令和6(ネ)10040 職務発明対価請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和7年9月18日 知的財産高等裁判所 2部 判決 原判決変更 東京地方裁判所 平成30(ワ)13126
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判決文本文37,406 文字)

- 1 -令和7年9月18日判決言渡令和6年(ネ)第10040号職務発明対価請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成30年(ワ)第13126号)口頭弁論終結日令和7年4月24日判決 当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主文 1 原判決を次のとおり変更する。 2 被控訴人は、控訴人に対し、3378万9124円及びこれに対する平成29年12月15日から支払済みまで年5分の割合による 金員を支払え。 3 控訴人のその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は、1、2審を通じてこれを20分し、その1を被控訴人の、その余を控訴人の各負担とする。 5 この判決は、第2項に限り仮に執行することができる。 事実及び理由 本判決において用いる主な略語は、原判決において定義されたものも含め、次のとおりである。また、本判決において、証拠を摘示する場合、特に記載しない限り、枝番を含むものである。 原告控訴人X 被告被控訴人ソニーグループ株式会社本件特許原判決別紙1「特許目録」記載1日本特許の⑴~⑻、同記載2米国特許の⑴~⑽の各個別の特許をいい、それぞれ同目録記載の番号に従い「本件特許1-1」などとして特定する。 本件各特許原判決別紙1「特許目録」記載の各個別の特許の総称 本件各発明本件各特許に係る発明を総称したもの- 2 -本件発明本件特許に係る発明をいい、前記番号で特定された本件特許にその請求項の番号を付して「本件発明1-1-1」などという。 本件構成要件3 「D/A変換により生成されたアナログ信号に 本件発明本件特許に係る発明をいい、前記番号で特定された本件特許にその請求項の番号を付して「本件発明1-1-1」などという。 本件構成要件3 「D/A変換により生成されたアナログ信号に対して所定の変換処理を施す際の処理順序に関する特定事項」を構成要件と して規定したもの本件構成要件4 「記録制御情報の少なくとも一部を鍵情報」とすることを構成要件として規定したもの本件リスト規格団体又は被告が作成したDVDビデオ規格の規格必須特許リスト[プレイヤー、ディスク] 本件リスト(プレイヤー) 本件リストのうちプレイヤーのリスト本件リスト(ディスク) 本件リストのうちディスクのリスト本件リスト掲載特許本件各特許のうち、本件リストに掲載されている特許本件リスト掲載特許(プレイヤー) 原告の本件各特許のうち、本件リスト(プレイヤー)に掲載されている特許 本件リスト掲載特許(ディスク) 原告の本件各特許のうち、本件リスト(ディスク)に掲載されている特許One-Red 規格団体の一つで、被告、フィリップス、パイオニアにより「3C」として設立されたが、後にLGエレクトロニクスが加わり「One-Red」に改称した。 SIE 被告の子会社であるソニー・インタラクティブ・エンタテインメント(旧社名SCE〔ソニー・コンピュータ・エンタテインメント〕)PS プレイステーション。プレイステーション2を「PS2」と、プレイステーション3を「PS3」という。 A 共同発明者である A- 3 -被告製品各規格によって特定された製品旧特許法平成16年法律第79号による改正前の特許法第1 控訴の趣旨 1 原判決 共同発明者である A- 3 -被告製品各規格によって特定された製品旧特許法平成16年法律第79号による改正前の特許法第1 控訴の趣旨 1 原判決を次のとおり変更する。 2 被控訴人は、控訴人に対し、7000万円及びこれに対する平成29年12 月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 控訴人のその余の請求を棄却する。 4 仮執行宣言第2 事案の概要 1 事案の要旨 ⑴ 本件は、被告の従業員であった原告が、被告に対し、被告の保有する本件各特許(本件特許1-1~1-8、本件特許2-1~2-10)に係る職務発明について共同発明者の一人として特許を受ける権利を被告に承継させたことにつき、平成16年法律第79号附則2条1項の規定によりなお従前の例によるとされる場合における旧特許法35条3項及び4項の規定(これら の規定は、本件における外国の特許を受ける権利の承継に伴う対価請求についても類推適用されると解される。)に基づき相当の対価の一部請求として5億円及びこれに対する請求後の日である平成29年12月15日から支払済みまで平成29年法律第44号附則17条3項の規定によりなお従前の例によるとされる場合における同法による改正前の民法所定の年5分の割合に よる遅延損害金の支払を求める事案である。 ⑵ 原審は、概要、次のとおり判断して、原告の請求を棄却した。 ア本件特許の実施品であると認められる被告製品は、DVDビデオ規格により特定されるDVDビデオディスクのみであり、具体的には、本件特許1-5、1-7及び2-3の実施品であるから、当該実施に係る相当の対 価の額を算定する。 - 4 -イこれらのDVDビデオ規格により特定されるD ィスクのみであり、具体的には、本件特許1-5、1-7及び2-3の実施品であるから、当該実施に係る相当の対 価の額を算定する。 - 4 -イこれらのDVDビデオ規格により特定されるDVDビデオディスクは、自己実施されておらず、他社実施による独占の利益については、現実に実施された特許が含まれる①規格団体を通じたライセンスプログラムであるOne-Redに係るライセンス収入、②被告の単独ライセンスに係るライセンス収入、及び、③フィリップス社とのジョイントライセンスに係る ライセンス収入がその対象となると認められ、対象期間(平成12年1月1日から平成28年7月19日まで)について独占の利益を算定すると、①につき ●(省略)● 円、②につき ●(省略)● 円、③につき ●(省略)● 円の合計 ●(省略)● 円となる。 ウそして、被告の使用者としての貢献度は95%と認められ、共同発明者 間の原告の貢献度は50%と認められるから、原告が受けるべき相当の対価は ●(省略)● 円= ●(省略)● 円×(100-95)%×50%であるが、被告は原告に対し、発明に係る実施報奨金として合計(省略)円を既に支払っているので、原告の相当の対価の支払請求権は消滅したものと認められる。よって、原告の請求は理由がない。 ⑶ 原告は、原判決敗訴部分のうち、7000万円及び遅延損害金の支払請求を棄却した部分を不服として本件控訴を提起した。 そして、原告は、当審段階において主張を整理し、使用者等が受けるべき独占の利益につき、被告の自己実施による利益を除外し、本件特許が本件リストに掲載されたことに起因する利益に限定するとともに、利益の収受ルー トを、他社実施による独占の利益である①[B1]規格団体を通じたライセ 被告の自己実施による利益を除外し、本件特許が本件リストに掲載されたことに起因する利益に限定するとともに、利益の収受ルー トを、他社実施による独占の利益である①[B1]規格団体を通じたライセンスプログラムである3C、One-Redに係る分配金、②[B2a]被告の単独ライセンスに係るライセンス料、③[B2b1] ●(省略)● との包括クロスライセンスに係る対応利益(規格団体に対するライセンス料の支払回避に対応する利益をいう。以下同じ。)、④[B2b2]被告 の子会社であるSIEの包括クロスライセンスに係る対応利益に限定した- 5 -(以下、①[B1]~④[B2b2]について、単に[B1]~[B2b2]などと表記する。)。これに伴い、本件各特許のうち、本件リストに掲載されなかった本件特許1-7(原判決では被告製品の充足性が認められた。)は、独占の利益の算定対象から除外された。 2 前提事実 前提事実は、以下のとおり補正するほかは、原判決「事実及び理由」中の第2の2(原判決2頁13行目から28頁10行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 (原判決の補正)原判決27頁15行目の「⑸ 被告による製品の販売」を「⑸-1 被告に よる製品の販売」と改め、原判決28頁4行目末尾に改行の上、以下を加える。 「⑸-2 DVDビデオ規格の規格必須特許リスト[プレイヤー、ディスク]掲載の特許(本件リスト掲載特許)ア本件リスト掲載特許(プレイヤー)は、本件特許1-1、1-2、1-4、本件特許2-1、2-2、2-4、2-5、2-7(8件)である。 イ本件リスト掲載特許(ディスク)は、本件特許1-5、本件特許2-2、2-3(3件)である。 ウ被告の利益の収受ルートの 2-1、2-2、2-4、2-5、2-7(8件)である。 イ本件リスト掲載特許(ディスク)は、本件特許1-5、本件特許2-2、2-3(3件)である。 ウ被告の利益の収受ルートのうち、[B1]規格団体を通じたライセンスプログラムである3C、One-Red及び[B2a]被告の単独ライセンスにおける本件リスト掲載特許の詳細は、別紙「表2 本件各請求特許 (DVDビデオ規格の規格必須特許リスト[プレイヤー、ディスク]への掲載)」記載のとおりである。 これによると、本件リスト掲載特許(プレイヤー)及び本件リスト掲載特許(ディスク)の特許数は、それぞれ[B1]3Cにつき6件(本件特許1-1、1-2、1-4、本件特許2-1、2-2、2-4)・3件 (本件特許1-5、本件特許2-2、2-3)、[B1]One-Red- 6 -につき8件(本件特許1-1、1-2、1-4、本件特許2-1、2-2、2-4、2-5、2-7)・3件(本件特許1-5、本件特許2-2、2-3)、[B2a]被告の単独ライセンスにつき6件(本件特許1-1、1-2、1-4、本件特許2-1、2-2、2-4)・3件(本件特許1-5、本件特許2-2、2-3)である。 (なお、本件特許2-7は、原告が、当審段階において、本件リスト掲載特許として追加したものである。本件特許2-7が本件リストに掲載された特許であることは、証拠(乙95)及び弁論の全趣旨により明らかである。)⑸-3 他社実施に係る独占の利益の算定 本件リスト掲載特許について、他社実施に係る利益の収受ルートごとの独占の利益について、当事者の主張(原告の主張及び被告の予備的主張①~③)における独占の利益の額及び算定過程は、[B1]3C、One-Redに係る分配金 ついて、他社実施に係る利益の収受ルートごとの独占の利益について、当事者の主張(原告の主張及び被告の予備的主張①~③)における独占の利益の額及び算定過程は、[B1]3C、One-Redに係る分配金に関しては別表1の、[B2a]被告の単独ライセンスに係るライセンス料に関しては別表2の、[B2b1] ●(省略)● との 包括クロスライセンスに係る対応利益に関しては別表3の、[B2b2]被告の子会社であるSIEの包括クロスライセンスに係る対応利益に関しては別表4の、各記載のとおりである。