- 1 -令和3年12月23日判決言渡令和2年(行ウ)第135号建築確認処分取消請求事件(第1事件)令和3年(行ウ)第24号建築確認処分取消請求事件(第2事件) 主文 1 本件各訴えのうち,令和元年8月20日付け建築基準法6条の2第1項に基づく確認(第NK〇-〇号)の取消しを求める部分をいずれも却下する。 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 令和2年(行ウ)第135号事件(第1事件)被告が,令和元年8月20日付けでA株式会社(以下「本件会社」という。)に対してした建築基準法6条の2第1項に基づく確認(以下,同法6条1項に 基づく確認と併せて「建築確認」という。)(第NK〇-〇号。以下「本件確認処分」という。)を取り消す。 2 令和3年(行ウ)第24号事件(第2事件)被告が,令和2年12月22日付けで本件会社に対してした建築確認(第NK〇-〇〇号。以下「本件変更確認処分」という。)を取り消す。 第2 事案の概要被告は,建築基準法77条の18から77条の21までの規定の定めるところにより同法6条の2第1項所定の指定を受けた者(以下「指定確認検査機関」という。)である。被告は,①令和元年8月20日付けで,本件会社を建築主とする別紙1建築物目録記載の建築物(南海電鉄B駅近隣の高さ約43mの14階建 て分譲マンション。以下「本件建築物」という。)の建築計画(以下,この建築 - 2 -計画を,後記の計画の変更の前後を問わず「本件建築計画」という 南海電鉄B駅近隣の高さ約43mの14階建 て分譲マンション。以下「本件建築物」という。)の建築計画(以下,この建築 - 2 -計画を,後記の計画の変更の前後を問わず「本件建築計画」という。)について,本件確認処分をした。また,被告は,②令和2年12月22日付けで,本件建築計画の一部が変更されたことに伴って変更された本件建築計画について,本件変更確認処分(以下,本件確認処分と本件変更確認処分を併せて「本件各処分」という。)をした。 本件は,本件建築物の建築場所の近隣に居住する原告らが,本件建築計画が建築基準法又は建築基準法施行令に違反していたにもかかわらずこれらに適合するものとしてされた本件各処分は違法であるなどと主張して,被告を相手に,本件各処分の取消しを求める事案である。 1 関係法令等の定め 本件の関係法令等は,別紙2(関係法令等の定め)記載のとおりである(なお,同別紙において用いた略称は,本文においても同様に用いる。)。 2 前提事実以下の事実は,当事者間に争いがないか,掲記の各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる。 ⑴ 当事者等ア原告ら原告らは,いずれも肩書記載の住所地に居住する者である。原告Cは,本件建築物の敷地(以下「本件敷地」という。)の北東側に,原告Dは,本件敷地の北東側に,原告Eは,本件敷地の北東側に,原告Fは,本件敷 地の東方向に,それぞれ居住する(なお,原告C,原告D,原告Eが本件各処分の取消請求の原告適格を有することについて,当事者間に争いがない。)。 原告Fは,エンジニアとして機械設計を業としている(甲70)。 イ被告 被告は,建築基準法に基づき,国土交通大臣か ることについて,当事者間に争いがない。)。 原告Fは,エンジニアとして機械設計を業としている(甲70)。 イ被告 被告は,建築基準法に基づき,国土交通大臣から指定を受けた指定確認 - 3 -検査機関である。 ウ本件会社本件会社は,本件建築物の建築主である。 ⑵ 本件建築物とその敷地本件建築計画における本件建築物(高さ約43mの14階建て分譲マンシ ョン)は,別紙1建築物目録記載のとおりである。なお,本件建築物は,現在,建築中である。(甲1,12の1,13,46)本件敷地は,別紙1建築物目録記載1のとおりである。本件敷地は,南海電鉄B駅の北約100mにあり,近隣商業地域に所在し,建築基準法52条1項,2項の規定による建築物の容積率(建築物の延べ面積の敷地面積に対 する割合)は300%である。本件敷地の周辺には,原告ら宅を含め,多くの木造家屋が存在する。(甲1,12の3,20,46)なお,α市内には,平成10年頃から平成25年頃にかけて,地上13~15階建てのマンションが少なくとも10棟新築された(乙19)。 ⑶ 本件会社による構造計算書の作成依頼等 ア設計業務等の依頼本件会社は,株式会社Hに対し,本件建築物の設計を依頼した。株式会社Hは,株式会社Iに対し,本件建築物の構造図,構造計算書の作成を依頼した。 イ本件地質調査報告書 本件会社は,地質調査業者である株式会社Jに対し,本件敷地の地質調査を依頼した。株式会社Jは,平成30年12月25日~平成31年1月29日の間に本件敷地においてボーリング調査(3か所)を実施するなどして,①ボーリング柱状図3通(本件敷地の北西 ,本件敷地の地質調査を依頼した。株式会社Jは,平成30年12月25日~平成31年1月29日の間に本件敷地においてボーリング調査(3か所)を実施するなどして,①ボーリング柱状図3通(本件敷地の北西部にある№1地点のボーリング柱状図1〔ボーリング調査に係る総掘進長75.5m〕,本件敷地 の中央部にある№2地点のボーリング柱状図2〔同総掘進長64.9m〕, - 4 -本件敷地の南東部にある№3地点のボーリング柱状図3〔同総掘進長65. 5m〕),②本件敷地の推定断面図,③圧密試験結果報告書(圧密試験とは,粘性土の圧密〔荷重の作用により土が長い時間をかけて排水しながら体積を減少させる現象〕による沈下量,沈下速度,透水性等を測定する試験をいう。また,圧密沈下とは,圧密による沈下をいう。)等を作成し, 同年3月,これらをまとめた報告書(以下「本件地質調査報告書」という。)を作成した。(乙3の1~4,11,12,17,弁論の全趣旨)上記①のボーリング柱状図,上記②の推定断面図において,本件敷地の地質は,次のとおりであるとされている。なお,本件敷地は,大阪南部湾岸地域に位置し,本件敷地付近の地層は,地表面から順に,盛土層,上部 の洪積層(D:diluvium),大阪層群(大阪府域の地盤を形成する古い堆積層で洪積層の一種)から成る。また,一般に,N値(基礎ぐいの先端付近の地盤の標準貫入試験による打撃回数の平均値。以下同じ。)については,試験の生データであり,例えば,礫を多く含む地盤では「礫打ち」によりN値が過大評価されることもあるので,数値を適切に評価・判断して, 算定結果が安全側になるように用いる必要があるとされている。(甲11,24,57,乙11,17) 砂質土層(深さ10m程度,14m程度,2 あるので,数値を適切に評価・判断して, 算定結果が安全側になるように用いる必要があるとされている。(甲11,24,57,乙11,17) 砂質土層(深さ10m程度,14m程度,20m程度,29m程度)深さ10m程度,14m程度,20m程度,29m程度の位置にそれぞれ砂質土(sand)の層又は砂質土を含む層(それぞれN値30程度, 10~50程度,30~130程度,30~80程度)が存在する。 「礫混り砂」等の層(深さ43~45m程度)深さ43~45m程度の位置に2m前後の「礫混り砂」等の層(N値40~100程度)が存在する。 Dc4層(深さ45~57m程度) 深さ45~57mの位置に粘性土(clay)の層(N値10~20程度。 - 5 -以下「Dc4層」という。)が存在する。 本件中間支持層(深さ60m程度)深さ60m程度の位置に5m前後(おおむねGL-57~62mである。)の砂質土・粘性土互層の層(Dsc層でN値30~260程度。 以下「本件中間支持層」という。)が存在する。 Dc5層(本件下部粘性土層)(深さ63m程度から下方)深さ63m程度から下方の位置に粘性土の層(N値10~20程度。 以下「Dc5層(本件下部粘性土層)」という。)が存在する。 ウ本件基礎ぐい検討書くい基礎施工業者であるK株式会社は,令和元年6月5日,本件地質調 査報告書に基づき,「基礎杭の検討書」(以下「本件基礎ぐい検討書」という。)を作成した(乙14・4-13~108)。 本件基礎ぐい検討書においては,場所打ちぐい工法(あらかじめ地盤中に削孔された孔内に,鉄筋か 礎杭の検討書」(以下「本件基礎ぐい検討書」という。)を作成した(乙14・4-13~108)。 本件基礎ぐい検討書においては,場所打ちぐい工法(あらかじめ地盤中に削孔された孔内に,鉄筋かごを挿入した後,コンクリートを打設することによって,現場において造成されるくいを構造する工法)により,くい 長57.9m(くい先端深度は設計GL-60m)のくいを設置することとされていた(乙12,14,弁論の全趣旨)。 エ本件構造計算書株式会社Iの構造設計一級建築士は,令和元年7月,本件地質調査報告書及び本件基礎ぐい検討書等を踏まえ,これらを含む本件建築物に係る構 造計算書(以下「本件構造計算書」という。)を作成した。 本件構造計算書の目次は,次のとおりである。(以上につき,乙14,17,18)§1 建築物の概要§2 設計用荷重 §3 電算機インプット用データー - 6 -§4 基礎の設計(乙14。その大部分は本件基礎ぐい検討書)§5 二次部材の設計§6 耐震壁の設計§7 その他の設計SuperBuildSS3-RC 別添資料⑴ SuperBuild/SS3 チェックリスト別添資料⑵ ガラスの耐風圧性能の検討別添資料⑶ 地盤調査報告書(本件地質調査報告書〔乙17〕)⑷ 本件構造計算適合判定通知書一般財団法人日本建築総合試験所は,建築基準法18条の2第1項の規定 に基づき大阪府知事から同法6条の3第1項及び18条4項の構造計算適合性判定に係る指定を受けた者である。一般財団法人日本建築総合試験所は,令和元年7月23日,本件会社に対し,次の内容による構造計算適合性判定申請書に記載の計画が,同法6条の3第1項 4項の構造計算適合性判定に係る指定を受けた者である。一般財団法人日本建築総合試験所は,令和元年7月23日,本件会社に対し,次の内容による構造計算適合性判定申請書に記載の計画が,同法6条の3第1項に規定する特定構造計算基準又は特定増改築構造計算基準に適合している旨を証明するとして,「建築基準 法第18条の2第4項の規定により読み替えて適用される同法第6条の3第4項の規定による適合判定通知書」(以下「本件構造計算適合判定通知書」という。)を交付した(GBRC判通第190215号)(乙6,弁論の全趣旨)。 ア申請年月日:令和元年7月22日 イ建築場所:大阪府(住所省略)の各一部並びに水路敷ウ建築物又はその部分の概要エ建築物の名称:(仮称)α市β町新築工事番号:1構造計算の方法:その他(大臣認定プログラムではない) - 7 -⑸ 本件確認申請,本件確認処分等ア開発許可処分G市長は,令和元年7月26日付けで,本件会社に対し,開発区域に含まれる地域の名称及び面積を「α市(住所省略)並びに水路敷」,「面積3279.70㎡」とする開発許可処分(許可番号第1-961号)をし た(乙5)。 イ本件確認申請本件会社は,令和元年8月7日,被告に対し,主要用途を「共同住宅(自動車車庫,自転車駐車場付)」として,本件建築計画について,建築確認申請(以下「本件確認申請」という。)をした。本件会社は,被告に対し, 本件確認申請の添付資料として,本件構造計算書,本件構造計算適合判定通知書等を提出した。(甲1,67の2,乙15の1~8,18,弁論の全趣旨)本件建築計画においては,本件建築物に複数の 本件確認申請の添付資料として,本件構造計算書,本件構造計算適合判定通知書等を提出した。(甲1,67の2,乙15の1~8,18,弁論の全趣旨)本件建築計画においては,本件建築物に複数の自動車車庫を設けることが予定されていた。これらの自動車車庫のうち,本件建築物の北西側に設 置が予定されているものは,パレットに自動車を乗せ,動力でこれを上下・左右させて立体的に駐車させる機械式駐車装置(以下「本件立体駐車場」という。)であって,その規模は,地上4段・地下1段,4連,前後2列(前部17台・後部17台)の合計34台を収容するもの(合計2機)であった。(甲1,3,4,10の1・2,50,53~55,乙1,7, 16)ウ本件確認処分被告は,令和元年8月20日付けで,本件会社に対し,本件確認処分をした。なお,被告は,本件確認処分をするに当たり,本件立体駐車場の高さが8mを超えないと判断した。(乙1,弁論の全趣旨) - 8 -⑹ 本件変更確認申請,本件変更確認処分ア本件変更確認申請本件会社は,令和2年12月17日,被告に対し,本件建築計画について本件建築物に係る計画の一部を変更する旨の建築確認申請(以下「本件変更確認申請」という。)をした。本件会社は,本件変更確認申請の添付 資料として,本件構造計算書及び本件構造計算適合判定通知書等を被告に提出した。なお,本件変更確認申請は,本件建築物に関し,1階駐輪場の一部及び1階給水ポンプ置場の増加に伴う床面積の増加によるもので,延べ面積に関し,自動車車庫等の部分の面積は738.28㎡となった。(甲46) イ本件変更確認処分被告は,令和2年12月22日付けで,本件会社に対し,本件変更確認 で,延べ面積に関し,自動車車庫等の部分の面積は738.28㎡となった。(甲46) イ本件変更確認処分被告は,令和2年12月22日付けで,本件会社に対し,本件変更確認処分をした。なお,被告は,本件変更確認処分をするに当たり,本件立体駐車場はその高さが8mを超えないと判断した。(甲46,弁論の全趣旨)⑺ 本件訴えの提起等 ア第1事件の訴え提起等原告らは,令和元年10月17日,G市建築審査会に対し,被告が本件会社に対してした本件確認処分を取り消す旨の裁決を求める旨の審査請求の申立てをした(甲6,42の1)。 G市建築審査会は,上記申立ての審査を行った結果,令和2年7月16 日,原告らの審査請求を棄却する旨の裁決をした(甲6,42の2~6,43の1~5,44,67の2・3,乙15の1~8)。 原告らは,令和2年10月8日,本件確認処分の取消しを求めて,第1事件を提起した。 イ第2事件の訴え提起 原告らは,令和3年3月17日,本件変更確認処分の取消しを求めて, - 9 -第2事件を提起した。 3 争点(本案前の争点)⑴ 原告Fの原告適格の有無(争点1)(本案の争点) ⑵ 本件各処分の適法性本件における本案の争点は,本件各処分の適法性であり,具体的には次のとおりである。 ア本件立体駐車場は建築確認が必要な建築物に非該当であるか否か(争点2) イ本件建築物の基礎地盤の安全性が法令に適合するか否か(争点3)ウ本件建築物の容積率が法令に適合するか否か(争点4)エ本件各処分は開発許可を経た上でされたものであるか否か(争点5) の基礎地盤の安全性が法令に適合するか否か(争点3)ウ本件建築物の容積率が法令に適合するか否か(争点4)エ本件各処分は開発許可を経た上でされたものであるか否か(争点5) 4 争点に関する当事者の主張⑴ 争点1(原告Fの原告適格の有無)について (原告らの主張)原告Fの自宅は,本件建築物から73.5m離れた位置に所在する。本件建築物の高さは42.93mであるから,原告Fは,本件建築物によって日常的に日照・通風阻害を直接受け,また,本件建築物が倒壊・炎上した場合には,生命・身体・財産に対して直接的な危険が生ずる蓋然性がある。 したがって,原告Fは,本件各処分の取消しを求めるにつき,原告適格を有する。 (被告の主張)原告Fの自宅は,本件建築物から相当離れた位置に存在する。したがって,原告Fは,本件各処分の取消しを求めるにつき,原告適格を有しない。 ⑵ 争点2(本件立体駐車場は確認が必要な建築物に非該当であるか否か)に - 10 -ついて(被告の主張)ア指定確認検査機関の審査の内容指定確認検査機関は,建築確認申請・変更確認申請を審査するに当たり,建築基準関係規定に基づき建築確認申請に添付された図書及び建築基準関 係規定によって定められた事項を対象として,当該建築計画を建築基準関係規定に当てはめて,その要件充足の有無を審査,判断するものである。 そして,その資料として提出される建築士作成の設計図書等については,建築士の技術的能力,職業倫理,責任感等に対する信頼を前提として審査すれば足り,申請書類等に現れていない点につき積極的に調査することを 要しない。 イ本件立体駐車場について 築士の技術的能力,職業倫理,責任感等に対する信頼を前提として審査すれば足り,申請書類等に現れていない点につき積極的に調査することを 要しない。 イ本件立体駐車場について本件において,被告は,本件会社が本件確認申請・本件変更確認申請において提出した「機械式駐車装置詳細図」に基づき,本件立体駐車場の高さ,すなわち,その接地面から最高部分であるモーター駆動部天端までの 高さが7.99mであることを確認し,その高さが8mを超えていないものと判断し,本件立体駐車場は建築確認を必要とする建築物に当たらないとして本件各処分をしたのであって,本件各処分は適法である。 