主文 1 被告は、原告に対し、223万1680円及びうち212万1680円に対する平成27年12月4日から、うち11万円に対する平成28年4月18日から、各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用はこれを5分し、その2を被告の負担とし、その余は原告の負担とする。 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は、原告に対し、289万1680円及びこれに対する平成27年12月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は、原告に対し、110万円及びこれに対する平成28年4月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は、原告に対し、110万円及びこれに対する令和3年4月13日から支 払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 4 被告は、原告に対し、110万円及びこれに対する令和3年12月9日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 被告の職員として児童相談所に勤務していた原告は、京都市長から停職3日の 懲戒処分(以下「本件懲戒処分」という。)を受けたことから、本件訴訟に先立ち、その取消しを求めて懲戒処分取消請求訴訟(以下「別訴」という。)を提起したところ、これを認容する判決(以下「別訴判決」という。)が本件訴訟係属中に確定した。 本件は、原告が、①京都市長から本件懲戒処分を受けたこと、②本件懲戒処分 の後に3回にわたる配転命令(以下「本件各配転命令」という。)を受けたこと、 ③別訴判決が確定したにもかかわらず、その後に京都市長から厳重文書訓戒処分(以下「本件訓戒処分」という。) の後に3回にわたる配転命令(以下「本件各配転命令」という。)を受けたこと、 ③別訴判決が確定したにもかかわらず、その後に京都市長から厳重文書訓戒処分(以下「本件訓戒処分」という。)を受けたこと、④本件訴訟において和解が成立しようとしていた際に、京都市会が別訴判決の認定に反する付帯決議(以下「本件付帯決議」という。)をしたことが、いずれも違法であると主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、①につき損害賠償金289万1680円(慰 謝料100万円、別訴の弁護士費用162万8800円及び本件訴訟の弁護士費用26万2880円)及びこれに対する本件懲戒処分の日である平成27年12月4日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法(以下「改正前民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を、②につき損害賠償金110万円(慰謝料100万円及び弁護士費用10万円)及びこれに 対する本件各配転命令のうち2回目の配転命令の日である平成28年4月18日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を、③につき損害賠償金110万円(慰謝料100万円及び弁護士費用10万円)及びこれに対する本件訓戒処分の日である令和3年4月13日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を、④につき損害賠償金110 万円(慰謝料100万円及び弁護士費用10万円)及びこれに対する本件付帯決議の日である令和3年12月9日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を、それぞれ求めた事案である。 2 前提事実(争いのない事実並びに後掲の各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実) (1)当事者等ア被告は、京都府内の政令指定都市である。被告は、児 ぞれ求めた事案である。 2 前提事実(争いのない事実並びに後掲の各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実) (1)当事者等ア被告は、京都府内の政令指定都市である。被告は、児童福祉法12条1項に基づき、被告の保健福祉局の下で、児童福祉センターの一部署として児童相談所を設置している(以下、被告が設置する上記児童相談所を「京都市児童相談所」という。)。 京都市児童相談所は、電話や来所等による市民からの初めての相談を受け 付ける相談課と、相談課が受け付けた相談事例が回付される支援課とで構成される。 イ原告は、昭和▲▲年▲月生まれの男性であり、平成9年4月1日に事務職員として被告に採用され、その後、保健福祉局児童家庭課を含む複数の部署での勤務を経て、平成24年4月23日から、保健福祉局児童福祉センター 児童相談所支援課に配属となり、京都市児童相談所において主任として勤務していた。 本件懲戒処分後、原告は、後記(6)のとおり、平成27年12月11日、保健福祉局こころの健康増進センター相談援助課(以下「健康増進センター」という。)への異動を命じられ、その後、平成28年4月18日、建設局南 部区画整理事務所(以下「区画整理事務所」という。)への異動を命じられ、さらに、令和3年4月、文化市民動物園総務課(以下「動物園総務課」という。)への異動を命じられた。原告は、令和4年4月以降、傷病休職している。 ウ社会福祉法人A(以下「A」という)は、京都市左京区に所在する児童養 護施設である。 なお、被告において、京都市内の児童養護施設の指導監督と被措置児童等虐待(児童養護施設の長などが、同施設に入所する被措置児童等にわいせつな行為をすること等の虐待行為をいう。児童福祉法33条の10参照)への 被告において、京都市内の児童養護施設の指導監督と被措置児童等虐待(児童養護施設の長などが、同施設に入所する被措置児童等にわいせつな行為をすること等の虐待行為をいう。児童福祉法33条の10参照)への対応の主管課は、京都市児童相談所ではなく、保健福祉局児童家庭課であっ た。 (2)Aの施設長の逮捕等ア Aの施設長であったB(以下「本件施設長」という。)は、平成27年9月8日、Aに入所していた被措置児童(当時▲▲歳で高校▲年生の女子児童。 以下「本件児童」という。)を平成26年8月5日に自己を相手に性交させ、 もって児童に淫行させたものとして、児童福祉法34条1項6号違反の容疑 により逮捕された(以下「本件逮捕」という。甲21)。 本件施設長は、平成27年9月28日、児童福祉法違反の罪で起訴され、平成29年1月20日、有罪判決を受けた(乙12)。 イ本件逮捕に先立ち、京都市児童相談所は、平成26年12月24日に、本件児童の母親から「本件児童が本件施設長から性的な行為をされて、■■■ ■■■■■と言っている。」旨の通告を受けており、これを被措置児童等虐待通告として受理した上で(以下「本件虐待通告」という。)、平成27年1月28日、保健福祉局児童家庭課に対し、本件施設長による本件児童に対する性的虐待があったとする被措置児童等虐待事案(以下「本件虐待事案」という。)として報告していた。 また、保健福祉局は、同月30日、京都市長及び同副市長に対し、本件虐待事案に関して、本件児童に対して本件施設長による被措置児童等虐待(性的虐待)があったとする本件虐待通告がされたことなどを説明する上局報告(以下「本件上局報告」という。)を行っており(甲23)、また、京都市児童相談所及び保健福祉局児童家 長による被措置児童等虐待(性的虐待)があったとする本件虐待通告がされたことなどを説明する上局報告(以下「本件上局報告」という。)を行っており(甲23)、また、京都市児童相談所及び保健福祉局児童家庭課は、同年2月24日、本件虐待事案に 関して警察に相談を行っていた。 (3)本件逮捕がされるまでに、原告が本件児童の関係で行った行為ア本件児童とその妹の個人情報等に係るデータの閲覧原告は、本件逮捕に先立つ平成26年秋頃から、その勤務時間中に、職場の業務用パソコンから、京都市児童相談所において支援の対象となっている 児童の情報をデータ管理する児童情報管理システム及びバックアップフォルダ(以下「児童情報管理システム等」と総称することがある。)にアクセスして、児童情報管理システムにより本件児童の個人情報が記載された処遇情報データを閲覧するとともに、バックアップフォルダに保存された本件児童及びその妹の個人情報が記載された児童記録データを繰り返し閲覧した (以下、児童情報管理システム及びバックアップフォルダでデータ管理され た児童の情報を「児童記録データ等」と総称する。)。 原告は、上記閲覧を通じて、①京都市児童相談所が平成26年8月20日に、本件児童の母親から、「■■■■■■今日、滋賀県のホテルを本件施設長に予約してもらっている■■■■」、「本件施設長に分からないように調べられないか。」などと電話で相談を受けていたこと、②京都市児童相談所 が同月22日にも、同母親から、同月20日の電話で相談のあった本件児童の外泊の件について、「本件施設長が本件児童に対して性的な行為をしようとしていたことが発覚した。」などと電話で相談を受けていたこと(以下、平成26年8月20日及び同月22日に行われた本件児童の母親から 外泊の件について、「本件施設長が本件児童に対して性的な行為をしようとしていたことが発覚した。」などと電話で相談を受けていたこと(以下、平成26年8月20日及び同月22日に行われた本件児童の母親からの本件児童の同月20日の外泊に関する相談を「本件相談」という。)を知るに 至った。 イ新年会及び組合交渉の場での本件児童に関する発言原告は、平成27年1月14日、職場外の店舗で開催された京都市児童相談所の職場の新年会(以下「本件新年会」という。)において、飲酒をしながら、支援課の主席児童福祉司であるC主席に対し、本件虐待事案における 京都市児童相談所の対応を問題視する旨の発言をした。 また、原告は、平成27年3月10日、被告の職員団体である京都市職員労働組合民生支部児童福祉センター分会と当局である保健福祉局児童福祉センターとの間の組合交渉(以下「本件組合交渉」という。)の場において、京都市児童相談所の所長であるD所長に対し、本件児童に関する話題を出し、 本件虐待事案における京都市児童相談所の対応等に関する質問などをした。 ウ本件相談に対する京都市児童相談所の対応を問題視した公益通報の実施原告は、平成27年2月2日、職場の回覧文書を見て、同年1月30日に本件上局報告が行われたことを知った。原告は、本件上局報告の具体的な内容を知らなかったが、本件組合交渉でのD所長とのやり取りなどを通じて、 本件上局報告では、平成26年8月に本件児童の母親から本件相談があった 事実については触れられていないのではないかとの疑いを抱いた。 そこで、原告は、平成27年3月15日、京都市の公益通報の外部通報相談員であるE弁護士に対し、電子メールで、本件上局報告について、「京都市児童相談所の不作為を隠蔽するような情 かとの疑いを抱いた。 そこで、原告は、平成27年3月15日、京都市の公益通報の外部通報相談員であるE弁護士に対し、電子メールで、本件上局報告について、「京都市児童相談所の不作為を隠蔽するような情報の取捨選択が行われている可能性が高い。具体的には、平成26年8月末に断片情報が寄せられていたに もかかわらず、「平成26年12月24日に発覚」と報告されていると思われる」ことなどを指摘した通報を公益通報として行い、同通報は平成27年3月23日に「京都市市長部局等における内部通報等の処理に関する要綱」(以下「本件要綱」という。乙5)上の内部通報として受理され(以下「1回目の内部通報」という。)、同年6月23日に、原告に対し、京都市児童 相談所に不適切な対応はなかった旨の回答がされた(甲25、26)。 原告は、1回目の内部通報に対する上記回答に納得できなかったことに加え、本件逮捕後の京都市児童相談所内部における幹部の対応に不満を抱いたことから、平成27年10月9日、E弁護士の法律事務所を訪問して同弁護士と面談し、1回目の内部通報と同様の内容で、公益通報として再度の通報 を行い、同通報は同月22日に本件要綱上の内部通報として受理され(以下「2回目の内部通報」といい、1回目の内部通報と併せて「本件各内部通報」と総称することがある。)、同年11月26日、原告に対し、1回目の内部通報に対する回答と同趣旨の回答がされた(甲26、32)。 エ本件児童の妹の児童記録データに係る文書ファイルの出力等 原告は、職場の業務用パソコンから、バックアップフォルダが保存されたサーバにアクセスし、同バックアップフォルダに保存されていた本件児童の妹の児童記録データのうち、平成26年8月22日の本件児童の母親からの相談内容を含む記載がされた バックアップフォルダが保存されたサーバにアクセスし、同バックアップフォルダに保存されていた本件児童の妹の児童記録データのうち、平成26年8月22日の本件児童の母親からの相談内容を含む記載がされた文書ファイルの片面1ページ(甲19。ただし、黒塗りされた状態でないもの)を出力し、出力した当該文書を複数枚複写し た上で、複写文書のうちの一枚を2回目の内部通報に係る同年10月9日の E弁護士との面談の際に同弁護士に交付し、複写文書のうちの一枚を自宅に持ち出して保管した(以下、上記の複数枚の複写文書のうち、原告が自宅に持ち出した一枚を「本件複写記録」という。)。 また、平成27年10月21日に開催された京都市会の委員会におけるF議員の発言により、本件児童の個人情報が同議員に渡っていたことが判明し たことから、被告においてその調査が行われることとなり、これに関連して、原告は、同年11月10日、保健福祉局によって行われた事情聴取において、本件複写記録を自宅に保管していることを問題視されたが、同日夜に、本件複写記録を自宅のシュレッダーで廃棄した。 (4)関係法令等の定め 別紙「関係法令等」のとおりである。 (5)本件懲戒処分京都市長は、平成27年12月4日付けで、原告に対し、原告が地方公務員法29条1項各号の懲戒事由(以下「懲戒事由」という。)に該当する下記アないしウの非違行為をしたものとして、同条項に基づき、原告を同月8日から 同月10日までの3日間の停職とする懲戒処分をした(本件懲戒処分。甲1、2)。 ア原告は、平成26年9月以降の勤務時間中、児童情報管理システムにより自己の担当業務に関係のない本件児童の個人情報が記載された処遇情報データを閲覧するとともに、本件児童及びその妹の個人情報 ア原告は、平成26年9月以降の勤務時間中、児童情報管理システムにより自己の担当業務に関係のない本件児童の個人情報が記載された処遇情報データを閲覧するとともに、本件児童及びその妹の個人情報が記載された児童 記録データを繰り返し閲覧した(以下「本件対象行為1」という。)。 イ原告は、平成27年1月頃、本件児童の妹の児童記録データに係る文書ファイルの片面1ページを出力し、当該出力文書を複数枚複写した上、そのうち1枚(本件複写記録)を自宅に持ち出すとともに、同年11月10日に行われた保健福祉局による事情聴取において、持ち出した本件複写記録の返却 に同意していたにもかかわらず、同日夜に無断で自宅のシュレッダーで本件 複写記録を廃棄した(以下「本件対象行為2」という。)。 ウ原告は、平成27年1月に行われた本件新年会において、本件児童に係る支援の経過を知らない職員が複数出席し、また、店員等も出入りする場であったにもかかわらず、飲酒をしながら、本件児童の個人情報を含んだ内容について発言したほか、同年3月に行われた本件組合交渉において、本件児童 に係る支援の経過を知らない参加者が多数いるにもかかわらず、本件児童の個人情報を含んだ内容について発言した(以下「本件対象行為3」という。)。 (6)本件各配転命令ア原告は、本件懲戒処分による停職期間満了日の翌日である平成27年12月11日、保険福祉局長から健康増進センターへの異動を命じられた(甲3。 以下「本件配転命令1」という。)。 イ原告は、平成28年4月18日、京都市長から建設局勤務を命じられた上で、建設局長から区画整理事務所への異動を命じられた(甲4、5。以下「本件配転命令2」という。)。 ウ原告は、令和3年4月、動物園 、平成28年4月18日、京都市長から建設局勤務を命じられた上で、建設局長から区画整理事務所への異動を命じられた(甲4、5。以下「本件配転命令2」という。)。 ウ原告は、令和3年4月、動物園総務課への異動を命じられた(甲134。 以下「本件配転命令3」という。「本件各配転命令」は、本件配転命令1ないし3の総称として用いる。)。 (7)別訴の提起及び別訴判決の確定ア原告は、平成28年1月29日、京都市人事委員会に対し、本件懲戒処分を不服として審査請求を行ったが、同審査請求から3か月を経過しても、同 委員会による裁決がされなかった。 イ原告は、平成28年7月28日、被告に対し、本件懲戒処分の取消しを求める別訴(当庁平成28年(行ウ)第20号)を京都地方裁判所に提起した。 京都地方裁判所は、令和元年8月8日、要旨、以下の理由を判示して、本件懲戒処分を取り消すとの別訴判決を言い渡した(甲11)。 (ア)本件対象行為1について、認定できるのは、原告が平成26年10月1 日頃以降、勤務時間中に、職場の業務用パソコンから児童情報管理システム等にアクセスして、自己の担当児童ではない本件児童及びその妹の児童記録データ等の閲覧を繰り返し続けた行為(以下「本件行為1」という。)であるところ、当時の京都市児童相談所においては、担当外の児童の情報について閲覧することが禁止されておらず、上記閲覧を開始した理由が職 務上の関心に起因することからすれば、必ずしも直ちに非難されるべきものではなく、原告の担当業務に支障が生じるなど、公務が害されたことは認められないから、本件行為1は懲戒事由に該当しない。 (イ)本件対象行為2について、認定できるのは、原告が平成27年10月上旬頃、本件複写記録を自宅に持ち出して保管しており、 公務が害されたことは認められないから、本件行為1は懲戒事由に該当しない。 (イ)本件対象行為2について、認定できるのは、原告が平成27年10月上旬頃、本件複写記録を自宅に持ち出して保管しており、同年11月10日 の事情聴取の際に児童福祉センター総務課長G課長からこれを返却するよう指示されたにもかかわらず、同日夜に自宅においてシュレッダーで廃棄したこと(以下「本件行為2」という。)であるところ、本件複写記録の自宅への持ち出し行為は、非公開情報の職場外への持ち出しであり、京都市情報セキュリティ対策基準のうち、電子情報等の保護に関する管理基 準(乙21。以下「本件管理基準」という。)7条に違反し、また、本件複写記録の自宅での廃棄は、本件複写記録の返却を指示されていたにもかかわらず、その指示に従わずに本件複写記録の適切な処分を妨げたものであるから、本件管理基準9条に違反し、その違法性が阻却されるものでもないから、本件行為2は、少なくとも地方公務員法29条1項1号の懲戒 事由に該当する。 (ウ)本件対象行為3について、認定できるのは、平成27年1月14日の本件新年会において本件児童の担当児童福祉司を批判するなどの発言をし、同年3月10日の本件組合交渉において本件虐待事案に関する京都市児童相談所の対応について質問を繰り返すなどしたこと(以下「本件行為3」 という。)であるところ、本件新年会での原告の発言は、Aの名前を出し て本件虐待事案に関する京都市児童相談所の対応の不適切さを指摘するものであったが、本件児童のプライバシーにわたる個人情報に言及したものではなく、上記発言をもって本件虐待事案に関わる本件児童の個人情報が外部に漏えいしたことを認めるに足りる証拠はないこと、本件組合交渉での原告の発言も、Aでの施 イバシーにわたる個人情報に言及したものではなく、上記発言をもって本件虐待事案に関わる本件児童の個人情報が外部に漏えいしたことを認めるに足りる証拠はないこと、本件組合交渉での原告の発言も、Aでの施設内虐待の概要を明らかにし、本件児童の母 親からの本件相談があった時期について言及するものであったが、本件児童の氏名や本件相談の具体的内容などには言及していないことなどからすれば、秘密の漏えいがあったとまではいえず、本件行為3は懲戒事由に該当しない。 (エ)そうすると、懲戒事由に該当する非違行為は本件行為2に限られるとこ ろ、そのうち本件複写記録の持ち出し行為は、公益通報を目的として行った2回目の内部通報に付随する形で行われたもので、少なくとも原告にとっては、重要な証拠を手元に置いておく証拠保全ないし自己防衛という重要な目的を有していたものであり、本件複写記録に係る個人情報を外部に流出することなどの不当な動機、目的をもって行われたとは認められず、 その原因や動機において強く非難すべき点は見出し難い。態様としても、本件複写記録1枚のみの持ち出しであり、自宅で保管していたのみで、外部に流出した事実は認められず、不適切な保管状況であったとまではいい難い。 