平成16(ネ)205 損害賠償・損害賠償(本訴),求償金等(反訴)請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成18年1月31日 福岡高等裁判所 福岡地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-4122.txt

判決文本文33,222 文字)

主文 1 控訴人らの控訴に基づき,原判決主文第1項及び第2項を次のとおり変更する。 (1) 被控訴人は,控訴人a1に対し,856万7764円及びこれに対する平成14年5月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 被控訴人は,控訴人bに対し,2053万7281円及びこれに対する平成14年5月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 控訴人bは,被控訴人に対し,812万8734円及びこれに対する平成14年12月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4) 控訴人らのその余の各請求及び被控訴人のその余の反訴請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は,控訴人a1と被控訴人との関係では,第1,2審を通じて,これを4分し,その1を被控訴人の,その余を控訴人a1の負担とし,控訴人bと被控訴人との関係では,第1,2審を通じ,かつ,本訴,反訴を通じて,これを3分し,その1を被控訴人の,その余を控訴人bの負担とする。 3 この判決は,第1項の(1)及び(2)に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決中控訴人ら敗訴部分を取り消す。 2 被控訴人は,控訴人a1に対し,2925万7379円及びこれに対する平成14年5月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被控訴人は,控訴人bに対し,6897万2456円及びこれに対する平成14年5月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被控訴人の控訴人bに対する反訴請求を棄却する。 5 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 6 第2,3項につき仮執行宣言第2 事案の概要等 1 本件は,被控訴人(フランチャイザー)との間でフランチャイズ する反訴請求を棄却する。 5 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 6 第2,3項につき仮執行宣言第2 事案の概要等 1 本件は,被控訴人(フランチャイザー)との間でフランチャイズ契約を結んでコンビニエンスストアを開店したものの,営業不振で閉店を余儀なくされた控訴人b(以下「b」という。)及び一審原告a2(以下「a2」という。)とその夫で連帯保証人である亡a4(以下「a4」という。)の相続人である控訴人a1(以下「a1」という。)及び一審原告a3(以下「a3」という。)が,被控訴人に対し,契約締結に先立って客観的かつ的確な情報を開示するなどの信義則上の保護義務を怠った(債務不履行又は不法行為)として,損害賠償(a2は同人固有の損害とa4の損害の相続分を併せて1億2461万9882円,a1及びa3はa4の損害の相続分各3084万6201円,bは6897万2456円)及びこれに対する遅延損害金の支払いを求め(第1事件,第2事件本訴),他方,被控訴人がbに対し,同契約に基づく未送付金のうちの仕入代金等314万7954円,保証委託契約に基づく求償金593万8186円,金銭費貸借契約に基づく貸金219万0548円の支払い及びこれに対する附帯請求をした(第2事件反訴)ものである。なお,各附帯請求の起算日はいずれも訴状ないしは反訴状の送達の日の翌日である。 2 原審は,a2,a1及びa3の第1事件請求及びbの第2事件本訴請求をいずれも棄却し,被控訴人の第2事件反訴請求を全部認容した。 これに対し,bと,第1事件原告らのうちではa1のみが控訴した。なお,a1は,当審において,前記第1の2のとおり請求を減縮した。 第3 前提事実(当事者間に争いのない事実のほか,各項末尾に掲記する証拠により確実に認められる事実。なお,人証はいずれ みが控訴した。なお,a1は,当審において,前記第1の2のとおり請求を減縮した。 第3 前提事実(当事者間に争いのない事実のほか,各項末尾に掲記する証拠により確実に認められる事実。なお,人証はいずれも原審におけるものであり,原審第2事件関係の書証の表記については原判決のそれを踏襲し,甲A1,乙A1などとAを付して表記することとする。) 1 当事者等(1) 被控訴人は,フランチャイズチェーンシステムによるコンビニエンスストア等の経営等を目的とする株式会社であり,「ポプラ」の名称でコンビニエンスストアのチェーン店の展開をしているものである。 c1(以下「c1」という。),c2(以下「c2」という。),c3(以下「c3」という。)は,いずれも被控訴人の従業員であり,c4(以下「c4」という。)は被控訴人の福岡本部長兼取締役である。 (2) a2とa4(以下,両名を併せて「a4ら」という。両名の間には,長男・a3,二男・a1がいる。)は,昭和45年ころ以降,福岡市g区h1丁目において店舗を借りて,a2の父の酒類販売免許によって,酒屋を経営していたが,平成5年ころ,家主が,古くなった当該店舗を取り壊してその場所にマンションを建てることになった。その際,家主からa4らに対して,新たに建てるマンションの1階部分に店を出さないかとの申し出がなされたが,a4らは,そのすぐ近くにスーパーマーケットがあったことから,別の場所で新しい店舗を探した方が将来的によいと判断して立ち退くこととし,新しい店舗では酒屋ではなく,コンビニエンスストア経営をすることにした。(甲15,一審原告a2)(3) bは,平成6年ころ会社勤めを辞めて,福岡県甘木市大字mにおいて,祖父の代から続く酒屋を父親と共に経営するようになった。そのころから,bは,従来の酒屋の にした。(甲15,一審原告a2)(3) bは,平成6年ころ会社勤めを辞めて,福岡県甘木市大字mにおいて,祖父の代から続く酒屋を父親と共に経営するようになった。そのころから,bは,従来の酒屋の経営では先行きが厳しいとの考えから業態を変更することを検討し,コンビニエンスストア等の経営も選択肢のひとつと考えて,被控訴人やセブンイレブン,ローソン,ファミリーマート等のコンビニエンスストアのフランチャイザー,その他ディスカウントストアの会社等に問い合わせをし,それぞれの担当者から説明を聞いたりしていた。 (甲A5,b) 2 ポプラ・フランチャイズ契約の内容と契約締結に至る一般的なプロセス(1) ポプラ・フランチャイズ契約は,被控訴人がフランチャイジーに対し,被控訴人が保有するポプラ運営に関する経営技術を使用する権限を与えると共に,被控訴人が定めた「ポプラ」の商号及び商標等を使用することを認め,他方,フランチャイジーは被控訴人に対して,その対価として,一定の加盟金及びロイヤルティー(各月の総売上金額(仮受け消費税を除く)の3パーセント)を支払うことを主な内容とする契約である。(甲5,乙A6)(2) 被控訴人は,本件当時,コンビニエンスストアのチェーン店を開店する場合,開店予定の店舗の売上高に関する立地評価を被控訴人作成のマニュアル(「店舗立地調査マニュアル,1994年1月31日」)を利用して調査し,新店舗の採算性を判断して採算がとれると評定される場合に限り,直営又はフランチャイズ契約を締結して新店舗を開店することにしてきた。 被控訴人の立地評価に関するマニュアルの手法は,特に資格等は要求されないものの,営業担当者ではない社員が,立地パターンを分析し,グリッド図を作成した上で住居や世帯数の調査及び集客施設や競合施設の調査 控訴人の立地評価に関するマニュアルの手法は,特に資格等は要求されないものの,営業担当者ではない社員が,立地パターンを分析し,グリッド図を作成した上で住居や世帯数の調査及び集客施設や競合施設の調査をし,また,実際に調査対象地に赴き,人及び車の通行量を計測したりして,それぞれの計測結果等に一定の指数を乗じたものをポイント化してその合計を算出した上,年次差や地域差を調整係数として考慮していた。その際,特に,動線通行量(人,車)の計測や店舗・看板の視認性や店舗への接近性については,偶然や主観の偏りが生じないように,マニュアルの基準に準拠することになっているし,その評価に当たっては悲観的,最低,最悪,不利,切り捨てのマイナス発想で臨むべきであるとされている。 (乙18,21,22,40,証人c3,同c4)(3) また,被控訴人は,別に各費目毎に積算した投下資本予算表やオーナー収入を含んだ損益分岐点を示した損益計画書などを含む事業計画書を作成しているが,それを上回る売上や収益が上がるか否かが出店の決め手となる。なお,損益計画書の欄外には,損益分岐点における売上高・粗利益・オーナー収入は,計画に基づくもので,保証するものではないとの注意書がある。(甲3,乙A5,証人c4) 3 被控訴人とa4らとのポプラ・フランチャイズ契約(以下「本件第1契約」という。)の締結とその後の推移(1) a4らは,平成6年9月20日,被控訴人との間で,a2をフランチャイザー,a4をその連帯保証人として,福岡市g区i町j丁目k番l号所在のコンビニエンスストア(以下「i店」という。)に係る本件第1契約を締結した。ただ,これは,酒類販売免許の名義人がa2であったためで,実質は,両名がフランチャイジーであった。