主文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求国分寺市長が国分寺市まちづくり条例51条1項に基づき別紙1開発事業目録記載の開発事業について平成21年8月3日付けでした開発基準適合確認通知を取り消す。 第2事案の概要本件は,国分寺市長(以下「市長」という)が,国分寺市まちづくり条例。 (以下「本件条例」という)に基づき,A株式会社(以下「本件事業者」と。 いう)に対して,平成21年8月3日付けで別紙1開発事業目録記載の開発。 事業以下本件開発事業というについてした開発基準適合確認通知以(「」。)(「」。),(「」下本件処分というにつき本件開発事業の計画地以下本件計画地という)の近隣住民である原告らがその取消しを求めた事案である。 。 関係法令等の定め,,,,(1) 本件条例は国分寺市のまちづくりについてその基本理念を定め市民事業者及び国分寺市(以下「市」という)の責務等を明らかにするととも。 ,,,にまちづくりの基本となる事項市の特性を生かしたまちづくりの仕組み開発事業に伴う手続及び土地利用に関する基準並びに都市計画法の規定に基づく都市計画の手続及び開発許可の基準を定めることにより,市民の福祉を高め,豊かな緑と水と文化財にはぐくまれた安全で快適なまちづくりの実現 に寄与することを目的とする(1条。 )(2)本件条例2条10号は「近隣住民」の定義として,開発区域の近隣で当,該開発区域から開発事業の規模に応じて規則で定める距離以内の区域において住所を有する者,事業を営む者及び土地又は建築物を所有する者をいうと規定し,その「規則で定める距離」について,国分寺市まちづくり条例施行規則(以下「本件施行 応じて規則で定める距離以内の区域において住所を有する者,事業を営む者及び土地又は建築物を所有する者をいうと規定し,その「規則で定める距離」について,国分寺市まちづくり条例施行規則(以下「本件施行規則」という)4条及び同規則別表第1は,開発区。 域の面積が1,000m未満の場合,15mと開発区域内に建築する建築 物の高さの等倍の距離とのいずれか長い距離と規定している。 (3) 本件条例50条1項は,市長は,事業者から開発事業申請書や市長の指導書に対する見解書(以下「開発事業申請書等」という)が提出されたとき。 は,その内容が本件条例別表第2及び第3のうち同項が列挙する項目の基準(以下「開発適合審査基準」という)に適合しているかどうかを審査する。 ものとすると規定している。そして,本件条例51条1項は,市長は,審査の結果,開発適合審査基準に適合していると認めるときはその旨を記載した書面(以下「開発基準適合確認通知書」という)を,また,適合していな。 いと認めるときは補正すべき内容及びその理由並びに補正の期限を記載した書面を,それぞれ規則で定める期間内に事業者に交付するものとすると規定している。 (4) 開発適合審査基準のうち,本件条例別表第3の3の項(建築物の高さ)1号は「建築物の高さは,原則として別表第4に定める一般基準の数値以下,とすること。ただし,緑地の積極的な確保,公開空地の創出等良好な地域環境の創出に特に寄与すると認められる開発事業については,同表に定める特 例基準の数値を上限として規則で定める数値以下とすることができる」と。 規定し,同条例別表第4(建築物の高さの基準)は,α崖線区域外におけるがい一般基準を20m,特例基準を25mと規定している(以下,本件条例の建築物の高さの特例基準を「本件特例基準」という。また, 規定し,同条例別表第4(建築物の高さの基準)は,α崖線区域外におけるがい一般基準を20m,特例基準を25mと規定している(以下,本件条例の建築物の高さの特例基準を「本件特例基準」という。また,同条例別表第5。)(敷地内の緑地等の基準)は,開発区域の面積1,000m未満の場合, 国分寺崖線区域外については,緑化・空地率15%以上,緑化率12%以上と規定している。 そして,前記本件条例別表第3の3の項1号の「規則で定める数値」について,本件施行規則別表第4は,基準緑化・空地率(上記条例別表第5に定める緑化・空地率)の最低限度を1%以上上回る毎に,建築物の高さの上限が1mずつ高くなり,最高で,基準緑化・空地率の最低基準を5%以上上回る場合,α崖線区域外では高さの上限が5m高い25mとなる旨規定している。 (5) 「α崖線区域」とは,本件条例2条2号により,都市緑地法4条1項の規定に基づき定められた国分寺市緑の基本計画に基づくα崖線で,同条例別表第1(省略)に定める地域と定義されている。 前提事実本件の前提となる事実は,次のとおりである。証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる事実等は,その旨付記した。