ウ小括したがって,本件立体駐車場は建築確認を必要とする建築物に該当しな いから,これを前提として,本件立体駐車場の床面積を考慮することなく,本件建築物の容積率の制限(300%)に反しないとしてされた本件各処分は,いずれも適法である。 (原告らの主張)ア本件立体駐車場について 被告は,本件確認申請・本件変更確認申請を審査するに当たり,本件 - 11 -立体駐車場がその図面どおりに,最上段のパレットにモーターを横向きで設置することができるか否か,最上段のパレットのフレーム(はり)に落下防止装置を取り付ける構造となっているか否かを検討し,これらの設置・取付けが適正にされた状態で,本件立体駐車場の高さが8mを超えないことを確認する必要がある。また,被告は,その審査の際には, 本件立体駐車場の図面が公的機関による安全性の「認証」を受けたメーカー仕様のものと同一であるか否かについても確認する必要がある。 本件立体駐車場は,認定外仕様(国土交通省の認定,公的機関による認証を受け 面が公的機関による安全性の「認証」を受けたメーカー仕様のものと同一であるか否かについても確認する必要がある。 本件立体駐車場は,認定外仕様(国土交通省の認定,公的機関による認証を受けていない仕様)であって,落下防止装置の取付けもできない危険な装置である可能性が高いものであるところ(甲49,51),被 告は,このような点について検討及び調査をしないで本件各処分をしたのであるから,本件各処分はいずれも違法である。 本件立体駐車場は,最上段のパレットに設置される転落防止用の壁(車止め)又はモーターを考慮すると,その高さが合計8mを超えるから,建築確認を要する建築物に当たる。 仮に,本件立体駐車場の最上段のパレットに設置されるモーターを通常と異なる横置きの方法とすることでその高さが8mを超えないものとすることができるとしても,認定外仕様である本件立体駐車場について,モーターの設置方法を含めた安全性の確認・確保がされていない以上,本件立体駐車場の床面積を考慮した上で本件建築物の床面積・容積率を 検討すべきである。そうすると,本件立体駐車場の床面積(パレット面の合計である1020㎡〔15㎡×68台〕)が本件建築物の容積率の算定において合算され(〔7682.39㎡+1020㎡〕÷2561. 12㎡=339.78%),本件建築物の容積率が300%を超えるから,本件建築物は容積率の制限に違反することとなる。 イ小括 - 12 -したがって,被告は,本件各処分をするに当たり,本件立体駐車場が建築確認を必要としたにもかかわらずこれを看過し,また,本件立体駐車場の床面積を合算して本件建築物の容積率を検討すると本件建築物が容積率違反の状態となる点を看過したのであるから り,本件立体駐車場が建築確認を必要としたにもかかわらずこれを看過し,また,本件立体駐車場の床面積を合算して本件建築物の容積率を検討すると本件建築物が容積率違反の状態となる点を看過したのであるから,本件各処分は,いずれも違法である。 ⑶ 争点3(本件建築物の基礎地盤の安全性が法令に適合するか否か)について(被告の主張)次のア~エの事情に照らせば,本件建築物の基礎地盤の安全性が法令に適合しているといえ,本件各処分は適法である。すなわち,被告は,本件会社 から提出された資料により,本件敷地の地盤調査の結果を踏まえ,地下水位等を考慮し,法令に基づき,地震時に上部構造に作用する層せん断力を計算し,当該力が作用するときの地盤アンカーに生ずる力がそれぞれ地盤の極限支持力(地盤が支え得る最大荷重),基礎ぐい及び地盤アンカーの耐力並びに圧縮方向及び引き抜き方向の極限支持力を超えないことを確認した。そし て,本件建築物には,本件構造計算適合判定通知書があった。被告が本件各処分をするに当たり,資料の不足や検討の不足はなかった。 ア十分なボーリング調査がされていたこと本件建築物の建築面積は902.42㎡であるのに対し,3本のボーリング調査が実施されていたから,十分な本数のボーリング調査が実施され ていた。そして,本件敷地について,ボーリング調査の本数を増やさなければならないほどに地層が変化していると想定すべき事情もなかった。 イ地盤応力度及び地盤支持力が十分であること 地盤応力度が十分であることa 荷重が圧密降伏応力を超えないこと Dc5層(本件下部粘性土層)の支持力は,支持層と位置付けた深 - 13 -さ61.30㎡までの 盤応力度が十分であることa 荷重が圧密降伏応力を超えないこと Dc5層(本件下部粘性土層)の支持力は,支持層と位置付けた深 - 13 -さ61.30㎡までの土層(本件中間支持層)の下層が鉛直荷重(応力)に耐え得るかという観点から検討される。具体的には,支持層(本件中間支持層)の下層の圧密降伏応力(現在受けている圧密応力で圧密が終了している状態である正規圧密と,地盤中の土が現在受けている有効応力〔土被り圧〕以上の応力を過去に受けた状態である過圧密 領域との境界を示す応力)を確認し,元々上方にある土層による荷重(有効上載圧)と新たに加わるくいによる荷重が圧密降伏応力を超えていないかを確認することとなる。 ボーリング調査の際に採取された土を用いて行われた圧密試験の結果,Dc5層(本件下部粘性土層)に位置する深さ64.00~64. 90mの試料の圧密降伏応力につき895kN/㎡と算出される一方,Dc5層(本件下部粘性土層)の有効上載圧(上方にある土層による荷重)は510kN/㎡と算出され,両者の差(圧密降伏応力-有効上載圧)は385kN/㎡となる。そして,設計支持力を基にくいの摩擦部分と先端部分の応力をそれぞれ求め,P1~P4のいずれのくいに ついても,その合計が圧密降伏応力と有効上載圧の差(385kN/㎡)より小さいことを確認し,土層による荷重(有効上載圧)と新たに加わるくいによる荷重が圧密降伏応力を超えるものではないことを確認した。 b 圧密沈下 Dc5層(本件下部粘性土層)は,圧密降伏応力が895kN/㎡であるのに対し,有効上載圧は510kN/㎡であって,過圧密比(圧密降伏応力/有効上載圧)は1.8であることから,過圧密状態であ Dc5層(本件下部粘性土層)は,圧密降伏応力が895kN/㎡であるのに対し,有効上載圧は510kN/㎡であって,過圧密比(圧密降伏応力/有効上載圧)は1.8であることから,過圧密状態である。 そして,有効上載圧に新たに加わるくいによる荷重を加えても圧密降伏応力を下回っているから,圧密沈下は生じないものと考えてよい。 地盤支持力が十分であること - 14 -地盤の支持力(地盤等が荷重を支える力)は,土層の調査から得られたデータを告示1113号で定められた計算式(告示式)に当てはめて算出する。一方,くい及び基礎による応力は,本件建築物の計画の内容から得られたデータを用いて算出する。 各くいの応力(ただし,基礎自重を含まないもの)に関するデータは, 別紙4(鉛直荷重軸力表)記載のとおりである。 他方,告示1113号に基づき,各くいの長期許容鉛直支持力(なお,長期許容鉛直支持力を2倍にしたものが短期許容鉛直支持力となる。)を求める計算式は,「Ra=1/3・(150・N―・Ap+10/3・Ns――・Ls・φ+1/2・qu――・Lc・φ)-Wp」(ただし,Wp はくいの自重である。 なお,当該計算式は,上記のとおり,各くいの応力において基礎自重を控除していることとの均衡から,地盤の支持力を求める際にくいの自重を控除するもので,告示式とは実質的に同じ内容である。)となり,当該計算式に本件基礎ぐい検討書に記載された地盤の支持力に関する数値(乙14・4-13~108)を当てはめて長期許容鉛直支持力を求め ることとなる(なお,上記計算式に当てはめるN値は,くい先端より上4D〔D:くい先端径。4D:くい先端径の4倍の厚さ〕下1D間の平均値を採用し,申請者 )を当てはめて長期許容鉛直支持力を求め ることとなる(なお,上記計算式に当てはめるN値は,くい先端より上4D〔D:くい先端径。4D:くい先端径の4倍の厚さ〕下1D間の平均値を採用し,申請者側に不利に補正して25とする。)。その計算結果は,別紙5(長期許容鉛直支持力表)のとおりであり(なお,P1aのくいについて,Ra〔地盤の許容支持力〕は1万3581.7kN と算出 した。),このような計算結果から各くいの支持力を算出した結果は,別紙6(支持力計算一覧表)のとおりとなる。 上記応力の数値(別紙4〔鉛直荷重軸力表〕参照)と上記設計支持力(長期許容鉛直支持力)を対比すると,いずれのくいについても,応力が設計支持力(長期許容鉛直支持力)を超えていないから,告示式が定 める基礎地盤の安全性は確保されているといえる。 - 15 -以上によれば,いずれのくいについても,応力が設計支持力を超えないから,告示式に照らし,本件建築物の基礎地盤の安全性は確保されているといえる。 ウ基礎・地盤説明書を審査したこと被告は,建築基準法施行規則1条の3の表2及び表3に定められた必要 事項の記載のある図面等の提出を受け,これらの審査をし,本件各処分をした。これらの申請や申請の際に提出された書面等は建築基準法等に従ったものであって,同施行規則及び指針告示に定める「基礎・地盤説明書」を含めて,不足はなかった。 エ原告らの主張について 原告らは,ボーリング調査の本数が少ない旨主張する。 しかし,建築面積が1万㎡の規模の建築物のボーリング調査の数量の目安が5~10本とされ,本件敷地の地層に格別の変化があるともいえない以上,902.42㎡の建築面積に対して 旨主張する。 しかし,建築面積が1万㎡の規模の建築物のボーリング調査の数量の目安が5~10本とされ,本件敷地の地層に格別の変化があるともいえない以上,902.42㎡の建築面積に対して3本のボーリング調査を実施した本件建築物について,ボーリング調査の数が不足しているとは いえない。 原告らは,①有効層厚比(H/D。H:くい先端以深の支持層厚,D:くい先端径。以下同じ。)が3未満である場合には,パンチング破壊の危険性を回避するためにその適用を避けるべきところ,本件建築物についてもこれを満たしていない以上,告示式を適用することはできない, ②被告が支持層であるとする層(本件中間支持層)は,礫・砂質土層の層厚が薄く,これを支持層として位置付けることはできない旨主張する。 しかし,上記①については,告示1113号には,告示式を適用するに当たり,有効層厚比が3より大きいことを要求する定めはない。また,上記②については,支持層は,これが砂質土のときはN値を50以上と し,これが粘性土のときはN値を20~30とすることが多いなどと指 - 16 -摘されることはあっても(日本建築学会『建築基礎設計のための地盤調査計画指針』),砂質土でなければ支持層とできない(あるいは粘性土であれば支持層とできない)などとされることはない。本件敷地についても,支持層と位置付けた深さ60m付近(本件中間支持層)には,高いN値の土層が少なくとも5.5m連続している。 原告らは,建築確認申請書には,「基礎・地盤説明書」と題する文書又は「基礎・地盤説明書」の実質を有する文書が添付されなければならず,これらに不足がある旨主張する。 しかし,建築基準法施行規則1条の3の表2及び表3に定め 礎・地盤説明書」と題する文書又は「基礎・地盤説明書」の実質を有する文書が添付されなければならず,これらに不足がある旨主張する。 しかし,建築基準法施行規則1条の3の表2及び表3に定める「明示すべき事項」が建築確認申請書に添付した各々の図面等に明示されてい ることが必要であるものの,これらの文書に「基礎・地盤説明書」の表題を付す必要はない。また,被告は,本件各処分をするに当たり,必要な書類等の提出を受け,これらを審査した。 (原告らの主張)次のア~ウの事情に照らせば,本件各処分は,本件建築物について,地盤 (大阪湾周辺の地盤を前提に考察されるべきである。)の許容応力度,基礎ぐいの許容支持力が不足するから,建築基準法施行令93条に違反する。また,被告は,本件各処分に当たり,建築主である本件会社から必要な書類等の提出を受けるなどの十分な審査をしなかった。 アボーリング調査数が不足していること 本件各処分は,本件敷地に3本のボーリング調査がされたことを前提としてされたものであるが,本件敷地は地層が変化しているため,3本のボーリング調査では調査本数が不足している。 イ地盤応力度及び地盤支持力が不足していること支持層が薄層に当たる場合,支持層の下層の粘性土に与える影響を考慮 する必要があるため,告示式によりくいの先端支持力を評価することはで - 17 -きない。有効層厚比が2以下であれば,パンチング破壊(くい先端が薄い支持層を打ち抜いてしまう破壊)の危険性が高く,有効層厚比が3以下であれば,支持層は下層と共に変形するため,支持層と下層の2層構成であることを考慮した支持力の算定が必要であり,告示式を用いた算定方法を用いることはできない。すなわち 険性が高く,有効層厚比が3以下であれば,支持層は下層と共に変形するため,支持層と下層の2層構成であることを考慮した支持力の算定が必要であり,告示式を用いた算定方法を用いることはできない。すなわち,有効層厚比が3より大きい場合であれ ば下部粘性土の変化・影響が小さくなるから,告示式を適用するためには,有効層厚比が3より大きいことが必要となる。本件建築物についてみると,有効層厚比が3以下であるから,告示式を適用することはできない。 また,告示式は,くい先端より下方に,基礎ぐい先端の有効断面積を円形とした場合のその直径の5倍の深さまで同等の地盤が続いている場合で なければ適用することができないところ,本件敷地は,基礎ぐい先端の地盤と同等の地盤が続いていないから,告示式を適用することができない。 被告は,本件各処分をするに当たり,本件敷地には告示式を適用することができなかったにもかかわらず,これを適用した点で,誤りがある。このように,告示式が適用できない場合は,「地盤工学の知見等,適切な評価 方法を用いて低減した先端支持力」を適用しなければならない(甲48・573頁)。 下層の粘性土層に働く応力度qb は,一次元でのモデル化によれば,qb=qs×D÷(D+2Htanθ)となる。被告は,これを二次元でのモデル化によって検討するところ,このような二次元での検討をするのであれば,面 としての土質の均一性の検討が前提とされなければならない。しかし,被告は,このような検討をしていない。また,原告らの考え方(一次元でのモデル)が安全側の考え方である。 被告は,基礎ぐい先端の極限支持力をRp=150・N―・Ap として,告示式qp=150/3・N―を適用する旨主張するが,本件建築物の地盤は,く モデル)が安全側の考え方である。 被告は,基礎ぐい先端の極限支持力をRp=150・N―・Ap として,告示式qp=150/3・N―を適用する旨主張するが,本件建築物の地盤は,く い先端下部地盤のN値がN値算定区間と同等とみなすことができない(砂 - 18 -質土層を中間支持層とし,その直下でN値が小さい粘性土の地層を下部粘性土層とする薄層支持層・薄層支持ぐいが包含される。)場合であるから,基礎ぐい先端の極限支持力の算定式であるRp=qp・Ap に代入する薄層支持層の極限応力度qp は,qp<150/3・N―でなければならず,被告が主張する算定方法には誤りがある。 ウ基礎・地盤説明書の審査がないこと本件会社は,建築確認申請をするに当たり,建築基準法施行規則1条3第1項1号ロ⑵及び表3,指針告示が添付を求める「基礎・地盤説明書」を添付していなかった。被告は,「基礎・地盤説明書」の添付がなく,これによる地盤の安全性についての説明がされていないことを看過して本件 各処分をした。 なお,ここでいう「基礎・地盤説明書」とは,「構造計算において用いた支持層の位置,層の構成及び地盤調査の結果により設定した地盤の特性値が明記されており,それらが適切であることを審査する」ため,建築主の支持地盤と基礎ぐいに関する構造計算の考え方を理解するために必要と なる内容が記載された書面を指すのであって,そのような書面の表題が付されているか否かを問題とする趣旨ではない。 ⑷ 争点4(本件建築物の容積率が法令に適合するか否か)について(被告の主張)次のア,イの事情に照らせば,本件各処分において,本件建築物のベラン ダ及びベランダに設置される手洗い場につい 件建築物の容積率が法令に適合するか否か)について(被告の主張)次のア,イの事情に照らせば,本件各処分において,本件建築物のベラン ダ及びベランダに設置される手洗い場について,本件建築物の床面積に算入すべき部分を算入しなかったということはなく,本件建築物の容積率は,法令に適合する。 