平成16(ワ)518 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成18年4月28日 名古屋地方裁判所
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判決文本文34,093 文字)

平成18年4月28日判決言渡平成16年(ワ)第518号損害賠償請求事件主文 被告Aは,原告Bに対し,2518万0993円及びこれに対する平成15年1月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告Aは,原告Cに対し,1215万8996円及びこれに対する平成15年1月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告Aは,原告Dに対し,1215万8996円及びこれに対する平成15年1月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告Aは,原告Eに対し,110万円及びこれに対する平成15年1月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告らの被告Aに対するその余の請求並びに被告F,被告社団法人G及び被告H株式会社に対する請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,原告らに生じた費用の20分の19と被告Aに生じた費用の5分の4を原告らの負担とし,原告らに生じた費用の20分の1と被告Aに生じた費用の5分の1を被告Aの負担とし,被告F,被告社団法人G及び被告H株式会社に生じた費用を原告らの負担とする。 この判決は,1項ないし4項に限り仮に執行することができる。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 原告ら(1)被告ら各自は,原告ら各自に対し,7516万4223円及びこれに対する平成15年1月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2)訴訟費用は被告らの負担とする。 (3)仮執行宣言 被告ら(1)原告らの請求を棄却する。 (2)訴訟費用は原告らの負担とする。 第2事案の概要本件は,被告A(以下「被告A」という)が散弾銃を用いて狩猟中,I。 (以下「I」という)に対し誤射し,同人を死亡させた事故(以下「本件事。 故」という 費用は原告らの負担とする。 第2事案の概要本件は,被告A(以下「被告A」という)が散弾銃を用いて狩猟中,I。 (以下「I」という)に対し誤射し,同人を死亡させた事故(以下「本件事。 故」という)に関し,Iの遺族である原告らが,被告Aには,誤射した過失。 が,F公安委員会委員若しくはその補助者には,被告Aの散弾銃の所持許可が失効していたにもかかわらず,これを仮領置しなかった過失が,F知事には,狩猟者登録を行った過失が,被告社団法人G(以下「被告G」という)及び。 被告H株式会社(以下「被告保険会社」という)には,被告Aの共済ないし。 保険加入時に被告Aの散弾銃の所持許可の有無を確認しなかった過失がそれぞれあるなどとして,被告らに対して民法709条ないし国家賠償法1条1項等に基づき損害賠償を請求するとともに,被告G及び被告保険会社に対しては,被告Aに対する上記損害賠償請求権を被保全債権として,同人の被告G及び被告保険会社に対する共済金ないし保険金の支払を代位請求した事案である。 争いのない事実等(1)当事者原告B(以下「原告B」という)は,I(昭和20年7月24日生)の。 妻であり,原告C(以下「原告C」という)及び原告D(以下「原告D」。 という)は,Iの子であり,原告E(以下「原告E」という)は,Iの。 。 母である(甲1,2,3の1・2。 )被告Aは,平成12年ころから趣味として銃猟を行っていた(甲10,11。 )F公安委員会委員,J警察署職員及びF知事は,被告Fの公務員である。 被告Gは,野生鳥獣の保護増殖及び生息調査に必要な事業,有害鳥獣駆除 に関する事業,狩猟及び猟具の改善,狩猟事故に関する共済事業等を目的とする社団法人である(乙ハ2。 )被告保険会社は,損害保険業等を目的とする株式会社である。 (2)被告A 事業,有害鳥獣駆除 に関する事業,狩猟及び猟具の改善,狩猟事故に関する共済事業等を目的とする社団法人である(乙ハ2。 )被告保険会社は,損害保険業等を目的とする株式会社である。 (2)被告Aの所持許可等の取得状況ア所持許可等被告Aは,F公安委員会より,以下のとおり,猟銃及び空気銃について,銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律第6号。以下「銃刀法」という)4条1項1号の所持許可(以下「所持許可」という)を受けた。 。 (甲5。 )(ア)散弾銃(以下「本件散弾銃」という)。 許可年月日平成12年4月25日有効期間平成14年6月14日まで種類・型式散弾銃・自動そうてん式銃番号NS05269用途狩猟用,標的射撃用(イ)空気銃(以下「本件空気銃」という)。 許可年月日平成12年11月13日有効期間平成15年6月14日まで種類・型式空気銃・圧縮ガス式銃番号H07150G用途狩猟用,標的射撃用同手続については,被告Aの住所地を管轄するJ警察署の職員がその事務に関与していた。 イ狩猟免許及び狩猟者登録被告Aは,平成12年5月10日,F知事に対して,鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律(大正7年法律第32号。以下「旧鳥獣保護法」という)4。 条に規定する,甲種狩猟免許(銃器の使用以外の方法をもって狩猟をなす者に交付される免許。同法4条2項)及び乙種狩猟免許(銃器を使用して狩猟をなす者に交付される免許。乙種狩猟免許を交付された者は,空気銃等を使用して狩猟をなす者に交付される丙種狩猟免許も交付された者とみなされる。同法4条2項,3項)の交付を申請し,平成12年6月19日,有効期限を平成15年9月14日までとする甲種狩猟免許及び乙種狩猟免許を取得した(甲6,7,乙ロ1,2,59。 )そして,被告 なされる。同法4条2項,3項)の交付を申請し,平成12年6月19日,有効期限を平成15年9月14日までとする甲種狩猟免許及び乙種狩猟免許を取得した(甲6,7,乙ロ1,2,59。 )そして,被告Aは,平成14年9月2日,F知事に対して,同法8条ノ3に規定する,狩猟免許の種別を乙種とする狩猟者登録の申請をし,同年10月25日,乙種狩猟者登録を受けた(以下「本件狩猟者登録」という。 甲6,7,乙ロ57。 )ウ共済及び保険加入状況被告Aは,平成14年9月ころ,被告Gの狩猟事故共済(賠償限度額4000万円。以下「本件共済」という)及び被告保険会社のハンター団。 体保険(賠償限度額1億円。以下「本件保険」という)にそれぞれ加入。 した(甲6,乙ハ1,5,乙ニ2,3。 )(ア)本件共済の狩猟事故共済規約には,以下の規定がある(乙ハ1。 )第3条被告Gは,構成員が日本国内において次の各号に掲げる行為(以下「狩猟行為」という)中に発生した人身に対する事故又は。 これ以外の事故であって銃刀法に定める許可を受けて所持する銃器の発射(暴発を含む)によって発生した他人の人身に対する事故。 (以下「共済事故」という)について,この規約の定めるところ。 により,構成員に共済金を給付する。 (1)旧鳥獣保護法に定める狩猟の期間中に行う狩猟鳥獣の捕獲行為(2)・・・ 前項第1号及び第2号に掲げる行為について「行為中」とは,法令に基づく鳥獣捕獲の方法を行っている間をいう。 第4条人身に対する共済事故は,次の場合とし,この規約に定める基準にしたがって共済金を給付する。 (1)構成員が狩猟行為中の事故又は狩猟行為中以外において銃刀法に定める許可を受けて所持する銃器の発射(暴発を含む)に。 起因する事故において,過失によって他人の生命又は身体を害 済金を給付する。 (1)構成員が狩猟行為中の事故又は狩猟行為中以外において銃刀法に定める許可を受けて所持する銃器の発射(暴発を含む)に。 起因する事故において,過失によって他人の生命又は身体を害し,法律上の損害賠償責任を負担したとき(他損)第12条次の各号の事由によって生じた共済事故については,被告Gは,共済の責に任じない。 (1)・・・(2)法令で禁止されている場所における狩猟行為中に生じた事故(3)・・・(4)狩猟者登録又は鳥獣捕獲許可を受けないで鳥獣の捕獲を行っている間に生じた事故(5)銃刀法に定める所持許可を受けないで所持する銃器によって生じた事故(イ)本件保険の賠償責任保険普通保険約款及びハンター特別約款には,以下の規定がある(乙ニ3。 )(賠償責任保険普通保険約款)第1条被告保険会社は,被保険者が,他人の身体の障害(障害に起因する死亡を含みます)または財物の滅失,き損もしくは汚損に。 ついて法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害をてん補します。 (ハンター特別約款)第1条被告保険会社がてん補すべき賠償責任保険普通保険約款第1 条の損害は,日本国内において発生した次に掲げる事故に起因する損害に限ります。 (1)被保険者が狩猟または射撃場における射撃のために所持または使用する銃器によって生じた偶然な事故第3条被告保険会社は・・・被保険者が次の賠償責任を負担する,ことによって被る損害をてん補しません。 (1)・・・(2)・・・(3)銃刀法に定める所持許可を受けないで所持している銃器によって生じた事故に起因する賠償責任(4)・・・(5)法令で禁止されている場所において銃器を使用している間に生じた事故に起因する賠償責任(3)所持許可の失効被告Aの本件散弾銃の る銃器によって生じた事故に起因する賠償責任(4)・・・(5)法令で禁止されている場所において銃器を使用している間に生じた事故に起因する賠償責任(3)所持許可の失効被告Aの本件散弾銃の所持許可は,その有効期限である平成14年6月14日の満了により失効した。 (4)本件事故の発生被告Aは,平成15年1月25日午前10時ころ,三重県熊野市a町地内大又国有林内(別紙図面1及び2参照)において,所持許可が失効した本件散弾銃を使用して狩猟を行っていた際,前方約14メートル先の斜面上で榊を採取していたIを鹿と誤認して,散弾銃を発射し,その散弾をIの顔面に命中させた(本件事故。甲9,11,23。 )これによって,Iは,同年2月2日午前11時38分ころ,顔面射創の傷害に基づく脳挫傷により死亡した(甲28,29。 ) 原告らの主張(1)被告らの不法行為責任 本件事故は,以下に詳述する被告らの不法行為が複合して生じたものであり,被告らは,原告らに対し,個別的な不法行為責任を負うとともに,共同不法行為責任を負っている。 ア被告Aの不法行為被告Aは,本件散弾銃の誤射により,Iを死亡させたものであり,その過失は明らかである。 イF公安委員会委員若しくはその補助者であるJ警察署職員の違法行為銃刀法8条7項は,都道府県公安委員会は,銃砲,刀剣類(以下「銃砲等」ということがある)の所持許可が失効した場合において,当該許可。 が失効した日から起算して50日を経過したときは,当該銃砲等の提出を命じ,提出された銃砲等を仮領置(物の占有を一時的に奪う処分)するものとすると規定している。 散弾銃は,所持が厳しく制限されており,仮領置をするのは都道府県公安委員会の義務であり,裁量の余地はない。同条の文言も「仮領置するものとする」と規定し「仮領置す 分)するものとすると規定している。 散弾銃は,所持が厳しく制限されており,仮領置をするのは都道府県公安委員会の義務であり,裁量の余地はない。同条の文言も「仮領置するものとする」と規定し「仮領置することができる」とは規定していない。 。 ,。 この条文の文言からすると,F公安委員会委員若しくはその補助者であるJ警察署職員は,本件散弾銃の所持許可が失効した日から起算して50日後である平成14年8月3日を経過したときは,被告Aに対し,本件散弾銃の提出を命じ,提出された同散弾銃を仮領置する義務を負っていたというべきである。それにもかかわらず,F公安委員会委員若しくはその補助者であるJ警察署職員は,同年8月3日から約6か月が経過した平成15年1月25日の本件事故当日に至っても本件散弾銃について提出命令及び仮領置を行っていない。 したがって,F公安委員会委員若しくはその補助者であるJ警察署職員が同提出命令及び仮領置の手続を行わなかったのは違法である。 ウF知事の違法行為 (ア)被告AのF知事に対する狩猟者登録申請書には,所持許可の年月日及び番号を記載する欄が設けられているのであるから,旧鳥獣保護法8条の3第3項における狩猟者登録の許否事由として明示されていないものの,F知事には,被告Aの所持許可が有効であるかを確認し,所持許可の有効期限が経過している場合には,登録を拒否する義務があるというべきである。 上記のとおり旧鳥獣保護法8条の3第3項における狩猟者登録の許否事由を限定列挙されたものではなく例示列挙されたものであると解釈することは,旧鳥獣保護法の改正法である鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第87号。以下,同法を「現行鳥獣保護法」という)の趣旨に沿うものであり,その趣旨は,本件狩猟者登録。 時に適用されていた旧 護法の改正法である鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第87号。以下,同法を「現行鳥獣保護法」という)の趣旨に沿うものであり,その趣旨は,本件狩猟者登録。 時に適用されていた旧鳥獣保護法8条の3の解釈に際しても十分斟酌されるべきである。すなわち,旧鳥獣保護法8条の3に相当する現行鳥獣保護法58条には「登録都道府県知事は,狩猟者登録を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するとき,又は申請書のうちに重要な事項についての虚偽の記載があり,若しくは重要な事実の記載が欠けているときは,その登録を拒否しなければならない」と規定されていると。 ころ,所持許可の有無は,狩猟に使用する銃砲の適法性に関する重要な事実であり,更新前の所持許可の記載しかなく,所持許可が無効と思われる場合は「重要な事実の記載が欠けているとき」に該当するという,べきである。 これに対し,旧鳥獣保護法8条の3第3項における狩猟者登録の許否事由を限定列挙と解釈し,所持許可の失効している申請者からの狩猟者登録申請を拒否することができないとすることは,法律を守るべき義務を負っている知事をして,違法な狩猟の幇助を行わせるに等しく,明らかに不合理である。被告Fは,銃砲を所持する前に狩猟者登録を申請す ることもあるから,所持許可の有無を確認する義務はないかのような主張をするが,所持許可が失効している場合,既に違法状態にあるのに対して,現に銃砲を所持しておらず,将来所持許可を取得しようとする場合は,その時点において何ら法律に反しないのであり,両者を同一に論じることは失当である。 (イ)旧鳥獣保護法8条の3第3項3号は「狩猟により生ずる危害の防,止又は損害の賠償に付環境省令を以て定める要件を備えざるとき」を登録許否事由と規定し,これを受けて,同法施行規則(昭 当である。 (イ)旧鳥獣保護法8条の3第3項3号は「狩猟により生ずる危害の防,止又は損害の賠償に付環境省令を以て定める要件を備えざるとき」を登録許否事由と規定し,これを受けて,同法施行規則(昭和25年農林省令第108号,以下同じ)18条により,4000万円以上の共済事。 業の被共済者であることなどを狩猟者登録の要件として定めている。 上記規定は,狩猟者登録に際して狩猟者に狩猟中の事故等に起因する被害をてん補する能力を要求することにより,被害者が現実に救済されることを制度的に担保するものである。 本件において,原告らが,最低限度である4000万円の被害弁償すら受けられない状況にあるのは,被告G及び被告保険会社が,所持許可がないことを免責事由として,保険給付を拒否しているからであるところ,それは,F知事が,本件散弾銃の所持許可が失効したにもかかわらず被告Aを狩猟者登録したことに起因している。 したがって,所持許可の失効した申請者を狩猟者登録することは,鳥獣保護法の被害者保護の精神,狩猟者登録に4000万円以上の被害弁償の資力を要求した趣旨を没却する違法なものである。 (ウ)以上のとおり,被告Aが本件狩猟者登録を申請した平成14年9月2日当時,被告Aの所持許可は失効しており,これを理由に狩猟者登録を拒否する義務があったのに,これを見過ごし,同登録をしたF知事の行為は違法である。 エ被告Gの不法行為 (ア)共済加入に関する過失被告Gの狩猟事故共済は,任意加入の共済ではなく,旧鳥獣保護法施行規則18条によって強制加入とされている共済である。その趣旨は,猟銃の所持及び狩猟は,類型的に危険が多い行為であり,事故の発生が不可避であることから,万が一,事故が生じた際,その被害者の救済を確実にする点にある。しかし,同共済加入時,加入者が所 。その趣旨は,猟銃の所持及び狩猟は,類型的に危険が多い行為であり,事故の発生が不可避であることから,万が一,事故が生じた際,その被害者の救済を確実にする点にある。しかし,同共済加入時,加入者が所持許可を有していなければ,所持許可を受けないで所持する銃器によって生じた事故として免責条項(狩猟事故共済規約第12条(5))の適用を受け,およそ被害者救済が図られない結果となる。 このような事態を防止するため,狩猟事故に関する共済事業を行う被告Gには,狩猟事故共済加入の際,加入者が有効な所持許可を有しているかを確認する義務があるというべきである。それにもかかわらず,被告Gは,被告Aが本件共済に加入する際,本件散弾銃の所持許可の有効性を確認しなかった。 (イ)狩猟者登録等に関する過失被告Gは,単に,被告Aと共済契約を締結するのみならず,被告Aの狩猟者登録,猟銃用火薬類無許可譲受票,狩猟免許に関する講習手続等,被告Aの本件散弾銃の所持及びこれを狩猟に使用するための手続全般に関与している。 そして,被告Aに係る平成14年度の本件狩猟者登録手続及び猟銃用火薬類無許可譲受票の一括申請は,いずれも被告Gを通じて行われているところ,同被告は,その際,本件散弾銃の所持許可の有効性を確認すべき義務があったのにこれを怠った。 オ被告保険会社の責任本件保険では,所持許可が前提となっている。被告保険会社は,本件保険の加入に際し,被告Aの本件散弾銃の所持許可の有効性を確認すべき義 務があったのにこれを怠った。 カ因果関係(ア)F公安委員会が前記イの仮領置義務を履行していれば,本件事故が生じなかったことは明白である。 (イ)また,被告Aは,本件事故当時,本件散弾銃の所持許可が有効であると信じていたところ,F公安委員会が上記仮領置義務を履行していなくて 履行していれば,本件事故が生じなかったことは明白である。 (イ)また,被告Aは,本件事故当時,本件散弾銃の所持許可が有効であると信じていたところ,F公安委員会が上記仮領置義務を履行していなくても,F知事,被告G又は被告保険会社のいずれかが,被告Aに対し,前記ウないしオの各義務に基づき,本件散弾銃の所持許可の有効性を確認していれば,被告Aが本件所持許可の有効期限が切れていることに気付き,狩猟に出ることはなかったから,本件事故も発生しなかったといえる。 (ウ)仮に,本件事故の発生を防止できなかったとしても,本件事故は,所持許可のある銃器による事故となり,原告らは,本件共済ないし本件保険により,その損害の賠償を受けることができた。 したがって,被告らの義務違反と,本件事故ないし原告らの損害が賠償されなかったこととの間には,相当因果関係がある。 キ損害I及び原告らは,本件事故により,以下のとおりの損害を被った。 (ア)Ia入院治療費15万2120円Iは,本件事故により,平成15年1月25日から同年2月2日まで入院を余儀なくされ,入院治療費として15万2120円を支出した。 