その余の事実は,当事者間に争いがない。 等(1) 当事者ア原告B及び原告Cは,本件計画地北東側の道の反対側に存する戸建て住 宅に居住する者であり,原告Dは,本件計画地北西側の隣接地で賃貸マンションを経営し,同マンションに居住する者である。原告らは,いずれも本件条例が規定する「近隣住民」である。 イ市長(処分行政庁)は,事業者から開発事業申請書等が提出されたときは,本件条例50条1項の規定に基づいて,その内容が開発適合審査基準に適合しているかどうかを審査し,その結果,開発適合審査基準に適合していると認めるときは, 業者から開発事業申請書等が提出されたときは,本件条例50条1項の規定に基づいて,その内容が開発適合審査基準に適合しているかどうかを審査し,その結果,開発適合審査基準に適合していると認めるときは,同条例51条1項に基づき開発基準適合確認通知書を交付する権限を有する者である(甲1)。 (2) 本件処分の経緯等ア本件事業者は,市長に対し,平成20年11月5日,本件開発事業について,本件条例41条に基づき開発基本計画の届出を行い,同月19日,同条例43条1項に基づき開発事業事前協議書の提出を行った。 イ本件事業者が原告らに対し説明した本件開発事業の当初の計画の概要は以下のとおりであった(甲3)。 ①名称(仮称)国分寺市γ計画新築工事②主要用途共同住宅31戸③構造規模鉄筋コンクリート造地下1階/地上7階建④敷地面積709.54m2⑤建築面積444.67m2⑥延べ面積2,498.79m2⑦建物の高さ建築基準法上の平均地盤面からの高さ23.12m本件条例による最低地盤面±0からの高さ24.83m ⑧施工業者未定⑨工期着工:平成21年6月1日(予定)竣工:平成22年6月30日⑩用途地域近隣商業地域⑪指定建ぺい率80%⑫指定容積率300%⑬建ぺい率62.67%⑭容積率280.17%⑮地域地区準防火地域日影規制5時間,3時間(測定面4mUP)第三種高度地区ウ原告らを含む近隣住民の一部は,本件条例46条に基づき,①本件計画地は,近隣商業地域に指定されてはいるが,低層住宅が建ち並ぶ地域であ,(「」。)り本件開発事業で建築が計画されている建物以下本件建物というが建築されれば,甚大な日照被害等が発生する可能性があること,②本件開発事業について建築基準法や 宅が建ち並ぶ地域であ,(「」。)り本件開発事業で建築が計画されている建物以下本件建物というが建築されれば,甚大な日照被害等が発生する可能性があること,②本件開発事業について建築基準法や本件条例が遵守されているか疑問であること,③周辺環境への重大な影響があること,④本件計画地は条例上のα崖線区域には指定されていないが,自然的にはα崖線地域であり,大規模な工事による地盤崩壊等の被害が予想されることを指摘し,本件事業について計画の中止又は大幅な変更を求める旨の意見書を提出した。 エ原告らを含む近隣住民の過半数の連署による開催請求により,平成21年1月28日,本件条例47条に基づき公聴会が開催された。市長は,同 条例48条3項に基づき,一般公募委員7名及び有識者6名で構成される国分寺市まちづくり市民会議(以下「市民会議」という)に諮問して,。 本件開発事業についての意見を聴いた。これに対し,市民会議は,別紙2のとおり,本件特例基準の適用に否定的な内容の答申を行った。この答申を受けて,市長は,同条例48条1項に基づき,本件事業者に対し,平成21年3月13日付けの指導書(別紙3)により指導を行った(甲9か。 ら12まで,弁論の全趣旨)オ本件事業者は,市長に対し,平成21年3月17日付けで開発事業申請書及び前記エの指導書に対する見解書(以下「3月見解書」という)を。 提出した。3月見解書には,要旨次の記載がある(甲6,7)。 ①天井高を,地階を除く階を各々5cm縮め,かつ,屋上防水の立ち上がり寸法を20cm縮め,全体で高さを55cm縮め,日影と通風の影響の軽減に努めた。 ②近隣住民のプライバシー対策として,屋外廊下及び屋外階段は,格子手摺をコンクリート手摺に変更する。屋外廊下側の窓ガラスを型ガこうしてすりラスとし,妻側の め,日影と通風の影響の軽減に努めた。 ②近隣住民のプライバシー対策として,屋外廊下及び屋外階段は,格子手摺をコンクリート手摺に変更する。屋外廊下側の窓ガラスを型ガこうしてすりラスとし,妻側の窓ガラスは3階までを型ガラスにする。 ③本件計画地内に,工事施工中の地下水(湧水)の水位の観測を目的とした井戸を設けており,工事期間中,観測記録を月に1度市に報告し,不自然な水位の変動が発生した場合は,市と速やかに協議を行う。 ④本件計画地の北東側の建築基準法43条1項ただし書の通路は,建築基準法上の道路ではないものの,道路中心から2.0mの後退を行い,その上に公開空地を0.3m(当初案0.25m)確保し,また,β街 道側には1.2m幅(当初案1.0m)の公開空地を確保する。 ⑤本件条例の規定以上の緑化に努め,緑化・空地率を約26%,緑化率を約14%確保した。また,低層部の屋上には約4.0mの屋上緑化 を施し,北東側の道路沿いは,つる類による壁面緑化38.63mを ,。 ,,行い壁面による圧迫感を抑えるよう努めた高木11本中木21本低木100本及び地被類をバランス良く織り交ぜ,緑豊かな空間を創出した。 カ原告らを含む近隣住民の一部は,平成21年4月1日,本件条例59条5項に基づき,市長に対し,本件開発事業申請書の内容を再考するよう本,,,件事業者に要請することを記載した書面を提出しこれを受けて市長は同年5月1日,同条6項に基づき,本件事業者に対し,開発事業申請書の内容を再考するよう要請した。 キ本件事業者は平成21年4月9日に,また,原告Bを含む近隣住民は同月15日に,それぞれ市長に対し,本件条例80条1項に基づく紛争の調整のあっせんの申出をし,同月30日及び同年5月13日にあっせん協議が行われたが,物別れに終わった ,また,原告Bを含む近隣住民は同月15日に,それぞれ市長に対し,本件条例80条1項に基づく紛争の調整のあっせんの申出をし,同月30日及び同年5月13日にあっせん協議が行われたが,物別れに終わった(甲20)。 そこで,市長は,本件条例81条2項に基づき,双方に調停に移行するよう勧告したが,本件事業者が勧告を受諾せず,また,双方の譲歩がみら,,。 れず調停による紛争解決が見込めないため調停を行わないと決定した(甲21)ク市長は,本件条例59条6項に基づき,事業者及び近隣住民に対し,必要な助言又は提案を行うため,同条7項に基づき市民会議に諮問したとこ ろ,市民会議から,本件事業者に対し,緑化の創出によるα崖線の保全,公開空地の創設や建築物の高さ等に一層の配慮をし,計画改善を図ること等の助言をすべきこと等を内容とする答申(甲24)がされた。市長は,同答申を受けて,平成21年7月15日,本件事業者に対し上記答申とほぼ同趣旨の助言(乙5)を,また,原告Bに対し助言及び提案(乙6)をそれぞれ行った。本件事業者は,同月22日,市長に対し,その助言に対する見解書(以下「7月見解書」という)を提出した。7月見解書に記。 載された主な計画の変更点は次のとおりである(乙7)。 ①公開空地幅をβ街道側は1.2mから1.5mに改善。 ②建物の高さを24.28mから24mとする。 ③緑地・空地率については本件条例による指導(19%以上)を大幅に上回るように努める。 ④サブエントランスの屋根を取り止め,位置も変更する。 ⑤建築基準法43条1項ただし書の道側にある集会所屋上部分の壁の高さを,約600mm軽減する(躯体壁高さとしては約1700mmの軽く減。 )ケ市長は,本件開発事業申請書が本件条例の定める開発適合審査基準に適合しているか否かを 側にある集会所屋上部分の壁の高さを,約600mm軽減する(躯体壁高さとしては約1700mmの軽く減。 )ケ市長は,本件開発事業申請書が本件条例の定める開発適合審査基準に適合しているか否かを審査し,平成21年8月3日,本件事業者に対し,本件特例基準を適用して本件処分をした(乙8)。 争点 (1) 原告らは,本件処分の取消しを求める訴えの原告適格を有するか。 (2) 本件特例基準を適用してされた本件処分は適法であるか。 当事者の主張の要旨(1) 争点(1)(原告適格)について(原告らの主張)原告B及び原告Cは,本件計画地北東側の道の反対側に存する戸建て住宅に居住する者であり,原告Dは,同計画地北西側の隣接地で賃貸マンションを経営し,同マンションに居住する者である。本件建物により,原告らの住居についてはほぼ終日日影が生じ,原告Dの場合,賃貸マンションのベランダ側に本件建物の廊下があることや日影の影響により,その賃貸経営に対する打撃は計り知れないものがある。そして,本件計画に本件特例基準が適用されるか否かは,原告らの人格権及び財産権に対して重大な影響を有するものである。 本件条例は,近隣住民に対して意見書の提出,公聴会の開催要求,再考手続の申請等一定の手続参加権を認めており,このこと自体が,原告らに法律上保護された利益があることを裏付けている。原告らが本件処分の取消しを求める訴えの原告適格を有することは明らかである。 (被告の主張)本件条例による建物の高さ制限は,これにより周辺住民の日照を受ける利益に資することにはなるが,アもともと建物の高さ制限のない用途地域の区域において,マンション建設等の際に生ずる周辺住民との紛争を防止し,又は緩和するために設けられた制限であることイ本件条例の目的である「緑と水と文化財にはぐ もともと建物の高さ制限のない用途地域の区域において,マンション建設等の際に生ずる周辺住民との紛争を防止し,又は緩和するために設けられた制限であることイ本件条例の目的である「緑と水と文化財にはぐくまれた安全で快適なま ちづくりの実現」のため,本件条例別表第5で緑化・空地率の最低基準を設けているが,できるだけ緑地等の積極的な確保を図るために,緑化・空地率の最低基準を上回る開発事業においては高さ制限の緩和を認めていること等からすると,本件条例の開発適合審査基準の設定は,むしろ開発事業における周辺住民との紛争の防止又は緩和と緑化等による美しい町並み景観の創出を主な目的としていることが明らかである。したがって,本件条例における建物の高さ制限の規定は,当該建築物により日照を阻害される周辺の他の建築物に居住する者の健康を,個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むものではなく,その利益は専ら一般的公益の中に吸収解消されるものと解される。よって,原告らは,法律上保護される利益を有さず,原告適格は認められない。 (2) 争点(2)(本件処分の適法性)について(原告らの主張)ア市長が本件事業者に対して出した本件事業に関する指導書は,本件条例上の重要な諮問機関である市民会議の意向を無視し,計画変更なしに本件特例基準の適用を認めることを前提にしたものであり,このような指導をして本件処分をすることは,裁量権の逸脱又は濫用である。 イ市長の指導書を前提としても,本件開発事業の計画は,その指導内容を充足していない。特に,指導書において隣接する住宅の日照条件に配慮することとされているのに,指導書を受けて変更された計画においても,全く日照の改善はないから,変更された計画が指導書に反することは明らか である。また,北東側通路の空地はわず 宅の日照条件に配慮することとされているのに,指導書を受けて変更された計画においても,全く日照の改善はないから,変更された計画が指導書に反することは明らか である。また,北東側通路の空地はわずか0.05m,β街道側で0.2m,高さについて55cmの変更であり,この変更をもって周辺環境に特に貢献する変更であると評価することはできない当初計画に比較して一。 「層優れた計画」にすることが求められているのであるから,当初計画における空地の設定を当然の前提とし,そこから更に一層優れた改善がされるべきであるのにされていない。それにもかかわらず,本件処分をすることは,本件条例上の指導に従っていないのに開発基準適合確認通知をすることとなり,違法又は裁量権の逸脱濫用である。 ウα崖線における地下水問題について,本件事業者は何ら配慮をしておらず,指導書においても改善を求めているのであるから,これに何らの変更もないのにもかかわらず,本件処分をすることは違法又は裁量権の逸脱濫用である。 エ7月見解書により変更された計画についてみても,緑化・空地率については,①公開空地のうちβ街道側については,常識的に考えて空地を設ける計画が当然であること,②緑化により空地とされる部分については,その大部分が北西側のいわゆる残地であり,周辺環境に対する寄与としては微々たるものであること,③本件計画地は自然的にはα崖線の斜面地であり,高さ制限の緩和のためには更に慎重な配慮が必要であることから,これ自体で高さ制限5m緩和を認めることは相当でない。そして,屋上又は壁面の緑化による部分は,持続的な緑化が保証されるものではなく,緑化・空地率の意図的な水増しに使われ得るものであり,過大評価されるべき,。 ではないから結局5mの緩和を認める程優れた計画であるとはいえない る部分は,持続的な緑化が保証されるものではなく,緑化・空地率の意図的な水増しに使われ得るものであり,過大評価されるべき,。 ではないから結局5mの緩和を認める程優れた計画であるとはいえない それにもかかわらず,まちづくり市民会議の意向を無視し,本件処分をしたことは,裁量権の逸脱濫用である。 (被告の主張)ア市長の指導書は,市民会議の答申を受け,答申の内容を引用し,その内容に沿ってされたものであり,市民会議の意向を無視したものではない。 イ開発事業が,本件条例別表第3の3の項1号に規定する「良好な地域環境の創出に特に寄与する」と認められるか否かは,同号が例示する「緑地の積極的な確保,公開空地の創出」を主要な判断要素としつつ,他の様々な要素も加味して総合的に判断すべきものと解される。 市長の指導書に従い,本件事業者は,本件建物の地階を除く階の天井高を当初計画より各5cmずつ縮め,かつ,屋上防水の立ち上がり寸法を20cm縮め,全体で高さを55cm縮め,日影と通風の影響の軽減に努めたほか,当初計画に変更を加えて次のとおりの計画としており,これらを根拠に市長が本件開発事業が「良好な地域環境の創出に特に寄与する」と認めたものであって,本件処分は適法である。 (ア)緑地の積極的な確保本件開発事業申請書の計画(以下「本件計画」という)では,緑化。 ・空地率は,26.81%であり,本件条例別表第5に定める緑地等の(最低)基準15%を11.81%上回っている。 (イ)公開空地の創出本件開発事業は,開発区域が1,000m未満であり,建築基準法 及び本件条例上は公開空地の設置義務はないものの,本件計画では,本 . 。 件計画地のβ街道側に12m幅の公開空地を設ける内容となっているまた,本件計画では,本件計画地の北東側について,敷地境界線 び本件条例上は公開空地の設置義務はないものの,本件計画では,本 . 。 件計画地のβ街道側に12m幅の公開空地を設ける内容となっているまた,本件計画では,本件計画地の北東側について,敷地境界線から2.3m幅の空地(通路)を設けている。このうち2m幅を建築基準法43条ただし書の趣旨によるものとしても,さらに0.3m幅で公開空地を設ける内容となっている。 (ウ)緑化率本件条例による緑化率の最低基準は12%である(同条例別表第5の開発区域の面積1,000m未満でα崖線外)が,本件計画では,こ . . 。 ,,れを216%上回る1416%となっているまた本件計画では低層部の屋上に約4.0mの屋上緑化を施し,北東側の空地沿いの壁 面は,つる類による壁面緑化38.63mを行い,壁面による圧迫感 を抑えるように努め,高木,中木,低木,地被類をバランス良く織り交ぜ緑豊かな空間を創出するという内容となっている。 (エ)地下水の問題本件開発事業は,本件条例の定める「α崖線区域内の湧水源の周辺で規則で定める区域内において行う開発事業」には該当しないので,本件事業者には,開発区域の地下水位及び湧水源の観測や建築物の基礎工法が湧水に及ぼす影響についての事前評価とその結果の公表を行う義務はない。しかしながら,本件事業者は,市長の指導により,①本件計画地,,内の3箇所でボーリングによる地盤調査を行っており②本件計画では本件計画地内に,施工中の地下水(湧水)の水位の観測を目的とした井戸を設け,本件事業者は,工事期間中,観測記録を市に月1度報告し, 不自然な水位の変動が発生した場合には,市と速やかに協議するとしている。よって,本件計画は,α崖線の保全及び再生に関しても,一定の配慮がされたものと評価できる。 ウ市長の平成21年7 告し, 不自然な水位の変動が発生した場合には,市と速やかに協議するとしている。よって,本件計画は,α崖線の保全及び再生に関しても,一定の配慮がされたものと評価できる。 ウ市長の平成21年7月15日付けの助言に対し,本件事業者は,同月22日付けで,本件計画の内容を次のとおり変更する7月見解書を提出しており,これらの変更により,原告B及び原告Cの居住建物を含む本件建物の近隣に対する日照は改善されることになる。 (ア)β街道側の公開空地の幅を30cm拡幅して1.5mとする。 (イ)本件建物の高さを28cm低くして,24mとする。 (ウ)緑地・空地率は,市長による指導(19%)を大幅に上回るように努める。 (エ)建物の形状等を一部変更し,サブエントランスの屋根を取り止め,位置を変更する。また,北東側の集会所屋上部分の壁の高さを約600mm軽減する(躯体壁高としては約1700mmの軽減。 )第3当裁判所の判断 争点(1)(原告適格)について行政事件訴訟法9条1項にいう「法律上の利益を有する者」とは,当該処(1)分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的,,に侵害されるおそれのある者をいうのであり当該処分を定めた行政法規が不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護 された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。そして,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の れのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。そして,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮すべきであり,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(同条2項参照(以上に)つき,最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照。 )上記の見地に立って,原告らが本件処分の取消しを求める訴えの原告適格を有するか否かについて検討する。 (2) 前記第2の1(1)のとおり,本件条例は,市民の福祉を高め,豊かな緑と水と文化財にはぐくまれた安全で快適なまちづくりの実現に寄与することを目的とするものであるところ,同条例6条1項が「市民等は,健康かつ快,適な都市環境及び生活環境を享受する権利を有する」と規定しており,同条例79条が,事業者が開発事業の計画及び工事の実施に当たって,近隣住民との関係で紛争を未然に防止するために講ずるよう配慮すべき事項として,「近隣住民の住居の日照に及ぼす影響を軽減させること」と規定しているこ となどにも照らせば,同条例50条1項の開発適合審査基準において,同条例別表第3の3の項が,建築物の高さを規制している趣旨として,当該建築物の近隣の建築物の日照,採光等を良好に保ち快適な るこ となどにも照らせば,同条例50条1項の開発適合審査基準において,同条例別表第3の3の項が,建築物の高さを規制している趣旨として,当該建築物の近隣の建築物の日照,採光等を良好に保ち快適な居住環境を確保することにより,近隣住民の健康に著しい被害を及ぼすことを防止する趣旨も含まれているものと解するのが相当である。そして,本件条例が,開発区域の近隣で当該開発区域から一定の距離以内の区域に住所を有する者等を「近隣住民」として具体的に規定した上で,事業者は,開発事業について近隣住民から説明を求められたときは,その内容を説明しなければならず(同条例45条,近隣住民は,開発事業に関する意見書を市長に提出すること(同条例)46条1項,公聴会の開催を市長に請求すること(同条例47条1項,市))長に対し,開発事業申請書の内容を再考するよう事業者に要請することを記載した書面を提出すること(同条例59条5項,市長に対し紛争の調整の)申出をすること(同条例80条)等ができ,本件条例が近隣住民に対し,開発基準適合確認通知に至る手続に関与することを認めていること,前記規制が保護しようとする利益が個人の健康という重要な利益であることも併せ考えると,本件条例は,開発基準適合確認に係る開発事業で建築される建物により日照を阻害される近隣住民の健康を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解するのが相当である。 そうすると,開発事業により建築される建物により日照を阻害される近隣住民は,開発基準適合確認通知の取消しを求めるにつき法律上の利益を有す,。 る者としてその取消しの訴えにおける原告適格を有するというべきであるこの点,被告は,本件条例の開発適合審査基準の設定は,むしろ開発事業 における周辺住民との紛争の防止,緩和等による美 す,。 る者としてその取消しの訴えにおける原告適格を有するというべきであるこの点,被告は,本件条例の開発適合審査基準の設定は,むしろ開発事業 における周辺住民との紛争の防止,緩和等による美しい街並み景観の創出を主な目的としている旨主張するところ,確かに,同条例1条が規定する同条例の目的等によれば,開発適合審査基準の設定は,被告が主張するような公益を保護する趣旨を含むものと考えられる。しかし,同条は,市民の福祉を高めることをもその目的としており,より市民の利益に直結する日照阻害による健康被害の防止をその目的から除外しているとは考えられず,前記のとおり,同条例が「近隣住民」を具体的に定義して,近隣住民に開発事業の開発基準適合確認通知に至る手続への積極的関与を認めていることからしても,近隣住民の健康という利益が専ら一般的公益の中に吸収解消されているということはできない。 (3) そして,原告らが本件処分の取消しを求める原告適格を有すると認められるためには,原告ら自身が本件処分の取消しを求める法律上の利益を有することが必要であるところ,証拠(甲4,乙11の1及び2)及び弁論の全趣旨によれば,本件建物は,原告らの住居に対し,相当時間日影を生じさせるものであることが認められ,原告らは,いずれも本件建物により日照を阻害される近隣住民ということができるのであるから,原告らは,法律上の利益を有していると認めることができる。 したがって,原告らは,いずれも本件訴えの原告適格を有するというべきである。 争点2(本件処分の適法性)について(1)認定事実前記第2の2の前提事実(以下「前提事実」という)に加え,証拠及び。 弁論の全趣旨(各事実の後に付記する)によれば,以下の事実を認めるこ。 とができる。 ア本件計画地は,用途地域は近隣商 実前記第2の2の前提事実(以下「前提事実」という)に加え,証拠及び。 弁論の全趣旨(各事実の後に付記する)によれば,以下の事実を認めるこ。 とができる。 ア本件計画地は,用途地域は近隣商業地域であり,また,本件条例においてα崖線区域に指定された区域ではない。 イ本件事業者は,市長の指導書を受けて当初計画を変更し,本件建物の地階を除く階の天井高を当初計画より各5cmずつ縮めるとともに,屋上防水の立ち上がり寸法を20cm縮めることによって,本件開発事業申請書において,本件建物の高さを当初計画より55cm縮めた24.28mとした。