平成24(行ウ)295

裁判年月日・裁判所
平成27年2月16日 大阪地方裁判所
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判決文本文61,645 文字)

主文 1 大阪市病院局長が原告に対し平成24年8月28日付けでした戒告処分を取り消す。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用はこれを3分し,その1を被告の,その余を原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 主文第1項同旨 2 被告は,原告に対し,50万円及びこれに対する平成24年8月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要被告は,平成26年9月30日まで市民病院事業を行っており,大阪市病院局長(以下「病院局長」という。)は,被告の設置する病院の職員(看護師)であった原告に対し,同人が入れ墨の有無等を尋ねる調査に所定の書面で回答しなかったことが職務命令違反(地方公務員法(以下「地公法」という。)32条)に当たるとして,同法29条1項1ないし3号並びに職員基本条例28条1項及び別表11号に基づき,懲戒処分としての戒告処分(以下「本件処分」という。)をした。 本件は,原告が,上記調査は憲法13条等に違反する違憲・違法な調査であるから,上記調査に回答するよう命じた職務命令及び本件処分も違法であるとして,本件処分の取消しを求める(以下,この訴えを「本件取消しの訴え」といい,当該請求を「本件取消請求」という。)とともに,上記調査及び本件処分等により精神的損害を被ったとして,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき,慰謝料50万円の損害賠償及びこれに対する違法行為の最終日である平成24年8月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(以下,当該請求を「本件損害賠償請求」 という。)事案である。 1 関係法令等の定め本件に関係する法令及び大阪市長が制定した規則(地方自治法15条1項。 による遅延損害金の支払を求める(以下,当該請求を「本件損害賠償請求」 という。)事案である。 1 関係法令等の定め本件に関係する法令及び大阪市長が制定した規則(地方自治法15条1項。 「規程」という名称のものも含む。)等は,別紙「関係法令等の定め」のとおりである(別紙中の略称は本文においても同様に用いる。)。 2 前提事実当事者間で争いのない事実,括弧内掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。(以下,特記しない限り,日時は平成24年を指す。)(1) 当事者等ア(ア) 被告は,普通地方公共団体であり,平成26年9月30日まで,大阪市病院局(以下,単に「病院局」という。)を設けて,市民病院事業を経営しており,病院局長はその管理者であった(地方公営企業法施行令1条1項,平成26年大阪市条例第90号による廃止前の大阪市市民病院事業の設置等に関する条例2条3項,4条,地方公営企業法9条2号)。(乙37)平成24年4月1日当時の被告の職員数は3万6615名,病院局の職員数は1957名であった。(乙36)(イ) 被告は,平成26年10月1日付けで病院局を廃止し(大阪市市民病院事業の設置等に関する条例を廃止する条例(前記平成26年大阪市条例第90号)),その事業を,同日設立された地方独立行政法人大阪市民病院機構(以下,単に「市民病院機構」という。)に移転し,病院局に所属していた職員は,市民病院機構に引き継がれた(地方独立行政法人大阪市民病院機構への職員の引継ぎに関する条例(同年大阪市条例第74号))。(乙55,56)イ原告は,看護師免許を有し,昭和52年4月1日,被告に看護師として任用され,一貫して,被告の経営する病院において,看護師としての 関する条例(同年大阪市条例第74号))。(乙55,56)イ原告は,看護師免許を有し,昭和52年4月1日,被告に看護師として任用され,一貫して,被告の経営する病院において,看護師としての 業務に従事した。異動の経歴は次のとおりであり,本件処分当時はE病院に勤務していた。(甲33,乙61)昭和52年4月1日 A病院へ配属昭和55年4月10日 B病院へ異動昭和59年4月9日 C病院へ異動平成15年4月7日 D医療センターへ異動平成23年4月1日 E病院へ異動(2) 入れ墨に関する調査の端緒ア 2月28日,F新聞は「施設職員が虐待児恫喝入れ墨を見せ暴言繰り返す大阪市処分せず賞与査定は大甘」との見出しで,「大阪市立児童福祉施設に勤務する30代の男性職員(以下「本件施設職員」という。)が,子供たちに自分の入れ墨を見せ,暴言を吐いたりしたことが市側の調査で判明したにもかかわらず,市が処分せず,公表も見送っていたことが27日,分かった」,「昨年(平成23年)4月以降,この職員が『自分の腕の入れ墨を子供たちにみせている』『あほ,ぼけ,殺すぞといった暴言と恫喝(どうかつ)を児童に繰り返している』との告発が市側に複数寄せられた」,「市は調査結果で児童に対する問題行動もあったと認定したにもかかわらず,この事実は処分対象とせず,停職後は同じ職場に復帰させた」などと報道した(以下「本件新聞報道」という。)。(乙6)また,2月29日,G新聞は「子らに入れ墨見せ暴言もセクハラ停職の大阪市職員」との見出しで,本件施設職員が「職場の児童福祉施設で子どもや同僚に二の腕に入れた入れ墨を見せたり怒鳴ったりしていたことがわかった。市はこうした勤務態度 に入れ墨見せ暴言もセクハラ停職の大阪市職員」との見出しで,本件施設職員が「職場の児童福祉施設で子どもや同僚に二の腕に入れた入れ墨を見せたり怒鳴ったりしていたことがわかった。市はこうした勤務態度も処分の対象にしていたが,公表しなかった」,「市は処分理由を『セクハラ』としか公表せず,昨冬のボーナス支給の際の勤務査定は5点評価で特に問題がない『3以上』にした」などと報道した。(乙7) イ 3月8日,被告の定例常任委員会において,H委員が本件新聞報道につき質問し,Iこども青少年局長は,本件施設職員が入れ墨を入れているのは間違いないが,入れ墨を児童に見せて恫喝したとの事実は確認できなかった旨回答した。(甲11,乙30)ウ被告は,3月21日,市長Jを委員長とする大阪市服務規律刷新プロジェクトチーム(以下「服務OT」という。) を設置した。 (乙8)エ同日,服務OTの第1回会議が開催され,全職員に対して入れ墨の有無等を調査するとの方針が決定された。 (3) 入れ墨に関する調査ア上記服務OTの方針決定を受け,病院局長は,各病院長及び総務部各課長に対して5月1日付け「入れ墨に関する調査について(依頼)」と題する書面を発出し,同書面添付の調査実施要領(以下「本件調査実施要領」という。)に基づき入れ墨に関する調査を実施するよう依頼し,翌2日付けで,職員に対し,「入れ墨に関する調査について(依頼)」と題する同局長名義の書面及び調査票を配布して,本件調査実施要領に基づき,調査を実施した。(甲1,乙1)イ本件調査実施要領は,調査の目的,調査方法等につき,概要,以下のとおり説明している。(乙1)[目的]【1】 本件新聞報道にもあるように,被告職員の入れ墨が社会問題となっており,人事配置上の配慮 施要領は,調査の目的,調査方法等につき,概要,以下のとおり説明している。(乙1)[目的]【1】 本件新聞報道にもあるように,被告職員の入れ墨が社会問題となっており,人事配置上の配慮等を行う観点から,日常生活を行う上で目視可能な部位への入れ墨の有無を把握するため,全職員に対し記名式の調査を実施する。 【2】 入れ墨に関わる服務のルールを検討するに当たり,被告として,職員の実態を把握する必要があるため,肩から手の指先まで及び首から上,膝から足の指先までの部分以外に入れ墨のある職員に対し,任 意回答による調査を実施する。 (以下,上記【1】の調査を「本件調査」といい,同【2】の調査を「本件任意調査」という。)[対象者等]対象者全職員(非常勤嘱託職員及びアルバイト職員を除く。)調査期間 5月1日から同月10日[調査方法等]全職員に調査票を配布・回収のうえ,各所属において集計表及び一覧表を作成。調査票について,作成日及び氏名は,原則として自署で記入。ただし,本件任意調査用の調査票については,対象箇所に入れ墨のない職員は提出不要。 [提出書類等]調査票の原本,集計表及び一覧表を5月11日までに担当者に提出。 ウ本件調査用の調査票(甲1及び乙1の別紙1-1。以下「本件調査票」という。)には,作成日,所属名,課・事業所名・職員番号及び署名を記入する欄があり,肩から手の指先,首から上,膝から足の指先までの部位(以下「本件調査対象部位」という。)に入れ墨(ただし,アートメイク(化粧の一部として眉,アイライン,唇の皮膚に針等で色素を入れる施術)を除く。以下同じ。)をしているか,入れ墨をしている部位はどこか及び入れ墨の大きさはどのくらいかとの質問事項が記載されている。(甲1,乙1。以下,本 ,アイライン,唇の皮膚に針等で色素を入れる施術)を除く。以下同じ。)をしているか,入れ墨をしている部位はどこか及び入れ墨の大きさはどのくらいかとの質問事項が記載されている。(甲1,乙1。以下,本件調査の対象となる入れ墨の有無,部位及び大きさについての情報を「本件入れ墨情報」という。)エ本件任意調査用の調査票には,作成日,所属名,課・事業所名・職員番号及び署名を記入する欄があり,入れ墨をしている部位はどこか,入れ墨の大きさはどのくらいか,入れ墨をした時期はいつ頃かとの質問事項が記載されている。また,同調査票には,本件調査対象部位以外の部位に関しては「あくまでも,任意回答であり,回答しなかったことによ り不利益な取り扱いを受けることはないが,できる限り,職員各位の協力を願いたい」,「任意調査対象箇所に入れ墨のない職員は,回答不要」との説明が付記されている。(甲1,乙1)オ病院局以外の被告の組織においても,大阪市教育委員会(以下「市教委」という。)を除き,本件調査実施要領記載の方法により入れ墨の有無等に関する調査が実施された(以下,被告で実施した本件調査と同様の方法による調査全体を「本件全体調査」という。)。 カなお,市教委では,前記服務OTの方針決定を踏まえ議論した結果,学校園に勤務する教職員に対し,入れ墨の有無等に関する調査を実施したが,教職員に入れ墨の有無等の回答を義務付けることなく,職務上において児童,生徒等の目に触れる可能性のある所に入れ墨がある場合は,その旨を申告することを求めるとの方法により実施した。 (甲13ないし16)(4) 本件調査の実施状況及び原告の対応ア 5月10日,原告は本件調査票を提出していなかったため,看護部長から,電話で,そのことについて問われたが,提出しな (甲13ないし16)(4) 本件調査の実施状況及び原告の対応ア 5月10日,原告は本件調査票を提出していなかったため,看護部長から,電話で,そのことについて問われたが,提出しない旨回答した。 (甲33)イ 5月16日,第2回服務OT会議において本件全体調査の中間報告がされた。同日の時点で調査対象職員数は3万3546名,回答済み職員数は3万3033名,本件調査対象部位に入れ墨をしている職員数は98名,未回答者は513名であり,病院局については,調査対象者数は1966名,回答済み職員数は1958名であり,本件調査対象部位に入れ墨をしている職員数は0名であった。(乙17)ウ 5月21日,原告は,K職員課長から,本件調査票を提出しないことについて確認されたが,自分の信条に基づき提出しない旨答えた。(甲33,乙47)エ 5月25日,原告は,L管理課長から,本件調査票を提出しない理由 を尋ねられた。原告は,暴力団関係者の入れ墨と,最近の若者がするタトゥーなどを一緒にすることは疑問であること,入れ墨があっても社会的に認められて公職に就く者もあること,人体図に入れ墨の部位等を書き込ませる本件調査票の形式にも個人的に嫌悪感を覚えていることなどの意見を述べて本件調査票の提出を拒み,飽くまで本件調査票の提出を求めるL管理課長との間で,議論は平行線のまま,面談は終了した。 (甲33,乙53)オ 6月5日,第3回服務OT会議において本件全体調査の最終結果が報告された。調査対象者数は3万3537名,回答済み職員数は3万3507名,本件調査対象部位に入れ墨を入れている職員数は98名,未回答の職員は30名(ただし,入院中などの理由で回答が不可能な職員15名を含む)であった。病院局については,調査対象職 職員数は3万3507名,本件調査対象部位に入れ墨を入れている職員数は98名,未回答の職員は30名(ただし,入院中などの理由で回答が不可能な職員15名を含む)であった。病院局については,調査対象職員数は1966名,回答済み職員数は1963名,本件調査対象部位に入れ墨を入れている職員数は0名,未回答職員数は3名であり,入院中などの理由で回答が不可能な職員が2名,調査への回答を拒否したのは原告のみであった。(乙18)カ 7月13日の時点で,被告全体では13名,病院局では原告のみが回答を拒否していたところ,病院局長は,同日,原告に対し,職務命令として,同月27日までに本件調査に回答することを命じ(以下「本件職務命令」という。),それに従わない場合は,地公法29条1項の規定により懲戒処分が行われることがある旨警告した。 (甲3,乙2)キ 7月26日,原告は,L管理課長に対し,本件調査票を提出しない旨を伝えようとしたが,同人が不在であったため,伝言を依頼した。 (甲33)ク 7月30日,同日,病院局長は,L管理課長を通じ,原告に対し,警告書(甲4,乙3)を交付して,本件調査に回答しないことは,地公法 32条が定める上司の職務命令に従う義務に違反し,同法29条1項1号が定める懲戒事由に当たるとして,直ちに回答するよう警告したが,原告はこれに応じなかった。(甲4,乙3)ケ 8月13日,原告の勤務終了後,L管理課長は原告に対し,始末書を提出するよう要請したが,原告はこれを拒否した。(甲33,乙53)(5) 本件処分ア 8月28日,病院局長は,原告が本件調査に回答しなかったことが地公法29条1項各号の定める懲戒事由に当たるとして原告を懲戒処分として戒告した(本件処分)。(甲5,6,乙4,5)イ原告は, ア 8月28日,病院局長は,原告が本件調査に回答しなかったことが地公法29条1項各号の定める懲戒事由に当たるとして原告を懲戒処分として戒告した(本件処分)。(甲5,6,乙4,5)イ原告は,本件処分を受けたことにより,12月支給の勤勉手当を15%減額された。(甲36)ウなお,病院局長以外の任命権者が行った調査の対象者で原告と同様に本件全体調査に回答しなかった職員5名も原告と同様に戒告処分とされた。(乙21)エ 9月19日,原告は,L管理課長に対して,入れ墨がない旨申告し,患者と接しない職場への異動をしないようにしてほしいと要請した。 (甲33,乙53,証人L7頁・8頁,原告本人15頁・16頁)オ平成26年10月1日付けで病院局が廃止されたことにより,本件処分に係る事務は大阪市長が承継した。 3 争点(1) 本件取消しの訴えの適法性(訴えの利益の有無・本案前の争点)(2) 本件職務命令の適法性(3) 本件処分の違法性(4) 本件損害賠償請求権の存否 4 当事者の主張(1) 本件取消しの訴えの適法性(訴えの利益の有無・本案前の争点)(被告の主張) ア原告は,市民病院機構の成立に伴い,その職員となったため,被告の職員としての身分を喪失した。 イ本件処分は,職員の責任を指摘してその将来を戒める戒告処分にすぎず,法律上,それ自体によって職員の法的地位に直接の職務上ないし給与上の不利益を及ぼすものではない。 ウ(ア) 原告は,勤勉手当を削減されているが,勤勉手当は,職員の勤務成績に応じ,かつ,経営の状況その他の事情を考慮して支給されるものであり(給与条例13条),人事考課の総合的な結果であって,本件処分による直接的な法的効果ではない。 (イ) 戒告 員の勤務成績に応じ,かつ,経営の状況その他の事情を考慮して支給されるものであり(給与条例13条),人事考課の総合的な結果であって,本件処分による直接的な法的効果ではない。 (イ) 戒告処分により,一般に,当該職員の昇給の号級数が減じられるものの(大阪市病院局企業職員の初任給及び昇給等の基準に関する規程14条(1)),原告は,本件処分当時,既に原告の属する職務の最高の号級の号数に至っており,戒告処分による昇給への影響はない。 (ウ) 職員基本条例43条は,職務命令違反を一定回数繰り返した職員について,分限免職処分を行うことができると定めているが,原告は,被告の職員としての地位を喪失したから,同条の適用はない。 (エ) 勤務評定(人事評価)は,職員の資質・能力及び勤務意欲の向上を図ることを目的として,評価者が,評価期間における職務遂行を観察し,業績・能力を客観的に評価するものであるところ,仮に,本件処分がこれに影響を与える可能性があるとしても,総合考慮される事情の中の一つにすぎない上,その影響も事実上のものである。 (オ) 再任用についての影響は,原告はいまだ定年に達しておらず,その可能性は将来の抽象的なものにすぎない上,そもそも再任用は任命権者の裁量によるものであって,具体的権利ではない。選考においては,勤務実績等を総合的に評価・判断するのであり,本件処分が斟酌されるとしても,それは事実上のものにとどまる。これらを踏まえれば,本件処分が再任用において斟酌される可能性は,訴えの利益を 基礎付ける法律上の利益たり得ない。 (カ) 本件処分により,市民病院機構において原告に支払われる給与や昇給,処遇,将来の退職手当の通算期間や金額等に何らの影響はない。 エしたがって,本件取消しの訴えに り得ない。 (カ) 本件処分により,市民病院機構において原告に支払われる給与や昇給,処遇,将来の退職手当の通算期間や金額等に何らの影響はない。 