昭和52(行ウ)5 更正処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和58年11月29日 釧路地方裁判所 租税
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【DRY-RUN】○ 主文 一 原告の主位的請求2の(一)、(二)、第二位的請求1及び2の(二)並びに 第三位的請求1、2の(一)、(二)及び3に係る訴えをいずれも却下する。 二 原告のその余の請求をいずれも棄却する。

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○ 主文一原告の主位的請求2の(一)、(二)、第二位的請求1及び2の(二)並びに第三位的請求1、2の(一)、(二)及び3に係る訴えをいずれも却下する。 二原告のその余の請求をいずれも棄却する。 三訴訟費用のうち参加によつて生じた部分は補助参加人の負担とし、その余は原告の負担とする。 ○ 事実別紙のとおり○ 理由第一主位的請求1及び第二位的請求1に対する判断一請求原因一の事実(本件課税の経過)は当事者間に争いがない。 二原告は、主位的請求1により本件更正処分及び賦課決定処分(以下両処分を併せて「本件課税処分」という。)の取消しを求め、第二位的請求1により予備的にその無効確認を求めているところ、課税処分の無効確認訴訟は、同じく課税処分の違法を問題とする取消訴訟の関係からみると、不服申立前置(国税通則法一一五条一項)及び出訴期間(行政事件訴訟法一四条)の制約が遵守できなかつたため取消訴訟を提起することができなくなつた場合の例外的補充的な訴訟であるから、主位的に課税処分の取消しを求め、予備的にその無効確認を求める場合において、右主位的請求につき前記の不服申立前置及び出訴期間の制約が遵守されているときは、右予備的請求は無用のものであつて、訴えの利益がないと解するのが相当である。 してみると、本件において主位的請求1につき、不服申立前置の制約が遵守されていることは前記一の当事者間に争いのない事実から明らかであり、出訴期間が遵守されていることも当裁判所に顕著であるから、第二位的請求1は訴えの利益を欠き不適法というべきである。 三そこで、主位的請求1において原告が主張する違法事由が本件更正処分に存するか否かについて判断する。 1 所得の帰属について(一) 被告署長の本案についての主張一の1の事実(Aの昭和四五年分総所得金額の内訳)のう 請求1において原告が主張する違法事由が本件更正処分に存するか否かについて判断する。 1 所得の帰属について(一) 被告署長の本案についての主張一の1の事実(Aの昭和四五年分総所得金額の内訳)のうち、不動産所得については当事者間に争いがない。 (二) 原告は、事業所得の帰属につき争うので、判断するに、権利能力なき社団といいうるためには、団体としての組織を備え、多数決の原則が行われ、構成員の変更にかかわらず団体が存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理団体としての主要な点が確定していることを要する(最高裁判所昭和三九年一〇月一五日判決、民集一八巻八号一六七一頁)ところ、成立に争いのない甲第一二号証の一、二、第五〇号証、第五一号証の一、二、乙第九、一〇号証、第一六号証の一、二(原本の存在も含む。)、第一七ないし第二〇号証(第一九号証については原本の存在も含む。また、第一九、二〇号証については後記措信しない部分を除く。)、証人Bの証言により真正に成立したものと認められる乙第六号証の一、二、証人Cの証言により真正に成立したものと認められる乙第一三号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第五ないし第七号証、第九号証、第一一号証、第一三号証の一ないし三、第一九号証、証人B、同Cの各証言、原告本人尋問の結果(ただし、後記措信しない部分を除く。)及び弁論の全趣旨を総合すれば、協力会の実情は次のとおりであつたと認められる。 (1) 協力会は、原告が考案した後記の仕組み(システム)に基づき、A及び原告親子が中心となつて昭和四五年九月下旬ころからMB相互協力会(MBとはmoneybuildingの省略である。)の名称で開始した金銭配当組織である。そして、Aは、右の開始に当たり、自ら原告、知人らとともに会員となつて後輩会員の 下旬ころからMB相互協力会(MBとはmoneybuildingの省略である。)