主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 申立て(原告らの請求の趣旨) 1 被告が平成15年4月22日付けでした東日本電信電話株式会社の第一種指定電気通信設備に関する接続約款の変更の認可を取り消す。 2 被告が平成15年4月22日付けでした西日本電信電話株式会社の第一種指定電気通信設備に関する接続約款の変更の認可を取り消す。 (被告の答弁)原告らの請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要本件は、電気通信事業者である原告らが、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社の各社がした電気通信事業法に基づく第一種指定電気通信設備に関する接続料の改定などを内容とする接続約款の変更申請の内容は、同法に違反する不合理なものであるのに、これを被告が違法に認可したなどとして、認可処分の取消しを求めた事案である。 1 前提となる事実(括弧内に認定根拠を掲げた事実のほかは、当事者間に争いのない事実か、弁論の全趣旨により容易に認定できる事実である。)(1) 当事者等ア原告らは、電気通信事業法(平成15年法125号による改正前、以下「事業法」という。)9条の許可に基づき、地域通信、長距離通信、国際通信等の業務を提供する第一種電気通信事業者である。 イ被告は、事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律(以下「NTT法」という。)を所管する大臣であり、事業法に基づく接続約款の認可を行う権限を有する者である。 ウ東日本電信電話株式会社(以下「NTT東日本」という。)及び西日本電信電話株式会社(以下「NTT西日本」という。両社を併せて「NTT東西」という。)は、日 う権限を有する者である。 ウ東日本電信電話株式会社(以下「NTT東日本」という。)及び西日本電信電話株式会社(以下「NTT西日本」という。両社を併せて「NTT東西」という。)は、日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律(平成9年法律第98号)附則2条1項に基づき設立され、第一種指定電気通信設備を設置して地域電気通信業務を提供する第一種電気通信事業者である。 エ原告らは、NTT東西との間で、第一種指定電気通信設備の接続に関する協定を締結しているところ、当該協定における接続料及び接続の条件は、NTT東西が被告から認可を受けた接続約款によることとなっている。 (2) 接続料の意義NTT東西が有している第一種指定電気通信設備を電気通信事業者(以下「事業者」という。)が利用するための対価を接続料という。NTT東西の地域通信網については、原告らを含む多くの事業者が自社の通信役務を提供するに当たってこれと接続しており、事業者は、NTT東西の電気通信役務に係る費用を含めて料金設定を行って利用者から料金を回収し、NTT東西に対して接続料を支払っている。 (3) 長期増分費用方式導入以前の接続料の算定方法ア平成9年法律第97号における事業法の一部改正前は、接続料は、当事者間の協議によって決定されていた。 ところが、電気通信役務の多様化が進む中で、新たな役務の提供を巡って事業者間の協議が難航するなどの事態が生じたため、電気通信審議会(当時。現在の情報通信審議会。)は、平成8年12月19日、日本電信電話株式会社(当時。以下「NTT」ともいう。)の通信網とこれに接続する事業者との円滑な接続を促進する観点から、「接続の基本的ルールの在り方について」と題する答申(甲3)を行い 2月19日、日本電信電話株式会社(当時。以下「NTT」ともいう。)の通信網とこれに接続する事業者との円滑な接続を促進する観点から、「接続の基本的ルールの在り方について」と題する答申(甲3)を行い、接続の義務化や不可欠設備(当該設備との接続が、他事業者の事業展開上不可欠であり、また、利用者の利便性の確保という観点からも当該ネットワークの利用が確保されることが不可欠であるもの。)に着目した接続のルールの整備等の提言をした。 イこの答申を踏まえ、平成9年法律第97号によって事業法の一部が改正され、同法38条において、第一種電気通信事業者は、他の電気通信事業者からその設備に接続すべき旨の請求を受けたときは、正当な理由がある場合を除き、これに応じなければならないとされた。また、38条の2が追加されて、第一種指定電気通信設備制度(以下「指定設備」という。)が導入され、郵政大臣(当時)が、一定の通信網に含まれる設備を、他の電気通信事業者の電気通信設備との接続が利用者の利便の向上及び電気通信の総合的かつ合理的な発達に欠くことのできない電気通信設備として指定することができるとされ(同条1項)、指定設備を設置する事業者は、指定設備との接続に関する接続料及びその他接続の条件について接続約款を定め、郵政大臣(当時)の認可を受けなければならないとされた(同条2項)。他方、接続料については、認可の条件として「能率的な経営の下における適正な原価を算定するものとして総務省令で定める方法により算定された原価に照らして公正妥当なものであること」とされた(同条3項2号)。また、同条11項において、指定設備との接続に関する会計(以下「接続会計」という。)を整理する義務が課せられ、同項を受け、総務省令である「指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則」(以下 号)。また、同条11項において、指定設備との接続に関する会計(以下「接続会計」という。)を整理する義務が課せられ、同項を受け、総務省令である「指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則」(以下「原価算定規則」という。)において、接続会計結果に基づき、接続料の原価を算定しなければならないとされた。具体的には、同時に制定された指定電気通信設備会計規則(平成9年郵政省令第92号)に定めるところにより整理された資産並びに費用及び収益に基づき原価を算定することとされた(以下「実際費用方式」という。原価算定規則4条ないし9条)。 (4) 長期増分費用方式導入に係る法改正等ア電気通信審議会(当時)は、平成8年12月19日、「接続の基本的ルールの在り方について」と題する答申(甲3)を行い、実際費用方式で原価を算定した場合、地域通信網はほぼNTTのみが保有していることから、指定設備を設置するNTTにおいて、積極的に費用を削減するという誘因が小さく、市場競争による費用削減が十分に期待できず、必ずしも接続料の低廉化が十分図られないこと等から、より客観的かつ具体的な接続料算定を行う手段の導入が必要であるとして、長期増分費用方式によって原価を算定するための技術モデルの構築を提言し、郵政省(当時)は、これを受けて、「長期増分費用モデル研究会」を設置し、平成11年9月、長期増分費用モデルの原型を確定し(甲4)、それを用いた「接続料算定の在り方について」を電気通信審議会に諮問したところ、同審議会は、平成12年2月9日、「接続料算定の在り方について」と題する答申をまとめた(甲5の2)。 この答申を受け、事業法の一部が改正され(平成12年法律第79号)、同法38条の2第4項が追加され、同項により、原価算定方式として長期増分費 と題する答申をまとめた(甲5の2)。 この答申を受け、事業法の一部が改正され(平成12年法律第79号)、同法38条の2第4項が追加され、同項により、原価算定方式として長期増分費用方式が導入された。 イ長期増分費用方式とは、原価の算定に当たって、現実の電気通信役務の需要を賄うために必要であり、かつ、最新の技術を用いた最も効率的な通信網構成とするための設備種類や設備量を決定していくという手順によって通信網を仮想的に構築し、この通信網の維持管理に要する年間費用(原価償却費、保全費等)を原価とするものである(この仮想の通信網及び原価を算定する方法の総体を長期増分費用モデルという。)。 ウ上記の事業法改正を受けて、郵政省(当時)は、省令(接続料規則、平成12年11月16日郵政省令第64号、以下「本件省令」という。)において、長期増分費用方式を適用する設備について加入者交換機能等電話役務を提供するものとし(本件省令5条)、原価の算定期間を3年間とし(本件省令20条)、NTT東西の経営に及ぼす影響を緩和するため、平成10年度の通信量等を用いることを可能とすることとし(本件省令附則7条)、長期増分費用モデルによって算定された原価に基づく接続料を平成14年度までの3年間に段階的に実施することを可能とする(本件省令附則8条)などの規定を整備し(乙14)、本件省令は、平成12年12月31日から施行された(附則1条)。 なお、NTT東西は、上記省令改正に従い、平成12年度ないし平成14年度の接続約款の認可を申請し、平成13年2月に申請どおり認可されたが、接続料は、附則10条により、平成12年4月1日に遡及して適用されることとされた。 エその後、平成12年2月9日の電気通信審議会答申にお 申請し、平成13年2月に申請どおり認可されたが、接続料は、附則10条により、平成12年4月1日に遡及して適用されることとされた。 エその後、平成12年2月9日の電気通信審議会答申において、長期増分費用モデルには改良点があるとの指摘がされていたため、郵政省(当時)は、同年9月、「長期増分費用モデル研究会」(以下「モデル研究会」という。)を設置し、モデルの見直しを行い、平成14年3月8日、新しいモデル(以下「2次モデル」という。)が公表された(甲7)。 オ被告は、平成14年3月27日、2次モデルを踏まえ、接続料の算定方法について、同モデルの適用期間、入力値としていつの時点の数値を用いるか、原価の対象範囲、接続料を東西別とするか均一とするか等について、情報通信審議会に諮問し(乙10)、同審議会は、同年9月13日、「長期増分費用モデルの見直しを踏まえた接続料算定の在り方について」と題する答申(以下「平成14年答申」という。乙11)をまとめた。 カ平成14年答申の要点は以下のとおりである。 (ア) 接続料の再計算期間電気通信を取り巻く環境の変化が大きいと予想されることから、平成15年度及び平成16年度の2年間とすることが適当である旨の答申をした。 (イ) 入力値と精算情報通信審議会においては、入力値について、通信量が大幅に減少を始めている中で、いつの時点の通信量を用いて平成15年度及び16年度の接続料を設定することが適当かという点について審議がされ、接続料設定には、モデル適用期間内の予測通信量を用いることが最も望ましいが、予測が困難である場合には、平成15年度開始までに入手可能な直近の通信量を用いるものとし、この場合、現実の通信量 議がされ、接続料設定には、モデル適用期間内の予測通信量を用いることが最も望ましいが、予測が困難である場合には、平成15年度開始までに入手可能な直近の通信量を用いるものとし、この場合、現実の通信量が当該直近の通信量と大幅に乖離することが予想される場合には、実際費用方式で用いられている精算制度と同制度の導入も検討されるべきである旨の答申をした。 (ウ) 接続料原価の対象範囲同審議会において、接続料原価の対象範囲について、き線点に設置される遠隔収容装置(以下「き線点装置」という。)等の通信量に依存しない費用(以下「NTSコスト」という。)を原価に含めるか否か、含めない場合にはどのようにして当該費用を回収するのか、仮に基本料で回収する場合、現行の基本料金のままで回収が可能かといった点について審議がされ、総務省に対し、NTSコストの取扱いを現行の基本料、施設設置負担金、各種の付加料金の取扱いと併せて、抜本的体系的に再検討する場を早急に設け、そこでの検討結果を踏まえて可及的すみやかに、現行の電気通信料金体系の見直しを図るよう要望する旨の答申をした。 (エ) NTT東西別の接続料同審議会は、接続料をNTT東西別とするか均一とするかについて審議し、接続料をNTT東西別とすることが最善の方法であると判断するが、何らかの激変緩和措置、例えば長期増分費用方式のコストに基づく接続料水準を即時に適用するのではなく、年度ごとに段階的に適用する等の措置を講じる必要がある旨の答申をした。 (5) 本件省令改正ア総務省は、平成14年答申において、モデル適用期間内の通信量を用いることが最も望ましいとされたことから、「予測トラヒック研究会」(平成14年10月から12月に実施)を設け 本件省令改正ア総務省は、平成14年答申において、モデル適用期間内の通信量を用いることが最も望ましいとされたことから、「予測トラヒック研究会」(平成14年10月から12月に実施)を設け、予測方法の検討を行った。 イ総務省は、平成14年答申を受けて、平成15年2月14日、長期増分費用方式が適用される接続料の見直しに係る本件省令の一部改正案について、情報通信審議会に諮問を行った(乙7)。諮問案の要点は以下のとおりである(ア) 通信量及び精算予測トラヒック研究会において、一応の予測方法を確立したものの、実際の接続料算定に利用することは困難であるとされたことから、平成14年答申に沿って、直近の通信量である平成13年度下期及び平成14年度上期の通年化した通信量を用いて接続料を設定するものとし、実際の通信量が用いた通信量と大幅に乖離した場合には精算を行うこと。 (イ) 接続料の再計算期間及び原価の対象範囲接続料の再計算期間及び原価の対象範囲は、平成14年度答申を踏まえ、再計算期間を2年とし、また通信量に依存しないNTSコストは原価の対象に含めること。 (ウ) 東西均一料金平成15年度及び平成16年度のNTT東西の接続料は均一とすること。 ウ同審議会は、平成15年3月28日、精算の方法の修正や遡及日等の一部の修正事項を除いて前記諮問案を適当とする旨の答申(以下「平成15年答申」という。)をした(乙8)。すなわち、精算の方法については、諮問案では、通信量の変動による影響額のうち5パーセントを超えた部分に限って精算するとしていたが、平成15年答申ではこれを改め、精算に係る負担額は、NTT東西と接続事業者 ち、精算の方法については、諮問案では、通信量の変動による影響額のうち5パーセントを超えた部分に限って精算するとしていたが、平成15年答申ではこれを改め、精算に係る負担額は、NTT東西と接続事業者の各々の通信量の変動率の比率で配分したものとした。また、遡及日については、諮問案では平成15年4月1日から適用するものとしていたが、答申ではこれを改め、改正省令の施行の日から適用することができるとした。 エ総務省は、同年4月11日、平成15年答申に沿って、本件省令の一部改正をした(同日総務省令第80号(以下「本件改正省令」といい、この改正を「本件省令改正」という。)。 本件改正省令の要点は以下のとおりである。 (ア) 接続料算定に用いる通信量等長期増分費用モデルに入力する通信量等について、平成13年度下期及び平成14年度上期のものを用いることとする。具体的には、加入者交換機能(本件省令第4条の表備考三のイからニまでの機能及びヘの機能を除く)、中継系交換機能、中継伝送共用機能等について、本件改正省令19条所定の記録義務により記録される年度毎の通信量等に代えて、指定電気通信事業者が現に記録している平成13年度下期及び平成14年度上期の通信量等を用いて算定する(附則5項)。 (イ) 精算加入者交換機能等について、通信の総時間が一定以上変動した場合、接続事業者と精算するものとする。具体的には、平成15年度又は平成16年度の通信の総時間が平成13年度下期及び平成14年度上期の通信の総時間と比較して15パーセントを超えて変動した場合精算を行い、精算に係る負担額は、NTT東西と接続事業者の各々の通信量の変動率の比率で配分したものとする(附則8項ないし11項) 4年度上期の通信の総時間と比較して15パーセントを超えて変動した場合精算を行い、精算に係る負担額は、NTT東西と接続事業者の各々の通信量の変動率の比率で配分したものとする(附則8項ないし11項)。 (ウ) 原価の算定について原価の対象範囲について従来どおりき線点装置等のNTSコストを含むものとする(本件改正省令6条、別表第1の1)。 (エ) 東西均一接続料端末系交換機能(本件省令第4条の表備考三のヘの機能を除く)、中継交換機能、中継伝送共用機能、中継伝送専用機能等について、平成15年度及び平成16年度においては、NTT東西の原価及び通信量等を合算して接続料を算定する(附則6項)。 (6) 本件各処分に至る経緯ア NTT東西は、平成15年4月18日、被告に対し、本件改正省令に基づき、接続約款の変更申請をそれぞれ行った(乙2の1、2の2)。 総務省は、同月22日、情報通信審議会に諮問したところ(乙4)、同審議会は、同日、審議を行い、本件の問題点については、平成14年答申(乙11)、平成15年答申(乙8)において審議が尽くされているとして、意見募集に付す必要はないと判断し、即日これを認可することが適当であるとの答申をした(乙5)。 被告は、平成15年4月22日、上記答申を受け、NTT東西に対し、本件接続約款の変更を認可する旨の各処分(以下「本件各処分」という。)をした。 イ本件接続約款のうち、本件各処分により変更された部分の要点は以下のとおりである。 (ア) 仮精算平成15年度及び平成16年度における見込み通信量等に基づいて計算した加入者交換機を経由する通信の総時間が、それぞれ平 は以下のとおりである。 (ア) 仮精算平成15年度及び平成16年度における見込み通信量等に基づいて計算した加入者交換機を経由する通信の総時間が、それぞれ平成13年度下期及び平成14年度上期のNTT東西の実績通信量等に基づいて計算した加入者交換機を経由する通信の総時間と比較して15パーセントを超えて変動した場合、加入者交換機能に係る接続料について仮精算する。その際、見込み通信量等に基づいて計算した接続料と本件接続約款に基づく接続料との差額に、総通信量の変動率と接続通信量の変動率の割合に応じた比率を乗じて、仮精算額を決定する(それを各接続事業者の実績通信量等に応じて当該事業者に振り分ける。)。そして、平成15年度及び平成16年度の実績通信量等に基づいて計算した接続料と本件接続約款に基づく接続料との差額に、上記と同じ方法で算定した比率を乗じた精算額を確定し、仮精算額との差額を精算する(本件接続約款附則4項)。 (イ) 遡及適用改訂接続料については、平成15年4月11日に遡及して適用する(本件接続約款附則2項)。 2 当事者の主張(原告らの主張)(1) 違法事由①(本件処分に当たり利害関係人の意見を聴取しなかった違法)ア被告から平成15年4月22日付けで本件接続約款の認可について諮問を受けた情報通信審議会は、即日認可を適当とする旨の答申を行い、これを受けた被告は同日本件各処分を行ったものであり、原告ら接続事業者からの意見聴取が行われることはなかった。原告らは、本件接続約款の当事者であり、接続約款の認可という行政行為が公正な手続によってなされることについて法的利益を有するものであるから、本件各処分をするに当たり原告らの意見を聴かな とはなかった。原告らは、本件接続約款の当事者であり、接続約款の認可という行政行為が公正な手続によってなされることについて法的利益を有するものであるから、本件各処分をするに当たり原告らの意見を聴かなかったのは、違法である。 事業法94条は、接続約款の認可に当たっては審議会に諮問すべき旨規定しているところ、これを受けた情報通信審議会は規則において具体的な手続を定めており、①審議会は、その調査審議に当たり、必要と認めるときは、当該調査審議と関連を有する利害関係人その他の参考人から公聴会その他の方法により意見を聴取することができ(情報審議会議事規則5条)、②部会長は、指定電気通信設備に関する接続約款に関する認可については、軽微な案件を除き、同規則5条の規定による意見の聴取を行わなければならないとされている(接続に関する議事手続規則、(以下「議事手続規則」という。)2条、甲18、19)。本件接続約款の認可が議事手続規則2条の軽微案件に当たらないことは明らかであり、同審議会が答申に当たり意見募集をしなかったことは、同規則に違反しており、適正手続の観点から看過し難いものである。 イ電気通信審議会(当時)及び郵政省(当時)は、接続約款の認可について接続事業者の意見を聴くべきであるとの見解を答申ないし国会答弁等で何度も明らかにしており(甲20ないし23)、接続約款認可について諮問を受けた審議会が意見聴取を行うことは立法者意思であったというべきであり、これまで接続約款認可に当たって接続事業者の意見聴取が慣例的に行われてきており(甲21、24ないし28)、慣習法ともいうべき状態となっていたことからすれば、本件各処分に当たり、接続事業者の意見を聞かなかったことは、法的に看過し難い手続過誤というべきであり、かような不公平な取扱 21、24ないし28)、慣習法ともいうべき状態となっていたことからすれば、本件各処分に当たり、接続事業者の意見を聞かなかったことは、法的に看過し難い手続過誤というべきであり、かような不公平な取扱いは、規制機関が行う決定が市場のすべての参加者について公平でなければならないというWTO基本合意参照文書にも反する。 ウ原告らは、意見照会を受けない限り、接続約款の内容を知り得る立場にないのであって、接続事業者の意見を聴取することなく接続約款の認可を行うことは、接続事業者を不公平に扱うことにほかならず、適正手続という観点からは法的に看過できない。 エなお、本件各処分の前提となった本件省令の改正については、意見聴取が行われているが(乙8)、①本件省令改正の前後で、減少したトラヒック(通信量)のうち5パーセントを精算対象外とするとの規定を除外し、精算の対象となる通信量及び他の入力値について、NTT東西と全接続事業者との間で、通信量の変動率に応じて精算額を決定する点で重要な変更があり、②接続事業者からは、再意見募集やヒアリングの形でさらに議論を深める必要があるとの意見が提出されており、③本件接続約款においても、仮精算の規定が新たに入り、施行時期を遡及させる点で重大な変更があったのであるから、本件接続約款の認可申請に当たっては再度意見聴取する義務を免れないというべきである。 オ被告は、本件各処分について、被告ないし情報通信審議会において、利害関係人の意見聴取をすべき義務を課した法令はなく、他に当該処分の名宛人である申請人以外の者について聴聞等の手続を執るべき義務を課した法律もないことから、利害関係人の意見聴取は本件各処分の手続要件ではない上、議事手続規則は、事業部会の自律的な規範に止まり、本件各処分の手続要件に 人以外の者について聴聞等の手続を執るべき義務を課した法律もないことから、利害関係人の意見聴取は本件各処分の手続要件ではない上、議事手続規則は、事業部会の自律的な規範に止まり、本件各処分の手続要件にはならない旨主張する。 しかし、憲法31条ないし条理により、行政処分に告知・聴聞が必要であること、行政処分の手続的違法は、当該処分の根拠法令に定められた要件の該当性のみで判断されるものではなく、実際に行われた審議及び判断過程に看過し難い過誤、欠落があったか否かという観点からなされるべきものである上、行政庁が内部的に設定する行政規則であっても、裁量権の公正な行使の確保、平等取扱いの原則、相手方の信頼保護といった要請からすると、一定限度で外部との関係でも法的効果を有するものと解すべきであって、単なる自律的規範に止まるとすることはできない。 また、接続約款認可制度導入以前は、接続の条件は接続協定によって定めることとされ、事業者間協議に委ねられていたが、接続に関して公正有効競争条件を確保するため、接続約款認可制度が導入されたものであるから、接続協定から約款認可に制度改正がなされても、接続の内容を決定する手続に接続事業者が参加できる権利は確保されなければならない。そして、事業法38条の2第7項は接続約款により難い特別な事情がある場合は、旧法と同様に接続協定を前置する手続を設けていることからしても、接続事業者の意見聴取を行うことは、法の要請というべきであるから、議事手続規則の規定は、単なる部会内部の自律的規範に過ぎないものではなく、事業法の定める手続規定と同視しうるものというべきである。 カ被告は、本件各処分に際しては、本件省令改正の際になされた意見聴取において議論が尽くされ、新たに導入した事項(仮精算手続 なく、事業法の定める手続規定と同視しうるものというべきである。 カ被告は、本件各処分に際しては、本件省令改正の際になされた意見聴取において議論が尽くされ、新たに導入した事項(仮精算手続等)も接続事業者の意見を斟酌したものであるから、情報通信審議会が本件各処分に当たって重ねて意見募集する必要がないと判断したことは、議事手続規則2条1項ただし書き(軽微な案件であって部会が意見を要しないと認めるものについては意見聴取を不要とする旨の規定)に該当する旨主張する。 