【DRY-RUN】主 文 本件抗告を棄却する。 理 由 本件抗告の趣意は末尾添付の抗告人作成名義の抗告申立書及び弁護人兼代理人広 井淳作成名義の抗告理由書のとおりである。 抗
主 文 本件抗告を棄却する。 理 由 本件抗告の趣意は末尾添付の抗告人作成名義の抗告申立書及び弁護人兼代理人広 井淳作成名義の抗告理由書のとおりである。 抗告人に対する職業安定法違反事件が上告棄却になつたのが、昭和三〇年一二月 二六日で、昭和三一年一月五日確定したこと、しかるにその後において同年一月一 三日原審裁判所が抗告人に対する横領、詐欺被告事件につき懲役一年執行猶予三年 の言渡をなし、同年同月二八日確定したことはいずれも本件記録に徴し明かであ る。所論は右執行猶予の言渡前裁判官も検察官も前者の職業安定法違反の刑が上告 棄却により確定したことを了知しており検察官は遅くとも言渡後においては覚知し たと主張する。なるほど職業安定法違反事件に構成員として関与したA裁判官が後 者の詐欺横領事件にも審理を担当し、両事件に立会つたのが同一のB検事で、前者 が控訴審に繋属していることは後者の審理の過程において法廷に現われ了知されて いたことは記録上明かであるが、本件のような前者の確定より後者の言渡迄八日の 期間内に確定の事実を知ることは困難とする現状においては単に担当裁判官や検事 が同一で、控訴審に繋属中であることを覚知していたというだけでは言渡前に了知 していたとは認められない。検事同一体の原則により知つていたものと推定するの は賛同し難い。上告棄却直後上告審より原審裁判所にその旨の通告があつたとか前 科調書にその記載があつたというが、これを認めるに足る証拠はないが、最高検察 庁及び札幌高等検察庁の各裁判執行指揮嘱託書によると札幌地方検察庁小樽支部 は、裁判の執行指揮の嘱託に接し、昭和三一年一月二〇日には裁判確定の事実を覚 知したと認定することができるから、了知したのは執行猶了の判決がまだ確定しな い前であるといわねばならない。 かよう 樽支部 は、裁判の執行指揮の嘱託に接し、昭和三一年一月二〇日には裁判確定の事実を覚 知したと認定することができるから、了知したのは執行猶了の判決がまだ確定しな い前であるといわねばならない。 かように猶予の言渡後検察官が他の罪につき懲役刑の確定判決あることを覚知し た場合には猶予の取消申立権<要旨>なく、刑法第二六条第三号の刑に処せられたる こと発覚したるときに当らない旨所論は主張するが、本号の発</要旨>覚とは猶予の 言渡後裁判所に発覚した場合をいうのであつて検察官が覚知していたかどうかは問 うところではない。その言渡前検察官が覚知していたとしても、裁判所に判明した のが言渡後だとすれば、本条の発覚に該当するものと言わなければならない。検察 官が確定判決を知りながらこれを法廷に顕出せず控訴の申立もせずして猶予の判決 を確定させたに拘らず、その猶予取消の申立を許すのは検察官の責任を不当に本人 に転嫁し不利益を加えるものとの非難があるが、本号は元来執行猶予不適格者に対 し誤つて執行の猶予を与えたが後に発覚したのを取消事由としたのである。もしも その事実が判明していたとすれば、執行猶予を言い渡すことのできなかつたもので あるから、これを取消したからといつて不利益を加えるものとは断ずることができ ない。しかしてその取消は右詐欺横領罪の確定判決に判示された犯罪事実につき再 び審理裁判したものでもなく、又確定判決の効力を動かすわけでもないから、憲法 三九条の規定に反しないことは最高裁昭和二六年一〇月六日第二小法廷決定の趣旨 に徴し疑ないところである。論旨は到底採用できない。 原決定は相当であつて本件抗告は理由がないからこれを棄却すべきものと認め、 刑事訴訟法第四二六条第一項に則り主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官 原和雄 裁判官 中村義正 裁判官 安久津武人) 相当であつて本件抗告は理由がないからこれを棄却すべきものと認め、 刑事訴訟法第四二六条第一項に則り主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官 原和雄 裁判官 中村義正 裁判官 安久津武人)
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