令和6(わ)899 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律違反

裁判年月日・裁判所
令和6年7月26日 名古屋地方裁判所
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判決文本文1,936 文字)

- 1 -主文 被告人を懲役2年及び罰金150万円に処する。 未決勾留日数中30日をその懲役刑に算入する。 その罰金を完納することができないときは、1万円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。 この裁判が確定した日から4年間その懲役刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、岡山県赤磐市(住所省略)に本店を置き、農作物の生産、販売及び輸出等を営む株式会社A(令和5年4月13日閉鎖)の実質的経営者として、同社の業務全般を掌理していたものであるが、青果物等の販売代理契約に係る保証金の名目で不特定かつ多数の者から金銭の受入れをしようと考え、いずれも法定の除外事由がないのに 1 同社本部長として同社の金銭管理等を担当していたB及び前記名目での金銭の受入れの勧誘を担当していたCと共謀の上、別表1記載のとおり(以下では別表は全て省略)、平成30年11月15日及び同年12月25日の2回にわたり、名古屋市(住所省略)所在の前記株式会社AのDオフィスにおいて手交を受ける等の方法により、不特定かつ多数の相手方であるEから、同名目で預け入れられる金銭の全額の返還を約するとともに月利2ないし3.3パーセントの金銭を支払うことを約して、合計500万円を受け入れ、 2 前記B並びに前記名目での金銭の受入れの勧誘を担当していたF、G、H及びIと共謀の上、別表2記載のとおり、同月11日から同月26日までの間、3回にわたり、岡山県赤磐市(住所省略)の株式会社J銀行K支店に開設された前記株式会社A名義の普通預金口座に振込入金させる方法により、不特定かつ多数の相手方であるLほか1名から、同名目で預け入れられる金銭の全額の返還を約するとともに月利2ないし3.3パーセントの金銭を支払うことを約し 名義の普通預金口座に振込入金させる方法により、不特定かつ多数の相手方であるLほか1名から、同名目で預け入れられる金銭の全額の返還を約するとともに月利2ないし3.3パーセントの金銭を支払うことを約して、合計700万円 - 2 -を受け入れ、もって業として預り金をした。 (量刑の理由)本件は、株式会社Aの実質的経営者であった被告人が、他の共犯者らと共謀の上、法定の除外事由がないのに、同社の事業に関し、業として出資者3名から合計1200万円の預り金をしたという事案である。 被告人らは、同社が営むとされる果物の転売事業に対して保証金の名目で現金を預け入れれば、元本保証の上で月利にして2%以上という高利率の金銭の支払いが受けられるなどと好条件を謳って預り金を募ろうと考え、被告人を頂点として、勧誘役をはじめとする複数の共犯者らがそれぞれ役割分担の上で本件各犯行に及んだ。 同社の業務活動の一環として組織的・職業的に敢行された悪質な犯行である。本件の被害額は上記のとおり高額であり、一般大衆の財産に与えた損失の程度も大きい。 その中で被告人は、同社の実質的経営者として、上記のような預り金を募るためのスキームを考案しただけなく、預り金の募集やその過程で生じたトラブルへの対応方針等、犯罪遂行のための重要な意思決定を自ら担っていた。本件の首謀者として犯行を主導したものであり、その刑事責任は重い。以上に加えて、本件事案の利欲性、営利性の高さも踏まえると、被告人に対しては、この種事犯が経済的に引き合わないことを感得させるべく、懲役刑に加えて罰金刑も併科するべきである。なお、弁護人は、被告人が交際相手の助力を得て、本件各被害者らに対して起訴分を大きく超える合計約3500万円を被害弁償したこと等を指摘して、本件で罰金刑の併科は要しない旨主張するが、事後 きである。なお、弁護人は、被告人が交際相手の助力を得て、本件各被害者らに対して起訴分を大きく超える合計約3500万円を被害弁償したこと等を指摘して、本件で罰金刑の併科は要しない旨主張するが、事後的に支払うべき被害の回復が図られたからといって上記のような本件における罰金刑併科の趣旨が失われるものではなく、所論は採用できない。 その上で、被告人が事実をいずれも認めていること、既に見たとおり被害弁償を行った本件各被害者らとの間ではいずれも示談が成立し、同人らから宥恕を得ていること、交際相手が今後の監督を誓約していること、前科がないこと等も考慮し、 - 3 -被告人に対しては主文の刑に処した上で、その懲役刑の執行については猶予するのが相当であると判断した。 (検察官の求刑:懲役2年及び罰金150万円)令和6年7月26日名古屋地方裁判所刑事第5部 裁判長裁判官大村陽一 裁判官遠藤圭一郎 裁判官永野朋子

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