(甲5,6,一審原告a2,弁論の全趣旨)( 下「i店」という。)に係る本件第1契約を締結した。ただ,これは,酒類販売免許の名義人がa2であったためで,実質は,両名がフランチャイジーであった。(甲5,6,一審原告a2,弁論の全趣旨)(2) しかし,i店の経営は軌道に乗らず,a4は,平成10年4月29日,経営不振を苦にして自殺した。 a2は,その後も,i店の経営を続け,平成10年5月10日ころからは,a1もそれまで勤めていた会社を辞め,i店の経営に専念したが,平成13年11月19日,本件第1契約の解約合意によりついに閉店した。 (3) 被控訴人は,i店の閉店までの間,同店に対して,販売促進費として,平成7年1月21日から平成8年1月31日までの約1年間にわたり,1月当たり1300万円から実売上高を差し引いた額の20パーセントに当たる金額(総額は757万3135円)を援助し,a4らが,送金できなかった平成8年12月末と平成9年1月初めの預託金相当額291万6778円を,平成9年1月6日,年5パーセントの利息(ただし,貸付日から同年6月25日までの利息据置期間分の利息6万8325円を元本に加えた総額について,同年7月5日から30回の分割払)でa2に対して貸し渡したこととし,また,i店の月額105万円の店舗設備使用料を,平成11年11月1日から平成12年1月31日までの3か月間及び同年4月1日から同年6月30日までの3か月間は,月額75万円とし,平成13年3月1日から同年5月31日までの3か月間は月額85万円とする合計240万円の支援を行った。また,被控訴人は,平成12年6月9日,a2に対して,200万円を年5パーセントの利息(ただし,貸付日から同月25日までの利息据置期間分の利息4658円を元本に加えた総額について,同年7月25日から分割払),24回払いの約定で融資 日,a2に対して,200万円を年5パーセントの利息(ただし,貸付日から同月25日までの利息据置期間分の利息4658円を元本に加えた総額について,同年7月25日から分割払),24回払いの約定で融資した。 (乙3ないし10) 4 被控訴人とbとのポプラ・フランチャイズ契約(以下「本件第2契約」という。)の締結とその後の推移(1) 被控訴人とbは,平成10年4月15日,福岡県朝倉郡n町大字o字pq番地のr所在のコンビニエンスストア(以下「n店」という。)に係る本件第2契約を締結した。 そして,bは,同年5月15日の開店時以降,本件第2契約に基づきn店を経営したが,経営不振のため,平成13年5月23日,ついに閉店した。 (2) 本件第2契約締結に際し,被控訴人は,bとの間で,次の合意をした(以下「本件合意」という。)。 ア bは,被控訴人に対し,毎日の売上金及び仮受消費税並びに預り金の合計金額(以下「本件預託金」という。)を送金する。 イ被控訴人は,bに対し,本件預託金から,仕入代金,包装資材代金及びロイヤルティー(純売上ロイヤルティーは総売上金額(仮受消費税を除く。)の3パーセント,手数料ロイヤルティーは総料金収納手数料の25パーセント)等の金額を差し引いた金額を返還する。 しかるに,bは,被控訴人に対し,本件合意に基づいて送金すべき平成12年12月までの156万6143円及び平成13年1月以降の656万1128円の合計812万7271円を送金していない。 (3) 被控訴人は,n店の閉店までの間,bに対して,月額85万円の店舗設備使用料を,平成11年1月1日から同年3月31日までの3か月間は月額40万円に,同年6月1日から同年8月31日までの3か月間は月額45.6万円に,同年10月1日から同年12 ,月額85万円の店舗設備使用料を,平成11年1月1日から同年3月31日までの3か月間は月額40万円に,同年6月1日から同年8月31日までの3か月間は月額45.6万円に,同年10月1日から同年12月31までの3か月間は月額37万円に,平成12年1月1日から同年3月31日までの3か月間は月額40万円に,同年4月1日から同年6月30日までの3か月間は月額50万円に,同年10月1日から同年12月31日までの3か月間は月額55万円に,それぞれ減額して支援を行ったほか,bの後記(4)の借入について保証したり,後記(5)のとおり自らbに対して融資をする等の協力をした。(乙A10の1ないし5)(4) bは,n店を開店するに当たり,平成10年5月14日,株式会社s銀行から,最終弁済日を平成20年5月1日,利息を年3.375パーセント(年365日の日割計算),遅延損害金を年14パーセント(年365日の日割計算)として,800万円を借り受けた。 被控訴人は,上記借受日に,bの委託を受け,s銀行との間で,bのs銀行に対する上記債務を連帯保証するとの合意をし,平成13年8月10日,bに代わって,s銀行に対し,bのs銀行に対する上記債務の残額593万8186円を支払った。(乙9,30)(5) 被控訴人は,平成12年6月30日,bに対し,最終返済日を平成14年10月25日,利息を年5パーセントとして,300万円を貸し付けたが,そのうち219万0548円が未払いのままである。 5 i店及びn店は,被控訴人が,いずれも店舗の敷地の所有者が建築した店舗を,同所有者に敷金(i店は838万5000円,n店は500万円)を差し入れるなど諸経費を負担して,同所有者から賃借し,それぞれ約1800万円をかけて店舗の内装設備をし,a2及びbとそれぞれ店舗設備使用 同所有者に敷金(i店は838万5000円,n店は500万円)を差し入れるなど諸経費を負担して,同所有者から賃借し,それぞれ約1800万円をかけて店舗の内装設備をし,a2及びbとそれぞれ店舗設備使用契約を締結して,a2及びbからそれぞれ店舗設備使用料を払ってもらう態様のフランチャイズシステムで経営されており,被控訴人がi店及びn店の開店にかけた費用は,店舗賃貸借に要する敷金を含めそれぞれ数千万円にのぼった。(甲6,乙A7の1,乙23,証人c4)第4 争点(第1事件)(1) a4らに対する被控訴人の保護義務違反の有無(争点1)(2) a1(すなわちa4)の損害の発生及びその額(争点2)(3) 過失相殺(争点3)(第2事件本訴)(1) bに対する被控訴人の保護義務違反の有無(争点4)(2) bの損害の発生及びその額(争点5)(3) 過失相殺(争点6)(第2事件反訴)bの被控訴人に対する平成13年1月以降の本件合意に基づく送金義務発生の有無及びこの分についての被控訴人の免除の意思表示の有無(争点7)第5 争点に関する当事者の主張 1 争点1について(1) a1の主張アフランチャイズチェーンシステムにおいては,店舗経営の知識や経験に乏しく,資金力も十分ではない者がフランチャイジーとなることが多く,専門的知識を有するフランチャイザーがこのようなフランチャイジーを指導援助することが予定されており,フランチャイザーは,フランチャイジーの指導援助に際し,できるかぎり適正かつ正確な情報を提供すべき信義則上の保護義務を負っているものというべきである。 この保護義務の具体的内容には,フランチャイザーは,フランチャイジー候補者(以下「出店予定者」という。)に対し,①その店の売上や収益を 信義則上の保護義務を負っているものというべきである。 この保護義務の具体的内容には,フランチャイザーは,フランチャイジー候補者(以下「出店予定者」という。)に対し,①その店の売上や収益を予測するに必要な情報を提供すること,②提供する情報が客観的かつ的確な情報であることが含まれる。さらにいえば,売上及び経費について予測を提示する場合,出店予定者に将来の予測等について誤認させることがないよう,予測に用いるデータ,前提条件は合理的な根拠に基づくものであること,予測に用いた前提条件を出店予定者に具体的に示すことが要求されるのである。 イところで,本件第1契約の担当者であるc1は,平成6年2月末ころから,a4らに対し,事業計画書,店舗立地評価書(以下「i店立地評価書」という。)及び地図を示して,①i店の予測売上は1日当たり最低でも52万3000円(1か月当たり1569万円)であり,その損益分岐点は1日当たり42万7000円(1か月当たり1281万円)であるから,i店を経営した場合には,a4らは確実に収益を上げることが可能であること,②仮にi店において上記損益分岐点程度の売上げしかなかった場合においても,a4らにはオーナー収入として1か月当たり総額21万円が確保されること,③被控訴人は,広島を基盤としてコンビニエンスストアの店舗開店実績があること,④開店準備資金の借入れについてはポプラi店の売上げをもってすれば,上記借入れは数年程度で返済が可能であること,さらには,⑤経営が軌道に乗れば,店舗設備使用料を支払ながら経営するBタイプから什器備品等を買い取って経営するAタイプに経営形態を変更することができ,そうすればさらなる収益が見込めると説明した。 その後,平成6年8月にi店ではたばこの販売ができないことが判明したが, 器備品等を買い取って経営するAタイプに経営形態を変更することができ,そうすればさらなる収益が見込めると説明した。 その後,平成6年8月にi店ではたばこの販売ができないことが判明したが,c1は,その後も,予測売上の見直しは行わず同じ説明を繰り返すばかりであった。 ウ a4らは,上記c1の説明を信じてi店を開店したが,同店の売上は,平成6年11月17日から平成13年11月19日までの間において,c1が説明した損益分岐点を1日当たり1万2000円上回った月がわずかに1回あっただけであった。 この事実によれば,c1がa4らに対して説明したi店の予測売上及び損益分岐点は,被控訴人が十分な調査をすることなく算出した数値又は虚偽の数値であったというほかない。 