにすぎないと評価しているとも到底考えられない。 以上によれば,本件行為は,本件事業ひいては本件大祭を奉賛,賛助する意義・目的を有しており,かつ,特定の宗教団体である白山ひめ神社に対する援助,助長,促進になる効果を有するものであったといわなければならない。 ウこれに対し,被控訴人は,本件行為は特定の宗教を援助,助長及び促進するものではなく,政教分離原則に違反しない旨主張するので,以下に検討する。 (ア) 被控訴人は,白山ひめ神社は宗教団体ではあるが,全国的に名前が広がっている神社であり,その神社の大祭の実行は,一宗教団体の儀式というに止まらず,白山市の観光の一大イベントとして,同市もその実行に関わりのある立場にあるし,Aが白山市長として白山市住民の福祉の向上に資するため市民や各種団体と接し地域の状況等を知ることは,適切に行政を執行する上で欠くことのできないものであり,当該交際自体は,調整交渉的交際でなく,儀礼的交際として,市の行政事務全般の円滑な執行を究極の目的と や各種団体と接し地域の状況等を知ることは,適切に行政を執行する上で欠くことのできないものであり,当該交際自体は,調整交渉的交際でなく,儀礼的交際として,市の行政事務全般の円滑な執行を究極の目的として行われたものであるから,本件行為は,地- 14 -方公共団体の事務を遂行したことに当たる旨主張する。 この点,地方公共団体も社会的実体を有するものとして活動している以上,当該地方公共団体の事務を遂行し対外的折衝等を行う過程において,長又はその他の執行機関が各種団体等の主催する会合に列席するとともにその際に祝金を主催者に交付するなどの交際をすることは,社会通念上儀礼の範囲にとどまる限り,上記事務に随伴するものとして許容されるというべきである。そして,地方公共団体が住民の福祉の増進を図ることを基本として地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとされていることなどを考慮すると,その交際が特定の事務を遂行し対外的折衝等を行う過程において具体的な目的をもってされるものではなく,一般的な友好,信頼関係の維持増進自体を目的としてされるものであったからといって,直ちに許されないこととなるものではなく,それが,地方公共団体の上記の役割を果たすため相手方との友好,信頼関係の維持増進を図ることを目的とすると客観的にみることができ,かつ,社会通念上儀礼の範囲にとどまる限り,当該地方公共団体の事務に含まれるものとして許容されると解するのが相当である。しかしながら,長又はその他の執行機関のする交際は,それが公的存在である地方公共団体により行われるものであることにかんがみると,それが,上記のことを目的とすると客観的にみることができず,又は社会通念上儀礼の範囲を逸脱したものである場合には,当該地方公共団体の事務に含まれるとはいえず,その費用 ものであることにかんがみると,それが,上記のことを目的とすると客観的にみることができず,又は社会通念上儀礼の範囲を逸脱したものである場合には,当該地方公共団体の事務に含まれるとはいえず,その費用を支出することは許されないものというべきである(最高裁平成18年12月1日第二小法廷判決・民集60巻10号3847頁参照。 )これを本件についてみると,本件行為は,上記の長のする交際としての行為に該当するところ,本件行為の意図,目的は,前記イに判示- 15 -したとおり,それは,宗教活動である本件事業ひいては本件大祭を奉賛,賛助する意義・目的を有していたものと認められるから,地方公共団体がその役割を果たすために相手方との友好,信頼関係の維持増進を図るという目的からは逸脱するものであったことが明らかというべきである。また,市長が特定の宗教団体の宗教上の祭祀を奉賛する事業遂行のための組織の発会式に出席し,祝辞を述べ賛同・賛助を表明する行為は,宗教的意義が希薄化し,慣習化した社会的儀礼にすぎないものとなっているとは到底いえず,社会通念上儀礼の範囲を逸脱しているというべきである。 