本件行為2のうち本件複写記録の自宅での廃棄行為は、本件複写記録の 返却指示に違反しており、非常に軽率な行為として大いに非難されるべきものではあるが、証拠隠滅を図るなどの不当な動機や目的があったとは考え難く、悪質性が高いとまではいえない。態様としてもシュレッダーでの廃棄であり、結果として外部に流出することのないまま処分されていて、本件複写記録により本件児童の個人情報がF議員に流出したと認めるに 足りる証拠はなく、被告の児童福祉行政に対する信頼が回復不能なほどに り、結果として外部に流出することのないまま処分されていて、本件複写記録により本件児童の個人情報がF議員に流出したと認めるに 足りる証拠はなく、被告の児童福祉行政に対する信頼が回復不能なほどに 大きく損なわれたとまでは認められない。 以上に加え、原告が一定の反省の態度を示していることや、それまで原告には懲戒処分歴は存在せず、勤務態度に問題はなかったこと等を踏まえると、本件懲戒処分は、「内部告発に対する報復」といった不当な目的ないし動機をもってされた処分であるとの評価はできないものの、重きに失 しており、社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を逸脱又は濫用した違法がある。 ウ被告は、上記イの判決を不服として控訴(大阪高等裁判所令和元年(行コ)第133号)した。大阪高等裁判所は、令和2年6月19日、上記イの判示に、要旨、以下の判示を加えるなどした上で、被告の控訴を棄却する旨の判 決を言い渡した(甲114)。 (ア)本件行為1について、本件管理基準5条違反の有無は、閲覧の目的が業務の遂行目的であるかそれ以外であるかによって判断すべきところ、業務遂行以外の目的による閲覧ということはできず、同条に違反しない。本件行為1は、職務上の命令に従う義務の違反にも、職務専念義務違反にも当 たらず、全体の奉仕者たるにふさわしくない非行ということもできないから、懲戒事由に該当しない。 (イ)本件行為2は、本件管理基準7条及び9条に違反する。これらの条項は訓令的職務命令に該当すると解されるから、本件行為2は職務命令違反の非違行為として地方公務員法32条に違反し、同法29条1項1号及び2 号の懲戒事由に該当する。これに対し、同項3号にいう「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」に該当するとは認められない。 非違行為として地方公務員法32条に違反し、同法29条1項1号及び2 号の懲戒事由に該当する。これに対し、同項3号にいう「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」に該当するとは認められない。 (ウ)本件対象行為3について、本件懲戒処分の処分説明書では、「当該児童の個人情報を含んだ内容について発言した」ことが懲戒事由とされているが、懲戒事由とされている事実があったと認めることができない。 本件行為3は、地方公務員法34条及び児童福祉法61条の秘密の漏え いに当たる非違行為として評価することはできず、「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」ということもできないから、懲戒事由に該当しない。 (エ)そうすると、懲戒事由となるのは本件行為2のみであるところ、具体的な事実としては、原告が、①平成27年10月上旬頃、原告の内部通報における通報相談員となっているE弁護士に対して内部通報の内容を説明 するため、バックアップフォルダにある本件児童の妹の児童記録データのうち平成26年8月22日の本件児童の母親からの相談内容を含む記載がされた文書ファイルの片面1頁を業務用パソコンから出力し、複数枚複写した上で、そのうちの1枚(本件複写記録)を自宅に持ち出して保管したこと、及び②平成27年11月10日、保健福祉局保健福祉部長であっ たH部長から、自宅で保管していた本件複写記録を返却するよう指示されたにもかかわらず、同日の夜に自宅で本件複写記録をシュレッダーで廃棄したことである。これらはいずれも、訓令的職務命令である本件管理基準の条項に違反するものであり、職務上の命令に従う義務に違反する非違行為である。しかし、被告が本件複写記録の回収をどれほど重視していたの かは定かでなく、重視していたのであればもっと明確に返却を命じる職 違反するものであり、職務上の命令に従う義務に違反する非違行為である。しかし、被告が本件複写記録の回収をどれほど重視していたの かは定かでなく、重視していたのであればもっと明確に返却を命じる職務命令を発すべきであったこと、自宅への持ち出し行為は2回目の内部通報に付随するものであり、職務上の関心に起因し、かつ、重要な証拠を手元に置いておきたいという証拠保全ないし自己防衛の目的を持ったものであったから、その原因や動機において強く非難すべきとはいえず、持ち出 した記録は1枚のみで、その保管状況が情報漏えいの危険性の高い不適切なものであったとも認め難いこと、廃棄行為についても証拠隠滅を図るなどの不当な動機や目的があったとは考え難く、廃棄の態様も自宅のシュレッダーで裁断したというもので、情報が外部に漏えいしないよう配慮したものであったといえるから、悪質性が高いものとはいえないこと、本件複 写記録はその後廃棄されており、その情報が原告を通じて外部に流出した という証拠はないこと、原告は廃棄行為が不適切であると認め、反省の態度を示しており、懲戒処分歴はなく、人事評価も良好で勤務態度も熱心と評価されていたこと、本件行為1から3まで及び内部通報を行ったのも職務熱心の余りのことと評価することが可能であること、京都市長が本件対象行為2のみであれば減給が相当であると判断していたことなども考慮 すると、本件懲戒処分は重きに失しており、裁量権の逸脱又は濫用の違法がある。 エ被告は、上記ウの判決を不服として上告受理申立て(最高裁判所令和2年(行ヒ)第271号)をした。最高裁判所は、令和3年1月28日、上告審として受理しない旨の決定をし、これにより本件懲戒処分を取り消すとの別 訴判決が確定した(甲115)。 (8 所令和2年(行ヒ)第271号)をした。最高裁判所は、令和3年1月28日、上告審として受理しない旨の決定をし、これにより本件懲戒処分を取り消すとの別 訴判決が確定した(甲115)。 (8)本件訓戒処分京都市長は、令和3年4月13日付けで、原告に対し、下記アの行為は当時の電子情報等の保護に関する管理基準(本件管理基準)7条に違反し、下記イの行為は同管理基準9条に違反し、これらは訓令的職務命令違反の非違行為で あるとして、厳重文書訓戒をした(本件訓戒処分。甲124)。 ア原告は、非公開情報であった本件児童の妹の児童記録データに係る文書ファイルの片面1ページを出力し、当該出力文書を複数枚複写した上、平成27年10月上旬頃、そのうち1枚(本件複写記録)を情報セキュリティ担当者の承諾なく自宅に持ち出し、保管していた(以下「本件訓戒理由1」とい う。)。 イ原告は、平成27年11月10日に行われた保健福祉局による事情聴取において、監察主幹から自宅に保管していた本件複写記録を返却するよう指示されていたか、少なくとも促されていたにもかかわらず、同日夜に自宅のシュレッダーで本件複写記録を廃棄した(以下「本件訓戒理由2」という。)。 (9)本件訴訟における和解協議の経過等 ア当裁判所は、令和3年3月15日の本件第9回口頭弁論期日において、原告及び被告に対し、和解を勧告した。 イ当裁判所は、令和3年7月19日付けで、原告及び被告に対し、被告が原告に対し解決金として120万円を支払うことを内容とする和解案(甲135)を提示した。 ウ被告は、令和3年11月16日、本件訴訟において原告に120万円を支払う和解を行う方針であり、同年12月下旬に正式に和解が成立する見通しで 内容とする和解案(甲135)を提示した。 ウ被告は、令和3年11月16日、本件訴訟において原告に120万円を支払う和解を行う方針であり、同年12月下旬に正式に和解が成立する見通しであることを公表した(甲126)。 エ京都市会は、令和3年12月9日、本件訴訟における和解について決議するとともに、「本件懲戒処分等の原因となった当該児童相談所における児童 記録の不適切な閲覧及び処分並びに個人情報の漏洩等に関しては、議会としても、到底、看過できるものではなく、今事件の発生により、本市に対する市民の信頼が失墜したと言える。ついては、二度と同様の事態を発生させてはならず、個人情報の適正な取扱いについて徹底すること。」との付帯決議(本件付帯決議)を行った(甲127)。 オ当裁判所は、令和3年12月20日、原告から和解を受け入れることが困難であるとの意向が示されたことから、和解を打ち切った。 3 争点(1)本件懲戒処分の違法性(争点1)(2)本件懲戒処分によって生じた損害(争点2) (3)本件各配転命令の違法性(争点3)(4)本件各配転命令によって生じた損害(争点4)(5)本件訓戒処分の違法性(争点5)(6)本件訓戒処分によって生じた損害(争点6)(7)本件付帯決議の違法性(争点7) (8)本件付帯決議によって生じた損害(争点8) 第3 争点に関する当事者の主張 1 本件懲戒処分の違法性(争点1)(1)原告の主張本件懲戒処分は、以下のとおり、国家賠償法上違法である。 ア本件対象行為1について (ア)本件対象行為1の誤り本件管理基準5条では、職員が電子情報等を業務の遂行以外の目的で利用することが禁じられていたものの、京都市児童相談 る。 ア本件対象行為1について (ア)本件対象行為1の誤り本件管理基準5条では、職員が電子情報等を業務の遂行以外の目的で利用することが禁じられていたものの、京都市児童相談所においては、職員が担当外の児童の児童記録データ等を閲覧することは明示的に禁止されておらず、業務上の必要があれば当然容認されていた。本件管理基準5条 違反の有無は、閲覧の目的が業務の遂行目的であるか否かによって判断すべきところ、原告が業務上日常的に接する施設であるAでの不祥事の有無に関心を持つのは正当であり、それを知るために担当外の児童の児童記録データ等を閲覧することは、業務遂行以外の目的による閲覧とはいえず、本件管理基準5条に違反しない。本件行為1は、職務上の命令に従う義務 の違反にも職務専念義務違反にも当たらず、全体の奉仕者たるにふさわしくない非行ともいえないから、懲戒事由に該当しない。このことは、別訴判決で認定されたとおりである。 (イ)被告の故意京都市児童相談所における児童記録の閲覧の運用及び本件管理基準5 条の解釈は上記(ア)のとおりであり、別異に解釈する余地はなかった。 被告は、本件対象行為1が懲戒事由に該当しないことを知りながら、あえて本件懲戒処分を強行したものであり、違法行為の故意があった。 (ウ)被告の注意義務違反処分権者である京都市長は、本件懲戒処分を行う際に、京都市児童相談 所における児童記録の閲覧の運用を調査し、本件管理基準5条を文言通り に解釈すれば、上記(ア)のとおり、本件対象行為1が懲戒事由に該当しないことを容易に知り得た。京都市長は、懲戒事由該当性の判断は慎重に行うべきであるのに、京都市児童相談所の運用の調査を怠り、本件管理基準5条 ば、上記(ア)のとおり、本件対象行為1が懲戒事由に該当しないことを容易に知り得た。京都市長は、懲戒事由該当性の判断は慎重に行うべきであるのに、京都市児童相談所の運用の調査を怠り、本件管理基準5条の解釈を誤っていたから、注意義務違反があった。 イ本件対象行為2について (ア)本件対象行為2の誤り本件複写記録を自宅に持ち帰った点について、本件複写記録は京都市児童相談所の本件虐待事案への対応に問題があったことを示す重要な証拠であり、事実の隠蔽等を防ぐために、重要な証拠を手元に置いておく必要性は高かったから、懲戒事由に該当しない。また、自宅に持ち帰った本件 複写記録を無断で廃棄したとの点について、原告は、平成27年11月10日の事情聴取の際に、G課長から本件複写記録の廃棄について了解を得ていたから、無断で廃棄したとはいえず、懲戒事由に該当しない。別訴判決が、この点を懲戒事由に該当すると認定した点は誤りである。 もっとも、本件対象行為2が懲戒事由に該当するとしても、本件複写記 録の持ち出しは、公益通報を目的として行った2回目の内部通報に付随して行われたもので、原告にとっては、重要な証拠を手元に置いておく証拠保全又は自己防衛という重要な目的があり、個人情報を外部に流出するなどの不当な動機、目的があったとはいえず、その原因や動機において強く非難すべき点は見出し難いから、本件対象行為2を理由に本件懲戒処分を 行うことには、裁量権の逸脱又は濫用がある。このことは、別訴判決で認定されたとおりである。 (イ)被告の故意被告は、E弁護士から通報者が原告であると伝えられており、本件懲戒処分の調査に先立って、原告が公益通報目的で児童記録のコピーを外部に 持ち出したことを知っていた。公益通 告の故意被告は、E弁護士から通報者が原告であると伝えられており、本件懲戒処分の調査に先立って、原告が公益通報目的で児童記録のコピーを外部に 持ち出したことを知っていた。公益通報者保護法は、労務提供先が公益通 報者に対し、公益通報を行ったことを理由とする不利益取扱いを行うことを禁止しているところ、被告は、本件懲戒処分を強行することが公益通報者保護法の趣旨に反することが分かっていたにもかかわらず、あえて本件懲戒処分を強行したものであり、違法行為の故意があった。 また、被告は、平成27年11月10日の保健福祉局による聴取や同年 12月22日のコンプライアンス推進室による聴取の際に、児童記録の出力時期に関して、誤導や圧迫を用いて原告の供述を誘導したり、原告の発言を改変して記録したりして、虚偽事実を記載した調査報告書を作成し、原告の児童記録の出力時期を極力前倒しすることで、原告が興味本位で児童記録の出力を行ったとの印象付けを意図的に行ったものであり、違法行 為の故意があった。 (ウ)被告の注意義務違反被告は、本件対象行為2を懲戒事由とする本件懲戒処分の強行が、公益通報者保護法の趣旨に反することが容易に認識できたにもかかわらず、慎重な検討を怠ったことから、注意義務違反があった。 また、被告は、誤導や圧迫を避け、できるだけ公平かつ慎重な聴取を行うべきであったのに、これを怠り、児童記録の出力時期に関して、原告が発言していないことを原告の発言であるかのように取り扱ったりしており、注意義務違反があった。 ウ本件対象行為3について (ア)本件対象行為3の誤り原告が本件新年会及び本件組合交渉において、本件児童の個人情報を含んだ内容を発言したとの ったりしており、注意義務違反があった。 ウ本件対象行為3について (ア)本件対象行為3の誤り原告が本件新年会及び本件組合交渉において、本件児童の個人情報を含んだ内容を発言したとの事実はなく、懲戒事由に該当する事実が存在しない。このことは、別訴判決で認定されたとおりである。 (イ)被告の故意 本件新年会については、H部長は、平成27年11月12日の聴取の際、 「複数の方から、この方やって特定できることを、あのう…Iさんから話しかけられて、長時間話されてたってということで聞いているんで、それは事実ですか」と根拠を欠いた事実に反する質問をして原告の自白を詐取し、懲戒事由を作出しており、被告には違法行為の故意があった。 本件組合交渉については、特段の根拠もなく、原告が本件児童の個人情 報を含んだ内容について発言したと認定し、また、J第二児童福祉センター長の「この場は、そのようなことを言う場ではない」との実際には発言していない発言を記録することで、原告が不当な発言をしたかのような記録を捏造しており、被告には違法行為の故意があった。 (ウ)被告の注意義務違反 本件新年会については、H部長には自らの質問が根拠を欠くものと容易に認識し得たのに、これをしなかった注意義務違反があることに加え、本件新年会における原告の発言にいかなる個人情報がどの程度含まれていたのかという重要な事実が調査されてしかるべきであるのに、全く調査されていなかったから、被告には正確な事実を把握して適正公正な手続を図 るべき注意義務の違反があった。 本件組合交渉については、組合交渉での発言を正確に記録すべき注意義務の違反に加え、根拠に基づかずに懲戒事由に該当する事実の存否を決定 正な手続を図 るべき注意義務の違反があった。 本件組合交渉については、組合交渉での発言を正確に記録すべき注意義務の違反に加え、根拠に基づかずに懲戒事由に該当する事実の存否を決定した注意義務違反があった。 (2)被告の主張 本件懲戒処分は、以下のとおり、国家賠償法上違法なものではない。 ア本件対象行為1について(ア)懲戒事由に該当すること公務員は、市民のセンシティブな個人情報に容易にアクセスできる立場にある以上、その立場に基づく権限の行使にはより一層の慎重さが求 められてしかるべきであり、その担当業務と直接関連しない個人情報を 閲覧することが懲戒事由に該当するか否かは、閲覧の目的のみならず、閲覧の動機が発生した時の客観的状況、閲覧する情報の性質・内容を踏まえ、閲覧が目的のため必要かつ相当な範囲にとどまっているかという観点から判断されるべきである。 原告が本件児童の児童記録を閲覧した動機は、本件相談について京都 市児童相談所の対応に問題があるとの意見を持ったためであるとすれば、自らの担当外の業務が適切に遂行されているかどうかについて、具体的にどのような事情の下で行われているかを踏まえる必要があり、特に本件相談は日常的な業務ではなく、刑事事件の捜査が並行し、本件児童の処遇や精神状態に配慮するなどの対応が必要であり、そのような具体的 事情を知るには担当職員に尋ねればよかったにもかかわらず、センシティブな個人情報を閲覧することは、手段として相当性を欠く。また、原告の閲覧は、16日間で88回に及んでいて頻度としてあまりに多すぎ、本件児童の妹の情報まで閲覧するのは、閲覧目的との関係で不相当に広い。 以上のとおり、原告の行為 く。また、原告の閲覧は、16日間で88回に及んでいて頻度としてあまりに多すぎ、本件児童の妹の情報まで閲覧するのは、閲覧目的との関係で不相当に広い。 以上のとおり、原告の行為は懲戒事由に該当する。 (イ)故意又は注意義務違反がないこと被告は、本件対象行為1について正確に調査・認識した上で、組織内での慎重な検討を経ており、懲戒事由が存在しないのに懲戒事由を認定したという故意や注意義務違反はない。被告が保有する個人情報について は、必要な規定を整備し、職員への周知も行っており、京都市児童相談所においても、当然、職務上必要のない担当外の児童の情報を閲覧することが禁止されていることは周知の事実であったから、このような共通認識に基づき懲戒事由を認定した被告の判断に注意義務違反は存在しない。 イ本件対象行為2について (ア)原告の行為に合理的な目的が認められないこと 原告は、2回目の内部通報において、「平成26年8月、児童の母親からの連絡にもかかわらず、面談等をせずに放置、さらに発覚年月日を平成26年12月24日と発表」したことを対象事実としているが、1回目の内部通報に対するE弁護士からの回答で、平成26年8月に本件児童の母親から相談があったことや面談等を行っていないことを被告に おいて認めていたのであるから、本件児童の児童記録を証拠保全や自己防衛のために持ち出す合理的理由はなかった。そのため、本件対象行為2を理由に本件懲戒処分をしても、裁量権の逸脱又は濫用とはいえない。 (イ)故意又は注意義務違反がないこと本件懲戒処分は、公益通報とは関係のない行為又は通報目的であった としても違法性が阻却されない行為に対するもので、内部告発に対する報復 (イ)故意又は注意義務違反がないこと本件懲戒処分は、公益通報とは関係のない行為又は通報目的であった としても違法性が阻却されない行為に対するもので、内部告発に対する報復といった不当な目的ないし動機をもってされたものではないから、原告が通報者であることを被告が認識していたことと被告に故意又は注意義務違反があることとは関係がない。 また、原告は、被告が事情聴取や顛末書の作成の際に誤導や圧迫をし て記録を捏造したかのように主張するが、実際には、原告が任意で作成した顛末書に基づいて事情聴取を実施したにすぎず、必要以上に長時間の聴取や威圧的な雰囲気での聴取などが行われたことはなく、被告に注意義務違反はない。 ウ本件対象行為3について (ア)地方公務員法上の秘密は、個人情報に限られず、児童福祉センター内においても、情報共有の範囲が限られていたから、児童福祉センターの職員であっても、本件児童に関する情報を知り得る立場にない者に対して、本件児童に関する発言を行うことは、秘密を漏らす行為に当たる。 本件虐待事案は、情報共有の範囲が限定されていたにもかかわらず、A で重大な問題が発生したという発言を、本件虐待事案を知らない職員の 前ですることは、たとえ本件児童名を出していなくても、施設名や担当者名で個人を特定し得るおそれがあるから、秘密の漏えいに他ならない。 特に本件新年会では飲酒の勢いで発言していたことも考慮すると、原告の行為は極めて悪質であり、懲戒事由に該当する。 (イ)故意又は注意義務違反がないこと H部長の質問は、他の職員からの報告書の記載を元にしたものであり、各報告書の記載内容から、原告が本件児童のことを話していたことを複数の者が認識 イ)故意又は注意義務違反がないこと H部長の質問は、他の職員からの報告書の記載を元にしたものであり、各報告書の記載内容から、原告が本件児童のことを話していたことを複数の者が認識していたことは明らかであり、業務上本件虐待事案を知り得る立場になかった職員も本件虐待事案の内容を了知していたことから、原告の発言が秘密の漏えいに当たるものであったことも明らかである。 そのため、H部長による自白の詐取などなく、被告には故意又は注意義務違反もない。 J第二児童福祉センター長の発言については、同人が「この場は、そのようなことを言う場ではない」との趣旨の発言をして原告を制止していたと、本件組合交渉に居合わせた他の職員が供述していることから、記 録の捏造はなく、原告の主張に理由はない。 2 本件懲戒処分によって生じた損害(争点2)(1)原告の主張ア精神的損害 100万円被告は、自ら「通報者の秘密は守られます」などと説明していたにもかか わらず、原告が通報者であることを前提に、最初から原告を狙い撃ちにした調査をもって本件懲戒処分を強行し、かつ、公益通報者保護法の趣旨に反して公益通報内容を本件懲戒処分に至る調査で利用した。本件懲戒処分が新聞報道されたことで、原告は名誉・社会的評価を深く傷つけられ、また、原告の信用を裏切るような調査が行われたことで、多大な精神的苦痛を被った。 精神的損害に対する慰謝料としては、少なくとも100万円が認められなけ ればならない。 イ経済的損害 162万8800円原告は、本件懲戒処分を取り消すために別訴を提起し、別訴判決を確定させるまでの間に、原告訴訟代理人弁護士ら(以下「原告代理人」という。)に対し、着手金及 経済的損害 162万8800円原告は、本件懲戒処分を取り消すために別訴を提起し、別訴判決を確定させるまでの間に、原告訴訟代理人弁護士ら(以下「原告代理人」という。)に対し、着手金及び報酬並びにこれに対する消費税として、162万880 0円を支払った。同金額は、(旧)日本弁護士連合会報酬等基準に従って計算した金額の半額程度であり、相当な報酬額である。被告は、過去にも取消訴訟で違法な懲戒処分が取り消された際には、当該訴訟に要した費用を賠償していることから、行政の公平性に照らせば、原告が実際に支出した弁護士費用の満額が認められなければならない。 ウ本件訴訟における弁護士費用相当額の損害 26万2880円原告に生じた損害額は、上記ア及びイの合計額である262万8800円であることから、本件訴訟に必要となる弁護士費用相当額としては、少なくともその10%の26万2880円が認められなければならない。 エ合計額 289万1680円 (2)被告の主張否認ないし争う。 3 本件各配転命令の違法性(争点3)(1)原告の主張ア健康増進センターへの配転命令(本件配転命令1)について (ア)配転命令の内容原告は、本件懲戒処分に基づく停職期間満了日の翌日である平成27年12月11日、健康増進センターへ配転となった。この配転は、本件懲戒処分に基づき、原告を速やかに京都市児童相談所の業務から外すことを目的に行われた。原告の扱いは余剰人員であり、原告の担当業務は、新聞記 事のチェックや雑用程度であった。 (イ)配転命令をする理由がないこと健康増進センターへの配転は、本件懲戒処分が有効であることを前提に、 担当業務は、新聞記 事のチェックや雑用程度であった。 (イ)配転命令をする理由がないこと健康増進センターへの配転は、本件懲戒処分が有効であることを前提に、原告に極めてセンシティブな個人情報を取り扱う児童相談所に勤務させることが適切でなく、本件児童や市民からの反発で児童相談所の運営や児童及び保護者への支援に悪影響を及ぼすことが想定されたため、児童相談 所に対する市民からの信頼を早急に確保する必要性から行われたとされている。しかし、前記1で述べたとおり、本件懲戒処分は無効であり、本件対象行為1及び3に該当する事実はなく、本件対象行為2に該当する事実があったとしても、原告には証拠保全又は自己防衛という重要な目的があり、不当な動機、目的はなかったことから、本件配転命令1の根拠はな く、被告は、原告の児童相談所での業務担当を維持すべきであった。被告は、前提となる本件懲戒処分に該当する事実がないのに、報復人事という不当な目的の下で故意に本件配転命令1を行ったものであり、国家賠償法上違法である。 イ区画整理事務所への配転命令(本件配転命令2)について (ア)配転命令の内容原告は、平成28年4月18日、区画整理事務所へ配転となった。区画整理事務所での仕事は、原告がこれまで築いてきた経験や能力が生かせず、前任者が1年間病気で休職しており、引き継ぐ仕事のない閑職であったが、異動希望を訴えても受け入れられず、5年間在籍することとなった。 (イ)報復人事であること原告は、平成24年4月から京都市児童相談所で勤務する以前より同所への異動希望を出していたが、なかなか実現せず、庁内FA制度を利用してようやく希望が実現し、仕事にやりがいを感じて、 と原告は、平成24年4月から京都市児童相談所で勤務する以前より同所への異動希望を出していたが、なかなか実現せず、庁内FA制度を利用してようやく希望が実現し、仕事にやりがいを感じて、上司からもそれなりに高い評価を得ていた。 他方、原告は、区画整理事務所を含む建設局への異動希望は出したこと がなく、建設局で役立つ資格や経験も有していなかった。区画整理事務所での勤務は、原告の経験や能力を生かすことが困難で、通勤も不便であったから、左遷であり、被告による原告への報復人事であることは明らかである。本件配転命令2は、定期異動として行われる合理的な裁量の範囲を遥かに逸脱し、不当な目的の下で故意に行われたものであり、国家賠償法 上違法である。 ウ動物園総務課への配転命令(本件配転命令3)について(ア)配転命令の内容原告は、別訴判決が令和3年1月28日に確定した後の同年4月、動物園総務課へ配転となった。動物園総務課での勤務は、計理や予算の執行な ど原告の能力を発揮できるものではなかった。また、動物園総務課に異動した原告と近い年齢の職員が、異動後1か月も経たないうちに精神疾患により休職し、不慮の事故で死亡していた。原告は、慣れない業務等に適応できず、同年7月に適応障害との診断を受け、令和4年4月から傷病休職で就労できなくなった。 (イ)被告には原告を京都市児童相談所に戻す義務があったこと別訴判決が確定したことで、本件懲戒処分が違法であること、本件対象行為1ないし3の違法性が否定されたことも確定したのであるから、本件各配転命令は、健康増進センター、区画整理事務所への配転も含めて根拠を失ったのであり、被告は、原告を京都市児童相談所に戻す義 件対象行為1ないし3の違法性が否定されたことも確定したのであるから、本件各配転命令は、健康増進センター、区画整理事務所への配転も含めて根拠を失ったのであり、被告は、原告を京都市児童相談所に戻す義務を負って いた。そうであるにもかかわらず、被告は、原告に対し、原告のこれまでの経験や能力を発揮することが困難な動物園総務課に配転を命じる報復人事、嫌がらせを継続し、原告を傷病休職に至らせた。本件配転命令3は、不当な目的の下で故意に行われたものであり、国家賠償法上違法である。 (2)被告の主張 ア健康増進センターへの配転命令(本件配転命令1)について (ア)原告の行為を契機とした配転命令に合理性があること別訴判決は、本件対象行為2の懲戒事由該当性は認めており、特に自宅での本件複写記録の廃棄について、非常に軽率な行為として大いに非難されるべきと判示している。 また、本件対象行為1及び3の懲戒事由該当性は否定されたが、事実自 体は否定されておらず、特に職場外の飲食店において、虐待事案という非常に機密性の高い話題を持ち出したことは軽率な行為であると判示している。 さらに、本件児童が被告の児童福祉行政に対する不信感を抱き、意見書を提出していることを加味すれば、原告の行為が本件児童や市民からの反 発や不信を抱かれるものであることは明らかである。 以上より、被告が、原告を極めてセンシティブな個人情報を取り扱う児童相談所において、引き続き勤務させることが適切ではないと判断し、配転を命じたことには合理的な理由がある。 (イ)健康増進センターでの業務内容について 本件配転命令1は、原告が本件対象行為1ないし3を行ったという事実を踏まえ、やむを得ずに行った定例の人事異 理的な理由がある。 (イ)健康増進センターでの業務内容について 本件配転命令1は、原告が本件対象行為1ないし3を行ったという事実を踏まえ、やむを得ずに行った定例の人事異動までの短期間の緊急避難的な暫定措置であり、原告には、市民の個人情報を取り扱わず、業務の切り分けが比較的容易な庶務業務の一部等を割り当てていた。 このような配転命令は、上記(ア)で述べた合理的な理由から、原告に 対し個人情報を取り扱わない業務を割り当てたことには正当な動機があったと認められる。 (ウ)以上より、健康増進センターへの本件配転命令1は、任命権者の合理的な裁量の範囲内で行われているから、国家賠償法上の違法性はない。 イ区画整理事務所への配転命令(本件配転命令2)について (ア)配転についての原告の認識に誤りがあること 人事異動は、職員の意欲や適性、人材育成の観点等を総合的に判断した上で行われるものであり、異動の周期が3年から5年に限られるわけでもないし、未経験や希望外の部署に配置されることも当然あり得る。 また、庁内FA制度とは、職員の主体的なキャリア形成を支援するとともに、職務の選択に対する職員の関与の度合いを高めることにより、職員 の意欲・能力の向上を図ることなどを目的として、一定の要件を満たした職員が希望の職場を申告し、その職場の承認が得られれば異動できる制度であるが、庁内FA制度により配属されたか否かによって、異動の際の取扱いに特段の差異はない。 (イ)閑職ではないこと 原告は、区画整理事務所の業務が閑職であるなどと主張するが、自身の意向に沿わない業務が与えられる部署の業務や病気休職明け職員がいることなどを 。 (イ)閑職ではないこと 原告は、区画整理事務所の業務が閑職であるなどと主張するが、自身の意向に沿わない業務が与えられる部署の業務や病気休職明け職員がいることなどをもって、主観的に閑職などと表現しているのであり、独善的な主張にすぎない。現に原告の業務の内容及び業務量等は、他の職員との均衡を失するものではなく、被告が故意に原告の利益を不当に侵害したとの 事実はない。 (ウ)以上より、区画整理事務所への本件配転命令2は、任命権者の合理的な裁量の範囲内で行われているから、国家賠償法上の違法性はない。 ウ動物園総務課への配転命令(本件配転命令3)について(ア)報復人事ではないこと 原告が報復人事であるなどと主張する根拠は、通勤に不便であること、経験のない分野の仕事を任されたこと、若年者に交じって業務を行うことに違和感があったことである。 しかしながら、原告の配属先への通勤時間については、公共交通機関によるアクセスが悪いという原告の考えを述べたものにすぎず、客観的見地 及び他の職員との比較という観点から見ても、通常甘受すべき限度を著し く超える不利益を伴うものではない。 また、被告の事務職員が未経験分野を含む幅広い事務に従事することは通常想定されるところであり、原告も保健福祉局以外の幅広い職務を経験していた。 さらに、年齢が離れた同僚とともに業務を行うことはどの職場において も通常あり得るため、原告の個人的な違和感にまで配慮した人事配置は不可能というほかない。 (イ)以上より、動物園総務課への本件配転命令3は、任命権者の合理的な裁量の範囲内で行われているから、国家賠償法上の違法性はない。 4 本 感にまで配慮した人事配置は不可能というほかない。 (イ)以上より、動物園総務課への本件配転命令3は、任命権者の合理的な裁量の範囲内で行われているから、国家賠償法上の違法性はない。 4 本件各配転命令によって生じた損害(争点4) (1)原告の主張ア精神的損害 100万円原告は、本件各配転命令で閑職に追いやられたことにより、自尊感情を深く傷つけられて精神的損害を被った。実際に、原告は、3度の配転命令を経て適応障害を発病し、口頭弁論終結時には、傷病休職が適用される状況に至 っている。 本件各配転命令による精神的損害に対する慰謝料としては、少なくとも100万円が認められなければならない。 イ本件訴訟における弁護士費用相当額の損害 10万円ウ合計額 110万円 (2)被告の主張否認ないし争う。 5 本件訓戒処分の違法性(争点5)(1)原告の主張本件訓戒処分は、以下のとおり、国家賠償法上違法である。 ア本件訓戒処分の不利益性 訓戒は、地方公務員法に定められる懲戒処分ではなく、一般的には行政処分たる制裁ではないと解されているが、懲戒処分に至らない非違行為に対してなされるものであり、その処分をされること自体が、当該公務員にとって不名誉な事実となり、精神的苦痛を被るものである。また、そのような不名誉な処分を受けた事実は、その後の職制上の昇進等の判断において、不利に 考慮される事実となり得るから、本件訓戒処分は不利益をもたらすものである。 イ本件訓戒理由1について本件訓戒理由1の対象となる本件複写記録の持ち出し行為は、確定した別訴判決で、証拠保全又は自己防衛の重要な目的があり、強く非難すべき点は らすものである。 イ本件訓戒理由1について本件訓戒理由1の対象となる本件複写記録の持ち出し行為は、確定した別訴判決で、証拠保全又は自己防衛の重要な目的があり、強く非難すべき点は 見出し難いと認定されているのであるから、この点を文書により厳重に訓戒して強く非難することは、行政事件訴訟法33条1項に反し許されない。 ウ本件訓戒理由2について本件訓戒理由2の対象となる本件複写記録の廃棄行為は、本件複写記録の返却についてどれほど被告が重視していたか明らかでないと、確定した別訴 判決でも認定されており、返却するよう指示を受けていたとするのは行政事件訴訟法33条1項に反し許されない。 また、確定した別訴判決は、本件複写記録の廃棄について、証拠隠滅などの不当な動機や目的があったとは考え難く、シュレッダーでの裁断をしたという態様も外部に漏えいしないよう配慮したもので悪質性が高いとはいえ ないと認定しており、非難可能性が低いから、厳重文書訓戒にするほどの行為であるとはいえない。 エ被告の故意・過失本件訓戒処分は、確定した別訴判決の拘束力に反しており、行政事件訴訟法33条1項に違反する違法があるにもかかわらず、被告は、本件訓戒処分 を強行していることから、故意又は過失があることは明らかである。 (2)被告の主張ア本件訓戒処分に合理性があること別訴判決は、原告による児童記録の持ち出し行為及び廃棄行為が懲戒事由に該当し、その違法性が阻却されるものではないとした上で、記録の機密性、プライバシー性が高いこと、情報管理や秘密の保持に大きな責務を負う児童 相談所の職員の行為であること、原告が記録の返却に同意していたにもかかわらず、返却せずに自 はないとした上で、記録の機密性、プライバシー性が高いこと、情報管理や秘密の保持に大きな責務を負う児童 相談所の職員の行為であること、原告が記録の返却に同意していたにもかかわらず、返却せずに自宅で廃棄したことについて、量定の加重の事由として認められると判示している。原告が主張する記録を持ち出した原因や動機等を総合的に考慮した上で、被告が懲戒処分は行わず、本件訓戒処分をしたことには、裁量権の逸脱又は濫用はない。 イ本件訓戒処分は別訴判決の拘束力に反しないこと本件訓戒処分は、別訴判決における懲戒事由該当性に関する事実認定や量定に関する事情及び評価を前提として、先行処分とは別の内容の処分を行ったものであり、行政事件訴訟法33条1項に違反するものではない。 また、本件訓戒処分のようなけん責処分の性質は、職員の非違行為が懲戒 処分を行うまでには至らないが、当該職員にその責任を自覚させ、服務の厳正を保持するために指導監督上の措置として行う事実上の行為であり、懲戒処分のような制裁的実質を備えるものではない。 さらに、別訴判決は、あくまでも裁判所が停職3日の懲戒処分が重きに失すると判断する中での評価を示したものにすぎず、他の懲戒処分やけん責処 分をすべきではないなどと述べたものではない。けん責処分のような指導監督上の措置ですら不適当となれば、原告の行為について組織として対処する余地がほぼ認められないこととなる。 ウ本件訓戒処分に違法性はないこと以上より、本件訓戒処分には行政事件訴訟法33条1項への違反はなく、 原告に対して違法に損害を加えた事実も認められないから、国家賠償法上の 違法性はない。 6 本件訓戒処分によって生じた損害(争点6)( 政事件訴訟法33条1項への違反はなく、 原告に対して違法に損害を加えた事実も認められないから、国家賠償法上の 違法性はない。 6 本件訓戒処分によって生じた損害(争点6)(1)原告の主張ア精神的損害 100万円原告は、本件訓戒処分により、新聞報道で「見せしめ」と評されていると おり、その名誉・社会的評価を深く傷つけられ、多大な精神的苦痛を被った。 本件訓戒処分による精神的損害に対する慰謝料としては、少なくとも100万円が認められなければならない。 イ本件訴訟における弁護士費用相当額の損害 10万円ウ合計額 110万円 (2)被告の主張否認ないし争う。 7 本件付帯決議の違法性(争点7)(1)原告の主張本件付帯決議は、以下のとおり、国家賠償法上違法である。 ア本件付帯決議が原告の名誉権を侵害すること(ア)本件付帯決議では、「児童記録の不適切な閲覧」によって「本市に対する市民の信頼が失墜した」とされているが、これは、別訴判決において、原告の本件児童記録の閲覧は本件管理基準5条に違反する業務の遂行以外の目的によるものということはできないと認定されていることに反し ている。本件付帯決議は、原告が別訴判決をもって回復した名誉をあえて再び毀損するものである。 (イ)また、本件付帯決議では、「個人情報の漏洩」によって「本市に対する市民の信頼が失墜した」ともされているが、原告の行為によって個人情報が漏えいしたことは、別訴判決によっては認定されておらず、原告が京都 党のF議員に対して情報漏えいをした事実も認められない。本件付帯決議 は、事実に反しており、原告の名誉を毀損するものである。 (ウ) 決によっては認定されておらず、原告が京都 党のF議員に対して情報漏えいをした事実も認められない。本件付帯決議 は、事実に反しており、原告の名誉を毀損するものである。 (ウ)本件付帯決議は、本件懲戒処分が違法であると確定したことを踏まえた解決金支払を議決するに際しての付議であり、原告に対してなされた本件懲戒処分が念頭に置かれているところ、「本件懲戒処分の原因となった」、「児童記録の不適切な閲覧及び処分並びに個人情報の漏洩等」を問題にし ているから、通常の日本語の読み方として、原告が「不適切な閲覧」や「個人情報の漏洩」を行ったものと読むほかない。 したがって、本件付帯決議は、体制の不備を指摘したものではなく、原告個人を非難する意図で行われたものであり、原告の名誉を毀損する。 イ京都市会に対する説明義務違反 (ア)被告は、本件懲戒処分を行った行政庁として、確定した別訴判決に拘束され、その判示内容を尊重しなければならない。そして、被告の執行機関は、京都市会に対して議案を提出して議決を求める場合に、説明書を提出すべき責任を有し、京都市会議長から議会の審議に必要な説明のために議会への出席を求められた場合に、議場に出席して質疑において説明を行う 責任を有する。 したがって、被告の執行機関は、京都市会に対し、別訴判決の判示内容を尊重した正確な説明をすべき義務を負っていた。 (イ)K議員は、令和3年12月2日の京都市会総務消防委員会において、「①F議員が内部情報を持っていたことが問題にされたこと、②その問題があ ったために原告が本件懲戒処分を受けたこと、③別訴判決は、F議員への情報漏えいに関して原告に問題があったことを認定したが、処分が重すぎることを理由に本件懲戒処分を取り消したこと その問題があ ったために原告が本件懲戒処分を受けたこと、③別訴判決は、F議員への情報漏えいに関して原告に問題があったことを認定したが、処分が重すぎることを理由に本件懲戒処分を取り消したこと」を前提とする認識で質問を行った。そのため、被告の担当部局としては、K議員の認識が誤りであることを指摘した上で、別訴判決の認定について正確な説明を行うべき責 任があった。 しかしながら、答弁担当者であるL監察員は、K議員の事実誤認を修正することなく、むしろ、「御指摘のあったように」とK議員の前提が正しいと肯定した上で回答し、K議員を含む各議員の事実誤認を助長した。また、M監察監は、原告の行為によって児童記録が外部に流出したように述べ、別訴判決の認定に反する虚偽説明を行った。 さらに、N議員は、上記委員会において、本件懲戒処分の本件対象行為1ないし3について、別訴判決でどのような認定がされたのかについて質問を行ったが、L監察員は、その回答において、本件管理基準5条は業務上の必要性があれば担当外の記録閲覧を容認する趣旨の規定であり、原告の記録閲覧も業務上の必要性に基づくものであったという別訴判決の認 定についての説明を欠落させてこれを怠った。 