アベランダ一般に,建築物のベランダ等が建築物の隅に位置し,2面以上が外気に 開放されているものについては,外気に開放されている全ての面から幅2 - 19 -mを超える部分を床面積に算入することとなる。そして,2mの範囲は,手すりの延長線を想定し,その延長線を基準に幅2mの範囲を測定することとなる(別紙7の赤色斜線部分は床面積に算入されない。)。そして,原告らが問題視する別紙8の「容積未算入エリア」についても,床面積に算入すべき部分でない。 イ手洗い場一般に,建築物のベランダに設置される手洗い場は,ベランダの用途の一部である。大阪府下,例えば,豊中市においては,開放ベランダに設置する掃除用流し(大きさ600㎜×600㎜程度まで)部分を床面積に算入しないことができるとしているのであって,ベランダに設けられた手洗 い場も上記掃除用流し程度の大きさであれば床面積に算入すべきものとはいえない。したがって,本件建築物のベランダに設置される手洗い場を床面積に算入する必要はない。 (原告らの主張)次のア,イの事情に照らせば,本件各処分において,本件建築物の容積率 は,考慮すべき部分を考慮せず,不当に低い数値とされているのであって,上記考慮されていない部分の存在を考慮して床面積・容積率を算出すると,本件建築物は容積率の制限に違反するものとなり,本件建築物の容 は,考慮すべき部分を考慮せず,不当に低い数値とされているのであって,上記考慮されていない部分の存在を考慮して床面積・容積率を算出すると,本件建築物は容積率の制限に違反するものとなり,本件建築物の容積率は,法令に適合しない。 アベランダ 一般に,建築物のベランダのうち,幅2mを超える部分は当該建築物の床面積に算入することとなり,容積率に反映されることとなる。そして,上記2mはベランダの端から直線距離で測定すべきである。そうすると,本件建築物のベランダには,本件建築物の床面積に算入すべき部分が存在し,別紙8の「容積未算入エリア」がこれに当たることとなる。 イ手洗い場 - 20 -一般に,建築物のベランダに設置される手洗い場は,その専有部分のマンション居住者が独占的に利用するものである。そうすると,このような手洗い場は,その共用的性格の欠如から容積率不算入とすることはできず,その床面への投影面積は,容積率の算定の前提とされる床面積に算入すべきである。 ⑸ 争点5(本件各処分は開発許可を経た上でされたものであるか否か)について(被告の主張)本件確認申請・本件変更確認申請に先立ってされた令和元年7月26日付け開発許可処分は,共同住宅(マンション)を建築することを土地利用計画 平面図上に明示し,これを前提にされたものである。なお,原告らが本件確認申請・本件変更確認申請と予定建築物が異なる旨指摘する開発許可は,本件敷地に含まれるはずの土地の一部が含まれているものの,基本的には本件敷地の隣地についてのものである。 したがって,本件敷地について,本件建築物を建築することを前提とした 開発許可がされているから,本件各処分が本件建築物の建築 るものの,基本的には本件敷地の隣地についてのものである。 したがって,本件敷地について,本件建築物を建築することを前提とした 開発許可がされているから,本件各処分が本件建築物の建築の前提となる開発許可を得ないままにされたとする違法はない。 (原告らの主張)建築確認申請には,開発行為の許可書又は許可不要証明書を添付しなければならないが,本件建築物は,戸建てを予定建築物として開発許可を取得し た開発区域に建設されている。本件各処分は,都市計画法42条1項ただし書の手続を経ることなくされた違法がある。 第3 当裁判所の判断 1 本件確認処分の取消しを求める請求に係る訴えの利益について⑴ 訴えの利益の判断(職権判断) 原告らは,本件訴えにおいて本件確認処分の取消しを求めており,被告は, - 21 -原告Fにつき原告適格がないことを理由として訴え却下判決を求めている点を除けば,本案前の答弁をしておらず,本案の答弁として請求棄却判決を求めるにとどまっている。しかし,訴えの利益の有無として訴訟要件に関わる問題があるから,職権をもって判断する。 ⑵ 検討 建築基準法6条1項,同法6条の2第1項に定める建築確認の制度は,建築工事が着手される前に,建築計画が建築基準関係規定に適合することについて建築主事又は指定確認検査機関の確認を受けさせることにより,違反建築物の出現を未然に防止することを目的とするものと解される。 このような建築確認の制度の趣旨・目的や建築基準法6条1項柱書き後段 の文言等に照らすと,同項後段に基づく計画変更に係る建築物の建築確認においては,当該変更部分のみにとどまらず,変更後の計画全体について建築基準関係規定に適合しているか否か 6条1項柱書き後段 の文言等に照らすと,同項後段に基づく計画変更に係る建築物の建築確認においては,当該変更部分のみにとどまらず,変更後の計画全体について建築基準関係規定に適合しているか否かが審査され,その適合性について確認が行われるものというべきである。そして,建築主事又は指定確認検査機関が,変更後の計画につき建築基準関係規定に適合すると判断して建築確認をした 場合,変更前の計画についての建築確認の効力を維持する必要性はなくなるから,変更後の計画についての建築確認が行われることにより,変更前の計画に係る建築確認は当然にその効力を失うことになるというべきである。 ⑶ 小括以上によれば,本件確認処分は,その後の計画変更に係る処分である本件 変更確認処分がされたことにより既にその効力が失われているものといえるから,本件各訴えのうち,本件確認処分の取消しを求める部分は,訴えの利益を欠く不適法な訴えというべきである。 したがって,本件確認処分の取消しを求める訴えは,争点1~5について判断するまでもなく,不適法である。 そこで,以下では,本件変更確認処分の取消しを求める部分について検討 - 22 -することとする。 2 争点1(原告Fの原告適格の有無)について⑴ 判断枠組み行政事件訴訟法9条は,処分等の取消訴訟の原告適格について規定するところ,同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有 する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個 た利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益 もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。 そして,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみに よることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害され ることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(行政事件訴訟法9条2項,最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)。 ⑵ 検討 上記⑴の見地に立って,原告Fが本件変更確認処分の取消しを求める原告 - 23 -適格を有するか否かについて検討する(なお,原告C,原告D,原告Eが本件変更確認処分の取消請求の原告適格を有することについて,当事者間に争いがない〔前記前提事実⑴ア〕。)。 ア建築基準法20条,建築基準法52条 建築基準法20条 件変更確認処分の取消請求の原告適格を有することについて,当事者間に争いがない〔前記前提事実⑴ア〕。)。 ア建築基準法20条,建築基準法52条 建築基準法20条 建築基準法20条は,建築物の構造耐力について定めるところ,同条は,建築物には,自重(固定荷重),積載荷重,積雪荷重,風圧,土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃といった荷重外力が作用するから,これらに対して建築物は安全でなければならず,このような観点を考慮しないままに建築物が建築された場合には,当該建築物の倒壊等 が生じ得ることを考慮したものであって,当該建築物の利用者又はこれに近接する一定範囲の地域に居住する住民等の生命,身体が脅かされることを防止する趣旨である。このような同条の趣旨,同条が建築確認を通して保護しようとしている利益の内容及び性質等に鑑みれば,同条は,建築物の荷重外力に対する安全性が十分でない場合に,建築物の倒壊等 による被害が直接的に及ぶことが想定される当該建築物の近隣住民の生命,身体の安全等を,個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むものと解される。 そうすると,当該建物の荷重外力に対する安全性が十分でない場合に,当該建物の倒壊等による被害を直接的に受けることが予想される範囲の 地域に居住する者は,建築確認の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有するというべきである。 建築基準法52条建築基準法52条は,建築物の容積率制限を定めるところ,同条は, 高さ制限を定める同法55条,56条とともに,建築密度,建築物の規 - 24 -模等を規制することにより,建築物の敷地上に適度な空間を確保し,もって, 容積率制限を定めるところ,同条は, 高さ制限を定める同法55条,56条とともに,建築密度,建築物の規 - 24 -模等を規制することにより,建築物の敷地上に適度な空間を確保し,もって,当該建築物及びこれに隣接する建築物等における日照,通風,採光等を良好に保つことを目的とするものであるが,このほか,当該建築物に火災その他の災害が発生した場合に,隣接する建築物等に延焼するなどの危険を抑制することをもその目的に含むものと解するのが相当で ある。そして,同法が,建築物の敷地,構造等に関する最低の基準を定めて,国民の生命,健康及び財産の保護を図り,もって公共の福祉の増進に資することを目的とするものであること(1条)に鑑みれば,同法52条の規定は,建築確認に係る建築物の倒壊,炎上等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物 についてその居住者の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物を,個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解すべきである。そうすると,建築確認に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し又はこれを所有する者は,建築確認の取消しを求めるにつき 法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有すると解するのが相当である。 イ原告Fが本件変更確認処分の取消しを求める原告適格を有するか否かについて証拠(甲13,43の1)及び弁論の全趣旨によれば,原告Fは,本件 建築物から約73.5m離れた位置に所在する自宅において居住していると認められる(別紙3参照)。また,本件建築物の高さは,42.93mである(前記前提事実⑵)。これらの事実関係等に照らせば,原 建築物から約73.5m離れた位置に所在する自宅において居住していると認められる(別紙3参照)。また,本件建築物の高さは,42.93mである(前記前提事実⑵)。これらの事実関係等に照らせば,原告Fは,本件建築物の荷重外力に対する安全性が十分でない場合に,本件建築物の倒壊等による被害が直接的に及ぶことが想定される範囲の地域に居住して おり,また,本件建築物に火災その他の災害が発生した場合に,本件建築 - 25 -物の倒壊,炎上等による被害が直接的に及ぶことが想定される範囲の地域に居住しているということができる。 そうすると,原告Fは,本件変更確認処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,原告適格があるというべきである。 ⑶ 小括 したがって,原告Fは,本件変更確認処分の取消しを求める原告適格がある(なお,原告C,原告D,原告Eが本件変更確認処分の取消請求の原告適格を有することについて,当事者間に争いがない。)。 3 争点2(本件立体駐車場は確認が必要な建築物に非該当であるか否か)について ⑴ 判断枠組み建築確認とは,建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることにつき,確認の申請書を提出して建築主事又は指定確認検査機関の確認を受けるものであり(建築基準法6条1項,6条の2第1項),確認の申請書の様式は国土交通省令で定めるとされ(同法6条9項),建築基準法施行規 則1条の3がこれを定めている。また,確認審査は,指針告示に従って行わなければならないとされているところ(同法18条の3第1項,3項),指針告示は,建築基準法施行規則1条の3第1項の表1等に掲げる図書に記載された当該表に掲げる「明示すべき事項」に基づき,建築基準法6条1項に規定す とされているところ(同法18条の3第1項,3項),指針告示は,建築基準法施行規則1条の3第1項の表1等に掲げる図書に記載された当該表に掲げる「明示すべき事項」に基づき,建築基準法6条1項に規定する建築基準関係規定に適合するかどうかを審査する旨規定している (指針告示第1の3項)。 これは,建築確認が,建築物の建築計画が建築基準関係規定に適合しているか否かを審査するものであるから,計画上の存在でしかない当該建築物の構造及び建築設備について,指定確認検査機関が,提出された確認申請書及び添付図書を審査することを超えて審査することは一般に想定されるもので はない。 - 26 -そうすると,建築確認は,確認申請書及び添付図書を対象として,建築物の建築計画の建築基準関係規定の適合性を審査するものであるということができ,計画上の存在でしかない当該建築物の構造及び建築設備について,指定確認検査機関は,提出された確認申請書及び添付図書を審査することを超えて,独自に事実関係等を調査することが当然に求められているとはいえず, 特段の事情がない限り,確認申請書及び添付図書を審理すれば足りると解するのが相当である。 ⑵ 認定事実前記前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア詳細図の提出本件会社は,本件変更確認申請をするに当たり,被告に対し,本件立体駐車場に関して,「機械式駐車装置詳細図⑵」及び「機械式駐車装置詳細図⑼」等を提出した(前記前提事実⑹ア,甲49,乙1,弁論の全趣旨)。 イ詳細図の記載内容 上記アの「機械式駐車装置詳細図⑵」には,本件立体駐車場について,①型番が「LZ41W-M8」である旨の記載,②「 ア,甲49,乙1,弁論の全趣旨)。 イ詳細図の記載内容 上記アの「機械式駐車装置詳細図⑵」には,本件立体駐車場について,①型番が「LZ41W-M8」である旨の記載,②「装置構造高さ」(ピット底面から上端部まで)が「7990」(㎜)である旨の記載,③地上4段・地下1段の上下5段のパレットから成り,パレット上に駐車できる車両の高さは下から順に,1550㎜,2000㎜,1550㎜,155 0㎜,2100㎜である(なお,このようなパレットが前後に設置され,前部・後部に各17台〔合計34台〕の自動車を駐車することができる。)旨の記載がある(乙1,弁論の全趣旨)。 また,上記アの「機械式駐車装置詳細図⑼」には,本件立体駐車場について,③「LZ41W,LZ21W,LTZ21機械式駐車装置仕様一覧 表」として,「特殊仕様」の「項目」欄に「装置高さ8m仕様(柱駆動部) - 27 -(LZ41W)」,「内容」欄に「装置高さを,ピット底からモーター駆動部天端まで,8m以下にする為,駆動部・柱長さを特殊対応しております。」などの記載が,「装置基本仕様」欄に,「名称」が「レクセルパズルBW-2015」,「型式」が「レクセルパズル41W(LZ41W)」,「認定番号」が「関東(16)-42」である旨の記載がある(甲10の 2,49,51)。 