主文 一被告A、同B及び同Cの日本電信電話株式会社の株式の購入に関する本件訴えを却下する。 二原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 三訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第一請求被告らは、館山市に対し、連帯して五億五七九二万三八七八円及びこれに対する平成九年二月二七日から支払済みまで年五分の割合による金員の支払をせよ。 第二事案の概要本件は、館山市の収入役が公金で日本電信電話株式会社の株式(以下「NTT株」という。)合計一六〇株を購入し保有したことが地方自治法(以下「法」という。)二三五条の四第一項等に反すると主張する原告らが、法二四二条の二第一項四号に基づき、館山市に代位して、被告らに対し、損害賠償請求をした事案である。 なお、立証は、記録中の証拠関係目録記載のとおりであるから、これを引用する。 一争いのない事実等(証拠を挙示しない事実については当事者間に争いがない。) 1 当事者(一) 原告らは、館山市の住民である。 (二) 被告らは、以下のとおり、館山市の執行機関ないし補助機関の地位にあった者である。 被告A収入役(昭和五九年四月一日から昭和六三年三月三一日まで)被告B収入役(昭和六三年四月一日から平成四年三月三一日まで)被告C収入役(平成四年四月一日から平成八年三月三一日まで)被告D市長(平成二年一二月一〇日から平成一〇年一二月九日まで) 2 NTT株の購入とその売却(一) 被告A及び同Bは、次のとおり、NTT株を購入した(以下、これらの株式を「本件NTT株」という。)。 (1) 被告Aは、昭和六二年一一月七日、NTT株一〇株を二五五〇万円で、同月九日、六〇株を一億五三〇〇万円で購入したが、館山市財政調整基金の現金から代金を支払った。 被告Aは、同月一〇 いう。)。 (1) 被告Aは、昭和六二年一一月七日、NTT株一〇株を二五五〇万円で、同月九日、六〇株を一億五三〇〇万円で購入したが、館山市財政調整基金の現金から代金を支払った。 被告Aは、同月一〇日、NTT株四〇株を一億〇二〇〇万円で購入したが、歳計現金から代金を支払った。 (2) 被告Bは、昭和六三年一〇月二〇日、NTT株五〇株を九五〇〇万円で購入したが、館山市財政調整基金の現金から代金を支払った。 (二) 館山市は、平成八年八月一五日、一億三〇五六万四六〇〇円で本件NTT株を売却した。 3 監査請求と本訴提起(一) 原告らは、館山市監査委員に対し、法二四二条一項に基づき、平成八年一二月六日、被告A、同B及び同Cの行為によって館山市が被った損害の補填をするために必要な措置を求める監査請求を行い、また、平成九年一月九日、被告Dの行為についても監査請求を行った(以下、これらを「本件監査請求」という。)。(甲二、五三の1・2、弁論の全趣旨)(二) 館山市監査委員は、本件監査請求のうち、被告A及び同Bに関しては、期間徒過を理由に却下し、被告C及び同Dに関しては、請求に理由がないものとして棄却し、原告らに対し、平成九年二月三日付けで、その旨通知した。(甲二)(三) 原告らは、平成九年二月二七日、本件訴訟を提起した。 三当事者の主張(本案前の主張) 1 被告A、同B及び同C(監査請求期間徒過)本件監査請求は、本件NTT株購入の日から一年を経過してされたものであるところ、原告らは、平成八年五月八日の新聞報道によって、被告A及び同Bによる本件NTT株購入の事実を知ったものであり、原告らが本件監査請求をするまで七か月近くも経過しているから、法二四二条二項ただし書所定の「正当な理由」は存在しない。 2 被告C(監査請求と住民訴訟の対象の同一性の欠如 入の事実を知ったものであり、原告らが本件監査請求をするまで七か月近くも経過しているから、法二四二条二項ただし書所定の「正当な理由」は存在しない。 2 被告C(監査請求と住民訴訟の対象の同一性の欠如)本件監査請求の対象は、被告Cについては、同被告が収入役に就任してからの株価の下落に伴う損失及び法定利息であったが、本訴請求の内容は、本件NTT株の購入自体に基づく損害賠償であるから、これらの間に同一性がなく、適法な監査請求の手続を経ていない。 3 原告らの反論(一) 起算日被告A、同B及び同Cの本件NTT株の購入及びその保有という一連の違法な公金管理は全体として一体の不法行為であり、これと被告Dの不法行為とは共同不法行為の関係に立つ。 そして、被告らによる共同不法行為が終了したのは、本件NTT株を売却した平成八年八月一五日であり、被告らの共同不法行為によって館山市が被った損害額が確定したのも同日である。 原告らは、同日から一年以内の平成八年一二月六日に本件監査請求をしているから、監査請求期間の遵守に欠けるところはない。 (二) 正当な理由被告A、同B及び同Cの違法な公金管理は、館山市民に秘密に行われたもので、原告らが同被告らの行為の概要を知ったのは、新聞各紙が本件について報道した平成八年五月上旬である。 被告Dは、それ以前から被告A、同B及び同Cの違法な公金管理を知っていたが、平成八年五月二日に至って本件行為について監査請求をするに至った。原告らとしては、館山市長が監査請求をしたのであるから、適正な監査がされるのではないかと期待し、監査結果が出されるのを待っていた。