しかし、同規則にいう「軽微な案件」とは、案件自体の軽微性を指すものであり、重大な案件であれば、たとえ省令改正と実質的に同一の処分をする場合であっても原則として繰り返し意見聴取することが求められるところ、本件接続約款の認可処分が軽微なものでないことは、接続事業者に与える経済的影響や、審議会における審議経過に照らしても明らかである。 しかも、本件改正省令と本件各処分とでは、前記エのとおり、実質的に同一の内容が定められたとはいえない。すなわち、本件改正省令ではトラヒック減少分5パーセントは精算の対象としないことになっていたのに対し、本件各処分ではNTT東西と接続事業者の通信量の変動率に応じて精算することになっており、NTT東西のトラヒック増加のインセンティブを維持するやり方として全く異なるものである上、後者のように変動率で精算する場合、接続事業者のトラヒックを総体でみるために起こる不合理性(1社がトラヒックを上げても他社のトラヒック減少で精算が発生し、トラヒックが増えた社ほど精算額が増える)を見れば、これをもって実質的に同一の内容が定められたとはいえない。また、本件各処分時点で仮精算という制度を新たに導入し、施行時期を平成15年4月11日に遡 トラヒックが増えた社ほど精算額が増える)を見れば、これをもって実質的に同一の内容が定められたとはいえない。また、本件各処分時点で仮精算という制度を新たに導入し、施行時期を平成15年4月11日に遡及させる点でさらに変更があったものであるから、本件各処分に当たっての意見聴取義務は免れないというべきである。 キ被告は、情報審議会規則は、意見聴取するかどうかを審議会の裁量に委ねており、議事手続規則も意見聴取しない場合を定めているから、意見聴取が立法者意思・慣習法とはいえない旨主張する。 しかし、これまで、省令改正時だけでなく接続約款認可時にも重ねて意見聴取が行われてきた上、国会答弁でも被告は省令改正と約款変更の双方についてヒアリングを行うと明確に述べている(甲83)ことからすれば、意見聴取が接続約款認可に当たって必要であるというのは明らかに立法者意思であり、たとえ慣習法と言い得るまでには至っていないとしても、上記のような瑕疵は、本件各処分において看過し難い過誤、欠落というべきである。 ク被告は、NTT東西は、申請前日に約款内容を報道発表しており、意見聴取がなくても約款の内容を原告らは知り得るから、原告を不公平に扱ったことにならない旨主張する。 しかし、NTT東西の報道発表は申請当日であり、しかも、約款内容を開示したとはいえないような簡略なものである(甲84)上、本件で問題なのは被告が意見聴取をしないことなのであって、原告らが事前に約款内容を知り得ても意見聴取がない以上、不公平な取扱いであることに変わりはない。 (2) 違法事由②(他事考慮等の判断過程の過誤に基づく違法)被告は、本件省令改正及び本件各処分を行うに当たり、①NTT東西の意見を優先して聴取し、②本件各処分に際 はない。 (2) 違法事由②(他事考慮等の判断過程の過誤に基づく違法)被告は、本件省令改正及び本件各処分を行うに当たり、①NTT東西の意見を優先して聴取し、②本件各処分に際して接続事業者の意見聴取をせず、③NTT東西均一接続料を認めているが、その結論に至る過程が不透明であることからすれば、「手続的コントロール」の観点からみて看過しがたい過誤・欠落があるとともに、④NTT東西の経営問題を優先的に斟酌しており、「審査密度の向上」の観点からみても看過し難い過誤・欠落がある。 ア NTT東西の意見を優先的に聴取した点(ア) 被告は、情報通信審議会に対して平成14年3月27日付けで、「長期増分費用モデルの見直しを踏まえた接続料算定の在り方」について諮問し、同年9月13日付けで答申がなされたが、その間、審議を行う電気通信事業部会の接続委員会において、NTT東西は非公開の接続委員会の参考人として5回招致されているのに対し、接続事業者はNTT東西と同席で1回招致されたのみである(甲9ないし13)。しかも平成14年6月13日の接続委員会に接続事業者が初めて参考人招致された時点で、既にNTT東西は2度にわたってヒアリングを受けていた上、NTT東西のみが参考人として出席した4度の接続委員会においては、NTT東西の経営状況に関するヒアリングがなされているのに、接続事業者にはそのような機会は与えられておらず、NTT東西からは詳細な経営資料が提出されているにもかかわらず、接続事業者が同様の資料の提出を求められることはなかった。さらに、接続委員会では、NTT東西を招致していない席でも、ほとんどNTT東西が提出した資料のみをもとに審議を行っている(甲14ないし16)。 これらの事実からは、本件接 った。さらに、接続委員会では、NTT東西を招致していない席でも、ほとんどNTT東西が提出した資料のみをもとに審議を行っている(甲14ないし16)。 これらの事実からは、本件接続約款の当事者の一方にすぎないNTT東西のみの意見に基づいて本件省令改正、本件各処分がなされたと評価しうるものであり、規制機関が行う決定及び規制機関が用いる手続は、市場のすべての参加者に公平でなければならないとするWTO基本合意参照文書(甲17)にも反し、適正手続の観点からは看過し難い違法があったというべきである。 (イ) 被告は、接続委員会がNTT東西のみを対象とするヒアリングを行い、両社に対してのみ資料の提出を求めたのは、両社の経営内容を確認、検証するためであり、それは両社の経営内容、財務内容に及ぶものであるから、かような接続委員会の措置には合理的理由があった旨主張する。 しかし、NTT東西の経営資料そのものを原告らに提示せずとも、営業秘密の漏洩にならない範囲でその概要は開示されてしかるべきであるし、それに基づくNTT東西の主張につき原告らが公開の場で反論する機会を設けるべきである。しかも、原告らは、NTT東西がしたような経営資料の開示を被告から求められたことはないのであって、NTT東西の経営問題に配慮して接続料の値上げを認可すれば、それは、接続事業者のコスト増となり、利用者料金の値上げを招きかねないのであるから、NTT東西のみから経営問題のヒアリングを実施したことは、公正有効競争条件の確保、利用者利便の増大という観点から、看過し難い過誤、欠落というべきである。 (ウ) 被告は、①長期増分費用方式を維持したこと、②長期増分費用方式の対象を拡大したこと、③事後精算を限定したこと、④トランクポ いう観点から、看過し難い過誤、欠落というべきである。 (ウ) 被告は、①長期増分費用方式を維持したこと、②長期増分費用方式の対象を拡大したこと、③事後精算を限定したこと、④トランクポート等を個別事業者の負担としなかったこと、以上の点においてNTT東西の意見に反する結論を採用しているから、本件省令改正・本件各処分がNTT東西の一方的な意見に基づくものではないと主張する。 しかし、今回の制度改正は、長期増分費用方式を前提としたものであるから、長期増分費用方式を維持したことは、何らNTT東西に不利な扱いをしたことにならないというべきである。それよりも、事後精算制度を導入したことは、長期増分費用方式を実質的に無効とするような大改正であり、その内容を限定したからといってNTT東西に不利な内容であるとは到底評価できない。その他の事項は、NTT東西に一方的に有利な条件を若干見直しただけであり、全体として本件省令改正・本件各処分がNTT東西の意見を一方的に取り入れたものであるという評価は変わらないというべきである。 (エ) 被告は、WTO基本合意参照文書は、本件省令改正・本件各処分の手続的違法を基礎付けるものではないし、本件省令改正の手続において不公平な取扱いはなかったと主張する。 しかし、WTO基本合意参照文書は、条約として本件省令改正・本件各処分に直接適用され、または事業法5条を通して間接的に適用されるものである上、条約によって政府が合意した手続的要件を踏まないことは、判断の過程における看過しがたい欠落というべきである。 イ NTT東西均一接続料を認める過程が不透明である点(ア) 情報通信審議会の平成14年答申では段階的実施が望ましいとの留保付きではあるがNT ける看過しがたい欠落というべきである。 イ NTT東西均一接続料を認める過程が不透明である点(ア) 情報通信審議会の平成14年答申では段階的実施が望ましいとの留保付きではあるがNTT東西の接続料を別料金とする旨の答申が出されていたにもかかわらず、同審議会は、平成14年答申を自ら覆し、それと矛盾するNTT東西均一接続料を認める本件省令改正・本件処分を認める旨の答申を行ったのであるが、その間に、衆議院と参議院の総務委員会においてNTTの接続料は平成15年度以降も引き続き東西均一を維持すべき旨の決議がなされ(乙9、10)、NTT東西の接続料を別料金とするのが適当であるとの答申を中心になってとりまとめた情報通信審議会委員の再任が拒否されるという事情が介在したことは、本件省令改正・本件各処分がなされるに至る手続が透明性・公平性を欠くことを裏付けている。 (イ) 被告は、情報通信審議会の意思決定過程の透明性なるものは、本件各処分の手続的要件ではない旨主張する。 しかし、前記のとおり、行政処分の手続的違法が根拠法令の明示する要件の違反に限られず、WTO基本合意参照文書第5項の「規制機関が行う決定及び規制機関が用いる手続は、市場のすべての参加者について公平でなければならない」という規定(甲17)は、行政手続の透明性を当然に含むものというべきである。 (ウ) 被告は、衆参両院総務委員会が決議を行ったのは国民の代表者としての責務を行使しただけであり、何ら不透明な点はない旨主張する。 しかし、被告は、①平成14年8月1日付けで東西均一接続料の維持を内容とする答申原案を作成していたこと(甲33)、②NTT東西は同月29日の公開ヒアリングで東西均一接続料の維持とそのため しかし、被告は、①平成14年8月1日付けで東西均一接続料の維持を内容とする答申原案を作成していたこと(甲33)、②NTT東西は同月29日の公開ヒアリングで東西均一接続料の維持とそのための交付金の必要性を訴えたこと(甲85)、③情報通信審議会は同年9月13日に東西別接続料が適当である旨の答申を出したこと(乙11)、④被告は東西別接続料の導入を求めた答申に対して消極的な意見を述べたこと(甲86の1、86の2)、⑤同年11月28日衆参両院総務委員会において東西均一接続料を求める決議がなされたが(乙9の1、9の2)、同日、被告は衆議院総務委員会で東西均一接続料交付金の必要性について答弁し、財務省との間で「NTT東西の接続料にかかる交付金の損金算入」について協議を行っていること(甲87)、⑥被告は、同年12月付けで「『NTT東西の接続料に係る交付金の損金算入』ご説明資料」なる書面を作成したこと(甲88)が認められ、これらの事実によれば、被告は、早くからNTT東西均一接続料の維持を規定方針としており、それに沿った答申案を用意したものの、審議会答申がそれと異なるものとなったため、国会を利用して巻き返しを図り、東西均一接続料を維持するための交付金に関する税制優遇措置を財務省に求めたものであり、行政手続に要求される公平性、透明性に反することは明らかである。 (エ) 被告は、情報通信審議会の委員について任期満了時の再任を義務付けられるものではなく、NTT東西の接続料を別料金とするのが適当であるとの答申を中心になってとりまとめた委員が任期満了後に再任されなかったのは異例の事実でもなければ、外部からの働きかけがあったものでもない旨主張する。 しかし、審議会委員の任期は学識経験者であれば、4期8年が慣例であるにもかかわ に再任されなかったのは異例の事実でもなければ、外部からの働きかけがあったものでもない旨主張する。 しかし、審議会委員の任期は学識経験者であれば、4期8年が慣例であるにもかかわらず、当該委員は3期6年3か月でありながら再任されなかった(甲34、37、38の1ないし5)のであって、異例な措置というほかなく、同委員に対して異例の再任拒否がなされたのは、被告の意向に反してNTT東西別接続料を強硬に主張し、NTT東西均一接続料を認めていた事務局案を変えさせたからにほかならない。 (オ) 被告は、NTT東西均一接続料の維持を求める意見も多数寄せられており、情報通信審議会はそれを斟酌して意思決定したものであり、反対意見を押し切ったということはない旨主張する。 しかし、情報通信審議会の答申を特段の事情変更もなく覆し、有力な反対意見があってもNTT東西均一接続料を押し通したことが問題であり、国会決議や審議会委員の再任拒否と相まって、本件省令改正・本件各処分に至る手続が不透明であることを裏付けているものであるから、これらの経緯があたかも存在しなかったかのごとき被告の主張は失当である。 ウ NTT東西の経営問題を優先的に斟酌した点(ア) 被告及び情報通信審議会は、NTT東西の経営問題を根拠に、事業法の定める適正原価に反して、NTT東西均一接続料、NTSコストの接続料原価への算入、短かすぎる経済的耐用年数や、低すぎる効率化係数の採用、事後精算制度の導入等、NTT東西に有利な措置を採っており、NTT東西の経営問題を優先的に斟酌したことは明らかであり、行政にあってはならない他事考慮であり、また行政行為に求められる平等原則に違反する。 (イ) 被告は、この点は本件改正省令の内容 T東西の経営問題を優先的に斟酌したことは明らかであり、行政にあってはならない他事考慮であり、また行政行為に求められる平等原則に違反する。 (イ) 被告は、この点は本件改正省令の内容の適法性の問題であり、これ自体が独立して違法事由となることはない旨主張する。 しかし、原告は、行政裁量に対するコントロールの手法として、行政庁の判断した材料及びその判断の仕方を問題とする方法を援用しているものであり、これが実体判断に近づくことは当然であるけれども、実体判断そのものではないのであって、これを独立の違法要素とすることは可能というべきである。 (ウ) 被告は、平成14年答申はNTT東西の意見とは反対の結論を導いた部分もあり、NTT東西の経営問題を優先したことはない旨主張するが、前記のとおり失当である。 (3) 違法事由③(事業法が認めない事後精算制度を導入した違法)ア事業法の委任の範囲を超えていること法律による行政の原理の1つである「法律の留保」の原則によれば、省令等の行政立法において、国民の権利義務に関する定め(法規命令)をするには、法律の委任のある場合に限られるところ、本件改正省令によって導入された事後精算制度は、明らかに国民の権利義務を規定する法規命令であり、これは法律の委任を要するものである。しかるに、事業法が事後精算を省令に委任しているとは解されないから、本件改正省令のうち事後精算を定めた部分は、法律の委任によらない法規命令であって、無効というべきである。 (ア) 事業法に事後精算を認めた規定は存しないから、事後精算を省令によって導入することは事業法の委任に基づかないものである。なお、事業法38条の2第12項の定める接続料の再計算は、将来 (ア) 事業法に事後精算を認めた規定は存しないから、事後精算を省令によって導入することは事業法の委任に基づかないものである。なお、事業法38条の2第12項の定める接続料の再計算は、将来にわたって接続料を改定するための規定であり、これをもって遡及的な事後精算を定めたものと解することはできない。 (イ) 長期増分費用方式に関する事業法改正における立法者意思は、長期増分費用方式では事後精算は認めないというものであり、本件改正省令はかような立法者意思に反するものである。すなわち、実際費用方式においては省令によって事後精算が認められていたが、長期増分費用方式が導入された際には、接続料規則において明示的に精算の対象から除かれている(接続料規則22条かっこ書き)ことからすれば、長期増分費用方式では精算しないというのが立法者意思であったと見るのが相当である。 (ウ) 元来、精算とは債務の確定前に概算で支払った費用につき債務の確定後に過不足を調整するための概念であって、実際費用方式を前提とするものであるところ、長期増分費用方式は、あくまで仮想のモデルによる予測値を前提とするものであって、かような長期増分費用方式の本質(フォワードルッキング性)と精算という概念は相容れないものである。また、長期増分費用方式を導入するに至ったのは、諸外国に比べ高額な接続料を引き下げ、利用者利便の増進を図る一方、実際費用方式では困難であったNTT東西の不経済なコスト構造の是正を実現することが目的であるところ、事後精算を導入することは、長期増分費用方式に実際費用方式の考え方を持ち込むものにほかならず、長期増分費用方式を導入した事業法改正の立法趣旨に反する。 (エ) 以上のとおり、文理解釈、立法者意思、制度導入の趣旨のい 費用方式に実際費用方式の考え方を持ち込むものにほかならず、長期増分費用方式を導入した事業法改正の立法趣旨に反する。 (エ) 以上のとおり、文理解釈、立法者意思、制度導入の趣旨のいずれの観点からしても、事業法は長期増分費用方式について事後精算を認めていないと解すべきであり、事後精算を定めた本件改正省令は、事業法の委任を超えた無効なものというべきである。 イ法の一般原則である遡及効の禁止に反している事後精算に関する本件改正省令の内容は、通信量の低下に応じて接続料の単価を改定するものであり、一旦発生した接続料を、その後に生じた事実を基に遡及的に変更するものにほかならない。 しかし、法律行為の効力は原則として遡及せず、遡及効を有するのは法律に特に規定がある場合に限られるというべきであって、事業法に遡及効の規定がないにもかかわらず、本件改正省令が接続料の事後的改定(遡及効)を認めたことは、法の一般原則に反し無効というべきである。 したがって、本件改正省令のうち、精算を認めた部分は無効であり、本件改正省令に基づく本件各処分は違法である。 ウ事後精算の方法が事業法に反している(ア) 事業法38条の2第3項2号違反本件改正省令附則8項は、通信量が15パーセントを超えて変動したことを精算発動の要件としており、同10項は、精算額を算定する際に、NTT東西を合算した通信量と接続事業者を合算した通信量を比較し、通信量の変動率の割合に応じて精算額を決定する旨定めている。しかし、前者については、合理的な根拠なく恣意的に設定されたものにほかならないし、後者については、通信量の変動率は各社ごとに異なるはずであるのに、それをまとめて に応じて精算額を決定する旨定めている。しかし、前者については、合理的な根拠なく恣意的に設定されたものにほかならないし、後者については、通信量の変動率は各社ごとに異なるはずであるのに、それをまとめてしまうため、ある社が通信量を増加させても、他社が通信量を減少させたため、全体として精算を発生させる事態となった場合には、通信量を増加させた者ほど精算による影響が拡大するという不合理が生じる。これらのことは、接続料が適正な原価に基づく公正妥当なものでなければならないという事業法38条の2第3項2号に反するもので、無効であるから、それに基づく本件各処分は違法である。 (イ) 事業法38条の2第12項(再計算規定)違反接続料の再計算について定めた事業法38条の2第12項は、長期増分費用方式の場合、認可後5年を超えない期間内で総務省令で定める期間を経過するごとに接続料を再計算しなければならない旨規定しているところ、これは再計算期間が経過するまでは再計算はしないことを事業法が定めたものと解すべきであり、本件改正省令は、総務省令の定める期間経過ごとではなく、各年度ごとに接続料の再計算がされることとなり、これは事業法に定めのない再計算を認めるものであって無効というべきであるから、本件改正省令に基づいてした本件各処分は違法である。 エこの点につき被告は、①事後精算制度は、被告が、事業法38条の2第3項本文及び2号によって付与された裁量的権限に基づき、通信量が大幅に変動した場合に、接続料が適正な原価を算定するものとして本件改正省令で定める方法により算定された原価に照らし公正妥当なものとするために設けたものである、②長期増分費用方式が導入された際に精算の対象外としたのは、激変緩和措置として、直近のトラヒック して本件改正省令で定める方法により算定された原価に照らし公正妥当なものとするために設けたものである、②長期増分費用方式が導入された際に精算の対象外としたのは、激変緩和措置として、直近のトラヒックではなく前年のトラヒックを用いて算定した値を平成14年度に達成すべき接続料とし、それに向けて段階的に接続料を引き下げる方法を採用したため、事後精算を行うと激変緩和措置の効果が没却されるからである、③長期増分費用方式における「フォワードルッキング」とは、実際に使用している設備・ネットワークを前提とするのではなく、現時点で利用可能な最も効率的な設備や技術を利用することを意味するので、事後精算と矛盾しない、④長期増分費用方式であっても、実績としての通信量の変動次第では、当初算定された接続料の額が、総務省令で定める方法により算定された原価に照らし公正妥当なものでなかったと評価される可能性があることに変わりはないなどと主張するが、これらは事業法の解釈を誤ったものである。 オ上記①については、総務省令に委任されたのは「適正な原価」の算定方法を定めることであり、それ以上に通信量等の変動による接続料の精算を定める権限まで総務省令に委任されたものではないこと、通信量等の変動によって不公正になった接続料の是正というのは、授権規定である事業法の定める目的ではなく、本件改正省令によって定められた目的に過ぎないことからすれば、本件改正省令は、事業法の委任の範囲を超えた違法なものである。しかも、事業法は、認可を受けた接続約款に基づく接続料が原価に照らして不適当となった場合、総務大臣が接続約款の変更又は変更申請を命ずることができると定めている(事業法36条2項、3項、38条の3第3項)のであるから、接続料が原価に照らして公正妥当でなくなった場合は、これら総 た場合、総務大臣が接続約款の変更又は変更申請を命ずることができると定めている(事業法36条2項、3項、38条の3第3項)のであるから、接続料が原価に照らして公正妥当でなくなった場合は、これら総務大臣の命令によって是正するというのが事業法の立場であり、不公正な接続料の是正措置を総務省令で定めるというのは、事業法の委任を超えた違法な措置というほかない。 カ上記②については、被告は、長期増分費用方式が導入された際に精算の対象外とされたのは、激変緩和措置を没却しないためであると主張するが、それを裏付ける証拠は何ら提出されていない。 キ上記③については、長期増分費用方式における「フォワードルッキング」が「現時点で利用可能な最も効率的な設備や技術を利用することによって新たにネットワークを構築した場合」という意味であることは、事後精算と矛盾するものである。なぜなら、仮想の設備について適正な原価を算定して設定された接続料であれば、たとえ事後的に通信量等が変動しても、それが「原価に照らして公正妥当」である状況に変わりがないというべきだからである。しかも、長期増分費用方式を導入した目的は、実際費用方式ではインセンティブが働かないNTT東西の効率化にあるのだから、そのようなインセンティブを削ぐ結果となる事後精算制度を導入することが長期増分費用方式導入の目的に反することは明らかである。 ク上記④については、仮に、長期増分費用方式において、事後的な通信量等の変動により、接続料が不公正となり、是正の必要性が生じることがあるとしても、新たな通信量等で再計算した接続料によって過去の接続料を改定し、その差額を精算するという制度を設けることは、事業法の委任の範囲を超えたものというほかない。 (4) 違法事由④(原価の異な も、新たな通信量等で再計算した接続料によって過去の接続料を改定し、その差額を精算するという制度を設けることは、事業法の委任の範囲を超えたものというほかない。 (4) 違法事由④(原価の異なるNTT東西の接続料を均一とした違法)ア本件改正省令・本件各処分は、NTT東西の接続料を均一に設定するものであるが、NTT東西の原価が異なることは明らかであり、それを均一にすることが「適正な原価」を反映しないことも明らかであり、事業法38条の2第3項2号、同4項に反し、違法である。 イところで、NTT法附則16条(平成15年7月24日法律第125号)によって、NTT東日本からNTT西日本に対し、接続料の水準が同等となることを確保するために金銭交付をすることが認められ、それによって、NTT東西均一接続料金が事業法38条の2第3項2号(適正な原価)に適合しているものとみなす旨の規定が設けられ、同改正法が平成15年9月30日施行されている(甲1の7、1の8)が、本件改正省令・本件各処分がされた時点では、それらの行為が適正な時価に反していたことは明らかであるから、このような法律改正があったからといって、いわゆる瑕疵の治癒の理論により本件改正省令・本件各処分の違法性が遡って否定されることはないというべきである。