被控訴人は,また,本件大祭の実行は一宗教団体の儀式というに止まらず,白山市の観光の一大イベントとして,同市もその実行に関わりのある立場にある旨主張するけれども,前記第3の1の認定事実からすれば,本件大祭は平成20年に白山ひめ神社の鎮座2100年となることを記念して行われる同神社自身の個別的祭事であり,かつそれにとどまるものと認めるのが相当であって,観光イベントとして習俗化されていると認めるべき事情は見当たらないし,白山市が本件大祭の実行に関わりのある立場にあるとも認められない。被控訴人主張のとおり,Aが白山市長として白山市住民の福祉の向上に資するため市民や各種団体 れていると認めるべき事情は見当たらないし,白山市が本件大祭の実行に関わりのある立場にあるとも認められない。被控訴人主張のとおり,Aが白山市長として白山市住民の福祉の向上に資するため市民や各種団体と接し地域の状況等を知ることは適切に行政を執行する上で欠くことのできないものであるとしても,前記判示のとおりの本件行為が,白山市の地域の状況等を知り,住民の福祉向上に資するために有効であるとも適切であるともいいがたい。 したがって,被控訴人の上記主張は採用できない。 (イ) 被控訴人は,白山市長は,観光及び宣伝の対象として,各種の長い歴史上の文化遺産としての宗教施設,旧蹟,祭り等を取り扱い,又はこれらを展示したり宣伝するための施設の設置及び文書等の作成に関- 16 -与しており,これらは,平成17年2月の市町村合併によって行政区域が拡大し,新市名を冠することになった白山市において,観光基本法の精神及び地方自治の本旨に基づき,市民相互間における共有意識の醸成による円滑な行政運営の推進と観光産業による地域の活性化を推進することを目的として実施された施策であって,特定の信仰及び教義を印象づけることを目的としたものではないところ,当該施策の目的及び性質上,域内の有形・無形の文化財等を取り扱うことは不可避で,当該文化財等は,域内住民の精神性の営みの発露として形成されたものであり,信仰や宗教と全く無関係に存することはむしろ稀といわざるを得ず,当該施策の目的,効果,態様等を考慮することなく,信仰や宗教に関連する文化財等を対象に含んでいるとの理由のみをもって,政教分離原則に反すると主張することは,失当である旨主張する。 しかしながら,前記イに判示したとおり,本件発会式は,大祭奉賛会の行う宗教活動たる本件事業の遂行のために開催され,同事業を遂行する意思を 教分離原則に反すると主張することは,失当である旨主張する。 しかしながら,前記イに判示したとおり,本件発会式は,大祭奉賛会の行う宗教活動たる本件事業の遂行のために開催され,同事業を遂行する意思を確認し合い,その活動開始を宣明したものであるし,前記(ア)に判示したとおり,本件大祭は,白山ひめ神社の鎮座2100年となることを記念して行われる祭事であって,観光イベントとして習俗化されているとはいえないから,本件発会式は,地域の有形,無形の文化財を取り扱う事務の一環というものではなく,特定の宗教団体が挙行する宗教上の個別的な祭祀を奉賛,賛助するものというべきで,被控訴人の主張するような趣旨の行事,施策とは全く異質のものというべきである。また,市長の本件発会式出席が,市民相互間における共有意識の醸成による円滑な行政運営の推進や,観光産業による地域の活性化の推進を目的とする施策の一環として行われたものであるとしても,そのことによっては,前記判示の本件事業・本件大祭を奉賛,- 17 -賛助する行為の違憲性が減殺されるものではない。 したがって,被控訴人の上記主張は採用できない。 エ以上判示したところを総合すれば,白山市長であるAが来賓として本件発会式に出席し,白山市長として祝辞を述べた行為(本件行為)は,その目的が宗教的意義を持ち,かつ,その効果が特定の宗教に対する援助,助長,促進になる行為であると認めるべきであり,これによってもたらされる白山市と白山ひめ神社とのかかわり合いは我が国の社会的・文化的諸条件に照らし相当とされる限度を超えるものであって,憲法20条3項の禁止する宗教的活動に当たり,許されないものというべきである。 ( ) 上記( )に判示したところからすれば,白山市長であるAがした本件行為 は,憲法20条3項の禁止する宗教的 憲法20条3項の禁止する宗教的活動に当たり,許されないものというべきである。 ( ) 上記( )に判示したところからすれば,白山市長であるAがした本件行為 は,憲法20条3項の禁止する宗教的活動に当たり,地方公共団体の適法な事務に含まれると解する余地はなく,これに関する費用等につき公金を支出することは違法というべきである。 争点( )(白山市長は財務会計上の違法行為を阻止すべき指揮監督上の義務 に違反したか)について。 本件各財務会計行為のうち控訴人が違法な支出であると主張するのは白,,「山市長の報酬費,随行秘書課長の給料,公用車運転職員の給料,公用車燃料等の費用」の各支出であるところ,同各支出の当時,報酬,給料,職員手当及び燃料費に係る財務会計行為の権限を法令上本来的に有していたのは,白山市長の職にあったAであったが,前記前提事実及び白山市財務規則2条,別表第2(乙7)によれば,白山市においては,報酬,給料,職員手当,需用費・燃料費に関する支出命令は,いずれも主務課長に専決させることとされ,主務課長が専決により上記各支出に係る支出命令をしたと認められる。 上記のように,Aは,自己の権限に属する上記各財務会計行為を補助職員に専決により処理させたのであるから,その指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失により違法な財務会計行為を阻止しなかったと認められる場合に限り,- 18 -白山市に対し違法な公金支出によって白山市が被った損害を賠償する義務を負うことになると解すべきである(最高裁平成3年12月20日第二小法廷判決・民集45巻9号1455頁参照。 )しかるところ,前記2に判示したところからすれば,Aは,宗教団体である白山ひめ神社の宗教上の祭祀である本件大祭を奉賛するために開催された本件発会式に来賓として招かれ,白山 巻9号1455頁参照。 )しかるところ,前記2に判示したところからすれば,Aは,宗教団体である白山ひめ神社の宗教上の祭祀である本件大祭を奉賛するために開催された本件発会式に来賓として招かれ,白山市の職員を伴い,同市の公用車を使用して出,,(),席し白山市長として祝辞を述べ賛同・賛助を表明した本件行為もので,,,その行為は憲法20条3項に違反するという重大な違法性がありかつAは上記行為が本件大祭を奉賛,賛助するという宗教的意義・効果を持つことを十分認識,了知しながら本件行為に及んだものと認められるのであるから,同人は,上記の本件行為に関して公金を支出することは違法であることを認識し,あるいは,認識し得たものであって,これに係る財務会計行為・公金支出がなされることのないよう専決権者等を指揮監督すべき義務を負っていたというべきである。しかるに,Aは,上記指揮監督上の義務に違反して,故意又は過失により,専決者が上記財務会計行為をすることを阻止しなかったものと認めるのが相当であるから,同人は,白山市に対し,上記義務懈怠によって白山市が被った損害として,本件行為に伴う違法な支出金相当額を賠償する義務を負うというべきである(なお,仮に,Aが,本件行為は政教分離原則に違反しないと信じていたとしても,それについては過失があったと解するのが相当であるから,上記判断を左右するものではない。 。) 争点( )(損害額)について ( ) 「Aの報酬費の支出」との主張について 前記前提事実によれば,本件発会式は,白山市職員の勤務時間,休暇等に()関する条例3条1項が規定する週休日である平成17年6月25日土曜日に開催されたところ,Aは,同日の勤務に関して,白山市常勤の特別職の職員の給与に関する条例3条に基づき,時間外勤務 休暇等に()関する条例3条1項が規定する週休日である平成17年6月25日土曜日に開催されたところ,Aは,同日の勤務に関して,白山市常勤の特別職の職員の給与に関する条例3条に基づき,時間外勤務手当を支給されなかったこ- 19 -とが認められる。したがって,Aには,本件行為に関しては,何らの給料・手当等も支出されていないというべきであるから,上記支出に関する控訴人の請求は前提を欠き理由がない。 ( ) 「随行秘書課長給料支出」との主張について 前記前提事実によれば,Aに随行した秘書課長も,本件発会式の勤務に関して,白山市一般職の職員の給与に関する条例8条の2第2項に基づき,時間外勤務手当を支給されなかったことが認められる。