しかし、館山市監査委員がした監査は原告らの期待に反した不当なものであり、そのことを原告らが知ったのは平成八年九月一五日付けの館山市広報に公表された監査結果を読んだ時 結果が出されるのを待っていた。しかし、館山市監査委員がした監査は原告らの期待に反した不当なものであり、そのことを原告らが知ったのは平成八年九月一五日付けの館山市広報に公表された監査結果を読んだ時であり、原告らは右監査結果を知ってから、自ら監査請求することを決意し、約二か月半後の平成八年一二月六日までに準備を整えて本件監査請求をするに至ったものである。 原告らは、被告Dが行った監査請求の結果が出るのを漫然と待っていたのではなく、それまでの間にも本件の真相解明のための努力をし、必要とあれば自ら監査請求をする準備をしており、法二四二条一項の「証する書面」とするため、館山市に対し、被告A、同B及び同Cが隠蔽のために作成した虚偽公文書の写しを要求したが、館山市は拒否し続けた。そのため、原告らは監査請求をする準備に重大な支障をきたした。 (三) 監査請求と住民訴訟の対象の同一性被告Cの収入役在任中における本件NTT株保有という違法行為は、被告A及び同Bと共同不法行為関係にあるから、本訴請求の内容と監査請求との間には同一性がある。 (本案の主張) 1 原告ら(一) 被告A、同B及び同Cについて(1) 不法行為の対象被告Aは、本件NTT株のうち一一〇株を購入し、収入役在任期間中保有し続けた。 被告Bは、被告Aが購入したNTT株に加え、新たにNTT株五〇株を購入し、収入役在任期間中これらを保有し続けた。 被告Cは、被告A及び同Bが購入した本件NTT株を収入役在任期間中保有し続けた。 (2) 違法性収入役は、法二三五条の四第一項、二四一条七項、一七〇条一号に基づいて、市町村の歳計現金、基金に属する現金を保管する権限を有している。 右の保管方法については、法二三五条の四第一項、二四一条七項で「政令の定めるところにより、最も確実かつ有利な方 七〇条一号に基づいて、市町村の歳計現金、基金に属する現金を保管する権限を有している。 右の保管方法については、法二三五条の四第一項、二四一条七項で「政令の定めるところにより、最も確実かつ有利な方法により保管しなければならない」と定められており、同法施行令一六八条の六では「指定金融機関その他の確実な金融機関への預金その他の確実かつ有利な方法により保管しなければならない」と定められている。 現金の保管は、安全確実を絶対条件とし、かつ当該地方公共団体の支払いに即応できるような形において行われるべきものであるから、当該保管中において現金の価値が減少するような保管方法は許されないのであり、元本が絶対的に保障されている保管方法でなければならない。 右の「最も確実かつ有利な方法」としては、金融機関への預金のほかには、「買い現先の方法」によって有価証券にかえる運用が行政実例上認められているが、これは、証券会社の行う国債証券、地方債証券、政府補償債権等の元本及び利息の支払いが確実な証券を対象とする債権売買業務のうち、条件付売買であって、証券会社が一定期間後にあらかじめ約定した単価および受渡金額により買い戻すことを約して有価証券を売り渡す場合のことであり、本件のように現金を有価証券に代えて運用するようなことは、行政実例の許容するところではなく、違法である。 本件NTT株の購入と保有は、現金を株式投資に運用する行為であり、現金を運用して株式投資をすることは、地方自治法等で禁じられており、被告らは、直ちに本件NTT株を売却し、前記法令に従い、「もっとも確実かつ有利な方法」による保管方法に是正して損害の発生を防止し、損害発生の場合には、適切な損害補填策を講ずるべき義務を負っていたのに、被告らは違法な株式投資を行い、かつ右義務に違反して何らの是正措置も損害補填 方法」による保管方法に是正して損害の発生を防止し、損害発生の場合には、適切な損害補填策を講ずるべき義務を負っていたのに、被告らは違法な株式投資を行い、かつ右義務に違反して何らの是正措置も損害補填策も講じなかった。 被告A及び同Bは、館山市財政調整基金に関する現金の運用として同現金で本件NTT株を購入し、これを保有した。これは同現金の管理行為として行ったものであるから、一体として「違法な財産の管理」にあたる。また、右購入は、「違法な財産の取得」にあたり、右購入代金の支払いのための現金の支出は「違法な公金の支出」にあたる。被告Aが歳計現金で本件NTT株を購入し、これを保有した行為は、同現金の運用として行ったものであるが、歳計現金は法二四二条一項の「財産」には含まれないので、右購入は「違法な公金の支出」、又は「違法な財産の取得」にあたる。また、本件NTT株の保有は「違法な財産の管理」にあたり、是正義務、損失補填措置義務に反していることにおいて、「違法に財産の管理を怠る事実」にも該当する。 (3) 共謀被告Aは、昭和六二年一一月ころから館山市収入役室長のEと協議の上、本件NTT株を購入し、Eに指示して虚偽の金融機関別預金残高総括票等の作成を行っていた。 被告Aは、昭和六三年三月に収入役を退任するに当たり、Eと協議し、同年四月以降もNTT株への投資、運用を続けるとともに、虚偽の金融機関別預金残高総括票を作成していくことを示し合わせた。 