平成25年9月26日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成24年(行ウ)第7号有害鳥獣捕獲班員認定取消処分取消請求事件口頭弁論終結日平成25年7月23日判決 主文 1 本件訴えをいずれも却下する。 2 訴訟費用は,原告らの負担とする。 事実 及び理由第1 当事者の求めた裁判 1 原告ら⑴ 被告が原告らに対して平成19年6月28日付けで行った大分市有害鳥獣捕獲班員の認定を取り消す旨の処分を取り消す。 ⑵ 訴訟費用は,被告の負担とする。 2 被告⑴ 本案前の答弁主文同旨⑵ 本案の答弁ア原告らの請求をいずれも棄却する。 イ訴訟費用は,原告らの負担とする。 第2 事案の概要本件は,大分市有害鳥獣捕獲班員(以下「捕獲班員」という。)の認定を受けていた原告らが,被告に対して,被告が原告らの捕獲班員の認定を取り消したことが違法な行政処分に当たると主張して,同処分(ただし,処分性については後記2⑴,3⑴のとおり争いがある。)の取消しを求めた事案である。 1 前提事実⑴ 当事者等 ア一般社団法人大分県猟友会及び大分市猟友会一般社団法人大分県猟友会(以下「大分県猟友会」という。)は,狩猟知識の普及,狩猟道徳の向上を通じて,有益鳥獣の保護,鳥獣資源の確保及び狩猟の発達を図ることを目的とする一般社団法人である(甲1及び弁論の全趣旨)。 大分市猟友会は,大分県猟友会の支部組織であり,権利能力なき社団である(当事者間に争いのない事実)。 イ被告 被告は,地方自治法252条の17の2第1項及び大分県事務処理の特例に関する条例2条1項,同別表第1・項目25・1に基づいて,平成12年4月1日以降,鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(以下 被告は,地方自治法252条の17の2第1項及び大分県事務処理の特例に関する条例2条1項,同別表第1・項目25・1に基づいて,平成12年4月1日以降,鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(以下「鳥獣保護法」という。)9条1項に定める鳥獣の捕獲に関する許可及び同法10条に定める前記許可の取消し等の権限を有し,事務を処理するものである(乙1)(別紙「法令等」記載1参照)。 被告代表者大分市長(以下「市長」という。)は,大分市有害鳥獣捕獲等許可事務取扱要領(以下「本件事務取扱要領」という。)に基づき,大分県事務処理の特例に関する条例に係る鳥獣保護法9条1項の規定に係る事務を行っている(乙2。なお,本件事務取扱要領については,後記⑵記載のとおりである。)。 ウ原告ら原告らは,いずれも大分県猟友会及び大分市猟友会の会員であり,平成19年当時,原告Aが班長を務めていた大分市猟友会B支部駆除班C班(以下「本件駆除班」という。)に所属し,被告によって捕獲班員と認定されていたものである(当事者間に争いのない事実)。 ⑵ 本件事務取扱要領(乙2)本件事務取扱要領は,鳥獣保護法9条1項に基づく鳥獣の捕獲等に係る許 可に関して必要な事項を定めた大分市有害鳥獣捕獲等規則(乙4。以下「捕獲規則」という。)の制定に合わせ,事務処理を円滑に行うために作成されたものである。 本件事務取扱要領には,次の内容が定められている。 ア同要領第3毎年同一種類の鳥獣による被害が発生している地域において,被害の発生を未然に防止するため,計画捕獲等を実施できるものとされており,市長においては,過去の被害の状況に基づき翌年度を対象とした有害鳥獣被害発生予察表を作成し,これに基づき年間の有害鳥獣捕獲等計画を作成するものとされ,その際,捕獲等の従事者を定 るものとされており,市長においては,過去の被害の状況に基づき翌年度を対象とした有害鳥獣被害発生予察表を作成し,これに基づき年間の有害鳥獣捕獲等計画を作成するものとされ,その際,捕獲等の従事者を定めておくものとする。 イ同要領第4第3項有害鳥獣捕獲の許可申請者は,捕獲規則(乙4)に定める書類(同規則第3条⑶には,有害鳥獣捕獲等従事者名簿の提出が定められている。)を市長に提出しなければならない。 ウ同要領第6 1 鳥獣の捕獲等の実施は,原則として捕獲班によって行うものとし,捕獲班の編制は,被告,大分市猟友会及び財団法人大分市高崎山管理公社が協議して行うこととし,市長は適正な捕獲班編制について留意するものとする。 