エしたがって,本件取消しの訴えに係る法律上の利益(行政事件訴訟法9条1項)は既に失われたから,同訴えは却下されるべきである。 (原告の主張)争う。原告には,次のとおり,本件処分の取消しによって回復すべき法律上の利益がある。 ア原告は,平成24年12月の期末手当に関し,期末手当・勤勉手当規程12条9項1号及び本件運用基準に基づき,勤勉手当の減額がされている。これは,戒告処分を受けた職員に対し,正にその事実を理由として機械的に手当が減額されるものであり,処分に直結した給与上の不利益である。 イ退職金の算定や勤務評定において本件処分が考慮され,その結果退職金や給与の額に影響が生ずる可能性があるほか,再任用時の選考における勤務実績において考慮される可能性があるなど,原告は,本件処分において現実の不利益を被っている。 (2) 本件職務命令の適法性(被告の主張)ア憲法13条及び21条違反について(ア) 本件調査に至る経緯a 本件施設職員は,平成8年頃から入れ墨を施術しており,従前は被告環境局M(以下「M」という。)で勤務し,長袖を着用していたが,平成21年4月から児童福祉施設で調理員として勤務することとなり,同職員の入れ墨が児童らに見える状況となった。 被告は,公益通報を受け,上記職員に対し入れ墨や恫喝行為等に 関する調査を行ったところ,同職員が入れ墨をしているとの事実は認められたものの,所属としては一定の対応を行っているものと判断し,今後も引き続き指導等を行うことになった。 しかし,上記職員が従前の職場に復帰 査を行ったところ,同職員が入れ墨をしているとの事実は認められたものの,所属としては一定の対応を行っているものと判断し,今後も引き続き指導等を行うことになった。 しかし,上記職員が従前の職場に復帰した際,その対応を批判する「市民の声」が寄せられた。 b 本件施設職員の現場復帰にはこれを批判する「市民の声」が寄せられ,さらに,本件新聞報道が大々的になされ,社会的問題として取り上げられた。これを受けて,上記職員の入れ墨問題に関し,膨大な数に上る「市民の声」が寄せられ(乙29),また,民意を代表する市議会からも,人事配置上の措置など,指導にとどまらない対応を求める発言がなされるという状況に至った(乙30ないし35,46,54(4頁))。 c 被告では,従前から服務規律の弛緩が社会的非難の的となっており,当時も喫煙やマイカー通勤など様々な服務規律上の問題への取組が喫緊の課題となっていた。職員の入れ墨についても,判明するたびに個別の指導等で対応するという従前の対応では,市民の負託を受け公務を遂行する被告にあって,市民の感情・心情をないがしろにするものとして,一層市民からの信頼を失墜しかねないことから,被告全体として,職員の入れ墨に対して取り組む必要があるとの判断に至った。こうして,前記の各検討課題も含め,服務規律の厳格化と服務規律確保に向けた具体的な方策の策定及び取組の推進を目的に,市長をトップとし,他任命権者を含む各局長を委員とする服務OTを設置することとした。 d 第1回服務OT会議では,職員の入れ墨問題に関しては,全職員対象の調査をする方針が決定され,人事室で検討することになった。 その方針に基づき,人事室において,具体的な調査の対象,範囲,方法や,個人情報保護条例との関係について,複数の法律家の意見 も踏ま 調査をする方針が決定され,人事室で検討することになった。 その方針に基づき,人事室において,具体的な調査の対象,範囲,方法や,個人情報保護条例との関係について,複数の法律家の意見 も踏まえながら慎重な検討を続け,調査を実施するに至った(乙46,54(5頁),証人N2頁・8頁・14頁)。 e かかる人事室の慎重な検討を踏まえ,約1900人の職員を有し,その職員の多くは市民や患者(以下,市民及び患者を併せて「市民等」ともいう。)と直接接する職場で勤務し,市長部局への人事異動もあり得る病院局においても,市民の生命と健康を守り,安心・安全な医療を提供する職員として,市民等との良好な信頼関係を築くため,服務OTの方針に沿った対応をすべきであると判断し,本件調査を実施することになった。 (イ) 本件調査の目的a 本件調査は,職員倫理規則2条2項8号に照らし,公務員として勤務中に入れ墨が市民等の目に触れることになれば,市民等が不安感や威圧感を持ち,ひいては被告の信用を失墜させることにつながるから,このような事態が生じないよう,職員の入れ墨が業務中に市民等の目に触れる可能性のある部分にあるのかどうか,実態を把握した上で,人事配置上の配慮を行うことを目的としている(乙1)。 ここにいう人事配置上の配慮とは,具体的には,勤務中に市民等の目に触れる可能性のある部分に入れ墨がある職員を,市民等に直接対応する頻度の低い又はその機会がない業務に就かせることや,各人の入れ墨の位置関係からみて入れ墨が市民等の目に触れることのない服装を着用するような業務に就かせることなどを想定している。 市民の負託を受け公務を遂行する被告としては,民意や社会的影響等を斟酌して施策を検討し,これを進めることが許容ないし要請されるところ,わが国において, うな業務に就かせることなどを想定している。 市民の負託を受け公務を遂行する被告としては,民意や社会的影響等を斟酌して施策を検討し,これを進めることが許容ないし要請されるところ,わが国において,入れ墨が見る者に不安感や威圧感を抱かせるものであること,あるいはそのように受け止める者が少 なからず存在することには疑いを挟む余地はなく,業務上,入れ墨が見えないように配慮することは,むしろ,公務員の接遇の在り方として当然のことである。 人事配置に当たって,当該職員の入れ墨の部位,大きさ,当該職員が現に従事し又は今後従事すべき職務内容,服装,職務の性質,市民等に見える可能性や当該職員の配転可能性等を総合的に考慮することもまた当然の対応として許容されるし,また,前述した被告の置かれた社会的状況や「市民の声」を踏まえれば,市民等の目に触れる可能性のある入れ墨を有する職員の人事配置に当たって,あらかじめそういった配慮を行うことが強く要請される。 このように,市民等へのサービスの質の維持,向上の観点から職員をどのように配置するかを検討するために有意な情報を収集することは,被告の組織運営に当たり必要なものであるから,本件調査の目的には合理性・正当性がある。 b 原告は,本件新聞報道が誤報であり,職員の入れ墨を問題視すべき実態・事実たり得ないとか,本件調査が入れ墨に対する一方的な決め付けを前提にしたものであるなどと主張するが,入れ墨に対する嫌悪感やこれを見た者が受ける不安感,威圧感は,前記(ア)Aのとおり社会的事実に裏付けられたものであり,決め付けであるなどとはいえない。市民の負託を受けて公務を遂行する被告として,このような市民の感情・心情を無視することなく,人事配置上の配慮を行うため,本件調査を行ったことに,何ら非難されるところは 付けであるなどとはいえない。市民の負託を受けて公務を遂行する被告として,このような市民の感情・心情を無視することなく,人事配置上の配慮を行うため,本件調査を行ったことに,何ら非難されるところはない。 c 原告は,本件調査の目的につき,入れ墨について,職員に対する一般的な注意喚起や身だしなみの点検,上司による個別の注意で足り,その目的自体,合理性を欠くと主張するようである。 しかしながら,身だしなみなどの点検や個別指導等を行うからと いって,被告が人事配置上の配慮を行うことの合理性が否定されるものではない。市民等の目に触れる可能性のある身体の部位は,職務内容や職種,勤務場所,制服の有無等の職場環境や個人の着衣に対する意識・感性等によって職員個々で異なることがあり得るところ,現時点において当該職員の入れ墨が市民等の目に触れないとしても,今後の配置転換によって着用する制服等や職務内容,市民等との接触頻度等が変われば,当該入れ墨が市民等の目に触れる可能性が生ずることになる。本件調査当時における社会的影響の高まりや,従前の対応では不十分であったとの指摘等を踏まえれば,本件において,職員に対する服装規定や身だしなみなどの指導のほかに,被告として,人事配置に当たって斟酌すべき事情として判断したことが,合理性を欠くとされる余地はない。 d 原告は,本件調査について,市民感情を恣意的に取り上げているとか,職員を不当に隔離したり差別を助長したりする政策であるなどと主張するが,本件調査は,飽くまでも,被告職員の勤務中に,職員の入れ墨が市民の目に触れることにより,市民が,被告職員に対する不安感や威圧感を持ち,ひいては被告の信用を失墜させることにつながることを避けるために本件調査に至ったのであり,被告職員以外の市民も含めた入れ が市民の目に触れることにより,市民が,被告職員に対する不安感や威圧感を持ち,ひいては被告の信用を失墜させることにつながることを避けるために本件調査に至ったのであり,被告職員以外の市民も含めた入れ墨一般についての価値判断に基づくものではない。入れ墨について様々な価値判断があり得るとしても,入れ墨により不安感や威圧感を感じる市民が現に相当数いる以上,市民に直接接する公務員のあり方として,このような市民感情に配慮することは接遇として当然のことであり,何ら恣意的ではない。 原告の主張のように,このような市民感情に配慮することが差別助長であるというのであれば,職員に対し,入れ墨が見えないように身だしなみなどを指導することすら差別助長になるのではないかとの疑問も生ずるが,原告自身,このような指導を否定していない。 (ウ) 本件調査の方法の合理性・相当性本件調査は,市民等の目に触れる可能性のある部分に限定して,画一的に調査を実施し,入れ墨の有無等を共通書式により自己申告するよう求めたものであるが,以下のとおり,調査の方法は合理的かつ相当なものである。 a 調査の対象を市民等の目に触れる可能性のある部分に限定していること本件調査で申告を義務付けているのは,市民等の目に触れる可能性のある本件調査対象部位に限られている。 本件調査の目的は,職員の入れ墨が勤務中に市民等の目に触れることになれば,市民等が不安感や威圧感を持ち,ひいては被告の信用を失墜させることにつながることから,人事配置上の配慮を行うために,職員の入れ墨についての実態を把握することにあるところ,職務命令をもって実施した本件調査の対象範囲は,かかる目的に照らして必要最小限の範囲に限られており,過度にプライバシーを侵害するものではなく,調査の範囲とし ついての実態を把握することにあるところ,職務命令をもって実施した本件調査の対象範囲は,かかる目的に照らして必要最小限の範囲に限られており,過度にプライバシーを侵害するものではなく,調査の範囲として相当である。 b 共通書式を利用することに合理性があること被告は,約3万人に上る職員を擁し,職員は多種多様な職場においてそれぞれの職務を行っており,服装の種類や市民等と接する頻度・密接度も職場や担当職務によって様々である。 このような巨大な地方自治体における組織運営において,将来にわたり職員の人事配置を組織的に検討するに当たっては,当該情報を一律かつ画一的に把握し,管理する必要が高い。そして,一斉かつ早期に入れ墨に関する情報を収集し,また,本件調査結果を的確かつ迅速に確認するとともに,これを組織的に管理し,利用するため,共通書式を利用することは合理的な対応であるし,かような共通書式の書面を用いての情報収集は,組織運営上通常一般に行われ ているところであり,方法として何ら不相当なものではない。 c 自主申告による合理的な方法であること本件入れ墨情報を調査する方法としては,対象部分を別の者が視認し,これを書面等に記録するなどもあり得るところである。しかし,職務上の上下関係にある上司等が,職員の身体を直接目視するなどという方法は,プライバシー上の問題性が強く,このような方法を採用すべきということはできない。 多数の職員を抱える被告の職務において,個々の職員について上司らが個々目視し得る範囲で入れ墨の有無を把握し報告したり,同僚からヒアリング等を行ったりして,当該職員の本件入れ墨情報を収集するなどという方法では,事務管理上の負担も極めて大きく,煩雑かつ不確実であるばかりか,調査対象者のプライバシー上の問題も大きい。 本人 ヒアリング等を行ったりして,当該職員の本件入れ墨情報を収集するなどという方法では,事務管理上の負担も極めて大きく,煩雑かつ不確実であるばかりか,調査対象者のプライバシー上の問題も大きい。 本人の確認及び自署を得ずに収集した情報は,後日,その事実を否認された場合の対応に困難を生じるし,本人の確認を得ない情報に基づいて人事配置を行うことは,人事管理の運用としての透明性や納得感に問題を生じる可能性があることは容易に想定される。 このような諸点を踏まえ,本件調査に自主申告方式を採用したことは,至って合理的なものである。 d 全職員を対象としたこと本件調査の目的の合理性・正当性は上記のとおりであり,これを達成するためには,人事配置に先立って,本件入れ墨情報を得ておく必要がある。また,人事配置は将来にわたる問題であり,さらに,他の職員の配置にも影響するため,配置替えの可能性のある職員全体について情報を得ておく必要があるのは当然である。この点,指摘を受けたとか,何かの契機で判明してから,そのときに得た情報をもとに人事配置上の配慮をするということでは適時の対応が困難 になってしまうという問題があり,市民や同僚等からの通報などによる曖昧・不明確な情報では,目的達成には不十分である。 よって,本件調査の目的を達成するためには,全職員についてあらかじめ本件入れ墨情報を取得しておく必要がある。 e 回答を義務付けたこと上記のとおり,本件調査は,被告が人事配置上の配慮を行うために必要であり,また,その収集方法としても合理的かつ相当である以上,職員がこれに回答することはその職務である。そして,組織運営上,人事配置上の配慮を行うためには,全職員の情報を適切かつ確実に収集・把握し,将来にわたって管理・利用する必要が 理的かつ相当である以上,職員がこれに回答することはその職務である。そして,組織運営上,人事配置上の配慮を行うためには,全職員の情報を適切かつ確実に収集・把握し,将来にわたって管理・利用する必要があり,回答がなければ人事配置上の配慮という正当な目的の達成に支障が生じることは明らかであり,情報の正確性及び調査の迅速性の向上の観点からも,回答を義務付けることは合理的である。 原告は,市教委が行った入れ墨調査の方法について言及し,任意調査で十分であったなどと主張する。しかし,いかなる調査方法を採るかは,各任命権者の裁量に委ねられており,市教委としては,教員の職務内容の特殊性や人事異動の範囲,組織マネジメント体制の相違等の組織の独自性を踏まえ,かような調査方法を採ったにすぎず(甲13(7頁,8頁),15(4頁)),このことをもって,病院局で行った本件調査の違法性が基礎付けられるものではない。 調査の正確性及び迅速性からすれば,回答義務を課す方が調査の目的達成に資するし,原告自身,本件調査が任意調査であってもこれに協力するつもりがない旨を明言しており(原告本人20頁),市教委が採った調査方法では本件調査の目的を達し得なかったことは明らかである。 イ本件調査が個人情報保護条例に反しないことについて(ア) 「その他社会的差別の原因となるおそれがあると認められる事 項に関する個人情報」に該当しないこと同条例6条2項が「思想・信条及び宗教に関する個人情報並びに人種,民族,犯罪歴その他社会的差別の原因となるおそれがあると認められる事項に関する個人情報」(以下,「人種,民族,犯罪歴その他社会的差別の原因となるおそれがあると認められる事項に関する個人情報」を「差別情報」といい,「思想・信条及び宗教に関する個人情報」と併せて「 事項に関する個人情報」(以下,「人種,民族,犯罪歴その他社会的差別の原因となるおそれがあると認められる事項に関する個人情報」を「差別情報」といい,「思想・信条及び宗教に関する個人情報」と併せて「差別情報等」という。)の収集を原則として禁止しているのは,差別情報等は,特に個人の権利利益に関わりが深く,重大な権利利益の侵害と結び付く可能性が高いと考えられること,つまり,人格そのものあるいは精神作用の基礎に関わる情報,あるいは,歴史的に見て不当な差別が行われてきた情報であることから,これらの情報を収集することが,特に不安や苦痛を感じさせる程度が高く人権侵害の危険性が高いものと考えられることによるものである。 また,同項の「その他社会的差別の原因となるおそれがあると認められる事項」とは,単に社会的評価に関係する事項とか,あるいは本人にとって公表を望まない事項等を意味するのではなく,客観的にみて,不当な差別を引き起こしかねないと一般に考えられている情報,すなわち,犯罪歴,人種,特定の出身地区,特定の病歴,成年後見等に関する事項をいうと解すべきである。 そして,本件調査によって収集した本件入れ墨情報は,対象者が入れ墨を施すに至った事情や主観的理由に立ち入るものではなく,思想・信条・宗教のように,対象者の人格や精神作用の基礎に関わる情報ではないし,入れ墨についての捉え方や見解は様々であろうが,いずれにせよ,入れ墨は,かような見解があり得ることを認識した上で,本人が自己の意思に基づき施したものであって,一般に,趣味・嗜好あるいは身だしなみに関する問題である。 入れ墨について,不快感や威圧感を覚える市民が多数おり,我が国 において,社会一般的にかかる感情に配慮した対応がなされていることは事実であって,現在の我が国においては,かかる受 である。 入れ墨について,不快感や威圧感を覚える市民が多数おり,我が国 において,社会一般的にかかる感情に配慮した対応がなされていることは事実であって,現在の我が国においては,かかる受け止め方やそれへの配慮は社会的に受容されているが,それは,歴史的・社会的に見て当該理由による不当な差別が行われ,かかる対応が社会的に許容されることのない,人種,民族,犯罪歴といった情報とは本質的に異なるものであり,入れ墨の有無等による我が国における対応は,社会的に受容された一定の社会的評価にすぎない。 