1令和6年1月26日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官令和3年(ワ)第16043号 損害賠償等請求事件口頭弁論終結日 令和5年11月8日判決 5原告 株式会社パウート 同訴訟代理人弁護士 熊澤 誠同井上雄太 10被告 サムライワークス株式会社 同訴訟代理人弁護士 犬飼一博同柴田大樹主文151 被告は、原告に対し、94万8681円及びこれに対する令和3年7月8日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用はこれを35分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。 204 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由第1 請求被告は、原告に対し、3326万4000円及びこれに対する令和3年7月8日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 25第2 事案の概要2本件は、商標権を有する原告が、衛生マスクを販売していた被告に対し、被告製品の包装に別紙被告標章目録記載の標章を付すことが、同商標権を侵害し、原告はその販売により損害を被ったと主張して、不法行為による損害賠償請求権(民法709条、商標法38条2項、3項)に基づき、3326万4000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(不法行為より後の日)である令和35年7月8日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実及び証拠上容易に認められる事実。証拠等は文末に括弧で付記した。なお、書証は特記しない限り枝番を全て含む。 以下同 による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実及び証拠上容易に認められる事実。証拠等は文末に括弧で付記した。なお、書証は特記しない限り枝番を全て含む。 以下同じ。)10⑴ 当事者原告は、衣料品や日用雑貨等の販売等を目的とする株式会社である(甲1)被告は、携帯情報端末関連商品及び周辺機器並びに美容及び健康関連商品の製造および販売等を目的とする株式会社である(甲2)。 ⑵ 原告が有する商標権(甲3、4)15原告は、以下に記載の商標権を有する(以下、この商標権を「本件商標権」といい、その登録商標を「本件商標」という。)。 ア 登録番号 商標登録第5322812号イ 出願年月日 平成21年9月17日ウ 登録年月日 平成22年5月14日20エ 登録商標 お年賀マスク(標準文字)オ 商品及び役務の区分 第5類カ 指定商品 衛生マスク⑶ 被告による標章を使用した製品の販売及びその売上額等(争いがない)被告は、令和2年8月から令和3年1月までの間に、別紙被告標章目録記25載の標章(以下「被告標章」という。)が付された包装箱に入れた50枚入3り衛生マスク4種類(以下、これらを併せて「被告商品」という。)を、被告が運営する商品販売サイトや小売店等の店頭において販売し、被告は合計1596万1281円を売り上げ、当該売上げのための経費は1215万0844円であった(甲5、6、争いがない)。 被告商品は、いずれも被告が「日本の品質マスク」との商品名を付して販5売していた衛生マスクの新年特別バージョンとして販売されたものである(甲5、6、12。以下、この商品名を「被告商品名」という。)。 ⑷ 本件商標を使用した原告の商品の販 」との商品名を付して販5売していた衛生マスクの新年特別バージョンとして販売されたものである(甲5、6、12。以下、この商品名を「被告商品名」という。)。 ⑷ 本件商標を使用した原告の商品の販路(争いのない事実)原告は、令和2年当時、原告の商品を販売するウェブサイトなどで、商品名を「お年賀マスク不織布」などとする衛生マスク(以下「原告商品」とい10う。)を、法人向けに販売していた。原告商品は、原告の販売先である当該法人から他の法人への販売は予定されておらず、主に当該法人の従業員や取引先への年始の挨拶における贈答品とする、ノベルティ商品としての流通が予定されているものである。 2 争点15⑴ 被告標章は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる態様により使用されていない商標であり、本件商標権の効力が及ばないか(争点1)⑵ 被告標章は、商品の用途として普通に用いられる方法で表示されたものであり、本件商標権の効力が及ばないか(争点2)20⑶ 本件商標は、商品の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、無効審判により無効にされるべきものであるか(争点3)⑷ 損害の発生及びその数額(争点4)3 争点に関する当事者の主張25⑴ 争点1(被告標章は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識4することができる態様により使用されていない商標であり、本件商標権の効力が及ばないか)について(被告の主張)被告は、被告商品以外にも被告商品名で衛生マスクを販売しており、被告商品名の衛生マスクは、令和2年12月時点で約1万5000箱もの数量が5販売されており、被告の販売する衛生マスクを指し示す商品名として、広く需要者に認識されている。 