令和2(行ケ)10113 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年1月19日 知的財産高等裁判所 4部 判決 審決取消
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判決文本文3,441 文字)

1令和4年1月19日判決言渡令和2年(行ケ)第10113号 審決取消請求事件口頭弁論終結日 令和3年12月9日判 決 5原 告 X同訴訟代理人弁護士 岩 波 修 被 告 ボースト ブランズ グループ,エルエルシー10 主 文1 特許庁が取消2018-300722号事件について令和2年5月12日にした審決を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 153 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。 事実及び理由第1 請求主文同旨20第2 当事者の主張1 請求原因別紙訴状及び原告第一準備書面の各第2に記載のとおり。 第3 当裁判所の判断1 被告は,適式な呼出しを受けながら本件口頭弁論期日に出頭せず,答弁書そ25の他の準備書面を提出しないから,請求原因事実を争うことを明らかにしない2ものと認め,これを自白したものとみなす。 2 商標法50条1項は,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが指定商品等についての登録商標の使用をしていないときは,「何人も」その指定商品等に係る商標登録を取り消すことについて審判(以下「不使用取消審判」という。)を請求することができる旨5を定めている。同項は,不使用取消審判の請求人資格について,平成8年法律第68号による改正前の商標法においては利害関係人に限られると解されていたのを,「何人も」請求することを明文化したものであると解される。 したがって,不使用取消審判の請求 ついて,平成8年法律第68号による改正前の商標法においては利害関係人に限られると解されていたのを,「何人も」請求することを明文化したものであると解される。 したがって,不使用取消審判の請求が,専ら被請求人を害することを目的としていると認められる場合等の特段の事情がない限り,当該請求が権利の濫用10となることはないというべきである。 以下,これを前提として判断する。 3(1) 前記1により擬制自白が成立した事実によれば,ア 原告及び原告が設立したBoast,Inc.(以下「ボースト社」といい,原告及びボースト社を合わせて「原告ら」という。)は,昭和4815年(1973年)に米国フロリダ州で「BOAST」ブランド(以下「BOASTブランド」という。)の事業を立ち上げ,高級スポーツ衣類を,主として米国内のスポーツクラブ(ゴルフ,テニス,スカッシュ等),カントリークラブ,リゾート施設,スポーツチーム,その他企業に販売してきたが,平成22年(2010年)にBranded Boast,LL20C(以下「ブランデッドボースト社」という。)に対し,米国内でのBOASTブランドに係る事業を売却し,これに伴い保有していたBOASTブランドに係る米国登録商標も同社に譲渡し,他方で,米国を除く日本その他のアジアの国におけるBOASTブランドに係る登録商標を引き続き保有し,米国を除くこれらの国々でBOASTブランドに係る事業を行25う権利を留保していた,3イ その後,原告らとブランデッドボースト社との間で,米国及びその他の国でのBOASTブランド事業の取扱いに関する紛争が生じたが,平成27年(2015年)11月4日,フロリダ州南部地区連邦地方裁判所で,①原告らは,「BOAST」の商号で「BOAST」商標を付した商品 国でのBOASTブランド事業の取扱いに関する紛争が生じたが,平成27年(2015年)11月4日,フロリダ州南部地区連邦地方裁判所で,①原告らは,「BOAST」の商号で「BOAST」商標を付した商品を米国外で自由に販売することができることを確認し,②ブランデッドボー5スト社は,世界中でボースト社又は原告によるその他の登録により保護される原告らの商号権及び商標権を妨害しない旨を含む合意をした(以下,この合意を「本件和解契約」という。),ウ 被告は,平成29年(2017年)10月3日,ブランデッドボースト社より米国内のBOASTブランド事業を買収し,これに伴い同社が保有10する米国のBOASTブランドに係る登録商標の移転を受けた,エ 被告は,平成29年(2017年)12月頃,原告に対し,原告が保有する本件商標を含む日本及びその他の国のBOASTブランドに係る登録商標の買取りを打診し,平成30年(2018年)2月15日付けで,原告らとの間で,上記商標の買取り交渉を目的として,秘密保持・不使用15契約を締結した上,上記商標の買取りについて協議をしていたが,合意に至らず,平成30年(2018年)3月以降,協議は中断していた,オ 被告は,平成30年(2018年)9月,特許庁に対し,本件商標を含む,原告が保有するBOASTブランドに係る日本の4つの登録商標について,不使用取消審判請求(以下「本件審判請求」という。)をした,20以上の各事実が認められる。 (2) 上記各事実によれば,被告は,ブランデッドボースト社を買収した後,本件審判請求に及ぶ直前まで,原告との間で,原告が保有する本件商標を含む日本及びその他の国のBOASTブランドに係る登録商標の買取りについて協議をしていたが,協議中断の数か月後に本件審判請求に及んだ 件審判請求に及ぶ直前まで,原告との間で,原告が保有する本件商標を含む日本及びその他の国のBOASTブランドに係る登録商標の買取りについて協議をしていたが,協議中断の数か月後に本件審判請求に及んだものである。 25こうした経緯に加え,被告は,本件審判請求における手続において,原告4が,「2017年10月3日,請求人は,ブランドボースト社(当審注:ブランデッドボースト社のこと)より,同社の「BOAST」ブランド事業を買収し,同社が保有する米国「BOAST」登録商標の移転を受けた(乙1)。 したがって,請求人は,被請求人が保有する日本「BOAST」登録商標に干渉しない義務を含む,本件和解契約に基づく義務を履行する責任を負う」,5「また,請求人は,本件和解契約に基づき,日本「BOAST」登録商標に係る被請求人の権利に対する干渉を行ってはならない義務を負う」旨主張したのに対して,具体的に弁駁していないことは記録上明らかであり,また,本訴における原告による同旨の主張についても反論していないことからすると,被告は,ブランデッドボースト社から米国内における「BOAST」事10業を買収するに際して,原告らと同社との間では,同社が,世界中でボースト社又は原告によるその他の登録により保護される原告らの商号権及び商標権を妨害しない旨の本件和解契約に基づく義務を負担しており,上記買収により被告も同義務を履行する責任を負うことを認識しながら,これを前提として,原告との間で,原告が保有する本件商標を含む日本及びその他の国の15BOASTブランドに係る登録商標の買取り交渉をしていたものと認められる。 そうすると,被告は,原告との間で,原告が保有する本件商標を含む日本及びその他の国のBOASTブランドに係る登録商標の買取り交渉が ドに係る登録商標の買取り交渉をしていたものと認められる。 そうすると,被告は,原告との間で,原告が保有する本件商標を含む日本及びその他の国のBOASTブランドに係る登録商標の買取り交渉が頓挫するや否や,原告が保有する商標権を妨害してはならない旨の上記義務に反す20ることを知りながら,本件商標の取消しを求めて本件審判請求に及んだものと認めるのが相当である。 したがって,本件審判請求は,金銭的負担をすることなく本件商標を使用することを企図し,取消審判制度が何人も申し立てることができることに藉口して,専ら原告を害する目的でしたものと認められるから,権利の濫用に25当たるものというべきである。 54 以上によれば,原告主張の取消事由は理由があるから,これと異なる本件審決の判断は取り消されるべきである。 よって,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部5 裁判長裁判官菅 野 雅 之 10裁判官中 村 恭 裁判官15岡 山 忠 広

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