平成8(ワ)9391 商標権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成15年8月28日 東京地方裁判所
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判決文本文7,279 文字)

平成8年(ワ)第9391号商標権侵害差止等請求事件(口頭弁論終結の日平成15年7月22日)判決原告スコット・エス・カジヤ原告株式会社インディアンモトサイクルカンパニージャパン原告両名訴訟代理人弁護士佐藤雅巳同復代理人弁護士古木睦美被告東洋エンタープライズ株式会社被告寺田株式会社被告株式会社ヒノヤ被告三名訴訟代理人弁護士伊藤真 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 1 被告東洋エンタープライズ株式会社は,(1) 原告ら各自に対し,それぞれ3000万円及びこれに対する平成8年6月1日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 別紙被告標章目録1ないし4及び6記載の各標章を付したジャケット,同目録2,3及び5ないし9記載の各標章を付したシャツ,同目録2,3及び5記載の各標章を付したセーター,並びに,同目録8記載の標章を付した帽子を輸入し,譲渡し,引渡し又は譲渡若しくは引渡しのために展示してはならない。 (3) その占有に係る前項記載のジャケット,シャツ,セーター及 を付したセーター,並びに,同目録8記載の標章を付した帽子を輸入し,譲渡し,引渡し又は譲渡若しくは引渡しのために展示してはならない。 (3) その占有に係る前項記載のジャケット,シャツ,セーター及び帽子を廃棄せよ。 2 被告寺田株式会社は,(1) 原告ら各自に対し,それぞれ500万円及びこれに対する平成8年6月2日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 別紙被告標章目録1ないし4及び6記載の各標章を付したジャケットを譲渡し,引渡し又は譲渡若しくは引渡しのために展示してはならない。 (3) その占有に係る前項記載のジャケットを廃棄せよ。 3 被告株式会社ヒノヤは,(1) 原告ら各自に対し,それぞれ400万円及びこれに対する平成8年6月1日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 別紙被告標章目録1ないし4及び6記載の各標章を付したジャケット,同目録2,3及び5ないし9記載の各標章を付したシャツを譲渡し,引渡し又は譲渡若しくは引渡しのために展示してはならない。 (3) その占有に係る前項記載のジャケット及びシャツを廃棄せよ。 4 上記1(1),2(1)及び3(1)につき,仮執行宣言。 第2 請求の原因 1 本件商標権(1) 原告スコット・エス・カジヤ(以下「原告カジヤ」という。)は,平成4年2月6日,別紙原告商標目録記載の商標(以下「本件商標」という。)につき後記(3)のとおり商標登録出願をし,同商標は,平成7年9月29日に商標登録された(以下,この商標権を「本件商標権」という。)。 (2) 原告株式会社インディアンモトサイクルカンパニージャパン(以下「原告インディアン」という。)は,平成7年10月16日,原告カジヤから本件商標権 下,この商標権を「本件商標権」という。)。 (2) 原告株式会社インディアンモトサイクルカンパニージャパン(以下「原告インディアン」という。)は,平成7年10月16日,原告カジヤから本件商標権の譲渡を受け,平成8年5月27日,その旨の移転登録がされた。 (3) したがって,原告インディアンは,下記のとおりの本件商標権を有している。 出願年月日平成4年2月6日登録年月日平成7年9月29日登録番号第2710099号商品区分商標法施行令別表の商品区分第17類指定商品被服(運動用特殊被服を除く。),布製身回品(他の類に属するものを除く。),寝具類(寝台を除く。)登録商標別紙原告商標目録記載のとおり 2 被告らによる被告標章の使用(1) 被告東洋エンタープライズ株式会社(以下「被告東洋」という。)は,遅くとも平成7年6月以降,別紙被告標章目録記載の各標章(以下,その番号に従って「標章1」などといい,これらを総称して「被告標章」という。)