エ実際,立地評価書の予測売上を算出するためのポイント計算には,物理的バリアーがあって計測から除外すべきポイントを加えている等,明らかな誤りがあり,これらを正して被控訴人のマニュアルに忠実に従った立地評価に基づくi店の予測売上は,日商30万1000円(たばこを除く)となり,これは,i店立地評価書の予測売上を大きく下回るばかりか,被控訴人が算出したi店の損益分岐点の日商42万7000円にもはるかに及ばない。 オまた,i店立地評価書を作成した評価担当者のコメントには,i店についてのマイナス評価が記載されていたものであって,i店の売上や収益を予測するに必要な情報としてa4らに示されるべきものであったにもかかわらず,この部分をあえて削除した立地評価書の一部の写ししかa4らに渡さず,適正かつ正確な情報を提供しなかったものである。 カなお,a4らは,被控訴人から,i店の設備投資額を1900万円(うち敷金840万円)との説明を受けていたが,敷金は将来一定の割 4らに渡さず,適正かつ正確な情報を提供しなかったものである。 カなお,a4らは,被控訴人から,i店の設備投資額を1900万円(うち敷金840万円)との説明を受けていたが,敷金は将来一定の割合で返還を受けるものであるし,被控訴人はa4らから自らが店舗所有者に支払う賃料(月額55万9000円)を上回る設備使用料(月額105万円)を受領することで,早期に投下資本の回収を図れるのであるから,加盟店を増やすことは被控訴人にとって利益であり,それ故,出店予定者に不正確な情報を与えてでも勧誘する傾向があるといわなければならない。 (2) 被控訴人の反論次の事実によれば,被控訴人には債務不履行も不法行為責任もない。 ア本件第1契約は,対等な関係にある独立した商人間の契約であり,商売の素人とフランチャイザーとの契約ではない。a1が主張の根拠としている保護義務は,契約締結上の過失に由来するもので,控訴人が言うような不平等な契約関係から生ずるものではない。 そもそもフランチャイズシステムは,わが国においても昭和44年ころから始まったものであり,平成10年ころには,フランチャイズシステムのコンビニエンスストア店は全国で約5万店舗にもおよび,小売業商店経営者らはそのシステムの利点・欠点・功罪を常識として知っているはずである。 イ a4らは,昭和45年ころ以降,福岡市g区h1丁目所在の酒屋を経営していたところ,i店の所在地は,上記酒屋の所在地と同じ福岡市g区内であるから,a4らはその商圏の実情だけでなく,コンビニエンスストアの経営の実情をも相当程度知悉していたものというべきである。 ウそのような状況の下に,被控訴人は,i店について,平成6年2月17日及び同月18日,前記第3の2(2),(3)のとおり,客観的かつ的 経営の実情をも相当程度知悉していたものというべきである。 ウそのような状況の下に,被控訴人は,i店について,平成6年2月17日及び同月18日,前記第3の2(2),(3)のとおり,客観的かつ的確な被控訴人内部の店舗立地調査マニュアルに従い,その所在地の立地評価を実施してポプラ店舗立地評価書等の資料を作成した上,a4らに対し,これらを示してその内容及びこれが売上保証となるものではないことを十分に説明し(売上予測に未だ確立した方法がないことは公知の事実で,誤差が生じることは当然ある。),同年3月ころ以降,a4らとの間で,数回にわたって経営計画等を協議した。 エ被控訴人は,a4らに対し,平成6年8月30日,重要事項説明書を交付して本件第1契約に関する重要事項を説明し,a4らに十分検討する機会を与えた上で,a4らとの間で,本件第1契約を締結した。a4らは,売上を保証するものではない旨の被控訴人の説明を聞き,自らの知識,経験に基づき,経営のリスクを計算したうえ,判断したのであるから,a4らに損害が発生したとしても,被控訴人に保護義務違反の責任は生じない。 2 争点2について(1) a1の主張被控訴人の上記債務不履行又は不法行為により,a4には次のような損害が生じた。 ア a4は,i店開店準備資金として,次のとおり合計790万5467円を支出した。 ① ポプラ・フランチャイズチェーン加盟金 103万円② 開店準備費用  50万円③ 期首商品代金  517万2467円(期首の600万円から平成13年11,12月に返還を受けた金額を控除したもの)④ 保健所申請費用  5万3000円⑤ 備品・消耗品購入費用  80万円⑥ 開店広告宣伝費用 35万円 から平成13年11,12月に返還を受けた金額を控除したもの)④ 保健所申請費用  5万3000円⑤ 備品・消耗品購入費用  80万円⑥ 開店広告宣伝費用 35万円イ i店経営時における平成7年からの赤字は,次のとおりであって,合計1622万6697円である。このうち1025万7130円を請求する。 ① 平成7年  493万0127円② 平成8年  148万8740円③ 平成9年  115万8972円④ 平成10年  35万1280円⑤ 平成11年 187万3780円⑥ 平成12年 385万1126円⑦ 平成13年 257万2672円ウ a4の逸失利益は,6822万7875円である。 ① 死亡前の逸失利益  2464万9883円a4は,i店開店当時50歳であったが,その後死亡するまでの約3年5か月間,その経営のためほかの職業に就くことができなかった。したがって,a4の死亡前の逸失利益は,平成6年賃金センサス第1巻第1表産業計・企業規模計・男子労働者・学歴計・50歳から54歳までの平均年収である721万4600円の3年5か月分である2464万9883円(円未満切捨て)である。 ② 死亡による逸失利益  4357万7992円a4は,死亡当時53歳であったが,53歳から67歳までの14年間,毎年得べかりし利益であった平成10年賃金センサス第1巻第1表産業計・企業規模計・男子労働者・学歴計・50歳から54歳までの平均年収である733万7400円を失った。したがって,a4の死亡による逸失利益は,上記733万7400円から生活費40パーセントを控除した上,14年間の中間利息控除のためのライプニッ 54歳までの平均年収である733万7400円を失った。したがって,a4の死亡による逸失利益は,上記733万7400円から生活費40パーセントを控除した上,14年間の中間利息控除のためのライプニッツ係数9.8986を乗じ,4357万7992円(円未満切捨て)である。 ③ 慰謝料  2000万円④ a4の死亡により,a1はa4の被控訴人に対する損害賠償請求権の4分の1(2659万7618円)を相続した。 エ弁護士費用  265万9761円オよって,a1は,被控訴人に対し,本件第1契約の債務不履行又は不法行為に基づき,ウ④の2659万7618円及びエの265万9761円の合計額である金2925万7379円及びこれに対する第1事件訴状送達の日の翌日である平成14年5月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める(控訴人平成17年8月3日付け控訴審準備書面で減縮)。 (2) 被控訴人の反論アフランチャイズ契約は,全国で数万件あり,本件第1契約を締結したこと自体が損害発生と因果関係がある訳ではない。 イ i店に対して被控訴人は,前記第3の3(3)のとおり,少なくない販売促進費(援助金)を支払ったにもかかわらず,総売上に反映されていないなど,i店の決算書の内容の正確性は疑わしく,経営上の赤字が生じていたとは考えられない。 ウ仮に経営上の赤字が生じていたとしても,本件第1契約の解除には何らのペナルティーはなく,むしろ,被控訴人のスーパーバイザーが売上上昇策や経費節減について助言をする他,営業資金の融資や店舗使用料の引き下げの努力をし,それでも改善が望めないなら,適宜閉店や被控訴人の他の店舗の経営に移るなどの方策があるのであるから,経営上の赤字が全て被控訴人 について助言をする他,営業資金の融資や店舗使用料の引き下げの努力をし,それでも改善が望めないなら,適宜閉店や被控訴人の他の店舗の経営に移るなどの方策があるのであるから,経営上の赤字が全て被控訴人の責任であるという主張には飛躍がある。 3 争点3について(1) 被控訴人の主張a4らに対する被控訴人の保護義務違反の有無(争点1)の(被控訴人の反論)アないしエの事情によれば,a4には相当の過失相殺が認められるというべきである。 (2) a1の反論a4らが昭和45年ころ以降,i店の所在する福岡市g区内で酒屋を経営していたとはいえ,酒屋は,取り扱う商品のみならず,経営ノウハウがフランチャイズチェーンシステムによるコンビニエンスストアとは異なる。a4らは,フランチャイズチェーンシステムによるコンビニエンスストアの経営について,知識及び経験が全くなかったものである。 4 争点4について(1) bの主張ア争点1についての(1)アに同じ。 イ c2ほか1名は,平成9年秋ころ以降本件第2契約の勧誘をするに際し,bに対し,予測売上及び損益分岐点等が記載された事業計画書のみを交付し,①n店の予測売上は1日当たり60万円(1か月当たり1800万円)であり,その損益分岐点は1日当たり約46万6000円(1か月当たり約1400万円)であるから,n店を経営した場合には,bは確実に収益を上げることが可能であること,②仮にn店において上記損益分岐点程度の売上げしかなかった場合においても,bにはオーナー収入として1か月当たり30万円が確保されること,③被控訴人は,従前数百店舗のコンビニエンスストアの開店実績があり,被控訴人の市場調査は,この数百店舗の開店実績に基づき行われたものであること,④開店準備資金の借入れについて 万円が確保されること,③被控訴人は,従前数百店舗のコンビニエンスストアの開店実績があり,被控訴人の市場調査は,この数百店舗の開店実績に基づき行われたものであること,④開店準備資金の借入れについては被控訴人が保証人となる上,n店の売上をもってすれば,上記借入れは数年程度で返済が可能であることなどを説明して,n店の経営をするようbを説得した。