平成19(行ウ)448 たばこ小売販売業不許可処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成20年5月23日 東京地方裁判所 公物・公企業など
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判決文本文12,250 文字)

主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求関東財務局長が原告に対して平成19年3月29日付けでしたたばこ小売販売業の不許可処分を取り消す。 第2事案の概要本件は,製造たばこ小売販売業の許可申請をしたところ,いわゆる適正配置規制によることを理由として関東財務局長からこれを不許可とされた原告が,その不許可処分について,①上記規制に係る要件が存在しないにもかかわらずされたこと,②上記規制が違憲であり無効であるにもかかわらずされたことを主張して,上記不許可処分の取消しを求める事案である。 前提事実本件の前提となる事実は,次のとおりである。いずれも当事者間に争いのない事実であるか,証拠等により容易に認めることのできる事実であるが,括弧内に認定根拠を付記している。 (1)原告について原告は,コンビニエンスストアの経営及び酒類販売等を目的とする株式会社である。 (2)製造たばこ小売販売業の許可申請等についてア原告は,平成19年1月10日,A株式会社(以下「A」という。)B 支店に対し,たばこ事業法(昭和59年法律第68号。以下「事業法」という。)22条1項の規定に基づき,営業所の所在地を「さいたま市α×××-×」,販売形態を「特定小売販売業以外の小売販売業」とする関東財務局長あての小売販売業許可申請書を提出し,もって製造たばこ小売販売業の許可申請(以下「本件許可申請」という。)をした。(甲1の1及び2,乙6の1及び2)イなお,事業法22条1項は,「製造たばこの小売販売(消費者に対する販売をいう。以下同じ。)を業として行おうとする者は,当分の間,その製造たばこに係る営業所(以下第37条まで及び第49条において『営業所』という。)ごとに財務大臣の許可を受けなければな 費者に対する販売をいう。以下同じ。)を業として行おうとする者は,当分の間,その製造たばこに係る営業所(以下第37条まで及び第49条において『営業所』という。)ごとに財務大臣の許可を受けなければならない。会社又は特定販売業者が小売販売を業として行おうとするときも,同様とする。」と規定しているところ,事業法44条及びたばこ事業法施行令(昭和60年政令第21号。以下「施行令」という。)8条によれば,財務大臣の上記権限は財務局長に委任されている。 (3)小売販売業許可調査の結果等についてアAB支店は,事業法43条,施行令7条及びたばこ事業法施行規則(昭和60年大蔵省令第5号。以下「施行規則」という。)37条1項1号による委任に基づき,本件許可申請に係る予定営業所(以下「本件予定営業所」という。)付近の現地調査を実施し,製造たばこ小売販売業許可等取扱要領(平成12年蔵理第4621号。以下「取扱要領」という。)第2章第一の2「距離の測定方法」の定めに基づき測定した結果,小売販売業者であるCの営業所(以下「本件既設営業所」という。)と本件予定営業 所の距離が73mであると認めた。そして,その結果が記載された小売販売業許可調査書が,関東財務局に提出された。(乙7)イCは,昭和59年法律第68号による廃止前のたばこ専売法(昭和24年法律第111号)が施行されていた昭和40年ころ,同法に基づき,Dから製造たばこの小売人の指定を受けた者であり,同60年4月1日,同法が廃止され,事業法が施行されたことに伴い,事業法附則10条1項により,同日において事業法22条1項の規定による許可を受けた者(小売販売業者)とみなされることとなった。 その許可に係る営業所(すなわち本件既設営業所)の所在地は,さいたま市α×××番地(ただし,現在の市名及び地番の表示 法22条1項の規定による許可を受けた者(小売販売業者)とみなされることとなった。 