2 捕獲班の従事者の資格要件は,次のとおりとする。 (1)捕獲規則第4条に規定する者であって,鳥獣保護について良識を有する者。 (2)狩猟災害共済事業の被共済者,又は狩猟事故に関する損害保険契約の被保険者であること。 (3)要請に応じて,随時捕獲等に従事することができる者。 (4)狩猟免許の取消し若しくは効力の停止をされていない者,又は違 反事実のない者。 (5)他の捕獲班に所属していない者⑶ 本件協議書の成立被告と大分市猟友会は,前記⑵記載の本件事務取扱要領に定められている捕獲班によって実施される捕獲等の実施につき,平成13年6月25日に大分市有害鳥獣駆除協議書を交わし,平成17年4月1日に同協議書の一部を改訂した大分市有害鳥獣捕獲協議書を交わした(甲3,乙5。以下,これらの協議書を,改訂前後を通じて「本件協議書」という。)なお,本件協議書の成立について定めた法令等は存在しない。 ⑷ 本件協議書の内容(甲3,乙5及び弁論の全趣旨)本件協議書の内容は,次のとおりである。 ア第1(捕獲区域 本件協議書」という。)なお,本件協議書の成立について定めた法令等は存在しない。 ⑷ 本件協議書の内容(甲3,乙5及び弁論の全趣旨)本件協議書の内容は,次のとおりである。 ア第1(捕獲区域及び捕獲班)捕獲区域の設定及び捕獲班の編成(判決注・原文ママ),または,これらを変更する場合については被告と大分市猟友会が協議して被告が決めるものとする。 イ第2(捕獲従事者) 捕獲従事者は,大分市猟友会が被告に推薦し,被告が認定した捕獲班員をもってあてるものとする(第2⑴)。 大分市猟友会は,捕獲班員を被告に推薦し,被告は,審査のうえ適当と認める場合は認定し,大分市猟友会及び捕獲班員に通知する(第2⑵)。 大分市猟友会は,捕獲班員が脱退しようとする場合は,班員からの届出を受けた後,被告に認定の取消しを請求するものとし,被告は,これを受理し認定の取消しを行ったときは大分市猟友会及び捕獲班員に通知するものとする(第2⑷)。 ウ第3(捕獲の実施)被告は,有害鳥獣捕獲を実施しようとするときは,捕獲従事者(前記イ により認定された捕獲班員)に直接指示するものとする。 エ第9(その他)その他必要な事項については,被告と大分市猟友会とでその都度協議するものとする。 ⑸ 大分市猟友会の推薦と捕獲班員の認定被告が捕獲班員に認定した者は,本件協議書に基づいて,大分市猟友会から推薦された者に限定され,他の者を認定することはなかった(当事者間に争いのない事実)。 ⑹ 報償金被告は,平成13年4月1日以降,有害鳥獣駆除報償金交付要領(甲4。 以下「本件報償金交付要領」という。)に基づいて,捕獲従事者が有害鳥獣駆除許可期間中に出動して1日連続5時間以上の業務を行った場合に出動報償金を交付し,猪を捕獲した場合に捕獲報償 金交付要領(甲4。 以下「本件報償金交付要領」という。)に基づいて,捕獲従事者が有害鳥獣駆除許可期間中に出動して1日連続5時間以上の業務を行った場合に出動報償金を交付し,猪を捕獲した場合に捕獲報償金を交付していた(当事者間に争いのない事実)。 ⑺ 原告らの捕獲班員認定の取消しア平成19年5月22日,大分市猟友会は,市長に対して,原告らが所属していた本件駆除班の全員について捕獲班員としての推薦を取り消したことを通知した(甲5)。 イ平成19年6月28日,被告は,原告らの捕獲班員認定の取消しを行った(以下「本件取消し」という。)。その頃,市長は,原告らの捕獲班員認定を取り消した旨を大分市猟友会及び原告らに通知した(甲6,乙14及び弁論の全趣旨)。 ⑻ 本件訴えの提起原告らは,平成24年9月4日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。 2 主要な争点⑴ 本件取消しの処分性(本案前の争点) ⑵ 本件訴えの出訴期間徒過の有無(本案前の争点)⑶ 本件取消しの違法性(本案の争点) 3 当事者の主張⑴ 本件取消しの処分性(争点⑴)ア原告らの主張 国又は公共団体の行為について,公権力性及び法律上の地位に対する影響が認められる場合には,当該行為は行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)3条2項が定める「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」,すなわち取消訴訟の対象となる行政処分に当たると解すべきである。 