b入院雑費1万1700円Iは,本件事故により,入院雑費として1万1700円(平成15年1月25日から同年2月2日までの9日間,日額1300円)を支 出した。 c葬祭費234万8263円内訳は,別紙葬儀費用明細記載のとおりである。 同明細の炭代は,自宅で行った通夜の際,室内に入れない来訪者のために,庭の数か所で炭を焚くために要したもの,ビール代は,町内の慣習上,葬儀の際,町内会がボランティアで集会所において炊き出しを行うが,その際,お酒を差し入れることになっているために要したもの,敷き布団・シーツ代は,遺体を寝かせた際に使用したもの,半紙代は, 慣習上,葬儀の際,町内会がボランティアで集会所において炊き出しを行うが,その際,お酒を差し入れることになっているために要したもの,敷き布団・シーツ代は,遺体を寝かせた際に使用したもの,半紙代は,お供えの下に敷くために要したものである。 d雑費12万6371円内訳は,別紙雑費明細記載のとおりである。 同明細の現金封筒代は,Iを救助してくれた人物に対するお礼の手紙を送付する際,郵便料として要したもの,謄本代及び住民票代は,本訴訟提起のために要したものである。 e死亡による逸失利益1551万0690円本件事故当時のIの年収は250万円であり,同人は,本件事故当時,57歳であったところ,本件事故に遭わなければ12年間就労可能であった。生活費として30パーセントを控除し,ライプニッツ式計算によれば,Iの死亡による逸失利益は,以下の計算式のとおり,1551万0690円である。 2500000×(1-0.3)×8.86325164f休業損害6万1475円Iは,本件事故により,その当日から死亡するまで,9日間休業したから,Iの休業損害は,以下の計算式のとおり,6万1475円である。 2500000÷366×9 g死亡慰謝料2800万円h傷害慰謝料15万円(イ)原告Ba慰謝料1000万円b駆けつけ費用等11万2456円原告Bが,本件事故によるIの入院に際して支出を余儀なくされた費用であり,その内訳は,別紙諸費用明細1のとおりである。 cKの駆けつけ費用等5万3144円Iの妹であるKが,本件事故によるIの入院に際して支出を余儀なくされた費用を原告Bが立て替えたものであり,その内訳は,別紙諸費用明細2のとおりである。 (ウ)原告Ca慰謝料500万円b駆けつけ費用等13万8003円原告Cが,本件 て支出を余儀なくされた費用を原告Bが立て替えたものであり,その内訳は,別紙諸費用明細2のとおりである。 (ウ)原告Ca慰謝料500万円b駆けつけ費用等13万8003円原告Cが,本件事故によるIの入院に際して支出を余儀なくされた費用であり,その内訳は,別紙諸費用明細3のとおりである。 (エ)原告D慰謝料500万円(オ)原告E慰謝料500万円(カ)原告らの弁護士費用350万円(2)被告G及び被告保険会社に対する債権者代位権の行使ア原告らは,前記第2,2(1)ア,キのとおり,被告Aに対し,本件事故に関する不法行為に基づく損害賠償請求権を有している。 被告Aは,本件事故当時,被告Gの本件共済,被告保険会社の本件保険にそれぞれ加入していた。 被告Aは,自己破産しており,無資力である。 よって,原告らは,被告G及び被告保険会社に対し,被告Aに代位して,被告Aの共済金支払請求権ないし保険金支払請求権に基づき,共済金ないし保険金の支払を求める。 イ被告G及び被告保険会社において,本件散弾銃の所持許可が失効していたことを本件共済ないし本件保険の免責事由として主張することは,以下の諸事情に鑑み,信義則に反し,権利濫用として許されない。 まず,本件共済及び本件保険の加入時,既に本件散弾銃の所持許可は失効していたところ,上記免責事由を前提とすれば,本件では,加入当初から本件散弾銃による事故について,共済金ないし保険金が支払われる可能性がなかったということになり,明らかに不当である。 また,散弾銃による事故は,保険等による被害者救済が強く要請される場面であり,そのため,法令上,保険等への加入が狩猟者登録の要件とされているのであるから,公益的見地からも,本件散弾銃について「所持許可がないこと」を免責事由とすることは正義に 救済が強く要請される場面であり,そのため,法令上,保険等への加入が狩猟者登録の要件とされているのであるから,公益的見地からも,本件散弾銃について「所持許可がないこと」を免責事由とすることは正義に反する。 さらに,保険等における免責事由は,保険者等の責任が,一般の損害賠償責任のような自然発生的な公平の理念に基づくものではなく,当事者間で特に締結される有償的な危険転嫁契約の効果であることから,どの範囲の危険が転嫁され,どの範囲の危険が担保外とされるかの基準を定める機能を有する「所持許可のないこと」が免責事由と定められているのは,。 所持許可のない銃器による事故までを責任範囲とすると,保険者等が想定していないリスクまで負担することになることにある。しかし,本件共済及び本件保険の加入当時,契約当事者の双方とも,本件散弾銃の使用が共済金ないし保険金の支払対象となることを認識していたのであり,被告G及び被告保険会社にとって,本件事故に対する保険金ないし共済金の支払は,想定内のリスクを負担するにすぎない。 加えて,被告Aは,かつて,本件散弾銃の有効な所持許可を得ていたことがあり,所定の手続さえ行っていれば,所持許可を更新させることは容易だったといえ,保険事故のリスクという観点からすれば,本件散弾銃について「所持許可のないこと」は,特段のリスク増加要因ではない。 (3)よって,原告ら各自は,被告Aに対しては,民法709条,719条に基づく損害賠償請求権により,被告Fに対しては,民法709条,719条ないし国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求権により,被告Gに対しては,民法709条,719条に基づく損害賠償請求権又は被告Aを代位して本件共済に基づく共済金支払請求権により,被告保険会社に対しては,民法709条,719条に基づく損害賠償請求権又 ,被告Gに対しては,民法709条,719条に基づく損害賠償請求権又は被告Aを代位して本件共済に基づく共済金支払請求権により,被告保険会社に対しては,民法709条,719条に基づく損害賠償請求権又は被告Aを代位して本件保険に基づく保険金支払請求権により,各自7516万4223円及びこれに対する不法行為の日である平成15年1月25日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 被告Aの主張被告Aが,本件散弾銃を発射した際の過失によってIを死亡させたことは認めるが,原告らの主張する損害については否認する。 被告Fの主張(1)F公安委員会委員若しくはその補助者であるJ警察署職員の行為の違法性についての反論ア銃刀法3条が銃砲等の所持を禁止し,それらを所持するために所持許可を必要とした趣旨は,銃砲等による危害予防の要請と財産権保護の要請との調和を図ることにある。とすれば,当該許可の後に所持許可に必要な要件を欠格するに至った場合(同法11条)には,危害予防の要請が強いのに対し,期間の満了により所持許可が失効した場合(同法8条)には,必ずしも危害予防の要請が強いとはいい難く,むしろ財産権保護の要請への配慮が望まれる。 昭和53年の銃刀法改正により,所持許可が「失効した日から起算して50日の期間を経過したとき」に仮領置が行えるとの規定がなされた趣旨は,所持許可の申請をすればすぐにでも再度許可される状態である公共安全上問題のない健全な所持者から当該銃の所有権を奪い財産的損失を与えてしまうのは酷に過ぎるとの考えにより,失効後50日間は不法所持にならないこととし,また,50日経過後にあっては,不法所持状態を一時的に解消するため,所持者の任意提出を前提として公安委員会に仮領置をさせるという制度を設ける点にある り,失効後50日間は不法所持にならないこととし,また,50日経過後にあっては,不法所持状態を一時的に解消するため,所持者の任意提出を前提として公安委員会に仮領置をさせるという制度を設ける点にある。 また,(ア)同法8条7項は「仮領置しなければならない」という文言にはなっていないこと,(イ)所持許可の失効した場合の銃砲等の売却について規定した銃刀法8条9項は,仮領置した日から起算して6か月以内に返還の申請がない場合,当該銃砲等を売却できるとしているが,同条は,財産権の保護の配慮から,その起算日を「許可の失効から50日経過した日」とせず「仮領置した日」とし,所持許可の施行から50日が経過しても仮領置を直ちに行わない場合があることを前提としていること,(ウ)①所持許可の失効した場合と②所持許可が取り消された場合の仮領置の規定(同法8条7項,同法11条7項)には,いずれも「仮領置するものとする」と定められているところ「銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正す,る法律等の施行について」と題する通達(昭和53年乙保発第7号)では,①の場合については「当該銃砲又は刀剣類の提出を命じ,提出された銃砲又は刀剣類を仮領置する」と解釈されているのに対して,②の場合については「必ず当該銃砲又は刀剣類の提出を命じ,提出された銃砲又は刀剣類を仮領置する」と差異が設けられていることに留意すべきである。 以上からすると,危害予防の要請が第一に求められる,所持許可が取り消された場合の仮領置(同法11条7項)と異なり,財産権保護の要請が第一に求められる,所持許可が失効した場合の仮領置(同法8条7項)で は,個人の財産的損失をできるだけ防ぐという目的に鑑み,その意味で専ら自己責任において処理されるべきであるという観点から,仮領置を行う時期については,都道府県公安委員 仮領置(同法8条7項)で は,個人の財産的損失をできるだけ防ぐという目的に鑑み,その意味で専ら自己責任において処理されるべきであるという観点から,仮領置を行う時期については,都道府県公安委員会に裁量の余地があるものと解するのが妥当である。 