すなわち、本件においては違法性の程度が大きいうえ、行政庁が自ら違法と判断しつつあえて行い、後日、それを取り繕うように法律改正が行われていること、適正な手続で審議をやり直せば、再審査の結果が同一となるとはいえないことから瑕疵の治癒は認められない。 ウ被告は、①NTT東西均一接続料は、被告が、事業法38条の2第3項本文及び2号によって付与された裁量的権限に基づき、ユニバーサルサービスの考え方に基づくNTT法3 癒は認められない。 ウ被告は、①NTT東西均一接続料は、被告が、事業法38条の2第3項本文及び2号によって付与された裁量的権限に基づき、ユニバーサルサービスの考え方に基づくNTT法3条及び事業法72条の5の趣旨を考慮し、NTT東西の接続料に格差が生じることにより利用者料金に看過し難い格差が生じることがないようにし、もって、接続料が適正な原価を算定するものとして本件改正省令で定める方法により算定された原価に照らし公正妥当なものとするために設けたものである、②NTT法附則16条は、ユニバーサルサービスを確保するために接続料を均一にすることによって発生するNTT東西における接続料収入と原価との乖離を是正するための措置であり、この条項がNTT東西均一接続料の根拠となるのではない、③ユニバーサルサービス基金は費用補填の在り方を定めたものであり、NTT東西均一接続料の適否とは関係がないなどと主張する。 エしかし、上記①については、事業法38条の2第3項本文及び2号によって付与された被告の裁量的権限とは、総務省令で「適正な原価」を算定する方法を規定するためのものであり、それに加えて、そのように算定された原価に照らして接続料を公正妥当なものとするために新たな料金設定方法に関する規定を総務省令で設けることは、同条の委任の範囲を超えるものであり、NTT東西の接続料格差を是正するというのは、事業法によって定められた目的ではなく、総務省令が定めた目的にすぎず、NTT東西の接続料格差の是正のために、NTT東西のコストに基づかない料金設定を行うことは、WTO基本合意参照文書等に反する。 また、被告は、NTT法3条及び事業法72条の5のユニバーサルサービスは、利用者料金の格差が生じないことも含むものである旨主張するが、そ うことは、WTO基本合意参照文書等に反する。 また、被告は、NTT法3条及び事業法72条の5のユニバーサルサービスは、利用者料金の格差が生じないことも含むものである旨主張するが、そもそもユニバーサルサービス自体、NTT東西の法的義務ではないうえ、上記のNTT法3条及び事業法72条の5の条文上も利用者料金の均一性まで要求しているものではないことは明らかである。情報通信審議会の平成14年答申においても、NTT東西という異なる会社間で料金が同一でなければならないとする合理的根拠を見出し難いとしており、ユニバーサルサービスを根拠にNTT東西均一接続料を導くことはできないものというべきである。 オ上記②については、NTT法附則16条は、交付金提供の目的をNTT東西の接続料が同等の水準になることを確保するためとし(1項)、NTT東西の接続料原価を合算することを認め、それによって事業法38条の2第3項2号に適合するものとみなすことにしている(2項)のであって、同条がNTT東西均一接続料の根拠となっていることは明らかである。仮に、被告の主張するとおり、NTT東西均一接続料がもともと事業法38条の2第3項2号に合致しているのなら、原価の乖離は何ら違法ではなく、その是正の必要もないから、NTT法附則16条を設ける必要はないのであって、交付金による是正が必要なのは、均一接続料のままでは適正な原価という要件は満たさないからにほかならず、NTT法附則16条は、NTT東西の原価を合算することにより、本来適正な原価でないものを「適正な原価」として事業法38条の2第3項2号に適合したものとみなすという法律効果を生じさせるものであって、同条により初めてNTT東西均一接続料が適法になるものである。 被告は、NTT法附則16 して事業法38条の2第3項2号に適合したものとみなすという法律効果を生じさせるものであって、同条により初めてNTT東西均一接続料が適法になるものである。 被告は、NTT法附則16条2項は、基礎的電気通信役務以外の接続料も東西均一とされた場合に、それが違法ではないかとの疑念を解消するために注意的に置かれたものである旨主張する。 しかし、基礎的電気通信役務以外の接続料はユニバーサルサービスとは無関係であるから、被告の立論でも接続料を均一にする根拠は全くないこととなり、これは、NTT法附則16条2項によって初めて適法性を付与されることを言っているのにほかならない。しかも被告の主張によれば、基礎的電気通信役務については、ユニバーサルサービスの観点から接続料を均一にすることが同項を待つまでもなく認められるというのであるから、同項は、ユニバーサルサービスに関係のない電気通信役務についてNTT東西均一接続料を認めるためだけに規定されたことになってしまうという不当な解釈をせざるを得ない。 なお、NTT法附則16条は、NTT東西均一接続料を「適正な原価」とみなすものであるが、これはWTO基本合意参照文書に反しているものというべきである。なぜなら、WTO基本合意参照文書にある「cost-oriend」という概念は、事業法38条の2第3項2号所定の「適正な原価」と同義であり、NTT東西均一接続料が「適正な原価」に反するものであることは明らかだからである。 カ上記③については、原告らが主張しているのは、ユニバーサルサービス基金があるから違法だと言っているのではなく、適正な原価に基づく接続料を設定したのに、ユニバーサルサービスの趣旨からNTT西日本の収益が悪化するということがあったとすれば、ユニバーサ ーサルサービス基金があるから違法だと言っているのではなく、適正な原価に基づく接続料を設定したのに、ユニバーサルサービスの趣旨からNTT西日本の収益が悪化するということがあったとすれば、ユニバーサルサービス基金からの補填を受けることで問題を解消するのが制度本来の趣旨であり、事業法に反してまで省令によってNTT東西均一接続料を導入する理由がないということであるから被告の主張は根拠がない。 (5) 違法事由⑤(適正な原価に基づかない接続料を認めた違法)本件接続約款の定める接続料は、①NTSコストを原価に含んでいること、②伝送装置の経済的耐用年数が不当に短いこと、③NTT東西の効率化係数を不当に低く算定していること、以上の点で「適正な原価」に基づかないものであり、事業法38条の2第3項2号、同第4項に反する。 ア NTSコストを原価に含めている点(ア) 接続料規則においては、き線点装置の費用が加入者交換機の費用として接続料の原価に含まれているが(接続料規則6条、同別表第1の1、甲1の3)、き線点装置は、加入者回線設備の一部であって、中継網及び加入者交換機の機能を有するものではないから、加入者回線数に依存するものの、通信量に依存するものでなく、「適正な原価」という観点からは基本料の原価と考えるべきであり、接続料の原価と考えるべきではない。 欧米先進諸国においても、NTSコストを接続料に含まないとするのが圧倒的であり、同コストを接続料に含めることは、WTO基本合意参照文書(甲45)に反する。 ところでNTSコストの扱いについては、平成12年度に長期増分費用方式が導入された時点から既にその取扱いが問題となっており(甲46)、平成12年2月9日付け「接続料の在り方について」の電 ところでNTSコストの扱いについては、平成12年度に長期増分費用方式が導入された時点から既にその取扱いが問題となっており(甲46)、平成12年2月9日付け「接続料の在り方について」の電気通信審議会答申においても見直しの必要性を指摘され(甲5の1、5の2)、日米協議では平成14年中に決定することを約束していた(甲47ないし50)にもかかわらず、被告は約束された期限までに結論を出さず、本件省令改正に際しての平成15年答申においても「NTSコストの回収方法については、基本料の扱いと併せて抜本的体系的に再検討を行い、その検討結果を平成17年度以降の接続料の算定に適切に反映させること」とされたのみであり(乙8)、被告が正当な理由なく問題を先送りしていることは明らかであり、かような不作為も本件改正省令・本件各処分の違法性を基礎づけるものというべきである。 (イ) 被告は、き線点装置が接続料の原価に含まれるのは、き線点装置の機能が加入者交換機の機能の一部を代替したという歴史的経緯によるものと主張しているが、き線点装置は、もともと加入者回線の費用節減のために設置されてきたものであり、集線(複数の回線を合計回線数容量以下の回線容量に集束し回線の能率を向上させること)を行っておらず通信量に依存していないものであって、き線点装置が加入者交換機の機能を代替していたというのは根拠がない。 (ウ) 被告は、き線点装置に係る費用を基本料の費用範囲とすれば、基本料の値上げ圧力となり、社会的合意が困難であるとするが、そもそも、事業法上接続料金は「適正な原価」に基づき設定されなければならず、それにより基本料が値上げになるかどうかとは本来関係がないはずであるし、NTSコストも通信コストとして最終的には利用者が負担するものであり、それが基 金は「適正な原価」に基づき設定されなければならず、それにより基本料が値上げになるかどうかとは本来関係がないはずであるし、NTSコストも通信コストとして最終的には利用者が負担するものであり、それが基本料として回収されるか、通信料として回収されるかの違いにすぎず、NTSコストを基本料に含めることによって基本料の増額が不可避であるとしても、それは、通信料の低下という形で補われるはずのものであるところ、地域通信網を独占するNTT東西の高コスト構造をそのままにして、基本料増額を避ける名目で原告らにNTSコストを負担させるのは、公正競争の促進と利用者利便の増大という事業法の目的に反する。 (エ) 被告は、事業法38条の2第4項は、原価の算定方法について「通信量又は回線数の増加に応じて増加することとなる当該第一種指定電気通信設備に係る費用を勘案する」と規定しており、ここにいう回線数には加入者回線数を含むものであるところ、本件改正省令が接続料の原価とするNTSコストはいずれも加入者回線数に応じて増加する費用であるから、NTSコストは接続料の原価に含まれる旨主張する。 しかし、事業法38条の2第4項に「回線数」が含まれるのは、専用線や加入者回線等、回線数に依存する電気通信設備についても省令改正のみで長期増分費用方式を導入できるようにするためであり、NTSコストを接続料の原価に含めるために規定されたものではないから(甲90)、被告の主張は失当である。 (オ) 被告は、諸外国においてもNTSコストが基本料の原価に含まれるということは確定したものではなく、WTOにおいてもいまだ確定的な解釈がされたことはない旨主張する。 確かにNTSコストを接続料の原価に含む地域もなくはないが、NT 含まれるということは確定したものではなく、WTOにおいてもいまだ確定的な解釈がされたことはない旨主張する。 確かにNTSコストを接続料の原価に含む地域もなくはないが、NTSコストを接続料の原価から除外する方向にあり、諸外国においては「cost-oriented」にはNTSコストを接続料の原価に含めないという意味が含まれると解釈されている。 (カ) したがって、き線点装置に係る費用は、事業法38条の2第4項の規定する「第一種指定電気通信設備との接続により当該第一種指定電気通信設備によって提供される電気通信役務に係る通信量又は回線数の増加に応じて増加することとなる当該第一種指定電気通信設備に係る費用」ではなく、これを接続料の原価に含めるのは、事業法38条の2第3項2号、同第4項に反する。 イ不適切な耐用年数(ア) 電気通信設備が法定耐用年数を超えて使用されることは明らかであり、事業法上の「適正な原価」として減価償却費を算定する場合、法定耐用年数ではなく、経済的耐用年数を使用すべきであるところ、接続料規則は、伝送装置(光伝送の方式における光信号を電気信号に変換する機能を有する装置であって、送信及び受信の場所で光ファイバーを用いた線路に接続されるもの)の経済的耐用年数を8.8年としている(同規則6条、同別表第4の3、甲1の3)が、長期増分費用モデルにおける伝送装置の耐用年数は、米国モデルでは10.24年、英国モデルでは13年であり(甲53)、本件接続約款の前提とする耐用年数が恣意的に低く抑えられていることは明らかである。したがって、接続料規則における伝送装置の耐用年数をもとに算定された減価償却費は「適正な原価」に該当せず、事業法38条の2第3項2号、同4項に反し、違法である。 抑えられていることは明らかである。したがって、接続料規則における伝送装置の耐用年数をもとに算定された減価償却費は「適正な原価」に該当せず、事業法38条の2第3項2号、同4項に反し、違法である。 (イ) 被告は、接続料の原価の算定に当たり伝送装置の耐用年数としていかなるものを用いるかは、事業法38条の2第3項2号及び4項が総務省令に委任した範囲に含まれ、伝送装置の最長使用年数を事業者に照会するなどして経済的耐用年数を設定したもので合理性がある旨主張する。 しかし、伝送装置の耐用年数が総務省令に対する委任事項に含まれるとしても、いかなる数値を総務省令が採用してもよいことにはならず、それが適正な原価の範囲内でなければならないところ、例えば被告はADM(回線多重化伝送装置)の使用年度を6年に設定しているが、事業者に対する照会において、ADMの使用年数が法定耐用年数である6年に達しなかったのは、同設備が新しく、調査時点で法定耐用年数に満たなかっただけであり、他の伝送装置の実際の使用年数が10年を超えていたことからすれば合理性がない。 したがって、本件改正省令のうち、伝送装置の耐用年数を定めた部分は事業法に反し無効である。 ウ不適切な効率化係数の使用(ア) NTT東西の一部の施設保全費については、長期増分費用方式が導入された平成12年度から年3パーセントの効率化を見込んでモデル入力値としており、本件改正省令・本件各処分においても、それを変更していないが、NTT東西の平成14年度における実際費用方式による労務費は、平成13年度におけるアウトソーシング効果をもとに、NTT東日本において年間6.9パーセント、NTT西日本において年間10.5パーセントの引き下げがな 平成14年度における実際費用方式による労務費は、平成13年度におけるアウトソーシング効果をもとに、NTT東日本において年間6.9パーセント、NTT西日本において年間10.5パーセントの引き下げがなされており(甲57)、年間3パーセントという数値とは乖離がある。このように、長期増分費用モデルで採用された効率化係数を大きく上回る実績が明らかになっているにもかかわらず、それをモデルに反映しないのは、「現時点で利用可能な最も低廉で効率的に設備と技術で新たに構築した場合の費用額に基づいて計算する方式」という長期増分費用方式の定義に反する。 したがって、本件改正省令・本件各処分は、事業法38条の2第3項2号、同4項に反し、違法である。 (イ) この点につき被告は、事業法は、どのような効率化係数を用いるかは専門技術的な事項として、被告に委任されているところ、本件改正省令は合理的である旨主張する。 しかし、原価算定の基準としてどのような効率化係数を用いるかは被告に委任されているとしても、それは無条件ではなく、適正な原価という範囲内でのみ委任されているところ、本件改正省令は平成15年度及び平成16年度の接続料算定に関するものであるのに平成12年度の保守委託費の低減目標値を採用することに合理性はなく、また、被告が採用した上記効率化係数は、平成13年10月の長期増分費用モデル研究会においてNTT東西から提出されたものであるが、当初よりその水準の妥当性について十分検討すべきとの結論になっていたにもかかわらず、特段の検討もなくそのまま本件改正省令に採用されるに至っている(甲94ないし96)ことからすれば、被告が採用した上記効率化係数は恣意的なものであり適正な原価という要件に反していることは明らかである。 (6) まま本件改正省令に採用されるに至っている(甲94ないし96)ことからすれば、被告が採用した上記効率化係数は恣意的なものであり適正な原価という要件に反していることは明らかである。 (6) 違法事由⑥(変更約款の適用時期を認可前に遡及させた違法)ア事業法が接続約款の効力を遡及させる規定を設けていないにもかかわらず、本件各処分は、平成15年4月22日になされたものであるのに、改定接続料の適用期間を同月11日に遡及させているのは、法律行為の不遡及という法の一般原則に反し違法である。 イ本件接続約款の適用を平成15年4月11日に遡及させたことについて、被告は、本件接続約款はNTT東西と接続事業者との契約であり、当事者の合意によって契約の効果を遡及させることは可能であるところ、本件処分はかような契約を完成させる行為にすぎないから、本件処分が適用期間を遡及させても違法ではないと主張する。 しかし、接続約款は、NTT東西が一方的に定め、それが被告が認可することでその効力が発生するものであり、接続事業者の意思に基づくものではない。したがって、本件各処分によって認められた遡及効は、原告らに対して一方的に適用されるもので、その実質は法規と同様であるから、不利益な法規の遡及適用の禁止という法理は本件にも当てはまるものというべきである。 なお、原告らとNTT東西との接続協定においては、接続条件は認可された接続約款によることになっているが、それは適法な接続約款の定める接続条件を接続協定の内容として援用するという意味であり、認可された接続約款に定める接続条件が原告らの意思に基づくことを意味するものではない。 (7) 違法事由⑦(独占禁止法違反)NTT東西が接続料を均一に設 援用するという意味であり、認可された接続約款に定める接続条件が原告らの意思に基づくことを意味するものではない。 (7) 違法事由⑦(独占禁止法違反)NTT東西が接続料を均一に設定する約款を作成し、認可申請を行ったことは、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独禁法」という。)2条6項にいう不当な取引制限であり、独禁法3条に反し、また事業法1条にも反し違法である。 ア独禁法3条違反(ア) NTT東西は、接続料を均一に設定する約款の認可申請を同日に行っている(乙2の1、2の2)ほか、審議会においても、両社の経営データを合算した資料を連名で提出するなど、経営情報を交換し、一体として対応している(甲9ないし13、41、42)。したがって、NTT東西が共同して対価(接続料)を決定し、若しくは引き上げることにより、相互にその事業活動を拘束したことは明らかである。 (イ) NTT東西による接続約款認可申請は、本件改正省令に基づくものであるが、本件改正省令は、通信行政全般に関する公益的な観点というよりも、NTT東西の経営に対する配慮に基づいてなされたという側面が強いことからすれば、NTT東西の共同行為は、公共の利益に反するものである。 (ウ) NTT東西は地域を分かって事業を行っているものであるが、接続に係る電気通信役務については相手方が同一(原告ら事業者)であること、それ以外の役務についても、認可を得ることにより相互に相手方の地域への算入はできること(NTT法2条4項2号)、地域分割によっても間接競争は可能であることからすれば、NTT東西については全国における電気通信役務の提供を一定の取引分野とする競争が成立するものというべきである。そして、本件接続約款の認可申請 )、地域分割によっても間接競争は可能であることからすれば、NTT東西については全国における電気通信役務の提供を一定の取引分野とする競争が成立するものというべきである。そして、本件接続約款の認可申請は、接続に係る電気通信役務の対価を引き上げることを共同で行ったものであり、上記の意味での競争を実質的に制限するものであることは明らかである。なお、接続料金は認可によって決定されるものであるが、認可申請をするか否か、どのような申請をするかは事業者が自主的に決定する事項であるから、認可料金といえども競争制限は成立するものというべきである。 (エ) NTT東西均一接続料の設定を目的になされた本件申請は、独禁法に違反するものであるから、本件各処分は違法である。 イ事業法1条は、電気通信の健全な発達のために公正な競争を促進することを目的として規定するところ、独禁法が目的とする公正競争を電気通信市場に適用したのが同条の規定であると解されるから、NTT東西均一接続料を内容とする本件接続約款の認可申請は、上記のとおり独禁法違反であるとともに事業法1条にも違反する。したがって、本件各処分は事業法1条に反する違法なものである。 ウ被告の反論に対する再反論(ア) 被告は、独禁法3条の不当な取引制限の要件である共同行為には事業者相互間の「意思連絡」が必要であるところ、接続料設定については本件改正省令及び同省令附則に明確に規定され、NTT東西の行為は覊束されていることから、NTT東西において接続料を自由に決定できる余地はなく、本件接続約款の認可申請に関し、NTT東西間に「意思の連絡」を認めることはできないなどと主張する。しかし、被告の主張は、事実誤認ないし独禁法の解釈適用の誤りに基づくもので失当というべきである。 本件接続約款の認可申請に関し、NTT東西間に「意思の連絡」を認めることはできないなどと主張する。しかし、被告の主張は、事実誤認ないし独禁法の解釈適用の誤りに基づくもので失当というべきである。 (イ) そもそも、対価の決定が省令等によって覊束されているということと、「意思の連絡」の有無が無関係であることは、「意思の連絡」という事実の性質からも明らかである。しかも、本件改正省令自体、NTT東西の原価を合算して算出することを規定しているにすぎず、具体的な接続料の金額まで覊束しているのではないから、被告の主張を前提としても、接続料の決定について「意思の連絡」が介在する余地があるというべきである。 そして、本件各処分に対応するNTT東西の接続約款認可申請は、①申請日、②報道発表日及び報道発表内容、③遡及適用の開始日、④変更となるべき約款の文言、⑤接続料算定書類、以上のいずれも同一であり(甲100の1ないし8、101、102)、対価の決定について両社の間に「意思の連絡」があったことは疑いがない。 (ウ) また、NTT東西は、情報通信審議会に対して両社の経営データを合算した資料を連名で提出し(甲9ないし13、41、42)、公開ヒアリングの場で一致して東西均一接続料の維持とそのための交付金の必要性を訴える(甲85)など、NTT東西均一接続料の実現に向けて共同して行動していることが明らかであるから、本件改正省令がNTT東西均一接続料を規定していることをもって、両社の「意思連絡」を否定する根拠とすることはできない。 (エ) ところで、被告は、NTT東西は本件改正省令によって均一接続料の設定を覊束されているというが、たとえ省令に準拠したからといって、独禁法の適法を免れるものではない。公正取引 。 (エ) ところで、被告は、NTT東西は本件改正省令によって均一接続料の設定を覊束されているというが、たとえ省令に準拠したからといって、独禁法の適法を免れるものではない。公正取引委員会の平成6年6月30日付け「行政指導に関する独占禁止法上の考え方」は、独禁法の適用除外規定がない限り、行政指導によって誘発された行為であっても独禁法違反行為の要件に該当する場合は、当該行為に対する同法の適用が妨げられるものではないとしているが、これは独禁法に対して「法律優位の原則」が働くからであり、この理は、省令によって誘発された行為にも及ぶものというべきである。 (被告の主張)(1) 本件各処分の手続的適法性(原告ら主張の違法事由①について)ア事業法は、接続料規則の制定及び改廃並びに接続約款の認可についての手続要件として、総務大臣は、審議会等が軽微な事項と認めたものでない場合には、当該審議会に諮問しなければならない(事業法94条1項、4項)と規定し、実定法上、接続約款の認可に関し、その申請を行う事業者以外の者について何らかの手続を定めた規定はない。 被告は、本件省令の改正に際し、平成15年2月14日付けで情報通信審議会に諮問し(乙7)、同審議会から同年3月28日付けの答申を受けた(乙8)上で本件省令を改正し、同年4月11日、これを公布した。また、本件各処分については、被告は、同年4月18日、NTT東西から本件接続約款の認可申請を受け、同年4月22日付けで前記審議会に諮問し(乙4)、同日付けで、同審議会から答申を受け(乙5)、これを認可した。 このように、被告は、法律で定める手続にのっとり、本件省令の改正及び本件各処分を行ったものであって、手続的に何ら違法ではない。 イ原告 ら答申を受け(乙5)、これを認可した。 このように、被告は、法律で定める手続にのっとり、本件省令の改正及び本件各処分を行ったものであって、手続的に何ら違法ではない。 