公権力性a 本件取消しは,被告と大分市猟友会との協議の結果に基づき,被告が各班員の意思如何にかかわらず,一方的に捕獲班員の認定を取り消すものであり,被告という公権力の主体が対象者の意思如何にかかわらず,一方的に捕獲班員の地位を奪うものであるから,公権力性が認められる。 b 最高裁判決が,税関長 ,一方的に捕獲班員の認定を取り消すものであり,被告という公権力の主体が対象者の意思如何にかかわらず,一方的に捕獲班員の地位を奪うものであるから,公権力性が認められる。 b 最高裁判決が,税関長の通知に処分性を認め(最高裁昭和57年(行ツ)第156号同59年12月12日大法廷判決・民集38巻12号1308頁),行政指導である病院開設中止勧告に処分性を認めていること(最高裁平成14年(行ヒ)第207号同17年7月15日第二小法廷判決・民集59巻6号1661頁)からすると,①ある者の法律上の地位に対する影響がある場合や,②ある者の重要な権利利益が害され,その行為を取消訴訟において取り上げなければ権利利益を守る争訟手段がない場合には,明確な法令上の根拠のない国又は公共団体の行為であっても,その行為から実際上生じる結果に鑑みて,当該行為に処分性が認められるべきであり,その前提として公権力性も認 められるべきである。 c 本件取消しのような捕獲班員認定の取消しがなされた場合,捕獲班員であった者は,被告が行う,捕獲従事者で構成する捕獲班による有害鳥獣の一斉捕獲に参加できなくなり,また,報償金の支払を受けることができなくなるため,捕獲班員認定の取消しによって,捕獲班員であった者の重要な権利利益が害され,その法的な地位に重大な影響が生ずる。したがって,本件取消しには公権力性が認められる。 法律上の地位に対する影響本件取消しのような捕獲班員認定の取消しがなされた場合,捕獲班員であった者は,前記cのとおり,重大な権利侵害を受けるから,本件取消しは,捕獲班員であった者の法律上の地位に対する影響を有する。 以上の次第であるから,本件取消しは,取消訴訟の対象となる行政処分に当たるというべきである。 なお,被告は,本件と関連する訴訟 取消しは,捕獲班員であった者の法律上の地位に対する影響を有する。 以上の次第であるから,本件取消しは,取消訴訟の対象となる行政処分に当たるというべきである。 なお,被告は,本件と関連する訴訟(大分地方裁判所平成24年(ワ)第69号地位確認等請求事件)において,本件取消しは取消訴訟でなければ争うことはできないと主張していたものである。 イ被告の主張 行訴法3条2項が定める「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」とは,公権力の主体たる国又は地方公共団体が行う行為のうち,その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上定められているものをいう。 しかるに,本件取消しは,上位の法令の根拠を有しない本件協議書所定の「第9(その他)」(その他必要な事項については,被告と大分市猟友会とでその都度協議するものとする。)(前記1⑷エ)に基づいて,被告が,適正な捕獲班の編制や変更という見地から,大分市猟友会と協議をした結果により行ったものであるから,行訴法3条2項にいう処分行 為には当たらない。 原告らの主張に対する反論被告が行う有害鳥獣の捕獲は,有害鳥獣による被害を防止するために被告が実施しているもので公益的意義を有し,また,本件報償金交付要領(甲4)に基づいて有害鳥獣の捕獲が行われた際には捕獲従事者に報償金が交付されている。 しかし,これらによっても,原告らが主張する捕獲班員認定の取消しの性質には何ら影響がないというべきである。すなわち,報償金は,被告が実施する有害鳥獣の捕獲の実施の効果を促進するために政策的見地から採用しているものであり,有害鳥獣駆除許可期間中の有害鳥獣の捕獲のための出動及び捕獲の実績に基づくものである。そのため,捕獲班員の資格を有するからといって,報償金を受給す 進するために政策的見地から採用しているものであり,有害鳥獣駆除許可期間中の有害鳥獣の捕獲のための出動及び捕獲の実績に基づくものである。