イ本件では,被告Aの住所地を管轄するJ警察署において,銃刀法上の所持許可に係る事務に当たっていた,同署生活安全課課長警部L及び同課係長Mにおいて,平成14年6月14日をもって本件散弾銃の所持許可が失効したことを同年7月には認識していたが,この時点から本件事故が発生した平成15年1月25日までの間に,被告Aを取り締まるべき捜査情報の入手など直ちに仮領置をしなければならない事情は存在しなかった。現に,本件散弾銃の所持許可の更新期間は平成14年4月14日から同年5月31日までであったところ(銃刀法7条の3,同法施行規則(昭和33年総理府令第16号,以下同じ)11条の2,被告Aは,同年3月1。 )9日,毎年春ころF警察において実施される銃砲の一斉検査を受けた際,所持許可の更新手続に必要な講習会の受講を申込み,同年4月26日,同講習を受講して,銃砲の取扱いについて再確認していた。 上記J警察署職員は,被告Aが本件散弾銃を廃棄あるいは譲渡等により適法に処分することや,新たな所持許可の申請を行うことを想定,判断しながらも仮領置を行う機会を検討していたところ,平成15年1月25日,本件事故の発生に至ったのであって,被告Aが講習会を受講し,新たな所持許可の申請手続が特別困難なものではなかったことに照らせば,かかる判断には合理性がある。 したがって,F公安委員会委員若しくはその補助者であるJ警察署職員は,危害予防の要請の見地から,本件散弾銃について直ちに提出を命じて仮領置をしなければならないような具体的な事 判断には合理性がある。 したがって,F公安委員会委員若しくはその補助者であるJ警察署職員は,危害予防の要請の見地から,本件散弾銃について直ちに提出を命じて仮領置をしなければならないような具体的な事情を認識するに至っておらず,また,認識しうべき事情すら全く存在しなかったのであるから,かか る措置を講じなかったとしても,直ちに違法の評価を受けるものではない。 ウなお,都道府県公安委員会が同法8条7項に基づき仮領置をするのは,不特定多数の一般の者の生命,身体などに対する危害を防止し,安全に生活する利益を保護しようとするものであって,個々の住民に対する関係で都道府県公安委員会が直接的に義務を負うものではなく,上記仮領置により個々の住民らが受ける利益は,その権限行使に伴う反射的利益にすぎない。 (2)F知事の行為についての違法性に対する反論旧鳥獣保護法施行規則15条1項6号が所持許可の年月日及び番号の記載を求めた趣旨は,申請者自身に所持許可の有無について確認する機会を与えるための便宜にすぎない。これは,同号が所持許可の年月日及び番号の記載を求める対象を「銃器の所持について申請の際現に銃砲刀剣類所持等取締法第4条1項1号の規定による許可を受けているもの」とし,未だ所持許可を受けていない者であっても狩猟者登録の申請を行うことができ,その場合,所持許可の年月日及び番号の欄は空欄にならざるを得ないこと,所持許可の期間が満了していたとしても,狩猟者登録の申請後に,新たな所持許可の申請を行ってもよいことからも明らかである。 また,狩猟者登録は,狩猟と鳥獣保護との調整を図る観点から,特定の猟具の使用禁止を解除し,これを適法に行わしめるもので,講学上の「許可」(禁止を解除する命令)に当たる行政行為であることからすれば,旧鳥獣保護法8条ノ3第3項が列挙 護との調整を図る観点から,特定の猟具の使用禁止を解除し,これを適法に行わしめるもので,講学上の「許可」(禁止を解除する命令)に当たる行政行為であることからすれば,旧鳥獣保護法8条ノ3第3項が列挙する狩猟者登録の許否事由は,限定して列挙されたものであって「法律による行政の原理」の要請に照らし,行政庁である,都道府県知事に当該許否事由以外の事由をもって,登録を拒否する裁量権はないというべきである。 これは,狩猟者登録の申請書に添付すべき資料は限定され(同法施行規則15条2項,3項,都道府県知事が,申請者に対して,所持許可証等の提) 出を求めることはできないこと,狩猟者登録の抹消ができるのは,狩猟免許の取消し,効力の停止又は失効のいずれかが認められる場合に限定されていること(同法8条ノ5)からも明らかである。 よって,所持許可の失効が旧鳥獣保護法8条ノ3第3項の定める許否事由に該当しない以上,都道府県知事には,狩猟者登録の申請者の所持する猟銃等の所持許可の有効性について確認して,これを拒否する義務はないといわざるを得ず,F知事に本件狩猟者登録に関する違法行為はない。 (3)因果関係に対する反論本件散弾銃が仮領置されたり,本件狩猟者登録が拒否されていたとしても,被告Aには,狩猟に対する強い意欲があり,かつ,同人が,新規に許可申請手続をする場合には,講習を受けて必要書類を提出することにより,銃刀法5条に定める欠格事由に該当しない限り,約35日間程度で,容易に所持許可を再取得することができるのであり,結局,本件事故を防止することはできなかったというべきである。 また,①本件事故は,被告Aが自己の重大な過失により射撃行為をしたことに基づくものであることは明白であり,予測可能性を欠くばかりか,②本件事故現場が狩猟禁止区域である公道であるこ というべきである。 また,①本件事故は,被告Aが自己の重大な過失により射撃行為をしたことに基づくものであることは明白であり,予測可能性を欠くばかりか,②本件事故現場が狩猟禁止区域である公道であること,③狩猟者登録のない三重県で狩猟し,無登録狩猟鳥獣捕獲の禁止に該当する違法な狩猟を行ったこと,④本件事故現場付近に銃猟を禁止する看板が設置されていること,⑤本件事故における被告Aの態様について,狩猟場所を予め下見して狩猟環境を把握しておくこと,発射時には矢先を確認すること,水平射撃を抑制することなどの狩猟者としての注意義務に違反していること,⑥本件散弾銃について,所持許可の更新手続も,所持許可の失効後の新たな所持許可の申請手続も行わず,本件事故を生じさせたことなど,被告Aには,重大な過失がある。 このような被告Aによる数多くの法令違反あるいは注意義務違反が本件保険の免責条項に該当することは明らかであり,原告らに保険金が給付されな い最大の原因は,被告Aの注意義務違反にこそ求められるべきである。 よって,原告らが主張する違法行為と本件事故の発生ないし原告らの損害がてん補されないこととの間には因果関係はない。 被告Gの主張(1)不法行為責任の主張に対する反論(ア)共済加入に関する過失に対する反論a原告らは,被告Gの狩猟事故共済は強制加入であると主張するが,同共済に加入しなくても,狩猟免許を取得し,狩猟者登録をすることによって,法律に定める制限の中で適法な狩猟行為を行うことができる。 b被告Gは,各都道府県Gを会員として構成されており,各都道府県Gは,被告Gと別個の独立の社団法人として独自に運営されている団体である。被告Aが所属するのは,被告Gではなく,社団法人Nb支部である。 たしかに,本件共済の事業主体は,被告Gであり,被告A 道府県Gは,被告Gと別個の独立の社団法人として独自に運営されている団体である。被告Aが所属するのは,被告Gではなく,社団法人Nb支部である。 たしかに,本件共済の事業主体は,被告Gであり,被告Aは被共済者であるが,両者の関係は被告Aが社団法人Nに会費を支払うことによって,被告Gの定款に基づき,当然に成立する団体法上の法律関係に過ぎず,被告Aは契約当事者でさえない。 ところで,野生動物の捕獲は,スポーツないし職業として行われる狩猟に留まらず,農林業や人命に対する被害を防止するための有害鳥獣駆除という別の目的で行われることがあり,その方法も銃砲を使用する場合のほか,わなを使用する場合など様々である。いずれの目的,場合においても,危険な山岳地帯に立ち入ったり,野生動物に近接することによって,捕獲者自身の生命身体が危険に陥ることは当然の前提となっている。これらの人々が,狩猟ないし有害駆除を行っている際に,事故や傷病(ツツガムシ病,まむし等)が発生した場合,互助行為として助け合いをしようというのが,被告Gの共済制度である。 よって,被告Aにおいて有効な所持許可を有していることは,被告Aが本件共済事業の被共済者となるための要件でないことはその制度上当然のことであり,被告Gには,共済加入者の所持許可の有効性について確認する義務はない。 (イ)狩猟者登録等に関する過失に対する反論猟銃用火薬類無許可譲受票は,狩猟者登録を完了した者に対し,都道府県G(本件では,社団法人N)が発行する書類であり,被告Gは,その発行に関与していない。 同じく,狩猟者登録証,狩猟免状の取得及び狩猟講習会についても,被告Gは何らの関与もしていない。都道府県G及び各支部(本件では,社団法人N及びb支部)は,狩猟者個人が狩猟を行う予定の都道府県知事宛に狩猟者登録の申請 証,狩猟免状の取得及び狩猟講習会についても,被告Gは何らの関与もしていない。都道府県G及び各支部(本件では,社団法人N及びb支部)は,狩猟者個人が狩猟を行う予定の都道府県知事宛に狩猟者登録の申請を行う際,狩猟者登録手続の代行を行っているが,手続主体はあくまで狩猟者個人であって,同狩猟団体は書類を県庁等に一括して持参するだけの使者にすぎない。 (2)債権者代位権の行使の主張に対する反論被告Aは,所持許可の失効した本件散弾銃を用いて,かつ,狩猟者登録を受けていない無登録地域(三重県)で狩猟行為を行って,本件事故を惹起したのであるから,狩猟事故共済規約12条(4)(5)の免責条項が適用される。 原告らは,被告Gが免責条項の適用を主張することは,信義則に反し,権利濫用であると主張するが,本件共済制度は,狩猟者の互助的事業であるところ,互助の精神に反する違法行為をしても共済給付を受領できるということでは,その制度目的を逸脱する。そもそも,わが国においては銃器の不法所持自体,極めて反社会性の高い悪質な犯罪行為であって,散弾銃は,それ自体が殺傷を目的とした危険な器具であり,所持許可のない散弾銃による狩猟事故を狩猟事故共済の給付対象とすることは,全く考えられない。被告Aには銃器の所持者及び狩猟者として高度の自己責任が存在することは明らか であり,この点を看過して責任を転嫁させることは許されない。 