主文 本件訴えを却下する。 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求法務大臣が原告に対して平成17年11月28日付けでした行政文書不開示決定処分のうち,平成17年度司法試験第2次試験口述試験に関する下記資料を不開示とした部分を取り消す。 記(1)問題(2)想定問答集((1)の問題に対する模範解答,受験者の想定される回答,学説及び判例を記載したもの)第2事案の概要本件は,原告が,法務大臣に対し,行政機関の保有する情報の公開に関する法律以下情報公開法という4条1項に基づき平成17年度司法試験(「」。),第2次試験口述試験に関する文書の開示を請求したところ,当該請求に係る文書のうち一部のものについては開示決定を受けたものの,その余のものについては行政文書として作成し,又は取得しておらず,保有していないことを理由として不開示決定を受けたため,これを不服として,当該不開示決定の取消しを求める事案である。 前提事実証拠等により容易に認めることのできる事実は,その旨記載した。それ以外 の事実は,当事者間に争いがない。 なお,平成17年12月1日に,司法試験法及び裁判所法の一部を改正する(。 「」。),法律平成14年法律第138号以下改正法という2条が施行され,,従前の司法試験制度は大幅に変更されているが原告の開示請求に係る文書は同条の規定による改正前の試験制度である平成17年度司法試験に係るものであり,以下の司法試験制度の概要等も,原則として,改正前の司法試験制度についてのものである。 (1)司法試験制度の概要ア司法試験の目的司法試験は,裁判官,検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的と 験制度についてのものである。 (1)司法試験制度の概要ア司法試験の目的司法試験は,裁判官,検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とする国家試験である(改正法2条による改正前の司法試験法(以下「旧司法試験法」という)1条1項。 。 )イ司法試験の実施機関司法試験を実施するため,法務省に国家行政組織法8条の審議会等として司法試験委員会が置かれ旧司法試験法12条1項同委員会の庶務に(),関することについては法務省大臣官房人事課以下人事課というが(「」。)担当している(法務省組織令15条6号,司法試験委員会令(以下「委員会令」という)6条。 。 )司法試験委員会には,司法試験における問題の作成及び採点並びに合格者の判定を行わせるため司法試験考査委員以下考査委員というを(「」。)置くこととされており旧司法試験法15条1項考査委員は司法試験(),, 委員会の推薦に基づき,司法試験を行うについて必要な学識経験を有する者のうちから法務大臣が任命する同条2項司法試験の合格者は考査,()。 委員の合議による判定に基づき,司法試験委員会が決定する(旧司法試験法8条。 )ウ司法試験の概要司法試験は第1次試験と第2次試験に分かれ旧司法試験法2条第,(),1次試験は,第2次試験を受けるのに相当な教養と一般的学力を有するかどうかを判定する目的で,一般教養科目について短答式及び論文式による()。 ,,筆記の方法により行われる旧司法試験法3条第2次試験は裁判官検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定する目的で,短答式及び論文式による筆記並びに口述の(,,「 われる旧司法試験法3条第2次試験は裁判官検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定する目的で,短答式及び論文式による筆記並びに口述の(,,「」,「」「」方法以下順にそれぞれ短答式試験論文式試験及び口述試験というによって行われ旧司法試験法5条1項第1次試験に合格した。)(),者及び旧司法試験法4条1項各号列挙の同試験の免除者が第2次試験を受けることができる(旧司法試験法5条2項。 )第2次試験は,短答式試験,論文式試験,口述試験の順で行われ,短答式試験に合格した者が論文式試験を,論文式試験に合格した者が口述試験を,それぞれ受験することができ,口述試験に合格した者が最終合格者となる(旧司法試験法6条1項から3項まで。 )(2)口述試験の実施目的等ア実施目的口述試験は,一定の法律問題(テーマ)を素材として,法曹となろうと する者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを口頭表現という形で判定する試験である(甲5,弁論の全趣旨。 )イ実施方法口述試験は,憲法,民法,刑法,民事訴訟法及び刑事訴訟法の5科目について実施される旧司法試験法6条3項民法及び民事訴訟法刑法及()。 ,び刑事訴訟法については,それぞれ同一の機会に行われる(旧司法試験の受験手続及び運営に関する規則6条。 )ウ採点基準及び合格率口述試験の合否判定の方法及び基準は,合格者を判定する権限を有する考査委員による会議以下考査委員会議というにおける申合せによ(「」。)り,各科目60点を基準点とし,5科目の合計点をもって合否の決定を行うこととされている。 また,口述試験の採点方針は,その成績が一応の水準に達していると認められる者に対しては60点基準点その成績が一 ,各科目60点を基準点とし,5科目の合計点をもって合否の決定を行うこととされている。 また,口述試験の採点方針は,その成績が一応の水準に達していると認められる者に対しては60点基準点その成績が一応の水準を超えてい(),ると認められる者に対しては,その成績に応じて61点から63点までの各点,その成績が一応の水準に達していないと認められる者に対しては,その成績に応じ,57点から59点までの各点,その成績が特に不良であると認められる者に対しては,その成績に応じ,56点以下の採点をすることとされさらに60点とする割合をおおむね半数程度とし残る半,,「,数程度に61点以上又は59点以下とすることを目安とすることとされ。」ている。 口述試験の合格率(口述試験受験予定者に対する合格者の比率)は,平 成8年度から同17年度までの過去10年間において,おおむね90パーセントないし95パーセント程度となっている(乙3から5まで)。 エ問題のテーマの公表口述試験は,かつては,各考査委員ごとに異なる出題がされており,同一日の同一科目であっても,考査委員によって問題のテーマが異なっていたが,平成12年度からは,法律選択科目が廃止される一方で,民事訴訟法及び刑事訴訟法が必須科目となり,民法及び民事訴訟法の試験並びに刑法及び刑事訴訟法の試験がそれぞれ「民事系」及び「刑事系」として同一の機会に行われることになったことに伴い,以後,原則として,同一日の同一科目については同一の問題のテーマに基づく出題がされる運用となった。 そして,平成14年3月29日に閣議決定された「規制改革推進3か年計画改定における措置内容を受けて同15年10月9日当時の司()」,,法試験管理委員会において,平成15年度から,口述試験における問題のテー 9日に閣議決定された「規制改革推進3か年計画改定における措置内容を受けて同15年10月9日当時の司()」,,法試験管理委員会において,平成15年度から,口述試験における問題のテーマを公表する旨の決定がされ,同日,考査委員会議において,問題のテーマの公表の方法等について申合せがされた。 これらの司法試験管理委員会の決定及び考査委員会議の申合せに基づいて,同年度の口述試験から,口述試験(最終)合格発表後に,口述試験において素材とされた中心的な法律問題(テーマ)が,試験日別及び科目別の形式により法務省ホームページに掲載されている甲5乙6から9,。(,まで)(3)平成17年度口述試験の実施状況 ア試験日程等平成17年度の口述試験は,平成17年10月22日から同月26日までの5日間にわたって,法務省浦安総合センターにおいて実施された。