したがって,本件調査の対象である本件入れ墨情報は,同項にいう差別情報等には当たらない。 (イ) 同条例6条1項に反しないことそうすると,本件入れ墨情報は,同項に基づき収集すべき情報であるところ,本件調査は,既に述べたとおり,「勤務中に職員の入れ墨が市民の目に触れることになれば,市民の方が不安感や威圧感を持ち,ひいては本市の信用を失墜させることにつながることから,人事配置上で配慮すること」という明確な事務の目的に対し,必要不可欠なものとして,適正かつ公正な手段により個人情報を収集するものであるから,何ら同条例には違反しない。 (ウ) 同条例6条2項1号に該当すること仮に,本件入れ墨情報が,同項にいう差別情報等に当たるとしても,本件調査は,同項1号の法令等に定めがあるときに該当するから,同条例に反しない。 すなわち,同項1号の法令等に定めがあるときとは,法令等に収集できることを明文で定めている場合のほか,法令等の規定の趣旨,目的から見て,収集できると解される場合を含む。 この点,地方公共団体である被告には,地公法の規定に基づき(同法1条,5条,15条ないし22条等),職員の任命,休職,免職及び懲戒等の人事行政を行う 的から見て,収集できると解される場合を含む。 この点,地方公共団体である被告には,地公法の規定に基づき(同法1条,5条,15条ないし22条等),職員の任命,休職,免職及び懲戒等の人事行政を行う権限が付与されているところ,かかる権限 には,人事行政事務を遂行するに当たって必要となる職員の個人情報を収集・保管し,それを踏まえた対応を行う権限が当然に含まれているというべきである。 また,地方自治法154条は「普通地方公共団体の長は,その補助機関である職員を指揮監督する」と定めており,さらに,同法158条,大阪市市長直轄組織事務分掌条例・同規則において,人事室には「職員の…配置その他の人事に関すること」についての権限が付与されているところ,職員配置についての事務を遂行するために,職員に対する指揮監督権限の行使として,必要となる情報を収集すべき権限は当然認められるところであり,これは,対象となる情報が職員の個人情報であっても変わるものではない。 したがって,地公法1条,5条,15条ないし22条,地方自治法154条等は,個人情報保護条例6条2項1号の「法令等」に含まれると解され,本件入れ墨情報はこれら法令等に従い収集するものであるから,収集が禁止されるべき場合には当たらない。 (エ) 同条例6条2項2号に該当すること同号は,「事務の目的を達成するために必要不可欠であるとき」につき情報収集を許容しているところ,職員の入れ墨を人事配置上配慮するためには,当然,職員の入れ墨の有無を把握しておくことが必要不可欠であるし,また,本件施設職員が入れ墨をしていたことに関して新聞報道が大々的になされ,市民からも批判の声が寄せられていたといった経緯・事情に鑑みれば,人事行政上,被告として入れ墨を人事配置上配慮することは必要不可欠 件施設職員が入れ墨をしていたことに関して新聞報道が大々的になされ,市民からも批判の声が寄せられていたといった経緯・事情に鑑みれば,人事行政上,被告として入れ墨を人事配置上配慮することは必要不可欠というべきである。 (原告の主張)ア優越的性格を有する基本的人権・権利を侵害すること(憲法13条・21条違反等)(ア) プライバシー権を侵害するものであること 身体における入れ墨の有無,部位,大きさ等の情報は,優れて個人的かつ私的な身体的特徴に関する事項であり,その個人の思想・信条等に関する事項ともなりうる,センシティブな個人情報であって,プライバシー権の保護を受けるものである。かかるプライバシー権は,個人の身体に関してみだりに調査されない権利,身体的特徴に関する情報を同意なく収集・保管されない権利,かかる情報を他者に開示するか否か,開示するとしてその方法・程度を自己決定する権利を含む。 殊に,入れ墨は,その存在が他人に知られれば,その来歴等について他者に説明しなければならないような負担や圧迫を当該個人にもたらし,また,社会的に良くない交流や交友関係に起因して施術されることがあり得ることから,そのような説明自体も困難であったり,また,当該個人に対する,暴力団関係者であるなどの否定的かつ誤った評価判断を惹起・固着させたりする可能性が高い上,消去は容易でなく,他者に知られた場合の対応も困難である。市民の目に触れない,あるいは触れないようにすることができる場所の入れ墨に関する情報は,その秘匿性も高い。また,市民の目に触れ得る部分にある入れ墨についても,入れ墨に関する情報が極めて個人的な身体的特徴に関する事実であることなどの特殊性を有することに変わりはないし,他者に見られることと,身体的特徴に また,市民の目に触れ得る部分にある入れ墨についても,入れ墨に関する情報が極めて個人的な身体的特徴に関する事実であることなどの特殊性を有することに変わりはないし,他者に見られることと,身体的特徴に関する情報として収集・保管されることとは次元が異なる。 したがって,入れ墨に関する情報を,客観的にみて必要不可欠な必要性があり,かつ,利用目的が具体的に特定された上で,本人の真の同意の下に収集される場合はともかく,強制をもって収集することは,プライバシー権の侵害として許されない。 (イ) 自己決定権等及び表現の自由の侵害a 憲法13条は,国民の私生活上の自由及び幸福追求の権利が公権力の行使に対して保護されるべきことを規定していると解されると ころ(最高裁昭和44年12月24日大法廷判決・刑集23巻12号1625頁,同平成7年12月15日第三小法廷判決・刑集49巻10号842頁),このような私生活上の自由及び幸福追求の権利として,何人もみだりに入れ墨の有無等に関する調査を強制されない自由を有する。本件調査は,職務命令を発し,懲戒処分を威嚇力として回答を強制するものであり,上記自由を侵害する。 b 入れ墨は,地公法を含むいかなる日本の法律によっても禁止されておらず,入れ墨を入れるか否かは個人の自由に属するものである。 ところが,本件調査は,入れ墨があること自体を否定的に捉える価値観を一方的に押し付けるものである上,調査結果をもって人事配置上の配慮事項とすることにより,入れ墨を入れることを実質的に禁止する効果をもつものであって,入れ墨をするかしないかという自己決定権の自由(憲法13条)を侵害する。 c 入れ墨は,現代社会においてはファッション・文化として受け入れられており,個人の表現の自由(憲法21条) のであって,入れ墨をするかしないかという自己決定権の自由(憲法13条)を侵害する。 c 入れ墨は,現代社会においてはファッション・文化として受け入れられており,個人の表現の自由(憲法21条)の発露という面を有し,本件調査はこれをも侵害するものである。 イ本件調査の目的が不当であること(ア) 被告が本件調査を行ったのは,本件新聞報道を契機に,公務員バッシングと結びついて一部の市民の反応がヒートアップする中,市として対策を採っていることを示す,すなわち,調査の結果を得るためではなく,パフォーマンスとしてこれを完遂することが必要であったためである。入れ墨に関する調査を行う方針が決まったのは第1回服務OT会議においてであるが,そこで決まったのは,調査結果に基づいて処分の厳格化等の検討を行うという程度であり(証人N(13頁・14頁)),人事配置の検討がされたのはその第4回に至ってからであった(乙19)。さらに,本件調査の結果,市民の目に触れる可能性のある部分に入れ墨があると回答した99名のうち,市民の目 に触れない職場に所属していた4名(乙19)を除く95名に関し,分担替えも困難である職場もあるにもかかわらず,入れ墨のあることを理由にして異動させた職員は一人もいない。本件施設職員についても,停職処分を行う際に入れ墨については問題視されず,児童施設からの異動も検討されていない。 このように,本件調査は,市として対応を採っていることを示さなければならないというところから出発し,入れ墨に関する問題が生じていないにもかかわらず,後付けで人事施策という目的を持ち込んだものであり,被告の主張する人事配置上の配慮は,本件調査の真の目的ではない。 (イ) 被告が本件調査の目的とする人事配置上の配慮とは,余りに一般的・抽象的す 後付けで人事施策という目的を持ち込んだものであり,被告の主張する人事配置上の配慮は,本件調査の真の目的ではない。 (イ) 被告が本件調査の目的とする人事配置上の配慮とは,余りに一般的・抽象的すぎる。 (ウ)a 入れ墨は違法行為ではないし,地公法にもこれを禁ずる規定はない。入れ墨は,文化として存在してきただけでなく,近年は自己表現やファッションの一種として存在し,施術者は少なくなく,入れ墨をすることは,自己決定,身体の自由,表現の自由の範囲内にある事項であって,その内容や背景は多様である。その上,人により,好き嫌い等の印象・評価に差が生じやすく,施術者に対する評価を一義的に決定することはできない。このような性質を有する入れ墨の有無を人事配置上の配慮事項とすることは,入れ墨が容易に消去できるものでないことをも併せ考えれば,適切ではない。 b 被告は,「市民の声」をその主張の根拠に引用するが,その内容は,本件新聞報道を事実と誤解して述べられた意見や,実質的に被告の職員とは無関係なもの,公務員バッシングや誹謗中傷が混然としている上,その約2割は,本件調査に反対したり,同調査に応じない職員に対する処分を不当とするものを含め,入れ墨について否定的ではない意見である。また,被告は,その主張の根拠として市 会における議員質問を挙げるが,それらの質問は,児童を恫喝したことや他の職員に対する言動についての本件施設職員に対する指導が奏功していなかったことに重点があるか,入れ墨を児童に見せたという実際には存在しなかった事実を前提としたものである。また,市民目線から入れ墨は問題であるとの趣旨の指摘に対し,N人事室人事課長(当時。以下「N人事課長」という。)は,入れ墨があるというだけで公務員として不適格であると考えることはできないと回 る。また,市民目線から入れ墨は問題であるとの趣旨の指摘に対し,N人事室人事課長(当時。以下「N人事課長」という。)は,入れ墨があるというだけで公務員として不適格であると考えることはできないと回答しているところ,これによれば,入れ墨があっても現に見えていない以上,これが人事配置を決定付けることにはならないのであるから,人事配置上の配慮のためには,入れ墨が見える状態で勤務している職員を把握すれば足り,入れ墨のみに特化した調査をすることの必要性・合理性はない。本件調査は,着衣で見えていない入れ墨があるという理由で,職員を市民から隔離し,制服を着用させて管理することを目的とするものであるが,これは,入れ墨に関する市民の受け止め方への配慮を超えるものである。 (エ) O准教授の意見書(甲29)でも指摘されているように,近年は,デザインに工夫をこらしたファッションとしての入れ墨(タトゥー)が発達しており,若者を中心に一つの文化として受け入れられている。したがって,すべての入れ墨につき,市民が不安や威圧感を覚え,職員の入れ墨により被告の信用が失墜するとの否定的なとらえ方は誤りであり,これを前提とする本件調査は不適切である。被告が平成11年4月に策定し,平成17年に改訂した大阪市人権行政基本方針では,「個人の価値観やライフスタイルの多様化の進行に伴い,社会の構成員としての責任を自覚し,互いに助け合い,他者の人権をも尊重する公平・公正な共生社会の実現が必要不可欠となってきています」との基本認識を述べた上,人権行政の基本理念の一つとして,「画一的な価値観を押し付けるのではなく,一定のルールの中で人々 の多様な生き方を受け入れ,それぞれがお互いの多様な生き方を認め合うこと」としての自己決定権の尊重を掲げている。本件調査は,入れ墨の内容 観を押し付けるのではなく,一定のルールの中で人々 の多様な生き方を受け入れ,それぞれがお互いの多様な生き方を認め合うこと」としての自己決定権の尊重を掲げている。本件調査は,入れ墨の内容等やそれが実際に見えるかどうかにかかわらず,市民の目に触れればという可能性の下に,不安感や威圧感を与えるものと決め付けるものであるが,かかる評価は,画一的な価値観を押し付けてはならないとする上記人権行政の基本理念にも反し,入れ墨を施術している者は全て他者に不安感や威圧感を与える人物であるという評価を宣伝し,差別を助長するものであって,本件調査の必要性を基礎付ける正当な目的ということはできない。 ウ本件調査の必要性がないこと(ア) 本件調査の発端となった本件新聞報道に係る事案は,実際には存在しない架空の出来事であったことが,平成24年3月には判明していた。 (イ) 病院局所管の病院に勤務する看護師の着衣の実態に照らせば,少なくとも肩上部から上腕上方部まで及び膝から足の先までは,市民の目には触れない。また,看護師以外の医師や事務員等の職員についても同様であり,また,通常の着衣において,市民の目に触れないようにすることが可能である。現に,病院局所管の病院において,従前,入れ墨が見える状態で勤務している職員の存在が問題になったことはない。 E病院では,職員の身だしなみなどについて,自己及び上司がチェックするシステムが構築され,他人の目に触れるような入れ墨があればその中で指導等がされて解決できる状態であるし,原告ら看護師は,勤務交代の引継ぎの際に,互いの身だしなみを目にしているが,このような状況の中で,職員の入れ墨が問題になったことはない。原告が着用を義務付けられている制服は,上衣は白色半袖,下衣は紺色のくるぶし下までの 代の引継ぎの際に,互いの身だしなみを目にしているが,このような状況の中で,職員の入れ墨が問題になったことはない。原告が着用を義務付けられている制服は,上衣は白色半袖,下衣は紺色のくるぶし下までの長パンツであり,勤務中は靴下及び足全体が保護され る靴を履くよう求められている。本件調査対象部位の一部は,このような看護師の制服で隠れるものであり,そこに入れ墨があるかどうかを確認する必要はない。 さらに,原告本人について,入れ墨により市民等に不快な思いをさせるのではないかといった不安が抱かれたこともない(証人L14頁)。 そして,L管理課長は,本件調査で入れ墨があることが判明した職員がいた場合の対応方針に関し,具体的にどのような配置・配慮がされるかは知らなかったというのであり(証人L10頁以下),病院局において,職員の入れ墨について何の問題性も感じていなかったことは明らかである。 なお,被告は,人事異動により制服のない部署への配置の可能性があることを問題にするが,かかる部署に異動したとしても,市民の目に触れる場所の入れ墨により問題が生じるのであれば,上司により確認がされるはずであるし,上司による注意指導で足りる。 また,病院局以外においても,職員の入れ墨それ自体が問題視されていたことはなく,身だしなみの一環として,服装指導により対応・解決されていた。例えば,本件施設職員も,平成8年2月に入れ墨を施術したのに,環境局はこれを把握しておらず(証人N2頁・8頁),環境局において入れ墨は問題となっていなかったし,平成21年4月に児童福祉施設に異動した後の同年6月頃,本件施設職員が半袖を着用した際に入れ墨が見え,これが同人の上司に認知されたが,服装指導により対応され,人事室にも何の報告もされておらず,異動の対象にもなっていない。 施設に異動した後の同年6月頃,本件施設職員が半袖を着用した際に入れ墨が見え,これが同人の上司に認知されたが,服装指導により対応され,人事室にも何の報告もされておらず,異動の対象にもなっていない。さらに,本件調査により,本件調査対象部位に入れ墨があると回答した99名について,本件調査前に,その上司らから人事室に対し,入れ墨についての報告や相談はされていなかった。 このように,本件調査が実施された当時,被告においては,入れ墨 についての問題は生じていなかった。 (ウ) 勤務中の通常の着衣によって隠れない部分については,市民のみならず,上司等の目にも触れる部分であるところ,そのような部分に,不安感や威圧感を持たせる入れ墨があれば,そのような事態は本件調査をするまでもなく明白なのであるから,本件調査により職員に回答させる必要はない。 (エ) 原告は,5月中旬頃,本件調査の過程において,上司に対し,自分としてはタトゥーをしたりはしないと話し,入れ墨がないことを暗に伝えていた。 エ本件調査は手段としての相当性を逸脱していること(ア) 入れ墨が市民の目に触れることで市民が不快感や威圧感を受けることを防止するのが目的なのであれば,アンケート方式よりも,目視による確認のほうが,心理的圧迫がより小さく,かつ効果的である。 例えば,市教委では,校園長らにおいて,職務に従事する中で入れ墨のあることが確認できた職員の有無並びにその職種及びこれが市民等の目に触れる可能性があるか否かを報告するとともに,問題がある職員を把握した場合には個別に指導をするという方式が採用されたことからも分かるとおり,上司による個別の指導で足りる事項である。 (イ) 本件調査は,懲戒処分を威嚇力とする職務命令による強権的・強制的調査で 合には個別に指導をするという方式が採用されたことからも分かるとおり,上司による個別の指導で足りる事項である。 (イ) 本件調査は,懲戒処分を威嚇力とする職務命令による強権的・強制的調査であり,調査方法として過剰である。 (ウ) 本件調査は,入れ墨があっても,これが見えないように身だしなみを整えている場合にまで,見えない入れ墨を明かすことを求めているのであり,調査方法として相当性がない。 (エ) 書面であろうと口頭であろうと,回答の正確性に差はない。いったんは入れ墨が「ある」と回答した者が後日言を翻した場合に,かつて「ある」と答えたとの回答書を突き付けることができるというだけのことである。