そして,7月見解書において,これを更に24mに変更するとともに,建物の形状等を一部変更し,サブエントランスの屋根を取り止め,位置を変更し,北東側の集会所屋上部分の壁の高さを約600mm軽減する(躯体壁高としては約1700mmの軽減)との見解を示している。 ウ本件条例が定める緑化・空地率の最低基準は15%である(同条例別表,),,第5の開発区域の面積1000m未満でα崖線外が本件計画では これを11.81%上回る26.81%とされている。なお,7月見解書に基づく図面(乙9の2)では,緑化・空地率は26.83%となっている。 エ本件条例による緑化率の最低基準は12%である(同条例別表第5の開発区域の面積1,000m未満でα崖線外)が,本件計画では,これを 2.16%上回る14.16%とされている。なお,7月見解書に基づく図面(乙9の2)では,緑化率は12.54%となっている。また,本件計画では,低層部の屋上に約4.0mの屋上緑化を施し,北東側の空地 沿いの壁面は,つる類による壁面緑化38.63mを行い,壁面による 圧迫感を抑えるように努め,高木,中木,低木及び地被類をバランス ,低層部の屋上に約4.0mの屋上緑化を施し,北東側の空地 沿いの壁面は,つる類による壁面緑化38.63mを行い,壁面による 圧迫感を抑えるように努め,高木,中木,低木及び地被類をバランス良く織り交ぜ緑豊かな空間を創出するという内容となっている。 オ本件開発事業は,開発区域が1,000m未満であることから,建築 基準法及び本件条例上は公開空地の設置義務はないものの,本件開発事業申請書では,β街道側に1.2m幅の公開空地を設ける計画であるとされている。そして,7月見解書によれば,更にこの公開空地を1.5m幅とすることになっている。 また,本件開発事業申請書では,北東側について,敷地境界線から2. 3m幅の空地(通路)を設けるとされている。このうち2m幅を建築基準法43条1項ただし書の趣旨によるものとしても,さらに0.3m幅で公開空地を設ける内容となっている。 カ地下水の問題について,本件事業者は,①本件計画地内の3箇所でボー,,()リングによる地盤調査を行い②本件計画地内に施工中の地下水湧水の水位の観測を目的とした井戸を設け,工事期間中,観測記録を市に月1度報告し,不自然な水位の変動が発生した場合には,市と速やかに協議するとしている(甲6)。 (2)開発事業が,本件条例別表第3の3の項1号に規定する「良好な地域環境の創出に特に寄与する」と認められるか否かは,同項が例示する「緑地の積極的な確保,公開空地の創出」を主要な判断要素としつつ,他の様々な要素も加味して総合的に判断すべきものであり,同項の文言が上記のとおり抽象的なものであることからすれば,その判断は,市長の合理的な裁量にゆだ ねられていると解される。 ,,,,前記(1)の認定事実によれば本件計画地は近隣商業地域でありまた本件条例上,α崖線区 のであることからすれば,その判断は,市長の合理的な裁量にゆだ ねられていると解される。 ,,,,前記(1)の認定事実によれば本件計画地は近隣商業地域でありまた本件条例上,α崖線区域に指定されていない以上,仮に原告らが主張するように自然的な意味でのα崖線地域に含まれるとしても,本件条例の適用においてα崖線区域と同様の取扱いをすべき法的根拠はないといわざるを得ない。そして,本件開発事業申請書において計画されている緑化・空地率及び緑化率をみると,本件条例が規定する基準を相当上回っていること,公開空地については,本来設置義務はないものの,市長の指導や助言を受けて,β街道側に1.2m幅(7月見解書によれば1.5m幅,北東側に0.3m)幅の公開空地を確保する計画であること,地下水の問題についても既に一定,,の地盤調査が行われて工事期間中の対応についても配慮がされていること本件建物の高さや形状などについても市長の指導書や助言により一定程度の改善を図っていることなどの事情を市長が総合的に判断した結果,良好な地域環境の創出に特に寄与するものと認めて,本件処分をしたものと認められるから,その判断は合理的な裁量の範囲内であるということができ,本件処分は適法というべきである。 (3)原告らは,市長の平成21年3月13日付け指導書は,市民会議の意向,。 