受験者は,受験票によってあらかじめ指定された3日間(午前又は午後の区分のいずれか)において,憲法,民事系(民法及び民事訴訟法)及び刑事系(刑法及び刑事訴訟法)の各口述試験をそれぞれ受験した。 口述試験の受験者数は1538名であり,1日当たりの受験者数は約1000名(最終日のみ約400名)で,受験者に対して試験を行う考査委員の人数は,1日当たり120名(憲法,民法,民事訴訟法,刑法及び刑事訴訟法各24名ずつ)で,最終日のみは48名(憲法12名,民法,民事訴訟法,刑法及び刑事訴訟法各9名ずつ)であった。 同月22日から同月25日までの4日間においては,試験室を憲法12組,民事系及び刑事系各24組に分け,最終日の同月26日においては,憲法6組,民事系及び刑事系各9組に分けて,試験を実施した。 受験者がどの試験室(組)で何番目に受験するかは,各試験日の午前及び午後の受験者集合直後に実施 24組に分け,最終日の同月26日においては,憲法6組,民事系及び刑事系各9組に分けて,試験を実施した。 受験者がどの試験室(組)で何番目に受験するかは,各試験日の午前及び午後の受験者集合直後に実施される抽選で決定された(甲4から6ま。 で,乙5,弁論の全趣旨)イ実施方法受験者は,抽選によって決定された試験室に1名ずつ入室し,考査委員(憲法は憲法担当考査委員2名,民事系は民法及び民事訴訟法担当考査委員各1名,刑事系は刑法及び刑事訴訟法担当考査委員各1名)から発問を受け,受験者がそれに回答する口頭試問方式で実施された。その際,受験 者の机の上には司法試験用の法文が置かれ,受験者は,必要に応じて法文を参照することが可能となっていた。 受験者1人当たりの所要試験時間の目安は,憲法が15分程度,民事系及び刑事系はそれぞれ30分程度とされていたが,実際には,各受験者ごとに長短が生じていた(甲4,6,8,弁論の全趣旨)。 ウ合格発表及び出題テーマの公表平成17年度の口述試験は,受験者1538名中1464名が合格し,合格点は295点,合格率は約95.2パーセントであった。合格者については,平成17年11月9日に,旧法務省祝田橋庁舎掲示板に全合格者の口述試験受験番号及び氏名を掲示して発表し,また,同日,法務省ホームページに全合格者の口述試験受験番号を掲載するほか,同月24日付けの官報に,全合格者の口述試験受験番号及び氏名を公告した。 また,同年度の口述試験のテーマについては,口述試験合格発表前に各科目の幹事考査委員(司法試験実施の事務局である人事課との連絡役を務める各科目の考査委員の通称以下同じから各科目分の出題テーマ案が。 。)提出され,人事課でこれを取りまとめて,同月21日から法務省ホームページに「問題のテーマ」として掲載し,公表し の連絡役を務める各科目の考査委員の通称以下同じから各科目分の出題テーマ案が。 。)提出され,人事課でこれを取りまとめて,同月21日から法務省ホームページに「問題のテーマ」として掲載し,公表した(甲5,乙5,13)。 (4)原告の開示請求等ア原告は,法務大臣に対し,平成17年10月28日,情報公開法4条1,(「」。 項に基づき以下の文書の開示を請求した以下本件開示請求という甲1。 )「平成17年度司法試験第2次試験の口述試験に関する下記資料。 ①問題(受験者に問題を説明する補助資料として用いているパネルを含む。 )②想定問答集(①の問題に対する模範解答,受験者の想定される回答,学説・判例を記載したもの。 )③受験者を評価するために用いている書き込み資料(個々の質問に対する回答の内容や評価,受験中の態度・話し方・身だしなみの評価を書き込むための様式・雛形」)。 イ法務大臣による開示決定及び不開示決定法務大臣は,原告に対し,平成17年11月28日,本件開示請求に係る文書のうち,前記ア①のうちのパネルのみを開示するとともに,その余の文書以下本件不開示文書というについては行政文書として作(「」。),成し,又は取得しておらず,保有していないことを理由とする不開示決定以下本件不開示決定というを行い行政文書開示決定通知書及び(「」。),(,,)。 行政文書不開示決定通知書を郵送により原告に交付した甲23乙1ウ本件訴訟の提起原告は,平成17年12月9日,本件不開示決定のうち,次の①及び②の文書に係る部分の取消しを求めて本件訴訟を提起した(当裁判所に顕著な事実。 )①問題(,,②想定問答集①の問題に対する模範解答受験者の想定される回答学説・判例を記 うち,次の①及び②の文書に係る部分の取消しを求めて本件訴訟を提起した(当裁判所に顕著な事実。 )①問題(,,②想定問答集①の問題に対する模範解答受験者の想定される回答学説・判例を記載したもの) 争点 「」。 (1)本件不開示文書が情報公開法2条2項にいう行政文書に該当するか(2)本件不開示文書に記録されている情報が情報公開法5条6号柱書きの非開示情報に該当するか。 (3)本件不開示決定について理由不備の違法があるか。 争点に関する当事者の主張の要旨(1)本件不開示文書が情報公開法2条2項にいう行政文書に該当するかに「」ついて(争点(1))(被告の主張)ア考査委員の権限等(ア)考査委員の任命考査委員は,司法試験委員会の推薦に基づき,司法試験を行うについて必要な学識経験を有する者のうちから,法務大臣により試験ごとに任(,)。 命される非常勤の国家公務員である旧司法試験法15条2項3項平成17年度第2次試験考査委員は,口述試験最終日である平成17年10月26日において207名が任命されていたが,同年度第2次試験の最終合格発表日の属する月の末日である同年11月30日をもって,その任期が終了している。 (イ)考査委員の権限考査委員は,司法試験における問題の作成及び試験の採点並びに合格()。 ,者の判定に関する権限を有している旧司法試験法15条1項そしてこれらの権限を行使するに当たって,各試験(短答式試験,論文式試験。 。),及び口述試験をいう以下同じそれぞれの合格者の判定については 考査委員の合議によることとされ旧司法試験法8条具体的には司(),,法試験委員会委員長によって招集される考査委員会議において行うこととされている委員会令2条1項及び3項 ついては 考査委員の合議によることとされ旧司法試験法8条具体的には司(),,法試験委員会委員長によって招集される考査委員会議において行うこととされている委員会令2条1項及び3項また司法試験における問()。 ,題の作成及び採点並びに合格者の判定の基本方針その他これらの統一的な取扱いのために必要な事項については,考査委員会議を開いて定めることができることとされている(同条2項。 )このように,考査委員が考査委員会議という合議体によって権限を行使することを求められているのは各試験の合格者の判定のみであり,また,合議体によって決することができるとされているのは,考査委員の権限事項に係る基本方針その他統一的な取扱いのために必要な事項のみである。 すなわち,考査委員の権限のうち,問題の作成及び試験の採点については,法務大臣が各考査委員に対し個別に委任しているものであって,考査委員全体の合議によって決することはそもそも予定されておらず,要求もされていない。 (ウ)考査委員による問題の作成及び出題上記のとおり,司法試験における問題の作成権限は,個々の考査委員にゆだねられているが,他方で,問題の出題については,司法試験委員会の決定及び考査委員会議においてされた考査委員の申合せに即して行われることとなる。 すなわち,短答式試験及び論文式試験については,出題方針,出題形式等が司法試験管理委員会において決定されており,この決定にのっと り,短答式試験については各科目20問の5肢択一式の統一問題が出題され,論文式試験については各科目2問の記述式の統一問題が出題されることとなる。 これに対して,口述試験については,前記のとおり,出題テーマを公表することのみが司法試験管理委員会において決定され,さらに,考査委員会議申合せ事項 目2問の記述式の統一問題が出題されることとなる。 