を,それぞれ別紙使用態様目録記載の部位に付したジャケット,シャツ,セーター及び帽子を輸入し,譲渡し,引渡し又は譲渡若しくは引渡しのために展示した。 (2) 被告寺田株式会社(以下「被告寺田」という。)は,遅くとも平成7年10月以降,被告標章1,2,3,4及び6をそれぞれ別紙使用態様目録記載の部位に付したジャケットを譲渡し,引渡し又は譲渡若しくは引渡しのために展示した。 (3) 被告株式会社ヒノヤ(以下「被告ヒノヤ」という。)は,遅くとも平成8年4月以降,被告標章をそれぞれ別紙使用態様目録記載の部位に付したジャケット及びシャツを譲渡し,引渡し又は譲渡若しくは引渡 (3) 被告株式会社ヒノヤ(以下「被告ヒノヤ」という。)は,遅くとも平成8年4月以降,被告標章をそれぞれ別紙使用態様目録記載の部位に付したジャケット及びシャツを譲渡し,引渡し又は譲渡若しくは引渡しのために展示した。 上記ジャケット,シャツ,セーター及び帽子は,いずれも本件商標の指定商品に含まれる。 3 本件商標と被告標章の類似被告標章は,いずれも筆記体欧文字「Indian」を要部とするところ,これは,本件商標の要部である筆記体欧文字「Indian」と外観において同一である。また,いずれの要部からも,同一の称呼「インディアン」を生ずるとともに,同一の観念「北米原住民」を生ずる。 したがって,被告標章は,いずれも本件商標に類似する(なお,本件商標と被告標章の類否に関する原告らの主張の詳細は,本判決末尾添付の中間判決(平成14年8月22日言渡)の第3,1(原告らの主張)に摘示したとおりである。)。 4 原告らの損害額(1) 被告東洋は,原告カジヤから原告インディアンに本件商標権が譲渡される前及び後に,前記2(1)記載のジャケット,シャツ,セーター及び帽子を,少なくとも3億円ずつ販売し,それぞれの期間に少なくとも3000万円ずつの利益を得た。 (2) 被告寺田は,原告カジヤから原告インディアンに本件商標権が譲渡される前及び後に,前記2(2)記載のジャケットを,少なくとも5000万円ずつ販売し,それぞれの期間に少なくとも500万円ずつの利益を得た。 (3) 被告ヒノヤは,原告カジヤから原告インディアンに本件商標権が譲渡される前及び後に,前記2(3)記載のジャケット及びシャツを,少なくとも2000万円ずつ販売し,それぞれの期間に少なくとも400万円ずつの利益を得た。 (4) (1)~(3)記載の各利益は,被告ら れる前及び後に,前記2(3)記載のジャケット及びシャツを,少なくとも2000万円ずつ販売し,それぞれの期間に少なくとも400万円ずつの利益を得た。 (4) (1)~(3)記載の各利益は,被告らの本件商標権侵害行為(前記2,3)により原告ら各自が受けた損害の額と推定される(商標法38条2項)。 また,上記侵害行為につき,被告らにそれぞれ過失があったことも推定される(同法39条,特許法103条)。 5 原告らの請求よって,原告カジヤは,被告東洋に対し3000万円(第1,1(1)),被告寺田に対し500万円(同2(1)),被告ヒノヤに対し400万円(同3(1))の,それぞれ損害賠償金の支払いを求める。 また,原告インディアンは,被告東洋に対し3000万円(第1,1(1)),被告寺田に対し500万円(同2(1)),被告ヒノヤに対し400万円(同3(1))の,それぞれ損害賠償金の支払いを求めるとともに,被告東洋に対し前記2(1)記載のジャケット,シャツ,セーター及び帽子の(第1,1(2),(3)),被告寺田に対し同2(2)記載のジャケットの(同2(2),(3)),被告ヒノヤに対し同2(3)記載のジャケット及びシャツの(同3(2),(3)),それぞれ譲渡等の禁止及び廃棄を求める。 第3 請求原因に対する認否及び被告らの主張 1 第2,1について同(1),(2)各記載の事実は,いずれも認める。 同(3)記載の事実については,かつて原告インディアンが本件商標権を有していたことは認めるが,本件商標権については,平成15年6月12日付け最高裁の上告不受理決定(平成15年(行ヒ)第73号。乙22)により,その登録を無効とする旨の平成14年2月28日付け特許庁の審決(平成7年審判第28124号。乙20)が,既に確定している 2日付け最高裁の上告不受理決定(平成15年(行ヒ)第73号。乙22)により,その登録を無効とする旨の平成14年2月28日付け特許庁の審決(平成7年審判第28124号。乙20)が,既に確定している。 