過去に入れ墨に関する問題があった職員ならともか く,そのような問題のない職員が「入れ墨はない」と回答したとしても,それが正確かどうかは不明であるから,自署した書面で回答を提出させることが正確性の担保になるとはいえない。 (オ) 本件調査の回答率は99.9%となり,被告の職員約3万4000人のうち,回答を拒絶した者は原告を含めてわずか6名にとどまった。被告としては,これらの者について口頭での申告や職員が示した身体の状況,日常業務において確認できている状況についての報告書を作成するなどすれば,それが代替的な調査結果取得方法となり得,全職員調査としての結果を得ることができる。このような状況において,その者にどうしても提出させなければならないほどに,書面での回答にこだわる必要性はない。 オ本件調査が個人情報保護条例に違反すること(ア) 個人情報保護条例6条2項違反a 個人情報保護条例6条2項は,「思想・信条及び宗教に関する個人情報並びに人種,民族,犯罪歴その他社会的差別の原因となるおそれ 条例に違反すること(ア) 個人情報保護条例6条2項違反a 個人情報保護条例6条2項は,「思想・信条及び宗教に関する個人情報並びに人種,民族,犯罪歴その他社会的差別の原因となるおそれがあると認められる事項」をセンシティブ情報とし,その収集を原則として禁じている。 本件入れ墨情報は,入れ墨に対して社会的偏見がある今日,「社会的差別の原因となるおそれがある」事項に該当するから,本件調査は,同条項に反して違法である。 b 被告は,本件調査は,同項1号の「法令等に定めがあるとき」に該当すると主張する。 重大な人権侵害を招来する危険のある情報の収集・保管・利用を例外的に許容するためには,その事由や要件が具体的に定められなければならないが,被告の主張する法令は,いずれもごく一般的な公務員に関する基礎的な規定であって,上記のような具体的な定めをするものではないから,被告の主張は失当である。 c 被告は,本件入れ墨情報は,人事配置上の配慮という「事務の目的」のために必要不可欠であり,同項2号に該当すると主張するが,そのような解釈を採れば,およそ全ての情報収集がこれに該当することになりかねず,センシティブ情報の収集を禁止した意義はおよそ失われる。 (イ) 個人情報保護条例6条1項違反職員人事事務の目的の達成のために,本件入れ墨情報が必要であるとはいえないし,懲戒処分の威嚇を伴う職務命令による本件入れ墨情報の収集が,法規に適合し,かつ,社会通念に照らして是認できる方法であるとはいえないから,同項による本件入れ墨情報の収集は許されない。 (ウ) 被告の幹部職員として本件調査の立案と実施に携わったN人事課長は,本件調査と個人情報保護条例との関係について検討しておらず,同条例に違反しない 項による本件入れ墨情報の収集は許されない。 (ウ) 被告の幹部職員として本件調査の立案と実施に携わったN人事課長は,本件調査と個人情報保護条例との関係について検討しておらず,同条例に違反しないとの被告の主張は後付けのものである。 (3) 本件処分の違法性(被告の主張)ア懲戒事由該当性(ア) 本件調査は,被告の組織運営及び人事配置に当たって,必要かつ相当なものであることから,被告職員が職務としてこれに回答すべきは当然であり,その回答が得られていない以上,改めて回答を命じる本件職務命令は地公法32条に基づく適法かつ有効な職務命令である。そして,本件職務命令は,共通書式による回答を義務付けるものであるところ,原告は,上記命令に従った方法で回答していないのであるから,原告が職務命令に違反したことは明らかである。 したがって,原告は,地公法32条に基づく職務命令に違反したのであるから,原告の行為は,同法29条1項1号に該当するとともに,職務上の義務に違反する行為であり,かつ,全体の奉仕者としてふさ わしくない非行でもあるから,同項2号及び3号にも該当する。 (イ) 被告の職員に対する懲戒処分については,職員基本条例において,別表非違行為の類型欄に掲げる非違行為の類型に応じ,同表懲戒処分の種類欄に定める懲戒処分の種類のうちから,職員が行った非違行為の動機及び態様,公務内外に与える影響,当該職員の職責,当該非違行為の前後における当該職員の態度等を総合的に考慮して,1の種類の懲戒処分を行う旨が定められており,これを受けて,その別表11項は,「職務命令違反行為により,公務の運営に支障を生じさせること」に該当する場合には,「減給又は戒告」に処する旨定めている。 将来にわたって職員の人事配置 られており,これを受けて,その別表11項は,「職務命令違反行為により,公務の運営に支障を生じさせること」に該当する場合には,「減給又は戒告」に処する旨定めている。 将来にわたって職員の人事配置を組織的に検討するに当たっては,本件調査の結果を一律かつ画一的に把握し,管理する必要が高く,また,一斉かつ早期に情報を収集し,かつ,その結果を的確,迅速に確認するとともに,これを組織的に管理,利用するため,共通書式を利用することは合理的な対応であるところ,原告が本件職務命令に反して回答を拒否したことにより,このような合理的な対応たる書面による調査という事務の円滑な遂行が妨げられた。 書面による回答に代えて,口頭での報告や他人に見せるという方法では,一斉かつ早期の情報収集が阻害される上,情報の保管,管理に支障が生じる。また,本人の確認や自署を得ずに収集した情報は,後日その事実を否認された場合の対応が困難になるから,将来における人事配置に支障が出るのは明らかである。加えて,回答聴取や確認のために別の職員が対応せざるを得ず,同人はそのために職務時間を割く必要があるし,被告として対応コストが生じるから,この場合であっても,公務の運営に支障が生じることに変わりはない。 また,組織秩序は,組織の存立,運営に不可欠であり,当然,職員にとって,かかる組織秩序を遵守すべきは当然の義務であるところ, 原告は,上司らの再三にわたる指導,説得を無視して回答拒否を続け,上司らは,本来不要な時間と労力を割いて原告に対応せざるを得なかったのであり,他の職員にも影響を与え,職場の組織秩序を現実に著しくかく乱した。 したがって,原告が,本件職務命令違反によって,被告の公務の運営に支障を生じさせたことは明らかである。 以上によれば,原告の本件職務命令違反行為 を与え,職場の組織秩序を現実に著しくかく乱した。 したがって,原告が,本件職務命令違反によって,被告の公務の運営に支障を生じさせたことは明らかである。 以上によれば,原告の本件職務命令違反行為は,職員基本条例28条1項及び別表11項が定める懲戒事由に該当する。 (ウ) なお,職務命令は,原則として適法なものとして考えられ,公務員が上司の職務命令を違法であるなどとしてその命令への服従を拒否しうるのは,一見明瞭な形式的適法性を欠く場合に限られ,実質的な内容に立ち入って審査しなければ容易に適法か違法か判明しない場合には,職員にその適否を審査する権限はなく,たとえその主観において,職務命令の内容が違法又は不当と考えられるものであっても,それが客観的に違法であることが明白でない以上,職員はこれを拒否することができない。 したがって,地方公務員は,職務命令に取消しの原因となる瑕疵がある場合であっても,その瑕疵が重大かつ明白であって,客観的に無効であることが明らかな場合以外は,これに従う義務があり,かかる義務に従わなかった場合は,懲戒処分の対象となる。 本件職務命令は,上記のとおり適法であるが,仮に瑕疵があるとしても,重大かつ明白な瑕疵があり,客観的に無効であることが明らかな場合とは到底いえず,原告に本件職務命令に従うべき法的義務を免れるものではないから,その職務命令違反について懲戒処分を行うことができる。 (エ) 原告は,5月中旬頃,上司に対し,自分としてはタトゥーをしたりはしないと述べたことや,通常の身だしなみチェックの中で原告 には何ら問題は認められていなかったことから,病院局長は既に原告の入れ墨に関する情報を取得していたとか,本件処分は,被告のマネジメント体制に従わない者に対する見せしめであるなどと主張 告 には何ら問題は認められていなかったことから,病院局長は既に原告の入れ墨に関する情報を取得していたとか,本件処分は,被告のマネジメント体制に従わない者に対する見せしめであるなどと主張する。 しかしながら,原告は,本件処分に至るまで口頭でも入れ墨の有無を回答したことはない(原告本人15頁・22ないし23頁)。その点を措くとしても,上司らの再三にわたる指導,説得を無視して回答拒否を続けたのであり,かような原告の態度により,他の職員の規律意識に悪影響を及ぼし,職場の組織秩序が著しくかく乱されたことは明らかであり,これは,原告の主張するような事情によって回復するものではない。 また,被告が,本件全体調査において,共通書式による自己申告を求めたのは,本件調査の結果を一律かつ画一的に把握,管理し,一斉かつ早期に収集し,本件調査の結果を的確,迅速に確認するとともに,これを組織的に管理・利用するためである。原告のような対応では,このような将来にわたっての一元的,組織的情報管理に支障を来すことは明らかである上,本人の確認,自署を得ずに収集した情報は,後日,その事実を否認された場合には対応に困難を生じるし,そうでなくとも,本人の確認を得ない情報に基づいて人事配置を行うことは,人事管理の運用として透明性や納得感に問題を生じる可能性は容易に想定されるのであり,人事配置上の配慮という目的が阻害されていないということはできない。 以上の事情を踏まえれば,本件調査及び本件職務命令に当たり,指定の方法による回答を求めたことには十分な理由があるし,まして,被告がそのような対応をとったことや,本件懲戒処分の判断に当たり原告の入れ墨の有無,入れ墨がないことを把握できているかどうかを考慮要素としなかったことをもって,本件処分の目的が見せしめであるな ,被告がそのような対応をとったことや,本件懲戒処分の判断に当たり原告の入れ墨の有無,入れ墨がないことを把握できているかどうかを考慮要素としなかったことをもって,本件処分の目的が見せしめであるなどと結論することはできない。 イ本件処分の量定(ア) 本件職務命令違反は職員基本条例別表11項の「職務命令違反行為により,公務の運営に支障を生じさせること」に該当するから,同項が規定するとおり,原則的な処分量定は「減給又は戒告」となるところ,病院局長としては,このうち軽い処分である戒告処分を相当と判断したものである。 (イ) 職員基本条例28条4項は,懲戒処分に当たって,処分を軽減し,又は行わないことができる場合を列挙しているが,本件処分に関しては,そのいずれの事情も認められない。 (ウ) 加えて,戒告処分とは,「職員の責任を指摘し,及びその将来を戒める処分」であり(乙9・29条1項),組織の規律や秩序の保持等の見地からその相当性が基礎付けられるものであって,法律上,処分それ自体によって職員の法的地位に直接の職務上ないし給与上の不利益を及ぼすものではなく(最高裁平成24年1月16日第一小法廷判決・裁判集民事239号253頁参照),他方で,原告は,再三にわたって上司の指導,説得を無視し,本件職務命令を拒否したのであって,しかも,原告にはこれを拒否するに当たって何らやむを得ない事由は存在しないのであるから,戒告処分を相当とした病院局長の判断に,何ら違法はない。 ウまとめ以上のとおり,本件処分は地公法及び職員基本条例に基づく判断であり,裁量の逸脱・濫用は一切ないから,本件処分が適法であることは明らかである。 (原告の主張)ア本件職務命令が違法であること(ア) 前述のとおり, 員基本条例に基づく判断であり,裁量の逸脱・濫用は一切ないから,本件処分が適法であることは明らかである。 (原告の主張)ア本件職務命令が違法であること(ア) 前述のとおり,本件調査は違憲・違法であるから,本件調査への回答を命じる本件職務命令も違憲・違法である。 したがって,原告には本件職務命令に従う義務はないから,それに違反したことを理由とする本件処分も違法である。 (イ) 被告は,地方公務員は,職務命令に重大かつ明白な瑕疵があり客観的に無効であることが明らかな場合以外はこれに従うべき義務があり,従わなかった場合は懲戒処分の対象となる旨主張するが,違法な職務命令は直ちに無効となり,公務員はこれに服従する義務はないと解すべきである(最高裁平成24年2月9日第一小法廷判決・民集66巻2号183頁参照)。 また,職務命令のうち,行政組織間の指揮監督としてなされた訓令的なものではなく,非訓令的な特定の公務員に対する命令については,当該職員の勤務条件や基本的人権に関係するものであり,対外的処分がなされるわけでもないから,適法性をチェックすることができるのは当該職員以外にない。したがって,非訓令的な職務命令が違法である場合には,職員はこれに従う義務はないというべきである。そして,本件職務命令は原告個人に対する命令であり,原告の基本的人権に関係する非訓令的な命令であるから,原告は本件職務命令に従う義務はない。 イ職員基本条例別表11項に該当しないこと(ア) 被告は,原告が本件職務命令に反して回答を拒否したことにより,「調査事務の遂行」という「公務」の運営に支障を生じさせたと主張する。 しかしながら,調査票による調査に応ぜよという職務命令に違反したことにより,調 に反して回答を拒否したことにより,「調査事務の遂行」という「公務」の運営に支障を生じさせたと主張する。 しかしながら,調査票による調査に応ぜよという職務命令に違反したことにより,調査票による調査事務による支障が生じたというのでは,単純な職務命令違反に加えて公務運営の支障を懲戒処分権発動要件とした趣旨が没却される。したがって,被告の上記主張は,職員基本条例別表11項の要件を満たすものとはいえず,本件処分は,その基準を満たしていない。 (イ) N人事課長は,その陳述書(乙46)において,本件調査票による回答がないことにより,将来における人事配置に支障が出る旨述べているところ,同人のいう人事配置に出る支障とは,原告本人が確認した入れ墨に関するデータが原告については備わっていないので,異動を検討する際に,そのデータを見て所定の部位に入れ墨があるかどうかを確認することができない,ということであると解される。 しかしながら,被告によれば,人事配置は,「労働力の適正配置,業務の能率増進,勤務意欲の高揚,業務運営の円滑化等の組織の合理的運営等の業務の必要性に応じ,各職員の経歴,能力,成績,適性,業務遂行状況,その他諸般の事情を総合的に考慮して判断する」とのことであり(被告平成26年3月17日第5準備書面),入れ墨の有無それ自体で異動が決定されるものではない。このような総合評価をする場面において,入れ墨の有無だけを確認しても意味がなく,その点のみのデータがないことそれ自体が実害であるとは到底いえない。 情報欠如による人事配置への支障を主張するのであれば,当該情報事態が人事配置において相応な価値を有するものでなければならないことは当然である。しかも,原告は,本件処分がされる前に,上司に対して,自分はタ 如による人事配置への支障を主張するのであれば,当該情報事態が人事配置において相応な価値を有するものでなければならないことは当然である。しかも,原告は,本件処分がされる前に,上司に対して,自分はタトゥーをしたりはしないと述べ,自分に入れ墨がないことを暗に申告していたし,日常的に徹底されていた身だしなみチェックを通じても,被告は,原告に入れ墨がないことは情報として入手していた。原告の勤務ぶりを日常的に見てきたL管理課長は,原告に入れ墨があるのではないかという不安を感じたこともないと証言しているところであり(証人L14頁),入れ墨がないことが定式のデータとして存在しないことにより,異動の決定が左右されるとも考えにくい。 これらによれば,原告が本件調査票による回答をしなかったことが,人事配置という「公務」に支障を生じさせたということはできず,本 件処分は,職員基本条例別表11項の要件を満たさない。 ウ戒告が重大な不利益を伴うものであること戒告は,【1】直近の勤勉手当の0.15か月分の減額,【2】勤務評定上の不利益,【3】一定の回数を重ねると分限免職処分の理由となる職務命令違反として算入されること,【4】定年後の再任用に際しての選考における勤務実績等として考慮され得ることといった現実かつ重大な不利益を生じさせるものであり,将来の戒めにとどまるものではない。 エ被告が本件処分に及んだ実質的な理由は,職務命令違反によって業務運営に支障が生じたことではなく,全職員が被告のJ市長の意のままに動くというマネジメント体制をアピールすることであり,本件処分は,これに従わない者を見せしめにするために行われたものである。このように,本件処分は,不当な目的に基づくものであり,その懲戒権を濫用したものであ マネジメント体制をアピールすることであり,本件処分は,これに従わない者を見せしめにするために行われたものである。このように,本件処分は,不当な目的に基づくものであり,その懲戒権を濫用したものである。 オまとめ以上のとおり,本件職務命令は違憲・違法であるから,同命令違反を理由とする本件処分は違法であり,仮に本件職務命令が適法であるとしても,本件処分は,処分の実質的要件を欠き,病院局長の裁量権を逸脱・濫用するものでもあるから,違法である。 (4) 本件損害賠償請求権の存否(原告の主張)ア本件調査及び本件処分(以下「本件調査等」という。)先に主張したとおり,本件調査等は違憲・違法であるところ,病院局長は,職務上の注意義務として,【1】本件調査等が,憲法,法律及び条例等の法令に適合するものであるかを審査する義務,【2】これらが被告の施策方針に整合するかどうかを考慮すべき義務,【3】本件処分に際しては被告の懲戒処分に関する指針(甲7)を遵守すべき義務を負 っていた。 ところが,病院局長は,上記【1】につき,本件調査等が憲法13条等の人権規定に,また,個人情報保護条例に違反しないかどうかについての精査検討を全く行わず,上記【2】につき,本件調査等が被告の人権行政基本指針(甲12)やP陸上競技場トレーニングセンターの利用者について被告が公表した指針(甲20)と整合するかどうかについての検討を一切怠り,さらに,上記【3】につき,職員基本条例別表11項の要件充足性を検討することを怠り,市長部局が企画立案した本件調査を漫然と実施した上,本件処分を行った。 