○ 主文一被告が、昭和四四年一月一七日付をもつてなした原告の昭和四〇年分の所得税の所得金額を九八四、四一九円(異議申立決定により一部取消された後の額)とする決定処分のうち、九四三、五四一円を超える部分及び無申告加算税一〇、九〇〇円(異議申立決定により一部取消された後の額)の賦課処分のうち、右所得金額九四三、五四一円を超える部分に対応する部分は、いずれもこれを取消す。二原告のその余の請求を棄却する。三訴訟費用はこれを二〇分し、その一九を原告、その余を被告の各負担とする。○ 事実第一当事者の求める裁判(原告)一被告が昭和四四年一月一七日付をもつてなした原告の昭和四〇年分、昭和四一年分、昭和四二年分の各所得税課税更正処分及び昭和四〇年分につき無申告加算税、昭和四一年分、昭和四二年分につき各過少申告加算税の各賦課決定処分はこれを取消す。二訴訟費用は被告の負担とする。(被告)一原告の請求を棄却する。二訴訟費用は原告の負担とする。第二当事者の主張(原告の請求原因)一原告は、肩書地において皮革業を営む、いわゆる白色申告者であるが、被告に対し昭和四一年分及び昭和四二年分の所得税に関して次表のとおり確定申告をしたところ、同表記載の決定あるいは増額更正及び無申告加算税あるいは過少申告加算税の各賦課決定の各処分(以下右各処分を一括して本件各処分という)を受け、同表記載の経緯でこれに対する行政不服申立手続を経由した。二しかしながら、本件各処分は違法であるからその取消を求める。(被告の認否及び本件課税処分の根拠)一認否請求原因一は認める。同二は争う。二本件課税処分の根拠原告の係争各年分における所得金額算出根拠は次のとおりであり、本件各処分はいずれもその範囲内であるから適法である。(昭和四〇年分事業所得) 原因一は認める。同二は争う。二本件課税処分の根拠原告の係争各年分における所得金額算出根拠は次のとおりであり、本件各処分はいずれもその範囲内であるから適法である。 求める。(被告の認否及び本件課税処分の根拠)一認否請求原因一は認める。同二は争う。二本件課税処分の根拠原告の係争各年分における所得金額算出根拠は次のとおりであり、本件各処分はいずれもその範囲内であるから適法である。(昭和四〇年分事業所得) 原因一は認める。同二は争う。二本件課税処分の根拠原告の係争各年分における所得金額算出根拠は次のとおりであり、本件各処分はいずれもその範囲内であるから適法である。(昭和四〇年分事業所得) 1 原告の係争年分の事業所得金額及びその内訳は次表のとおりである。2 収入金額二、六七三、〇〇三円収入金額は、原告の取引先調査の結果による調査資料に基づいて算定した。その取引先別内訳は、次のとおりである。3 一般経費六一八、五三六円経費のうち一般経費(事業専従者控除額及び特別経費以外のものをいう。以下同じ。)については、原告は原処分・異議申立及び審査請求において具体的に申し立てをせず、かつ証拠書類も提出しなかつたので、その算定は、右収入金額に、審査請求の裁決にあたつて所轄の向島税務署及びその近隣署である本所・葛飾・足立・荒川税務署五署の各管内に事業所を有する個人のうちで、「皮革加工」を業種目としてネツト式皮革乾燥機を使用して張革加工を営んでおり、かつ青色申告書により正確に収支計算をしている者(以下「青色同業者」という。)につき、調査した結果得られた別表一の(一)のAの青色同業者の経費率(収入金額に対する一般経費の占める割合。以下同じ。)二三・一四%(小数点三位以下切捨て。以下同じ。)を乗じて算出した。なお、原告の事業は特殊な業態であるため、右要件を満たす青色同業者は一件のみしか存在しなかつた。4 特別経費七六一、七二五円特別経費(事業の用に供する建物の減価償却費・地代・雇人費及び支払利息のように納税義務者の個別事情を反映する経費をいう。以下同じ。)の内訳は、つぎのとおりである。(一) 雇人費七四三、八九六円前記収入金額に前記一般経費の項で述べたとおり、別表一の(一)のAの青色同業者の雇人費率(収入金額に対する雇人費の占める割合 同じ。)の内訳は、つぎのとおりである。(一) 雇人費七四三、八九六円前記収入金額に前記一般経費の項で述べたとおり、別表一の(一)のAの青色同業者の雇人費率(収入金額に対する雇人費の占める割合。以下同じ。)二七・八一二%(小数点三位以下切捨て)を乗じて算出した。 七四三、八九六円前記収入金額に前記一般経費の項で述べたとおり、別表一の(一)のAの青色同業者の雇人費率(収入金額に対する雇人費の占める割合 同じ。)の内訳は、つぎのとおりである。(一) 雇人費七四三、八九六円前記収入金額に前記一般経費の項で述べたとおり、別表一の(一)のAの青色同業者の雇人費率(収入金額に対する雇人費の占める割合。以下同じ。)二七・八一二%(小数点三位以下切捨て)を乗じて算出した。(二) 建物減価償却費一二、八五二円建物につき、調査の結果判明した建物の種類、構造並びにその取得年月日・取得価額及び事業専用割合に基づき定額法により算出したもので、その計算明細は別表二のとおりである。(三) 地代四、九七七円地代につき、調査した結果判明した金額で、昭和四〇年中に原告が訴外地主aに対して支払つた地代である。5 事業専従者控除額一一二、五〇〇円昭和四〇年分の白色申告者の事業専従者控除額は一一二、五〇〇円であるが、原告の場合同人の妻が事業専従者であるため、同人分として右金額を認めた。(昭和四一年分事業所得) 1 原告の係争年分の事業所得金額及びその内訳は次表のとおりである。2 収入金額三、九一五、八八七円収入金額は原告の取引先の調査の結果による調査資料に基づいて算定した。その取引先別内訳は、次のとおりである。3 一般経費一、一〇五、八四七円一般経費については昭和四〇年分について述べたと同様、収入金額に向島・本所・葛飾・足立及び荒川税務署五署管内の青色同業者を調査した結果得られた別表一の(二)のAの青色同業者の経費率二八・二四%を乗じて算出した。4 特別経費一、四九八、九三八円特別経費の内訳は、つぎのとおりである。(一) 雇人費一、三七〇、五六〇円前記収入金額に前記一般経費の項で述べたとおり、別表一の(二)のAの青色同業者の雇人費率三五・〇〇%を乗じて算出した。(二) 建物減価償却費一六、九一五円建物につき、調査の結果判明した建物の種 前記収入金額に前記一般経費の項で述べたとおり、別表一の(二)のAの青色同業者の雇人費率三五・〇〇%を乗じて算出した。(二) 建物減価償却費一六、九一五円建物につき、調査の結果判明した建物の種類・構造並びにその取得年月日、取得価額及び事業専用割合に基づぎ定額法により算出したもので、その計算明細は別表二のとおりである。(三) 借入金利子一〇七、七三〇円調査の結果判明した金額で、昭和四一年中に原告が訴外中ノ郷信用組合寺島支店に支払つた同組合からの借入金三、〇〇〇、〇〇〇円に対する支払利息である。 〇%を乗じて算出した。(二) 建物減価償却費一六、九一五円建物につき、調査の結果判明した建物の種類・構造並びにその取得年月日、取得価額及び事業専用割合に基づぎ定額法により算出したもので、その計算明細は別表二のとおりである。(三) 借入金利子一〇七、七三〇円調査の結果判明した金額で、昭和四一年中に原告が訴外中ノ郷信用組合寺島支店に支払つた同組合からの借入金三、〇〇〇、〇〇〇円に対する支払利息である。(四) 地代三、七三三円昭和四一年中に原告が訴外地主aに対して支払つた地代である。5 事業専従者控除額一四二、五〇〇円原告が確定申告書に記載した金額によつたものである。(昭和四二年分事業所得) 1 原告の係争年分の事業所得金額及びその内訳は次表のとおりである。2 収入金額五、三六三、一九一円収入金額は、原告の取引先の調査した結果による調査資料に基づいて算定した。その取引先別内訳は、次のとおりである。3 一般経費一、二七二、六八六円一般経費については昭和四〇年分について述べたと同様、収入金額に向島・本所・葛飾・足立及び荒川税務署五署管内の青色同業者を調査した結果得られた別表一の(三)のAないしCの青色同業者の経費率二三・七三%を乗じて算出した。なお、昭和四二年分は青色申告を承認された青色同業者は二件である。4 特別経費一、九五六、一二〇円特別経費の内訳は、つぎのとおりである。(一) 雇人費一、七〇二、八一三円前記収入金額に前記一般経費の項で述べたとおり、別表一の(三)のAないしCの青色同業者の平均雇人費率三一・七五%を乗じて算出した。(二) 建物減価償却費二〇、〇三四円建物につき調査の結果判明した建物の種類・構造並び 般経費の項で述べたとおり、別表一の(三)のAないしCの青色同業者の平均雇人費率三一・七五%を乗じて算出した。(二)建物減価償却費二〇、〇三四円建物につき調査の結果判明した建物の種類・構造並びにその取得年月日、取得価額及び事業専用割合に基づき定額法により算出したもので、その計算明細は別表二のとおりである。(三)借入金利子二三三、二七三円昭和四二年中に原告が訴外中ノ郷信用組合寺島支店に支払った原告の同組合からの借入金三、〇〇〇、〇〇〇円及び五〇〇、〇〇〇円に対する支払利息である。5事業専従者控除額一五〇、〇〇〇円原告が確定申告書に記載した金額によったものである。(被告の本件課税根拠の主張に対する原告の認否及び本件各処分の違法事由)一被告の本件課税根拠の主張に対する原告の認否(昭和四〇年分) である。(三)借入金利子二三三、二七三円昭和四二年中に原告が訴外中ノ郷信用組合寺島支店に支払った原告の同組合からの借入金三、〇〇〇、〇〇〇円及び五〇〇、〇〇〇円に対する支払利息である。5事業専従者控除額一五〇、〇〇〇円原告が確定申告書に記載した金額によったものである。(被告の本件課税根拠の主張に対する原告の認否及び本件各処分の違法事由)一被告の本件課税根拠の主張に対する原告の認否(昭和四〇年分) 1収入金額認める。2一般経費原告が、原処分・異議申立及び審査請求において一般経費につき具体的に申立なせず、かつ証拠書類を提出しなかったことは認めるが、被告の主張にかかる一般経費の金額は否認し、その余は不知。3特別経費(一)雇人費、(二)建物減価償却費とも金額否認、算出方法はいずれも不知。(三)地代は認める。4事業専従者控除額認める。(昭和四一年分) 1収入金額認める。2一般経費金額は否認し、その算出方法は不知。3特別経費(一)雇人費、(二)建物減価償却費とも金額否認、算出方法はいずれも不知。(三)借入金利子、(四)地代は認める。4事業専従者控除額認める。(昭和四二年分) 1収入金額認める。2一般経費金額は否認し、その算出方法は不知。3特別経費(一)雇人費、(二)建物減価償却費とも金額否認、算出方法はいずれも不知。(1)借入金利子は認める。4事業専従者控除額認める。2 一般経費金額は否認し、その算出方法は不知。3 特別経費(一) 雇人費、(二)建物減価償却費とも金額否認、算出方法はいずれも不知。(1) 借入金利子は認める。4 事業専従者控除額認める。二本件各処分の違法事由本件各処分には次のとおりの違法があるから、取消されるべきである。1 被告が本件各処分をなすに際して実施した税務調査は違法である。税務署長が更正または決定をするための調査は、申告納税制度を原則としている以上、例外的な場合に限られ、しかも合理的な根拠、理由がなくてはならない。所得税法二三四条は、「所得税に関する調査について必要があるとき」は質問検査権を行使しうる旨規定するが、単に当該職員が調査の必要があると判断したというだけでは足りず、その調査の必要性が客観的合理的に是認される場合にのみ調査をなしうるものと解すべきである。従つて、調査に際しては、調査事項を特定して被調査者の承諾を求め、要求があれば、調査理由を開示すべきである。 かも合理的な根拠、理由がなくてはならない。所得税法二三四条は、「所得税に関する調査について必要があるとき」は質問検査権を行使しうる旨規定するが、単に当該職員が調査の必要があると判断したというだけでは足りず、その調査の必要性が客観的合理的に是認される場合にのみ調査をなしうるものと解すべきである。従つて、調査に際しては、調査事項を特定して被調査者の承諾を求め、要求があれば、調査理由を開示すべきである。これは、質問検査権の行使について当該職員の恣意に基づく調査が許されないこと、また、被調査者にとつては調査をうけること自体が、営業活動や取引の信用等に対し損害を与えるものであること、さらに、調査が徴税の便宜に偏して行なわれるならば、納税者の基本的人権を害う危険をもたらすことになるからである。また、所得税法が自主申告納税制度を採用している以上、申告内容に対する求釈明には、申告にかかる諸事項金額のどの部分を調査するのか特定しなければならない。もしこれらの調査事項の特定あるいは調査理由の開示を全く不要とすれば、自主申告納税制度における自主申告権を否定するもので許されない。