を無視してされたものであり裁量権の逸脱又は濫用であるなどと主張するしかし,前提事実によれば,同指導書は,市民会議から,本件特例基準を適用することに極めて否定的であるとの答申が示されていることを踏まえ,公開空地について当初計画を超える面積を確保するものとし,特に北東側の公開空地については周辺に与える日影の影響や安全の確保を配慮し,良好な地 域環境について一層優れた計画とすること等 を踏まえ,公開空地について当初計画を超える面積を確保するものとし,特に北東側の公開空地については周辺に与える日影の影響や安全の確保を配慮し,良好な地 域環境について一層優れた計画とすること等を内容としており,市民会議の答申の趣旨に沿った内容となっているということができ,市民会議の意向を無視したものとはいえない。したがって,この点に関する原告らの主張は,採用することができない。 (4)原告らは,市長の前記指導書では,当初計画に比較して一層優れた計画にすることが求められているのに,変更後の計画はわずかな変更を加えたものにすぎないから指導書に反しており,それにもかかわらず,本件処分をしたことは裁量権の逸脱又は濫用であるなどと主張する。 そこで検討するに,本件条例49条1項は,事業者は,市長から指導書の交付を受けた場合には,当該指導書の内容等を十分尊重して,開発事業申請書等を市長に提出し,市長と協議しなければならないと規定するところ,本件事業者は,前記第2の2(2)オのとおり,市長に対し,本件建物の高さを55cm縮減し,日影と通風の影響の軽減に努めること,本件計画地の北東側の通路について,道路中心から2.0mの後退を行い,その上に公開空地を0.3m確保し,β街道側についても1.2m幅の公開空地を確保することなどを内容とした3月見解書を提出しており,3月見解書は,当初計画を超える公開空地の確保,周辺に与える日影の影響等の配慮等を求めた前記指導書を相当に尊重した内容となっているというべきである。 なお,証拠(甲4,乙11の1及び2)及び弁論の全趣旨によれば,本件建物により,原告らの住居について相当時間の日影が生ずることが認められるものの,原告らの住居はいずれも本件建物に近接しているため,本件特例基準の適用を認める場合(本件建物の高さは最大 によれば,本件建物により,原告らの住居について相当時間の日影が生ずることが認められるものの,原告らの住居はいずれも本件建物に近接しているため,本件特例基準の適用を認める場合(本件建物の高さは最大で25m)と適用されない 場合同20mとでは日影の影響が大きく変わるものではなく 証拠 甲(),,(20,22)及び弁論の全趣旨によれば,本件特例基準の適用を認めず,本件事業者が公開空地の確保等を撤回した場合には,むしろ,本件建物の周辺における日影の負荷は増大する可能性もあるといえる。したがって,原告らの住居について相当時間の日影が生ずることから,本件処分が,裁量権の逸脱又は濫用に当たるということはできない。 (5)原告らは,地下水問題について何ら配慮がされていないから,本件処分が違法であるとも主張するが,前記(1)カのとおり,本件計画においては,地下水問題についても配慮がされており,この点に関する原告らの主張は採用することができない。 (6)ア原告らは,市長の助言に対する見解書を受けて変更された計画についても,公開空地のうちβ街道側については,常識的に考えて空地を設ける計画が当然である旨主張する。しかし,上記変更された計画においては,β街道に沿って1.5m幅で相当程度の広さの私有地を公開空地とするというのであり,それを当然であるとする原告らの主張はにわかに採用し難い。 イ原告らは,緑化により空地とされる部分は,その大部分が北西側のいわゆる残地であり,周辺環境に対する寄与としては微々たるものであると主,。 張するが周辺環境に対する寄与が微々たるものという根拠は不明であるウ原告らは,本件計画地は自然的にはα崖線の斜面地であり,高さ制限の,,緩和のためには更に慎重な配慮が必要であると主張するが前記のとおり本件計 に対する寄与が微々たるものという根拠は不明であるウ原告らは,本件計画地は自然的にはα崖線の斜面地であり,高さ制限の,,緩和のためには更に慎重な配慮が必要であると主張するが前記のとおり本件計画地がα崖線区域の指定を受けていない以上,仮に自然的にα崖線 の斜面地であるとしても,そのことだけから直ちに本件特例基準の適用に当たって特別の考慮をしなければならないということはできない。 エ原告らは,屋上又は壁面の緑化による部分は,持続的な緑化が保証されるものではなく,緑化・空地率の意図的な水増しに使われ得るものである旨主張するが,その主張の根拠は不明であり,採用することはできない。 第4 結論 よって,原告らの請求は,理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民訴法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部杉原則彦裁判長裁判官波多江真史裁判官家原尚秀裁判官
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