したがって,本件商標権に基づく原告らの請求は,いずれも速やかに棄却されるべきである。 2 第2,2について同(1)~(3)記載の各事実は,いずれについても,各被告が原告ら主張に係る各商品を譲渡等したことがあるという限度において,認める。 3 第2,3について本件商標と被告標章の類否に関する原告らの主張は,いずれも争う(なお,この点に関する被告らの主張の詳細は,本判決末尾添付の中間判決(平成14年8月22日言渡)の第3,1(被告らの主張)に摘示したとおりである。)。 なお,被告標章は,いずれも,被告東洋が有する下記の商標権(以下「被告商標権」といい,その登録商標を「被告商標」という。)の専用権の範囲内にある。したがって,被告らは,仮に上記類否に関する請求原因事実が認められる場合には,いわゆる登録商標使用の抗弁を主張する。 出願年月日平成3年11月5日登録年月日平成6年3月31日登録番号第2634277号商品区分平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令別表の商品区分第17類指定商品被服,その他本類に属する商品登録商標別紙被告商標目録記載のとおり 4 第2,4について損害に関する原告らの主張は,いずれも争う。 第4 当裁判所の判断 1 本件訴訟の経緯原告らは,平成8年5月21日に本件訴訟を提起し,被告らによる本件商標権の侵害を理由に,「第1 請求の趣旨」記載 関する原告らの主張は,いずれも争う。 第4 当裁判所の判断 1 本件訴訟の経緯原告らは,平成8年5月21日に本件訴訟を提起し,被告らによる本件商標権の侵害を理由に,「第1 請求の趣旨」記載の裁判を求めた。 当裁判所は,平成14年8月22日に中間判決をしたが,中間判決は,同判決第2,4に摘示した争点(1)(標章1ないし9が,本件商標と類似するか)及び争点(2)(標章1ないし9が,被告商標権の専用権の範囲内にあるか)につき,主文において,① 別紙被告標章目録1ないし9記載の各標章は,いずれも別紙原告商標目録記載の商標(本件商標)に類似する,② 別紙被告標章目録記載1ないし9記載の各標章は,いずれも被告東洋が有する商標権(被告商標権。登録第2634277号)の専用権の範囲に属しない旨判決したものである(上記①が同判決主文第1項の,上記②が同判決主文第2項のそれぞれ内容である。)。 2 本件商標権に関する無効審判等の経緯ところで,証拠(甲66,86,87の1及び2,乙3,4,6,17~22)によれば,本件商標権に関する無効審判等の経緯につき,次の各事実が認められる。 (1) 被告東洋は,平成7年12月28日,本件商標につき無効審判(特許庁平成7年審判第28124号)を請求し,同審判において,本件商標権には,商標法4条1項7号,11号違反の無効事由が存在することなどを主張した。 特許庁は,平成10年4月10日,出願人の原告カジヤが自然人である一方で,本件商標は法人名を表示したとしか認識し得ないものであるから,このような商標の使用は,法人でないものが「株式会社」や「有限会社」などの商号を使用することを禁止した商法や有限会社法の規定に該当し,商品流通社会の秩序に反するとともに,公共の利益を害するものというのが相当である の使用は,法人でないものが「株式会社」や「有限会社」などの商号を使用することを禁止した商法や有限会社法の規定に該当し,商品流通社会の秩序に反するとともに,公共の利益を害するものというのが相当であるとして,本件商標は,商標法4条1項7号の規定に違反して登録されたものであると判断し,その登録を無効とする旨の審決(乙6)をした。 (2) 原告インディアンは,上記審決に対して東京高等裁判所に取消訴訟(東京高裁平成10年(行ケ)第145号審決取消請求事件)を提起した。 (3) 東京高等裁判所は,平成11年4月14日,本件商標の文字部分である「IndianMotocycleCo.,Inc.」は,それ自体によっても,他の構成部分に照らしてみても,商法に基づいて設立された株式会社又は有限会社法に基づいて設立された有限会社を示すことが客観的に明らかであるとは到底言い難いから,原告カジヤによる本件商標の使用が,法人でないものによる「株式会社」や「有限会社」の商号の使用を禁じる法律の規定(商法18条1項及び有限会社法3条2項)に該当する旨の前記特許庁の判断は誤りであり,この誤った判断を前提にした商標法4条1項7号違反事由が存在する旨の判断も誤りであるとして,前記審決を取り消す旨の判決(甲66)をした。 (3) 被告東洋は,上記高裁判決に対して上告受理の申立(最高裁平成11年(行ヒ)第140号)をしたが,最高裁判所は,平成13年11月21日,上告不受理の決定(甲86)をし,同判決は確定した。 (4) これを受けて,特許庁において,さらに前記無効審判請求事件の審理がされた。 特許庁は,平成14年2月28日,本件商標は,先願の被告商標(登録番号第2634277号)と少なくとも称呼において類似しており,電話等の口頭による取引が普通に行われて 事件の審理がされた。 特許庁は,平成14年2月28日,本件商標は,先願の被告商標(登録番号第2634277号)と少なくとも称呼において類似しており,電話等の口頭による取引が普通に行われている取引社会の実情からすると,外観及び観念を考慮しても,類似する商標といわざるを得ないから,本件商標は,商標法4条1項11号の規定に違反して登録されたものであるとして,その登録を無効とする旨の審決(乙20)をした。 (5) 原告インディアンは,上記審決に対して東京高等裁判所に取消訴訟(東京高裁平成14年(行ケ)第140号審決取消請求事件)を提起し,同訴訟において,仮に本件商標と被告商標が称呼において類似するとしても,その類似性は低いものである上に,外観及び観念はいずれも相違しており,また,本件商標は同原告に係る被服等を表示するものとして周知であるから,本件商標をその指定商品について使用した場合,被告商標に係る商品と出所について混同を生じるおそれはないなどと主張した。 (6) 東京高等裁判所は,平成14年12月27日,① 本件商標と被告商標は,称呼のみならず観念においても類似し,外観の相違も,称呼及び観念の類似性をしのぐほどの格段の差異を取引者,需要者に印象付けるものではないから,本件商標を指定商品に使用した場合,取引者,需要者において商品の出所を誤認混同するおそれがあり,したがって,本件商標は被告商標に類似する商標というべきである,② また,原告インディアン提出に係る多数の書証によっても,本件商標の登録査定時(平成7年3月30日)において,同原告が主張するように,同商標が同原告に係る被服等を表示するものとして周知であったとまで認めることはできないとの判断を示し,本件商標が商標法4条1項11号に違反して登録されたものであるとの前記審決の 告が主張するように,同商標が同原告に係る被服等を表示するものとして周知であったとまで認めることはできないとの判断を示し,本件商標が商標法4条1項11号に違反して登録されたものであるとの前記審決の判断に誤りはないとして,原告インディアンの請求を棄却する旨の判決(乙21)をした。 (7) 原告インディアンは,上記高裁判決に対して上告受理の申立(最高裁平成15年(行ヒ)第73号)をしたが,最高裁判所は,平成15年6月12日,上告不受理の決定(乙22)をし,同判決は確定した。 3 結論前項2(4)~(7)で認定したとおり,本件商標権については,同(7)の最高裁の上告不受理決定をもって,先願の被告商標と類似することを理由に,商標法4条1項11条違反の無効事由(同法46条1項1号)に基づいて,その登録を無効とする旨の同(4)の特許庁の審決が,既に確定している。したがって,同商標権は,当初から存在しなかったものとみなされる(同法46条の2第1項本文)。 そうすると,本件においては,第2,1の請求原因事実を認めることができないから,その余の点につき判断するまでもなく,原告らの請求はいずれも理由がない(なお,前記のとおり,中間判決の主文において示された判断は,① 標章1ないし9は,いずれも本件商標に類似する,② 標章1ないし9は,いずれも被告商標権(登録第2634277号)の専用権の範囲に属しない,というものであるから,本判決で上記のように判断することが,中間判決の拘束力との関係で問題を生ずるものではない。)。 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部裁判長裁判官三村量一裁判官青木孝之 る。 東京地方裁判所民事第46部裁判長裁判官三村量一裁判官青木孝之裁判官吉川泉(別紙)原告商標目録被告標章目録被告商標目録使用態様目録※ 中間判決は省略

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