主文 1 被告は,原告に対し,47万3301円及びこれに対する平成14年6月3日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを10分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。 4 この判決の第1項は,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,445万7047円及びこれに対する平成14年6月3日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,被告の管理する道路の側溝に落下して傷害を負った原告が,国家賠償法2条1項に基づき,被告に損害賠償を請求した事案である。 2 当事者の主張別紙主張整理メモ記載のとおり。 3 争点(1) 被告に,道路管理の瑕疵があるか。 (2) 原告の損害額(3) 原告の過失の有無第3 判断 1 本件事故の態様,事故現場の状況証拠(枝番を含む。以下,同じ。)によると,以下の事実が認められる。 (1) 平成14年6月3日午後8時頃,原告は,阪急電車京都線a駅付近へ買物に行った帰りに,b街道の南側歩道を西に向かって歩き,c町バス停の手前から南に入り,東西道路(市道d緯e号)の南側歩道部分を西に進み,京都市f区g町h番地付近の本件交差点を横切って少し西進した後,思い直して引き返し,同交差点を西側から南進するため,南北道路(市道d経i号)に右折した直後,南北道路の西側に沿って設置されている本件側溝に落下し,傷害を負った(別紙現場見取図参照・落下地点はX地点)。 (甲13,乙4,乙5,原告)(2) 東西道路は,車両の通行量も多いため,車道と歩道が区別されており,車道の幅員が6・03メートル,歩道の幅員が1・96メー 紙現場見取図参照・落下地点はX地点)。 (甲13,乙4,乙5,原告)(2) 東西道路は,車両の通行量も多いため,車道と歩道が区別されており,車道の幅員が6・03メートル,歩道の幅員が1・96メートルである。その歩道中の南端に位置する側溝は,幅が70センチメートル,内寸は50センチメートルであり,歩道上の側溝には蓋架けがされている。 一方,南北道路は,全幅員が5・05メートル(道路幅自体は4・45メートル)で,歩車道の区別はなく,東側にはj川が流れており,これに沿ってフェンスが設置されている。西側に位置する本件側溝の幅は60センチメートルで,内寸は40センチメートルである。本件事故当時,本件側溝上に蓋架けはされていなかった。 (甲2,6,13,乙4ないし6,原告・別紙現場見取図参照)(3) 南北道路の本件側溝よりの地点(本件交差点から2・02メートル,道路西端から67センチメートルの地点)に電柱があり,街灯が設置されていたが,当時は,消灯していた。そのため,現場の明るさは,0・7ルクス程度で,薄暗い状態であった。 (甲13,乙1,2,原告・別紙現場見取図参照)(4) 原告は,東西道路の側溝の蓋の上を,本件交差点南西角まで東に向かって歩いたが,右側(南側)は駐車場で,ブロックが3段積まれ,その上に網目状のフェンスが張られていた。上記側溝蓋の東端(本件交差点南西角)には,格子状の蓋が設置され,南北道路を横切るように,東西道路の側溝の南端の線に沿って,横断歩道が設置されていた。 (甲2,6,乙6,7・別紙現場見取図参照)(5) 原告の進行方向からみると,南北道路は直角に曲がっており,曲がり角の上記格子状の蓋は見えるものの,その先の本件側溝の存在を見通すことは,曲がり角まで進んで,下を見ないことには困難である。しかし,原告は,足元を十分確 みると,南北道路は直角に曲がっており,曲がり角の上記格子状の蓋は見えるものの,その先の本件側溝の存在を見通すことは,曲がり角まで進んで,下を見ないことには困難である。しかし,原告は,足元を十分確認しないまま,初めて通行する南北道路へ,曲がり角を直ちに右折した。 (甲6,13,乙7,原告)(6) 南北道路の前記電柱の南側には,車両停止線が引かれている。 (甲2,乙6) 2 争点(1)について(1) 国家賠償法2条1項にいう道路その他の公の営造物の設置又は管理の瑕疵とは,被告の主張するように,当該営造物の設計の不備,材料の粗悪,維持・修繕・保管などに不完全な点があることをいうものとされ,その判断は,当該営造物の構造,通常の用法,場所的環境及び利用状況等諸般の事情を総合考察して具体的事案に応じて決定されるべきものである。 (2) 前記認定事実によると,本件交差点には,東西道路の側溝に沿って南北道路を横断する横断歩道が設置されており,歩行者が,東西道路の側溝の上を歩行することが当然とされていたことがうかがえる。そして,東西道路から南北道路へ右折する場合,南北道路には歩車道の区別はなく,車両の通行も予定され,東側には川が流れていたのであるから,そのまま東西道路の側溝の上を進んできた歩行者が,南北道路の西側を通行するため,曲がり角を直ちに右折することも,あながち予想しえないことではないと認めるのが相当である。 (3) このような本件交差点と東西道路及び南北道路の位置関係や周囲の状況,東西道路の側溝の状況,東西道路の歩行者の通行方法などを総合考慮すると,南北道路の本件側溝のうち,少なくとも,本件交差点に近い部分に蓋架けをしていなかった被告には,南北道路の管理に瑕疵があったものというべきである(被告が,南北道路の管理者であることは,争いがない。) ,南北道路の本件側溝のうち,少なくとも,本件交差点に近い部分に蓋架けをしていなかった被告には,南北道路の管理に瑕疵があったものというべきである(被告が,南北道路の管理者であることは,争いがない。)。 (4) 被告は,道路を設置・管理するものの財政的・人的物的制約等を考慮すれば,これを利用する者の通常の利用方法を前提とした相対的安全性をもって足りると解すべきであって,本件のように通常予想しえない方法による利用に対してまで安全性を具備すべきではないと主張する。確かに,財政的・人的物的制約等に関する被告の主張は一理ある。しかし,原告の通行方法が,無謀ないし通常予想しえない通行方法とまでいえないことは,前示のとおりであって,原告の過失を問題とすることは格別,被告に管理の瑕疵がなかったとまでいうことはできない。 3 争点(2)について(1) 請求原因第3の1の(1)(傷病名),(2)(入院期間)は,争いがなく,(3)(通院期間)は,証拠(甲11)により,認められる。 (2) 請求原因第3の2についてア治療費は,証拠(甲8ないし10,13,原告)により,37万5050円と認められる。 イ謝礼は,相当因果関係がなく,認められない。 ウ入院雑費は,入院期間85日につき,1日当たり1300円が相当であるから,11万0500円である。 エ通院交通費は,証拠(甲13,原告)により,6万5360円と認められる。 オ入通院慰謝料は,傷害の程度,入院期間(85日),通院期間(247日)に照らし,150万円が相当である。 カ休業損害については,以下のとおりである。 証拠(甲13,原告)によれば,原告は,本件事故当時及び現在においても,家政婦をしていることが認められる。しかし,その収入については,明らかにせず,かえって証拠(乙17ないし19,原告 りである。 証拠(甲13,原告)によれば,原告は,本件事故当時及び現在においても,家政婦をしていることが認められる。しかし,その収入については,明らかにせず,かえって証拠(乙17ないし19,原告)によれば,原告は,年金を受給しており,市民税非課税世帯に属していること,本件訴訟以前の和解交渉の際には,原告の収入として,1か月1万0608円(パート代1回1326円で週2回,4週分)であると主張していたことが認められる。 これらの事実から,原告の収入は,月額1万0608円(日額348円,10608×12÷365)とみるのが相当である。 そして,原告の計算方法に従い,入院期間中は全額,平成14年中の通院期間中127日はその半額,平成15年中の通院期間中120日は3分の1として計算すると,休業損害の額は,6万5598円となる。 348×85+348×127÷2+348×120÷3キ以上総額は,211万6508円である。 4 争点(3)について(1) 前記認定事実によると,原告は,電柱の街灯が消灯していて,薄暗い中で,見通しの悪い曲がり角で立ち止まることなく,初めて通行するという南北道路へ右折したことが認められる。 このような場合,右折する歩行者としては,右折後の道路の状況が明らかでないのであるから,曲がり角で立ち止まるなどして,南北道路の状況を確認し,とりわけ,自己の足元には十分な注意を払い,安全を確認して通行すべきであったということができる。 そして,曲がり角まで進んで足元を見れば,本件側溝の存在を認識できたものと思われるところ,原告は,曲がり角で立ち止まることなく,足元を十分確認しないまま,曲がり角を直ちに右折して,本件側溝に落下したものである。 (2) このような事情を考慮すると,本件事故の発生には,原告にも相当の落ち度があるも がり角で立ち止まることなく,足元を十分確認しないまま,曲がり角を直ちに右折して,本件側溝に落下したものである。 (2) このような事情を考慮すると,本件事故の発生には,原告にも相当の落ち度があるものと言わざるを得ず,損害額の8割を減じるのが相当である。 (3) 前記損害総額の8割を減じると,42万3301円となる。 (4) 本件事案の概要,審理の状況に鑑み,弁護士費用として,5万円が相当である。 (5) まとめよって,被告が賠償すべき損害の額は,47万3301円である。 第4 結論以上のとおりであるから,原告の本訴請求は,主文掲記の限度で理由がある。 京都地方裁判所第1民事部裁判官中村隆次(事件番号)15w2850原告 A被告京都市 主張整理メモ 請求の趣旨被告は原告に対し,445万7047円及びこれに対する平成14年6月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 斜字体は事情である。 請求原因第1 本件事故の態様 1 平成14年6月3日午後8時頃,京都市f区g町h番地付近(c町バス停西側信号南入る)の交差点(以下「本件交差点」という。)を,原告が一端東側から西側へ横切って少し西進した後、思い直して引き返し、本件交差点を西側から、南北に延びる川沿いの道路(以下「南北道路」という。)に南進するべく右折した直後、南北道路の西側に沿って設置されている側溝(以下「本件側溝」という。)に落下し、傷害を負った。 原告がそれまで歩いていた本件交差点を東西に延びる道路(以下「東西道路」という。)の南側歩道にある側溝にはフタが設置されており、原告が引き返して右折 件側溝」という。)に落下し、傷害を負った。 原告がそれまで歩いていた本件交差点を東西に延びる道路(以下「東西道路」という。)の南側歩道にある側溝にはフタが設置されており、原告が引き返して右折した角にある上記金属製のフタまでは側溝にフタがある状態で、右折した後の南北道路は、当時は全くフタがなかった。 原告は,同交差点南西角にある金属製の側溝のフタの上を右折したのであるが、その金属製のフタより以南の側溝にフタがないことに全く気づかず、側溝に落ちた。 事故当時、付近の街灯が消えており、原告が通った同交差点南西角付近は非常に暗かったので,金属製のフタ以南の側溝にフタが無いことを認識するのは非常に困難であった。 第2 被告の責任原因被告は、原告が落下した本件側溝を含む南北道路及び東西道路を管理している。 原告のように東西道路の南側の歩道上を、側溝のフタの上を歩いて上記交差点に進入した者が、自動車との接触を避けるため,南北道路へ右折(南進)すれば,当然それ請求原因に対する認否第1不知。但し、原告が、主張の日時頃、傷害を負ったことは認める。 街灯のうち,1灯が球切れになっていたことは認める。 その余は否認する。 第2までの道と同様に本件側溝にもフタがあるものと考えて本件側溝上を南進することは容易に予見可能である。 また、本件当時は曲がり角南にある電柱の街灯が消えており、照度は不十分であった。 にもかかわらず、被告は、道路管理者として,歩行者が本件側溝に転落しないようフタを設置する等、歩行者の通行の安全を確保すべき注意義務があるのにこれを怠り、そのために本件事故が発生したものである。 したがって,本件側溝の設置管理に瑕疵があった。 (なお本件事故後、原告の弟のBが、本件側溝は危険な 安全を確保すべき注意義務があるのにこれを怠り、そのために本件事故が発生したものである。 したがって,本件側溝の設置管理に瑕疵があった。 (なお本件事故後、原告の弟のBが、本件側溝は危険なので直ちにフタを設ける等の対策を採るように被告f土木事務所に申し出たところ、被告は現場見分の上直ちに本件側溝にコンクリート製のフタを設置している。それ程、この場所の危険性は明白だったのである。)第3 原告の損害 1 傷害の内容(1) 傷病名左足関節脱臼骨折(1回目の入院時に足の中に骨を固定する金属器具を埋め込む手術を行い、2回目の入院時に同器具を撤去する内固定抜去を行った。)