このように、被告の答弁担当者がK議員らの事実誤認を修正しなかったという説明義務違反によって、本件付帯決議が行われた。 (ウ)そして、説明義務が正しく履行されなかった原因は、被告の執行機関自体が、別訴判決の認定について曲解し、認定内容に対する認識を誤ってい たことにある。そのため、京都市会に対する説明の内容も、不十分かつ虚偽内容を含むものとなった。 (エ)以上のとおり、被告の執行機関は、K議員らが別訴判決の認定に反する 認識を誤ってい たことにある。そのため、京都市会に対する説明の内容も、不十分かつ虚偽内容を含むものとなった。 (エ)以上のとおり、被告の執行機関は、K議員らが別訴判決の認定に反する誤った認識を有していたことを知り、又は容易に知ることができたにもかかわらず、別訴判決を曲解・誤読し、事実誤認を指摘して正しい説明を行 うことを怠り、その結果本件付帯決議が行われたから、被告には、故意又は過失がある。 ウ京都市会の裁量権逸脱又は濫用原告は、行政事件訴訟法33条1項により、被告から確定した別訴判決の認定を前提とした取扱いを受ける利益を有しており、その利益には、別訴判 決によって認定された事実を前提として守られるべき原告の名誉権・人格権 が含まれる。このような名誉権・人格権を侵害する行為は、憲法及び法律が想定する一般市民法秩序と直接の関係を有するものとして、裁判所の司法審査の対象となる。 京都市会の行った本件付帯決議の内容は、別訴判決の認定に反しており、原告の名誉権・人格権を侵害するものであるから、京都市会には司法判断を 軽視した裁量権の逸脱又は濫用が認められる。 (2)被告の主張本件付帯決議は、以下のとおり、国家賠償法上違法ではない。 ア確定判決の拘束力が京都市会に及ばないこと行政事件訴訟法33条1項の効力は、処分行政庁を含む関係行政庁につい て及ぶが、京都市会は、本件懲戒処分について何らの処理権限も有していないから、関係行政庁に当たらず、同項の適用を受けるものではない。 イ原告の名誉権や人格権を侵害しないこと本件付帯決議は、和解議案の提案者である京都市長及び当局側を名宛人として、その体制の不備を指摘したものであり、原告個人を非難するものでは ないから、原告 告の名誉権や人格権を侵害しないこと本件付帯決議は、和解議案の提案者である京都市長及び当局側を名宛人として、その体制の不備を指摘したものであり、原告個人を非難するものでは ないから、原告の名誉権や人格権を侵害しない。 ウ付帯決議の性質及び説明義務について付帯決議は、市議会としての事実上の意思表明であり、市議会の希望として市長等にこれを尊重する政治的、道義的な責務を負わせるに留まり、法的な拘束力を有さず、被告がその内容について論評する立場にない。 また、付帯決議がされる際には、議案に対する正確な説明がされることが当然の前提となるが、このときに生じる説明義務は、議会側と当局側との間で生じるもので、第三者との関係で義務を負うものではない。当局側の説明責任が問題となるのは、説明すべき事項をあえて説明しない場合や説明の際に害意のある表現を用いた場合など、説明の態様が著しく不穏当な場合に限 られる。 本件では、被告は、別訴判決の結果に即して作成した想定問答に基づき、市議会議員への説明を行ったのであり、原告の権利や法的利益を違法に侵害しようとする意図もなかった。 8 本件付帯決議によって生じた損害(争点8)(1)原告の主張 ア精神的損害 100万円原告は、本件懲戒処分から5年にわたる別訴を経て司法に自身の行為の正当性を認めてもらえたにもかかわらず、原告の行為に正当性がないかのような内容を京都市会に決議され、その内容を京都市会のホームページに公開されるという屈辱的仕打ちを受け、自尊感情を深く傷つけられ、極めて大きい 精神的苦痛を被った。そのために、京都市会が120万円の解決金支出を承認しても、和解に応じることができなくなった。本件付帯決議による精神的損害に対する 自尊感情を深く傷つけられ、極めて大きい 精神的苦痛を被った。そのために、京都市会が120万円の解決金支出を承認しても、和解に応じることができなくなった。本件付帯決議による精神的損害に対する慰謝料としては、少なくとも100万円が認められなければならない。 イ本件訴訟における弁護士費用相当額の損害 10万円 ウ合計額 110万円(2)被告の主張否認ないし争う。 第4 当裁判所の判断 1 認定事実 前記前提事実に加え、証拠(甲1、3~6、12、14~23、25、26、31~38、43~45、48~52、57~62、67、72~96、98、99、116~124、128、129、134、乙5、13~17、24~26(いずれも枝番を含む。)、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 (1)原告の経歴 ア原告が被告に平成9年4月1日に事務職員として採用されてからの原告の経歴は、以下のとおりである(甲3~5、17、99、134、原告本人)。 (ア)伏見区醍醐支所福祉保護課(平成9年4月~平成12年3月)生活保護のケースワーカー(イ)保健福祉局地域福祉課(平成12年4月~平成17年3月) 生活保護監査、ホームレス対策、生活保護電算システムの保守管理等(ウ)環境局循環型社会推進課(平成17年4月~平成18年3月)京都市ごみ減量推進会議の事務局等(エ)都市計画局住宅室管理指導課(平成18年4月~平成21年3月)改良住宅入居者の台帳整理事務等 (オ)保険福祉局児童家庭課(平成21年4月~平成24年3月)庶務係の事業担当、施設整備係(カ)保健福祉局児童福祉センター児童相談所支援課(平 改良住宅入居者の台帳整理事務等 (オ)保険福祉局児童家庭課(平成21年4月~平成24年3月)庶務係の事業担当、施設整備係(カ)保健福祉局児童福祉センター児童相談所支援課(平成24年4月~平成27年12月10日)虐待班の児童福祉司 (キ)保健福祉局こころの健康増進センター相談援助課(平成27年12月11日~平成28年4月17日)新聞記事のチェック等(ク)建設局南部区画整理事務所(平成28年4月18日~令和3年3月)庶務係の市会担当、補償係 (ケ)文化市民局動物園総務課(令和3年4月~)計理、寄付受納等イ被告における庁内FA制度とは、一定の要件を満たした職員が配属希望の職場を申告し、当該職場の承認が得られれば同職場に異動できるという制度である。原告は、従前から京都市児童相談所への異動を希望し続けていたが 実現しなかったため、同制度を利用したところ、平成24年4月に京都市児 童相談所支援課への配属が実現した。原告は、平成26年当時、京都市児童相談所支援課の虐待班に所属していた(甲17、99、原告本人、弁論の全趣旨)。 (2)京都市児童相談所における情報の取扱いア京都市児童相談所における職員間の情報共有について 一般に、児童相談所の運営については、厚生労働省の定める行政通達として、平成2年3月5日児発第133号「児童相談所運営指針について」(甲67)が定められており、同指針では「児童相談所の職員が受け付けた相談は、すべて児童相談所の責任において対応すべき相談である」とされる。京都市児童相談所では、児童相談所運営指針の趣旨に則り、援助方針会議(調 査、診断、判定等の結果に基づき児童や保護者に対する最も効果的な援助指針 の責任において対応すべき相談である」とされる。京都市児童相談所では、児童相談所運営指針の趣旨に則り、援助方針会議(調 査、診断、判定等の結果に基づき児童や保護者に対する最も効果的な援助指針を決定する会議)を毎週水曜日に定期的に開催し、同会議については、担当外の職員の参加を認め、他の担当者の仕事ぶりも参考にすべきとの方針が採用されていた(甲14、15、43)。 イ京都市児童相談所における児童情報データの管理について 京都市児童相談所では、平成26年当時、児童情報管理システムとバックアップフォルダの二つにより、支援の対象となっている児童の情報をシステム管理していた。児童情報管理システム及びバックアップフォルダが保存された各サーバは、支援課の職員が使用する業務用パソコンとネットワークで繋がっており、支援課の職員であれば、自分の担当外の児童の情報であって も閲覧、出力することが可能な状況にあった。 児童情報管理システムは、相談のあった児童に関わる児童情報、相談情報、虐待情報、処遇情報、児童福祉施設利用者負担金といった基本的な情報について、児童ごとに登録・修正・検索等が行えるようデータベース化したものである。同システムでは、児童の氏名や生年月日、住所や連絡先、家族や親 族の氏名、続柄の他、相談受付日や相談内容(詳細な記録は登録できず、相 談累計や虐待種別といった簡易な項目)が登録されていたが、詳細な支援の経過までは登録されていなかった。 バックアップフォルダは、支援課の各係(班)ごと及び事業等ごとにフォルダで分類され、各係(班)のフォルダの下層には、児童ごとのフォルダが作成されており、そこには、ワード又はエクセル形式の文書ファイルによっ て、当該児童の児童記録データや関係する会議資料データなどが で分類され、各係(班)のフォルダの下層には、児童ごとのフォルダが作成されており、そこには、ワード又はエクセル形式の文書ファイルによっ て、当該児童の児童記録データや関係する会議資料データなどが保存されていた。児童記録データは、文書ファイルに日時や対応内容などの情報を詳細に記録したものであり、随時、当該児童の担当職員が文書ファイルに情報を追記して、上書き保存する仕組みとなっていた。 なお、平成26年当時、京都市児童相談所において、児童情報管理システ ム等にアクセスして担当外の児童の情報を閲覧することを禁止する旨の指導はされておらず、かつ、同閲覧を禁止する根拠規定も存在しなかった。また、児童情報管理システム等によって管理される児童記録データ等について、担当者しか知らないパスワードの設定等もされていなかった(甲14、15、43)。 ウ京都市児童相談所における担当外児童の児童記録の閲覧について担当者の不在時に保護者や関係機関からの問合せなどに対応しなければならない場合、休日・夜間の当番に当たっている場合、連絡が頻回で継続的な対応が必要な問題のある事案の場合などには、担当外児童の児童記録を閲覧することは行われていた。そのほか、原告以外の職員においても、児童記 録の作成や虐待の初期調査をどのように行うのかの参考にするために担当外の児童記録を閲覧していた職員はいた(甲12、14、15、43、甲84の1、乙13の1~乙17の2)。 エ京都市児童相談所における記録の廃棄について京都市児童相談所においては、記録廃棄の方法として、機密文書専用の廃 棄ボックスに入れて厳封し、決められた時期に溶解して処分する方法とシュ レッダーで裁断して廃棄する方法とがあり、情報漏えいのおそれが おいては、記録廃棄の方法として、機密文書専用の廃 棄ボックスに入れて厳封し、決められた時期に溶解して処分する方法とシュ レッダーで裁断して廃棄する方法とがあり、情報漏えいのおそれが少ないことから、前者の方法がよく用いられていた。ただし、シュレッダーを用いての廃棄を禁止する明確な根拠規定はなかった(甲14、16)。 (3)原告が児童情報管理システム等の閲覧を開始した経緯ア京都市児童相談所は、平成26年8月20日、本件児童の母親から、電話 で、本件児童が同日に本件施設長と外泊しようとしている旨の相談を受けた(甲18)。 イ京都市児童相談所は、平成26年8月22日、本件児童の母親から、同月20日に本件児童が本件施設長と外泊しようとしていた件について再び電話で、本件施設長が本件児童に対して性的な行為をしようとしていたことが 発覚したなどとの相談を受けた(甲19)。 ウ京都市児童相談所は平成26年8月20日及び同月22日の本件相談を虐待通告として受理しなかったが、D所長は、同月25日、被措置児童等虐待の主管課である保健福祉局児童家庭課の子育て支援担当課長であったO課長に対し、本件児童の母親からの本件相談について口頭で報告し、本件児 童の母親から事情聴取を実施した上で、本件施設長への事情聴取を実施することを決定した(甲22)。 エ本件児童の母親は、平成26年9月11日、京都市児童相談所に来所し、D所長、心理支援係長であったP係長、O課長及び本件児童の担当児童福祉司であったQ職員と面談を行った(甲20、弁論の全趣旨)。 オ Q職員は、平成26年9月30日、本件児童と面談を行った。しかしながら、同面談において、本件児童から、本件施設長による性的被害を訴える発言はなかった(甲22)。 カ D所 全趣旨)。 オ Q職員は、平成26年9月30日、本件児童と面談を行った。しかしながら、同面談において、本件児童から、本件施設長による性的被害を訴える発言はなかった(甲22)。 カ D所長、O課長及び保健福祉局児童家庭課の担当係長1名は、平成26年10月1日午後4時頃から午後7時40分頃まで、京都市児童相談所のカウ ンセリングルームにおいて、本件施設長に対し、本件相談(同年8月20日 の本件児童との外泊の件)を含む内容について事情聴取を行った(甲22、弁論の全趣旨)。 原告は、同日、京都市児童相談所において、上記の事情聴取の現場をたまたま目撃した。原告は、以前からA及び本件施設長に対して不信感を抱いていたこともあり、その様子を見て、またAで不祥事が起きたのかと感じ、A で何が起こったのかを調べてみようとの思いを抱くようになった(甲16、17)。 キ原告は、平成26年10月9日から、勤務時間中に、職場の業務用パソコンから、児童情報管理システム及びバックアップフォルダにアクセスして、本件児童及びその妹の児童記録データ等を繰り返し閲覧するようになった。 原告は、上記閲覧を通じて、平成26年8月に本件児童の母親から京都市児童相談所に対して本件相談があったことを知り、同児童相談所が本件児童の母親から本件相談を受けてから約1か月半が過ぎても虐待通告として受理していないことを問題視し、Aに入所中の本件児童について関心を持つようになった。このため、原告は、これ以降も、勤務時間中に、職場の業務用 パソコンから、児童情報管理システム及びバックアップフォルダにアクセスして、本件児童及びその妹の児童記録データ等の閲覧を繰り返した。 なお、原告は、本件児童を担当したことはなく、同児童及びその妹の児童記録デ ら、児童情報管理システム及びバックアップフォルダにアクセスして、本件児童及びその妹の児童記録データ等の閲覧を繰り返した。 なお、原告は、本件児童を担当したことはなく、同児童及びその妹の児童記録データ等を閲覧するまで、本件児童らの存在を知らず、本件施設長が平成27年9月8日に逮捕(本件逮捕)されるまで、本件児童に関する援助方 針会議に参加したことはなく、また、本件児童を担当する担当児童福祉司や上司に、本件児童に係る支援の状況などを確認したこともなかった(甲16、17)。 ク原告が業務用パソコンから児童情報管理システムにアクセスし、本件児童及びその妹の情報を閲覧した状況は、次のとおりである。括弧内の数字のう ち、左は本件児童の情報を閲覧した回数、右は妹の情報を閲覧した回数であ る。2回以上アクセスした日は、最初のアクセスから最後のアクセスまでの時間の経過を右側に掲げる。なお、ここに挙げるのは児童情報管理システムへのアクセスのみであり、バックアップフォルダへのアクセスについては、ログ記録が残らないので明らかでない(弁論の全趣旨)。 平成26年10月 9日 1回(1、0) 12月 2日 2回(2、0) 5分12月24日 2回(1、1) 22分平成27年 1月23日 1回(1、0)2月 6日 19回(10、9) 8分2月 9日 11回(11、0) 3分 3月 9日 1回(1、0)3月16日 3回(3、0) 1分4月27日 3回(0、3) 19分9月 3月 9日 1回(1、0)3月16日 3回(3、0) 1分4月27日 3回(0、3) 19分9月 8日 16回(16、0) 6分9月 9日 2回(1、1) 1分 9月10日 3回(2、1) 2分9月11日 1回(0、1)9月15日 1回(1、0)10月 7日 1回(1、0)10月 8日 21回(21、0) 5分 合計 16日間 88回(72、16) 72分(4)本件上局報告がされるまでの経緯ア本件児童は、平成26年10月9日、Aを退所し、家庭復帰となったが、同年12月1日、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■しかし、その後 の同月23日、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■(甲20、弁論の全趣旨)。 イ本件児童の母親は、平成26年12月24日、京都市児童相談所を訪れ、同年10月24日からQ職員に代わり本件児童の担当児童福祉司となったR職員と面談を行った。 本件児童の母親は、上記面談において、R職員に対し、「本件児童がAの 本件施設長から性的な行為をされて、■■■■■■■■と言っている。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」などと発言し、本件児童がAに入所していた時に本件施設長から性的被害を受けたことがあった旨の通告がされた。 ■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」などと発言し、本件児童がAに入所していた時に本件施設長から性的被害を受けたことがあった旨の通告がされた。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ウ京都市児童相談所は、平成27年1月9日、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■本件児童の処遇を決定するための判定会議を開催し、同判 定会議において、本件児童に対して■■■■■■■■■■■■■■■■■■を行うことを決定した。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■エ京都市児童相談所の支援課のうち、虐待班の職員による職場新年会(本件新年会)が、平成27年1月14日午後6時35分頃から、職場外の店舗に おいて開催された。本件新年会に出席した職員の中には、業務上、本件虐待事案を了知していない職員が複数名存在した。 本件新年会には、原告を含む合計12名の職員が参加しており、二つのテーブルに分かれて座っていたところ、原告は、C主席を含む合計6名ほどが座るテーブルの席で、飲酒をしながら、C主席に対し、本件児童への京都市 児童相談所の対応をただそうと考え、「Aの件はどうするのですか。」、「重 大な問題を放置する児相は末期的ではないですか。」などと発言した。これに対して、C主席がしかるべき対応をするつもりである旨の回答をすると、原告は、「担当のRさんは全くやる気がありませんよね。」などと、本件児童の担当児童福祉司であったR職員を批判する発言をした(甲16、17、 C主席がしかるべき対応をするつもりである旨の回答をすると、原告は、「担当のRさんは全くやる気がありませんよね。」などと、本件児童の担当児童福祉司であったR職員を批判する発言をした(甲16、17、甲91の1・2)。 オ京都市児童相談所は、平成26年12月24日の本件児童の母親からの通告を本件虐待通告として受理した上で、平成27年1月15日、本件虐待通告に係る判定会議を開催し、本件児童に対する事実確認面接を同月27日に実施することを決定した。そして、同日、京都市児童相談所において、本件児童との間で本件虐待通告に関する事実確認面接が実施され、同面接におい て、本件児童は、A入所中に本件施設長と性的行為をした旨の発言をした(甲23、弁論の全趣旨)。 カ保健福祉局は、平成27年1月30日、京都市長及び同副市長に対し、本件上局報告を行い、本件虐待通告に関して、Aに入所していた本件児童に対して本件施設長による被措置児童等虐待(性的虐待)があったとする本件虐 待通告がされたこと、同日に本件施設長への事実確認を実施し、その結果に応じて警察への相談等の対応を行うことなどの説明を行った(甲23)。 保健福祉局は、上記の説明のとおり、同日に本件施設長への事実確認を実施したが、本件施設長が本件児童への性的虐待の事実を認めなかったことから、京都市児童相談所及び保健福祉局児童家庭課は、その後の同年2月24 日、本件虐待事案に関して警察に相談を行った(甲21)。 (5)原告が1回目の内部通報を行うまでの経緯ア被告においては、「「公益通報処理窓口」にご相談ください」と題する公益通報制度に関する広報紙があり、公益通報処理窓口として、市役所内部の通報窓口又は市役所外部の通報相談員であるE弁護士が案内されていた。ま た、同 益通報処理窓口」にご相談ください」と題する公益通報制度に関する広報紙があり、公益通報処理窓口として、市役所内部の通報窓口又は市役所外部の通報相談員であるE弁護士が案内されていた。ま た、同広報紙には、「通報者の秘密は守られます。通報者の了承なく、通報 者に関する情報を窓口以外に伝えることはありません。また、外部の通報相談員に通報した場合は、市の職員に名前が伝わることは一切ありません。