その許可に係る営業所(すなわち本件既設営業所)の所在地は,さいたま市α×××番地(ただし,現在の市名及び地番の表示による。)であり,Cは,昭和40年ころから平成17年12月20日ころまでの間,同所において継続して店舗(以下「本件店舗」という。)における対面販売(昭和40年ころから同47年4月10日までの間の店舗名は「E」,同月11日から平成9年3月31日までの間の店舗名は「F」,同年4月1日から同17年12月20日ころまでの間の店舗名は「G」)及び自動販売機2台による販売を併用して製造たばこの小売販売をしていた。なお,この間,自動販売機の入替えが数回行われたものの,台数の増設は行われなかった。 Cは,平成17年12月20日ころ,上記店舗の営業を停止したが,その後も,引き続き自動販売機2台による製造たばこの小売販売を継続している(以下,本件店舗の営業が停止された後に引き続き設置されている自動販売機を総称して「本件自動販売機」という。)。 (甲3の1ないし3,8の1ないし3,乙8ないし10,12,37)(4)本件許可申請の不許可等についてア関東財務局長は,事業法23条3号,施行規則20条2号及びたばこ事業法施行規則に基づき財務大臣が定める事項(平成10年大蔵省告示第74号。以下「大蔵省告示」という。)によれば予定営業所と既設営業所の距離が100m以上でなければならないとされているにもかかわらず,本件予定営業所と本件既設営業所の距離は73mであり,大蔵省告示の定める距離基準に達しないことを理由として,平成19年3月29日付けで本件許可申請を不許可とする旨の処分(以下「本件不許可処分」という。)をした。(甲2)イなお,事業法23条柱書きは,「財務 の定める距離基準に達しないことを理由として,平成19年3月29日付けで本件許可申請を不許可とする旨の処分(以下「本件不許可処分」という。)をした。(甲2)イなお,事業法23条柱書きは,「財務大臣は,前条第1項の許可の申請があつた場合において,次の各号のいずれかに該当するときは,許可をしないことができる。」と規定し,その3号において,「営業所の位置が製造たばこの小売販売を業として行うのに不適当である場合として財務省令で定める場合であるとき。」と規定している。 上記の「財務省令」として,施行規則20条は,「法第23条第3号に規定する営業所の位置が製造たばこの小売販売を業として行うのに不適当である場合として財務省令で定める場合は,次に掲げる場合とする。」と規定し,その2号において,「予定営業所と最寄りの小売販売業者の営業所との距離が,特定小売販売業(劇場,旅館,飲食店,大規模な小売店舗(1の店舗であって,その店舗内の売場面積の合計が400平方メートル以上の店舗をいう。以下同じ。)その他の閉鎖性があり,かつ,消費者の 滞留性の強い施設内の場所を営業所として製造たばこの小売販売を業として行うことをいう。)を営もうとする場合その他財務大臣の定める場合を除き,予定営業所の所在地の区分ごとに,25メートルから300メートルまでの範囲内で財務大臣が定める距離に達しない場合」と規定している。 そして,上記の「予定営業所の所在地の区分」として,大蔵省告示は,別表1で地域の区分を,別表2で環境の区分を定めているところ,本件予定営業所の所在地の地域の区分は「指定都市」,環境の区分は「市街地」に該当する。さらに,上記の「財務大臣が定める距離」として,大蔵省告示1は,本件予定営業所の所在地の上記区分におけるその距離が100mであることを定めている。 (5 定都市」,環境の区分は「市街地」に該当する。さらに,上記の「財務大臣が定める距離」として,大蔵省告示1は,本件予定営業所の所在地の上記区分におけるその距離が100mであることを定めている。 (5)本件訴えの提起について原告は,平成19年7月13日,本件訴えを提起した。(当裁判所に顕著な事実) 争点 (1)本件店舗の営業が停止された後,本件自動販売機を設置している本件既設営業所が,施行規則20条2号所定の最寄りの小売販売業者の「営業所」に該当するか否か。 (2)事業法23条3号及び施行規則20条2号等による製造たばこの小売販売業に対する適正配置規制が憲法22条1項に違反するか否か。 