これに対して,口述試験については,前記のとおり,出題テーマを公表することのみが司法試験管理委員会において決定され,さらに,考査委員会議申合せ事項において,問題の素材とされる一定の法律問題(テーマ)の公表の方法等のみが決せられており,短答式試験及び論文式試験と異なり,統一問題,すなわち統一的な発問は要求されていない。 これは,後記のような口述試験の意義によるものである。 イ口述試験の意義と口述試験における考査委員の裁量権(ア)口述試験の意義前記のとおり,口述試験は,短答式試験及び論文式試験と異なり,統一問題,すなわち統一的な発問は要求されていないが,これは,口述試験が短答式試験及び論文式試験とは異なる意義を有することに由来する。口述試験は,前記前提事実のとおり,法曹となろうとする者に必要,()な学識及びその応用能力を有するかどうかを一定の法律問題テーマを素材として,口頭表現という形で判定する試験である。具体的には,考査委員の発問に対する受験者の応答に応じて,更に発問が発展していく形で進められ,考査委員は,受験者の応答を通して,受験者の基礎的知識,応用力,推理力,判断力,論理的思考力,表現力等を総合的に審査し,受験者が裁判官,検察官又は弁護士としての適格性を備えているかどうかを直接判定し,採点する。 短答式試験及び論文式試験がいわゆる一方通行の試験であるのに対し,口述試験は双方向の試験であり,受験者の応答に応じて,発問が発展していく点に大きな特色がある。口述試験は,司法試験の最終合格者の判定を行うための試験として筆記試験を補完し,短答式試験及び論文式試験では測ることのできない受験者の能力を最終確認する役割を果たしている。そのため,口述試験の合格者の判定においては,短答式 合格者の判定を行うための試験として筆記試験を補完し,短答式試験及び論文式試験では測ることのできない受験者の能力を最終確認する役割を果たしている。そのため,口述試験の合格者の判定においては,短答式試験や論文式試験で幾ら高得点を取ったとしても,それらが考慮されることはない。 このように,口述試験は,司法試験第2次試験の中でも唯一双方向性を有する際立った特徴を持つ試験であり,各考査委員が,それぞれの学,,識や識見を十分に発揮し様々な角度から発問して受験者の真の理解力思考力を判定することが求められるため,口述試験の発問については,他の考査委員にようかいされるべき性質のものではなく,短答式試験及び論文式試験と異なり統一的な発問を予定することは,そのような口述試験の意義にそぐわないことになる。したがって,発問について,考査委員に幅広い裁量が与えられるとともに,採点についても,口述試験の性格上,一義的な正解や模範解答といったものはあり得ず,各考査委員の幅広い裁量にゆだねられている。 (イ)口述試験における考査委員の裁量権司法試験第2次試験考査委員は,口述試験に関し,問題作成及び試験の採点並びに合格者の判定の権限を有するが,前記のとおり,考査委員会議という合議体において権限を行使することが予定されているのは, 合格者の判定権限のみであり,問題作成及び採点の権限は,個々の考査委員にゆだねられている。 さらに,口述試験の特質から,統一的な発問は要求されておらず,各考査委員の発問及び採点については,幅広い裁量が認められている。 前記前提事実のとおり,平成12年度以降の口述試験については同一のテーマに基づいて出題することとされ,同15年度以降は出題テーマが公表されているがテーマの公表方法については公表するテーマの,,「数及びその字数につ 平成12年度以降の口述試験については同一のテーマに基づいて出題することとされ,同15年度以降は出題テーマが公表されているがテーマの公表方法については公表するテーマの,,「数及びその字数については,特に制限は設けないが,テーマ内容が一目で分かるよう簡潔にまとめるものとすると包括的な方針が定められて。」いるにとどまる。 テーマの公表方法等の検討に当たって,考査委員間においても議論が行われたが,その際,考査委員からは,テーマの公表は統一的発問の強制につながりかねないとの懸念が示されそもそも同一テーマに基づく,「実施自体にも反発を持っている考査委員もいる。同一テーマに基づかない出題を行っている考査委員もいると聞く仮に口述試験を統一問題。」,「とした場合には,15分間で発問しなければならないことが与えられるために,非常に機械的な質疑応答になるおそれが高い。相手の応答振りを見て少し揺さぶりをかけてみて実力を測ってみたいと考えても,それができなくなる副作用がある。揺さぶる自由がなければ口述試験の意義が没却される口述試験はテーマの知識を問うものではなくテーマ。」,「,を使って法律家としての素養を見ているものであり,テーマの公表を行うのであればその点を明らかにする必要があるといった意見が出され。」 た。 その結果,出題テーマの公表方法に関する考査委員の申合せに添付されている書式においては冒頭に口述試験は一定の法律問題テー,,「,(マ)を素材として,法曹となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを口頭表現という形で判定する試験であり,平成15年度においては,以下のテーマを中心として行われた。なお,試験の際の具体的なやり取りによっては,テーマが変更・追加されたものもあるとの注意書 どうかを口頭表現という形で判定する試験であり,平成15年度においては,以下のテーマを中心として行われた。なお,試験の際の具体的なやり取りによっては,テーマが変更・追加されたものもあるとの注意書きが付されテーマは飽くまで素材であって具体的に。」,,どのように発問するか,例えば,具体的事例を基に発問するのか抽象的な命題を問う形で発問するのか,具体的事例を基にするとして,どのような事例を用いるのかといった点などについては各考査委員にゆだねられていることや,そもそも,同一テーマに基づく出題も原則にすぎず,そのテーマに基づいて発問するかどうかという点についてまで考査委員の裁量が残されていることが明示された。 したがって,平成12年度以降の口述試験においては,原則として,同一テーマに基づく出題がされることとなっているが,実際に各考査委員がそのテーマに基づいて出題をするかどうか,そのテーマに基づいて出題をした場合に,どのように発問するかは,各考査委員の裁量にゆだねられており,広範囲の裁量が与えられている以上,どのような発問がされたかについての検証なども一切行われていない。 このように口述試験については,法令上も,また,試験の性質上からも統一的な発問が予定されておらず,試験の発問,出題及び採点は,個 々の考査委員の広範な裁量権にゆだねられており,同一テーマに基づく出題についても原則にすぎず,そのテーマによらない出題をすることも考査委員の裁量権の範囲のものとして許容されているのであるから,そもそも口述試験の発問,出題又は解答について,考査委員が組織的,すなわち統一的に利用するものとしての何らかの文書を作成すること自体観念できない。 また,法令上も,口述試験の問題作成及び採点が個々の考査委員にゆだねられ,考査委員会議の合議による決定が が組織的,すなわち統一的に利用するものとしての何らかの文書を作成すること自体観念できない。 また,法令上も,口述試験の問題作成及び採点が個々の考査委員にゆだねられ,考査委員会議の合議による決定が予定されていないのであって,考査委員が,組織的に利用するものとしての問題作成及び採点に関する文書を作成することは予定されていないというべきである。 ウ公表される出題テーマの作成と考査委員の準備行為(ア)口述試験の出題テーマの公表のための準備行為前記のとおり,口述試験の発問,出題又は解答について,考査委員が組織的に利用するものとして何らかの文書を作成することは観念できず,法令上も,考査委員が組織的に利用するための文書を作成することは予定されていないが,他方で,平成15年度以降の口述試験については,司法試験管理委員会の決定により,口述試験の出題テーマを公表することとされたことから,考査委員は,公表対象となる口述試験の出題テーマを作成しなければならず,各科目ごとにそのための会合を開催している。 