そうだとすると、調査の方法も右に述べた観点に基づき進められなければならない。しかるに、被告所属の職員b及びcの両名は、昭和四三年九月九 主申告納税制度における自主申告権を否定するもので許されない。そうだとすると、調査の方法も右に述べた観点に基づき進められなければならない。しかるに、被告所属の職員b及びcの両名は、昭和四三年九月九日原告方に来訪し、原告に対して身分証明書も提示せずに、単に「調査させてもらいます。」と告げただけで、原告が再三要求したにもかかわらず調査の理由を全く説明せず、執拗に調査に応ずるよう迫つた。同職員らは、その後も二回原告方に来たが、このときも全く調査理由を告げず、原告の取引先につき反面調査を強行した。このように被告職員の調査は強権的であり、明らかに違法なものといわなければならない。2 被告は本件各処分をなすにつきその必要性がないにもかかわらず推計課税を行なつたものであり、違法である。被告は原告に対し前記のとおり正常な調査をなそうとはせず、調査理由も告げないでただ一方的に帳簿の提示を求めるので、原告としては、調査理由を明らかにすることが先決であるから帳簿をみせる段階ではないと応答したもので、帳簿の提示を拒否したとか、帳簿はないなどと言つたことはない。 のといわなければならない。2 被告は本件各処分をなすにつきその必要性がないにもかかわらず推計課税を行なつたものであり、違法である。被告は原告に対し前記のとおり正常な調査をなそうとはせず、調査理由も告げないでただ一方的に帳簿の提示を求めるので、原告としては、調査理由を明らかにすることが先決であるから帳簿をみせる段階ではないと応答したもので、帳簿の提示を拒否したとか、帳簿はないなどと言つたことはない。また、被告の職員が来訪して原告の事業経費の内容につぎ教示を求めてきたことがあるが、原告としては予告なしの来訪であつたから都合が悪いと答えたまでで、大声でどなつたことはない。さらに、異議申立の段階において、被告職員が原告方に来訪した際、民主商工会(以下「民商」という。)員が同席したことはあるが、原告側において職員をやゆしたり、調査を拒否したことはない。原告としては、職員が原決定の理由やその内容を示すものと考えて質問したのであるが、全く答弁がえられなかつた。また、審査請求の段階で、原告はかねてより協議官に対し被告側からの弁明書の提出を求め、かつ、その閲覧を申立てていたところ、協議官はこの申立に応ずる旨約 て質問したのであるが、全く答弁がえられなかつた。また、審査請求の段階で、原告はかねてより協議官に対し被告側からの弁明書の提出を求め、かつ、その閲覧を申立てていたところ、協議官はこの申立に応ずる旨約束しておりながら、再度にわたり原告の要求に対し言を左右にしてこれを無視し続けたものである。このように、被告は、原告において被告に対し調査の理由等の開示を求めたことを原告が調査に協力せず妨害したとの口実に用い、これを推計課税をなすべき正当事由とするのであるが到底許されないというべきである。3 一般経費を推計するについて、被告が算出の根拠とした業者は昭和四〇年、昭和四一年各A一件、昭和四二年はA、B、Cの三件にすぎないが、このような同業者の抽出方法は違法である。(一) 被告は、右のように抽出した理由として、原告が営むネツト式皮革乾燥機使用による張革加工業が特殊な業態であるからというのである。しかし、ネツト式皮革乾燥機使用業者が所轄の向島税務署及びその近隣署である本所、葛飾、足立、荒川税務署の五署管内で僅か三件しかないということ、しかも右抽出にかかるA、B、Cの業者がすべて向島税務署管轄内に存在するということ(裏から言えば、本所、葛飾、足立、荒川署の各管内には同業所が存在しないということ)は明らかに不合理である。 ツト式皮革乾燥機使用による張革加工業が特殊な業態であるからというのである。しかし、ネツト式皮革乾燥機使用業者が所轄の向島税務署及びその近隣署である本所、葛飾、足立、荒川税務署の五署管内で僅か三件しかないということ、しかも右抽出にかかるA、B、Cの業者がすべて向島税務署管轄内に存在するということ(裏から言えば、本所、葛飾、足立、荒川署の各管内には同業所が存在しないということ)は明らかに不合理である。ネツト式皮革業者は数えるに困難な程特殊な業態ではない。(二) 張革加工を専門とする業者は、いわゆる零細業者であつて、原告の知悉する向島税務署管内で青色申告をしている者は全く存在しない。被告の主張する青色申告業者なる者は架空であると考えざるをえない。(三) 被告は、また、前記A、B、Cの業者が向島税務署管内に存在するというだけで、その氏名及び所在場所を明らかにしていない。従つて、被告主張のような数値を得られるように同業者を抽出すること ない。(三) 被告は、また、前記A、B、Cの業者が向島税務署管内に存在するというだけで、その氏名及び所在場所を明らかにしていない。従つて、被告主張のような数値を得られるように同業者を抽出することもできるし、数値を合わせることもできる。被告は、その主張が正しいとするならば業者を具体的に特定すべきである。実在するかどうか明らかでない同業者の数値を根拠にした推計は許されない。(四) 仮りに、被告主張の税務署管内で同業者が一件ないし三件しか存在せず、右業者か青色申告者であつたとしても、推計の根拠とする同業者を青色申告者だけから抽出し、白色申告者を対象としないのは不合理である。白色申告者といえどもその経費率を明らかに算出しうる者があるはずである。白色申告者の申告が不正確であるというのなら、現行租税法を全く無視するものであつて賛同しがたい。青色、白色申告者双方を合わせれば、被告主張の税務署管内にはかなりの同業者が存在するのである。4 被告の主張する原告の一般経費の推計は到底合理的といえないものである。(一) 統計学的にいえば、推計は対象とする数が多ければ多い程正確性を増すものであり(大数の法則)本件のように一ないし三件の同業者を対象として推計するのは不正確である可能性が極めて大きいものである。対象同業者がA一件しか見当らないとして、しかもAの特殊性を全く無視したままで、それを基礎に推計することが正しいというなら、Aと原告はすべての点において全く同一の業態でなければならないことになるのである。 。(一) 統計学的にいえば、推計は対象とする数が多ければ多い程正確性を増すものであり(大数の法則)本件のように一ないし三件の同業者を対象として推計するのは不正確である可能性が極めて大きいものである。対象同業者がA一件しか見当らないとして、しかもAの特殊性を全く無視したままで、それを基礎に推計することが正しいというなら、Aと原告はすべての点において全く同一の業態でなければならないことになるのである。仮りに対象者が少なくとも推計学を駆使することによつて正確な対象を出しうるはずである。(二) 原告及び同業者の一般経費の大部分は運送費で占められている。原告のような下請業者は数軒の元請業者から材料を仕入れ、一間四方大の革に加工すると再び元請業者に配送する 象を出しうるはずである。(二) 原告及び同業者の一般経費の大部分は運送費で占められている。原告のような下請業者は数軒の元請業者から材料を仕入れ、一間四方大の革に加工すると再び元請業者に配送するという業態をとつているから、元請と下請業者の地理的条件によつてかなり運送費に相違が生ずる。また、自家用車で運送するものと、元請業者の負担で運送する場合とでは、当然その額に差がある一方、専従運転手の有無によつても極度の差が生じる。従つて、同一税務署管内であつても、その地理的条件は全く異る一方、他管内であつても原告と比較的類似するものがあるはずである。そうとすれば、単に税務署管内を同じくするという理由だけで一ないし三件という少数業者を対象として推計の根拠とするのは誤りであり、却つて、税務署管内を限定することなく、原告と地理的条件の類似した同業者を対象とすべきである。5 被告のなした原告の雇人費の推計は以下の理由により違法である。(一) 一般経費の推計における同業者抽出に関する違法について述べた3の(一)ないし(四)の主張は雇人費の推計についても妥当する。(二) 原告の事業分野において使用するネツト式皮革乾燥機は操作上通常四人の作業員が必要である。しかし、右作業はかなりの重労働で体力並びに技術が要求されるので作業員の年令、性別、経験によつてその使用人数にはかなり相違が生ずる。たとえば、熟練男子労働者なら二名で作業する場合でも女子のいわゆるパートタイマーなら四~五名は必要となるのである。従つて、使用機械の台数と使用作業員の人数とは正比例するものではなく、各業者の個々の特殊事情に応じて異なることが考慮されるべきである。 四人の作業員が必要である。しかし、右作業はかなりの重労働で体力並びに技術が要求されるので作業員の年令、性別、経験によつてその使用人数にはかなり相違が生ずる。たとえば、熟練男子労働者なら二名で作業する場合でも女子のいわゆるパートタイマーなら四~五名は必要となるのである。従つて、使用機械の台数と使用作業員の人数とは正比例するものではなく、各業者の個々の特殊事情に応じて異なることが考慮されるべきである。(三) 被告が推計の基礎とした同業者の業態が全く不明である(機械台数も従業員数も全くわからない)うえ、売上高はA、B、C業者とも原告と 者の個々の特殊事情に応じて異なることが考慮されるべきである。(三) 被告が推計の基礎とした同業者の業態が全く不明である(機械台数も従業員数も全くわからない)うえ、売上高はA、B、C業者とも原告と比較してそのほぼ半分の額で、ほぼ一致しているのに、「雇人費額」では、BはCの二・六倍強もあり、三者とも不揃いである。このことは、雇人費額を推計で計算すること自体が不合理であることを示すものである。雇人費額はむしろ従業員数の実情から算出するのでなければ実情と全くかけ離れたものになることは明らかである。(四) 原告は、昭和四〇年一月一日から昭和四一年九月頃までの間、旧建物でネツト式皮革乾燥機一台を使用し、昭和四一年一〇月から昭和四三年一二月までの間は新建物において右乾燥機二台を使用して張革加工の営業をしてきたものであるところ、右の期間中、事務労働に関与した原告の妻のほかに原告方で雇入れた従業員数は、次表のとおりである。そこで、係争年分当時における同業種の男女別従業員日給額を基礎として、平均出勤日数からその平均月収額を、更に年間給与額、一時金支給額を計算すると、各年分別の雇人費額は昭和四〇年分一、五六〇、〇〇〇円昭和四一年分二、〇九六、二五〇円昭和四二年分三、二三八、六〇〇円となり、その明細は次表のとおりである。6 被告のなした建物減価償却費の計算上、建物の二階を事業用と認めなかつたのは誤りである。もつとも、原告が事業の用に供していた建物(新旧とも)が原告の妻d名義であること、その一階が仕事場であること、妻dが旧建物とその借地権を他人に譲渡し、その代金を新建物の建築及び宅地の取得資金にあてたこと、原告が被告主張のとおりの申告をなし、建物の償却方法につき届出をしなかつたことは認める。 細は次表のとおりである。6 被告のなした建物減価償却費の計算上、建物の二階を事業用と認めなかつたのは誤りである。もつとも、原告が事業の用に供していた建物(新旧とも)が原告の妻d名義であること、その一階が仕事場であること、妻dが旧建物とその借地権を他人に譲渡し、その代金を新建物の建築及び宅地の取得資金にあてたこと、原告が被告主張のとおりの申告をなし、建物の償却方法につき届出をしなかつたことは認める。(原告の違法事由の主張に対する被告の主張)一違法 、その代金を新建物の建築及び宅地の取得資金にあてたこと、原告が被告主張のとおりの申告をなし、建物の償却方法につき届出をしなかつたことは認める。(原告の違法事由の主張に対する被告の主張)一違法事由1 1 原告は、本件更正処分前の税務調査が、甚た強権的であり、原告の再三の要求にもかかわらず被告の職員が調査の目的、理由等を特定明示することを拒否したために調査に協力したかつたのであり、被告の調査は明らかに違法な調査であると主張する。しかし、被告は後記の事情から原告の所得税に関し調査する必要があつたところ、原告は右被告の調査に対して理由なく協力を拒否したものであり、原告の主張は失当である。(一) 原告は、請求原因一記載のとおり昭和四一年分、昭和四二年分の確定申告をそれぞれしたが、被告において右各申告を検討したところ、昭和四一年分については、同年九月末に新築取得した家屋の取得資金二、八八〇、〇〇〇余円のうち五八〇、〇〇〇余円についての資金出所が明らかにされていないこと及び昭和四二年三月一日に実施した概況調査(未把握の納税者についてその事業の概況等の把握等を目的とする調査をいう。)