イ原告らは、被告が本件各処分をするに当たり原告らの意見を聴かなかったのは、意見聴取義務に反し、原告らの有する手続的利益を侵害するもので違法であるから、本件各処分も違法である旨主張し、その理由として、①情報通信審議会の手続規則には、諮問事項について意見聴取をしなければならないと定められている(議事手続規則2条)にもかかわらず、本件各処分について諮問を受けた同審議会が、利害関係人である原告らの意見聴取をしなかったこと、②本件各処分については接続事業者の意見を聴くべきというのが立法者意思であり、そのような意見聴取は慣習法ともなっていたこと、③原告らは意見聴取を受けなければ接続約款の内容を知り得ないのであるから、意見聴取をしなかったことはWTO基本合意参照文書に反すること等を挙げている。 ウ原告らの上記主張は、被告が本件各処分に際して、原告ら利害関係人に対する意見聴取義務を負っていることを前提としているが、事業法等の関係法令には、被告に、本件各処分に際して原告ら利害関係人の意見を聴取すべき義務を課した規定はなく、他に、申請に対する処分をするに際し、当該処分の名宛人である申請者以外の者について、意見聴取を義務づける法律もないことから(行政手続法13条参照)、原告ら利害関係人の意見を聴取することは手続要件ではなく、原告らの主張は前提を欠き失当である。 エまた、事業法は、総務大臣が情報通信審議会に諮問しなければならない場合として、接続約款を認可する場合を挙げており(94条1項)、議事手続規則2条1項3号は、接続約款に関する認可の調査審 エまた、事業法は、総務大臣が情報通信審議会に諮問しなければならない場合として、接続約款を認可する場合を挙げており(94条1項)、議事手続規則2条1項3号は、接続約款に関する認可の調査審議を行う場合には情報通信審議会議事規則5条による利害関係人の意見の聴取を行わなければならないとしているが、事業法は、情報通信審議会への諮問を義務づけているだけで、同審議会内部における調査審議の在り方に関し何ら規定を設けていないから、法律上、審議に際し、諮問対象事項について利害関係人に対する意見聴取義務は課せられておらず、上記議事手続規則は電気通信事業部会における自律的な規範にとどまり、本件各処分の手続要件ではないから、仮にその違反があったとしても、事業法に基づく本件各処分の違法を基礎づける事由とはならないというべきである。 オ情報通信審議会が原告らの意見聴取をしなかったとの主張に対する反論(ア) 議事手続規則2条1項本文及び3号が、第一種指定電気通信設備に関する接続約款の認可についての調査審議を行う場合には、利害関係人の意見の聴取を行わなければならないと規定した趣旨は、接続約款の認可の過程において、利害関係人を含む国民等の多様な意見・情報・専門知識を行政機関が把握するとともに、その過程の公正の確保と透明性の向上を図ることにあるが、この趣旨が損なわれないのであれば、意見聴取を実施する必要は認められないことから、議事規則2条1項ただし書きは、軽微な案件であって、部会が意見の聴取を要しないと認めるものについては、意見の聴取を必要的なものとはしていないのである。 これらの趣旨に照らしてみると、接続約款の認可に当たり、利害関係人を含む国民等の多様な意見、専門知識等を既に把握し、同認可の過程の公正さや透明性が確 なものとはしていないのである。 これらの趣旨に照らしてみると、接続約款の認可に当たり、利害関係人を含む国民等の多様な意見、専門知識等を既に把握し、同認可の過程の公正さや透明性が確保されているような場合には、議事規則2条1項ただし書きに該当するものとして、意見の聴取を行う必要がないというべきである。 被告は、平成15年4月22日、NTT東西からの本件接続約款の認可申請(乙2の1、2の2)を受け、これを認可することについて、事業法94条に基づき情報通信審議会電気通信事業部会に諮問したが(乙4)、同諮問における新たな論点は、仮精算の手続等に関するものであり、それ以外の点(接続料の変更等)については、本件改正省令に係る諮問において、原告ら接続事業者を含んだ国民一般を対象に意見の聴取が行われ、それを前提に審議がされ、論点は出し尽くされていた。また、仮精算の手続についても、本件改正省令に係る諮問に際して行われたヒアリングの際の接続事業者の意見を聴取してこれを斟酌したものであった。 したがって、同部会が電気通信事業者からの意見聴取を重ねて実施する必要はないと判断したことは、議事規則に違反しない。 (イ) ところで、原告らは、①本件省令の改正の前後では、精算の内容・対象に変更があった、②本件省令の改正の際に行われた意見聴取において接続事業者から更に議論を深める必要があるとの意見が提出されていた、③本件接続約款においても仮精算の導入や遡及適用を認めるなどの変更があったのであるから、本件改正省令に係る諮問の際に、接続事業者の意見聴取を行っていたとしても、本件各処分に係る諮問の際に、再度、接続事業者から意見聴取すべきであった旨主張する。 (ウ) しかし、上記①については、本件省令の改正の前後 際に、接続事業者の意見聴取を行っていたとしても、本件各処分に係る諮問の際に、再度、接続事業者から意見聴取すべきであった旨主張する。 (ウ) しかし、上記①については、本件省令の改正の前後で変更された点とは、トラヒックの減少分5パーセントは精算の対象外とする規定を除外し、NTT東西又は接続事業者各々の通信量の変動率に応じて精算する規定を追加したことと、ZC接続に係る接続料の精算について中継交換機能及び中継伝送機能を精算の対象から除外したことの2点であるが、前者は、精算制度がNTT東西のトラヒック増加インセンティブを削ぐとの意見を踏まえたものであり(乙24の1)、後者は、ZC接続事業者の意見を踏まえて精算の対象となる機能から除外したものであり(乙24の2)、これらの変更点は、本件省令改正のための情報通信審議会におけるヒアリング及びパブリック・コメント手続で得られた意見を踏まえたものであるから、これらの点について改めて意見聴取は不要であるとした判断は合理的である。 (エ) 次に、上記②については、長期増分費用モデルに基づく接続料の見直しは、平成14年3月以降、1年余りの期間をかけて議論されてきたものであり、接続事業者からも数度にわたるヒアリング等を経たものであって、そこでの成果以上に有益かつ新たな意見が提出される可能性に乏しかったものであるから、再度意見聴取を行う必要性に乏しいとの判断は合理的なものである。 (オ) さらに、上記③については、仮精算の導入は、既に本件省令改正に係る合同ヒアリングにおける接続事業者からの意見を斟酌した結果(乙24の2)であり、再度パブリック・コメントに付す必要性に乏しいことは明らかであり、本件約款の遡及規定については、本件約款を遡及適用すること自体は、本件省令改正に係るパブリッ 意見を斟酌した結果(乙24の2)であり、再度パブリック・コメントに付す必要性に乏しいことは明らかであり、本件約款の遡及規定については、本件約款を遡及適用すること自体は、本件省令改正に係るパブリック・コメントにおいて既に意見聴取をしていた事項であり、また当初の諮問案よりも接続事業者の予見性に配慮した内容であるから、再度意見聴取する必要がないとの判断は合理的なものである。 カ本件各処分の際に意見聴取することが立法者意思であるとの主張に対する反論審議会議事規則5条は、利害関係人その他の参考人から意見を聴取することができる(1項)、広く国民から意見を募集することができる(2項)旨規定し、これらの手続の実施を裁量にゆだねており、議事規則も、審議会議事規則5条の手続を行わない場合を規定している(2条1項ただし書き)ことからも明らかなように、審議会議事規則あるいは議事規則の制定者が意見聴取を常に必要とする意思であったとは解されない。また、意見聴取することが慣習法となっていたともいえない。 したがって、立法者意思、慣習法を根拠とする原告らの主張は失当である。 キ本件約款の内容を知り得ない原告らに対して意見聴取を行わなかったことがWTO基本合意参照文書に反するとの主張に対する反論WTO基本合意参照文書が直ちに本件省令の改正の手続的違法を基礎づけるものとは解されず、上記主張は失当である。 また、NTT東西は、接続約款を申請する場合は事前に報道発表を行うのを通例としており、本件接続約款の申請においても、申請前日に報道発表を行っているのであって、本件接続約款の内容を知りうる立場になかったとする原告らの主張はその前提を欠くものである。 さらに、被告は、原告らを含む接続事業者 申請においても、申請前日に報道発表を行っているのであって、本件接続約款の内容を知りうる立場になかったとする原告らの主張はその前提を欠くものである。 さらに、被告は、原告らを含む接続事業者からも公平に意見を聴取しているのであるから、原告らのWTO基本合意参照文書に反するとの主張は失当である。 (2) 原告らの他事考慮等の判断過程の過誤に基づく違法主張(違法事由②)についてア原告らは、①NTT東西の意見を優先的に聴取したこと、②NTT東西均一の接続料を認めるに至った過程が不透明であること、③NTT東西の経営問題を優先的に斟酌したことは、判断過程に他事考慮等の看過し難い過誤・欠落があるもので違法である旨主張しているが、以下に述べるように上記主張はいずれも失当であるイ NTT東西の意見を優先的に聴取したとの主張に対する反論(ア) 原告らの主張は、平成14年答申に係る情報通信審議会電気通信事業部会の接続委員会における審議の過程においてNTT東西の意見を優先的に聴取した旨主張するものであるが、これは被告が同審議会に対し、平成14年3月27日付けでした「長期増分費用モデルの見直しを踏まえた接続料算定の在り方」についての諮問における原告ら利害関係人の意見聴取の機会を問題とするものであるところ、上記諮問は、そこで検討された接続料算定の在り方が本件省令の改正内容として反映されることを予定していたため行われたものであり、本件省令の制定又は改廃そのものについてのものではないから、事業法上要求されているものではなく、原告らの上記主張は、本件各処分の手続要件でないものに関するものであって、まずこの点で主張自体失当である。 (イ) 合同ヒアリング上記接続委員会は、関係者からの意見聴取 上記主張は、本件各処分の手続要件でないものに関するものであって、まずこの点で主張自体失当である。 (イ) 合同ヒアリング上記接続委員会は、関係者からの意見聴取を目的として、平成14年4月16日、同月18日、同年6月21日、同年8月29日の4回にわたり、電気通信事業部会と合同で公開ヒアリング(以下「合同ヒアリング」という。)を行ったところ、各合同ヒアリングに招致されたのは、原告フュージョン・コミニュケーション以外の原告4社を含む電気通信事業者等であった。 (ウ) 接続委員会ヒアリングの実施接続委員会は、4回にわたる合同ヒアリングの他に審議に必要な事実関係の調査を行うことを目的とし、平成14年5月10日、同月30日、同年6月13日、同月28日及び同年7月12日の5回にわたり、関係事業者からヒアリングを実施した(以下「接続委員会ヒアリング」という。)。 平成14年6月13日のヒアリングは、接続料の算定に当たりどのような通信量を用いるかについて検討することを主たる目的とし、NTT東西、KDDI、日本テレコム及びTTnetの各電気通信事業者を招致し、これらの事業者から通信量の今後の動向について意見を聴取した。 平成14年5月10日、同月30日、同年6月13日、同月28日及び同年7月12日の接続委員会ヒアリングは、2次モデルに基づく算定値を適用した場合のNTT東西の経営に対する影響を検証することを目的とし、NTT東西を招致して、その経営状況等について意見を聴取した。 (エ) NTT東西に対するヒアリングと資料提出要求について合同ヒアリングにおけるNTT東西と他の事業者の招致回数には差異はなく、各 況等について意見を聴取した。 (エ) NTT東西に対するヒアリングと資料提出要求について合同ヒアリングにおけるNTT東西と他の事業者の招致回数には差異はなく、各合同ヒアリングは、各電気通信事業者に公平な時間配分で意見を述べる機会を付与し(乙19の1ないし19の3)、何ら不公平なところはなかった。また、接続委員会ヒアリングは、NTT東西のみを対象として、両社に対してのみ資料の提出を求めたことがあったが、これは、NTT東西の現実の費用構造、長期増分費用方式に基づき接続料を算定した場合にNTT東西の経営にいかなる影響を及ぼすか、NTT東西の経営効率化が十分であるか、さらには長期増分費用モデルに基づく費用が接続料の原価として適正であるか否かを検証し、NTT東西の財務状況その他の経営上の秘密にかかわる事項についても、両社に対して説明と資料の提出を求めたからであり、合理的な理由があった。 (オ) 平成14年答申等の内容がNTT東西の意見のみに基づくものであるとの主張について平成14年答申、本件改正省令及び本件各処分の内容がNTT東西の意見を一方的に反映したものでないことは、これらの内容にNTT東西が提出した意見とは反対の結論を導いたものが含まれていることからも明らかである。 すなわち、NTT東西は、長期増分費用モデル研究会から本件改正省令のパブリック・コメント時に至るまで、一貫して①長期増分費用方式を廃止すること、②仮に長期増分費用方式を使用する場合でも、事後精算は全額について行うこと、③長期増分費用方式の適用対象機能を拡大しないこと、④トランクポート(電話線中継接続器)等を個別事業者の負担とすべきことなどを主張したが(甲41、42)、本件改正省令において 全額について行うこと、③長期増分費用方式の適用対象機能を拡大しないこと、④トランクポート(電話線中継接続器)等を個別事業者の負担とすべきことなどを主張したが(甲41、42)、本件改正省令においては、①については平成15年度以降も長期増分費用方式を採用することとし、②については、事後精算を行う場合を通信量が15パーセント以上変動した場合とし、精算額についてもNTT東西とそれ以外の事業者とで通信量を変動させた割合に応じることとし、③については、平成15年度からPHS基地局回線伝送機能及び中継伝送専用機能について新たに長期増分費用方式で原価算定することとし、④については、ヒアリングにおける接続事業者の意見を踏まえて(乙20の1ないし20の2)、トランクポート等の扱いについてパブリック・コメントに付した答申案を変更した(乙20の3、11)。これらの事実に照らしても、NTT東西の一方的な意見に基づき平成14年答申が作成され、本件省令の改正がされ、あるいは本件各処分がされたとする原告らの主張は事実を誤認するもので失当である。 (カ) WTO基本合意参照文書に反するとの主張について原告らは、被告がNTT東西の意見のみに基づいて本件省令を改正し、本件各処分をしたもので、このことはWTO基本合意参照文書(サービスの貿易に関する一般協定の第4議定書第5項)に反する旨主張する。 しかし、そもそもWTO基本合意参照文書が直ちに本件省令改正の手続的違法を基礎づけるものとは解されず、また、上記のとおり前提となる事実を誤認するもので失当である。 ウ NTT東西均一接続料を認めるに至る過程が不透明であるとの主張について(ア) 原告らは、被告及び情報通信審議会の意思決定過程が不透明である旨主張す もので失当である。 ウ NTT東西均一接続料を認めるに至る過程が不透明であるとの主張について(ア) 原告らは、被告及び情報通信審議会の意思決定過程が不透明である旨主張するが、そのことが何故本件各処分の違法性を根拠づけるのか明らかではないことに加え、そもそも被告や情報通信審議会の意思決定過程の透明性なるものは、本件各処分の手続的要件ではないから、原告らの主張は、本件各処分の取消事由として主張自体失当である。 (イ) NTT東西均一接続料を認めるに至った経緯の反論原告らは、①衆参両院の総務委員会において、NTT東西の接続料が均一にすべきとの決議がされたこと、②情報通信審議会の委員が再任されなかったこと、③反対意見が有力であったにもかかわらず、情報通信審議会が従前の意見と矛盾する意思決定を行ったこと等をもって、本件改正省令・本件各処分に至る手続が透明性・公平性を欠くことを裏付けている旨主張する。 しかし、①については、国民の代表機関の責務として、ある政策課題について時々の情勢に応じて迅速に対応するものであって何ら不自然ではなく、国会の委員会での議論は、会議録あるいは報道を通じて国民の監視の下で行われるものであり、その結果としての委員会の意思は決議により表明されたものであるから、何ら不透明なものではなく、②については、委員の選任については被告の合理的な判断にゆだねられ、任期の満了した委員の再任を義務づけられるものではなく、再任されなかったことが異例の事実であるということも、被告が外部の働きかけに応じたということもなく、③については、平成14年答申が公表された後、被告に対して、西日本の地方自治体、地方議会、経済団体を中心にNTT東西均一の接続料の維持を求める要望書が多 が外部の働きかけに応じたということもなく、③については、平成14年答申が公表された後、被告に対して、西日本の地方自治体、地方議会、経済団体を中心にNTT東西均一の接続料の維持を求める要望書が多数提出されるなどした(乙28)ことから、情報通信審議会及び被告は、これらの意見も斟酌した上で意思決定をしたものであり、情報通信審議会及び被告が、反対意見を押し切って一方的にNTT東西均一接続料としたかのごとき原告らの主張は、前提となる事実を誤認するものであり、いずれも失当である。 エ NTT東西の経営問題を優先的に斟酌したとの主張について(ア) 原告らの上記主張の根拠として主張する点は、本件省令の改正過程の問題ではなく、本件改正省令の内容が違法といえるかに帰着する問題であり、主張自体失当である。 (イ) なお、前記被告主張で述べたように、情報通信審議会は、NTT東西にとって有利な点も不利な点も含めて答申をし、被告においてもその結論を尊重して本件省令を改正したものであり、被告及び情報通信審議会は、NTT東西の経営問題を優先的に斟酌したという事実がないことは明らかである。 (3) 事業法が認めない事後精算制度を導入した違法の主張(違法事由③)についての反論ア本件改正省令附則8項ないし10項は、平成15年度及び16年度に適用する接続料について、通信量が大幅に変動する場合には事後的に精算を行う旨規定しているが、これは、長期増分費用モデルによる算定値がNTT東西にとって目標値であって、接続料の変動がわずかである場合には精算を行うべきではないとの考慮に基づき、精算の発動する場合を限定することとし、これまでの通信量の変動のうち最大のものを超える水準をもって精算を行うべきとの観点から15パーセントの変 である場合には精算を行うべきではないとの考慮に基づき、精算の発動する場合を限定することとし、これまでの通信量の変動のうち最大のものを超える水準をもって精算を行うべきとの観点から15パーセントの変動をもって精算発動の要件としたものであり、これらの規定は、被告が、事業法38条の2第3項本文及び同項2号によって付与された裁量的権限に基づき、通信量が大幅に変動した場合に、接続料が適正な原価を算定するものとして本件改正省令で定める方法により算定された原価に照らして公正妥当なものとするために設けたものであって、合理性を有し、事業法38条の2第3項本文及び同項2号に反しない。 イこれに対し原告らは、①事業法に事後精算を認めた規定がなく、同制度が事業法の委任の範囲を超えていること、②長期増分費用方式では、事後精算を認めないのが立法者意思であること、③事後精算が遡及効の禁止という法の一般原則に反し無効であること、④長期増分費用方式の本質であるフォワードルッキング性に反すること、⑤事後精算の方法が公正妥当な接続料の算定という趣旨に反すること、⑥事後精算制度が再計算規定に反すること等を挙げて、事後精算制度は事業法に反する旨主張するが、以下に述べるように失当である。 ウ上記①(事業法に事後精算を認めた規定がない)について原告らは、事業法に事後精算を認めた規定がなく、接続料の再計算の規定のみがあることを理由に、本件改正省令は事業法の委任の範囲を超えている旨主張する。 しかし、事後精算制度は、通信量等が変動した場合に接続料が適正な原価を定めるものとして本件改正省令で定める方法により算定された原価に照らして公正妥当なものとするためのものであり、合理性を有し、事業法38条の2第3項本文及び2号に反しない。 場合に接続料が適正な原価を定めるものとして本件改正省令で定める方法により算定された原価に照らして公正妥当なものとするためのものであり、合理性を有し、事業法38条の2第3項本文及び2号に反しない。 エ上記②(立法者意思に反する)について原告らは長期増分費用方式が導入された際には精算の対象外とされたことをもって立法者が事後精算を認めない趣旨であるかのように主張するが、これは、激変緩和措置として、平成12年から14年までの接続料について、平成10年度の通信量を用いて比較的達成が容易な目標値としての接続料を設定し、これを3年間かけて段階的に実施するという内容であったことから、事後精算を行うと結果的にかかる激変緩和措置の効果が没却されることを考慮した措置であり、長期増分費用方式の導入当初において精算の対象外とされたことを理由として長期増分費用方式に精算制度を導入することが許されないとするのはかかる経緯を正解しないものである。 オ上記③(事後精算制度が遡及効の禁止に反し無効である)について原告らは、事業法に接続料を遡及適用する旨の規定がないことから、事後精算が遡及効の禁止という法の一般原則に反し無効である旨主張するが、原告らのいう遡及効の禁止なる法の一般原則が何を指すのか不明であるし、事後精算制度が事業法38条の2第3項及び同項2号に反しないことは前記のとおりであり、その他の違法も何ら存しないから、原告らの上記主張は失当である。 カ上記④(事後精算制度が長期増分費用方式におけるフォワードルッキング性に反する)について原告らは、フォワードルッキングという概念を将来を予測した値を用いて算定するという意味にとらえ、事後精算制度がフォワードルッキング性を本質 ォワードルッキング性に反する)について原告らは、フォワードルッキングという概念を将来を予測した値を用いて算定するという意味にとらえ、事後精算制度がフォワードルッキング性を本質とする長期増分費用方式とは相容れない旨主張する。 しかし、平成11年9月の「長期増分費用モデル研究会報告書」では「現在と同じ加入者数規模とトラヒックに対する処理能力を備えたネットワークを現時点で利用可能な最も低廉で最も効率的な設備と技術で新たに構築した場合の費用額」を「フォワード・ルッキング・コスト」と称しており、また、平成8年12月19日答申においては「フォワードルッキング(将来志向的)なコストデータ」という用語が用いられていることからもわかるとおり、フォワードルッキング(将来志向的)とは、実際に使用している設備・ネットワークを前提とするのではなく、現時点で利用可能な最も効率的な設備や技術を利用することを意味するものであるから、原告らの上記の主張は、フォワードルッキングの意義を正解しないもので失当である。 なお、原告らは、精算の意義を債務の確定前に概算で支払った費用につき債務の確定後に過不足を調整するための概念であり、実際費用方式を前提とするものであるとも主張する。 しかし、長期増分費用方式であっても、当該年度の実績としての通信量等が判明した後に適正な原価を算定するものとして総務省令で定める方法により算定された原価に照らして公正妥当なものではなかったと評価される可能性があることには変わりはなく、原告らの主張は、かかる点を看過するものであり失当である。 キ上記⑤(事後精算の方法が公正妥当な接続料の趣旨に反する)について原告らは、精算をするための要件を通信 く、原告らの主張は、かかる点を看過するものであり失当である。 キ上記⑤(事後精算の方法が公正妥当な接続料の趣旨に反する)について原告らは、精算をするための要件を通信量が15パーセントを超えて変動した場合と定めたことには、合理的な根拠がなく恣意的に設定された要件であると主張する。 しかし、事後精算制度は、通信量の変動により直近の通信量を用いて事前に算定した接続料が適正な原価を算定するものとして総務省令で定める方法により算定された原価に照らして公正妥当でなかったことが判明した場合にこれを是正する手段であり、この趣旨に照らせば、通信量の変動の幅によらずに、いかなる変動であろうとも通信量の変動が認められる限り精算することも考えられるが、長期増分費用モデルによる算定値がNTT東西にとって目標値であることから、接続料の変動がわずかである場合には精算を行うべきでないとの考慮に基づき、精算を行う場合を限定したものである。そして、過去の状況に鑑み、これまでの通信量の変動のうち最大のものを超える水準をもって精算を行うべき変動があったものと判断することとし、この観点から15パーセントの変動をもって精算を行う要件としたのであり、合理性を有する。 