平成12(受)1000 不当利得返還等,不当利得返還請求事件

裁判年月日・裁判所
平成15年9月11日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 福岡高等裁判所 平成11(ネ)120
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判決文本文4,078 文字)

主文 原判決を破棄する。 本件を福岡高等裁判所に差し戻す。 理由 第1 事案の概要 1 原審が確定した事実関係等は,次のとおりである。 (1) D工業社の名称で塗装業を営む上告人A1(以下「上告人A1」という。)は,平成元年11月2日,Eローンの名称により保証付手形貸付け等を業とする被上告人との間で,次の内容の継続的手形貸付契約(以下「本件貸付契約」という。)を締結した。 ア元本極度額 1000万円イ返済方法手形面記載の満期日に,同記載の支払場所において,手形金額(元金)を手形決済の方法により一括返済する。 ウ特約上告人A1振出しの手形が不渡りになったときは,上告人A1は被上告人に対する一切の債務について当然に期限の利益を喪失する。 (2) 上告人A2(以下「上告人A2」という。)は,平成6年10月21日,被上告人に対し,本件貸付契約に基づき上告人A1が被上告人に対して負担する債務について,(ア) 極度額を600万円,(イ) 保証対象を上告人A1が被上告人に対して前同日現在負担する債務及び保証期間内において負担する債務,(ウ) 保証期間を前同日から平成11年10月21日までとし,連帯保証した。 (3) 上告人A3(以下「上告人A3」という。)は,平成6年6月9日,被上告人に対し,本件貸付契約に基づき上告人A1が被上告人に対して負担する債務について,(ア) 極度額を400万円,(イ) 保証対象を上告人A1が被上告人に対して前同日現在負担する債務及び保証期間内において負担する債務,(ウ) 保証期- 1 -間を前同日から平成11年6月9日までとし,連帯保証した。 (4) 被上告人は,本件貸付契約に基づき,上告人A1に対し,平成元年11月2日から平成7年12月1 担する債務,(ウ) 保証期- 1 -間を前同日から平成11年6月9日までとし,連帯保証した。 (4) 被上告人は,本件貸付契約に基づき,上告人A1に対し,平成元年11月2日から平成7年12月13日までの間,手形貸付けの方法で,第1審判決別紙一の「貸付日」欄記載の日に「支払期日」欄記載の日を弁済期として「手形額面」欄記載の金額を,利息制限法(以下「法」という。)1条1項所定の制限利率を超える利率で反復継続して貸し付けた(以下,上記一連の取引を「本件取引」という。)。 ただし,上告人A1に交付された金員は,各貸付額から,①弁済期までの約定利息金,②被上告人が徴収する調査料及び取立料,③平成3年7月以降の貸付けについてはF信用保証株式会社(以下「F信用保証」という。)に対する保証料及び事務手数料(平成5年7月14日以降の貸付けについては,事務手数料として振替手数料618円が加算されている。以下,保証料及び事務手数料を合わせて「保証料等」という。)を控除した残額である。 (5) 被上告人の受ける調査料及び取立料は,法3条所定のみなし利息に当たる(以下,利息とみなし利息を合わせて「利息等」という。)。 (6) 本件貸付契約に基づき上告人A1が振り出した手形のうち,平成7年8月4日までの間の貸付けに係る手形は,いずれもその満期日に決済され,各貸付金はいずれも弁済されており,同月11日から同年12月13日までの間の貸付けに係る手形6通(①振出日平成7年8月11日,金額140万円,②振出日前同日,金額115万円,③振出日同年9月8日,金額100万円,④振出日同年10月12日,金額115万円,⑤振出日同年11月2日,金額190万円,⑥振出日同年12月13日,金額125万円)は,不渡り又は決済未了となっている。 (7) 上告人A3は,被上告人に対し 出日同年10月12日,金額115万円,⑤振出日同年11月2日,金額190万円,⑥振出日同年12月13日,金額125万円)は,不渡り又は決済未了となっている。 (7) 上告人A3は,被上告人に対し,上記(6)①ないし⑥の手形金債務の保証債務の履行として,平成8年2月20日,同月22日及び同月23日,各100万円(合計300万円)を支払った。 - 2 -(8) 被上告人は,上告人A2に対し,平成8年5月15日,上記(6)④の手形金債務の保証債務履行請求権を被保全債権として,上告人A2所有の動産につき,仮差押命令の申立てをし,同月22日,仮差押命令を得て,その後執行申立てをし,同執行がされ,これが現在まで継続している。 (9) F信用保証は,被上告人の貸付金取引の借主に対する保証を行うために,被上告人が100%出資して平成3年5月27日に設立した連結子会社である。F信用保証は,被上告人の貸付けに限って保証しており,被上告人の手形貸付けについては,F信用保証の保証を付けることが条件とされている。