争点に関する当事者の主張の要旨(1)争点(1)(施行規則20条2号の「営業所」の意義)について(原告の主張) ア取扱要領第1章第一の5は,「『営業所』とは,製造たばこの小売販売を反復継続して行う施設又は設備をいう。」,「ただし,出張販売場所,仮移転場所,一時的な移転場所及び営業所に隣接して設置する自動販売機については,独立した営業所とはみなさない。」と定めているところ,Cは,本件店舗を営業所として製造たばこ小売販売業の許可を受けていたものであり,これに隣接して設置された自動販売機については,「独立した営業所」に該当しない。 本件店舗は,平成17年12月20日に営業を停止したところ,本件自動販売機が設置されているだけでは「営業所」に当たらないのであるから,関東財務局長がこれを既設営業所と認めて本件不許可処分をしたことは違法である。 イ仮に本件自動販売機が「営業所」に該当するとすれば,事業法22条1項は,営業所ごとに財務大臣の許可を受けなければならないと規定しているところ,Cが製造たばこ小売販売業の許可を受けていたのは本件店舗について 自動販売機が「営業所」に該当するとすれば,事業法22条1項は,営業所ごとに財務大臣の許可を受けなければならないと規定しているところ,Cが製造たばこ小売販売業の許可を受けていたのは本件店舗についてであるから,本来は,その許可とは別に自動販売機を営業所とする許可も受けておかなければならないはずである。本件店舗の営業が停止される前までは,取扱要領第1章第一の5ただし書の定めにより,本件店舗に「隣接して設置された自動販売機」については「独立した営業所」とはみなさないとされていたため,便宜的に許可が不要とされてきたにすぎない。 ところが,本件店舗は,平成17年12月20日に営業を停止したのであるから,上記の便宜的な措置を執ることができなくなり,Cは改めて本 件自動販売機について製造たばこ小売販売業の許可を受けなければ適法に製造たばこを小売販売することができないはずであるところ,その許可はされていない。 施行規則20条2号所定の最寄りの小売販売業者の「営業所」とは,製造たばこ小売販売業の許可を受けた営業所を指すところ,やはり本件自動販売機は既設営業所に当たらない。 (被告の主張)ア製造たばこ小売販売業の許可申請に係る許可基準を定めた事業法23条は,申請者の属性(同条1号,2号,5号,6号及び7号)並びに営業所の属性(同条3号及び4号)に係る各許可基準を規定したものであり,後者は,具体的には営業所の位置によって判断される。 このように,上記の許可は,申請者という人と,営業所の所在地という場所について審査した上,申請者が申請した場所で製造たばこを販売することにつき明示してされるものである。 したがって,上記のように製造たばこ小売販売業の許可を受けた者は,新たな許可を要することなく,従前営業所としている店舗(場合によっては,既設の営業所が自動販 ることにつき明示してされるものである。 したがって,上記のように製造たばこ小売販売業の許可を受けた者は,新たな許可を要することなく,従前営業所としている店舗(場合によっては,既設の営業所が自動販売機であることもあり得る。)に隣接して自動販売機を設置することができ,新たに設置された自動販売機は,既設の営業所と一体として「営業所」を構成することになる。 その意味で,取扱要領第1章第一の5ただし書が,「営業所に隣接して設置する自動販売機については,独立した営業所とみなさない。」と定めるのも,法令の規定から当然に導かれる解釈を誤解のないように明示した ものということができる。このことは,その定めが事業法や施行規則等ではなく,取扱要領で取り扱われていることからもうかがえる。 イそして,本件自動販売機は,製造たばこの小売販売を反復継続して行う施設又は設備であるから「営業所」に該当するところ,Cは,昭和60年4月1日に受けたものとみなされる許可に基づき,これを営業しているのであるから,本件自動販売機による製造たばこの小売販売が無許可営業になることはない。 ウなお,平成元年7月以降に製造たばこ小売販売業の許可を受けようとする者は,当該許可を受けるに当たり,「自動販売機を設置する場合には,店舗に併設すること。」