の調査事績(乾燥機二台を各九〇〇、〇〇〇円で取得し月賦返済していること、従事員は原告本人、妻それに女性のパートタイマー四名であること、昭和四一年以前から営業しているのに同年一〇月から営業を開始した旨虚偽の申立てをしていること等よりみて過少申告のおそれがあると認められ、また、昭和四二年分については所得金額計算の基礎となる収入金額・必要経費の記載がされていないこと及び右概況調査の調査事績よりみて連年過少申告と認められた。更に、昭和四〇年分についても右状況を考えれば当然確定申告を要すると認められるにもかかわらず無申告であつたこと等により調査対象に選定し本件調査を実施し 年一〇月から営業を開始した旨虚偽の申立てをしていること等よりみて過少申告のおそれがあると認められ、また、昭和四二年分については所得金額計算の基礎となる収入金額・必要経費の記載がされていないこと及び右概況調査の調査事績よりみて連年過少申告と認められた。更に、昭和四〇年分についても右状況を考えれば当然確定申告を要すると認められるにもかかわらず無申告であつたこと等により調査対象に選定し本件調査を実施し 査の調査事績よりみて連年過少申告と認められた。更に、昭和四〇年分についても右状況を考えれば当然確定申告を要すると認められるにもかかわらず無申告であつたこと等により調査対象に選定し本件調査を実施したものである。(二) 右調査理由に基づき、昭和四三年九月九日被告所属の職員である大蔵事務官b及び大蔵事務官Pの両名が原告宅へ第一回目の臨店をした際、原告から「申告はしてある。何の理由で調査するのか間違つているところを指摘してくれ」との質問をうけたので、「調査理由は、あなたの申告が正しいかどうか、また、あなたは昭和四〇年分は無申告であるので、どの位の所得があつたかを知るために調査するのです」と答えているところであり、原告主張のように被告の職員が調査理由の概要・必要性の開示を拒否したという事実はない。2 更に、原告は、調査事項の特定・調査理由の開示を全く不要とすれば、自主申告納税制度における自主申告権を否定することとなり到底許されないと主張するが、原告の右主張は以下のとおり失当である。(一) 原告のいう自主申告権とはどのような趣旨内容のものであるか明らかではないが、元来納税申告は納税者が適宜自己の納税義務の範囲を決定しうる趣旨のものではなく、自ら進んで納付すべき所得税の課税標準及び税額を張簿書類等の会計記録などの確実な資料に基づいて、租税法の規定に従つて計算し自己の納税義務の具体的内容を確認したうえ、その結果に基づいてこれを税務署長に申告するものであつて、申告納税制度の設けられた趣旨は種々事情の異なる納税者について適正公平にして能率的な課税が行われるために、その内容を最も正確に知りうる立場にある納税者本人による課税標準等の申告をまず行なわしめるのが合理的であるという考え方に基づくものであり、納税義務の履行を国民自ら進んで遂行すべき義務との観念 めに、その内容を最も正確に知りうる立場にある納税者本人による課税標準等の申告をまず行なわしめるのが合理的であるという考え方に基づくものであり、納税義務の履行を国民自ら進んで遂行すべき義務との観念に基づき納税者に自らできるだけ正しい申告をさせ、同時にその申告行為自体に納税義務確定の効果を賦与することが現代民主々義国家における課税制度として相応しいものとの考え方に基づくものである。 すべき義務との観念 めに、その内容を最も正確に知りうる立場にある納税者本人による課税標準等の申告をまず行なわしめるのが合理的であるという考え方に基づくものであり、納税義務の履行を国民自ら進んで遂行すべき義務との観念に基づき納税者に自らできるだけ正しい申告をさせ、同時にその申告行為自体に納税義務確定の効果を賦与することが現代民主々義国家における課税制度として相応しいものとの考え方に基づくものである。そして、納税者のなす申告行為の法的性格は、私人のなす公法行為であるが、課税標準と税額は租税法の規定により既に客観的に定まつておりこれらの要件事実を納税者自身が確認して、これを税務当局に通知する性質の行為であつて、それに法律が具体的な納税義務確定の効果を賦与したのである。申告納税制度は、国民にその財産権を擁護するために税務署長をも拘束するような判断権を賦与したものではなく、国民に協同の費用としての租税の負担に関する手続を分担せしめたものと観念すべきである。(二) 右に記述したごとく、申告納税制度は、憲法に定められた国民の納税義務履行の手段として、国民に求められている行為であるが、右申告納税制度を担保し、適正な課税を実現するため所得税法は、二三四条において「所得税に関する調査について必要があるときは」質問検査をなしうることを定めている。そして、質問検査権の行使にあたつて、これを必要とする理由を開示しなければならない旨の規定はなんら存在しないから、調査理由の開示をもつて質問検査権行使の要件と解する余地はない。このことは、所得税法二三六条が質問・検査にあたつては身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときはこれを提示しなければならないことを明文をもつて規定していることから対比すればおのずから明らかである。ところで、質問検査権は、課税の適正かつ公平を維持するた 明書を携帯し、関係人の請求があつたときはこれを提示しなければならないことを明文をもつて規定していることから対比すればおのずから明らかである。ところで、質問検査権は、課税の適正かつ公平を維持するために税務職員に認められている権限であるから法の目的を逸脱し、あるいは強制力を用いた調査が許されないことはいうまでもないが、複雑多岐に亘る経済事象を対象とする税務調査においては納税者の事業規模や内容、記帳状況及び証拠書類の保存状況あるいは調査に対する協力度合等も千差万別であるところから、調査形態も当然右の状況に対応して具体的な調査の場における税務職員の合理的な判断に依存するほかはないのであるが、この調査の方法、時期等具体的な手続規定は設けられていないから、その権限を行使するかどうか、また、いかなる方法、場所で行使するかは、税務職員が適宜定めうるところであり、調査事項等は税務職員の調査の過程からおのずから明らかになることもあるのであつて、税務調査に先だつてその調査事項を必ず特定しなければならないものではない。 して具体的な調査の場における税務職員の合理的な判断に依存するほかはないのであるが、この調査の方法、時期等具体的な手続規定は設けられていないから、その権限を行使するかどうか、また、いかなる方法、場所で行使するかは、税務職員が適宜定めうるところであり、調査事項等は税務職員の調査の過程からおのずから明らかになることもあるのであつて、税務調査に先だつてその調査事項を必ず特定しなければならないものではない。特に原告の場合には、昭和四〇年分については無申告であり、昭和四一年分については収入金額が二、四〇〇、〇〇〇円、必要経費が一、八一二、〇〇〇円と、いずれもラウンドナンバーで記載されているところからみて正確な収支計算に基づくものとは認められず、さらに、昭和四二年分にいたつては収入金額及び必要経費について何ら記載がなく、単に所得金額が五〇〇、〇〇〇円と記載されているのみである。このような申告書についての調査事項が、全般に及ぶのは当然であつて、調査事項をあらかじめ限定して特定する等のことが不可能であることは明らかである。しかして、調査事項を特定することが調査のための必要要件であるとすれば、このような申告については全く調査をなしえないこととなるが、そ かじめ限定して特定する等のことが不可能であることは明らかである。しかして、調査事項を特定することが調査のための必要要件であるとすれば、このような申告については全く調査をなしえないこととなるが、そのような結論が不当であることはいうまでもないところであつて、申告額の正否を検討するためあらゆる角度から調査することが当然許されるものである。二違法事由2 1 課税庁が実額計算の方法により課税を行なうためには、納税義務者が正規の簿記の原則に従い、事実の取引を継続して記録した帳簿等を備え付け、かつ、税務職員の帳簿等の調査検査に際してこれらを提示するとともに、税務職員の質問に対し、協力することが前提である。納税義務者の協力を得られない状態のもとにおいて、課税庁がすべての所得の発生原因を具体的に指摘しないかぎり、課税処分を行なうことが許されないものとするならば、正確な記帳をしていない者、記帳していてもその調査に応じない者及び係官の質問に対し応答しない者等は、正しい納税を行なつている誠実な納税者と比べて不当に租税を免れるという課税上著しい不公平を生ずることとなるのである。 対し、協力することが前提である。納税義務者の協力を得られない状態のもとにおいて、課税庁がすべての所得の発生原因を具体的に指摘しないかぎり、課税処分を行なうことが許されないものとするならば、正確な記帳をしていない者、記帳していてもその調査に応じない者及び係官の質問に対し応答しない者等は、正しい納税を行なつている誠実な納税者と比べて不当に租税を免れるという課税上著しい不公平を生ずることとなるのである。被告は後述するような経緯のもとに本件係争年分の課税処分をするについては所得税法一五六条に基づき推計計算により算出せざるをえなかつたものである。2 被告が本件処分をなすに際して原告を調査した経過は以下に述べるとおりである。(原処分時における経過)(一) 昭和四三年九月九日午後一時四五分ころ、被告所属の職員b及びPが所得税にかかる調査のため原告の店舗の入口に立ちどまつたところ、原告はあわてて店舗内からでてきて店舗前の路上で対面した。そこで同職員が原告に身分証明書及び検査章を提示して調査する意思を表示すると、原告は、今日は二時から出かけるんで忙しいんだ。」といつて調査を拒否する態度を 店舗内からでてきて店舗前の路上で対面した。そこで同職員が原告に身分証明書及び検査章を提示して調査する意思を表示すると、原告は、今日は二時から出かけるんで忙しいんだ。」といつて調査を拒否する態度を示したので、職員は「時間はとりませんから概略を聞かせて下さい。」と原告に調査に協力するよう要請して調査に着手したが、原告は「なんの理由で調査するのか間違つているところを指摘してくれ。」とか「ちやんと申告してある。とにかく今日はだめだ。帰つてくれ。」とか言つて調査に対応する態度を全然示さなかつた。仕方なく職員が「今日は二時から出かけるのであればまた次に伺いますが、その時にはいろいろの資料を見せてくれるんでしようね。」と念を押したところ、原告に「うちのような零細なところをいじめても仕様がないだろう。見せる帳簿など何もない。」と大声で怒鳴つて職員を店舗内にも入れようとせず、全く調査に非協力な態度を示したのでやむなく職員は近日中に調査にくる旨を告げて原告方を辞去した。(二) 原告は、ネツト式皮革乾繰機を使用して張草加工を営んでいるので、職員は原告の機械の購入時の購入価格及び購入年月日等を明確にするため、製造元である広畑金属工業株式会社東京出張所(以下「広畑」という。 をいじめても仕様がないだろう。見せる帳簿など何もない。」と大声で怒鳴つて職員を店舗内にも入れようとせず、全く調査に非協力な態度を示したのでやむなく職員は近日中に調査にくる旨を告げて原告方を辞去した。(二) 原告は、ネツト式皮革乾繰機を使用して張草加工を営んでいるので、職員は原告の機械の購入時の購入価格及び購入年月日等を明確にするため、製造元である広畑金属工業株式会社東京出張所(以下「広畑」という。)に架電したところ、応答に出た広畑の従業員から明日の一〇時ごろ責任者がいるからその時に調査してもらいたい旨回答があつたので職員は同年九月一二日広畑に臨店した。ところが、広畑の正面入口の路上に原告の自動車が駐車しており、職員が広畑に赴こうとしたところ原告及びe・f民商事務局員ほか氏名不詳の者一名計四名がいきなり自動車から出てきて広畑へ入ることを阻んだので、機械の購入価格及び購入年月日を調査することはできなかつた。(三) 昭和四三年九月一四日原告から電話で一九日午後一時に調査に応ずる旨の連 名がいきなり自動車から出てきて広畑へ入ることを阻んだので、機械の購入価格及び購入年月日を調査することはできなかつた。(三) 昭和四三年九月一四日原告から電話で一九日午後一時に調査に応ずる旨の連絡があつたので、職員は約束どおり同年九月一九日午後一時に原告の店舗に第二回の調査に赴いた。職員が原告の店舗に着くと、原告及びe民商事務局員外一名が店舗前に立つて職員をむかえ直ちに二階の部屋に誘導した。二階の部屋はすでに民商事務局員及び会員ら八名が待機していた。五分ないし一〇分程して、さらに原告の妻及び民商事務局員ら五名が入室し計一六名が職員をとりかこんだ。