F信用保証の受ける保証料等の割合は銀行等の系列信用保証会社の受ける保証料等の割合に比べて非常に高く,F信用保証の設立後,被上告人は貸付利率の引下げ等を行ったが,F信用保証の受ける保証料等の割合と被上告人の受ける利息等の割合との合計はF信用保証を設立する以前に被上告人が受けていた利息等の割合とほぼ同程度であった。F信用保証は,被上告人の借主との間の保証委託契約の締結業務及び保証料徴収業務をすべて被上告人に委託しており,信用保証委託契約の締結に際しても独自の審査を行っていなかった。借主に債務不履行が発生したときも,被上告人が債権回収のための訴えの提起などを行っていた。F信用保証の取締役には被上告人の代表取締役及び取締役数名が就任しており,その本店は被 査を行っていなかった。借主に債務不履行が発生したときも,被上告人が債権回収のための訴えの提起などを行っていた。F信用保証の取締役には被上告人の代表取締役及び取締役数名が就任しており,その本店は被上告人の旧支店の建物内に置かれ,従業員の多くも被上告人の元従業員であった。 2 本件は,被上告人に対し,(1) 上告人A1が,上記の保証料等も法3条所定のみなし利息に当たり,これも含めて本件取引につき支払った利息等のうち法所定の制限を超える部分を元本に充当すると,過払金が生じているなどとして,不当利得返還請求権に基づき過払金の返還,(2) 上告人A3が,被上告人に対して支払った合計300万円が被上告人の不当利得であるとして,不当利得返還請求権に基づきその返還,(3) 上告人A2が,上記過払金の充当の結果上記1(6)④の手形- 3 -金債務が既に消滅しており,被上告人の上告人A2に対する仮差押命令の取得及びその執行は不法行為を構成するとして,不法行為による損害賠償請求権に基づき慰謝料の支払をそれぞれ求める事案である。 第2 上告代理人松田安正外238名の上告受理申立て理由第三(上告受理申立理由第一点)について 1 原審の判断は,次のとおりである。 F信用保証と被上告人との関係を考慮しても,F信用保証の法人格が形がい的又は濫用的なものであるとはすぐにはいえないし,F信用保証の受ける保証料等は,被上告人の受ける利息等とは別個のものであり,これを法3条所定のみなし利息とみることはできないというほかない。 2 しかしながら,原審の上記判断は是認することができず,【要旨1】本件の事実関係の下においては,F信用保証の受ける保証料等は,本件取引に関し被上告人の受ける法3条所定のみなし利息に当たるというべきである(最高裁平成13年(受)第1032号,第 できず,【要旨1】本件の事実関係の下においては,F信用保証の受ける保証料等は,本件取引に関し被上告人の受ける法3条所定のみなし利息に当たるというべきである(最高裁平成13年(受)第1032号,第1033号同15年7月18日第二小法廷判決・裁判所時報1343号6頁〔編注:民集57巻7号895頁〕参照)。 これと異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,原判決は破棄を免れない。論旨は理由がある。 第3 上告代理人松田安正外238名の上告受理申立て理由第四(上告受理申立理由第二点)の四2について 1 原審の判断は,次のとおりである。 本件取引における各貸付けに対する弁済によって生じた各過払金は,各貸付けごとに生じているものと認められ,他の借入金債務には充当されない。 2 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。 - 4 -【要旨2】同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付けが繰り返される金銭消費貸借取引において,借主がそのうちの一つの借入金債務につき法所定の制限を超える利息を任意に支払い,この制限超過部分を残元本に充当してもなお過払金が存する場合,この過払金は,当事者間に充当に関する特約が存在するなど特段の事情のない限り,民法489条及び491条の規定に従って,弁済当時存在する他の借入金債務の利息及び元本に充当され,当該他の借入金債務の利率が法所定の制限を超える場合には,貸主は充当されるべき元本に対する約定の期限までの利息を取得することができないと解するのが相当である(前掲最高裁平成15年7月18日第二小法廷判決参照)。 これと異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,原判決は破棄を免れない。論旨は理由がある。 第 が相当である(前掲最高裁平成15年7月18日第二小法廷判決参照)。 これと異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,原判決は破棄を免れない。論旨は理由がある。 第4 結論以上のとおりであるから,原判決を破棄し,更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官泉徳治裁判官深澤武久裁判官横尾和子裁判官甲斐中辰夫裁判官島田仁郎)- 5 -

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