これらによれば,本件調査等には,国家賠償法1条1項にいう違法性が認められるとともに,病院局長において過失が認められる。 イ説得行為 査を漫然と実施した上,本件処分を行った。 これらによれば,本件調査等には,国家賠償法1条1項にいう違法性が認められるとともに,病院局長において過失が認められる。 イ説得行為原告は,担当者から複数回呼出しを受け,本件調査に回答するよう執拗に説得された。その間,原告は,差別に加担するような施策に協力できないという信念に基づき回答できないことを真摯に説明し,また,本件調査の必要性に疑問を呈したにもかかわらず,担当者からは,万一入れ墨が見えたら市民に不快感や威圧感を与えるからという抽象的な説明を受けることしかできなかった。 また,原告は,5月25日,担当者に対し,「入れ墨を入れる趣味はない」として,自分に入れ墨がないことを暗に伝えているし,担当者や原告の上司らは,原告の普段の勤務状況を十分に把握しており,少なくとも,制服を着用した状態で見える範囲に入れ墨がないことは認識していた。にもかかわらず,原告は,7月13日及び30日にも,担当者から,重ねて本件調査票の提出を求められた上,同日には本件調査票の不提出が懲戒事由に該当する旨の警告書まで渡された。 これらにより,原告は,心理的圧迫を受けるとともに,幾度となく,自己の信念に反しても回答すべきか否かという心理的葛藤を生じた。 本件調査後,被告は,これに回答しなかった者も入れ墨があるものとして人事配置上の配慮を行うとの方針を採ったところ,その報道に接した原告は,看護師として働く職場を奪われたくないという思いから,本件処分後,担当者に対し,自ら入れ墨がないことを申告し,配置転換をしないでほしいとの申入れを行った。これは,自己の信念を貫くことと,誇りをもって働いている看護師としての職を奪われたくないという思いの間で大きな心理的葛藤に陥っていたこ ないことを申告し,配置転換をしないでほしいとの申入れを行った。これは,自己の信念を貫くことと,誇りをもって働いている看護師としての職を奪われたくないという思いの間で大きな心理的葛藤に陥っていたことを物語る。 ウこれらにより,原告において,次のような法益が侵害された。 (ア) 思想・良心の自由,人格権本件調査は,入れ墨が実際に見えるかどうか,入れ墨により具体的な職務遂行上の問題が生じているか否かにかかわらず,指定した部分に入れ墨のある職員を選別し,人事配置において不利益に扱うという明らかな差別施策の一環であり,これに回答することは,原告にとって,差別政策に加担する行為であった。思想・良心の自由には,本人の考え方とは無関係に特定の価値判断に沿った行動を強要されない自由が含まれる。また,その考え方が,本人が長年にわたって大切にし,自己の中核的な信念・信条としてきたものである場合,人として生きていく上での人格と切り離すことはできないから,人格権の一内容としての法的な保護が及ぶというべきである。 看護師であり,とりわけ,救急病棟で多くの自死未遂者の看護に当たったり,感染症病棟や結核病棟を担当してきた原告は,病気等の様々な理由で社会から排除されがちな人々の立場に立ち,その人々が安心して治療に臨み生活していくことを援助する中で,人に対して先入観をもって接したり,差別することはしないという信念・信条を貫いてきた。このような原告にとって,職務命令や警告書をもって本件調査への回答を迫られることは,正に思想・良心の自由への圧迫であると同時に,その人格権に対する侵害であり,原告は,これにより精 神的苦痛を被った。 また,本件処分は,公に,原告の信念及びそれに基づく行動が非違行為であると烙印を押すものであり,これによっても に,その人格権に対する侵害であり,原告は,これにより精 神的苦痛を被った。 また,本件処分は,公に,原告の信念及びそれに基づく行動が非違行為であると烙印を押すものであり,これによっても,思想・良心の自由及び人格権を侵害された。 (イ) 身体に対する情報の自己コントロール権(公権力により身体に関する事項を調査されない権利),センシティブ情報についてのプライバシー権,個人の平穏,身体に関する自己決定権,表現の自由個人の身体的な特徴に関する情報は,職務を行うに当たって何らかの具体的な問題が発生していない限り,その個人の私的領域に属する事項であり,たとえ使用者からであっても強制的な調査を甘受する義務はないし,仮に任意にその開示を求められたとしても,開示するか否か,開示するとしてもどの範囲で開示するかは,その個人が自由に決定できるものであり,かかる情報についてコントロールする権利を有している。原告は,違法な本件調査の対象として,その身体的特徴,しかも,センシティブ情報である入れ墨に関する情報についての調査を一方的に受け,これにより,原告は,自己の身体に関する情報を管理・コントロールする権利を侵害された。 また,本来的に私的領域に属する事項について,必要もなく他人から暴かれようとすることに対して、嫌悪の感情を抱くのは当然である。 入れ墨は,身体的特徴の一種であり,その背景にはときに様々な事情や個人の生活史がある。入れ墨の施術自体は自由とされる中,このような入れ墨に関する事項は本来的に私的領域に属するものであるところ,本件調査は,必要もないのに,このような私的領域に属する事項について,使用者の立場から,一方的に明らかにするよう迫るものであった。これにより,原告は,違法な外部からの働きかけから保護されるべき個人の平穏を は,必要もないのに,このような私的領域に属する事項について,使用者の立場から,一方的に明らかにするよう迫るものであった。これにより,原告は,違法な外部からの働きかけから保護されるべき個人の平穏を侵害された。 本件調査は,人体図に身体の特徴を書き入れさせる仕組みになって おり,原告はこれについて驚きと嫌悪を感じた。また,原告は,生まれつき脚にあざがあり,これについて他人から聞かれることに不快感を抱いた経験があることもあって,本来的に私的領域に属する本件入れ墨情報につき何度も回答を迫られることで強い嫌悪感を抱いたのであり,身体に関する情報のコントロール権や個人の平穏は甚だしく侵害された。 さらに,本件調査は,調査対象者あるいは調査対象者となる可能性のある者に対し,身体に対する自己決定権や表現の自由に対する萎縮的効果を有するものであり,原告もこれらの権利の侵害を受けた。 エ上記のとおり原告が被った精神的損害を金銭に換算すれば,50万円を下らない。 オよって,原告は,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき,50万円及び不法行為の最終の日である平成24年8月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (被告の主張)ア本件調査等(ア) 原告は,病院局長が本件調査によって本件入れ墨情報を収集しようとしたことにより,原告の「センシティブ情報についてのプライバシー」,「公権力から身体に関する事項を調査されない権利」,「身体(入れ墨施術)に関する自己決定権」,「表現の自由」が侵害されたと主張する。 しかしながら,個人の基本的人権も公共の福祉により制約を受けるところ,特に本件調査・本件職務命令は,公務員の職務上の地位ないし職務に関連して行われたものであり,これにより原告 されたと主張する。 しかしながら,個人の基本的人権も公共の福祉により制約を受けるところ,特に本件調査・本件職務命令は,公務員の職務上の地位ないし職務に関連して行われたものであり,これにより原告が何らかの利益を制約されることがあったとしても,それが直ちに許されないということはできない。 (イ) 本件調査により,原告に侵害される利益があるとすると,「調 査対象部位に入れ墨があるか否かの回答を強制されないという利益」であると考えられるが,本件入れ墨情報は,原告も認めるとおり,個人の趣味・嗜好の問題である上,対象者が入れ墨を施すに至った事情や主観的理由に立ち入るものでもなく,思想,信条や宗教のように,対象者の人格や精神作用の基礎に関わる情報でもないし,人種や民族,犯罪歴のように,歴史的・社会的に不当な差別の理由となってきた情報でもない。さらに,本件入れ墨情報は,業務中に市民の目に触れる可能性のある部分に限ったものであり,これを施した者自身,勤務中や勤務に際しての着替えなどの場面で,上司や同僚等にこれを知られる可能性が高いという認識を有しているものであるから,秘匿性・要保護性も低い。 加えて,原告は入れ墨をしていないのであるから,入れ墨の有無等についての情報が人格的利益に直結する秘匿性の高いものであるはずもない。 そして,原告が本件調査を拒否した理由は,自らの入れ墨の有無を秘匿したいというものではなく,「入れ墨やタトゥーをしている者を不適格者として仕事を奪うような調査」には協力できないとか,どんな命令でも職員だったら従わないといけないという点が納得できない(原告本人5頁・6頁)といったもので,原告自身のプライバシー侵害を理由として本件調査の回答を拒否したものではないことは明らかである。すなわち,原告 だったら従わないといけないという点が納得できない(原告本人5頁・6頁)といったもので,原告自身のプライバシー侵害を理由として本件調査の回答を拒否したものではないことは明らかである。すなわち,原告にとってプライバシーの侵害は生じていないのである。 また,原告は,本件調査により入れ墨施術を断念したわけでもないから,身体(入れ墨施術)に関する自己決定権や表現の自由の侵害等もない。 イ説得行為本件調査は,職務上の必要に基づき,職務として回答すべき義務があ るものであるから,この回答を拒否する者に対し,原告の上司らが,回答するよう再三にわたって説得を重ねたことは,上司らの職務執行としては極めて当然の対応であるし,その指導は3回ほどで,いずれも,10分から20分程度であり,看護業務や原告の体調にも配慮して行われ,威迫や強要などの指導として行き過ぎた対応もなく,依頼や説得の方法として相当性を欠くところはない(証人L2ないし6頁)。仮に何らかの利益を侵害したとしてもその程度は極めて軽微である。 ウ本件処分病院局長は,本件調査の後,再三にわたる説得,本件職務命令,警告等のいずれにも反して回答拒否を続けた原告に対し,職場における規律を確保するために,懲戒処分の中で最も軽度の戒告処分をもって,職員の責任を指摘し,及びその将来を戒めたにすぎず,それは,非違行為があった場合における懲戒処分として重すぎるということもない。 エなお,国家賠償責任としての違法性は,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と処分をしたと認め得るような事情がある場合に限られるところ,市民や議会の指摘等を踏まえ,行政主体として踏み込んだ施策を講じること自体は否定されるものではないし,その検討に当たって,人事室では,具体的な調査の対象,範囲,方 な事情がある場合に限られるところ,市民や議会の指摘等を踏まえ,行政主体として踏み込んだ施策を講じること自体は否定されるものではないし,その検討に当たって,人事室では,具体的な調査の対象,範囲,方法や,個人情報保護条例との関係について,複数の法律家の意見も踏まえながら慎重な検討を尽くした結果,本件調査の実施に至ったものである(乙46,54(5頁),証人N2頁)。 本件処分についても同様に法律家の意見も踏まえ,本件調査の趣旨等の説明を継続し,改めて業務命令,その後の警告書の交付という慎重な手順を踏み,さらに,職員基本条例30条1項に基づき,外部の法曹関係者で構成される被告人事監察委員会での意見も踏まえたものである。 そして,病院局長においても,かかる人事室の検討,対応状況を確認して対応してきたのであるから,職務上要求される注意義務は果たしてい るというべきである。 オこのように,本件調査によって何らかの利益が侵害されるとしても,それは法的保護に値する利益ではない,あるいはその程度が低いものであるし,他方,本件調査を始めとする病院局の対応は,権利利益を侵害するようなものではないか,侵害するとしてもその程度は極めて軽微である。 したがって,仮に原告の何らかの利益を侵害するものであったとしても,金銭をもって慰謝されるべき苦痛は生じていないというべきである。 第3 当裁判所の判断 1 本件取消しの訴えの適法性(訴えの利益の有無・本案前の争点)について(1) 被告は,原告が被告の職員たる地位を失ったことや,戒告は法律上それ自体によって職員の法的地位に直接の職務上ないし給与上の不利益を及ぼす処分ではないことから,本件取消しの訴えに係る法律上の利益が失われた旨主張する。 (2) 原告は,平成26年9月30日までは被告 自体によって職員の法的地位に直接の職務上ないし給与上の不利益を及ぼす処分ではないことから,本件取消しの訴えに係る法律上の利益が失われた旨主張する。 (2) 原告は,平成26年9月30日までは被告の職員であり,同年10月1日付けで市民病院機構の職員として引き継がれたものであるが,このことにより,原告が被告の職員であった間に被告に対して有することとなった給与請求権が,何らかの影響を受けることを定めた法令の規定は存在しない。 そして,期末手当・勤勉手当規程は,病院局の職員が地公法29条に基づく懲戒処分(免職を除く。)を受けたときは,勤勉手当から特定の額を減額することができるとし,本件運用基準は,その額を,戒告については勤勉手当基礎額の15%と定めているところ,証拠(甲36,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,病院局は,平成24年10月26日,原告に対し,本件処分により「制度上確定している」給与等への影響として,上記の期末手当・勤勉手当規程及び本件運用が適用される結果,同年12月支給の勤勉手当から15%の減額がなされる旨説明し,実際に同月支給の 勤勉手当から本件運用に従った減額がされたことが認められる。 そうすると,病院局は,原告が本件処分を受けたことを理由に,平成24年12月に原告に支給された勤勉手当を15%減額したものということができる。そして,原告が,上記減額を不服として,その減額分の給与の支給を求める当事者訴訟を提起した場合,本件取消しの訴えにおいて本件処分を取り消す判決を得るか,又は本件処分には重大かつ明白な瑕疵があって無効であることを主張立証しない限り,本件処分の効力を否定することができず,結果として,上記訴訟において敗訴することになる。 このことからすれば,原告は,本件処分を理由として減額された給与請 て無効であることを主張立証しない限り,本件処分の効力を否定することができず,結果として,上記訴訟において敗訴することになる。 このことからすれば,原告は,本件処分を理由として減額された給与請求権を回復するために,本件処分の取消しを求める利益があるものというべきである。 (3) したがって,被告のその余の主張について検討するまでもなく,原告には本件処分の取消しを求める法律上の利益があるということができ,被告の本案前の主張は,採用することができない。 2 認定事実前提事実,括弧内掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実を認めることができる。 (1) 本件施設職員は,Mで勤務しており,左上腕部に大きさ14㎝×4㎝の入れ墨をしていたが,長袖の服装を着用していたため,環境局では同職員に入れ墨があることを把握していなかった。 (乙30,46,52,54(2頁),証人N8頁)(2) 本件施設職員は,平成21年4月にMから児童福祉施設に異動し,調理担当職員として職務に従事していた。同年6月頃から,同職員は,気温が高くなり半袖の服装で作業するようになったが,袖口から入れ墨が2~3㎝程度見えるようになったため,上司は,入れ墨が子供たちの目に入らないように,長袖や上着を着用するように注意,指導していた。 (乙30,46,52) (3) 平成23年4月から6月頃にかけて,本件施設職員が入れ墨をしており,また,入所児童に対して暴言を吐き恫喝している,あるいは,同僚に対するセクシュアル・ハラスメント(以下「セクハラ」という。)を行っているなどの内容の外部通報が被告にあり,子ども青少年局及び情報公開室監査部が調査したところ,同職員が入れ墨をしていた事実や同年6月の宴席で同僚に対しセクハラを行ったとの事実が確認 という。)を行っているなどの内容の外部通報が被告にあり,子ども青少年局及び情報公開室監査部が調査したところ,同職員が入れ墨をしていた事実や同年6月の宴席で同僚に対しセクハラを行ったとの事実が確認され,同年9月,同職員に対し,セクハラを行ったことを理由とする停職処分が行われたが,同職員が入れ墨を見せて入所児童を恫喝したとの事実は確認されなかった。 (甲11,乙30,46,54(22頁),証人N9頁・10頁)(4) なお,本件施設職員については,従前は食育の観点から児童の指導に関わることがあったが,上記通報があったことなどを受けて,児童の指導には関わらないようにしていた。(乙30)(5) 平成24年2月28日,本件施設職員が児童たちに自分の入れ墨を見せたり,暴言を吐いたりしたことが被告の調査で判明したにもかかわらず,被告が処分せず,公表も見送っていたことなどを伝える本件新聞報道がなされた。 (6) 本件新聞報道を受けて,市民等から被告に対し,「入れ墨をした人間は,公務員になるべきではない。失職させよ」,「一般市民は入れ墨があればやくざだと思うものです」,「入れ墨がある職員が存在していること自体が非常に問題」など公務員である被告の職員が入れ墨をしていること自体を批判する意見が多数寄せられた。