被告保険会社の主張(1)不法行為責任の主張に対する反論ハンター団体保険においては,加入後に所持許可を取得することも考えられ,加入時に所持許可を有することは,必須の要件ではない。また,所持許可に関する免責条項の存在は,契約時に交付されるハンター団体保険加入依頼書(加入者用)裏面に記載されており(乙ニ1の5,被告保険会社は免)責条項を告知してい とは,必須の要件ではない。また,所持許可に関する免責条項の存在は,契約時に交付されるハンター団体保険加入依頼書(加入者用)裏面に記載されており(乙ニ1の5,被告保険会社は免)責条項を告知しているのであって,保険会社としてはそれで十分である。 よって,被告保険会社は,被告Aが本件保険に加入するに当たって,本件散弾銃の所持許可の有効性を確認すべき義務はないというべきである。 (2)債権者代位権の行使の主張に対する反論本件事故当時,被告Aは,本件事故を生じさせた本件散弾銃の所持許可を受けていなかったものであるから,所持許可を受けないで所持している銃器によって生じた事故に起因する賠償責任として免責条項(ハンター特別約款第3条(3))の適用を受け,被告Aは,被告保険会社に対し,保険金請求権を有しない。 この点,原告らは,被告保険会社が上記免責条項の適用を主張することは,信義則に反し,権利濫用として許されないと主張する。 しかしながら,①本件保険加入後に所持許可を受けて狩猟をすることはあり得るのであるから,一切保険金が支払われないということにはならないし,②ハンター団体保険が想定している保険リスクは,あくまで「所持許可を受けた銃器によって生じた事故」であって,所持許可のない銃器での事故は想定外のリスクである。また,③所持許可のない銃の使用は,極めて重大な違法行為であるから,これを免責事由とすることは何ら正義に反しない。 よって,原告らの主張には理由がない。 第3当裁判所の判断 被告Aの不法行為責任前記争いのない事実等(4)記載のとおり,被告Aは,平成15年1月25日午前10時ころ,三重県熊野市a町地内大又国有林内(別紙図面1及び2参照)において,狩猟を行った際,前方約14メートル先の斜面上に動く物体を発見したところ,これに対して散弾 は,平成15年1月25日午前10時ころ,三重県熊野市a町地内大又国有林内(別紙図面1及び2参照)において,狩猟を行った際,前方約14メートル先の斜面上に動く物体を発見したところ,これに対して散弾銃を発射するに当たっては,その物体が人でないことを十分確認した上で発射すべき注意義務があるのにこれを怠り,同物体が人でないことを十分確認しないまま散弾銃を発射した過失により,同所で榊を採取していたIの顔面に発射した散弾を命中させ,これにより,Iは,同年2月2日午前11時38分ころ,顔面射創の傷害に基づく脳挫傷により死亡したというのであるから,被告Aは,原告らに対し,不法行為に基づく損害賠償責任を負っている。 被告Fの不法行為責任ないし国家賠償責任(1)F公安委員会委員若しくはその補助者であるJ警察署職員の行為の違法性についてア銃刀法8条6項は,所持許可が期間の満了等により失効した場合,当該許可を受けていた者等は,失効した日から起算して50日以内に,新たな所持許可を取得する等の措置を執らなければならず,当該期間に限り,銃砲等の所持を禁止する銃刀法3条1項を適用しない旨規定する。これは,同条が規定される以前(昭和53年法律第56号の改正前の銃刀法)は,所持許可が失効した場合,その所持は,許可に基づかないものとなり,同法31条の3等の不法所持罪ないし同法27条の提出命令の適用対象となっていた一方,許可の取消しの場合には,当該許可を受けていた者が,譲渡,廃棄等により許可を取り消された銃砲等を所持しないこととするための措置をとる間,その所持が適法なものとされていた(昭和53年法律第56号の改正前の銃刀法11条6項)という不均衡の是正を図り,銃砲等の所有者の財産権に配慮したものである。 なるほど,被告Fが主張するように,この銃刀法8条6 ものとされていた(昭和53年法律第56号の改正前の銃刀法11条6項)という不均衡の是正を図り,銃砲等の所有者の財産権に配慮したものである。 なるほど,被告Fが主張するように,この銃刀法8条6項と,同条7項の仮領置が行われてから6か月以内に返還の申請がない場合には当該仮領置した銃砲等を売却できるとする同条9項を併せ見れば,所持許可の失効後50日を経過した後も仮領置を行わなければ,それだけ当該銃砲等の所有者の財産権に対する制約は緩やかになるといい得る。 しかし,銃刀法は,一定の社会的効用のある反面,用い方によっては人の生命,身体などに重大な危害を加え得る銃砲,刀剣類について,その所持,使用等に関する危害予防上必要な規制を行い,もって,その社会的効用を享受させつつ,人の生命,身体などの安全を期することを目的としており(同法1条,銃砲,刀剣類の意味内容について厳密に定義して,そ)),の規制範囲を明確にし(同法2条,その所持を原則として禁止した上でこれを例外として認め得る場合を特定して列挙し(同法3条1項,各場)合について厳格な要件を定めるなど(同法4条,5条等,銃砲,刀剣類)の所持等について広範かつきめ細かな規制を施すとともに,そのような規制の実効性を確保すべく,一定の義務違反に対しては刑罰をもって臨み,その履行を間接的に強制している(同法31条以下。 )そして,多様な銃砲,刀剣類の中でも,殊に狩猟に使用される猟銃及び空気銃については,その取扱いが未熟な狩猟者による人身事故やこれを悪用した殺傷事件等を防止するため,猟銃及び空気銃の許可基準について,他の銃砲等よりも加重し(同法5条の2第2項,同法5条,猟銃又は空)気銃の所持許可を受けようとする者(同法7条の3の所持許可の更新を含む)は,原則として,猟銃等に関する法令やその 可基準について,他の銃砲等よりも加重し(同法5条の2第2項,同法5条,猟銃又は空)気銃の所持許可を受けようとする者(同法7条の3の所持許可の更新を含む)は,原則として,猟銃等に関する法令やその取扱いについて,都道。 府県公安委員会が開催する講習会を受講してその課程を修了しなければならず(同法5条の2第1項,同条の3,同法7条の3第2項,初めて猟)銃の所持許可を取得する者は,これに加えて,都道府県公安委員会が行う技能検定の合格証書又は教習射撃場で行う射撃教習の課程の修了証明書の 交付を受けてから1年を経過していない者でなければならないこととし(同法5条の2第3項,もって,狩猟者一般の順法精神及び危害防止へ)の関心の向上並びに初めて所持許可を受ける狩猟者の猟銃の操作及び射撃に関する基本的な技能の向上を図るなどの特別な規制を施している。 また,既に所持許可を受けている者に対しても,猟銃及び空気銃の所持許可の有効期間を比較的短期間に限定した上で(同法7条の2第1項,)所持許可の更新手続を単なる有効期間の延長とはせず,新たに所持許可を受ける場合と同程度の基準を要求し(同法7条の3,更新時において改)めて許可基準に適合しているかどうかを審査した上で,これに問題がない場合に限り,前と同一内容の許可を与えることとするほか,都道府県公安委員会は,猟銃又は空気銃を所持許可に係る用途に供しているかどうかを調査する必要があると認めるときは,警察職員をして,当該猟銃等の所持者に対し,当該猟銃等及び許可証を提示させ,質問し,又はこれらを検査させることができるとし(同法13条,もって,猟銃等を使用した犯罪)の防止や所持許可に係る用途に供されていない,いわゆるねむり銃など不必要な猟銃等の増加を防止すべく,その実態を把握し,適切な指導などを行う機 できるとし(同法13条,もって,猟銃等を使用した犯罪)の防止や所持許可に係る用途に供されていない,いわゆるねむり銃など不必要な猟銃等の増加を防止すべく,その実態を把握し,適切な指導などを行う機会を確保している。 そして,所持許可が失効した日から起算して50日が経過したときは仮領置するものとすると規定した銃刀法8条7項も,上記規制の一環をなすものであるところ,上記の銃砲等の所持等に関する規制態様に照らせば,仮に,銃刀法が,既に不法所持状態となった銃砲に対する仮領置の実施時期等について都道府県公安委員会に裁量を与えているとすれば,その判断基準等について何らかの規定があってしかるべきであるが,銃刀法及び関係諸法令を通覧してもそのような規定は存しない。その反面,同法は,仮領置する場合として「他人の生命若しくは財産に対する危険を防止するため必要があると認めるとき」とは別個に「前項の期間を経過したとき」を 挙げ,文言上も「仮領置することができる」とせず,所持許可の取消し。 の場合(同法11条7項)と同様に「仮領置するものとする」とするほ。 か,仮領置に先立つ提出命令に応じない者に対しては,刑罰をもってこれを間接的に強制している(同法35条3号。 )以上からすれば,銃刀法は,所持許可の失効した日から起算して50日は,銃砲等の所持を禁止する銃刀法3条1項を適用しないこととし,その限りで所有者の財産権に配慮するも,それ以降は,本則に戻って同条を適用し,都道府県公安委員会をして当該銃砲等の提出を命じ,仮領置するものとしたものであって,かかる措置は,都道府県公安委員会の義務であり,同委員会が,かかる措置を実施するか否か,実施するとしてその時期をいつにするかにつき,独自に判断し得る裁量を認める余地はないというべきである。 そうすると,都道府県公安 府県公安委員会の義務であり,同委員会が,かかる措置を実施するか否か,実施するとしてその時期をいつにするかにつき,独自に判断し得る裁量を認める余地はないというべきである。 そうすると,都道府県公安委員会には,所持許可が失効した日から起算して50日が経過すれば,特段の事情のない限り,直ちに提出命令及び仮領置の手続に着手すべき義務があり,都道府県公安委員会がこれを怠ることは銃刀法8条7項に違反するものと解される。そして,都道府県公安委員会委員若しくはその補助者が,これを怠ることは,国家賠償法上も違法であると評価すべきである。 