そのため,捕獲班員の資格を有するからといって,報償金を受給する権利が当然に生ずるわけではなく,経済的な利益を常に享受するわけではないから,捕獲班員の資格は,経済的利益を伴うものとはいえない。 ⑵ 本件訴えに係る出訴期間徒過の有無(争点⑵)ア被告の主張処分の取消しの訴えは,処分があったことを知ったときから6か月を経過したとき,また,処分の日から1年を経過したときは提起することができない(行訴法14条1項,2項)。 本件取消しは平成19年6月28日に行われ,原告らはそれを同日頃に知ったものであり,平成24年9月4日に提起された本件訴えは,行訴法14条1項,2項に定める出訴期間を徒過している。 イ原告らの主張 本件訴えは,本件取消しがあった日から既に5年が経過した後に提起されたものである。 しかしながら,行政庁は,取消訴訟を提起することができる処分をす る場合には,処分の相手方に対して,処分に係る取消訴訟の被告とすべき者や処分に係る取消訴訟の出訴期間等について書面で教示しなければならない。しかるに,本件取消しの通知(甲6)には,これらの記載が一切なく,被告は,上記教示義務を怠った。 これに加えて,本件取消しは,本件協議書を根拠に行われているものであり,本件協議書には,捕獲班員の脱退の届出を受けて認定の取消しがなされる旨が定められていることから,原告らが,本件取消しについて,取消訴訟の対象となる行政処分,すなわち,行政庁が,法が認めた優越的地位に基づいて相手方の意見如何にかかわらず一方的に行うことを特質とする行政処分,に当たると認識することは著しく困難であった。 これら の対象となる行政処分,すなわち,行政庁が,法が認めた優越的地位に基づいて相手方の意見如何にかかわらず一方的に行うことを特質とする行政処分,に当たると認識することは著しく困難であった。 これらに鑑みれば,一般人に求められる注意をもっても,本件訴えの提起が出訴期間経過後となったことは避け難いものということができ,行訴法14条1項ただし書,2項ただし書に定める「正当な理由」が存する。 ⑶ 本件取消しの違法性(争点⑶)ア被告の主張 本件取消しは,捕獲班員の脱退に基づく認定の取消しとは別個のものとして,本件協議書に基づく被告と大分市猟友会との協議において,適正な捕獲班の編制や変更を中心に検討した結果として,捕獲班員の認定の取消しを行ったものである。 すなわち,本件駆除班の班員間においては,平成18年10月頃に原告Aが定めたB支部駆除班C班内規約(乙6)に端を発した紛争が生じており,平成19年5月の時点においても未だその問題が収束していなかった。そして,大分市猟友会は,本件駆除班の全員について,捕獲班員としての推薦を取り消し,平成19年5月22日,そのことを市長に通知した(前記1⑺ア)。被告は,このような事態を踏まえ,有害鳥獣の 捕獲活動に支障が出るだけでなく,事故の発生が危惧される状態にあると判断して,大分市猟友会との協議を経て本件取消しを行ったものである。 本件取消しは,上記経緯によるものであるから,各班員について個別の取消事由を要するというものではない。 被告が本件報償金交付要領に基づいて捕獲従事者に報償金を交付しているとしても,前記⑴イのとおりであるから,捕獲班員の資格に経済的利益が伴うものとはいえない。 したがって,本件取消しは,何らの違法もなく,適法である。 イ原告らの主張 本件取 しているとしても,前記⑴イのとおりであるから,捕獲班員の資格に経済的利益が伴うものとはいえない。 したがって,本件取消しは,何らの違法もなく,適法である。 イ原告らの主張 本件取消しは行政処分に当たるものの,その法律上の根拠が不明であり,本件取消しは法律上の根拠がない行政処分である。 被告が本件取消しの根拠として挙げる本件協議書の規定は,法律ではないために法律上の根拠となり得ない上,一般的かつ抽象的な定めしかなく,具体的な取消事由や取消手続の定めはないから,行政処分の根拠となる余地はない。 本件協議書によれば,捕獲班員の認定を取り消すためには捕獲班員自身の脱会の届出が必要とされているが,本件取消しにおいて,原告らはこれらの脱会の届出をしていない。 また,捕獲班員認定の資格を取り消すためには取消事由が必要であるが,本件取消しには,何ら取消事由が存在しない。 したがって,被告が主張するように本件協議書に基づいて捕獲班員の取消しが行われたとしても,本件取消しは取消しの要件を満たしていない。 