(2) 入院期間合計85日① 平成14年6月3日~同年8月10日(69日間)② 同年9月24日~同年10月9日(16日間)(3) 通院期間上記入院期間を除く平成14年8月11日から翌15年4月30日までの合計247日間(うち実通院日数は127日間)(甲11の1ないし3) 2 損害(1) 治療費 37万5050円 (2)①の入院費用9万6540円(甲 8)(2)②の入院費用 4万9710円(甲 9の1,2)(3)の通院治療費 2万8800円(甲 10の1ないし9)(2) 看護師及びリハビリ担当者への謝礼(3回分) 2万6000円(3) 入院雑費 12万7500円 1500(円)×85(日間)(4) 通院交通費(平成15年4月30日まで)6万5360円①タクシーによる通院 8960円片道640円,平成14年8月16、17、19、20、21、22、23日の7日間通院した。 ②公共交通機関による通院5万6400円往路160円(市バス)、 る通院 8960円片道640円,平成14年8月16、17、19、20、21、22、23日の7日間通院した。 ②公共交通機関による通院5万6400円往路160円(市バス)、復路310円(阪急電鉄及び市バス),実通院日数127日からタクシーによる通院の日を除いた日数通院した。 (5) 入通院慰謝料 200万円(6) 休業損害 146万5587円当時、原告は家政婦として不定期に就労していたが、原告の事故当時の年齢は67歳と高齢であること、収入に結びつく特殊な資格、技能も持ちあわせていないこと、等を考慮して控えめに請求することとし、平成13年賃金センサスの「女子学歴計65歳以上」の平均年収303万5800円より金額が低い、平成14年4月1日施行の自賠責保険支払基準で用いられる女子67歳平均賃金月額23万6500円の12倍である283万8000円を基準とし,1日当たりの金額を算定すると2838000(円)÷365(日)= 7775.34…(円)となり、一日当たり約7775円の損害が発生したことになる。 これを元に入院中の休業損害額を算定すると、7775(円)×85(日)= 66万0875(円)となる。 また、通院中の逸失利益については、身体能力の回復を考慮し,平成14年中については通院期間日数の2分の1を、翌15年については3分の1の分の休業損害を請求することとする。したがって、 ① 平成14年中の通院による休業損害は 7775(円)×127(日)×1/2 = 49万3712円 ② 平成15年中の通院による休業損害は 7775(円)×120(日)×1/3= 31万1000円となる。 (7) 弁護士費用 40万円(8) 上記(1)ないし(7)の合計金額 445 年中の通院による休業損害は7775(円)×120(日)×1/3=31万1000円となる。 (7) 弁護士費用 40万円 (8) 上記(1)ないし(7)の合計金額 445万9被告が、南北道路及び東西道路の管理者であることは認めるが、その余は争う。 (事故後、本件側溝にコンクリート製のフタを設置したことは認める。危険性が明白だったためではない。) 第3 (1) 認める。 (2) 認める。 (3) 実通院日数は認める。 (1) 不知。 (2) 不知。 (3) 不知。 (4) 不知。 (5) 争う。過大である。 (6) 争う。提訴前の原告の陳述書(乙17の2・3)では、原告の収入は1日1326円ないし2562円と主張していたし、原告は市民税非課税世帯に属するから、原497円(内金請求)被告の主張に対する原告の反論 1 一般論として争わない。原告の通行方法は、十二分に予測される一般的な通行方法であって、通常予測されない方法ではない。 2 本件事故現場付近は住宅地であり、東西道路も南北道路も児童の通学路になっている。南北道路でも両側に人家がある部分は有蓋がごく普通の状況である。南北道路の東側水路の縁には転落防止の柵がくまなく設置されている。本件側溝のみ無蓋で放置したのは、道路管理者としての被告の瑕疵である。とりわけ本件事故現場の曲がり角は、角切りのない直角の曲がり角で、見通しの悪い危険なところである。 告の主張額は過大である。 被告の主張 1 国賠法2条1項の営造物の設置管理の瑕疵 (1) 国家賠償法2条1項にいう道路その他の公の営造物の設置又は管理の瑕疵とは、営造物の設計の不備、材料の粗悪、維持・修繕・保管などに不完全な点 主張 1 国賠法2条1項の営造物の設置管理の瑕疵(1) 国家賠償法2条1項にいう道路その他の公の営造物の設置又は管理の瑕疵とは、営造物の設計の不備、材料の粗悪、維持・修繕・保管などに不完全な点があることをいうものとされ、その判断は、当該営造物の構造、通常の用法、場所的環境及び利用状況等諸般の事情を総合考察して具体的事案に応じて決定されるべきものである。 (2) もとより、道路は、あらゆる交通上の危険を防止しうる安全性を具備していることが望ましいことではあるが、これを設置・管理するものの財政的・人的物的制約等を考慮すれば、これを利用する者の通常の利用方法を前提とした相対的安全性をもって足りると解すべきであって、本件でも,通行者が通常用いるべき前方の注意を払っておれば,無蓋の側溝の発見は容易であるから,通常予想しない方法による利用に対しても安全性を具備すべきであるとするのは過度な要求である。 2 無蓋の側溝の存在について(1) 本件事故現場、すなわち、南北道路の東西道路より以南の側溝は無蓋の状態であった。これは、もともと近辺の土地は農地であり、側溝は道路の表面水を集水し排水する機能をもつとともに農業用水機能も持っていたので、蓋を架けないのを原則としていた。これに蓋架けする場合は、土地の利用上蓋架けを必要とする隣接土地の権利者が蓋架け工事の承認を道路管理者に求め、承認を得たうえで工事することとされていた。 このため、農地を宅地化して建物を建築したり、ガレージに転用したりする場合には、その進入路の間口に蓋架け工事がされたが、近年近辺農地の宅地化が進んだことによって、この蓋架け工事のされた個所が増加している。 (2) このように本件事故現場付近は有蓋・無蓋の側溝が混在する場所である。しかし、それでも、南北道路の東 近年近辺農地の宅地化が進んだことによって、この蓋架け工事のされた個所が増加している。 (2) このように本件事故現場付近は有蓋・無蓋の側溝が混在する場所である。しかし、それでも、南北道路の東西道路以南の道路部分および同道路の二筋南で右折した先にある原告の住居に至る道路の側溝は、殆どが農地に隣接していて無蓋であり、蓋架けがされていたのは、本件事故現場横の駐車場の出入り口、その南方に建築された数軒の建物の前面道路だけである。しかも,これまで側溝に落ちたとの事故の届け出は皆無南北道路は原告にとって普段あまり利用しない道路であった。 道路管理者の瑕疵は、予算や住民の要望により左右されるものではない。 東西道路の南側歩道上(東向き)から、隅切りがなく直角に曲がっている本件側溝への視認状況は、昼間の明るいときでさえ不十分であった。(甲6の1ないし3)まして当時は月明かりもなく,電柱の街灯も消えている暗い状況(0・5ルクス程度)のもとで,東西道路南端に沿って金属製の側溝のフタまで続き、そこから直角に南下して本件側溝の東に接して設置されている、大人の膝の高さ程の塀が視界を遮り、東西道路の南側歩道上から、金属製のフタ以南の側溝の有無、側溝があるとして,そのフタの有無、を視認することは容易でない。 である。 なお,南北道路は児童の通学路として指定されていない。 3 東西道路の側溝との相違点について(1) 南北道路(市道d経i号)は、全幅員が5・05メートルで、その西端に位置する側溝の幅は60センチメートルとなっており、その側溝の内寸は40センチメートルとなっているが、歩車道の区別はなく、事故当時側溝上に蓋架けはされていなかった。これに対し、東西道路(市道d緯e号)は、車両の通行量も多いため車道と歩道が区 り、その側溝の内寸は40センチメートルとなっているが、歩車道の区別はなく、事故当時側溝上に蓋架けはされていなかった。これに対し、東西道路(市道d緯e号)は、車両の通行量も多いため車道と歩道が区別されているが、車道の幅員が6・03メートル、歩道の幅員が1・96メートルであり、側溝は、その歩道中の南端に位置する。 (2) この場合、東西道路については、歩行者が大量に通過する自動車と接触しないよう、歩行者の安全確保のために歩道を設置しているが、さらに、この歩道上の通行者の安全のため通行可能領域を拡大させる措置として、歩道上の側溝には蓋架けがされている。したがって、東西道路と南北道路では歩行者の通行方法については、大きな相違がある。 (3) 通常、歩行者は、進行していた道路を右折などする場合、右折後の道路の幅員、通行方法、舗装状態、道路施設の設置状態など道路事情が異なることがあることは当然予想されるので、これを予想したうえ進行すべきであり、少なくとも前方の状況を確認のうえ進行すべきである。そこで、もし右折後の前方の状況を確認すれば、無蓋の側溝の存在に気付き南北道路の西端を進行するような形での進行は避ける筈である。さらに、本件の場合、原告は、本件事故現場の近くに居住しており、南北道路は、買物や弟宅への往来に利用していたと思われるため、側溝の蓋の有無など道路状況は熟知していた筈であるので、進行中足元の金属製の蓋の形状・大きさ・その下部等を認識すれば、同時にその金属製の蓋の南に側溝があることは容易に推測できたことである。