そして、被告Bは、収入役に就任して間もない昭和六三年四月初めころ、Eから被告Aが違法なNTT株を投資、運用していたことを知らされ、そのころ、被告A及びEと協議し、本件NTT株への投資運用の事実の隠蔽を求める被告Aの意を受け、Eに指示し、虚偽の金融機関別預金残高総括票を作成していくこととした。 また、被 ていたことを知らされ、そのころ、被告A及びEと協議し、本件NTT株への投資運用の事実の隠蔽を求める被告Aの意を受け、Eに指示し、虚偽の金融機関別預金残高総括票を作成していくこととした。 また、被告Bは、自らもEと相談した上、本件NTT株を購入した。 被告Cは、平成四年四月初めころ、A、Bと協議し、同人らから右事実を聞くとともに、右事実を内密にし、隠蔽するように依頼され、引き続き、虚偽の金融機関別預金残高総括票を作成し続けた。 右に述べた共謀の事実経過に照らし、被告Bの収入役在職中の違法な本件NTT株への投資、運用は、被告Aと被告Bの共謀による共同不法行為であり、被告Cの収入役在職中の違法な本件NTT株への投資、運用は、被告A、同B及び同Cの共謀による共同不法行為である。 被告Bは、被告Aと共謀し、被告Aの収入役在職中の違法な本件NTT株への投資、運用の事実を承知しながら、右違法行為を承継した上、引き続き同様の違法行為を継続したものであり、被告Cも、被告A及び同Bと共謀し、被告A及び同Bの各収入役在職中の違法な本件NTT株への投資、運用の事実を承知しながら、右違法行為を承継した上、引き続き同様の違法行為を継続したものである。 (4) 職員賠償責任法二四三条の二第一項前段の「亡失」とは、失いなくすことであり、同項後段三号の「支出又は支払」とは、予算執行に関係した支出又は支払について規定したものである。 しかるに、被告A、同B及び同Cの違法行為は、収入役として監理している現金を違法を承知の上でNTT株に投資して利殖を図ろうとしたものであり、本件NTT株の購入、保有、売却の全体を包括する行為であるから、右にいう「亡失」、「支出又は支払」には該当しない。また、仮に一面でこれらに該当する部分があったとしても、違法行為の全体を捉えるものでは 件NTT株の購入、保有、売却の全体を包括する行為であるから、右にいう「亡失」、「支出又は支払」には該当しない。また、仮に一面でこれらに該当する部分があったとしても、違法行為の全体を捉えるものではないから、これらで評価するのは適当でない。 仮に職員賠償責任が成立するとすれば、予備的に職員賠償責任を主張する。 (5) 被告A、同B及び同Cの責任被告A、同B及び同Cは、館山市の収入役として、館山市のために、適正な財産管理を行うべき義務がありながら、本件NTT株を購入、保有し、その結果、館山市に甚大な損害を発生させたから、右被告らは、民法七〇九条、七一九条に基づき、館山市の被った損害を賠償すべき義務がある。 (二) 被告Dについて(1) 被告Dの権限と義務被告Dは、館山市長として、館山市を統轄、代表して(法一四七条)、館山市の事務を管理、執行し(平成一一年法律第八七号による改正前の法一四八条一項)、館山市の会計を監督し、財産の取得、管理、処分を行う(法一四九条五、六号)権限及び義務を有し、さらに、収入役を含む補助機関たる職員を指揮監督する権限及び義務を有している。したがって、被告Dは、収入役の行う会計事務を管理監督し、地方自治法等関係法令に従い、適正な会計事務が行われるよう指揮、監督すべき義務がある。 収入役は、現金及び財産の記録管理を行うこと(法一七〇条二項五号)とされ、館山市においては、収入役は、毎月、金融機関別預金残高総括表を作成して館山市監査委員に提出し、同監査委員は、出納検査結果に基づき、毎月、例月出納検査報告書を作成して市長及び市議会に提出している。また、収入役は、決算を調整し、これを市長に提出することになっている(法一七〇条二項七号)。 したがって、被告Dは、収入役や監査役から提出される右書類等を検討することによって 市議会に提出している。また、収入役は、決算を調整し、これを市長に提出することになっている(法一七〇条二項七号)。 したがって、被告Dは、収入役や監査役から提出される右書類等を検討することによって会計事務の実情を把握することが可能であり、さらに、銀行や証券会社から取引内容や残高についての報告書が定期的に提出されており、特に証券会社は、「現先」「転換社債」「株式」についての取引報告書、預かり証の発行や残高報告書の提出をすることになっているので、被告Dは、これらの書類の照合、点検によって預金、「現先」や「転換社債」及び「株式」による現金の運用の実情を掌握することが可能であった。 (2) 被告Dの義務違反被告Dは、就任当初より、これらの関係書類を検討調査することにより本件の違法な公金管理の事実を知っていながら、これを容認し、何ら是正措置をとることなく、違法行為を継続するに任せたものであるから、故意に適正な財産管理を怠った責任がある。 仮に故意責任が認められないとしても、被告Dが平成八年四月一五日ころまで本件公金の違法管理の事実を知らなかったとすれば、市長として行うべき前記義務を怠った結果であり、過失により適正な財産管理を怠った責任を負う。 