の名称で開始した金銭配当組織である。そして、Aは、右の開始に当たり、自ら原告、知人らとともに会員となつて後輩会員の募集を行う一方、開始間もない同年一〇月六日、当時北見市<地名略>にあつた原告宅において、原告、知人ら合計八名の会員で発起人会なる会合を開き、その席上、協力会の名称、目的、事業内容、組織等を定めた規約を制定し、協力会を主宰運営するため自己を協力会の会長に選任し、また、後記のとおり、会員が協力会に入会時登録手数料として納入する五、〇〇〇円のうち二、〇〇〇円を会員が利用できる施設等の建設資金として積み立て、一、〇〇〇円を協力会の仕組みを考案した原告にシステム料(専用実施権料)として支払い、残る二、〇〇〇円を人件費その他の諸経費に当てることを取り決めた。 (2) 協力会の仕組みは、入会を希望する者が先輩会員二名に協力金として各五、〇〇〇円及び協力会本部に登録手数料として五、〇〇〇円をそれぞれ送金することによつて会員となつたうえ、新たに入会を希望する者二名を勧誘人会させるという方法で、段階的に二の倍数をもつて無限に会貝を増加させるもので、会員は、順次第七順位から第一順位まで昇格することとされ、その過程で協力会本部の指名した第七順位の後輩会員から五、〇〇〇円の送金を受けることによつて、第六順位及び第四順位になつたとき各一万円を、第三順位になつたとき二万円を、第二順位になつたとき四万円を、第一順位になつたとき八万円を受け取り、以上延べ三二名の後輩会員から各五、〇〇〇円ずつ合計一六万円を受け取つた段階で自動的に会員資格を喪失するとされていた(なお、右協力会の仕組みは、いわゆるねずみ講による社会的な害悪を防止するために制定された「無限連鎖講の防止に関する法律」 円ずつ合計一六万円を受け取つた段階で自動的に会員資格を喪失するとされていた(なお、右協力会の仕組みは、いわゆるねずみ講による社会的な害悪を防止するために制定された「無限連鎖講の防止に関する法律」(昭和五三年一一月一一日法律第一〇一号)三条によりその開設等が禁止される無限連鎖講(その定義については同法二条参照)に該当するものといわなければならない。もつとも、前記の協力会規約二条によると、協力会は、相互協力を精神的基盤として会員相互の経済的繁栄と福祉社会の建設を目的とするとされ、規約四条には協力会の行うとする五つの事業内容が掲げられていて、あたかも協力会は公益的事業を行うことを主目的にしているかのようである。しかし、右事業内容のうち実際に行われたものは、昭和四五年分の登録手数料による収入(ただし、後記の保険については昭和四六年分の登録手数料による収入も含む。)の中から、社会福祉事業等へ寄付金を送り、会員利用施設建設基金として四〇〇万円、JMS共済会なる名称の交通事故傷害共済制度出資金として二〇〇万円を積み立てたほか、各会員に交通傷害保険を掛けたに止まる。しかも、右に行われた寄付金の総額は五五万円で、昭和四五年分の登録手数料による収入金額一、六八一万円の僅か三パーセント余りにすぎないし、積立金も後記(7)のとおりいつの間にか取り崩されて費消されてしまつており、また交通傷害保険もその内容は会員にとつて格別特典といえる程のものではないから、右の諸事実をもつて協力会がいわゆるねずみ講ではなく、公益的事業を行うことを主目的としていたとみることはできないものというべきである。)。 (3) ところで、協力会の前記規約は、その制定当時既に九〇名余の会員があつたのに、Aら八名の一部会員だけで制定されたものであり、その制定においても、右規約が他会員に示され というべきである。)。 (3) ところで、協力会の前記規約は、その制定当時既に九〇名余の会員があつたのに、Aら八名の一部会員だけで制定されたものであり、その制定においても、右規約が他会員に示され、その了解ないし同意を得たという事実は全くない。したがつて、右規約は、会員の多数意思に基づいて制定されたものではなく、ほとんどの会員は、規約の存在すら認識していなかつたものとみられる。 (4) 次に、協力会においては、社団にとつて最高の意思決定機関である総会に関し、規約一二条が、総会は会長が必要と認めた時開催し、会長がこれを招集すると規定しているけれども、規約上他に総会の招集手続、決議事項、方法を定めた規定はない。そうすると、総会の招集開催は会長の専権に属し、会員の側から総会の招集を請求してその多数意思を形成するということは全くできないうえ、会長が必要と認めて総会を招集開催したとしても、その議事に混乱を来たすことは明らかであつて、そのためか実際上も総会が招集開催されたことは一度もない。