平成21(行ウ)87 所得税更正処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成22年11月18日 東京地方裁判所 租税
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判決文本文40,638 文字)

- 1 - 主文 1 本件訴えのうち別紙1「訴え却下処分目録」記載の各処分の部分の取消しを求める部分を却下する。 2 本件訴えのその余の部分に係る原告の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求(なお,本判決においては,別紙1を含め,税額については,納付すべき税額が増加する方向をプラス,還付金の額に相当する税額が増加する方向をマイナスと見て,ある金額よりもプラス方向の部分を「超える部分」と表現し,マイナス方向の部分を「下回る部分」と表現することとする。) 1 処分行政庁が平成19年2月22日付けで原告に対してした,(1) 原告の平成15年分の所得税に係る更正処分(ただし,平成20年5月30日付け減額更正処分により一部取り消された後のもの。この一部取消しの前後を問わず,以下「本件平成15年分更正処分」という。)のうち総所得金額0円を超える部分及び還付金の額に相当する税額111万9340円を超える部分(2) 原告の平成16年分の所得税に係る更正処分(以下「本件平成16年分更正処分」という。)のうち総所得金額2891万5197円を超える部分及び納付すべき税額603万5600円を超える部分(3) 原告の平成17年分の所得税に係る更正処分(以下「本件平成17年分更正処分」という。)のうち総所得金額0円を超える部分及び還付金の額に相当する税額284万6800円を超える部分を,いずれも取り消す。 2 処分行政庁が平成19年2月22日付けで原告に対してした,(1) 原告の平成15年分の所得税に係る過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成20年5月30日付け変更決定処分及び平成21年4月30日付け変更 - 2 -決定処分により一部取り消された後のもの。こ 原告の平成15年分の所得税に係る過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成20年5月30日付け変更決定処分及び平成21年4月30日付け変更 - 2 -決定処分により一部取り消された後のもの。これらの一部取消しの前後を問わず,以下「本件平成15年賦課決定処分」という。)(2) 原告の平成16年分の所得税に係る過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成21年4月30日付け変更決定処分により一部取り消された後のもの。 この一部取消しの前後を問わず,以下「本件平成16年賦課決定処分」という。)のうち過少申告加算税40万4500円を超える部分(3) 原告の平成17年分の所得税に係る過少申告加算税賦課決定処分(以下「本件平成17年賦課決定処分」という。)を,いずれも取り消す。 第2 事案の概要等 1 事案の要旨本件は,①匿名組合の匿名組合員としての地位を譲り受けた原告が,当該匿名組合に係る営業として行われた航空機リース事業に関する損失のうち,原告の出資割合相当額を不動産所得の損失であるとして平成15年分~平成17年分(これらを総称して,以下「本件各係争年分」という。)の所得税の確定申告をしたところ,②処分行政庁が,本件各係争年分の所得税につき不動産所得の損失はないなどとして,前記第1に掲げた各更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び各過少申告加算税賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」といい,本件各更正処分と併せて「本件各処分」という。)をしたことから,③原告が,上記の損失は不動産所得の損失に当たるなどと主張して,前記第1記載のとおり本件各処分の取消しを求める事案である。 2 関係法令及び所得税基本通達の定め別紙2「関係法令等の定め」に記載したとおりである(同別紙で定める略称等は,以下においても用いることとする。 とおり本件各処分の取消しを求める事案である。 2 関係法令及び所得税基本通達の定め別紙2「関係法令等の定め」に記載したとおりである(同別紙で定める略称等は,以下においても用いることとする。)。 3 前提事実(証拠等の掲記のない事実は,当事者間に争いがないか,当事者において争うことを明らかにしない事実である。) - 3 -(1) 本件匿名組合契約P1有限会社(以下「P1社」という。)は,英国領ケイマン諸島に所在するP2(以下「P2社」という。)との間で,平成12年11月30日,P1社を出資者,P2社を営業者として,旧商法535条に規定する匿名組合契約(以下,この契約を「本件匿名組合契約」といい,同契約につき作成された契約書〔甲1〕を「本件匿名組合契約書」といい,同契約に基づく匿名組合を「本件匿名組合」という。)を締結した。本件匿名組合契約書には,次のような趣旨の定めなどがされている(本件匿名組合契約書及び後記(2)の契約に係る契約書において,出資者とはP1社を,営業者とはP2社を,それぞれ指す。)。 ア前文(ア) 営業者は,P3(以下「P3航空」という。)からP4社製○型航空機1機(以下「本件航空機」という。)を購入し,これをP3航空に対してリースする事業(以下「本件事業」という。)を行うことを予定している。(1項)(イ) 営業者は,本件航空機の購入その他本件事業の遂行に必要な資金を,本件匿名組合契約に基づく出資者からの出資金等によって調達すること及び本件事業から生ずる損益を出資者等に分配することを予定している。 (2項)イ 1条出資者は,2条~4条の規定に基づき,本件事業に出資することに合意し,営業者は,5条の規定に基づき,本件事業から生ずる損益を出資者に 配することを予定している。 (2項)イ 1条出資者は,2条~4条の規定に基づき,本件事業に出資することに合意し,営業者は,5条の規定に基づき,本件事業から生ずる損益を出資者に分配することに合意し,さらに,出資者は,かかる分配を受けることに合意する。 ウ 2条1項出資者は,本件事業遂行のために,営業者に対し,本件匿名組合契約書 - 4 -の別表1項記載の金額(1599万4000米ドル。以下「本件出資金」という。)を当初出資金として支払う。 エ 4条2項5条1項に基づき出資者に分配された損失累計額が本件出資金の額を超過する場合,出資者は,本件匿名組合契約書の別表3項所定の額(991万6280米ドル)を限度として,当該超過額を負担する。営業者は,5条1項に基づき分配された損失累計額が本件出資金の額を超過するか否かを問わず,営業者が必要と認める場合,上記別表4項所定の額(1091万6280米ドル)を限度として,追加出資を求めることができる。かかる追加出資がされた場合は,「本件出資金」はその額を加えたものをいうものとする。 オ 5条(ア) 本件事業の結果として各計算期間中営業者に生じた利益又は損失(以下「本件事業の損益」という。)は,本件匿名組合契約の定めに従い,出資者に対して,本件匿名組合契約書の別表2項所定の額(1599万4000米ドル)に対して同別表1項所定の金額が有する割合(以下「出資割合」という。)に応じて分配されるものとする。(1項本文)(イ) 本件事業に関して金銭の剰余が営業者に生じた場合であっても,営業者は,本件事業が終了し,12条に従って清算を行うまで,これを自己に留保するものとする。(3項)カ 6条(ア) 本件匿名組 に関して金銭の剰余が営業者に生じた場合であっても,営業者は,本件事業が終了し,12条に従って清算を行うまで,これを自己に留保するものとする。(3項)カ 6条(ア) 本件匿名組合契約は,旧商法535条における匿名組合契約であり,本件匿名組合契約における営業者と出資者の関係は,旧商法第3編第4章に定められた営業者と匿名組合員の関係であるが,上記契約に明示の規定のある事項については,当該規定に従うものとする。(1項第1文及第2文) - 5 -(イ) 本件出資金(4条2項の規定による追加出資金も含む。),本件事業に関し営業者が取得した資産及び権利は,すべて営業者に帰属するものとし,本件匿名組合契約に定める場合を除き,出資者はこれらに対して何の権利も有しない。(2項第1文)(ウ) 本件事業は,営業者が自らの単独の裁量に基づいて開始,継続,終了その他遂行するものであり,出資者は,本件事業のかかる遂行,運営に対していかなる形においても関与したり影響力を与えたりすることができないものとする。(3項)(エ) 営業者は,自らが適当と判断する条件で,本件航空機の取得,賃貸,管理及びこれに伴う資金の調達をし,本件事業を開始及び終了させ,その他本件事業の目的を達成するために必要又は有益と思われるすべての契約を締結し,また,行為を行うことができる。(4項)キ 10条1項本文本件事業の計算期間は,毎年10月1日に開始し,翌年9月30日に終了する各期間12か月の年1期とする。 ク 12条(ア) 本件匿名組合契約は,本件事業の終了によって終了する。(1項)(イ) 本件事業は,本件匿名組合契約の日に始まり,①本件航空機のリース契約に規定されるリース開始日から,基本リース期間が満了 本件匿名組合契約は,本件事業の終了によって終了する。(1項)(イ) 本件事業は,本件匿名組合契約の日に始まり,①本件航空機のリース契約に規定されるリース開始日から,基本リース期間が満了し,さらに6月が経過した場合,②本件航空機の全損,滅失又は売却などによって本件事業の継続が不可能となり,営業者が本件事業の終了を出資者に通知した場合,③その他本件事業を継続することが著しく困難な事態が生じ,営業者が出資者等に本件事業の終了を通知した場合に終了する。 (2項)(ウ) 前記(イ)によって本件匿名組合契約が終了した場合,営業者は,本件事業の清算を行うものとする。その場合,営業者は,本件事業に属する - 6 -財産を処分し,債務を弁済して,残余財産のうち出資割合に応じた金額を出資者に分配するものとする。出資者は,当該残余財産分配額が本件出資金に不足する場合でも,不足分の返還を求めることはできない。 (3項)ケ 22条1項本件匿名組合契約は日本法に準拠し,これに従って解釈される。 (2) 本件地位譲渡契約ア原告,P2社及びP1社は,平成13年3月1日,原告が,P1社から,同社の有する本件匿名組合契約上のすべての権利義務その他同契約上の地位のうち,P1社の本件事業に関するすべての出資金のうち1599万4000分の400万の出資割合に相当する部分(以下,当該出資割合を「本件出資割合」といい,これに相当する本件匿名組合契約上の地位を「本件出資持分」という。)を譲り受ける旨の契約(以下,この契約を「本件地位譲渡契約」といい,同契約につき作成された契約書〔甲2〕を「本件地位譲渡契約書」という。)を締結した。 本件地位譲渡契約書には,新出資者(同契約書において原告を指す。)は,新出資者が本 位譲渡契約」といい,同契約につき作成された契約書〔甲2〕を「本件地位譲渡契約書」という。)を締結した。 本件地位譲渡契約書には,新出資者(同契約書において原告を指す。)は,新出資者が本件事業及び本件匿名組合契約の内容を十分了解の上,また,本件事業の結果その他本件事業に関連する事項につき,独自の判断と責任によって十分検討,評価し,その結果本件地位譲渡契約を締結したものであることを確認し,同契約により営業者と新出資者の間で有効となる本件匿名組合契約の内容及び規定に従いこれを遵守することを確約する旨の定め(6条1項第1文)などが置かれている。 イ原告は,P1社に対し,平成13年7月13日,本件地位譲渡契約に基づき,本件出資持分を譲り受けた対価として400万米ドルを,当該対価に係る平成12年11月30日~平成13年7月12日までの金利相当額として12万9777.78米ドルを,それぞれ支払った。