ウ国土交通省の認定国土交通省関東地方整備局長は,平成28年9月5日,駐車場法施行令15条(同施行令第2章第1節〔路外駐車場の構造及び設備の基準〕の規定は,その装置が同節の規定による構造又は設備と同等以上の効力がある と認める場合においては,適用しないとするもの)により,株式会社IHI扶桑エンジニアリング,IHI運搬機械株式会社を製作会社名 は,その装置が同節の規定による構造又は設備と同等以上の効力がある と認める場合においては,適用しないとするもの)により,株式会社IHI扶桑エンジニアリング,IHI運搬機械株式会社を製作会社名とする,装置の分類を「二段・多段方式(昇降横行式,ピット式,縦列式)」,装置の名称を「レクセルパズルBW-2015」,駐車場法施行令第2章第1節の規定の特例を認める事項を「令第9条,令第10条,令第12条, 令第13条」,(駐車場法施行規則4条の規定に基づく)安全機能の認証を「認証機関名:公益社団法人立体駐車場工業会」,「認証日:平成28年8月24日」,「認証番号:立駐工第16-H025号」,「有効期限:平成33年8月24日」とする立体駐車場を認定した(認定番号は「関東(16)-42」である。)。上記の認定の際に株式会社IHI扶桑エ ンジニアリングほかから申請された書類中にある「全体組立図(1/5)」の「装置側面図」において,最上段のパレットの駆動装置(モーター)は,横置きとなっている。(甲25,50,53の1~6,54の1・2,55の1~3)⑶ 検討 機械式自動車車庫(建築基準法88条2項,建築基準法施行令138条3 - 28 -項2号参照)のうち高さが8mを超えるものについては建築確認を受ける必要がある。その趣旨は,屋根を有しない機械式自動車車庫は,一般に工作物として建築基準法の適用を受けるものではないが,これが一定の規模に及ぶ場合には建築物と区別する理由がなく,建築基準法を適用する必要があるという点にあると解される。そして,上記⑴の説示内容に照らせば,被告は, 本件変更確認申請に際し,本件会社から提出された「機械式駐車装置詳細図」(上記⑵ア)を参照するなどし,本件立体駐車場の高さが8mを超 あると解される。そして,上記⑴の説示内容に照らせば,被告は, 本件変更確認申請に際し,本件会社から提出された「機械式駐車装置詳細図」(上記⑵ア)を参照するなどし,本件立体駐車場の高さが8mを超えるものではなく,建築確認の対象とならないことについて審査する必要があったと解されるものの,独自にその真偽を確認するための調査をすることが当然に求められていたとはいえない。 また,上記⑵イのとおり,「機械式駐車装置詳細図」には,本件立体駐車場について,型番が「LZ41W-M8」,装置構造高さ(ピット底面から上端部まで)が「7990」(㎜),認定番号が「関東(16)-42」である旨の記載があり,これに加えて,特殊仕様として,装置高さをピット底面からモーター駆動部天端まで8m以下にするため特殊対応する旨の記載が あることから,本件立体駐車場は,装置構造高さ(ピット底面からモーター駆動部天端まで)が7.99mであって,国土交通省関東地方整備局長の認定を受けているものと読み取ることができる(なお,上記⑵ウのとおり,本件立体駐車場は,「レクセルパズルBW-2015」の名称で,平成28年8月24日付けで公益社団法人立体駐車場工業会による安全機能の認証を受 け,同年9月5日付けで国土交通省関東地方整備局長の認定を受けていたものである。)。 そうすると,本件会社が本件変更確認申請をした際,本件立体駐車場は,構造及び設備並びに安全性を確保するために必要な機能について国土交通大臣が定める基準に適合しているものと認められ,その高さが8mを超えない ものであった(本件会社による本件変更確認申請に事実と異なる記載があっ - 29 -たこともうかがわれない。)。したがって,本件立体駐車場は,建築確認が必要な建築物に該当 8mを超えない ものであった(本件会社による本件変更確認申請に事実と異なる記載があっ - 29 -たこともうかがわれない。)。したがって,本件立体駐車場は,建築確認が必要な建築物に該当しないというべきである。そして,被告が,本件立体駐車場の高さが8mを超えるものではなく,建築確認を要するものではないと判断して本件建築物について本件変更確認処分をしたことは,適法である(以上の認定・判断は,本件立体駐車場の現実の施工状況によって左右されるも のではない。)。 ⑷ 原告らの主張についてこれに対し,原告らは,①本件立体駐車場は,最上段のパレットに設置される転落防止用の壁(車止め)又はモーターを考慮するとその高さが8mを超えている,②本件変更確認処分をするに当たり,本件立体駐車場の最上段 のパレットに適切に落下防止装置,モーターを設置することができるか否か,これらが適切に設置された上で高さが8mを超えないことを審査する必要がある上,本件立体駐車場の図面(機械式駐車装置詳細図)が「認証」を受けたメーカー仕様のものと同一か否かについても審査する必要があるが,被告はこれらの審査をしていない以上,本件変更確認処分をするに当たり,本件 立体駐車場の床面積を考慮することなく本件建築物の容積率がその制限に適合していると判断することはできない旨主張する。 そこで,以下,これらの点について検討する。 ア上記①(最上段の壁やモーターを考慮すると高さ8mを超えること)について 原告らは,上記主張に沿う原告Dの陳述書(甲41)及び原告Fの陳述書(甲49,70)を提出する。上記各陳述書は,本件立体駐車場は,メーカー(株式会社IHI扶桑エンジニアリング)のウェブサイト上のカタログには構造高 張に沿う原告Dの陳述書(甲41)及び原告Fの陳述書(甲49,70)を提出する。上記各陳述書は,本件立体駐車場は,メーカー(株式会社IHI扶桑エンジニアリング)のウェブサイト上のカタログには構造高さ7980㎜と記載されているから,これに最上段のパレットに設置されるモーター駆動部の高さ760㎜を加えると,その高さが 8740㎜となる(そうでなくとも,ピットの底面から昇降ドラムの天端 - 30 -までの高さを測ると,8030㎜となる。)とするものである。 しかし,上記①の主張は,本件立体駐車場について,メーカーのウェブサイト上のカタログ値を前提とするものであって,本件変更確認申請の際に添付された資料によるものではない。 また,この点を措くとしても,本件立体駐車場について,本件変更確認 申請の際に添付された資料(機械式駐車装置詳細図)上では,本件立体駐車場の高さが8mを超えていないことは上記⑵,⑶で認定・説示したとおりである。 さらに,本件会社が上記⑶で述べたような趣旨を潜脱しようとしたような事情はうかがわれない(なお,原告らは,転落防止用の壁〔車止め〕の 存在を考慮すると本件立体駐車場の高さが8mを超えている旨主張するが,本件立体駐車場の装置構造の最も高い部分はモーター駆動部天端であり,原告らが指摘する「転落防止用の壁(車止め)」とは認められないし,機械式駐車装置詳細図上において,本件立体駐車場の接地面からモーター駆動部天端までの高さが8mを超えていないことは,上記⑵で認定したと おりである。)。 したがって,上記各陳述部分は採用することができず,原告らの上記主張は理由がない。 イ上記②(高さ8mを超えないことの審査が必要であること)について原告 ある。)。 したがって,上記各陳述部分は採用することができず,原告らの上記主張は理由がない。 イ上記②(高さ8mを超えないことの審査が必要であること)について原告らは,上記主張に沿う原告Dの陳述書(甲41)及び原告Fの陳述 書(甲27,49)を提出する。上記各陳述書は,一般に,機械式立体駐車場は,事故が多く,火災の危険が指摘されるところ,本件立体駐車場のメーカーのウェブサイト上には,「ニーズ対応」と称して地下部分のパレットをつり下げ構造とすることによって「高さ」を抑えることができる旨の記載があるものの,「駆動装置を横にして高さを低くする」といった対 応ができる旨の記載はなく,本件立体駐車場においても,つり下げ式の構 - 31 -造を採用するのではなく,最上段のパレットを低くし,駆動モーターを通常と異なる方法で取り付ける方法が選択されて,滑車及び落下防止装置を適正に配置できない状態を生じていることからすると,本件立体駐車場は危険である,とするものである。 しかし,高さが8mを超えない機械式立体駐車場は建築基準法に定める 建築物(又は準用工作物)に該当しないのであって,このような機械式立体駐車場が,本件建築物の容積率がその制限に違反しているか否かという点に影響を与えることは考え難い。 また,この点を措くとしても,被告に提出された「機械式駐車装置詳細図⑵」には,「装置構造高さ」(ピット底面から上端部まで)が「799 0」(㎜)である旨の記載が,「機械式駐車装置詳細図⑼」には,認定番号として「関東(16)-42」の記載があることに照らせば,本件立体駐車場は,その高さは8mを超えないものであって,国土交通省関東地方整備局長による認定を受けたものといえるから,その 」には,認定番号として「関東(16)-42」の記載があることに照らせば,本件立体駐車場は,その高さは8mを超えないものであって,国土交通省関東地方整備局長による認定を受けたものといえるから,その安全性に格別の問題があることはうかがわれない。 そして,原告らが指摘するように,本件立体駐車場が建築主である本件会社の依頼を受けた個別対応によるものであったとしても,上記⑴のとおり,本件立体駐車場の高さは8mを超えない以上,本件立体駐車場が建築物(又は準用工作物)に当たることを前提として本件建築物が容積率の制限に反しているということはできない(上記各陳述書は,本件立体駐車場 が「駆動装置を横にして高さを低く」した通常とは異なるものである旨指摘するが,上記⑵ウで認定したとおり,国土交通省関東地方整備局長が「レクセルパズルBW-2015」を認定する際に株式会社IHI扶桑エンジニアリングほかから申請された書類中にある「全体組立図(1/5)」の「装置側面図」において最上段のパレットの駆動装置(モーター)は横置 きとなっていること等に照らせば,最上段のパレットの駆動装置を縦置き - 32 -でなく横置きにすることは,駆動装置(モーター)の取付方法の相違に由来するものであって,通常と異なる施工方法であるとか,その安全性に問題を生じさせるものであるなどとはいえない。)。 したがって,上記各陳述部分は採用することができず,原告らの上記主張は理由がない。 なお,原告らは,本件立体駐車場がつり下げ式の構造ではないことからその高さが8mを超えている旨主張するが,「機械式駐車装置詳細図⑵」には,「装置構造高さ」(ピット底面から上端部まで)が「7990」(㎜)である旨の記載があること(本件立体駐車場は, はないことからその高さが8mを超えている旨主張するが,「機械式駐車装置詳細図⑵」には,「装置構造高さ」(ピット底面から上端部まで)が「7990」(㎜)である旨の記載があること(本件立体駐車場は,使用するパレット数及び上下のパレットの間隔についても複数の分類が設けられており,原告らが 根拠とする甲15号証は,上下のパレットの間隔がいずれも2100㎜〔甲15号証の表記は「H=2100」〕とされるなど,本件立体駐車場とは構造を異にしている。)に照らすと,原告らの同主張は採用することができない。また,原告らは,自宅のすぐ近くに機械式駐車場が建設され,火災の危険,防犯,騒音等の不安を感じる旨陳述し(甲17~20),それ 自体は近隣住民の心情として十分理解することはできるものの,建築基準関係法令等及びその解釈・適用内容に照らせば,同陳述部分は,上記の認定・判断を左右するものではない。 ウ以上のとおり,原告らの上記各主張は,いずれも理由がない。 ⑸ 小括 以上によれば,本件立体駐車場は,建築確認が必要な建築物に該当しないというべきである。 4 争点3(本件建築物の基礎地盤の安全性が法令に適合するか否か)について⑴ 認定事実前記前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認 められる。 - 33 -ア本件地質調査報告書 本件地質調査報告書の記載内容本件地質調査報告書は,「1.調査概要」,「2.調査の方法と解説」,「3.調査結果」及び「4.地盤の液状化」の各項目から成り,添付資料として,位置図,ボーリング柱状図,推定断面図,プレッシャーメー タ試験結果,室内土質試験結果及び現場記録写真が添付されている。 及び「4.地盤の液状化」の各項目から成り,添付資料として,位置図,ボーリング柱状図,推定断面図,プレッシャーメー タ試験結果,室内土質試験結果及び現場記録写真が添付されている。 本件地質調査報告書には,次のような記載がある。 a 圧密試験平成31年2月4日に圧密試験を実施した結果,本件敷地の№2地点のうち,①Dc4層(粘性土)に位置する深さ47.00~47. 90mの試料の圧密降伏応力(Pc)につき800kN/㎡,②Dc5層(本件下部粘性土層)に位置する深さ64.00~64.90mの試料の圧密降伏応力(Pc)につき895kN/㎡の結果が得られた。 b 液状化の発生の検討本件敷地(調査地)の液状化の発生を検討した結果,「調査地では 大地震動用のαmax=350gal の水平加速度を採用する場合でも地震時に液状化が発生する地層は分布しないとすることができる」と判断した。(以上につき,乙17) 検討過程a 地質調査の内容 本件地質調査報告書に係る地質調査は,ボーリング調査,プレッシャーメータ試験,室内土質試験から成るものである(乙17)。 b 液状化の検討株式会社Jは,地盤の液状化については,次のような検討を行った(乙17)。 ⒜ 液状化判定の対象とすべき土層 - 34 -液状化判定の対象とすべき土層としては,①地表面から20m以浅の飽和状態にあるFc(細粒分含有率)≦35%の沖積層,②Fc>35%であっても,粘土含有率が10%以下又は塑性指数が15以下の埋土・盛土地盤,③細粒土を含む礫,透水性の低い土層に囲まれた礫,が挙げられる(日本 るFc(細粒分含有率)≦35%の沖積層,②Fc>35%であっても,粘土含有率が10%以下又は塑性指数が15以下の埋土・盛土地盤,③細粒土を含む礫,透水性の低い土層に囲まれた礫,が挙げられる(日本建築学会『建築基礎構造設計指針』)。 ⒝ 液状化の判定方法液状化の判定方法としては,次のような算定方法が用いられる(日本建築学会『建築基礎構造設計指針』)。 ① せん断応力比(L)の算定せん断応力比(L)は,τd(水平面に生ずる等価な一定繰り 返しせん断応力振幅)/σz’(検討深さにおける有効土被り圧〔鉛直有効応力〕)によって算定される。 ② 液状化抵抗比(R)の算定液状化抵抗比(R)は,τl(水平断面における液状化抵抗)/σz’(検討深さにおける有効土被り圧〔鉛直有効応力〕)に よって算定される。 ③ 液状化安全率(FL)の算定液状化安全率(FL)は,R/L又はτl/τdによって算定される。液状化安全率(FL)が1以下の場合には液状化発生の可能性が高いと判断される。 ⒞ 液状化の判定株式会社Jは,GL-約8~9mのDs1層を対象に,№1地点,№3地点の調査結果を用いて,液状化の判定を行った(なお,Ds1層は洪積層に区分された地層であって本来であれば液状化の検討対象外となるが,N値がやや低いため,安全側の観点から,液状化 の検討が行われた。)。 - 35 -その結果は,次のとおりであり,全試料でFL>1であった。 ① №1地点のGL-8.3mで採取された試料(Fc:13.9%)のFLは,150gal で3 - 35 -その結果は,次のとおりであり,全試料でFL>1であった。 ① №1地点のGL-8.3mで採取された試料(Fc:13.9%)のFLは,150gal で3.462であり,200gal で2. 596であり,350gal で1.484であった。 ② №1地点のGL-9.3mで採取された試料(Fc:10.0 %)のFLは,150gal で4.243であり,200gal で3. 182であり,350gal で1.818であった。 ③ №3地点のGL-8.3mで採取された試料(Fc:26.9%)のFLは,150gal で2.392であり,200gal で1. 794であり,350gal で1.025であった。 ④ №3地点のGL-9.225mで採取された試料(Fc:24. 4%)のFLは,150gal で6.762であり,200gal で5. 071であり,350gal で2.898であった。 本件敷地の地質等は,本件地質調査報告書記載のとおりである。 イ本件構造計算書 本件構造計算書の記載内容本件構造計算書は,「建築物の概要」,「設計用荷重」,「電算機インプット用データ」,「基礎の設計」等の各項目から成り,これに一貫構造計算ソフト(SuperBuildSS3-RC)による計算書出力並びにSuperBuild/SS3 チェックリスト,本件地質調査報告書等が添付されてい る。なお,上記「基礎の設計」は,「基礎設計用軸力一覧」,「地盤調査結果」,「杭の設計」,「基礎の設計」等の各項目から成る。 