なお、規約一三条によると、通常の総会に代わるものとして、毎年一回会長の発議により通信総会なるものを行うこととされているが、これとてもその実施は会長の発議にかかつているうえ、規約一四条によると、その議事手続は会員に対する通信により行い、表決に関する返信がない者は議事を承認しているものとみなされることになつているから、構成員の具体的な多数意思をその決議に反映させるという通常の総会の議事手続とは全く異質なものといわなければならない。しかも、右通信総会も昭和四六年三月に協力会の昭和四五年度収支決算について一回行われただけである(もつとも、この通信総会も協力会の事業報告の内容等と一緒に右の収支決算の内容及びその内容について異議のある会員は昭和四六年四月一〇日までに事務局へ書 和四五年度収支決算について一回行われただけである(もつとも、この通信総会も協力会の事業報告の内容等と一緒に右の収支決算の内容及びその内容について異議のある会員は昭和四六年四月一〇日までに事務局へ書面にて申し出て欲しい旨を印刷したJMS情報なる広報紙を会員に送達して行われたにすぎないから、その送達を受けた会員らがそれをもつて通常の総会に代わるものと認識していたかは甚だ疑わしい。)。 (5) また、協力会には、規約一六条に基づき、会員の中から会長であるAのほか、専務理事一名(原告が就任していた。)、理事五名、監事二名(うち一名は、Aの妻であり、本件選定者であるDが就任していた。)が置かれ役員会を構成していたから、形式的には社団の要件たる代表者及び執行機関を有していたことになる。しかしながら、右役員の選任手続については、規約一七条が、右役員のうち会長は設立発起人会で選出され、その他の役員は会長が委嘱するとのみ規定しているから、会員は、総会においてその多数意思に基づき会長その他の役員を選任する機会を全く有しないことになる。しかも、右に規定される設立発起人会は、本来協力会が社団として設立されれば、当然にその任務を終わつて消滅ないし解散する筈のものであるから、その後会長に会員資格の喪失、任期満了(規約一八条によると一〇年とされている。)、死亡等の事由が生じた場合、新たな会長を選任することができなくなる事態を招くことは明白であつて、事実協力会においてAが死亡した昭和四九年一月一七日以降会長は全く選任されていない。そして、以上の選任手続の不備欠缺に加えて、もともとA及び原告親子を除いたその他の役員は、協力会の運営、財産管理をAらに一任してこれに関与することかはとんどなく(役員会も昭和四六年三月九日に一回協力会の昭和四五年度事業報告、決算報告を形式的に ともとA及び原告親子を除いたその他の役員は、協力会の運営、財産管理をAらに一任してこれに関与することかはとんどなく(役員会も昭和四六年三月九日に一回協力会の昭和四五年度事業報告、決算報告を形式的に承認するため開かれただけで、池に開催された形跡は全く窺われない。)、全く名目的な存在にしかすぎなかつた。 (6) また、協力会は、昭和四五年一二月末現在で、三、三六二名の会員を擁していたが、前記のとおり、ほとんどの会員は、協力会の意思決定や業務執行に関与できる機会を有せず、専ら利殖目的のみで協力会に入会していたものである。そのため、第一相互研究所の名称のもとに熊本で創設運営されていたねずみ講の社会的弊害が新聞の報道等によつて問題にされ始めた昭和四六年七月ころから協力会への入会者は全く途絶えるに至り、それ以降会長であるAの死亡も重なつて協力会組織は事実上の解散状態にある。しかるに、これまで協力会において清算解散の手続は何ら執られていない。 (7) さらに、協力会の財産管理については、規約一五条が収支決算の承認を前記通信総会の議決事項として掲げるほかは、規約上何らの定めがない。そこで、協力会に送金されてきた登録手数料による収入の出納管理は、普段Aから任された原告においてこれを担当していたが、最終的にはAの自由意思によつて行われていた。そのため、右登録手数料による収入は、一旦「MB相互協力会会長A」等の名義で開設された普通預金口座に預け入れられていたが、後日自由に払い出されて費消しており、その結果、右普通預金口座の支払残高合計が昭和四五年一二月末で八六八万九、五〇〇円あつたのに、昭和四六年一二月末には一二八万四、五一三円、昭和四七年一二月末には一万五、八八八円しかなく、この間に払い出された右預金の使途は不明確なままである。