これにより,bは,n店を経営することを決意した。 ウしかし,bがn店を経営した平成10年5月15日から平成13年5月23日までの間における最高売上高は1か月当たり1321万1000円にすぎず,c2らがbに対して説明した損益分岐点を大きく下回る金額であった。 エまた,被控訴人は,n店の立地調査を行い,予測売上は1日当たり45万3000円(1か月当たり1359万円)という結果が出ていたにもかかわらず,立地評価書は内部資料であるとしてbに見せることなく,予測売上が損益分岐点にも到達していないという事実,すなわち利益の出ない店舗である事実を意図的に隠していたものである。しかも,上記損益分岐点には,オーナー収入が含まれているのに,それが別途確保されるような誤解を与えている。 オウ及びエの事実によれば,c2らがbに対して説明したn店の予測売上及び損益分岐点は,被控訴人が十分な調査をすることなく算出した数値又は虚偽の数値であったというほかなく,被控訴人は,アの信義則上の保護義務に違反したものというべきである。 (2) 被控訴人の反論次の事情によれば,被控訴人には債務不履行も不法行為責任もない。 ア争点1についての被控訴人の反論((2)ア)に同じイ bは,平成6年に勤めていた会社を辞め,これ以降,祖父の代から経営していた酒屋を引き継ぎ,また,平成8年ころ以降は,tパ もない。 ア争点1についての被控訴人の反論((2)ア)に同じイ bは,平成6年に勤めていた会社を辞め,これ以降,祖父の代から経営していた酒屋を引き継ぎ,また,平成8年ころ以降は,tパンの店舗であるYショップの加盟店として商店の経営に従事していた。 ウ bは,平成6年ころ以降,別途コンビニエンスストアを経営することを検討し,平成7年以降,積極的に被控訴人に接触し,店舗経営等に関する研究検討を続けていた。 エそのような状況の下で,被控訴人は,n店について,平成9年10月,前記第3の2(2),(3)のとおり,客観的かつ的確な被控訴人内部の店舗立地調査マニュアルに従い,その所在地の立地評価を実施してポプラ店舗立地評価書を作成した上,同月20日,上記立地評価を参考として,客観的かつ的確に店舗設備使用料等の経費等を計算するなどして採算の取れる場所であることを確認し,平成10年2月18日,bに対し,上記検討に基づく事業計画書を交付して,その内容(損益分岐点は46万6000円であること)及びこれが売上保証となるものではないことを十分に説明したものであり,c2らは同店の予測売上が日商60万円になるという発言はしていない。 そして,被控訴人は,bに対し,平成10年2月4日,本件第2契約に関する重要事項を説明し,また,同月25日,同契約に係る契約書類一式を交付し,bに十分検討する機会を与えた上で,bとの間で,同年4月15日,本件第2契約を締結した。 オフランチャイジーが万が一赤字となった場合には,被控訴人においても1店舗当たり4000万円前後の直接投資及び仕入れ代金の事実上の負担等大変な損害を受けるのであるから,明らかに利益が出ない店舗であることを隠匿してフランチャイジーに開店させるようなことはあり得ない。 舗当たり4000万円前後の直接投資及び仕入れ代金の事実上の負担等大変な損害を受けるのであるから,明らかに利益が出ない店舗であることを隠匿してフランチャイジーに開店させるようなことはあり得ない。 5 争点5について(1) bの主張被控訴人の債務不履行又は不法行為によりbに生じた損害は,次のとおり6897万2456円である。 ア bは,n店開店準備資金として,次のとおり1287万3000円を支出した。 ① ポプラ・フランチャイズチェーン加盟金 105万円② 店舗保証金  390万円③ 開店準備費用  20万円④ 期首商品代金  600万円⑤ 保健所申請費用  5万3000円⑥ 電話加入権購入費用  20万円⑦ 備品・消耗品購入費用  105万円⑧ 開店広告宣伝費用  42万円イ n店経営時における赤字は,次のとおり合計2279万4183円である。 ① 平成10年  668万5918円② 平成11年  312万9348円③ 平成12年  328万8406円④ 平成13年  969万0511円ウリース代金 124万2250円bは,n店開店に際し,リース会社との間で,n店において使用する防犯カメラ及びコピー機を5年間リースする契約を締結したところ,これを閉店した後も,24か月分の合計として次のリース料を支払う必要がある。 ① 防犯カメラ  88万円② コピー機  36万2250円エ逸失利益  1979万2800円bは,n店開店当時40歳であったが,これを閉店するまでの約3年間,その経営のためほかの職業に就くことができなかった。したがって,bの逸失利益 エ逸失利益  1979万2800円bは,n店開店当時40歳であったが,これを閉店するまでの約3年間,その経営のためほかの職業に就くことができなかった。したがって,bの逸失利益は,平成10年賃金センサス第1巻第1表産業計・企業規模計・男子労働者・学歴計・40歳から44歳までの平均年収である659万7600円の3年分の合計である。 オ慰謝料  600万円カ弁護士費用  627万0223円(2) 被控訴人の反論ア被控訴人は,前記第3の4(3)ないし(5)のとおり,bの借入について連帯保証人になったり,自ら貸付を行ったりする援助のほか,n店の設備等に先行投資をしていて苦しい中でも,bに対して,相当の期間にわたって店舗設備使用料の値下げをして合計727万2000円相当の少なくない援助をしてきた。 イ上記のとおり,被控訴人はこれを改善する努力をしたし,経営上の赤字が生じていたとしても,本件第2契約の解除には何らのペナルティーはなく,早急な閉店も可能であったのであるから,経営上の赤字が全て被控訴人の責任であるという主張には飛躍がある。 6 争点6について(1) 被控訴人の主張争点4についての被控訴人の反論(2)アないしオの事情によれば,bには相当の過失相殺が認められるべきである。 (2) bの反論bが平成8年以降経営していたYショップは,本部から指定された一定の商品を店舗内に陳列する義務のみを負うにすぎず,これ以外の営業等は経営者に委ねられる,いわゆるボランタリーチェーンシステムと呼ばれる経営であり,その性質は,個人商店である酒屋に類似するものである。これに対して,フランチャイザーの指示に従うフランチャイズチェーンシステムによるコンビニエンスストアとはその性 ーンシステムと呼ばれる経営であり,その性質は,個人商店である酒屋に類似するものである。これに対して,フランチャイザーの指示に従うフランチャイズチェーンシステムによるコンビニエンスストアとはその性質を全く異にするものであるから,bは,フランチャイズチェーンシステムによるコンビニエンスストアの経営について,知識及び経験が全くなかったものである。 7 争点7について(1) bの主張ア bは,平成12年12月末日をもって被控訴人との本件第2契約の終了申し入れをしているものであり,本件契約に基づく平成12年12月末日までの未送金分の合計額は156万6143円である。 イまた,被控訴人は,平成13年1月ころ,bに対し,本件合意に基づきbが被控訴人に支払うべき平成13年1月以降の送金分をアルバイトの給料に充てるように指示し,bはこれに従ったものである。このように被控訴人は,bに対して,平成13年1月以降の本件合意に基づく支払義務を免除するとの意思表示をしたものである。 ウしたがって,bは,平成12年12月末日までの未送金分156万6143円を超える支払義務を負わない。 (2) 被控訴人の反論ア本件第2契約の終了については,平成13年5月10日に,b及び被控訴人の間で同年6月1日に解消する予定を合意し,その後,同年5月21日,bから被控訴人に対してファックスで解約通知がなされものである。そして,同月23日にn店は閉店した。 イ (1)のイは否認する。 第6 当裁判所の判断 1 フランチャイズ契約におけるフランチャイザーの保護義務について(1) 争点1及び4について判断するに当たっては,控訴人らの主張するフランチャイザー(被控訴人)の信義則上の保護義務なるものが認められるか否かがまず検討されなければ ャイザーの保護義務について(1) 争点1及び4について判断するに当たっては,控訴人らの主張するフランチャイザー(被控訴人)の信義則上の保護義務なるものが認められるか否かがまず検討されなければならない。ところで,ここで問題になっているのは,フランチャイズ契約上のフランチャイザーのフランチャイジーに対する義務ではなく,フランチャイズ契約の締結に向けた交渉過程におけるフランチャイザーの出店予定者に対する義務であるから,いわゆる契約締結上の過失論にその基礎を置くものであることは,被控訴人の指摘するとおりである。 しかしながら,契約締結に向けた準備段階において,フランチャイザーは,出店予定者に対し,フランチャイズ契約を締結してフランチャイジーになるかどうかの判断材料たる情報(その核心部分は,対象店の売上や収益の予測に関するものである。)を,適時に,適切に提供すべき義務があり,また,当然のことながら,その情報はできる限り正確なものでなければならないというべきである。それは,フランチャイザー側は予めこの関係の情報を収集し,分析等もしているのに対し,出店予定者側は原則として何らの情報も持たないばかりか,多くの場合はフランチャイズチェーンシステムそのものについても知識・経験を有しないのであり,出店予定者が契約締結に踏み切るかどうかの判断材料としては,フランチャイザーから提供される情報以外にはないというのが実情だからである。 