そして,本件構造計算書には,次のような記載がある(以上につき,乙14,18,弁論の全趣旨 ,「基礎設計用軸力一覧」,「地盤調査結果」,「杭の設計」,「基礎の設計」等の各項目から成る。 そして,本件構造計算書には,次のような記載がある(以上につき,乙14,18,弁論の全趣旨)。 a くい先端下方の粘性土への影響 「杭先端下方の粘性土への影響に対する検討」として,くいによる - 36 -増加応力と粘性土の地盤の許容支持力及び圧密降伏応力を比較した結果,Dc4層の試料から得られた有効上載圧は380kN/㎡,Dc5層(本件下部粘性土層)の試料から得られた有効上載圧は510kN/㎡であり,いずれも過圧密状態にあった(乙14・4-80)。 b 地盤の応力度 ⒜ くい先端下方の粘性土への影響の検討本件構造計算書の「基礎の設計」(本件基礎ぐい検討書)には,非液状化地盤であるとの判断を前提として,くい先端が位置する支持層(本件中間支持層)の下方にボーリングGL(ボーリング調査の際の調査地盤の標高)-61.3m以下にDc5層(本件下部粘 性土層)が存在することから,「杭先端より下方に存在する粘性土への影響を検討」した旨の記載がある(乙14)。 ⒝ 地盤応力度の検討-支持地盤下面における地盤の許容応力度等そして,本件構造計算書の「基礎の設計」(本件基礎ぐい検討書)の「地盤応力度についての検討」として,地盤の応力度を検討した 結果,上記アのとおり,Dc5層(本件下部粘性土層)の試料から得られた圧密降伏応力が895.0kN/㎡であり,推定有効土被り圧が510.0kN/㎡(本件地質調査報告書)であったから,その差は385.0kN/㎡であった(乙14)。 他方,各くいの支持地盤下面における地盤 .0kN/㎡であり,推定有効土被り圧が510.0kN/㎡(本件地質調査報告書)であったから,その差は385.0kN/㎡であった(乙14)。 他方,各くいの支持地盤下面における地盤の応力度が上記385. 0kN/㎡(Dc5層〔本件下部粘性土層〕の試料から得られた圧密降伏応力から推定有効土被り圧を控除した値)を下回れば地盤応力度が適正であると評価できるところ,くい径1800㎜の拡底径2800㎜,2500㎜,2200㎜,1800㎜の4種のくいについて,支持地盤下面における地盤の許容応力度は,順に383.1 kN/㎡,373.6kN/㎡,210.9kN/㎡,22.6kN/㎡で - 37 -あり,いずれも上記385.0kN/㎡を下回っていたから,地盤応力度は適正であった(乙14)。 ⒞ 地盤応力度の検討-周面摩擦力の考慮また,本件構造計算書の「基礎の設計」(本件基礎ぐい検討書)は,地盤応力度に関しては,後記c⒝の別紙6(支持力計算一覧表) に基づき,これを超えない範囲で設定された設計支持力(弁論の全趣旨)から,後記c⒝の別紙5(長期許容鉛直支持力表)中の周面摩擦力(ただし,くい長のうち摩擦を考慮する範囲に該当する部分)を算出し,設計支持力から周面摩擦力を控除した残部をもって基礎ぐい先端部分の地盤応力度を検討している。そして,このようにし て導かれた基礎ぐい先端部分の地盤応力度と支持層下部粘性土地盤の許容支持力度を対比し,前者が後者を下回ることを確認した。(乙14)c 地盤の支持力⒜ 本件各くいの応力 本件各くいの応力は,別紙4(鉛直荷重軸力表)(ただし,くい頭曲げ及びくい偏心による付加軸力及び基礎自重は含まない。 c 地盤の支持力⒜ 本件各くいの応力 本件各くいの応力は,別紙4(鉛直荷重軸力表)(ただし,くい頭曲げ及びくい偏心による付加軸力及び基礎自重は含まない。)に整理された(乙14,25)。 ⒝ 長期鉛直支持力等① 本件構造計算書の「基礎の設計」(本件基礎ぐい検討書)は, 「場所打ち鋼管コンクリート拡底杭工法」,本件土地におけるボーリングの結果(3か所)を用い,次の計算式により長期鉛直支持力等を先端支持力と周面摩擦力の観点から明らかにした(乙14)。 長期許容鉛直支持力Ra =1/3×(ⓐ先端支持力+ⓑ周面摩擦力〔砂質土Rfs〕+ⓒ - 38 -周面摩擦力〔粘性土層Rfc〕)-Wp=1/3×(150×N―×Ap+10/3×Ns――×Ls×φ+1/2×qu――×Lc×φ)-WpWp〔くいの自重〕=2197.9kNⓐ先端支持力=150×N―×Ap(先端の有効面積㎡) ⓑ周面摩擦力(砂質土Rfs)=10/3×Ns――(くい周地盤中の砂質土部分の実測N値の平均値〔≦30〕)×Ls(くい周地盤中の砂質土部分のくいの長さm)×φ(くいの周長m)ⓒ周面摩擦力(粘性土層Rfc) =1/2×qu――(くい周地盤中の粘性土部分の一軸圧縮強度の平均値〔≦200kN/㎡〕)×Lc(くい周地盤中の粘性土部分のくいの長さm)×φ(くいの周長m)② ボーリング調査の結果,ボーリング柱状図1につき平均N値(く 一軸圧縮強度の平均値〔≦200kN/㎡〕)×Lc(くい周地盤中の粘性土部分のくいの長さm)×φ(くいの周長m)② ボーリング調査の結果,ボーリング柱状図1につき平均N値(く い先端より上4D下1D間)として26.3~32.3が,ボーリング柱状図2につき平均N値として30.5~35が,ボーリング柱状図3につき平均N値として25~32.2が,それぞれ得られたことから,N値として,25を採用した(乙14)。 ③ 上記計算式に基づき,各ボーリング結果に基づいて計算された 各くいの支持力計算は別紙5(長期許容鉛直支持力表)記載のとおりであって,これに基づいて別紙6(支持力計算一覧表)を作成した(乙14)。 d 支持力が応力を上回ったことの確認そして,別紙4(鉛直荷重軸力表)と別紙6(支持力計算一覧表) を対比すると,いずれのくいをみても,支持力(設計支持力・設計) - 39 -が応力を上回ったことが確認された(乙14)。 検討過程本件構造計算書における基礎設計の検討過程は,本件敷地の地質を地質調査業者による本件地質調査報告書によって把握し,本件建築ぐいの工法・内容をくい基礎施工業者による本件基礎ぐい検討書によって把握 した上で,本件建築物の概要を設計して,基礎設計に関する構造上の安全性を検討したというものである(乙14,17,18)。 本件建築物の基礎・地盤の設計内容は,本件構造計算書記載のとおりである。 ウ本件敷地付近の地盤等 本件敷地は,大阪南部湾岸地域に位置する。大阪南部湾岸地域を含めて現在の大阪湾を含む盆地状構造の一帯(大阪堆積盆地)は,ユーラシアプレートの下にフィリピン海プレ 敷地付近の地盤等 本件敷地は,大阪南部湾岸地域に位置する。大阪南部湾岸地域を含めて現在の大阪湾を含む盆地状構造の一帯(大阪堆積盆地)は,ユーラシアプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込むテクトニクスにより,有馬-高槻構造線,生駒断層帯,中央構造線,大阪湾岸層,六甲-淡路断層帯の各断層・構造線の地殻変動を生み出す力が発生し,その地殻変動で形成 された。大阪湾岸域のうち堺市域~泉佐野市域では,洪積層の卓越した地盤となっているものの,薄層を成す砂質土と比較的厚い粘性土との複雑な多層地盤となっている。本件敷地付近の地層は,地表面から順に,盛土層(数m),上部の洪積層(D:diluvium。約25mまで),大阪層群(大阪府域の地盤を形成する古い堆積層で洪積層の一種。約25m以深)から 成る。(前記前提事実⑶イ,甲11,24,乙3の1~4,8,11,12,17)本件敷地付近の洪積層の土質は,粘性土(clay:0.075㎜よりも小さな粒子が主体となる土)(Dc),砂質土(sand:0.075~2㎜の粒子が主体となる土)(Ds),礫質土(gravel:2~75㎜の粒子が主 体となる土)(Dg),砂質土・粘性土互層(Dsc)から成る(乙3の - 40 -1~4,11,12,17)。 エ建築物の基礎・地盤に関する一般的知見 地盤の液状化地盤の液状化(liquefaction)とは,地盤内に繰り返しせん断応力が働くことによって生ずる過剰間隙水圧が,土粒子を拘束していた初期有 効上載圧と等しくなる結果,有効応力がゼロになる現象をいう。 地盤の液状化については,敷地地盤の安全性に関する一要素として,日本建築学会『建築基礎構造設計指針』において,その 期有 効上載圧と等しくなる結果,有効応力がゼロになる現象をいう。 地盤の液状化については,敷地地盤の安全性に関する一要素として,日本建築学会『建築基礎構造設計指針』において,その設計指針が定められている。 くい基礎におけるくいの鉛直支持力 くい基礎とは,基礎スラブからの荷重を,くいを介して地盤に伝える形式の基礎をいう。 くい基礎におけるくいの鉛直支持力の決定要因には,地盤から定まる支持力(くいと地盤との相互作用で決まるもので,先端支持力と周面抵抗力から成り立つ。)と,くい体の耐力から定まる支持力(くい体の圧 縮抵抗が各限界状態に至るかどうかで決まる。)とがある。 地盤から定まる設計用の支持力は,鉛直載荷試験によって求める方法と,支持力算定式から求める方法とがある。後者について,現在,主に用いられているのは,くいの先端支持力や周面抵抗力をN値等サウンディングによる測定値と関連付けた経験式である。 場所打ちコンクリートぐいの支持力(支持力算定式による単くいの鉛直支持力)は,極限先端支持力度と極限周面抵抗力度から成り,それぞれ砂質土・粘性土によって異なる。例えば,粘性土の極限周面抵抗力度に関して,粘性土層の非排水せん断強さ(Cu)の上限値としては100kN/㎡が採用されているが,それ以上の数値が採用できる可能性はある。 上記極限先端支持力度は,くい下方の支持層厚が先端径に対して十分 - 41 -に厚い場合と,支持層厚が薄い場合(薄層支持)とで異なる。くいの先端支持力は,支持層厚比がある限界値よりも小さくなるとくい下方の支持層の土塊が下部層に貫入する破壊を伴って低下する。したがって,薄層支持層の先端支持力は,鉛直 い場合(薄層支持)とで異なる。くいの先端支持力は,支持層厚比がある限界値よりも小さくなるとくい下方の支持層の土塊が下部層に貫入する破壊を伴って低下する。したがって,薄層支持層の先端支持力は,鉛直載荷試験を行って求めるか,支持層の強度と支持層厚比及び下層の強度等を適切に考慮して算定する必要があ る。もっとも,中間的な支持層に根入れされた先端支持主体のくい基礎も選択肢の1つとされている。 (以上につき,甲39,48,56,57,乙17,21~23,弁論の全趣旨)⑵ 事実認定の補足説明 ア本件地質調査報告書の記載内容(特に,本件敷地が非液状化地盤であること)の信用性(上記⑴ア関係)本件地質調査報告書は,ボーリング調査,プレッシャーメータ試験,室内土質試験等に基づき作成されたものであり,地盤調査の方法は告示1113号第1の内容(別紙2〔関係法令等の定め〕の4⑴)にも沿うもので あって,その内容が本件敷地付近の地盤等の状況(上記⑴ウ)にも符合すること等に照らしても,その記載内容の信用性を肯定することができる。 このうち,液状化の判定については,本件敷地の調査結果を前提に,日本建築学会『建築基礎構造設計指針』(乙21)の設計指針に基づき,具体的に検討されており(上記⑴アb),地盤の液状化に関する一般的知 見(上記⑴エ)に照らしても,その内容は十分に信用することができる。 イ本件構造計算書の記載内容の信用性(上記⑴イ関係)本件構造計算書は,本件地質調査報告書(その信用性については上記アで説示したとおりである。),本件基礎ぐい検討書(前記前提事実⑶ウ)等に基づき,構造計算ソフトを用いて,本件建築物の構造計算を行ったも のであり(前記前提事実 告書(その信用性については上記アで説示したとおりである。),本件基礎ぐい検討書(前記前提事実⑶ウ)等に基づき,構造計算ソフトを用いて,本件建築物の構造計算を行ったも のであり(前記前提事実⑶エ),関係法令等の定めにも沿うものであって, - 42 -その内容に照らしても,その記載内容の一般的な信用性を肯定することができる。その上で,個別的な信用性については,後記⑶,⑷で検討することとする。 ⑶ 検討アボーリング調査の本数(建築基準法施行令93条関係) ボーリング調査の本数についてa 関係法令等の定め建築基準法20条は,建築物の構造耐力に関し,建築物は,自重,積載荷重,土圧等に対して安全な構造のものとして政令で定める技術的基準等に適合するものでなければならない旨を定める。 建築基準法施行令は,建築基準法20条を受けて,「第3章構造強度」(建築基準法施行令36条~106条)において,技術的基準を定める。具体的には,同施行令38条3項は,一定以上の高さ,面積及び下層階の床面積に作用する荷重を有する建築物については,基礎の底部(基礎ぐいを使用する場合にあっては,当該基礎ぐいの先端) を良好な地盤に達することとしなければならない旨を定める。また,同施行令は,高さが31mを超える建築物にあっては,所定の基準に従った構造計算によることが必要であり(81条2項1号,82条),地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力は,国土交通大臣が定める方法によって,地盤調査を行い,その結果に基づいて定めなければ ならない(93条本文)旨を定める。 建築基準法施行令93条の規定に基づき,国土交通大臣は,告示1113号を定めているところ(告 地盤調査を行い,その結果に基づいて定めなければ ならない(93条本文)旨を定める。 建築基準法施行令93条の規定に基づき,国土交通大臣は,告示1113号を定めているところ(告示1113号が規範性を有することについては,当事者間に争いがない。),告示1113号は,第1において,地盤の許容応力度を求めるための地盤調査の方法について, ボーリング調査等を挙げ,第5において,基礎ぐいの許容支持力を定 - 43 -める方法を挙げている。 b 趣旨上記aで述べたような関係法令等の規定の趣旨は,建築物は基礎によって地盤に定着されて安全性が確保されるところ,高さ31mを超える建築物においては,地盤を調査した上で,その結果に基づいて地 盤の許容応力度(地盤が構造物を支持し得る最大の鉛直方向抵抗力〔極限支持力〕を安全率で除した値)及び基礎ぐいの許容支持力を計算して,それが基準に適合することを要求することによって,建築物の安全性を確保しようとするものである。 c 検討 上記aのとおり,高さが31mを超える建築物では所定の基準に従った構造計算によることが必要であること,地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力は地盤調査を行ってその結果に基づいて計算する必要があること,地盤調査の方法の1つとしてボーリング調査があることが定められているものの,上記aの関係法令等の定めによっても, ボーリング調査の本数は定められていない。そうすると,上記bの趣旨をも考え合わせると,ボーリング調査等による地盤調査については,建築計画の対象となる建築物の敷地の状況等に応じ,合理的な方法で行えば足りるものと解される。 なお,国土交通省住宅局建築指導課長は,各建築設 ボーリング調査等による地盤調査については,建築計画の対象となる建築物の敷地の状況等に応じ,合理的な方法で行えば足りるものと解される。 なお,国土交通省住宅局建築指導課長は,各建築設計関係団体の長 に宛てて,平成28年3月4日付け「基礎ぐいの適正な設計について」と題する通知(国住指第4240号)を発出し,日本建築学会『建築基礎設計のための地盤調査計画指針』を引用して,建築面積が1万㎡の規模の建築物のボーリング調査の数量は,地層構成に変化がない場合に5~10本,地層が変化していると想定される場合に10~20 本が目安とされている旨を通知しているところ(乙9),これも,上 - 44 -記と同じ趣旨をいうものであると解される。 本件について前記前提事実⑵,⑶イ,⑹アのとおり,被告は,本件構造計算書に基づいて本件変更確認申請の審査をしているところ,本件構造計算書中の本件地質調査報告書によれば,本件敷地において実施されたボーリング 調査の数量は3本であるのに対し,本件建築物の建築面積は902.42㎡であるから(前記前提事実⑵),本件建築物について実施されたボーリング調査の敷地面積に占める数量の割合(約330㎡に1本)は,上記通知(国住指第4240号)に定める目安とされる敷地面積に占める数量の割合(最大でも約500㎡に1本)を上回っている。そして, 前記前提事実⑶イ,上記⑴ウ,証拠(甲45,乙14)及び弁論の全趣旨によれば,本件敷地の地層が変化しているとはいい難いから,ボーリング調査の本数も合理的な方法の範囲内であったということができる。 イ地盤の応力度,設計支持力(建築基準法施行令93条関係) 地盤の応力度,設計支持力について a 関 の本数も合理的な方法の範囲内であったということができる。 