しかも、右普通預金口座の預 九、五〇〇円あつたのに、昭和四六年一二月末には一二八万四、五一三円、昭和四七年一二月末には一万五、八八八円しかなく、この間に払い出された右預金の使途は不明確なままである。しかも、右普通預金口座の預金中には、前記(2)のとおり、協力会の基本財産として積み立てられた筈の会員利用施設建設基金四〇〇万円とJMS共済会出資金二〇〇万円の合計六〇〇万円も含まれていたから、結局これも取り崩されて費消されてしまつたことになるところ、Aらが右取崩し費消を他会員や役員会に諮つた形跡は全く窺われない。 以上の事実が認められ、乙第一九、二〇号証及び原告本人尋問の結果中、右認定に反する部分は、前掲各証拠と対比して措信せず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。 右認定の事実によれば、協力会は、末だ権利能力なき社団として評価するに足るだけの組織実体を備えていたとはいえず、Aが個人の事業として主宰運営するいわゆるねずみ講であつたというべきである。そうとすれば、前掲甲第一一号証、乙第六号証の一、二、成立に争いのない乙第七、八号証、第一五号証の一、二によつて認められる協力会の昭和四五年度分の収益七七八万〇、八五〇円(登録手数料等による収入金額一、六九二万一、〇〇〇円から必要経費九一四万〇、一五〇円を差し引いた金額)は、A個人の事業所得に該当するものといわなければならない。したがつて、右収益が権利能力なき社団である協力会に帰属するとの原告の主張は失当である。 2 本件更正処分の理由附記について青色申告の承認を受けていたAに対し被告署長のした本件更正処分の通知書に、更正の理由として、「あなたの主宰するMB相互協力会の所得については、個人の事業所得として申告の要があると認められますが、無申告であるため、次の算定により所得金額を定め更正します。収入金額一六、八九〇、〇〇〇円、必 、「あなたの主宰するMB相互協力会の所得については、個人の事業所得として申告の要があると認められますが、無申告であるため、次の算定により所得金額を定め更正します。収入金額一六、八九〇、〇〇〇円、必要経費五、〇六七、一五〇円、所得一一、八二二、八五〇円、なお、必要経費として計上しているあなたの給与六一四、七〇〇円は否認します。」と記載されていることは当事者間に争いがないところ、原告は、右の更正理由は、協力会が何故にその社団性を否定され、その収益がAの個人所得になるのか等の点について説明を欠き、Aを納得せしむべきものではないので不備違法であり、さらに本件更正処分の理由附記にあたつては一層厳格になされるべき特別な事情があつた旨主張するので、この点につきお討する(なお、原告は、本件更正処分の理由附記については、右記載以外に専用実施権料に関する部分の附記理由についても不備である旨主張するが、裁決により右専用実施権料の支払が必要経費として認められ、その部分に関する原処分が取り消された結果、右取消し後の本件更正処分が本件訴訟の対象となつているのであるから、本件更正処分の理由附記の当否も右専用実施権料に関する部分を除いて判断すれば足りる。)。 前掲乙第一九号証、証人Bの証言及び弁論の全趣旨を総合すれば、被告署長のなした本件更正処分は、Aが記帳、保存していた協力会等名義の帳簿書類に記載のあつた協力会の昭和四五年度中の登録手数料等による収入金額と必要経費の金額をそのまま認めるのを前提としつつ、協力会は独立課税単位である権利能力なき社団とは評価されないこと、したがつてこれに係る収益は、A個人の事業所得に帰属すると判断されること、その結果納税者本人であるAの給料は支払者と受領者が同一となるから当然に支払給料としての経費とは認められないこと等を内容とするもので つてこれに係る収益は、A個人の事業所得に帰属すると判断されること、その結果納税者本人であるAの給料は支払者と受領者が同一となるから当然に支払給料としての経費とは認められないこと等を内容とするものであることが認められる。 ところで所得税法一五五条二項が青色申告に係る所得税について更正する場合に、更正通知書に更正の理由を附記すべきことを要求している趣旨は、法が青色申告制度を採用して、青色申告に係る所得の計算については、それが法定の帳簿書類による正当な記載に基づくものである以上、その帳簿の記載を無視して更正されることがない旨を納税者に保障したものであると解される。