さらに,仮に本件取消しが取消しの要件を満たしているとしても,捕獲班員の認定は,地方公共団体である被告による公的な認定であり,認 定によって報償金という経済的利益を得られるものであるから,捕獲班員はみだりにその班員としての地位を奪われない権利ないし法的保護に値する利益があり,取消しに値する適正な理由が必要となるところ,そのような理由のない本件取消しは許されない。 被告が指摘する本件駆除班の班員間の紛争は,そもそも存在していない上,本件駆除班内の一部班員が行った法令違反行為に端を発した班員間の問題も,平成19年5月22日以前に既に収束していた。 したがって,本件取消しは,違法である。 第3 当裁判所の判断 ていない上,本件駆除班内の一部班員が行った法令違反行為に端を発した班員間の問題も,平成19年5月22日以前に既に収束していた。 したがって,本件取消しは,違法である。 第3 当裁判所の判断 1 本件取消しの処分性(争点⑴)について⑴ 法治主義(法律による行政の原理)の要請から,国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定するなど国民の具体的な権利義務に直接影響を与える国又は公共団体の行為は,形式的意味の法律,条例等法律に準ずるもの,及び法律又は条例の委任を受けた行政庁の規則等に基づくものでなければならないというべきである。そして,行訴法3条2項に定める取消訴訟の対象となる行政処分は,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうと解される(最高裁昭和37年(オ)第296号同39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁等参照)。 したがって,取消訴訟の対象となる行政処分は,形式的意味の法律,条例等法律に準ずるもの,及び法律又は条例の委任を受けた行政庁の規則等に基づくものでなければならない。 ⑵ア本件取消しのような捕獲班員認定の取消しが行訴法3条2項に定める行政処分に当たるかを検討するに際し,まず,その前提となる捕獲班員の認定について検討する。 イ前提事実及び弁論の全趣旨によれば,法令上,被告が有害鳥獣捕獲の許可(鳥獣保護法9条1項に基づく許可)等の権限を有しているから,被告が有害鳥獣の捕獲を実施するためには,許可権限者である被告の許可を得る必要がある。そして,被告は,有害鳥獣捕獲の許可を受け,実際に捕獲に従事する捕獲従事者を選定し,捕獲を捕獲従事者に委託することとなる。 ところが,鳥獣保護法 めには,許可権限者である被告の許可を得る必要がある。そして,被告は,有害鳥獣捕獲の許可を受け,実際に捕獲に従事する捕獲従事者を選定し,捕獲を捕獲従事者に委託することとなる。 ところが,鳥獣保護法は,同法9条1項に基づいて許可を受けた捕獲等に従事する捕獲従事者について,従事者証の交付(同法9条8項),従事者証の携帯・提示(同法9条10項)について定めているものの(別紙「法令等」2参照),鳥獣保護法及び同施行規則には,捕獲従事者の選定について定めた規定はない。また,その他の形式的意味の法律,及び条例等法律に準ずるものにも,捕獲従事者の選定について定めたものはない。 そうすると,形式的意味の法律,及び条例等法律に準ずるものには,捕獲従事者の選定に関する規定はなく,行政庁の規則,取扱要領等において捕獲従事者の選定について,行政庁による認定等の行為を定めたとしても,それは,形式的意味の法律,条例等法律に準ずるもの,及び法律又は条例の委任を受けた行政庁の規則等に基づくものということはできないと解される。 ウ本件事務取扱要領は,第6第1項において,鳥獣の捕獲等の実施は,原則として捕獲班によって行うものとし,捕獲班の編制は,被告,大分市猟友会及び財団法人大分市高崎山管理公社が協議して行うこととし,市長は適正な捕獲班編制について留意するものとする旨定めており(前記第2,1⑵ウ),これを受けて,本件協議書第2⑴は,捕獲従事者は,大分市猟友会が被告に推薦し,被告が認定した捕獲班員をもって充てるものとする旨定め,捕獲班員の認定について定めている(前記第2,1⑷イ)。 しかし,前記イのとおり,形式的意味の法律,及び条例等法律に準ずるものには,捕獲従事者の選定に関する規定はないから,本件事務取扱要領 第6第1項とこれを受けた本件協議書第2⑴に ⑷イ)。 