イ地盤の応力度,設計支持力(建築基準法施行令93条関係) 地盤の応力度,設計支持力について a 関係法令等の定め上記アaのとおり,建築基準法20条,建築基準法施行令93条等に基づき国土交通大臣が定める告示1113号第5は,基礎ぐいの許容支持力を定める方法を挙げている。 b 趣旨 その趣旨は,上記アbで述べたとおりである。 本件について上記⑴ア,イ,上記⑵アのとおり,本件敷地は,非液状化地盤であるものの,粘土質地盤であるDc5層(本件下部粘性土層)の上部に本件中間支持層があること,本件建築物の設計において場所打ちぐいが予定 されていることから,本件敷地における本件建築物の基礎ぐいの許容支 - 45 -持力を定めるに当たっては,告示式(告示1113号第5の1号の表㈡の定める数式及びこれに付随する数式)を適用すべきこととなる。 そして,上記⑴イのとおり,本件変更確認申請において添付資料とされた本件構造計算書には,本件基礎ぐい検討書を含み,「地盤応力度についての検討」として,①支持地盤下面における地盤の許容応力度が, 支持層下部粘性土(Dc5層〔本件下部粘性土層〕から得られた試料)の圧密降伏応力から推定有効土被り圧を控除した値を下回っていること,②基礎ぐいの設計支持力が基礎ぐいの周面摩擦力を考慮した上で支持地盤下面における地盤応力度を下回っていること等を審査し,建築物又は建築物の一部に有害な損傷,変形及び沈下が生じないことが確認さ れている。そして,その審査・確認に当たり,このような手法によることができない事情は見いだせない。 こと等を審査し,建築物又は建築物の一部に有害な損傷,変形及び沈下が生じないことが確認さ れている。そして,その審査・確認に当たり,このような手法によることができない事情は見いだせない。 さらに,上記⑴イのとおり,本件構造計算書は,長期許容鉛直支持力を計算式に基づいて算出し(別紙5参照),これに基づいて支持力計算一覧表(別紙6)を作成した上で,地盤の許容支持力(設計Ra)と実際 にかかる応力(くい1本当たりの軸力)(別紙4)とを対比して,前者が後者を上回るとしているところ,地盤の許容支持力(設計Ra)を算定するに当たって使用された計算式は,くいの自重(Wp)を控除している点で告示1113号に定める告示式とは異なるものの,実際にかかる応力(くい1本当たりの軸力)についても,告示1113号に定める告示 式とは異なってくいの自重を含まないものとしているから,本件構造計算書の計算式は,告示1113号に定める告示式と実質的には同じ意味内容であったということができる。そして,地盤の許容支持力(設計Ra)と実際にかかる応力(くい1本当たりの軸力)との対比の結果,いずれのくいについても,地盤の許容支持力(設計Ra)が実際にかかる応力(く い1本当たりの軸力)を上回っていることが確認されている(なお,以 - 46 -上は,長期に生ずる力に対する地盤の許容支持力に関するものであるが,長期に生ずる力に対する地盤の許容支持力を2倍にしたものが短期に生ずる力に対する地盤の許容支持力であるとされるから〔告示1113号第5の1号参照〕,短期に生ずる力に対する地盤の許容支持力についてみても,同様に,地盤の許容支持力〔設計Ra〕が実際にかかる応力〔く い1本当たりの軸力〕を上回っているということができる。)。 参照〕,短期に生ずる力に対する地盤の許容支持力についてみても,同様に,地盤の許容支持力〔設計Ra〕が実際にかかる応力〔く い1本当たりの軸力〕を上回っているということができる。)。 そうすると,本件構造計算書に記載された地盤の許容応力度並びに基礎及び基礎ぐいの許容支持力の数値及び算出方法は,告示式に適合するものであり,建築基準法令にかなうものといえる。 ウ基礎・地盤説明書の審査等 基礎・地盤説明書の審査等についてa 関係法令等の定め上記3⑴のとおり,建築確認は,確認申請書及び添付図書を対象として,建築物の建築計画の建築基準関係規定の適合性を審査するものであり,構造計算の確認審査は,適合判定通知書等の提出を受けた後 においては,基礎・地盤説明書に基づき,指針告示別表に定める審査すべき事項について審査するものとされる(指針告示第1の4項3号ロ)。 また,建築基準法6条の3第1項本文は,建築主は,同法6条1項の場合において,申請に係る建築物の計画が同法20条1項2号又は 3号に定める基準に適合するかどうかの確認審査を要するものであるときは,構造計算適合性判定の申請書を提出して都道府県知事(又は同法18条の2第1項の規定に基づき都道府県知事が指定する者)の構造計算適合性判定を受けなければならない旨を定める。 b 趣旨 建築確認の制度が設けられた趣旨は,上記1⑵でも述べたとおり, - 47 -建築物には建築基準法を始め多くの法令により公共の福祉等の観点から種々の規制が課されているところ,建築物の施工に先立って建築主事又は指定確認検査機関に対して確認申請書を提出することを建築主に義務付け,建築主事又は指 法を始め多くの法令により公共の福祉等の観点から種々の規制が課されているところ,建築物の施工に先立って建築主事又は指定確認検査機関に対して確認申請書を提出することを建築主に義務付け,建築主事又は指定確認検査機関が建築物の建築計画に係る建築基準関係規定の適合性を審査することによって,違反建築物の 出現を未然に防止し,建築物に対する規制の実現を図ろうとしたものである。 また,構造計算適合性判定審査制度が設けられた趣旨は,平成17年に発覚した構造計算書偽装事件を契機として,このような偽装を発見するためには,構造計算の過程等の詳細な審査や再計算を行う必要 があるところ,建築主事又は指定確認検査機関が単独でこれを行うことは困難であることから,建築主事又は指定確認検査機関による審査とは別に第三者で一定の技術力を有する者が構造計算の過程等の審査や再計算を実施することにより,構造計算の法規適合性のチェックを複層的に行おうとしたものである。 本件について前記前提事実⑷,⑹アのとおり,本件会社は,被告に対し,構造計算基準に適合している旨の記載がある本件構造計算適合判定通知書及び本件構造計算書等を提出して,本件変更確認申請について審査を受けた。 そして,前記前提事実⑶,上記⑴ア,イ,上記イにおいて説示したと ころに加え,原告らは基礎・地盤説明書に不足があるなどと主張していたもののその不足する部分を具体的に指摘していなかったこと(甲44,乙15の1~8)等の事情を総合すれば,本件会社から被告に提出された本件構造計算書(本件地質調査報告書及び本件基礎ぐい検討書を含む。)には,基礎・地盤説明書(建築基準法施行規則1条の3表3,指 針告示参照)に相当する事項(具体的には,①地 ら被告に提出された本件構造計算書(本件地質調査報告書及び本件基礎ぐい検討書を含む。)には,基礎・地盤説明書(建築基準法施行規則1条の3表3,指 針告示参照)に相当する事項(具体的には,①地盤調査方法及びその結 - 48 -果,②地層構成,支持地盤及び建築物の位置,③地下水位,④基礎の工法の種別,位置,形状,寸法及び材料の種別,⑤構造計算において用いた支持層の位置,層の構成及び地盤調査の結果により設定した地盤の特性値,⑥地盤の許容応力度並びに基礎及び基礎ぐいの許容支持力の数値及びそれらの算出方法)が記載されていたと推認することができる。そ して,上記各事情を総合すれば,本件構造計算書には,上記①~⑥のうち,上記④,⑥についてはそれらが建築基準法令の規定に適合し,上記⑤についてその内容が適切であることについても記載され,被告においてこれらの点を確認したものと推認することができる(なお,上記によれば,本件構造計算書には,⑦基礎ぐい等の構造耐力上主要な部分であ る部材に関する構造計算が建築基準法令の規定に適合していること,⑧基礎ぐい等の構造耐力上主要な部分である部材に生ずる力が応力計算書において適切に反映されていることについても記載があり,被告は,これらの点についても審査・確認したものと推認することができる。)。 さらに,上記各事情を総合すれば,被告は,申請書等(建築基準法施 行規則1条の3に規定する申請書並びに添えられた図書及び書類)と本件構造計算適合判定通知書等の記載事項が相互に整合していることについても,審査・確認したものと推認することができる。 したがって,被告が本件変更確認処分をするに際し,基礎・地盤説明書は不足なく提出され,その記載内容にも特段の不備があったとはいえ も,審査・確認したものと推認することができる。 したがって,被告が本件変更確認処分をするに際し,基礎・地盤説明書は不足なく提出され,その記載内容にも特段の不備があったとはいえ ないから,被告がした本件変更確認処分について,資料等の不足を看過したなどといった事情は認められない。 エ以上によれば,本件建築物の基礎地盤の安全性は,法令に適合するというべきである。 ⑷ 原告らの主張について これに対し,原告らは,①上記⑶アの関係で,本件敷地は地層が変化して - 49 -いるからボーリング調査の本数が3本では不足している,②上記⑶イの関係で,本件敷地に告示1113号に定める計算式(告示式)を適用することはできない(「地盤工学の知見等,適切な評価方法を用いて低減した先端支持力」〔甲48・573頁〕を適用しなければならない。)(その理由は3つあり,㋐基礎ぐいの支持層〔本件中間支持層〕が「薄層」で有効層厚比が3 以下であること,㋑基礎ぐい先端より下方に基礎ぐいの支持層と同等の地盤が続いていないこと,㋒基礎ぐいの下層の粘性土層に働く応力度qb について,被告は,一次元ではなく二次元のモデルを採用する一方で,面としての土質の均一性の検討を欠いていること,である。),③上記⑶イの関係で,本件に告示式を適用し得るとしても,基礎ぐい先端下部の地盤のN値は,N 値算定区間と同等とみなすことができないため(砂質土層を中間支持層とし,その直下でN値が小さい粘性土の地層を下部粘性土層とする薄層支持層・薄層支持ぐいが包含される。),告示式の薄層支持層の極限応力度qp=150/3・N―の部分を修正し,qp<150/3・N―を用いなければ適切な計算ができない,④上記⑶ウの関係で,被告は,本件変更確認処 いが包含される。),告示式の薄層支持層の極限応力度qp=150/3・N―の部分を修正し,qp<150/3・N―を用いなければ適切な計算ができない,④上記⑶ウの関係で,被告は,本件変更確認処分をするに当たり, 本件会社から「基礎・地盤説明書」として十分な内容が記載された図書の提出を受けず,これらを審査しないまま本件変更確認処分をした旨主張する。 そこで,以下,これらの点について検討する。 ア上記①(ボーリング調査の本数)について(上記⑶アの関係)原告らは,上記主張に沿う原告Fの陳述書(甲24,35)を提出する。 上記陳述書は,ボーリング柱状図によれば,各ボーリング調査が実施された3か所のみをみても,支持層厚が大きく変動しているとして,ボーリング調査の実施数の不足を指摘するものである。 しかし,上記⑶アにおいて説示したとおり,建築面積が1000㎡に満たない本件建築物について3本のボーリング調査が実施されていることに 照らせば,本件建築物に係るボーリング調査の本数が不足しているとは解 - 50 -し難いところであるし,本件において,ボーリング柱状図及び本件敷地の推定断面図等(前記前提事実⑶イ,乙11,12,14,17)によっても,深さ約58m付近に「粘土質砂」又は「砂」等の層があり,深さ約62mの位置から下方に「粘土」の層があり,両層の間に「粘土質砂」,「砂混り粘土」等の層がみられるものの,これらの層に特段の傾斜や起伏があ るとまではいえないから,上記3本のボーリング調査では調査本数に不足があるとまではいえないというべきである(なお,原告Fは,敷地全体の信頼できる地層構成断面図の作成が必須である旨も陳述するが〔甲64〕,上記に説示したところに照らせば,地層構成断面図 調査本数に不足があるとまではいえないというべきである(なお,原告Fは,敷地全体の信頼できる地層構成断面図の作成が必須である旨も陳述するが〔甲64〕,上記に説示したところに照らせば,地層構成断面図の作成が必須であるとまではいえない。)。 したがって,原告Fの上記陳述部分は採用することができず,原告らの上記主張は,理由がない。 イ上記②(告示式が適用されないこと,パンチング破壊のおそれがあること)について(上記⑶イの関係) 上記②㋐(有効層厚比が3以下であって,支持層が「薄層」であるこ と)についてa 支持層が「薄層」であることについて原告らは,上記主張に沿う原告Fの陳述書(甲11,35,64)を提出する。上記陳述書は,ボーリング柱状図によれば,基礎ぐいの底端部下方の支持層(本件中間支持層)はN値が低く,有効層厚比は 1かこれを下回るのであって,有効層厚比が3以下であるから,告示式を適用することはできないとし,支持層(本件中間支持層)が「薄層」であるから支持層突き抜け等を生ずるおそれがある,あるいは,ボーリング柱状図3によれば,支持層(本件中間支持層)が「薄層」であることから,くい先端が砂層に根入れされた状態にない一方で, Dc5層(本件下部粘性土層)を支持層とする設計もされていないと - 51 -いうものである。 しかし,告示1113号第5は,その適用に当たり,原告らが指摘するような有効層厚比の数値要件を設けていない。そして,上記有効層厚比の値が小さい場合に支持層突き抜け等のおそれを指摘する「大阪府構造計算適合性判定指摘事例集-よくある指摘事例とその解説- 2016年版」(甲57〔大阪府,一般財団法人大阪建築防災センタ 層厚比の値が小さい場合に支持層突き抜け等のおそれを指摘する「大阪府構造計算適合性判定指摘事例集-よくある指摘事例とその解説- 2016年版」(甲57〔大阪府,一般財団法人大阪建築防災センター,一般財団法人日本建築総合試験所,一般財団法人日本建築センター作成,大阪府内建築行政連絡協議会,一般社団法人日本建築構造技術者協会関西支部協力〕)においても,この点について,「5.6 杭先端の地盤と支持力」の解説の中で,「3. 2層地盤の支持力の算 定について」として,「N値は大きいが薄い砂質土層を中間支持層とし,その直下でN値が小さい粘性土の地層を下部粘性土層とする場合…には支持力と圧密沈下の両方の確認が必要となる。既往の研究ではH/D…が2以下ではパンチング破壊の可能性が高く,3以上になると下部粘性土層の影響は小さくなっていくとの研究があるが,中間支 持層と下部粘性土層の剛性によりその影響は異なる。学会基礎指針や2015技術基準においても明確な設計法は定められてはいない。」とされており(なお,既往の研究として,甲36~38,乙8参照),この項目のランクは「B」であり(ランクは「A-1」,「A-2」,「B」,「無」に分けられ,上から順に設計図書での遵守要求度が高 い。),設計者の対応としては「本書と別の方法で設計しても可。その内容を判定図書に反映。」とされている(前記前提事実⑷参照)。 むしろ,一般に,場所打ちコンクリートぐいの支持力(支持力算定式による単くいの鉛直支持力)は,極限先端支持力度と極限周面抵抗力度から成るところ,極限先端支持力度は,くい下方の支持層厚が先 端径に対して十分に厚い場合と,支持層厚が薄い場合(薄層支持)と - 52 -で異なり,くいの先端支持力は,支持層厚比がある限界 から成るところ,極限先端支持力度は,くい下方の支持層厚が先 端径に対して十分に厚い場合と,支持層厚が薄い場合(薄層支持)と - 52 -で異なり,くいの先端支持力は,支持層厚比がある限界値よりも小さくなるとくい下方の支持層の土塊が下部層に貫入する破壊を伴って低下するために,薄層支持層の先端支持力は,鉛直載荷試験を行って求めるか,支持層の強度と支持層厚比及び下層の強度等を適切に考慮して算定する必要があるものの,中間的な支持層に根入れされた先端支 持主体のくい基礎も選択肢の1つとされている(上記⑴エ)。そして,本件中間支持層の内容(前記前提事実⑶イ),Dc5層(本件下部粘性土層)の内容(前記前提事実⑶イ),本件中間支持層に至るまでの複数の砂質土層・「礫混り砂」の層の内容(前記前提事実⑶イ,)等を前提に,本件の場所打ちコンクリートぐいの支持力(支 持力算定式による単くいの鉛直支持力)に関する極限先端支持力度と極限周面抵抗力度を検討すると,本件計画においては,上記⑶イのとおり,地盤応力度について,Dc5層(本件下部粘性土層)の圧密降伏応力の観点から,推定有効土被り圧と支持地盤下面における地盤の応力度の和が上記圧密降伏応力を下回っていることが確認され,ま た,支持層下部粘性土地盤の許容支持力度の観点から,支持地盤下面における地盤の応力度が上記許容支持力度を下回っていることが確認されたというのである(なお,ボーリング柱状図3によればくい先端が砂層に根入れされていないとする陳述部分〔甲64〕もあるが,同柱状図によれば,基礎ぐいの先端付近の層は,「砂」,「砂質粘土」 及び「砂混り粘土」であって,粘土層に留め置かれているとはいえない上,標準貫入試験の結果によればN値は90~120程度であるから〔乙11, ば,基礎ぐいの先端付近の層は,「砂」,「砂質粘土」 及び「砂混り粘土」であって,粘土層に留め置かれているとはいえない上,標準貫入試験の結果によればN値は90~120程度であるから〔乙11,12,14〕,同陳述部分が指摘する点を考慮しても,本件中間支持層を支持層として位置付けることができるというべきである。)