このほか、公益目的で通報したことを理由に、懲戒処分等の不利益な取扱いを受けることはありません。」、「匿名での通報も可能です。ただし、より正確な調査を行うためには、後日、追加で事情をお聞きする必要がある場合が ありますので、できる限り、氏名と連絡先を明らかにしていただくようお願いします。」との記載があった(甲6)。 イ原告は、平成27年2月2日、職場での回覧文書を見て、本件上局報告が行われたことを知った。しかし、その具体的な内容までは分からなかった(甲16、17)。 ウ平成27年3月10日、職員組合と保健福祉局(児童福祉センター)との間で、本件組合交渉が開催された。本件組合交渉には、D所長を含む合計9名が当局側の職員として出席し、原告を含む合計5名が組合側の職員として出席しており、その全員が児童福祉センターに所属する者であった。このうち、業務上、本件虐待事案を了知していた職員は、D所長や原告を含む合計 5名のみで、その余の職員は了知していなかった。 原告は、同年1月30日の本件上局報告において、平成26年8月の時点で既に本件児童の母親から本件相談が行われていたことが取り上げられていないのではないかと疑っていたことから、これをはっきりさせたいと考え、本件組合交渉において、本来予定されていた組合要求とは無関係の事項 に本件児童の母親から本件相談が行われていたことが取り上げられていないのではないかと疑っていたことから、これをはっきりさせたいと考え、本件組合交渉において、本来予定されていた組合要求とは無関係の事項であ ったにもかかわらず、突如、D所長に対し、「Aのね、施設内虐待の件なんですけども、あれ、なんで1月15日から動き出したんですか。」などと発言して本件虐待事案を話題に出し、本件虐待事案に関して京都市児童相談所が対応を始めた時期などについての質問を行った。 これに対して、D所長が「12月です。24日。」と回答すると、原告は、 「最初にね、母親が言うてきたのって8月でしょ。」などと、平成26年8 月に本件相談が京都市児童相談所にあった旨を指摘する発言をした。そして、D所長が原告の上記発言を否定する旨の発言をすると、原告は、「いや書いてますよ記録に。記録に書いてますよ。」、「いや書いてますよ。8月22日の記録に。」、「読みましょうか。」などと発言し、バックアップフォルダに保存されていた本件児童の妹の児童記録データのうち、本件組合交渉に 先立ちあらかじめ出力していた平成26年8月22日の本件児童の母親からの相談内容を含む記載がされた文書ファイルの片面1ページ(甲19(ただし、黒塗りされた状態でないもの))の記載内容を読み上げようとしたところ、J第二児童福祉センター長がこれを遮るように「あのう、それは、その、組合の…」などと発言した(なお、本件組合交渉の記録においては、J 第二児童福祉センター長が「この場は、そのようなことをいう場ではない。」と発言したと記録されている(甲96)。)ことから、原告はその読み上げを止めた。 しかしながら、原告は、その後もD所長に対し、「じゃあね、12月24日に話を聞いたとして、そのあ いう場ではない。」と発言したと記録されている(甲96)。)ことから、原告はその読み上げを止めた。 しかしながら、原告は、その後もD所長に対し、「じゃあね、12月24日に話を聞いたとして、そのあと■■■■してるじゃないですか。」などと 同日以降の本件虐待事案に関する京都市児童相談所の対応について質問を繰り返し、D所長からの回答に対して、「それは、上局にも全部それで報告してますよね。」、「8月に最初に把握したっていうことではないってことですね。」などと発言した(甲57)。 エ原告は、本件上局報告の具体的な内容については知らなかったものの、本 件組合交渉でのD所長の発言等を受け、本件上局報告では、平成26年8月に本件児童の母親から本件相談があった事実については触れられていないのではないかとの疑いを強め、これを問題視した。 そこで、原告は、平成27年3月15日、京都市の外部の通報相談員であるE弁護士に対し、電子メールで、本件上局報告について、「京都市児童相 談所の不作為を隠蔽するような情報の取捨選択が行われている可能性が高 い。具体的には、平成26年8月末に断片情報が寄せられていたにもかかわらず、「平成26年12月24日に発覚」と報告されていると思われる」ことなどを指摘した通報を公益通報として行った。 被告では、本件要綱(乙5)において公益通報者保護法所定の通報対象事実又は同法別表掲記の法律以外の法令違反の事実に係る通報を内部通報と 定め、公益通報者保護法上の公益通報よりも広い範囲で、本件要綱上の内部通報をいわゆる公益通報として処理する仕組みを採るところ、原告が公益通報として行った上記通報は、平成27年3月23日に、公益通報者保護法上の公益通報には該当しないものの、本件要綱上の内部通報として受理された わゆる公益通報として処理する仕組みを採るところ、原告が公益通報として行った上記通報は、平成27年3月23日に、公益通報者保護法上の公益通報には該当しないものの、本件要綱上の内部通報として受理された(1回目の内部通報。甲25)。 オ原告は、平成27年6月23日のE弁護士からの電子メールで、1回目の内部通報に対する調査結果として、「児童相談所は、平成26年12月に、初めて当該女子児童の母親から性的被害の相談を受けたのであって、同年8月以降、断片的に性的虐待の相談があったにもかかわらず、放置した事実はない。よって、上局に対する報告も、事実を隠蔽したものではない。」など、 京都市児童相談所の対応に不適切な対応はなかった旨の回答を得た(甲26)。 (6)原告が2回目の内部通報を行うまでの経緯ア本件施設長は、平成27年9月8日、Aに入所していた本件児童を平成26年8月5日に淫行させたものとして、児童福祉法34条1項6号違反の容 疑により逮捕された(本件逮捕。甲21)。 京都市児童相談所は、本件逮捕がされた当日中に、2回にわたり、同児童相談所の職員全員に対し、本件逮捕についての報告説明会を開催した。原告も、上記説明会に参加して本件施設長が逮捕されたことを知った。 原告は、上記説明会の際、「児童相談所として検証しなければならないこ とがある。」、「児童相談所が事件を知ったのは12月だと言っているが、 8月には相談を受けていた。」などの発言をしたほか、平成26年8月当時の本件児童の担当児童福祉司であったQ職員に対し、「なあ、Qさん。」などと同意を求める発言をした(甲16、17、甲75の2)。 イ原告は、1回目の内部通報に対する平成27年6月23日のE弁護士による回答に納得していなかったと 職員に対し、「なあ、Qさん。」などと同意を求める発言をした(甲16、17、甲75の2)。 イ原告は、1回目の内部通報に対する平成27年6月23日のE弁護士による回答に納得していなかったところ、本件施設長が逮捕されたことや、 京都市児童相談所の内部的な対応に不満を抱いていたことから、もう一度、1回目の内部通報と同様の内容で、京都市の外部の通報相談員であるE弁護士に対して公益通報を行うことにした。 そこで、原告は、平成27年10月6日、E弁護士に対し、電子メールで、「本年3月に公益通報した者です。前回と同じ件について、改めて公 益通報するため連絡させていただきました。面談による公益通報としたいので、E先生のご都合の良い日時等をお教えいただけますでしょうか?」などと連絡した(甲26)。 原告は、この頃、E弁護士との面談の際に公益通報の内容について説明するため、職場の業務用パソコンから、バックアップフォルダが保存され たサーバにアクセスし、同バックアップフォルダに保存されていた本件児童の妹の児童記録データのうち、平成26年8月22日の本件児童の母親からの相談内容を含む記載がされた文書ファイルの片面1ページ(甲19(ただし、黒塗りされた状態でないもの))を出力し、複数枚複写した上で、そのうちの一枚を内部通報の際にE弁護士に交付することとして、そのうち の一枚(本件複写記録)を自宅に持ち出して保管した(甲16、17)。 ウ原告は、平成27年10月9日、E弁護士の法律事務所を訪問し、E弁護士に対し、本件施設長による本件児童への性的虐待の疑いについては、既に平成26年8月の時点で京都市児童相談所に本件相談がされていたことを説明した上で、本件児童の妹の児童記録データに係る文書ファイルの 対し、本件施設長による本件児童への性的虐待の疑いについては、既に平成26年8月の時点で京都市児童相談所に本件相談がされていたことを説明した上で、本件児童の妹の児童記録データに係る文書ファイルの うち上記相談の内容が記載された該当ページの複写文書(本件複写記録と 同一内容の複写文書)、本件上局報告に係る文書資料の一部(甲31、33)及び教育福祉委員会資料(甲33)を提出した。 なお、原告による上記通報は、1回目の公益通報と同様、公益通報者保護法上の公益通報には該当しないものの、本件要綱上の内部通報として処理された(2回目の内部通報。甲26)。 (7)本件懲戒処分がされるまでの経緯ア平成27年10月21日、京都市会決算特別委員会で行われた総括質疑において、京都党のF議員から、本件虐待事案に関する京都市児童相談所の対応について質疑があり、同質疑において同議員が「児童相談所の児童記録そのものを持っている」などの発言をしたことから、F議員が本件児童の児童 記録や同児童の個人情報を入手していたことが判明した(甲34、44、52)。 イ保健福祉局は、平成27年10月22日、F議員の上記質疑での発言内容を受けて、京都市児童相談所の本件児童に係る個人情報が流出している重大な事態であると判断し、「保健福祉局“きょうかん”推進委員会児童福祉 センター児童相談所における個人情報の管理に関する調査部会」を設置し、情報の流出経路を特定するための調査を開始した(甲52)。 ウ原告は、平成27年10月28日、上記イの調査の一環として行われた全職員を対象とした事情聴取において、京都市児童相談所からの「業務上関係のない児童の児童記録を閲覧・出力したことがあるか。」との質問に対して、 「閲覧はしたことが イの調査の一環として行われた全職員を対象とした事情聴取において、京都市児童相談所からの「業務上関係のない児童の児童記録を閲覧・出力したことがあるか。」との質問に対して、 「閲覧はしたことがあります。」と回答したほか、「当該児童(妹を含む)の記録を閲覧・出力・複写したことがあるか。」との質問に対しても、「閲覧はしたことがあります。このケースには重大な関心がありますから。」と回答した(甲35、36)。 原告は、同月29日、京都市児童相談所から、前日の事情聴取で回答した 内容を申立書として提出するように指示を受けたことから(甲37)、「何 をもって「業務上関係ない」というのか分かりませんが、過去に担当していた児童の記録などを閲覧することはあります。」、「当該児童の記録と妹の記録を閲覧したことはあります。また、妹の記録の一部を出力しました。」、「出力した妹の児童記録を外部に持ち出し、他人に渡したことはあります。 渡した相手は公益通報の窓口のE弁護士です。」などと記載した申立書(甲 38)を提出した。 エ保健福祉局は、平成27年11月2日までに、児童情報管理システム及びバックアップフォルダにより管理する児童記録データ等を閲覧することが可能な平成26年度及び平成27年度に在籍していた全ての職員130名に対して、事情聴取を実施したところ、「業務上関係のない児童の児童記録 を閲覧・出力・複写したことがあるか。」、「業務上関係なく当該児童(きょうだい含む)の児童記録を閲覧・出力・複写したことがあるか。」、「出力・複写した児童記録を、業務外の場・外部に持ち出したことがあるか。」との質問には、原告のみが「有」、残りの129名が「無」と回答した(甲52)。 オ児童福祉センターにおいて、本件新年会について、 た児童記録を、業務外の場・外部に持ち出したことがあるか。」との質問には、原告のみが「有」、残りの129名が「無」と回答した(甲52)。 オ児童福祉センターにおいて、本件新年会について、原告以外の参加者である京都市児童相談所支援課の職員9名に対する事情聴取が行われた。その際に聴取又は報告された事項は、以下のとおりである(甲72の1~甲80の2)。 (ア)本件新年会の座席は2つのテーブルに分かれており、原告から本件虐待 事案についての話を聞いたのは、C主席、支援課長S課長、支援課主席T主席、支援課職員U職員であり、その余の本件新年会の参加者は、原告が本件虐待事案について言及していたことを知らなかった。 (イ)C主席は、原告から本件虐待事案が性的虐待事案なので早く対応するように言われ、学校の試験のこともあるので見合わせていると回答したよう に思う旨を事情聴取の際に述べた。 (ウ)S課長は、原告がC主席に対して本件虐待事案について話をしており、本件新年会の会場にいる他の客に聞こえるようならば諫める必要があると感じた記憶があると報告した。 (エ)T主席は、原告がC主席に対し、本件児童の処遇を巡って興奮気味に詰め寄っている場面があったと報告した。 (オ)U職員は、原告が本件虐待事案について話をしており、どうなっているのか、被害を受けたと言っているのになぜ本人に確認していないのかということを補職者に対して言っていた旨を事情聴取の際に述べた。 カ児童福祉センターにおいて、本件組合交渉について、原告以外の参加者13名に対する事情聴取が行われた。その際に聴取又は報告された事項は、原 告が突然本件虐待事案について話を始め、本件児童の個人名は出ていなかったが、Aという施設名は出ていたこと、原告が記録を 3名に対する事情聴取が行われた。その際に聴取又は報告された事項は、原 告が突然本件虐待事案について話を始め、本件児童の個人名は出ていなかったが、Aという施設名は出ていたこと、原告が記録を読み上げようとしたが、J第二児童福祉センター長が制止をしたために読み上げることはなかったこと、原告が読み上げようとした文書の内容を見た者はいなかったことなどであった(甲81の1~甲93の2)。 キ原告は、平成27年11月10日午後2時頃、保健福祉局のH部長ほか2名の職員から、本件児童及びその妹に係る児童記録データ等の閲覧状況などについて事情聴取を受けた。 原告は、上記事情聴取において、保健福祉局の監察主幹であるH部長らから、本件児童とその妹の児童記録データ等を閲覧したきっかけについて問わ れたところ、平成26年9月の夜に本件施設長が京都市児童相談所に来所してD所長らと話をしているところを見て、不祥事ではないかと思ったことから、興味半分で見たなどと答えた。これを受けたH部長は、興味半分で閲覧したことに間違いないかを原告に確認したところ、「興味半分です、それは、はい。」と原告が答えたことから、適切なことではないと注意した。 また、原告は、同事情聴取において、本件児童の妹の児童記録データに関 して、時期は覚えていないが、同児童記録データに係る文書ファイルの片面1ページを1部出力した旨を申告し、出力した文書については、複数枚複写して、そのうちの1枚は公益通報に提出し、1枚(本件複写記録)は職場外に持ち出しており、他は機密文書として廃棄した旨を述べた。これを受けて、H部長らは、原告が本件複写記録を職場外に持ち出していることを把握した ことから、原告に対し、「一旦ここまでで報告の形でまとめていただけます 、他は機密文書として廃棄した旨を述べた。これを受けて、H部長らは、原告が本件複写記録を職場外に持ち出していることを把握した ことから、原告に対し、「一旦ここまでで報告の形でまとめていただけますか。それと返却するのに、文書がいるのであればうちから返却依頼の文書出しますし、自主的に返されるのであれば、こちらに。」と顛末書の提出と本件複写記録の返却を指示したところ、原告はこれを了承した。実際には、H部長が本件複写記録の返却指示の文書を出すことはなかった(甲16、17、 19、58)。 ク原告は、平成27年11月10日午後6時頃、G課長から、本件児童及びその妹の児童記録データ等の閲覧状況などについて事情聴取を受けた。 原告は、上記事情聴取において、G課長から、出力した本件児童の妹の児童記録に係る文書を複写した複数枚の複写文書に関して、それぞれの所在等 を尋ねられたことから、1部はE弁護士に手渡し、その余については、職場でいつか議論しようと思い2回目の内部通報をした際の書類一式とともに職場に置いていたが、破棄してしまった旨などを回答した。そうしたところ、G課長が「なるほど、4枚は職場で議論しようと思って置いてたけれども、で、今はそしたら1枚だけある?」などと尋ねたことから、原告は、「1部 はね、僕は家に持ってますわ。家に持ってますわ。でも、もう帰ってこれ破棄します、これは。」と述べた。G課長は、原告の上記発言を受けて、原告に対して「はいはいはいはい。だからおそらく1枚はワンセットで、公益通報した資料ワンセットで置いてあると?」と確認を求め、原告は「そうですね。」などと答えたことから、次の話題に移っていった(甲59)。 ケ原告は、平成27年11月10日の夜に帰宅すると、自宅に保管していた 本 」と確認を求め、原告は「そうですね。」などと答えたことから、次の話題に移っていった(甲59)。 ケ原告は、平成27年11月10日の夜に帰宅すると、自宅に保管していた 本件複写記録をシュレッダーで裁断し、家庭ごみとして廃棄した(甲16、17)。 コ原告は、平成27年11月12日午前中に、G課長に対し、顛末書(甲45)を提出した。G課長は、同顛末書に「1枚は自宅に保管していましたが、破棄しました。」との記載があることを確認し、原告に対し、本件複写記録 を廃棄したことに関してH部長らに話をするよう伝えた。 H部長らは、同日午後4時頃から、原告に対する事情聴取を行い、本件複写記録を廃棄した理由を確認するなどした。H部長は、本件新年会での原告の発言について、「複数の方から、この方やって特定できることを、あのう…Iさんの方から話しかけられて、長時間話されてたってということ聞いて るんで、それは事実ですか?」と尋ねると、原告は「事実です。」と回答した。H部長は、本件組合交渉における原告の発言についても確認したところ、原告が思い出せないと回答したことに対しては、「記録残ったら記録の通りの事実認定になっちゃうんで、それでいいんですかね?」などと述べた。一方で、原告は「だけど、個人名出してない…出してないですわ。」とも回答 した。H部長が、原告に対し、本件複写記録を原告が廃棄したことに関して、個人情報の取扱いがあまりにも無責任ではないかなどと問いただしたところ、原告は、個人情報の取扱いが無責任と言われればそのとおりである旨の発言をした(甲60)。 サ原告は、平成27年11月13日、コンプライアンス推進室の服務監察係 長であるV係長らとの間で、E弁護士に対して行った本件各内部通報について事情聴取 りである旨の発言をした(甲60)。 サ原告は、平成27年11月13日、コンプライアンス推進室の服務監察係 長であるV係長らとの間で、E弁護士に対して行った本件各内部通報について事情聴取を受けた。同事情聴取において、原告は、V係長から、F議員に情報提供したのは原告ではないのかを何度か確認された後、内容を指示されながら顛末書(甲48)を作成させられ、原告が同年10月9日にE弁護士に提出した本件上局報告に係る文書には本件児童の個人情報が含まれてい るため、同文書を保健福祉局に返却するよう指示を受けた。同事情聴取の際、 V係長は、原告が本件児童の妹の児童記録について、「出力したタイミングっていうのはね、実際いつなんですか?」と質問したところ、原告は、「う~ん、3月…末かなあ。まあだから1月以降ですね。以降だと思います。」と回答し、その後、V係長が、「明確にあの、3月の時点では、交渉の時点では持ってたし、記憶では1月ごろに出力したということ、いうことでした よね?」と質問したところ、原告は、「そうですね、はい。」と回答した。 このやり取りは、同事情聴取を記録した「公益通報関連でのIに対する事情聴取(摘録)」においては、「出力したのは、妹の8月22日分のみで、出力した時期は、記憶が定かでないが、1月頃だったと思う。1月のいつ頃かは覚えていない。」と記録されていた。また、同日作成の顛末書には、「た しか、平成27年1月ころに妹の記録を1部出力しました。その後、数枚コピーし、1部は弁護士さんに渡し、5枚ほど、職場で議論しようと考えて持っていたものは、その機会もなかったため、職場で破棄しました。」と記載されていた(甲48、61、94)。 シ原告は、平成27年11月14日、G課長に対し、2回目の内部通報に際 うと考えて持っていたものは、その機会もなかったため、職場で破棄しました。」と記載されていた(甲48、61、94)。 シ原告は、平成27年11月14日、G課長に対し、2回目の内部通報に際 してE弁護士に提出した資料の控えとして自宅で保管していた、本件上局報告に係る文書資料及び教育福祉委員会資料を、それぞれ返却した(甲16、17)。 ス G課長は、平成27年11月17日、原告に対し、本件児童及びその妹の記録閲覧状況等について事情聴取を行った上で、同事情聴取における質問に 対する回答内容を改めて申立書として作成、提出するよう指示した。