という条件を付されるが(取扱要領第2章第四の2(1)①参照),これは,このころ,未成年者喫煙防止の観点より,施行規則20条3号が新設されたことに対応するものであり,これより前の時期に許可を受けた者とみなされるCに係る本件既設営業所については関係がない。 (2)争点(2)(適正配置規制の違憲性)について(原告の主張)ア事業法23条3号は,職業選択の自由を保障する憲法22条1項に違反し,無効である。 そもそも製造たばこ小売販売業の許可制 ない。 (2)争点(2)(適正配置規制の違憲性)について(原告の主張)ア事業法23条3号は,職業選択の自由を保障する憲法22条1項に違反し,無効である。 そもそも製造たばこ小売販売業の許可制の規制目的として挙げられるような①零細経営者保護目的,②財政安定目的,③消費者購買利便性確保目的,並びに④未成年者喫煙防止目的及び定価外販売防止目的は,少なくとも現在ではいずれも合理性を欠き,また,互いに整合性に欠けるものであ る。 仮に,これらの規制目的に合理性があるとしても,それを達成するために距離制限という規制手段を採用することは著しく合理性に欠け,憲法22条1項が保障する職業選択の自由を侵害する。 イこの点について,最高裁平成3年(行ツ)第148号同5年6月25日第二小法廷判決・裁判集民事169号175頁は,製造たばこ小売販売業に係る適正配置規制を違憲ではないと判断しているが,その時から本件不許可処分がされた時までに約14年が経過しており,現在では,製造たばこ小売販売業の主な業態は自動販売機又はコンビニエンスストアとなっているところ,たばこ専売法の下において指定を受けた製造たばこの小売人のうち零細経営者又は身体障害者等の保護を図るという前掲最高裁判決が判示した許可制の目的は,もはやその役割を終えたものと考えるべきである。 (被告の主張)ア製造たばこ小売販売業の許可制は,公共の福祉に適合する目的のため必要かつ合理的な措置であり,事業法23条3号,施行規則20条2号及びこれを受けた大蔵省告示による距離制限も,上記目的を達成するために必要かつ合理的なものであるから,これによる規制は,何ら憲法22条1項に違反するものではない。 イこの点,前掲最高裁判決も,製造たばこ小売販売業に対する適正配置規制が憲法22条1項に違反しないことを明 かつ合理的なものであるから,これによる規制は,何ら憲法22条1項に違反するものではない。 イこの点,前掲最高裁判決も,製造たばこ小売販売業に対する適正配置規制が憲法22条1項に違反しないことを明言しており,このことが現在でも妥当することは,財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会が,製造 たばこ小売販売業の許可制について同大臣に提出した平成14年10月10日付け「喫煙と健康の問題等に関する中間報告」において,「許可制,定価制については,…現時点で規制緩和の観点から議論を進める状況には至っていないと考える。」旨答申していることなどからも明らかである。 ウなお、前掲最高裁判決以降も,適正配置規制について憲法22条1項に違反しないと判断した仙台高等裁判所平成13年7月25日判決及び福岡高等裁判所宮崎支部平成15年11月20日判決に対しそれぞれ上告がされたところ,前者につき最高裁平成13年(行ツ)第311号同14年1月31日第一小法廷決定が,後者につき最高裁平成15年(あ)第2648号同16年3月23日第二小法廷決定が,それぞれ上告を棄却している。 第3争点に対する判断 争点(1)(施行規則20条2号の「営業所」の意義)について(1)施行規則20条2号所定の「営業所」の意義について,事業法22条1項は,「製造たばこの小売販売(消費者に対する販売をいう。以下同じ。)を業として行おうとする者は,当分の間,その製造たばこに係る営業所(以下第37条まで及び第49条において『営業所』という。)ごとに財務大臣の許可を受けなければならない。会社又は特定販売業者が小売販売を業として行おうとするときも,同様とする。」と規定するが,外に事業法,施行令及び施行規則において「営業所」について定義した規定はない。 