そして、 しており、被告商品名の衛生マスクは、令和2年12月時点で約1万5000箱もの数量が5販売されており、被告の販売する衛生マスクを指し示す商品名として、広く需要者に認識されている。 そして、商品を陳列したり、ECサイト上で商品写真を展示する際は、商品の正面から見た角度を基本に配置するのであるから、「態様により」商標的使用と判断されるか否かの判断にあたっても、商品の正面を基本として判10断すべきであるが、被告標章が付された被告商品には、被告商品名の文字が、正面及び両側面の中央に大きく表示されているのに対し、被告標章は、上面に記載されているほかは、正面の右上に小さく表示されているのみである。 また、被告標章は、「お年賀」という文字列と「マスク」という文字列を組み合わせて一つの文字列を形成しているものであるが、そもそも「お年賀」15という用語は、広辞苑(第6版)において、「①新年の祝い。年始の祝賀②長寿の祝い。賀の祝い。算賀。」という意味を有する。そして、「年賀」ないし「お年賀」という言葉は、後に言葉を続けて複合語になることが予定されており、「(お)年賀」+「●●(一般名詞)」の用法で用いられている用語は多数存在するのであって、「年賀」又は「お年賀」という語は、後20ろに一般名詞を付すことによって、当該一般名詞である「●●」を「新年に際し親しい間柄の人に贈る●●」という意味に変えることができる。「年賀」ないし「お年賀」の後に続く語は、実際に用いられているものだけでも「ギフト」「せんべい」「タオル」「写真ケーキ」「ケーキ」「コーヒー」「酒」と様々なバリエーションがある。「お年賀」という用語を「マスク」という25用語に結合させた場合には、需要者にとって、単に新年に際し親しい間柄の5人に贈るためのマスク、すなわち「 ヒー」「酒」と様々なバリエーションがある。「お年賀」という用語を「マスク」という25用語に結合させた場合には、需要者にとって、単に新年に際し親しい間柄の5人に贈るためのマスク、すなわち「お年賀としてのマスク」という意味合いしか有しない。「お年賀マスク」に限ってみても、被告が被告商品を販売したのとほぼ同時期に他社も「お年賀マスク」という触れ込みでマスクの販売を行っているが、いずれも新年の挨拶に贈るマスクという意味合いで「お年賀マスク」という表現を使用している。このように、「お年賀」という用語5が、上記の意味合いで社会通念上一般的に用いられているものであることは明らかである。テレビ番組やインターネットの動画ニュースなどで取り上げられているとしても、「年賀マスク」あるいは「お年賀マスク」という言葉を聞いた視聴者は、「新年にお年賀として贈るマスク」を紹介しているのだと理解するのであって、ある特定の商品を思い浮かべて「ああ、あのマスク10を紹介しているのだな」と思うことはない。 したがって、被告商品中、出所識別機能を発揮する表示は、あくまで被告商品名であり、被告標章からは、単に新年に親しい間柄の人に贈るためのマスクであることを想起させるものであって、何人かの業務に係る商品であることを想起するものではないから、被告標章の使用は、商標的使用に当たら15ない。 (原告の主張)「お年賀マスク」がテレビ番組やネットの動画ニュースで取り上げられた際に「年賀状に絡めて、こんなものまで登場しました。新年にお年賀として贈る、年賀マスクです。」とナレーションされたとおり、「お年賀マスク」20という商品の特徴やコンセプトを表す言葉自体が着目され、報道の対象になっている。「おめでたい感じ」「新春の晴れやかな感じ」を想起させたいの す。」とナレーションされたとおり、「お年賀マスク」20という商品の特徴やコンセプトを表す言葉自体が着目され、報道の対象になっている。「おめでたい感じ」「新春の晴れやかな感じ」を想起させたいのであれば、「お年賀」等の言葉をパッケージに記載すれば足り、「マスク」という文字を付加する必要はない。 また、被告商品は箱全体が赤を基調としているため、黄金色調の「日本の25品質マスク」の文字は色彩的に目立っておらず、逆に、影で強調された白枠6に黒の太い筆字で記載された「お年賀マスク」の文字は目立っている。加えて、被告商品名である「日本の品質マスク」は著名であるとはいえないため、当該商品名の印字が一般的な取引者及び需要者の注意を引いているとはいえない。したがって、被告標章は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる態様により使用されていない商標であるとはいえ5ず、本件商標権の効力が及ぶ。 ⑵ 争点2(被告標章は、商品の用途として普通に用いられる方法で表示されたものであり、本件商標権の効力が及ばないか)について(被告の主張)被告標章は、前記⑴の(被告の主張)のとおり、需要者にとって、単に新10年に際し親しい間柄の人に贈るためのマスク、すなわち「お年賀としてのマスク」という意味合いしか有していない。 