控訴人らは,出店予定者に対する上記のような義務を信義則上の保護義務と称しているのであり,その限りにおいては控訴人らの主張は正当として是認することができる。 (2) この点について,被控訴人は,フランチャイザーもフランチャイジー(あるいは出店予定者)も独立・対等の商人であるとして,上記のような両者の立場の違 主張は正当として是認することができる。 (2) この点について,被控訴人は,フランチャイザーもフランチャイジー(あるいは出店予定者)も独立・対等の商人であるとして,上記のような両者の立場の違いを重視してフランチャイザー(被控訴人)の保護義務を認めるのは当たらないかのように主張するが,上記(1)で見たところに照らして採用できない。 (3) 原審も,フランチャイザーが上記のような信義則上の保護義務を負っていることを承認しつつ(原判決24頁10行目から21行目まで),同時に,「フランチャイジーとなろうとする者(出店予定者)は,フランチャイザーが提供した情報について,自ら検討した上で,自らの判断と責任においてフランチャイズ契約を締結していると解すべきであるから,フランチャイザーは,その提供した情報が虚偽である等,フランチャイジーになろうとする者の契約締結に関する判断を誤らせるおそれの大きいものである場合に限って,信義則上の義務違反として,フランチャイジーが被った損害を賠償する責任を負うと解すべきである」旨,フランチャイザーが同義務に違反したかどうかの判断基準についても説示している(同24頁24行目から25頁5行目)。しかしながら,フランチャイザーの義務違反となる場合を上記のように限定してかかったのでは,保護義務を認めたことが建前だけのことになって,実質的にはほとんど意味のないものに堕しかねない。このような立論の背景には,「フランチャイジーは,フランチャイザーとは基本的に独立した事業者であって,自己の責任において経営を行うものである」(同24頁22行目から23行目まで)という上記(2)の被控訴人の主張と軌を一にする認識があることが見て取れるのであるが,問題は,フランチャイジーとなろうとする者(出店予定者)もまた独立した事業者である 4頁22行目から23行目まで)という上記(2)の被控訴人の主張と軌を一にする認識があることが見て取れるのであるが,問題は,フランチャイジーとなろうとする者(出店予定者)もまた独立した事業者であるという一般的命題を,出店予定者がフランチャイズ契約を締結するかどうかを判断する場面においてもそのまま当てはめたことである。この場面においては,同人はフランチャイザーから提供される情報以外に何らの判断材料を持ち合せていないことは上記(1)のとおりであって,このような実情を無視したも同然の上記立論を首肯することはできない。 2 争点1(a4らに対する被控訴人の保護義務違反の有無)について(1) 前記第3の3の事実のほか,証拠(各項の末尾に掲記)によれば,次の事実が認められる。 ア前記第3の1(2)のような次第で,コンビニエンスストア経営を目指したa4らは,取引先から,被控訴人の紹介を受け,その従業員であるc1の説明を聞くこととなった。 c1は,平成5年10月ころ,a4らに対し,被控訴人のフランチャイズチェーンシステムを説明し,同年12月ころからは,ポプラ開店の候補地として福岡市g区i3丁目の物件(以下「i店候補地」という。)について,車が4台以上駐車できる充実した駐車場を備えることができ,ごく近隣にはコンビニエンスストアがなく,やや離れたu四つ角付近およびv四つ角付近にそれぞれ存在するが,駐車場を完備し,かつ酒及びたばこの販売を行うコンビニエンスストアは近くに存在しないこと,i店候補地が面している国道w号線は,天神地区と福岡市西部及び福岡市と近隣郡部を結ぶ主要道路であるため,大型トラックを含めて交通量が大変多いが,国道w号線沿いのコンビニエンスストアで駐車場を完備しているものがないため集客が見込めるとの説明をし,さらに, 及び福岡市と近隣郡部を結ぶ主要道路であるため,大型トラックを含めて交通量が大変多いが,国道w号線沿いのコンビニエンスストアで駐車場を完備しているものがないため集客が見込めるとの説明をし,さらに,周囲は大型マンションもある住宅地であり,パチンコ屋も2軒あることから,多数の固定客を得ることが大いに期待できると述べた。 (甲4,15,乙20,証人c1,一審原告a2)イ被控訴人は,平成6年2月17日と18日の両日,i店候補地の立地調査を行い,そのころi店立地評価書を作成した。i店立地評価書の概略は原判決別紙「店舗立地評価集計フォーム(1)」記載のとおりであるが,その表紙には,被控訴人の開発部業務課に属する立地評価担当者のコメントとして「周辺居住者数は多いが,その割には人通りが少なく,車客(1019台/日)中心になるであろうが,深夜でも流れがはやく,またA方向からの視界性(ポール)が悪いので店舗建築時に,この点に注意すべきであろう。また,専用駐車場が5台と少ない点も気になるところである。」と記載されていた。なお,「A方向」とは,道路左側にある店舗に向かう,いわば主動線方向のことである。 被控訴人は,i店立地評価書の表紙を含む一部をa4らに交付したが,その表紙には,前項の立地評価担当者のコメント部分が印刷されていなかった。 (甲1,15,乙17,20,一審原告a2,証人c1)ウ c1は,平成6年2月ころ以降,i店立地評価書に「予測売上(最低)/日商」として「(酒,たばこ含む)52.3万円」との記載があることに基づき,a4らに対してi店の予測売上は日商52万3000円であり,さらなる売上も望めると説明した。また,c1は,当時の上司が作成した事業計画書を示して,損益分岐点は1日当たり42万7000円であり づき,a4らに対してi店の予測売上は日商52万3000円であり,さらなる売上も望めると説明した。また,c1は,当時の上司が作成した事業計画書を示して,損益分岐点は1日当たり42万7000円であり,損益分岐点の売上しか上がらなかった場合でも,借入れを含む経費を差し引いてa4らには1月当たり21万4000円がオーナー収入として残る,被控訴人には広島を基盤としてコンビニエンスストアの店舗開店実績がある,開店準備資金の借入れについてもi店の売上げをもってすれば,数年程度で返済が可能であるとの説明をした。そして,経営が軌道に乗れば,店舗設備使用料を支払いながら経営するBタイプから什器備品等を買い取って経営するAタイプに経営形態を変更することができ,そうすれば更に収益もあがると説明した。(甲1,3,15,乙17,20,証人c1,一審原告a2)エところが,平成6年8月ころ,i店候補地の所有者が,たばこ販売の許可を得て同地に自動販売機を設置したため,i店ではたばこ販売の許可を得ることができなくなった。c1は,a4らにその旨の報告をしたが,その際具体的な売上に対する影響などについての説明はせず,むしろ,i店候補地の所有者と交渉してたばこ販売が出来るように努力すると述べた。(乙2,証人c1)オ a4らは,同月30日,c4本部長から,c1立会のもと,調査資料(「FC契約調査資料」,乙2)を示されて,フランチャイズ契約締結に当たっての重要事項説明を受けた。なお,上記調査資料の資金チャート及び損益計算書には,損益分岐点の1日当たり42万7000円余りの売上だけが1か月単位で計上され,同説明で上記売上は計画に基づく数値であって,同売上を保証するものではないとの説明がなされた。 (乙1,2,20,22,証人c1,同c4,一審原告a2) 余りの売上だけが1か月単位で計上され,同説明で上記売上は計画に基づく数値であって,同売上を保証するものではないとの説明がなされた。 (乙1,2,20,22,証人c1,同c4,一審原告a2)こうして,同年9月20日,本件第1契約が締結された。 カしかるに,i店のその後の売上高は,上記の予測に反し,一度もそれを上回ることはなく,最高であった平成9年で1日当たり38万9600円(予測売上の約75パーセント),最低の平成12年(閏年)は1日当たり33万9700円(同約65パーセント)であって,決算ではむしろ欠損が生じ,平成7年分から平成13年分で,合計1622万6697円の赤字になった。(甲8の2,甲9ないし11,甲12の2,甲13,14,22)。なお,平成7年分には,以前の酒屋の経費が混ざっていたりなどした(甲8の1)が,調整した。(一審原告a2)(2) 上記(1)カによれば,結果として,被控訴人の売上及び収益の予測は大きく外れたことが認められるから,同予測の正確性には大いに疑問があるものといわざるを得ないところ,被控訴人が故意に虚偽の情報をa4らに提供したという場合はもちろん,そうでないとしても,①被控訴人の店舗立地調査マニュアル自体に明らかな不合理があったり,②マニュアル自体は合理的であっても,実際の調査・予測においてその適用判断を誤り,或いはそもそも調査が不十分であるなどしたために,結果として正確な予測ができなかったということになれば,被控訴人は保護義務違反の責を免れないものというべきである。しかし,被控訴人が故意に虚偽の情報をa4らに提供したと認定するまでの証拠はない。そこで,上記①及び②の点が検討されるべきこととなる。なお,原審は,この点に関して,「本件第1契約及び本件第2契約は,いずれも被控訴人が資金を 偽の情報をa4らに提供したと認定するまでの証拠はない。そこで,上記①及び②の点が検討されるべきこととなる。なお,原審は,この点に関して,「本件第1契約及び本件第2契約は,いずれも被控訴人が資金を投じて,敷地所有者から土地を賃借し,その上に店舗を建築し,更に設備什器を揃えて,これをa2及びbに賃貸する形式が取られており,このような形式が取られた場合,新店舗開店に当たっての調査に不十分な点があれば,被控訴人自身が損害を被るシステムとなっているところからすると,新店舗開店に当たり十分かつ正確な調査が実施され,調査結果に基づく評価も適正になされたと一応推定できる」(原判決25頁7行目から13行目まで)としているが,本件各契約においては,当該各店舗は敷地所有者が建築し,被控訴人がこれを賃借したものであるから(前記第3の5),原判決はその前提となる事実認識において誤っているものといわなければならない。