具体的な開催方法については,科目及び年度によって異なるが,平成17年度の口述試験の出題テーマ公表のための準備状況は下記のとおり である。 憲法については基本的にどういうテーマを選ぶのかどういう項目,「,を聞いたらよいのかということについての概括的な話合いをする。その,(。 ,。)後に5名の考査委員憲法の考査委員以下本段落内において同じが,5つの問題について,自分ならこのように聞くという問答を作成する。作成された問答は同一日の出題を担当する考査委員に配付するが,その内容について適切かどうかという議論をすることはなく,他の考査委員から見て間違っていると思う場合があっても,作成した考査委員にそれを指摘することはしない。考査委員は,各自の判 委員に配付するが,その内容について適切かどうかという議論をすることはなく,他の考査委員から見て間違っていると思う場合があっても,作成した考査委員にそれを指摘することはしない。考査委員は,各自の判断で,問答を取捨選択し,付加し,自らの想定問答を作成する。したがって,考査委員全体において,こういう問いを立ててこういう答えをすべきであるということは元々存在しない公表するテーマは当初の概括的な話合いに。」,「,,。」。 基づいて幹事考査委員が作成し人事課に交付するとの状況にある民法及び民事訴訟法については,それぞれ「考査委員(民法又は民事訴訟法の考査委員以下本段落内において同じは各自が出題のテ。 ,。),ーマと骨子を作成し,全考査委員の合意の下,その中から本試験出題対象となり得る6ないし7の出題のテーマと骨子を選択する。その後,6ないし7名の考査委員が参加するワーキンググループを作り,1つの出題につき1名の考査委員が,出題テーマに基づいて,自ら考えるところの出題の仕方や予想される解答を記載した書面を作成する。作成した書面は,同一日の出題を担当する考査委員に配付する。出題に際しては,考査委員が自分の判断で,適宜,取捨選択したり,自ら考えたものを付 。 。」,「,け加えたりする発問はかなりアドリブとなる公表するテーマはワーキンググループのうち1名の考査委員が作成した書面の表紙に記載,,。」されておりこれを幹事考査委員が表形式で作成し人事課に交付するとの状況にある。 刑法及び刑事訴訟法については,それぞれ「考査委員(刑法又は刑事訴訟法の考査委員以下本段落内において同じは各自が事例と事。 ,。),例に含まれる問題点を作成し,考査委員の投票によって,6ないし7の事例と問題点を選択する。そ 考査委員(刑法又は刑事訴訟法の考査委員以下本段落内において同じは各自が事例と事。 ,。),例に含まれる問題点を作成し,考査委員の投票によって,6ないし7の事例と問題点を選択する。それに対する問答については,6ないし7人の考査委員がそれぞれ作成する。問答は,希望するその他の考査委員に参考までに交付することもあるが,同一日の出題を担当する考査委員全員には渡していない。また,問答の内容について考査委員全員で話合いを行うことはない。考査委員は,問答どおり発問することはない。使うかどうかも含めて各自の判断となっている公表するテーマは事例を。」,「提示する際に考査委員全員で話し合い,この話合いに基づいて幹事考査委員が作成し,人事課に交付する」との状況にある。 。 (イ)個々の考査委員による出題及び採点のための準備行為これまでに述べたとおり,口述試験の発問,出題又は解答について,組織的に利用するものとして何らかの文書が作成されることはないが,各考査委員が口述試験の実施に当たって,発問,出題及び採点のために何らかの準備をすることは当然であり,その準備の一環として発問,出題及び採点に関する手控えを作成することもあり得る。これは,口述試験が,原則として同一テーマに基づく出題であるか否かにかかわらず各 考査委員が通常行う作業と考えられる。 そして,実際の口述試験において,公表される出題テーマを素材として発問するか否かは各考査委員の判断に任されているが,考査委員が,同テーマに基づいて出題し,発問することとした場合には,前記(ア)のように他の考査委員から手渡された想定問答等(以下「本件問答案」というを基に自らが行う出題発問及び採点のための準備をし手控。),,,えとして用いることも十分に考えられる。 しかし,その場合 他の考査委員から手渡された想定問答等(以下「本件問答案」というを基に自らが行う出題発問及び採点のための準備をし手控。),,,えとして用いることも十分に考えられる。 しかし,その場合においても,各考査委員が行う発問及び出題は,それぞれの法律についての専門的な学識経験を有する考査委員が,自らの考えに基づいて行うものであるから,実際に口述試験を行う場合の手控えについても,他の考査委員が作成した本件問答案をそのまま用いるのではなく,手渡された本件問答案に自らの考えに従って書き込みをしたり,自ら文書を作成するなどして,独自の想定問答などを用い,判例等,,,の資料についても手渡されたものがあったとしてもこれを取捨選択あるいは追加して用いることが一般的である。 エ本件開示請求の対象となるような行政文書は存在しないこと(ア)原告が開示を求めるような文書は,性質上,行政文書として存在しないことそもそも,原告が開示を求めるような口述試験の「問題」及び「想定問答集」というものは,行政文書として作成されないものである。 すなわち,前記において詳述したとおり,口述試験については,法令上も,また,試験の性質上からも統一的な発問が要求されておらず,同 一テーマに基づく出題についても原則にすぎず,発問,出題及び採点は実質的に各考査委員の裁量にゆだねられていることから,そもそも口述試験の発問,出題又は解答について,考査委員が組織的に利用するものとしての何らかの文書を作成すること自体観念することができない。また,法令上も,口述試験の問題作成及び採点が個々の考査委員にゆだねられており,考査委員会議の合議による決定が予定されていないことから,考査委員が組織的に利用するものとしての問題作成及び採点に関する文書を作成することも予定されていない。 点が個々の考査委員にゆだねられており,考査委員会議の合議による決定が予定されていないことから,考査委員が組織的に利用するものとしての問題作成及び採点に関する文書を作成することも予定されていない。 原告が開示を請求する文書は,その性質上,考査委員が口述試験の発問,出題又は解答について作成した何らかの文書を意味するものと考えられるから,それが,具体的にどのような文書を指すかにかかわらず,行政文書として作成され,又は取得されてはおらず,そもそも,存在しないものである。 なお,考査委員が,組織的に利用するものとしての問題作成及び採点に関する文書を作成することが予定されていないことについては,短答式試験及び論文式試験についても同様であり,問題作成過程において,各科目内の個々の考査委員において問題案を作成し,修正し,協議するとのやりとりがあったとしても,これら試験問題作成に至る過程において作成された問題案等の文書は,個々の考査委員にゆだねられた問題案作成権限に基づいて作成されたものにすぎず,行政文書性を有するものではない。ただ,短答式試験及び論文式試験においては,司法試験管理委員会決定により統一問題を出題することとされており,また,筆記試 験であることから出題に当たっては問題を文書化する必要があるところ,司法試験の庶務に関する事務をつかさどる人事課において,各科目の幹事考査委員から提出された問題案について,誤字脱字等の表記上の誤りを確認し,訂正の上,全科目分を合わせて各年度の試験問題として作成し,試験実施の際に使用することとしており,この段階において初めて,組織的に用いるものとして行政文書性を有することとなる。 これに対して,口述試験については,統一的な発問が要求されていないこと及びいわゆるペーパーテストではなく口頭試問形式であることか いて初めて,組織的に用いるものとして行政文書性を有することとなる。 