そうすると、本件商標権の指定商品である「衛生マスク」との関係においては、単に「新年に際し親しい間柄の人に贈る」ためのマスクであること、すなわち、商品の用途の表示として、「普通に用いられる方法で表示」され15たものにすぎない。 したがって、被告商品に付された被告標章は、商標法26条1項2号にいう商品の用途として普通に用いられる方法で表示したものといえる。 (原告の主張)被告は、被告が被告 たものにすぎない。 したがって、被告商品に付された被告標章は、商標法26条1項2号にいう商品の用途として普通に用いられる方法で表示したものといえる。 (原告の主張)被告は、被告が被告商品を販売したのとほぼ同時期に他社も「お年賀マス20ク」という触れ込みでマスクの販売を行っていると主張するが、「お年賀マスク」と表示されたマスクの販売者の例が5社、「お年賀マスク」等のTwitterにおける検索結果が約5年間でわずか7件にとどまっており、YAHOO!等の検索サイトで「お年賀マスク」を検索すると、令和4年2月24日時点においても被告商品に係るウェブサイトや画像が検索結果の1ペ25ージ目に表示される状態であった。これらの事実は、量的な観点から「お年7賀マスク」の語が一般的に用いられていなかったことを示している。また、被告商品が販売された令和2年12月頃は、新型コロナウィルス感染拡大から1年に満たなかったため、新年の挨拶における贈答用マスクという文化が形成されたと判断するには明らかに時期尚早であり、時間的な観点からも「お年賀マスク」の語が一般的に用いられていなかった。したがって、「お5年賀マスク」の語は一般的に用いられておらず、被告商標は、商品の用途として普通に用いられる方法で表示したものとはいえないから、本件商標権の効力が及ぶ。 ⑶ 争点3(本件商標は、商品の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、無効審判により無効にされるべきものである10か)について(被告の主張)本件商標は、「マスク」という普通名称に「お年賀」という一般的な用語を結合させたものにすぎず、結合商標としてもごく一般的な表示にすぎないものである。実際に「お年賀マスク」と表示されたマスクを販売している者15 「マスク」という普通名称に「お年賀」という一般的な用語を結合させたものにすぎず、結合商標としてもごく一般的な表示にすぎないものである。実際に「お年賀マスク」と表示されたマスクを販売している者15は被告以外にも存在する。したがって、本件商標は、多数の者に使用されることによって識別力が弱まり、商品の出所を識別する商標ではなく一定の商品を示す普通名称として認識されるに至っており、本件商標は、商品の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当し、無効審判により無効にされるべきものである。 20(原告の主張)「お年賀マスク」という言葉は、辞書にも掲載されておらず、被告商品がメディアに取り上げられたことからも明らかなとおり、「お年賀」用の贈答品としては食品などが一般的であり、マスクを贈る慣習は存在していなかった。「お年賀マスク」という表示を用いて販売を行う会社が現れたのは新型25コロナウィルスによる社会的な影響が生じた後の令和2年冬が初めてであり、8それ以降の短期間で「お年賀マスク」という用語が社会通念上一般に用いられているものとは考えられず、「お年賀マスク」は普通名称ではない。また、そもそもマスクを「お年賀」として贈ることは、普通ではなく、普通に用いられる方法で表示されるものではない。したがって、無効審判により無効にされるべきものではない。 5⑷ 争点4(損害の発生及びその数額)について(原告の主張)ア本件商標と被告標章は類似しているところ、被告商品は本件商標の指定商品である衛生マスクであるから、被告商品の販売行為は本件商標権を侵害したものとみなされる。そして、被告商品の令和2年8月から令10和3年1月までの売上合計額は1596万1281円であり、当該売上げのための経費は121 から、被告商品の販売行為は本件商標権を侵害したものとみなされる。そして、被告商品の令和2年8月から令10和3年1月までの売上合計額は1596万1281円であり、当該売上げのための経費は1215万0844円であるから、被告が受けた利益は381万0437円であり、原告は、同額の損害を負ったと推定される(商標法38条2項)。 原告は、原告商品を法人向けにしか販売していないが、原告から購15入した法人が個人向けに販売することはあり得るのであり、最終的な市場は同じ個人であるから、被告の販売が原告の販売に影響しないとはいえず、商標法38条2項の適用がある。 また、顧客が衛生マスクの品質や性能に関心があるとしても、大半の顧客は、一般的に販売されている商品は日常生活での使用に差し支えな20い安全性を有しているという認識を有しており、どのような認証や検査を経ているか、ウィルス等の捕集率が何%かなどの高品質さはそこまで重視されていない。「日本の品質マスク」という被告商品名についても、日本製の品質を備えているマスクであること以外に特別な意味合いは読み取り難く、また、購入者にとって購入検討対象となるマスクはどれも25日本製の品質を備えているため、被告商品名が他の商品との差別化とい9う意味では大きな意味を持たず、前記推定は覆滅されない。 