さらに、足元を見ていれば、金属製の蓋以南の側溝には蓋のないことも容易に確認できた筈である。 したがって、本件事故現場は、これまでに、他に事故が発生したとの申告を受けた事実は一度もない個所ではあるが、無蓋の ていれば、金属製の蓋以南の側溝には蓋のないことも容易に確認できた筈である。 したがって、本件事故現場は、これまでに、他に事故が発生したとの申告を受けた事実は一度もない個所ではあるが、無蓋の側溝が多数存在する地域であるので、そのような場所を右折後の進行方向の状況を判断せず、足元の安全の確認をしないような危険な歩行方法をとる歩行者の安全の確保までも道路管理者に求められているとは解し難い。 道路管理者としての人的体制や財政的裏付けからすれば、不可能を強いるものである。 4 日没後の暗い状況との点について日照による照度がなく、また事故現場直近の市街灯№kが消灯されている場合でも、付近市街灯や交通信号灯によって、金属製の蓋付近の照度は0・7ルクスとなっているので(乙1)、金属製の蓋以南が無蓋の側溝になっていることは前方足元の安全に注意していれば容易に認識できた筈である。 5 東西道路から南北道路への右折と安全性(1) 南北道路との交差点で右折することを予定して東西道路の歩道上を東進する歩行者は、通常、①側溝上を通行するといっても、進行方向右側の駐車場のコンクリートブロック製の塀にぎりぎりに接して歩行するものではないので、歩行者とその塀の間には、幾らかのすき間があり、②しかも、右折を考えている場合は、前方右側の安全を確認してから右折進行するものであるの 東西道路,南北道路の状況,歩行者の通行方法(曲がり角に電柱があり、停止車両を避けるため側溝側に歩こうとする)に鑑みれば,歩行者が東西道路から南北道路へ右折する場合,金属製の側溝のフタの南側を通って、本件側溝上を通過する通行方法は十二分に予測される一般的な通行方法なのであって、被告主張のように原告の通行方法が特に現場の状況に添わない危険なものであるとはいえ 金属製の側溝のフタの南側を通って、本件側溝上を通過する通行方法は十二分に予測される一般的な通行方法なのであって、被告主張のように原告の通行方法が特に現場の状況に添わない危険なものであるとはいえない。 本件事故現場付近は住宅地で、当時、付近の側溝はほとんどフタが架かっている状況であったのであり、歩行者に一般的に無蓋の側溝の存在を警戒すべきことを要求できる状況にはない上、本件側溝上を通過する通行方法も別段特異なものではないごく普通の状況である。更に、本件側溝の視認状況を考慮すると、夜間、原告が本件側溝の存在に気付かなかったとしてもそれはそれでやむを得ないと考えられる。 よって、本件事故に対する原告の過失は、例え存在するとしてもかなり低い割合である。 で、交差点角に近づいた際には、右前方が見やすいように、一旦立ち止まるか、左に膨らませて進行する筈である。③東西道路の歩道の南端を塀に接するように歩いてきて、南北道路との交差点で、側溝のある南北道路の最西端を通行すべく右方の安全確認をしないまま直角に右折する歩行者があるとは通常予想しえない。 (2) 電柱の東端からの道路幅は4040㎝であり,人と車の離合は容易にできる間隔があり,前方の安全を確認しながら歩行する通常の歩行者であれば、車両の動静に注視するとともに前方足元の状況にも注視するはずであり,金属製の蓋に気付き、その蓋を見れば、南北の道路の西端に側溝があること、さらに進行方向である金属製の蓋の南方の側溝には、蓋が設置されていないことは容易に発見できるはずである。 しかも、前記照度0・7ルクスは、薄明視の範疇に属する照度であるが、物の色と形、少なくとも側溝の暗色と金属製の蓋の光の区別はできる照度であり、蓋の有無は容易に分かる照度であった。 したがって、本 も、前記照度0・7ルクスは、薄明視の範疇に属する照度であるが、物の色と形、少なくとも側溝の暗色と金属製の蓋の光の区別はできる照度であり、蓋の有無は容易に分かる照度であった。 したがって、本件事故は、原告の過失によって発生した事故で被告の営造物の設置管理に起因するものではない。 6 被告の過失(抗弁)本件事故発生の原因は、無蓋の側溝も多数ある地域でもあり、原告は、右折するにあたっては、右前方の足元を注視して、その安全を確認して歩行すべきところ、これを怠り右折進行したことにあるので、全面的に原告の過失によるものと考える。
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