平成13年3月13日口頭弁論終結、原審・東京地方裁判所平成9年(ワ)第26980号判決控訴人(原告) 株式会社和漢生薬研究所訴訟代理人弁護士西込明彦、渡邉俊太郎補佐人弁理士佐々木弘被控訴人(被告) 株式会社タケ訴訟代理人弁護士島田康男 主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 原告の求めた裁判「原判決を取り消す。 被控訴人は、原判決別紙標章目録(一)ないし(六)記載の標章を付した石鹸及び化粧品を製造・販売し、並びにその容器、包装紙、広告、名刺及び看板に前記標章を使用してはならない。 被控訴人は、前項の標章を付した石鹸及び化粧品、並びにその容器、包装紙、広告、名刺及び看板から前記標章を抹消せよ。」との判決。 第2 事案の概要原判決事実及び理由中の第二に記載のとおりであり、原判決は、商標権又は不正競争防止法に基づく控訴人の請求、及び代理店契約の終了に基づく控訴人の請求を棄却した。 第3 控訴理由(骨子) 1 商標の類否判断の誤り「麗姿」の語は一般用語ではなく、指定商品と関連するものでもない。取引の実状においても、需要者は「和漢研」をください、と言うのではなく、「麗姿」をくださいと言うはずである。したがって、本件登録商標のうち「麗姿」の部分が要部となる。 特許庁においては、本件登録商標の「和漢研麗姿」は、視覚上も分離して看取され、一連のものとしてなじまれた語句ではなく、「和漢研」は控訴人の略称であるから、おのおのが独立して自他商品識別標識としての機能を果たすとの判断を示している(甲51、54)。また、特許庁は控訴人の出願した「麗姿」という商標についても登録性を認めているのであり(甲61、6 るから、おのおのが独立して自他商品識別標識としての機能を果たすとの判断を示している(甲51、54)。また、特許庁は控訴人の出願した「麗姿」という商標についても登録性を認めているのであり(甲61、62)、「麗姿」という文字は、それ自体自他商品識別機能を有するものとして認められている。 2 不正競争防止法違反・契約責任に関する判断の前提となる事実認定の誤り(1) 「麗姿」と「和漢ドゥサボン」の呼び名は同じちえの輪の代理店においても全く区別されずに使用されており、いずれも「麗姿」という商標を付した控訴人製造の石けんの名称として使用されていた。原判決は、客観的証拠もなく「和漢ドゥサボン」と区別するために、被控訴人が販売する石けんの名称を「麗姿」としたと認定したが、誤りである。被控訴人が取り扱っている商品は控訴人の「麗姿」であるという認識を、控訴人、被控訴人とも有していたものである。 (2) 「麗姿」が控訴人のブランドであることは明らかであり、また、被控訴人は、控訴人と取引基本契約書(乙第1号証)を締結した後、ちえの輪の代理店になり、その旨の契約書を取り交わしている(甲第10号証)。この契約書において、被控訴人は、「麗姿」ブランド商品の販売代理店にすぎないことを自ら認めており、「麗姿」が自己の採択したブランドであったとしたら、このような契約を締結するはずがない。 第4 当裁判所の判断当裁判所も、控訴人の本訴請求はいずれも理由がないものと判断するが、その理由は、次のとおり控訴理由に即して判断を補充するほか、原判決事実及び理由中の第三に示されているとおりである。 1 商標の類否判断に関する控訴理由については、原判決43頁以下の(三)の項(43頁3行目から44頁10行目まで)を改めて、次のとおり認定し判断する。 本件登録商標は、「和漢研」と「 おりである。 1 商標の類否判断に関する控訴理由については、原判決43頁以下の(三)の項(43頁3行目から44頁10行目まで)を改めて、次のとおり認定し判断する。 本件登録商標は、「和漢研」と「麗姿」という2つの語を2段に横書きにしてなる商標であり、「麗姿」の部分が「和漢研」の部分よりも大きな書体で構成されているところから、外観上は「麗姿」の部分の語が取引者、需要者の注意をより引くということができる。しかしながら、「和漢研」の部分も「麗姿」の部分よりも小さいとはいえ、「麗姿」と同じ角ゴシック体で構成されていて、取引者、需要者に対する印象は少なからぬものがあるというべきである。そして、「麗姿」の語がより一般的な語であって、指定商品である「化粧品、石鹸類、香料類」と関連する語であること、及び「和漢研」の語が、前記のように「和漢の事物を広く集め、研究している」などの必ずしも一般的とはいえない観念を生じさせる語であることも勘案し、また、原判決の第三の二に説示のとおり、「麗姿」はむしろ被控訴人のブランドであって、これが具体的取引において控訴人を出所として示す識別標識として使用されているような特段の事情の認められない本件においては、本件登録商標については、そのうち「麗姿」部分のみからは出所の識別標識としての称呼、観念を生ぜず、「和漢研麗姿」全体からだけで出所の識別標識としての称呼、観念を生じるものである。したがって、本件登録商標は「和漢研麗姿」全体をもって、要部であると認めるべきである。 これに対し、被告標章は、単に「麗姿」部分からなる、あるいはこれに「和漢研」以外の、「TAKE」、「REISHI」などの語を組み合わせたもの、及び「ReishiSavon's」であり、本件登録商標の要部たる「和漢研麗姿」と外観、称呼、観念においていずれ れに「和漢研」以外の、「TAKE」、「REISHI」などの語を組み合わせたもの、及び「ReishiSavon's」であり、本件登録商標の要部たる「和漢研麗姿」と外観、称呼、観念においていずれも異にするものであるから、本件登録商標とは類似しない。 控訴人は、特許庁の判断によれば、本件登録商標の要部は「麗姿」の部分にあることになると主張するが、控訴人が引用する特許庁の判断は、「麗姿」の文字のみからなる出願商標と引用に係る本件登録商標との対比においてされたものであり、本件登録商標の要部がいずれにあるかについて拘束力を有するものではなく、本件における具体的取引の事情等をも勘案して本件登録商標については「和漢研麗姿」全体から出所の識別標識としての称呼、観念を生じるものであるとした上記判断を左右するに足りるものではないから、控訴人の主張は理由がない。 2 不正競争防止法違反・契約責任に関する控訴理由は、事実認定に関するものであるが、本件全証拠を精査、検討してみても、原判決に控訴人主張の認定の誤りがあるということはできず、原判決が説示するところを超えて特に判断を加えるべき点はない。 第5 結論以上のとおり、本件控訴は理由がない。 東京高等裁判所第18民事部裁判長裁判官永井紀昭裁判官塩月秀平裁判官橋本英史
▼ クリックして全文を表示