被告は、本件商標は、原告が販売しているあのマスクという認識は存在せず、「新年に贈答用として贈るマスク」という認識をする消費者が大半であり、顧客吸引力は生じていない旨主張するが、テレビやインターネットニュース記事に加え、被告自身「お年賀マスク」の語を押し出5して広告宣伝活動をしているからすれば、本件商標に顧客吸引力があることは明らかである。 また、被告自身が広告宣伝等の営業努力をしている ュース記事に加え、被告自身「お年賀マスク」の語を押し出5して広告宣伝活動をしているからすれば、本件商標に顧客吸引力があることは明らかである。 また、被告自身が広告宣伝等の営業努力をしているとしても、それは、テレビのニュースやウェブサイトの記事で行われた、「お年賀マスク」の語をキャッチフレーズとして用いたものであり、本件商標の顧客吸引10力を利用したものであることから、これらの営業努力があったとしても、前記推定を覆滅すべき事情にはならない。 イ 仮に、商標法38条2項の適用がない部分があるとしても、原告は、本件商標権を侵害した他社との間で売上額の5%のロイヤリティを支払うことを条件に和解合意書を締結して許諾している。したがって、商標法3815条3項により、被告の売上金額1596万1281円の5%である79万8064円が損害として推定される。 (被告の主張)ア原告商品を販売しているウェブサイトでは業者等の法人のみが購入でき、原告商品の想定される利用方法は、原告商品を購入した法人の従業20員や取引先への年始の贈り物であるとされ、一般的なマスクの用途として想定される、大量生産、大量消費を目的としたものではない。これに対し、被告商品は、大量に生産され、問屋を経るか直販により小売店(スーパーやドラッグストア)の店頭に陳列され、又は大手通販サイトを通じて販売されることによって、一般消費者が他の衛生マスクと比較25しながら購入するものである。したがって、マスクという物品の性質上10最終的に使用するのが個人であるとしても、当該個人が取得するまでのルートは両者において全く異なり、販売される市場が重なることは考えられない。 また、原告は極めて限定的な取引先(法人)に対してマスクを販売しており、原告商品が小売店の 、当該個人が取得するまでのルートは両者において全く異なり、販売される市場が重なることは考えられない。 また、原告は極めて限定的な取引先(法人)に対してマスクを販売しており、原告商品が小売店の店頭に並ぶことはなく、一般消費者の目に5触れる機会はほとんどなく、本件商標は原告の商標であると認知されていない。また、被告商品に付された被告標章は、被告商品の包装箱の前面右上に全体に比して極めて微小なサイズで印字されているにすぎない。 他方で、被告は、各通販サイトなどで、被告商品名で各種の衛生マスクを販売しており、被告商品もそのシリーズであるが、その商品名の文字10列の下に「PFE/BFE/VFE99%以上 カットフィルター使用」といった表示をしている。消費者は、商品の選定において重視する品質について、この表示により被告商品はウィルスや花粉を99%カットしてくれるマスクであるとの認識を持つ。被告が販売する商品は、コロナ禍の影響もあり、2020年12月時点で約1万5000箱もの数量が15販売されており、被告商品名は被告の販売する衛生マスクを指し示す商品名として、広く需要者に認識されている。被告商品においても、包装箱の正面及び両側面の中心部分に被告商品名を印字している。したがって、本件商標の顧客吸引力は皆無に等しく、被告商品が売れたのは被告商品名によるものであり、被告商品の利益に被告標章は寄与していない。 20したがって、本件において、そもそも商標法38条2項は適用されないし、以上の事情によれば、損害も発生していない。 また、仮に、商標法38条2項の適用があり、損害が発生していないとはいえないとしても、前記の事情からすれば、本件商標の顧客吸引力は低く、被告商品名が売上げに寄与する割合は格段に大きく、そうし25た被告商品 商標法38条2項の適用があり、損害が発生していないとはいえないとしても、前記の事情からすれば、本件商標の顧客吸引力は低く、被告商品名が売上げに寄与する割合は格段に大きく、そうし25た被告商品に関する広告宣伝効果により売上げが上がっていることから、11利益に対する被告標章の寄与の割合は3%程度にとどまる。したがって、原告の損害額は11万4314円を超えないものというべきである。 イ前記アのとおり、本件商標には知名度がなく、顧客吸引力が全く存在せず、被告商品の売上に全く寄与していない。その上、原告は極めて限定的な取引先に対してマスクを販売しているのであり、販売されるべ5き市場は異なる。したがって、原告に得べかりし利益としての使用料相当額の損害は発生していない。 仮に、原告に損害が生じているとしても、前記アのとおり、原告商品の販売先は限定され、その販売数量は極めて限定的なものにとどまることが推認され、営業規模が小さいうえ、原告商品と被告商品は販売10市場も異なり、営業態様も相違する。また、衛生マスクである被告商品は、被告商品名と品質表示に顧客吸引力があり、被告商標に顧客吸引力はない。 