また、被告Dは、同日以降も、本件公金の違法管理により館山市が被った損害について、収入役に対する損害賠償請求を含め、何ら適切な損害回復措置を講じておらず、適正な財産管理を怠っていたから、右についても故意又は過失による責任がある。 (3) 被告Dの責任以上のとおり、被告Dは、財務会計上の行為として、違法に財産の管理を怠る事実があり、民法七〇九条に基づき、館山市の被った損害を賠償すべき義務がある。 (三) 被告ら四名の共同不法行為について被告A、同B及び同Cによる共同不法行為に、被告Dの右不法行為が加わ 管理を怠る事実があり、民法七〇九条に基づき、館山市の被った損害を賠償すべき義務がある。 (三) 被告ら四名の共同不法行為について被告A、同B及び同Cによる共同不法行為に、被告Dの右不法行為が加わり、これらがあいまって、館山市に損害を発生させたから、被告らは共同不法行為責任があり、民法七〇九条、七一九条により連帯して館山市が被った損害を賠償すべき責任がある。 被告A、同B及び同Cの各収入役在職中の不法行為については、法二四二条の二第一項四号所定の当該職員に対する損害賠償請求であり、被告A及び同Bの退職後の行為については、被告Dの「財産の管理を怠る事実」の相手方としての損害賠償の請求である。 また、被告A、同B及び同Cに対する請求全体が被告Dの「財産の管理を怠る事実」の相手方としての損害賠償の請求ということもできる。 (四) 館山市の被った損害(1) 本件NTT株の購入による損害本件NTT株の購入代金額三億七五五〇万円、遅延損害金一億六〇〇二万三一四九円及び売買委託手数料及び消費税相当額六三万三七五○円の合計五億三六一五万六八九九円から、本件NTT株の売却額一億三〇五六万四六〇〇円、本件NTT株の配当金三二〇万八〇〇〇円の合計一億三三七七万二六〇〇円を控除すると、四億〇二三八万四二九九円となる。 (2) 得べかりし利益各被告の在任期間ごとの得べかりし利益(少なくとも本来あるべき歳計現金及び基金に属する現金が、適正な保管方法として指定金融機関に預金した場合に得られるはずの利息相当額)は次のとおりである。 ア被告Aについて被告AがNTT株を購入した昭和六二年一一月当時の指定金融機関の定期預金の最高利率は年四・一四パーセントであるから、最後の購入日である昭和六二年一一月一〇日から退職日である昭和六三年三月三一日までの間について、 T株を購入した昭和六二年一一月当時の指定金融機関の定期預金の最高利率は年四・一四パーセントであるから、最後の購入日である昭和六二年一一月一〇日から退職日である昭和六三年三月三一日までの間について、全購入代金である二億八〇五〇万円に対する右利率による利息相当額は、四五〇万九九〇七円となる。 右に加えて右金員に対する昭和六三年四月一日から、本件NTT株を売却した平成八年八月一五日まで民法所定の年五分の割合による損害金は、一八八万四〇五六円である。 イ被告Bについて被告Bが収入役に就任した昭和六三年四月一日から、同人がNTT株を購入した日の前日である昭和六三年一〇月一九日までの間の、被告Aの右全購入代金相当額二億八〇五〇万円に対する、被告B就任当時の定期預金の最高利率である年四・一四パーセントの割合による利息相当額は、六三七万七四六六円となる。 被告BがNTT株を購入した昭和六三年一〇月二〇日から退職日である平成四年三月三一日までの間について、被告Aの右全購入代金相当額と被告Bの購入金額の合計金三億七五五〇万円に対する右購入当時の定期預金の最高利率である年四・一四パーセントによる利息相当額は金五三四三万三〇三四円である。 右に加えて右金員に対する平成四年四月一日から平成八年八月一五日まで民法所定の年五分の割合による損害金は、一三〇四万八八二〇円である。 ウ被告Cについて被告Cが収入役に就任した平成四年四月一日から、退職日である平成八年三月三一日までの間について、被告A及び同Bにかかる全購入代金相当額三億七五五〇万円に対する、被告Cの就任当時の定期預金の最高利率である年五パーセントの割合による利息相当額は、七四八九万四八〇八円となる。 右に加えて、右金員に対する平成八年四月一日から平成八年八月一五日まで民法所定の年五分の割合に 任当時の定期預金の最高利率である年五パーセントの割合による利息相当額は、七四八九万四八〇八円となる。 右に加えて、右金員に対する平成八年四月一日から平成八年八月一五日まで民法所定の年五分の割合による損害金は、一三九万一四八八円である。 (3) (1)と(2)の合計額は、五億五七九二万三八七八円となる。 (4) 各被告ごとに、かつ購入と保有ごとに責任が分断される場合の各被告ごとの損害額ア被告Aについて購入責任の金三億一一五〇万七三〇三円と、保有責任の金六三九万三九六三円(前記利息相当額及び損害金)の合計金三億一七九〇万一二六六円が請求金額となる。 イ被告Bについて購入責任の金九〇八七万六九九六円と、保有責任の金七二八五万九三二〇円(前記利息相当額及び損害金)の合計金一億六三七三万六三一六円が請求金額となる。 ウ被告Cについて保有責任として、前記利息相当額及び損害金の合計金七六二八万六二九六円が請求金額となる。 エ被告Dについて各被告への請求金額の合計額である金五億五七九二万三八七八円が請求金額となる。 (五) 館山市条例・昭和天皇の崩御に伴う職員の懲戒免除及び職員の賠償責任に基づく債務の免除に関する条例(平成元年三月二八日条例第三号。 