令和6(わ)1880 住居侵入、強盗致傷、住居侵入未遂被告事件

裁判年月日・裁判所
令和7年7月8日 千葉地方裁判所
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判決文本文3,693 文字)

- 1 - 令和6年(わ)第1880号、同第2066号住居侵入、強盗致傷、住居侵入未遂被告事件令和7年7月8日千葉地方裁判所刑事第3部宣告 主文 被告人を懲役7年に処する。 未決勾留日数中160日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、第1 金品強取の目的を有する氏名不詳者らと金品窃取の目的の限度で共謀の上、令和6年11月3日午前2時50分頃、千葉県四街道市内(所在地は別紙記載のとおり。)のⅩ(氏名は別紙記載のとおり。)方に、1階東側掃き出し窓にガムテープを貼り、同窓を石のブロックで打ち付けて割って侵入しようとしたが、X方内に人がいることに気が付いて逃走したため、その目的を遂げなかった。 第2 氏名不詳者らと共謀の上、金品強取の目的で、同日午前4時20分頃から同日午前4時32分頃までの間に、千葉県四街道市内(所在地は別紙記載のとおり。)のY(氏名は別紙記載のとおり。)方に、西側掃き出し窓から侵入し、同日午前4時20分頃から同日午前4時46分頃までの間、同所において、同人(当時57歳)に対し、被告人が、Yの上に馬乗りになって同人の顔面を拳で多数回殴るなどの暴行を加えるとともに、持っていた携帯電話機を同人の耳元に近づけ、氏名不詳者が、アプリケーションソフト「シグナル」の通話機能を利用して同携帯電話機越しに、「金はどこだ。」「奥さんがどうなってもいいのか。」などと言って脅迫し、Yの反抗を抑圧した上、同人所有の現金1万3000円を強取し、その際、前記暴行により、同人に加療約1か月間を要する鼻骨骨折、右前額部挫創等の傷害を負わせた。 - 2 - (事実認定の補足説明) 1 判示第1の侵入の目的について判示第1(以下「第1事件」という。)、判示第2(以下「第2事件」という。)のい 、右前額部挫創等の傷害を負わせた。 - 2 - (事実認定の補足説明) 1 判示第1の侵入の目的について判示第1(以下「第1事件」という。)、判示第2(以下「第2事件」という。)のいずれも犯罪の成立には争いがないが、第1事件における住居侵入の目的につき、検察官は金品強取の目的であったと主張し、被告人及び弁護人は金品窃取の目的にとどまると主張する。 2 判断⑴ 被告人は、令和6年11月3日(本件当日)午前1時30分頃以降、シグナル上のアカウント名が「ポンデリング」である者(以下、単に「共犯者」という。)から、シグナルの通話機能を利用して、「会社のお金を1500万円持って飛んだ詐欺師がいるから、窓ガラスを割って入ってボコボコにして、お金をとってきて」などと指示を受けた、ガムテープ等を購入するよう指示を受けて購入し、その後、ガムテープは相手を縛るために使用する旨の説明を受けた上でX方に向かった、X方への道中で、共犯者から、当該詐欺師について、「一人で住んでおり、旅行に行っていていない」旨の説明がされた、X方に着くと、建物内の明かりも見えず、物音はせず、中に人はいないと思った、窓にガムテープを貼って石のブロックを打ち付けて割ろうと2回打ち付けたところ、建物内の電気が点いたため、話が違うと思って逃げたと供述する。 被告人の前記供述は、被告人がX方の窓を割ろうとする直前に共犯者に送信したX方の外観の写真において建物内の明かりが点いているように見えるものではないことと整合する。また、共犯者が被告人の抱く強盗への抵抗感を軽減させるためにあえてX方には人がいない旨の虚偽の説明をした可能性もあり、被告人の供述内容が不自然ともいえない。被告人は、X方には人がいないと当初から伝えられていたなどと専ら自己に有利な弁解をするものではなく、当初 えてX方には人がいない旨の虚偽の説明をした可能性もあり、被告人の供述内容が不自然ともいえない。被告人は、X方には人がいないと当初から伝えられていたなどと専ら自己に有利な弁解をするものではなく、当初の指示は「詐欺師をボコボコにする」旨であったと不利益な供述もしているのであり、被告人があえて虚偽の内容を述べているともいい難く、以上を総合すると、被告人の前記供述の信用性を- 3 - 否定することはできない。 