【DRY-RUN】主 文 本件各上告を棄却する。 理 由 被告人A、同B、同C、同D、同Eの各弁護人宮城実の上告趣意は、後に添えた 書面に記載したとおりである。 同第一点につ
主文 本件各上告を棄却する。 理由 被告人A、同B、同C、同D、同Eの各弁護人宮城実の上告趣意は、後に添えた書面に記載したとおりである。 同第一点について。 原審の判決書に、公判に関与した検事の官氏名が記載されていないことは、所論のとおりである。しかし、記録によると、原審公判には、判決言渡の公判期日を含めて、すべて検事が関与して適法に開かれていることが明らかであり、そして、たまたま判決書に、公判に関与した検事の官氏名を遺脱した違法があつても、事実上検事が公判審理に立会い手続が適正に行われている以上、その違法は、判決に影響を及ぼすものでないことは、当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第八一五号同年一二月二四日第三小法廷判決、集二巻一四号一八七三頁)とするところである。従つて、所論判例違反の主張はその根拠がなく、結局所論は、単なる訴訟法違反の主張となるから、刑訴四〇五条の適法な上告理由にあたらない。 同第二点について。 本件については、旧刑事訴訟事件の控訴審及び上告審の審判の特例に関する規則八条が適用されるから、控訴審判決が、証拠により罪となるべき事実を認めた理由を説明するには、証拠の標目を掲げれば足りるのである。(同規則の違法、無効でないことは、昭和二四年(れ)第二一二七号同二五年一〇月二五日大法廷判決、集四巻一〇号二一五一頁の趣旨に徴して明らかである。)そうして、証拠の標目を掲げることによる証拠説示については、判文上証拠と事実との関連が明らかでなくても、記録と照らし合せて見て、どの証拠によりどの事実が認定されたか明らかであれば足りるとするのが、当裁判所の判例である。(昭和二五年(あ)第一〇六八号- 1 -同年九月一九日第三小法廷判決、集四巻九号一六九五頁、昭和二五年(あ)第七七三号同二六 が認定されたか明らかであれば足りるとするのが、当裁判所の判例である。(昭和二五年(あ)第一〇六八号- 1 -同年九月一九日第三小法廷判決、集四巻九号一六九五頁、昭和二五年(あ)第七七三号同二六年四月一七日第三小法廷判決、集五巻六号九六三頁)。従つて、所論のような大審院及び東京高等裁判所の判決を援用して原判決を攻撃しても、判例違反の主張として採用することはできないしまた原判決を記録と対照すると、証拠と事実との関連が明らかであつて、なんら証拠説示上の違法は認められない。 同第三点について。 所論公判調書には、なるほど訂正個所が非常に多いが、挿入、削除等すべて適式に行われており、なんらこれを無効と解すべき根拠はない。そうして、原判決は、もとより、この点に関し所論援用の判例と相反する判断をしているわけではないから、所論は採用できない。 同第四点について。 被告人A、B、C、Dに対する本件各公判請求書によると、本件綿布生地の買受行為とその売渡行為とは、各々別罪を構成するものとして、起訴されているものと解すべきである。従つて、原判決が、その売渡行為につき無罪を言渡し、その買受行為につき有罪の言渡をしたからといつて、所論のように一個の公訴事実を分割し、一部有罪、一部無罪の言渡をしたものとはいえない。そうしてまた、本件綿布生地の買受行為を、衣料品としての買受行為とみても、生産資材としての買受行為とみても、基本の事実関係を異にするものではないから、原審認定の事実は、起訴事実と同一性を失わず、従つて、審判の請求を受けた事件について判決をせず、審判の請求を受けない事件について判決をしたものとの非難はあたらない。原判決は、これらの事項につき、なんら所論の掲げる判例と相反する判断をしているわけではないし、また所論は憲法三九条にも言及しているが、論旨の実 受けない事件について判決をしたものとの非難はあたらない。原判決は、これらの事項につき、なんら所論の掲げる判例と相反する判断をしているわけではないし、また所論は憲法三九条にも言及しているが、論旨の実質は、要するに、前記諸点に関する訴訟法違反の主張に帰着する。 同第五点について。 - 2 -所論は、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。また記録を調べても、本件につき刑訴四一一条を適用して、原判決を破棄すべきものとは認められない。なお、所論は、その末段において、昭和二五年法律二六七号刑訴施行法の一部を改正する法律が、新刑訴法施行前に公訴の提起があつた事件につき、上告理由を刑訴四〇五条の場合に限定したことは違憲であると主張するけれども、その然らざることは、当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第一五七七号同二四年五月一八日大法廷判決、集三巻六号八四七頁)の趣旨に徴して明らかであつて、もとより理由がない。 よつて刑訴施行法三条の二刑訴法四〇八条により主文のとおり判決する。 この判決は、裁判官全員一致の意見である。 昭和二七年二月二六日最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官井上登裁判官島保裁判官河村又介裁判官小林俊三裁判官本村善太郎- 3 -
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