。 したがって,原告Fの上記陳述部分は採用することができず,原告 - 53 -らの上記主張は理由がない。 b 本件構造計算書中の地盤応力度について⒜ くいの長さ,tanθの数値原告らは,上記主張に沿う原告Fの陳述書(甲63〔5頁〕)を提出する。上記陳述書は,本件構造計算書中の「地盤応力度につい ての検討」(乙14・4-81~82)について,㋐その記載中の支持層下部粘性土層の天端がGL-61.30m,くい先端がGL-59.87mとされ,これによりL(基礎ぐい先端から支持層下部粘性土層の天端までの距離)=1.43mが導かれているが,これはくいの長さが60mとされる点と整合しない(原告らがL=1. 1であるべきである旨主張している点を措くとしても,くいの長さから「L=1.3」とすべきであるところ,上記「L=1.43m」という,根拠のない,申請者に有利な数値としている。),㋑その記載中の数式において,「tanθ=0.5」とされている点は,安全側ではなく危険側の数値であるから,「tanθ=0.3」が用いられ るべきであるとするものである。 しかし,上記指摘に係る数値の具体的適用は,「地盤応力度についての検討(概算)」(乙14・4-82)においてされるところ,上記㋐・㋑について,「L=1.3」,「tanθ=0.3」の数値を用いた しかし,上記指摘に係る数値の具体的適用は,「地盤応力度についての検討(概算)」(乙14・4-82)においてされるところ,上記㋐・㋑について,「L=1.3」,「tanθ=0.3」の数値を用いたとしても,支持層下部粘性土地盤の許容支持力度を下回るか ら,結論に影響するものではない。 また,本件構造計算書中の「地盤応力度についての検討」(乙14・4-81~82)において,L=1.43とされたのは「GL」を基準として,くい長57.900mを考慮したことによるものと解されるし,「tanθ=0.5」とされたのは,一般に「tanθ」が 0.3~0.5とされ(甲34,57),専門的見地から数値が選 - 54 -択された結果であって,この点に一般的な基準を逸脱したような格別の不合理があるとは解されない。この点に関し,原告らは,「tanθ=0.5」が危険側の評価となり得る数値であるとの指摘(甲37~39)を引用するが,同指摘自体が少ない実験数に基づくものである上に(甲37,39),原告らにおいても,一般に許容され る範囲内の数値から専門的見地に基づいて選択された当該数値(「tanθ=0.5」)を本件に適用することができない具体的事情を十分に主張・立証しているとはいえないから,「tanθ=0.5」を採用したこと自体に不備があるということはできない。 したがって,原告Fの上記陳述部分は採用することができず,原 告らの上記主張は,理由がない。 ⒝ 乙14号証・4-81原告らは,上記主張に沿う原告Fの陳述書(甲63〔1~2頁〕)を提出する。上記陳述書は,乙14号証・4-81を根拠として下部粘性土層に作用する有効上載圧と下部粘性土層の圧密降伏応力と の比較に 告らは,上記主張に沿う原告Fの陳述書(甲63〔1~2頁〕)を提出する。上記陳述書は,乙14号証・4-81を根拠として下部粘性土層に作用する有効上載圧と下部粘性土層の圧密降伏応力と の比較によって「下部粘性土層の支持力」の検討を行っているとする被告の主張は,乙14号証・4-81は「圧密沈下」の検討を示すものであって,見当違いであるとするものである。 しかし,支持力の検討手法として,くい先端を層厚の薄い支持層(本件中間支持層がこれに相当する。)にとどめ,下部に粘性土層 (Dc5層〔本件下部粘性土層〕がこれに相当する。)がある場合に,いわゆる2層地盤の先端支持力の算定について圧密沈下の検討をすることも提唱されているところであって(上記⑴エ),このような手法も,支持力の1つの検討方法として十分に考えられるところである。 したがって,原告Fの上記陳述部分は採用することができず,原 - 55 -告らの上記主張は,理由がない。 ⒞ 乙14号証・4-82原告らは,上記主張に沿う原告Fの陳述書(甲63〔4頁〕)を提出する。上記陳述書は,㋐乙14号証・4-82の表・計算式は,βqu=879.2kN/㎡,β=1/3とするものであるから,qu= 879.2×3=2637.6kN/㎡となるところ,同計算式中にある粘着力C=181.0kN/㎡の数値を前提として,日本建築学会『建築基礎構造設計指針』に紹介されている計算式により極限先端支持力度(極限先端支持力度qu=6・Cu〔Cu:非排水せん断強さ。 粘着力C〕)を求めると,qu=6・Cu=6×181.0=1086 kN/㎡となるから,上記表・計算式によるβqu の値がそもそも高すぎ,上記βqu の数値は安全率 〔Cu:非排水せん断強さ。 粘着力C〕)を求めると,qu=6・Cu=6×181.0=1086 kN/㎡となるから,上記表・計算式によるβqu の値がそもそも高すぎ,上記βqu の数値は安全率(β=1/3)と耐力係数を混同している,㋑根拠が定かでない設計支持力(Ra=1万2600kN)を基に設定した数値をくい先端の許容支持力Rp=5000kN としており,更にこれを基に算定した支持層底面が下部粘性土層に作用する 応力度(計算表中のp’’,p’’=Rp/Ab)と下部粘性土層の極限支持力度を検討式(p’≦β・qu〔qb≦β・qu〕)で検討する点で誤っている,とするものである。 しかし,上記㋐についてみると,仮に,原告Fの指摘に基づき,乙14号証・4-82の表中において,同指摘が誤っているとする 「βqu=879.2kN/㎡」の数値を同指摘が適正とする「βqu=724kN/㎡」に置き換えたとしても,これにより導かれる同表の「判定」欄に示される結論に影響を及ぼすものではない。そして,証拠(甲39,57)中には「qu」と「6・Cu」と「5.1αCu+γDf/β」をおおむね同旨とする記述もみられるから(なお,甲3 9号証の「qp」と甲57号証の「qu」が同義であると解される。), - 56 -「5.1αCu+γDf/β」の数式によって得られる数値が,くい先端が粘性土の場合に,「qu」,「6・Cu」によって得られる数値より大きくなるとしても(甲63〔原告Fの陳述書〕),同数式を用いることが相当でない旨の一般的知見が確立しているとはいえない(上記⑴エ)。 また,上記㋑についてみると,上記⑴イ,上記⑶イのとおり,設計支持力は,別紙5(長期許容鉛直支持力表)等の計算に基づいて整理さ 見が確立しているとはいえない(上記⑴エ)。 また,上記㋑についてみると,上記⑴イ,上記⑶イのとおり,設計支持力は,別紙5(長期許容鉛直支持力表)等の計算に基づいて整理された別紙6(支持力計算一覧表)に基づくものであって,これに別紙5(長期許容鉛直支持力表)中の周面摩擦力(ただし,摩擦を考慮する範囲に該当する部分に限る。)を導いて摩擦部分を 検討し,設計支持力から周面摩擦力を控除した残部をもって先端部分の地盤応力度を検討するものであって,このような検討手法に格別不適切な点があるとはいえない。 したがって,原告Fの上記陳述部分は採用することができず,原告らの上記主張は,理由がない。 ⒟ 乙14号証・4-82と乙14号証・4-20との関係原告らは,上記主張に沿う原告Fの陳述書(甲63〔4頁〕)を提出する。上記陳述書は,申請者が乙14号証・4-82において粘着力(非排水せん断強さ)C(Cu)=181.0kN/㎡とする一方で乙14号証・4-20において極限支持力度qu――=145~20 0kN/㎡としているが,一般にCu=qu×1/2で説明されることから,食い違いが生じているとするものである。 しかし,上記のように「Cu=qu×1/2」の一般式が成立するとしても,粘性土層の非排水せん断強さ(Cu)の上限値は100kN/㎡以上となることが想定される一方で(上記⑴エ),qu――の上限は 200kN/㎡とされていること(告示1113号第5,乙14・4 - 57 --20)に照らせば,原告Fが食い違いであると指摘する点もqu――の値に上限値が設定されたことによるものと理解することができる(このことは,乙14号証・4 3号第5,乙14・4 - 57 --20)に照らせば,原告Fが食い違いであると指摘する点もqu――の値に上限値が設定されたことによるものと理解することができる(このことは,乙14号証・4-20だけでなく,乙14号証・4-40,乙14号証・4-60についても同様であると考えられる。)。 したがって,原告Fの上記陳述部分は採用することができず,原告らの上記主張は,理由がない。 ⒠ 薄層支持の先端支持力原告らは,上記主張に沿う原告Fの陳述書(甲64)を提出する。 上記陳述書は,次のような内容である。すなわち,本件中間支持層 は薄層であるから,くいの根入れをしただけで,くいが突き抜け,地盤の許容支持力(Ra=qp・Ap+1/3・RF)につき,告示式の基礎ぐいの先端の先端(本件中間支持層)の許容応力度(qp〔kN/㎡〕=150/3・N―)を適用することはできない。支持層の下にあるDc5層(本件下部粘性土層)の極限支持力度を適用しなければなら ない。一軸圧縮強度を求め(平均N値-標準偏差/2),非排水せん断強さ(Cu=1/2・qu)により,支持層下方粘性土の極限支持力度を算出し,これを長期に生ずる地盤の許容支持力Ra は基礎ぐいの極限支持力Ru の1/3,極限支持力Ru は極限先端支持力Rp とくい周面の摩擦力RF の和,そして,極限先端支持力Rp が極限先端 支持力度qpc とくい先端の有効面積Ap の積で示すとして,これらを長期に生ずる地盤の許容支持力Ra を求める下記の式にまとめるべきである。そして,これに,X2Y1の位置のP1cのくい,ボーリング柱状図1を前提として,H=1.1(m),D=2.8(m),tanθ=0.3を当てはめると,Ra=9500. る下記の式にまとめるべきである。そして,これに,X2Y1の位置のP1cのくい,ボーリング柱状図1を前提として,H=1.1(m),D=2.8(m),tanθ=0.3を当てはめると,Ra=9500.8(kN)となり,これ とP1cのくいの総軸力(軸重1万0511.4kN とくいの自重2 - 58 -197.9kN の合計1万2709.3kN)を比較すると,総軸力が許容支持力Ra を上回り,危険であることが確認される。 記一軸圧縮強度:qu=12.5・Nc=150(kN/㎡)非排水せん断強さ:Cu=1/2・qu=75(kN/㎡) 支持層下方粘性土の極限支持力度:qc=6・Cu=450(kN/㎡)Ra=1/3・Ru=1/3・(Rp+RF)=1/3・(qpc・Ap+RF)=1/3・({1+2(H/D)tanθ}2・qc・Ap+RF)しかし,原告Fの上記陳述部分が採用できないことは上記イa,b⒜で説示したとおりである。 したがって,原告Fの上記陳述部分は採用することができず,原告らの上記主張は,理由がない。 ⒡ 以上のとおりであるから,原告らの上記⒜~⒠の主張は,いずれも理由がない。 上記②㋑(同等の地盤が続いていないこと)について 原告らは,上記主張に沿う原告Fの陳述書(甲52)を提出する。上記陳述書は,告示式(支持力算定式)の適用に当たり,くい先端以深にN値算定区間と同等の地盤が続くことが前提とされ,くい先端下部地盤のN値がN値算定区間と同等以上とみなすことができない以上,地盤工学の見地等,適切な評価方法を用いて低減した先端支持力を適用すべき N値算定区間と同等の地盤が続くことが前提とされ,くい先端下部地盤のN値がN値算定区間と同等以上とみなすことができない以上,地盤工学の見地等,適切な評価方法を用いて低減した先端支持力を適用すべき ところ,被告(申請者)が採用したN値算定区間(ボーリング柱状図1参照。くい先端の上4D’,下1D’)の平均N値は26.3であるのに対し,くい先端下部地盤(くい先端より下方に5D’=14m)のN値の平均は18であるから,くい先端下部地盤のN値をN値算定区間と同等以上とみなすことができない以上,低減した先端支持力の数値を適 用しなければならないにもかかわらずこれをしていないとするものであ - 59 -る。 しかし,『2015年版建築物の構造関係技術基準解説書』(甲48)573頁に上記と同旨の記載が存するものの,その記載は,告示1113号第6に関し,直接的には告示1113号第5に定める工法(打込みぐい,セメントミルク工法による埋込みぐい及びアースドリル工法等に よる場所打ちぐい)によらない工法を採用した場合における基礎ぐいの許容支持力等について言及したものであるから,当該記載をもって告示1113号第5(本件について,上記⑶イ)に定める告示式の適用範囲を直ちに画するものと解することはできない。 むしろ,『2015年版建築物の構造関係技術基準解説書』(甲48) 569頁には,告示1113号第5に関し,「支持力算定式の適用に際しては,先端地盤が支持層と判断される層厚であることを確認する。層厚の考え方に関しては本告示第6に示す性能評価を取得した場合における扱い…も参考とできる。十分な層厚と判断されない場合は,地盤条件を適切に評価し,有害な沈下が生じないことを確認することが必要であ る。」と記 ては本告示第6に示す性能評価を取得した場合における扱い…も参考とできる。十分な層厚と判断されない場合は,地盤条件を適切に評価し,有害な沈下が生じないことを確認することが必要であ る。」と記述されるにとどまる上,上記⑴イ,上記⑶イのとおり,本件構造計算書の「基礎の設計」には,「杭先端下方の粘性土への影響に対する検討」がされており,くいによる増加応力と粘性土の地盤の許容支持力及び圧密降伏応力との比較が行われており,くいの荷重を含めても圧密降伏応力を下回ることが確認されているというのである(上記⑴ イ)。 したがって,原告Fの上記陳述部分は採用することができず,原告らの上記主張は,理由がない。 上記②㋒(qb についての被告主張の問題点)について原告らは,基礎ぐいの下層の粘性土層に働く応力度qb について,被告 は,一次元ではなく二次元のモデルを採用する一方で,面としての土質 - 60 -の均一性の検討を欠いている旨主張する。 しかし,上記⑴ア,⑵アのとおり,本件地質調査報告書の記載内容の信用性を肯定することができるところ,上記⑶アのとおり,本件敷地の地層が変化しているとはいい難い。そうすると,本件地質調査報告書に基づいてされた基礎ぐいの下層の粘性土層に働く応力度qb の検討が, 面としての土質の均一性の考慮を欠いているということはできない。 したがって,原告らの上記主張は,理由がない。 ウ上記③(告示式の修正の必要性)について(上記⑶イの関係)原告らは,上記主張に沿う原告Fの陳述書(甲63)を提出する。上記陳述書は,『2015年版建築物の構造関係技術基準解説書』(甲48) 569頁の「支持力の算定式の適用に際しては, 原告らは,上記主張に沿う原告Fの陳述書(甲63)を提出する。上記陳述書は,『2015年版建築物の構造関係技術基準解説書』(甲48) 569頁の「支持力の算定式の適用に際しては,先端地盤が支持層と判断される層厚であることを確認する。層厚の考え方に関しては本告示第6に示す性能評価を取得したくいにおける扱い…も参考とできる。十分な層厚と判断されない場合は,地盤条件を適切に評価し,有害な沈下が生じないことを確認することが必要である。」との記載に照らせば,下部粘性土層 の支持力の検討に必要となる基礎ぐい先端における地盤の極限応力度qpについて,告示1113号第5のqp=150/3・N―〔kN/㎡〕の方法によることはできず,qp<150/3・N―の設定値を適用すべきであり,本件の薄層支持層・薄層支持ぐいに関する乙14号証の「基礎杭の検討書(乙14・4-13~108)」において,くい先端の極限支持力をRp=15 0・N―・Ap として告示式qp=150/3・N―を適用している点は,建築基準関係規定に適合していないこととなるとするものである。 しかし,告示式を適用し得ること,本件中間支持層を支持層として位置付けることができることは,上記イのとおりである。 