職員はまず原告以外の者に向つて「gさんの調査なんだから、私はgさんだけに向つて質問し、返事はgさんからお聞きしますから」と断つたところ、原告は「申告のどこが間違つているのか、それを教えてほしい。三月一五日申告是認だ」と発言してきた。そこで職員は、原告に申告是認にはなつていない旨説明し調査に着手したところ、h及びf両民商事務局員が職員に向つて「調査の理由はなにか、事後調査をやる以上相当の理由があるんだろう。gさんもそれを聞きたいといつているんだよ」とか「事後調査はだれがきめるのか、一〇年も調査をしないところだつてある。皆申告是認だ」とか言つて口をはさみ調査を妨害しはじめた。 を教えてほしい。三月一五日申告是認だ」と発言してきた。そこで職員は、原告に申告是認にはなつていない旨説明し調査に着手したところ、h及びf両民商事務局員が職員に向つて「調査の理由はなにか、事後調査をやる以上相当の理由があるんだろう。gさんもそれを聞きたいといつているんだよ」とか「事後調査はだれがきめるのか、一〇年も調査をしないところだつてある。皆申告是認だ」とか言つて口をはさみ調査を妨害しはじめた。職員は、調査を進めるため、原告に帳簿書類の呈示を求めたところ、原告は「白だから帳簿はない」と言つて呈示しなかつた。そこで職員は経費の概略だけでも把握したいと思い、人件費について雇人数及び日給額を尋ねると、原告は「うちはパートだ、日給なんかbさんの方でよく知つているだろう。」と返答し、なんら具体的な応答はえられなかつた。更に経費のうちで主要と思われる灯油代について尋ねたところ、原告は憤然として「まだ話がついてないじやないか、 給なんかbさんの方でよく知つているだろう。」と返答し、なんら具体的な応答はえられなかつた。更に経費のうちで主要と思われる灯油代について尋ねたところ、原告は憤然として「まだ話がついてないじやないか、自分の申告のどこが間違つているのか、それじや全部について質問してくるだろう。こんなことでは返事しない」と大声で怒鳴つて調査に応じようとしなかつた。そのうちh民商事務局員が「白色申告者は収支明細書を提出する義務があるのかないのか知りたい。」等いたずらに無用の議論を吹きかけてきたので、職員が原告に「こんなに大勢いたんでは調査ができないし、時間がかかるばかりですからこの次にしてもよいですが、gさんその時にはいろいろ聞かせてもらえますか」と言つて調査に協力方を要請したが、原告は「前提条件の話し合いがつくまでは何回きても同じことだ」と言つて調査拒否の態度を変えなかつた。その後も職員は原告に調査に関係のない者の退室を要請し、調査に協力方を要請したが、原告は応じなかつたので、職員はやむをえず午後二時三五分ごろ原告方を辞去した。(四) 昭和四三年九月二〇日午後三時五分ごろ原告の店舗に第四回目の調査のため臨店したが、原告は「そう毎日来られては営業妨害だ」「あんたを見ると頭が痛い、ほんとだ帰つてくれ」と勝手なことを言つて怒鳴りちらしたので、職員は原告に再考をうながし、調査に協力方を要望したところ、原告は大声で隣のi民商会員を呼び寄せて「今日はほんとに頭が痛い、もう帰つてくれ」と怒鳴つて調査に応じようとしないので、今回も調査できず原告方を辞去した。 二〇日午後三時五分ごろ原告の店舗に第四回目の調査のため臨店したが、原告は「そう毎日来られては営業妨害だ」「あんたを見ると頭が痛い、ほんとだ帰つてくれ」と勝手なことを言つて怒鳴りちらしたので、職員は原告に再考をうながし、調査に協力方を要望したところ、原告は大声で隣のi民商会員を呼び寄せて「今日はほんとに頭が痛い、もう帰つてくれ」と怒鳴つて調査に応じようとしないので、今回も調査できず原告方を辞去した。(異議申立時における経過)(一) 原告は昭和四四年二月一七日被告に対し異議申立てをしたので同年四月一五日午後一時ごろ右異議申立ての審理を担当した被告所属の職員である大蔵事務官jが、原告の店舗に赴いたところ、原告が不在 過)(一) 原告は昭和四四年二月一七日被告に対し異議申立てをしたので同年四月一五日午後一時ごろ右異議申立ての審理を担当した被告所属の職員である大蔵事務官jが、原告の店舗に赴いたところ、原告が不在であつたので、応接にでた原告の妻および原告の友人hと称する者に再来を約して辞去した。帰署の途中で同職員はたまたま原告に出会つたので、原告に本日の経緯を話したところ、原告から「原処分は憲法違反で不当課税であるから再調査についても計数的事項検討以前にこの不当課税の問題を解決してもらいたい。その解決なくしては恐らく計数的事項を検討する段階には進めないと思うが、いずれにしても今度来てもらいたい日を電話で告げるからそのつもりでおつてもらいたい。今度来てくれる場合はこの問題を解決するよう充分検討して来てもらいたい。」と一方的にまくしたてられた。(二) その後、原告から職員に電話で四月二二日に調査に応ずる旨連絡があつたので、職員は約束どおり同日午前一〇時四五分頃原告方に臨店した。原告は直ちに職員を二階の居間に案内し、階下に下りていつた。約一五分位して原告は民商事務局員及び会員と思われる者計八名とともに入室し職員の前にあらわれるや「本日おいでになつた仕事の目的は」と詰問してきた。職員が、原告から昭和四〇年分・昭和四一年分及び昭和四二年分の所得税について異議申立書が提出されたので、その審理のため調査にきた旨告げたところ、原告は「原処分の基礎となつたb調査官の調査内容が悪いから調査にきたのか、それともその調査内容の報告にきたのか」と無用の質問をあびせかけてきた。そこで職員が再度調査の趣旨を説明し、原告に対して協力方をお願いしたところ「あなたは私の異議申立書を読んできて下さいましたか、私の異議申立の趣旨は所得税額が過大ということのみでなく、その基礎となつた調査 提出されたので、その審理のため調査にきた旨告げたところ、原告は「原処分の基礎となつたb調査官の調査内容が悪いから調査にきたのか、それともその調査内容の報告にきたのか」と無用の質問をあびせかけてきた。そこで職員が再度調査の趣旨を説明し、原告に対して協力方をお願いしたところ「あなたは私の異議申立書を読んできて下さいましたか、私の異議申立の趣旨は所得税額が過大ということのみでなく、その基礎となつた調査 職員が再度調査の趣旨を説明し、原告に対して協力方をお願いしたところ「あなたは私の異議申立書を読んできて下さいましたか、私の異議申立の趣旨は所得税額が過大ということのみでなく、その基礎となつた調査自体が不当であつたものであるから、その不当調査にもとづく更正決定は無効であると申し立てている筈ですが、この点についてはあなたはどう解釈されますか」と一方的な見解のもとに論争を仕掛けてきた。ここで職員は原告と論争しても水掛論だと思い、原告に対して再度調査の協力方をお願いしたところ、いきなりe民商事務局員が職員に大声で「お前は馬鹿かー向島税務署の特団係と称する連中が数々の不当調査・犯罪的調査をなし、民商会員に対する一連の不当更正決定をなしてきた歴史的背景を承知しておりながら、ぬけぬけと不当課税でないというのか、これほど明らかな不当課税がどこにあるかい、更正決定が無効ということはわかりきつているじやないか、肚を据えて無効と何故いえぬ。」と暴言を吐き抗議してきた。また原告は職員が記帳状況の質問並びに帳簿書類の提示を求めたのに対し「そのような愚かな質問は今更せずともb調査官の調査内容を見れば書いてあるでしようが、調査はこれで止めにして下さい。申し入れの時間の一二時になりましたので今日はお引取り下さい。何回お出でになつてもらつても同じことですが、またお出になりますか」と職員をやゆし、調査を拒否したので、やむなく辞去した。(審査請求時における経過)(一) 原告は、昭和四四年六月一四日東京国税局長に対し審査請求を行なつたので、右請求の審理を担当した東京国税局協議団本部所属k協議官は、昭和四四年八月二六日原告に対して書面で収支計算書及び証拠書類等の提出方を要請したところ、同年八月二九日原告から担当協議官に電話で「収支計算書については帳簿等がないので作ること 本部所属k協議官は、昭和四四年八月二六日原告に対して書面で収支計算書及び証拠書類等の提出方を要請したところ、同年八月二九日原告から担当協議官に電話で「収支計算書については帳簿等がないので作ることができない。 部所属k協議官は、昭和四四年八月二六日原告に対して書面で収支計算書及び証拠書類等の提出方を要請したところ、同年八月二九日原告から担当協議官に電話で「収支計算書については帳簿等がないので作ること 本部所属k協議官は、昭和四四年八月二六日原告に対して書面で収支計算書及び証拠書類等の提出方を要請したところ、同年八月二九日原告から担当協議官に電話で「収支計算書については帳簿等がないので作ることができない。経費については裏付となるものがあまりない。雇人費等についてもアルバイト学生・主婦のパート等もあるが、内職でやつている者もあつて受領印をとつてないものもある。そのうち都合のよい時に来てもらつて話し合いたいからよろしく頼む」と回答があつたが、その後証拠書類等の提出はなかつた。(二) 原告は、同年一一月二八日墨田民商の事務局長及び会員らと来団したので、担当協議官は協議団本部事務室で原告に会つたが、原告は「原処分の調査内容を開示しない限り調査に応ずるわけにいかない」と言つて調査拒否の態度を変えないため、物別れとなつた。(三) 担当協議官は、同年一二月二日午前一一時三〇分ころ、原告方に赴いて、原告に面接したが、原告は「原処分の調査内容を開示し弁明書の写を提示しない限り調査に応ずるわけにはいかない」と言つて、調査を拒否したので、やむを得ず午後一時頃原告方を辞去した。(四) 担当協議官が同年一二月八日原告に電話で証拠書類の提出方並びに調査に協力方を要請したところ、原告からは弁明書や調査内容の開示がなければ私の方でも内容に立入るわけにはいかない旨の返答で調査に協力はえられなかつた。三違法事由3 1 被告に、原告の係争年分における一般経費及び特別経費のうち雇人費の算定にあたつては同業者率を基礎としたものであるが、同業者のうちから標本対象者として抽出選定した条件は(1) 向島税務署並びにその近隣署である本所・葛飾・足立・荒川税務署の各管内に事業所を有する個人(2) 「皮革加工」を業務種目とする者のうち、ネツト式皮革乾燥機を使用して張革加工を 定した条件は(1) 向島税務署並びにその近隣署である本所・葛飾・足立・荒川税務署の各管内に事業所を有する個人(2) 「皮革加工」を業務種目とする者のうち、ネツト式皮革乾燥機を使用して張革加工を営んでいる者(2) 青色申告により正確に収支計算をしている者の三点であつて、右各条件を満たしている同業者は、昭和四〇年及び昭和四一年についてはそれぞれ一件、昭和四二年については三件のみである。 して張革加工を 定した条件は(1) 向島税務署並びにその近隣署である本所・葛飾・足立・荒川税務署の各管内に事業所を有する個人(2) 「皮革加工」を業務種目とする者のうち、ネツト式皮革乾燥機を使用して張革加工を営んでいる者(2) 青色申告により正確に収支計算をしている者の三点であつて、右各条件を満たしている同業者は、昭和四〇年及び昭和四一年についてはそれぞれ一件、昭和四二年については三件のみである。2 同業者の抽出選定地域を向島税務署管内のほか四税務署管内に限定した理由は、皮革加工を業としている者が右各署管内に集中しているためである。なお東京都と同一経済圏に属し、右地域に近接しており、立地条件もほぼ同一と認められ、かつ、原告と同じ業務種目の納税者が存在すると見込まれる関東信越国税局管轄下の川口税務署(皮革加工業者が多いといわれている埼玉県草加市を管轄している。)管内の納税者についても調査がなされたが、ネツト式もしくはそれ以外の皮革乾燥機を使用して張革の賃加工のみを行つている青色申告者は一人も存在していなかつた。3 いわゆる皮革加工業(行政管理庁編「日本標準産業分類」では細分類二・九一一番に「なめしかわ製造業」として表示されている。)の業態は、概ね原皮(加工等がされていないままの一次製品)の仕入・油脂分の除去・脱毛・石灰等による洗じよう・ニカワ等による皮なめし・染色・張革及びつや出し等の製造工程によつて皮革として商品化し、これを販売するものである。そして、右皮革加工業者は、前記の地域に集中しているのであるが、一般的には、原皮の仕入から販売まで同一の業者により行なわれているものであつて、原告のように、ネツト式皮革乾燥機を使用して右製造工程の一部分である張革加工についてのみ賃加工を業とする者は前記のとおりごく限られている。なお、右乾燥機以外の乾燥機 より行なわれているものであつて、原告のように、ネツト式皮革乾燥機を使用して右製造工程の一部分である張革加工についてのみ賃加工を業とする者は前記のとおりごく限られている。なお、右乾燥機以外の乾燥機を使用して張革の賃加工を専業としている青色申告者は存在しない。