これにより, - 7 -原告は,本件地位譲渡契約書2条1項の定めのとおり,本件出資持分を取得するとともに,平成12年11月30日にさかのぼって,本件匿名組合の出資者となった。 ウ P2社から原告に分配される分として報告された本件事業に係る損失の額は,①平成14年10月1日~平成15年9月30日の計算期間については1億1528万7281円であり,②同年10月1日~平成16年9月30日の計算期間については7220万5577円であり,③同年10月1日~平成17年9月30日の計算期間については3877万7148円である(乙4の1~3)。 (3) 本件各係争年分の所得税に係る確定申告等原告は,平成16年3月15日,平成17年3月15日及び平成18年3月10日に,本件各係争年分の原告の所得税について,本件事業に関す 。 (3) 本件各係争年分の所得税に係る確定申告等原告は,平成16年3月15日,平成17年3月15日及び平成18年3月10日に,本件各係争年分の原告の所得税について,本件事業に関する損失のうち原告に分配された分に相当する額(ただし,平成15年分については1億1528万7280円とされている。)をいずれも不動産所得の損失であるとして,別表1~3の各「A確定申告」欄記載のとおり確定申告をした。 なお,原告において,平成15年分及び平成17年分の所得税につき,更正の請求をした事実はない。 (4) 本件各処分の経緯等ア処分行政庁は,原告に対し,平成19年2月22日,本件各係争年分の原告の所得税について,別表1~3の各「B更正処分等」欄記載のとおり本件各処分をした。 イ本件各処分についての原告の審査請求に対する国税不服審判所長の裁決や本件各処分に係る変更決定処分の経緯は,別表1~3の各「C審査請求」欄,「D更正処分等」欄,「E審査裁決」欄及び「F変更決定処分」欄にそれぞれ記載されているとおりである。 - 8 -ウ原告は,平成21年2月26日,本件訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。 4 本訴請求の根拠等に関する原告の主張及び本件各処分の根拠等に関する被告の主張(1) 本訴請求の根拠等に関する原告の主張は,後記6に掲げるほか,別表4の「原告の請求の内容」欄に記載のとおりである。 (2) 本件各処分の根拠及び適法性に関する被告の主張は,後記6に掲げるほか,別紙3「本件各処分の根拠及び適法性」に記載のとおりである。 5 争点(本案前の争点)(1) 本件各更正処分のうち別紙1「訴え却下処分目録」記載の各部分の取消しを求める本件訴えの部分の適法性(本案の争点)(2 び適法性」に記載のとおりである。 5 争点(本案前の争点)(1) 本件各更正処分のうち別紙1「訴え却下処分目録」記載の各部分の取消しを求める本件訴えの部分の適法性(本案の争点)(2) 本件匿名組合契約に基づき原告が分配を受ける損益に係る所得及び損失の種類(3) 本件匿名組合契約に基づき原告が分配を受けた損失額が本件各係争年分において原告に帰属したといえるか否か。 (4) 本件各更正処分が信義則又は平等原則に反し,許されないものであるか否か。 (5) 原告に本件各係争年分の確定申告につき通則法65条4項所定の「正当な理由」があったか否か。 6 争点に関する当事者の主張の要点(1) 争点(1)(本件各更正処分のうち別紙1「訴え却下処分目録」記載の各部分の取消しを求める本件訴えの部分の適法性)についてア原告の主張の要点(ア) 租税法律主義(憲法84条)からすれば,本来,納税者が誤って税額 - 9 -を過大に申告し,納付した場合,租税債権者がこれを保持することは許されないが,租税法律関係を早期に安定させるという技術的な理由も無視することができないため,法は,やむなく,更正の請求に期間の制限を付した上で,是正手段を更正の請求に限るとの制度(更正の請求の原則的排他性)を採用している。したがって,更正の請求の原則的排他性の適用を広く認めることは,租税法律主義の見地から許されず,更正の請求の手続を経ないで申告に係る課税標準・税額の減額の請求を認めることが更正の請求の原則的排他性の趣旨を損なわない場合には,当該請求をすることが認められなければならない。 処分行政庁によって増額更正がされたが,その内容が①申告に係る課税標準の一部の取消しと,②新たに認定された課税要件事実に基づく課税標準の加算から成り立っ をすることが認められなければならない。 処分行政庁によって増額更正がされたが,その内容が①申告に係る課税標準の一部の取消しと,②新たに認定された課税要件事実に基づく課税標準の加算から成り立っている場合において,納税者が上記②の加算部分の取消しを求めて争うときは,判決等により訴訟が終了するまでの間は,当該納税者の租税債務は確定しないから,上記②の加算部分の取消しを求めることにより上記①の申告に係る課税標準の一部の取消しを求めることを認めても,租税債務の早期確定を害することにはならず,更正の請求の原則的排他性の趣旨に抵触しない。このような請求を認めないとすれば,当該増額更正が違法な処分であっても,これによる税額が当初申告のそれを上回らない部分は取り消されず,違法な行政処分の結果の一部が是認されることになり,違法な行政行為の是正という行政事件訴訟の制度目的に反する。したがって,このようなケースでは,納税者が申告に係る課税標準・税額につき更正の請求を経ていなくても,加算部分の取消しを求める訴訟において,申告に係る課税標準・税額の一部取消しを求める訴えの利益が認められなければならない。 (イ) 平成15年分更正処分及び平成17年分更正処分は,増額更正であるが,その内容は,①平成15年分の事業所得,平成17年分の雑所得の - 10 -減算をし,所得金額を一部取り消しつつ,②他方で,新たに所得金額を加算したものであり,原告は,上記②の加算部分の取消しを求めて本件訴訟を提起して争い,その結果,申告に係る所得金額と税額の一部についても取消しを求めることになっている。これは,前記(ア)で述べた,更正の請求を経ないまま,申告に係る課税標準・税額の一部取消しを求めることができるケースに当たるから,別紙1「訴え却下処分目録」記載の各処分 しを求めることになっている。これは,前記(ア)で述べた,更正の請求を経ないまま,申告に係る課税標準・税額の一部取消しを求めることができるケースに当たるから,別紙1「訴え却下処分目録」記載の各処分の部分の取消しを求める本件訴えの部分には,訴えの利益が認められる。 イ被告の主張の要点(ア) 通則法16条1項のいわゆる柱書及び同項1号は,国税についての納付すべき税額の確定の手続については,納付すべき税額が納税者のする申告により確定することを原則とする申告納税方式によるべき旨規定している。本来,納税者が確定申告書を提出すれば,それによって納税義務は確定し,その課税標準たる総所得金額を超えない部分は,いずれも,その範囲においては所得があることを自認したものというべきであり,その範囲において取消しを求める訴えの利益はない。そして,納税者が申告の内容を自己の利益に変更するためには,通則法23条又は所得税法152条所定の更正の請求の方法によらなければならないのであって,その手続を経ないで申告額を超えない部分の取消しを求めることはできないというべきである。以上のとおり,確定申告による納付すべき税額を下回る部分又は還付金の額に相当する税額を下回る部分については,上記更正の請求の手続を経ない限り,抗告訴訟において取消しを求める利益がないことになる。別紙1「訴え却下処分目録」記載の各処分の部分の取消しを求める本件訴えの部分は,原告が確定申告書の提出により自ら納税義務を確定させた部分につきその取消しを求めるものであり,訴えの利益を欠く。 - 11 -(イ) 原告が主張するような見解(前記ア(ア))は,課税訴訟における審判対象論につき争点主義(確定処分に対する争訟の対象は処分理由との関係における税額の適否であるとする主義)を前提とするも -(イ) 原告が主張するような見解(前記ア(ア))は,課税訴訟における審判対象論につき争点主義(確定処分に対する争訟の対象は処分理由との関係における税額の適否であるとする主義)を前提とするものと解するほかない。しかし,通則法24条~29条等の規定からすれば,課税処分は当該年度の課税標準等又は税額等を数額的に確定させる処分であり,それが数額的に過少又は過大である場合にのみ行うものであって,数額算定の根拠事実が異なる場合に行うものではないと解されるから,課税処分取消訴訟における審判の対象は,当該課税処分によって確定された税額の適否であるというべきである(総額主義)。したがって,原告の主張は,理由がない。 (2) 争点(2)(本件匿名組合契約に基づき原告が分配を受ける損益に係る所得及び損失の種類)についてア原告の主張の要点(ア) 旧商法537条は,匿名組合員が一定の場合には営業者と共に対外的な債務を負担することがあることを定めており,同条の存在は,匿名組合員が対外的に権利義務を有しないということが匿名組合契約の本質的要素ではなく,匿名組合員を営業者との共同事業者と見るべき場合があることを旧商法が認めていることを示すものである。また,同法542条,153条が匿名組合員に業務検査権まで認めていることは,匿名組合員が法的な意味においても共同事業者としての地位を有する根拠となるものである。さらに,匿名組合員は,営業者に対して契約の趣旨に従って営業を行うことを請求する権利(営業執行請求権)を有し,営業者の営業に対して出資をしている(同法535条)のであるから,その意味において共同事業者としての立場を有しているというべきである。以上のような同法の規定からすれば,営業者と匿名組合員を共同事業者の関係ととらえることは,匿名 いる(同法535条)のであるから,その意味において共同事業者としての立場を有しているというべきである。以上のような同法の規定からすれば,営業者と匿名組合員を共同事業者の関係ととらえることは,匿名組合契約の本質的な理解にかなうものであ - 12 -る。 匿名組合の法的性質については,営業者と匿名組合員の共同事業であり,ドイツにおける内的組合に類似するものであるとの見解が一般的なものである。このような見解から出発すると,匿名組合に対する課税については,できるだけ民法の組合に対する課税に準じた取扱いをすべきということになる。例えば,AとBとが民法上の組合を設立した場合において,Aが業務の執行をBに委託し,自らは業務の執行に関与しないときであっても,Aの所得は組合の所得の種類と同種のものに当たることになるから,匿名組合員が分配を受ける利益についても,これと同様に解すべきである。また,匿名組合における「利益の分配」は,利益の金額の分配ではなく,利益そのものの分配を意味するというべきであるから,匿名組合員に分配された利益は,分配前の性質をそのまま維持すると考えるべきである。以上述べたところからすれば,新通達の定めよりも,旧通達の定めの方が,匿名組合の性質に合致していたということができるというべきである。 (イ) 原告とP2社との間においては,本件匿名組合契約につき,本件匿名組合契約書の記載とは異なり,原告が本件事業に対して共同事業者として積極的に関与する旨の合意(以下「本件合意」という。)があらかじめされていたものであり,原告は,この合意に基づいて,本件事業そのものに積極的に関与し,P2社と共同して本件事業を行ってきたものである。 すなわち,P2社は,関連会社であるP5に対し,本件事業に関する業務のすべ 告は,この合意に基づいて,本件事業そのものに積極的に関与し,P2社と共同して本件事業を行ってきたものである。 すなわち,P2社は,関連会社であるP5に対し,本件事業に関する業務のすべてを委託しており,また,原告は,本件匿名組合に出資予定であったP6株式会社(後に実際に出資をした)の代表取締役であり,原告とは旧知の関係にあったP7に対し,本件匿名組合に関する一切の事項についての代理権を授与していたところ,P5において本件事業を - 13 -担当していたP8(当時の同社の日本における代表者)及びP9(両名を総称して,以下「P8ら」という。)