令和2(ワ)4255 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年5月15日 横浜地方裁判所
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判決文本文44,663 文字)

主文 1 被告らは、原告Aに対し、連帯して88万円及びこれに対する令和3年1月20日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 2 被告らは、原告Bに対し、連帯して88万円及びこれに対する令和3年1月20日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 3 原告A及び原告Bのその余の請求並びに原告Cの請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は、原告A及び原告Bに生じた各費用の6分の5及び被告らに生じた各費用の9分の5を同原告らの連帯負担とし、原告Cに生じた費用及び被告らに生じた各費用の3分の1を原告Cの負担とし、原告A及び原告Bに生じたその余の各費用及び被告らに生じたその余の各費用を被告らの連帯負担とする。 5 この判決は、第1項及び第2項に限り、仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求の趣旨 1 原告Aの請求⑴ 被告らは、原告Aに対し、連帯して110万円及びこれに対する令和3年1月 20日(被告らに対する訴状送達の日の翌日、以下同じ。)から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 ⑵ 被告E及び被告Fは、原告Aに対し、連帯して330万円及びこれに対する令和3年1月20日から支払済みまで年5%の割合による金員(うち、275万円及び遅延損害金の限度では、被告法人及び被告Dと連帯して)を支払え。 ⑶ 被告法人及び被告Dは、原告Aに対し、被告E及び被告Fと連帯して275万円及びこれに対する令和3年1月20日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 ⑷ 被告法人及び被告Dは、原告Aに対し、連帯して55万円及びこれに対する令和3年1月20日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 ⑷ 被告法人及び被告Dは、原告Aに対し、連帯して55万円及びこれに対する令和3年1月20日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 2 原告Bの請求 ⑴ 被告らは、原告Bに対し、連帯して110万円及びこれに対する令和3年1月20日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 ⑵ 被告E及び被告Fは、原告Bに対し、連帯して330万円及びこれに対する令和3年1月20日から支払済みまで年5%の割合による金員(うち、275万円及び遅延損害金の限度では、被告法人及び被告Dと連帯して)を支払え。 ⑶ 被告法人及び被告Dは、原告Bに対し、被告E及び被告Fと連帯して275万円及びこれに対する令和3年1月20日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 ⑷ 被告法人及び被告Dは、原告Bに対し、連帯して55万円及びこれに対する令和3年1月20日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 3 原告Cの請求⑴ 被告らは、原告Cに対し、連帯して110万円及びこれに対する令和3年1月20日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 ⑵ 被告E及び被告Fは、原告Cに対し、連帯して330万円及びこれに対する令和3年1月20日から支払済みまで年5%の割合による金員(うち、275万円及び 遅延損害金の限度では、被告法人及び被告Dと連帯して)を支払え。 ⑶ 被告法人及び被告Dは、原告Cに対し、被告E及び被告Fと連帯して275万円及びこれに対する令和3年1月20日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 ⑷ 被告法人及び被告Dは、原告Cに対し、連帯して55万円及びこれに対する令 和3年1月20日から支払済みまで年5%の割合による金員を 20日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 ⑷ 被告法人及び被告Dは、原告Cに対し、連帯して55万円及びこれに対する令 和3年1月20日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 本件は、被告法人が運営する寄宿型の施設に入寮していた原告らが被告らに対し、以下の各請求をしている事案である。 ⑴ 被告法人の代表者である被告D並びに被告法人の従業員である被告E及び被 告F(以下、被告D及び被告Eと併せて「被告Dら」という。)が原告らを違法に被 告法人が運営する寄宿型の施設に連れ出したとして、被告Dらにつき、民法709条・719条、被告法人につき、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般社団法人法」という。)78条・民法719条又は民法715条1項・719条に基づき、連帯して110万円(内訳:慰謝料100万円、弁護士費用相当額10万円)及びこれに対する令和3年1月20日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで平成2 9年法律第44号による改正前の民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払⑵ 被告Dらが原告らを違法に被告法人が運営する寄宿型の施設に監禁したとして、ア被告E及び被告Fにつき民法709条・719条に基づき、連帯して330万円(内訳:慰謝料300万円、弁護士費用相当額30万円)及びこれに対する令和3 年1月20日から支払済みまで年5%の割合による遅延損害金(うち275万円及び遅延損害金の限度では被告D及び被告法人と連帯して)の支払イ被告Dにつき民法709条・719条、被告法人につき一般社団法人法78条・民法719条又は民法715条1項・719条に基づき、被告E及び被告Fと連帯して275万円(内訳:慰謝料250万円、弁護士費用相当額25万 民法709条・719条、被告法人につき一般社団法人法78条・民法719条又は民法715条1項・719条に基づき、被告E及び被告Fと連帯して275万円(内訳:慰謝料250万円、弁護士費用相当額25万円)及びこれに対 する令和3年1月20日から支払済みまで年5%の割合による遅延損害金の支払⑶ 原告らの保護者と被告法人との間の原告らの自立支援のための準委任契約(第三者のためにする契約)上の債務に不履行があったとして、被告法人につき民法415条、被告Dにつき一般社団法人法117条1項に基づき、連帯して55万円(内訳:慰謝料50万円、弁護士費用相当額5万円)及びこれに対する令和3年1月20日か ら支払済みまで年5%の割合による遅延損害金の支払 2 前提事実(当事者間に争いがない事実又は末尾に掲記した証拠等によって容易に認められる事実)⑴ 当事者ア被告法人は、引きこもり等に対する自立支援サービスの提供等を目的とする一 般社団法人であり、K学校(以下「本件スクール」という。)を経営している。本件 スクールは、寄宿型の施設を複数運営しており、神奈川県足柄上郡a 町b 所在のI校(以下、単に「I校」と略することがある。)はその一つである。 被告Dは、被告法人の代表者であり、本件スクールの学校長を務めていた者である。 被告Eは、被告法人の従業員であり、I校の施設長を務めていた者である。 被告Fは、被告会社の従業員であり、平成30年頃、I校において常駐で勤務して いた者である(弁論の全趣旨)。 イ原告らは、いずれも本件スクールのI校に入寮していた者である。 ⑵ 原告らの保護者と被告法人間の準委任契約の締結原告らの保護者(原告Aにつき母、原告Bにつき両親、原告Cにつき母)は、いずれも被告法人との間で、原告ら スクールのI校に入寮していた者である。 ⑵ 原告らの保護者と被告法人間の準委任契約の締結原告らの保護者(原告Aにつき母、原告Bにつき両親、原告Cにつき母)は、いずれも被告法人との間で、原告らに対して自立支援を行うこと等を内容とする準委任契 約(以下、それぞれ原告らの名前を取って「本件契約(A)」などと略し、原告らの契約を併せて「本件各契約」という。)を締結した(弁論の全趣旨)。 ⑶ 入寮期間原告らは、いずれも以下の各期間、I校に入寮していた。 ア原告A 平成30年3月12日から同年7月11日までイ原告B平成29年10月30日から令和元年12月13日までウ原告C平成29年5月22日から同年11月1日まで ⑷ 訴訟の提起ア原告らは、L(以下「L」という。)、M(以下「M」という。)、N(以下「N」という。)及びO(以下「O」という。)とともに、令和2年10月、横浜地方裁判所に対し、本件訴訟を提起した(顕著な事実)。 イ Mは、令和5年1月20日の経過により、訴えの取下げが擬制された(顕著な 事実)。 ウ Oは、令和6年6月3日、本件訴訟を取り下げた(顕著な事実)。 エ横浜地方裁判所は、令和6年12月19日、L及びNにつき、民事調停法17条に基づく調停に代わる決定をし、同決定は異議の申立てなく2週間が経過したことにより確定した(顕著な事実)。 3 争点 ⑴ 原告Aについてア原告Aに対する不法行為の成否(争点1-1)イ不法行為に係る原告Aの損害の有無・損害額(争点1-2)ウ原告Aに係る債務不履行の成否(争点1―3)エ債務不履行に係る原告Aの損害の有無・損害額(争点1-4) ⑵ 原告Bについてア原告B Aの損害の有無・損害額(争点1-2)ウ原告Aに係る債務不履行の成否(争点1―3)エ債務不履行に係る原告Aの損害の有無・損害額(争点1-4) ⑵ 原告Bについてア原告Bに対する不法行為の成否(争点2-1)イ不法行為に係る原告Bの損害の有無・損害額(争点2-2)ウ原告Bに係る債務不履行の成否(争点2―3)エ債務不履行に係る原告Bの損害の有無・損害額(争点2-4) ⑶ 原告Cについてア原告Cに対する不法行為の成否(争点3-1)イ不法行為に係る原告Cの損害の有無・損害額(争点3-2)ウ原告Cに係る債務不履行の成否(争点3―3)エ債務不履行に係る原告Cの損害の有無・損害額(争点3-4) 4 争点に関する当事者の主張⑴ 原告Aに対する不法行為の成否(争点1-1)(原告Aの主張)ア被告Dらは、共謀の上、原告Aに対し、I校における生活環境を一切説明することなく、被告Dにおいて「福祉の人間です。」「とりあえず話を聞いてもらうだけ だから事務所まで来てくれないかな。」などの虚偽の事実を述べるなどして、被告D らと同行するように要求し、被告Dらに同行しなければ、今後、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「精神保健福祉法」という。)29条所定の措置入院(以下「措置入院」という。)等により強制的に医療機関に入院させられる可能性がある以上、抵抗を諦めて話を聞いた上で帰宅しようと考えた原告AをI校に連れ出した。 かかる行為は、原告Aの人身の自由、自由な意思に基づいて行動する権利・利益及び 意思決定の自由等(以下、「移動の自由等」という。)を侵害するもので違法であり、不法行為が成立する。 したがって、かかる被告Dらによる原告AのI校へ 自由な意思に基づいて行動する権利・利益及び 意思決定の自由等(以下、「移動の自由等」という。)を侵害するもので違法であり、不法行為が成立する。 したがって、かかる被告Dらによる原告AのI校への連れ出し行為につき、被告Dらは、いずれも民法709条・719条、被告法人は、被告Dの行為につき一般社団法人法78条・民法719条、被告E及び被告Fの行為につき民法715条1項・7 19条に基づき、連帯して損害賠償責任を負う。 イ被告Dらは、平成30年3月12日から同年7月11日まで、携帯電話その他の通信機器の所持を禁止して外部との自由な連絡を制限したり、I校から逃走できないように監視したりするなどして、その意思に反して原告AをI校に不当に監禁した。 かかる行為は、原告Aの移動の自由等を侵害するもので違法であり、不法行為が成立 する。 したがって、かかる被告Dらによる原告AのI校における監禁行為につき、被告Dらは、いずれも民法709条・719条に基づき、被告法人は、被告Dの行為につき一般社団法人法78条・民法719条、被告E及び被告Fの行為につき民法715条1項・719条に基づき、連帯して損害賠償責任を負う。 (被告らの主張)被告Dらは、原告Aに対し、被告法人がどのような団体でI校において入寮者がどのような生活を送るのかを説明し、原告Aの承諾を得てI校に入寮させている上、I校において外部との通信の制限その他の入寮者の自由を制限することには合理的な理由があるから、被告Dらが原告AをI校に連れて行った行為は、原告Aの移動の自 由等を侵害するものではないし、監禁と評価されるべき行為もない。したがって、不 法行為は成立しない。 ⑵ 不法行為に係る原告Aの損害の有無・損害額(争点1-2)(原告Aの主張) 由等を侵害するものではないし、監禁と評価されるべき行為もない。したがって、不 法行為は成立しない。 ⑵ 不法行為に係る原告Aの損害の有無・損害額(争点1-2)(原告Aの主張)ア連れ去り行為(ア) 慰謝料 原告Aは、前記⑴(原告Aの主張)欄ア記載の被告らの不法行為により多大な精神的苦痛を受けており、この損害を金銭的に評価すれば、100万円を下らない。 (イ) 弁護士費用前記⑴(原告Aの主張)欄ア記載の被告らの不法行為による弁護士費用としての損害額は10万円を下らない。 イ監禁行為(ア) 慰謝料原告Aは、前記⑴(原告Aの主張)欄イ記載の被告らの不法行為により多大な精神的苦痛を受けており、この損害を金銭的に評価すれば、300万円を下らない(被告法人及び被告Dとの関係では一部請求[250万円])。 (イ) 弁護士費用前記⑴(原告Aの主張)欄イ記載の被告らの不法行為による弁護士費用としての損害額は30万円を下らない(被告法人及び被告Dとの関係では一部請求[25万円])。 (被告らの主張)否認ないし争う。 ⑶ 原告Aに係る債務不履行の成否(争点1-3)(原告Aの主張)ア本件契約(A)は、保護者である原告Aの母を要約者、被告法人を諾約者、原告Aを第三者とする第三者のためにする契約(民法537条)であるところ、①本件契約(A)には、第三者である原告Aの民法537条3項所定の受益の意思表示(以 下、単に「受益の意思表示」という。)を待たずに、本件契約(A)に基づく原告A の被告法人に対する適切な自立支援を求める権利が発生する旨の特約(以下「本件特約(A)」という。)が付されていた、②仮に、本件特約(A)が付されていないとしても、遅くとも原告Aが く原告A の被告法人に対する適切な自立支援を求める権利が発生する旨の特約(以下「本件特約(A)」という。)が付されていた、②仮に、本件特約(A)が付されていないとしても、遅くとも原告AがI校に入寮した時点において、原告Aの受益の意思表示が認められ、同権利が発生する。 イ被告法人は、本件契約(A)に基づき、支援対象者の状態をできる限り的確に 把握するための情報収集を行い、引きこもり等の問題があれば、その原因を分析してそれに即した支援方法を個別具体的に策定し、実施する債務及びその前提として当事者の意思を尊重してその自由意思に基づき入寮支援を行う債務(以下、これらを併せて「本件債務」という。)を負っているにもかかわらず、原告Aに対する適切な自立支援を行っておらず、本件債務に関して債務不履行が成立する。また、かかる債務不 履行に関し、被告法人の代表者である被告Dは、悪意又は重過失による任務懈怠がある。 したがって、被告法人は、民法415条、被告Dは、一般社団法人法117条1項に基づき、連帯して損害賠償責任を負う。 (被告法人及び被告Dの主張) 否認ないし争う。 ⑷ 債務不履行に係る原告Aの損害の有無・損害額(争点1―4)(原告Aの主張)ア慰謝料原告Aは、前記⑶(原告Aの主張)欄記載の被告法人及び被告Dの行為により多大 な精神的苦痛を受けており、この損害を金銭的に評価すれば、50万円を下らない。 イ弁護士費用前記⑶(原告Aの主張)欄記載の被告法人及び被告Dの行為による弁護士費用としての損害額は5万円を下らない。 (被告法人及び被告Dの主張) 否認ないし争う。 ⑸ 原告Bに対する不法行為の成否(争点2-1)(原告Bの主張)ア被告Dらは、共謀の上、原告Bに対し、 万円を下らない。 (被告法人及び被告Dの主張) 否認ないし争う。 ⑸ 原告Bに対する不法行為の成否(争点2-1)(原告Bの主張)ア被告Dらは、共謀の上、原告Bに対し、I校における生活環境を一切説明することなく、被告Dにおいて本件スクールの関係者ではないと虚偽の事実を述べた上で、被告Fにおいて「I校に行かず、家を出るなら通報してI校よりも酷い施設に入れる。」 「親はこの家に居させるつもりはないから、納得して来てもらうか無理矢理連れて行くしかない。」などの威迫的な言辞を用いて、約4時間にわたり、被告Dらに同行してI校に行くことを執拗に要求し、父からも被告Dらに同行するよう強く求められ、これ以上抵抗することができないと考えた原告BをI校に連れ出した。かかる行為は、原告Bの移動の自由等を侵害するもので違法あり、不法行為が成立する。 したがって、かかる被告Dらによる原告BのI校への連れ出し行為につき、被告Dらは、いずれも民法709条・719条に基づき、被告法人は、被告Dの行為につき一般社団法人法78条・民法719条、被告E及び被告Fの行為につき民法715条1項・719条に基づき、連帯して損害賠償責任を負う。 イ被告Dらは、平成29年10月30日から令和元年12月13日まで、携帯電 話その他の通信機器の所持を禁止して外部との自由な連絡を制限したり、I校から逃走できないように監視したりするなどして、その意思に反して原告BをI校に不当に監禁した。かかる行為は、原告Bの移動の自由等を侵害するもので違法であり、不法行為が成立する。 したがって、かかる被告Dらによる原告BのI校における監禁行為につき、被告D らは、いずれも民法709条・719条に基づき、被告法人は、被告Dの行為につき一般社団法人法7 行為が成立する。 したがって、かかる被告Dらによる原告BのI校における監禁行為につき、被告D らは、いずれも民法709条・719条に基づき、被告法人は、被告Dの行為につき一般社団法人法78条・民法719条、被告E及び被告Fの行為につき民法715条1項・719条に基づき、連帯して損害賠償責任を負う。 (被告らの主張)被告Dらは、原告Bに対し、被告法人がどのような団体でI校において入寮者がど のような生活を送るのかを説明し、原告Bの承諾を得てI校に入寮させている上、I 校において外部との通信の制限その他の入寮者の自由を制限することには合理的な理由があるから、被告Dらが原告BをI校に連れて行った行為は、原告Bの移動の自由等を侵害するものではないし、監禁と評価されるべき行為もない。したがって、不法行為は成立しない。 ⑹ 不法行為に係る原告Bの損害の有無・損害額(争点2-2) (原告Bの主張)ア連れ去り行為(ア) 慰謝料原告Bは、前記⑸(原告Bの主張)欄ア記載の被告らの不法行為により多大な精神的苦痛を受けており、この損害を金銭的に評価すれば、100万円を下らない。 (イ) 弁護士費用前記⑸(原告Bの主張)欄ア記載の被告らの不法行為による弁護士費用としての損害額は10万円を下らない。 イ監禁行為(ア) 慰謝料 原告Bは、前記⑸(原告Bの主張)欄イ記載の被告らの不法行為により多大な精神的苦痛を受けており、この損害を金銭的に評価すれば、300万円を下らない(被告法人及び被告Dとの関係では一部請求[250万円])。 (イ) 弁護士費用前記⑸(原告Bの主張)欄イ記載の被告らの不法行為による弁護士費用としての損 害額は30万円を下らない(被告法人及び被告Dとの関係 との関係では一部請求[250万円])。 (イ) 弁護士費用前記⑸(原告Bの主張)欄イ記載の被告らの不法行為による弁護士費用としての損 害額は30万円を下らない(被告法人及び被告Dとの関係では一部請求[25万円])。 (被告らの主張)否認ないし争う。 ⑺ 原告Bに係る債務不履行の成否(争点2-3)(原告Bの主張) ア本件契約(B)は、保護者である原告Bの両親を要約者、被告法人を諾約者、 原告Bを第三者とする第三者のためにする契約(民法537条)であるところ、①本件契約(B)には、第三者である原告Bの受益の意思表示を待たずに、本件契約(B)に基づく原告Bの被告法人に対する適切な自立支援を求める権利が発生する旨の特約(以下「本件特約(B)」という。)が付されていた、②仮に、本件特約(B)が付されていないとしても、遅くとも原告BがI校に入寮した時点において、原告Bの 受益の意思表示が認められ、同権利が発生する。 イ被告法人は、本件契約(B)に基づき、本件債務を負っているにもかかわらず、原告Bに対する適切な自立支援を行っておらず、本件債務に関して債務不履行が成立する。また、かかる債務不履行に関し、被告法人の代表者である被告Dは、悪意又は重過失による任務懈怠がある。 したがって、被告法人は、民法415条、被告Dは、一般社団法人法117条1項に基づき、連帯して損害賠償責任を負う。 (被告法人及び被告Dの主張)否認ないし争う。 ⑻ 債務不履行に係る原告Bの損害の有無・損害額(争点2-4) (原告Bの主張)ア慰謝料原告Bは、前記⑺(原告Bの主張)欄記載の被告法人及び被告Dの行為により多大な精神的苦痛を受けており、この損害を金銭的に評価すれば、50万円を下らない。 イ弁護士費 原告Bの主張)ア慰謝料原告Bは、前記⑺(原告Bの主張)欄記載の被告法人及び被告Dの行為により多大な精神的苦痛を受けており、この損害を金銭的に評価すれば、50万円を下らない。 イ弁護士費用 前記⑺(原告Bの主張)欄記載の被告法人及び被告Dの行為による弁護士費用としての損害額は5万円を下らない。 (被告法人及び被告Dの主張)否認ないし争う。 ⑼ 原告Cに対する不法行為の成否(争点3-1) (原告Cの主張) ア被告Dらは、共謀の上、原告Cに対し、I校における生活環境を一切説明することなく、原告Cの意思に反して原告CをI校に連れ出した。かかる行為は、原告のCの移動の自由等を侵害するもので違法あり、不法行為が成立する。 したがって、被告Dらは、いずれも民法709条・719条に基づき、被告法人は、被告Dの行為につき一般社団法人法78条・民法719条、被告E及び被告Fの行為 につき民法715条1項・719条に基づき、連帯して損害賠償責任を負う。 イ被告Dらは、平成29年5月22日から同年11月1日まで、携帯電話その他の通信機器の所持を禁止して外部との自由な連絡を制限したり、I校から逃走できないように監視したりするなどして、その意思に反して原告CをI校に監禁していた。 かかる行為は、原告Cの移動の自由等を侵害するもので違法であり、不法行為が成立 する。 したがって、かかる被告Dらによる原告CのI校における監禁行為につき、被告Dらは、いずれも民法709条・719条に基づき、被告法人は、被告Dの行為につき一般社団法人法78条・民法719条、被告E及び被告Fの行為につき民法715条1項・719条に基づき、連帯して損害賠償責任を負う。 (被告らの主張)被告Dらは、原告Cに対し、被告法 き一般社団法人法78条・民法719条、被告E及び被告Fの行為につき民法715条1項・719条に基づき、連帯して損害賠償責任を負う。 (被告らの主張)被告Dらは、原告Cに対し、被告法人がどのような団体でI校において入寮者がどのような生活を送るのかを説明し、原告Cの承諾を得てI校に入寮させている上、外部との通信の制限その他の入寮者の自由を制限することには合理的な理由があるから、被告Dらが原告CをI校に連れて行った行為は、原告Cの移動の自由等を侵害す るものではないし、監禁と評価されるべき行為もない。したがって、不法行為は成立しない。 ⑽ 不法行為に係る原告Cの損害の有無・損害額(争点3-2)(原告Cの主張)ア連れ去り行為 (ア) 慰謝料 原告Cは、前記⑼(原告Cの主張)欄ア記載の被告らの不法行為により多大な精神的苦痛を受けており、この損害を金銭的に評価すれば、100万円を下らない。 (イ) 弁護士費用前記⑼(原告Cの主張)欄ア記載の被告らの不法行為による弁護士費用としての損害額は10万円を下らない。 イ監禁行為(ア) 慰謝料原告Cは、前記⑼(原告Cの主張)欄イ記載の被告らの不法行為により多大な精神的苦痛を受けており、この損害を金銭的に評価すれば、300万円を下らない(被告法人及び被告Dとの関係では一部請求[250万円])。 (イ) 弁護士費用前記⑼(原告Cの主張)欄イ記載の被告らの不法行為による弁護士費用としての損害額は30万円を下らない(被告法人及び被告Dとの関係では一部請求[25万円])。 (被告らの主張)否認ないし争う。 ⑾ 原告Cに係る債務不履行の成否(争点3-3)(原告Cの主張)ア本件契約(C)は、保護者である原告C との関係では一部請求[25万円])。 (被告らの主張)否認ないし争う。 ⑾ 原告Cに係る債務不履行の成否(争点3-3)(原告Cの主張)ア本件契約(C)は、保護者である原告Cの母を要約者、被告法人を諾約者、原告Cを第三者とする第三者のためにする契約(民法537条)であるところ、①本件契約(C)には、第三者である原告Cの受益の意思表示を待たずに、本件契約(C) に基づく原告Cの被告法人に対する適切な自立支援を求める権利が発生する旨の特約(以下「本件特約(C)」といい、本件特約(A)及び本件特約(B)と併せて「本件各特約」という。)