4 原告は、住所・氏名を明らかにしない同業者の数値を根拠とした推計は違法であると主張する。しかし、所得税に関する事務に従事する者は国家公務員法に定めるよりも重い守秘義務を所得税法により課されている(国家公務員法一〇〇条一項、一〇九条一二号及び所得税法二四三条参照)が、その理由は、特に税務職員については、与えられた権限により納税者及びその関係人の財産上、その他の秘密に亘ることを知り得る立場にあるところから、これらの秘密の保持を遵守することをより厳しく義務づける必要があることによるものである。 し、所得税に関する事務に従事する者は国家公務員法に定めるよりも重い守秘義務を所得税法により課されている(国家公務員法一〇〇条一項、一〇九条一二号及び所得税法二四三条参照)が、その理由は、特に税務職員については、与えられた権限により納税者及びその関係人の財産上、その他の秘密に亘ることを知り得る立場にあるところから、これらの秘密の保持を遵守することをより厳しく義務づける必要があることによるものである。そして、同業者の氏名を開示することは、別表一において右同業者の売上金額等を明らかにしていることと相まつてその結果として第三者の秘密を漏らすことになり、所得税法二四三条に定める守秘義務に反することとなるので、これを公開することはできないのである。5 原告は、同業者抽出選定にあたつては、青色申告者に限らず白色申告者をも加えるよう主張する。もとより、白色申告者であつても収支計算を正確に行ない得る帳簿を備付け、原始記録を保存し、これに基づいて決算をなし確定申告書を提出している納税者であれば、原告の必要経費を推計する同業者としてこれを採用することに異論はない。しかしながら、現実の問題として右のような帳簿書類に基づき確定申告書を提出し得る納税者であれば、当然青色申告者としての数々の特典を享受することができるところから、所轄税務署長に対し青色申告の承認を申請し、青色申告者となつているのが通常であるため、 基づき確定申告書を提出し得る納税者であれば、当然青色申告者としての数々の特典を享受することができるところから、所轄税務署長に対し青色申告の承認を申請し、青色申告者となつているのが通常であるため、事業所得を有する白色申告者のなかにはそのような納税者は極めてまれであり、現に原告のように皮革加工業のうちでもネツト式皮革乾燥機を使用して張革加工を営んでいる白色申告者の中にはそのような納税者は被告の調査したところでは見あたらない。従つて、原告が主張するように白色申告者を標本とするためには、調査の結果、同業者の標本として使用できると認められる程度に収支実額により所得を把握した納税者を使用するほかはないが、原告と同業種の白色申告者についてはそのような調査事績のあるものは存在しなかつた。このような状況で白色申告者の計数を標本中に混入することは、かえつて同業者率を不正確、不合理なものとするおそれが多分にあり、このような同業者率を用いた推計方法がより合理的であるかのごとき原告の主張は失当というべきである。 業者の標本として使用できると認められる程度に収支実額により所得を把握した納税者を使用するほかはないが、原告と同業種の白色申告者についてはそのような調査事績のあるものは存在しなかつた。このような状況で白色申告者の計数を標本中に混入することは、かえつて同業者率を不正確、不合理なものとするおそれが多分にあり、このような同業者率を用いた推計方法がより合理的であるかのごとき原告の主張は失当というべきである。ちなみに、本件においては、青色同業者だけを抽出選定した結果は、白色同業者をも加えた場合に比して一般経費率は高くなつていたわけであるから、青色申告者だけによつても原告に不利に作用はしていないのである。四違法事由4 1 原告は、本件推計計算の同業者が少ないことをもつて推計に合理性がない旨主張するが、推計課税における合理性の有無は、同業者として抽出選定した諸条件が、調査すべき納税者(原告)の標本として適切であるかどうかによつて判断されるべきてあり、いたずらに計数についての信頼度の低い標本を加えて件数のみを増加させても、却つて合理性を低からしめる結果となるのである。従つて、標本として選定するための諸条件が適切であるならば、同業者の抽出が一件であつても原告 についての信頼度の低い標本を加えて件数のみを増加させても、却つて合理性を低からしめる結果となるのである。従つて、標本として選定するための諸条件が適切であるならば、同業者の抽出が一件であつても原告との類似性は高く、推計の合理性が担保されることとなる。2 原告は、一般経費のうち運送費の比重が大であることを指摘し、被告の推計計算の合理性を非難する。もちろん、事業用の自動車を必要とするにもかかわらず、これを所有していなければ所謂運送費が計上されるのは当然であるが、一方、事業用の自動車を所有する者は、自動車の減価償却費、公租公課(自動車税)燃料費等の各経費が、また場合によつては雇人費(運転手)、自動車購入に伴う借入金支払利息、車庫等の賃借料等が計上され、これらの合計額が運送費と対比される経費となるのであり、原告が必要経費について実額で主張するのであれば格別、自動車の有無によつて一般経費率の大小を速断することはできない。さらに原告は、製品等を自家用車で運送する場合、専従運転手の在・不在によつても運送に関する費用に極度の差が生じ、運転手を雇用することにより費用がその分だけ多額に計上される旨主張する。 入に伴う借入金支払利息、車庫等の賃借料等が計上され、これらの合計額が運送費と対比される経費となるのであり、原告が必要経費について実額で主張するのであれば格別、自動車の有無によつて一般経費率の大小を速断することはできない。さらに原告は、製品等を自家用車で運送する場合、専従運転手の在・不在によつても運送に関する費用に極度の差が生じ、運転手を雇用することにより費用がその分だけ多額に計上される旨主張する。しかしながら、原告は専従の運転手を雇用していないのであるから仮りに本件同業者が専従の運転手を雇用していたとしても、原告に有利に作用することこそあれ、不利になることはありえない。五違法事由5 1 原告は、特別経費のうち雇人費率については、使用機械台数が何台であるかによつて、使用人の数は単なる倍率で増加するものではなく、個々的に業者の特殊事情に応じて異なると主張するが、原告の右主張は機械の台数と雇人の数についての関係を述べているようである。しかしながら、本訴において被告が主張しているのは収入金額に対する雇人費の割合(雇人費率)についてである。被告の 主張するが、原告の右主張は機械の台数と雇人の数についての関係を述べているようである。しかしながら、本訴において被告が主張しているのは収入金額に対する雇人費の割合(雇人費率)についてである。被告の調査に対して原告はこれに応じないで雇人費の内容についても答えず、また所得税の源泉徴収義務者としての源泉所得税の申告、納税もしていないのであるから実額による把握は不可能であり、被告が同業者の雇人費率によつて原告の雇人費を推計したことはむしろ当然といえるのである。2 秋に、雇人費率は、標本Aについては各年分を通じてそれ程の差はないが、昭和四二年分の標本A・B・Cをみた場合には、確かに原告の主張するようにある程度差異のあることは認められる。しかし、これは原告の営む業種の特殊性から被告が青色申告者を悉皆的に調査した結果によるものである。原告は右標本にバラツキがあるが故をもつて本件推計方法に合理性がないと主張するが、推計方法の合理性の判断は、実額計算の可能性の程度、他のより合理的な推計方法の存在の有無、被課税者の推計方法についての反証の程度、調査への協力の度合などをも勘案してなされるべきところ、本件調査時における原告の応接態度はすでに述べたとおりであり、そのため被告は同業者の率を参考にして推計により原告の所得金額を算定したもので、同業者が少なくあるいはその率にバラツキがあるとしても、右に述べた原告の調査協力の度合その他本件事案の内容を考えると、本件について、被告のなした推計方法以上に合理的な推計方法は見出せない。 についての反証の程度、調査への協力の度合などをも勘案してなされるべきところ、本件調査時における原告の応接態度はすでに述べたとおりであり、そのため被告は同業者の率を参考にして推計により原告の所得金額を算定したもので、同業者が少なくあるいはその率にバラツキがあるとしても、右に述べた原告の調査協力の度合その他本件事案の内容を考えると、本件について、被告のなした推計方法以上に合理的な推計方法は見出せない。なお、原告は特に昭和四二年分について標本三件の雇人費率のバラツキを指摘するので、仮に右標本のうち最も高い率によつて計算しても、右年分の事業所得金額は、次のごとく、本件更正に係る事業所得金額(一、三四〇、五一〇円)を上回るのである。(1) 収 人費率のバラツキを指摘するので、仮に右標本のうち最も高い率によつて計算しても、右年分の事業所得金額は、次のごとく、本件更正に係る事業所得金額(一、三四〇、五一〇円)を上回るのである。(1) 収入金額五、三六三、一九一円(2) 一般経費一、二七二、六八六円(3) 算出所得金額四、〇九〇、五〇五円(4) 特別経費二、五七一、八一四円雇人費二、三一八、五〇七円その他二五三、三〇七円(5) 事業専従者控除額一五〇、〇〇〇円(6) 事業所得金額一、三六八、六九一円 3 原告の主張する各係争年分の雇人費額は、確定申告書に記載した事業所得金額にほぼ合致するよう適当に数字を組み合わせたに過ぎず、何ら裏付のある帳簿書類に基づいて計算したものではない。(一) 原告は、各係争年分とも、従業員ごとに、日給額に出勤日数を乗じて月給額(ひいては年間給与額)を計算し、それに賞与額を加算して年間の雇人費を算出しているが、当時そのような従業員がいたかどうかも定かでないし、もし、そのような従業員がいたとしても、日給額、出勤日数等についてそれを確認しうる裏付はない。(二) 原告は、賞与額につき、昭和四〇年分は月給額の四ケ月、昭和四一年分は三・五ケ月、昭和四二年分は三ケ月としてそれぞれ計算しているが、これは社会の実情と全く遊離したもので真実性に乏しい。すなわち、労働省の「毎月勤労統計調査総合報告書」(本調査は、全国調査によつて常用労働者五人以上の事業所についての雇用、給与、労働時間の全国的な動きを毎月明らかにすることを目的としている。)の「第三二表産業大中分類および性別、常用労働者一人平均月間現金給与額、総実働時間数ならびに出勤日数」(以下第三二表という。 は三ケ月としてそれぞれ計算しているが、これは社会の実情と全く遊離したもので真実性に乏しい。すなわち、労働省の「毎月勤労統計調査総合報告書」(本調査は、全国調査によつて常用労働者五人以上の事業所についての雇用、給与、労働時間の全国的な動きを毎月明らかにすることを目的としている。)の「第三二表産業大中分類および性別、常用労働者一人平均月間現金給与額、総実働時間数ならびに出勤日数」(以下第三二表という。)によれば、原告の営む業種に きを毎月明らかにすることを目的としている。)の「第三二表産業大中分類および性別、常用労働者一人平均月間現金給与額、総実働時間数ならびに出勤日数」(以下第三二表という。)によれば、原告の営む業種に類似すると考えられる「なめしかわ製造業」における賞与の支給月数は、男子にあつては昭和四〇年分一・三五ケ月、同四一年分一・四八ケ月、同四二年分一・八三ケ月と、また、女子にあつてはそれぞれ一・四八ケ月、一・五〇ケ月、一・八七ケ月となつているが、原告の計算は、支給月数が余りにも多過ぎるのみならず、年の経過による支給傾向にも相反している。なお、右の第三二表に基づく賞与の支給月数の計算方法は、次のとおりである。〔男子〕(イ) 昭和四〇年分(三二、三〇六円―二九、〇二五円)×一二月÷二九、〇二五円=一・三五(ロ) 昭和四一年分(三七、〇五〇円-三二、九七五円)×一二月÷三二、九七五円=一・四八(ハ) 昭和四二年分(四六、〇四六円―三九、九二六円)×一二月÷三九、九二六円=一・八三〔女子〕(イ) 昭和四〇年分(一七、〇六三円-一五、一八七円)×一二月÷一五、一八七円=一・四八(ロ) 昭和四一年分(一八、〇七七円―一六、〇六五円)×一二月÷一六、〇六五円=一・五〇(ハ) 昭和四二年分(二一、五二二円―一八、六二〇円)×一二月÷一八、六二〇円=一・八七(三) 仮に、原告が提出した「雇人費の年別明細表」に記載した従業員がすべて存在し、同表に記載された日数働いていたとし、その従業員が平均的な給与の支払を受けた場合における原告の雇人費の額を、前記の第三二表により試算すると、次のとおりであり、その結果は、被告が主張した雇人費額が妥当であることを裏付けている。(1) まず、右第三二表に掲記されたなめしかわ製造業(規模五~二九人)における現金給与総額(賞 り試算すると、次のとおりであり、その結果は、被告が主張した雇人費額が妥当であることを裏付けている。 