昭和23(れ)1852 詐欺

裁判年月日・裁判所
昭和24年5月7日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 名古屋高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。          理    由  弁護人高野貞三の上告趣意第一点について。  原判決が証拠により確定した事実は、被告人が、前後一六回に亘り、区役所経済 係

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判決文本文1,978 文字)

主文本件上告を棄却する。 理由弁護人高野貞三の上告趣意第一点について。 原判決が証拠により確定した事実は、被告人が、前後一六回に亘り、区役所経済係員又は主食配給所主任に対し他人名義の転出入証明書若しくは主食配給通帳等の書類を提示した上、その各他人が外食券や主食の交付若しくは配給を望んでいるから、その各他人のためにこれを交付若しくは配給せられたいと、虚構の事実を申し向け、相手方をして真実その各他人がそれ等の交付若しくは配給を望んで居り被告人がそれ等の者のために受領に来たものと誤信させ、それ等を交付させて騙取したという事実であると解せられる。 それ故被告人が証明書等を提示しただけで右のように虚構の事実を申し向けたことがないと主張する論旨前半は、原審の事実認定を攻撃するもので、上告の適法な理由とならない。 そして他人のために外食券や主食の交付若しくは配給を受ける正当な権限がないのに、右のような手段方法により、相手方をしてその権限があるものと誤信させて、それ等の物を交付させれば、その際使用した証明書や配給通帳等が真正に成立したものであると否とにかゝわらず、他人を欺罔して財物を騙取した点において、刑法第二四六条第一項の詐欺罪が成立するものといわなければならない。右の場合証明書や通帳等が真正に成立したものであつたとすれば、外食券や主食の交付若しくは配給について何人が責任を負い損害を負担するか等のことが問題になるであろうが、それ等のことは本件詐欺罪の成否には関係のないことである。それ故、原判決が証明書や通帳等が偽造のものであるか否かを確定判示しなかつたからといつて、罪とならない事実を罪とした違法又は審理不尽若しくは理由不備の違法があるとはいえ- 1 -ない。 同第二点について。 三食者外食券 帳等が偽造のものであるか否かを確定判示しなかつたからといつて、罪とならない事実を罪とした違法又は審理不尽若しくは理由不備の違法があるとはいえ- 1 -ない。 同第二点について。 三食者外食券は、勿論外食の際代金は支払わなければならないが、それがあれば引換えに主食類を入手することができるもので、財産権の目的になるから、刑法第二四六条第一項の財物である。それ故これを騙取した所為に対し同条第二項ではなく第一項を適用した原判決は正当である。 同第三点について。 原判決は、第三の事実として、騙取した物が米約一斗五升と芋粉約二貫であることを明示しているから、所論は失当である。 同第四点について。 原判決が証拠として挙示している、名古屋市a区役所経済係員Aの詐欺顛末書及び同b区役所経済係員Bの上申書によれば、当時名古屋市において発行されていた三食者外食券が一枚六〇瓦のものであつたことが認められるばかりでなく、主食の受配量は年令によつて異なり、外食券は当該請求者の一定期間に対する受配量の全額に対して交付されるのであるから、被告人が騙取した三食者外食券の枚数が、所論のように一人一日三枚の割で計算した枚数と一致しないことは必ずしも怪しむに足りないことである。そして原判決の挙示する証拠によれば、右の枚数が判示のとおりであることは認めることができるから、原判決には所論のように理由そごの違法があるとはいえない。 同第五点について。 所論は原判決の量刑を非難するもので、上告の適法な理由とならない。 同第六点について。 原判決が判示第一の事実について詐欺罪の成立を認めた所以のものは、論旨第一点について説明したとおり、他人のために外食券等の交付を受ける正当な権限がな- 2 -いのに、他人名義の書類を提示した上その権限があるように虚構の事実を申し向け、 成立を認めた所以のものは、論旨第一点について説明したとおり、他人のために外食券等の交付を受ける正当な権限がな- 2 -いのに、他人名義の書類を提示した上その権限があるように虚構の事実を申し向け、相手方をしてその旨を誤信させて外食券等を交付させたという点にあるのであつて、同第二の(一)乃至(一四)の事実の冒頭に「前同様の方法に依り各係員を前同様誤信させて」と判示してあるのも、要するにその趣旨であると認められる。それ故右第二の(一)乃至(一四)の犯行の中に、所論のように、他人名義の転出入証明書自体ではなくて、右証明書を使用して既に区役所から交付を受けて所持していた三食者外食券の表紙を提示した場合があつたとしても、詐欺罪の判示として不備のあるものとはいうことができない。 以上の次第であるから、刑訴施行法第二条旧刑訴第四四六条に則り主文のとおり判決する。 右は全裁判官一致の意見である。 検察官橋本乾三関与昭和二四年五月七日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官霜山精一裁判官栗山茂裁判官小谷勝重- 3 -

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