が付されていた、②仮に、本件特約(C)が付されていないとしても、遅くとも原告CがI校に入寮した時点において、原告Cの受益の意思表示が認められ、同権利が発生する。 イ被告法人は、本件契約(C)に基づき、本件債務を負っているにもかかわらず、 原告Cに対する適切な自立支援も行っておらず、本件債務に関して債務不履行が成立する。また、かかる債務不履行に関し、被告法人の代表者である被告Dは、悪意又は重過失による任務懈怠がある。 したがって、被告法人は、民法415条、被告Dは、一般社団法人法117条1項に基づき、連帯して損害賠償責任を負う。 (被告法人及び被告Dの主張)否認ないし争う。 ⑿ 債務不履行に係る原告Cの損害の有無・損害額(争点3-4)(原告Cの主張)ア慰謝料 原告Cは、前記⑾(原告Cの主張)欄記載の被告法人及び被告Dの行為により多大な精神的苦痛を受けており、この損害を金銭的に評価すれば、50万円を下らない。 イ弁護士費用前記⑾(原告Cの主張)欄記載の被告法人及び被告Dの行為による弁護士費用としての損害額は5万円を下らない。 痛を受けており、この損害を金銭的に評価すれば、50万円を下らない。 イ弁護士費用前記⑾(原告Cの主張)欄記載の被告法人及び被告Dの行為による弁護士費用としての損害額は5万円を下らない。 (被告法人及び被告Dの主張)否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 前記第2の2の前提事実、証拠(認定に供する証拠は括弧内に掲げる。)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ⑴ 被告Dらについてア被告Dは、被告法人の代表者であり、本件スクールの学校長としてI校の運営管理を統括していた(前記第2の2の前提事実、被告D本人)。 イ被告Eは、平成25年頃、被告法人の従業員となり、平成28年頃からI校で勤務し、I校の施設長としてI校の運営管理を行っていた(前記第2の2の前提事実、 被告E本人)。 ウ被告Fは、平成25年頃、被告法人に入社し、平成30年に半年から8か月程度、I校の常駐の職員としてI校で勤務していた(前記第2の2の前提事実、被告F本人)。 ⑵ 原告AのI校への入寮及び入寮後の経緯ア本件契約(A)の締結に至る経緯 (ア) 原告A(昭和▲年▲月生)は、平成▲年▲月、T大学経済学部を卒業し、電気通信会社に就職したが、平成24年3月、双極性障害(躁うつ病)との診断を受けて休職した(甲A2、乙A1、乙A2、原告A本人)。 (イ) 原告Aは、平成27年6月、P病院の精神科を受診し、本件スクールと提携する精神科医であるG医師(以下「G医師」という。)から発達障害との診断を受 けた。原告Aは、平成27年8月から約1か月間、P病院に入院した。(乙1、乙A1、原告A本人)(ウ) 原告Aは、平成27年12月、電気通信会社を退職した(甲A2、乙A1、乙A2、原告A本人 けた。原告Aは、平成27年8月から約1か月間、P病院に入院した。(乙1、乙A1、原告A本人)(ウ) 原告Aは、平成27年12月、電気通信会社を退職した(甲A2、乙A1、乙A2、原告A本人)。 その後、原告Aは、精神科に継続的に通院し、母らからの経済的支援を受けながら、 神奈川県横浜市c 区所在のアパートの2階の居室(以下「A宅」と略することがある。)で一人暮らしをしていた(甲A2、乙A1、乙A2、原告A本人)。 (エ) 原告Aは、平成28年9月から約3か月間及び平成29年4月から約2か月間、Uホスピタルに入院した(乙A1、原告A本人)。 (オ) 原告Aは、アルバイトをしたほか、平成29年9月頃から就職活動を開始 したが、希望する企業の内定を得ることができず、母に対して生活費その他の金銭を度々要求し、アルコール依存症の傾向があった。原告Aの母は、原告Aの金銭要求に怯え、原告Aが自立できないことに悩んでいた。(甲A2、乙A1、乙A2、原告A本人、弁論の全趣旨)(カ) 原告Aの母は、G医師から紹介を受け、平成29年11月、原告Aの叔母 夫婦とともに被告Dと面談した。原告Aの母は、被告Dに対し、原告Aが生まれてか ら現在に至るまでの経緯、精神的な疾患や入通院歴等を説明するとともに、原告Aがニートであり、自立できておらず、母に対する金銭要求があること、高校時代から飲酒でのトラブルが絶えないこと、家庭内暴力その他の家族として困っていることを相談した。(乙A1、被告D本人)原告Aの母は、遅くとも平成30年3月までに被告法人との間で、原告Aの自立支 援に関する準委任契約(本件契約(A))を締結した(前記第2の2の前提事実、弁論の全趣旨)。 被告Dは、被告Eを通じ、原告Aの母に対し、今後原告Aに対す までに被告法人との間で、原告Aの自立支 援に関する準委任契約(本件契約(A))を締結した(前記第2の2の前提事実、弁論の全趣旨)。 被告Dは、被告Eを通じ、原告Aの母に対し、今後原告Aに対する経済的支援をしないように求めた。被告Dは、原告Aに対し、事前に被告DらがA宅を訪問することを伝えておらず、原告Aの母も被告DらがA宅を訪問することを原告Aに伝えていな かった。(甲A2、原告A本人、被告D本人)イ I校への入寮の経緯(ア) 被告Dは、原告Aの母や姉らと相談の上、平成30年3月12日、被告E及び被告Fとともに被告Fの運転する自動車でA宅を訪れ、インターホンを鳴らしたが、原告Aは新聞の勧誘等だろうと考え、居留守を使って出てこなかった。原告Aの 姉は、スペアキーを使って玄関を開け、玄関の外から原告Aに対して「アパートの家賃滞納の件でこの人達が話があるって。」と伝えたため、原告Aは、家賃滞納の件については話さない訳にはいかないと考えて玄関に出た。原告Aは、その時点で1か月分の家賃を滞納していた。(甲A2、乙11、原告A本人)被告Dは、玄関先で原告Aに対し、「君、アパートの家賃払ってないよね。」と質 問したが、原告Aは、不審に思い、被告Dらの素性を尋ねるとともに「お金なら今用意できていますのでこの場でお支払いすればいいのですか。」と質問した。被告Dは、原告Aに対して「実はそうじゃないんだよね、ちょっとアパートの下で話をしようか。」と言い、原告Aは、被告Dらとともにアパートの1階まで出向いた。(甲A2、原告A本人) (イ) 被告Dは、原告Aに対し、「君さ、生活できてないじゃん。ちょっと話が あるからさ、来てくれないかな。」と言い、被告Dらに同行することを求めたが、原告Aは、被告Dらの素性 (イ) 被告Dは、原告Aに対し、「君さ、生活できてないじゃん。ちょっと話が あるからさ、来てくれないかな。」と言い、被告Dらに同行することを求めたが、原告Aは、被告Dらの素性を改めて尋ねた。これに対し、被告Dは、原告Aに対して「福祉の人間です。言っている意味わかるよね。君のお母さんはね、精神的にも経済的にも君を支えていくのは限界なんだよ。主治医のG先生からも相談されて来てるんだ。」と答えた。(甲A2、原告A本人) これを聞いた、原告Aは、被告Dらが原告Aを措置入院のような行政による施設への強制連行に来たのだと考えたが、これに抵抗しようと思い、「もう明日からアルバイトは決まっています。親の援助ももういらないと伝えてますから大丈夫です。就職活動もアルバイトしながら続けます。」と言い、被告Dらに同行することを拒否した。 しかし、被告Dは、原告Aに対して「君さ、生活できてないじゃん。部屋も汚かった し、アルバイトも続かないよ。俺達の施設に来たらさ、ちゃんと働けるようになるから、とりあえず話を聞いてもらうだけだから事務所まで来てくれないかな。」などと言い、被告Dらに同行して事務所で話をすることを求めた。(甲A2、原告A本人)(ウ) 原告Aは、被告Dの説明を受け、被告Dらに同行しなければ、今後措置入院その他行政上の措置により強制的に医療機関に入院させられる可能性がある以上、 抵抗を諦めてとりあえず話を聞いた上で帰宅しようと考え、被告Dらに同行することを承諾した。当時の原告Aの服装は、Tシャツに股引という状況であったため、原告Aは、被告Dに対して風呂に入って着替えたいと申し出たが、被告Dから、着替えや風呂も監視しなければいけないとしてこれを拒否されるとともに、財布や携帯電話その他の通信機器、身分証の所持を禁 ため、原告Aは、被告Dに対して風呂に入って着替えたいと申し出たが、被告Dから、着替えや風呂も監視しなければいけないとしてこれを拒否されるとともに、財布や携帯電話その他の通信機器、身分証の所持を禁止された。そのため、原告Aは、着替え等の身支 度を諦め、財布や携帯電話を持たずに被告Dらの用意していた自動車の後部座席に乗り込み、被告Fの運転でI校まで連れて行かれた。なお、後部座席には、被告Dらの取決めによってチャイルドロックがかけられており、車内からは扉が開かない状況になっていた。(甲A2、原告A本人、被告D本人、被告E本人、弁論の全趣旨)(エ) 原告Aは、車中でチャイルドロックがかけられていることに気付き、被告 Dに対して明日から出勤する予定のアルバイト先に連絡しないといけない旨を伝え たが、被告Dは、原告Aに対して「こっちから連絡しとくから、あとでEに連絡先を教えておいて。」と言い、原告Aからアルバイト先に連絡することを拒否した(甲A2、原告A本人)。 なお、被告Dらは、A宅において、原告Aに対し、本件スクールの活動内容等を記載したパンフレット等や寮規則等(甲6の1、甲13、乙1等)、被告Dらの名刺を 交付しておらず、財布や携帯電話、身分証明書等は持っていけないとは伝えたものの、I校では外部との通信が制限され、金銭の所持が禁止され、外出も自由にはできないことなど、I校における入寮者の管理態勢を含め、I校における入寮者の生活状況に関する説明をしなかった(原告A本人、被告D本人)。 ウ I校の入寮後の経緯 (ア) 原告Aは、I校到着後、被告Dらから原告Aの母が用意した衣類等の入ったバッグを渡されたため、A宅に戻ることはできず、I校で生活させられるのだと認識した。その後、原告Aは、I校において、被 (ア) 原告Aは、I校到着後、被告Dらから原告Aの母が用意した衣類等の入ったバッグを渡されたため、A宅に戻ることはできず、I校で生活させられるのだと認識した。その後、原告Aは、I校において、被告Eから「I校で今後生活してもらう。」などと言われ、内容を十分に確認しないまま、本件スクールの入学願書及び入寮同意書に署名した。これらの入学願書及び入寮同意書の原告Aの署名欄以外は事前に原告 Aの母により記入され、原告Aの母の署名押印もされていた。なお、入寮同意書には「無断外出について」との表題の下、「入寮者は、在、不在を示さなければならず、また確認のため、定めた時間に点呼を実施している。点呼から1時間を経過し、見つからない場合は、無断外出として施設職員による捜索を開始します。2時間を経過して見つからない場合は、保護者への連絡と同時に警察に家出人捜索を依頼します。」 との記載がある。(甲22、甲A2、乙A2、原告A本人)(イ) 原告Aは、平成30年3月18日、被告法人に対し、本件スクールの入学に関する契約のクーリングオフを求める内容の本件スクールの学校長宛ての通知書(以下「本件通知書」という。)を作成した(甲A1、甲A2、原告A本人)。 原告Aは、平成30年3月19日、被告EとQ(以下「Q」という。)の前で本件 通知書を読み上げ、A宅に戻すように求めたが、被告E及びQはこれを拒否した(甲 A1、甲A2、原告A本人)。 (ウ) 原告Aは、平成30年3月20日、I校において、G医師の診察を受けた。 その際、G医師は、原告Aに対し「ごめんね、ここに連れてくるのを計画したのは全部俺なんだ。」「ここから逃げ出さないで欲しい。強制入院とかさせたくないから。」などと言った。(甲A2、乙1、原告A本人) (エ) 原 Aに対し「ごめんね、ここに連れてくるのを計画したのは全部俺なんだ。」「ここから逃げ出さないで欲しい。強制入院とかさせたくないから。」などと言った。(甲A2、乙1、原告A本人) (エ) 原告Aは、I校に入寮している期間中、I校において、自己理解プログラムを受講したほか、G医師による診察及び臨床心理士等によるカウンセリングを受けたことがあったが、特に就労支援を受けたことはなく、週5日間小学校低学年向けの公文式教材を数時間行ったほか、自立支援プログラムとしてレクリエーションや運動をすることがあった(甲A2、乙A3、乙A4、原告A本人、弁論の全趣旨)。 (オ) 原告Aは、平成30年4月上旬頃、I校に入寮していたRがI校からの逃走を試みたが、これに失敗して職員にI校に連れ戻されてきた場面を目撃した。原告Aは、Rに対し、I校の職員から連れ戻された際の状況を尋ねたところ、Rは、職員から暴行を受けた旨述べた。(甲A2、原告A本人)(カ) 原告Aは、平成30年4月頃、I校の職員に対し、未成年の入寮者が起こ した飲酒トラブルに関する再発防止策を尋ねたところ、被告Dは、平成30年5月ないし6月頃、原告Aに対し、電話で「あんまり調子に乗っているとどうなるかわかってるんだろうな。」「てめーらは客じゃねぇんだよ。」などと怒鳴った(甲37、甲A2、原告A本人)。 (キ) 原告Aは、平成30年6月28日、G医師の診察を受けた。