日数働いていたとし、その従業員が平均的な給与の支払を受けた場合における原告の雇人費の額を、前記の第三二表により試算すると、次のとおりであり、その結果は、被告が主張した雇人費額が妥当であることを裏付けている。(1) まず、右第三二表に掲記されたなめしかわ製造業(規模五~二九人)における現金給与総額(賞 り試算すると、次のとおりであり、その結果は、被告が主張した雇人費額が妥当であることを裏付けている。(1) まず、右第三二表に掲記されたなめしかわ製造業(規模五~二九人)における現金給与総額(賞与額を含む。)の月別平均から、性別の日給額を計算すれば、次のようになる。(2) 右(1)の日給額を基に、原告の雇人費額を計算すれば、次のようになる。(3) しかも、原告の従業員のうち少なくとも一部はパートタイマーであつたことは、原告においても自認するところであるから、かかる事情を考慮すれば、右各表の雇人費額は更に相当程度減少するわけであり、その結果得られる雇人費の額は、右各表の各金額よりも相当低くなるはずである。(四) 原告は、昭和四一年分の雇人費は二、〇九六、二五〇円であると主張するが、原告が、昭和四一年分所得税確定申告書に記載した雇人費を含む必要経費の額は一、八一二、〇〇〇円である。ところで、原告は、原告の事業の必要経費が収入額に占める割合について、一般経費にあつては三〇パーセント、特別経費のうちの雇人費にあつては五〇パーセント前後かかつていると供述しているところであるから、この比率によつて、原告が自分なりの帳簿に基づいて計算したという右確定申告書に記載されている必要経費の額一、八一二、〇〇〇円を、一般経費と雇人費とに按分すると、次の計算式のとおりであつて、同年分の雇人費相当額は一、一三二、五〇〇円となる。計算式(1) 雇人費が必要経費に占める割合=雇人費五〇%÷(一般経費三〇%十雇人費五〇%)=六二・五%(2) 昭和四一年分確定申告書に記載された必要経費のうちの雇人費=必要経費の合計一、八一二、〇〇〇円×雇人費が必要経費に占める割合六二・五%=一、一三二、五〇〇円従つて、原告が主張する雇人費二、〇九六、二五〇円は、右一、一三 記載された必要経費のうちの雇人費=必要経費の合計一、八一二、〇〇〇円×雇人費が必要経費に占める割合六二・五%=一、一三二、五〇〇円従つて、原告が主張する雇人費二、〇九六、二五〇円は、右一、一三二、五〇〇円に対して約二倍にも相当し、極めて不合理であつて措信できないものである。 ×雇人費が必要経費に占める割合六二・五%=一、一三二、五〇〇円従つて、原告が主張する雇人費二、〇九六、二五〇円は、右一、一三 記載された必要経費のうちの雇人費=必要経費の合計一、八一二、〇〇〇円×雇人費が必要経費に占める割合六二・五%=一、一三二、五〇〇円従つて、原告が主張する雇人費二、〇九六、二五〇円は、右一、一三二、五〇〇円に対して約二倍にも相当し、極めて不合理であつて措信できないものである。なお、右の一般経費と雇人費との按分計算は、特別経費をすべて雇人費であるとして計算したものであるが、建物減価償却費、借入金利子及び地代などの雇人費以外の特別経費があるとすると右雇人費相当額一、一三二、五〇〇円はさらに低額となるのである。(五) 原告は、各年分の雇人費の計算の基礎とした日給額は、女子従業員については昭和四〇年分九〇〇円、同四一年分一、〇〇〇円、同四二年分一、二〇〇円であり、また、男子従業員については、昭和四〇年分一、四〇〇円、同四一年分一、三〇〇円及び一、六〇〇円、同四二年分一、八〇〇円及び二、〇〇〇円であるとして雇人費を計算し、その計算の根拠は原処分調査担当者bの証言に基づくものと主張するのである。しかし、b証人が、男子及び女子の両者の平均賃金が昭和四〇年分九〇〇円、同四一年分一、〇〇〇円、同四二年分一、二〇〇円である旨を証言していることは明らかであるから、原告がb証人の証言した日給額を女子従業員だけに援用し、男子従業員についてはこれを上回る根拠の不明確な日給額によつて雇人費の額を計算していることは、明らかに失当であるといわざるをえない。ちなみに、被告が主張した男女別の日給額の平均額と、b証言の日給額と対比すると、次表「平均日給額の比較」のとおりであつて、この対比によつてもb証言の日給額は、男女平均の日給額であることが明らかである。(六) また、原告の主張する雇人費の額を争いのない原告の各係争年分の収入金額によつて除して、いわゆる雇人費率に相 て、この対比によつてもb証言の日給額は、男女平均の日給額であることが明らかである。(六) また、原告の主張する雇人費の額を争いのない原告の各係争年分の収入金額によつて除して、いわゆる雇人費率に相当する比率を計算すると、次の計算式のとおり昭和四〇年分五八・三六パーセント、同四一年分五三・五三パーセント、同四二年分六〇・三九パーセントである。 の各係争年分の収入金額によつて除して、いわゆる雇人費率に相 て、この対比によつてもb証言の日給額は、男女平均の日給額であることが明らかである。(六) また、原告の主張する雇人費の額を争いのない原告の各係争年分の収入金額によつて除して、いわゆる雇人費率に相当する比率を計算すると、次の計算式のとおり昭和四〇年分五八・三六パーセント、同四一年分五三・五三パーセント、同四二年分六〇・三九パーセントである。計算式(原告の主張する雇人費)÷(争いのない原告の収入金額)×一〇〇=(比率)昭和四〇年分一、五六〇、〇〇〇円÷二、六七三、〇〇三円×一〇〇=五八・三六%昭和四一年分二、〇九六、二五〇円÷三、九一五、八八七円×一〇〇=五三・五三%昭和四二年分三、二三八、六〇〇円÷五、三六三、一九一円×一〇〇=六〇・三九%ところで、被告が、悉皆的に調査した原告の同業者の雇人費は、別表一で示すとおりであるが、この同業者の雇人費率と右に計算した各年分の比率とを比較すると、右比率は各年分とも異常に高率であつて、同業者の雇人費率の最高率である四三・二三パーセントをもはるかに上回るものである。このことは、原告が主張する雇人費が真実性のない極めて不合理なものであることを如実に示しているものであるといわざるをえないのである。六違法事由6 1 建物の取得価額について減価償却の対象となる建物は、原告の妻d名義の建物のうち、原告が事業の用に供していた部分である。妻dは、昭和四一年九月二七日付をもつて、その頃まで居住していた墨田区<以下略>の建物(家屋番号<以下略>、木造瓦葺二階建居宅、以下「旧建物」という。)及び借地権(八九・一平方メートル)を訴外lに総額二、三〇〇、〇〇〇円で譲渡した。このため、被告は右譲渡による所得税の申告をしようようしたところ、妻dは、右譲渡による代金は、墨田区<以下略>、同<以下略>の建物(家屋番 方メートル)を訴外lに総額二、三〇〇、〇〇〇円で譲渡した。このため、被告は右譲渡による所得税の申告をしようようしたところ、妻dは、右譲渡による代金は、墨田区<以下略>、同<以下略>の建物(家屋番号<以下略>、木造セメント瓦亜鉛メツキ鋼板葺二階建工場兼居宅、昭和四一年九月三〇日新築、以下「新建物」という。)及び同区<以下略>土地(宅地九八・三五平方メートル)の取得資金にあてた旨申立て、租税特別措置法三五条(昭和四一年法律第三五号改正による規定)に基づく居住用資産の買換えを申請し、所得金額を零とする確定申告をなしたものである。 、右譲渡による代金は、墨田区<以下略>、同<以下略>の建物(家屋番号<以下略>、木造セメント瓦亜鉛メツキ鋼板葺二階建工場兼居宅、昭和四一年九月三〇日新築、以下「新建物」という。)及び同区<以下略>土地(宅地九八・三五平方メートル)の取得資金にあてた旨申立て、租税特別措置法三五条(昭和四一年法律第三五号改正による規定)に基づく居住用資産の買換えを申請し、所得金額を零とする確定申告をなしたものである。右申立て等による新旧建物の取得及び譲渡の情況は次のとおりである。<略>そこで、被告は、各建物減価償却費算定の基となる取得価額について検討した結果、旧建物については妻dの申立てによる八四〇、〇〇〇円を相当と認め、新建物については、妻dの一階工場分の申立額五二八、〇〇〇円について建築工事請負人布施信二の領収証等が存することから、これが取得価額を五三〇、〇〇〇円と認定したものである。2 事業専用割合について原告は、新旧いずれの建物についても一階を仕事場として事業の用に供していたのであるが、(一) 旧建物の床面積は、一階が三九・六平方メートル、二階も同じく三九・六平方メートルであるので、床面積按分により事業用分を五〇パーセントと認めた。(二) 新建物については、一階工場部分の取得価額が前述のとおり明らかであるので五三〇、〇〇〇円全額を認めた。3 償却の方法及び耐用年数原告は、償却の方法について被告税務署長に届け出ていないので、所得税法四九条、同法施行令一二三条及び一二五条等の規定により定額法とした。また、耐用年数については、別表二注書のとおり減価償却資産の耐用年数等に関する省令によつたものである。第三証拠関係 で、所得税法四九条、同法施行令一二三条及び一二五条等の規定により定額法とした。また、耐用年数については、別表二注書のとおり減価償却資産の耐用年数等に関する省令によつたものである。第三証拠関係(省略)○ 理由一請求原因一 (本件各課税処分の経緯)については当事者間に争いがない。二原告主張の違法事由の存否 1 違法事由1(質問検査権)について所得税法二三四条所定の税務署職員の有する質問検査権は、所得税の賦課徴収という行政作用の適正な執行のための必要上認められたものであつて、相手方たる納税義務者らの承諾を前提とするいわゆる任意調査の権限にとどまるものであるが、相手方は当該職員の質問に対して真実応答義務を課せられ、また検査の要求に対しては正当の理由なくして拒絶してはならない受忍義務を課せられるものである。 違法事由1(質問検査権)について所得税法二三四条所定の税務署職員の有する質問検査権は、所得税の賦課徴収という行政作用の適正な執行のための必要上認められたものであつて、相手方たる納税義務者らの承諾を前提とするいわゆる任意調査の権限にとどまるものであるが、相手方は当該職員の質問に対して真実応答義務を課せられ、また検査の要求に対しては正当の理由なくして拒絶してはならない受忍義務を課せられるものである。そして、当該職員が右権限を行使するかどうか、また、その範囲、程度、時期、場所、方法については当該職員が具体的事情に鑑み、質問検査の客観的必要に応じ、社会通念上相当な限度において適宜定めうるところであるから、右権限の行使は右の制限内、従つてまた質問検査を受ける相手方の受忍義務の相当範囲内でなされるべきであることは要請されるけれども、それ以上、すべての場合に具体的事項を特定して調査の合理的必要性を開示することまでを当該職員に一般的に義務づけたものと解することはできないというべきである。ところで、証大bの証言によれば、向島税務署においてはかねて原告につき概況調査を行つたところ、その結果、ネツト式乾燥機が二台設置されていること、そのうち一台の代金九〇〇、〇〇〇円が月賦で返済されていること及び従業員は原告本人、妻のほかパートタイマーの女性四人であること等が判明しただけであつたので、係争年度の所得に関して、事業規模を把握し、売上、経費等事業 金九〇〇、〇〇〇円が月賦で返済されていること及び従業員は原告本人、妻のほかパートタイマーの女性四人であること等が判明しただけであつたので、係争年度の所得に関して、事業規模を把握し、売上、経費等事業の全般に亘つて実額調査の必要があるものと判断し、同署職員b及びcに対して右調査を命じたものであること、同人らは昭和四三年九月九日原告方に赴き身分証明書と質問検査章を提示したうえ、昭和四二年分以前の所得税の調査のため来訪したこと、帳簿書類、下帳簿、書類等があつたら見せてほしい旨用件を告げたところ、原告において、同職員らに対し調査の理由、殊に提出済の確定申告書の誤りがあれば指摘してもらいたいと質問したので、bが、調査は原告の確定申告にかかる所得金額が正しいかどうかということ及び正しい所得金額はいくらかということを確認するために行なうものである旨原告に答え、さらに調査に協力するよう求めたこと、及び同職員らはその後同年九月一九日、同月二〇日においても、原告方に赴いたけれども、その際も前記と同様の問答に終始したものであることが認められ、右認定を覆えすに足りる証拠はない。 ば指摘してもらいたいと質問したので、bが、調査は原告の確定申告にかかる所得金額が正しいかどうかということ及び正しい所得金額はいくらかということを確認するために行なうものである旨原告に答え、さらに調査に協力するよう求めたこと、及び同職員らはその後同年九月一九日、同月二〇日においても、原告方に赴いたけれども、その際も前記と同様の問答に終始したものであることが認められ、右認定を覆えすに足りる証拠はない。