(乙29,46)(7) また,被告の議会では,本件新聞報道から本件調査の実施までの間に,本件施設職員をMから市民等と接触することの多い児童福祉施設に異動させたことや,当時においても同職員を児童福祉施設に配置していたことを非難し,職場の異動を検討すべきとする意見(3月8日・乙30),同職員の人事評価が不当であるとの意見(同日・乙30,31,同月9日・乙32),市民の感覚からすれば職員が入れ墨をしているということは非常 に問題であり きとする意見(3月8日・乙30),同職員の人事評価が不当であるとの意見(同日・乙30,31,同月9日・乙32),市民の感覚からすれば職員が入れ墨をしているということは非常 に問題であり,不適格者として分限処分に処すべきではないかとの意見(同月13日・乙33,4月12日・乙34,同月13日・乙35),入れ墨をしている職員には申告させて,その後に入れ墨を入れた者については処分すべきとの意見(3月9日・乙45)などが出された。(乙30ないし35,45)(8) このような中,服務OTが設置され,その第1回会議が3月21日に開催された。ここでは,【1】喫煙,入れ墨,マイカー通勤問題等の服務規律違反等に関し,全庁調査の実施方法等の検討及び調査の実施,調査結果に基づく処分の厳格化等の対応策の検討,【2】現業職場における服務規律の確保に関し,不祥事防止に向けた対応策(例えば,現業管理体制や人事異動の見直し,現場管理職の権限強化等)の検討,【3】被処分者に対する再発防止策の検討を行うことが了承された。そして,入れ墨についての調査の具体的な方法等の検討は,人事室に委ねられた。 人事室では,人事配置上の配慮を目的として職員の入れ墨に関する調査を行うこと,調査において職務命令によること及び調査の具体的な方法を検討し,弁護士に法的に問題がないか照会し,問題ない旨の回答を得て,本件調査を実施する要領を決定した。 (以上,乙16,54(5頁・8頁以下))(9) 被告は,4月,本件施設職員を市民等と接する頻度が少ないMに異動させた。(乙46,54(3頁))(10) 9月6日,第4回服務OT会議が開催され,同日の時点で,本件調査対象部位に入れ墨のある職員数は99人であったこと,そのうち95人は市民の目に触れる職場であり,業務が限定されてい 3頁))(10) 9月6日,第4回服務OT会議が開催され,同日の時点で,本件調査対象部位に入れ墨のある職員数は99人であったこと,そのうち95人は市民の目に触れる職場であり,業務が限定されているため分担替えが困難な職場もあることが報告され,今後の方針としては,市民等への接触の頻度,接触するに当たっての業務内容等を十分に考慮し,所属内の分担替えや配置替え,所属間異動などの適正な人事配置を行うこと,年度途中の配置替えは職員のプライバシーの観点上問題があり,また,配置先の職員が 異動を余儀なくされることから,定期人事異動での実施を検討すること,平成24年度中は,入れ墨を入れている職員に対し,入れ墨が市民等の目に触れることのないよう引き続き指導することなどが確認された。その後,入れ墨があることを理由に別の所属へ異動することとなった職員はいないが,所属内で業務の分担が変更された職員が8名いる。 (乙19,証人N25頁・38頁) 3 本件職務命令の適法性(1) 憲法13条違反及びプライバシー権侵害との主張についてア審査基準等について(ア) 本件職務命令は,本件調査に回答することを命じるものであるところ,本件調査は,病院局の全職員(非常勤嘱託職員及びアルバイト職員を除く)に対し,日常生活を行う上で目視可能な部位である本件調査対象部位に関し本件入れ墨情報の回答を義務付けるものである。 入れ墨は,それ自体では人格,思想,信条,良心等の個人の内心に関する情報となるものではないが,反社会的組織の構成員に入れ墨をしている者が多くいることから,入れ墨をしていることは個人の経歴に関する情報となり得るものであり,かつ,本件新聞報道後に公務員である本件施設職員が入れ墨をしていたことに対して市民等から批判する意見が多数寄せられて いることから,入れ墨をしていることは個人の経歴に関する情報となり得るものであり,かつ,本件新聞報道後に公務員である本件施設職員が入れ墨をしていたことに対して市民等から批判する意見が多数寄せられていることからも明らかなとおり,入れ墨に対して抵抗感や嫌悪感を示す者は多く,個人の名誉又は信用に関わるプライバシー情報であるということができる。 他方,入れ墨は,自己の身体に関する限り,その施術は個人の自由に属する事項といえ,近時はファッションとして入れ墨を入れる者も多数存在するところである(甲29)。 そして,憲法13条は,国民の私生活上の自由が公権力の行使に対しても保護されるべきことを規定していると解されるので,個人の私生活上の自由の一つとして,何人も入れ墨をしているとの情報の開示 を公権力により強制されない自由及び入れ墨をするかしないかを決定する自由を有するものと解される。 (イ) もっとも,上記自由も無制限に保護されるものではなく,公共の福祉のため必要がある場合には相当の制限を受けることは,憲法13条に定められているところである。 そして,前記のとおり近時はファッションの一つとして入れ墨を施す者もいること(甲29)からすると,入れ墨をしていることは,反社会的組織に所属していたことを直ちに意味するものではなく,必ずしも個人の経歴を示す情報となるものともいえないため,これを秘匿したいと考えるか否かも個々人によって異なる。また,本件調査は,視認又は撮影などの方法によって職員の身体に入れられている入れ墨の形状,模様等を直接情報として収集するものではなく,本件調査票に自ら記入させる方法によって,本件調査対象部位に限り,本件入れ墨情報を収集するものであり,その情報のみから当該個人の経歴を直ちに推認することができるものではない。 集するものではなく,本件調査票に自ら記入させる方法によって,本件調査対象部位に限り,本件入れ墨情報を収集するものであり,その情報のみから当該個人の経歴を直ちに推認することができるものではない。 上記のような本件調査により収集する本件入れ墨情報の性質及び内容に鑑みると,本件調査が入れ墨をしている者のプライバシーや自己決定権を侵害するものとして憲法13条に反するか否か,また,違法となるか否かを判断するに当たっては,他のより制限的でない他の手段が存在しないことまで要するものではなく,本件調査の目的の正当性,調査の必要性及び手段の相当性等を総合考慮して判断するのが相当である。 イ本件調査の目的(ア) 本件施設職員が自分の腕の入れ墨を児童たちに見せていたことなどを伝える本件新聞報道がなされた後に,被告の議会において被告の職員が入れ墨をしていることを問題視する意見が出されるとともに,本件施設職員を市民等と接することの多い児童福祉施設で勤務させて いることを非難し,職場の異動を検討すべきとの意見が出ていたこと,本件調査実施要領には本件調査の目的につき「先の新聞報道等にもあるように,本市職員の入れ墨が社会問題となっており,人事配置上の配慮等を行う観点から,日常生活を行う上で目視可能な部位への入れ墨の有無を把握する必要があるため,全職員に対し記名式の調査を実施するものである」と記載されていること,本件調査の際に各職員に配布された「入れ墨に関する調査について」と題する病院局長名義の書面にも「入れ墨・・・が見えるような服装で業務を行うことは不適切であることは言うまでもなく,また,いくら見えないように気を付けていても,勤務中に入れ墨が市民の方の目に触れることになれば,市民の方が不安感や威圧感を持ち,ひいては本市の信用を 務を行うことは不適切であることは言うまでもなく,また,いくら見えないように気を付けていても,勤務中に入れ墨が市民の方の目に触れることになれば,市民の方が不安感や威圧感を持ち,ひいては本市の信用を失墜させることにつながることは明らかである。このような事態が生じないよう,本市として,職員の入れ墨が業務中に市民の方の目に触れる可能性のある部分・・・にあるのかどうか,実態を把握した上で,人事配置上の配慮を行う必要があることから,全職員に対し記名式の調査を実施する」と記載されていること,本件調査実施後に開催された第4回服務OT会議では,市民等への接触の頻度,接触するに当たっての業務内容等を十分に考慮し,所属内の分担替えや配置替え,接触するに当たっての業務内容等を十分に考慮し,所属内の分担替えや配置替え,所属間異動などの適正な人事配置を行うとの方針が確認されていること,及び証拠(乙46,47,54,証人N)によれば,本件調査の目的は,本件新聞報道後に,被告の職員が入れ墨をしていることに対する批判が高まっていることを受けて,今後同様の問題が発生することによって市政に対する信用が失墜することのないよう,市民等の目に触れる可能性のある部分に入れ墨をしている職員の有無を把握し,当該部分に入れ墨をしている職員が市民等に接する機会の多い職務に従事している場合には,より市民等に接する機会の少ない職務を担当 させるために,所属内の分担替えや配置替え,所属間異動などの人事配置を行うことであったと認められる。 (イ) これに対し,原告は,【1】入れ墨に関する調査を行う方針を決定した第1回服務OT会議において決まったのは処分の厳格化等の検討程度であり,人事配置に関する検討がされたのはその第4回に至ってからであったこと,【2】本件施設職員は停職処分の る調査を行う方針を決定した第1回服務OT会議において決まったのは処分の厳格化等の検討程度であり,人事配置に関する検討がされたのはその第4回に至ってからであったこと,【2】本件施設職員は停職処分の際に入れ墨について問題にされず,児童施設からの異動も検討されていないことや本件調査の結果,入れ墨のあることを理由にして異動させられた職員がいないことを論拠として,本件調査の目的は人事配置上の判断材料として本件入れ墨情報を収集することではなかった旨主張している。 しかしながら,【1】についてみると,認定事実(7),(8)によれば,服務OTが設置される前から,被告の議会において,市民の感覚からすれば職員の入れ墨には厳しい目が向けられている旨の指摘がされていたこと,第1回服務OT会議では,入れ墨を含む服務規律の厳格化に対する対応策を今後検討するという方向性が決定され,現業職場に関してではあるが,その一例として人事異動の見直しも認識されていたこと,調査方法等に関し具体的な検討を委ねられた人事室では,本件調査の目的を人事配置上の判断材料として本件入れ墨情報を収集することとし,調査方法等を決定して,弁護士に法的な問題がないか照会したことが認められるのであり,これらによれば,本件調査の目的が,人事配置上の配慮を行うための情報収集であったことは優に認めることができる。 また,【2】についてみると,認定事実(2),(3),(9),(10)によれば,本件調査の結果,入れ墨があることを理由に所属間で異動した職員はいないものの,業務の分担が変更された職員が8名いることが認められ,本件施設職員も含めて,現に市民の目に入れ墨が触れないように配慮した措置が採られたことが認められるから,原告指摘の事 実をもって,本件調査の目的が人事配置上の配慮を行 いることが認められ,本件施設職員も含めて,現に市民の目に入れ墨が触れないように配慮した措置が採られたことが認められるから,原告指摘の事 実をもって,本件調査の目的が人事配置上の配慮を行うためのものでなかったということはできない。 よって,上記原告の主張は,採用することができない。 (ウ) 地方公共団体は,その地方の事務を当該地域の住民の意思と責任の下に実施し,その職員である地方公務員は,全体の奉仕者として住民全体の公共の利益のために勤務するものであって(地公法30条),その職務を行うに当たっては公務に対する住民の信頼を損なわないように遂行することが要請されるから(同法33条),住民の意見や住民の代表である議会での議論を踏まえつつ,公務に対する住民の信頼を損なわないように職員の服務を規律することは地方公共団体の責務であるということができる。 職員倫理規則2条2項8号が,「勤務時間中は,常に清潔な身だしなみを心がけ,市民が不快感を覚えることがないようにする」ことを定めているのも,かかる要請に基づくものであって,合理的な定めであると解されるところ,市民等の目に触れるところに入れ墨をしている職員が市民等に接する機会の多い部署に配属されている場合には,入れ墨が市民等の目に触れることにより市民等が不安感や威圧感を持つことがあり得るから,そのような事態が生じないようにするために,入れ墨を入れている職員の有無を把握した上で人事配置上の配慮を行うとの本件調査の目的は,上記地方公共団体の責務及び上記規則の趣旨に沿うものであって,正当な目的であると認められる。 (エ) 原告は,【1】人事配置上の配慮とは余りに一般的・抽象的に過ぎる,【2】入れ墨には多様な内容・背景があるのであり,これがあるという一事をもって当該職員に対する評 な目的であると認められる。 (エ) 原告は,【1】人事配置上の配慮とは余りに一般的・抽象的に過ぎる,【2】入れ墨には多様な内容・背景があるのであり,これがあるという一事をもって当該職員に対する評価を決定することはできないから,入れ墨の存在を人事配置上で考慮することは相当でない,被告の引用する「市民の声」には,本件調査に反対したり,入れ墨について否定的でなかったりする意見も相当数含まれているし,議員の 質問も,実際には存在しなかった本件施設職員の恫喝行為等を前提にしたものであり,本件調査は,入れ墨に関する市民の受け止め方に対する配慮を超えるものであるなどとして,本件調査の目的自体が不当なものであると主張している。 しかし,人事配置上の配慮という目的が一般的・抽象的に過ぎるとはいえないことは,上記(ウ)で述べたところから明らかである。 また,【2】についても,近時,ファッションの一つとして入れ墨を入れる者がいることは確かであるが,他方で,反社会的組織の構成員に入れ墨をしている者が多くいることは否定し難く,そのため入れ墨をしている者に対して不安感や威圧感を抱く者がいることは,被告に寄せられた市民等からの意見(乙29)やスポーツクラブにおいて入れ墨をしている者の入会を拒否する会則が設けられていることなど(乙24,25)からも認められる。そして,本件施設職員の事案の場合も,入れ墨をしている者が公務員であることを認識した上で,被告に対して公益通報がされているのであり,公務員が入れ墨をしているという事実が市政に対する強い批判を招いているのであるから,入れ墨が市民等の目に触れることにより市民等が不安感や威圧感を持つことがあり得るため,そのような事態が生じないようにするとの本件調査の目的が不当であるということはできない。 であるから,入れ墨が市民等の目に触れることにより市民等が不安感や威圧感を持つことがあり得るため,そのような事態が生じないようにするとの本件調査の目的が不当であるということはできない。 (オ) 原告は,本件調査は,全ての入れ墨が市民に不安感や威圧感を与えるという画一的な価値観を前提とし,これを押し付けるものであり,被告自身が掲げる自己決定権の尊重という人権行政の基本理念に反し,入れ墨を施術している者は全て他者に不安感や威圧感を与える人物であるという評価を宣伝し,差別を助長することになると主張している。 しかし,前記(エ)で述べたとおり,入れ墨に対して不安感や威圧感を抱く者が多数いることが認められ,原告自身主張するとおり,入 れ墨が社会的によくない交流・交友関係に関連して施術されることも少なくなく,反社会的組織の構成員に入れ墨をしている者が多くいることも否定し難いことからすると,入れ墨に対して不安感や威圧感を抱くこと自体は何らの根拠もない不当な偏見や差別であるということはできず,被告の対応も入れ墨に対する不安感や威圧感を感じる市民等がいることに配慮する限りで行うことを予定しているものであるから,本件調査が不当に偏見や差別を助長するものであるということはできない。 ウ本件調査の必要性(ア) 児童福祉施設で勤務していた本件施設職員が児童に対して自分の入れ墨を見せたり,暴言を吐いたりしたなどとする本件新聞報道がなされ,これを受けて,被告に対し,公務員が入れ墨をしていること自体が非常識であるなどといった非難の声が多数寄せられるとともに,市議会においても職員が入れ墨をしていることを批判する趣旨の意見が述べられているのであるから,被告としては市政に対する市民等からの信頼を確保するために対応しなければならない 多数寄せられるとともに,市議会においても職員が入れ墨をしていることを批判する趣旨の意見が述べられているのであるから,被告としては市政に対する市民等からの信頼を確保するために対応しなければならない状況であったということができる。 そして,被告は,職員倫理規則2条2項8号で「勤務時間中は,常に清潔な身だしなみを心がけ,市民が不快感を覚えることがないようにする」ことを定めるとともに,入れ墨に関しては,職員に対して,入れ墨をしている場合には長袖の服を着て見えないようにするよう注意・指導しており(乙54(23頁)),本件施設職員に対しても,平成21年6月頃に同人の腕に入れ墨があることを把握した以降は,長袖の服や上着を着るよう上司が指導していたが,それにもかかわらず,その後に同職員が入れ墨をしていたことなどが外部通報により問題となっているのであるから,入れ墨をしている場合には長袖を着るなど市民等から見えないようにするよう指導したり,身だしなみ点検 を実施したり,問題が発覚する毎に個別に対応したりするという従前どおりの対応をするだけでは,再度同様の問題が生じることはあり得るところである。そして,再び同様の問題が生じた場合は,被告に対する市民等からの非難は更に高まることが予想されるから,あらかじめ同様の問題が生じないように職員の市民等の目に触れる可能性のある部位に関する本件入れ墨情報を把握した上で,入れ墨をしている職員については市民等と接触する機会が多い部署には配置することを避けるという人事配置上の配慮を行うことには合理性があり,実際に,議会の議員からは,入れ墨をしている職員については市民の目に触れないよう人事異動で配慮すべきとの意見が出されていたのであるから,市民等の目の触れる部分に入れ墨をしているのか否かを各職員についてあら 議会の議員からは,入れ墨をしている職員については市民の目に触れないよう人事異動で配慮すべきとの意見が出されていたのであるから,市民等の目の触れる部分に入れ墨をしているのか否かを各職員についてあらかじめ把握した上で,人事異動で配慮するとの方策を採る必要性があったというべきである。 