平成2(オ)1454 建物収去土地明渡等請求本訴、所有権移転登記請求反訴、建物収去土地明渡

裁判年月日・裁判所
平成6年3月8日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 昭和62(ネ)2621
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判決文本文2,500 文字)

主文 上告人A1の本件上告を却下する。 その余の上告人らの本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理由 一上告人A1の上告について右上告人は上告理由書を提出しないので、その上告は不適法であって却下を免れない。 二上告人A2、同A3、同A4、同A5、同A6、同A7、同A8、同A9、同A10、同A11の代理人斎藤尚志、同浅野晋の上告理由第一について原審の適法に確定したところによれば、原判決別紙物件目録一記載の土地(以下「本件土地」という。)は昭和二二年ころDが売買によって取得し、また、本件土地上の建物(以下「本件建物」という。)はそのころDの父であるEが売買によって取得したものであるところ(なお、被上告人は昭和二四年にDと婚姻した。)、Dは中華人民共和国の国民であり、昭和五一年一一月三日上海市で死亡し、E(台湾出身)は昭和五三年五月三一日東京で死亡した、というのである。 被上告人の本訴請求は、被上告人が、Dの相続人は夫である被上告人と四人の子であり、右相続人らの遺産分割協議により、本件土地は被上告人の単独所有になったと主張して、本件建物の共有者(Eの相続人)らに対し本件土地の明渡し等を請求するものであるが、上告人らは、Dの相続に適用されるべき法律は、法例(平成元年法律第二七号による改正前のもの。以下、同じ。)二五条により、Dの本国法である中華人民共和国法であると主張し、論旨は、この点に関する原審判断につき法令違背をいうものである。 そこで検討すると、Dの相続に適用されるべき法律は、法例二五条により、同人- 1 -の本国法である中華人民共和国法となるべきところ、中華人民共和国においては、一九八五年(昭和六〇年)に中華人民共和国継承法(以下「継承法」と に適用されるべき法律は、法例二五条により、同人- 1 -の本国法である中華人民共和国法となるべきところ、中華人民共和国においては、一九八五年(昭和六〇年)に中華人民共和国継承法(以下「継承法」という。)が制定されて同年一〇月一日から施行され、同法三六条は、中国公民が中華人民共和国外にある遺産を相続するときは、不動産については不動産所在地の法律を適用する旨規定している。そして、原審の確定したところによれば、(1) 継承法を制定した人民議会において、「同法施行前に開始した相続については、施行前に既に遺産が処理されている場合は改めて処理しないが、施行時に未処理の場合は同法を適用する」旨説明されている、(2) 中華人民共和国最高人民法院は、同法の運用について見解を示し、「人民法院は、同法が発効する以前に既に受理し、発効時にまだ審結していない継承案件に対して同法を適用する」としている、(3) これは、同法発効前の継承案件に対する法律適用問題についての基本原則と精神は同法の内容と一致しているとの考えに基づくものである、というのである。 したがって、右によれば、D(昭和五一年一一月三日死亡)の相続問題が継承法の発効した時点で未処理であったとすれば、同法の規定がさかのぼって適用されることとなる。 ところで、原審の確定したところによれば、被上告人はDの死亡後、中華人民共和国上海市高級人民法院に対して相続関係の証明を求めたところ、同法院の公証員は、昭和五一年一二月二九日付けで継承権証明書を発行し、日本にあるDの相続財産(本件土地)については、Dの夫である被上告人及びその子四名が継承すべき旨を証明した、というのである。しかしながら、継承法一〇条は、法定相続の第一順位者として配偶者、子、父母を規定しているところ、関係資料によれば、中華人民共和国において 告人及びその子四名が継承すべき旨を証明した、というのである。しかしながら、継承法一〇条は、法定相続の第一順位者として配偶者、子、父母を規定しているところ、関係資料によれば、中華人民共和国においては、相続人の範囲及び相続の順位などについては、継承法の制定以前から同法の規定するところと同一の慣行ないし法原則が存在したとされるのであって、そうだとすれば、Dの相続については、その父母もまた第一順位の法定相続- 2 -人となるべきものである。前記継承権証明書は、当時生存していたDの父であるEについては何ら触れるところがないが、同人が相続人とならないことまでを証明しているとするには疑問があるといわなければならない。 被上告人は、前記継承権証明書により、Dの相続人は被上告人とその子四名であり、右五名の遺産分割協議により、被上告人が本件土地を相続したと主張するが、前示のとおり、右証明書の内容に疑問があるのであって、これに基づく遺産分割協議の効力もまた直ちには認め難いといわなければならない。そうだとすれば、Dの相続問題は、継承法が発効した時点において未処理であったというを妨げない。 以上によれば、Dの国外財産(本件土地)の相続については、継承法の規定がさかのぼって適用され、同法三六条及び法例二九条の規定により、反致される結果、結局、不動産所在地法である日本法が適用されるべきこととなる。原判決はこの趣旨をもいうものとして是認することができる。論旨は採用することができない。 同第二について所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものであって、採用することができない。 よって、民訴法四〇一条、三九九条ノ三、三九 して是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものであって、採用することができない。 よって、民訴法四〇一条、三九九条ノ三、三九九条一項二号、三九八条一項、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官大野正男裁判官園部逸夫裁判官可部恒雄裁判官千種秀夫- 3 -

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