したがって,随行した秘書課長にも,本件行為に関しては,何らの給料・手当も支出されていないというべきであるから,上記支出に関する控訴人の請求も前提を欠き理由がない。 ( ) 公用車運転職員給料支出について 前記前提事実によれば,Aは,平成17年6月25日,公用車(市長車)を使用して,白山市a町b番地所在の松任グリーンパークに赴き,同日午前9時30分から同日午前10時までの間,消防訓練安全祈願祭に出席し,その後,公用車(市長車)を使用して,レッツホールつるぎに赴き,同日午前11時10分までの間,本件発会式に出席したこと,消防訓練安全祈願祭の会場とレッツホールつるぎとは,約6㎞離れていたこと,同日は,白山市職員の勤務時間,休暇等に関する条例3条1項規定の週休日であったが,公用車(市長車)運転職員は,同条例8条2項に基づき,公務の必要から勤務を命じられ,同日の勤務に関して,白山市一般職員の給与に関する条例16条1項,20条,白山市一般職の職員の給与の支給に関する規則8条1項に基づき,当該業務を含め3.5時間の勤務 ,公務の必要から勤務を命じられ,同日の勤務に関して,白山市一般職員の給与に関する条例16条1項,20条,白山市一般職の職員の給与の支給に関する規則8条1項に基づき,当該業務を含め3.5時間の勤務相当分の時間外勤務手当として7567円(1時間当たり2162円)を支給されたことが認められる。 そうすると,上記の公用車(市長車)運転職員の時間外勤務手当7567円のうち本件行為に伴う違法な支出相当分は,消防訓練安全祈願祭の会- 20 -場と本件発会式の会場との往復運転相当分(約40分間開催されたという本件発会式の待機時間を含む)として,控訴人主張の2000円を下回ら。 ないものと認められる。したがって,上記時間外勤務手当7567円のうち2000円は,本件行為に伴う違法な公金支出というべきであるから,Aは,これに係る財務会計行為を阻止すべき指揮監督上の義務を怠ったものとして,白山市に対し,上記義務懈怠により白山市が被った損害である上記支出金相当額2000円を賠償する義務を負うというべきである。 ( ) 公用車燃料等の費用について 前記前提事実によれば,白山市の主務課長は,専決により,平成17年6月分の市長車のガソリン代として,同年7月8日付けで2万8088円の支出命令をしたことが認められる。しかし,前記前提事実及び支出負担行為伺兼支出命令伝票(甲4の2)によれば,同支出命令の根拠は,同ガソリンの供給先との間のガソリン供給に係る契約に基づくものと推認されるから,同支出命令自体は財務会計上違法となる理由はないというべきである。したがって,この点に関しては,違法な財務会計行為を阻止すべき指揮監督義務違反を問う余地はなく,控訴人の請求は理由がない(もっとも,白山市は,憲法20条3項の禁止する宗教的活動であって地方公共団体の適法な事務とはなり得 しては,違法な財務会計行為を阻止すべき指揮監督義務違反を問う余地はなく,控訴人の請求は理由がない(もっとも,白山市は,憲法20条3項の禁止する宗教的活動であって地方公共団体の適法な事務とはなり得ない本件行為に伴って,本件発会式への往復に費消した公用車(市長車)のガソリンの価額相当の損失ないし損害を被ったものと解されるけれども,その返還ないし賠償については,上記財務会計行為ないしその指揮監督にかかる責任とは,別個の観点から検討すべきものであって,本件訴訟の対象外の事柄といわざるを得ない。 。) 以上によれば,控訴人の請求は,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,被控訴人に対し,Aに対して損害賠償金2000円及びこれに対する平成18年3月16日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を白山市に支払うよう請求することの義務付けを求め- 21 -る限度で理由があるが,その余は理由がない。 ,,。 よってこれと異なる原判決を変更することとして主文のとおり判決する名古屋高等裁判所金沢支部第1部裁判長裁判官渡辺修明裁判官沖中康人裁判官加藤員祥

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