なお、各別表における緑色部分は、争いのある項目である。また、本件各特許の貢献度が低いことを理由に独占の利益の算定に用いられる本件リスト掲載特許の件数には10分の1を乗じるべ きであるとの被告の主張は、各表の「被告予備③」の項の計算において反映させている。」 3 当審における主な争点原告は、当審において、原告が旧特許法35条3項に基づき受けるべき「相当の対価」の前提となる被告の独占の利益について、被告の自己実施による利 益を除外し、かつ、前記1⑶のとおり、本件リスト掲載特許につき被告が他社- 7 -から収受した利益に限定した。この結果、当審における主な争点は、次のとおりとなった。 ⑴ 本件リスト掲載特許に係る被告の独占の利益の算定に当たり、本件リストへの掲載に加え、現実の実施の有無に関する事後的な評価が必要か否か(争点1)。 ⑵ 具体的な独占の利益の算定方法(争点2)⑶ 本件各発明に対する被告の貢献度(争点3)⑷ 共同発明者間における原告の貢献度(争点4)⑸ 現実の実施が必要だと解した場合の実施の有無(争点5)第3 主な争点に関する当事者の主張 1 争点1(本件リスト掲載特許に係る被告の独占 同発明者間における原告の貢献度(争点4)⑸ 現実の実施が必要だと解した場合の実施の有無(争点5)第3 主な争点に関する当事者の主張 1 争点1(本件リスト掲載特許に係る被告の独占の利益の算定に当たり、本件リストへの掲載に加え、現実の実施の有無に関する事後的な評価が必要か否か)⑴ 原告の主張ア原告が請求の前提とする本件リスト掲載特許は、本件リスト掲載特許(プレイヤー)8件〔本件特許1-1、1-2、1-4、本件特許2-1、 2-2、2-4、2-5、2-7〕及び本件リスト掲載特許(ディスク)3件〔本件特許1-5、本件特許2-2、2-3〕(合計10件)である。 また、原告が請求の前提とする被告の利益収受ルートは、すべて本件リスト掲載特許の他社実施によるものであり、[B1]規格団体を通じたライセンスプログラムである3C、One-Redに係る分配金、[B2a] 被告の単独ライセンスに係るライセンス料、[B2b1] ●(省略)● との包括クロスライセンスに係る対応利益、[B2b2]被告の子会社であるSIEの包括クロスライセンスに係る対応利益である(なお、このうち、[B2b1]及び[B2b2]に係る各対応利益については、原告は、対象となる規格及び特許をDVDプレイヤーのみに限定したので、 DVDディスクは含まれない。)。 - 8 -イ上記分配金・単独ライセンス料・対応利益のうち、本件リスト掲載特許に均等に割り付けられた金員が原告の対価請求の前提となる被告の独占の利益を構成するのであり、独占の利益該当性は、本件リスト掲載特許が、本件リストに掲載されていれば足り、現実の実施の有無に関する事後的な評価(以下「事後的な必須性(充足性)の評価」などともいう。)は必要 ない。 ウすなわち、本件リ は、本件リスト掲載特許が、本件リストに掲載されていれば足り、現実の実施の有無に関する事後的な評価(以下「事後的な必須性(充足性)の評価」などともいう。)は必要 ない。 ウすなわち、本件リスト掲載特許を含むライセンス対象特許は、DVDビデオ規格準拠品(プレイヤー、ディスク)の製造販売に必須と外部法律事務所が評価し、本件リストに掲載されることにより具体的に特定される(甲75、163、乙148)。ライセンシーも、本件リストにより、本 件リスト掲載特許の存在を認識し、DVDビデオ規格の準拠品の製造販売には本件リストに掲載された規格必須特許を対象とするライセンスを受ける必要があると認識し、被告に対して規格必須特許に基づく禁止権の不行使の対価であるライセンス料を支払う。 エ以上のとおり、本件リスト掲載特許は、複数の他の規格必須特許ととも にライセンスされ、これを含む各規格必須特許は、本件リストへの掲載を通じてライセンシーに具体的に認識され、ライセンスが必須であるという認識の下、被告にライセンス料が支払われてきたものであるから、本件リスト掲載特許について、現実の実施を事後的に評価し、実施していない特許については独占の利益が認められないと取り扱う理由はない。 オ [B1]DVDビデオ規格団体は、作成したDVDビデオ規格の規格必須特許リスト(本件リスト)を対外的に公表しており、これにより、ライセンシーが支払う金員がライセンス料であるという対価関係が明確にされている。本件リストに掲載された特許は、技術水準に精通した外部弁護士(外部法律事務所)により必須と認定された特許であり、DVDビデオ規 格の規格準拠品との抵触性が客観的に認定される。この観点から「提示特- 9 -許」(実施の可能性が高いと推測する特許、技術 外部法律事務所)により必須と認定された特許であり、DVDビデオ規 格の規格準拠品との抵触性が客観的に認定される。この観点から「提示特- 9 -許」(実施の可能性が高いと推測する特許、技術的意義が高いと認識する基本特許として相手方に提示したもの)や、「代表特許」(具体的に協議し、提示特許のうち有効性、技術的価値及び相手方の製品との抵触性等が確認された特定の特許)と同等であるといえる。 また、被告は、自ら本件リスト掲載特許等を選定し、本件リストに掲載 させ、ライセンス料の分配を受けたのであるから、本件訴訟で、本件リスト掲載特許の充足性を否定する主張を行うことは、上記一連の行動と矛盾するものであり、禁反言である。 本件リストに掲載された被告保有の特許は、いずれもDVDビデオ規格の準拠品に必須であることに変わりはなく、これら各特許の技術的価値を 相対的に評価することは困難であるから、特段の事情のない限り、本件リストに掲載された被告保有に係る各特許の技術的価値を同一とすることは合理的である。 したがって、[B1]分配金のうち、本件リストに掲載された被告保有に係る特許件数をもとに、本件リスト掲載特許に均等に割り付けた金員は、 本件リスト掲載特許に基づく独占の利益である。 カ [B2a]被告の単独ライセンス料は、被告が自ら必須と判断して本件リストに掲載した特許を対象とするライセンス契約を締結し、ライセンシーから直接支払われるものである。よって、被告が収受した金員のうち本件リスト掲載特許に均等に割り付けた金員は、本件リスト掲載特許に基づ く独占の利益に該当し、その該当性に関して、事後的な必須性(充足性)の評価は必要ない。 キ [B2b1][B2b2]対応利益は、被告が、包括クロスライセンスの相手方から収受した 特許に基づ く独占の利益に該当し、その該当性に関して、事後的な必須性(充足性)の評価は必要ない。 キ [B2b1][B2b2]対応利益は、被告が、包括クロスライセンスの相手方から収受した利益であるところ、前記のとおり、DVDビデオ規格の規格必須特許リスト(本件リスト)に掲載された特許は、包括クロスラ イセンスにおける「提示特許」や「代表特許」と同等である。よって、被- 10 -告が収受した対応利益のうち、本件リスト掲載特許に均等に割り付けた金員は、本件リスト掲載特許に基づく独占の利益に該当する。 そして、この対応利益の計算方法については、本件リスト掲載特許が、DVDビデオ規格の規格必須特許リスト(本件リスト)に掲載された特許であり、ライセンス条件はFRAND(公平、合理的、被差別的条件)で あることが義務付けられるから、[B1][B2a]と同等のものを採用すべきであり(仮想積上げ方式)、これにより算定される金額を本件リスト掲載特許に均等に割り付けたものは、本件リスト掲載特許に基づく独占の利益に該当し、事後的な必須性(充足性)の評価は必要ない。 ⑵ 被告の主張(なお、被告の予備的主張のうち、予備的主張②及び③は、争 点1について原告と同じ前提に立った場合の主張であるが、便宜、ここに概略を掲げた。)(主位的主張)ア独占の利益の算定対象となる特許は、DVD規格の特許権に関するライセンスを行う規格団体(3C、One-Red)又は被告が作成したライ センスリストに掲載された特許(本件リスト掲載特許)であり、かつ、実際に実施された特許(必須性〔充足性〕)のみとすべきである。そして、原告の主張する本件リスト掲載特許は、いずれも必須性(充足性)を満たさないから、相当の対価の支払義務はない。 )であり、かつ、実際に実施された特許(必須性〔充足性〕)のみとすべきである。そして、原告の主張する本件リスト掲載特許は、いずれも必須性(充足性)を満たさないから、相当の対価の支払義務はない。 イすなわち、多数の特許を対象とする包括ライセンス契約の場合、ライセ ンスリストに掲載されている特許であっても、実際に実施されない特許は、ライセンス料に対する実質的な貢献はない。ライセンスリストに掲載される特許は、規格準拠製品において実際に実施される前提で掲載されて実施許諾の対象とされ、ライセンス料が支払われるのであるから、同リストに掲載されている特許であっても、規格準拠製品において実際に実施されず、 また、実際に実施されなくなるに至った場合には、ライセンス料に対する- 11 -実質的な貢献はなく、独占の利益の算定対象から除外されるべきである。 また、ライセンスリストに掲載された特許のライセンスであっても、ライセンシーが支払うライセンス料の金額や、3CやOne-Redからの分配金額は、ライセンスリストに掲載されている特許の数で決まるものではなく(乙175)、リストに掲載された個々の特許とロイヤルティに明確 な対応関係はないから、リストに掲載されただけでライセンス料に対する貢献があるわけではない。さらに、ある特許が独占の利益に貢献したかどうかは、客観的に、当該特許が実施され、ライセンスが必須といえるかどうかの問題である。個々の特許を具体的に認識してライセンスを受け、ライセンス料を支払うという実態にはない。 本件リスト掲載特許は、「提示特許」とも、「代表特許」とも同等ではない。 さらに、ライセンスリストに登録された特許についての外部弁護士による鑑定は、登録された特許のクレームがDVDビデオ規格書に開示されている内容 は、「提示特許」とも、「代表特許」とも同等ではない。 さらに、ライセンスリストに登録された特許についての外部弁護士による鑑定は、登録された特許のクレームがDVDビデオ規格書に開示されている内容を包含しているかという観点でクレームと規格書の記載を対比し、 その結果から規格必須特許か否かを判定するにすぎず、規格準拠製品が必ず当該特許のクレームに抵触することまで認定するものではない。 被告は、ライセンシーとの間の包括ライセンス契約につき、本件リスト掲載特許が事実として実施されなかったことを主張するにすぎず、禁反言に当たらない。 