これを受けて、原告は、同月18日、G課長に対し、申立書(甲49)を提出した。 セ G課長は、平成27年11月25日、原告に対し、本件児童及びその妹の児童記録データ等の閲覧のきっかけ等について事情聴取を行った上で、同事情聴取において原告が答えた回答の内容について、再度、申立書にまとめて 提出するように指示した。これを受けて、原告は、同月26日、申立書(甲 50)を提出した。 また、原告は、同日、E弁護士から、電子メールで、2回目の内部通報についての調査結果の報告を受けた。その報告内容は、平成26年8月22日の本件児童の母親からの相談に対する京都市児童相談所の対応について、「8月22日に母親から上記のとおり電話があったものであるが、当該電話 を受けた担当児童福祉司から速やかに上司に報告を行い、組織として情報共有した結果、新たに性的行為をしようとしているとの訴えではなかったため、8月20日と同様の相談であると判断した。実際の事実確認としては、前回の公益通報に係る調査報告書に記載のとおり、8月20日の母親からの電話を受け、同日、園長と姉の外泊の事実がないことを速やかに確認し 8月20日と同様の相談であると判断した。実際の事実確認としては、前回の公益通報に係る調査報告書に記載のとおり、8月20日の母親からの電話を受け、同日、園長と姉の外泊の事実がないことを速やかに確認し、母親に 対してもその旨を報告している。また、その後は、園長による不適切な処遇という観点で調査を行うこととし、適切に対応している。」などとして、京都市児童相談所の対応に不適切な点はなかった旨の結論であった(甲32)。 ソ G課長は、平成27年12月1日、原告に対し、原告による児童記録データ等の閲覧が勤務時間中の行為であったか否かを質問したところ、原告は勤 務時間中の行為であることを認めたため、G課長は、原告に対し、その旨を書面で提出するよう指示した。原告は、同日、G課長に対し、その旨を記載した申立書(甲51)を提出した。 タ京都市長は、平成27年12月4日、原告が本件対象行為1ないし3を行ったものとして、これらはいずれも懲戒事由に該当するものと判断し、原告 に対し、地方公務員法29条1項に基づき、本件懲戒処分をした(甲1)。 本件懲戒処分に当たっては、①本件対象行為1については、これまで停職以上の懲戒処分とした処分例は実際に職場を離脱した事案であったことや、本件対象行為1の態様などを踏まえると、戒告処分が相当であるとされ、②本件対象行為2については、非公開情報の漏えいを生じさせる可能性が高い 極めて不適切な行為であるが、過去に非公開情報がインターネットを経由し て外部から閲覧できる状態となり拡散した事案で停職処分としていることなどを踏まえると、減給処分が相当であるとされ、③本件対象行為3については、地方公務員法及び児童福祉法上の守秘義務に違反し、市政への信用を大きく失墜させる行為であるが、秘密の漏えい先 としていることなどを踏まえると、減給処分が相当であるとされ、③本件対象行為3については、地方公務員法及び児童福祉法上の守秘義務に違反し、市政への信用を大きく失墜させる行為であるが、秘密の漏えい先が児童福祉センター職員であることや、本件対象行為3の態様などを踏まえると、免職処分は重きに失 し、停職処分が相当であるとされ、これら①ないし③の各評価に加え、自宅に持ち出した本件複写記録や漏えいした秘密が、極めて機密性、プライバシー性の高い個人情報であることなどの加重事由等が考慮された上で、停職3日の懲戒処分とすることが決定された(弁論の全趣旨)。 チ保健福祉局は、平成27年12月、本件児童の児童記録の流出経路につい て調査していたが、担当外の児童記録閲覧等、当該児童の児童記録閲覧、当該児童のきょうだいの児童記録閲覧・出力、当該児童の生育歴の把握、組合交渉の5つの調査項目に該当する職員は原告しかいないものの、原告は被告以外の外部への情報提供を認めていないことから、被告以外の者に情報提供を行った者を特定することはできなかったと報告した(甲52)。 ツ原告は、平成27年12月22日に受講した再発防止研修の際に、V係長から、本件複写記録の出力及び持ち帰りについて、「そのあと1月のね、話し聞かしてもらって、1月の家に持って帰った…ありましたよね?」などと質問され、「いや、「1月に持って帰った」って、私言うてましたっけ?」、「3月のときは持ってましたからね。」などと回答した。このやり取りは、 「再発防止研修における被処分者の申述(メモ)」においては、「27年1月に児童記録を持ち帰った際も、その時点ですぐに通報しようとまで考えていなかった。」と記録されていた(甲62、95)。 (8)本件各配転命令の経緯ア 申述(メモ)」においては、「27年1月に児童記録を持ち帰った際も、その時点ですぐに通報しようとまで考えていなかった。」と記録されていた(甲62、95)。 (8)本件各配転命令の経緯ア原告は、本件懲戒処分の停職期間の明けた平成27年12月11日に、健 康増進センターへの配転を命じられた(本件配転命令1)。本件配転命令1 については、原告の勤務していた京都市児童相談所が極めてセンシティブな情報を取り扱う部署であり、本件対象行為1ないし3に及んだ原告を引き続き勤務させることにより、京都市児童相談所の運営や児童及び保護者への支援に悪影響を及ぼすことが想定されたこと、同一市内での異動であり、身分、俸給等の変動もないことなどが考慮され、原告に不利益を生じさせるもので はないとの判断のもとで行われた(甲3、乙26・Q9)。 イ健康増進センターへの異動の際、原告は、この異動については、翌年4月までの暫定的な配置である旨の説明を受けた。原告は、同センターにおいて、新聞記事のチェックや他の係員のサポート業務、精神障害者保健福祉手帳と自立支援医療受給者証の申請者等への電話対応等の業務を担当した(甲13 4、原告本人)。 ウ原告は、平成27年4月18日、区画整理事務所への配転を命じられた(本件配転命令2)。本件配転命令2については、事務職は毎年4月に定期異動が行われるのが通例であり、様々な部署に配置され得ることは制度上当然予定されていること、原告が保健福祉局以外の局区での勤務を幅広く経験して いること、同一市内での異動であり、身分、俸給等の変動もないことなどが考慮され、原告に不利益を生じさせるものではないとの判断のもとで行われた(甲4、5、乙26・Q9)。 エ原告は、区画整理事務所に 、同一市内での異動であり、身分、俸給等の変動もないことなどが考慮され、原告に不利益を生じさせるものではないとの判断のもとで行われた(甲4、5、乙26・Q9)。 エ原告は、区画整理事務所において、庶務係として市会関係の業務を担当した後、補償係の業務を担当した。原告は、区画整理事務所への異動を希望し たことはなく、毎年の人事異動に関する所長との面談において、京都市児童相談所への復職を希望したが、聞き入れられず、5年間にわたり区画整理事務所に在籍することとなった(甲134、原告本人)。 オ原告は、労働組合であるユニオンWを通じて、本件配転命令1及び2に対する苦情を述べたところ、平成28年10月12日、同組合からの意見聴取 の場において、被告の人事課担当者は、本件配転命令1が本件懲戒処分と密 接に関連している旨を述べた(甲98)。 カ原告は、令和3年4月、動物園総務課への配転を命じられた(本件配転命令3)。原告は、動物園総務課において、計理担当として予算の執行や管理を行い、財務会計システムの操作業務を担当したほか、寄付関連の業務も担当した。原告は、動物園総務課への異動を希望したことはなく、同課に在籍 中の同年7月3日、適応障害との診断を受けた。原告は、福祉関係の対人折衝に関わる仕事への異動を希望したが、希望は叶わず、令和4年4月以降、傷病休職するに至った(甲134、原告本人)。 (9)別訴に関する費用ア原告は、平成28年1月14日、原告代理人との間で、人事委員会に対す る審査請求手続を委任する契約を締結した。原告は、同日、原告代理人に対し、同委任契約に基づき、着手金20万円及び消費税1万6000円を支払った(甲117、120)。 イ原告は、平成28年6月30日、原告代 委任する契約を締結した。原告は、同日、原告代理人に対し、同委任契約に基づき、着手金20万円及び消費税1万6000円を支払った(甲117、120)。 イ原告は、平成28年6月30日、原告代理人との間で別訴の処理を委任する契約を締結した。原告は、同年7月1日、原告代理人に対し、同委任契約 に基づき、着手金10万円及び消費税8000円を支払った(甲118、121)。 ウ原告は、令和元年9月6日、原告代理人との間で別訴の控訴審の処理を委任する契約を締結した。原告は、同日、原告代理人に対し、同委任契約に基づき、着手金21万円及び消費税1万6800円を支払った(甲119、1 22、弁論の全趣旨)。 エ原告は、令和3年2月22日、別訴の弁護士報酬として、原告代理人に対し、消費税込みで107万8000円を支払った(甲123)。 オ原告が、別訴に関連して原告代理人に支払った弁護士費用は、アないしエの合計162万8800円である。 カ (旧)日本弁護士連合会報酬等基準によれば、別訴の経済的利益は800 万円である。同基準によれば、審査請求並びに別訴の第一審、控訴審及び上告審の各着手金は、その経済的利益の5%に9万円を足したものに消費税(当時8%)を加えたものであるから、各52万9200円となり、報酬金は、その経済的利益の10%に18万円を足したものに消費税(10%)を加えたものであるから、107万8000円となり、各着手金及び報酬金の 合計額は、319万4800円である(甲116)。 (10)本件訓戒処分に至る経緯ア原告は、令和3年3月4日、コンプライアンス推進室から、別訴判決の確定により本件懲戒処分が取り消された状態になり、別訴判決で懲戒事由に該当すると判断され (10)本件訓戒処分に至る経緯ア原告は、令和3年3月4日、コンプライアンス推進室から、別訴判決の確定により本件懲戒処分が取り消された状態になり、別訴判決で懲戒事由に該当すると判断された児童記録の持ち帰り及び廃棄について、被告において対 応する必要があるとして、事情聴取を受け、聴取の内容(行為の内容、経過、認識等)を顛末書に記載するよう伝えられた(甲128)。 イ原告は、上記アを受けて、令和3年3月8日、コンプライアンス推進室に対し、顛末書を提出した。同顛末書には、①児童記録の持ち出しについて、原告が、1回目の内部通報の調査が適切に行われていないと判断し、決定的 な証拠として提出する必要があると考えたこと、持出しの時期はE弁護士の事務所を訪問した平成27年10月9日の直前であること、本件複写記録を自宅に保管していたのは、2回目の内部通報が正式に受け付けられたのかが不明であり、隠蔽工作が行われるのではないかとの不安から職場では保管できなかったからであること、②児童記録の廃棄について、原告が、平成27 年11月10日の保健福祉局の事情聴取において、H部長から明確な命令ではなかったものの本件複写記録の返却を求められ、保健福祉局は揉み消すつもりだと理解し、この先どうなるのだろうかなどの不安から混乱し、その後同日のG課長の事情聴取において、原告が「もう帰って破棄します」と伝えたところ、G課長が「はいはいはいはい。」と答えたことから、本件複写記 録の破棄についてG課長の了承が得られたものと理解して、帰宅後に本件複 写記録を家庭用シュレッダーで裁断し、家庭ごみとして処分したこと、別訴判決で軽率と指摘されている点については反省していることなどが記載されていた(甲129)。 ウ京都市長は 複 写記録を家庭用シュレッダーで裁断し、家庭ごみとして処分したこと、別訴判決で軽率と指摘されている点については反省していることなどが記載されていた(甲129)。 ウ京都市長は、令和3年4月13日、原告に対し、本件訓戒理由1及び2について、訓令的職務命令である本件管理基準に違反する非違行為であるとし て、本件訓戒処分をした(甲124)。 本件訓戒処分に当たっては、本件複写記録を情報セキュリティ担当者の承諾なく自宅に持ち出した行為は本件管理基準7条に、本件複写記録を自宅で廃棄した行為は本件管理基準9条に違反し、これらの条項は訓令的職務命令に該当するから、職務命令違反の非違行為として地方公務員法32条に違反 し、同法29条1項1号及び2号の懲戒事由に該当するものであることを前提に、加重事由として、①本件複写記録が個人情報の中でも極めて機密性、プライバシー性の高い情報であること、②決して情報が漏れることがないことを前提にプライバシーに係る様々な相談や通報が寄せられる児童相談所への信頼を大きく損なうもので、市民の信用失墜の度合いが大きいこと、③ 原告が監察主幹から本件複写記録の返却を指示され又は促され、返却に同意したにもかかわらず自宅で廃棄しており、情報漏えいを防ぐ正当な目的の実現を妨げ、監察業務への調査協力義務にも反していること、④対象となった本件児童からも強い非難が寄せられていること、一方で、斟酌事由として、①自宅への持ち出し行為は、2回目の内部通報に付随するもので、職務上の 関心に起因し、証拠保全ないし自己防衛目的であったから、その原因や動機において強く非難すべきとはいえないこと、②持ち出した記録は1枚のみで、その保管状況が情報漏えいの危険性の高い不適切なものであったとも認め難いこ 拠保全ないし自己防衛目的であったから、その原因や動機において強く非難すべきとはいえないこと、②持ち出した記録は1枚のみで、その保管状況が情報漏えいの危険性の高い不適切なものであったとも認め難いこと、③廃棄行為は、証拠隠滅を図るなどの不当な動機や目的があったとは考え難く、廃棄の態様も自宅のシュレッダーでの裁断という、情報が外 部に漏えいしないよう配慮したもので、悪質性が高いといえないこと、④本 件複写記録が原告を通じて外部に流出したと認めるに足りる証拠はないこと、⑤原告は、少なくとも廃棄行為が軽率であったと認め、反省の態度を示していること、⑥原告に懲戒処分歴はなく、人事評価も良好であり、勤務態度も熱心と評価されており、本件訓戒理由1及び2に及んだのも職務熱心の余りのことと評価することが可能であることを総合的に考慮し、厳重文書訓 戒を行うこととされた(乙24)。 (11)本件付帯決議に関連する経緯ア被告の行財政局コンプライアンス推進室は、令和3年11月、「A懲戒処分に係る損害賠償請求訴訟の和解について(令和3年11月市会への和解議案上程に係るQ&A)」を作成した。被告の見解として、被告には本件懲戒 処分を行ったことについて故意又は過失は存在せず、原告の精神損害への賠償を行う必要はないが、一方で、別訴が確定した以上、原告が負担した実費相当額としての弁護士費用については、本件懲戒処分を行わなければ生じなかった経費として、その一部であれば支払う意思があること(Q4-1)、別訴では停職3日の処分が重きに失するという意味で本件懲戒処分が違法 とされたが、被告が認定した事実そのものについては、被告と裁判所の間に大きな齟齬はなく、事実に関する評価が異なっていたと考えていること(Q12)、別訴において被告 う意味で本件懲戒処分が違法 とされたが、被告が認定した事実そのものについては、被告と裁判所の間に大きな齟齬はなく、事実に関する評価が異なっていたと考えていること(Q12)、別訴において被告の「公益通報とは関係のない行為、又は、通報目的があるとしても違法性が阻却されない行為に対して懲戒処分を行った」という考え方が否定されていたわけではないこと(Q17)、別訴では、本件 対象行為1はルールと実運用の実態とに乖離があったとみなされたこと、本件対象行為3は秘密の漏えいと主張すべきところを個人情報の漏えいと主張して厳密さを欠いたことが懲戒事由として認められなかった原因であったこと(Q17-4)などが記載されていた(乙26)。 イ京都市会において、令和3年12月2日に開催された第17回総務消防委 員会において、本件訴訟に関する和解について、以下のとおりの質疑応答が 行われた(乙25)。 (ア)K議員が、「この訴訟上の和解についてという形で議案として出てきてるんですが、その前提とする裁判があって、一定、判決まで終了しているということでありますけれども。この原因のときも、当時、私も議員でしたし、委員会でも色々と質疑をさせていただいたんですけれども、児童福 祉センターで、本来、外に出るべきはずのない書類が、当時のこの委員会での委員が持ってたということから、なぜそのようなものが外に出ていたんだということで非常に問題になったという風に記憶しています。京都市にはありとあらゆる個人情報がございますので、当然そうしたものはしっかり守っていくということが大前提ですし、それが市民に対する信頼の裏 付けでもあるんですけども、そうしたものが揺らいだと言いますか、それが問題になったということで、そのために当時の当該 はしっかり守っていくということが大前提ですし、それが市民に対する信頼の裏 付けでもあるんですけども、そうしたものが揺らいだと言いますか、それが問題になったということで、そのために当時の当該職員さんの処分を行ったと。ところが、当該職員さんはその処分に対して不服を感じられて、裁判になったということであったと思います。裁判の内容としましては、私の理解するところでは、要するに、その職員さんに問題はあったけれど も、京都市の処分が重すぎるんちゃうかということが裁判の判決の内容であったかと思うんですけど、その辺をまずちょっと確認しておきたいと思います。」と質問したところ、L監察員が「懲戒処分についての確定判決等の中身についてでございますけれども、当初の懲戒処分につきましては、三つの対象事実、具体的には、担当外の児童記録の閲覧、それと、児童記 録の写しの自宅への持帰りと無断廃棄、それと、新年会等の場での個人情報の発言に対して、停職3日の処分を行ったというものでございます。判決では、御指摘のあったように、児童記録の持帰り及び無断廃棄については、これは情報セキュリティポリシーに違反するものであるということで懲戒事由として認められましたが、残りの二つの事実については対象事由 に該当しないということで、懲戒事由が認定された一つの事実に対して停 職3日とする量定は重きに失するということで、重いという判決が出たものでございます。」と回答した(以下「本件質疑1」という。)。 (イ)K議員が「大事なのは、やはり、この件1件だけがどうのこうのよりも、京都市があまたの個人情報をしっかり持っている中で、その個人情報を管理する、そして、職員さん一人一人が、こうしたことは二度と起こさない ということをやはり皆さん方が改めて決 どうのこうのよりも、京都市があまたの個人情報をしっかり持っている中で、その個人情報を管理する、そして、職員さん一人一人が、こうしたことは二度と起こさない ということをやはり皆さん方が改めて決意いただいて、そして、何と言いますか、二度と京都市では同じような事案を起こさないという決意をしっかりとお聞きしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。」と質問したところ、M監察監が「まず何よりも、本件事案の大きな教訓といたしましては個人情報、とりわけ児童記録、プライバシー性が非常に高い、そう いったものが出てしまったということだと思っております。今、先生もおっしゃいましたとおり、市役所では児童記録ですとか、あと、DVの情報ですとか、極めてプライバシー性の高い個人情報、これを非常に多く管理しております。これが外部に流出した場合、市民への影響の大きさ、これを改めて組織を挙げて認識し直して、厳正な管理を徹底していく必要があ るというのが一つです。」と回答した(以下「本件質疑2」という。)。 (ウ)N議員が「三つとも懲戒対象事実。事実ですね、事由じゃなくて。こういうことがあったという事実について裁判所は認定したのか。」と質問したところ、L監察員が「懲戒処分の対象事実についてでございますけれども、三つの事実について、概略は議案説明資料の方にございますけれども、 担当外の児童記録等を閲覧していたこと、そして、児童記録の写しの自宅への持出しと無断廃棄、そして、職場の新年会等での個人情報に係る発言というようなことでございますけど、これらについては、確定判決の中でそれぞれそのような行為があったものとして認定されているものでございます。」と回答し、さらに、N議員が「今御説明があった三つのうちの 二つについて事実は認定したけれど ついては、確定判決の中でそれぞれそのような行為があったものとして認定されているものでございます。」と回答し、さらに、N議員が「今御説明があった三つのうちの 二つについて事実は認定したけれども、評価が本市と違ったということで よろしいでしょうか。」と質問したところ、L監察員が「御指摘のとおり、対象事実としてありますが、それが懲戒事由に該当するのかどうか、その評価において異なったということでございます。」と回答した(以下「本件質疑3」という。)。 2 争点1(本件懲戒処分の違法性)について 本件懲戒処分については、裁量権の範囲を逸脱又は濫用した違法なものとしてこれを取り消すとの別訴判決が確定しているところ、同処分が国家賠償法上も違法なものといえるかについて、以下検討する。 (1)本件対象行為1についてア懲戒事由該当性について 本件対象行為1に関しては、原告が平成26年10月9日以降、勤務時間中に、職場の業務用パソコンから児童情報管理システム等にアクセスして、自己の担当児童ではない本件児童及びその妹の児童記録データ等の閲覧を行うようになり、具体的には、児童情報管理システムへのアクセスを16日間にわたって88回行うなど繰り返したことが認められる(前記認定事実 (3)キ、ク)。これは、別訴判決において、本件行為1として認定されているとおりである(前記前提事実(7)イ、ウ)。 そして、本件管理基準5条は、職員が電子情報等を業務の遂行以外の目的で利用することを禁止しているところ、原告が本件児童及びその妹の担当でなかったことは上記認定のとおりである。 しかしながら、平成26年当時、京都市児童相談所においては、担当外の児童記録データの閲覧を禁止する旨の指導はされておらず、同閲覧を禁止す 妹の担当でなかったことは上記認定のとおりである。 しかしながら、平成26年当時、京都市児童相談所においては、担当外の児童記録データの閲覧を禁止する旨の指導はされておらず、同閲覧を禁止する根拠規定も存在せず、担当者しか知らないパスワードの設定等もされていなかったこと(前記認定事実(2)イ)、担当者が不在時の相談等に対応する必要のある場合や自己の業務の参考にする場合に、担当外の児童記録デー タを閲覧する職員もいたこと(前記認定事実(2)ウ)などからすれば、業 務上の必要があれば、担当外の児童の児童記録データ等を閲覧することも容認されていたというべきである。そうすると、本件管理基準5条違反の有無については、同条が定めるとおり、閲覧の目的が業務の遂行目的か否かによって判断すべきところ、原告は、平成26年10月1日に本件施設長に対する事情聴取を目撃したことから、原告が業務上日常的に接するAで不祥事が 起きたのではないかと疑い、本件児童及びその妹の児童記録データ等の閲覧を行うようになり、同年8月に本件児童の母親からの本件相談があったにもかかわらず、京都市児童相談所が虐待通告として受理していないことを知るに至り、このような対応は問題であり、直ちに調査を開始すべきであると考えて、2回にわたる内部通報を行うなどの行動に出ていたものと認められる (前記認定事実(3)カ、キ、(5)エ、(6)ウ)。これらの事実に照らすと、本件行為1における原告の児童記録データ等の閲覧の目的は、京都市児童相談所の業務の改善にあり、自己の担当業務の遂行を直接の目的としているとはいえないものの、これと関連する目的であったといえる。 したがって、原告の本件行為1は、本件管理基準5条には違反せず、職務 上の義務に違反しているともいえず、全 遂行を直接の目的としているとはいえないものの、これと関連する目的であったといえる。 したがって、原告の本件行為1は、本件管理基準5条には違反せず、職務 上の義務に違反しているともいえず、全体の奉仕者たるにふさわしくない非行に当たるともいえないから、懲戒事由に該当しない。 これに対し、被告は、原告の動機が京都市児童相談所の対応への問題提起のためであったとしても、センシティブな個人情報を閲覧することは手段としての相当性を欠き、頻度としても目的のために必要かつ相当な範囲にとど まっていないと主張する。しかし、前述のとおり、業務上の必要があれば、担当外の児童の児童記録データ等を閲覧することも容認されていた当時の状況下において、本件行為1が、閲覧の目的との関係で必要な範囲を超えた不相当なものであったとまでは認められず、被告の主張は採用できない。 イ故意又は職務上の注意義務違反について そこで、京都市長において本件対象行為1が懲戒事由に該当しないのにこ れを懲戒事由として本件懲戒処分をしたことについて、故意又は職務上の注意義務違反が認められるかについて検討する。 (ア)原告は、京都市長が、本件対象行為1が懲戒事由に該当しないことを知りながら、あえて本件懲戒処分を強行したもので、違法行為の故意があったと主張する。しかし、本件記録上、京都市長においてそのような故意が あったとまで認定することは困難である。 (イ)もっとも、前記アで判示した平成26年当時の京都市児童相談所における児童記録の閲覧の運用状況や、原告以外の職員においても、担当外の児童記録を参考のために閲覧することはあり、そのような閲覧は業務上関係のない閲覧であるとは認識されていなかったこと(前記認定事実(2)ウ) などを踏まえると、被 以外の職員においても、担当外の児童記録を参考のために閲覧することはあり、そのような閲覧は業務上関係のない閲覧であるとは認識されていなかったこと(前記認定事実(2)ウ) などを踏まえると、被告の調査の過程において、担当外の児童記録の閲覧についての運用の実態を正確に確認し、本件管理基準5条の解釈を踏まえて検討すれば、原告の本件行為1が同条に違反しないと判断することは十分に可能であったといえる。 そうすると、本件対象行為1が懲戒事由に該当するとした京都市長の判 断には、職務上の注意義務違反があったと認められる。 (2)本件対象行為2についてア懲戒事由該当性について本件対象行為2に関しては、原告が、平成27年10月6日頃、E弁護士との面談の際に公益通報の内容について説明するため、職場の業務用パソコ ンから本件児童の妹の児童記録データのうち、平成26年8月22日の本件児童の母親からの本件相談の内容を含む記載がされた文書ファイルの片面1ページを出力し、複数枚複写した上で、そのうちの一枚を同月9日にE弁護士に交付し、そのうちの一枚(本件複写記録)を自宅に持ち出して保管したこと(前記認定事実(6)イ)、平成27年11月10日のH部長からの 事情聴取の際に、本件複写記録を返却するよう指示を受けて原告が了承した こと、それにもかかわらず原告が同日夜に自宅で本件複写記録をシュレッダーで裁断して廃棄したこと(前記認定事実(7)キ、ク、ケ)が認められる。 これは、別訴判決において、本件行為2として認定されているとおりである(前記前提事実(7)ウ)。 本件行為2のうち本件複写記録の自宅への持ち出し行為は、非公開情報で ある本件複写記録を職場外に持ち出したものであって、本件管理基準7条に違反する。また、本件行 (前記前提事実(7)ウ)。 本件行為2のうち本件複写記録の自宅への持ち出し行為は、非公開情報で ある本件複写記録を職場外に持ち出したものであって、本件管理基準7条に違反する。また、本件行為2のうち本件複写記録を自宅で廃棄した行為は、H部長により、本件複写記録の情報漏えい等の事故を防ぐよう適切に処分するために返却を指示されていたにもかかわらず、その指示に従わずに適切に処分しなかったものであるから、本件管理基準9条に違反する。そして、こ れらの条項は訓令的職務命令に該当するから、本件行為2は、職務命令違反の非違行為として地方公務員法32条に違反し、同法29条1項1号及び2号の懲戒事由に該当すると認められる。 これに対し、原告は、本件複写記録の自宅への持ち出し行為について、重要な証拠を手元に置いておく必要が高かったから、懲戒事由に該当しないと 主張する。しかしながら、原告は、E弁護士に同一内容の複写文書を交付したのであるから、2回目の内部通報を行う上で本件複写記録の自宅への持ち出しが不可欠な行為であったとはいえず、また、証拠の保全のために必ずしも自宅に持ち出す必要性までは認められないことからすれば、その違法性は阻却されないというべきである。 また、原告は、本件複写記録の廃棄行為について、G課長の了承を得ていたから、懲戒事由に該当しないと主張する。しかしながら、平成27年11月10日の原告とG課長とのやり取りは、原告が「1部はね、僕は家に持ってますわ。」、「もう帰ってこれ破棄します、これは。」と述べ、G課長からは「はいはいはいはい。だからおそらく1枚はワンセットで、公益通報し た資料ワンセットで置いてあると?」と確認を求められ、原告が「そうです ね。」と答えたというものであり(前記認定事実 「はいはいはいはい。だからおそらく1枚はワンセットで、公益通報し た資料ワンセットで置いてあると?」と確認を求められ、原告が「そうです ね。」と答えたというものであり(前記認定事実(7)ク)、上記の話の流れにおいて、G課長の「はいはいはいはい。」との応答が、本件複写記録の帰宅後の廃棄について了承する意味で発した言葉であると解することは困難であり、原告の主張は採用できない。 イそうすると、本件行為2が懲戒事由に該当するとした京都市長の判断は、 正当であると認められる。もっとも、本件懲戒処分を選択したことの適否については、別途、後記(4)で論じることとする。 (3)本件対象行為3についてア懲戒事由該当性について本件対象行為3に関しては、平成27年1月14日に行われた本件新年会 において、原告がC主席に対し、「Aの件はどうするのですか。」、「重大な問題を放置する児相は末期的ではないですか。」、「担当のRさんは全くやる気がありませんよね。」などと発言したこと、同年3月10日の本件組合交渉の場において、原告がD所長に対し、「Aのね、施設内虐待の件なんですけども、あれ、なんで1月15日から動き出したんですか。」、「最初 にね、母親が言うてきたのって8月でしょ。」、「いや書いてますよ記録に。 記録に書いてますよ。」、「いや書いてますよ。8月22日の記録に。」、「読みましょうか。」などと発言して、本件児童の妹の児童記録のうち、平成26年8月22日の本件相談についての記載を読み上げようとしたこと、その後も「12月24日に話を聞いたとして、そのあと■■■■してるじゃ ないですか。」などと発言したことが認められる(前記認定事実(4)エ、(5)ウ)。これは、別訴判決において、本件行為3として認定されている 24日に話を聞いたとして、そのあと■■■■してるじゃ ないですか。」などと発言したことが認められる(前記認定事実(4)エ、(5)ウ)。これは、別訴判決において、本件行為3として認定されているとおりである(前記前提事実(7)イ)。 そして、京都市長は、本件対象行為3について、原告が本件児童の個人情報を含んだ内容について発言したことを本件懲戒処分の懲戒事由としてい ること(甲2)からすれば、原告がそのような内容について発言したといえ るかが問題となる。 しかるに、本件行為3のうち本件新年会での原告の発言は、Aといった施設名や担当者の氏名への言及はあるものの、本件児童の氏名や本件虐待事案の内容などの本件児童の個人情報にまで言及したものではないし、本件行為3のうち本件組合交渉の場での原告の発言も、施設名や施設内虐待という不 祥事の概要のほか本件相談の時期や一時保護への言及はあるものの、本件児童の氏名や本件相談の具体的内容などの本件児童の個人情報にまで言及したものではない。 そうすると、原告の本件新年会及び本件組合交渉の場における各発言は、本件児童の個人情報を含んだ内容について発言したものとはいえず、そのよ うな内容について発言したことを前提に、秘密の漏えいがあったと認めることはできない。 したがって、原告の本件行為3は、地方公務員法34条及び児童福祉法61条の秘密の漏えいに当たる非違行為であると認めることはできず、全体の奉仕者たるにふさわしくない非行に当たるともいえないから、地方公務員法 29条1項各号のいずれの懲戒事由にも該当しない。 イ故意又は職務上の注意義務違反についてそこで、京都市長において本件対象行為3が懲戒事由に該当しないのにこれを懲戒事由として本件懲戒処分をしたことについて、故 いずれの懲戒事由にも該当しない。 イ故意又は職務上の注意義務違反についてそこで、京都市長において本件対象行為3が懲戒事由に該当しないのにこれを懲戒事由として本件懲戒処分をしたことについて、故意又は職務上の注意義務違反が認められるかについて検討する。 (ア)原告は、本件新年会での発言について、H部長が事情聴取の際に原告から自白を詐取したと主張する。しかしながら、原告がH部長による欺罔であるとする「複数の方から、この方やって特定できることを、あのう…Iさんの方から話しかけられて、長時間話されてたってということ聞いてるんで、それは事実ですか?」との質問は、複数の職員が事情聴取において、 原告がC主席に対して本件児童ないし本件虐待事案の話をしていた旨の 供述又は報告をしていたこと(前記認定事実(7)オ)に基づくものであり、H部長が意図的に原告を欺罔しようとしていたとはいえない。 また、原告は、本件組合交渉の場での発言について、被告がJ第二児童福祉センター長の発言を捏造して、原告が不当な発言をしていたかのような記録を作成していると主張する。しかしながら、J第二児童福祉センタ ー長の発言が本件組合交渉の記録に記載されている「この場は、そのようなことを言う場ではない。」との文言どおりでなかったとしても、同人が原告を制止したことから、原告が児童記録の読み上げを止めたことは、複数の職員の報告書から認められ、原告自身も文言は違えども制止されたものと認識していること(前記認定事実(5)ウ、(7)カ)からすれば、 上記記録の記載が意図的な捏造であるとまではいえない。 したがって、京都市長において原告の主張するような故意があったということはできない。 (イ)もっとも、被告の調査において、原告が本件新年会及び 記録の記載が意図的な捏造であるとまではいえない。 したがって、京都市長において原告の主張するような故意があったということはできない。 (イ)もっとも、被告の調査において、原告が本件新年会及び本件組合交渉の場で、本件児童の個人情報について具体的にどの程度の発言をしていたの か、原告のみならず、原告の発言をその場で聞いたとする職員らから適切に事情聴取をし、その結果を精査していれば、原告が本件児童の個人情報を含んだ内容について発言したのか否かについての事実誤認を防げたといえる。 そうすると、本件対象行為3が懲戒事由に該当するとした京都市長の判 断には、職務上の注意義務違反があったと認められる。 (4)本件懲戒処分の選択の適否についてア前記(1)ないし(3)で判断したところによれば、原告について、懲戒事由に該当する非違行為として認められるのは、本件行為2に限られることになる。 そして、本件行為2のうち本件複写記録の持ち出し行為は、2回目の内部 通報に付随するものであり、職務上の関心に起因し、かつ、重要な証拠を手元に置いておきたいという証拠保全ないし自己防衛の目的を持ったものであったから、その原因や動機において強く非難すべきとはいえないこと、本件複写記録の廃棄行為についても、不当な動機や目的があったとは考え難く、シュレッダーでの裁断という情報漏えいしにくい態様の廃棄であり、悪質で あったとまではいえないこと、その情報が原告を通じて外部に流出したという証拠はないこと、原告は廃棄行為が不適切であると認め、反省の態度を示しており、原告に懲戒処分歴はないことなどを考慮すれば、本件懲戒処分は重きに失していたと認められる。この点は、別訴判決においても、本件懲戒処分は重きに失しており、裁量権の逸脱又は濫 、反省の態度を示しており、原告に懲戒処分歴はないことなどを考慮すれば、本件懲戒処分は重きに失していたと認められる。この点は、別訴判決においても、本件懲戒処分は重きに失しており、裁量権の逸脱又は濫用の違法があると判断されて いるところである。 イそこで、京都市長において、相当性を欠く本件懲戒処分をしたことについて、故意又は職務上の注意義務違反が認められるかについて検討する。 (ア)原告は、被告において公益通報者である原告に対して懲戒処分を強行していることから、不当な本件懲戒処分が故意にされたと主張する。しかし ながら、原告に対する本件懲戒処分に係る懲戒事由の調査が行われたのは、F議員が本件児童の個人情報を知っていたという情報漏えいが発覚したことを受け、情報漏えいの経路を調査する過程において、原告がE弁護士に対して本件虐待事案について内部通報を行っていたこと、京都市児童相談所の職員のうち、原告のみが業務上関係のない児童記録を閲覧していた との調査結果が出たこと、原告が本件新年会及び本件組合交渉において本件虐待事案について言及していたことなどが発覚したこと(前記認定事実(7)イないしカ)などによるものであって、懲戒事由とされたものは公益通報そのものではないことを踏まえると、京都市長において、公益通報者保護法の趣旨に反して本件懲戒処分を強行したとまでは認められず、故 意があったとする原告の主張は採用できない。 また、原告は、保健福祉局やコンプライアンス推進室による事情聴取の際に、誤導や圧迫を用いて原告の児童記録出力の時期を前倒しにする虚偽証拠を作出して、本件懲戒処分が故意にされたとも主張する。しかしながら、児童記録の出力時期について、平成27年1月という日時が出てきたのは、原告が同年11月1 の児童記録出力の時期を前倒しにする虚偽証拠を作出して、本件懲戒処分が故意にされたとも主張する。しかしながら、児童記録の出力時期について、平成27年1月という日時が出てきたのは、原告が同年11月13日の事情聴取の際に、「まあだから1月以降 ですね。」と供述し、同日に「たしか、平成27年1月ころに妹の記録を1部出力しました。」と記載した顛末書を作成していたこと(前記認定事実(7)サ)に端を発することからすれば、被告の担当者が誤導や圧迫を用いたとまで認めることはできず、この点の原告の主張も採用できない。 (イ)もっとも、前記(1)及び(3)のとおり、本件対象行為1及び3が懲 戒事由に当たらず、懲戒事由に当たるとした判断に過失が認められることに加え、京都市長においても本件対象行為2のみであれば減給が相当であると考えていたこと(前記認定事実(7)タ)を踏まえると、本件懲戒処分を選択した京都市長の判断には、職務上の注意義務違反があったと認められる。 (5)以上によれば、京都市長には、本件対象行為1及び3を懲戒事由としたこと及び本件対象行為2を理由に停職3日間の懲戒処分を選択したことについて、職務上の注意義務違反があると認められるから、本件懲戒処分は国家賠償法上違法である。 3 争点2(本件懲戒処分によって生じた損害)について (1)別訴の弁護士費用本件においては、違法な本件懲戒処分が行われなければ、原告が原告代理人に委任して別訴を提起し、弁護士報酬に相当する金員を支出する必要はなかったといえるから、原告が支出した別訴の弁護士報酬は、本件懲戒処分により生じた損害であるというべきである。 そして、原告が別訴において原告代理人に支払った弁護士報酬額は合計16 2万8800円であるところ(前 た別訴の弁護士報酬は、本件懲戒処分により生じた損害であるというべきである。 そして、原告が別訴において原告代理人に支払った弁護士報酬額は合計16 2万8800円であるところ(前記認定事実(9)オ)、同金額は、現在も弁護士報酬の基準として参照されている(旧)日本弁護士連合会報酬等基準に基づいて算定した金額である319万4800円(前記認定事実(9)カ)の半額程度であり、相当な額であると認められるから、その全額が違法な本件懲戒処分と相当因果関係のある損害であると認められる。 (2)慰謝料原告は、違法な本件懲戒処分を受け、同処分が新聞報道もされたことで、相応の精神的苦痛を被ったことが認められる。一方で、本件懲戒処分の懲戒事由の一部の存在は認められ、その内容に比して懲戒処分の選択が重きに失したことによって違法と評価されるものであること、別訴判決により本件懲戒処分が 取り消されたことや、別訴の弁護士費用の賠償が認められることにより、一定程度精神的苦痛は慰謝されること、その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、原告の被った精神的損害に対する慰謝料としては30万円とするのが相当である。 (3)本件訴訟の弁護士費用 本件事案の内容、審理経過、認容額等を考慮すると、本件訴訟の弁護士費用としては、上記(1)及び(2)の合計額である192万8800円の10%に当たる19万2880円と認めるのが相当である。 (4)したがって、原告が違法な本件懲戒処分によって被った損害は、212万1680円であると認められる。 4 争点3(本件各配転命令の違法性)について地方公務員の異動(配転)については、その権限の行使が任命権者の裁量に委ねられているが、その裁量も無制約なものではなく、具体的な異動( 。 4 争点3(本件各配転命令の違法性)について地方公務員の異動(配転)については、その権限の行使が任命権者の裁量に委ねられているが、その裁量も無制約なものではなく、具体的な異動(配転)の命令が当該任命権者に与えられた裁量の範囲を逸脱し、又はその権限を濫用したものと認められる場合には、その職務上の義務に違反し、違法であるといえる。 そこで、本件各配転命令について、任命権者がその与えられた裁量の範囲を逸 脱し、又はその権限を濫用したものといえるか、以下検討する。 (1)本件配転命令1についてア本件配転命令1は、児童相談所が極めてセンシティブな情報を取り扱う部署であり、本件対象行為1ないし3に及んだ原告を引き続き勤務させると、京都市児童相談所の運営や児童及び保護者への支援に悪影響を及ぼすこと が想定されるとして、原告を京都市児童相談所の配置から転出させることを目的に行われたものであり(前記認定事実(8)ア)、本件懲戒処分と密接に関連して行われたものである(前記認定事実(8)オ)。