一方において,申請に対する処分について行 定販売業者が小売販売を業として行おうとするときも,同様とする。」と規定するが,外に事業法,施行令及び施行規則において「営業所」について定義した規定はない。 一方において,申請に対する処分について行政庁の定めた審査基準である取扱要領第1章第一の5は,「『営業所』とは,製造たばこの小売販売を反復継続して行う施設又は設備をいう。」,「ただし,出張販売場所,仮移転 場所,一時的な移転場所及び営業所に隣接して設置する自動販売機については,独立した営業所とはみなさない。」と定めているところ,事業法22条1項及び23条3号がそれぞれ製造たばこの小売販売を「業として」行うことを規制した規定であること並びに「営業所」という文言の通常の用語例に照らし,施行規則20条2号所定の「営業所」とは,上記の取扱要領のとおり,製造たばこの小売販売を反復継続して行う施設又は設備をいうものと解するのが相当である。 (2)これを本件既設営業所についてみるに,前記前提事実(3)イによれば,Cは,昭和60年4月1日に事業法22条1項の規定による許可を受けた者とみなされ,その許可に係る営業所の所在地をさいたま市α×××番地として,同日から平成17年12月20日ころまで,同地において本件店舗における対面販売及び自動販売機による販売の態様又は方法により製造たばこの小売販売を反復継続していたこと(更にさかのぼると,昭和40年ころからたばこ専売法に基づく小売人として上記態様又は方法による製造たばこの小売販売を反復継続していたこと)が認められるところ,本件店舗は製造たばこの小売販売を反復継続して行う施設に該当し,また,上記自動販売機は製造たばこの小売販売を反復継続して行う設備に該当し,更にこれらを併せたものが製造たばこの小売販売を反復継続して行う施設又は設備に該当することが明ら 継続して行う施設に該当し,また,上記自動販売機は製造たばこの小売販売を反復継続して行う設備に該当し,更にこれらを併せたものが製造たばこの小売販売を反復継続して行う施設又は設備に該当することが明らかである。 そして,Cは,平成17年12月20日ころに本件店舗の営業を停止したというのであるが,同日以降,本件店舗における対面販売が停止されたとしても,本件自動販売機により製造たばこの小売販売は反復継続して行われて おり,これが製造たばこの小売販売を反復継続して行う設備に該当することは上記のとおりであるから,結局のところ,同日以降も,Cは製造たばこの小売販売に係る「営業所」における営業を休止していないと認めることができるのであって,本件店舗の営業の停止は,いわば上記の「営業所」における製造たばこ小売販売の態様又は方法の縮小又は変更にすぎないものといえる。 したがって,本件既設営業所は,施行規則20条2号所定の最寄りの小売販売業者の「営業所」に該当すると認めることができる。 なお,施行規則20条3号は,「自動販売機の設置場所が,店舗に併設されていない場所等製造たばこの販売について未成年者喫煙防止の観点から十分な管理,監督が期し難いと認められる場所である場合」に,事業法23条3号の「営業所の位置が製造たばこの小売販売を業として行うのに不適当である場合として財務省令で定める場合であるとき」に該当する旨規定しているところ,施行規則20条3号は,製造たばこの自動販売機の設置台数が著しく増加する一方,店舗等に併設されておらず,管理が十分にされていない一部の自動販売機が未成年者による製造たばこの購入を容易にしているとの批判があったことから,このような事態に対処するため,平成元年大蔵省令第57号により新設された規定であり(乙11,18,26),これは自動 動販売機が未成年者による製造たばこの購入を容易にしているとの批判があったことから,このような事態に対処するため,平成元年大蔵省令第57号により新設された規定であり(乙11,18,26),これは自動販売機が「営業所」に該当することを前提とする規定であるといえる(ただし,弁論の全趣旨によれば,本件既設営業所に係る製造たばこ小売販売業の許可に関しては,その許可がされたとみなされる時期が上記規定が新設されるよりも前の時期であったことなどから,自動販売機の店舗併設条件は付さ れていないものと認めることができる。)