なお、原告らは、全体の通信量が15パーセントを超えて変動した場合に精算を行うことから、ある社が通信量を増加させても他社が通信量を減らしてしまえば、全体として精算を要することとなり不合理である旨主張する。 しかし、前記の事後精算制度の趣旨からは、本来的にいかなるものの原因により通信量が減少したかにかかわらず通信量の変動がある限り行うものであるし、接続料が通信量に応じて支払う性質のものである以上、通信量を増加させた者ほど結果として からは、本来的にいかなるものの原因により通信量が減少したかにかかわらず通信量の変動がある限り行うものであるし、接続料が通信量に応じて支払う性質のものである以上、通信量を増加させた者ほど結果として精算総額が増大するのは当然のことであり、原告の上記主張は失当である。 ク上記⑥(事後精算制度が再計算規定に反する)について原告らは、事後精算について、事業法38条の2第12項で定める場合以外に精算のための再計算が義務付けられることとなり違法であると主張する。 しかし、事業法38条の2第12項が再計算の義務を規定したのは、時間の経過に伴い、原価及び接続料の算定に用いる数値の元となるデータが変動する可能性があり、適正な原価を算定するものとして総務省令で定める方法により算定された原価に照らし妥当な接続料が変わりうることから、新たに適用される接続料が適正な原価に照らし公正妥当かを定期的に検証することとしたものであり、このような趣旨に照らすと、同項は、その委任を受けた接続料規則20条において定める期間とは別の時期に一定の要請に基づき再計算を行うことは何ら禁じていないというべきである。 したがって、事後的な精算により事業法38条の2第12項に定める以外の場合に再計算を行うことは何ら同項に反しない。 (4) 原価の異なるNTT東西の接続料を均一とした違法主張(違法事由④についてア本件改正省令附則6項は、平成15年度及び16年度に適用する主に長期増分費用方式が適用される接続料について、NTT東日本及びNTT西日本の原価及び通信量等を合算して算定する旨規定しているが、これは、被告が、事業法38条の2第3項本文及び同項2号によって付与された裁量的権限に基づき、ユニバーサル ついて、NTT東日本及びNTT西日本の原価及び通信量等を合算して算定する旨規定しているが、これは、被告が、事業法38条の2第3項本文及び同項2号によって付与された裁量的権限に基づき、ユニバーサルサービスの考え方に基づくNTT法3条及び事業法72条の5の趣旨を考慮し、NTT東西の接続料に格差が生じることにより利用者料金に看過し難い格差が生じることがないようにし、もって、接続料が適正な原価を算定するものとして本件改正省令で定める方法により算定された原価に照らし公正妥当なものとするために設けられたものであって、合理性を有し、事業法38条の2第3項本文及び同項2号に反しない。 すなわち、電話の役務の提供は国民生活に不可欠なものであり、利用者である国民の生活に与える影響を考慮し、国民の電気通信サービスの利用の公平を実質的に確保するためには、全国民が公平に電気通信役務の提供を受けられるように電気通信設備を整備するにとどまらず、地域間の利用者料金に看過し難い格差が生じることのないようにすることが望まれるところ、接続料は、NTT東西が電気通信役務を提供することの対価であり、利用者が支払う利用者料金の原価の一部として利用者料金と密接な関係にあるから、NTT東西の接続料に看過し難い格差が生じれば、利用者料金に影響を与えることになることからすれば、被告が、接続料について、適切な原価を算定するものとして総務省令で定める方法により算定された原価に照らし公正妥当なものとするため、NTT法3条及び事業法72条の5の趣旨を考慮に入れて、NTT東西の接続料の格差により利用者料金に看過し難い格差を生じることのないようにすることは、事業法38条の2第3項2号が予定しているところであり、本件においては、長期増分費用モデルを前提に、NTT東西別に接続 接続料の格差により利用者料金に看過し難い格差を生じることのないようにすることは、事業法38条の2第3項2号が予定しているところであり、本件においては、長期増分費用モデルを前提に、NTT東西別に接続料を試算したところ、両社の間に約30パーセントの格差が生じることとなり、これは、NTT東西の市内通話3分間当たりの利用者料金で約2円の格差が生ずることを意味するものであることから、主に長期増分費用方式により原価が算定されることになるNTT東西の接続料について、NTT東西のそれぞれの原価及び通信量を合算して算定するものとして、両社均一とすることを規定したものであり、合理性を有するものである。 イこれに対し、原告らは、①本来NTT東西の接続料の原価が異なること、②平成15年法律第125号により、NTT法に附則16条を追加したのは、それ以前にされた本件各処分が違法であることの証左であること、③ユニバーサルサービスの責務は、NTT東西均一接続料によるべきではなく、ユニバーサルサービス基金によって措置すべきである旨主張している。 ウしかし、上記原告の主張①については、NTT法3条の趣旨は、事業法においても考慮されるべきであり、不当な料金格差が生ずることのないように是正措置を採ることは、事業法38条の2第3項2号に反せず、原告らの主張は、NTT法3条の趣旨と事業法の関係、同法38条の2第3項2号の解釈を誤っており、失当である。なお、原告らは、本件で問題となっているのは接続料の均一性であり、利用者料金の均一性ではないとも主張しているが、接続料と利用者料金とは密接な関係にあることを看過するものであって、この点も失当である。 エ上記原告の主張②については、もともと、基礎的電気通信役務についてNTT東西均一料金とすることは事業法38条 用者料金とは密接な関係にあることを看過するものであって、この点も失当である。 エ上記原告の主張②については、もともと、基礎的電気通信役務についてNTT東西均一料金とすることは事業法38条の2第3項2号に合致するものであるが、NTT法附則16条の交付金の対象となる機能については総務省令で委任されており、基礎的電気通信役務に係る機能以外の機能に係る接続料もNTT東西均一とされ、交付金が交付されることとなる可能性があったことから、そのような場合に違法ではないかとの疑念を解消するために同条2項が注意的に規定されたものであり、この規定によって違法な行為を適法なものとする趣旨ではないから、失当である。 オ上記原告の主張③については、NTT法附則16条に基づく金銭の交付制度に対する批判とはなり得ても、接続料を均一とすることの適否とは関係がなく、またNTT法附則16条に基づく金銭の交付制度があること自体、費用補填の方法としてユニバーサルサービス基金による交付金以外に金銭を交付することを許容しているというべきであるから失当である。 (5) 適正な原価に基づかない接続料を認めた違法の主張(違法事由⑤)についての反論ア原告らは、本件改正省令が、①き線点装置等のNTSコストを接続料の原価に含めていること、②伝送装置について不適切な耐用年数を使用していること、③不適切な効率化係数を使用していることは、事業法38条の2第3項2号及び4項の委任の範囲を逸脱しており、本件接続約款の定める接続料は適正な原価に基づかない旨主張しているが、以下の理由により原告らの主張は失当である。 イ本件改正省令の事業法適合性(ア) NTSコストを接続料の原価に含めていることに関する主張(①)事業法38条 の理由により原告らの主張は失当である。 イ本件改正省令の事業法適合性(ア) NTSコストを接続料の原価に含めていることに関する主張(①)事業法38条の2第4項は、原価の算定方法について、「通信量又は回線数の増加に応じて増加することとなる当該第一種指定電気通信設備に係る費用を勘案する」と規定しており、ここにいう回線数には加入者回線数も含まれると解すべきところ、本件改正省令4条別表第1の1は、事業法38条の2第4項が総務省令に委任した原価の算定方法に関する事項としてNTSコストを接続料に関する原価に含める旨規定しているが、これは情報通信審議会の平成14年答申を踏まえ、NTSコストを基本料金の費用範囲とすれば値上げ圧力となることや、我が国が従来から政策的にNTSコストの一部を接続料で回収し、基本料を安く設定してきたという経緯に照らしても国民の利便を可及的に確保することに資することなどを考慮した結果定められたものであって、合理性を有し、何ら委任の趣旨に反しない。 すなわち、情報通信審議会の平成14年答申では、費用の発生要因に応じて当該費用を回収すべきであるとの考え方に基づけば、通信量ではなく、加入者回線数に応じて需要が変動するき線点装置の費用は、回線単位で回収することが適当との議論もあり、その場合の費用負担の方法として、利用者が負担する基本料の費用範囲とする方法、加入者交換機とは別に回線単位でNTT東西及び接続事業者が負担する方法も検討されたが、き線点装置のみでも1回線当たり月額約107円の費用増となり、基本料の費用範囲とすれば値上げ圧力となること、また、意見聴取の場において、消費者団体から同費用の回収方法の変更に対して反対の意見が多く提出されたことから、基本料の費用範囲 円の費用増となり、基本料の費用範囲とすれば値上げ圧力となること、また、意見聴取の場において、消費者団体から同費用の回収方法の変更に対して反対の意見が多く提出されたことから、基本料の費用範囲とする方法はなお慎重な検討を要し、社会的合意も困難であると指摘され、また、事業者が回線単位で負担する方法については具体的な接続料の設定が技術的に困難であること等が指摘されたことから、本件改正省令では、き線点装置の費用を原価算定の際に斟酌することとしたものである。なお、我が国においては、加入電話ネットワークへの加入を可能な限り低廉な形で国民全体に保証するという考え方から、従来から政策的にNTSコストの一部を通話料で回収し、基本料を安く設定してきたという経緯があり、このような経緯に照らしても、国民の利便を可及的に確保するため、NTSコストを接続料の原価に含めたことは、合理性を有する。 これに対して、原告らは、本件改正省令がNTSコストを接続料の原価に含めていることが事業法の委任の範囲を超える旨の主張の根拠として、①き線点装置に係る費用を接続料の原価に含めないことは、経済理論上も、欧米諸国における実務上も支持されていると考えられること、②NTSコストを原価に含めることはWTO基本合意参照文書に反すること、③き線点装置は加入者交換機の機能を代替していないにもかかわらず、接続料原価に含めていること、④利用者は、NTSコストを通信コストとして負担する以上、それが基本料として回収されるか、通信料として回収されるかの違いにすぎないこと、⑤規制緩和及び競争政策に関する日米協議において平成14年中にNTSコストの扱いについて決定することにしたとの合意に違反していることなどの点を挙げている。 しかし、原告らの上記① 緩和及び競争政策に関する日米協議において平成14年中にNTSコストの扱いについて決定することにしたとの合意に違反していることなどの点を挙げている。 しかし、原告らの上記①の主張については、き線点装置の費用は、接続料から回収するものであるか、回線単位のものとして基本料から回収すべきかについて両論が成り立ち得るものであり、一義的に決まるものではなく、諸外国におけるき線点装置を含むNTSコストの回収方法をみても、欧州各国では従量制接続料からNTSコストを回収しないが、米国では接続料による事業者負担から基本料による利用者負担に移行してきているとされているのであって(乙11)、結局、各国は、NTSコストの回収方法を政策的に決定しているのであり、経済理論上、NTSコストを接続料の原価に含めるべきか否かが一義的に決定されるものではないというべきである。 原告らの上記②の主張は、WTO合意参照文書に違反することが、直ちに本件改正省令の違法を基礎付けるものではない点において既に失当であるのみならず、WTO基本合意参照文書に規定する「cost-oriented」とは、相互接続が「原価に照らして定められる」料金に基づいて提供されることを求めるものであり、原価と料金の間の関連性の存在を要求するものであるが、その意義については確定的な解釈はなく、「cost-oriented」な原価にはNTSコストを含まないということが確定しているものではないから失当である。 原告らの上記③の主張は、平成11年9月20日付けの「長期増分費用モデル研究会」報告書(甲43)を根拠とするものであるが、同報告書は、「き線点装置型についても、交換機の機能の一部を提供しているという考え方も可能ではある。」旨記載しており 0日付けの「長期増分費用モデル研究会」報告書(甲43)を根拠とするものであるが、同報告書は、「き線点装置型についても、交換機の機能の一部を提供しているという考え方も可能ではある。」旨記載しており、き線点装置について、端末回線に帰属する設備であるという側面の他に、交換機の機能の一部を提供しているという側面も有していることを指摘しているのであるから、同報告書を恣意的に引用するもので失当である。 原告らの上記④の主張は、基本料は通信量の多寡にかかわらないものであり、通話料で負担するか、基本料で負担するかで、現実の負担の在り方は大きく異なること、基本料については、事業法31条3項により「能率的な経営の下における適正な原価及び物価その他の経済事情を考慮して、通常実現することができると認められる水準の料金を料金指数により定める」こととされており、その在り方について事業法上別の規制がされているのであるから、単純に通話料でなければ基本料で負担すればよいなどとすることはできないのであるから失当である。 原告らの上記⑤の主張は、法的拘束力のない「第3回日米共同現状報告」を根拠とするものであって、その違反が本件改正省令の違法を基礎付けるものではないことは明らかであるし、NTSコストの取扱いについて、上記報告に違反してその決定が正当な理由なく先送りされている事実もなく、いずれにせよ失当である。 (イ) 伝送装置の経済的耐用年数に関する主張(②)本件改正省令6条別表第4の3が、事業法38条の2第4項が総務省令に委任した原価の算定方法に関する事項として、接続委員会による審議結果を踏まえ、伝送装置の耐用年数を8.8年と設定したのは、合理性を有し、何ら委任の趣旨に反しない。 の2第4項が総務省令に委任した原価の算定方法に関する事項として、接続委員会による審議結果を踏まえ、伝送装置の耐用年数を8.8年と設定したのは、合理性を有し、何ら委任の趣旨に反しない。 すなわち、接続委員会では、伝送装置の撤去実績が把握されていなかったことからモデルに用いられている各種の伝送装置について事業者に最長使用年数を照会したところ、ADM以外の伝送装置は10年を超え、ADMのみは法定耐用年数である6年を下回るという回答があった。そこで、接続委員会においては、伝送装置の大容量化・容量当たりの料金低廉化は今後も継続され、短期間に機能の陳腐化が生じると見込まれることから、最新式のADMは、法定耐用年数である6年も使用されることはないと予想されたものの、その一方で、ADMの使用年数の見込みを断定できるだけの根拠もなかったことから、経済的耐用年数については法定耐用年数である6年とみなすこととした。 本件改正省令は、このような接続委員会での議論を踏まえてADMを含めた伝送装置全体について8.8年という経済的耐用年数を設定したもので、内容的にも合理性があり、何ら委任の趣旨に反しない。 これに対して、原告らは、電気通信設備が法定耐用年数を超えて使用されることを当然の前提として、英国及び米国と比較して我が国の伝送装置の耐用年数が恣意的に低く抑えられている旨主張している。 しかし、対象となる資産によっては、経済的耐用年数が法定耐用年数を上回る場合もあれば、他方で、技術革新等により、高性能化、陳腐化の速度が速く、機器の入れ替えが頻繁であるために経済的耐用年数が法定耐用年数を下回る場合もあるから、電気通信設備が当然に法定耐用年数を超えて使用されるとの前提に誤り 術革新等により、高性能化、陳腐化の速度が速く、機器の入れ替えが頻繁であるために経済的耐用年数が法定耐用年数を下回る場合もあるから、電気通信設備が当然に法定耐用年数を超えて使用されるとの前提に誤りがある。また、平成14年3月に公表された長期増分費用モデル研究会報告書(甲53)においても指摘されているとおり、例えば、管路やメタルケーブルについては、日本のモデルと米国のモデルがほぼ同等の数値を用いる一方で、英国では管路について、日本と米国の2分の1に相当する数値を用いるなど、米国モデル、英国モデルにおいても、それぞれの事情に応じて異なる経済的耐用年数を設定しており、原告らが伝送装置の一部のみをもって、経済的耐用年数の算定が不合理であるとすることには、合理的な根拠がない。 (ウ) 効率化係数に関する主張(③)本件改正省令6条別表第4の3は、事業法38条の2第4項が総務省令に委任した原価の算定方法に関する事項として、年間3パーセントという効率化係数を用いて算定された施設保全費を規定しているが、これはNTT東西の平成12年度事業計画における保守委託費の低減目標値である3パーセントを効率化係数として採用することとしたもので、合理性を有し、何ら委任の趣旨に反しない。 これに対し、原告らは、平成14年度における実際費用方式による労務費について、NTT東日本において年間6.9パーセント、NTT西日本において年間10.5パーセントの引き下げがなされ、NTT東西の実情が明らかになっていたにもかかわらず、長期増分費用モデルの入力値に年間3パーセントという効率化係数を用いたことはNTT東西の実情を反映しないもので事業法に反すると主張する。 しかし、この労務費は平成14年度における 増分費用モデルの入力値に年間3パーセントという効率化係数を用いたことはNTT東西の実情を反映しないもので事業法に反すると主張する。 しかし、この労務費は平成14年度における見込みを反映したもので実績値でないことに加え、既に年間10パーセントの低減を実現すれば毎年度10パーセントの低減を目標としなければならないわけではなく、あくまでも合理的な根拠に基づき目標値が設定されれば、毎年度どのようにその水準に向けた効率化を実施するかは事業者の自主的な判断にゆだねられるべきであり、効率化係数が単年度における費用低減の状況と一致しないことをもって直ちに不当となるものではないから、原告の主張は失当である。 (6) 変更約款の適用時期を認可前に遡及させた違法主張(違法事由⑥)についての反論ア原告らは、事業法には、本件接続約款の効力を遡及させる規定がないのに、平成15年4月22日にされた本件各処分により本件接続約款の適用期間が同月11日からとされていることは、法律行為不遡及という法の一般原則に反し違法であると主張する。 イ原告らの主張の根拠は明らかではないが、仮に刑罰法規の不遡及(憲法39条)の趣旨を援用するもの又は名宛人に不利益を及ぼすような法的効果を規定した法規の遡及適用を禁止するという一般原則が存在するという趣旨であれば、以下のとおり、失当である。 すなわち、本件接続約款は、NTT東西と接続事業者との間で締結される契約の内容となるものであって、それ自体法規ではなく、接続約款は事業法38条の2第2項に基づく被告の認可を受けなければならないところ、認可とは、私人間の法律行為を完成させ、そこに新たな法律関係を設定させるものにすぎず、契約の内容の決定は当事者間の意思によるものであって、 条の2第2項に基づく被告の認可を受けなければならないところ、認可とは、私人間の法律行為を完成させ、そこに新たな法律関係を設定させるものにすぎず、契約の内容の決定は当事者間の意思によるものであって、契約成立前に遡及して契約の効果を及ぼすこと自体は当事者間の合意によって可能である。 したがって、本件接続約款において、その適用期間の始期を遡及させ、本件各処分がその内容を認可するものだとしても、その適用期間の始期はあくまでも契約によって決定されることであり、不利益な法的効果を規定した法規の遡及適用が問題となる場面とは全く異なるものであるから、原告らの上記主張は失当である。 (7) 独占禁止法違反の違法主張(違法事由⑦)に対する反論ア原告らは、本件接続約款の認可申請は、NTT東西均一接続料の設定を目的にされたものであり、不当な取引制限を禁止する独禁法3条に違反し、また、独禁法の目的とする公正競争を電気通信市場に適用したものが事業法1条(目的)の規定であり、独禁法に違反する本件接続約款の申請は、事業法1条にも違反するとして、本件接続約款を認可した本件各処分は違法である旨主張する。 しかし、原告らの主張は、独禁法の解釈適用を誤るものであり、失当である。 イ独禁法3条の不当な取引制限に該当しないこと(ア) 独禁法において「不当な取引制限」とは、「事業者が、契約、協定その他何らの名義をもってするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限すること」と定義されていることからすれば(独禁 設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限すること」と定義されていることからすれば(独禁法2条6項)、「不当な取引制限」というためには、上記の「他の事業者と共同して対価を決定…する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行する」という共同行為が必要となる。 そして、独禁法2条6項にいう「共同して」に該当するというためには、複数事業者が対価を引き上げるに当たって、相互の間に意思の連絡があったと認められることが必要であり、複数の事業者相互間において価格の引き上げ等について「意思の連絡」があるというためには、事業者がある程度自由に価格を決定できること等が前提となる。 (イ) そこで、本件における接続料設定の在り方をみると、まず、本件接続約款は、接続料についてNTT東西で均一に設定されているが、これは、本件改正省令附則6項が原価及び通信量等を合算して接続料を算定すると規定していることに基づくものであり、この点についてNTT東西が自由に決定できる余地はない。 また、同項が規定する機能のうち本件接続約款の認可申請対象となるのは、原価の算定について長期増分費用方式が適用される機能であり、原価の算定に当たってNTT東西が自由に決定できる余地はない。 さらに、本件改正省令附則5項は、接続料の前提となる原価の算定等に用いる通信量等は平成13年度下半期及び平成14年度上半期のものを用いると規定しているが、この点においてもNTT東西が自由に決定できる余地はない。 したがって、接続料の設定について、NTT東西には、その意思によって決定する自由はなく、「意思の連絡 規定しているが、この点においてもNTT東西が自由に決定できる余地はない。 したがって、接続料の設定について、NTT東西には、その意思によって決定する自由はなく、「意思の連絡」はあり得ず、NTT東西による共同行為は観念できないから、本件接続約款の認可申請は、独禁法の不当な取引制限に該当しない。 3 争点以上によれば、本件の争点は、①情報通信審議会の諮問手続において、原告ら事業者の意見聴取をしなかった点が手続違法事由といえるか、また処分の取消事由となるか、②被告の判断過程に他事考慮等の過誤に基づく違法事由があったかどうか、③事後精算制度を総務省令において定めた点が事業法の委任の範囲を逸脱した違法事由といえるか、④総務省令においてNTT東西の接続料を均一に定めた点が事業法の委任の範囲を逸脱した違法事由といえるか、⑤総務省令の原価算定方法に事業法の委任した適正な原価に基づかないという違法事由があるといえるか、⑥変更接続約款の適用時期を認可前に遡及させた点が違法事由といえるか、⑦NTT東西が接続料を均一とする約款を作成したこと等が独占禁止法3条に違反するかである。 第3 当裁判所の判断 1 違法事由①(接続事業者の意見聴取をしなかった違法)について(1) 法令の定め事業法94条1号は、接続約款の認可については審議会に諮問すべき旨規定し、これを受けた情報通信審議会は同審議会議事規則を定め、審議会は、その調査審議に当たり、必要と認めるときは、当該調査審議事項と関連する利害関係者その他の参考人から公聴会その他の方法により意見を聴取することができる旨規定している(同規則5条1項、甲18)。そして情報通信審議会電気通信事業部会(以下「部会」という。)が接続等に関する事項の調査審議を行う場合の議事手続に の他の方法により意見を聴取することができる旨規定している(同規則5条1項、甲18)。そして情報通信審議会電気通信事業部会(以下「部会」という。)が接続等に関する事項の調査審議を行う場合の議事手続について定めた議事手続規則2条3号(甲19)は、部会長は、第一種指定電気通信設備に関する接続約款に関する認可について調査審議を行う場合は、軽微な案件であって、部会が意見の聴取を要しないと認めるものを除き、情報通信審議会議事規則5条の規定による意見の聴取を行わなければならない旨規定している。 (2) 電気通信審議会(当時)は、平成8年12月19日付けで、接続の基本的ルールの在り方についての答申を出し、その中で接続ルールの策定・執行に関する行政における透明性及びデュープロセスの確保を図るため、①接続ルールの見直し、接続約款の認可など接続ルールの策定・執行に関して措置を講じる場合には、原則として審議会に諮問すべきこととし、②審議会においては、関係者に対して意見を述べる機会を与えることを提言した。(甲20)なお、電気通信審議会は、これまでは、接続約款の認可に当たり、接続事業者の意見聴取を実施しており(甲21、24ないし28)、接続約款認可の前提となる省令改正の際に意見聴取がなされていたことを理由に接続約款認可の際の意見聴取が省略された例はなかった(甲29)。 (3) 本件接続約款認可に至る経緯被告は、平成14年3月27日、長期増分費用モデルの見直しを踏まえた接続料算定の在り方について情報通信審議会に諮問し(乙10)、同審議会は同年9月13日平成14年答申をまとめたこと(乙11)、総務省は、平成14年答申を受けて、平成15年2月14日、本件省令の一部改正案について情報通信審議会に諮問を行い(乙7)、同審議会は、同年3 は同年9月13日平成14年答申をまとめたこと(乙11)、総務省は、平成14年答申を受けて、平成15年2月14日、本件省令の一部改正案について情報通信審議会に諮問を行い(乙7)、同審議会は、同年3月28日、精算の方法や遡及日等の一部の修正事項を除いて、前記諮問案を適当とする旨の平成15年答申をまとめたこと(乙8)、これを受けて、総務省は、同年4月11日、平成15年答申にそって本件省令を改正したこと、NTT東西は同年4月18日、被告に対し、本件改正省令に基づき接続約款の変更申請を行い、総務省は同月22日、情報通信審議会に諮問したところ、同審議会は、同日審議を行い、本件の問題点は、平成14年答申、平成15年答申において審議が尽くされており、新たに意見募集に付す必要はないとして、即日認可することが適当であるとの答申を出し、被告は同日、上記答申を受けて本件各処分をしたことは当事者間に争いがない。 (4) 諮問手続の瑕疵と処分の違法性との関係について原告らは、「本件接続約款の認可について諮問を受けた情報通信審議会が、利害関係人である原告らの意見を聴取しないまま答申を行ったことは違法であり、このような違法な答申に基づく本件各処分も違法である。」という趣旨の主張をするのに対し、被告は、「情報通信審議会が利害関係人の意見聴取を行うことは法律上の義務ではないし、仮にこれが法律上の義務であったとしても、先行して行われた手続において、利害関係人の意見聴取が十分にされており、改めて意見聴取をする必要はなかったものであるから、いずれにせよ情報通信審議会の答申に違法はなく、したがって、本件各処分も違法ではない。」という趣旨の主張をする。 ところで、一般に行政庁が行政処分をするに当たり諮問機関に諮問し、その決定を尊重して処分をしなけ 議会の答申に違法はなく、したがって、本件各処分も違法ではない。」という趣旨の主張をする。 ところで、一般に行政庁が行政処分をするに当たり諮問機関に諮問し、その決定を尊重して処分をしなければならない旨を法が定めているのは、処分行政庁が、諮問機関の答申を慎重に検討し、これに十分な配慮を払い、特段の合理的な理由のない限りこれに反する処分をしないよう要求することにより、当該行政処分の客観的な適正妥当と公正を担保することを法が所期しているためであると考えられるから、このような諮問手続の重要性にかんがみると、行政処分が諮問を経ないでされた場合はもちろん、これを経た場合においても、当該諮問機関の審理、答申の過程に重大な法規違反があることなどにより、その答申自体に上記のような趣旨に反すると認められるような瑕疵があるときは、これを経てされた行政処分も違法となるものと解される(最高裁判所第1小法廷昭和50年5月29日判決、民集29巻5号662頁)から、本件においては、情報通信審議会の審理、答申の過程に上記のような意味での重大な法規違反等があるかどうかが問題となるので、以下、この点について判断する。 (5) 重大な法規違反等の有無についてア情報通信審議会における利害関係人の意見聴取については、事業法上特段の規定は置かれていないが、前述のとおり、情報審議会議事規則5条は、審議会は、その調査審議に当たり、必要と認めるときは、利害関係人その他の参考人から意見を聴取することができる旨を定め、議事手続規則2条は、部会長は、接続約款に関する認可については、軽微な案件を除き、上記の意見聴取を行わなければならない旨を定めている。 被告は、「これらの規定は、情報通信審議会の内部手続を定めたものにすぎないから、これに違反があったとしても ついては、軽微な案件を除き、上記の意見聴取を行わなければならない旨を定めている。 被告は、「これらの規定は、情報通信審議会の内部手続を定めたものにすぎないから、これに違反があったとしても、同審議会の審理、答申が違法となるものではない。」という趣旨の主張をしている。しかし、事業法が、本件接続認可について情報通信審議会への諮問を要求しているのは、同審議会における専門的かつ中立的な審議を経た上で最終判断を下すことが、専門技術的判断が要求される同処分の適正を図る上でも、また、公正な処分の実現という観点からも相当であるという趣旨に基づくものであると考えられるところ、同審議会における審議が、上記のような目的にかなうものとなるためには、その基礎となるべき関連諸事項に関する具体的事実について、多面的で、かつ、できるだけ正確な客観資料を収集し、その分析、究明に基づく適切な事実認定が行われ、それに基づいて判断がされる必要があるものと考えられるところ、利害関係人への意見聴取がこのような目的を達する上で果たす意義は小さくないものと考えられる。 また、認可の許否は、認可申請者のみならず原告ら接続事業者にも重大な影響を及ぼすものである上に、接続条件は、もともと事業者間協議による接続協定により契約方式で決定されてきたが、接続に関して公正有効競争条件を確保するため、接続約款認可制度が導入されたものであり、このような経緯に照らしてみても、接続約款の認可に当たっては接続事業者に意見を述べる機会を与える必要があるものと考えられる。 以上のように考えていくと、情報通信審議会議事規則や議事手続規則の上記各規定は、単に内部手続を定めたにすぎないものではなく、情報審議会の審理の適正と公正を担保するとともに、接続事業者ら利害関係人の利益を保障すること いくと、情報通信審議会議事規則や議事手続規則の上記各規定は、単に内部手続を定めたにすぎないものではなく、情報審議会の審理の適正と公正を担保するとともに、接続事業者ら利害関係人の利益を保障することを目的としたものであると解すべきであるから、これらの規定に違反した場合には、同審議会の審理手続が違法となり、ひいては、その答申に基づく認可が違法となることもあり得るものというべきである。 イそこで、本件において、本件各処分の違法をもたらすような手続違反があったどうかを検討するに、本件接続約款の諮問を受けた情報審議会において利害関係人の意見聴取は行われなかったことは前認定のとおりであるが、他方、同審議会は、これに先だって、本件改正省令に関する諮問を受け、平成15年答申を行っており、その審理に当たっては、利害関係人である接続事業者を含む国民一般を対象に意見聴取が行われている(乙8)。そして、本件接続認可と本件改正省令では、その内容がほぼ一致しており、本件接続認可において取り上げられた事項である仮精算の手続も、平成15年答申の審理に当たり、接続事業者から、予測困難な事後精算制度の導入は事業計画の策定を困難にし、安定的な経営を阻害するという意見が出されたため、接続事業者が当該年度中に概算払いによって費用計上をすることを可能とするために、NTT東西において通信料等の見込みに基づいて年度末に仮精算を行うこととしたものであり、利害関係人の意向を反映した事項であるといえることなどを考慮すると、本件接続認可の諮問手続において問題とされていた事項は、基本的には、平成15年答申の審理の際に、既に利害関係人からの意見聴取が行われた事項であったと評価することが可能である。 これに対し、原告らは、①本件改正省令の前後では、精算の内容に変更があり(トラヒ 平成15年答申の審理の際に、既に利害関係人からの意見聴取が行われた事項であったと評価することが可能である。 これに対し、原告らは、①本件改正省令の前後では、精算の内容に変更があり(トラヒック減少分5パーセントは精算の対象外とする規定を除外しNTT東西又は接続事業者各々の通信量の変動率に応じて精算する)、②接続約款の施行時期についても変更があった上、③本件改正省令の審議に当たって行われた意見聴取においては、接続事業者から更に議論を深める必要があるとの意見が提出されていたのであるから、本件接続約款認可の諮問の際には、再度、利害関係人である接続事業者から意見聴取すべきである旨主張する。 しかし、①の点は、本件省令の改正案においては事後精算を行う場合が、「その影響額のうち5パーセントを超えた部分について精算する」とされていたのを、情報通信審議会における意見聴取手続で、精算制度が導入されれば、NTT東西は、トラヒックの減少により接続料の値上げを享受するため、トラヒックを増加させようというインセンティブが働かなくなるという意見が出されたことを踏まえて、平成15年答申において、精算を行う場合には、NTT東西と接続事業者との間の精算に係る負担額を各々の通信量の変動量の比率で配分したものとし、自らのトラヒックの変動に対して応分の負担をすることが適当であるとの答申がされたものであり(乙8)、利害関係人の意見聴取の手続がとられ、その意見が反映した結果の変更であり、②の点は、本件省令の改正案においては、認可を受けた接続約款に定める接続料を平成15年4月1日に遡及して適用するとしていたのを(乙26)、本件改正省令交付の日(平成15年4月11日)から本件各処分までの日のいずれかの日まで遡及することができることに変更したものであるが(本件改正省 年4月1日に遡及して適用するとしていたのを(乙26)、本件改正省令交付の日(平成15年4月11日)から本件各処分までの日のいずれかの日まで遡及することができることに変更したものであるが(本件改正省令附則7項)、本件約款を遡及適用すること自体は、本件省令改正の諮問に係る審議手続において、既に利害関係人から意見聴取していた事項であり、また遡及の起算日について当初の諮問案よりも接続事業者の予見性に配慮した内容になっていたのであるから、これらの点については、いずれも既に利害関係人の意見聴取がされていたものと評価することが可能である。そして、③の点については、情報通信審議会が、本件省令改正の諮問については、既に議論を尽くしたものとして平成15年答申を行ったものである以上、利害関係人から更に議論を尽くす必要があるとの主張がされていたからといって、これに従わなければならない理由はないものといわざるを得ない(このような意見に従わなければならないとすれば、同審議会における審理手続が際限もなく続くことになりかねないし、議論を尽くしたとする同審議会の判断に明らかな誤りがあったと認めることもできない。)。 以上の点に照らしてみると、本件接続約款の認可そのものは、議事手続規則2条にいう「軽微な案件」とはいい難いところがあり、その意味において、利害関係人の意見聴取を行わなかったことが同条の規定に適合したものといえるかどうかには疑問の余地があるものの、諮問に係る事項については、既に平成15年答申のための審理手続において、利害関係人の意見聴取が行われており、改めて意見聴取を行う必要性は必ずしも高いものではなかったことからすると、その瑕疵が、情報通信審議会に対する諮問を経ることを定めた事業法の規定の趣旨を損なうほど重大なものであったということはできない。し 意見聴取を行う必要性は必ずしも高いものではなかったことからすると、その瑕疵が、情報通信審議会に対する諮問を経ることを定めた事業法の規定の趣旨を損なうほど重大なものであったということはできない。したがって、同審議会の答申に基づいてされた本件各処分も、違法ということはできないものというべきである。 2 違法事由②(他事考慮等の判断過程の過誤に基づく違法)について(1) 原告らは、本件省令改正・本件各処分に至る過程においては、①NTT東西の意見を優先的に聴取したこと、②NTT東西均一接続料を認めるに至った過程が不透明であること、③NTT東西の経営問題を優先的に斟酌したことといった問題点があり、これらは、本件各処分が他事考慮等に基づくものであって、違法であることを裏付けていると主張する。 (2) ①(NTT東西の意見を優先的に聴取した)について原告らの主張は、平成14年答申に係る情報通信審議会電気通信事業部会の接続委員会における審議に際してされた利害関係人の意見聴取方法を問題とするものであるが、上記委員会での審議の経緯については、以下の事実が認められる。 ア合同ヒアリング上記接続委員会においては、関係者からの意見聴取を目的として、原告フュージョン・コミニュケーション以外の原告4社を含む電気通信事業者を招致して平成14年4月16日、同月18日、同年6月21日、同年8月29日の4回にわたり電気通信事業部会と合同で合同ヒアリングを行った(乙11)。 第1回、第2回、第4回合同ヒアリングは、主に電気通信事業者からの意見聴取を目的として行われ、第1回合同ヒアリングは、NTT東西、原告KDDI株式会社(以下「原告KDDI」という。)及び東京通信ネットワーク株式会社(以下「TTn ングは、主に電気通信事業者からの意見聴取を目的として行われ、第1回合同ヒアリングは、NTT東西、原告KDDI株式会社(以下「原告KDDI」という。)及び東京通信ネットワーク株式会社(以下「TTnet」という。)を対象として、第2回合同ヒアリングは、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、原告日本テレコム株式会社(以下「原告日本テレコム」という。)、ボーダフォン・ジャパン株式会社、原告日本テレコム・アイディーシー株式会社(当時の名称は、原告ケーブル・アンド・ワイヤレス・アイディーシー株式会社)の各事業者及び全国消費者団体連絡会を対象として、第4回合同ヒアリングは、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社を除く上記各電気通信事業者等を対象として、それぞれ開催された(乙17)。 各合同ヒアリングは、各電気通信事業者に公平な時間配分で各論点について意見を述べる機会が付与された(乙19の1ないし3)。 なお、第3回合同ヒアリングは、主に電気通信事業のユーザーからの意見聴取を目的とし、消費者団体等を対象として開催された。 そして、平成14年答申の草案は、接続委員会及び電気通信事業部会の審議を経て、平成14年8月1日、いわゆるパブリック・コメント手続に付された(乙18)。 イ接続委員会における調査接続委員会は、平成14年5月10日(第22回接続委員会)、同月30日(第24回接続委員会)、同年6月13日(第26回接続委員会)、同月28日(第27回接続委員会)及び同年7月12日(第29回接続委員会)の5回(以下「接続委員会ヒアリング」という。)にわたり関係事業者からヒアリングを実施した(乙17)。 第26回接続委員会のヒアリングは、接続料の算定 月12日(第29回接続委員会)の5回(以下「接続委員会ヒアリング」という。)にわたり関係事業者からヒアリングを実施した(乙17)。 第26回接続委員会のヒアリングは、接続料の算定に当たりどのような通信量を用いるかについて検討することを主たる目的として行われ、NTT東西、原告KDDI、原告日本テレコム及びTTnetの各電気通信事業者を招致し、これらの事業者から通信量の今後の動向について意見を聴取した(争いのない事実)。 第22回接続委員会、第24回接続委員会、第26回接続委員会、第27回接続委員会及び第29回接続委員会の接続委員会ヒアリングは、2次モデルに基づく算定値を適用した場合のNTT東西の経営に対する影響を検証することを目的として行われ、NTT東西を招致し、長期増分費用モデルに基づく費用が接続料の原価として適正か否かを判断するため、NTT東西の経営状況について意見を聴取したほか、NTSコストを基本料から回収することが可能か否かを検討するため、今後の基本料収支の動向について意見を聴取するとともに資料の提出を求めた(争いのない事実)。 ウこのように合同ヒアリングにおけるNTT東西と他の接続事業者の招致回数、時間配分には差異はなく、公平に行われたものと評価し得る。 また、接続委員会ヒアリングは、NTT東西のみを対象としてなされ、また両社に対してのみ資料の提出を求めた事実が認められるが、その目的が長期増分費用モデルに基づく費用が接続料の原価として適正か否かを判断することにある以上、その判断に当たっては、NTT東西から現実の費用構造等の資料の提出を求めて、同モデルに基づく費用が接続料の原価として適正であるか検証することが必要不可欠であるし、その際NTT東西の経営の内容、財務状況その他の経営 っては、NTT東西から現実の費用構造等の資料の提出を求めて、同モデルに基づく費用が接続料の原価として適正であるか検証することが必要不可欠であるし、その際NTT東西の経営の内容、財務状況その他の経営の秘密にかかわる事項についても説明と資料の提出を求めることがあり得ることからすれば、NTT東西に対するヒアリングの回数が多くなり、両社に対してのみ経営資料の提出を求めたとしても(もっとも合同ヒアリングにおいては他の接続事業者に対して資料の提出を求めている)、それには合理的な理由があり、直ちにNTT東西の意見を優先したと認めるのは困難である。 (3) ②(NTT東西均一接続料を認めるに至った過程が不透明である)の主張についてア原告らは、東西均一接続料を強く主張した委員が再任されなかった点等を問題として、NTT東西の接続料が均一とされるに至った意思形成過程が不透明であるとの主張をするところ、この主張の趣旨は必ずしも明らかではないが、本件各処分における判断過程において他事考慮等がなされ、一定の結論に導くために、強引かつ不公正な手続が行われたという趣旨に理解することもできるので、以下この点について検討を加えることとする。 イ NTT東西均一接続料を認めるに至る経過(ア) 平成14年答申長期増分費用モデルの1次モデルは、平成12年9月に設置されたモデル研究会における検討により見直され、2次モデルが提示されたため、被告は、平成14年3月、2次モデルを踏まえた接続料の算定方法の在り方を情報通信審議会に対して諮問した(乙10)。 情報通信審議会は、平成14年答申において、NTT東西に適用する接続料は、NTT東西それぞれの長期増分費用方式により算定したコストとするのが最善の方法であるが、実際のモ した(乙10)。 情報通信審議会は、平成14年答申において、NTT東西に適用する接続料は、NTT東西それぞれの長期増分費用方式により算定したコストとするのが最善の方法であるが、実際のモデル適用においては、NTT東日本の経営に及ぼす影響や、西日本エリアの利用者へ与える影響について配慮することが必要であり、例えば長期増分費用方式により算定したコストに基づく接続料水準を即時に適用するのではなく、年度ごとに段階的に適用する等の措置を講じる必要があるとの答申をした(乙11)。 (イ) 衆参両院総務委員会決議等衆参両院の総務委員会は、平成14年11月28日、ユニバーサルサービスの趣旨に鑑み、NTTの接続料については平成15年度以降も引き続き東西均一を維持し、ユーザー料金に地域格差が生じることがないよう適切な措置を講ずる旨の決議を行った(乙9の1、2)。 (ウ) 情報通信審議会委員の退任情報通信審議会委員29名は、平成15年1月6日に任期満了となったため、被告は「学識経験のある者のうちから、総務大臣が任命する」と規定する情報通信審議会令2条に基づき、この29名のうち20名を再任し、9名を再任しないこととしたが、再任されなかった委員の中には、東西均一接続料に強く反対する委員が含まれていた(争いのない事実)。 (エ) NTT東西の接続料を均一にすることについての意見聴取平成14年答申が公表された後、被告に対して、西日本の地方自治体、地方議会、経済団体を中心に24件のNTT東西均一接続料の維持を求める要望書が提出された(乙28)。 情報通信審議会によるパブリック・コメント手続においては、主に地方公共団体から、NTT東西均一接続料とすることに賛成する意見と、原 均一接続料の維持を求める要望書が提出された(乙28)。 情報通信審議会によるパブリック・コメント手続においては、主に地方公共団体から、NTT東西均一接続料とすることに賛成する意見と、原告らを含む事業者等からこれに反対する意見提出がなされた(乙8)。 平成15年2月12日には、学者等21名からNTT東西均一接続料とすることに反対する緊急声明が出された(乙29の1)。 (オ) 平成15年答申電気通信事業部会は、本件省令改正について審議し、平成15年3月28日、平成15年度及び16年度に適用される接続料については東西均一とする旨の答申をした(乙8)。 ウこのように、NTT東西均一接続料を認めない旨の平成14年答申が公表された後、NTT東西均一接続料の維持を求める意見も多数提出されていたものであり、情報通信審議会がこれらの意見を斟酌した上で平成15年答申を行い、本件省令が改正されたものであることが認められる。原告らは、NTT東西均一接続料に反対した委員が再任されなかったこと等を根拠に、何らかの不当な政治的圧力がかかって、平成14年答申が覆されたもので行政の公平性、透明性に欠ける旨主張するが、平成15年答申がなされるに至った経緯は上記認定のとおりであって、東西均一接続料に反対する委員の不再任には、これまでの慣例と異なる側面があったものの、他に審議会委員に対して何らかの圧力が加えられた等の事情を認めるに足りる証拠はないことからすれば、上記の点のみを根拠として、一定の結論に導くための強引かつ不公正な手続が行われたと断ずることはできず、原告の主張を認めるのは困難である。 (4) ③(NTT東西の経営問題を優先的に斟酌した)の主張について原告らは上記③の主張の根拠として、本件改正 な手続が行われたと断ずることはできず、原告の主張を認めるのは困難である。 (4) ③(NTT東西の経営問題を優先的に斟酌した)の主張について原告らは上記③の主張の根拠として、本件改正省令、本件各処分においては、東西均一接続料、NTSコストの接続料原価の算入、事後精算制度の導入などNTT東西に有利な措置が採用されているなどと主張するが、これらはいずれも本件改正省令及びこれに基づく本件各処分の内容の適否の問題として論ずべきものである(この点については後に検討する。)。もっとも、本件省令改正及び本件各処分に至る過程において、NTT東西の意見のみが採用されるというような事態が生じていたとすれば、そのような事情を不公正な判断が行われたことを推認する一要素とみる余地もないわけではないが、NTT東西が提出した意見のうち、①長期増分費用方式を廃止すること、②仮に長期増分費用方式を使用する場合でも、事後精算は全額について行うこと、③長期増分費用方式の適用対象機能を拡大しないこと、④トランクポート(電話線中継接続器)等を個別事業者の負担とすべきこと(甲41、42)等は採用されず、①については平成15年度以降も長期増分費用方式を採用することとし、②については、事後精算を行う場合を通信量が15パーセント以上変動した場合とし、精算額についてもNTT東西とそれ以外の事業者とで通信量を変動させた割合に応じることとし、③については、平成15年度からPHS基地局回線伝送機能及び中継伝送専用機能について新たに長期増分費用方式で原価算定することとし、④については、ヒアリングにおける接続事業者の意見を踏まえて(乙20の1ないし20の2)、トランクポート等の扱いについてパブリック・コメントに付した答申案が変更されている(乙11、20の3)ところ、これらの点は ヒアリングにおける接続事業者の意見を踏まえて(乙20の1ないし20の2)、トランクポート等の扱いについてパブリック・コメントに付した答申案が変更されている(乙11、20の3)ところ、これらの点は、いずれもNTT東西の利益に少なからぬ影響を及ぼす事項であることを考えると、NTT東西の意見のみが採用されたとは到底いうことができない。 (5) 以上の次第で、この点に関する原告らの主張はすべて失当というほかはない。 