しかし,前記イのとおり,形式的意味の法律,及び条例等法律に準ずるものには,捕獲従事者の選定に関する規定はないから,本件事務取扱要領 第6第1項とこれを受けた本件協議書第2⑴により定められた捕獲班員の認定は,形式的意味の法律,条例等法律に準ずるもの,及び法律又は条例の委任を受けた行政庁の規則等に基づくものということはできず,行政処分に該当するとはいえない。 エところで,鳥獣保護法は,狩猟の適正化の観点から,狩猟免許(同法第四章,第二節),狩猟者登録(同法第四章,第三節)等について定めており,同法55条は狩猟者登録について定める(別紙「法令等」3参照)。 そして,捕獲規則4条は,有害鳥獣捕獲等に従事する者は,⑴鳥獣保護法55条2項に規定する登録の有効期間にあっては同条1項の登録(狩猟者登録)を受けている者,⑵登録の有効期間外にあっては,直前の登録の有効期間において狩猟者登録を受けていた者,⑶その他特別な事由により市長が特に認める者に該当する者でなければならないと定め(別紙「法令等」4参照),本件取扱要領は,第6第2項において,捕獲班の従事者の資格要件について,捕獲規則4条に規定する者であって,鳥獣保護について良識を有する者であること等を定めている(前記第2,1⑵ウ)。 そうすると,捕獲規則4条,本件取扱要領第6第2項の規定は,鳥獣保護法55条に基づく規定ということができる。 しかし,鳥獣保護法55条は,その趣旨,内容に照らして,狩猟の適正化という観点から,一般的に狩猟をしようとする者について狩猟者登録を定めた規定であり,同法9条1項に基づいて許可を受けた捕獲等に従事する捕獲従事者の選定に関して定めた規定ではない(鳥獣保護法55条1項ただし書は,同法9条1項の許可を受けてする場合には狩猟者登録を要しない旨定め り,同法9条1項に基づいて許可を受けた捕獲等に従事する捕獲従事者の選定に関して定めた規定ではない(鳥獣保護法55条1項ただし書は,同法9条1項の許可を受けてする場合には狩猟者登録を要しない旨定める。)。したがって,捕獲規則4条,本件取扱要領第6第2項が,捕獲班の従事者の資格要件として,狩猟登録を受けていること等を定めていたとしても,それは,捕獲従事者の選定について定めた法律の規定に基づくものということはできず,前記ウの判断を左右することはない。 オ捕獲規則3条は,有害鳥獣捕獲等の許可を申請しようとする者は,鳥獣捕獲等許可申請書に有害鳥獣捕獲等従事者名簿を添えて提出しなければならない旨定め(別紙「法令等」5参照),本件取扱要領第4第3項も同様に定める(前記第2,1⑵イ)。そのため,被告は,有害鳥獣捕獲の許可申請をするに当たって有害鳥獣捕獲等従事者名簿を作成するために,大分市猟友会の推薦を受けて被告による審査の上適当と認める者を捕獲班員と認定し(前記第2,1⑷イ),捕獲班員をもって有害鳥獣捕獲等従事者名簿を作成するものである。 そして,本件取扱要領は,その内容に照らし,鳥獣保護法9条1項の規定に係る許可の事務処理の手順等を定めた被告の内部における取決めであり,本件協議書は,その内容に照らし,被告と大分市猟友会との協議の結果による合意を定めたものである。 そうすると,捕獲班員の認定は,有害鳥獣捕獲を実施する捕獲従事者を確保するための事実上の準備的行為であり,被告と大分市猟友会との間の合意である本件協議書によって行われるものにすぎない。捕獲班員として認定されることによって,鳥獣保護法9条1項の許可に係る有害鳥獣の捕獲等に従事し得る可能性が実際上生ずるとしても,そのことから直ちに,捕獲班員の認定が,形式的意味の法律,条例等法 い。捕獲班員として認定されることによって,鳥獣保護法9条1項の許可に係る有害鳥獣の捕獲等に従事し得る可能性が実際上生ずるとしても,そのことから直ちに,捕獲班員の認定が,形式的意味の法律,条例等法律に準ずるもの,及び法律又は条例の委任を受けた行政庁の規則等に基づくものであるということはできない。 ⑶ア次に,捕獲班員の認定の取消しについて検討すると,前記⑵のとおり,捕獲班員の認定は,有害鳥獣捕獲を実施する捕獲従事者を確保するための事実上の準備的行為であり,被告と大分市猟友会との間の合意である本件協議書によって行われるものにすぎず,形式的意味の法律,条例等法律に準ずるもの,及び法律又は条例の委任を受けた行政庁の規則等に基づくものということはできず,行政処分には該当しない。 