これに対して,口述試験については,統一的な発問が要求されていないこと及びいわゆるペーパーテストではなく口頭試問形式であることから,各科目の考査委員から発問案が人事課に提出されることはない。 しかし,口述試験においても,各科目の考査委員が作成した図等(発問に際して用いられる事例などを図式化したもの)の案が幹事考査委員から人事課に提出されることがあり,これについては,図等の案は,考査委員の個々の権限に基づいて作成されたものであるが,人事課が誤字脱字等の表記上の誤りを確認し,ワープロソフト等を用いて浄書するなどした上,各試験室に共通して配付するものと確定してパネル化した場合には,組織的に用いるものとなり,行政文書としての性質を有することとなる。口述試験については統一的な発問が要求されていないことから,考査委員が発問に際して同パネルを利用するかどうかについても各考査委員の裁量に任されており,同パネルは考査委員によって組織的に用いられるものとして作成したものではないが,後記のとおり,人事課は司法試験実施の庶務担当として,各試験室の備品等を全試験室に配付する権限を有しており,各考査委員が口述試験の実施に当たり同パネル を用いるかどうかとは別に,人事課が,その権限に基づき,各試験室の備品等の1つとして文書性を有する同一内容のパネルを配付した場合には,人事課において組織的に用いる文書として行政文書性を有するといえるのである。 なお,口述試験については,司法試験管理委員会決定により出題テーマを公表することとされていることから,各科目の幹事考査委員から各科目及び各試験日ごとの出題テーマ案が人事課に提出されるが,これについても,筆記試験の問題案や口述試験の図等と同様,考査委員によっ ーマを公表することとされていることから,各科目の幹事考査委員から各科目及び各試験日ごとの出題テーマ案が人事課に提出されるが,これについても,筆記試験の問題案や口述試験の図等と同様,考査委員によって組織的に用いられるものとして作成されたものではなく,人事課が,全科目の出題テーマ案を取りまとめて,司法試験管理委員会決定によって定められている書式とし,誤字脱字等の表記上の誤りを確認して,訂正した上,同年度の口述試験の問題のテーマとして法務省ホームページに掲載するものとして確定されて初めて行政文書としての性質を有することとなる。これは,後記のとおり,人事課は司法試験実施の庶務担当,,,として受験者に対し司法試験に関する各種の情報提供を行っておりその業務の一環として,口述試験の出題テーマ案を各科目の幹事考査委員から受領し,これをホームページ掲載用として取りまとめた際に,人事課において組織的に用いる文書として初めて行政文書性を有したものと考えられるからである。 (イ)各考査委員の手控えは行政文書ではないこと前記(ア)のとおり,原告が請求するような文書は,その性質上,行政文書として作成されておらず存在しないが,さらに,行政文書か否かに かかわらず原告が請求を求めていると考えられる具体的文書を想定してみても,そのような文書は行政文書ではない。 原告は,本件開示請求に当たり,開示を求める文書として「平成17年度司法試験第2次試験口述試験に関する下記資料,①問題,②想定問答集(①の問題に対する模範解答,受験者の想定される回答,学説・判例を記載したものなどとした上で請求者注釈として請求者は)」,「」,「同試験を受験したが,その際,考査委員は数十頁に渡る資料をファイリングされたものを手元に用意して出題していたし,請求者が回答 たものなどとした上で請求者注釈として請求者は)」,「」,「同試験を受験したが,その際,考査委員は数十頁に渡る資料をファイリングされたものを手元に用意して出題していたし,請求者が回答するたびに何かを書き込んでいた。請求者はこれらの資料が行政文書に当ると判断した上で開示請求していると記載していることから原告が開,。」,示を請求した文書は,原告が口述試験を受験した際に考査委員が手元に所持しているのを目撃したファイリングされた形態の書類と解される。 口述試験が口頭試問形式で行われるものである以上,考査委員が,試験を行うに当たって,手控えとして何らかの資料を口述試験会場に持参し,これを参考にすることは一般的なことと考えられるが,前記のとおり,口述試験については,統一的な発問を要求することは,法令上要求されておらず,また,試験の性質にそぐわないものであるため,考査委員において共通して用いるべきものとして作成される資料はなく,原告が目撃した考査委員が手元に所持していた資料,すなわち,考査委員の手控えについては,それがどのような内容のものであるかは,当該考査委員のみが知る百人百様のものである。 そして,前記のとおり,口述試験においては,同一テーマに基づく出 題をする場合も,発問,出題及び採点は実質的に各考査委員が自らの裁量権に基づいて行うのであるから,手控えとして作成し,口述試験会場に持参する資料についても,各考査委員が自らの発問及び出題に用いるために必要かつ有用なものとして自ら判断したものということになり,その内容がどのようなものであるかにかかわらず,それは,各考査委員ごとの独自のものというべきある。また,(ウ)において詳述するが,ある考査委員が,他の考査委員の作成に係る本件問答案が記載された書面をそのままの形で うなものであるかにかかわらず,それは,各考査委員ごとの独自のものというべきある。また,(ウ)において詳述するが,ある考査委員が,他の考査委員の作成に係る本件問答案が記載された書面をそのままの形で試験場に持ち込んだ場合であっても,この書面は自らの発問のため,自らの判断で手控えとして利用するものであり,組織的に利用されたものではない点において,自らが作成する手控えを試験場に持ち込んだ場合と同様である。 ,,したがって考査委員が口述試験会場において所持している手控えは各考査委員ごとに独自に準備され,又は作成されたものであるから,行政機関の職員が組織的に用いる情報公開法2条2項柱書きものと「」()はいえず,行政文書には該当しない。 (ウ)1人の考査委員が作成した本件問答案が行政文書ではないこと仮に,原告が請求を求める文書が,各考査委員が実際に口述試験の会場で所持していた手控えではなく,特定の考査委員が作成し,各考査委員に手渡される前の,あるいは手渡された直後の書き込み等がされる前の本件問答案と解したとしても,以下のとおり,そのような文書は行政文書ではない。 前記(イ)のとおり,情報公開法2条2項の行政文書の要件のうち「組 織的に用いるもの」に該当するか否かの判断は,①文書の作成又は取得の状況,②当該文書の利用の状況,③保存又は廃棄の状況などを総合的に考慮して実質的にされるものなので,以下,これらの要素について順に検討する。 a作成目的及び作成状況前記のとおり,本件問答案は,平成17年度の口述試験実施に際して,同一テーマに基づく出題の準備行為の一環として,各科目内の一部の考査委員によって作成されたという経緯がある。 ,,,しかし口述試験においては同一テーマに基づく出題であっても統一的な発問は要求されていない。ま づく出題の準備行為の一環として,各科目内の一部の考査委員によって作成されたという経緯がある。 ,,,しかし口述試験においては同一テーマに基づく出題であっても統一的な発問は要求されていない。また,口述試験が,考査委員の発問に対する受験者の応答に応じて,更に発問が発展していく形で進められることを考えれば,同一日同一科目内同一テーマに基づく出題であっても,すべての受験者に対して統一的に発問することは事実上不可能である。 さらに,各考査委員と受験者とのやり取りの中で,受験者の応答振りあるいは臨機応変の対応等を含めて受験者の実力を測るという口述試験の目的にかんがみれば,発問の硬直化は回避されなければならない。 したがって,本件問答案は,科目内の考査委員がこれに沿って統一的又は画一的な発問をすることを目的に作成されたものではあり得ず,飽くまで自己の発問,出題及び採点の準備のためにのみ作成するものである。