とP7は,原告が本件匿名組合の出資者になるよりも前の時点において,営業者(P2社)側は,①本件事業を遂行するに当たり,原告及びP6の意見を聴取し,②原告及びP6が本件匿名組合における過半数に近い出資割合(約40%)を有していることにかんがみ,基本的には原告及びP6の意見を最大限に尊重して本件事業を遂行するとの本件合意をした(なお,本件合意は,平成12年11月16日の面談〔甲8の1〕の際には,おおむね成立していた。)。そして,原告(その代理人であるP7)は,本件合意に基づき,P8らとの間で面談を重ね,リース物件の機体や航空会社について種々の意見を述べ,また,中古飛行機市場の動向を常に確認しておくなど,本件事業における重要な業務を行ってきた。 (ウ) 以上からすれば,本件匿名組合の実質は,匿名組合員(原告)と営業者(P2社)との共同事業であるというべきであり,本件匿名組合契約に基づいて原告がP2社から分配を受ける損益は,本件事業に係る営業者の損益の種類と同種のものに当たるというべきである。そして,本件事業に係る営業者(P2社)の所得又は損失は,所得税法26条1項にいう「航空機 原告がP2社から分配を受ける損益は,本件事業に係る営業者の損益の種類と同種のものに当たるというべきである。そして,本件事業に係る営業者(P2社)の所得又は損失は,所得税法26条1項にいう「航空機…の貸付け…による所得」又はその損失として不動産所得に該当するものであるから,本件匿名組合契約に基づいて匿名組合員(原告)が分配を受ける損益もまた,不動産所得又はその損失に該当するものというべきである。 イ被告の主張の要点(ア) 旧商法の規定からすれば,匿名組合員は,①匿名組合の営業者の財産に対して持分等の権利を全く有せず(旧商法536条1項),②営業者が行う本件事業について,組合外部の第三者に対し,権利を有し又は義務を負うことはなく(同条2項),③営業者の事業に関し,出資者とし - 14 -ての監督権(同法542条,153条)を行使し得る以外に関与することはできないのであるから(同法542条,156条),匿名組合員が営業者の事業を共同事業として行っていると見る余地はない。本件匿名組合契約書の定めを見ても,原告は,出資に伴う監督権以外に何ら本件事業に関与することができないのであって(本件匿名組合契約書6条2~4項,21条3項等),原告が,本件匿名組合契約に係る本件事業を共同事業として営んでいると解する余地はない。 そうすると,本件匿名組合契約に基づきP2社から原告に分配される損益は,営業者であるP2社の営業に対する出資の対価としての性質を有するものというべきであるから,「航空機…の貸付け…による所得」又はその損失とはいえず,所得税法26条所定の不動産所得又はその損失には該当しない。また,原告の本件匿名組合契約及び本件地位譲渡契約に基づく出資行為は,継続かつ反復した行為とはいえず,役務の提供を内容とするものでもないか 所得税法26条所定の不動産所得又はその損失には該当しない。また,原告の本件匿名組合契約及び本件地位譲渡契約に基づく出資行為は,継続かつ反復した行為とはいえず,役務の提供を内容とするものでもないから,上記損益は,同法27条及び34条所定の事業所得若しくは一時所得又はこれらの損失にも該当しない。さらに,上記損益は,同法23条ないし25条及び28条ないし33条所定の,利子所得,配当所得,給与所得,退職所得,山林所得及び譲渡所得又はその損失のいずれにも該当しない。そうすると,上記損益は,同法35条所定の雑所得又はその損失に該当するというべきである。 (イ) 匿名組合と民法上の組合とは,法律上の性質を全く異にするものであり,法律上,匿名組合における営業者の事業は,営業者の単独事業とされる以上,その経済的側面のみを強調して,匿名組合契約に基づき営業者から匿名組合員に分配されるべき損益の所得区分が営業者の事業区分に従うこととはならない。仮に,匿名組合の実質,経済的性質を検討するとしても,単に内的組合であるとか,経済的,実質的に共同事業とされるだけで,匿名組合を民法上の組合と同視することはできない(消費 - 15 -貸借の特殊な形態と見る余地もあるし,合資会社と類似するともいえる。)。このような複合的性格を有するという匿名組合の実質にかんがみると,営業者の単独の事業であるという法律上の性格に従った判断をすることが,最も妥当であるというべきである。 (ウ) 旧商法542条が準用する同法156条については,合資会社が定款その他の内部規約をもって有限責任社員に業務執行の権利義務がある旨を定めた場合,その定めは有効であるとされていること(最高裁昭和23年(オ)第95号同24年7月26日第三小法廷判決・民集3巻8頁283頁)からす 約をもって有限責任社員に業務執行の権利義務がある旨を定めた場合,その定めは有効であるとされていること(最高裁昭和23年(オ)第95号同24年7月26日第三小法廷判決・民集3巻8頁283頁)からすれば,匿名組合契約において,匿名組合員に業務執行事項に対する関与が認められるためには,匿名組合員の業務執行事項に対する関与(権限)の内容を具体的に定める特約が存在しなければならないというべきである。 本件匿名組合契約書6条1項は,明示の規定がない限り,旧商法の規定に従う旨定めているところ,同契約書においては,出資者である原告が本件事業に関与し得るとする明示の規定ないし特約は設けられておらず,かえって,原告が本件リース事業に係る業務執行の権限を全く有していない旨が明らかにされている。原告は,本件匿名組合契約においては,本件匿名組合契約書の記載とは異なり,原告が本件事業に積極的に関与する旨の本件合意がされていた旨主張するが,本件合意を記載した覚書などの書面が存在しないことなどに照らし,上記主張は疑わしいものである。また,原告主張の本件合意の内容(前記ア(イ)の①及び②参照)を見ても,営業者の行う営業に関して,出資者である匿名組合員が意見を述べる機会を持ち,営業者は,出資者の意見を尊重した上で営業上の判断を行うということを確認したものにすぎず,原告に対し,何ら業務執行に関与する権限を付与したものではないというべきである。 (3) 争点(3)(本件匿名組合契約に基づき原告が分配を受けた損失額が本件各 - 16 -係争年分において原告に帰属したといえるか否か)についてア原告の主張の要点前記(2)アのとおり,本件匿名組合契約に基づき原告が分配を受ける損失は,不動産所得に係る損失というべきである。そして,本件匿名組合契約においては,各 るか否か)についてア原告の主張の要点前記(2)アのとおり,本件匿名組合契約に基づき原告が分配を受ける損失は,不動産所得に係る損失というべきである。そして,本件匿名組合契約においては,各計算期間(毎年10月1日から翌年9月30日まで。本件匿名組合契約書10条1項)中P2社に生じた損益は,同契約書5条1項所定の割合に応じて各匿名組合員に分配されるところ,いったんある計算期間の終期に各匿名組合員に分配されることが決定した利益額又は損失額が,その後の営業者の利益状況いかんによってさかのぼって修正されることはないから,各匿名組合員に分配される利益額又は損失額は,遅くともP2社から匿名組合事業会計報告書(乙4の1~3)が送付された時点において確定しているものというべきである。 そして,法人税基本通達14-1-3は,「法人が匿名組合員である場合におけるその匿名組合営業について生じた利益の額又は損失の額については,現実の利益の分配を受け,又は損失を負担していない場合であっても,匿名組合契約によりその分配を受け又は負担をすべき部分の金額をその計算期間の末日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入する」旨を定めているところ,匿名組合員が個人の場合においても,損失額の帰属時期をこれと異なる取扱いとすべき理由はないから,本件匿名組合契約に基づき原告がP2社から分配を受けた損失額については,当該分配がされた時点における年度分の所得税に係る損失に計上すべきである。 イ被告の主張の要点(ア) 匿名組合における損失の分配は,利益の配当とは異なり,現実的な損失の分配ではなく,計算上の損失の分担であり,出資が損失の分担によって減少した場合には,後の営業年度に利益を生じても,この利益で出資の欠損額をてん補し,なお余りがあるのでなければ, なり,現実的な損失の分配ではなく,計算上の損失の分担であり,出資が損失の分担によって減少した場合には,後の営業年度に利益を生じても,この利益で出資の欠損額をてん補し,なお余りがあるのでなければ,匿名組合員は, - 17 -利益の配当を請求することができないとされている。本件各係争年分において,原告が不動産所得の損失額とした金額は,本件事業の計算期間における本件匿名組合契約の財産の減少額のことであり,これは,損失の分担があることによって,原告によりP2社に出資された額が計算上その分担する損失の額だけ減少することを意味しているにすぎず,現実の支払によってこれを補てんするものではない。そうすると,原告に分配されたとする損失は,現実の負担ではなく計算上の分担にすぎないものであり,課税上は,本件各係争年分においていまだ確定したものとはいえないものであるから,所得税法36条1項及び37条1項の規定によれば,原告の本件各係争年分の所得とすべき金額(損失)はないというべきである。 (イ) なお,仮に,P2社から原告に分配される損失が課税上の損失として認められるものであるとしても,前記(2)イのとおり,上記損失の種類は,雑所得に係る損失であるというべきである。そして,別表1~3のとおり,本件各係争年分の雑所得の金額は既に赤字(損失)であり,これがさらに増加するにすぎないものであり,そもそも雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は他の各種所得の金額から控除することはできない(同法69条1項参照)ことからすれば,結論としての総所得金額及び納付すべき税額に異同が生ずることはない。 (4) 争点(4)(本件各更正処分が信義則又は平等原則に反し,許されないものであるか否か)についてア原告の主張の要点(ア) 旧通達ただし書は,当然の 税額に異同が生ずることはない。 (4) 争点(4)(本件各更正処分が信義則又は平等原則に反し,許されないものであるか否か)についてア原告の主張の要点(ア) 旧通達ただし書は,当然のことを注意的に規定したものであって,旧通達において実質的に意味があるのは,本文のみである。そして,旧通達本文は,匿名組合員が営業者から受ける利益の分配は,営業者の営業の内容に従う旨を明記しているのであるから,旧通達を本件にあてはめ - 18 -ると,原告がP2社から受ける損益の分配は,不動産所得又はその損失であるとの結論が導かれるのであって,旧通達に従う限り,これと異なる解釈を採る余地はない。一般に,租税法分野における通達が,課税実務において極めて重要な意味を持っていること,旧通達が平成17年に改正されるまで長年の間,匿名組合の組合員の所得区分を明記したものとして,納税者の申告及び課税実務における指針となってきたことにもかんがみると,旧通達は,「匿名組合員が営業者から受ける利益分配の所得区分が営業者の所得区分に従って区分される」との税務官庁の公的見解を示したものというべきである。なお,旧通達が利益の分配については規定しているが,損失の分配については規定していないとの被告の主張は,単なる形式論にすぎず,旧通達が損失の分配に関する取扱いをあえて排除したものと考えることはできない。そして,原告は,これを信頼して本件各係争年分の所得税の確定申告をしたものである。本件各更正処分は,本件各係争年分の所得税については旧通達に従った課税がされるということに対する原告の信頼を裏切るものであり,信義則(民法1条2項)に反するものというべきである。 (イ) 本件匿名組合契約には,原告以外の個人の出資者が3名いるところ,これらの者は,本件匿名組合から生ず 対する原告の信頼を裏切るものであり,信義則(民法1条2項)に反するものというべきである。 (イ) 本件匿名組合契約には,原告以外の個人の出資者が3名いるところ,これらの者は,本件匿名組合から生ずる損失につき,原告と同様に不動産損失として確定申告をしているが,課税処分を受けたのは原告のみであり,上記3名のうち札幌市在住の1名については,税務調査を受けたにもかかわらず,P8とのやり取りの結果,本件匿名組合から生ずる損失が不動産所得に係る損失であることが認められている。また,P8は,本件匿名組合契約と同種の案件につき過去に300件以上取り組んできた実績があり,その中には個人が匿名組合員となるケースも含まれているが,航空機リース事業からの所得又は損失が不動産所得又はその損失であることが認められなかったケースはこれまで1件もなく,原告だけ - 19 -につき,雑所得に係る損失であるとの理由で更正処分がされたものである。同一の法律関係,利益状況にある者については,課税上平等の取扱いがされなければならないところ(憲法14条1項。課税上の平等原則),以上に述べた事情に照らせば,本件各更正処分は,課税上の平等原則に反するものである。 イ被告の主張の要点(ア) 租税法律関係においては,租税法律主義が妥当するのであるから,信義則を適用して課税処分を違法とするためには,特別な事情を要するというべきであり,その事情の有無に関しては,少なくとも,①税務官庁が信頼の対象となる公的見解を表示したといえるか,②納税者に責めに帰すべき事由がないかを検討し,③納税者の信頼を保護しなければ正義に反する特別な事情の有無を判断すべきである。 旧通達は,匿名組合の組合員が営業者から受ける利益の分配につき,当該営業者の営業の内容に従い,事業所得又はその他の各種 納税者の信頼を保護しなければ正義に反する特別な事情の有無を判断すべきである。 旧通達は,匿名組合の組合員が営業者から受ける利益の分配につき,当該営業者の営業の内容に従い,事業所得又はその他の各種所得とするとしながらも,「ただし,営業の利益の有無にかかわらず一定額又は出資額に対する一定割合により分配を受けるものは,貸付金の利子として事業所得又は雑所得とする。」として,匿名組合契約に基づく利益の分配が二面性を有していることを前提とした取扱いをしてきたものであり,旧通達の実際の適用場面においても,上記のような二面性を認める旧通達の趣旨を踏まえ,必ずしも営業者の営業の内容に従って匿名組合員が受ける分配利益の所得区分が決定されているものではなかった(乙6,7参照)。すなわち,課税庁は,匿名組合契約に基づく利益の分配金が二面性を有することに着目して,匿名組合員に対する分配金については,匿名組合を区分して考え,その分配された所得を一律に取り扱わない課税上の取扱いの原則及びその例外を,旧通達を通して従前から明らかにしていたものであり,新通達は,匿名組合契約に基づき匿名組合員が営 - 20 -業者から受ける利益の分配に係る所得区分についての従前の取扱いを変更したものではなく,旧通達が「当該営業者の営業に従い」所得区分を定めるとしていたことにより不明確となっていた所得区分を,実際上の取扱いに基づいて明確にしたものである。そうすると,所得税の課税実務において,匿名組合の組合員が共同事業を営むことを前提として,当該組合員が受ける分配利益の所得区分を決定する,すなわち,画一的に,当該組合員が受ける分配利益が事業所得や不動産所得等として取り扱われるといった公式見解が述べられた事実はない。また,旧通達は,「利益」の分配については規定しているが,「損失 る,すなわち,画一的に,当該組合員が受ける分配利益が事業所得や不動産所得等として取り扱われるといった公式見解が述べられた事実はない。また,旧通達は,「利益」の分配については規定しているが,「損失」の分配については規定していないから,損失の分配につき何らかの公式見解が示されていたとみる余地もない。そうすると,本件においては上記①の要件を欠くから,本件各更正処分が信義則に反するとの前記ア(ア)の原告の主張には,理由がない。 (イ) 課税の平等とは,課税の根拠となる法を適用すべき者に対しては等しく適用すべしとすることであって,法の適用を免れる者が生じたがゆえに,他の者に対して法を適用することが平等に反することにはならない。 仮に,原告と同様な匿名組合契約を結んでいる他の個人について,匿名組合契約に基づく損失の分配を不動産所得の損失であるとして損益通算した確定申告が是正されていないとしても,単にそのことのみをもって,適法な本件各更正処分が課税の公平の原則に反するという余地はなく,前記ア(イ)の原告の主張には,理由がない。 (5) 争点(5)(原告に本件各係争年分の確定申告につき通則法65条4項所定の「正当な理由」があったか否か)についてア原告の主張の要点原告が平成15年分及び平成16年分の所得税の確定申告をした時点においては,旧通達が明確に営業者の営業の内容に従うものと定めており, - 21 -長年の間,かかる通達を前提とした課税実務が執り行われてきた。そして,原告は,P7を通じて,P8らとの面談により,繰り返し,本件匿名組合から生ずる損益が不動産所得又はその損失になることの確認を行っているのであり,P8らからは,上記面談の際に,そのような見解が記載された国税庁OBのP10教授執筆の文献(甲9)や公認会計士・ 匿名組合から生ずる損益が不動産所得又はその損失になることの確認を行っているのであり,P8らからは,上記面談の際に,そのような見解が記載された国税庁OBのP10教授執筆の文献(甲9)や公認会計士・税理士が作成した意見書(甲13)が示されていた。かかる事情からすれば,原告において,平成15年分及び平成16年分の所得税の確定申告につき,通則法65条4項所定の「正当な理由」が存することは明らかである。 また,平成17年分の所得税の確定申告時には,旧通達は新通達に改正されていたが,新通達においても,ただし書において旧通達におけるのと同様の取扱いが認められているのであるから,原告においては,平成17年分の所得税の確定申告についても,上記「正当な理由」が存することは明らかである。 イ被告の主張の要点前記(4)イ(ア)のとおり,課税庁は,匿名組合を区分して考え,その分配された所得を一律に取り扱わないことについて,課税上の取扱いの原則及び例外を,旧通達を通じて従前から明らかにしていたのであり(旧通達は事業所得に係る損失の分配がされるべきことを原則とはしていない。),平成17年の新通達への改正は,旧通達が「当該営業者の営業に従い」所得区分を定めるとしていたことにより不明確となっていた所得区分を,実際上の取扱いに基づいて明確にしたものであって,上記改正の前後において,匿名組合契約に基づき匿名組合員が営業者から受ける利益の分配に係る所得区分についての従前の取扱いを変更したものではない。以上に照らせば,原告において,本件各係争年分の所得税の確定申告につき,通則法65条4項所定の「正当な理由」が存するということはできないというべきである。 - 22 -第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件各更正処分のうち別紙1「訴 税の確定申告につき,通則法65条4項所定の「正当な理由」が存するということはできないというべきである。 - 22 -第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件各更正処分のうち別紙1「訴え却下処分目録」記載の各部分の取消しを求める本件訴えの部分の適法性)について(1) 本件で問題とされている所得税のように納付すべき税額の確定の手続につき申告納税方式によるものとされている国税においては,納付すべき税額は,原則として納税者のする申告により確定し(通則法15条,16条1項1号,2項,所得税法120条1項参照),納税者が申告の内容を自己の利益に変更するためには,更正の請求の方法(通則法23条,所得税法152条)によらなければならないものとされている。そして,申告納税制度が採られている国税において,確定申告書に記載された事項の過誤の是正につき更正の請求という特別の制度が設けられたのは,課税標準等の決定については,最もその間の事情に通じている納税者自身の申告に基づくものとし,その過誤の是正は法律が特に認めた場合に限るものとすることが,租税債務を可及的速やかに確定させるべき国家財政上の要請に応ずるものであり,納税者に対しても過当な不利益を強いるおそれがないと考えられるからであると解される(最高裁昭和38年(オ)第499号同39年10月22日第一小法廷判決・民集18巻8号1762頁参照)。このような更正の請求の制度の趣旨に照らせば,申告に係る納付すべき税額等を更正する処分を受けた納税者は,申告の無効を主張することができるような特段の事情がある場合を除き,当該更正処分のうち申告に係る納付すべき税額又は還付金の額に相当する税額を下回る部分については,上記更正の請求の手続を経ない限り,抗告訴訟において取消しを求めることはできないものという 場合を除き,当該更正処分のうち申告に係る納付すべき税額又は還付金の額に相当する税額を下回る部分については,上記更正の請求の手続を経ない限り,抗告訴訟において取消しを求めることはできないものというべきである(前掲昭和39年10月22日第一小法廷判決参照)。 これを本件についてみるに,本件各更正処分のうち別紙1「訴え却下処分目録」記載の各部分の取消しを求める本件訴えの部分は,原告において確定申告書の提出により自ら納税義務の内容を確定させた部分についてその取消 - 23 -しを求めるものであるところ,原告は,本件平成15年分更正処分及び本件平成17年分更正処分につき更正の請求の手続を執っておらず,また,平成15年分及び平成17年分の各所得税の確定申告につき上記特段の事情があることの主張,立証はない。したがって,別紙1「訴え却下処分目録」記載の各処分の部分の取消しを求める本件訴えの部分は,不適法であるといわざるを得ない。 (2) この点,原告は,処分行政庁によって増額更正がされたが,その内容が①申告に係る課税標準の一部の取消しと,②新たに認定された課税要件事実に基づく課税標準の加算から成り立っている場合において,納税者が上記②の取消しを求めて争うときは,納税者が申告に係る課税標準や税額につき更正の請求を経ていなくても,加算部分の取消しを求める訴訟において,申告に係る課税標準や税額の一部取消しを求める訴えの利益が認められなければならず,本件は,このようなケースに当たるなどと主張する。 しかし,課税処分の取消訴訟における実体上の審判の対象は,当該課税処分によって確定された税額の適否であり,課税処分における課税庁の課税標準の認定等に誤りがあっても,これにより確定された税額が総額において租税法規によって客観的に定まっている 審判の対象は,当該課税処分によって確定された税額の適否であり,課税処分における課税庁の課税標準の認定等に誤りがあっても,これにより確定された税額が総額において租税法規によって客観的に定まっている税額を上回らなければ,当該課税処分は適法なものであること(最高裁平成2年(行ツ)第155号同4年2月18日第三小法廷判決・民集46巻2号77頁参照)に照らし,上記主張は,採用することができない。 2 争点(2)(本件匿名組合契約に基づき原告が分配を受ける損益に係る所得及び損失の種類)について(1) 匿名組合契約における匿名組合員の法的地位についてア匿名組合契約は,匿名組合員が営業者の行う営業のために出資をし,その営業から生ずる利益を分配すべきことを約することによって効力を生ずるものであるところ(旧商法535条),匿名組合員の出資は,営業者の - 24 -財産に帰するものであり(同法536条1項),また,匿名組合員は,営業者の行為につき第三者に対して権利義務を有せず(同条2項),営業者の業務等に対する一定の監督権は与えられているものの(同法542条,153条),営業者の業務を執行することはできないとされている(同法542条,156条)。