以下「債務免除条例」という。)の不適用について債務免除条例は、公務員等の懲戒免除等に関する法律に基づくものであるが、同法五条ただし書は、本人の犯罪行為による賠償の責任に基づく本人の債務については、この限りでないと定めている。本件の場合、被告らの負う職員賠償責任は被告らの背任行為に基づくものであるといえ、少なくとも被告らは当該行為の一部につき既に虚偽公文書作成罪で有罪判決を受けている。 また、有罪判決の対象とはされていなくとも、被告らの不法行為の全体にわたって、同様の虚偽公文書作成罪 あるといえ、少なくとも被告らは当該行為の一部につき既に虚偽公文書作成罪で有罪判決を受けている。 また、有罪判決の対象とはされていなくとも、被告らの不法行為の全体にわたって、同様の虚偽公文書作成罪に該当する違法行為があるので、被告らの負う責任は、被告らの犯罪行為によるものというべきである。 したがって、被告らには、債務免除条例の適用が排除される。 2 被告Aの主張(一) 被告Aの行為は本件NTT株を購入した時点で完結しており、共同不法行為が成立する余地はない。 株式を購入することが違法であるとしても、購入した株式は市の財産であるから、それを保有することは収入役としての義務であり、保有したこと自体を違法ということはできない。 仮に本件NTT株を保有したことが違法であるとしても、被告Aの行為は、収入役の地位にあった最後の日である昭和六三年三月三一日には終了している。 被告Aは、被告Bの本件NTT株購入には全く関与していないし、被告B及び同Cと共謀してもいない。 (二) 原告らは、被告Dの「財産の管理を怠る事実」の相手方としての損害賠償の請求であると主張するが、そうすると、損害賠償が補填されるまではいつまでも住民訴訟が提起できることになり、厳格な監査請求期間を定めた法の規定の趣旨が損なわれる。 (三) 公務員等の懲戒免除等に関する法律三条、五条の規定並びにこれに基づく債務免除条例三条によると、法二四三条の二の規定による職員の賠償責任に基づく債務で昭和六四年一月七日前における事由によるものは将来に向かって免除する旨定められているから、仮に被告らが賠償義務を負担するとしても、その賠償責任は右条例の定めにより免除されている。 原告らは、被告らの行為は、背任罪もしくは虚偽公文書記載罪に該当するから、債務免除条例の適用はないと主張する。 しかし 償義務を負担するとしても、その賠償責任は右条例の定めにより免除されている。 原告らは、被告らの行為は、背任罪もしくは虚偽公文書記載罪に該当するから、債務免除条例の適用はないと主張する。 しかし、背任罪は、自己の利益を図る目的もしくは本人に損害を加える目的が必要であるところ、被告らは、本件NTT株の購入が自己の権限外でかつ運用方法として不適法であるとの認識が乏しいまま、市の財政基盤の強化に役立つものと考えて購入したものであるから、自己の利益を図る目的も、本人に損害を加える目的もなかったことが明らかである。 また、虚偽公文書記載は、本件NTT株購入による損害発生後の事情であり、債務免除条例の適用には影響がない。 3 被告Bの主張(一) 本件NTT株の購入は、法律的にいえば自治体を買主とする売買契約である。この売買契約の締結権限は、原則として自治体の代表者である長にしかない。 被告Bの本件NTT株購入契約は、館山市名義の無権代理行為であり、その効果は法律的には館山市に帰属しない。被告Bが収入役としてなした代金支払いは、この売買契約が館山市に帰属すると信じてしたものの、客観的には原因のない支出であったこととなる。 本件で問題となる被告Bの財務会計上の行為とは、この支出行為となるはずであり、この行為は右支出で完結している。法律的には、購入した本件NTT株は館山市の所有ではなかったのであるから、館山市が所有していないものを館山市の機関として収入役がこれを保管することも考えられない。 (二) 原告らの主張は、意味不明な保有なる概念を前提とするもので失当である。 (三) 原告らは、被告Bの退職後の行為については、被告Dの「財産の管理を怠る事実」の相手方としての損害賠償の請求であると主張するが、これらは、当該財務会計上の行為を現在の怠る行為の相手方 ある。 (三) 原告らは、被告Bの退職後の行為については、被告Dの「財産の管理を怠る事実」の相手方としての損害賠償の請求であると主張するが、これらは、当該財務会計上の行為を現在の怠る行為の相手方とすることによって常に監査請求をしうることになり、厳格な監査請求期間を定めた法の規定を無意味とするものである。 また、被告Dには、何らの怠る事実はないから、原告らの主張はその前提を欠いている。 (四) 被告Aの主張(三)と同じ。 4 被告Cの主張(一) NTT株の購入は、有利な現金の保管の一方法として許容される場合も一概にないとはいえない。 収入役等の地方自治体の出納職員等の賠償責任につき、地方自治法二四三条の二は、それらの職員の所為が同条に定める行為に該当する場合は、どの賠償責任を生ずる場合を原則として「故意または重大な過失」による場合に限定するとともに同条により職員が賠償責任を負う場合は民法の賠償責任に関する規定を適用しないと定めている。 また、当該職員はそれぞれの職分に応じ、かつ、当該損害の発生の原因となった程度に応じて賠償の責に任ずるものとすると定めている。 