ウ本件では、原告が本件リスト掲載特許とする10件の特許は、被告製品であるDVDプレイヤー又はDVDビデオディスクとの関係でいずれも必須性(充足性)を満たさないから、独占の利益は生じない。 (予備的主張)ア予備的主張① 独占の利益の算定対象となる特許は、本件リスト掲載特許のうち実際に- 12 -実施された特許(必須性・充足性)のみとすべきであるとする主位的主張の立場を前提とした場合において、仮に原判決が認定するとおり、DVDビデオ規格に準拠したDVDビデオディスク製品に関して、本件特許1-5、2-3の充足性が認められるときは、これら2件の特許に基づく独占の利益は、[B1]3C及びOne-Redを通じたライセンスプログラ ムに係る分配金及び[B2a]被告の単独ライセンスによるライセンス料について、対象総特許数をもとに本件リスト掲載特許2件に均等に割り付けた金員となる。実施製品がプレイヤーに限定される[B2b1]●●●(省略)●●●●との包括クロスライセンス及び[B2b2]SIEとの包括クロスライセンスによる対応利益は含まれない。 イ予備的主張②仮に、 品がプレイヤーに限定される[B2b1]●●●(省略)●●●●との包括クロスライセンス及び[B2b2]SIEとの包括クロスライセンスによる対応利益は含まれない。 イ予備的主張②仮に、独占の利益算定の対象となる特許について、本件リスト掲載特許であれば足り、実際に実施されたかどうかは問わない原告の立場を前提とする場合には、[B1]3C及びOne-Redを通じたライセンスプログラムに係る分配金及び[B2a]被告の単独ライセンスによるライセン ス料のほか、[B2b1][B2b2]の包括クロスライセンスに係る対応利益については、仮想積上げ方式を採用せずに独占の利益を算定すべきである(この場合、[B2b1]では、極めて多数の特許をライセンスしており、個々の特許の貢献度はゼロに等しいことから、独占の利益はなく、[B2b2]ではSIEから実際に支払われたライセンス料に基づき算定 する。)。 ウ予備的主張③予備的主張②と同様、原告の立場を前提とした場合において、[B1]3C及びOne-Redを通じたライセンスプログラムに係る分配金及び[B2a]被告の単独ライセンスによるライセンス料のほか、[B2b1] [B2b2]の包括クロスライセンスに係る対応利益については、仮想積- 13 -上げ方式を採用して独占の利益を算定する。この場合において、対象総特許数をもとに本件リスト掲載特許に均等に割り付けた金員を算定するときは、本件リスト掲載特許の貢献度が低いことを考慮し、その件数に10分の1を乗じた数を分子とするのが相当である。 2 争点2(具体的な独占の利益の算定方法) ⑴ 原告の主張ア原告の主張する独占の利益は、[B1]3C、One-Redに係る分配金に関しては別表1の、[B2a]被告の単独 である。 2 争点2(具体的な独占の利益の算定方法) ⑴ 原告の主張ア原告の主張する独占の利益は、[B1]3C、One-Redに係る分配金に関しては別表1の、[B2a]被告の単独ライセンスに係る単独ライセンス料に関しては別表2の、[B2b1] ●(省略)● との包括クロスライセンスに係る対応利益に関しては別表3の、[B2b2] 被告の子会社であるSIEの包括クロスライセンスに係る対応利益に関しては別表4の、各「原告主張」の項記載のとおりである。 このうち[B1]3C、One-Redに係る分配金は、DVDビデオ規格団体が作成した本件リストに掲載された特許を対象とするライセンスを被告が団体に付与し、団体のライセンシーの支払うライセンス料から被 告に配分された金員のうち、本件リスト掲載特許に均等に割り付ける方法により算定する。 また、上記のうち[B2a]単独ライセンス料は、被告が作成した本件リストに掲載された特許を対象とするライセンス契約を被告がライセンシーとの間で締結し、ライセンシーからライセンス料として被告が直接収受 した金員のうち、本件リスト掲載特許に均等に割り付ける方法により算定する。 さらに、[B2b1][B2b2]対応利益は、包括クロスライセンスの相手方から被告が収受した利益のうち、本件リスト掲載特許に均等に割り付ける方法により算定する。 イ [B1]~[B2b2]規格必須特許の件数(対象総特許件数)につき- 14 -0.9を乗じる補正は、件数が対象期間において一定ではなく、特許登録前のものも掲載されていることによる。被告は、件数の増加を示す証拠を提出していない。 ウ [B1]3C分配金に関し、DVDプレイヤーにつき対象総特許件数にCDプレイヤー分の関連特許●●●件を 登録前のものも掲載されていることによる。被告は、件数の増加を示す証拠を提出していない。 ウ [B1]3C分配金に関し、DVDプレイヤーにつき対象総特許件数にCDプレイヤー分の関連特許●●●件を加算するとの被告の主張を考慮し、 また、3Cに支払われるライセンス料●(省略)●のうち、DVDビデオ規格分が(省略)、CD関係分が●(省略)●であることから、DVDビデオプレイヤーの分配金に、DVDビデオ規格の規格必須特許(プレイヤー)分の割合 ● (省略) ● を乗ずることにする。 エ [B2b2]子会社SIEの包括クロスライセンスに係る対応利益に関 し、被告とSIEの包括クロスライセンス契約は、相互に自社特許をライセンス許諾するだけでなく、SIEが所定の対価を支払い、また他の子会社に対してもライセンスを許諾することで均衡を図ることができたのであるから、被告がSIEから受けた現実の支払分(バランス調整金)のみを独占の利益とし、ライセンス(権利不行使)に関する利益を除外すること は相当でない。 オ [B2b1][B2b2]の包括クロスライセンスに係る対応利益は、仮想積上げ方式により、以下のように算定される。分子となるのは、被告との包括クロスライセンス契約が存在しなければ、SIE又は包括クロスライセンス相手方である ●(省略)● において、DVDビデオ 規格の規格必須特許(プレイヤー)の日米における実施の対価として3Cに支払うことが必要であったライセンス料であり、●●(省略) ●●(ただし、[B2b1]DVD記録装置は●●●)×配分割合●●●×DVDビデオプレイヤーの日米販売台数(SIEのPSにつき×0.89補正、 ●(省略)● のDVD再生・記録装置につき市場シェア率 補正)である。 - は●●●)×配分割合●●●×DVDビデオプレイヤーの日米販売台数(SIEのPSにつき×0.89補正、 ●(省略)● のDVD再生・記録装置につき市場シェア率 補正)である。 - 15 -これに本件リスト掲載特許(プレイヤー)の特許数6件を分子とし、DVDビデオ規格の規格必須特許リスト(プレイヤー)(本件リスト〔プレイヤー〕)に掲載された被告保有の特許(対象総特許数・日米合計25件)×補正0.9]を分母とする割合を乗ずる。親子会社関係にあるSIEについては×0.8の減額調整を行う。 被告の主張する分母の対象総特許数●(省略)●件は、DVDビデオ規格(プレイヤー)の規格必須特許の実施の対価とは無関係の特許を含めるものであり、本件リスト掲載特許のライセンス条件がFRANDであることを無視するものであって、採用することができない。 カ包括クロスライセンスにおけるライセンス対象特許が多数存在すること が、個々の特許の貢献度をゼロとする結論を導く関係にはない。 本件リスト掲載特許は、規格必須特許であり、DVDビデオ規格の準拠品(プレイヤー、ディスク)の製造販売業者は、被告に直接的に、又は3Cへの支払によって間接的に、規格必須特許の実施の対価を支払う必要があることを認識している。そして、製造販売業者は、包括クロスライセン ス契約により、本件リスト掲載特許を含む規格必須特許の実施の対価(ライセンス料)の支払を回避することができていることを認識するから、本件リスト掲載特許を含む規格必須特許が、被告との包括クロスライセンス契約の維持・継続に重要な貢献を果たしていたことは明らかであり、貢献がゼロということはできない。 キなお、充足性を求められるとしても、後記5⑴ア及び⑵アの各原告の主張のとおり、本件特許 契約の維持・継続に重要な貢献を果たしていたことは明らかであり、貢献がゼロということはできない。 キなお、充足性を求められるとしても、後記5⑴ア及び⑵アの各原告の主張のとおり、本件特許1-1、1-2、1-4、2-1、2-2、2-4、2-5における構成要件3の、本件特許2-2、2-4における構成要件4の各充足性は認められる。 ク [B2b2]の被告のPSに係る独占の利益につき、本件リスト掲載特許 による構成要件3の非実施の観点から件数に1/10補正をするとの被告- 16 -の主張は、時機に後れた攻撃防御方法である。これに当たらないとしても、本件リスト掲載特許の寄与度に関して、実施の有無を問題とする理由はない。また、この点を措いても、被告の主張するデジタルビデオエンコーダのデータシートに基づく本件構成要件3の非充足の主張(乙32、183、185)は誤りである。さらに、本件リスト(プレイヤー)の規格必須特 許のうち、本件リスト掲載特許(プレイヤー)以外の特許についてPS2、PS3で実際に実施しているかは明らかでないから、本件リスト掲載特許に限り非実施であるとして寄与度を減じる補正をするのは主張自体失当である。そして、本件構成要件3とは無関係の本件発明2-2-27、本件2-4-7、2-4-10の充足により本件特許の実施が肯定されるなど、 本件構成要件3の非充足から直ちに本件特許2-2、2-4に関するDVDビデオプレイヤー非実施が導かれるものでもない。 ケそうすると、独占の利益は以下のとおりとなる(別表1~4参照)。 (ア) [B1] ●(省略)●円(イ) [B2a] ●(省略)●円 (ウ) [B2b1] ●(省略)●円(エ) [B2b2] (ア) [B1] ●(省略)●円(イ) [B2a] ●(省略)●円 (ウ) [B2b1] ●(省略)●円(エ) [B2b2] ●(省略)●円(オ) 合計 ●(省略)●円⑵ 被告の主張ア被告の主位的主張によれば、独占の利益はない。被告の予備的主張①~ ③によれば、独占の利益は、[B1]3C、One-Redに係る分配金に関しては別表1の、[B2a]被告の単独ライセンスに係る単独ライセンス料に関しては別表2の、[B2b1] ●(省略)● との包括クロスライセンスに係る対応利益に関しては別表3の、[B2b2]被告の子会社であるSIEの包括クロスライセンスに係る対応利益に関して は別表4の、各「被告予備①」、「被告予備②」又は「被告予備③」の各- 17 -項記載のとおりである。 イ [B1]~[B2b2]規格必須特許の件数(対象総特許件数)につき原告が主張するような0.9を乗じる補正は、特段合理的な根拠が存在するわけではなく、逆に、ライセンス対象特許数が、当初より増加した可能性も否定することができないから、上記補正は相当でない。 