そして,本件取消しは,大分市猟友会が原告らの推薦を取り消し(前記第2,1⑺ア),原告らについて,大分市猟友会が推薦して被告が認定した捕獲班員をもって捕獲従事者に充てるという本件協議書の定め(前記第2,1⑷イ)を充足しなくなったことから,被告が原告らの捕獲班員の認定を取り消したものである。 そうすると,捕獲班員の認定の取消しも,形式的意味の法律,条例等法律に準ずるもの,及び法律又は条例の委任を受けた行政庁の規則等に基づくものということはできず,行政処分には該当せず,したがって,本件取消しは,行政処分に該当しない。 イなお,本件報償金交付要領によって,捕獲従事者には,出動,捕獲を行った場合に報償金が支払われることとなっており(前記第2,1⑹),捕獲班員の認定が取り消されて捕獲班員の地位を失った場合には,報償金を受領する可能性もなくなることとなる。 しかし,報償金は,捕獲従事者となったことのみによって当然に支給されるものではなく,実際に出動,捕獲があ が取り消されて捕獲班員の地位を失った場合には,報償金を受領する可能性もなくなることとなる。 しかし,報償金は,捕獲従事者となったことのみによって当然に支給されるものではなく,実際に出動,捕獲があった場合に支給されるものであり,実際に行った出動,捕獲に対する報償としての意味を有するものと認められる。そして,これまで述べたとおり,捕獲班員の認定の取消しは,形式的意味の法律,条例等法律に準ずるもの,及び法律又は条例の委任を受けた行政庁の規則等に基づくものということはできないのであるから,報償金を受領する可能性がなくなることは,捕獲班員の認定が取り消されたことによる事実上の効果にとどまるというべきである。したがって,捕獲班員の認定が取り消されて捕獲班員の地位を失った場合に報償金を受領する可能性もなくなることを理由として,捕獲班員の認定の取消しが行政処分であるということはできない。 ウまた,原告らは,最高裁判決が,税関長の通知に処分性を認め,行政指導である病院開設中止勧告に処分性を認めていることからすると,①ある 者の法律上の地位に対する影響がある場合や,②ある者の重要な権利利益が害され,その行為を取消訴訟において取り上げなければ権利利益を守る争訟手段がない場合には,明確な法令上の根拠のない国又は公共団体の行為であっても,その行為から実際上生じる結果に鑑みて,当該行為に処分性が認められるべきであり,その前提として公権力性も認められるべきであると主張する(前記第2,3⑴アb)。 しかし,原告らが上記主張の裏付けとする最高裁判決は,関税定率法21条3項(判断の対象となった当時の規定)に基づいて税関長がする通知,医療法30条の7(判断の対象となった当時の規定)に基づいて県知事がする病院開設中止勧告に処分性を認めたものであり,いずれ 率法21条3項(判断の対象となった当時の規定)に基づいて税関長がする通知,医療法30条の7(判断の対象となった当時の規定)に基づいて県知事がする病院開設中止勧告に処分性を認めたものであり,いずれも法令上の根拠を有する行政庁の行為の処分性について判断したものであるから,それらの最高裁判決に基づいて,明確な法令上の根拠のない国又は公共団体の行為について処分性が認められるということはできない。そして,処分性は,国又は公共団体の行為によってその対象である国民が受ける影響に関連するものの,行政庁の優越的地位や行政庁による権限行使の法律上の根拠にも関連するものであって,ある行為の対象である国民が法律上の地位に何らかの影響を受け,又は重要な権利利益を害されたことのみをもって,当該行為の処分性が充足されるということはできないから,原告らの上記主張は,採用することができない。 2 請求の成否本件訴えは,本件取消しが行政処分に当たると主張してその取消しを求める訴えであるが,前記1⑶アのとおり,本件取消しは行政処分に該当しないから,本件訴えは不適法であり,その余について判断するまでもなく,却下を免れない。 3 結論よって,原告らの本件訴えは,いずれも不適法であるからこれを却下するこ ととし,主文のとおり判決する。 大分地方裁判所民事第1部 裁判長裁判官 中平 健 裁判官 一藤哲志 裁判官 石本 慧 石本慧
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