その際、原告 Aは、G医師に対し、「俺が脱走したら入院なんですよね。」と尋ねると、G医師は「そうだね。」と述べた。(甲A2、原告A本人)(ク) I校のパソコンは、後記⑸エのとおり、閲覧制限等がかけられ、利用が制限されていたが、原告Aは、外部にメールを送信できる方法を見つけ、I校の職員に見つからないよう 。(甲A2、原告A本人)(ク) I校のパソコンは、後記⑸エのとおり、閲覧制限等がかけられ、利用が制限されていたが、原告Aは、外部にメールを送信できる方法を見つけ、I校の職員に見つからないように、外部と連絡をとった。そして、原告Aを含む7名の入寮者は、 平成30年7月11日深夜、弁護士及び支援団体の仲介により、I校から職員の隙を ついて脱走し、近隣の福祉施設に保護された。(甲11の1から15まで、甲A2、原告A本人)(ケ) 原告Aは、令和6年4月20日、Sクリニックを受診し、H医師により、躁うつ病であり、「現加療中、病状の不安定さ、憎悪のくり返しは本人の言う過去のトラウマが主要な誘因となっている」との診断を受けた。原告Aは、本人尋問におい て、被告らによって連れ出されたときの記憶がチャイムによって呼び戻されると供述している。(甲A2、甲A3、原告A本人)⑶ 原告BのI校への入寮及び入寮後の経緯ア本件契約(B)の締結に至る経緯(ア) 原告B(平成▲年▲月生)は、平成▲年▲月、V大学経済学部を卒業した が、定職には就かずに実家(以下、単に「実家」と略することがある。)で両親らとともに生活をしていた(甲G2、乙G1、原告B本人)。 (イ) 原告Bの両親は、平成29年8月、被告Dと面談した。原告Bの両親は、被告Dに対し、原告Bが生まれてから現在に至るまでの経緯及び家族関係等を説明するとともに、原告Bの引きこもりが長期化していることなど家族として困っているこ とを相談した。なお、被告D作成の同月31日の面談の記録には「PICK通常」(通常どおりにピックアップするとの趣旨と解される。)「入校日の仮設定」との記載がある。(乙G1、原告B本人)(ウ) 原告Bの両親は、遅くとも平成29年10月 日の面談の記録には「PICK通常」(通常どおりにピックアップするとの趣旨と解される。)「入校日の仮設定」との記載がある。(乙G1、原告B本人)(ウ) 原告Bの両親は、遅くとも平成29年10月までに被告法人との間で、原告Bの自立支援に関する準委任契約(本件契約(B))を締結した(前記第2の2の 前提事実、弁論の全趣旨)。 被告Dは、原告Bに対し、被告Dらが実家を訪問することを事前に伝えておらず、原告Bの両親からも被告Dらが実家を訪問することを原告Bに伝えていなかった(被告D本人)。 イ I校への入寮の経緯 (ア) 原告Bは、平成29年10月以前に本件スクールのウェブサイトを印刷し た書類が実家のダイニングキッチンに隠してあることや父の鞄の中に被告Dが執筆した本が入っていることに気付いた。その際、原告Bは、本件スクール等についてインターネットで調べ、被告法人につき、親の依頼を受けて子供を暴力的に連れ出す業者であるとの認識を持った。(甲G2、原告B本人)(イ) 原告Bは、平成29年10月30日午前10時頃、自室である実家の2階 の洋室(以下、単に「自室」と略することがある。)にいたところ、1階のリビングにいる原告Bの父が電話で「今日はよろしくお願いします。」と話をしているのを聞いた。原告Bの父は、2階に上がり自室の扉を強くたたきながら「今日はどこにも行かせないからな。」と怒鳴った。(甲G2、原告B本人)原告Bは、父の電話先が本件スクールの関係者であると察し、連れて行かれないよ うに、実家から出ようと自室を出たが、父から「どこに行くつもりだ。」と怒鳴られ、実家から外に出ることができなかった。原告Bは、同日午後0時頃、両親の隙をついて着替え等の入った鞄とスーツケースを持って実家から逃走したが、父か 室を出たが、父から「どこに行くつもりだ。」と怒鳴られ、実家から外に出ることができなかった。原告Bは、同日午後0時頃、両親の隙をついて着替え等の入った鞄とスーツケースを持って実家から逃走したが、父からの電話を受けた被告Dの指示により追いかけてきた父に捕まり、腕を掴まれ、引っ張られながら実家に連れ戻され、両親らや、原告Bが逃げ出した後に実家に駆け付けた原告Bの 姉により逃げ出さないように監視された。(甲G2、原告B本人、弁論の全趣旨)(ウ) 被告Dは、原告Bの両親らと相談の上、平成29年10月30日午後1時過ぎ頃、被告E及び被告Fとともに、原告Bの実家を訪れた。原告Bは、母と姉からリビングに来るように言われ、リビングに行くと、被告Dらが現れた。被告Dらは、原告Bの両親と姉にリビングから出て行くように指示し、リビングには、原告Bと被 告Dらのみが残った。(甲G2、原告B本人)原告Bは、被告Dに対して「K学校の方ですよね。」と尋ねたが、被告Dは「違う。」と回答した。原告Bは、続けて被告Dに対して「以前テレビに出て問題になっていましたよね。」と質問したが、被告Dは、原告Bに対して「別のところじゃないですか。」と回答した。(甲G2、原告B本人) 原告Bは、被告Dらに対して「行くつもりはないので帰ってください。」と伝えた が、被告Dらは、原告Bに対して「親はもう歳で精神的にも経済的にも君を養えない。」「親はもう君をこの家に居させるつもりはない。」などと言ってこれを拒否した(甲G2、原告B本人)。 (エ) 被告Dは、被告F及び原告Bに対し、被告Fと原告Bの二人で話をするように指示した。被告Dと被告Eは、リビングの隣室のキッチンで待機していた両親と 姉を連れて2階に上がった。(甲G2、原告B本人)原告Bは、 F及び原告Bに対し、被告Fと原告Bの二人で話をするように指示した。被告Dと被告Eは、リビングの隣室のキッチンで待機していた両親と 姉を連れて2階に上がった。(甲G2、原告B本人)原告Bは、被告Fに対して「両親と話をさせてほしい。」と依頼したが、被告Fはこれを拒絶した。原告Bは、被告Fに対して「帰ってください。」と言い続けたが、被告Fは、原告Bに対して「この家には居させない。」「働きたくなったらいつでも働いてよい。」「I校に行かず、家を出るなら通報してI校よりも酷い施設に入れる。」 「親はこの家に居させるつもりはないから、納得して来てもらうか無理矢理連れて行くしかない。」などと言って被告Dらに同行してI校に行くように求め続けた。(甲G2、原告B本人、被告F本人)(オ) その後、被告Dは、原告Bに父と面会することを許可したが、父は、原告Bに対して、一人暮らしをさせる金はないから施設に入れなどと一方的に言い続け、 原告Bの言い分に対して聞く耳を持たなかった(甲G1の1、甲G2、原告B本人)。 (カ) 原告Bは、被告Fから被告Dらに同行してI校に行くことを執拗に要求され、父からも被告Dらに同行するよう強く求められたことから、これ以上抵抗することができないと考え、抵抗することを諦め、被告Dらに同行することを承諾した。原告Bは、被告Fから金銭や携帯電話の所持を禁止され、被告Fにより財布の中の金銭 を取り上げられ、携帯電話を自室に置いたまま、平成29年10月30日午後5時30分頃、被告Dらの用意した車の後部座席に乗り込み、被告Eの運転でI校まで連れて行かれた。後部座席には、被告Dらの取決めによってチャイルドロックがかけられており、車内からは扉が開かない状況になっていた。(甲G2、原告B本人、被告D本人、被告E本人、弁 Eの運転でI校まで連れて行かれた。後部座席には、被告Dらの取決めによってチャイルドロックがかけられており、車内からは扉が開かない状況になっていた。(甲G2、原告B本人、被告D本人、被告E本人、弁論の全趣旨) なお、被告Dらは、実家において、原告Bに対し、本件スクールの活動内容等を記 載したパンフレット等や寮規則等(甲6の1、甲13、乙1等)、被告Dらの名刺を交付しておらず、I校では外部との通信が制限され、金銭の所持が禁止され、外出も自由にはできないことなど、I校における入寮者の管理態勢を含め、I校における入寮者の生活状況に関する説明をしなかった(甲G2、原告B本人、被告F本人、弁論の全趣旨)。 ウ I校の入寮後の経緯(ア) 原告Bは、平成29年10月30日にI校に到着後、I校の職員から求められ、内容を十分に確認することなく、本件スクールの入学願書及び入寮同意書(入寮同意書の記載内容は前記⑵ウ(ア)と同じ)等に署名した。これらの入学願書及び入寮同意書等の原告Bの署名欄以外は、事前に原告Bの母により記入され、原告Bの 父の署名押印もされていた。(甲22、甲G2、乙G2、原告B本人、被告E本人、弁論の全趣旨)(イ) 原告Bは、平成29年11月上旬、I校の職員であるQと面談した。同面談において、原告Bは、Qに対し、一人暮らしをしてプログラミングスクールに通ったり、プログラマーとして就職活動をするための自立資金をためるためにI校の外で アルバイトをしたい旨伝えたが、Qはこれを許可しなかった。(甲G2、乙G5、原告B本人、被告E本人)(ウ) 原告Bは、I校に入寮している期間中、I校において、自己理解プログラムを受講したほか、G医師による診察及び臨床心理士等によるカウンセリングを受けたことがあった 原告B本人、被告E本人)(ウ) 原告Bは、I校に入寮している期間中、I校において、自己理解プログラムを受講したほか、G医師による診察及び臨床心理士等によるカウンセリングを受けたことがあったが、特に就労支援を受けたことはなく、週5日間小学校低学年向けの 公文式教材を数時間行ったほか、自立支援プログラムとしてレクリエーションや運動をすることがあった(甲G2、乙G3、乙G4、乙G5、原告B本人、弁論の全趣旨)。 (エ) Qは、平成29年11月19日、原告Bに対し、両親から原告BをI校に入れた理由の説明を受けるための場として、三者面談を行う旨を説明した。 同日午後3時頃から、原告Bと両親、Qの三者面談が行われた。同面談において、 原告Bは、両親に対し、I校からの退寮を求める手紙(以下、後記(オ)記載の手紙 と併せて「本件各手紙」という。)を交付し、口頭でも退寮を求めたが、両親はこれを拒否した。同手紙には「あの日、家に来た3人組のうちの1人と話をした」「『親はこれ以上、この家に居させる気はない』『施設へ納得して行くか無理やり連れて行かれるかどちらかだ』と言われた。」などとの記載がある。(甲G1の1、甲G2、乙G5、原告B本人) (オ) 平成29年12月17日、原告Bと両親、Qの三者面談が行われた。同面談において、原告Bは、両親に対し、改めてI校からの退寮を求める手紙を交付し、口頭でも退寮を求めたが、両親はこれを拒否した。(甲G1の2、甲G2、乙G5、原告B本人)(カ) 原告Bは、平成30年2月9日深夜から10日にかけて、I校の職員の隙 をついてI校から逃走し、約32km離れた実家まで徒歩で帰宅した。原告Bの父は、原告Bを2階の自室に連れて行き、施設に電話しなければならないと言って、I校の職員に電話 かけて、I校の職員の隙 をついてI校から逃走し、約32km離れた実家まで徒歩で帰宅した。原告Bの父は、原告Bを2階の自室に連れて行き、施設に電話しなければならないと言って、I校の職員に電話をした。(甲G2、原告B本人)被告E及びI校の職員であるJ(以下「J」という。)は、原告Bの父からの連絡を受け、原告Bの実家を訪問し、同日午後0時頃、自室に入ってきた。被告Eは、1 階に降り、自室に残ったJは、原告Bに対し、I校に連れ戻しに来た旨を伝えた。原告Bは、これを拒否し、Jに対して両親と話をさせてもらいたいと求めたが、Jはこれを拒否し、原告BとJの間で、I校に「戻れ」「戻らない」との押し問答が続いた。 その後、Jは、原告Bに対し、両親に会うことを許可した。(甲G2、原告B本人)原告Bは、1階のリビングに移動し、被告Eも同席の下、両親に対してI校に戻り たくない旨伝えたが、両親及び被告Eから、I校に戻るように繰り返し言われたため、抵抗することを諦め、同日午後1時頃、被告Eが用意した車に乗り、I校に連れ戻された。原告Bは、その後3日間、I校の職員からI校の居室から出ることを禁止され、施設内を清掃するペナルティーを課せられた。(甲G2、原告B本人)(キ) 原告Bは、平成30年8月、I校の職員に対し、神奈川県厚木市内のかか りつけの歯科医院への通院を希望したが、職員の同行が困難であることを理由に拒否 された(甲G2、原告B本人)。 (ク) 原告Bは、平成30年10月、I校の職員から仕事を探すことを許可され、同年11月からI校の外部でのアルバイトに従事できるようになったが、身分証明書、通帳やキャッシュカードは引き続き本件スクールが管理しており、アルバイト代の管理も許されなかったほか(原告Bが所持を許された現金は、 らI校の外部でのアルバイトに従事できるようになったが、身分証明書、通帳やキャッシュカードは引き続き本件スクールが管理しており、アルバイト代の管理も許されなかったほか(原告Bが所持を許された現金は、食費として1食分の35 0円とアルバイト先への交通費のみであり、アルバイトから帰ると、I校の職員からその日に使った現金に関するレシートの提示を求められ、残金についてはすべて取り上げられた。)