。 (3)これに対し,原告は,取扱要領第1章第一の5ただし書が,「営業所に隣接して設置する自動販売機については,独立した営業所とはみなさない」と定めていることをもって,本件自動販売機が「営業所」に当たらない旨主張するが,これは,前記(2)のとおり,自動販売機がそれのみで「営業所」に該当し得ることから,既に製造たばこの小売販売業の許可を受けた営業所に追加して自動販売機を設置しようとする場合,その自動販売機が仮に「独立した営業所」として取り扱われるとすると,従前の営業所の所在地に係る許可の外に改めてその自動販売機の設置に係る許可が必要とされるのではないかなどという疑問を解消するために定められた確認的な審査基準であると解することができるから,原告の上記主張は採用することができない。 (4)次に,原告は,本件自動販売機が営業所に当たるとしても,Cが本件自動販売機を「営業所」とする製造たばこの小売販売業について許可を受けていない旨主張するが,前提事実(3)イのとおり,Cに係る製造たばこ小売販売業の許可は,「さいたま市α×××番地」を所在地とする営業所についてされたものとみなされているところ,前記(2)のとおり,Cは,その所在地上で,平成 事実(3)イのとおり,Cに係る製造たばこ小売販売業の許可は,「さいたま市α×××番地」を所在地とする営業所についてされたものとみなされているところ,前記(2)のとおり,Cは,その所在地上で,平成17年12月20日ころまでは本件店舗及び自動販売機2台から成る「営業所」において,これより後は,本件自動販売機という「営業所」において製造たばこ小売販売業を営んでいるのであるから,Cが本件自動販売機を「営業所」とする製造たばこの小売販売業について許可を受けていないという原告の上記主張は採用することができない。 (5)したがって,本件不許可処分が本件既設営業所を施行規則20条2号所定 の最寄りの小売販売業者の「営業所」に該当すると認めてされたことに違法はないということができる。 争点(2)(適正配置規制の違憲性)について(1)事業法22条は,たばこ専売法の下において指定を受けた製造たばこの小売人には零細経営者が多いことや身体障害者福祉法等の趣旨に従って身体障害者等についてはその指定に際して特別の配慮が加えられてきたことなどにかんがみ,たばこ専売制度の廃止に伴う激変を回避することによって,事業法附則10条1項に基づき製造たばこの小売販売業を行うことの許可を受けた者とみなされる上記小売人の保護を図るため,当分の間に限り,製造たばこの小売販売業について許可制を採用することとしたものであり,上記許可制の採用は,公共の福祉に適合する目的のために必要かつ合理的な範囲にとどまる措置ということができる。そして,事業法23条3号,施行規則20条2号及びこれを受けた大蔵省告示による製造たばこの小売販売業に対する適正配置規制は,上記目的のために必要かつ合理的な範囲にとどまるものであって,これが著しく不合理であることが明白であるとは認め難い。したがって, 受けた大蔵省告示による製造たばこの小売販売業に対する適正配置規制は,上記目的のために必要かつ合理的な範囲にとどまるものであって,これが著しく不合理であることが明白であるとは認め難い。したがって,製造たばこの小売販売業に対する上記規制が,憲法22条1項に違反するということはできない(最高裁平成3年(行ツ)第148号同5年6月25日第二小法廷判決・裁判集民事169号175頁参照)。 (2)これに対し,原告は,前掲最高裁判決以降,製造たばこ小売販売業の主な業態がコンビニエンスストア等に移行するなどの社会経済情勢の変化が生じていることなどからすれば,現在では,前掲最高裁判決の判示するところは妥当しない旨主張するところ,確かに,証拠(甲4,5)によれば,平成1 8年度において,①財務省近畿財務局が取り扱ったたばこ小売販売業許可件数1413件のうち,業種としてコンビニエンスストアが432件,飲食料品小売業が251件,スーパーマーケットが202件であるのに対し,たばこ専業は74件にすぎず,また,②同省四国財務局が同じく取り扱った許可件数343件のうち,コンビニエンスストアが132件,スーパーマーケットが47件であるのに対し,たばこ専業は18件にすぎないことを認めることができる。 