ウ [B1]3C分配金に関し、DVDプレイヤーにつき、対象総特許件数は、原告の主張する171件ではなく、CDプレイヤー分の関連特許●●●件(乙89、87)を含む275件とすべきである(予備的主張②、③)。別表1の原告主張欄のように、CD分を考慮して(省略)の係数を乗ずる方法は、ライセンス料単価 ●(省略)● の金額のうち、 CD関連部分が●(省略)●であるかは明らかではないから相当でない。 エ [B2b1]のSIE以外の●●社との間で締結していた包括クロスライセンス契約に 価 ●(省略)● の金額のうち、 CD関連部分が●(省略)●であるかは明らかではないから相当でない。 エ [B2b1]のSIE以外の●●社との間で締結していた包括クロスライセンス契約については独占の利益は認められない。同契約は、被告が有するすべての特許(2008年時点で●(省略)●件)を包括的にライセンスするものであり、個々の特許の貢献度はゼロに等しい。本件リスト掲載 特許の貢献度もゼロと考えるべきである(被告の予備的主張②)。[B2b2]SIEの包括クロスライセンスに係る対応利益については、仮想積上げ方式ではなく、被告が現実に得たライセンス収入( ●(省略)●●●●●円)を基準として算定すべきである。職務発明の特許を受ける権利の承継に係る相当対価は、理論的には承継時点に定まるが、結局実績 により算定せざるを得ず、ライセンス料等の収入が存在する場合には、同収入に基づき、ライセンス対象特許のうちSIEのPS事業にとって有用なものと考えられる特許の件数●(省略)●件を分母とし、本件リスト掲載特許(プレイヤー)の件数8件を分子とする数を乗ずることにより、対価請求の前提となる本件リスト掲載特許(プレイヤー)により被告の得た 独占の利益を計算すると ●(省略)● 円となる(被告の予備的主張- 18 -②)。 オ [B2b1][B2b2]において仮想積上げ方式による場合(被告の予備的主張③)、分母の対象総特許数をDVDビデオ規格の規格必須特許(プレイヤー)のうちの日米分の件数25件とすべき合理的理由はない。 包括ライセンス契約の対象は、被告が当時有していたすべての特許●(省 略)●件であるから、本来であればこれを分母とすることも考えられるが、審理促進の観点から、その6割である●(省略)●件を対象総特許数 イセンス契約の対象は、被告が当時有していたすべての特許●(省 略)●件であるから、本来であればこれを分母とすることも考えられるが、審理促進の観点から、その6割である●(省略)●件を対象総特許数とすべきである。 カ [B2b1][B2b2]において仮想積上げ方式による場合(被告の予備的主張③)、包括クロスライセンス契約の対象リスト掲載特許のうち、 主要な貢献のあった代表特許・提示特許以外の特許については、寄与度は極めて小さいから、原告特許数については、本件リスト掲載特許(プレイヤー)及び本件リスト掲載特許(ディスク)の特許数につき1/10を乗ずべきである。また、本件リスト掲載特許の貢献度は小さいから、包括クロスライセンス契約以外である[B1][B2a]についても、原告特許 数の計算は同様とすべきである。 キそうすると、独占の利益は、以下のとおりとなる(別表1~4参照)。 (被告の主位的主張) 0円(被告の予備的主張①)(ア) [B1] ●(省略)●円 (イ) [B2a] ●(省略)●円(ウ) 合計 ●(省略)●円(被告の予備的主張②)(ア) [B1] ●(省略)●円(イ) [B2a] ●(省略)●円 (ウ) [B2b2] ●(省略)●円- 19 -(エ) 合計 ●(省略)●円(被告の予備的主張③)(ア) [B1] ●(省略)●円(イ) [B2a] ●(省略)●円(ウ) [B2b1] ●(省略)●円 (エ) [B2b2] ● ) [B1] ●(省略)●円(イ) [B2a] ●(省略)●円(ウ) [B2b1] ●(省略)●円 (エ) [B2b2] ●(省略)●円(オ) 合計 ●(省略)●円 3 争点3(本件各発明に対する被告の貢献度)⑴ 原告の主張被告の貢献度は95%が相当である。これを上回る被告の貢献度を認定す べき事情はない。 ⑵ 被告の主張本件リスト掲載特許の権利化においては、被告の知的財産部員等が多大な貢献をしており、原告は特許出願についての発明報告書の記載等ごく初期段階に関わったのみであり、審査過程では知的財産部員等が対応した(乙13 6~148)。また、本件リスト掲載特許の活用は、DVDビデオ規格を包含するように権利化するとともに、被告が多様なチャネル(単独ライセンス、3C、One-Red、SIE等)でライセンスの可能性を模索し、かつ、オープンライセンスポリシーを採用して本件特許が関わるDVD規格のライセンスが活発になるよう努めたことによる。よって、被告の貢献度は99% と評価すべきである。 本件の標準規格関連特許であることの特殊性を考慮すると、発明そのものによる技術的価値と、これが規格に組み入れられることによる価値は区別すべきであり、職務発明の相当対価請求は前者のみとみるべきである。 4 争点4(共同発明者間における原告の貢献度) ⑴ 原告の主張- 20 -ア本件では、共同発明者間の貢献度を非均等とすべき特段の事情が認められる。すなわち、原告の陳述書(甲155)、発明報告書(乙136、137)によれば、発明に係る背景技術、課題、課題解決手段、各種実施形態、図面及びクレームは、いずれも原告が作成 き特段の事情が認められる。すなわち、原告の陳述書(甲155)、発明報告書(乙136、137)によれば、発明に係る背景技術、課題、課題解決手段、各種実施形態、図面及びクレームは、いずれも原告が作成した。出願担当特許事務所の出願打合せは、原告が主として説明し、共同発明者 A は、対応可能な 業務を知的財産部担当者としてサポートしたにすぎない。共同発明者 Aの貢献は、「コピープロテクションとしてマクロビジョン導入…の問題が出てくると思うので、何とか考えてもらえないだろうか」と原告に依頼し、原告に対して発明完成の契機を与えたことに尽きるのであり、その後のAの関与は単なる知的財産部員等としての対応にとどまる。よって、原告 の貢献度は75%を下回らない。 イ以上によれば、相当の対価額は、 ●(省略)● ×0.05×75%= ●(省略)● 円であり、既払いの(省略)円を控除し、残額 ●(省略)● 円の一部請求として7000万円を請求するものである(別表5の「原告主張」の項の「相当対価の額」欄参 照)。 ⑵ 被告の主張ア本件のDVDビデオ規格関連特許に係る各発明は、主として、共同発明者 A が着想し、発明の完成に貢献した。原告は、本件各特許の出願の頃には光ディスク研究開発の部署には所属しておらず、本件各特許に係る発 明の課題認識もなければ発明を自発的に着想し、特許出願しようとする動機はなかった。原告が発明報告書を記載した形跡はあるが、背景技術の説明、図面の作成、クレーム内容についての特許事務所との協議、審査官面談等は A が担当した(乙136~148)。発明から出願までの経緯( A が次世代光ディスク規格の検討を進める中で、ダビング防止、著作 権保護技術を光ディスクでも出願する必要 協議、審査官面談等は A が担当した(乙136~148)。発明から出願までの経緯( A が次世代光ディスク規格の検討を進める中で、ダビング防止、著作 権保護技術を光ディスクでも出願する必要があると考えたものであり、課- 21 -題の発見と課題解決のための構成の大筋は A の寄与による。)や、出願後登録までの経緯(権利化に主体的に取り組んでいたのは A であり、一連の分割出願等も行った。)においても、共同発明者の A が発明者として大きく関与する割合が大きかった(乙172)。 イよって、原告の貢献度は30%とみるべきである。 以上によれば、相当の対価額は、別表5の「被告予備①」、「被告予備②」及び「被告予備③」の各項の「相当対価の額」欄記載のとおりである。 5 争点5(現実の実施が必要だと解した場合の実施の有無)⑴ (D/A変換と所定の変換処理の順序)[構成要件3充足性]についてア原告の主張 (ア) DVDビデオプレイヤーから出力されるアナログ信号のコピー・ダビング対策(APS)技術は、コピーが行われたビデオテープなどを再生しても視聴に耐えられないものとすることによってコンテンツ保護を図る技術である。 (イ) そして、本件発明1-1-1との関係において、DVDビデオプレ イヤーは、録画制御コード(構成要件A1)及び③タイトル鍵(構成要件A1)が記録されているDVDビデオディスクを再生し、これらの情報を検出し(構成要件A2)、③タイトル鍵でAVデータをディ・スクランブルする(構成要件A3)。DVDプレイヤーは、このデジタルデータをD/A変換し(構成要件A4)、アナログ映像信号に 対して録画制御信号を付加したアナログ映像信号を出力し(構成要件A5、6)、自動利得制御手段 A3)。DVDプレイヤーは、このデジタルデータをD/A変換し(構成要件A4)、アナログ映像信号に 対して録画制御信号を付加したアナログ映像信号を出力し(構成要件A5、6)、自動利得制御手段(構成要件A5)に誤認させ、視聴に耐えられない映像としてダビングさせる。よって、DVDビデオプレイヤーは、本件発明1-1-1の技術的範囲に属する。 (ウ) 本件構成要件3に対応する本件発明1-1-1の構成要件は構成要 件A6であるところ、被告製DVDビデオプレイヤーの構成を前提と- 22 -すると、D/A変換されたアナログ映像信号に対し、その垂直帰線期間の所定領域に録画制御信号(アナログ)が付加されていることは明らかであるから、本件発明1-1-1の構成要件A6を充足する。 また、本件構成要件3に対応する、本件発明1-2-1の構成要件D6、本件発明1-4-1の構成要件E3、本件発明2-1-33の 構成要件c5、本件発明2-2-1の構成要件d3、本件発明2-4-37の構成要件s3、本件発明2-5-1の構成要件y3についても、同様に充足する。 そして、本件構成要件3に対応する本件発明2-7-81の構成要件ee7についても、同様である(当審における追加主張)。 イ被告の主張争う。 ⑵ (記録制御情報の少なくとも一部を鍵情報とすること)[構成要件4充足性]についてア原告の主張 (ア) コンテンツ暗号化(CSS)技術は、DVDビデオディスクに記録されているAVデータを、①マスタ鍵、②ディスク鍵、③タイトル鍵の3つの鍵により、暗号化・復号化し、復号化されたAVデータが、デジタルデータ・アナログデータのいずれでも、コピー不可とする処理を行うものである。 (イ) そして、本件発明2-2-27と の3つの鍵により、暗号化・復号化し、復号化されたAVデータが、デジタルデータ・アナログデータのいずれでも、コピー不可とする処理を行うものである。 (イ) そして、本件発明2-2-27との関係において、DVDビデオプレイヤーは、信号記録媒体から暗号化された信号を再生する信号再生装置(構成要件f1)であり、DVDビデオディスクには●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●● ●(省略)●●●●●●●●●●●●●●●●- 23 -●●●●●●●●●● ●(省略)●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●、DVDビデオプレイヤーは、当該データ領域を読み出す手段を有している(構成要件f2)。そして、DVDビデオプレイヤーは、③タイトル鍵を使用してAVデータを復号する手段(構成要件f3)を有する。よって、DVDビデオプレイヤーは、本件発明2-2- 27の技術的範囲に属する。 (ウ) そして、証拠(甲164)を踏まえると、データ記憶領域にタイトル鍵が、リードイン領域にディスク鍵が、それぞれ記録されていることが認められるから、本件発明2-2-27、本件発明2-2-45、本件発明2-4-7、本件発明2-4-10は、いずれも本件構成要 件4を充足する。 イ被告の主張争う。 ⑶ その他本件各発明の実施の有無について上記⑴⑵以外の本件各発明の実施に関する主張は、原判決の「事実及び理 由」の第3の1(原判決29頁18行目から94頁5行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 第4 当裁判所の判断 1 当裁判所は、原告の請求は、3378万9124円及びこれに対する遅延 由」の第3の1(原判決29頁18行目から94頁5行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 第4 当裁判所の判断 1 当裁判所は、原告の請求は、3378万9124円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があるものと判断する。 その理由は次のとおりである。 2 判断基準旧特許法35条3項の規定に基づく相当の対価の支払を求める請求をする場合に考慮要素となる同条4項の「発明により使用者等が受けるべき利益」は、使用者等が職務発明についての特許を受ける権利を承継した時に客観的に見込 まれる利益をいうものと解される。使用者等は、特許を受ける権利を承継せず- 24 -に、従業者等が特許を受けた場合であっても、その特許権について同条1項に基づく無償の通常実施権を有することに照らすと、「発明により使用者等が受けるべき利益」には、このような法定通常実施権を行使し得ることにより受けられる利益は含まれず、使用者等が従業者等から特許を受ける権利を承継し、当該発明の実施を排他的に独占し得る地位を取得することによって受けること が客観的に見込まれる利益、すなわち「独占の利益」をいうものと解される。 また、特許を受ける権利の承継の時点では、将来特許を受けることができるかどうか自体が不確実であり、その発明により将来いかなる利益を得ることができるのかを具体的に予測することは困難であることなどに照らすと、発明の実施又は実施許諾による使用者等の利益の有無やその額など、特許を受ける権 利の承継後の事情についても、その承継の時点において客観的に見込まれる利益の額を認定する資料とすることができるものと解される。 そして、使用者等が職務発明についての特許を受ける権利の承継後に第三者との間のライセンス契約に の承継の時点において客観的に見込まれる利益の額を認定する資料とすることができるものと解される。 そして、使用者等が職務発明についての特許を受ける権利の承継後に第三者との間のライセンス契約に基づいて当該発明の実施を許諾している場合には、そのライセンス料収入は、当該発明の実施を排他的に独占し得る地位を取得す ることによって受けることが客観的に見込まれる利益というべきであるから、「独占の利益」に該当するものと解される(知財高裁令和4年(ネ)第10062号、同第10064号、同5年1月23日判決参照)。 本件において、被告は、本件リスト掲載特許について自己実施していないので、他社実施である第三者との間のライセンス契約等に基づいて発明の実施を 許諾している場合における独占の利益のみが問題となる。 3 本件リスト掲載特許に係る被告の独占の利益の算定に当たり、本件リストへの掲載に加え、現実の実施の有無に関する事後的な評価が必要か否か(争点1)について⑴ 原告は、当審において、本件リスト掲載特許が規格必須特許とされたこと に基づき被告がライセンス契約により得た利益が独占の利益であるから、- 25 -[B1]~[B2b2]による分配金・単独ライセンス料・対応利益のうち、本件リスト掲載特許に均等に割り付けた金員が本件リスト掲載特許により被告が得た独占の利益として認められるべきであり、それ以上に事後的な必須性(充足性)の評価は要しないなどと主張する。 ⑵ 証拠上、本件リスト掲載特許のうち、被告製品に現実に実施されていたと 認められるのは、後記5のとおり、いずれも本件リスト掲載特許(ディスク)である本件特許1-5、本件特許2-3のみである。 しかしながら、DVDビデオ規格の規格必須特許は、技術の標準化による規 認められるのは、後記5のとおり、いずれも本件リスト掲載特許(ディスク)である本件特許1-5、本件特許2-3のみである。 しかしながら、DVDビデオ規格の規格必須特許は、技術の標準化による規格の統一普及を目的として、1990年代後半、フィリップス社及び被告等が、DVD関連規格を策定し、当該DVD関連規格に係る特許権等をリス ト化して公開したものである。フィリップス社等は、オープンライセンスポリシーに基づき、ライセンスを希望した者には、ライセンスポリシーの遵守に同意する限り全世界における実施権を合理的な条件で許諾するプログラム(ジョイント・ライセンス・プログラム)(3C、One-Red)を実施していたのであり、規格必須特許は、このような規格の統一普及とライセン ス料収入の取得というビジネス戦略の構成要素の一つである。本件リスト掲載特許は、DVDビデオに関する標準規格に準拠した製品を製造等するに当たって必須となる特許として評価され、他の規格必須特許とともに本件リストに掲載され、まとめて許諾の対象とされた。 本件リストへの掲載に当たっては、技術標準に必須でない特許と抱き合わ せで許諾することを回避し、許諾対象特許を標準必須特許に限定する原則から、DVD関連特許では、予め技術標準に精通した外国弁護士による専門家鑑定がされており、同鑑定では、標準規格の策定以前に特許出願がされているかという点の外、必須特許の充足性について、特許の請求項と規格書の関係を検討し、規格の仕様が特許の請求項の文言を充足するかが判断された (規格を採用した実際の製品との関係において実施必須の特許であるかをみ- 26 -るわけではない。甲163、乙156)。同鑑定を経て、必須特許に該当すると判断されると、規格必須特許リストに掲載され、これ 採用した実際の製品との関係において実施必須の特許であるかをみ- 26 -るわけではない。甲163、乙156)。同鑑定を経て、必須特許に該当すると判断されると、規格必須特許リストに掲載され、これにより許諾及び対価支払の対象となる特許が特定された。 そして、DVD製品を製造販売又は使用するため必要な特許は、公平、合理的、非差別的な条件で第三者に許諾されたが、ライセンス料や被告に配分 される分配金は、許諾対象特許の件数により決定されるものではなく、特許の技術的意義等の個性にもよらないものとされていた(乙156、175)。 ⑶ 以上によれば、本件リスト掲載特許は、いずれも専門家鑑定において一定の技術的観点から規格に準拠した製品の製造等に必須の特許か否かが検討された結果、本件リストに掲載され、本件リストに掲載された他の特許ととも に、一体として許諾及びライセンス料(権利不行使の対価としての性質を含む。)の支払いの対象とされたものである。すなわち、本件リスト掲載特許は、それが本件リストに掲載された時点で、DVDビデオ規格の仕様を実現するために必要な特許として一定の技術的価値を有するものと評価されていたのであり、その後、ライセンスの相手方においても異議を述べることなく、 これを肯定した結果、現にライセンス料の支払対象となり、収益を上げていたのであるから、結果的に本件リスト掲載特許の全部又は一部が現実に実施されることがなかったとしても、本件リスト掲載特許に係る原告の特許を受ける権利を承継した被告に当該特許に係る独占の利益が発生しなかったということはできない。したがって、少なくとも本件リスト掲載特許のように規 格必須特許としての評価を受け、現にライセンス料の支払対象となっていた特許については、事後的な必須性(充足性)がなけ ということはできない。したがって、少なくとも本件リスト掲載特許のように規 格必須特許としての評価を受け、現にライセンス料の支払対象となっていた特許については、事後的な必須性(充足性)がなければ、相当の対価の支払請求の前提となる被告の独占の利益が存在しないと解することは相当ではない。 ⑷ もとより、本件リスト掲載特許のうち、事後的な必須性(充足性)を具備 するものについては、現実に特許として実施されたことは、それ自体、当該- 27 -特許に技術的利用価値があったことを示すものであるから、相当の対価の額を算定する場合の一考慮要素となり得るものである。 しかしながら、本件リスト掲載特許を含む規格必須特許とされたそれぞれの特許につき、現実の実施の有無を踏まえて個別の技術的価値又は相対的な重要度の割合を評価し、重み付けをしなければ、当該特許に係る独占の利益 を認定することができないと解することは実際的ではない。そうすると、本件リストに掲載された被告保有の特許は、相当の対価の支払請求との関係では、その現実の実施の有無にかかわらず、特段の事情のない限り、いずれも同等の技術的価値を有するものと評価するのが相当というべきである。本件リストに掲載された被告保有の特許のうち、事後的な必須性(充足性)を具 備するものについては、相当の対価の額を算定する場合の一考慮要素となり得るが、現実の実施を待つまでもなく被告に独占の利益が発生していることが認められる本件において、これを考慮する場面としては、被告の独占的利益の認定の場面ではなく、使用者貢献度の検討(後記)の場面において、原告の貢献度を高める方向に働く要素として、他の要素とともに総合的に考慮 するのが相当である。 ⑸ 被告の主張についてア被告は、 く、使用者貢献度の検討(後記)の場面において、原告の貢献度を高める方向に働く要素として、他の要素とともに総合的に考慮 するのが相当である。 ⑸ 被告の主張についてア被告は、主位的主張において、独占の利益の算定対象となる特許は、実際に実施された特許(必須性(充足性)を満たす特許)に係るものに限定すべきである等として、規格必須特許のライセンスでリストに掲載される 特許であっても、規格準拠製品において実際に実施されない場合はライセンス料に対する実質的な貢献はないこと、リストに掲載された個々の特許とロイヤルティに明確な対応関係はないこと、ある特許が独占の利益に貢献したといえるのは、客観的に、当該特許が実施され、ライセンスが必須となる場合であることなどを主張する。 