、携帯電話その他の通信機器の所持も引き続き禁止されていた(甲G2、乙G5、原告B本人)。 (ケ) 原告Bは、平成31年4月以降、I校の職員からアルバイト代の管理や携 帯電話の所持を許されたが、I校からの外出についてはアルバイトを含めてI校の職員の許可が必要であり、I校の職員により定期的な点呼や居室内への立ち入っての就寝確認等(後記⑸ア及びイ参照)は従前どおり継続されていた(甲G2、原告B本人)。 (コ) 原告Bは、令和元年12月13日、弁護士及び支援団体の協力によりI校から逃走した(原告B本人、弁論の全趣旨)。 (サ) 原告Bは、I校を退寮した後も、入寮中から勤務していたアルバイト先で就労を続けたが、体調を崩し、令和5年3月頃に退職した。もっとも、原告Bは、両親からの金銭的な支援を受けずに一人暮らしを続けている。(原告B本人)。 ⑷ 原告CのI校への入寮及び入寮後の経緯等ア原告C(平成▲年▲月生)は、平成29年5月22日から同年11月1日まで I校に入寮していた。この間、原告Cは同年6月3日には、I校を無断で退寮しようとし、同月15日には、I校にいるのは嫌であるとか、同年9月15日には家に帰りたいなどと医師に話していた。(前記第2の2の前提事実、甲E1の1及び2、弁論の全趣旨)。 イ(ア) 横浜地方裁判所は、令和6年4月 日には、I校にいるのは嫌であるとか、同年9月15日には家に帰りたいなどと医師に話していた。(前記第2の2の前提事実、甲E1の1及び2、弁論の全趣旨)。 イ(ア) 横浜地方裁判所は、令和6年4月19日に原告らによる原告Cについて の当事者尋問の申請を採用する旨決定し、同年5月30日の口頭弁論期日において尋 問を行うこととしたが、原告Cは、同月27日に至って、原告ら訴訟代理人を通じ、都合により同月30日の尋問に出頭しないとして本人尋問の申請を撤回する旨、同裁判所に連絡をし、同日、出頭しなかった(顕著な事実)。 (イ) 被告らは、令和6年5月29日、「原告Cの意思に反して連れ出していないこと」、「原告CをI校に監禁していないこと」及び「原告Cに対して適切な支援 を行ったこと」を立証趣旨として、「現在の生活状況」、「I校に入寮するまでの状況」、「I校での生活や支援の状況」、「I校から無断で外出した際の状況」及び「I校を退所した際の状況」を尋問事項として原告Cの当事者尋問を申請した(顕著な事実)。 横浜地方裁判所は、令和6年5月30日の第16回口頭弁論期日において被告らに よる同申請を採用する旨決定し、同年7月16日の口頭弁論期日において尋問を行うこととした。同期日は裁判所の都合で同年9月19日に延期されたが、原告Cは、原告ら訴訟代理人を通じ、同日の尋問に出頭できない旨、同裁判所に連絡をし、同日、出頭しなかった。(顕著な事実)⑸ I校における入寮者の管理態勢等 ア I校においては、昼間(午後0時から午後2時頃)や夕方(午後4時30分から午後6時頃)の限られた時間帯の最大1時間の外出(近隣の散歩。ただし、令和元年5月21日以降は夕方の外出が禁止された。)や職員が同行しての買物を除き、職員の許可がない限 )や夕方(午後4時30分から午後6時頃)の限られた時間帯の最大1時間の外出(近隣の散歩。ただし、令和元年5月21日以降は夕方の外出が禁止された。)や職員が同行しての買物を除き、職員の許可がない限り、入寮者の単独での外出や外泊は禁止されており、定時(午前7時55分、午前10時、午後0時、午後2時、午後6時及び午後9時30分)に入寮 者の所在を確認するための職員による点呼があった。点呼から1時間経過しても入寮者の所在が確認できない場合には、無断外出として職員による捜索を開始し、点呼から2時間を経過しても入寮者の所在が確認できない場合には、保護者への連絡と警察への家出人捜索を依頼することとされていた。被告法人は、入寮者の保護者等に対して入寮者がI校から自宅に逃走した際には被告法人に連絡するとともに、被告法人の 指示に従うように求めていた。(甲16の1及び2、甲22、甲35、甲43、証人 W(以下、「証人W」という。)、原告B本人、被告D本人、被告F本人、弁論の全趣旨)イ I校(3階建)は、居室、厨房、食堂、自習室、面談室、大浴場等を備えている。各所に入寮者の動静を確認するための複数の監視カメラが設置されており、午後10時から午前7時までにかけては、警備を担当する職員が1階の食堂兼事務所兼用 の事務スペースで監視カメラのモニターで入寮者の動静を注視するとともに、入寮者の各居室内に入寮者の承諾なく開錠して立ち入り所在を確認していた。入寮者がI校から逃走した場合には、警備を担当する職員から他の職員の携帯電話にすぐに電話で連絡をするように取り決められていた。(甲12、甲27、甲28、甲41、乙4の2、証人W、原告B本人、被告D本人、被告E本人、被告F本人) ウ I校の各居室の窓にはストッパー、2階及び3階の共用 をするように取り決められていた。(甲12、甲27、甲28、甲41、乙4の2、証人W、原告B本人、被告D本人、被告E本人、被告F本人) ウ I校の各居室の窓にはストッパー、2階及び3階の共用部分の窓にはポール(鉄格子。以下「ポール」という。)、中庭の窓等には人の出入りがあった場合に警報音が鳴るブザー(以下「ブザー」という。)がそれぞれ設置されており、非常口は施錠されていた。平成30年4月頃以降は、1階の正面玄関についても夜間施錠されるようになり、同年8月末頃以降は正面玄関にもブザー、平成30年12月には非常 口ドアにブザーが設置されるようになった。(甲12、甲23、甲24の1及び2、甲27、甲28、乙4の2、証人W、原告B本人、被告D本人、弁論の全趣旨)エ I校においては、入寮者の携帯電話その他の通信機器や金銭、身分証明書の所持は原則として禁止されていた。また、I校には入寮者用の共用のパソコンが設置されていたが、職員が許可した場合に限られた時間でしか使用できなかった上、平成3 0年1月14日以降はメールやSNS等に閲覧制限がかけられ、利用が制限されていた。入寮者が外部に手紙を送付できる日は月2回に限定されており、入寮者から外部への手紙及び外部から入寮者への手紙は、いずれも入寮者の同意を得ずに事前に職員が開封の上で内容を検閲していた。(甲13、甲14、甲15、甲25、甲26、甲43、甲45、原告B本人、被告D、被告E) オ I校から脱走した入寮者については、その多くが職員の捜索により発見され、 I校に連れ戻された上で、一部の者は、考査部屋(平成30年9月20日から設置)に入れられ、他の入寮者との接触を禁止され、反省文を書かされる、トイレ以外には居室から出るのを禁止されるとともに施設清掃を義務付けら 戻された上で、一部の者は、考査部屋(平成30年9月20日から設置)に入れられ、他の入寮者との接触を禁止され、反省文を書かされる、トイレ以外には居室から出るのを禁止されるとともに施設清掃を義務付けられる、居室の扉にブザーを設置され、数日間にわたり居室に監禁され、おむつを履かされてトイレに行くことも禁じられるといったペナルティーが与えられたほか、平成31年1月以降は反省集 会として称して他の入寮者の前で謝罪をさせられるようになった(甲12、甲13、甲17、甲33から甲35まで、甲41、甲43、甲G2、証人W、原告A本人、原告B本人、被告D本人、弁論の全趣旨)。 カ本件スクールは、入寮者の保護者から保護者代理人資格証明書を受領している。 同証明書には「入寮生が…無断で施設を脱け出した場合、保護者代理であるK学校が、 入寮生を自宅に帰宅させるかどうかを判断する権限を持つことを理解する」との記載がある。また、本件スクールが入寮者の保護者に交付している「保護者へのお願い」と題する書面には、「脱走時」との見出しの下「スタッフからの連絡なしに、本人が自宅や保護者を訪ねてきた場合、すぐに寮長のE…に電話をお願いします。」との記載がある。(甲16の1及び2、被告D本人) ⑹ 事実認定の補足説明ア(ア) 被告らは、前記⑵イで認定した原告AのI校への入寮に至る一連の事実経緯を否認しており、被告Dらが原告Aに対し、被告法人がどのような団体でI校において入寮者がどのような生活を送るのかを説明し、原告Aの承諾を得て入寮させた旨主張しており、これに沿うかのような被告Dらの陳述書(乙9から13まで)の記 載及び本人尋問の供述がある。 しかし、被告Dらは、本件契約(A)に基づき、原告AをI校に入寮させることを目的としてA宅を訪問したもの うかのような被告Dらの陳述書(乙9から13まで)の記 載及び本人尋問の供述がある。 しかし、被告Dらは、本件契約(A)に基づき、原告AをI校に入寮させることを目的としてA宅を訪問したものであるが、被告DらがA宅を訪問した際に本件スクールの活動内容等を記載したパンフレット等や寮規則等(甲6の1、甲13、乙1等)を持参していないことは、被告Dも本人尋問において自認しており(5頁)、当事者 間に争いがない。そして、前記⑵ア(オ)で認定したとおり、平成30年3月当時、 原告Aは、一人暮らしをしていたものの、経済的には母に依存していたのであり、母とのそのような関係を断ち切り、見ず知らずの場所で寮生活をすることに強い抵抗感を示すことは容易に想像できるところ、これらの資料等を示すことなく、被告らが主張するように、原告Aを納得させられるようなI校における生活に関する具体的な説明ができたのかそもそも疑問である。また、被告Dらの陳述書(乙9から13まで) の記載及び本人尋問の供述によっても、被告Dらが平成30年3月12日に原告Aのアパート及びI校において原告Aに対して行ったI校における生活環境に関する説明の内容は判然としない上(被告Dは、本人尋問において、A宅訪問時に、原告Aに対し、通信機器は使えないと説明したと供述しているが、被告Dのその供述は抽象的なものに留まっている上、陳述書(乙9、乙12)において上記説明につき何ら触れ られていないことに照らせば、信用性を欠き、採用することができない。)、前記⑵ウ(イ)で認定したとおり、原告Aは、I校の入寮から1週間も経過していない同月18日には、本件スクールの入学に関する契約のクーリングオフを求める本件通知書を作成して翌日には被告Eを含むI校の職員にこれを交付していたり、平成3 原告Aは、I校の入寮から1週間も経過していない同月18日には、本件スクールの入学に関する契約のクーリングオフを求める本件通知書を作成して翌日には被告Eを含むI校の職員にこれを交付していたり、平成30年7月11日には弁護士及び支援団体の協力を得てI校から逃走していることからすれ ば、前記⑸で認定したI校における入寮者に対する管理態勢を含め、I校における生活環境に関する具体的な説明が被告Dらからあったとは考えられない。したがって、原告Aの承諾を得て入寮させたとの被告Dらの上記陳述書(乙9から13まで)の記載及び本人尋問の供述は、不自然不合理であって採用することができない。 かえって、被告Dの説明に関する原告Aの本人尋問の供述は、具体的であり、反対 尋問にさらされても一貫している上、その供述内容は、本件通知書の作成に加え、原告Aは、アパートから出る際、シャワーや着替えをすることもなく、Tシャツに股引のまま被告Dらの用意した車に乗り込んでおり、I校に向かう際に原告Aが乗っていた車の後部座席にはチャイルドロックがかけられており、自由に降車できない状況に置かれていたことといった事実経緯にも沿うものであって、信用することができ、前 記⑵イで認定した事実が認められる。 (イ) 前記⑵イ(ウ)の認定に関し、被告らは、平成30年3月当時、原告Aにおいて、措置入院の要件を認識しており、同要件の一つである自傷疑いのおそれがあるとの精神科医2名による診断がないことを把握していたのであるから、被告Dの説明を受けて措置入院の可能性があると誤信したことはない旨主張している。 しかし、原告Aの陳述書(甲A2)の記載や本人尋問の供述を精査する限り、原告 Aも措置入院であると誤信したとまでは記載や供述をしておらず、被告Dによる「福祉の 信したことはない旨主張している。 しかし、原告Aの陳述書(甲A2)の記載や本人尋問の供述を精査する限り、原告 Aも措置入院であると誤信したとまでは記載や供述をしておらず、被告Dによる「福祉の人間です。」「主治医のG先生からも相談されて来てるんだ。」等の説明から、被告Dらによって、措置入院その他行政上の措置として強制的に医療機関等に連れて行かれてしまうものと誤信した旨供述しているにすぎない。原告Aが供述する被告Dらの対応等を踏まえれば、原告Aがそのように誤信してしまうことも不合理ではなく、 被告らが指摘する上記各事情から直ちに原告Aの供述が不自然不合理とまではいえず、被告らの主張は採用することができない。 イ被告らは、前記⑶イで認定した原告BのI校への入寮に至る一連の事実経緯を否認しており、被告Dらが原告Bに対し、被告法人がどのような団体でI校において入寮者がどのような生活を送るのかを説明し、原告Bの承諾を得て入寮させた旨主張 しており、これに沿うかのような被告Dらの陳述書(乙9から13まで)の記載及び本人尋問の供述がある。 