そして、児童相談所が極めてセンシティブな情報を取り扱う部署であることを考慮して配転を検討すること自体は正当なものであるといえる。 しかしながら、本件懲戒処分については、前記2で判示したとおり、本件対象行為1及び3は懲戒事由に該当するものではなく、本件対象行為2は本件行為2の限度で懲戒事由に該当するものの、それのみでは3日間の停職処分とすることが不相当な違法な懲戒処分であるから、このような違法な懲戒処分を前提として行われた本件配転命令1は、本件懲戒処分と同様に事実誤 認と誤った評価をもとに判断されたものとして、任命権者である保健福祉局長の裁量権を逸脱又は濫用しており、職務上の注意義務に違反する違法なも われた本件配転命令1は、本件懲戒処分と同様に事実誤 認と誤った評価をもとに判断されたものとして、任命権者である保健福祉局長の裁量権を逸脱又は濫用しており、職務上の注意義務に違反する違法なものであったといわざるを得ない。 なお、原告は、報復人事という不当な目的の下で故意に本件配転命令1が行われたと主張するが、本件記録上、そこまでの事実を認定することはでき ない。 イこれに対し、被告は、本件行為2のうち特に自宅での本件複写記録の廃棄は非常に軽率な行為であり、本件行為3のうち特に職場外の飲食店において虐待事案という機密性の高い話題を持ち出したことは軽率な行為であったことなどに鑑みれば、原告を引き続き児童相談所において勤務させることが 適切でないとした判断には合理的な理由があると主張する。 しかしながら、確かに原告の行為に軽率な面があったことは否めないものの、前記認定のとおり、原告の廃棄の態様はシュレッダーで裁断したというもので情報が外部に漏えいしないよう配慮はしており、また、飲食店での発言も本件児童の個人情報にまで言及したものではなかったことなどを考慮すると、原告を定例の人事異動とは異なる時期に、緊急避難的に直ちに別の 部署に異動させなければならないほどの必要性があったとまでは認め難い。 (2)本件配転命令2及び3についてア本件配転命令2は、事務職が毎年4月に定期異動で様々な部署に配置され得る中で、原告が保健福祉局以外の局区での勤務も幅広く経験していることなどが考慮されて行われたものであると認められる(前記認定事実(8)ウ)。 原告は、本件配転命令2が報復人事であると主張する。しかしながら、庁内FA制度を利用して異動した職員においても、永続的に希望した部署に配置され続ける地位が られる(前記認定事実(8)ウ)。 原告は、本件配転命令2が報復人事であると主張する。しかしながら、庁内FA制度を利用して異動した職員においても、永続的に希望した部署に配置され続ける地位が得られるものとは認められないことに加え、原告の経歴においても、保健福祉局以外の局区での勤務も幅広く経験しており、それまでの担当業務とは異なる領域の業務を担当することもあり得ることからす れば、原告の希望に沿わない異動であったとしても、原告の主張するような不当な目的の下に行われた配転命令であると認めることはできない。また、原告は、通勤が不便であり左遷であると主張し、それに沿う供述をするが、同一市内での異動であり、身分、俸給等についての変動もないこと(前記認定事実(8)ウ)からすれば、これを左遷であると評価することもできない。 イ本件配転命令3も、事務職の定期異動として行われたものであることからすれば、本件配転命令2と同様に考えることができる。 ウしたがって、本件配転命令2及び3は、いずれも任命権者の合理的な裁量の範囲内で行われたものであり、国家賠償法上違法であるとは認められない。 (3)以上によれば、本件各配転命令のうち、本件配転命令2及び3は国家賠償法 上違法ではないが、本件配転命令1は国家賠償法上違法である。 5 争点4(本件各配転命令によって生じた損害)について(1)慰謝料原告は、違法な本件配転命令1によって、庁内FA制度により希望して配属された京都市児童相談所の職務を途中でやめざるを得なくなり、精神的苦痛を被ったことが認められる。その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、原告 の被った精神的損害に対する慰謝料としては10万円とするのが相当である。 (2)弁護士費用本 なり、精神的苦痛を被ったことが認められる。その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、原告 の被った精神的損害に対する慰謝料としては10万円とするのが相当である。 (2)弁護士費用本件事案の内容、審理経過、認容額等を考慮すると、本件に関する弁護士費用としては、上記(1)の10%に当たる1万円と認めるのが相当である。 (3)したがって、原告が違法な本件配転命令1によって被った損害は、11万円 であると認められる。 6 争点5(本件訓戒処分の違法性)について本件訓戒理由1及び2をもって本件訓戒処分をすることが、国家賠償法上違法といえるかについて検討する。 (1)本件訓戒処分は、本件訓戒理由1及び2の原告の行為を理由とするものであ るところ、これらの行為は、本件対象行為2のうち認定できる本件行為2の内容と同様のものである。そして、これらの行為の存在が認められ、そのうち本件複写記録の自宅への持ち出し行為(本件訓戒理由1)は本件管理基準7条に違反し、本件複写記録を自宅で廃棄した行為(本件訓戒理由2)は本件管理基準9条に違反し、これらの条項は訓令的職務命令に該当するから、本件訓戒理 由1及び2の原告の行為は、職務命令違反の非違行為として地方公務員法32条に違反し、同法29条1項1号及び2号の懲戒事由に該当すると認められることは、前記2(2)アで判断したとおりである。 (2)そして、本件訓戒処分の判断に当たっては、本件訓戒理由1及び2の原告の行為が上記懲戒事由に該当するものであることを前提に、加重事由として、本 件複写記録が個人情報の中でも極めて機密性、プライバシー性の高い情報であ ること、原告が監察主幹から本件複写記録の返却を指示され又は促され、返却に同意したにもかかわらず自宅で廃棄しており、 件複写記録が個人情報の中でも極めて機密性、プライバシー性の高い情報であ ること、原告が監察主幹から本件複写記録の返却を指示され又は促され、返却に同意したにもかかわらず自宅で廃棄しており、情報漏えいを防ぐ正当な目的の実現を妨げ、監察業務への調査協力義務にも反していることその他の事情が考慮され、一方で、斟酌事由として、自宅への持ち出し行為は、2回目の内部通報に付随するもので、職務上の関心に起因し、証拠保全ないし自己防衛目的 であったから、その原因や動機において強く非難すべきとはいえないこと、廃棄行為は、証拠隠滅を図るなどの不当な動機や目的があったとは考え難く、廃棄の態様も自宅のシュレッダーでの裁断という、情報が外部に漏えいしないよう配慮したもので、悪質性が高いといえないことその他の事情が考慮され、これらを総合的に考慮して、厳重文書訓戒を行うこととされたものである(前記 認定事実(10)ウ)。 (3)原告は、本件訓戒理由1及び2をもって本件訓戒処分をすることは、別訴判決の拘束力(行政事件訴訟法33条1項)に反し、違法であると主張するので、この点について判断する。 ア行政事件訴訟法33条1項は、処分又は裁決を取り消す判決は、その事件 について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束すると定めており、取消判決が確定した場合には、処分行政庁は、同一の事情の下で同一の理由により同一内容の処分を繰り返すことができず、判決主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断について取消判決の認定判断に抵触する認定判断をすることができないとの拘束を受ける(最高裁昭和63年 (行ツ)第10号平成4年4月28日第三小法廷判決・民集46巻4号245頁参照)。 イ本件訓戒処分について検討すると、京都市長は、別 することができないとの拘束を受ける(最高裁昭和63年 (行ツ)第10号平成4年4月28日第三小法廷判決・民集46巻4号245頁参照)。 イ本件訓戒処分について検討すると、京都市長は、別訴判決における懲戒事由該当性に関する事実認定や量定に関する事情及び評価を前提として、厳重文書訓戒という先行処分とは異なる処分を行ったものであるから、その点に おいて本件訓戒処分は行政事件訴訟法33条1項に反するものではない。 ウ原告は、本件訓戒理由1について、別訴判決において、本件複写記録の持ち出し行為については、証拠保全又は自己防衛の重要な目的があり、強く非難すべき点は見出し難いと認定されているのに、本件訓戒処分を行って強く非難することは行政事件訴訟法33条1項に反し許されないと主張する。 しかしながら、京都市長は、前記(2)のとおり、原告の持ち出し行為が その目的において強く非難すべきとはいえないことを斟酌事由として考慮した上で、懲戒事由と認められた行為について、裁量の範囲で、懲戒処分よりも軽いけん責処分としたものであるから、原告主張の点をもって別訴判決の拘束力に反するものとは認められないし、その判断に裁量権の逸脱又は濫用があったとも認められない。 エまた、原告は、本件訓戒理由2について、別訴判決が本件複写記録の返却についてどれほど被告が重視していたか明らかでないと認定しているのに、返却するよう指示を受けていたことを前提に本件訓戒処分をするのは行政事件訴訟法33条1項に反し許されないと主張する。 しかしながら、別訴判決は、原告がH部長から本件複写記録を返却するよ う指示された事実を認定している上(前記前提事実(7)ウ(エ))、本件訓戒理由2は、別訴判決における原告主張の上記判示部分(甲114・2 、別訴判決は、原告がH部長から本件複写記録を返却するよ う指示された事実を認定している上(前記前提事実(7)ウ(エ))、本件訓戒理由2は、別訴判決における原告主張の上記判示部分(甲114・25頁、30頁)も踏まえて、「返却するよう指示されていたか、少なくとも促されていたにもかかわらず」としていることに照らせば、原告主張の点をもって本件訓戒処分が別訴判決の拘束力に反するものとは認められないし、京 都市長の判断に裁量権の逸脱又は濫用があったとも認められない。 オその他、本件訓戒処分が行政事件訴訟法33条1項に反する違法があると認めるべき事情はない。また、被告は、本件訓戒処分について、原告にその責任を自覚させ、服務の厳正を保持するために指導監督上の措置として行ったものである旨を主張しているところ、前記(1)のとおり、本件訓戒理由 1及び2の原告の行為が懲戒事由に該当すると認められる以上、指導監督上 の措置を行う必要性がないとはいえず、京都市長の判断にその裁量権の逸脱又は濫用があったと認めることはできない。 (4)以上によれば、本件訓戒処分が国家賠償法上違法であると認めることはできない。したがって、本件訓戒処分の違法を理由とする原告の損害賠償請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。 7 争点7(本件付帯決議の違法性)について(1)原告は、京都市会の行った本件付帯決議の内容が別訴判決の認定に反しており、原告の名誉権・人格権を侵害するものであるとした上で、その原因は、被告の執行機関が別訴判決を曲解・誤読し、その京都市会に対する説明内容が不十分かつ虚偽内容を含むものであったことにあると主張する。 しかしながら、市議会の行う付帯決議は、市議会としての事実上の意思表明であり、法的 ・誤読し、その京都市会に対する説明内容が不十分かつ虚偽内容を含むものであったことにあると主張する。 しかしながら、市議会の行う付帯決議は、市議会としての事実上の意思表明であり、法的な拘束力を有さず、市長等にこれを尊重する政治的、道義的な責務を負わせる性質のものである。そして、本件付帯決議についても、基本的には京都市長等を名宛人としてその体制の不備を指摘するものと解され、また、京都市会は行政事件訴訟法33条1項の効力が及ぶ「関係行政庁」には該当し ないから、本件付帯決議の内容に別訴判決の認定に反する部分が含まれていたとしても、このことが直ちに確定判決の拘束力に反するものではないし、また、このことをもって直ちに原告個人の名誉権や人格権が侵害されたとして被告の損害賠償責任が認められるものでもないと解される。 (2)もっとも、京都市長その他の執行機関は、京都市会に対して議案の説明をす る際には、正確な説明をすべきであり(京都市会基本条例3条、京都市会会議規則37条、90条参照)、その説明内容が著しく不相当であったために不利益を受けた第三者がいた場合に、当該第三者との関係でその説明義務違反による責任が生じる余地がないともいえないと解される。そこで、被告の執行機関において、別訴判決を曲解・誤読し、京都市会に対する説明内容が不十分かつ 虚偽内容を含むものであったといえるかについて検討する。 ア本件質疑1について、原告は、K議員が、F議員への情報漏えいの問題で原告が本件懲戒処分を受け、別訴判決はF議員への情報漏えいに関して原告に問題があったと認定した旨の誤った認識を前提に質問をしたのに、L監察員がその事実誤認を正さずに助長したと主張する。 しかしながら、本件質疑1におけるやり取り(前記認定事実( 情報漏えいに関して原告に問題があったと認定した旨の誤った認識を前提に質問をしたのに、L監察員がその事実誤認を正さずに助長したと主張する。 しかしながら、本件質疑1におけるやり取り(前記認定事実(11)イ(ア)) をみると、確かにK議員の事実認識には誤解があったことが窺われるものの、その質問に対してL監察員が回答した内容自体には事実に反するものは含まれておらず、L監察員がK議員らの事実誤認を助長したとまでは認められない。 イ本件質疑2について、原告は、M監察監が、原告の行為によって児童記録 が外部に流出したように述べ、別訴判決の認定に反する虚偽説明を行ったと主張する。 しかしながら、本件質疑2におけるやり取り(前記認定事実(11)イ(イ))をみると、本件懲戒処分に至る調査の端緒となったF議員への情報漏えいの問題を前提に、M監察監は「本件事案」と称しているものと解され、その回 答内容において、原告が情報漏えいをしたとの説明はしていないことからすれば、M監察監が別訴判決の認定に反する虚偽説明をしたとまでは認められない。 ウ本件質疑3について、原告は、L監察員が、原告の児童記録閲覧について業務上の必要性に基づくものであったという別訴判決の認定についての説 明を欠落させてこれを怠ったと主張する。 しかしながら、本件質疑3におけるやり取り(前記認定事実(11)イ(ウ))において、L監察員がその回答内容に上記説明を含めなかったことをもってその説明が著しく不十分であったとまではいえない。 エまた、被告の執行機関による京都市会への説明内容としては、その説明の ための資料として想定問答(乙26)が存在するところ、その内容(前記認 定事実(11)ア)をみても、著しく不相当な内容であるとまで 機関による京都市会への説明内容としては、その説明の ための資料として想定問答(乙26)が存在するところ、その内容(前記認 定事実(11)ア)をみても、著しく不相当な内容であるとまではいえない。 (3)以上によれば、被告の執行機関において、別訴判決を曲解・誤読し、京都市会に対する説明内容が不十分かつ虚偽内容を含むものであったとまではいえず、本件付帯決議に係る違法を理由とする原告の損害賠償請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。 第5 結論以上によれば、原告の請求は、違法な本件懲戒処分によって生じた損害賠償金212万1680円及びこれに対する違法行為の日である平成27年12月4日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払と、違法な本件配転命令1によって生じた損害賠償金11万円及びこれに対す る違法行為の後である平成28年4月18日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。 よって、原告の請求は主文第1項の限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。なお、仮執行免脱宣言は相当でないからこれを付さないこととする。 京都地方裁判所第6民事部 裁判官児玉禎治 裁判官堀田康介 裁判長裁判官池田知子は、転補のため、署名押印できない。 裁判官児玉禎治 (別紙)関連法令等 地方公務員法(懲戒) 第29条職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し 判官児玉禎治 (別紙)関連法令等 地方公務員法(懲戒) 第29条職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。 一この法律若しくは第57条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合二職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合 三全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)第32条職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。 (秘密を守る義務)第34条職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。(以下省略)(職務に専念する義務)第35条職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべ き責を有する職務にのみ従事しなければならない。 電子情報等の保護に関する管理基準(乙21)(目的)第1条この基準は、別に定めるもののほか電子情報及び入出力帳票(以下「電子情 報等」という。)の取扱いに当たり、漏えい、改ざん、滅失、毀損その他の事故を 防止するために必要な事項を定める。 (重要性の分類)第4条電子情報等は、以下に従って重要性を分類するものとする。 (1)重要性Ⅰアプライバシーに関する情報 個人に関して、通常他人に知られたくないと認められる情報イ以下(省略) 条電子情報等は、以下に従って重要性を分類するものとする。 (1)重要性Ⅰアプライバシーに関する情報 個人に関して、通常他人に知られたくないと認められる情報イ以下(省略)(電子情報等の利用)第5条職員は、電子情報等を業務の遂行以外の目的で利用してはならない。 (電子情報等の持出し) 第7条職員は、職務上必要なとき以外は、電子情報等を庁外に持ち出してはならない。 2 職員は、電子情報等を庁外に持ち出すとき、情報セキュリティ担当者の承認を得なければならない。 3 職員は、重要性Ⅰに該当する電子情報等を、庁外に持ち出してはならない。ただ し、職務上必要なときは、情報セキュリティ統括者が定めた場合に該当し、情報セキュリティ担当者が承認したときに限り、持ち出すことができる。 4以下(省略)(入出力帳票の廃棄)第9条職員は、入出力帳票の廃棄に当たり、情報の漏えい等の事故を防ぐよう適切 に処分しなければならない。 京都市会基本条例(甲130)(市会の位置付けと役割)第3条議員及び市長が、共に市民により直接選挙される市民の代表である一方、単 独で権限を行使する市長に対し、市会は、広く公選で集まった多数の議員からなる 議決機関であることに鑑み、市会は、主として次に掲げる役割を果たすものとする。 (1)(省略)(2)市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)による市政運営が適正に行われているかを監視すること。 (3)(省略) (4)市長等との議論を通じてより良い政策及び施策の実現に努めること。 (5)(以下省略)(市長との関係)第16条市会は、二元代表制の下、市長と相互に対等な立場で適切な緊張関係を保ちながら、市政を運営するものとする。 より良い政策及び施策の実現に努めること。 (5)(以下省略)(市長との関係)第16条市会は、二元代表制の下、市長と相互に対等な立場で適切な緊張関係を保ちながら、市政を運営するものとする。 (監視機能の充実及び教科)第17条市会は、市長等に対する監視機能を充実し、強化するものとする。 京都市会会議規則(甲131)(議案等の説明、質疑及び委員会付託) 第37条会議に付する事件は、第97条(請願の委員会付託)に規定する場合を除き、会議において提出者の説明を聞き、議員の質疑があるときは質疑の後、議長が所管の常任委員会又は市会運営委員会に付託する。(ただし書以下省略)(一般質問)第90条議員は、市の一般事務につき、執行機関に質問することができる。 2以下(省略)
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