この点,被告Fは,仮領置の日から6か月以内にその返還の申請がない場合,当該仮領置した銃砲等を売却できるとする銃刀法8条9項では,その起算日を「許可の失効から50日経過した日」とせずに「仮領置した日」と規定することで,所持許可の失効の日から50日が経過しても仮領置を直ちに行わない場合があることが想定されていること,仮領置を遅らせることにより所有者の財産権の配慮が厚くなることなどを理由に,仮領置を行う時期の選択については都道府県公安委員会の裁量事項である旨主張する。しかし,同条項は,仮領置した日から起算して6か月以内に返還 の申請がない場合に限って仮領置した銃砲を売却できることとして,所有者等に新たな所持許可を取得するなどの機会を与え,その限りで財産権に対して配慮したものにすぎず,これをもって,直ちに,都道府県公安委員会に仮領置の実施及びその時期について裁量を与えるものと解釈することはできない「許可が失効した日から起算して50日」という法が定める。 期間を超えて当該銃砲等を所持することを許すか否か,許すとして,どの程度の期間猶予するかについての判断を,都道府県公安委員会が独自に判断できるというのであれば,法が,銃 50日」という法が定める。 期間を超えて当該銃砲等を所持することを許すか否か,許すとして,どの程度の期間猶予するかについての判断を,都道府県公安委員会が独自に判断できるというのであれば,法が,銃砲等の所持等に関して広範かつきめ細かな規制を施した趣旨を没却することとなる。 また,被告Fは,同法8条7項に基づき仮領置をする義務は,不特定多数の一般の者の生命,身体などに対する危害を防止し,安全に生活する利益を保護せんとするものであって,個々の住民に対する関係で都道府県公安委員会が直接的に義務を負うものではなく,上記仮領置により個々の住民らが受ける利益は,その権限行使に伴う反射的利益にすぎない旨主張する。しかし,銃刀法は,銃砲等の所持,使用等に関する危害予防上必要な規制を行い,もって,人の生命,身体などの安全を図ることがその重要な目的となっているのであり,同法8条7項も,その一環をなすものであることは上記のとおりである。そして,その利益は当然原告らも享受すべきものであり,これをもって,反射的利益にすぎないということはできない。 イそこで,上記を前提として,F公安委員会委員若しくはその補助者であるJ警察署職員に違法行為があったか否かを検討するに,本件事故は,本件散弾銃の所持許可が失効した日から起算して50日が経過した平成14年8月4日から起算して175日後の平成15年1月25日に発生しているところ,F公安委員会委員若しくはその補助者であるJ警察署職員としては,本件散弾銃の所持許可が失効した日から起算して50日が経過したときは,直ちに本件散弾銃について提出命令及び仮領置の手続に着手すべ き職務上の義務があったにもかかわらず,同義務を果たさず,漫然とこれを放置したものであるから,その不作為は,職務上の義務に違背し違法であるというほかない。 て提出命令及び仮領置の手続に着手すべ き職務上の義務があったにもかかわらず,同義務を果たさず,漫然とこれを放置したものであるから,その不作為は,職務上の義務に違背し違法であるというほかない。 この点,被告Fは,J警察署職員は,本件散弾銃の所持許可の失効を察知していたが,被告Aに関する捜査情報はなく,その一方で,被告Aが一旦は更新手続に着手していたことから,新たな所持許可の申請がなされることなどを想定しつつ,仮領置の実施時期を検討していたなどと主張し,証人Lもこれに沿う証言をするが,仮にそのような事情が存在したとしても,直ちに仮領置を実施しなかったことを相当なものとして是認し得る特段の事情に該当するものではない。 そもそも,上記証言を除いてJ警察署において本件散弾銃に対する仮領置の実施時期についての検討,判断がなされていたことを窺わせる証拠は一切なく,証人Lの証言及び弁論の全趣旨からすれば,むしろ,J警察署においては,毎年春ころ行われる銃砲の一斉検査等(乙ロ60,61)の実施のほか,銃器の悪用や狩猟中の事故など特段の事情がある場合を除いては,所持許可の失効から50日の経過により,直ちにその提出命令及び仮領置の手続に着手するような運用は執られていなかったものと推認される。 ウ因果関係の有無(ア)本件事故の発生との因果関係原告らは,本件散弾銃が仮領置されていれば,本件事故は発生しなかったと主張するので,以下検討する。 銃刀法8条7項に基づき銃器等が仮領置された場合においても,許可を受けていた者等が内閣府令で定める手続により返還の申請をすれば,当該銃砲の返還を受けることができるが(同法8条8項,この返還の)申請が行われず,仮領置した日から6か月が経過した場合,都道府県公 安委員会は,仮領置した銃砲等を売却することができる( れば,当該銃砲の返還を受けることができるが(同法8条8項,この返還の)申請が行われず,仮領置した日から6か月が経過した場合,都道府県公 安委員会は,仮領置した銃砲等を売却することができる(同法8条9項。 )この点,被告Aは,本件散弾銃の所持許可の失効前,既に講習修了証明書を取得して本件散弾銃の所持許可の更新手続に着手していたこと(乙ロ9,10,71,平成14年度の狩猟期に入った同年11月1)5日から毎週1回ないし2回程度の頻度で銃猟を行っていたこと(甲11・3頁,14・9頁,被告A自身,本人尋問において,仮に,同年)8月ころ,本件散弾銃が仮領置されていれば,上記返還の申請を行っていたと供述していること(被告A本人)からすれば,仮に,本件散弾銃が仮領置されていたとしても,被告Aは,その返還申請の手続を行ったであろうことが推認できる。 そして,上記返還申請の手続を検討するに,申請者は,所定の返還申請書に当該銃砲等を適法に所持することができる者であることを明らかにした書類を添付して,当該銃砲等を保管する都道府県公安委員会に提出しなければならない(銃刀法施行規則11条の5の3。狩猟の用に)供するため本件散弾銃の所持許可を取得していた被告Aの場合,改めて同法4条1項1号の所持許可の申請を行うことになり,その申請は,所轄の警察署に対し,必要事項を記載した所定の許可申請書に,申請者の写真2枚,診断書,戸籍抄本,住民票の写し,講習修了証明書(銃刀法5条の2第1項1号,合格証明書又は教習修了証明書(同法5条の2)第3項3号,4号)並びに経歴書等を添付して提出することになる(銃刀法4条の2,同法施行規則4条,4条の2,別表1)ところ,同申請手続に関する諸規定(主として所持許可の認定手続及び射撃教習に関する銃刀法5条,5条の2,9条 歴書等を添付して提出することになる(銃刀法4条の2,同法施行規則4条,4条の2,別表1)ところ,同申請手続に関する諸規定(主として所持許可の認定手続及び射撃教習に関する銃刀法5条,5条の2,9条の5,同法施行令(昭和33年政令第33号,以下同じ)6条の3,技能検定及び射撃教習に関する規則(昭。 和53年国家公安委員会規則第8号)等)に照らしてみても,被告Aが 平成14年4月26日に取得した講習修了証明書(乙ロ8,10)を使用することができること,同被告はその経歴に照らして,猟銃の操作及び射撃に関する技能について射撃教習を修了する素養を有していると考えられることからすれば,仮に,F公安委員会委員若しくはその補助者であるJ警察署職員が上記職務上の義務に従い,所持許可が失効してから起算して50日経過後,速やかに仮領置を行っていたとしても,被告Aは,本件事故が発生した平成15年1月25日までには,上記返還申請を経て本件散弾銃を取り戻していた可能性が高い。 そうすると,F公安委員会委員若しくはその補助者であるJ警察署職員が上記職務上の義務を履行していたとしても,被告Aは,本件事故当時において,依然として同散弾銃を用いて狩猟を行っていたであろうことが推測されるのであって,結局,本件においては,上記職務上の義務が履行されていたならば本件事故は生じなかったであろうことを是認し得る高度の蓋然性の証明があるとまではいい難く,上記職務上の義務違反と本件事故の発生との間には因果関係を認めることはできない。 (イ)原告らの損害がてん補されなかったこととの因果関係原告らは,被告Aが本件散弾銃の所持許可を再取得することで,仮に,本件事故の発生が防止できなかったとしても,本件事故は,所持許可を受けた銃器による事故として,本件共済ないし本件保険により,その損 係原告らは,被告Aが本件散弾銃の所持許可を再取得することで,仮に,本件事故の発生が防止できなかったとしても,本件事故は,所持許可を受けた銃器による事故として,本件共済ないし本件保険により,その損害の賠償を受けることができた旨主張する。 ところで,前記争いのない事実等(2)ウ記載のとおり,本件共済における狩猟事故共済規約第12条(2)及び(4)では「法令で禁止されている場所における狩猟行為中に生じた事故」及び「狩猟者登録又は鳥獣捕獲許可を受けないで鳥獣の捕獲を行っている間に生じた事故」について,本件保険におけるハンター特別約款第3条(5)では「法令で禁止されている場所において銃器を使用している間に生じた事故」について,それ ぞれ共済金ないし保険金の支払が免責される旨の規定がある。 ,これを本件について見るに,前記争いのない事実等(4)記載のとおり本件事故が発生したのは,三重県熊野市a町地内大又国有林内(別紙図面1及び2参照)であるところ,被告Aは,三重県知事の狩猟者登録は受けておらず,本件狩猟者登録が効力を有するのはF知事が管轄する区域のみであるから,被告Aが本件事故現場において本件散弾銃を使用して狩猟を行うことは法令上禁止されている(旧鳥獣保護法3条,8条ノ3第4項。 )また,捕獲禁止場所等を定めた旧鳥獣保護法11条1項3号によれば,「公道」における鳥獣の捕獲(殺傷を含む。以下同じ)は禁止されて。 ,,いるところ,ここでいう「公道」とは「私道」に対する概念であって私人が使用する目的で設けた道路以外の道路で,一般公衆の使用に供されているものをいい,林道や農道,その法面上をも含み,また,その射程内に公道が含まれていたり,公道の脇からその向かい側に向かって発射し,弾丸が公道上の公衆が平穏に通行するのに必要な範囲内を通過する れているものをいい,林道や農道,その法面上をも含み,また,その射程内に公道が含まれていたり,公道の脇からその向かい側に向かって発射し,弾丸が公道上の公衆が平穏に通行するのに必要な範囲内を通過する場合も同条に抵触するものと解される。 