3 違法事由③(事業法が認めない事後精算制度を導入した違法)について(1) 本件改正省令の内容本件改正省令附則8項ないし10項は、平成15年度及び平成16年度に適用する接続料について、平成15年度又は平成16年度の通信の総時間が平成13年度下期及び平成14年度上期の通信の総時間と比較して15パーセントを超えて変動した場合には、事後的な精算を行うこととし、精算に係る負担額は、NTT東西と接続事業者の各々の通信量の変動率の比率で配分したものとする旨規定している。 (2) 事業法38条の2第3項2号は、接続料は、能率的な経営の下における適正な原価を算定するものとして総務省令で定める方法により算定された原価に照らして公正妥当なものでなければならないと定め、同条4項は、上記の総務省令で定める方法とは、第一種指定電気通信設備を通常用いることができる高度で新しい電気通信技術を利用した効率的なものとなるように新たに構成するものとした場合に、当該第一種指定電気通信設備との接続により当該第一種指定通信設備によって提供される電気通信役務に係る通信料又は回線数の増加に応じて増加することとなる当該第一種指定通信設備に係る費用を勘案して原価を算定するものでなければならないと定めている。 このように、事業法は、接続料算定の根拠と に係る通信料又は回線数の増加に応じて増加することとなる当該第一種指定通信設備に係る費用を勘案して原価を算定するものでなければならないと定めている。 このように、事業法は、接続料算定の根拠となるべき適正な原価の算定方法として、長期増分費用方式を採用することを定めた上で、それに基づく具体的な算定方法の定めを総務省令に委任したものであるが、このような委任がされた趣旨は、接続料に関する原価の算定方法については、通信網の構造、電気通信技術の動向等に関する専門技術的な知識や会計に関する専門知識等が不可欠であり、また、事情の変化に適正に対応して判断する必要もあることから、算定方法の具体化を総務省令に委任したものと解される。このような委任の趣旨に照らしてみると、総務省令において算定方法を具体化するに当たっては、専門技術的観点からの裁量が認められるものというべきであるが、他方、総務省令において、委任の趣旨に反するような定め、例えば、長期増分費用方式が採用されたことと矛盾、抵触するような定めが置かれた場合には、そのような定めは事業法の委任の範囲を超えるものとして違法無効となるものと解される。また、被告は、接続料の額がこのようにして定められた原価に照らして公正妥当なものであるかどうかを判断するについて裁量権を有するが、その裁量権行使が、事業法の趣旨を逸脱する場合には、やはり違法になるものと解される。 ところで、長期増分費用方式は、新規参入者が現時点で最も低廉で効率的な設備と技術を前提として、現在需要をまかなうネットワークを構築した場合の費用を算定するものであり、独占的な地域通信網に仮想的な競争を導入することによって、既存事業者の非効率性を排除したコスト計算を行おうとするものであり、一つのモデルを前提とした計算方法なのであるから、モデルが採 するものであり、独占的な地域通信網に仮想的な競争を導入することによって、既存事業者の非効率性を排除したコスト計算を行おうとするものであり、一つのモデルを前提とした計算方法なのであるから、モデルが採用した数値と現実の数値とが乖離したからといって直ちにそれを是正する措置を講じるのではモデルを採用した意味がなくなる反面、モデルの前提を覆すような事情の変更が生じた場合にまで、あくまでもモデルに基づく計算にこだわることは非現実的であるといわざるを得ない。本件改正省令は、このような観点から、現在需要の指標であるトラヒックに着目し、その減少が僅かである場合にまで精算を行うことは、NTT東西が、トラヒックを減少させた場合でも接続料に係る精算額を確保することが可能となるという結果をもたらし、トラヒックを増加させようというインセンティブが働かなくなるおそれがあり妥当ではないが、過去の変動のうち最大のものである15パーセントを超えるトラヒックの減少が生じた場合には、モデルに基づく計算をそのまま適用することを不相当とするような事情変更があったものとして、精算を行うが、その場合であっても、トラヒックの減少が15パーセントに近い水準に達すると、トラヒックを減少させることによって精算が行われ、逆にNTT東西の収益を増加させることが考えられ、トラヒックを増加させるインセンティブが働かなくなるおそれがあることから、精算を行う場合には、NTT東西と接続事業者との間の精算に係る負担額を各々の通信量の変動率の比率で配分したものとし、自らのトラヒックの変動に対し応分の負担をさせることとしたものであって、このような算定方法には、原価に照らして公正妥当な接続料額を定める方法として一応の合理性があり、長期増分費用方式を採用した趣旨にも反するものではないというべきである。なお、全 こととしたものであって、このような算定方法には、原価に照らして公正妥当な接続料額を定める方法として一応の合理性があり、長期増分費用方式を採用した趣旨にも反するものではないというべきである。なお、全体の通信量が15パーセントを超えて変動した場合に精算が行われることから、ある社が通信量を増加させても他社が通信量を減少させると、全体として精算が発生し、通信量を増加させた者ほど精算総額が増加することになることは否めないが、接続料は、通信量に応じて支払う性質のものである以上、このことは、必ずしも不合理な結果であるとはいえないものというべきである。 したがって、本件改正省令において事後精算制度を設けたことが、事業法の委任の範囲内を超えるものであるとはいい難い。 (3) この点原告らは、①事業法には事後精算を認めた規定がないから、事後精算制度を本件改正省令で規定したのは事業法の委任の範囲を超えている、②実際費用方式においては省令で事後精算が規定されていたところ、長期増分費用方式が導入された際に接続料規則22条かっこ書きにおいて精算の対象外とされたことからすれば、事後精算を認めないのが事業法の趣旨である、③事後精算制度は法の一般原則である遡及効禁止の原則に反している、④事後精算制度は長期増分費用方式の本質であるフォワードルッキング性と相容れないものであるから、事後精算を認めないのが事業法の趣旨である、⑤事後精算の方法が公正妥当な接続料の算定という事業法の趣旨に反している、⑥事業法38条の2第12項の再計算規定に違反している旨主張している。 しかし、①、④、⑤については、一定の事情変更があった場合に精算を行うこととすることが、長期増分費用方式やこれを採用した事業法の規定に反するものではないことは前記のとおりであり( 。 しかし、①、④、⑤については、一定の事情変更があった場合に精算を行うこととすることが、長期増分費用方式やこれを採用した事業法の規定に反するものではないことは前記のとおりであり(なお、原告らが強調する長期増分費用方式のフォワードルッキング性も、事後精算をおよそ不相当とするものであるとはいい難い。)、②については、長期増分費用方式導入当初において事後精算制度が設けられなかったからといって、その後も事後精算制度を設けないことが事業法の趣旨であると解する根拠はない上、導入当初の規定は、平成12年度から14年度にかけての接続料について、NTT東西の経営に及ぼす影響を緩和するため、平成10年度の通信量を用いることを可能とし、長期増分費用方式モデルによって算定された原価に基づく接続料を平成14年度までの3年間段階的に実施することとしたことから、事後精算制度を導入するとこのような激変緩和措置の効果が没却されることを考慮したものと解することが可能であり、③については、事後精算は、本件改正省令において当初から予定されている事柄であって、事情変更が生じた後になって省令を改正し、それを遡及適用させようとしているわけではないのであるから、遡及効禁止の問題が生じる余地はないものというべきであり、⑥については、モデルの有効性を前提とした上で、事情変更に基づく調整を行う事後精算制度と、モデルの前提となっている数値そのものの見直しを行う再計算制度という趣旨の異なる制度を同一視した誤った前提に基づく主張であって、失当というほかはなく、結局、原告らの上記主張はいずれも採用できない。 4 違法事由④(東西均一料金を定めた違法)について(1) 事業法と本件改正省令の定めア事業法の定め事業法38条の2は、指定電気通信設備を設 いずれも採用できない。 4 違法事由④(東西均一料金を定めた違法)について(1) 事業法と本件改正省令の定めア事業法の定め事業法38条の2は、指定電気通信設備を設置する電気通信事業者が定めるべき接続約款に関して次のように規定している。 同条2項前項の規定により指定された電気通信設備(以下「第一種指定電気通信設備」という。)を設置する第一種電気通信事業者は、当該第一種指定電気通信設備と他の電気通信事業者の電気通信設備との接続に関し、当該第一種電気通信事業者が取得すべき金額(接続料)及び接続の条件について接続約款を定め、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。 同条3項総務大臣は、前項の認可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときは、同項の認可をしなければならない。 同項2号接続料が能率的な経営の下における適正な原価を算定するものとして総務省令で定める方法により算定された原価に照らし公正妥当なものであること同条4項前項2号の総務省令で定める方法(同項第1号ロの総務省令で定める機能のうち、高度で新しい電気通信技術の導入によって、第一種指定電気通信設備との接続による当該機能に係る電気通信役務の提供の効率化が相当程度図られると認められるものとして総務省令で定める機能に係る接続料に限る。)は、第一種指定電気通信設備を通常用いることができる高度で新しい電気通信技術を利用した効率的なものとなるように新たに構成するものとした場合に当該第一種指定電気通信設備との接続により当該第一種指定電気通信設備によって提供される電気通信役務に係る通信量又は回線数の増加に応じて増加することとなる当該第一種指定電気通信設備に係る費用を勘案して原価を算 指定電気通信設備との接続により当該第一種指定電気通信設備によって提供される電気通信役務に係る通信量又は回線数の増加に応じて増加することとなる当該第一種指定電気通信設備に係る費用を勘案して原価を算定するものでなければならない。 イ本件改正省令の定め事業法38条の2第3項2号、4項を受けて、本件改正省令は次の趣旨の規定をしている。すなわち、(ア) 附則6項は、NTT東西が設置する指定電気通信設備のうち、4条の表が掲げる加入者交換機能(ただし同表備考三のヘの機能を除く)、信号制御機能、優先接続機能、市内伝送機能、中継系伝送機能、中継伝送共用機能、中継伝送専用機能、信号伝送機能に係る平成15年、16年度の接続料については、両社の原価及び通信量等を合算して算定する旨を定め、これにより、平成15年、16年度のNTT東西の前記機能に係る接続料は均一となった。 (イ) 5条は、事業法38条の2第4項の総務省令で定める機能は、4条の表に掲げる基地局設備用端末回線伝送機能、加入者交換機能(ただし同表備考三のイからニまでの機能及びヘの機能を除く)、市内伝送機能、中継系伝送機能、中継伝送共用機能、中継伝送専用機能、信号伝送機能とする旨を定めており、これによって、NTT東西均一接続料に係る機能は概ね事業法38条の2第4項(長期増分費用方式)の適用があることになった。 (2) 本件改正省令と事業法との整合性についてア以上のような事業法の定めは、能率的な経営の下における適正な原価を算定する方法について、長期費用増分方式を採用すべきことを定めた上で(事業法38条の2第4項)、その具体的な計算方法の定めを総務省令に委任し(同条3項2号)、また、最終的に定められるべき接続料は、総務省令によって具体的に定められた方法に 採用すべきことを定めた上で(事業法38条の2第4項)、その具体的な計算方法の定めを総務省令に委任し(同条3項2号)、また、最終的に定められるべき接続料は、総務省令によって具体的に定められた方法に従って算定された原価に照らして公正妥当なものでなければならない旨を定めているものである(同号)。 そして、総務省令において具体的な原価計算方法を定めるに当たっては、専門技術的観点からの裁量が認められるものというべきであるが、その定めが事業法の委任の範囲を逸脱するものであったり、著しく不合理なものであった場合には、その定めが無効となることはいうまでもない。また、最終的な接続料の額は、総務省令が定める方法に従って算定された原価に照らして公正妥当なものでなければならないところ、原価に照らして公正妥当かどうかの判断に当たっても、接続約款の認可権限を有する被告の裁量が認められるべきものであるが、この点に関する被告の判断が、事業法の趣旨を逸脱するものであったり、社会通念上著しく不合理であったりした場合には、その判断は違法となるものというべきである。 他方、本件改正省令附則6項は、この規定が、平成15年、16年度の「接続料」については、NTT東西両社の原価及び通信料等を合算して算定すると定めていることや、事業法38条の2が、接続料等を定める接続約款は、電気通信事業者が個別的に認可申請をすることを予定しており、したがって、接続料を定める前提となるべき原価計算も、電気通信事業者ごとに行われることが予定されているものと解されることからすると、原価計算の方法に関する定めとしてNTT東西均一の原価計算を行うことを定めたものではなく(そのように解すると、同項の規定は、NTT東西両社の原価等を合算して計算することを定めており、個別的な原価計算を予定して 法に関する定めとしてNTT東西均一の原価計算を行うことを定めたものではなく(そのように解すると、同項の規定は、NTT東西両社の原価等を合算して計算することを定めており、個別的な原価計算を予定している事業法の趣旨に反することにならざるを得ない。)、原価計算に照らして「公正妥当」な接続料を定めるに当たって、NTT東西両社の合算計算を行う旨を定めたものと解される。なお、原告らは、本件改正省令の中で、公正妥当な接続料の算定方法を定めることは、事業法の委任の趣旨を超える旨の主張もしているが、被告は、事業法によって、公正妥当な接続料の認定権限を与えられているのであるから、その権限行使の基準を本件改正省令において定めることが、事業法の委任の範囲を超えるものではないことは明らかである。 イ本件では、上記のような附則6項の規定が、事業法の定めやその趣旨に違反するものであるかどうかが問題となるわけであるが、本件改正省令に基づいて算出されるべき原価の額は、NTT東西それぞれについて個別的に定められるべきものであって、両社で当然に異なると考えられるのであるから(被告は、非効率性を排除したコストベースでは、NTT東西間で、原価に約30パーセントの格差が生じたことを自認している。)、これに照らして公正妥当な接続料の額を、原価に適正な利潤を加えた額であると考える限り、NTT東西均一接続料が公正妥当な接続料であるということは困難であるといわざるを得ないし、このこと自体は、被告も否定するものではないと解される。 そこで、被告は、「NTT東西がユニバーサルサービスを提供すべきことを定めるNTT法3条や、事業法72条の5の趣旨に照らし、NTT東西均一接続料が要請されるものであるところ、接続料が原価に照らして公正妥当なものであるかどうかの判断に当たっては ビスを提供すべきことを定めるNTT法3条や、事業法72条の5の趣旨に照らし、NTT東西均一接続料が要請されるものであるところ、接続料が原価に照らして公正妥当なものであるかどうかの判断に当たっては、このような要請を考慮することも予定されている。そして、本件省令改正に当たって、構築された長期増分費用モデルを前提に、NTT東西別に接続料を試算したところ、非効率性を排除したコストベースでは、NTT東西間で、接続料に約30パーセントの格差が生じ、これは、NTT東西の市内通話3分間当たりの利用者料金で約2円の格差を生ずることを意味するものであったため、ユニバーサルサービスの観点から、平成17年3月31日までの間は、接続料を東西均一としたものであって、このような定めは、原価に照らして公正妥当なものといえる。」という趣旨の主張をする。 ウ被告の主張の適否を判断する前提として、NTT法や事業法におけるユニバーサルサービスの定めの内容をみると、次のとおりである。 (ア) ユニバーサルサービスに関する法令の内容aNTT法3条は、NTT東西の責務として、NTT東西は、それぞれその事業を営むに当たっては、常に経営が適切かつ効率的に行われるように配慮し、国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保に寄与するとともに、今後の社会経済の進展に果たすべき電気通信の役割の重要性にかんがみ、電気通信技術に関する研究の推進及びその成果の普及を通じて我が国の電気通信の創意ある向上発展に寄与し、もって公共の福祉の増進に資するよう努めなければならない旨規定している。 これは、電気通信分野における競争の進展は、より一層多様かつ低廉なサービスを国民利用者が享受することが可能とする一方、国民生活に不可欠 進に資するよう努めなければならない旨規定している。 これは、電気通信分野における競争の進展は、より一層多様かつ低廉なサービスを国民利用者が享受することが可能とする一方、国民生活に不可欠なサービスであって、誰もが利用可能な料金など適切な条件で、あまねく日本全国において公平かつ安定的な提供の確保が図られるべきサービス(ユニバーサルサービス)の提供の確保が不可欠であることから、NTT東西に対し、当該役務の提供確保を法の責務としたものであると解される。 b 事業法は、1条において、電気通信事業の公共性にかんがみ、電気通信の健全な発展及び国民の利便の確保を図ることを目的とし、72条の5において、基礎的電気通信役務(国民生活に不可欠であるためあまねく日本全国における提供が確保されるべきものとして総務省令で定める電気通信役務)を提供する電気通信事業者は、その適切、公平かつ安定的な提供に努めなければならない旨規定している。 (イ) ユニバーサルサービス基金a ユニバーサルサービス基金制度の創設された経緯について郵政大臣(当時)は、平成12年7月、電気通信審議会に「IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方」について諮問をし、これを受けて、同審議会は平成12年12月に第1次答申をまとめたが、その中で基金方式によるユニバーサルサービス確保策を立法化するよう提言し(甲61)、平成14年事業法改正によりユニバーサル基金制度が創設された。 b 制度趣旨NTT東西の責務として加入電話サービス等のユニバーサルサービスの提供を確保している現行の法的枠組みにおいて、今後、地域通信市場、とりわけ都市部等の採算地域において競争の進展が見込まれる中、従来、NTT東西の採算地域か 加入電話サービス等のユニバーサルサービスの提供を確保している現行の法的枠組みにおいて、今後、地域通信市場、とりわけ都市部等の採算地域において競争の進展が見込まれる中、従来、NTT東西の採算地域から不採算地域への地域間の補てんによりその提供が確保されてきたが、NTT東西のコスト負担のみによっては、その提供を維持することが困難となり、不採算地域においては国民利用者の利便性の確保が図られないおそれがあると考えられることから、当該ユニバーサルサービスの提供に係る所要のコストについてNTT東西以外の電気通信事業者についてもユニバーサルサービス提供の確保に係る応分のコストを負担する新たな枠組みが必要であるとしてユニバーサルサービス基金制度が創設された。 c ユニバーサルサービス基金制度の基本的仕組み(a) 一定の要件の下に基礎的電気通信役務を提供する第一種電気通信事業者は、当該事業者の申請により総務大臣から適格電気通信事業者の指定を受け、当該役務の提供に係るコストの一部について、交付金の交付を受けることができる(事業法72条の8、9)。 (b) 上記の交付金の交付に充てるため、適格電気通信事業者が基礎的電気通信役務を提供するために設置している電気通信設備と直接若しくは間接に接続する事業者等から負担金を徴収する(事業法72条の10)。 (c) 上記の適格電気通信事業者に対する交付金の交付、コスト負担事業者からの負担金の徴収等の事務を行う機関として、総務大臣はその申請に基づき基礎的電気通信役務支援機関(以下「支援機関」という。)を指定することができる(事業法72条の6)。 (d) 具体的な交付金の交付の仕組みとしては、まず適格電気通信事業者が交付金の算定に必要とされる資料(基礎的電気通信役務の提 関」という。)を指定することができる(事業法72条の6)。 (d) 具体的な交付金の交付の仕組みとしては、まず適格電気通信事業者が交付金の算定に必要とされる資料(基礎的電気通信役務の提供に係る原価、収益等)を支援機関に提出し、同機関は、提出された資料を元に交付金の算定を行い、総務大臣の認可を経て、コスト負担事業者から負担金を徴収することとされている(事業法72条の9、10)。 エこのように、ユニバーサルサービスの考え方は、電話の役務の提供が国民生活に不可欠なものであるため、すべての国民が公平に電気通信役務の提供を受けられることを要請するというものであり、事業法1条で電気通信事業の公共性について規定し、同法72条の5において基礎的通信役務の提供についてユニバーサルサービスの趣旨に基づく規定が設けられていることからすれば、事業法の解釈にもユニバーサルサービスの考え方が反映される場合があると解するのが相当であり、この点では被告の主張には正当なものがあるといえる。 しかし、ユニバーサルサービスとは、「国民生活に不可欠な電気の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供」を確保することを意味するところ(NTT法3条、事業法72条の5)、「公平」な提供の中には、利用料金の公平も含まれるとはいえ、そのことから直ちに利用料金が同一でなければならないとまではいえないし、利用料金の「公平」を実現するための手段としては、様々なものが考えられるのであって、接続料を同一とすることがその唯一の手段であるということもできない。このように考えると、ユニバーサルサービスの定めがあることから論理必然的に接続料が均一であることが導き出される、あるいは許容されているとはいえないのであって、NTT東西均一接続料が要請あるいは許容さ このように考えると、ユニバーサルサービスの定めがあることから論理必然的に接続料が均一であることが導き出される、あるいは許容されているとはいえないのであって、NTT東西均一接続料が要請あるいは許容されているかどうかは、あくまでも事業法の定めに基づいて解釈されるべきものである。 この観点から考えてみると、事業法38条の2が規定している接続料額は、あくまでも「原価に照らして」「公正妥当な」額なのであって、この額の算定に当たってユニバーサルサービスの観点からの考慮をすべきことを明示的に規定しているわけではない。また、このように事業法38条の2にはユニバーサルサービスについて明示的な言及がされていない一方で、事業法72条の5において電気通信事業者はユニバーサルサービスの提供に務めなければならない旨を定めた上で、これに引続く72条の6以下の規定において、ユニバーサルサービス基金に関する定めを置いていることからすると、事業法がユニバーサルサービス実現の手段として用意しているのはむしろユニバーサルサービス基金制度なのではないかという疑念も生ずるところである。 更に、NTTが東西に分割され、事業法に長期増分費用制度が導入された後の経緯についてみると、次のような事実が認められ、事業法の制定者としても、将来的にはNTT東西の接続料の額が乖離していくこともあり得ることを予期していたものと考えられる。すなわち、平成11年7月にNTTが持株会社を中心としてNTT東西に再編成されたのは、NTT東西同士の比較競争(ヤードスティック競争)やNTT東西の相互参入による通信料金の引き下げを大きな目的として行われた措置であり、このようなNTT分割そのものが、将来的には接続料が別個のものとなっていくことを前提とした措置であったといえる上、平成12年度に長 互参入による通信料金の引き下げを大きな目的として行われた措置であり、このようなNTT分割そのものが、将来的には接続料が別個のものとなっていくことを前提とした措置であったといえる上、平成12年度に長期増分費用方式が導入された際には、NTT東西均一接続料が維持されたものの、それと併せて特定費用負担金制度(NTT法附則(平成9年6月20日法律第98号)11条により、NTT東会社はNTT西会社の経営の安定化を図る必要があるときは、NTT西会社に対して、総務省令で定める金額の範囲内で、その事業に要する費用に充てるための金銭を交付することができるものとする制度。