そして、物音に気が付いたXがカーテンを開けるなどした際に現に被告人が逃走したことも踏まえると、被告人は、X方に向かい始めた時点では金品強取の目的があったといえるが、X方に窓を割って侵入しようとする時点では、X方には人がいないと確信していた可能性があるといえる。そうすると、被告人において、Ⅹ方には人がいるかもしれないといった認識を前提とする金品強取の目的があったと認めるには、合理的な疑いが残るといえ、被告人には金品窃取の目的があったにとどまる。 なお、X方のオレンジ色電灯を点灯させた状態を再現して建物の外側から撮影した写真は、フラッシュを発光して撮影されたものであって当時の状況や明るさを正しく再現したものとはいい難く、当該写真により検察官の主張が裏付けられるとはいえない。 (量刑の理由)1⑴ まず、量刑判断の中心となる住居侵入、強盗致傷(第2事件)についてみると、被告人は、夜間、Y方に侵入し、いきなりYの顔面を30ないし40回拳で殴打し、首を腕で絞め、腹を蹴る暴行を加えながら、Yの手首をガムテープで拘束しようと試み、Yに抵抗されると更に暴行を加えたもので、危険かつ粗暴で執拗な暴行態様といえる。この暴行に引き続き、共犯者のした脅迫も、家族の生命に危険が及ぶことを示唆する内容で、殺されるかもしれないとの強い恐怖感をYに生じさせ 更に暴行を加えたもので、危険かつ粗暴で執拗な暴行態様といえる。この暴行に引き続き、共犯者のした脅迫も、家族の生命に危険が及ぶことを示唆する内容で、殺されるかもしれないとの強い恐怖感をYに生じさせる悪質なものといえる。 Yは、本件により加療約1か月間を要する傷害を負い、本来平穏に休息できる自宅で夜間に被害に遭ったこと等への恐怖から、眠ることができなくなるなど、その肉体的・精神的苦痛は大きい。被害額は1万3000円と決して少額とはいえない。 動機等についてみると、被告人は、ギャンブル等により借金を重ね、報酬を得る目的で本件に及んだものである。被告人は、共犯者(指示役)から「母親がどうなっても知らないよ」と脅されたために犯行に及んだ旨供述するが、被告人自身、お- 4 - 金が欲しい気持ちもあったと述べていることや脅しの文言は抽象的なものにとどまること、警察への相談等の他に取り得る手段もあったことから、この点を大きく酌むことはできない。 そして、本件は犯行に必要な情報を提供する指示役や犯行を実現する実行役等に役割を分担した上、被告人は、実行役として、共犯者の指示の下、Yをガムテープで縛るために弱らせる必要があると考え、自らの判断で臨機応変に、殴る部位に顔面を選び、首を絞めたり腹を蹴ったりする暴行に及ぶなど、犯行実現のために不可欠で重要な役割を担っていたといえる。もっとも、被告人の組織における地位は末端で、従属的立場にとどまっていたといえる。 ⑵ 次に、住居侵入未遂(第1事件)についてみると、被告人は夜間にⅩ方に窓を割って侵入しようとしたものであり、本件犯行による恐怖や今後の生活への影響等を考慮すれば、Ⅹが負った精神的被害は大きいといえる。もっとも、住居侵入は未遂にとどまっており、第1事件の犯罪事実に関する事情を量刑上考慮するには限 であり、本件犯行による恐怖や今後の生活への影響等を考慮すれば、Ⅹが負った精神的被害は大きいといえる。もっとも、住居侵入は未遂にとどまっており、第1事件の犯罪事実に関する事情を量刑上考慮するには限度があるといえる。 2 以上のような犯罪事実に関する事情に照らすと、本件は同種事案(強盗致傷、共犯関係等は組織的、凶器等はひも・ロープ類、前科等なし)の中では中程度の部類に属する。 3 次に、犯罪事実以外の事情について検討する。 被告人の母親の出捐により、被告人がYに対して100万円の被害弁償をし、Yの処罰感情が緩和していることは、被告人のために相当程度考慮すべきである。また、被告人は、事実を認めて、自らの言葉で被害者らに謝罪の意を表するなど、本件各犯行について反省をしているといえる。そして、被告人の母親が、公判廷に出廷して被告人の監督に意欲を示し、被告人の今後の更生につながる方策を考えていることに加え、被告人には前科前歴がないことなど、被告人の更生に資する事情があることに鑑みれば、被告人の再犯可能性が高いとはいえない。 4 そこで、犯罪事実に関する事情を中心に、犯罪事実以外の事情も考慮して、- 5 - 被告人に主文の刑を科すのが相当であると判断した。 (求刑懲役10年、弁護人の科刑意見懲役6年)令和7年7月11日千葉地方裁判所刑事第3部 裁判長裁判官宮本聡裁判官内村祥子裁判官松岡弘道 別紙省略

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