また,本件施設職員は児童福祉施設で勤務していた者であり,病院局の職員ではないが,本件新聞報道後の市民等から寄せられた意見は,児童福祉施設の職員であるかその余の部署で勤務する職員であるかを特段区別することなく,公務員である被告の職員が入れ墨をしていたこと自体を非難するものが多く,したがって,市政に対する市民等からの信頼を確保するためには,被告の職員全体について同様の問題が生じないようにすることが必要であったこと,被告においては部局間の人事異動もあり,本件施設職員も部局間異動により環境局から児童福祉施設に異動していることからすると,問題が発生した児童福祉施設の職員だけでなく,病院局を含む被告の他の部局の職員についても調査を行う必要性があったことが認められる。 (イ) これに対し,原告は,本件新聞報道の後に寄せられた入れ墨に関する市民等の意見は「職員が児童に入れ墨を見せて恫喝した」という誤った報道に基づくものであるから,本件調査を実施する必要性は なかった旨主張している。 しかし,上記職員が入れ墨をして恫喝したとの事実までは確認できなかったとしても,入れ墨をしていたことは事実であり,本件新聞報道後の市民等の意見には,恫喝したことだけではなく,公務員である職員が入れ墨をしていたこと自体に対する批判の意見が多いのであるから,被告の調査では恫喝の事実までは確認することができなかったことをもって,本件調査の必要性がなかったとはいえない。 (ウ) また, 職員が入れ墨をしていたこと自体に対する批判の意見が多いのであるから,被告の調査では恫喝の事実までは確認することができなかったことをもって,本件調査の必要性がなかったとはいえない。 (ウ) また,原告は,病院局所管の病院では,看護師は,半袖上衣に長パンツの制服,靴下及び足全体が保護される靴の着用が義務付けられている上,原告の勤務するE病院では身だしなみをチェックするシステムが構築されるとともに,看護師らは毎日の引継ぎにおいて互いの身だしなみを目にしており,同病院及び病院局全体,ひいては被告全体において入れ墨を原因として何らかの問題が発生したことはなかった,勤務中の通常の着衣によっては隠れない部位については,本件調査をするまでもなく入れ墨の存否は明らかである,入れ墨の問題は上司による服装指導で解決できるものであるから,人事配置において考慮する必要性そのものがないとして,本件調査を行う必要性はなかった旨主張している。 確かに,被告においては,職員の入れ墨については,前記(ア)で述べたとおりの注意・指導を行っており,それまでその注意・指導に従わない職員の存在が人事課に報告された事例はなく,病院局においても,看護師は原告の主張する制服の着用が義務付けられている上,患者と直接接することがその業務の中心的な内容であることから,患者に不快感を与えたり,清潔を損なったりすることのないよう,髪の整え方を細かく指定したり,アクセサリーやマニキュア等を禁じるなど,詳細かつ厳格な接遇マニュアル類やチェックリストが作成され,日々これらに沿った身だしなみの点検が行われており,その際に入れ 墨が見えるなどして問題となった事例はなかったことが認められるのであるから(甲8,9,33,乙54(24頁),証人N8頁・9頁,同L9頁,原告本人1ないし4頁 行われており,その際に入れ 墨が見えるなどして問題となった事例はなかったことが認められるのであるから(甲8,9,33,乙54(24頁),証人N8頁・9頁,同L9頁,原告本人1ないし4頁),看護師については,本件施設職員を含むその余の一般職員の場合と比較すると,入れ墨が市民等の目に入ったとして同様の批判を招く可能性はより少ないということができる。 しかし,本件全証拠によっても,上記接遇マニュアル類やチェックリストが,本件調査対象部位に入れ墨があり得ることを想定したものとは認められず(特に甲8,9を参照),病院局所管の病院における日常の点検において,本件調査対象部位に入れ墨があることが見落とされる可能性を否定することはできない。そして,制服等が定められている看護師から配転される可能性も完全には否定できない上,そうでないとしても,本件施設職員に関し上記事案が発生した以上,病院局の看護師についても,先に述べたような従前の注意・指導により本件施設職員の事案と同様の問題が生ずるおそれがないか否かを検討する必要があるのであって,そのためにも,市民等の目に触れ得る部分に入れ墨をしているのか否かをあらかじめ把握しておく必要性があったこと,児童福祉施設以外の部局の職員についても調査を行う必要性があったことは,前記(ア)で述べたとおりである。 (エ) 原告は,本件調査の過程において,上司に対し,自分としてはタトゥーをしたりはしないと話しており,入れ墨がないことを暗に伝えていたとして,本件調査の必要性はなかったと主張している。 しかしながら,証拠(原告本人)によれば,原告は,本件調査に反対する立場から,その回答となる情報を被告に与えることはできないという考えでいたことが認められ,入れ墨があるかないかを明確に答えていな しかしながら,証拠(原告本人)によれば,原告は,本件調査に反対する立場から,その回答となる情報を被告に与えることはできないという考えでいたことが認められ,入れ墨があるかないかを明確に答えていないということは,原告自身が本人尋問で認めるところである(原告本人22頁・24頁)。原告は,L管理課長に対し,入れ墨を 入れる趣味はないという発言をした旨述べる(原告本人10頁・15頁・21頁以下)が,これは,原告が本件調査に反対する上記の考えを説明する中でしたものであり,同課長からはその発言の趣旨についての釈明も求められなかったというのであるから(原告本人24頁以下),当該発言によって,原告についての本件入れ墨情報が病院局側に十分に伝わったと認めることもできない。原告もそれを自覚していたからこそ,後日,異動しないように要請するために,L管理課長に改めて入れ墨がないことを申告しているのである(前提事実(5)エ)。 そうすると,病院局が同情報を取得していたことを理由に,原告に関する本件調査の必要性を否定することはできない。 なお,本件入れ墨情報を書面により取得することに合理性・相当性が認められることは,後記エで述べるとおりである。 エ手段の相当性(ア) 本件調査は,病院局の非常勤嘱託職員及びアルバイト職員を除く全職員を対象に,本件調査対象部位に関する本件入れ墨情報を本件調査票に記載して提出することを義務付ける方法によって実施されている。 本件調査は,人事配置上の配慮を行うことを目的とするものであるから,かかる目的を達成するためには,市民等の目に入る可能性のある場所についての本件入れ墨情報を確認すれば足りるところ,本件調査では,調査の対象部位を本件調査対象部位に限定しており,かつ,化粧の一部として眉, 目的を達成するためには,市民等の目に入る可能性のある場所についての本件入れ墨情報を確認すれば足りるところ,本件調査では,調査の対象部位を本件調査対象部位に限定しており,かつ,化粧の一部として眉,アイライン,唇の皮膚に針等で色素を入れる施術である,いわゆるアートメイクを本件調査の対象から外しているなど,職員のプライバシーを過度に制限することのないように調査対象範囲を限定している。 前述のとおり,本件調査は,本件施設職員が入れ墨をしていたことなどを伝える本件新聞報道を契機として実施されたものであるが,本 件新聞報道後に被告に寄せられた市民等の意見は,被告の特定の部署や職種に限定することなく,公務員である被告の職員が入れ墨をしていること自体を批判する意見が多数寄せられていたのであるから,被告の全職員を対象として調査を実施する必要があり,かつ,相当であると認められるところ,病院局の職員数は4月1日当時で1957名であり,全ての職員に対して聞き取り調査や目視による確認調査を実施するには多大な労力を要するから,各職員に対して書面による回答を求めるとの方法は効率的であり,かつ,その後の情報の管理という面からみても合理的な方法であるということができる。また,調査対象者のプライバシー保護の観点からも,書面により回答する方式であれば,自己の認識に基づいて本件入れ墨情報を記載し提出すれば足りるから,面談を実施しての聞き取り調査や目視による確認調査を行うという方法よりも望ましい方法であるということができる。 さらに,本件調査は,本件調査対象部位に関する本件入れ墨情報の回答は任意ではなく,これを回答することを義務付けるものであるが,病院局長は,後述のとおり,地方公営企業である病院局の管理者としてその職員に対する指揮監督権を有し( 対象部位に関する本件入れ墨情報の回答は任意ではなく,これを回答することを義務付けるものであるが,病院局長は,後述のとおり,地方公営企業である病院局の管理者としてその職員に対する指揮監督権を有し(地方公営企業法15条2項),また,各職員の上司として職務に関連する事項につき命令することができるのであり(地公法32条),職務を執行する際の身だしなみに関する事項についても職務に関連する事項として職務命令の対象とすることができるのであるから,各職員に対して本件調査に回答するよう命じてこれを義務付けることも病院局長の職務権限の範囲内であるということができる。そして,本件調査の回答を任意にすると,回答しない職員が多数出てくることは容易に予想することができるところであり,各職員の本件入れ墨情報を把握した上で,人事配置上の配慮を行うという本件調査の目的を必ずしも達成することができないことになり得るのであるから,回答を義務付けることは合理的な方法であ るということができる。 以上によれば,本件調査の方法は合理的かつ相当な方法であると認めるのが相当である。 (イ) これに対し,原告は,市教委では校園長らが職務上において入れ墨を確認した職員の有無等を報告するとともに,問題がある職員に対しては個別に指導をするという方式が採用されており,本件調査のように回答を義務付ける必要はなく,上司による個別の指導で十分であったと主張している。 証拠(甲13ないし16)によれば,市教委は,各校園長に対し,職員会議等において所属教職員全員に対し,入れ墨が児童・生徒・保護者等の目に触れることになれば,不安感や威圧感を与え,ひいては被告の学校教育に対する信用失墜につながるということを周知徹底するとともに,児童・生徒等の目に触れる可能性のあるところに入 童・生徒・保護者等の目に触れることになれば,不安感や威圧感を与え,ひいては被告の学校教育に対する信用失墜につながるということを周知徹底するとともに,児童・生徒等の目に触れる可能性のあるところに入れ墨がある場合は申告させ,併せて,入れ墨が児童・生徒等の目に触れることのないように厳しく指導することとしたことが認められるところ,市教委においては,教育公務員が自己の崇高な使命を深く自覚し,絶えず研究と修養に励み,その職責の遂行に努めなければならない立場にあること(教育基本法9条1項)を前提として,本件調査をそのまま実施するのに否定的な意見が多数を占めたことがうかがわれる(甲13ないし16)のであって,それを一般職員に直ちに当てはめることはできないというべきである。 (ウ) 原告は,本件調査が懲戒処分を威嚇力とする職務命令による強権的・強制的調査であり,調査方法として過剰であると主張するが,回答するか否かを任意とする調査方法は,職員が入れ墨をしているか否かなどの実態を把握するという本件調査の観点からみて実効性に欠けることは明らかであるから,職務命令により回答を義務付けることが調査方法として過剰であるということはできない。 (エ) 原告は,本件調査が,入れ墨があってもこれが見えないように身だしなみを整えている場合にまで,その存在を明かすことを求めており,調査方法として相当性がないと主張している。 上記主張は,実質的には,勤務中の通常の着衣によっては見えない部分についての入れ墨の存否の調査は必要がないとの主張と同趣旨のものと解されるところ,これが採用できないことは,前記ウ(ウ)で述べたとおりである。 (オ) 原告は,本件入れ墨情報において自署した書面で回答を提出させることが正確性の担保にな と同趣旨のものと解されるところ,これが採用できないことは,前記ウ(ウ)で述べたとおりである。 (オ) 原告は,本件入れ墨情報において自署した書面で回答を提出させることが正確性の担保になるとはいえないと主張している。 しかしながら,書面で回答を求めることが,調査の効率化,情報の管理及び職員のプライバシー保護といった観点から合理性が認められることは,前記(ア)で述べたとおりであり,書面によることが回答の正確性の担保にならないからといって,その合理性を否定することはできない。 (カ) 原告は,本件調査において回答を拒絶した者は,被告の全職員約3万4000名中わずか6名にとどまっており,その者らについては口頭で申告させたり,上司等が確認できている状況についての報告書を作成したりするなど代替的な調査結果取得方法が考えられると主張している。 しかしながら,本件調査は,被告の職員における入れ墨の実態の把握が必要であることから実施されたものであり,被告の職員全員から回答を得ることが必要なものであるから,回答を拒絶した職員が少数にとどまったからといって,その者らに回答を求める必要性がなくなるということはできない。 オ以上によれば,本件調査の目的は正当であり,本件調査の必要性及び手段の相当性も認められる。したがって,本件調査及びこれに回答することを求める本件職務命令は,憲法13条に反するものではなく,プラ イバシーを違法に侵害するものともいえない。 (2) 憲法21条違反との主張についてア原告は,本件調査により本件入れ墨情報を収集することは,表現の自由に対する萎縮効果をもたらすとして,憲法21条に反する旨主張している。 イしかし,人の内心における精神作用を外部に公表する精神活動として 本件調査により本件入れ墨情報を収集することは,表現の自由に対する萎縮効果をもたらすとして,憲法21条に反する旨主張している。 イしかし,人の内心における精神作用を外部に公表する精神活動として入れ墨を入れることが一般的であると認めるに足りる証拠はなく,むしろ,服装,身なり,外観などの自己決定権の問題として憲法13条による保障が及ぶか否かが検討されるべき問題であると解される。憲法13条により保障される自由も,公共の福祉のため必要がある場合には相当の制限を受けるところ,本件調査の目的の正当性,調査の必要性及び手段の相当性が認められることは前述のとおりである。 ウしたがって,本件調査が憲法21条に反する旨の原告の主張は採用することができない。 (3) 個人情報保護条例違反との主張についてア同条例6条2項に該当するか否か(ア) 同項は,「思想,信条及び宗教に関する個人情報並びに人種,民族,犯罪歴その他社会的差別の原因となるおそれがあると認められる事項に関する個人情報」(差別情報等)については,原則として収集してはならないことを定めており,そこにいう「その他社会的差別の原因となるおそれがあると認められる事項に関する個人情報」とは,社会生活において一般的に知られることにより,特定の個人又はその関係者が社会的に不当な差別を受けるおそれがある情報をいうものと解される(乙41)。 (イ) 反社会的集団の構成員には入れ墨をしている者が多くいることから,入れ墨をしている人に対して抵抗感を感じる人が多くいることが認められることは前述のとおりであるが,本件新聞報道後に寄せら れた市民の意見には,その者が反社会的集団に所属しているのか否か,入れ墨をしている部位,当該入れ墨が化粧の一種としてのいわゆるアートメイクの範疇に留まるものな が,本件新聞報道後に寄せら れた市民の意見には,その者が反社会的集団に所属しているのか否か,入れ墨をしている部位,当該入れ墨が化粧の一種としてのいわゆるアートメイクの範疇に留まるものなのかなどを区別することなく,入れ墨をしている者は失職させるべきとの意見も寄せられていることに照らすと,入れ墨に対する抵抗感から過剰に反応して不当な差別がされる可能性があることは否定し難い。 したがって,本件調査により収集しようとした本件入れ墨情報のうち特定個人が入れ墨をしているとの情報は,同項にいう「その他社会的差別の原因となるおそれがあると認められる事項に関する個人情報」(差別情報)に当たると解するのが相当である。 イ同条例6条2項1号に該当するか否か(ア) 同号は,法令等に定めがあるときは,例外的に差別情報等を収集することができることを定めている。ここに法令等に定めがあるときとは,法令等に収集することができることを明文で定めている場合のほか,法令等の規定の趣旨,目的からみて,収集することができるものと解される場合を含むものと解される(乙41)。 (イ) そして,被告は,仮に本件調査が差別情報を収集するものであるとしても,本件調査は,被告に,職員の任命,休職,免職及び懲戒等の人事行政を行う権限があることを定める地公法の規定(同法1条,5条ないし22条等),職員に対する指揮監督権限が被告にあることを定める地方自治法154条並びに人事室に職員の配置その他の人事に関する権限を付与した同法158条及び大阪市市長直轄組織事務分掌条例及び同規則に基づく情報の収集であるから,個人情報保護条例6条2項1号に基づく差別情報等の収集であり適法である旨主張している。 確かに,本件調査は,地方公営企業である病院局の管理者である病院局長の命令に基づい づく情報の収集であるから,個人情報保護条例6条2項1号に基づく差別情報等の収集であり適法である旨主張している。 