したがって,原告Fの上記陳述部分は採用することができず,原告らの 上記主張は,理由がない。 - 61 -エ上記④(基礎・地盤説明書)について(上記⑶ウの関係)原告らは,上記主張に沿う原告Dの陳述書(甲59,62)を提出する。 上記陳述書は,被告による本件変更確認処分における審査が本件構造計算適合判定通知書の存在にのみ依拠するものであり,本件変更確認処分の際に被告が審査の対象とした「面積求積図⑵」に ,62)を提出する。 上記陳述書は,被告による本件変更確認処分における審査が本件構造計算適合判定通知書の存在にのみ依拠するものであり,本件変更確認処分の際に被告が審査の対象とした「面積求積図⑵」について不自然な記載(図中 の②とされる部分の記載が求積表には欠落している。)があるなど,ずさんな申請であったことを指摘するものである。 しかし,構造計算適合性判定制度の内容は別紙2(関係法令等の定め)の1⑶,3⑵,5⑶のとおりであり,その趣旨は上記⑶ウbのとおりであるところ,本件においては,前記前提事実⑷のとおり構造計算適合性判 定がされていること,一般に構造計算適合性判定については事前相談も認められていること(別紙2〔関係法令等の定め〕の5⑶)等に照らせば,本件建築物の構造計算適合性判定は,適正に行われたものと優に肯認することができる。 したがって,原告Dの上記陳述部分は採用することができず,原告らの 上記主張は,理由がない。 オ以上のとおり,原告らの上記各主張は,いずれも理由がない。 ⑸ 小括以上のとおり,本件建築物の基礎地盤の安全性は,法令に適合するというべきである。 5 争点4(本件建築物の容積率が法令に適合するか否か)について⑴ ベランダについてア検討 a 建築物についての容積率の上限の定め建築基準法52条1項,2項は,建築物について容積率の上限を定 めるところ,「容積率」とは,建築物の延べ面積の敷地面積に対する - 62 -割合とされ(同条1項),「延べ面積」とは,建築物の各階の床面積の合計によるとされ(建築基準法施行令2条1項4号),「床面積」とは,建築物の各階又はその一部で「壁その他の区画の中心 - 62 -割合とされ(同条1項),「延べ面積」とは,建築物の各階の床面積の合計によるとされ(建築基準法施行令2条1項4号),「床面積」とは,建築物の各階又はその一部で「壁その他の区画の中心線で囲まれた部分」の水平投影面積によるとされる(同項3号)。その上で,建築基準法52条3項~15項,建築基準法施行令135条の14~ 135条の19において,容積率を算定するための具体的な方法が定められている。建築物についての容積率の制限は,市街地の環境を維持するとともに,建築物と道路等の公共施設とのバランスを取ること等を目的としたものである。 b 趣旨 このように,床面積を算定するに当たって「壁その他の区画の中心線で囲まれた部分」の水平投影面積によるものとされたのは,「壁その他の区画の中心線で囲まれた部分」が,一般には建築物の屋内的用途に供されていることに基づくものと解される。 a ところで,本件において,本件建築物のベランダ等について,幅2 mまでの部分を床面積に算入しないとする点については,当事者間に争いがない。このことは,昭和61年4月30日建設省住指第115号住宅局建築指導課長通知(甲33)が,ベランダ等については,外気に有効に開放されている部分の高さが1.1m以上であり,かつ,天井の高さの2分の1以上であるものについては,幅2mまでの部分 を床面積に算入しないものとする旨を定めていることとも整合する。 もっとも,ベランダ等について幅2mまでの部分を床面積に算入しないとする当該部分の特定方法については,法令等に具体的な言及がない(上記通知は上記建築基準法施行令2条1項3号の趣旨を踏まえたものと解されるが,上記床面積に算入しない扱いとなる幅2mまで ないとする当該部分の特定方法については,法令等に具体的な言及がない(上記通知は上記建築基準法施行令2条1項3号の趣旨を踏まえたものと解されるが,上記床面積に算入しない扱いとなる幅2mまで の部分をどのようにして特定するかという点について具体的な言及は - 63 -ない〔甲33参照〕。)。 b そこで検討すると,上記のとおり,床面積は,「建築物の各階又はその一部」として特定の階又は特定の部分に限定された概念であって,一般に屋内的用途に供されているか否かという観点からその範囲が画されることに加え,上記のような容積率制限の目的に照らせば, 建築基準法,建築基準法施行令は,ベランダ等について幅2mまでの部分を床面積に算入しないとする当該部分の特定方法として,これを当該限定の内容に応じた合理的な方法により決することで足りるとする趣旨であると解される。 そうすると,2階以上の階のベランダ等について,床面積に算入しな い扱いとなる幅2mまでの部分の特定方法(測定方法)として,ベランダ等の手すり部分の延長線を想定し,その延長線を基準に幅2mの範囲を特定(測定)する方法(別紙7参照)は,平たんなベランダ等の用途が一般に屋内的用地に供されているか否かを直線的に画するものとして有用であり,合理性を有する一方法として許容されているということが できる。 したがって,被告が,本件変更確認処分において,別紙8の「容積未算入エリア」の部分について,これを延べ面積に加算することなく本件建築物の容積率を算出したことは,適法である。 イ原告らの主張について これに対し,原告らは,居住バルコニーの隅部分(別紙8の「容積未算入エリア」の部分)の合計面積(1.846㎡)を本件建 出したことは,適法である。 イ原告らの主張について これに対し,原告らは,居住バルコニーの隅部分(別紙8の「容積未算入エリア」の部分)の合計面積(1.846㎡)を本件建築物の床面積に加算すると,その合計は7684.886㎡となるから,これを前提として,敷地面積2561.12㎡との関係での本件建築物の容積率を求めると300.06%となる旨主張し,これに沿う原告Dの陳述書(甲60) を提出する。 - 64 -しかし,原告らの主張する床面積の特定方法が法令の解釈として一義的に導かれ被告の床面積の特定方法が法令の解釈として一義的に誤っているなどといえないことは,上記アで説示したとおりである(甲58号証は,上記アaと同旨のことを述べたものである。また,甲61号証は,原告らの主張に沿う方法のみを挙げているのではなく,別の方法が基本である が原告らの主張に沿う方法とすることもできる旨述べたものである。)。 したがって,原告Dの上記陳述部分は採用することができず,原告らの上記主張は理由がない。 ⑵ 手洗い場についてア検討 上記3⑴において説示したとおり,建築確認申請に対する審査は,確認申請書及び添付図書を対象として,建築物の建築計画の建築基準関係規定の適合性を審査するものであるところ,証拠(甲1,46,47,59,弁論の全趣旨)によれば,被告は,本件変更確認処分をするに当たり「床面積求積図」を含む必要となる資料等の提出を受け,これらを審査したこ と,ベランダに設置される手洗い場には格別囲い等が設けられていないこと,審査の結果,本件建築物の容積率が299.99%であって,容積率の制限の範囲内であるとして本件変更確認処分をしたことが認められる と,ベランダに設置される手洗い場には格別囲い等が設けられていないこと,審査の結果,本件建築物の容積率が299.99%であって,容積率の制限の範囲内であるとして本件変更確認処分をしたことが認められる。 本件建築物のベランダの幅はおおむね1.8mであり(甲59,60,弁論の全趣旨),上記⑴アのとおり,このようなベランダは容積率の算定 に当たって床面積として考慮しない扱いが可能であるところ,このように容積率の算定に当たって床面積として考慮しない扱いがされる理由は,当該部分が一般に建築物の屋内的用途に供されているとはいえないことによるものである。 そうすると,ベランダに設置される手洗い場は,それだけで一般に建築 物の屋内的用途に供されているということにはならず,ベランダに設置さ - 65 -れる手洗い場の水平投影面積を本件建築物の床面積に加算しない扱いは,合理性を有する一方法として許容されているということができる。 したがって,被告が,本件変更確認処分において,ベランダに設置される手洗い場の部分について,これを延べ面積に加算することなく本件建築物の容積率を算出したことは,適法である。 イ原告らの主張についてこれに対し,原告らは,ベランダに設置される手洗い場の水平投影面積は,当該手洗い場が本件建築物の共用廊下・共用階段ではなく,これらが存在する専有部分の居住者の独占的利用に供されることを理由として,本件建築物の容積率を算定する際の延べ面積に加算されるべきであり,これ を加算しないで算出された容積率に基づく本件変更確認処分には容積率制限に違反している,ベランダに設置される手洗い場の水平投影面積は,当該手洗い場が本件建築物の共用廊下・共用階段ではなく,これらが存在す 加算しないで算出された容積率に基づく本件変更確認処分には容積率制限に違反している,ベランダに設置される手洗い場の水平投影面積は,当該手洗い場が本件建築物の共用廊下・共用階段ではなく,これらが存在する専有部分の居住者の独占的利用に供されることを理由として,本件建築物の容積率を算定する際の延べ面積に加算されるべきである旨主張する。 また,原告Fは,これと同旨の陳述をする(甲47)。 しかし,床面積を算定するに当たって「壁その他の区画の中心線で囲まれた部分」の水平投影面積によるものとされた趣旨は上記⑴アで説示したとおりである。また,建築基準法52条6項は,共同住宅の共用の廊下又は階段の用に供する部分は建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積に 算入しない旨規定するものの,その趣旨は,共同住宅の廊下又は階段が屋外に設けられるか内部に設けられるかによって容積率算定の取扱いを異にすることの不合理性を解消するというものであるから,同項の規定が共同住宅の廊下又は階段以外の共用部分である,ベランダに設置される手洗い場に当然に適用又は準用されるものではない。これらの事情に照らせば, 共同住宅のベランダに設置される手洗い場に関する延べ面積の加算の有無 - 66 -が居住者の独占的利用に供されるか否かによって決せられるものではないというべきである。 さらに,上記アで説示したとおり,本件建築物のベランダの幅はおおむね1.8mであり(甲59,60,弁論の全趣旨),容積率の算定に当たって床面積として考慮しない扱いが可能である。そして,このように容積 率の算定に当たって床面積として考慮しない扱いは,当該部分が一般に建築物の屋内的用途に供されているといえるか否かによるものと考えられるところ,囲い等を設置することなく単 そして,このように容積 率の算定に当たって床面積として考慮しない扱いは,当該部分が一般に建築物の屋内的用途に供されているといえるか否かによるものと考えられるところ,囲い等を設置することなく単に手洗い場を設けただけで建築物の屋内的用途に供されているということにはならない。 したがって,原告Fの上記陳述部分は採用することができず,原告らの 上記主張は,理由がない(この点に関し,原告Dは,本件建築物の住戸のタイプの1つであるD2タイプの居室前の空間が本件建築物の容積率を算定するに当たって延べ面積に加算されるべきである旨陳述するが〔甲59〕,当該指摘は,販売会社のウェブサイト上に表示された図を根拠とするものであって,本件変更確認処分がされた時点の資料ではないから,同 陳述部分は採用することができない。)。 ⑶ 小括したがって,被告が,本件変更確認処分において,別紙8の「容積未算入エリア」の部分について,これを延べ面積に加算することなく本件建築物の容積率を算出したことは,適法である。 6 争点5(本件各処分は開発許可を経た上でされたものであるか否か)について⑴ 認定事実前記前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア開発許可処分 - 67 -G市長は,令和元年7月26日付けで,本件会社に対し,開発許可処分(令和元年7月26日G市指令建第1-961号)をし,同年8月2日付けで,都市計画法37条に定める建築物を建築することに支障がない旨を承認した(令和2年8月2日G市指令第2-125号)。 上記開発許可処分は,開発区域に含まれる地域の名称及び面積を「α市 (住所省略)並びに水路敷」,「面積32 ることに支障がない旨を承認した(令和2年8月2日G市指令第2-125号)。 上記開発許可処分は,開発区域に含まれる地域の名称及び面積を「α市 (住所省略)並びに水路敷」,「面積3279.70㎡」とし,予定建築物を「共同住宅(分譲117戸)」とするものであった。 なお,上記開発許可は,令和2年4月15日付けで,許可を受けた者の商号が「L株式会社」に変更されるとともに,その工事施行者が「M株式会社」に決定された。(以上につき,乙5) イ本件変更確認申請に当たっての開発許可に係る証明書の提出本件会社は,本件変更確認申請をするに当たり,被告に対し,上記アの開発許可に係る証明書を提出した。なお,本件変更確申請に係る建築計画概要書には,「許可・認定等」として「都市計画法29条:G市指令建第1-961号令和元年7月26日」との記載がある。(甲46,乙5,弁 論の全趣旨)⑵ 検討前記前提事実⑵,⑹ア,上記⑴ア,イによれば,上記⑴アの開発許可処分は,その開発区域に含まれる地域の名称及び面積が「α市(住所省略)並びに水路敷」,面積が「3279.70㎡」とされ,予定建築物を「共同住宅 (分譲117戸)」とするものであって,対象となる地域及び名称並びに予定建築物について,本件変更確認処分に係る建築計画(本件敷地の地名地番を「大阪府α市β町(住所省略),水路敷」,敷地面積を2561.12㎡〔建築面積902.42㎡〕,主要用途を「共同住宅」とするものである。)に沿うものとなっている。そして,本件変更確申請に係る建築計画概要書に は,上記開発許可処分を経た旨の記載(「都市計画法29条:G市指令建第 - 68 -1-961号令和元年7月26日」)がある。 した そして,本件変更確申請に係る建築計画概要書に は,上記開発許可処分を経た旨の記載(「都市計画法29条:G市指令建第 - 68 -1-961号令和元年7月26日」)がある。 したがって,本件変更確認処分は,本件敷地に係る地名地番について,本件建築物を予定建築物として,都市計画法29条に定める開発許可を経た上でされたものであると認められる。 ⑶ 原告らの主張について これに対し,原告らは,本件建築物は,戸建て住宅を予定建築物として開発許可を取得した開発区域に建設されている旨主張し,これに沿う証拠であるとして開発登録簿(甲5)を提出する。 しかし,上記開発登録簿(甲5)に記載された開発区域に含まれる地域の名称及び面積は,「α市β町(住所省略)並びに里道敷及び水路敷」,「面 積772.50㎡」とされ,予定建築物が「専用住宅(2戸)分譲」とされており,本件変更確認処分における本件敷地,予定建築物(前記前提事実⑵)とは,地名地番のみならず予定建築物を異にするものである。 したがって,原告らの主張は,理由がない。 ⑷ 小括 以上のとおり,本件変更確認処分は,本件敷地について,本件建築物を予定建築物として,都市計画法29条に定める開発許可(なお,同法37条1号に定める承認を含む。)を経た上でされたものであって,本件変更確認処分は,建築基準法6条,6条の2,18条,建築基準法施行令9条12号,都市計画法29条1項に適合するものといえる。 7 まとめ本件各訴えのうち,本件確認処分の取消しを求める訴え(第1事件)は,訴えの利益が認められないから(上記1),争点1~5について判断するまでもなく,不適法である。 本件各訴えのうち,本件変更確認処分の えのうち,本件確認処分の取消しを求める訴え(第1事件)は,訴えの利益が認められないから(上記1),争点1~5について判断するまでもなく,不適法である。 本件各訴えのうち,本件変更確認処分の取消しを求める訴え(第2事件)は, 原告らに原告適格が認められるものの(争点1),本件変更確認処分は適法で - 69 -あるから(争点2~5),理由がない。 第4 結論よって,本件各訴えのうち本件確認処分の取消しを求める部分はいずれも不適法であるからこれらを却下し,原告らのその余の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部 裁判長裁判官山地修 裁判官新宮智之 裁判官関尭熙(別紙1ないし同8省略)
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