被告Cは、本件NTT株の購入やその対価としての市の公金の支出に共謀はしていないし、その他具体的な行為について何らの関与もしておらず、右行為が違法であるとしても被告Cは何らの責任も負担するものではない。 (二) 被告Aの主張(三)と同じ。 5 被告Dの主張(一) 地方自治法は、収入役が当該普通地方公共団体の会計事務をつかさどることを定めるとともに、収入役が当該普通地方公共団体の長から独立した一定の権限を有することを定めている(法一七〇条)から、収入役は当該普通地方公共団体の長の単なる履行補助者的地位にあるものではなく、また、当該普通地方公共団体の長は収入役の行う会計事務を直接 立した一定の権限を有することを定めている(法一七〇条)から、収入役は当該普通地方公共団体の長の単なる履行補助者的地位にあるものではなく、また、当該普通地方公共団体の長は収入役の行う会計事務を直接に管理する立場にあるものではない。原告らは、法一四九条五、六号を根拠に被告Dに責任があると主張するが、歳計現金については、そもそも被告Dの事務に属しないし、財政調整基金に属する現金については、被告Dに一般的な権限があるものの、その管理行為は収入役の専権に属するものであるから、原告らの主張は失当である。 収入役が担当する会計事務については、監査委員が監査権限を有しているから(法一九九条)、被告Dが収入役の行う会計事務を管理する権限があるとの原告らの主張は誤りである。 また、被告Dは、例月出納検査報告書等の書類は閲覧していたものの、これらの書類には、本件NTT株購入の事実は全く記載されていないから、これらの事実を知ることはできなかった。 (二) 被告Dは、平成八年四月一五日、F収入役から報告を受け、同年五月二日、法二四三条の二に基づき、館山市監査委員二名に対し、本件NTT株購入問題について、監査を請求し、さらに、同月七日、市議会全員協議会に報告するとともに、記者会見を行い、市民に事実を公表するとともに、同年七月一七日、早急に換金するよう指示をした。 したがって、被告Dには、違法に財産の管理を怠る事実は存在しない。 第三当裁判所の判断一被告A、同B及び同Cの本案前の主張(監査請求期間徒過)について 1 原告らは、被告A及び同Bが本件NTT株を購入したこととその後保有し続けたこととは一連・一体の違法な保管行為として把握されるべきであることを前提として本件NTT株の売却時をもって監査請求期間が起算されると主張する。しかしながら、本件においては、被 ととその後保有し続けたこととは一連・一体の違法な保管行為として把握されるべきであることを前提として本件NTT株の売却時をもって監査請求期間が起算されると主張する。しかしながら、本件においては、被告A及び同Bが本件NTT株を購入したこと自体が財務会計上の完結した行為であることは明らかであって、本件NTT株の購入とその後の保有とは別個の行為とみるべきものであるから、右主張はその前提を採用することができない。 しかし、原告らは、本件監査請求において被告A及び同Bの本件NTT株購入行為自体についての監査請求をしており、本件訴訟においても右購入行為自体が不法行為となる旨の主張もしているので、右被告らの本件NTT株の購入に関し監査請求期間を徒過しているか否かについて、以下検討する。 2 前記争いのない事実等記載のとおり、被告A及び同Bが本件NTT株を購入したのは昭和六二年一一月七日から昭和六三年一〇月二〇日までであるが、本件監査請求がされたのは平成八年一二月六日であるから、本件監査請求は、本件NTT株購入の日から一年を経過してされたものである。 そこで、本件監査請求について、法二四二条二項ただし書の「正当な理由」が認められるかについて判断する。 (一) 証拠(甲三七ないし五〇、五四ないし一〇〇〔枝番を含む〕)及び弁論の全趣旨によれば、本件NTT株の購入は普通地方公共団体における現金の出納及び保管の権限を有する収入役の指示により、極めて秘密裡のもとに行われ、監査委員に提出する金融機関別預金残高総括票に虚偽の記載を行うなどしていたものであり、収入役室(現会計課)の一部職員以外の職員はもとより住民には知り得る状況になかったものと認められる。 (二) ところで、住民監査請求は、当該行為が秘密裡にされた場合、法二四二条二項ただし書にいう「正当な理由」の有 計課)の一部職員以外の職員はもとより住民には知り得る状況になかったものと認められる。 (二) ところで、住民監査請求は、当該行為が秘密裡にされた場合、法二四二条二項ただし書にいう「正当な理由」の有無は、特段の事情がない限り、普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査したときに客観的にみて当該行為を知ることができたかどうか、また、当該行為を知ることができたと解される時点から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきものである(最高裁昭和六二年(行ツ)第七六号昭和六三年四月二二日第二小法廷判決・判例時報一二八〇号六三頁参照)。 本件についてこれをみるに、証拠(甲三ないし八)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実を認めることができ、この認定を覆すに足りる的確な証拠はない。 (1) 被告Cは、平成八年三月三一日に館山市の収入役を退任し、後任のF収入役との間で事務引継ぎを行った。F収入役は、その際、被告A及び同B両元収入役が本件NTT株を購入し、資金運用をしていたことを知り、事実関係を確認した上、同年四月一五日、館山市長である被告Dにその旨報告した。 (2) 被告Dは、同年五月二日、法二四三条の二の規定に基づき、館山市監査委員に対し、被告A、同B及び同Cの本件NTT株購入をめぐる収入役としての行為について監査請求を行った。 (3) また、被告Dは、平成八年五月七日、収入役によるNTT株購入問題について館山市議会全員協議会で報告を行うとともに、同日報道関係機関に対して記者発表を行った。 この発表を受け、即日テレビ、ラジオによる報道がされるとともに、翌五月八日には地元新聞をはじめ新聞各紙による報道がされた。この新聞記事には、本件NTT株購入に関し、市の収入役(新聞によっては実名入りのものもあった)であった者が市の公金を支出して、昭和六 もに、翌五月八日には地元新聞をはじめ新聞各紙による報道がされた。この新聞記事には、本件NTT株購入に関し、市の収入役(新聞によっては実名入りのものもあった)であった者が市の公金を支出して、昭和六二年一一月NTT株一一〇株を二億八〇五〇万円、昭和六三年一〇月NTT株五〇株を九五〇〇万円で取得し、その後株価の下落により当時合計で二億四七八七万円の含み損が館山市に発生しているという事件の内容がかなり詳細に記載されていた。 以上の事実が認められる。 そうすると、館山市の住民である原告らは、遅くとも平成八年五月八日の地元新聞をはじめ新聞各紙の報道記事によって、被告A及び同B両元収入役による本件NTT株購入の事実を容易に知り得たものであって、この時から相当な期間内に監査請求をすることが十分可能であったものと認められる。 しかるに、原告らが被告A、同B及び同Cについて監査請求をしたのは平成八年一二月六日であり、平成八年五月八日から既に七か月近く経過しているのであるから、法二四二条二項ただし書で規定する「正当な理由」があるとは認められず、同被告らの本件NTT株の購入に関する本件訴えは、適法な住民監査請求を経ていない不適法なものである。 (三) 原告らは、館山市長である被告Dによる監査請求の結果が出るのを待っていたと主張するが、右のような事情が「正当な理由」についての右判断を左右するものとはいえない。 3 ところで、原告らは、被告Cが、被告A及び同Bの本件NTT株購入につき、共同不法行為責任を負うと主張する。 右購入当時には収入役に就任していなかった被告Cについて共同不法行為が成立するとの理論構成の是非はともかく、その主張を前提にすると、被告Cの本件NTT株購入に関する不法行為についても、その行為があった日は、被告A及び同Bが本件NTT株を購入し について共同不法行為が成立するとの理論構成の是非はともかく、その主張を前提にすると、被告Cの本件NTT株購入に関する不法行為についても、その行為があった日は、被告A及び同Bが本件NTT株を購入した日と同じになるから、同被告の本件NTT株の購入に関する本件訴えも、前示のとおり、適法な住民監査請求を経ておらず、不適法である。 二被告A、同B及び同Cの責任について 1 原告らは、被告A及び同Bによる本件NTT株の購入と右被告ら及び被告Cによる本件NTT株の保有が、被告A、同B及び同Cの共謀に基づく一連・一体の行為であるとし、全体として違法性を帯びると主張するが、右主張を採用することができないことは、前示のとおりである。 2 そこで、本件NTT株保有自体の違法性について検討する。 原告らは、違法性の根拠として、法二三五条の四第一項、二三五条の四第一項、二四一条七項、一七〇条一号等の規定をもって本件NTT株を保有したことが違法性を帯びると主張する。しかし、法二三五条の四第一項は、「普通地方公共団体の歳入歳出に属する現金(以下「歳計現金」という。)は、政令の定めるところにより、最も確実かつ有利な方法によりこれを保管しなければならない。」と規定し、現金の保管の方法についての作為義務を定めているが、既に現金で購入し、保有するものについても常に「最も確実かつ有利な方法」(現金化を含む)を選択して保管替えしなければならないとの作為義務を定めたものではない。また、法二三五条の四第一項、二四一条七項、一七〇条一号等の規定をもって右義務があるものということもできない。 もっとも、株式の取得が地方自治体の現金等の保管方法としては適当でないというべきであるから、状況によっては、右被告らに右の作為義務を認める余地はある。そして、右の義務は、保有それ自体によって地 。 もっとも、株式の取得が地方自治体の現金等の保管方法としては適当でないというべきであるから、状況によっては、右被告らに右の作為義務を認める余地はある。そして、右の義務は、保有それ自体によって地方自治体に損害が及ぶことを職員が回避すべき判断をなすべき状況にあることを要すると解すべきであるから、株式の保有が望ましいことではないからといって即時に当該職員に作為義務が発生するものではなく、当該職員が株式の保有を解消するとしても、いつ、どのような売却をするのが地方自治体にとって適当かについての判断の誤りが認められるという場合であることを必要とすると解すべきである。