本件事故においては,被告Aは,別紙図面1及び2のとおり,上記国有林内の塔谷林道と佐渡林道の分岐点から塔谷林道を400メートル程度北上した地点に車を止めて,同分岐点以北の付近で狩猟を行っていたところ,被告Aが本件散弾銃を発射した地点は,同分岐点から塔谷林道を200メートル程度北上した同林道の西側の脇で,同林道を挟んだ向かい側には切り立った岩盤があり,そのすぐ先には佐渡林道が通っていた(甲19,23,69の2。 )したがって,被告Aは,上記発射地点から向かい側の岩盤の斜面上部に向かって本件散弾銃を発射したこととなり,法令上狩猟が禁止されている「公道」における捕獲行為をしたものと認められる。 そうすると,所持許可を受けていなかったことを除いてみても,結局,本件事故は上記各免責条項に該当し,本件共済及び本件保険の保険金ないし共済金の給付を受けることができなかったことが推認されるから,F公安委員会委員若しくはその補助者であるJ警察署職員の前記職務上の義務が履行されていたとしても原告らが損害の賠償を受けることができたであろうことを是認し得る高度の蓋然性の証明があるとはいえず,上記職務上の義務違反と原告らが損害賠償を受けられなかったこととの間には因果関係を認めることができない。 (2)狩猟者登録に関する責任ア旧鳥獣保護法は,狩猟行為の規制に関し,狩猟免許(同法4条)と狩猟者登録(同法3条,8条ノ3)の二つの制度を規定しているところ,狩猟免許は,狩猟者試験の合格者に付与する免許であり,狩猟することに必要な資 保護法は,狩猟行為の規制に関し,狩猟免許(同法4条)と狩猟者登録(同法3条,8条ノ3)の二つの制度を規定しているところ,狩猟免許は,狩猟者試験の合格者に付与する免許であり,狩猟することに必要な資質及び能力を有することを証明する機能を果たし,狩猟者登録は,狩猟と当該地域における鳥獣保護事業との調整を図る観点から,一定の種類の猟具の使用禁止を解除し,これを適法に行わせる機能を果たすものである。 そして,狩猟者登録において,旧鳥獣保護法及び同法施行規則は,①狩猟免許を受けていないこと,②狩猟免許の効力の停止を受けてその期間を経過していないこと,③狩猟により生じる危害の防止又は損害の賠償に関する要件を具備していないことを狩猟者登録の欠格事由とし(同法8条ノ3第3項,狩猟者登録申請書の記載事項として,①及び②の関係で「登)録を受けようとする狩猟免許の種別,当該狩猟免許を行った都道府県知事名並びに当該狩猟免許に係る免許年月日及び免許番号(旧鳥獣保護法施」行規則15条1項1号)及び「登録を受けようとする狩猟免許の効力が法第8条第2項の規定により停止されたことの有無及び狩猟免許の効力が停止されたことがある場合にあっては,その期間(同条1項5号)を,③」 の関係で,申請者が備えている狩猟により生じる危害の防止又は損害の賠償に関する要件(同条1項7号)を挙げるとともに,当該都道府県知事をして,その記載内容を確認させるため,③の関係で,上記同条1項7号の要件を申請者が備えていることを証する書面の添付(同条2項1号)を要求し,①及び②の関係で,当該都道府県の管轄区域内に住所地を有しない者からの申請に対しては,当該都道府県知事は,当該申請者の狩猟免許の有無及び有効性を確認するために必要な資料の呈示又は提出を求め得ることとし(同条3項,同知事に狩 府県の管轄区域内に住所地を有しない者からの申請に対しては,当該都道府県知事は,当該申請者の狩猟免許の有無及び有効性を確認するために必要な資料の呈示又は提出を求め得ることとし(同条3項,同知事に狩猟免許の有無及び有効性に関する判断資)料についての収集権限を与えている(狩猟免許は,免許を受けようとする者の住所地を管轄する都道府県知事が交付するものであるから(旧鳥獣保護法7条4項,当該狩猟者登録の申請者が申請を行った都道府県の管轄)区域内に住所地を有する場合,当該申請者に係る狩猟免許の有無及び有効性を確認する資料は,当該都道府県知事において独自に確認することができる。 。)その一方で,旧鳥獣保護法は,所持許可の有無ないし有効性に関する事項を狩猟者登録の欠格事由とは定めず(同法8条ノ3第3項,単に,同)法施行規則が,狩猟者登録申請書の記載事項として,申請者が申請の際現に所持許可を受けている場合,当該許可に係る許可年月日及び許可番号の記載を求めているにすぎず(同法8条ノ3,同法施行規則15条1項6号,そこに記載された所持許可の有無ないし有効性を確認するための資)料を収集する方策については何らの手当もしていない。 加えて「狩猟免許等の取扱いについて」と題する通達(平成12年3,月31日環自野第130号)の狩猟者登録の取扱要領に関する通達事項を見ても,狩猟者免許及び狩猟により生じる危害の防止又は損害の賠償に関する要件については,これを確認すべきなどとする一方,所持許可に関してそのような要求はない(乙ロ58。 ) 以上の狩猟者登録に関する諸規定等に照らせば,狩猟者登録をして,申請者が有する特定の銃器の所持許可の有無ないし有効性に関する審査,判断を内包する手続と解することはできず,狩猟者登録申請書に所持許可に関する記載を要求した る諸規定等に照らせば,狩猟者登録をして,申請者が有する特定の銃器の所持許可の有無ないし有効性に関する審査,判断を内包する手続と解することはできず,狩猟者登録申請書に所持許可に関する記載を要求した旧鳥獣保護法施行規則15条1項6号をもって,申請者に所持許可の有無及び有効性について確認する機会を与えることを超えて,都道府県知事に対し,申請者の所持する銃器に関する所持許可の有無ないし有効性について審査し,これに問題がある場合には登録を拒否するまでの義務を課していると解することはできない。 イこれを本件についてみると,被告Aの平成14年9月2日付け狩猟者登録申請書には,銃砲所持許可番号及び許可年月日を記載する欄内に本件散弾銃の所持許可番号(110120038)及び許可年月日(平成12年4月25日)が記載されており(甲6,乙ロ57,所持許可の有効期間)を,許可を受けてから3回目の誕生日が経過するまでと規定する銃刀法7条の2第1項の規定を併せれば,F知事において,同申請書の書面上において,本件散弾銃の所持許可が失効していることを読み取ることは可能であった。 しかしながら,F知事に,本件狩猟者登録の申請に際して,被告Aの所持許可の有効性を確認し,その登録を拒否しなければならない職務上の義務がない以上,被告Aの本件狩猟者登録をしたことが違法であるとはいえない。 ウこれに対し,原告らは,上記結論は,F知事をして,銃砲の違法所持の幇助をさせるに等しく,不合理であるなどと主張するが,そもそも被告Aには銃刀法上,不法所持の禁止という強い規範が向けられているのであって,銃刀法とは立法目的等を異にする旧鳥獣保護法に関するF知事の対応をもって,被告Aの違法行為に加担するものと評価することはできない。 現行鳥獣保護法58条の趣旨など,原告らの指摘するその他の であって,銃刀法とは立法目的等を異にする旧鳥獣保護法に関するF知事の対応をもって,被告Aの違法行為に加担するものと評価することはできない。 現行鳥獣保護法58条の趣旨など,原告らの指摘するその他の事情をも ってしても,前記判断に影響を及ぼすものではない。 (3)その他,原告らは「被告Aが,自らの刑事事件の取調べに際し,警察官,に対して,本件散弾銃について所持許可の更新申請を行った旨供述するとともに,平成14年3月19日,講習会の受講を申請し,同年4月26日,これを受講していること(乙ロ9,10)をもって,被告Aは,真実,所持許可の更新申請を行っており,J警察署あるいはF公安委員会の手違いで未処理となっていたということも考えられる」などと主張するが,被告Aが本件散弾銃の所持許可について更新の申請を行った事実を認めるに足りる証拠はなく,かかる原告らの主張は採用できない。 (4)よって,被告Fの責任については,その余の点を判断するまでもなく,原告らの主張は理由がない。 被告Gの不法行為責任について(1)原告らは,被告Gには,被告Aに係る本件共済の加入手続の際,同被告が有効な所持許可を有しているか否かを確認する義務を負っていたのに,これを怠った過失があると主張する。 この点,前記争いのない事実等(2)ウ(ア)記載のとおり,所持許可を受けないで所持する銃器によって生じた事故は,本件共済の免責事由とされており(狩猟事故共済規約12条(5) ,被共済者が,将来,当該銃器の所持許可)を取得しないまま当該銃器を使用して狩猟を行ったことに起因して事故が生じたとすれば,同事故について被告Gは免責されることになる。 しかし,共済事業者としては,被共済者に対し,そのような免責条項の存在を告知すれば足り,被共済者に免責事由ないし将来免責事由に該当 事故が生じたとすれば,同事故について被告Gは免責されることになる。 しかし,共済事業者としては,被共済者に対し,そのような免責条項の存在を告知すれば足り,被共済者に免責事由ないし将来免責事由に該当する原因となり得る事由が存するか否かについて,確認すべき義務まで負うものではない。 また,旧鳥獣保護法及び同法施行規則は,狩猟に起因する事故のために生じた他人の生命又は身体の被害をてん補し,もって被害者の現実的救済を図 る見地から,狩猟により生ずる損害の賠償に関して,一定の共済事業ないし損害保険への加入ないしそれに準ずる資力信用を有することを狩猟者登録の要件としており(旧鳥獣保護法8条ノ3第3項3号,同法施行規則18条,)被告Gが営む共済事業はかかる共済事業に該当する。 しかし,これをもって,当該共済事業者や損害保険会社が,共済や保険に加入する際,加入者の所持する猟銃の所持許可が有効か否かを確認する義務まで負うとする根拠であるとは解されない。 (2)原告らは,被告Aに係る平成14年度の本件狩猟者登録手続ないし猟銃用火薬類無許可譲受票の一括申請は,被告Gを通じて行われているところ,その際,同被告は,被告Aが有効な所持許可を有しているか否かを確認する義務を負っていたのに,これを怠った過失があると主張する。 