そして、衛生マスクの商標分類は、令和4年1月以降は第10類に分類されるが、第10類の商標の使用料率の平均値は3%とされ、これに15既に述べた事情を併せ考えると、その使用料率は0.1%にとどまる。 原告は、他社と5%の使用料率で和解した旨の和解合意書を提出するが、当該合意書によっても、使用許諾契約がされたかどうか明らかでなく、使用料率を5%とする合意があったとはいえない。 そうすると、商標法38条3項が適用されるとしても、原告の損害は201万5961円を上回らない。 第3 当裁判所の判断1 認定事実前 用料率を5%とする合意があったとはいえない。 そうすると、商標法38条3項が適用されるとしても、原告の損害は201万5961円を上回らない。 第3 当裁判所の判断1 認定事実前提事実、証拠(各項末尾に掲記)及び弁論の全趣旨によれば、次の各事実が認められる。 25⑴ 年賀等の意味及び使用例について12ア 広辞苑(第6版)には、年賀の意味として「①新年の祝い。年始の祝賀。 ②長寿の祝い。賀の祝い。算賀。」と記載され、年賀を使用した語として「年賀状」、「年賀特別郵便」、「年賀葉書」の語が記載されていて、「年賀マスク」の記載はない(乙38)。 イ 令和4年1月4日時点の株式会社日比谷花壇のウェブサイトにおいては、5「お正月の年始回りの際に贈るプレゼントが「お年賀」です。」との記載がある(乙18)。 ウ 令和4年3月28日時点の日本郵政グループのウェブサイトにおいては、「お年賀とは、お世話になっている方々に対し、「今年もよろしくお願いいたします。」という気持ちを込めてお渡しするギフトをいいます。」と10の記載がある(乙39)。 エ 令和4年1月4日当時の東武百貨店池袋店のウェブサイトなどによれば、「御年賀」という文字が記載されたのしをつけたタオルについて、「年賀タオル」、「お年賀タオル」として販売されていた(乙22から29まで)。また、新年の贈答品として「お年賀コーヒー」を紹介する旨の令和15元年12月2日付けのウェブサイトの紹介記事、年賀状の文面を印刷したケーキを「お年賀ケーキ」と呼ぶ平成21年12月31日付けの朝日新聞の記事、食べられる年賀状として「お年賀せんべい」という商品が販売されていることが記載されている令和4年1月4日当時のウェブサイト等が存在した(乙21、31、34)。 20⑵ 日付けの朝日新聞の記事、食べられる年賀状として「お年賀せんべい」という商品が販売されていることが記載されている令和4年1月4日当時のウェブサイト等が存在した(乙21、31、34)。 20⑵ 令和2年から令和3年頃の「お年賀マスク」に対する認識についてア 令和2年10月9日付けの株式会社ルーパスのウェブサイト上で、浜松のタオル卸売会社が「お年賀マスク」の販売を始めたことを紹介する記事を掲載したが、その中で同社が「夏ごろから自社のロゴやチームロゴなどのプリントをしてほしいという注文が多くなってきたことや、これから冬25になり、新型コロナウィルスのさらなる拡大を懸念する中、例年通りタオ13ルをお年賀にするより、布マスクが良いのではないかと考え、マスクに会社のロゴなどをプリントして贈る「お年賀マスク」を企画。」と記載している(乙8)。 イ 令和2年11月6日付けの株式会社日本経済新聞社のウェブサイトの記事には、「新定番の年賀ギフトとして、イメージ・マジック(東京)が5「お年賀マスク」の販売を開始した。」、「新しい時代のお年賀に」などの記載がある(乙4)。 ウ 令和2年12月22日付けの株式会社PR TIMESのウェブサイト上には、「今回のお年賀はタオルではなく、マスク!実用的で気持ちのこもった、今年ならではの新しいギフト。「お年賀マスク」」、「お年賀の10定番といえばタオルです。年に一度の贈り物とはいえ、少しマンネリ気味ではありませんか?何か新しいお年賀を贈りたい。タオルのように実用的で、贈る相手が困らないものを。そんなあなたにおすすめなのが、今年ならではのギフト、「お年賀マスク」」との記載がある(乙5)。 エ 令和3年1月30日付けの株式会社新潟日報社のウェブサイト上の記事15では、「贈答品も新様式」との あなたにおすすめなのが、今年ならではのギフト、「お年賀マスク」」との記載がある(乙5)。 エ 令和3年1月30日付けの株式会社新潟日報社のウェブサイト上の記事15では、「贈答品も新様式」とのタイトルでマスクが贈り物としても購入されている旨を紹介されており、この記事の中で「この年末年始、新年のあいさつにうかがう時に添える「お年賀マスク」としてのし紙を付けて提案したところ、好評だったらしい。昨年のお正月では、「お年賀」にマスクを贈るなど、思いも寄らなかったのではないか。」と記載している(乙206)。 ⑶ 被告商品の包装箱及びその紹介についてア 被告商品の包装箱は、全体的に赤色で装飾され、金色の柄が付される部分がある。その正面部及び両側面部の中央部には、金色で被告商品名である「日本の品質マスク」の文字が記載されており、正面左下部及び両側面25下部には、「PEF/BEF/VFE99% カットフィルター使用」と14の品質に関する表示が記載されている。被告商品の包装箱の上面部には、おおよそ中央に、白色の余白で囲まれて、太く黒い筆文字である被告標章が記載され、その上側には、金色の宝船とそれに乗った七福神が描かれている。