しかし、被告Dらは、本件契約(B)に基づき、原告BをI校に入寮させることを目的として原告Bの実家を訪問したものであるが、被告Dらが実家を訪問した際に本件スクールの活動内容等を記載したパンフレット等や寮規則等(甲6の1、甲13、 乙1等)、被告Dらの名刺のいずれも持参していないことは当事者間に特に争いがない(被告Dも、本人尋問において、原告Bの実家に訪問した際の原告Bとのやりとりに関する記憶がほとんどないとの趣旨の供述をしており、説得に当たった被告Fも、本人尋問において、原告Cに対してとは異なりパンフレット等や名刺の交付につき何ら供述していない。)。そして、前記⑶ア(ア)で認定したとおり、平 どないとの趣旨の供述をしており、説得に当たった被告Fも、本人尋問において、原告Cに対してとは異なりパンフレット等や名刺の交付につき何ら供述していない。)。そして、前記⑶ア(ア)で認定したとおり、平成29年10 月当時、原告Bは、実家において両親とともに生活をしており、経済的にも両親に依 存していたのであり、両親とのそのような関係を断ち切り、見ず知らずの場所で寮生活をすることに強い抵抗感を示すことは容易に想像できるところ、これらの資料等を示すことなく、被告らが主張するように、原告Bを納得されられるようなI校における生活に関する具体的な説明ができたのかそもそも疑問である。また、被告Dらの陳述書(乙9から13まで)の記載及び本人尋問の供述によっても、被告Dらが平成2 9年10月30日に原告Bの実家及びI校において原告Bに対して行ったI校における生活に関する説明の内容は判然としない上(被告Eは、本人尋問において、自宅訪問時に、通信制限がされることは正面から説明したと供述するが、被告Eのその供述は抽象的なものにとどまっている上、陳述書[乙10、乙13]において上記説明について何ら触れられていないことに照らせば、信用性を欠き、採用することができ ない。)、前記⑶ウ(エ)及び(オ)で認定したとおり、原告Bは、I校の入寮後約1か月で行われた二度の三者面談において、いずれもI校に面会に訪れた両親に対し、本件各手紙を交付してI校の問題点を指摘してI校からの退寮を強く求めていたり、令和元年12月13日には弁護士及び支援団体の協力を得てI校から逃走していることからすれば、前記⑸で認定したI校における入寮者に対する管理態勢を含め、I 校における生活環境に関する具体的な説明が被告Dらからあったとは考えられない。 したがって、原告Bの ら逃走していることからすれば、前記⑸で認定したI校における入寮者に対する管理態勢を含め、I 校における生活環境に関する具体的な説明が被告Dらからあったとは考えられない。 したがって、原告Bの承諾を得て入寮させたとの被告Dらの陳述書(乙9から13まで)の記載及び本人尋問の供述は、不自然不合理であって採用することができない。 かえって、被告Fの説明に関する原告Bの本人尋問の供述については、具体的であり、反対尋問にさらされても一貫している上、その供述内容は、本件各手紙の交付に 加え、原告Bの実家において、原告Bの父も加わって約4時間にもわたり執拗に説得が続けられており、I校に向かう際に原告Bが乗っていた車の後部座席にはチャイルドロックがかけられており、自由に降車できない状況に置かれていたことといった事実経緯にも沿うものであって、信用することができ、前記⑶イで認定した事実が認められる。 ウ(ア) 前記⑸イの認定に関し、被告らは、監視カメラの設置目的につき、居室 での盗難防止や入寮者間や入寮者と職員との間にトラブルが生じた際の事実確認のためである旨主張しており、これに沿う被告Eの陳述書(乙10)の記載並びに被告D及び被告Eの各本人尋問の供述があるが、証拠(甲27、甲28)によれば、監視カメラが居室内には設置されていないものの、入寮者の動静を確認できるように外部への出入口を含めて適宜設置されていることが認められる上、現に夜間、警備担当の 職員が監視カメラのモニターで入寮者の動静を注視しており、入寮者がI校から逃走した場合には、他の職員に至急電話連絡をする取り決めがされていたこと(甲41、証人W)からすれば、監視カメラを設置した主たる目的が入寮者の動静の確認や逃走防止のためであったものと推認することができ、上記記載 には、他の職員に至急電話連絡をする取り決めがされていたこと(甲41、証人W)からすれば、監視カメラを設置した主たる目的が入寮者の動静の確認や逃走防止のためであったものと推認することができ、上記記載及び供述は信用性を欠き、採用することができない。 (イ) 前記⑸ウの認定に関し、被告らは、窓のポールの設置目的につき、入寮者の転落防止、ストッパーの設置目的につき入寮者の転落防止とエリア移動の制限、非常口施錠の目的につき外部からの侵入防止にあるなどと主張しており、これに沿う被告Eの陳述書(乙10)の記載並びに被告D及び被告Eの本人尋問の供述があるが、前記⑸イで認定したとおり、I校では、各所に監視カメラが設置されていた上、職員 において、入寮者の居室内まで立ち入り巡回し、一日に複数回にわたり定期的に点呼をとるのみならず、深夜から早朝にかけては監視カメラで入寮者の動静を確認するなどして、その行動を監視していたことからすれば、上記各備品についても、入寮者の逃走防止が主たる目的であったと推認することができ、上記記載及び供述は信用性を欠き、採用することができない。 エ前記⑸オの認定に関し、被告Dは、本人尋問において入寮者本人が退寮を希望した場合には、いつでも退寮することができたかのように供述するが、前記⑸カで認定したとおり、本件スクールが入寮者の保護者から受領している保護者代理人資格証明書には「入寮生が…無断で施設を脱け出した場合、保護者代理であるK学校が、入寮生を自宅に帰宅させるかどうかを判断する権限を持つ」との記載がある上、入寮者 本人が退寮を希望しても、親が退寮を希望していたり、入寮者本人の就職先が決まっ ていたりするなどの状況でない場合には退寮を認めないとの趣旨の被告Eの本人尋問の供述(25頁)とも矛盾 本人が退寮を希望しても、親が退寮を希望していたり、入寮者本人の就職先が決まっ ていたりするなどの状況でない場合には退寮を認めないとの趣旨の被告Eの本人尋問の供述(25頁)とも矛盾しており、信用性を欠き、採用することができない。 2 原告Aに対する不法行為の成否(争点1-1)について⑴ 侵害行為アまず、原告AがI校に入寮していた平成30年3月12日から同年7月11日 までの間、原告Aが監禁されていたといえるかどうかについて検討する。 I校における原告Aを含む入寮者に対する管理態勢は、前記1⑸で認定したとおりであって、I校から逃走することが物理的に不可能であったとまではいえないものの、各所へのストッパー・ポール等の設置や非常口等の施錠等により入寮者の逃走を防止するための物理的な措置が講じられるとともに、職員において、入寮者の居室内まで 立ち入り巡回し、一日に複数回にわたり定期的に点呼をとるのみならず、深夜から早朝にかけては監視カメラで入寮者の動静を確認するなどして、その行動を監視していたこと、実際に入寮者がI校からの逃走を図った場合には、職員による捜索によりその多くが発見されI校に連れ戻された上で懲罰を与えられるなどしていたこと、携帯電話その他の通信機器や金銭等の所持が原則として禁止され、共用のパソコンについ てもメールやSNSの利用が制限されていた上、手紙についてもその内容が事前に職員により検閲されており、外部との連絡が著しく困難な状況にあったこと、本件スクールと提携するG医師からも原告AがI校から逃走した場合には精神保健福祉法33条所定の医療保護入院等の可能性がある旨の指摘を受けていたこと等が認められ、これらの事情に照らせば、原告Aが自らの意思に基づきI校以外の場所に自由に移動 する 走した場合には精神保健福祉法33条所定の医療保護入院等の可能性がある旨の指摘を受けていたこと等が認められ、これらの事情に照らせば、原告Aが自らの意思に基づきI校以外の場所に自由に移動 することが著しく困難な状況に置かれていたものと評価することができる。そして、前記1⑵ウ(イ)で認定したとおり、原告Aは、I校の入寮から1週間も経過していない平成30年3月18日には、本件スクールの入学に関する契約のクーリングオフを求める本件通知書を作成して翌日には被告Eを含むI校の職員にこれを交付している上、同年7月11日には弁護士及び支援団体の仲介により、I校から逃走してい ることからすれば、I校における生活につき原告の真摯な承諾がなかったことは明ら かである。そうすると、被告Dらが原告AをI校以外の場所に自由に移動することが著しく困難な状況に置いた行為は、原告Aの真摯な承諾を欠き、その意思に反するものであって、原告Aの移動の自由等を侵害するものであり、違法である。 イ次に、連れ出し行為の不法行為該当性について検討すると、前記1⑵イで認定したとおり、被告Dらは、原告AをI校に入寮させる際、事前に訪問を伝えることな く、A宅を訪れ、原告の姉をして原告Aの承諾なく玄関の鍵を開錠させた上で、I校における管理態勢を含め、自由な移動や外部との連絡等が制限されることになるI校における生活環境を一切説明することなく、被告Dにおいて「とりあえず話を聞いてもらうだけだから事務所まで来てくれないかな。」などの虚偽の事実を述べるなどして、被告Dらに同行するよう要求し、被告Dらに同行しなければ、今後措置入院等に より強制的に医療機関に入院させられる可能性がある以上、とりあえず被告Dらの話を聞いた上で帰宅しようと考えた原告Aを被告Fが運転する車 るよう要求し、被告Dらに同行しなければ、今後措置入院等に より強制的に医療機関に入院させられる可能性がある以上、とりあえず被告Dらの話を聞いた上で帰宅しようと考えた原告Aを被告Fが運転する車(原告Aの座った後部座席にはチャイルドロックがかけられており、原告Aにおいて自由に車外に出ることができない状況にあった。)で前記アのような管理態勢にあるI校に連れて行っている。これらによれば、原告AをI校に連れて行った行為は、原告Aの真摯な承諾を欠 き、その意思に反するものであると認めるのが相当であり、原告Aの移動の自由等を侵害するものであり、違法である。 ウそして、前記イ記載の原告AをI校に連れて行く行為は、I校への入寮という目的に向けた手段にすぎず、原告Aに対する自立支援の名の下で前記アのようなI校での生活を強いるための一連の行為であり、かつ、被侵害利益についても共通するか ら、個別の不法行為ではなく、一連の不法行為を構成すると解するのが相当である。 ⑵ 共謀の有無前記1⑵アで認定したとおり、平成30年3月当時、原告Aは、一人暮らしをしていたものの、経済的には母に依存していたことからすれば、被告Dらにおいて、原告Aが母とのそのような関係を断ち切り、見ず知らずの場所で寮生活をすることに強い 抵抗感を示すことは容易に想像できる状況にあったことは明らかである。また、前記 1⑴で認定したとおり、被告Dは本件スクールの学校長、被告EはI校の施設長として、I校の運営に携わっており、被告Fも平成25年に被告法人に入社していることからすれば、被告Dらは、いずれも前記1⑸で認定したI校における入寮者に対する管理態勢を当然に認識していたものと認められる。そうすると、被告Dはもちろんのこと、被告E及び被告Fについても、被告D とからすれば、被告Dらは、いずれも前記1⑸で認定したI校における入寮者に対する管理態勢を当然に認識していたものと認められる。そうすると、被告Dはもちろんのこと、被告E及び被告Fについても、被告Dによる原告Aに対するI校への入寮の説 得に先立ち、原告AからI校への入寮に関して強い抵抗感が示されるであろうこと、I校に入寮することで原告Aの移動の自由等が侵害される状況に置かれることを十分に認識していたにもかかわらず、前記説示したとおり、被告Dにおいて、I校における入寮者の生活環境を一切説明することなく、虚偽の事実を述べるとともに、被告E及び被告Fにおいても、その説明に何ら異議を述べず、被告Dによる原告Aに対す る説得を黙認し、保護者対応や車でのI校への送迎を含め、原告AをI校に連れて行き、I校における生活を強いるための必要不可欠な行為を担っていることからすれば、被告Dらにおいて、遅くとも被告Dらにおいて原告Aのアパートを訪れることが決定した時点において、原告Aの真摯の承諾の有無にかかわらず、原告AをI校に連れ出し、原告AをI校に入寮させ、I校以外の場所に自由に移動することが著しく困難な 状況に置くことに関して認識・認容しており、かつ、共謀があったものと認めるのが相当である。 ⑶ 被告らの主張ア被告らは、原告AがI校の入寮時に入学願書及び入寮同意書に署名している以上、署名時点で措置入院ではなく、本件スクールに入学することを理解しており、少 なくともI校に入寮するより前の時点でA宅には戻れないことを認識していたとして、被告DらによるI校への連れ出しは、原告Aの真摯な承諾を欠くものではなく、不法行為は成立しない旨主張しているものと解される。 確かに、前記1⑵ウ(ア)で認定したとおり、原告Aは、平成30年3月12日に DらによるI校への連れ出しは、原告Aの真摯な承諾を欠くものではなく、不法行為は成立しない旨主張しているものと解される。 