しかしながら、前記のとおり、本件リスト掲載特許は、現にライセンス- 28 -料の支払対象とされているのであるから、結果的にライセンシーにより実施されなかったとしても、本件リスト掲載特許にライセンス料に対する何らの貢献がないということはできない。また、規格必須特許のライセンス料は、リストに掲載された個々の特許との間に明確な対応関係が認められないものの、そのことによって、許諾対象特許である本件リストに掲載さ れた特許とライセンス料との間の対価関係が失われるものとはいえない。 客観的に当該特許が実施されなかった場合には、それが世の中に貢献しなかったことになるだけで、原告の相当の対価請求との関係では、本件リスト掲載特許としてライセンス料の対象となっている以上、被告の独占の利益に貢献していることに変わりはない。したがって、被告の主張は、採用 することができない。 イ被告は、予備的主張①において、本件特許1-5、本件特許2- なっている以上、被告の独占の利益に貢献していることに変わりはない。したがって、被告の主張は、採用 することができない。 イ被告は、予備的主張①において、本件特許1-5、本件特許2-3の充足性が認められるとすれば、独占の利益は、[B1]分配金、[B2a]被告の単独ライセンスによるライセンス料について、対象総特許数を基に本件リスト掲載特許2件に均等に割り付けた金員になると主張する。しか しながら、被告の予備的主張①は、主位的主張同様、独占の利益の算定対象となる特許が実際に実施された特許に限ることを前提とするもので、当該前提を採用することができないことは、前記アで述べたとおりである。 したがって、被告の予備的主張①を採用することはできない。 ウなお、被告の予備的主張②及び③は、仮に争点1について被告が原告と 同じ立場に立つことを前提とした場合の予備的主張であり、予備的主張②と③の違いは、[B2b1]及び[B2b2]の包括クロスライセンスに係る対応利益の算定について、仮想積上げ方式により算定する(予備的主張③)か否かという点にあるから、この点については、争点2の[B2b1]及び[B2b2]に関する部分で判断することとする。 4 具体的な独占の利益の算定方法(争点2)について- 29 -以上を踏まえ、具体的な独占の利益を算定する。 ⑴ [B1]3C及びOne-Red[B1]の3C及びOne-Redにおける本件リスト掲載特許に係る独占の利益は、別表1「裁判所」の項記載のとおりであり、被告が現実に収受した分配金について、許諾の対象となった本件リストに掲載された被告保有 の特許の特許数(別表における対象総特許数。以下、同じ)を分母とし、そのうちの本件リスト掲載特許の特許数(別表における 収受した分配金について、許諾の対象となった本件リストに掲載された被告保有 の特許の特許数(別表における対象総特許数。以下、同じ)を分母とし、そのうちの本件リスト掲載特許の特許数(別表における原告特許数又は規格関連原告特許数。以下、同じ)を分子として均等に割り付けた金員である●●●(省略)● 円と認められる。これは、本件リスト掲載特許(プレイヤー)及び本件リスト掲載特許(ディスク)の各場合について、それぞれ 【分配金額(円換算)×原告特許数/対象総特許数】を算出し、本件リスト掲載特許(プレイヤー)分についてはCD関連特許部分を減額調整した上、両者を加算したものである。具体的に争点となった部分に関する判断は、次のとおりである。 ア原告特許数について 原告特許数は、本件リスト掲載特許の特許数とするのが相当である。被告は、本件リスト掲載特許の貢献度が低いことを理由に原告特許数に1/10を乗ずることを主張するが、本件リストに掲載された特許群のすべてについて現実の実施の有無を含む技術的価値に関する事項を確認しない限り、当該特許群内における本件リスト掲載特許の相対的な価値評価をする ことは困難であり、前記のとおり、本件リストに掲載された被告保有の特許は、相当の対価の支払請求との関係では、その現実の実施の有無にかかわらず、特段の事情のない限り、いずれも同等の技術的価値を有するものと評価するのが相当というべきである。被告の主張を採用することはできない。 イ対象総特許数の補正について- 30 -対象総特許数については、独占の利益算定の対象期間が平成12年(2000年)又は平成16年(2004年)から平成28年(2016年)までの長期に及び、その間、規格必須特許リストに掲載された特許件数に 象総特許数については、独占の利益算定の対象期間が平成12年(2000年)又は平成16年(2004年)から平成28年(2016年)までの長期に及び、その間、規格必須特許リストに掲載された特許件数には一定の変動があったことが推認されることや同リストには特許登録前のものも掲載されていることが窺われること等を考慮し、×0.9の補正を 行うのが相当である。被告は、補正は相当でないと主張するが、被告は規格必須特許リストを保有しているから、対象総特許数の変動状況を容易に証明することができるはずである。それにもかかわらず、該当する証拠は提出されておらず、被告の主張は、採用することができない。 ウ CD関連特許の取扱いについて 3Cの本件リスト(プレイヤー)に係る分については、対象総特許数はCD関連の特許数を加算せずに171とするが、ライセンス料単価のうちDVDビデオ規格分単価の割合(省略)%を考慮し、特許による利益に同割合を乗ずるのが相当である。被告は、当該対象総特許数をCD関連の特許数●●●を加算した275とすべき旨主張する。しかし、被告は、他方 では、当審において、3C提供に係るジョイントライセンス料の単価が4. 25ドルである旨の原告の主張に対し、DVDビデオプレイヤーとしての5ドル~3.5ドルのライセンス料単価にはCD関連特許の許諾の対価も含まれているから、 ●(省略)● ではなく(省略)であるとするのが相当である旨主張している。被告がライセンス料単価の構成割合 を把握し得る立場にあることを考慮すると、CD関連の特許については、これを対象総特許数に加算するのではなく、被告の前記主張を前提に、被告が3Cから配分を受けたDVDビデオプレイヤーの分配金に(省略)%(= ●(省略)● )を乗じた金額をもって、本件 許については、これを対象総特許数に加算するのではなく、被告の前記主張を前提に、被告が3Cから配分を受けたDVDビデオプレイヤーの分配金に(省略)%(= ●(省略)● )を乗じた金額をもって、本件リスト(プレイヤー)に掲載された被告保有の特許に係る分配金とするのが相当というべきであ る。 - 31 -⑵ [B2a]被告の単独ライセンス[B2a]の被告の単独ライセンスにおける本件リスト掲載特許に係る独占の利益は、別表2「裁判所」の項記載のとおりであり、被告の判断により必須特許とされ許諾の対象となった本件リストに掲載された被告保有の特許の特許数を分母とし、そのうちの本件リスト掲載特許の特許数を分子として 均等に割り付けた金員である ●(省略)● 円と認められる。これは、本件リスト掲載特許(プレイヤー)及び本件リスト掲載特許(ディスク)の各場合について、それぞれ【ライセンス収入×規格関連原告特許数/対象総特許数】を算出し加算したものである。 具体的には、規格関連原告特許数は、前記⑴と同様、本件リスト掲載特許 の特許数とするのが相当であり(原告特許数に10分の1を乗ずることはしない。)、対象総特許数についても、前記⑴と同様、×0.9の補正を行うのが相当である。 ⑶ [B2b1][B2b2]の包括クロスライセンスの対応利益[B2b1][B2b2]の包括クロスライセンスにおける本件リスト掲 載特許に係る独占の利益は、別表3(B2b1)、別表4(B2b2)の各「裁判所」の項記載のとおりであり、対応利益として、包括クロスライセンスにおいて被告が収受するものと仮想される利益を算定するものである(仮想積上げ方式)。すなわち、まず、販売台数に基づき、包括クロスライセンスがなければ相手方が3C又は被告にライセンス クロスライセンスにおいて被告が収受するものと仮想される利益を算定するものである(仮想積上げ方式)。すなわち、まず、販売台数に基づき、包括クロスライセンスがなければ相手方が3C又は被告にライセンス料を支払い、被告が受領し たであろう仮想の分配金を算出し、これを本件リストに掲載された被告保有の特許の特許数で除して当該特許1件当たりの分配金額を算出した上、本件リスト掲載特許の特許数を乗じた金員を基礎とするが、包括クロスライセンス契約を締結することによる当事者の利益が本件リストに掲載された特許以外の点にもあることを考慮して補正した額である[B2b2] ●(省 略)● 円、[B2b1] ●(省略) ● 円と認めるのが相- 32 -当である。 これは、本件リスト掲載特許(プレイヤー)について、[B2b2]【PS販売台数×ライセンス料単価×配分割合×原告特許数/対象総特許数×親子会社間調整】を算出したもの、[B2b1]【再生・記録装置販売台数×シェア×ライセンス料単価×配分割合×原告特許数/対象総特許数】を算出 したものを基礎とし、最後に包括ライセンス契約であることによる×0.5の補正をしたものである。具体的に争点となった部分についての判断は、次のとおりである。 ア算定方式について被告は、予備的主張②において、[B2b2]子会社SIEとの包括ク ロスライセンスについては現実に被告が収受したライセンス料収入に基づき算定すべきであり、[B2b1]●●●との包括クロスライセンスについては、本件リスト(プレイヤー)の被告が保有するDVDビデオ規格関連特許は、代表特許・提示特許ではなく、極めて多数の特許が包括的にライセンスされている以上、本件リスト掲載特許(プレイヤー)の貢献度は ゼロである旨主 ヤー)の被告が保有するDVDビデオ規格関連特許は、代表特許・提示特許ではなく、極めて多数の特許が包括的にライセンスされている以上、本件リスト掲載特許(プレイヤー)の貢献度は ゼロである旨主張する。 しかしながら、まず、被告とSIEとの間の契約書(乙134)によれば、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●(省略)●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●したがって、被告が同契約により受ける利益は、現実に収受されたライセンス料収入に限られず、対価として支払われていた金員は調整金にすぎないというべきであるから、[B2b2]において、現実に被告が収受したライセンス料収入に基づき算定することは合理的ではない。 次に、確かに、一般に当事者が互いの特許リスクを最小限にするため、- 33 -それぞれが保有する多数の特許をすべて包括的に許諾の対象とすることが包括クロスライセンスをする目的だとすれば(乙131)、個々の特許の価値又は貢献度は問題にならないほど小さいということができるかもしれない。