上面部の被告標章の下側には、上面部のほぼ3分の1程度を占めて、中央上部に赤色で「御年賀」と記載されたのし紙の柄が描かれている。被5告標章は、被告商品の包装箱の正面右上部にも記載されている。(乙7)イ 令和2年12月10付けの日本テレビ放送網株式会社のウェブサイト上の記事において、被告商品が紹介されたが、当該記事において、「年賀状に絡めてこんなものまで登場しました。新年にお年賀として贈る、年賀マスクです。」との記載がある(甲9)。 10ウ 令和2年12月18日付けの被告のウェブサイト上のプレスリリース おいて、「年賀状に絡めてこんなものまで登場しました。新年にお年賀として贈る、年賀マスクです。」との記載がある(甲9)。 10ウ 令和2年12月18日付けの被告のウェブサイト上のプレスリリースにおいて、被告商品が日本テレビの番組で紹介された旨の記事を紹介したが、当該記事内において「今年のお年賀はタオルや菓子折りではなくマスクで年始のご挨拶をしてみてはいかがでしょうか。」と記載している(甲13)。 152 本件商標と被告標章について、外観は、本件商標は「お年賀マスク」(標準文字)であり、被告標章は太く黒い筆文字の「お年賀マスク」というものであり、類似し、称呼は、「オネンガマスク」で同一であり、観念も、同一である。 本件商標と被告標章の出所の混同を否定するような取引の実情は存在せず、本件商標と被告標章は類似する。また、被告商品は、本件商標の指定商品である20衛生マスクである。 3 争点1(被告標章は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる態様により使用されていない商標であり、本件商標権の効力が及ばないか)について⑴ 前記1⑴アのとおり、「年賀」は、新年の祝いや年始の祝賀の意味がある25とされる。また、年賀と他の語句とが結びついた語句として広辞苑(第6版)15に掲載されているものとして、年賀状や年賀特別郵便、年賀葉書があるが、年賀マスクという語句は掲載されていない。 また、前記1⑴によれば、新年に渡す贈答品を指す語として「お年賀」が使用され、ある程度定着していることがうかがわれること、新年に渡す贈答品としてタオルが用いられることがあり、そのようなタオルについて「お年5賀タオル」、「年賀タオル」などとして販売されることがあったことが認められる。また、「年賀」の後に贈答品の品名を続ける語 答品としてタオルが用いられることがあり、そのようなタオルについて「お年5賀タオル」、「年賀タオル」などとして販売されることがあったことが認められる。また、「年賀」の後に贈答品の品名を続ける語が使用されることもあったことが認められる。 他方、前記1⑵、⑶に照らすと、令和3年より前に、新年の贈答品として「マスク」を渡すことは一般的でなく、令和2年には、新型コロナウィルス10による疾病の流行を受けて、令和3年の新年の贈答品としてマスクを渡すことを考える者が現れ、「お年賀マスク」という言葉が使われることがあったことが認められる。もっとも、マスクは、令和3年までは新年の贈答品として渡されることは一般的でなかったことから、それが使用される記事等においても、説明とともに、括弧を付けた上で「お年賀マスク」という語が使わ15れることが多かった。 ⑵ 以上によれば、「年賀」については、新年に渡す贈答品を指す語としてある程度定着し、「年賀」としてよく贈答されるタオルについては「お年賀タオル」と呼ばれることもあったが、従来、新年の贈答品としてマスクを渡すことは余りなく、令和2年の半ばから令和3年頃、「お年賀マスク」の語自20体が、普通名称となっていたとは認められない。また、令和3年まで、新年の贈答品としてマスクを渡すことは余りなく、令和2年の半ばから令和3年にかけて、「お年賀マスク」との語が使われた場合、それは新しい語であるとの印象を与えるものであったと認められる。そして、被告標章は、被告商品の包装箱において、「御年賀」と記載されたのし紙の柄などとは別に、そ25の記載態様(太く黒い筆文字)や位置(包装箱上面については、その中央付16近に記載されている。)に照らし、他の部分とは区別してそれ自体でかなり目立つように記載されている などとは別に、そ25の記載態様(太く黒い筆文字)や位置(包装箱上面については、その中央付16近に記載されている。)に照らし、他の部分とは区別してそれ自体でかなり目立つように記載されている。「お年賀マスク」についての当時の認識にこのような被告商品における被告標章の使用態様等を総合的に考慮すると、令和2年8月から令和3年1月頃、被告商品の包装箱における被告標章が、需要者に何人かの業務に係る商品であることが認識できる態様により使用され5ていない商標であったとは認められない。 4 争点2(被告標章は、商品の用途として普通に用いられる方法で表示されたものであり、本件商標権の効力が及ばないか)について前記3⑴のとおり、新年に渡す贈答品を指す語として「お年賀」が使用され、ある程度定着していることがうかがわれるものの、令和3年より前に、新年の10贈答品として「マスク」を渡すことは一般的ではなかったのであり、「お年賀マスク」自体が商品の用途を示す語句であるとは直ちには認め難い。