また,その点はひとまずおくとしても,上記のように売上及び収益の予測が現実とは大きく乖離していることが認められるにもかかわらず,十分かつ正確な調査が実施され,調査結果に基づく評価も適正にされた旨推定するなどということは到底是認できるものではない。 (3) まず,(2)の①については,上記のとおり,i店の売上及び収益の予測は結果に照らせば到底正確なものとはいえないこと,被控訴人の最近3事業年度における閉店数(甲A3)によれば,大手競業他社に比較すると閉店数が多く,相当数がフランチャイジーの加盟店から直営店に業態変換していることが認められ,被控訴人のマニュアル自体に,大手競業他社のマニュアルに比べて,不合理・不十分な点があるのではないかとも考えられないではない。 しかしながら,大手競業他社は,いわば先発組で,多くの知識経験を有し,知名度と アル自体に,大手競業他社のマニュアルに比べて,不合理・不十分な点があるのではないかとも考えられないではない。 しかしながら,大手競業他社は,いわば先発組で,多くの知識経験を有し,知名度と商品力があり,強い競争力を持っていることは見やすいところであるから,閉店数だけで簡単に上記のような結論を導くことはできないし,被控訴人の手法も,控訴人らの指摘する日本フランチャイズチェーン協会の「加盟店のための立地調査手法」(甲16)に照らせば,計測時間が少なめであったりする等,その調査手法に簡略な面はあるものの,調査の重要事項を網羅しているとはいえること,被控訴人が現にフランチャイズチェーンシステムを確立し,数百の店舗を開店していることからすると,結果論からだけで被控訴人のマニュアルそのものが明らかに客観性及び合理性を欠いていると断ずることはできない。 (4) 次に,(2)の②について判断するに,被控訴人の店舗立地調査マニュアルに基づく現地への当てはめについては,前記第3の2(2)のとおり,立地調査を担当する社員は,特別の資格は不要であるが,直接の営業担当者ではない。むしろ,動線通行量(人,車)の計測,店舗や看板の視認性,店舗への接近性については,偶然や主観の偏りが生じないように,マニュアルの基準に準拠することが求められているし,その評価に当たっては悲観的・最低・最悪・不利・切り捨てのマイナス発想で臨むべきであるとされている。 しかしながら,1店舗出店すればそれに対する成功報酬が営業担当者に与えられる(証人c4)というのであれば,出店できるかどうかの判断に当たって,偏りが生じない保障はなく,現に,i店の商圏の把握については,地勢分析に当たっての物理的バリアーの評価に関して,本来来店する可能性の薄い交通頻繁で横断しにくい国道w号 きるかどうかの判断に当たって,偏りが生じない保障はなく,現に,i店の商圏の把握については,地勢分析に当たっての物理的バリアーの評価に関して,本来来店する可能性の薄い交通頻繁で横断しにくい国道w号線の反対側やz川の対岸の住民及びパチンコ屋を考慮に入れたりするなど(甲22,乙19),相当に甘いところがある。そして,この点は営業担当者であるc1の当初からの説明(上記(1)ア)に基本的に沿うものであることを見て取ることができるから,客観的であるべき立地評価が営業担当者の影響を排除しきれないことを物語っているし,また,マイナス発想で臨むべきであるとする上記マニュアルの基本姿勢と根本的に矛盾するものといわなければならない。それでも,i店立地評価書の表紙には上記(1)イのような立地評価担当者の慎重なコメントが付されていたということは,まだしも同評価書の信頼性を回復する契機になり得るものであるが,a4らに交付された立地評価書には同コメント部分が印刷されていなかったというのであってみれば,a4らの判断を消極に導きかねないマイナス情報は意図的に提供しないという姿勢であると見るほかない。しかも,c1においては,上記のようなi店の弱点を説明するどころか,明るい見通しを振りまき(上記(1)ウ),さらには,同店ではたばこ販売の許可を得ることができなくなったのに,これが同店の売上にいかなる影響を及ぼすかについての検討も説明もしなかったというのである(同エ)。 以上によれば,被控訴人のi店についての立地評価及びそれに基づく同店の売上・収益の予測には被控訴人の評価マニュアルに照らしても相当でない点があったものというべきであり,この点において,被控訴人には信義則上の保護義務違反があると評価されてもやむを得ないものがある。なお,被控訴人は,a4らとの本件第1 マニュアルに照らしても相当でない点があったものというべきであり,この点において,被控訴人には信義則上の保護義務違反があると評価されてもやむを得ないものがある。なお,被控訴人は,a4らとの本件第1契約に際し,店舗所有者から店舗を賃借し,更に設備什器を揃えて,これをa4らに賃貸する形式が取られているのであるから,i店が閉店を余儀なくされるようなことになれば,被控訴人も損害を被ることがあり得るが,それだからといって,同店開店に当たり十分かつ正確な調査が実施され,調査結果に基づく評価も適正になされた筈であるなどとはいえないことは,上記(2)において原審の判断を批判的に検討した際に述べたとおりである。しかも,現実には,被控訴人は,a4らから取得する加盟金,店舗保証金及び被控訴人が店舗所有者に支払う賃貸料を上回る店舗設備使用料などで,それを早期に回収し,或いは損害を極力回避できる仕組みになっていることが認められるのである(甲22)。 3 争点4(bに対する被控訴人の保護義務違反の有無)について(1) 前記第3の4の事実に加えて,証拠(各項の末尾に掲記)によれば,次の事実が認められる。 ア c2は,bが従来の酒屋所在地での営業を望んでいたことから,同地でのポプラ店開店の可否について検討したが,採算がとれないとの被控訴人の結論をbに伝えた上,代わりにx町でのポプラ店経営を勧めた。 しかし,bは,検討の結果,この勧めを断り,従来の酒屋所在地での開店を可能と回答したtパンのボランタリーチェーンに加盟し,平成8年ころ従来の酒屋をYショップに業態変更した。(甲A5,乙A8,14,証人c2,b)イその後も,c2は,b方を時折訪問し,bは,c2の誘いを受けて,被控訴人主催の商品展示会に出かける等していた。(甲A5,乙A14,証人c2,b た。(甲A5,乙A8,14,証人c2,b)イその後も,c2は,b方を時折訪問し,bは,c2の誘いを受けて,被控訴人主催の商品展示会に出かける等していた。(甲A5,乙A14,証人c2,b)c2は,平成9年9月ころから,bに対して,被控訴人はy地区に出店したいと考えており,そのための候補地が見つかっていると述べ,フランチャイジーとして店舗を出すよう熱心に勧誘した。この勧誘をするに際し,c2は,被控訴人が行った立地についての予備調査を念頭に置きつつ,bに対し,事業計画書を示して同候補地店の損益分岐点は1日当たり46万6000円(1か月当たり約1400万円)であり,その場合にもbにはオーナー収入として1か月当たり30万円が確保されることを説明した。また,その際,上記計画書の記載に基づいて,例えば,売上が1日当たり60万円なら1か月当たり1800万円になり,その場合は,雑給(パート,アルバイト給与)を100万円に上げても,オーナー収入は,給与を含めて83万1000円になるという話をした。(甲A1,乙A14,証人c2,b)ウ被控訴人は,bが同候補地店経営の意向を示したことから,平成9年10月17日ころ,被控訴人福岡地区本部で,c4本部長による面接を実施し,同月21日,n店候補地の立地調査(以下同調査の結果を記した立地評価書を「n店立地評価書」といい,その概略は原判決別紙「店舗立地評価集計フォーム(2)」記載のとおりである。)を行い,酒・たばこの販売を前提に1日当たり45万3000円という予測売上を正式に算出した。しかし,c2は,bに対して,n店立地評価書やその予測売上の額そのものを示して説明したことはなかった。(乙23,乙A3,14,証人c2,同c4,b)エ bは,平成10年2月18日,被控訴人から,調 ,c2は,bに対して,n店立地評価書やその予測売上の額そのものを示して説明したことはなかった。(乙23,乙A3,14,証人c2,同c4,b)エ bは,平成10年2月18日,被控訴人から,調査資料(「FC契約調査資料」,乙A5)を示されて,フランチャイズ契約締結に当たっての重要事項説明を受けた。なお,上記調査資料の資金チャート及び損益計画書には,損益分岐点の1か月当たり1400万円の売上だけが計上されていたが,同説明で上記売上は計画に基づく数値であって,同売上を保証するものではないとの説明がなされた。(乙23,乙A4,5,14,証人c2,同c4,b)オ bは,同月25日に被控訴人からフランチャイズ契約書及び店舗設備使用契約書等,本件第2契約に関する契約書一式の説明を受け,同年4月15日,被控訴人福岡地区本部において,本件第2契約を締結した。 なお,bが被控訴人から受領した事業計画書の資金チャート及び損益計画書には,損益分岐点の売上が計上されていたが,それぞれその欄外に「損益分岐点における売上高・粗利益・オーナー収入は,計画に基づく数値であり,保証するものではありません。」との記載があった。(甲A1,乙A6,14,証人c2,b)カ n店のその後の年間売上高は,上記の予測に反し,一度もこれを上回ることはなく,通年営業した平成11,12年の平均で,1か月当たり約1190万円で,予測値の85パーセントであり,むしろ多額の欠損を生じ,その合計は2279万4183円となった。