しかし、本件リスト掲載特許(プレイヤー)は、規格必須特許として評価され、本件リストに掲載されたものであるから、およそ価値のない 特許ということはできない。規格に準拠した製品を製造販売する事業者は包括クロスライセンスにより3C又は被告に対するライセンス料の支払を免れるという利益を得る一方、被告はこれと同等の利益を得ることができるという側面もあったからこそ、包括クロスライセンスが成立したはずである。そうすると、少なくとも相当の対価請求との関係では、包括クロス ライセンスにおける本件リスト掲載特許(プレ ることができるという側面もあったからこそ、包括クロスライセンスが成立したはずである。そうすると、少なくとも相当の対価請求との関係では、包括クロス ライセンスにおける本件リスト掲載特許(プレイヤー)の貢献度がゼロということはできず、[B2b1]被告は●●社を相手方とする包括クロスライセンスにおいて、本件リスト掲載特許(プレイヤー)について一定の利益を得たものと評価することができる。 以上の点を考慮すると、本件において、包括クロスライセンスにより被 告が得た利益を検討する場合には、[B2b1]及び[B2b2]のいずれの場合においても、仮想積上げ方式によるのが相当であり、これに反する被告の予備的主張②は採用することができない。ただし、包括クロスライセンスには、通常のライセンス契約とは異なり、互いの特許リスクをなくするという側面があることを考慮すると、包括クロスライセンスにより 被告が得た本件リスト掲載特許(プレイヤー)に係る独占の利益は、通常のライセンス契約と同じでなくてもよいはずである。この点については、後記オにおいて判断することにする。 イ仮想ライセンス料単価について[B2b2]SIEとの包括クロスライセンスに係る被告の仮想ライセ ンス料単価は、3Cからの分配金と同じ数値を用いるのが相当であり、同- 34 -分配金に関し被告が主張していた ●(省略)● とするのが相当である。被告は親子会社の関係では一定の優遇がされることを理由に1台当たり(省略)とすべきである旨主張するが、親子会社間調整は別途行うので(別表4の「親子関係間調整」欄のとおり、0.8を乗じている。)、被告の主張は採用することはできない。 [B2b1]包括クロスライセンスのDVD再生装置に係る仮想ライセンス料単価も同様に (別表4の「親子関係間調整」欄のとおり、0.8を乗じている。)、被告の主張は採用することはできない。 [B2b1]包括クロスライセンスのDVD再生装置に係る仮想ライセンス料単価も同様に ●(省略)● とするのが相当である。[B2b1]包括クロスライセンスにおけるDVD記録装置に係る仮想ライセンス料単価については、弁論の全趣旨(原告は当初 ●(省略)● を主張し、被告は多くとも ●(省略)● と主張していた。)により、● (省略)● をもって相当と認める。 ウ仮想分配金の分母(対象総特許数)について実際の販売台数又は推定された販売台数に1台当たりの仮想ライセンス料を乗じ、配分割合●(省略)●に基づき算出された被告に対する仮想分配金は、本件リスト(プレイヤー)に掲載された被告の保有する特許に対 応するものである。したがって、当該仮想分配金を分子として、当該特許1件当たりの金額を算定するときの分母となるのは、本件リストに掲載された被告の保有する特許の件数25件となるはずである。被告は、包括クロスライセンスにより被告が実施許諾した特許のうち事業に関連する●●(省略)件を分母とすべきである旨主張する。しかしながら、仮想の分配 金を算出する目的は、包括クロスライセンスがなければ、被告が受領していたであろう分配金に基づき、本件リスト(プレイヤー)に掲載された特許1件当たりの金額を算出し、本件リスト掲載特許(プレイヤー)により被告の得た独占の利益を算出することである。したがって、仮想分配金を除す分母は、本件リスト(プレイヤー)に掲載された被告の保有する特許 の件数25件とするのが合理的であるから、被告の主張は採用することが- 35 -できない。 エ原告特許数について 件リスト(プレイヤー)に掲載された被告の保有する特許 の件数25件とするのが合理的であるから、被告の主張は採用することが- 35 -できない。 エ原告特許数について原告特許数については、本件リスト掲載特許の特許数とするのが相当であることは、前記⑴と同様である(被告は、[B2b1][B2b2]において本件リスト掲載特許の寄与度は極めて小さいから、原告特許数に1 /10を乗ずべきであると主張し、また、[B2b2]において、PSでの本件リスト掲載特許の実施の観点から、PS2の独占の利益●●%相当分及びPS3の独占の利益に関しては、原告特許数に1/10を乗ずべきであることなどを主張するが、前記⑴と同様の理由により、被告の主張を採用することはできない。)。 オ包括クロスライセンスであることを考慮した減額補正について前記のとおり、包括クロスライセンスは、本件リスト(プレイヤー)に掲載された被告保有の特許に係る独占の利益の有無にかかわらず、相互に保有する多数の特許を全て包括的に許諾の対象とすることにより、相互の特許リスクを最小化するという通常のライセンス契約とは異なるメリット がある。したがって、仮想積上げ方式により被告の独占の利益を算定するに当たっては、この点を減額要素として考慮するのが相当であり、仮想積上げ方式により算定された本件リスト掲載特許(プレイヤー)に係る被告の独占の利益について、×0.5の減額補正をすることとする。なお、本件は、ライセンス契約の相手方との関係でライセンス料の額を問題にして いるのではなく、あくまでも職務発明における相当の対価の額の認定の前提として、包括クロスライセンスにより被告が得た利益の中に含まれる本件リスト掲載特許(プレイヤー)により被告が得 問題にして いるのではなく、あくまでも職務発明における相当の対価の額の認定の前提として、包括クロスライセンスにより被告が得た利益の中に含まれる本件リスト掲載特許(プレイヤー)により被告が得た独占の利益の評価をするにすぎないから、当該独占の利益の内容は、FRANDライセンス料単価と同額である必要はない。 ⑷ 以上によれば、本件リスト掲載特許による被告の独占の利益は、別表5- 36 -「裁判所」の項記載のとおり、以下の金額と認められる。 [B1] ●(省略)●円[B2a] ●(省略)●円[B2b1] ●(省略)●円[B2b2] ●(省略)●円 合計 ●(省略)●円 5 現実の実施が必要だと解した場合の実施の有無(争点5)について前記3で述べたとおり、本件リスト掲載特許が現実に実施されたことは、本件リスト掲載特許に係る被告の独占の利益を認めるための要件ではないが、現実に実施されたという事実は、使用者貢献度の枠組みの中で、原告の貢献度を 高める方向での考慮要素となり得るものである。そこで、争点3(本件各発明に対する被告の貢献度)ついて判断する前に、争点5(現実の実施が必要だと解した場合の実施の有無)について判断する。 なお、原告による以下の⑴における本件発明2-7-81の主張及び⑵における甲164に基づく主張について、被告は、時機に後れた攻撃防御方法であ ると主張するが、これらの主張は、訴訟の完結を遅延させることになるものとは認められないから被告の主張を採用することはできない。 ⑴ D/A変換と所定の変換処理の順序[本件構成要件3充足性]について原告は、DVDビデオ規格により特定される製品 になるものとは認められないから被告の主張を採用することはできない。 ⑴ D/A変換と所定の変換処理の順序[本件構成要件3充足性]について原告は、DVDビデオ規格により特定される製品であるDVDビデオプレイヤーは、本件発明1-1-1、1-2-1、1-4-1、2-1-33、 2-2-1、2-4-37、2-5-1、2-7-81に係る本件構成要件3を充足すると主張する。 しかしながら、上記各発明の本件構成要件3に対応する構成要件は、本件発明2-7-81も含め、いずれもD/A変換されたアナログ映像信号に対して所定の変換処理を施すものであると認められるのに対し、DVDビデオ 規格により特定される被告製品であるDVDビデオプレイヤーには、原判決- 37 -の「事実及び理由」の第4の4⑷(原判決108頁14行目から109頁23行目まで)に記載のとおりデジタル信号に対し先に所定の変換処理をした後、D/A変換をし、D/A変換後は、アナログ信号に所定の変換処理を行わないものが存在することが認められる。そうすると、当該規格により特定されるDVDビデオプレイヤーは、本件構成要件3を充足するものとは認め られない。 よって、原告の主張を採用することはできない。 ⑵ 記録制御情報の少なくとも一部を鍵情報とすること[本件構成要件4充足性]について原告は、DVDビデオ規格により特定される製品であるDVDビデオプレ イヤーは、証拠(甲164)によれば、本件発明2-2-27、本件発明2-2-45、本件発明2-4-7、本件発明2-4-10は本件構成要件4を充足すると主張する。 しかしながら、証拠(甲164)の文献は、その図3において「DiscKey」セットがDVDディスクのリードイン領域の「コント -7、本件発明2-4-10は本件構成要件4を充足すると主張する。 しかしながら、証拠(甲164)の文献は、その図3において「DiscKey」セットがDVDディスクのリードイン領域の「コントロールデータ領域」中 の「コンテンツ供給者の情報」に格納されていること、その図4において「TitleKey」がデータセクターの「コピー管理用データ」に格納されていることが記載されていることが認められるものの、「コピー管理用データ」は、再生の方法や様式を示すデータと同義ではないと考えられるから、原告が主張するとおり、 ●(省略)● と呼ばれるデータ領域(乙21)に タイトル鍵が含まれていたとしても、当該データ領域は、再生モード制御信号領域には該当しない。すなわち、「再生モード制御信号領域に配置された」との構成要件f2を充足しない。また、タイトル鍵は、暗号化鍵の一つであって記録制御情報ではないから、本件発明2-2-27の「前記記録制御情報の少なくとも一部を鍵として使用する」との構成要件f3も充足しない。 そして、同様に、本件発明2-2-45、2-4-7、2-4-10も本件- 38 -構成要件4を充足するものとは認められない。 よって、原告の主張を採用することはできない。 ⑶ その他の本件各発明の実施の有無について被告は、DVDビデオ規格により特定される製品であるDVDビデオディスクは、本件発明1-5(本件発明1-5-1、1-5-11)、本件発明 2-3(本件発明2-3-1、2-3-15、2-3-30、2-3-40、2-3-42)を充足しないと主張する。 