甲1の5)が導入されたのであるが、この制度は、3年間に期間を限定した時限措置とされており、この期間が経過した後は、少なくとも、NTT西会社も独自の計算に基づく独立採算体制に移行する方向に進む可能性があったものというべきであるし、情報通信審議会が平成13年7月19日に出した答申(「IT時代の接続ルールのあり方について」)においても、「NTT東会社とNTT西会社とが電気通信事業者としてその経営実態に即して事業展開を行っていくことがNTT再編の趣旨であり、特定費用負担金制度が存続する平成14年度までの期間が満了した後は、NTT東会社とNTT西会社とで異なる接続料を設定すべきと考えられる。」として同趣旨の理解が示されていたのである。 以上のように考えていくと、被告が主張するユニバーサルサービスの要請を考慮したからといって、当然にNTT東西均一接続料が正当化されるものではないといわざるを得ない。 オもっとも、事業法38条の2第3項2号は、「正当な原価に適正な利潤を加えた額」というような定めではなく、「正当な原価に照らして公正妥当」な額を接続料の額とするという定め方をしているところ オもっとも、事業法38条の2第3項2号は、「正当な原価に適正な利潤を加えた額」というような定めではなく、「正当な原価に照らして公正妥当」な額を接続料の額とするという定め方をしているところ、この、「公正妥当」かどうかという判断に当たっては、その文言上、電気通信政策の観点からの諸要素も考慮要素に含まれ得るのであり、また、これらの考慮に基づく判断に当たっては被告の裁量が認められるべきであると解されることなどを考慮すると、長期増分費用方式に基づいて算出された原価に基づき、各種の考慮なしに算定されるべき接続料との間に不合理な乖離が生じない範囲内において、ユニバーサルサービスの要請を踏まえたある程度の調整をすることや、接続料の算定方法が一時に変更されることによって生じることが予想される不利益や混乱等を避けるために、いわば経過措置的な調整をすることまでがすべて否定されるものではないというべきである。 この観点から考えてみると、本件省令改正に当たって行われた試算によれば、長期増分費用方式に基づいて、各種の考慮なしに算定されるべき接続料の額を比較すると、NTT東西で約30パーセントの格差が生じていたことは前認定のとおりなのであるから、これを合算計算してNTT東西均一接続料を定めた場合には、単純計算で、NTT東会社関係では、接続料額が、本来よりも約15パーセント高くなり、NTT西会社関係では、接続料額が、本来よりも約15パーセント低くなることとなり、このように10パーセントを超える乖離をユニバーサルサービスの要請を踏まえた調整という観点のみによって正当化することができるかどうかには疑問の余地が残るものといわざるを得ない。しかし、本件改正省令における東西均一接続料の定めは、平成15年、16年度に適用されるべき時限措置という位置付けを与 よって正当化することができるかどうかには疑問の余地が残るものといわざるを得ない。しかし、本件改正省令における東西均一接続料の定めは、平成15年、16年度に適用されるべき時限措置という位置付けを与えられており、このような定めがされたのは、平成13年7月19日の情報通信審議会答申において、いったんは、「平成15年度以降はNTT東西で異なる接続料を設定すべきである。」という方向性が出され、それが平成14年答申においても維持されたものの、関係者に対する意見聴取等においては、これを支持する意見がある一方で、反対する意見も数多く出される状況があり、これを踏まえた平成15年答申において、「ユニバーサルサービスである電話通話料の地域格差に繋がる可能性がある東西別接続料の設定について、十分社会的コンセンサスが得られているとは言い切れない。」「したがって、平成15年及び16年度に適用される接続料については、上述のような現状に鑑み、東西均一とするものとする。ただし、IP電話の普及等により加入電話サービスの社会的位置づけが変化することも予想されるところから、このような環境変化を踏まえ、総務省において、ユニバーサルサービス基金との関係について更に整理を行い、平成17年度以降の接続料の算定にその検討結果を反映させることを要望する。」との意見が出されたことによるものである(乙8)。このように、本件改正省令が、平成15年、16年度について東西均一接続料とする旨の定めを置いたのは、ユニバーサルサービスの要請という点に加え、社会的コンセンサスが十分に得られないまま直ちに東西別料金制度を導入することによって生じる可能性のある混乱等を避けるという経過措置な調整という考慮に基づくものであったということができるところ、NTT東西別料金という方向性を示した平成14年答申にお 別料金制度を導入することによって生じる可能性のある混乱等を避けるという経過措置な調整という考慮に基づくものであったということができるところ、NTT東西別料金という方向性を示した平成14年答申においてさえも、これを直ちに全面的に適用することは相当ではなく、段階的に適用することが相当であるとされていたことをも考慮すると、これら両面の要素を考慮した場合、それでもなお2年に限った東西均一接続料の定めを置いたことが、事業法の趣旨を逸脱し、あるいは著しく不合理であって被告の裁量権を逸脱、濫用するものと断定することは困難であるといわざるを得ない(なお、甲第103号証の2によれば、情報通信審議会は、平成16年10月19日、平成17年度以降もNTT東西均一接続料を維持する旨の答申をしていることが認められる。しかし、本件改正省令等の適否を判断するに当たっては、あくまでも、平成15年、16年度の接続料を東西均一とする旨の定めをしたことの適否が問題とされるべきであって、その後、これが継続されることになったかどうかは、その判断に影響を及ぼすものではないというべきである。)。 (3) 結論以上によれば、ユニバーサルサービスの観点のみによってNTT東西均一接続料の定めを正当化することができるかどうかには疑問があるものといわざるを得ず、この点に関しては、原告らの主張にももっともなところがあるといえるものの、社会的コンセンサスが十分に得られない状況で別接続料制度を導入することによる混乱を避けるという経過措置的考慮も併せ考えるならば、少なくとも、平成15年、16年の2年間について、NTT東西均一接続料の定めをしたことが、被告の裁量権を逸脱、濫用するものとまで断定することは困難であるといわざるを得ず、結局、この点に関する原告らの主張は失当というほかはない。 年の2年間について、NTT東西均一接続料の定めをしたことが、被告の裁量権を逸脱、濫用するものとまで断定することは困難であるといわざるを得ず、結局、この点に関する原告らの主張は失当というほかはない。 5 違法事由⑤(適正な原価に基づかない接続料を認めた違法)について(1) 前記のとおり、事業法38条の2第3項2号及び4項は、接続料の原価算定方式を総務省令に委任しているところ、上記委任事項の内容としては、①指定設備が提供する機能のうち、どの機能に係る接続料に関する原価算定に長期増分費用方式を適用するかという長期増分費用方式を適用する機能の特定のほか、②機能提供に係る設備のうち、利用者が基本料として負担する部分、接続料の原価とする部分、NTT東西を含む電気通信事業者が個別に負担すべき部分をどのように区分し、接続料の原価に含めるべき設備及び費用の範囲を確定するか、更に、③長期増分費用方式その他の方式の具体的な原価算定方法が含まれ、これらについては、被告の裁量にゆだねられているものというべきであるから、その定めが違法となるのは、その内容が明らかに不合理である場合に限られると解するのが相当である。 (2) 本件改正省令の内容ア本件改正省令は、①き線点装置(6条別表第1の1の「き線点遠隔収容装置」)、②き線点装置と加入者交換機までの間の伝送路のうち遠隔収容装置設置局との間に設置するもの(同別表の「中継系光ケーブル」等)、及び③加入者回線を加入者交換機(又はき線点装置・遠隔収容装置)につなぐための技術対応設備(同別表の「加入者交換機」等の一部)の3つのNTSコストを第一種指定加入者交換機に該当する設備として挙げている(一般にNTSコストとは、通信量に依存せず加入者回線数に依存するコストのことであり、接続料に関しては、その 換機」等の一部)の3つのNTSコストを第一種指定加入者交換機に該当する設備として挙げている(一般にNTSコストとは、通信量に依存せず加入者回線数に依存するコストのことであり、接続料に関しては、そのうち現在加入者交換機能に対応する設備として扱われているもののみを指している。)。 また、第一種指定加入者交換機は、同省令4条の表中の「機能の区分」における「二端末系交換機能」の「加入者交換機能」として、長期増分費用方式により原価を算定することとなる。 イ 6条別表第4の3は、伝送装置の耐用年数を8.8年と設定し、(甲1の3の64頁)、また、施設保全費については、年間3パーセントという効率化係数を用いて算定された数値を採用している。 (3) NTSコストについてア原告らは、本件改正省令においてNTSコストを接続料の原価の対象に含めているのは事業法38条の2第3項2号及び4項の委任の範囲を逸脱している旨主張するところ、接続料に関する原価にいかなるコストを含めるかは、前記のように事業法が総務省令に委任した原価の算定方法に関する事項に含まれるから、その内容が明らかに不合理である場合に違法なものと評価されることとなる。 イこの点、原告らは、①き線点装置等のNTSコストは加入者回線数に依存するものの通信量に依存するものではないから、適正な原価という観点からは接続料の原価ではなく、基本料の原価と考えるべきであることや、②WTO基本合意参照文書は接続料が「cost-oriented」でなければならないとするところ、NTSコストを接続料に含めることが「cost-oriented」でないことは欧米諸国では当然のこととされていることなどを主な根拠として、NTSコストを接続料の原価の対象に含めているのは不合理である旨主張する。 含めることが「cost-oriented」でないことは欧米諸国では当然のこととされていることなどを主な根拠として、NTSコストを接続料の原価の対象に含めているのは不合理である旨主張する。 ところで、NTSコストは、加入者回線数に依存するコストであるところ、事業法38条の2第4項は、原価の算定方法について、「通信量又は回線数の増加に応じて増加することとなる当該第一種指定電気通信設備係る費用を勘案する」と定めており、ここでいう回線数には加入者回線数も含まれるのであるから、原価計算においてNTSコストを含めることが事業法の文言に反するものではないことは明らかであり、問題は、これを含めた原価計算を行うことが、長期増分費用方式に基づくモデル計算として明らかに不合理であるといえるかどうかという点に帰着することとなる。そこで、この点について検討してみるに、原告らがその主張の根拠の一つとしている「長期増分費用モデル研究会報告書」(平成11年9月20日発表、甲43)においては、NTSコストを構成する要素の1つであるき線点設置型について、「端末回線に帰属する設備である」という指摘や、「トラヒック見合いの接続料の原価は、TSコストからなるべきであるという考え方は、経済理論上も、米欧における実務上も支持されていると考えられる。これに従えば、モデルにおいては、き線点設置型収容装置の費用を端末回線伝送路に帰属させるべきであるといえる。」といった指摘がされている一方で、「き線点設置型は、交換機の機能の一部を提供しているという考え方も可能である。」との指摘もあり、また、き線点設置型収容装置の費用負担についても断定的な結論が出されているわけではない。また、諸外国の実情をみても、欧州においては、NTSコストを接続料に含めない扱いがされているものの、米国の一 また、き線点設置型収容装置の費用負担についても断定的な結論が出されているわけではない。また、諸外国の実情をみても、欧州においては、NTSコストを接続料に含めない扱いがされているものの、米国の一部やオーストラリアにおいては、NTSコストを接続料に含める扱いがされていることが認められるのであるから、(甲44)、NTSコストは接続料に含めるべきではないというのが国際的に確定的な理解になっていると断定することも困難であるといわざるを得ない。以上の点に照らしてみると、NTSコストをどの費用に転嫁させるべきであるかということは、理論的に一義的に定まるものではないし、この点についての確定した一般的な取扱いが存在するともいえないのであって、我が国の社会的、経済的な実情や、これまでどのような形で費用負担が行われてきたかという経緯等を踏まえた政策的観点から、これを決することも許される余地があるものというべきである。 この観点から考えた場合、我が国においては、従来から料金政策の面においてNTSコストの一部を従量制で回収して全加入者に対する基本料を安く設定することにより、我が国の電話ネットワークへの加入を可能な限り低廉な形で国民全体に保証するという考え方から、加入者回線コストは基本料によって回収しているが、交換機についてはNTSコストも含め従量制の接続料により回収してきた経緯があること(乙11)、情報通信審議会の平成14年答申では、費用の発生要因に応じて当該費用を回収すべきであるとの考え方に基づけば、通信量ではなく、加入者回線数に応じて需要が変動するき線点装置等のNTSコストは、回線単位で回収することが適当との議論もあり、その場合の費用負担の方法として、利用者が負担する基本料の費用範囲とする方法が検討されたが、き線点装置のみでも1回線当たり月額 点装置等のNTSコストは、回線単位で回収することが適当との議論もあり、その場合の費用負担の方法として、利用者が負担する基本料の費用範囲とする方法が検討されたが、き線点装置のみでも1回線当たり月額約107円の費用増となって、基本料の費用範囲とすれば値上げ圧力となることや、意見聴取の場において、消費者団体から同費用の回収方法の変更に対して反対の意見が提出されたことから、社会的合意も困難であることから、NTSコストを基本料に転嫁することはなお慎重な検討が必要であるとの見解が示されたことなどの事情が認められるのであり、これらの点を併せ考えると、少なくとも、本件省令改正の時点において、NTSコストを接続料の原価に含めるという取り扱いが継続されたことが明らかに不合理であったと認めるのは困難である。更に、以上の点に照らしてみれば、NTSコストを接続料に含めることがWTO基本合意に違反するとはいえないし、日米協議(第3回日米共同現状報告)には法的拘束力があるとは認められないから、これに抵触することが直ちに違法の問題を生じさせることはなく、結局、この点に関する原告らの主張は採用できないものというほかない。 (4) 伝送装置の耐用年数についてア原告らは、伝送装置の経済的耐用年数が8.8年と定められているのは、本来の経済的耐用年数に比べると短すぎ、事業法の委任の範囲を超えている旨主張するので、この点につき検討すると、接続料の原価の算定に当たり伝送装置の耐用年数としていかなるものを用いるかは、接続料の原価の算定に係る事項であるから、事業法38条の2第3項2号及び4項が、接続料の原価の算定について総務省令に委任した事項に含まれ、その内容が明らかに不合理である場合に違法なものと評価されることとなる。 イ原告らは、英国(13年) 条の2第3項2号及び4項が、接続料の原価の算定について総務省令に委任した事項に含まれ、その内容が明らかに不合理である場合に違法なものと評価されることとなる。 イ原告らは、英国(13年)及び米国(10.24年)と比較して我が国の伝送装置の耐用年数(8.8年)が低いことをその主張の根拠としている。 しかし、平成14年3月に公表された長期増分費用モデル研究会報告書(甲53、163頁の表28)によれば、例えば、管路やメタルケーブルについては、日本のモデルと米国のモデルがほぼ同等の数値を用いる一方で、英国では管路については、日本、米国の2分の1であるなど、諸外国の各設備の耐用年数は、各国の利用実態や気候条件等により異なるものであるから、伝送装置の一部のみの比較をもって経済的耐用年数の算定が不合理であるとはいえない。 そして、接続委員会では、伝送装置の撤去実績が把握されていなかったことから、モデルに用いられている各種の伝送装置について事業者に最長使用年数を照会し、その結果ADM以外の伝送装置は10年を超え、ADMのみは法定耐用年数である6年を下回るという回答を得たところ、伝送装置の大容量化、容量当たりの料金低廉化が今後も継続され、短期間に機能の陳腐化が生じると見込まれることからすれば、最新式のADMは、法定耐用年数である6年も使用されることはないと見込まれたが、それ以外の根拠がないことから経済的耐用年数を6年とみなすこととし、これらの結果を踏まえてADMを含めた伝送装置全体について8.8年という経済的耐用年数を設定したものであり(乙30)、本件改正省令も、これに基づくものであることからすれば、原告らの主張するようにADMの使用年数が法定耐用年数である6年に達しなかったのは、同設備が新しく、調査時点 数を設定したものであり(乙30)、本件改正省令も、これに基づくものであることからすれば、原告らの主張するようにADMの使用年数が法定耐用年数である6年に達しなかったのは、同設備が新しく、調査時点では法定耐用年数に満たなかったという事情があるとしても、その判断には一応の合理性が認められるというべきであって、原告らの主張は採用できない。 (5) 効率化係数についてア原告らは、本件改正省令が、長期増分費用モデルの入力値に年間3パーセントという効率化係数を用いて計算された施設保全費(保守・点検等、設備の維持、保全に必要となる経費)を採用しているのは、NTT東西の実情を反映しないもので、事業法の委任の範囲を超えている旨主張するので、この点につき検討すると、接続料の原価の算定に当たり、どのような効率化係数を用いるかは、専門技術的な事項として、事業法38条の2第3項2号及び4項が、接続料の原価の算定について総務省令に委任した事項に含まれ、その内容が明らかに不合理である場合に初めて違法なものと評価されることとなる。 イところで、長期増分費用方式は、現時点で利用可能な最も効率的な設備と技術で新たに構築した場合の費用額に基づいて計算する方式であり、このように新たにネットワークを構築した場合に施設保全費をどのように想定するかは困難であるが、通常は、設備が効率化すれば施設保全も効率化するという考え方に基づき、実際に要する施設保全費に実際とモデルの投資額の比率を乗じてモデルにおける施設保全費を算定しているところ、施設保全費の中には通常用いられる算定の方法が十分に機能しない設備(例えばケーブルについては、投資額に占める人件費の割合が高く、現在の人件費を利用すれば投資額が著しく高額になってしまう。)に係るものがあり、それについて一 いられる算定の方法が十分に機能しない設備(例えばケーブルについては、投資額に占める人件費の割合が高く、現在の人件費を利用すれば投資額が著しく高額になってしまう。)に係るものがあり、それについて一定の効率化の目標値を加味するための係数として効率化係数を設定しているものである。 ウ原告らは、平成14年度の実際費用方式による労務費について、NTT東日本において年間6.9パーセント、NTT西日本において年間10.5パーセントの引き下げがされ、長期増分費用方式の効率化係数を大きく上回る実績が明らかになったにもかかわらず、それをモデルに反映しないのは長期増分費用方式の定義に反する旨主張しているが、この労務費低減割合は、平成14年度における見込みを反映したもので実績値ではないことに加え、単年度の費用低減実績が、そのまま継続するとは限らないことからすれば、効率化係数が単年度における費用低減の状況と一致しないことのみをもって直ちに不合理であるとまではいえないのであるから、少なくとも、本件改正省令の効率化係数が明らかに不合理であると認めるのは困難であり、原告らの主張は採用できない。 6 違法事由⑥(変更約款の適用時期を認可前に遡及させた違法)について(1) 本件改正省令の内容等本件改正省令附則7項は、指定電気通信事業者は、附則3項の規定に基づいて申請し、事業法38条の2第2項の規定により認可を受けた接続約款に定める法38条の2第4項の機能に係る接続料を、この省令の施行の日(施行日は同省令附則1項により、公布の日である平成15年4月11日とされている。)から法38条の2第2項の規定による認可を受けた日までのいずれかの日から適用できると規定し、これを受けて本件接続約款附則2項は、接続料を平成15年4月11日に遡及して適用する旨 1日とされている。)から法38条の2第2項の規定による認可を受けた日までのいずれかの日から適用できると規定し、これを受けて本件接続約款附則2項は、接続料を平成15年4月11日に遡及して適用する旨規定している。 (2) 原告らは、本件接続約款の適用を平成15年4月11日に遡らせることが法律行為不遡及という法の一般原則に反するとして本件各処分は違法である旨主張する。 しかし、刑罰法規(憲法39条)についてはともかく、民事行政法規については、一般的に不遡及の原則が働くものではなく、新法の規定が遡及適用される例は多く見られるところであるし、そもそも、本件接続約款はNTT東西と接続事業者との間の契約内容となるものであり、それ自体法規となるものでもないのであるから、原告らの主張はその前提を欠くものである。また仮に本件接続約款が遡及適用される結果、接続事業者である原告らに著しい不利益を与えるような事情が認められる場合であれば、信義則等の一般法理により遡及効が制限される場合もあり得るとしても、本件の場合、接続約款の内容を認可された日である平成15年4月22日から11日程度遡及して適用するものにすぎず、著しく接続事業者に不利益を及ぼすようなものとは認め難い。 したがって、原告らの主張は採用できない。 7 違法事由⑦(独禁法違反)について(1) 原告らは、本件接続約款の認可申請は、NTT東西均一接続料の設定を目的にされたものであり、不当な取引制限を禁止する独禁法3条に違反し、また独禁法の目的とする公正競争を電気通信市場に適用した事業法1条にも違反するとして、本件接続約款を認可した本件各処分は違法である旨主張する。 (2) 独禁法3条は、不当な取引制限を禁止しているところ、同法2条6項は、不当な取引制限を「事業者が、契 事業法1条にも違反するとして、本件接続約款を認可した本件各処分は違法である旨主張する。 (2) 独禁法3条は、不当な取引制限を禁止しているところ、同法2条6項は、不当な取引制限を「事業者が、契約、協定、その他何らの名義をもってするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限すること」と定義しており、ここでは、事業者の共同意思に基づく行為が存在することがその前提になっているものと解される。 (3) ところで、本件接続約款は、接続料をNTT東西で均一に設定しているが、これは本件改正省令附則6項の規定に基づくものであって、NTT東西が自由に決定できるわけではない。また、接続約款については事業法38条の2第2項により被告の認可を受けなければならず、やはりNTT東西が、その内容を自由に決定することはできないことは明らかである。 このように事業者の行為の内容が、法律や法律の個別規定を執行するために制定された省令等において明確に規定され、覊束されている場合、当該事業者において、自由にその内容を決定することはできないのであるから、そのような行為を事業者の共同意思に基づく行為であるとは評価できない筋合いであり、独禁法3条、2条6項の適用の前提を欠くものであるといわざるを得ない。 この点原告らは、どのような認可申請をするかは事業者が自主的に決定できるから認可料金においても独禁法違反となりうる余地があるとの主張もしているが、少なくとも東西均一料金を設定するかどうかについては事業者が自主的に選択する余地はないのであって、独禁 が自主的に決定できるから認可料金においても独禁法違反となりうる余地があるとの主張もしているが、少なくとも東西均一料金を設定するかどうかについては事業者が自主的に選択する余地はないのであって、独禁法違反を問う余地はないものというほかない。 したがって、独禁法違反であるとの原告らの主張は採用できない。 第4 結論よって、原告らの請求にはいずれも理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条、65条の規定を適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部裁判長裁判官鶴岡稔彦裁判官潮海二郎裁判官金子直史は、填補のため署名捺印することができない。 裁判長裁判官鶴岡稔彦
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