したがつて、帳簿の記載自体の信憑性について問題がなく、その記帳を前提として、その記帳に係る収益が作成名義人である団体に帰属するのではなく、その代1表者個人の所得に帰属するものとして更正する場合には、右法的評価、判断の前提事実が帳簿書類の記載によつて担保されているわけではないから、端的に処分庁の法的評価、判断の結論を示せば足り、何故に当該団体の社団性を否定し、個人の所得と認定したのかその理由、資料までも附記しなければならない趣旨であると解することはできない。本件においては、前記認定のとおり、被告署長がAの作成、保管する帳簿書類の記帳自体を問題としたものでも、あるいは右に記載された収入及び必要経費の数額を否定したものでもなく、右収益の帰属につき納税者であるAと法的評価、判断を異にし、A個人の所得と認定し、そのため論理必然的にAへの給料も否認することとなつたものであつて、被告署長の右評価、判断は前記附記理由に十分示されているということができるのであるから、被告署長が協力会を独立課税単位として認めずにA個人の所得と認定した理由、資料を詳細に附記しなかつたからといつて、本件更正処分が違法と 前記附記理由に十分示されているということができるのであるから、被告署長が協力会を独立課税単位として認めずにA個人の所得と認定した理由、資料を詳細に附記しなかつたからといつて、本件更正処分が違法となるものではないというべきである。また理由附記としてどの程度の記載をすべきかは、処分の内容、性質に対応して決定されるものであり、原告主張の特別事情はいずれも附記すべき理由を厳格にすべきことを法的に要請するものとはいえないから、右事情の有無を判断するまでもなく、前記理由附記が不備違法であるということはできない。よつて、原告の前記主張は採用できない。 3 差押公示書の瑕疵について被告局長が昭和四七年四月二一日に滞納処分として本件動産(これがAの所有に属することは後記第二の一に認定するとおりである。)を差し押さえたこと、しかし、その差押公示書記載の差押年月日が昭和四六年四月二一日となつていたことは当事者間に争いがないところ、原告は、右差押公示書の差押年月日の記載をもつて、右差押処分の効力は昭和四六年四月二一日に生じたと解すべきであるから、右差押処分は本件更正処分前に行われたという重大な瑕疵を有することになり、右瑕疵は本件更正処分自体にも及びこれを違法とする旨主張する。しかし、右差押処分の効力が昭和四七年四月二一日に生じたことは、後記第二の三の2に説示するとおりであるから、右主張も失当である。 以上の次第で、本件更正処分に原告主張の違法はないから、本件更正処分は適法というべきである。そして、本件更正処分を前提とにて国税通則法六五条一項に基づき行われた本件賦課決定処分も、その手続、内容に何らの瑕疵は認められないから適法である(なお、同法六五条二項によれば、過少申告をしたことにつき正当な理由がある場合には、当該部分につき加算税を賦課しないこととされているが 定処分も、その手続、内容に何らの瑕疵は認められないから適法である(なお、同法六五条二項によれば、過少申告をしたことにつき正当な理由がある場合には、当該部分につき加算税を賦課しないこととされているが、原告に右の正当な理由があつたと認めるに足りる証拠はないから、本件賦課決定処分にこの点に関する違法もない。)。したがつて、主位的請求1は理由がない。 第二主位的請求2及び第二位的請求2に対する判断一請求原因二の事実(本件徴収処分の経過)は、1の差押処分に係る本件動産が協力会の所有であるとの点、2の差押処分の行われた日が昭和四七年四月二一日であるとの点、4の仮処分申請及び5の訴訟提起が滞納処分として行われたとの点を除き、当事者間に争いがない。そして、前記第一の三の1において認定した事実と、成立に争いのない乙第二号証の一、二、第四号証の一及び弁論の全趣旨を総合すると、本件動産は、Aが協力会の名称で主宰運営していたねずみ講の事務遂行上使用されていたものと認められるから、これもA個人の所有に属すると認めるのが相当である。また、成立に争いのない乙第一号証によれば、請求原因二の2の差押処分が行われたのは、昭和四七年四月二一日ではなく、同月二〇日であつたことが認められる。 二原告は、主位的請求2の(一)により被告局長が滞納処分としてした請求原因二の1ないし3の各差押処分(以下「本件各差押処分」という。)