また、同⑵の被告標章の使用態様からすると、商品の用途としての普通に用いられる方法とも認められない。したがって、被告標章は、商品の用途として普通に用いられる方法で表示されたものであり本件商標権の効力が及ばない旨の被告の主15張には理由がない。 5 争点3(本件商標は、商品の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、無効審判により無効にされるべきものであるか)について前記1⑴のとおり、「年賀」については、新年に渡す贈答品を指す語として20ある程度定着していたが、令和3年より前に、新年の贈答品として「マスク」を渡すことは一般的でなく、また、上記の頃より前に、本件証拠上、「お年賀マスク」という語を使用する例があったことを認 て20ある程度定着していたが、令和3年より前に、新年の贈答品として「マスク」を渡すことは一般的でなく、また、上記の頃より前に、本件証拠上、「お年賀マスク」という語を使用する例があったことを認めるに足りない。そうすると、本件商標の登録日の前である登録査定時において、「お年賀マスク」が商品の普通名称であったとは認められない。したがって、本件商標は、商品の普通名25称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に当たることによ17り無効審判により無効とされるべきである旨の被告の主張には理由がない。 6 争点4(損害の発生及び数額)について⑴ 前記2のとおり、本件商標と被告標章は類似するから、被告による被告商品の販売行為は、本件商標権の侵害行為を侵害したものとみなされる(商標法37条1号)。 5⑵ 商標権者に、侵害者による商標権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情が存在する場合には、商標権者がその侵害行為により損害を受けたものとして、商標法38条2項の適用が認められると解される。 原告は、前記第2の1⑷のとおり、原告の商品を販売するウェブサイトにおいて、本件商標を商品名の一部として付した原告商品を法人向けに販売し10ていた。これに対し、被告は、同⑶のとおり、販売サイトや小売店の店頭において、被告商品を販売していた。もっとも、原告商品も被告商品も新年の挨拶における贈答品として用いられる衛生マスクであり、一般的な衛生マスクとは販売のコンセプトが異なることをも踏まえると、原告商品の顧客となるべき法人において、被告商品を被告の販売サイトや小売店の店頭から商品15を購入するものがいなかったとはいえない。そうすると、被告の侵害行為により原告商品の売上げが減少したものと評価でき、原告に、被告によ において、被告商品を被告の販売サイトや小売店の店頭から商品15を購入するものがいなかったとはいえない。そうすると、被告の侵害行為により原告商品の売上げが減少したものと評価でき、原告に、被告による商標権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情が存在する。 したがって、商標法38条2項の適用がある。 ⑶ア 商標法38条2項により侵害者が受けた利益の額が原告の損害と推定さ20れる。もっとも、同規定は推定規定であるから、侵害者の側で、侵害者が得た利益の一部又は全部について、商標権者が受けた損害との相当因果関係が欠けることを主張立証した場合には、その限度で上記推定は覆滅される。 イ 被告は、令和2年8月から令和3年1月までの間に、被告標章が付され25た包装箱に入れた衛生マスク4種類を販売していた。被告商品について、18前記第2の1のとおり、その売上額は合計1596万1281円であり、そのための経費は1215万0844円であったから、限界利益は381万0437円である。 ウ 被告は、本件において、推定覆滅の事由に該当する事実がある旨主張する。 5被告は、原告商品は業者等の法人のみが購入でき、原告商品の想定される利用方法は、原告商品を購入した法人の従業員や取引先への年始の贈り物であるのに対し、被告商品は一般消費者が他の衛生マスクと比較しながら購入するものであり、衛生マスクという物品の性質上最終的に使用するのが個人であるとしても、当該個人が取得するまでのルート10は両者において全く異なると主張する。 この点に関係し、原告は、原告の販売先が法人であるとした上で、当該法人は、当該法人の従業員や取引先への年始の贈り物とするノベルティ商品としてこれを使用するほか、個人に対して販売する旨主張する。 しかし の点に関係し、原告は、原告の販売先が法人であるとした上で、当該法人は、当該法人の従業員や取引先への年始の贈り物とするノベルティ商品としてこれを使用するほか、個人に対して販売する旨主張する。 しかし、原告の販売先である法人が、個人に対して販売した数量等につ15いては何ら主張立証されておらず、当該法人が個人に対して販売していたことを認めるに足りない。したがって、原告商品は、法人によって、当該法人の従業員や取引先への新年の挨拶における贈答品とするという目的で購入されたと認められる。 被告商品は被告の販売サイトや小売店の店頭において販売されていて、20法人だけでなく、一般消費者も自由に購入できた。