右認定事実からすると、原告の係争年分の事業所得に関しては調査、従つて質問検査権を行使する客観的必要があり、その行使は前記制限の範囲内において適正に行なわれたものであつて、原告はこれに応ずべき受忍義務があるというべきであり、原告の利益をさらに配慮して前記認定以上の調査理由の開示をしなければならないとすべき特段の事情も認められないから、本件税務調査の手続には何らの違法がないといわなければならない。原告の違法事由1の主張は採用することができない。2 違法事由2(推計の必要性)について証人bの証言によれば、向島税務署職員b及びcは、昭和四三年九月九日所得税にかかる調査のため原告方店舗を訪ね 原告の違法事由1の主張は採用することができない。2 違法事由2(推計の必要性)について証人bの証言によれば、向島税務署職員b及びcは、昭和四三年九月九日所得税にかかる調査のため原告方店舗を訪ねたところ、原告が「今日は忙しいから応じられない、確定申告のどこがまちがつているか指摘してもらいたい」等というので、それ以上実質的な調査をするまでには至らなかつたこと、同年九月一日原告、から電話があつたので、同月一九日b及びcが原告方を訪ねたところ、民商会員ら一四名が原告及び同人の妻とともに同席しこもごも、「原告の確定申告のどこがまちがつているか指摘せよ」と何回もくり返し、bが「帳簿があれば見せてもらいたい」と要望すると、原告は「自分は白色申告者だから帳簿はない」と返答し、さらに、bが原告方の雇人費につき質ねたところ、原告は「うちはパートだ」というのみで、日給の額についての具体的な答弁をしなかつたこと、さらに、同年九月二〇日bが一人で原告方を訪ね、調査に協力してもらいたい旨告げたところ、原告は「何回来ても調査には応じられない」との返答をしたので、bは、これ以上折衝しても原告の側で調査に応ずる意思のないものと判断するに至つたことを認めることができる。 はない」と返答し、さらに、bが原告方の雇人費につき質ねたところ、原告は「うちはパートだ」というのみで、日給の額についての具体的な答弁をしなかつたこと、さらに、同年九月二〇日bが一人で原告方を訪ね、調査に協力してもらいたい旨告げたところ、原告は「何回来ても調査には応じられない」との返答をしたので、bは、これ以上折衝しても原告の側で調査に応ずる意思のないものと判断するに至つたことを認めることができる。次に、証人kの証言によれば、東京国税局協議団本部所属協議官kは、原告の本件審査請求につき担当協議官として昭和四四年八月末原告に対し、書面で収支計算書及び証拠書類等の提出方を求めたところ、原告から電話で、帳簿も証拠書類もないので提出できない旨の連絡があつたこと、同年下月ころ、原告は墨田民商の事務局員らとともに来庁し、k協議官に対し、かねてより原告からなされていた本件審査請求につき被告から提出すべき弁明書の副本の交付要求、口頭意見陳述のための補佐人の許可を重ねて求めたので応じがたい旨回答したところ、「 に来庁し、k協議官に対し、かねてより原告からなされていた本件審査請求につき被告から提出すべき弁明書の副本の交付要求、口頭意見陳述のための補佐人の許可を重ねて求めたので応じがたい旨回答したところ、「右要求が容れられないのなら調査にも応じられない」と答えたこと、さらに、同年一二月初めころ、k協議官が原告方を訪ねたところ、原告は被告からの弁明書の取寄せ及び補佐人の許可に固執し、調査に応ずる態度を示さなかつたこと、その後、k協議官と原告との間に二、三回電話のやりとりが行なわれたが、原告は、なお弁明書の取寄せと補佐人の許可をしてもらいたいと繰り返すのみで、同協議官の調査に無条件に応ずる旨の意思を表明しなかつたことを認めることができる。他に以上の認定を左右するに足りる証拠はない。以上の認定事実によれば、原告が向島税務署職員の調査に応じなかつた理由は、結局、同職員が、右調査の具体的必要性の理由を告げなかつたということに帰するところ、右の点について職員の所為に何らの違法がないことはすでに違法事由1についての判断において説示したところであり、さらに、成立に争いのない乙第三〇号証の一、二によれば、原告は昭和四二年分の所得税の確定申告書には所得金額のみを記載し、収入金額及び必要経費についてはこれを記載していないことが明らかなのであるから、少なくとも、この点についてだけみても税務署職員において原告に対し質問し、調査することは原告においてもこれを予知しうるところであるから、原告が、この点に思いを致さず、職員の調査に対しこれに応ずる態度を示さなかつたことは到底左袒できないといわざるをえない。 れば、原告は昭和四二年分の所得税の確定申告書には所得金額のみを記載し、収入金額及び必要経費についてはこれを記載していないことが明らかなのであるから、少なくとも、この点についてだけみても税務署職員において原告に対し質問し、調査することは原告においてもこれを予知しうるところであるから、原告が、この点に思いを致さず、職員の調査に対しこれに応ずる態度を示さなかつたことは到底左袒できないといわざるをえない。また、原告は国税局協議官の調査についても、被告からの弁明書の取寄せ及び補佐人の許可の申出に固執し、これに応じなかつたものであるが、協議官において原告の右申出に対しこれを認 ないといわざるをえない。また、原告は国税局協議官の調査についても、被告からの弁明書の取寄せ及び補佐人の許可の申出に固執し、これに応じなかつたものであるが、協議官において原告の右申出に対しこれを認容すべき法律上の根拠はないのであるから、右申出の認容を楯にとつて原告があくまで調査に応じなかつたことも到底これを正当ならしめる事由があつたということはできない。加うるに、以上の税務職員の調査当時、原告方では帳簿や原始記録も存在しなかつたというのであるから、結局、被告において原告の各係争年分の収支計算をし、その所得の実額を把握することが困難であつたものといわざるをえないのである。以上の次第で、被告において本件課税処分をするについて推計によりこれをなしたことには何らの違法も存しないといわなければならない。原告の違法事由2の主張も採用することができない。3 違法事由3(同業者の抽出方法について)(一) その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるから真正な公文書と推定すべき乙第一ないし第六号証、第七ないし第一二号証の各一ないし三、第一三ないし一八号証、第一九、二〇号証の各一ないし三、第二一、二二号証、第二三、二四号証の各一ないし三、第二五ないし第二八号証、証人mの証言並びに弁論の全趣旨を合わせると、原告と同じくネツト式皮革乾燥機を使用して張革加工業を営む納税者は向島税務署及び隣接税務署管内に集中しているところ、その中でも青色申告者は、原告の所轄署である向島税務署の管内に昭和四〇年及び昭和四一年についてはそれぞれ一件、昭和四二年については三件見出されるだけで、同署と隣接する本所、葛飾、足立、西新井、荒川の各税務署管内には一件も存在しないのみならず(なお、ネツト式皮革乾燥機以外の機械を使用して張革加工業を営む者も右管内には存在しない 張革加工業を営む納税者は向島税務署及び隣接税務署管内に集中しているところ、その中でも青色申告者は、原告の所轄署である向島税務署の管内に昭和四〇年及び昭和四一年についてはそれぞれ一件、昭和四二年については三件見出されるだけで、同署と隣接する本所、葛飾、足立、西新井、荒川の各税務署管内には一件も存在しないのみならず(なお、ネツト式皮革乾燥機以外の機械を使用して張革加工業を営む者も右管内には存在しない 件見出されるだけで、同署と隣接する本所、葛飾、足立、西新井、荒川の各税務署管内には一件も存在しないのみならず(なお、ネツト式皮革乾燥機以外の機械を使用して張革加工業を営む者も右管内には存在しない)、また、前記五署の管轄区域に近接しており、立地条件もほぼ同じでかつ原告と同じ業務種目の納税者が存在すると見込まれている埼玉県川日税務署管内に範囲を拡大しても一件の同業者も見出しえないこと、並びに被告が同業者を抽出選定するにあたり恣意の働く余地は全くなかつたことが認められる。(二) 被告がその抽出選定にかかる同業者をA・B・Cと符号で表示し、住所・氏名をもつてこれを特定しないのは、国家公務員法一〇〇条一項、所得税法二四三条所定の税務職員に課せられた守秘義務に基づくものであることが明らかであるところ、前掲乙第一号証、第七号証の一ないし三、第一三号証、第一九号証の一ないし三、証大mの証言によれば、向島税務署管内における前記同業者の抽出選定及び右同業者の数値については何らの作為を加えた事実はなく、その他本件において、被告が右守秘義務があるにもかかわらず敢て右同業者A・B・Cの氏名等を公表しなければ、被告の課税手続の公正が把握しえないような特段の事情も認められないので、被告の右所為はやむをえないものというべく、また、右氏名等を公表しないということだけをとらえて被告の推計を不当、不合理なものということができないから、右同業者の数値を根拠とした推計をもつて違法ということはできない。(三) 同業者を抽出選定するにあたつては、当該同業者に関する資料が正確性を有するものであるべきは当然であるから、これをその正確性が制度上担保されているものというべき青色申告者のほかに、白色申告者の同業者からも抽出選定するにあたつては、当該業者毎にその資料の正確性の有無をも検討 ものであるべきは当然であるから、これをその正確性が制度上担保されているものというべき青色申告者のほかに、白色申告者の同業者からも抽出選定するにあたつては、当該業者毎にその資料の正確性の有無をも検討すべきところ、証大bの証言によれば、被告所属職員が同業者の抽出選定にあたり、白色申告者についてもその収支内容を調べたが、いずれも原告と対比すべき同業者として正確な資料を具備するものとは認められなかつたものとしてこれを採用しなかつたことが窺われ、被告において同業者選定にあたり当初から白色申告者を全く無視していたというわけのものでもないから同業者A・B・Cがいずれも青色申告者であるからといつて、これに基づく推計を不合理ということはできない。 所属職員が同業者の抽出選定にあたり、白色申告者についてもその収支内容を調べたが、いずれも原告と対比すべき同業者として正確な資料を具備するものとは認められなかつたものとしてこれを採用しなかつたことが窺われ、被告において同業者選定にあたり当初から白色申告者を全く無視していたというわけのものでもないから同業者A・B・Cがいずれも青色申告者であるからといつて、これに基づく推計を不合理ということはできない。原告の違法事由3の主張も採用することができない。4 違法事由4(一般経費の推計)について(一) 推計課税は、所得金額又は損失金額の実額が把握できない場合に、推計により得た蓋然的近似値を一応真実の所得金額又は損失金額と認定して課税する制度であるから、当該納税者と対比すべき同業者の抽出選定にあたつては、その事業規模が近似していることはもとより、その選定数の多いことが望ましいことはいうまでもないが、当該納税者と同一地区で正確な資料を有する同業者が僅少な場合は、対比した業者がたとえ一件のみであつても、そのことから直ちに推計を不合理ということはできないものというべきである。ところで、被告が原告の一般経費の推計にあたり、資料として抽出選定した同業者は、昭和四二年分はA・B・Cの三件であるが、昭和四〇、四一年分についてはAの一件にすぎない。しかしながら、昭和四二年分のA・B・Cの三件の一般経費率は互いにその隔差は僅かであるから、その平均値二三・七二パーセントを採用することは合理的であると認められるし、昭和四〇年分のAの一 にすぎない。しかしながら、昭和四二年分のA・B・Cの三件の一般経費率は互いにその隔差は僅かであるから、その平均値二三・七二パーセントを採用することは合理的であると認められるし、昭和四〇年分のAの一般経費率二三・一三パーセントは右の昭和四二年分の平均値に近似しているから他に合理的な方法も見出せない本件においては、右経費率を採用して昭和四〇年分の原告の一般経費を推計することも許されるものというべきである。さらに、昭和四一年分のAの一般経費率は二八・二三パーセントであつて、昭和四二年分の平均一般経費率二三・七二パーセントを相当程度上回つているが、右経費率を採用することはむしろ原告に有利な結果をもたらすものであるから、右経費率を適用して原告の昭和四一年分の一般経費を推計しても違法というには当らない。 においては、右経費率を採用して昭和四〇年分の原告の一般経費を推計することも許されるものというべきである。