しかし,いずれの手続も社団法人Nを通じて行われており,これと別個の社団法人である被告Gがこれに関与していたことを認めるに足りる証拠もなければ,同被告の責任を認める根拠もないというべきである。 なお,狩猟者登録の申請は,社団法人Nのような狩猟者団体を通じて行われる取扱いとなっているが(乙ロ58,あくまで都道府県知事に対して行)われるものであり,社団法人Nが,その申請の窓口の役目を果たしていたとしても,その申請用紙に記載された猟銃等の所持許 通じて行われる取扱いとなっているが(乙ロ58,あくまで都道府県知事に対して行)われるものであり,社団法人Nが,その申請の窓口の役目を果たしていたとしても,その申請用紙に記載された猟銃等の所持許可の有無ないし有効性について確認すべき法的義務を課する根拠はないし,猟銃用火薬類無許可譲受票の交付についても,同猟友会に,被交付者の所持する猟銃等についてそのような法的義務を課す根拠はない。 (3)よって,被告Gの不法行為責任については,その余の点を判断するまでもなく,原告らの主張は理由がない。 被告保険会社の不法行為責任について原告らは,被告保険会社には,被告Aに係る本件保険加入の際,同被告が有効な所持許可を有しているか否かを確認する義務を負っていたのに,これを怠 った過失があると主張する。 この点,前記争いのない事実等(2)ウ(イ)記載のとおり,所持許可を受けないで所持している銃器によって生じた事故は,本件保険の免責事由とされているが(ハンター特別約款3条(3) ,保険者としては,被保険者に対し,かかる)免責事由を告知すれば足り,被保険者に免責事由ないし将来免責事由の原因となり得る事由が存するか否かについて,確認すべき義務を負うものではないことは,被告Gの本件共済加入についての説示と同様である。 よって,被告保険会社に,被告Aに係る本件保険加入の際,同被告が有効な所持許可を有しているか否かを確認する注意義務を負うと解することはできず,被告保険会社の不法行為責任については,その余の点を判断するまでもなく,原告らの主張は理由がない。 債権者代位権の行使について(1)前記争いのない事実等(2)ウ,(3)及び(4)記載のとおり,本件事故は所持許可を受けないで所持する銃器によって生じた事故であり,本件共済及び本件保険の免責条項(狩 権者代位権の行使について(1)前記争いのない事実等(2)ウ,(3)及び(4)記載のとおり,本件事故は所持許可を受けないで所持する銃器によって生じた事故であり,本件共済及び本件保険の免責条項(狩猟事故共済規約12条(5),ハンター特別約款3条(3))に該当するから,被告Aが,被告Gに対する共済金支払請求権ないし被告保険会社に対する保険金支払請求権を有しているとは認められない。 これに対し,原告らは,被告G及び被告保険会社が,上記各免責事由を主張することは,信義則に反し,権利濫用として許されないなどと主張する。 しかしながら,共済ないし保険加入後に所持許可を受けて狩猟をすることはあり得るし,銃砲の所持は一般的に禁止され(銃刀法3条1項,所持許)可がなければそれ自体違法であって,そのような銃砲を使用して行われた狩猟に起因する事故を免責対象とすることもって正義に反するということはできず,被告Gないし被告保険会社が当該免責事由を主張することは,何ら信義則に反せず,権利の濫用にも当たらない。 (2)よって,原告らの被告G及び被告保険会社に対する債権者代位権の行使 については,その余の点を判断するまでもなく,理由がない。 損害(1)Iの損害ア治療費15万2120円証拠(甲35の1・2)及び弁論の全趣旨により認められる。 イ入院雑費1万1700円Iは,平成15年1月25日から同年2月2日までの9日間入院した(甲35の1・2)が,入院雑費は,1日当たり1300円と認めるのが相当であるから,上記金額となる。 ウ休業損害6万1475円Iは,山に入り榊やしきびを採取し,市場で売る生花業を営み,平成11年度の年収が260万円で,平成12年度の年収が260万円で,平成13年度の年収が230万円であり(甲9,32の1ないし3,本件事 Iは,山に入り榊やしきびを採取し,市場で売る生花業を営み,平成11年度の年収が260万円で,平成12年度の年収が260万円で,平成13年度の年収が230万円であり(甲9,32の1ないし3,本件事)故当時年間250万円の収入を得ることができたものと推認されるところ,Iは本件事故に遭い,平成15年1月25日から同年2月2日までの9日),間働くことができなかった(甲35の1・2。したがって,休業損害は6万1475円となる。 2500000×9÷366=61475エ死亡による逸失利益1551万0690円Iは,本件事故当時,満57歳(昭和20年7月24日生)の健康な男子であったが,本件事故に遭わなければ,その後12年間にわたり稼働可能であり,この稼働期間中250万円の年収を得ることができ,全期間について生活費として収入の3割を必要としたものと推認される。そして,年5分の割合による中間利息の控除はライプニッツ方式によるのが相当であるから,以上を基礎として,本件事故当時の逸失利益の現価を算出すると,1551万0690円となる。 2500000×(1-0.3)×8.86325164=15510690オ慰謝料2400万円本件事故の態様,Iの年齢等本件に現れた一切の事情を斟酌すると,Iの慰謝料は2400万円が相当である。 カ葬儀費用150万円本件事故と相当因果関係のある葬儀費用は150万円と認めるのが相当である。 キその他の諸費用0円Iの雑費(別紙雑費明細)については,これを認めるに足りる証拠はない。 (2)原告B固有の損害ア慰謝料300万円本件事故の態様等本件に現れた一切の事情を斟酌すると,Iの妻である原告Bの慰謝料は300万円が相当である。 イ駆けつけ費用6万3000円原告Bの駆けつけ費用には,原告B ア慰謝料300万円本件事故の態様等本件に現れた一切の事情を斟酌すると,Iの妻である原告Bの慰謝料は300万円が相当である。 イ駆けつけ費用6万3000円原告Bの駆けつけ費用には,原告Bの入院付添費用も含まれると解されるところ,近親者の入院付添費は,1日当たり7000円と認めるのが相当であるから,9日間で,6万3000円となる。 上記以外の原告Bの駆けつけ費用(別紙諸費用明細1)及びIの妹であるKの駆けつけ費用等の立替金(別紙諸費用明細2)は,これを認めるに足りる証拠はない。 (3)原告C固有の損害ア慰謝料100万円本件事故の態様等本件に現れた一切の事情を斟酌すると,Iの子である原告Cの慰謝料は100万円が相当である。 イ駆けつけ費用0円原告Cの駆けつけ費用(別紙諸費用明細3)は,これを認めるに足りる証拠はない。 (4)原告D固有の損害慰謝料100万円本件事故の態様等本件に現れた一切の事情を斟酌すると,Iの子である原告Dの慰謝料は100万円が相当である。 (5)原告E固有の損害100万円本件事故の態様等本件に現れた一切の事情を斟酌すると,Iの母である原告Eの慰謝料は100万円が相当である。 (6)相続等原告B,原告C及び原告Dは,法定相続分に従い,原告Bが2分の1,原告C及び原告Dが各4分の1の割合でIが本件事故により被った損害を相続したから,原告Bの損害合計額(原告B固有の損害分を含む)は2368。 万0993円と,原告Cの損害合計額(原告C固有の損害分を含む)は1。 130万8996円と,原告Dの損害合計額(原告D固有の損害分を含む)は1130万8996円となる。 。 原告Eの損害は,100万円となる。 この点,原告らは,原告らの損害賠償請求権は連帯債権になる旨を主張するが,Iの損害賠償請 損害合計額(原告D固有の損害分を含む)は1130万8996円となる。 。 原告Eの損害は,100万円となる。 この点,原告らは,原告らの損害賠償請求権は連帯債権になる旨を主張するが,Iの損害賠償請求権は相続により当然にその相続分に従い分割されるものであるし,原告らそれぞれに固有の損害賠償請求権が連帯債権となる根拠はないから,原告らの同主張は採用できない。 (7)弁護士費用本件事故と相当因果関係のある弁護士費用相当の損害額は,原告Bにつき150万円,原告C及び原告Dにつき各85万円,原告Eにつき10万円と認めるのが相当である。 結論 よって,原告Bの被告Aに対する請求は,2518万0993円及びこれに対する不法行為の日である平成15年1月25日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は棄却すべきである。原告Cの被告Aに対する請求は,1215万8996円及びこれに対する不法行為の日である平成15年1月25日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は棄却すべきである。原告Dの被告Aに対する請求は,1215万8996円及びこれに対する不法行為の日である平成15年1月25日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は棄却すべきである。原告Eの被告Aに対する請求は,110万円及びこれに対する不法行為の日である平成15年1月25日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は棄却すべきである。原告らの被告F,被告G及び被告保険会社に対する請求は,いずれも理由がないからこれを棄却すべきである。 よって,主文のとおり 支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は棄却すべきである。原告らの被告F,被告G及び被告保険会社に対する請求は,いずれも理由がないからこれを棄却すべきである。 よって,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第6部裁判長裁判官内田計一裁判官安田大二郎裁判官高橋貞幹

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