このような旧商法の規定に照らすと,法的には,原則として,匿名組合契約において営業の主体となるのは営業者のみであって,匿名組合員は,出資者として上記営業から生ずる利益の分配を受ける地位を有するにとどまるものというべきである。 ただし,合資会社の有限責任社員に関して定める同法156条の規定のうち業務の執行に関する部分は,いわゆる任意規定であり,合資会社が定款その他の内部規約をもって有限責任社員に業務の執行の権利を与え,又は義務を負わせる旨を定めた場合には,その定めは有効であり,有限 うち業務の執行に関する部分は,いわゆる任意規定であり,合資会社が定款その他の内部規約をもって有限責任社員に業務の執行の権利を与え,又は義務を負わせる旨を定めた場合には,その定めは有効であり,有限責任社員であっても会社の業務を執行することができることになること(最高裁昭和23年(オ)第95号同24年7月26日第三小法廷判決・民集3巻8頁283頁参照)からすれば,同法542条により同法156条の規定が準用される匿名組合員に関しても,匿名組合契約において匿名組合員に業務の執行の権利を与え,又は義務を負わせる旨の特約が定められている場合には,匿名組合員も業務を執行することができる地位を有することになるものと解される。そうすると,そのような場合においては,匿名組合員は,営業者とともに営業の主体となっているものと評価することができるというべきである。 イ(ア) この点,原告は,①旧商法537条の規定,同法542条により同法153条が匿名組合に準用されていること,匿名組合員が営業執行請求権を有しており,営業者の営業に対して出資をすること(同法535条)を挙げて,旧商法の規定に照らせば,営業者と匿名組合員を共同事業者の関係ととらえることは,匿名組合契約の本質的な理解にかなう旨 - 25 -主張し,②また,匿名組合が内的組合と解されることなどからすれば,匿名組合に対する課税については,民法上の組合と同様の取扱いがされるべきであるとも主張する。 (イ) しかし,①旧商法537条は,匿名組合員が,営業の主体ではないのに,そのような外観を表示したことに基づいて,その者に営業者との連帯責任を負わせることとしたものであって,匿名組合員が当然に共同事業者の地位に立つことを示す規定とはいい難い。また,同法542条により合資会社の有限責任 表示したことに基づいて,その者に営業者との連帯責任を負わせることとしたものであって,匿名組合員が当然に共同事業者の地位に立つことを示す規定とはいい難い。また,同法542条により合資会社の有限責任社員の会社の業務等の状況についての検査権限に関して定める同法153条が匿名組合員に準用されるのは,業務の執行に関与することができない匿名組合員(同法542条,156条)の利益を保護するためであると解され,この点も,匿名組合員が共同事業者の地位に立つことを示すものとはいい難い。さらに,匿名組合員が,営業者に対して匿名組合契約に基づきその趣旨に沿って営業をするよう求めることができると解されることや,営業者の営業に対して出資をする者であるという点についても,旧商法542条により匿名組合員に準用される業務の執行に係る上記の同法156条の規定に照らせば,匿名組合員が営業の主体として匿名組合の目的である事業に関与すべき立場にあることを示すものとは評価し難い。これらの点からすれば,前記(ア)①の原告の主張は,採用し難い。②また,匿名組合につき,その法的性質等に民法上の組合と類似する側面がないわけでなく,そのような視点に着目してこれを内的組合との概念で論ずることが否定されるものではないとしても,旧商法の規定上,匿名組合員が営業者の行う営業への出資者と位置付けられていることからすれば,匿名組合契約は消費貸借契約の特殊な形態であるともいい得るし,合資会社に関する規定の一部を匿名組合に準用することとしている同法542条の規定に照らせば,匿名組合は合資会社に類似する側面があるともいい得るのであって,我 - 26 -が国の法制上,匿名組合と民法上の組合とは,やはり,その内容等を異にするものと位置付けられているというべきであり,前記(ア)②の原告の主張も,採 があるともいい得るのであって,我 - 26 -が国の法制上,匿名組合と民法上の組合とは,やはり,その内容等を異にするものと位置付けられているというべきであり,前記(ア)②の原告の主張も,採用し難い。 (2) 原告主張の本件合意についてア原告は,本件匿名組合契約の営業者であるP2社と匿名組合員である原告とは,P8らを介し,同契約につき,原告が本件事業に対して共同事業者として積極的に関与する旨の本件合意をしたものであり,原告は,この合意に基づいて,P2社と共同して本件事業を行ってきた旨主張し,証拠(甲7,8の1~9,10,14,15,証人P8,同P7)には,上記主張に沿うかのような部分がある。しかしながら,以下の点に照らせば,これらの証拠のみでは,本件合意の存在及び原告が共同事業者として本件事業に関与していた事実を認めるに足りず,他にこの認定,判断を左右するに足りる証拠はない。 イ(ア) すなわち,本件匿名組合契約書にあっては,①本件匿名組合契約は,旧商法535条における匿名組合契約であり,本件匿名組合契約における営業者と出資者の関係は,旧商法第3編第4章に定められた営業者と匿名組合員の関係であるが,上記契約に明示の規定のある事項については,当該規定に従うものと定めた上で(6条1項),②本件事業の損益は,出資割合に応じて出資者に分配されるが,本件事業に関して金銭の剰余が営業者に生じた場合であっても,営業者は,本件事業が終了し,清算を行うまで,これを自己に留保すること(5条1項,3項),③本件出資金や本件事業に関し営業者が取得した資産及び権利は営業者に帰属し,本件匿名組合契約に定める場合を除き,出資者はこれらに対して何の権利も有しないこと(6条2項),④本件事業は,営業者が自らの単独の裁量に基づいて遂行するもの が取得した資産及び権利は営業者に帰属し,本件匿名組合契約に定める場合を除き,出資者はこれらに対して何の権利も有しないこと(6条2項),④本件事業は,営業者が自らの単独の裁量に基づいて遂行するものであり,出資者は,本件事業の遂行,運営に対していかなる形においても関与したり影響力を与えたりするこ - 27 -とができないこと(同条3項),⑤営業者は,自らが適当と判断する条件で,本件事業の目的を達成するために必要又は有益と思われるすべての契約を締結し,また,行為を行うことができること(同条4項)を定める一方,⑥出資者が,営業者と共に本件事業の共同事業者の地位に立つことを示す定めを全く置いていない。 (イ) また,①本件地位譲渡契約書にあっては,新出資者(原告)は,本件事業及び本件匿名組合契約の内容を十分了解の上,また,本件事業の結果その他本件事業に関連する事項につき,独自の判断と責任によって十分検討,評価し,その結果本件地位譲渡契約を締結したものであることを確認し,同契約により営業者と新出資者との間で有効となる本件匿名組合契約の内容及び規定に従いこれを遵守することを確約する旨定めているが(6条1項第1文),②同契約に基づいて本件匿名組合の匿名組合員となった原告が,営業者と共に本件事業の共同事業者の地位に立つことを示す定めを全く置いていない。 (ウ) このような本件匿名組合契約書及び本件地位譲渡契約書の定めに照らせば,本件匿名組合契約及び本件地位譲渡契約においては,本件匿名組合における営業者と匿名組合員との関係につき,旧商法の規定と異なることを定める場合には,少なくとも,営業者と匿名組合員との間において,そのような定めを明確に記載した書面を作成することが予定されていたと見るのが自然である(殊に,匿名組合員に共同事業者としての地 ことを定める場合には,少なくとも,営業者と匿名組合員との間において,そのような定めを明確に記載した書面を作成することが予定されていたと見るのが自然である(殊に,匿名組合員に共同事業者としての地位を与えるような合意は,本件匿名組合契約の根幹に係わる極めて重要なものであるから,そのような合意がされる場合には,なおさら書面が作成されるのが通常であろう。)。ところが,本件においては,原告とP2社との間(原告の代理人であったP7とP2社から本件匿名組合契約に関する事務を委任されたP5の担当者であるP8らとの間)において,本件合意を記載した書面は作成されていない。なお,P8らとのや - 28 -り取りの経過に係る甲8の1~9は,本件訴訟が提起された後にP7が作成したものであり,また,同様の事項に係るメモである甲10も,P7が単独で作成したものであって(証人P7),いずれも,上記のような意味において本件合意を記載した書面であると評価することはできない。 (エ) 原告は,本件合意を記載した書面が作成されなかった理由につき,P8とP7とは旧知の関係であり,本件事業に関して頻繁に面談を重ねるなど強度の信頼関係があったため,本件合意の内容を書面として残す必要性がなかったなどと主張し,証拠(甲14,15,証人P8,証人P7)にもこれに沿う部分がある。 しかし,①前記(ア)及び(イ)のような本件匿名組合契約書や本件地位譲渡契約書の定め,②匿名組合員である原告が本件事業に共同経営者として関与する旨の約定は匿名組合契約の本質的な部分に変更をもたらす重要なものであること,③本件匿名組合契約及び本件地位譲渡契約に係る取引は原告が負担した出資金の額だけでも400万米ドルという極めて高額のものであることに加えて,証拠(甲14,15,証人P8,証人P7)に のであること,③本件匿名組合契約及び本件地位譲渡契約に係る取引は原告が負担した出資金の額だけでも400万米ドルという極めて高額のものであることに加えて,証拠(甲14,15,証人P8,証人P7)によれば,④P8とP7とが知り合ったのは,平成11年2月か3月ころであり,原告において本件合意がおおむね成立したとする平成12年11月16日や本件地位譲渡契約が締結された平成13年3月1日までの期間はせいぜい2年程度にすぎず,⑤P8らとP7との関係も,P8らが本件事業を含む航空機リース事業への出資を勧誘し,P7や同人が代表者又は代理を務める者がこれに応じて出資をするという単なる業務上の関係を超えるものではなく,原告自身とP8らとが特別な信頼関係で結ばれていたことを示す事情もうかがわれないこと,⑥原告が航空機のリース事業に関与したのは本件事業が初めてであったことが認められ,これらの事情に照らせば,本件合意につき書面が作成されなかっ - 29 -た理由として原告が主張するところ及びこれに沿う証拠は,直ちには採用し難いといわざるを得ない。 ウまた,原告が主張する本件合意の内容は,営業者側において,本件事業を遂行するに当たり,原告及びP6の意見を聴取し,基本的には原告及びP6の意見を最大限に尊重して本件事業を遂行する,というものであるところ,①そのような本件合意の内容と前記のような本件匿名組合契約書(特に,その6条)及び本件地位譲渡契約書の条項の文言,②証人P8は,前記のとおりP2社のみを本件事業の営業者として位置付ける定めがされている本件匿名組合契約書について,事実と違う内容が記載されているということはない旨証言していること,③原告自身も,最終的に営業を遂行することに関する決定権限を有するのは営業者(P2社)であり,本件合意によっ 名組合契約書について,事実と違う内容が記載されているということはない旨証言していること,③原告自身も,最終的に営業を遂行することに関する決定権限を有するのは営業者(P2社)であり,本件合意によってもこの点は修正されていないとも主張していること(原告の第4準備書面5頁)などに照らせば,仮に原告の上記主張のような本件合意の存在が認められたとしても,その趣旨については,営業者(P2社)が行う本件事業につき,いわゆる大口の出資者である原告及びP6に対して意見を述べる機会を与え,営業者においては,原告らから述べられた意見は尊重しつつも,最終的には営業者自身の判断に基づいて本件事業を遂行する旨を確認したにとどまるものと解するのが素直であって,原告に本件事業の共同事業者としての権限等を与える趣旨を含むものとまではいい難いというべきである。 (3) 本件匿名組合契約に基づき原告が分配を受ける損益に係る所得及び損失の種類等についてア前記(1)及び(2)で述べたところからすれば,本件匿名組合契約に基づきP2社から原告に分配される損益は,営業者であるP2社の営業のために原告が出資をしたことに対する対価としての性質を有するものというべきであって,「航空機…の貸付け…による所得」又はその損失とはいい難い - 30 -から,所得税法26条所定の不動産所得又はその損失には該当しないものというべきである。上記損益をもって,不動産所得又はその損失に該当するものとする原告の主張は,採用することができない。 また,本件匿名組合契約及び本件地位譲渡契約に基づく原告の出資行為は,原告の営む事業の遂行としてされたものではなく,また,継続かつ反復した行為ではなく,役務の提供を内容とするものでもないから,上記損益は,同法27条及び34条所定の事業所得若しくは一時 の出資行為は,原告の営む事業の遂行としてされたものではなく,また,継続かつ反復した行為ではなく,役務の提供を内容とするものでもないから,上記損益は,同法27条及び34条所定の事業所得若しくは一時所得又はそれらの損失にも該当しない。さらに,上記損益は,同法23条ないし25条及び28条ないし33条所定の,利子所得,配当所得,給与所得,退職所得,山林所得及び譲渡所得又はその損失のいずれにも該当しない。そうすると,上記損益は,同法35条所定の雑所得又はその損失に該当するというべきである。 イなお,本件匿名組合の平成14年10月1日~平成17年9月30日の各計算期間に本件匿名組合契約に基づいて原告に分配された損益(上記のとおり,雑所得又はその損失に該当するものである。)は,前記第2の3(2)ウのとおり,いずれも損失となっているところ,後記5において認定,判断するとおり,原告の本件各係争年分の雑所得の金額は,上記を算入しないでも損失が生ずる状態にあり,雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は他の各種所得の金額から控除することはできない(同法69条1項参照)ことからすれば,争点(3)につき,仮に,原告が分配を受けた本件事業に関する損失の額が本件各係争年分において原告に帰属したとの結論を採ったとしても,本件各係争年分における原告の総所得金額及び納付すべき税額に異同が生ずることはない。したがって,本件においては,争点(3)について判断する必要はないことになる。 3 争点(4)(本件各更正処分が信義則又は平等原則に反し,許されないものであるか否か)について - 31 -(1) 本件各更正処分が信義則に反し,許されないものであるか否かについてア原告は,旧通達は「匿名組合員が営業者から受ける利益分配の所得区分が営業者の所得区分に従 て - 31 -(1) 本件各更正処分が信義則に反し,許されないものであるか否かについてア原告は,旧通達は「匿名組合員が営業者から受ける利益分配の所得区分が営業者の所得区分に従って区分される」との税務官庁の公的見解を示したものというべきであり,原告は,これを信頼して本件各係争年分の所得税の確定申告をしたものであるから,本件各更正処分は,本件各係争年分の所得税については旧通達に従った課税がされるということに対する原告の信頼を裏切るものであり,信義則(民法1条2項)に反するものというべきであるなどと主張する。 イ租税法規に適合する課税処分につき信義則の法理の適用による違法を考え得るのは,租税法規の適用における納税者間の公平平等という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れさせて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合でなければならないものと解するのが相当である(最高裁昭和60年(行ツ)第125号同62年10月30日第三小法廷判決・裁判集民事152号93頁参照)。 ウ本件において,①証拠(乙6,12)によれば,旧通達の下においても,課税実務上,匿名組合員が営業者から分配を受ける利益につき,雑所得として処理をしている例も多かったことがうかがわれる。②また,既に述べたとおり,旧商法の規定及び本件匿名組合契約書及び本件地位譲渡契約書の定めには,原告が本件事業の共同事業者の地位に立つことを示すものはなく,原告に共同事業者としての地位を与えるような特約の存在も認め難いというべきであって,本件においては,客観的に見て,原告を本件事業の共同事業者というべき要素は見当たらない。このような事情に照らすと,本件において,本件各更正処分につき,租税法規の適正な執行の要請等にかんがみ あって,本件においては,客観的に見て,原告を本件事業の共同事業者というべき要素は見当たらない。このような事情に照らすと,本件において,本件各更正処分につき,租税法規の適正な執行の要請等にかんがみても,なお,信義則の法理の適用によりその効力を否定すべきような特別の事情があるとまではいえないという - 32 -べきである。以上と異なる前記アの原告の主張は,採用することができない。 (2) 本件各更正処分が平等原則に反し,許されないものであるか否かについてア原告は,本件匿名組合契約には,原告以外に個人の出資者が3名おり,これらの者は,本件匿名組合から生ずる損失につき,原告と同様に不動産損失として確定申告をしているが,課税処分を受けたのは原告のみであり,また,P8が関与した数多くの本件匿名組合契約と同種の案件において,航空機リース事業に係る損益が不動産所得又はその損失であることが認められなかったケースはこれまで1件もないことからすれば,本件各更正処分は,課税上の平等原則に反するものであるなどと主張する。 イしかし,課税の平等とは,課税の根拠となる法を適用すべき者に対しては等しく適用すべしとすることであって,仮に法の適用を免れる者があったとしても,そのことゆえに,他の者に対して法を正しく適用することが平等に反することにはならない。これまで述べたところ及び後記5において認定,判断するところからすれば,本件各更正処分は,関係法令の正しい解釈に基づいてされたものであって,仮に,原告と同様な匿名組合契約を結んでいる他の個人について,匿名組合契約に基づき分配された損失を不動産所得の損失に当たるとしてされた確定申告が是正されていない等のことがあったとしても,直ちに,所得税法統の定めを正しく適用してされた本件各更正処分が課税の ,匿名組合契約に基づき分配された損失を不動産所得の損失に当たるとしてされた確定申告が是正されていない等のことがあったとしても,直ちに,所得税法統の定めを正しく適用してされた本件各更正処分が課税の公平の原則に反するということはできず,前記アの原告の主張は,採用し難いというべきである。 4 争点(5)(原告に本件各係争年分の確定申告につき通則法65条4項所定の「正当な理由」があったか否か)について(1) 原告は,平成15年分及び平成16年分の所得税の確定申告をした時点においては,長年にわたり「匿名組合員が営業者から受ける利益分配の所得区分が営業者の所得区分に従って区分される」との旧通達を前提とした課税実 - 33 -務が行われてきたものであり,原告側は,P8らとの面談により,本件匿名組合から生ずる損益が不動産所得又はその損失になることの確認を行い,P8らからそのような見解が記載された文献(甲9)や公認会計士・税理士の意見書(甲13)が示されていたこと,新通達においても,ただし書において旧通達におけるのと同様の取扱いが認められていることからすれば,原告において,本件各係争年分の所得税の確定申告につき,通則法65条4項所定の「正当な理由」が存することは明らかであるなどと主張する。 (2) しかし,①既に述べたように,旧通達の下においても,課税実務上,匿名組合員が営業者から分配を受ける利益につき,雑所得として処理をしている例も多かったことがうかがわれるのであって,長年にわたり「匿名組合員が営業者から受ける利益分配の所得区分が営業者の所得区分に従って区分される」ことを前提とする課税実務が一般的に行われてきたものとまでは認め難く(なお,証拠〔甲14~16,証人P8,証人P7〕も,その作成者やP8及びP7が知る範囲内の事情を述べたにと 分に従って区分される」ことを前提とする課税実務が一般的に行われてきたものとまでは認め難く(なお,証拠〔甲14~16,証人P8,証人P7〕も,その作成者やP8及びP7が知る範囲内の事情を述べたにとどまるものであって,上記認定,判断を左右するに足りるものではない。),②したがって,新通達をもって,匿名組合員が営業者から分配を受ける利益の所得の種類の区分について従前の行政解釈を変更したものと直ちに評価することもできないというべきこと,③甲9の文献は,執筆者が国税局の元職員であるとしても,その記載内容に照らし,その中で述べられている見解は,執筆者の個人的なものとどまることは明らかであるし,甲13の意見書も,同様に,作成者である税理士・公認会計士が個人的な見解を述べたものであることは明らかである上,本件匿名組合契約に関して作成されたものではなく,文面上も他の取引に効果が及ぶものではない旨が明記されているものであること,④これまで述べたとおり,旧商法の規定及び本件匿名組合契約書及び本件地位譲渡契約書の定めには,原告が本件事業の共同事業者の地位に立つことを示すものはなく,原告に共同事業者としての地位を与えるような特約の存在も認め難いことなどか - 34 -らすれば,原告において,本件各係争年分の所得税の確定申告につき,通則法65条4項所定の「正当な理由」があったとまではいえないというべきである。 5 本件各処分の適法性についてこれまで述べたところ及び弁論の全趣旨によれば,原告の本件各係争年分の所得税の納付すべき税額及び本件各係争年分の所得税に係る過少申告加算税の額は,別紙3「本件各処分の根拠及び適法性」のとおりであって,本件各処分におけるそれと同額であると認められる。したがって,本件各処分は,いずれも適法であるというべきであ 所得税に係る過少申告加算税の額は,別紙3「本件各処分の根拠及び適法性」のとおりであって,本件各処分におけるそれと同額であると認められる。したがって,本件各処分は,いずれも適法であるというべきである。 6 結論以上の次第であって,本件各更正処分のうち別紙1「訴え却下処分目録」記載の各処分の部分の取消しを求める本件訴えの部分は,不適法であるからこれを却下し,本件訴えのその余の部分に係る原告の請求は,いずれも理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官八木一洋 裁判官田中一彦 - 35 -裁判官髙橋信慶 - 36 -(別紙1)訴え却下処分目録 1 処分行政庁が平成19年2月22日付けで原告に対してした原告の平成15年分の所得税に係る更正処分(ただし,平成20年5月30日付け減額更正処分により一部取り消された後のもの)のうち,総所得金額734万5145円を下回る部分及び納付すべき税額53万5000円を下回る部分 2 処分行政庁が平成19年2月22日付けで原告に対してした原告の平成17年分の所得税に係る更正処分のうち,総所得金額347万8911円を下回る部分及び還付金の額に相当する税額264万7760円を下回る部分 以上 - 37 -(別紙2)関係法令等の定め 1 国税通則法(以下「通則法」という。)の定め(1) 通則法15条1項は,国税を納付する義務(源泉徴収による国税については, 以上 - 37 -(別紙2)関係法令等の定め 1 国税通則法(以下「通則法」という。)の定め(1) 通則法15条1項は,国税を納付する義務(源泉徴収による国税については,これを徴収して国に納付する義務。以下「納税義務」という。)が成立する場合には,その成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税を除き,その国税に関する法律の定める手続により,その国税についての納付すべき税額が確定されるものとする旨を定めている。 (2)ア通則法16条1項は,国税についての納付すべき税額の確定の手続については,申告納税方式(納付すべき税額が納税者のする申告により確定することを原則とし,その申告がない場合又はその申告に係る税額の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかった場合その他当該税額が税務署長等の調査したところと異なる場合に限り,税務署長等の処分により確定する方式。1号)又は賦課課税方式(納付すべき税額がもっぱら税務署長等の処分により確定する方式。2号)によるものとする旨を定めている。 イ通則法16条2項は,国税(納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定するものを除く。)についての納付すべき税額の確定が前記アに掲げる方式のうちいずれの方式によりされるかに関して,納税義務が成立する場合において,納税者が,国税に関する法律の規定により,納付すべき税額を申告すべきものとされている国税については,申告納税方式による旨などを定めている。 (3)ア通則法23条1項は,納税申告書を提出した者は,同項1号~3号のいずれかに該当する場合には,当該申告書に係る国税の法定申告期限から1年以内に限り,税務署長に対し,その申告等に係る課税標準等又は税額等(当該課税標準等又は税額等に関し同法26 は,同項1号~3号のいずれかに該当する場合には,当該申告書に係る国税の法定申告期限から1年以内に限り,税務署長に対し,その申告等に係る課税標準等又は税額等(当該課税標準等又は税額等に関し同法26条〔再更正〕の規定による更 - 38 -正があった場合には,当該更正後の当該課税標準等又は税額等)につき更正をすべき旨の請求をすることができる旨を定めている。 イ通則法23条2項は,納税申告書を提出した者又は同法25条(決定)の規定による決定を受けた者は,同法23条2項1号~3号のいずれかに該当する場合(納税申告書を提出した者については,当該各号に掲げる期間の満了する日が同条1項に規定する期間の満了する日後に到来する場合に限る。)には,同項の規定にかかわらず,当該各号に掲げる期間において,その該当することを理由として同項の規定による更正の請求をすることができる旨を定めている。 2 所得税法の定め(1) 所得税法26条1項は,不動産所得の意義について,不動産,不動産の上に存する権利,船舶又は航空機(以下「不動産等」という。)の貸付け(地上権又は永小作権の設定その他他人に不動産等を使用させることを含む。)による所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう旨を定めている。 (2) 所得税法35条1項は,雑所得の意義について,利子所得,配当所得,不動産所得,事業所得,給与所得,退職所得,山林所得,譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう旨を定めている。 (3) 所得税法120条1項は,居住者(国内に住所を有し,又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいう。同法2条3号)は,その年分の総所得金額,退職所得金額及び山林所得金額の合計額が同法第2章第4節(所得控除)の規定による雑損控除そ 住所を有し,又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいう。同法2条3号)は,その年分の総所得金額,退職所得金額及び山林所得金額の合計額が同法第2章第4節(所得控除)の規定による雑損控除その他の控除の額の合計額を超える場合において,当該総所得金額,退職所得金額及び山林所得金額からこれらの控除の額を同法87条2項(所得控除の順序)の規定に準じて控除した後の金額をそれぞれ課税総所得金額,課税退職所得金額又は課税山林所得金額とみなして同法89条(税率)の規定を適用して計算した場合の所得税の額の合計額 - 39 -が配当控除の額を超えるときは,同法123条1項(確定損失申告)の規定による申告書を提出する場合を除き,税務署長に対し,同法120条1項各号に掲げる事項を記載した確定申告書(同法2条37号参照)を提出しなければならない旨を定めている。 (4) 所得税法152条は,確定申告書を提出し,又は決定を受けた居住者(その相続人を含む。)は,当該申告書又は決定に係る年分の各種所得の金額につき同法63条(事業を廃止した場合の必要経費の特例)又は64条(資産の譲渡代金が回収不能となった場合等の所得計算の特例)に規定する事実その他これに準ずる政令で定める事実が生じたことにより,通則法23条1項各号(更正の請求)の事由が生じたときは,当該事実が生じた日の翌日から2月以内に限り,税務署長に対し,当該申告書又は決定に係る所得税法120条1項1号若しくは3号から8号まで(確定所得申告書の記載事項)又は同法123条2項1号,5号,7号若しくは8号(確定損失申告書の記載事項)に掲げる金額(当該金額につき修正申告書の提出又は更正があった場合には,その申告又は更正後の金額)について,通則法23条1項の規定による更正の請求をすることができる旨を定め 定損失申告書の記載事項)に掲げる金額(当該金額につき修正申告書の提出又は更正があった場合には,その申告又は更正後の金額)について,通則法23条1項の規定による更正の請求をすることができる旨を定めている。 3 商法(平成17年法律第87号による改正前のもの。以下「旧商法」という。)の定め(1) 旧商法535条は,匿名組合契約は,当事者の一方が相手方の営業のために出資をし,その営業から生ずる利益を分配すべきことを約することによって,その効力を生ずる旨を定めている。 (2) 旧商法536条1項は,匿名組合員の出資は,営業者の財産に帰する旨を定め,同条2項は,匿名組合員は,営業者の行為につき第三者に対して権利及び義務を有しない旨を定めている。 (3) 旧商法537条は,匿名組合員がその氏もしくは氏名を営業者の商号中に用いること又はその商号を営業者の商号として用いることを許諾したときは, - 40 -その使用以後に生じた債務については,営業者と連帯して責任を負う旨を定めている。 (4)ア旧商法542条は,同法150条,153条及び156条の規定を匿名組合員に準用する旨を定めている。 イ ①旧商法153条1項は,有限責任社員は,営業年度の終わりにおいて,営業時間内に限り,会社の貸借対照表の閲覧又は謄写の請求をし,かつ,会社の業務及び財産の状況を検査することができる旨を定め,②同条2項は,重要な事由があるときは,有限責任社員は,いつでも裁判所の許可を得て,会社の業務及び財産の状況を検査することができる旨を定めている。 ウ旧商法156条は,有限責任社員は,会社の業務を執行し又は会社を代表することができない旨を定めている。 4 所得税基本通達36・37共-21(平成17年12月26日付課個2-39等による改正 ウ旧商法156条は,有限責任社員は,会社の業務を執行し又は会社を代表することができない旨を定めている。 4 所得税基本通達36・37共-21(平成17年12月26日付課個2-39等による改正前のもの〔乙2〕。以下「旧通達」という。)の定め旧通達は,匿名組合の匿名組合員が当該組合の営業者から受ける利益の分配は,当該営業者の営業の内容に従い,事業所得又はその他の各種所得とするが,営業の利益の有無にかかわらず一定額又は出資額に対する一定割合により分配を受けるものは,貸金の利子として事業所得又は雑所得とする旨などを定めている。 5 所得税基本通達36・37共-21(前記4の改正後のもの〔乙8〕。以下「新通達」という。)の定め新通達は,匿名組合員が当該組合の営業者から受ける利益の分配は雑所得とするが,匿名組合員が匿名組合契約に基づいて営業者の営む事業に係る重要な業務執行の決定を行っているなど当該事業を営業者と共に経営していると認められる場合には,当該匿名組合員が当該営業者から受ける利益の分配は,当該営業者の営業の内容に従い,事業所得又はその他の各種所得とする旨を定めている。 以上 - 41 -(別紙3)本件各処分の根拠及び適法性 1 本件各更正処分の根拠被告が本訴において主張する,原告の本件各係争年分の納付すべき所得税額等は,以下のとおりである。なお,以下において,「△」印は損失の金額を表す。 (1) 本件平成15年分更正処分についてア総所得金額 1億1501万0716円上記金額は,後記(ア)~(エ)の合計額から,後記(カ)の金額を控除した金額である。 (ア) 事業所得の金額 1億4546万2873円 ア総所得金額 1億1501万0716円上記金額は,後記(ア)~(エ)の合計額から,後記(カ)の金額を控除した金額である。 (ア) 事業所得の金額 1億4546万2873円上記金額は,後記aの金額からbの金額を減算した金額である。 a 確定申告額 1億5446万2873円上記金額は,原告が平成15年分所得税の確定申告書(以下「平成15年分確定申告書」という。)に記載した事業所得の金額である。 b 顧問料報酬 900万円上記金額は,平成15年中に,P11株式会社(以下「P11」という。)から原告に支払われた顧問料報酬であるところ,この金額は雑所得に分類されるものであることから,事業所得の金額からは減算される。 (イ) 不動産所得の金額 0円 原告が平成15年分確定申告書に記載した不動産所得の損失額は,本件匿名組合契約に基づき行われた本件事業によるとされる損失であるところ,本判決の本文第2の6において述べるとおり,同契約に基づく不動産所得の損失は生じていないから,不動産所得の金額は0円となる。 - 42 -(ウ) 利子所得の金額 137万8291円上記金額は,平成15年中に,国外の金融機関から原告に支払われた預金利息であり,雑所得として確定申告されたものであるところ,この金額は利子所得として課税されるものである。 (エ) 給与所得の金額 122万円上記金額は,原告が平成15年分確定申告書に記載した給与所得の金額である。 (オ) 雑所得の金額 △126万3089円上記金額は,後記aの金額に,後記bの金額を加算し,後記cの金額を減算した金額である。 記載した給与所得の金額である。 (オ) 雑所得の金額 △126万3089円上記金額は,後記aの金額に,後記bの金額を加算し,後記cの金額を減算した金額である。 なお,雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は,他の各種所得の金額から控除することができない(所得税法69条1項参照)。 a 確定申告額 △888万4798円上記金額は,原告が平成15年分確定申告書に記載した雑所得の金額(損失額)である。 b 顧問料報酬 900万円上記金額は,平成15年中に,P11から原告に支払われた顧問料報酬の額である。 c 預金利息 137万8291円上記金額は,平成15年中に,国外の金融機関から原告に支払われた預金利息であり,雑所得として確定申告されたものであるところ,この金額は利子所得に分類されるものであることから,雑所得の金額からは減算される。 (カ) 純損失の繰越控除額 3305万0448円上記金額は,原告が平成15年分確定申告書に記載した純損失の繰越控除の金額である(所得税法70条1項参照)。 - 43 -イ所得控除の合計額 98万円上記金額は,原告が,平成15年分確定申告書に記載した所得控除の額の合計額である。 ウ課税される総所得金額 1億1403万円上記金額は,前記アの総所得金額1億1501万0716円から前記イの所得控除の額の合計額98万円を控除した後の金額(ただし,通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下同じ。)である。 エ納付すべき税額 3833万1700円上記金額は,後記(ア)の金額から後記(イ)及び(ウ)の各金額を控除 の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下同じ。)である。 