本件においては、① 証拠(甲一五)によると、NTT株が保有期間中下落の傾向にあったことは認められるものの、② その一方、期間中に株式相場全体の状況は必ずしも下落傾向を示すことなく推移していたことも当裁判所に顕著であり、このような状況からすると、軽々に当該職員に作為義務違反があったとすることはできないし、本件全証拠をもってしても、右被告らの保有を継続した判断について違法があったというには足りない。 また、原告らは、本件NTT株の保管が法二四三条の二第一項本文の「現金の忘失」あるいは民法七〇九条の不法行為に当たると主張する。しかし、本件NTT株の保管をもって「現金の忘失」と評価することはできないし、地方自治法における職員の違法行為に関する規定は民法七〇九条の特則であるから、原告らの主張は失当である。 3 原告らは、被告A及び同Bの退職後の行為並びに被告A、同B及び同Cに対する請求全体が被告Dの「財産の管理を怠る事実」の相手方としての損害賠償の請求でもあると主張する。しかし、被告A、同B及び同Cが本件NTT株の保有について損害賠償責任を負わないことは右のとおりであり、被告Dには怠る事実 の「財産の管理を怠る事実」の相手方としての損害賠償の請求でもあると主張する。しかし、被告A、同B及び同Cが本件NTT株の保有について損害賠償責任を負わないことは右のとおりであり、被告Dには怠る事実を認めることができないことは後記説示のとおりであるから、原告らの主張はその前提を欠き、失当である。 三被告Dの責任について 1 原告らは、被告Dが、就任当初より、被告A、同B及び同Cによる本件の違法な公金管理の事実を知っていながら、これを容認し、何ら是正措置をとることなく、違法行為を継続するに任せた旨主張する。しかし、被告Dは、前示のとおり、平成八年四月一五日、F収入役からの報告を受けて元収入役らによる本件NTT株の購入及び保有の事実を知ったものであるから、故意に適正な財産管理を怠ったものと認めることはできない。 2 次に、原告らは、被告Dが平成八年四月一五日ころまで本件公金の違法管理の事実を知らなかったとすれば、過失により適正な財産管理を怠った責任があると主張する。しかし、本件NTT株の保有自体によって館山市に損害が発生していたと判断し得ないことは前示のところから明らかである上、前掲各証拠によれば、本件NTT株の購入は、被告Dが館山市長に就任する以前に、現金の出納及び保管の権限を有する収入役の指示により、極めて秘密裡のもとに行われていたものであって、被告Dがこれを防止することはできなかったものであり、被告Dが市長に就任後も、収入役により従前と同様に監査委員に提出する金融機関別預金残高総括票に虚偽の記載を行うなどされ、本件NTT株購入の事実は全く記載されておらず容易に発覚しにくい状態にされていたことが認められ、また、収入役の権限内容及び被告Dが収入役の行う会計事務を管理する権限があるとはいえないこと等に照らし、被告Dにおいて、適正な財産管理 されておらず容易に発覚しにくい状態にされていたことが認められ、また、収入役の権限内容及び被告Dが収入役の行う会計事務を管理する権限があるとはいえないこと等に照らし、被告Dにおいて、適正な財産管理を怠ったものと認めることはできない。 3 さらに、原告らは、被告Dが平成八年四月一五日以降も、本件公金の違法管理により館山市が被った損害について、収入役に対する損害賠償請求を含め、何ら適切な損害回復措置を講じておらず、適正な財産管理を怠っていたとも主張する。しかし、被告Dは、前示のとおり、平成八年四月一五日、F収入役から元収入役らによる本件NTT株の購入、保有についての報告を受け、同年五月二日、法二四三条の二に基づき、館山市監査委員に対し、本件NTT株購入問題について、監査を請求し、さらに、同月七日、館山市議会全員協議会に報告するとともに、報道機関に対する記者会見を行い、市民に事実を公表したものであり、さらに、弁論の全趣旨によれば、被告Dは、同年七月一七日、関係部署に命じて早急に換金するよう指示をし、その結果、同年八月一五日、本件NTT株を売却したことが認められ、これらの事実に照らすと、被告Dが財産管理を怠ったとは到底認めることはできず、他に被告Dが違法に財産の管理を怠ったことを認めるに足りる的確な証拠はない。 第四結論よって、本件訴えのうち被告A、同B及び同Cの本件NTT株購入に関する請求部分は、適法な監査請求を経ていない不適法なものであるから却下し、原告らのその余の請求は、いずれも理由がないから棄却し、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条及び民事訴訟法六一条、六五条に従い、主文のとおり判決する。 千葉地方裁判所民事第三部裁判長裁判官園部秀穂裁判官今泉秀和裁判官吉川昌寛は、転補につき、署名押印することができない。 裁判長裁判 及び民事訴訟法六一条、六五条に従い、主文のとおり判決する。 千葉地方裁判所民事第三部裁判長裁判官園部秀穂裁判官今泉秀和裁判官吉川昌寛は、転補につき、署名押印することができない。 裁判長裁判官園部秀穂
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