しかしながら、DVDビデオ規格により特定される製品であるDVDビデオディスクが本件発明1-5、2-3を充足することは、原判決「事実及び理由」中の第4の8、 2-3-42)を充足しないと主張する。 しかしながら、DVDビデオ規格により特定される製品であるDVDビデオディスクが本件発明1-5、2-3を充足することは、原判決「事実及び理由」中の第4の8、9及び12から16まで(原判決132頁5行目から 138頁23行目まで及び144頁2行目から163頁21行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑷ 以上によれば、本件リスト掲載特許のうち、現実に実施されたことが認められるのは、本件特許1-5及び本件特許2-3のみである。 6 本件各発明に対する被告の貢献度(争点3)について ⑴ 原告は、本件各発明についての被告の貢献度を95%と主張するのに対し、被告は、これを争うので、以下検討する。 ⑵ 本件リスト掲載特許の技術的意義、本件リスト掲載特許の開発経緯、本件リスト掲載特許の普及等については、次のとおり補正するほかは、原判決「事実及び理由」中の第4の18⑵アからウまで(原判決169頁18行目 から171頁18行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 (原判決の補正)ア原判決「事実及び理由」中の第4の18⑵アからウまでの各「本件実施特許」をいずれも「本件リスト掲載特許等」と改める。 イ原判決171頁15、16行目の「被告において、本件実施特許を製品 化し、これを標準規格に採用させた」を「被告において、本件リスト掲載- 39 -特許等を標準規格に採用させた」と改める。 ウ原判決171頁18行目末尾に改行の上、次のとおり加える。 「 DVDビデオ規格の規格必須特許は、技術の標準化による規格の統一普及を目的として、1990年代後半、フィリップス社及び被告等が、DVD関連規格を策定し、このDVD関連規格に係る保 おり加える。 「 DVDビデオ規格の規格必須特許は、技術の標準化による規格の統一普及を目的として、1990年代後半、フィリップス社及び被告等が、DVD関連規格を策定し、このDVD関連規格に係る保有の特許権等をリス ト化して公開し、オープンライセンスポリシーの下、全世界における実施権を合理的な条件で許諾するプログラムを実施するようになったものである(乙156、175)。このような標準規格の策定とオープンライセンスポリシーに基づく実施許諾は、標準規格に準拠した製品の互換性を保つことを可能にし、市場の広がりとビジネスエコシステムの確立に寄与する ことになるが、規格必須特許についても、企業が標準規格の策定において想定するビジネスモデルの観点から、標準規格に沿うものによって構成されることになる。また、規格必須特許の許諾の対価としてのライセンス料を決定し、または、複数の企業が関与するライセンスプログラムにおけるライセンス料の配分割合を決定する際にも、企業判断又は企業間交渉等の 寄与の程度が大きいものと考えられる(乙153、156)。そうすると、標準規格の策定における特許技術の規格への採用やロイヤルティの配分等を含め、規格必須特許の許諾により収受される利益については、規格必須特許の技術的価値だけでなく企業側の事業判断が大きく寄与するものと認められる。」 ⑶ 以上によれば、本件リスト掲載特許の技術的意義等を踏まえても、DVDビデオ関連特許の標準規格化による規格の統一普及における被告側の寄与の程度が大きく、独占の利益であるライセンス収入等に対する被告の貢献度は極めて大きいものということができる。他方、本件リスト掲載特許のうち、少なくとも本件特許1-5及び2-3は、現に実施された特許であり、技術 的利用価値があっ センス収入等に対する被告の貢献度は極めて大きいものということができる。他方、本件リスト掲載特許のうち、少なくとも本件特許1-5及び2-3は、現に実施された特許であり、技術 的利用価値があったことは明らかであるから、特許発明に対する原告の貢献- 40 -度も認められる。その他本件に現れた諸事情を総合すれば、被告の使用者としての貢献度は、98%と認めるのが相当である。 7 共同発明者間における原告の貢献度(争点4)について⑴ 原告は、共同発明者間における原告の貢献度を75%と主張するのに対し、被告は、これを争うので、以下検討する。 ⑵ 本件における共同発明者間における原告の貢献度を50%と認めるべきことは、原判決「事実及び理由」中の第4の18⑶(原判決171頁25行目から172頁11行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑶ 原告は、共同発明者 A は、対応可能な業務を知的財産部担当者としてサポートしたにとどまるなどと主張し、他方、被告は、発明から出願、登録ま での経緯における関与を考慮すると原告の貢献度は30%にとどまると主張する。 しかしながら、前記引用に係る原判決も認定するとおり、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●(省略)●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●のであるから、本件においては、共同発明者間の貢献度について均等とすべきでない特段の事情を認めることはできないというべきである。 よって、共同発明者間における原告の貢献度は50%と認めるのが相当で ある。 8 小括⑴ 以上によれば、別表5「裁 すべきでない特段の事情を認めることはできないというべきである。よって、共同発明者間における原告の貢献度は50%と認めるのが相当である。 8 小括 ⑴ 以上によれば、別表5「裁判所」の項記載のとおり、本件リスト掲載特許について、原告が受けるべき相当の対価は、次のとおりとなる。 [独占の利益 ●(省略)● ●×発明者貢献度(1-98%)×共同発明者間貢献度50%]-既払額(省略)円=3378万9124円 ⑵ したがって、原告の請求は3378万9124円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。そして、当事者の主張に鑑み、本件記録を検討しても、前記認定判断を左右するような事由は認められない。 第4 結論 よって、原判決は一部相当でないから、これを変更することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官清水響 裁判官菊池絵理 裁判官頼晋一 (別紙)当事者目録 控訴人(一審原告)X 同訴訟代理人弁護士井上義隆 同吉浦洋一 被控訴人(一審被告)ソニーグループ株式会社 護士井上義隆 同吉浦洋一 被控訴人(一審被告) ソニーグループ株式会社 同訴訟代理人弁護士熊倉禎男 同 𠮷 田和彦同佐竹勝一同小林正和同西村英和同渡邊由水 以上 別表1原告の本件リスト掲載特許全て実施1-5,2-3(D)のみ原告の本件リスト掲載特許全て原告の本件リスト掲載特許全て3C/JLP分配金(P)総額原告特許数対象総特許数補正特許による利益分配金(D)総額原告特許数対象総特許数補正特許による利益One-Red1ドル=円分配金(P)額(ドル)分配金(P)額(ドル)分配金(P)額(ドル)分配金(P)額(ドル)分配金(P)額(ドル)(円換算合計額)原告特許数対象総特許数補正特許による利益分配金(D)額(ドル)(円換算額)原告特許数対象総特許数補正特許による利益被告予備③裁判所分配金(B1)B1小計原告主張被告予備①被告予備②●(省略)●●(省略)●- 44 -別表2規格関連原告特許数対象総特許数特許による利益規格関連原告特許数総特許数特許による利益規格関連原告特許数対象総特許数特許による利益利益P~Dの合算補正特許による利益(合計)B2a小計単独実施料 (B2a)ライセンス よる利益規格関連原告特許数総特許数特許による利益規格関連原告特許数対象総特許数特許による利益利益P~Dの合算補正特許による利益(合計)B2a小計単独実施料 (B2a)ライセンス収入(P)ライセンス収入(R)ライセンス収入(D)原告主張被告予備①被告予備②被告予備③裁判所●(省略)●●(省略)●- 45 -別表3仮想積上げ方式プレイヤーは実施なし●●●●●件ライセンスされた特許のうち仮想積上げ方式DVD再生装置原告特許の貢献度はゼロ日米販売台数相手方●社シェアライセンス料単価1ドル=円配分割合(●●●●)原告特許数対象総特許数補正親子会社間調整特許による利益DVD記録装置日米販売台数相手方●社シェアライセンス料単価1ドル=円配分割合(●●●●)原告特許数対象総特許数補正親子会社間調整特許による利益◆緑色は、当事者間で争いのある項目である。 ◆特許による利益(原告・被告予備③)=【再生・記録装置販売台数×シェア×ライセンス料単価×配分割合×原告特許数/対象総特許数】を加算したもの原告の主張では、記録装置のライセンス料単価を9ドルとし、対象総特許数につきDVDビデオ規格の規格必須特許リスト(プレイヤー)に掲載された被告保有の特許25件に×0.9補正を行う。 被告の主張(予備③)では、記録装置のライセンス料単価を3.5ドルとし、対象総特許数につき37965件として上記補正は行わない。これを採用しない場合は、原告特許数を0.6とする。 被告の主張(予備①、②)では、本件各特許の実施がない、または貢献度が0であるとして独占の利益はないとする。 ◆原告の主張する補正0.9は、規格必須特許リストに掲載された特許件数の変動や、特許登録前のものも掲載されていることを考慮し、補正するもの 施がない、または貢献度が0であるとして独占の利益はないとする。 ◆原告の主張する補正0.9は、規格必須特許リストに掲載された特許件数の変動や、特許登録前のものも掲載されていることを考慮し、補正するもの。 被告予備③裁判所包括クロスライセンス (B2b1)B2b1小計原告主張被告予備①被告予備②●(省略)●●(省略)●- 46 -別表4仮想積上げ方式プレイヤーは実施なし現実の収入ベース原告と同じ仮想積上げ方式北米販売台数北米×0.89日本販売台数日米販売台数合計ライセンス料単価1ドル=円配分割合(●●●●)原告特許数対象総特許数補正親子会社間調整特許による利益北米販売台数北米×0.89日本販売台数日米販売台数合計ライセンス料単価1ドル=円配分割合(●●●●)原告特許数対象総特許数補正親子会社間調整特許による利益裁判所子会社クロスライセンス(B2b2)PS2PS3B2b2小計原告主張被告予備①被告予備②被告予備③●(省略)●●(省略)●- 47 -別表5令和6年(ネ)第10040号特許による利益B1各小計B2aB2b2B2b1総合計被告の貢献度(数字は会社貢献度)共同発明者間の原告貢献度相当対価の額既払額未払の相当対価の額原告主張被告予備③裁判所被告予備①被告予備②●(省略)●- 48 -

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