の取消しを求めるが、国税通則法七五条一項二号、一一五条一項によれば、本件各差押処分のように国税局長がした国税に関する法律に基づく処分の取消しを求める訴えは、右一一五条一項一号ないし三号所定の事由がない限り、国税不服審判所長に対する審査請求についての裁決を経た後でなければこれを提起することができないとされており、本件各差押処分について審査請求及びこれに対 一五条一項一号ないし三号所定の事由がない限り、国税不服審判所長に対する審査請求についての裁決を経た後でなければこれを提起することができないとされており、本件各差押処分について審査請求及びこれに対する裁決を経でいないことは原告の自認するところであるから、主位的請求2の(一)は不適法な訴えというべきである。もつとも、原告は、この点について前記一一五条一項三号所定の正当な理由があつた旨主張するが、右に主張する事由のうち、Aが審査裁決を経由して出訴していたのでは本件動産が公売に付されるなど徴収処分の進行により著しい損害を受けるおそれが強かつたことについてはこれを認めるに足りる証拠はなく、その他の事由も審査裁決不経由の正当な理由にあたるものとは到底解し難い。のみならず、前掲乙第一号証、第二号証の一、二、成立に争いのない乙第三号証及び弁論の全趣旨によれば、Aは本件各差押処分が行われた当日ないし翌日にはその処分の事実を了知していることが認められ、主位的請求2の(一)が右原告の了知の日から三か月以上を経過して提起された訴えであることは本件記録上明らかであるから、国税通則法一一五条一項三号所定の正当な理由の有無に拘らず、右各訴えは、行政事件訴訟法一四条一項所定の出訴期間を徒過した不適法な訴えといわざるを得ない(なお、原告は、裁決がない限り出訴期間は進行しない旨主張するが、そのためには、適法に審査請求がなされていることが前提であり(行政事件訴訟法一四条四項)、本件において審査請求自体がなされていないことは前記のとおりであるから、原告の右主張は理由がない。)。そうすると、主位的請求2の(一)は、いずれも正当な理由なく審査裁決を経ていないものとして、又は出訴期間を徒過したものとして不適法な訴えといわなければならず、原告が本件各差押処分の違法を争うには、そ うすると、主位的請求2の(一)は、いずれも正当な理由なく審査裁決を経ていないものとして、又は出訴期間を徒過したものとして不適法な訴えといわなければならず、原告が本件各差押処分の違法を争うには、その無効確認訴訟によるほかない。 三そこで、本件各差押処分の無効確認を求める第二位的請求2の(一)について判断する。 1 まず、原告は、本件課税処分が違法であるから、これに基づく本体各差押処分も違法である旨主張するが、本件課税処分自体に何らの違法もないことは前記第一で説示したとおりであるから、原告の右主張は失当といわざるを得ない。 2 次に、原告は、本件各差押処分のうち請求原因二の1の差押処分の効力が生じたのはその差押公示書に差押年月日として記載された昭和四六年四月二一日であると解すべきことを前提に、本件各差押処分の手続要件である督促(国税徴収法四七条)がなされたのが昭和四七年三月一一日であるから、右督促に先行する右差押処分は違法であり、また、右差押処分後になされた右督促も違法となる結果、右督促を前提としてなされた右差押処分以外の差押処分も違法である旨主張する。 しかしながら、国税徴収法六〇条二項は、滞納処分として差し押えた動産等を滞納者に保管させたときは、公示書等により差し押さえた旨を表示した時に、差押えの効力が生じる旨規定しており、成立に争いのない甲第二号証及び前掲乙第二号証の一、二によれば、昭和四七年四月二一日、本件動産が札幌国税局所属の大蔵事務官によつて差し押さえられた際も、右大蔵事務官がその執行後その場において執行に立ち会つたA及び原告親子に対しその差押調書謄本を交付するとともに、公示書によつて本件動産を滞納処分として差し押さえた旨表示していることが認められるから、右差押処分、すなわち請求原因二の1の差押処分の効力は、現実に公示書にその その差押調書謄本を交付するとともに、公示書によつて本件動産を滞納処分として差し押さえた旨表示していることが認められるから、右差押処分、すなわち請求原因二の1の差押処分の効力は、現実に公示書にその旨表示された時点である昭和四七年四月二一日に生じたものというべきである。 もつとも、右公示書の差押年月日の記載が昭和四六年四月二一日となつていることは当事者間に争いがなく、右記載は誤記であることが明らかであるところ、国税徴収法六〇条二項が公示書等による表示をもつて差押えの効力要件としているのは、公示書等により対外的に当該動産等が差し押さえられていることを明らかにすることによつて、一般取引の安全を保護し、第三者に不測の損害を被らせない趣旨に基づくものと解されるから、仮に右公示書等の差押年月日につき誤記があつたとしても、当該動産等が差し押さえられた旨が明らかであれば、その差押えが直ちに違法となるものではないと解するのが相当であり、ましてやその公示書等に記載された通りの年月日に差押えの効力が生しるものではない。