確かに,本件調査は,地方公営企業である病院局の管理者である病院局長の命令に基づいて実施されたものであり,地方公営企業法は, 管理者が地方公営企業の職員の任免,給与,勤務時間その他の勤務条件,懲戒,研修及びその他の身分取扱いに関する事項を掌理するとともに(同法9条2号),企業職員は管理者が指揮監督することを定めているところ(同法15条2項),上記指揮監督権は,補助機関を構成している公務員が一つの組織体をなして秩序整然と最良の補佐をなすことを担保するために認められている権限であるから,管理者は,必要があるときに,必要な方法によって補助機関である職員の職務の執行につき積極的に命令し,また,消極的にその義務に違反しないようにあらゆる措置を採ることができ,その措置には職員の身分取扱いに関する事項について種々の調査を行うことも含まれると解するのが相当である。 しかしながら,地方公営企業法9条2号及び15条2項並びに被告が主張する根拠規定は,一般的な人事行政に関する指揮監督権限を包括的に定めた規定であるか,被告内部の事務分掌の規定であるが,これらの包括的な指揮監督権規定又は事務分掌規定により情報の収集が可能であるとすると,職員に関する限り広範に差別情報等を収集することが可能となり,個人情報保護条例6条2項が原則として差別情報等の収集を禁止したことの趣旨が没却されるおそれがある。 また,同条例6条2項1号が,法令等に基づく場合に差別情報等の収集を許容する趣旨は,情報の収集に具体的根拠がある場合には,情報収集の必要性が存在することが前提となっている上,個人情報の取扱いも法令に従って合理的になされると考えられるからであると 差別情報等の収集を許容する趣旨は,情報の収集に具体的根拠がある場合には,情報収集の必要性が存在することが前提となっている上,個人情報の取扱いも法令に従って合理的になされると考えられるからであると解されるところ,情報の収集について個別具体的な場面における情報の収集について定めた規定であればその趣旨は当てはまるが,一般人事行政に関する包括的な指揮監督権を定める規定又は事務分掌規定に基づく情報収集の必要性の有無及び取扱方法は,個々の事案によって大きく異なり得るから,かかる包括的な指揮監督権限の規定及び事務分掌 規定を同項1号にいう「法令等」に含めることが,同条2項の趣旨に沿うのかも疑問である。 しかも,同条例71条3項は,人事,給与,服務,福利厚生その他の本市の職員に関する事務のために取り扱う個人情報については,同条例6条2項2号に基づき差別情報等を収集する場合には同条4項及び5項を適用しない旨定めている。包括的な指揮監督権に基づく差別情報等の収集が同条2項1号により可能なのであれば,あえて同項2号による差別情報等の収集を前提とした同条例71条3項のような規定を設ける必要性に乏しいから,同条例は,人事等の職員に関する事務のために取り扱う差別情報等は同条例6条2項2号により収集することを予定していると考えられ,したがって,一般人事行政に関する包括的な指揮監督権を定める規定又は事務分掌規定は,同項1号の「法令等」に含まれていないことを前提としていると解するのが合理的である。 (ウ) 以上によれば,同条例6条2項1号にいう「法令等」とは,個別具体的な場面における情報の収集について定めた規定を意味し,一般人事行政に関する包括的な指揮監督権を定める規定又は事務分掌規定は含まれないと解するのが相当である。 よって,本件調査による は,個別具体的な場面における情報の収集について定めた規定を意味し,一般人事行政に関する包括的な指揮監督権を定める規定又は事務分掌規定は含まれないと解するのが相当である。 よって,本件調査による情報の収集は,同条例6条2項1号に該当しない。 ウ同条例6条2項2号に該当するか否か(ア) 同号は,「事務の目的を達成するために必要不可欠であると認められるとき」は,同項本文が定める情報を例外的に収集することができる旨定めている。ここに「事務の目的を達成するために必要不可欠であると認められるとき」とは,事務の性質上,当該個人情報の収集が必要であり,当該個人情報を欠いてしまうと事務の遂行ができなくなる場合をいうと解される(乙41)。 (イ) 本件調査の目的は,市民等の目に触れる可能性のある部分に入れ墨をしている職員の有無を把握し,当該部分に入れ墨をしている職員が市民等に接する機会の多い職務に従事している場合には,より市民等に接する機会の少ない職務を担当させるために,所属内の分担替えや配置替え,所属間異動などの人事配置を行うことであり,前述のとおり,人事上の配慮をより適切に行うために本件調査対象部位に関する本件入れ墨情報を調査する必要性はあったことは認められるが,病院局所管の病院では,看護師らが,接遇マニュアル等に基づき日々身だしなみの点検を行っており,職員が入れ墨をしていたことにより職務に支障が生じたことは認められないことからすると,人事上の配置に支障を来すことが必然であったとまで認めることはできない。 (ウ) したがって,本件調査による差別情報等の収集は,事務の目的を達成するために必要不可欠であったとまで評価することはできないから,同号に該当しない。 エまとめ以上によれば,本件調査により特定の職員が入れ墨を 件調査による差別情報等の収集は,事務の目的を達成するために必要不可欠であったとまで評価することはできないから,同号に該当しない。 エまとめ以上によれば,本件調査により特定の職員が入れ墨をしているとの情報を含む本件入れ墨情報を収集することは,同条例6条2項に違反し違法であり,本件調査に回答することを命じる本件職務命令も,同項1号及び2号に該当しないにもかかわらず差別情報を収集することを目的とするものであるから,同項に反し違法である。 4 本件処分の違法性(1) 前記3のとおり,本件職務命令は個人情報保護条例6条2項に反して違法であるから,原告が上記命令に違反して本件調査票を提出しなかったことを非違行為とする本件処分も違法であると解するのが相当である。 (2) これに対し,被告は,仮に本件職務命令が違法であり,取消しの原因となる瑕疵がある場合であっても,その瑕疵が重大かつ明白であって,客観的に無効であることが明らかな場合以外,地方公務員はこれに従う義務 があるから,かかる義務に従わなかった場合には,懲戒処分の対象となると主張している。 かかる見解は,行政の統一性確保の要請を重視する見解であるが,仮に上記要請を考慮すべきとしても,本件職務命令は,各職員を名宛人とする非訓令的職務命令であり,職務命令の違法を争訟制度で争い得る者は当該職員以外になく,また,職員の権利とも関わることから,懲戒処分に処された職員は,当該懲戒処分の前提とする職務命令が違法であることを主張して懲戒処分の有効性を争うことができると解するのが相当である。 被告は,自己の見解の裏付けとして,最高裁平成15年1月17日第二小法廷判決(民集57巻1号1頁)を指摘しており,同判決は,違法な旅行命令に従った随行員については上司の職務命令に重大明白な瑕疵が 被告は,自己の見解の裏付けとして,最高裁平成15年1月17日第二小法廷判決(民集57巻1号1頁)を指摘しており,同判決は,違法な旅行命令に従った随行員については上司の職務命令に重大明白な瑕疵がない以上,服従義務があるので不当利得返還請求権の要件を満たさないとしたものであるが,住民訴訟の事案であり,職務命令の違法の主張を認めなければ当該職員の権利保障に欠けるという事案ではないから,事案を異にするというべきである。 (3) 以上のとおり,本件処分は,その余の点について判断するまでもなく違法であるから,取り消されるべきである。 5 本件損害賠償請求権の存否(1) 原告は,本件調査等並びに本件処分に至るまでの説得行為により,思想・良心の自由,人格権,身体に関する情報の自己コントロール権,プライバシー権,個人の平穏,身体に関する自己決定権及び表現の自由を侵害され,精神的損害を被ったとして,国家賠償法1条1項に基づき,損害賠償請求をしている。 (2) 前記3のとおり,本件調査は,特定の職員が入れ墨をしているとの情報を含む本件入れ墨情報を収集することを目的とするものであり,特定の職員が入れ墨をしているとの情報は個人情報保護条例6条2項が規定する差別情報に該当し,例外的事由を定めた同項1号及び2号の要件を満たさ ないから,同項に違反して違法である。 しかしながら,先にみたとおり,原告は,本件処分に至るまで,入れ墨の有無を明確に回答しておらず,原告について差別の原因となる情報が公権力に違法に取得された事実はないから,本件調査によって,原告の身体に関する情報の自己コントロール権やプライバシー権が侵害されたということはできない。 また,原告は,差別に加担する施策には協力できないという自己の信念に反しても回答すべきか否かという葛 原告の身体に関する情報の自己コントロール権やプライバシー権が侵害されたということはできない。 また,原告は,差別に加担する施策には協力できないという自己の信念に反しても回答すべきか否かという葛藤に苦しんだと述べているが,先に述べたとおり,本件調査が不当に差別を助長する政策であるということはできず,原告が精神的苦痛と主張するものは,結局,自己の見解に反する本件調査に応じるよう命じられたことで不快の念を抱いたというにとどまるものというべきであり,原告の思想・信条の自由,人格権や個人の平穏が侵害されたものとはいえないし,また,本件調査等及び本件処分に至る説得行為により,原告が入れ墨の施術を断念したと認めるに足りる証拠もない(なお,原告は,自ら,入れ墨を入れる趣味はないと述べている。原告本人24頁)から,身体に対する自己決定権や表現の自由が侵害されたということもできず,原告に国家賠償法1条1項にいう「損害」が生じたと認めることはできない。 確かに,原告は,本件処分を受けたことにより,勤勉手当が15%減額されるとの不利益を受けたが,本件処分が違法であるとはいえ戒告にとどまるものであり,判決により本件処分が取り消されることで,上記不利益は回避され,原告の名誉も回復されることになるのであるから,本件処分を受けたことに対して,別個に慰謝料の支払を命ずるまでの必要はないと解するのが相当である。 (3) 以上によれば,原告につき慰謝料の支払を命ずるまでの損害が生じたことを認めることはできないから,その余の点を判断するまでもなく,本件損害賠償請求は理由がない。 第4 結論以上によれば,原告の請求のうち,本件取消請求は理由があるから,これを認容することとし,本件損害賠償請求は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり ない。 第4 結論以上によれば,原告の請求のうち,本件取消請求は理由があるから,これを認容することとし,本件損害賠償請求は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第5民事部 裁判長裁判官中垣内健治 裁判官馬場俊宏 裁判官笹井三佳 (別紙)関係法令等の定め 1 本案前の主張関係(1) 企業職員の給与の種類及び基準に関する条例(以下「給与条例」という。乙59) 【省略】(2) 大阪市病院局企業職員給与規程(以下「給与規程」という。乙63)【省略】(3) 大阪市病院局企業職員の期末手当及び勤勉手当に関する規程(以下「期末手当・勤勉手当規程」という。乙64)(期末手当)第2条1~4項(略) 5 前3項の規定にかかわらず,調査対象期間において外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例(昭和63年大阪市条例第14号)第2条の規定により派遣された期間がある職員その他第12条第9項に定める特別の事由がある職員の期末手当の額については,前3項の規定により算定される額から第12条第9項に定める特定の額を減じた額とすることができる。 (勤勉手当)第3条勤勉手当は,基準日にそれぞれ在職する職員に対して,それぞれ基準日の属する月の支給日に支給する。 2,3項(略) 4 第2項の勤勉手当基礎額は,それぞれその基準日現在において当該職員が受けるべき給料の月額及びこれに対する地域手当の月額の合計額とする。 5項(略) 6 前条第4項の規 4 第2項の勤勉手当基礎額は,それぞれその基準日現在において当該職員が受けるべき給料の月額及びこれに対する地域手当の月額の合計額とする。 5項(略) 6 前条第4項の規定は第2項第1号及び第2号の勤勉手当基 礎額について,前条第5項の規定は第1項の規定の適用を受ける職員の勤勉手当の額について,それぞれ準用する。 (期末手当の支給割合等)第12条1~8項(略)9項第2条第5項(第3条第6項において準用する場合を含む。以下同じ。)に定める特別の事由は,次に掲げるものとし,第2条第5項に定める特定の額は,当該各号に掲げる区分に応じ,当該各号に定める額とする。 (1) 地公法第29条の規定による懲戒処分(免職を除く。)を受けたこと次に掲げる区分に応じ,それぞれ次に定める額ア(略)イ勤勉手当勤勉手当基礎額に100分の70の範囲内で処分の内容を勘案して別に定める割合を乗じて得た額(その額が減額前の勤勉手当支給額を超える場合にあっては,減額前の勤勉手当支給額)(4) 期末手当及び勤勉手当の運用について(期末手当・勤勉手当規程12条9項1号イの定め。以下「本件運用基準」という。乙65)規程第12条関係 1 大阪市病院局企業職員の期末手当及び勤勉手当に関する規程(平成21年管理規程第22号。以下「規程」という。)第12条第9項第1号の別に定める割合は,次の表に掲げる処分欄の区分に応じて当該区分に対応する割合欄に定める割合とする。 戒告本人 100分の15監督責任者 100分の10(その他略) 2 本案関係 (1) 地公法 【省略】(2) 大阪 戒告本人 100分の15監督責任者 100分の10(その他略) 2 本案関係 (1) 地公法 【省略】(2) 大阪市職員基本条例(以下「職員基本条例」という。乙9)(懲戒の基準)第28条任命権者は,別表非違行為の類型欄に掲げる非違行為(職員が法第29条第1項各号のいずれかに該当することとなる行為をいう。以下同じ。)の類型に応じ,同表懲戒処分の種類欄に定める懲戒処分の種類のうちから,職員が行った非違行為の動機及び態様,公務内外に与える影響,当該職員の職責,当該非違行為の前後における当該職員の態度等を総合的に考慮して,1の種類の懲戒処分(懲戒処分の種類が1である場合にあっては,当該種類の懲戒処分)を行うものとする。 2,3項(略) 4 第1項又は第2項の定めるところにより懲戒処分を行う場合において,次の各号のいずれかに該当するときは,当該各項の規定により行うことのできる懲戒処分より軽い懲戒処分を行い,又は懲戒処分を行わないことができる。 (1) 職員が行った非違行為の過失の程度が軽微であるとき(2) 職員の日頃の勤務態度が極めて良好であるとき(3) 職員が自らの非違行為が発覚する前に自主的に申し出たとき(4) 職員が任命権者の行う調査に積極的に協力したときその他自らの非違行為に関連する不祥事案の全容解明に寄与したとき(5) 前各号に掲げる事由に類する特別の事情があると任命権者が認めるとき別表(第28条関係) 11 職務命令違反行為により,公務の運営に支障を生じさせるこ と減給又は戒告(3) 大阪市職員倫理規則(平成24年規則114号による改正前のもの。 乙10。以下「職員倫理規則」 11 職務命令違反行為により,公務の運営に支障を生じさせるこ と減給又は戒告(3) 大阪市職員倫理規則(平成24年規則114号による改正前のもの。 乙10。以下「職員倫理規則」という。)【省略】(4) 大阪市職員倫理規則(平成24年規則114号による改正後のもの。 平成24年6月23日施行。甲2,乙11)【省略】(5) 大阪市個人情報保護条例(以下「個人情報保護条例」という。甲17,乙43)(収集の制限)第6条実施機関は,個人情報を収集しようとするときは,個人情報を取り扱う事務の目的を明確にし,当該明確にされた事務の目的(以下「事務の目的」という。)の達成に必要な範囲内で,適正かつ公正な手段により収集しなければならない。 2 実施機関は,思想,信条及び宗教に関する個人情報並びに人種,民族,犯罪歴その他社会的差別の原因となるおそれがあると認められる事項に関する個人情報を収集してはならない。ただし,次の各号のいずれかに該当するときは,この限りでない。 (1) 法令又は条例(以下「法令等」という。)に定めがあるとき(2) 事務の目的を達成するために必要不可欠であると認められるとき3項(略) 4 実施機関は,第2項第2号又は前項第6号若しくは第7号の規定により個人情報を収集しようとするとき(争訟,選考,指導,相談又は交渉を行うために第三者から第2項に規定する個人情報以外の個人情報を収集しようとするときを除く。)は,あらかじめ大阪市個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。ただし,急を要すると きその他実施機関が事務又は事業の遂行に支障が生ずると認めるときは,この限りでない。 5 実施機関は,前項ただし書の規定により審議会の意見を を聴かなければならない。ただし,急を要すると きその他実施機関が事務又は事業の遂行に支障が生ずると認めるときは,この限りでない。 5 実施機関は,前項ただし書の規定により審議会の意見を聴かないで個人情報を収集したときは,速やかにその旨を審議会に報告しなければならない。この場合において,審議会は当該実施機関に対し,当該報告に係る事項について意見を述べることができる。 第71条3項第6条第4項及び第5項(第9条第4項,第10条第2項及び第12条第2項において準用する場合を含む。),第8条並びに第9条第1項から第3項まで(審議会の意見聴取に関する部分に限る。)の規定は,人事,給与,服務,福利厚生その他の本市の職員に関する事務のために取り扱う個人情報については,適用しない。

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