確かに、前記1⑵ウ(ア)で認定したとおり、原告Aは、平成30年3月12日に被告Dらに同行してI校に到着後、被告Eに署名を求められ、その内容を十分に確認 できなかったにせよ、本件スクールの入学願書及び入寮同意書(いずれも表題として 大きく「K学校入学願書」「入寮同意書」と明記されている。)に署名している以上、その時点でI校に入寮せざるを得ないことを認識したものとうかがわれる(なお、原告Aは、本人尋問において、少なくとも入寮同意書につき何の書類か分からないまま署名したなどと供述しており、この点では原告Aの供述はにわかに信用し難い。)。 しかし、そのことから直ちにI校に入寮するより前の時点を含め、原告AがA宅には 戻れないことを承諾していたということはできない。かえって、前記⑴イで説示したとおり、I校への入寮に至る一連の経緯からみても、I校への連れ去りにつき、原告Aの真摯な承諾がないことは明らかである。 したがって、被告らの主張は採用することができない。 イ被告らは、仮に、被告Dらによる原告AのI校への連れ出し行為が違法の評価 を受けるとしても、原告Aが扶養義務のない母に対して経済的支援を求め続ける行為は母に対する違法な行為と評価し得るのであるから、原告Aの母からの委任を受けた被告Dらによる同行為は緊急避難的な行為であり、違法性が阻却され、不法行為は成立しない旨主張している。 しかし、子の成人後も直系血族は相互に生活扶助義務を負うところ(民法877条 1項参照)、原告Aが母に対して経済的支援を求めたこと自体は直ちに違法の評価を受けるものではなく、これが原告Aの母との関係で現在の危難である 血族は相互に生活扶助義務を負うところ(民法877条 1項参照)、原告Aが母に対して経済的支援を求めたこと自体は直ちに違法の評価を受けるものではなく、これが原告Aの母との関係で現在の危難であるともいえない。 また、被告らによる方法以外に原告Aの自立支援に関する代替手段がないとはいえず、補充性は認められない。そうすると、本件契約(A)に基づく原告Aの母の委任があるからとって、被告らの行為が緊急避難ないし緊急避難に類似する行為として違法性 が阻却されるものではないというべきである。 したがって、被告らの主張は、採用することができない。 ウ被告らは、原告Aが外部と何度も連絡を取り合い、平成30年7月11日にI校の職員から止められることもなくI校の正面玄関から逃走している以上、原告Aにつき、I校以外の場所に自由に移動することが著しく困難な状況に置かれていたとい うことはできず、原告Aの移動の自由等を侵害するものではないから、不法行為は成 立しない旨主張している。 しかし、被告らの指摘する原告Aによる外部との連絡(原告A本人[18頁から20頁まで])は、I校において許可されていたものではなく、他の入寮者のパソコン等を利用してI校の職員には内密に行われていたものであるし、その内容も、外部の支援者に対してI校からの逃走の援助を求めるものであって、通信機器等を使用して 外部と自由にやりとりできたことを何ら裏付けるものではない。また、原告Aは、平成30年7月11日に弁護士や支援団体の協力を得てI校の正面玄関から逃走しているが、車の手配や転居先の確保といった弁護士や支援団体の協力がなければ、他の逃走者と同様に職員により連れ戻されていた可能性も高く、正面玄関から逃走したことは、自由な外出が保証されていたことを何ら裏付けるもの の手配や転居先の確保といった弁護士や支援団体の協力がなければ、他の逃走者と同様に職員により連れ戻されていた可能性も高く、正面玄関から逃走したことは、自由な外出が保証されていたことを何ら裏付けるものではない。 したがって、被告らの主張は採用することができない。 ⑷ 小括そうすると、被告Dらは、民法709条・719条に基づき、原告Aの意思に反して原告AをI校に連れて行き、I校に入寮させ、I校以外の他の場所に自由に移動することを著しく困難な状況に置いたという一連の行為につき、不法行為責任を負う。 また、被告法人は、被告Dの行為につき、一般社団法人法78条・民法719条に基づき、被告E及び被告Fの行為につき、民法715条1項・719条に基づき、法的責任を負う。 3 不法行為に係る原告Aの損害の有無・損害額(争点1-2)について証拠(甲A2、甲A3、原告A本人)によれば、原告Aは、前記2記載の被告らの 一連の不法行為によって、約4か月にわたり、I校において、移動や通信の自由を制限される生活を強いられ、躁うつ病を悪化させ、今でも玄関のチャイムの音が鳴ると被告Dらが連れ戻しに来たのではないかという恐怖を感じている様子がうかがわれ、多大な精神的苦痛を受けたものと認められる。そのほか本件に顕れた一切の事情に照らせば、原告Aが受けた精神的苦痛に対する慰謝料は80万円を認めるのが相当であ る。 また、前記2記載の被告らの一連の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用相当額は8万円を認めるのが相当である。 よって、原告Aは、不法行為による損害賠償請求権に基づき、被告らに対し、連帯して88万円及びこれに対する令和3年1月20日から支払済みまで年5%の割合による遅延損害金の限度で支払請求権を有している。 、原告Aは、不法行為による損害賠償請求権に基づき、被告らに対し、連帯して88万円及びこれに対する令和3年1月20日から支払済みまで年5%の割合による遅延損害金の限度で支払請求権を有している。 4 原告Bに対する不法行為の成否(争点2-1)について⑴ 侵害行為アまず、原告BがI校に入寮していた平成29年10月30日から令和元年12月13日までの間、原告Bが監禁されていたといえるかどうかについて検討する。 I校における原告Bを含む入寮者に対する管理態勢は、前記1⑸で認定したとおり であって、I校から逃走することが物理的に不可能であったとまではいえないものの、各所へのストッパー・ポール等の設置や非常口等の施錠等により入寮者の逃亡を防ぐための物理的な措置が講じられるとともに、職員において、入寮者の居室内まで立ち入り巡回し、一日に複数回にわたり定期的に点呼をとるのみならず、深夜から早朝にかけて監視カメラで入寮者の動静を確認するなどして、その行動を監視していたこと、 実際に入寮者がI校からの逃走を図った場合には、職員による捜索によりその多くが発見されI校に連れ戻された上で懲罰を与えられるなどしていたこと、携帯電話その他の通信機器や金銭、身分証明書の所持が原則として禁止され、共用のパソコンについてもメールやSNSの利用が制限されていた上、手紙についてもその内容が事前に職員により検閲されており、外部との連絡が著しく困難な状況にあったこと等が認め られ、これらの事情に照らせば、原告Bが自らの意思に基づきI校以外の場所に自由に移動することが著しく困難な状況に置かれていたものと評価することができる。そして、前記1⑶ウ(エ)及び(オ)で認定したとおり、原告Bは、I校の入寮の約1か月後に行われた二度の三者面談において、いずれ 移動することが著しく困難な状況に置かれていたものと評価することができる。そして、前記1⑶ウ(エ)及び(オ)で認定したとおり、原告Bは、I校の入寮の約1か月後に行われた二度の三者面談において、いずれもI校に面会に訪れた両親に対し、I校の問題点を指摘してI校からの退寮を強く求めている上、平成30年2月9日及 び令和元年12月13日の二度にわたりI校から逃走していることからすれば、I校 における生活につき原告Bの真摯な承諾がなかったことは明らかである。そうすると、被告Dらが原告BをI校以外の場所に自由に移動することが著しく困難な状況に置いた行為は、原告Bの真摯な承諾を欠き、その意思に反するものであって、原告Bの移動の自由等を侵害するものであり、違法である。 イ次に、連れ出し行為の不法行為該当性について検討すると、前記1⑶イで認定 したとおり、原告Bを実家からI校に入寮させる際、被告Dらは、実家からの逃走を図った原告Bを父に指示をして連れ戻させた上で、事前に訪問を伝えることなく、実家を訪れ、被告Dらとの同行を一貫して拒否する原告Bに対し、I校における入寮者の管理態勢を含め、自由が制限されることになるI校における生活環境を一切説明することなく、被告Dにおいて本件スクールの関係者ではないと虚偽の事実を述べると ともに、被告Fにおいて「I校に行かず、家を出るなら通報してI校よりも酷い施設に入れる。」「親はこの家に居させるつもりはないから、納得して来てもらうか無理矢理連れて行くしかない。」などの威迫的な言辞を用いて約4時間にわたり、被告Dらに同行してI校に行くことを執拗に要求し、父からも被告Dらに同行するよう強く求められてこれ以上抵抗することができないと考えた原告Bを被告Fが運転する車 (原告Bが座った後部座席にはチ 被告Dらに同行してI校に行くことを執拗に要求し、父からも被告Dらに同行するよう強く求められてこれ以上抵抗することができないと考えた原告Bを被告Fが運転する車 (原告Bが座った後部座席にはチャイルドロックがかけられており、自由に車外に出ることができない状況にあった。)で前記アのような管理態勢にあるI校に連れて行っている。これらによれば、被告Dらが原告BをI校に連れて行った行為は、原告Bの真摯な承諾を欠き、その意思に反するものであると認めるのが相当であり、原告Bの移動の自由等を侵害するものであり、違法である。 ウそして、前記イ記載の原告BをI校に連れて行く行為と原告Bに前記ア記載のようなI校での生活を強いた行為が、個別の不法行為ではなく、一連の不法行為を構成することは、前記2⑴ウで説示したとおりである。 ⑵ 共謀の有無前記1⑶アで認定したとおり、平成29年10月当時、原告Bは、実家である実家 において両親とともに生活をしており、経済的にも両親に依存していたことからすれ ば、被告Dらにおいて、原告Bが両親とのそのような関係を断ち切り、見ず知らずの場所で寮生活をすることに強い抵抗感を示すことは容易に想像できる状況にあったことは明らかである。また、前記1⑴で認定したとおり、被告Dは本件スクールの学校長、被告EはI校の施設長として、I校の運営に携わっており、被告Fも平成25年に被告法人に入社していることからすれば、被告Dらは、いずれも前記1⑸で認定 したI校における入寮者に対する管理態勢を当然に認識していたものと認められる。 そうすると、被告Dらは、いずれも被告Fによる原告Bに対するI校入寮への説得に先立ち、原告BからI校への入寮に強い抵抗感が示されるであろうこと、I校に入寮することで原告Bの移動の自由 と認められる。 そうすると、被告Dらは、いずれも被告Fによる原告Bに対するI校入寮への説得に先立ち、原告BからI校への入寮に強い抵抗感が示されるであろうこと、I校に入寮することで原告Bの移動の自由等が侵害される状況に置かれることを十分に認識していたにもかかわらず、前記説示したとおり、被告Fにおいて、I校における生活環 境を一切説明することなく、威迫的な言辞を用いて入寮を説得するとともに、被告D及び被告Eにおいても、保護者対応に当たり、父をして被告Dらと同行するよう説得させ、原告Bを車でI校に送迎するなど、原告BをI校に連れて行き、I校における生活を強いるための必要不可欠な行為を担っていること、前記1⑶ア(イ)で認定したとおり、平成29年8月の被告D作成の原告Bの両親との面談の記録には「PIC K通常」「入校日の仮設定」との記載があり、原告Bに面会し、その意思を確認する前の段階から原告BをI校に入寮させることが基本的に決定していたものとうかがわれることからすれば、被告Dらにおいて、遅くとも被告Dらにおいて原告Bの実家を訪れることが決定した時点において、原告Bの真摯の承諾の有無にかかわらず、原告BをI校に連れて出し、原告BをI校に入寮させ、I校以外の場所自由に移動する ことが著しく困難な状況に置くことに関して認識・認容し、かつ、共謀があったものと認めるのが相当である。 ⑶ 被告らの主張ア被告らは、原告Bは、被告Dらから有形力を行使されるなどして無理やりI校に連れて行かれたわけではない上、I校到着後に本件スクールの入学願書に自ら署名 している以上、被告Dらが原告BをI校に連れ出した行為は、原告Bの真摯な承諾を 欠くものではなく、不法行為は成立しない旨主張しているものと解される。 確かに、前記1⑶ウ(ア ら署名 している以上、被告Dらが原告BをI校に連れ出した行為は、原告Bの真摯な承諾を 欠くものではなく、不法行為は成立しない旨主張しているものと解される。 確かに、前記1⑶ウ(ア)で認定したとおり、原告Bは、平成29年10月30日に被告Dらに同行してI校に到着後、本件スクールの職員に署名を求められ、その内容を十分に確認できなかったにせよ、本件スクールの入学願書(表題として大きく「K学校入学願書」と明記されている。)及び入寮同意書等に署名している以上、その時 点でI校に入寮せざるを得ないことを認識したものとうかがわれるが、そのことから直ちにI校に入寮するより前の時点を含め、原告Bが実家には戻れないことを承諾していたということはできない。