エ納付すべき税額 3833万1700円上記金額は,後記(ア)の金額から後記(イ)及び(ウ)の各金額を控除した後の金額(ただし,通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下同じ。)である。 (ア) 課税される総所得金額に対する税額 3970万1100円上記金額は,前記ウの課税される総所得金額1億1403万円に所得税法89条(平成18年法律第10号による改正前のもの。以下同じ。)1項及び経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律(以下「負担軽減措置法」という。)4条(平成18年法律第10号による廃止前のもの。以下同じ。)に規定する税率を乗じて算出した金額である。 (イ) 定率減税額 25万円上記金額は,負担軽減措置法6条(平成17年法律第21号による改正前のもの。以下同じ。)2項の規定により算出した金額である。 (ウ) 源泉徴収税額 111万9430円上記金額は,後記a及びbの合計額である。 a 確定申告額 21万9340円上記金額は,原告が平成15年分確定申告書に記載した源泉徴収税 - 44 -額である。 b 顧問料報酬に係る源泉徴収税額 90万円上記金額は,平成15年中に,P11から原告に支払われた顧問料報酬に係る源泉徴収税額である。 (2) 平成16年分更正処分についてア総所得金額 1億0139万7338円上記金額は,後記(ア)~(ウ)の合計額である。 (ア) 事業所得の金額 8636万3860円上記金額は,原告が平成16年分所得税の確定申告書(以下「平成1 38円上記金額は,後記(ア)~(ウ)の合計額である。 (ア) 事業所得の金額 8636万3860円上記金額は,原告が平成16年分所得税の確定申告書(以下「平成16年分確定申告書」という。)に記載した事業所得の金額である。 (イ) 不動産所得の金額 0円 原告が平成16年分確定申告書に記載した不動産所得の損失額は,本件匿名組合契約に基づき行われた本件事業によるとされる損失であるところ,本判決の本文第2の6において述べるとおり,同契約に基づく不動産所得の損失は生じていないから,不動産所得の金額は0円となる。 (ウ) 利子所得の金額 1503万3478円上記金額は,平成16年中に,国外の金融機関から原告に支払われた預金利息であり,雑所得として確定申告されたものであるところ,この金額は利子所得として課税されるものである。 (エ) 雑所得の金額 △1431万7475円上記金額は,後記aの金額から,後記bの金額を減算した金額である。 なお,雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は,他の各種所得の金額から控除することができない。 a 顧問料報酬 1200万円上記金額は,平成16年中に,P11から原告に支払われた顧問料報酬の額である。 - 45 -b 外国為替取引に係る損失 2631万7475円上記金額は,原告の,平成16年中における,外国為替取引に係る損失額であるところ,同損失額は雑所得の金額の計算上減算できる。 イ所得控除の合計額 99万円上記金額は,原告が,平成16年分確定申告書に記載した所得控除の額の合計額である。 ウ課税される総所得金額 1億0040 の金額の計算上減算できる。 イ所得控除の合計額 99万円上記金額は,原告が,平成16年分確定申告書に記載した所得控除の額の合計額である。 ウ課税される総所得金額 1億0040万7000円上記金額は,前記アの総所得金額1億0139万7338円から前記イの所得控除の額の合計額99万円を控除した後の金額である。 エ納付すべき税額 3285万3900円上記金額は,後記(ア)の金額から後記(イ)~(エ)の各金額を控除した後の金額である。 (ア) 課税される総所得金額に対する税額 3466万0590円上記金額は,前記ウの課税される総所得金額1億0040万7000円に所得税法89条1項及び負担軽減措置法4条に規定する税率を乗じて算出した金額である。 (イ) 定率減税額 25万円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により算出した金額である。 (ウ) 源泉徴収税額 120万円上記金額は,平成16年中に,P11から原告に支払われた顧問料報酬に係る源泉徴収税額である。 (エ) 予定納税額 35万6600円上記金額は,平成16年分確定申告書に記載された予定納税額である。 (3) 平成17年分更正処分についてア総所得金額 3836万5996円 - 46 -上記金額は,後記(ア)~(ウ)の合計額である。 (ア) 事業所得の金額 0円上記金額は,原告が平成17年分所得税の確定申告書(以下「平成17年分確定申告書」という。)に記載した事業所得の金額である。 (イ) 不動産所得の金額 0円 原告が平成17年分確定申告書に記載した不動産所得の損失額は,本件匿名組合契約に基づき行われた本件事業によるとされる損 記載した事業所得の金額である。 (イ) 不動産所得の金額 0円 原告が平成17年分確定申告書に記載した不動産所得の損失額は,本件匿名組合契約に基づき行われた本件事業によるとされる損失であるところ,本判決の本文第2の6において述べるとおり,同契約に基づく不動産所得の損失は生じていないから,不動産所得の金額は0円となる。 (ウ) 利子所得の金額 3836万5996円上記金額は,平成17年中に,国外の金融機関から原告に支払われた預金利息である。 なお,上記金額のうち3025万6060円については,後記(エ)cのとおり雑所得として申告されたものである。 (エ) 雑所得の金額 △8358万6483円上記金額は,後記aの金額に,後記bの金額を加算し,後記c及びdの金額を減算した金額である。 なお,雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は,他の各種所得の金額から控除することができない。 a 確定申告額 4225万6060円上記金額は,原告が平成17年分確定申告書に記載した雑所得の金額である。 b 貸付金利息 1650万6849円上記金額は,原告による外国企業(P12)への貸金利子である。 c 預金利息 3025万6060円上記金額は,平成17年中に,国外の金融機関から原告に支払われ - 47 -た預金利息であり,利子所得に分類されるものであることから,雑所得の金額からは減算される。 d 外国為替取引に係る損失 1億1209万3332円上記金額は,原告の,平成17年中における,外国為替取引に係る損失額であるところ,同損失額は雑所得の金額の計算上減算できる。 イ所 替取引に係る損失 1億1209万3332円上記金額は,原告の,平成17年中における,外国為替取引に係る損失額であるところ,同損失額は雑所得の金額の計算上減算できる。 イ所得控除の合計額 99万円上記金額は,原告が,平成17年分確定申告書に記載した所得控除の額の合計額である。 ウ課税される総所得金額 3737万5000円上記金額は,前記アの総所得金額3836万5996円から前記イの所得控除の額の合計額99万円を控除した後の金額である。 エ納付すべき税額 824万1900円上記金額は,後記(ア)の金額から後記(イ)~(エ)の各金額を控除した後の金額である。 (ア) 課税される総所得金額に対する税額 1133万8750円上記金額は,前記ウの課税される総所得金額3737万5000円に所得税法89条1項及び負担軽減措置法4条に規定する税率を乗じて算出した金額である。 (イ) 定率減税額 25万円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により算出した金額である。 (ウ) 源泉徴収税額 120万円上記金額は,原告が平成17年分確定申告書に記載した源泉徴収税額である。 (エ) 予定納税額 164万6800円上記金額は,平成17年分確定申告書に記載された予定納税額である。 - 48 - 2 本件各更正処分の適法性被告が本訴において主張する原告の本件各係争年分の所得税に係る納付すべき税額等は,前記1で述べたとおりであるところ,当該金額は本件各更正処分の額と同額である。したがって,本件各更正処分は,いずれも適法である。 3 本件各賦課決定処分の根拠及び適法性前記2で述べたとおり,本件各更正処分はいずれも適法であるところ,本件 更正処分の額と同額である。したがって,本件各更正処分は,いずれも適法である。 3 本件各賦課決定処分の根拠及び適法性前記2で述べたとおり,本件各更正処分はいずれも適法であるところ,本件各更正処分により新たに納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうち,所得金額等を過少に申告したことについて通則法65条(平成18年法律第10号による改正前のもの。以下同じ。)4項に規定する正当な理由があるとは認められない。 したがって,本件各更正処分により原告が新たに納付すべきことになった税額を基礎として,次のとおり過少申告加算税の額を計算してなされた本件各賦課決定処分は,いずれも適法である。 (1) 平成15年分賦課決定処分に係る過少申告加算税 558万6000円上記金額は,①通則法65条1項の規定に基づき,平成15年分更正処分により原告が新たに納付すべきこととなった税額3779万円(ただし,同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てたもの。以下同じ。)を基礎となる金額とし,これに100分の10の割合を乗じて算出した金額377万9000円に,②同法65条2項の規定に基づき,上記更正処分により原告が新たに納付すべきこととなった税額3779万6700円のうち165万4340円(原告が平成15年分確定申告書に記載した納付すべき税額53万5000円に源泉徴収されるべき税額111万9340円を加算した金額)を超える部分に相当する税額3614万円(ただし,通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てたもの。以下同じ。)を基礎となる金額とし,これに100分の5の割合を乗じて算出した金額180万7000円を加算した金額である。 - 49 -(2) 平成16年分賦課決定処分に係る過少申告加算税 じ。)を基礎となる金額とし,これに100分の5の割合を乗じて算出した金額180万7000円を加算した金額である。 - 49 -(2) 平成16年分賦課決定処分に係る過少申告加算税 442万7000円上記金額は,①通則法65条1項の規定に基づき,平成16年分更正処分により原告が新たに納付すべきこととなった税額3074万円を基礎となる金額とし,これに100分の10の割合を乗じて算出した金額307万4000円に,②同法65条2項の規定に基づき,上記更正処分により原告が新たに納付すべきこととなった税額3074万0100円のうち367万0400円(原告が平成16年分確定申告書に記載した納付すべき税額211万3800円に源泉徴収されるべき税額120万円及び予定納税額35万6600円を加算した金額)を超える部分に相当する税額2706万円を基礎となる金額とし,これに100分の5の割合を乗じて算出した金額135万3000円を加算した金額である。 (3) 平成17年分賦課決定処分に係る過少申告加算税 160万7000円上記金額は,①通則法65条1項の規定に基づき,平成17年分更正処分により原告が新たに納付すべきこととなった税額1088万円を基礎となる金額とし,これに100分の10の割合を乗じて算出した金額108万8000円に,②同法65条2項の規定に基づき,上記更正処分により原告が新たに納付すべきこととなった税額1088万9600円のうち50万円を超える部分に相当する税額1038万円を基礎となる金額とし,これに100分の5の割合を乗じて算出した金額51万9000円を加算した金額である。 以上 主文 5の割合を乗じて算出した金額51万9000円を加算した金額である。 以上

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