他の考査委員がこれを利用するかどうかについては,作 成した考査委員の関知するところではなく,仮に他の考査委員がそれを利用するとしても,それを参考に更に自ら熟慮,検討又は工夫を加えて,発問,出題及び採点の準備材料とすることが予定されているにすぎない。このことは,考査委員によって本件問答案の交付を受けている者と交付を受けていない者がいることからも明らかである。 また,本件問答案の作成権限については,既に述べたとおり,各考,,査委員に他の考査委員のための発問又は出題を作成する権限はなく他の考査委員が作成した本件問答案の利用を義務付けられることもない。さらに,当該文書の作成に当たって,直接的又は間接的に司法試験委員会委員長等の管理監督者の指示等の関与もなく,作成に当たった考査委員自らの発問という権限行使の一環として自発的かつ便宜的に作成 い。さらに,当該文書の作成に当たって,直接的又は間接的に司法試験委員会委員長等の管理監督者の指示等の関与もなく,作成に当たった考査委員自らの発問という権限行使の一環として自発的かつ便宜的に作成しているものでしかない。 このように,本件問答案の作成は,司法試験委員会の意思や,口述試験の問題作成という職務上の命令に基づいて行われたものではなく,当該考査委員が,口述試験の出題者として,自ら発問する際の参考とするため,その裁量に基づいて作成したものであり,専ら当該考査委員個人の便宜のために作成された文書にすぎないものである。 b利用状況本件問答案については,これを作成した考査委員が,同一日に同一科目を担当する他の一部の考査委員又は他の全員の考査委員に交付しているという状況にあるが,これを作成した考査委員は,自らが当該本件問答案を参考にしながら発問することを予定しているだけであっ て,交付相手の考査委員が本件問答案を参考にするかどうか関知するものではなく,まして,本件問答案を利用するよう強制するためのものでもなければ,強制する権限もない。したがって,本件問答案を作成した考査委員が,職務上必要なものとして作成者以外の考査委員に配付しているものではなく,飽くまでも他の考査委員に参考用として配付しているにすぎない。 他方,交付を受けた考査委員も,前記のとおり,本件問答案を自己の発問に当たって利用するかどうかは,自らの判断に基づいて行っており,これを利用するとしても,当該出題や出題テーマについて自ら文献などを調べた結果や自らの考えを書き込むなどしてその考査委員独自の想定問答等として利用しているのが実情で,交付を受けた本件問答案をそのまま自らの発問に利用している考査委員は見受けられず,1人の考査委員が作成した本件問答案を他の考査委員が発問に その考査委員独自の想定問答等として利用しているのが実情で,交付を受けた本件問答案をそのまま自らの発問に利用している考査委員は見受けられず,1人の考査委員が作成した本件問答案を他の考査委員が発問に用いている状況は認められない。 c管理状況本件問答案の作成は,上記のとおり,これを作成する考査委員が自己の発問のためにのみ行うものであり,これを他の考査委員に交付した場合にも,交付を受けた考査委員は,せいぜい,自ら行う発問等の準備の参考として利用するだけで,考査委員によっては全く参考にしないこともあり得る。そのため,本件問答案は,遅くとも,各考査委員がそれぞれ口述試験の実施を終了した時点でその文書としての役割を終えることとなり,これを参考にしない考査委員や,参考にしたと してもこれを基に自ら新しく想定問答等を作成した考査委員にとっては,口述試験実施前に不要となる文書である。そして,不要となった,,,本件問答案の処分の方法については法令上も司法試験委員会決定考査委員申合せ等においても定めはなく,個々の考査委員の判断でいつでも自由に処分できる性質の文書と認められる。 したがって,本件問答案は,組織として管理され,職員共用の保存場所で保存されるといった管理がされておらず,専ら個々の考査委員の判断で処分できる性質の文書である。 d以上のとおり,1人の考査委員が作成した本件問答案が他の考査委員に交付されることはあるが,そのような本件問答案については,司法試験委員会や考査委員会議等による指示,関与等はされておらず,これを作成した考査委員は,他の考査委員が,これを用いて発問することを予定して作成し,又は交付したものではなく,交付を受けた考査委員にとっては,せいぜい,自らが行う発問の準備として作成する想定問答等の資料作成のための一資料にす 考査委員が,これを用いて発問することを予定して作成し,又は交付したものではなく,交付を受けた考査委員にとっては,せいぜい,自らが行う発問の準備として作成する想定問答等の資料作成のための一資料にすぎず,いわば,当該考査委員の作成する想定問答等の作成途上のメモとしての位置付けのものであり,組織として用いる文書として組織的な保存又は管理がされているものではない。 したがって,本件問答案は,文書の作成,取得,利用,保存状況等のいずれの点からも,到底,行政文書とは認められないものである。 (エ)本件問答案は人事課において保存,管理されていないことこれまでに述べたとおり,本件問答案は,各考査委員において,組織 的に用いるものとして作成されていないが,原告は,作成された問題等は考査委員のみの保有とせず,その提出を求め,事務局で保存することとしていると主張していることから,原告が主張する事務局に相当する人事課において,本件問答案の提出を受けておらず,保存がされていないことについて,以下,述べることとする。 a人事課司法試験係の業務法務省大臣官房の所掌事務として,司法試験に関することが挙げられており法務省設置法4条4号法務省組織令3条1項30号司(,),法試験委員会の庶務に関することは,人事課においてつかさどることとされている(法務省組織令15条,委員会令6条。 )そして,法務省大臣官房人事課事務分掌規程により,司法試験委員会の庶務に関するものは,人事課司法試験第一係ないし第三係(以下司法試験係というにおいてその事務をつかさどることとされて「」。)いる。 司法試験係の主な業務としては,受験案内や法務省ホームページに掲載される司法試験情報に代表される受験者への情報提供,受験願書の受付,受験票の発送,試験会場,試験監督員 とされて「」。)いる。 司法試験係の主な業務としては,受験案内や法務省ホームページに掲載される司法試験情報に代表される受験者への情報提供,受験願書の受付,受験票の発送,試験会場,試験監督員及び問題や答案用紙等の備品を確保した上での第1次試験及び第2次試験の各試験の円滑な実施,採点結果の受領及び取りまとめ,合格通知書等の発送などが挙げられる。また,司法試験委員会や考査委員会議の庶務を担当しており,司法試験委員会委員や考査委員の任免に関する事務,各会議の会議室の確保及び設営なども行っている。 ,,,このように人事課司法試験係の業務は事務的な業務に限定され司法試験の出題及び試験の採点並びに合格者判定の内容に関与し,あるいは,内容を監督する業務は一切行っていない。 b司法試験の特殊性人事課司法試験係が司法試験の問題内容に一切関与していないのは,大きくは司法試験の特殊性に由来する。司法試験は,その他の資格試験と異なり,試験合格者が試験実施機関である法務省の指揮監督下に置かれることは予定されていない。すなわち,司法試験の合格を通じて誕生する裁判官,検察官及び弁護士のうち,法務省の監督下に置かれることとなるのは検察官のみであり,裁判官については憲法上の独立が保障されており,弁護士についても法律上弁護士自治が認められ,法務省の監督下にはない。 司法試験はこのような特殊性を有する試験であるため,従来から,事務局及び庶務担当である人事課が試験問題の内容について関与することについては極めて謙抑的でなければならないとされ,平成16年1月1日までは国家行政組織法3条に基づく機関(法務省の外局)として高い独立性を有する司法試験管理委員会が試験の実施を行っていた。 