さらに、昭和四一年分のAの一般経費率は二八・二三パーセントであつて、昭和四二年分の平均一般経費率二三・七二パーセントを相当程度上回つているが、右経費率を採用することはむしろ原告に有利な結果をもたらすものであるから、右経費率を適用して原告の昭和四一年分の一般経費を推計しても違法というには当らない。また、被告の抽出選定した同業者A・B・Cと原告との業態の類似性については、すでに認定した事実、証人k及び弁論の全趣旨によれば、いずれも向島税務署管内に所在すること、ネツト式皮革乾燥機一、二台を使用していること、売上金額が原告と比べほぼ半分の額であること等が認められるだけで、営業の立地条件、使用車両台数、従業員数等の具体的類似性については明らかではないけれども、原告本人尋問の結果(第一回)によれば、原告の業種での一般経費率は各年分を通じて大きな変化を示すものでないことが認められること、すでに認定したとおり原告の業態の特殊性からみて同業者数が限られることもやむをえないと考えられること、昭和四二年分についての選定資料が三件あれば、その平均値は最少限度、個々の業者の個別具体的な事情を捨象しうるものと考えられること等を総合勘案すれば、昭和四二年分のA・B・C三件の平均一般経費率と昭和四〇・四一年分のAの一般経費率との間に原告に不利に作用する著しい隔差が認め の個別具体的な事情を捨象しうるものと考えられること等を総合勘案すれば、昭和四二年分のA・B・C三件の平均一般経費率と昭和四〇・四一年分のAの一般経費率との間に原告に不利に作用する著しい隔差が認められない以上、原告とAあるいはB、Cとの間の個別的具体的事情のすべてにつき類似性が明らかとなつていなくとも、昭和四二年分は勿論、昭和四〇・四一年分についても右同業者の一般経費率を採用することは許されるものと解すべきである。(二) 比較する同業者がたとえ一件であつても同業者率によるということは原告と同業者とを全く同一の条件の下にあるものとして扱おうとするものではなく、あくまでも近似値による推計を行なおうとするものであるから、近似値としての推計を不合理ならしめる程度に特殊と認められる事情があるのでなければ、個々の特殊事情を考慮する必要はないものというべきである。 の一般経費率を採用することは許されるものと解すべきである。(二) 比較する同業者がたとえ一件であつても同業者率によるということは原告と同業者とを全く同一の条件の下にあるものとして扱おうとするものではなく、あくまでも近似値による推計を行なおうとするものであるから、近似値としての推計を不合理ならしめる程度に特殊と認められる事情があるのでなければ、個々の特殊事情を考慮する必要はないものというべきである。そこで、原告に右のような意味での特殊事情があるかどうかにつき考えるに、すでに認定したとおり、原告の同業者A・B・Cは向島税務署管内に存在し、いわゆる皮革加工業者が同署及びその近隣五税務署管内に集中していることからすれば、原告と同業者A・B・Cにおける元請と下請業者の地理的条件が個々に異つているとしても、その相異が運送費を含めた一般経費の推計を不合理ならしめる程度に顕著なものであるとはいいがたいというべきである。また、原告本人尋問の結果(第一回)によれば、元請業者の負担による運送を利用することは稀であることが認められるし、近時自家用車を所有しない業者の存在はむしろ例外であることは公知の事実であることからすれば、自家用車で運送するものと、元請業者の負担で運送するものと区別をせずに一般経費の推計をしたとしても、不合理とはいえない。さらに、専従運転手の有、無によつて差が生ずるのは雇人費の額であ とからすれば、自家用車で運送するものと、元請業者の負担で運送するものと区別をせずに一般経費の推計をしたとしても、不合理とはいえない。さらに、専従運転手の有、無によつて差が生ずるのは雇人費の額であつて、雇人費は特別の経費として別途考慮すべき性格のものであるから、運転手の有無を考慮せずに一般経費の推計をしたとしても不合理とはいえない。原告の違法事由4の主張も採用することができない。5 違法事由5(雇人費の推計)について(一) 被告は原告の雇人費を推計するにあたり、同業者の雇人費率を収入金額に乗じてこれを算出しているところ、被告の主張する昭和四二年分における同業者A・B・Cの雇人費率は、別表一の(三)のとおり、A三三・四八パーセント、B四三・二三パーセント、C一八・五四パーセントの数値を示しており、その高低の差が著しいのである。本来、雇人費が、当該事業に寄与する家族労働力の構成状況、雇傭条件の差異、従業員の熟練度等の特殊な要素により影響をうけるところから、単純に収入金額に比例しがたい支出項目であることにかんがみると、業者によつて、雇人費率に差異がみられるのは当然の現象ともいえようが、それだけに、三件にとどまる僅少な事例を平均した数値を原告に適用すべき雇人費率とすることにはたやすく合理性を認めがたいのである。 しいのである。本来、雇人費が、当該事業に寄与する家族労働力の構成状況、雇傭条件の差異、従業員の熟練度等の特殊な要素により影響をうけるところから、単純に収入金額に比例しがたい支出項目であることにかんがみると、業者によつて、雇人費率に差異がみられるのは当然の現象ともいえようが、それだけに、三件にとどまる僅少な事例を平均した数値を原告に適用すべき雇人費率とすることにはたやすく合理性を認めがたいのである。もつとも、だからといつて、同業者A・B・Cの各雇人費率のうち原告に最も有利なBの四三・二三パーセントを適用すれば本件推計の合理性が担保されるというものでもないことは明らかであろう。そうすると、むしろ、原告の主張する各年分毎の従事労働者数、日給額、雇傭労働時間についてそれぞれ認定できる合理的数値を基礎として雇人費を推計する方法の方が被告の主張する推計よりも合理的であると考えられる。(二) そこで右観点から検討するに、原告本人尋問の結 給額、雇傭労働時間についてそれぞれ認定できる合理的数値を基礎として雇人費を推計する方法の方が被告の主張する推計よりも合理的であると考えられる。(二) そこで右観点から検討するに、原告本人尋問の結果(第二回)により原告の工場・従業員を昭和四一年九月頃撮影したものと認められる甲第四号証の一、昭和五〇年三月頃撮影したものと認められる甲第四号証の二、三、原告本人尋問の結果(第一、二回)に弁論の全趣旨を合わせると、原告は昭和四〇年頃東京都墨田区<以下略>で、女子従業員ならば概ね四名で操作するネツト式皮革乾燥機一台を使用し、従業員五名(内男一名、女四名)を雇い張皮加工業を営んでいたが、同事業所では製品の運搬、配達上道路が狭隘のため多大の不便があつたところから、昭和四一年肩書地に住所及び事業所を移転し、引続き張皮加工業を経営し、同年から前記乾燥機を更に一台増設したので、従業員も八名(内男二名、女六名)となり、昭和四二年には従業員数九名(内男二名、女七名)となつたこと、原告方での女子従業員は概ねいわゆるパートタイマーであるので、これを一日労働時間を八時間として本件各係争年分における従業員別の月間出勤日数並びに年間在勤月数を算定すると、原告主張のとおりの数値となることが認められ、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。しかしながら、原告の主張する各係争年分における従業員の日給額及びボーナスについてはこれをそのまま認めうる証拠いないのみならず、証人bの証言に照らしても採用しがたいので、成立に争いのない乙第三一号証の一ないし三(労働大臣官房労働統計調査部作成の毎月勤労統計調査総合報告書昭和四五年版)の第三二表(産業大中分類および性別、常用労働者一人平均月間現金給与額総実労働時間数ならびに出勤日数)に掲記されたうち、原告の業種に最も近似すると認められる「 おける従業員の日給額及びボーナスについてはこれをそのまま認めうる証拠いないのみならず、証人bの証言に照らしても採用しがたいので、成立に争いのない乙第三一号証の一ないし三(労働大臣官房労働統計調査部作成の毎月勤労統計調査総合報告書昭和四五年版)の第三二表(産業大中分類および性別、常用労働者一人平均月間現金給与額総実労働時間数ならびに出勤日数)に掲記されたうち、原告の業種に最も近似すると認められる「 毎月勤労統計調査総合報告書昭和四五年版)の第三二表(産業大中分類および性別、常用労働者一人平均月間現金給与額総実労働時間数ならびに出勤日数)に掲記されたうち、原告の業種に最も近似すると認められる「なめしかわ」製造業(規模五~二九人)における現金給与総額(賞与額を含む)の月別平均及び月間平均出勤日数から性別の日給額を計算すると、次のようになることが認められる。そこで、右の日給額を基に、原告の各係争年分の雇人費額を計算すると、被告主張のとおり、昭和四〇年分九八〇、八六八円昭和四一年分一、三〇四、一〇〇円昭和四二年分二、二二四、二〇〇円となるので、さらに、右数値を当事者間に争いのない原告の各係争年分の収入金額によつて除して、雇人費率に相当する比率を計算すると、次の計算式、すなわち(推計による雇人費)÷(争いのない原告の収入金額)×一〇〇=(比率)により、昭和四〇年分三六・六九パーセント昭和四一年分三三・三〇パーセント昭和四二年分四一・四七パーセントとなる。そして、以上認定により推計した雇人費額を被告主張額、原告主張額、被告主張にかかる同業者のうち最高雇人費率(四三・二三パーセント)による推計雇人費額等と対比すると次表のとおりであることが認められる。以上認定の事実関係からすれば、原告の各係争年分における労働従業員数、労働時間及び全国平均日給額等を基礎として雇人費額を推計する方が実額に近似するものと考えられ、同業者の雇人費率によりこれを推計算出するよりもより合理的であると解される。よつて、被告のなした雇人費に関する推計方法は合理性を欠くものとしてこれを採用することができないが、本訴においてすでに顕われた資料を総合すれば、前記のとおり、推計算出しうるのであるから、右雇人費額をもつて被告の主張額に代置す 関する推計方法は合理性を欠くものとしてこれを採用することができないが、本訴においてすでに顕われた資料を総合すれば、前記のとおり、推計算出しうるのであるから、右雇人費額をもつて被告の主張額に代置するのが相当というべきである。 理性を欠くものとしてこれを採用することができないが、本訴においてすでに顕われた資料を総合すれば、前記のとおり、推計算出しうるのであるから、右雇人費額をもつて被告の主張額に代置す 関する推計方法は合理性を欠くものとしてこれを採用することができないが、本訴においてすでに顕われた資料を総合すれば、前記のとおり、推計算出しうるのであるから、右雇人費額をもつて被告の主張額に代置するのが相当というべきである。6 違法事由6(減価償却費)について証人bの証言によると、係争年分において原告が事業の用に供していたのは新旧建物とも一階部分のみであつたことが認められ、原告の主張するように、二階についても事業の用に供していたとの事業を認めるに足りる証拠はない。そして、原告がその事業の用に供した新旧建物の種類構造、取得年月日、取得価額並びに、原告が被告に対し右建物の償却方法につき届け出をしなかつたこと等については当事者間に争いがないから、これらの事実を前提として、所得税法四九条、同法施行令一二三条及び一二五条により被告のなした建物減価償却費の計算(明細は別表二参照)は正当として認容すべきである。三所得金額の認定以上の次第で、原告の主張する違法事由のうち、雇人費の推計部分を除きすべて理由がないので、被告の主張する原告の各係争年分の所得金額を前記推計により算定した雇人費額により修正し算出すると、次表のとおりとなる。四結論よつて、被告のなした本件各更正(決定)処分中、昭和四〇年分についての所得額の認定は、当裁判所の前示認定額九四三、五四一円を超える部分につき違法であるから、原告の右決定の取消を求める本訴請求は右の範囲でこれを認容すべく、昭和四一、四二年分について被告のなした所得額の認定(昭和四一年分については不服申立により一部取消された残余の部分)は当裁判所の前示認定額の範囲内であつて適法であるから、その取消を求める原告の本訴各請求はこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条を適用して主文のとおり判決する。残余の部分)は当裁判所の前示認定額の範囲内であつて適法であるから、その取消を求める原告の本訴各請求はこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条を適用して主文のとおり判決する。(裁判官内藤正久山下薫飯村敏明)
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