そうすると、原告商品の顧客となるべき法人に、被告商品を被告の販売サイトや小売店の店頭から商品を購入するものがいなかったとはいえないものの(前記)、原告商品は上記のとおり法人がそのノベルティ商品として購入するものであるのに対し、被告商品は、基本的には、一般の消費者が購入すると25いえ、その市場は異なる部分が非常に大きく、この事情は、前記推定を19覆滅させる事情であると認める。 被告は、本件商標の顧客吸引力は皆無に等しく、被告商品が売れたのは、被告商品名や被告商品の品質に関わる表示によるものである旨主張する。 しかし、被告商品名を付した商品が一定数販売され、また、報道機関5などで取り上げられたことがあったとしても、極めて多種の製品が大量に販売されている衛生マスクの需要者において、被告商品名が広く知られていたとは認められないし、また、衛生マスクにおいては品質に関する表示がされることも多いところ、被告商品の品質に関する表示が特に顧客吸引力を有するものであることを認めるに足りない。他方、被告標10章は、被告商品の包装箱の た、衛生マスクにおいては品質に関する表示がされることも多いところ、被告商品の品質に関する表示が特に顧客吸引力を有するものであることを認めるに足りない。他方、被告標10章は、被告商品の包装箱の正面の右上部分及び上面の2か所に目立つように記載されていて、包装箱の上面においてはその中央部分に記載されているのであり、その顧客吸引力がないとはいえない。 本件については、前記の事情により推定が大きく覆滅すると認められるという事情があるところ、それに加えて被告が主張する上記推定覆15滅についての事情があるとは認められない。 以上のとおり、原告商品と被告商品は、市場が非常に大きく異なった。原告商品の市場は被告商品の市場に比べて小さく、被告商品の市場のうち、ごく一部が原告商品の市場と重なっていたといえる。このような事情によれば、被告商品を購入した者のうち、被告商品に被告標章が20付されていることによって原告商品に代えて被告商品を購入したといえる者の割合はかなり低いと認められ、被告が主張する事由のうち、上記の理由により、原告は被告商品の販売数量のうちの相当多くのものについて販売することができたとはいえない事情があり、商標権者が受けた損害との相当因果関係が欠けると認める。上記の理由により、原告は被25告商品の販売数量の95%について販売することはできたとはいえず、20被告が得られた限界利益のうち、原告の損害との相当因果関係のあるものは、5%であったと認めるのが相当である。 エ そうすると、商標法38条2項による原告の損害は次のとおり、19万0521円である(小数点以下切り捨て)と認められる。 (計算式)381万0437円×0.05=19万0521円(小数点以下5切り捨て)⑷ 商標法38条2項による推定が覆滅される場 、19万0521円である(小数点以下切り捨て)と認められる。 (計算式)381万0437円×0.05=19万0521円(小数点以下5切り捨て)⑷ 商標法38条2項による推定が覆滅される場合であっても、当該推定覆滅部分について、商標権者が使用許諾をすることができたと認められるときは、同条3項の適用が認められると解される。 前記⑶によれば、本件の事情の下においては、原告が販売することができ10ない事情があるとされた数量に相当する被告商品については、原告が使用許諾をすることができたと認められる。 そして、商標法38条3項の使用の対価を算定するにあたっては、当該商標権の侵害があったことを前提として当該商標権を侵害した者との間で合意をするとしたらならば、当該商標権者が得ることとなるその対価を考慮する15ことができる(同条4項)。第10類の商標の使用料率の平均値は売上高の3%とされるが、その最大値は5.5%とされ(乙61)、この使用料率の平均値には、非侵害者との間の合意による使用料率も含まれており、侵害した者との間で合意をする場合平均値より高い使用料率になり得ることを踏まえると、原告の使用機会の喪失による得べかりし利益は、対象となる商品の20売上高の5%は下回らないものと認める。 そうすると、商標法38条2項による推定が覆滅される部分についての商標法38条3項の損害は、以下のとおり、75万8160円となる。 (計算式)1596万1281円×0.95×0.05=75万8160円(小数点未満切り捨て)25⑸ そうすると、原告の損害額は94万8681円となる。 21なお、商標法38条3項のみに基づいて算定される額が、上記の額を超えないことは、被告の利益額や上記の対価の割合から明らかである。 第4 結論 と、原告の損害額は94万8681円となる。 21なお、商標法38条3項のみに基づいて算定される額が、上記の額を超えないことは、被告の利益額や上記の対価の割合から明らかである。 第4 結論以上によれば、原告の請求は主文の限度で理由があるが、その余は理由がないから、主文のとおり判決する。 5東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官 柴 田 義 明 10裁判官 杉 田 時 基 裁判官 仲 田 憲 史 1522(別紙)被告標章目録
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