(甲A4の1ないし4,甲23)(2) 上記(1)カの事実によれば,結果として,被控訴人の売上及び収益の予測は大きく外れたことが認められるから,同予測の正確性には大いに疑問があるものといわざるを得ず,ひいては被控訴人の保護義務違反が疑われることにも 事実によれば,結果として,被控訴人の売上及び収益の予測は大きく外れたことが認められるから,同予測の正確性には大いに疑問があるものといわざるを得ず,ひいては被控訴人の保護義務違反が疑われることにもなりかねないことはi店の場合と同様である。しかし,被控訴人が故意に虚偽の情報をbに提供したと認定するまでの証拠はない。また,被控訴人の店舗立地調査マニュアルそのものが明らかに客観性及び合理性を欠いているとはいえないことは,前記2(3)においてi店について見たとおりである。そこで,n店についての実際の調査・予測において,マニュアルの適用判断を誤るなどしたために,結果として正確な予測ができなかったということはないかどうかを検討することとする。被控訴人の店舗立地調査の担当者は営業担当者とは別の社員とされていること及び調査に際しての視点や心構えについては,前記2(4)の冒頭に認定したとおりである。しかしながら,それでも調査に偏りが生じないという保障があるとまではいえないことも,同認定部分に引き続いて指摘したところである。現に,マニュアル(乙40)と店舗立地評価書(乙A3)を比較すると,例えば,人的要素世帯数のうち,500メートルグリッドに掛ける係数(地域特性指数)は,0.1であるのに,0.15が掛けられていたり,視認性は,ロードサイド型店舗の場合,2分の1にすべきであるのにこれがなされていないうえ,合計額に掛ける調整係数の地域差については,n店のある福岡県朝倉郡n町と関係が深く近接した位置にある甘木市(甘木市がy地区の中心都市であることは公知の事実である。)でも,0.697(福岡県朝倉郡n町でも同程度であると推認出来る。)であるのに,0.889が掛けられていることが認められる(甲23)。 仮に,上記各点を修正して計算し直してみるとすれば,1 )でも,0.697(福岡県朝倉郡n町でも同程度であると推認出来る。)であるのに,0.889が掛けられていることが認められる(甲23)。 仮に,上記各点を修正して計算し直してみるとすれば,1日当たりの予測売上は到底45万3000円にはならない。しかも,その45万3000円ですら,被控訴人が経費を積算して算出したという事業計画書の損益分岐点46万6000円を下回っているのである。 このように,n店の店舗立地評価は,上記の各点において被控訴人の店舗立地調査マニュアルとも齟齬しており,その結果,同評価の売上予測は相当に甘くなっているといわざるを得ない。しかも,c2においては,正式に算出された1日当たりの予測売上が45万3000円であって,これが以前bに示した1日当たりの損益分岐点46万6000円にも達しないことを説明するでもなかったというのである(上記(1)ウ)。以上のような被控訴人のbに対する対応には問題があり,この点において,被控訴人には信義則上の保護義務違反があると評価するほかない。 4 争点2(a1(すなわちa4)の損害の発生及びその額)について(1) 開店準備資金上記認定のとおり,a4らは,昭和45年から,福岡市g区hに借りた店舗で,a2の父の酒類販売免許で酒屋を営んでいたが,同店舗が老朽化してマンションに建て替えるという話になって,そのマンションに入居して営業を続けるか,他でコンビニエンスストアを経営するかを検討し,被控訴人のフランチャイジーになる道を選んだこと,しかし,a4らは,被控訴人から,正しい情報が提供されていれば,被控訴人のフランチャイジーとなってi店を開店することはなかったと考えられるので,a4が自ら調達したそのために費やした準備資金のうち,ポプラ・フランチャイズチェーン加盟金103万 提供されていれば,被控訴人のフランチャイジーとなってi店を開店することはなかったと考えられるので,a4が自ら調達したそのために費やした準備資金のうち,ポプラ・フランチャイズチェーン加盟金103万円(甲5,8の1),開店準備費用50万円,保健所申請費用5万3000円,備品・消耗品購入費用80万円,開店広告宣伝費用35万円(以上につき,いずれも甲3)の合計273万3000円については,そのまま同額が損害となる。 なお,a1は,期首商品代金の残額である517万2467円も請求するが,これは商品の仕入れ代金であって,同額の商品が提供されているので損害とはならない。 (2) i店の累積赤字i店経営時における平成7年からの累積赤字は,前記2(1)カのとおりであって,合計1622万6697円であるから,このうち1025万7130円を請求するというa1の請求はその限度で理由がある。 なお,被控訴人は,i店の決算書の正確性に疑問があるから,同店の赤字についても疑問であるなどと主張するが,そのような疑問を根拠づけるものは何もない。むしろ,その申告は,関係各年とも青色申告の承認を受けたうえでの申告にかかるもの(甲8ないし14)であって,その申告は保存された帳簿書類に基づくから,正確性に欠けるとは言えない。a1が,平成7年分について調整を要したのは,以前の酒屋からi店への切り替え時の特殊事情に基づくものにすぎない。 (3) a4の逸失利益等ア i店開店の背景には上記(1)のような事情があったのであるから,a4は,従来の酒屋の営業は立退きにより継続することができず,かといってi店を開店するということもなかったならば,他に就業する途を選択したものと考えられ,その場合には労働者として稼働した蓋然性が高い。ただ,a4が当時5 業は立退きにより継続することができず,かといってi店を開店するということもなかったならば,他に就業する途を選択したものと考えられ,その場合には労働者として稼働した蓋然性が高い。ただ,a4が当時50歳であったことからすると,転職は必ずしも容易ではなく,したがって,直ちに標準どおりの処遇を受けられるという保証もないので,この際は,平成6年賃金センサス第1巻第1表産業計・企業規模計・男子労働者・学歴計・50歳から54歳までの平均年収である721万4600円の2分の1である360万7300円を基礎収入とし,その3年5か月分である1232万4000円(千円未満切捨て)の限度でこれを認めるのが相当である。 イ a4は,i店の経営が思わしくないため,自分を追い込み,身体的にも衰弱する様になり,結局,c1に騙されたと同人を恨む遺書を残して,自殺したことが認められる(甲15,一審原告a2)。ただ,コンビニエンスストア経営に失敗すれば当然に自殺するという関係にはないから,i店の経営の失敗とa4の自殺との間に相当因果関係があるか否かはさらに検討を要するところ,上記証拠によれば,a4は,i店の経営が失敗したことにより,長年世話になった銀行への返済が滞り,保証人になってくれた旧知の人などに迷惑がかかることになるとして,心を痛め,自分の生命保険で返済したいとまで思い詰めていたこと,a4は,上記のとおりの遺書まで残していることからすれば,自殺の原因には,i店の経営の失敗がもたらした経済的破綻があったことは確実である。そうであれば,i店の経営の失敗ひいては被控訴人の保護義務違反とa4の自殺との間には,相当因果関係があると認めるのが相当である。しかしながら,その自殺にはa4の心因的要素が相応の寄与をしていることから,その因果関係のある損害の範囲は,その損害 の保護義務違反とa4の自殺との間には,相当因果関係があると認めるのが相当である。しかしながら,その自殺にはa4の心因的要素が相応の寄与をしていることから,その因果関係のある損害の範囲は,その損害の3割とするのが相当である。 ところで,a4の稼働可能な期間は満67歳までと考えられるので,死亡当時の53歳から67歳までの14年間であり,その間の得べかりし利益の算定に当たっては,上記アの期間が経過し,相応の就職をするに必要な知識,経験も収得したであろうことが期待されるから,平成10年賃金センサス第1巻第1表産業計・企業規模計・男子労働者・学歴計・50歳から54歳までの平均年収である733万7400円を用い,生活費40パーセントを控除した上,14年間の中間利息控除のためのライプニッツ係数9.8986を乗じて,その逸失利益を算出すると4357万7000円(千円未満切捨て)となる。これに,a4の死亡による慰謝料2000万円を加えると,a4の損害は6357万7000円となるから,被控訴人の保護義務違反と因果関係がある損害は,その3割である1907万3100円となる。 (4) 以上を合計すると4438万7230円となり,a1はa4の被控訴人に対する損害賠償請求権の4分の1に相当する1109万6807円(円未満切捨て)を相続したことになる。 5 争点5(bの損害の発生及びその額)について(1) bは,被控訴人から正しい情報が提供されていれば,被控訴人のフランチャイジーとなってn店を開店することはなかったと考えられるので,そのために費やした準備資金のうち,ポプラ・フランチャイズチェーン加盟金105万円,開店準備費用20万円,保健所申請費用5万3000円,備品・消耗品購入費用105万円,開店広告宣伝費用42万円(上記につき,いずれ た準備資金のうち,ポプラ・フランチャイズチェーン加盟金105万円,開店準備費用20万円,保健所申請費用5万3000円,備品・消耗品購入費用105万円,開店広告宣伝費用42万円(上記につき,いずれも甲A1)の合計277万3000円については,そのまま同額が損害となる。bは,以上のほかにも,店舗保証金390万円(乙A6),期首商品代金の600万円も請求するが,前者は,後記争点7で判断するとおり,bには本件合意に基づく送金義務があり,その義務は免除されていないことから生じるbの被控訴人に対する支払債務と,被控訴人の反訴提起の際,既に相殺されて消滅していることから,後者は商品の仕入れ代金であって,同額の商品が提供されていることから,いずれも損害とはならない。