しかしながら,上記各件数は,一定地域の平成18年度における単年度の許可件数の内訳を示すものにすぎないところ,他方において,財務省理財局総務課たばこ塩事業室たばこ塩第2係が5年に1度の割合で実施しているたばこ小売販売業経営実態調査結果(乙28)によると,①たばこ小売販売業の許可がされた時期が昭和20年以前である店舗数について,平成5年度は1036店,同10年度は1038店,同15年度は1005店であり,また,昭和21年から同59年までの時期に許可がされた店舗数は,平成 可がされた時期が昭和20年以前である店舗数について,平成5年度は1036店,同10年度は1038店,同15年度は1005店であり,また,昭和21年から同59年までの時期に許可がされた店舗数は,平成5年度が合計1528店,同10年度が合計1557店(ただし,昭和58年までの数),平成15年度が合計1565店であって,その数にはほとんど変動がないこと,②総従業者数が零である店舗数について,平成5年度は1463店(回答数3346件中の43.7%),同10年度は2231店(回答数3762件中の59.3%),同15年度は1919店(回答数5165件中の37.2%)であり,引き続き相当の数と割合であること,③店舗の経営者の平均年齢について,同5年度は62歳,同10年度は63.3歳,同15年度は63.9歳であり,ほとんど変動がないこと,④営業形態がた ばこ専業である店舗数について,同5年度は805店(回答数3289件中の24.5%),同10年度は1052店(回答数3688件中の28.5%),同15年度は1461店(回答数5165件中の28.3%)と引き続き相当の数と割合であること,なお,コンビニエンスストアのチェーン加盟店及び非チェーン加盟店の各店舗数については,同5年度は114店(回答数3289件中の3.5%)及び40店(同1.2%),同10年度は88店(回答数3688件中の2.4%)及び79店(同2.1%),同15年度は759店(回答数5165件中の14.7%)及び68店(同1.3%)と大きく伸びてきていること,⑤たばこの年間粗利益が50万円未満及び50万円以上100万円未満の各店舗数について,同5年度は744店(回答数2893件中の25.7%)及び755店(同26.1%),同10年度は907店(回答数3125件中の29.0%)及び86 及び50万円以上100万円未満の各店舗数について,同5年度は744店(回答数2893件中の25.7%)及び755店(同26.1%),同10年度は907店(回答数3125件中の29.0%)及び867店(同27.7%),同15年度は1381店(回答数5165件中の26.7%)及び1044店(同20.2%)であって,引き続き相当の数と割合であることなどを認めることができる。 上記の実態調査結果によれば,確かにコンビニエンスストアが営業形態に占める割合は増加傾向にあると認めることができるものの,その一方において,たばこ専売法の下で製造たばこの小売人の指定を受け,事業法附則10条1項に基づき製造たばこの小売販売業を行うことの許可を受けた者とみなされる者の数,店舗の営業規模,経営者の平均年齢,営業形態がたばこ専業である店舗の数又は割合,店舗全体の粗利益の金額等の上記各数値に照らすと,前掲最高裁判決以降,本件不許可処分がされた時までにおいて,適正配 置規制の立法の基礎を成す事実が著しく又は明白に変化したものと認めることはできない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 結論 よって,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部杉原則彦裁判長裁判官品田幸男裁判官島村典男裁判官

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