かえって、前記⑴イで説示したとおり、I校の入寮に至る一連の経緯からみても、I校への連れ去りにつき、原告Bの真摯な承諾がないことは明らかである。 したがって、被告らの主張は採用することができない。 イ被告らは、仮に、被告Dらによる原告BのI校への連れ出し行為が違法の評価を受けるとしても、原告Bが扶養義務のない両親に対して実家での同居を求め、実家での同居を継続する行為は、両親に対する違法な行為と評価し得るのであるから、原告Bの両親からの委任を受けた被告Dらによる同行為は緊急避難的な行為であり、違 法性が阻却され、不法行為は成立しない旨主張しているが、被告らの上記主張を採用することができないことは、前記2⑶イのとおりである。 ウ被告らは、原告BがI校の入寮中にアルバイトをして自由にI校を出入りし、携帯電話を使用することができたのみならず、I校の事務スペースにまで立ち入ってデジタルカメラを使用して撮影していた上、令和元年12月13日に施錠されていな い正面玄関から逃 にI校を出入りし、携帯電話を使用することができたのみならず、I校の事務スペースにまで立ち入ってデジタルカメラを使用して撮影していた上、令和元年12月13日に施錠されていな い正面玄関から逃走しており、I校の職員がすぐに駆け付けたということもないことからすれば、原告Bにつき、I校以外の場所に自由に移動することが著しく困難な状況に置かれていたということはできず、移動の自由等を侵害するものではなく、不法行為は成立しない旨主張している。 確かに、前記1⑶ウ(ク)で認定したとおり、原告Bは、平成30年10月、I校 の職員から仕事を探すことを許可され、同年11月からI校の外部でのアルバイトに 従事していたことが認められるが、他方で、身分証明書、通帳やキャッシュカードは引き続き本件スクールが管理しており、アルバイト代の管理も許されず、携帯電話その他の通信機器の所持も引き続き禁止されていたことからすれば、同月の時点でI校以外の場所に自由に移動することが著しく困難な状況が解消されたとまでいうことはできない。また、前記1⑶ウ(ケ)で認定したとおり、原告Bは、平成31年4月 以降、I校の職員からアルバイト代の管理や携帯電話の所持を許されたことが認められるが、他方で、I校からの外出についてはアルバイトを含めてI校の職員の許可が必要であり、I校の職員により定期的な点呼や居室内への立ち入っての就寝確認等は従前どおり継続されていたことからすれば、同月の時点でI校以外の場所に自由に移動することが著しく困難な状況が解消されたとまでいうことはできない。I校の事務 スペースにおけるデジタルカメラによる撮影についても被告職員の許可を受けずに行われていたものであるとうかがわれ、そのことは、原告Bが自由に移動等できたことを基礎づけるものではなく I校の事務 スペースにおけるデジタルカメラによる撮影についても被告職員の許可を受けずに行われていたものであるとうかがわれ、そのことは、原告Bが自由に移動等できたことを基礎づけるものではなく、上記結論を左右するものではない。 したがって、被告らの主張は、採用することができない。 ⑷ 小括 そうすると、被告Dらは、民法709条・719条に基づき、原告Bの意思に反してI校に連れて行き、I校に入寮させ、I校以外の場所に自由に移動することが著しく困難な状況に置いたという一連の行為につき、不法行為責任を負う。 また、被告法人は、被告Dの行為につき、一般社団法人法78条・民法719条に基づき、被告E及び被告Fの行為につき、民法715条1項・719条に基づき、法 的責任を負う。 5 不法行為に係る原告Bの損害の有無・損害額(争点2-2)について証拠(甲G2、原告B本人)によれば、原告Bは、前記4記載の被告らの不法行為により、約2年2か月もの長期間にわたり、I校において、移動や通信の自由を制限される生活を強いられ、一度は逃走を図ったが被告Eにより連れ戻されるなど、多大 な精神的苦痛を受けたものと認められる。そのほか本件に顕れた一切の事情に照らせ ば、原告Bが受けた精神的苦痛に対する慰謝料は80万円を認めるのが相当である。 また、被告らの不法行為と相当因果関係のある弁護士費用相当額は8万円を認めるのが相当である。 よって、原告Bは、被告らに対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき、連帯して88万円及びこれに対する令和3年1月20日から支払済みまで年5%の割合 による遅延損害金の支払請求権を有している。 6 原告Cに対する不法行為の成否(争点3-1)について⑴ 不法行為の成否ア原告Cは、 令和3年1月20日から支払済みまで年5%の割合 による遅延損害金の支払請求権を有している。 6 原告Cに対する不法行為の成否(争点3-1)について⑴ 不法行為の成否ア原告Cは、被告Dらが共謀の上で原告Cの意思に反してI校に連れ出しており、かかる行為は、原告Cの移動の自由等を侵害するものであり、不法行為が成立する旨 主張しており、これに沿う原告Cの陳述書(甲E5)の記載がある。しかし、同陳述書は反対尋問にさらされておらず、これと反対趣旨の被告らの主張、被告E及び被告Fの陳述書(乙10、乙11)の記載並びに被告E及び被告Fの本人尋問の供述の存在に照らし、上記記載は直ちに採用することができない。そして、前記1⑷で認定したとおり、原告Cが「原告Cの意思に反して連れ出していないこと」を立証趣旨とす る当事者尋問に正当な理由なく出頭しなかったことも考慮すると(民訴法208条参照)、被告Dらが原告Cの意思に反してI校に連れ出したとの原告Cの主張は採用することができない。 イ原告Cは、被告Dらが原告Cの意思に反して原告CをI校に監禁しており、かかる行為は、原告Cの移動の自由等を侵害するものであって、不法行為が成立する旨 主張している。 まず、原告Cが平成29年5月22日から同年11月1日までの間、I校に入寮していたことは当事者間に争いがなく、同期間におけるI校における入寮者の管理態勢が前記1⑸であることは認められる。しかし、不法行為責任を肯定できるかは個々の入寮者の事情によって異なるのであって、このことから直ちに原告Cにつき、I校へ の同行及びI校における生活に関し、原告Cの真摯な承諾を欠き、原告Cの移動の自 由等を侵害する違法な行為であると断定することまではできない。 そして、原告Cの上記主 につき、I校へ の同行及びI校における生活に関し、原告Cの真摯な承諾を欠き、原告Cの移動の自 由等を侵害する違法な行為であると断定することまではできない。 そして、原告Cの上記主張に沿う原告Cの陳述書(甲E5)の記載は、反対尋問にさらされておらず、これと反対趣旨の被告らの主張、被告E及び被告Fの陳述書(乙10、乙11)の記載並びに被告E及び被告Fの本人尋問の供述の存在に照らし、上記記載は直ちに採用することができないこと、前記1⑷で認定したとおり、原告Cが 「原告CをI校に監禁していないこと」(「監禁」という用語の性質上、本人の意思に反していることを含んでいると解される。)を立証趣旨とする当事者尋問に正当な理由なく出頭しなかったことも考慮すると(民訴法208条参照)、原告Cが無断退寮を図ったり、医師に対してI校にいるのは嫌だと述べたりしたこと(前記1⑷ア)は認められるものの、被告Dらが原告Cの意思に反して原告CをI校に監禁したとの 原告Cの主張は採用することができない。 ⑵ 小括したがって、原告Cの被告らに対する不法行為に基づく損害賠償請求は理由がない。 7 原告Aに係る債務不履行の成否(争点1-3)、原告Bに係る債務不履行の成否(争点2-3)及び原告Cに係る債務不履行の成否(争点3-3)について ⑴ 原告らは、本件各契約は、原告らの保護者を要約者、被告法人を諾約者、原告らを第三者とする第三者のためにする契約(民法537条)であるところ、①本件各契約には、第三者である原告らの受益の意思表示を待たずに、原告らの被告法人に対する自立支援を受ける債権が発生する旨の特約(本件各特約)が付されていた、②仮に、本件各特約が付されていないとしても、原告らがI校に入寮した時点において、 原告らの受益の意思表 の被告法人に対する自立支援を受ける債権が発生する旨の特約(本件各特約)が付されていた、②仮に、本件各特約が付されていないとしても、原告らがI校に入寮した時点において、 原告らの受益の意思表示が認められることを前提として、同債務の不履行を理由に損害賠償(慰謝料)を請求している。 しかし、本件各契約につき、原告ら主張のとおり、第三者のためにする契約であると解したとしても、まず、①の点については、本件各契約につき、本件各特約が付されていたことを認めるに足りる的確な証拠はない上、第三者である原告らの諾約者で ある被告法人に対する権利の発生につき受益の意思表示を不要と解すべき合理的理 由もない(原告らは、被告Dらが原告らの受益の意思表示を待たずに原告ら宅への訪問を開始していることからすれば、本件各特約があったことは明らかである旨主張するが、そのことから直ちに本件各特約の存在を肯定することはできない。)。したがって、①の点に関する原告らの主張は採用することができない。 次に、②の点については、原告らは、被告らから契約書類を交付された記憶はない として、本件各契約が被告法人と原告らとの間の契約であるという被告法人の主張を否認した(原告ら第2準備書面参照)上で、本件各契約に基づくI校への入寮自体が原告らの意思に反して事実上強制されたものであるとして不法行為を構成する旨主張しており、これに沿う陳述書(甲A2、甲E5、甲G2)を提出している。受益の意思表示は、I校における生活を前提としたものであって、これらの原告の主張など とは矛盾するものであるから、原告らのI校への入寮の時点において、受益の意思表示があったと解するのは困難である。したがって、②の点に関する原告らの主張は採用することができない。 そうすると、被告法人が 矛盾するものであるから、原告らのI校への入寮の時点において、受益の意思表示があったと解するのは困難である。したがって、②の点に関する原告らの主張は採用することができない。 そうすると、被告法人が、原告らに対し、債務を負うことはないことになる。 ⑵ もっとも、本件では、被告法人及び被告Dは、被告法人が原告らに対して、適 切な自立支援を行う債務を負っていることは争わないとしている(答弁書12頁)ため、被告法人の債務不履行の存否及びそれに関する原告らの損害について検討する。 アまず、原告らの主張する本件債務の履行の有無は、債権者である入寮者の事情によって異なるところ、原告Cについては、前記1⑷で認定したとおり、原告Cが「原告Cに対して適切な支援を行ったこと」を立証趣旨とする当事者尋問に正当な理由な く出頭しなかったことも考慮すると(民訴法208条)、被告法人に債務不履行があったと認めることはできない。 イ次に、原告A及び原告Bについて検討すると、原告らは、被告法人は、本件各契約に基づき、支援対象者の状態をできる限り的確に把握するための情報収集を行い、引きこもり等の問題があれば、その原因を分析してそれに即した支援方法を個別具体 的に策定し、実施する債務及びその前提として当事者の意思を尊重してその自由意思 に基づき入寮支援を行う債務(本件債務)を負っていると主張する。 しかし、本件各契約の契約書は書証として提出されていないこともあり、本件各契約において、被告法人が原告らに対し、具体的にどのような支援を行うことを約していたのか必ずしも明らかではない。 そして、原告Aは、大学を卒業し、社会人の経験もあるにもかかわらず、I校にお いて公文式の学習をさせられたりしており、原告Aにとって、I校における支援が満足の行 たのか必ずしも明らかではない。 そして、原告Aは、大学を卒業し、社会人の経験もあるにもかかわらず、I校にお いて公文式の学習をさせられたりしており、原告Aにとって、I校における支援が満足の行く内容ではなかったことは容易に認められるし、原告Bについても、大学を卒業しているにもかかわらず、I校において公文式の学習をさせられたり、自らアルバイト先を探したりしており、I校における支援が十分なものであったとは言い難いが、このことが、直ちに被告法人の債務不履行となり、原告A及び原告Bに、前記不法行 為によって生じた慰謝料とは別に、慰謝料の発生を基礎づけるとまでは認めることはできない。 したがって、その余の争点について判断するまでもなく、原告らの被告法人に対する債務不履行に基づく損害賠償請求及び被告Dに対する一般社団法人法117条1項に基づく請求はいずれも理由がない。 8 結語以上の次第で、原告A及び原告Bの請求は、主文記載の限度で理由があるから、これらを認容し、原告A及び原告Bのその余の請求並びに原告Cの請求は、いずれも理由がないから、これらを棄却することとし、主文のとおり判決する。 横浜地方裁判所第7民事部 裁判官 横地由美 裁判官 中保秀隆 裁判長裁判官眞鍋美穂子は、差支えのため、署名押印できない。 裁判官 横地由美 子は、差支えのため、署名押印できない。 裁判官 横地由美

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