また,電話加入権購入費用も,現実に電話加入権を取得しているので,損害と評価すべきではない。 (2) n店経営時における赤字は,前記3(1)カのとおり合計2279万4183円であるから,同額が損害となる。 (3) bは,n店開店に際し,リース会社との間で,n店において使用する防犯カメラ及びコピー機を5年間リースする契約を締結したところ,平成13年5月23日にこれを閉店した後も,同年6月以降22か月分のリース料として,防犯カメラ分83万8112円(甲A7の1,2),コピー機分36万2250円(甲A6の1,2)を支払う必要があり,合計120万0362円の損害を被った。 (4) bは,平成6年に会社勤めをやめ,以来,n店開店時までは,父とともに家業の酒屋やYショップの経営に従事してきたものである。そして,n店開店当時は40歳であり,年間約300万円の収入を得ていたが,そのような現状に満足できず,同店の開店に踏み切り,これを閉店するまでの約3年間,同店を経営してきたものである。したがっ る。そして,n店開店当時は40歳であり,年間約300万円の収入を得ていたが,そのような現状に満足できず,同店の開店に踏み切り,これを閉店するまでの約3年間,同店を経営してきたものである。したがって,その間,同控訴人はほかの職業に就くことができなかったが,Yショップの経営にも関わっている以上,いかに家族の協力があるとはいっても,同控訴人が他の職業に就くについては自ずから限界があるものというべきである。現に,同控訴人は,n店の開店時まで,Yショップの経営に従事するかたわら,他に勤務して賃金を得ていたというような実績はないのである。 そうであれば,仮に同控訴人が他に就業するとしても,勤労者として完全就労するということは考え難く,せいぜい副業的なものにとどまるものと考えられるのであり,その場合の逸失利益を算定する確かな基礎的資料も見出せないから,同控訴人の逸失利益を認めることはできない。 (5) なお,bは,慰謝料600万円を請求するが,本件において,財産的損害以外に慰謝料を認めなければならない事情はないから,理由がない。 (6) そうであれば,bの損害の総額は,2676万7545円となる。 6 争点3及び6(過失相殺)について(1) 前記認定事実によれば,被控訴人には上記2(4)のとおりの保護義務違反があるが,逆に,a4らも,自らが従来の酒屋を立ち退かなければならない事情があり,若干急いでいた面があるのか,被控訴人から事業計画書や店舗立地評価の説明を受けた際,その根拠を細かく確認することをせず,ある程度信用したまま,自分の資金調達のために,被控訴人に金融機関用の事業計画書を別途に作成してもらったりしており(甲2,証人c1),自らが自分の事業の成否について十分に検討するという態度に欠ける点があったことは否定できず,また, 達のために,被控訴人に金融機関用の事業計画書を別途に作成してもらったりしており(甲2,証人c1),自らが自分の事業の成否について十分に検討するという態度に欠ける点があったことは否定できず,また,被控訴人もi店の経営立直しのため一定の援助をしていることをも考慮すると,その損害をすべて被控訴人に負わせるのは相当ではなく,その損害の7割の限度にとどめることとするのが相当である。そうであれば,その損害賠償請求権の4分の1を相続したa1の損害額は776万7764円(円未満切り捨て)となる。また,弁護士費用としては80万円が相当であるから,a1の請求は856万7764円の範囲で理由がある。 (2) 前記認定事実によれば,被控訴人には上記3(2)のとおりの保護義務違反があるが,bにも,一定の責任(過失)があるものといわなければならない。すなわち,同控訴人は,自分の父が営む酒屋の将来を考えて,早くから多様な業態のフランチャイザーに説明を聞くなど,積極的に情報を集め,それなりに検討を加えていたものであり,c2から積極的に出店の勧誘を受けた際も,その事業計画書に細かく書入れをして検討したこと,ところが,被控訴人から店舗立地評価の説明は受けた際は,その根拠などについて細かく説明を求めた形跡はないこと,bのn店の欠損は短期間に相当額となっており,より早期に閉店を決断しても良かったとも考えられること,被控訴人もn店の開店に際し,銀行融資の保証人となったり,その経営立直しのため相当の援助をしていることなどの諸事情を総合的に考慮すると,bの受けた損害を被控訴人にすべて負担させるのは相当でなく,全体の損害のうちの7割を限度とするのが相当である。そうであれば,bの損害は1873万7281円(円未満切捨て)となり,弁護士費用としては180万円が相当であるから, べて負担させるのは相当でなく,全体の損害のうちの7割を限度とするのが相当である。そうであれば,bの損害は1873万7281円(円未満切捨て)となり,弁護士費用としては180万円が相当であるから,bの請求は2053万7281円の限度で理由がある。 7 争点7(bの未払金について被控訴人の免除の意思表示の有無)について(1) 本件合意によれば,同控訴人が被控訴人に送金すべきこととなるのに送金していない金額が812万7271円にのぼるところ,そのうち平成12年12月までの分156万6143円の支払義務があることは同控訴人も認めるところである。したがって,問題は,平成13年1月以降の未送付金656万1128円の支払義務があるか否かである(ただし,被控訴人は,ここから店舗保証金390万円と被控訴人が同控訴人に返還すべき107万9317円を相殺した314万7954円について請求をしている。)。 ところで,同控訴人は,平成12年12月に本件第2契約解約の意思表示をしたから,平成13年1月以降の分は支払義務がない旨主張するが,平成13年1月に「コンビニ経営をやめたいと正式に申し出たのです」(甲A5)というだけで,明確に解約の意思表示をしたといえるか疑問もある上,同控訴人と被控訴人との間の本件第2契約では,双方からの解約の申し入れは,契約締結当時予見できなかった事由が生じ,双方の責めに帰することができない理由で契約の遂行ができない場合に,相手方に対して,6か月前に書面で通知することと定められており(乙A6,第20条),同控訴人の解約の意思表示がこの要件を満たすものであったという立証はないし,その後も,取引を継続している以上(乙29の34ないし38),平成12年12月に本件第2契約が解約されたとは認めることはできない。結局,同契約は, がこの要件を満たすものであったという立証はないし,その後も,取引を継続している以上(乙29の34ないし38),平成12年12月に本件第2契約が解約されたとは認めることはできない。結局,同契約は,被控訴人が主張するように,同控訴人と被控訴人とが契約解消について平成13年5月10日に話し合った上,同控訴人が同年5月21日にファックスで解約を通知したことで,同月23日に合意解約されるに至ったものと認めるべきである(甲A5,弁論の全趣旨)。 (2) また,bの主張する被控訴人の免除の意思表示については,同控訴人が,平成13年1月から,本件第2契約に基づく本件預託金の一部をアルバイト給与に充てたことは認められるが,それを事前又は事後に,被控訴人の担当者が黙認したことがあるにせよ,被控訴人が,その分の預託金の支払いを免除したとか,更には,本件預託金全額の支払いを免除したと認めるに足りる証拠はない。むしろ,被控訴人は,上記第3の4(3)のとおり,同控訴人に経済的援助をしているが,その際はきちんと文書を残していることからしても,同控訴人の主張は到底採用の限りではない。 (3) しかしながら,上記争いのない平成12年12月までの分156万6143円については,bのn店経営時の赤字の判断の際に,既にそれを仮受金として計上した上(甲A4の4),その損害を算出しているので,これを別途返還させるのは,同控訴人に二重払いをさせるに等しい。また,平成13年1月以降の未送付金656万1128円については,被控訴人が自認して既に控除している中途返還金107万9317円があるほか,上記確定申告書上,どの費目(例えば預り金としては193万6317円が計上されている。)にそれが含まれるかは判然としないが,同金員も当然会計処理がなされていることは公正な帳簿諸表から 円があるほか,上記確定申告書上,どの費目(例えば預り金としては193万6317円が計上されている。)にそれが含まれるかは判然としないが,同金員も当然会計処理がなされていることは公正な帳簿諸表から作成される確定申告書の性質上当然であって,これもまた処理済みであり,同控訴人に請求できる筋合いではないものというべきである。 そうであれば,被控訴人の反訴請求は,争いがない前記第3の4(4)の求償金債権593万8186円,同(5)の貸金残額219万0548円,以上合計812万8734円の限度で理由があるにとどまることになる。 8 以上のとおりであって,a1の請求は856万7764円,bの請求は2053万7281円及びこれらに対する各附帯請求の限度で理由があるから,これを全部棄却した原判決は失当である。また,被控訴人のbに対する請求(第2事件反訴請求)は812万8734円及びこれに対する附帯請求の限度で理由があり,その余は理由がない。これと異なる原判決はその限りで変更を免れない。 よって,主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所第3民事部裁判長裁判官西理裁判官有吉一郎裁判官吉岡茂之

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る