よつて、差押公示書の記載の誤りを理由として本件各差押処分の違法をいう原告の前記主張も採用の限りでない。 3 また、原告は、本件更正処分にかかる租税債務は、権利能力なき社団である協力会の収益について生じたもので、協力会が負担すべきものであるから、これに基づきAの個人財産を差し押さえた本件各差押処分は違法である旨主張する。 しかしながら、、本件更正処分にかかる租税債務がA個人の所得について生じたものであることは前記第一の三の1で説示したところから明らかであるから、原告の右主張も採用できない。 4 さらに、原告は、本件更正処分にかかる租税債務の徴収権は時効により消滅しているから、本件各差押処分は違法である旨主張するが、右徴収権の消滅時効は、その時効期間 ら、原告の右主張も採用できない。 4 さらに、原告は、本件更正処分にかかる租税債務の徴収権は時効により消滅しているから、本件各差押処分は違法である旨主張するが、右徴収権の消滅時効は、その時効期間満了前に適法に行われたものと認められる本件各差押処分によつて中断したままとなつているから(弁論の全趣旨によれば、本件各差押処分は未だ取り消されでいないことが認められる。)、右主張も失当というほかない。 以上のとおり、本件各差押処分には、原告主張の違法は何ら存しないから、右各処分をもつて違法無効ということはできず、したがつて、第二位的請求2の(一)は理由がない。 四次に、原告は、請求原因二の4の仮処分申請及び同5の訴訟提起について、主位的請求2の(二)によりその取消しを、第二位的請求2の(二)によりその無効確認を求めるが、右の各行為は、国が債権者あるいは原告としてした民事訴訟法上の訴訟行為であつて、いわゆる抗告訴訟の対象となる行政処分ではないから、被告局長に対しその取消し又は無効確認を求めることはできない。したがつて、右各請求はいずれも不適法な訴えといわなければならない。 第三第三位的請求に対する判断一第三位的請求1及び3は、租税債務ないし納税義務の不存在確認を求める訴えであるから、いずれも公法上の権利関係に関するいわゆる当事者訴訟(行政事件訴訟法四条)に該当するところ、右権利関係の帰属主体でない被告署長及び被告局長は、右各請求につき被告適格を有しない。したがつて、右の各請求はいずれも不適法な訴えといわなければならない。 二次に、第三位的請求2の(一)及び(二)は、いずれも被告署長又は被告局長に対し行政処分をなすべきことを求めるいわゆる義務づけ訴訟である。しかし、かかる訴訟は、いわゆる三権分立主義の建前からいつて、行政庁が当該行政処分をな 一)及び(二)は、いずれも被告署長又は被告局長に対し行政処分をなすべきことを求めるいわゆる義務づけ訴訟である。しかし、かかる訴訟は、いわゆる三権分立主義の建前からいつて、行政庁が当該行政処分をなすべきことを法律上覊束されていて、行政庁の第一次的判断権を留保する必要がなく、しかも、行政庁により当該行政処分がなされるのを待つていたのでは国民が回復し難い損害を被り又は被る危険が切迫しているというような緊急やむを得ない事情がある場合に限つて許されるものと解すべきである。しかるところ、原告が第三位的請求2の(一)及び(三)によつて被告らに対し発動を求める更正処分及び充当処分が法律上の覊束処分に該当しないことは明らかであり、しかも、原告に前記のような緊急やむを得ない事情があると認めるに足りる証拠もない。したがつて、右各請求もいずれも不適法な訴えといわざるを得ない。 第四結論以上の次第であつて、原告の本訴請求のうち、主位的請求2の(一)、(二)、第二位的請求1及び2の(二)並びに第三位的請求1、2の(一)、(二)及び3に係る訴えはいずれも不適法であるからこれを却下することとし、その余の請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九四条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官相良朋紀小磯武男山田俊雄)選定者目録(省略)

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