その後,司法制度改革の一環として,司法試験の実施機関に審議会機能を持たせ までは国家行政組織法3条に基づく機関(法務省の外局)として高い独立性を有する司法試験管理委員会が試験の実施を行っていた。 その後,司法制度改革の一環として,司法試験の実施機関に審議会機能を持たせることが求められたため,司法試験管理委員会は,旧司法試験法8条に基づく合議制の機関である司法試験委員会に改組されたが,先にも述べたとおり,司法試験委員会の下に置かれる考査委員 の権限は,司法試験管理委員会の下に置かれていたときと同様,問題の作成や採点にとどまらず,合格者の判定にまで及ぶことから,他の国家試験の試験委員に比し,試験実施の中心的存在として今なお高度の独立性が求められており,考査委員が問題作成又は採点に際して作成する文書について,逐一人事課がその提出を求め,保管するといったことは,司法試験制度の趣旨を揺るがすものとして強い批判を受けかねない。 cしたがって,人事課が試験問題の内容に関与することは一切なく,これを確実に担保する観点から,印刷及び配付が予定されている短答式試験及び論文式試験の問題,公表が予定されている口述試験の出題テーマなどを除いて,人事課において取得し,保管し,又は廃棄することは一切行っておらず,今回原告が事務局において保存されていると主張する文書の取得,保管又は廃棄についても一切関与していないものであり,原告の主張は憶測にすぎない。 (オ)公認会計士試験との比較が不適切であることなお,原告は,情報公開審査会が,公認会計士第2次試験の論文問題の解答が行政文書に該当する旨答申をしたことから,本件開示請求の対象文書についても行政文書性が認められると主張する。 しかしながら,公認会計士試験の試験問題作成は,公認会計士・監査審査会以下監査審査会というに置かれている試験委員が行うこ(「」。)ととなって いても行政文書性が認められると主張する。 しかしながら,公認会計士試験の試験問題作成は,公認会計士・監査審査会以下監査審査会というに置かれている試験委員が行うこ(「」。)ととなっており公認会計士法38条同委員は試験の採点までを担当(),するものの,合否の決定は監査審査会の専権事項であり,試験委員は関 与していないこと,旧司法試験法及び委員会令において考査委員の権限について定めたもの(単独で行使するもの又は合議で行使するものの別も含むに相当する規定は公認会計士試験については定められておら。),ず,考査委員が有する権限は公認会計士試験の試験委員とは異なっており,この点のみをもってしても,公認会計士試験と司法試験を同列に論じるのは不適切である。 そして,本件開示請求の対象文書は,口述試験の発問,出題又は採点に関する文書であるところ,これまで述べたように,口述試験の特徴にかんがみ,それらの文書は行政文書とはいえないことは明らかであり,公認会計士第2次試験の論文問題の解答との比較において司法試験の口述試験の発問,出題又は採点に関する文書の行政文書該当性が認められる旨の原告の主張が失当であることは明白である。 オ小括以上のとおり,開示対象文書である「口述試験の『問題』及び『想定問答集等についてはそもそも行政文書として存在することが観念できない』」,,ものであり,考査委員の作成による発問,出題及び採点についての想定問答案等についても,各考査委員が準備して口述試験会場において所持していた手控え等及び特定の考査委員が作成した本件問答案についてはいずれも行政文書に該当しないのであって,本件開示請求に係る行政文書を保有していないことを理由とする本件不開示決定は,情報公開法5条所定の不開示事由該当性について述 員が作成した本件問答案についてはいずれも行政文書に該当しないのであって,本件開示請求に係る行政文書を保有していないことを理由とする本件不開示決定は,情報公開法5条所定の不開示事由該当性について述べるまでもなく,適法である。 (原告の主張) ア行政解釈総務省行政管理局編・詳解情報公開法の示した「当該行政機関の職員が組織的に用いるもの以下組織共用文書性というの判断基準に当てはめ」(「」。)る。 (ア)第1の判断基準とその当てはめa第1の判断基準以下のものは,組織的に用いるものには該当しない。 (a)職員が単独で作成し,又は取得した文書であって,専ら自己の職務の遂行の便宜のためにのみ利用し,組織としての利用を予定していないもの(自己研さんのための研究資料,備忘録等)(b)職員が自己の職務の遂行の便宜のために利用する正式文書と重複する当該文書の写し(c)職員の個人的な検討段階にとどまるもの(決裁文書の起案前の職員の検討段階の文書等。なお,担当職員が原案の検討過程で作成する文書であっても,組織において業務上必要なものとして保存されているものは除く)。 b第1の判断基準への当てはめ例えば,憲法については,5名の考査委員が自分ならこのように聞くという本件問答案を作成する。作成された本件問答案は同一日の出題を担当する考査委員に配付するとされる。 この5名の考査委員は,各々が本件問答案を作成するまでの個人の段階で,推こうや検討を重ね,第1次案や第2次案を作成していると考え られる。この第1次案や第2次案は,(a)の「専ら自己の職務の遂行の便宜のためにのみ利用し,組織としての利用を予定していないもの」や(c)の「職員の個人的な検討段階にとどまるもの」に当たる。 これに対し,同一日の出題を担当する考査委員に配付さ 専ら自己の職務の遂行の便宜のためにのみ利用し,組織としての利用を予定していないもの」や(c)の「職員の個人的な検討段階にとどまるもの」に当たる。 これに対し,同一日の出題を担当する考査委員に配付された本件問答案(すなわち,本件開示請求の対象文書)は,複数の考査委員が「テンプレート的利用ある考査委員がたたき台を作成し他の考査委員はこ」(,れを必要に応じて加筆又は修正をすることで作業効率を上げる利用方法のことをすることを予定して作成したものであるから組織としての),「利用を予定していないもの」ということはできない。 (イ)第2の判断基準とその当てはめa第2の判断基準作成され,又は取得された文書が,どのような状態にあれば組織的に用いるものといえるかについては,以下の要素などを総合的に考慮して実質的な判断を行うこととなる。 (a)文書の作成又は取得の状況(職員個人の便宜のためにのみ作成され,又は取得するものであるかどうか,直接的又は間接的に管理監督者の指示等の関与があったものであるかどうか)(b)当該文書の利用の状況(業務上必要として他の職員又は部外に配付されたものであるかどうか,他の職員がその職務上利用しているものであるかどうか)(c)保存又は廃棄の状況(専ら当該職員の判断で処分できる性質の文書であるかどうか,組織として管理している職員共用の保存場所で 保存されているものであるかどうか)b第2の判断基準への当てはめ(a)文書の作成又は取得の状況例えば,民法及び民事訴訟法については,6ないし7名の考査委員が参加するワーキンググループを作り,1つの出題につき1名の考査委員が,自ら考えるところの出題の仕方や予想される解答を記載した書面を作成する。作成した書面は,同一日の出題を担当する考査委員に配付するとさ するワーキンググループを作り,1つの出題につき1名の考査委員が,自ら考えるところの出題の仕方や予想される解答を記載した書面を作成する。作成した書面は,同一日の出題を担当する考査委員に配付するとされる。 この6ないし7名の考査委員は,各々書面を作成するまでの個人の段階で,推こうや検討を重ね,第1次案や第2次案を作成していると考えられるこの第1次案や第2次案は職員個人の便宜のためにの。 ,「み作成又は取得するもの」に当たる。 これに対し,同一日の出題を担当する考査委員に配付された本件問答案すなわち本件開示請求の対象文書は複数の考査委員がテ(,),「ンプレート的利用」をすることを予定して作成したものであるから,「職員個人の便宜のためにのみ作成又は取得するもの」ということはできない。 ,,「,,この点について被告は本件問答案の作成は当該考査委員が口述試験の出題者として,自ら発問する際の参考とするため,その裁量に基づいて作成したものであり,専ら当該考査委員個人の便宜のために作成された文書にすぎないものである」と主張する。 ,,しかし専ら当該考査委員個人の便宜のために作成された文書とは 当該考査委員のみが使用する文書をいい,複数の考査委員が共通して使う文書は含まれない。たとえ各考査委員が本件問答案に加筆修正しても,本件問答案が複数の考査委員が共通して使う文書であることに変わりはない。 よって,本件問答案は専ら当該考査委員個人の便宜のために作成された文書には当たらない。 (b)当該文書の利用の状況この点について被告は本件問答案を利用するよう強制するため,,「のものでもなければ,強制する権限もない。したがって,本件問答案を作成した考査委員が,職務上必要なものとして作成者以外の考査委員に配付して いて被告は本件問答案を利用するよう強制するため,,「のものでもなければ,強制する権限もない。したがって,本件問答案を作成した考査委員が,職務上必要なものとして作成者以外の考査委員に配付しているものではなく,飽くまでも他の考査委員に参考用として配付しているにすぎない」と主張する。 確かに,各考査委員は,本件問答案がなくても本件問答案を作成することは可能であり本件問答案は業務上必要として他の職員又は,,「部外に配付されたもの」には当たらないかもしれない。 ,,「」しかし本件問答案は他の職員がその職務上利用しているものに当たる。 各考査委員は,本件問答案を「テンプレート的利用」をしている。 そして,本件問答案をこのように利用するのは,自己の本件問答案作成業務の一助とするためであって「職務上利用」の典型例である。 ,よって本件問答案の利用の状況は他の職員がその職務上利用し,,「ているもの」に当たる。 (c)保存又は廃棄の状況「専ら当該職員の判断で処分できる性質の文書であるかどうか」の判断で重要なのは,文書の性質から考えてどのような保存又は廃棄をすべきかという「性質からの発想」をすべきであって,文書が現実にどのように保存され,又は廃棄されているかを基に文書の性質を考えるという「現実からの逆算」であってはならないということである。 ,「『,被告は考査委員が保管の責任者のような人は決めていないし後から回収してもいないので,それぞれの考査委員が適当に処分しているのではないかと思うと述べているように個々の考査委員の判。』,断でいつでも自由に処分できる性質の文書と認められる」とするが,これは「現実からの逆算」であり,誤った法解釈である。 そこで性質からの発想に基づいて本件問答案はどのように保,「 判。』,断でいつでも自由に処分できる性質の文書と認められる」とするが,これは「現実からの逆算」であり,誤った法解釈である。 そこで性質からの発想に基づいて本件問答案はどのように保,「」,存し,又は廃棄すべき性質の文書であるかを考察する。 口述試験の本質は,論文式試験において十分な素養がないにもかかわらず合格したというような人がいないかどうかを確かめるということであり,口述試験は「最後のとりで」である。そうであれば,口述試験の運営はもとより,問答等の管理は厳格でなければならない。 平成15年度(行情)答申第751号は,公認会計士の第2次試験に関するものである。公認会計士試験は第3次試験まであるから,第2次試験の論文式試験は最後のとりでではないそれでも内閣,「」。 ,府情報公開審査会は,第2次試験の論文式試験の「解答」を重要文書。 ,,「」と位置付けたこれに対し司法試験の口述試験は最後のとりで である。両者を比較すれば,本件問答案の方が重要文書と位置付けられることはいうまでもない。 さらに被告は本件問答案は人事課において保存され又は管理,,「,されていない」と述べる。その趣旨は,要するに,事務局が本件問答案の管理を行うと,司法試験の考査委員が法務省の指揮監督下に置かれたことになり,司法試験の考査委員の高度の独立性又は中立性を害するということである。 しかし,司法試験の考査委員が問題作成,採点及び合格者の判定と「」,「」いう判断作業を行い事務局が問題文の管理という機械的作業を行うという役割分担をしたからといって,司法試験の考査委員の高度の独立性又は中立性を害することにはならない。この理は,刑事裁判で,裁判所が判決書を作成するという「判断作業」を行い,保管検察官が判 を行うという役割分担をしたからといって,司法試験の考査委員の高度の独立性又は中立性を害することにはならない。この理は,刑事裁判で,裁判所が判決書を作成するという「判断作業」を行い,保管検察官が判決書の管理という「機械的作業」を行うという役割分担をしたからといって,裁判所の高度の独立性又は中立性を害することにはならないのと同様である(刑事確定訴訟記録法2条1項。 )仮に,各考査委員が各自で管理をしているから行政文書に当たらないとの被告の論理を容認するならば,開示したくない文書は職員任せのずさんな管理をして行政文書性を喪失させればよいという不都合を生じさせる。 また第2の判断基準が保存又は廃棄の状況として専ら当該,「」,「職員の判断で処分できる性質の文書であるかどうかとしており専」,「ら当該職員の判断で処分している文書であるかどうか」とはしていな い。 口述試験は法曹となるための「最後のとりで」であるから,本件問答案は重要文書であり専ら当該職員の判断でいつでも自由に処分で,「きる性質の文書」とは認められない。 イ内閣府情報公開審査会の答申(ア)平成15年度(行情)答申第751号aこの答申の要旨は,公認会計士第2次試験論文式試験の「解答」が行政文書に当たるということである。 すなわち公認会計士審査会は公認会計士法35条に基づき金融庁,「,,,に置かれた審議会等でありその試験委員は非常勤の国家公務員であり『解答』は,試験委員が職務上作成し,又は取得したものであって,複数の試験委員が採点業務に利用していることから解答は諮問庁に,『』,おいて組織的に用いるものとして保有していたものと認められ,その存,,在する場所が諮問庁の庁舎外であったとしても試験委員はその職務上庁舎外で採点を いることから解答は諮問庁に,『』,おいて組織的に用いるものとして保有していたものと認められ,その存,,在する場所が諮問庁の庁舎外であったとしても試験委員はその職務上庁舎外で採点をすることが常態であることからすると,諮問庁が行政文書として保有していたものと認められる」とする。 さらに,答申では,試験問題の保存についての要望があった。すなわち解答は試験制度上重要なものであることから今後その形式,「『』,,,を検討するとともに,作成された解答は試験委員のみの保有とせず,その提出を求め,事務局で保存することとし,その保有期間は,短答式試験の解答のそれに照らし,少なくとも1年とすることが望まれる」としている。 これは試験委員任せの管理をしているから行政文書ではないと,「,」いう現実からの逆算を否定し行政文書であるから試験委員任せ「」,「,の管理をしてはならないという性質からの発想を採用したことを」,「」意味する。 b本件問答案への当てはめ上記答申は,要するに,事務局の関与がなくても複数の考査委員が利用していれば行政文書に当たると認めている。本件問答案は,事務局が保存していないが,行政文書性に影響しない。 本件問答案を事務局が保存していないことは,上記答申の趣旨を無視する態度として責められるべきである。 c公認会計士試験との比較が不適切でないこと被告は,公認会計士試験との比較が不適切であるとし,要するに,この答申の趣旨の射程が本件問答案に及ばない旨主張する。被告は,考査委員が有する権限が両試験で異なることを理由に射程外と考えているようである。 しかし,公認会計士試験の論文式試験の「解答」の作成は,同試験の試験委員の権限の範囲内であり,司法試験の口述試験の問題, 委員が有する権限が両試験で異なることを理由に射程外と考えているようである。 しかし,公認会計士試験の論文式試験の「解答」の作成は,同試験の試験委員の権限の範囲内であり,司法試験の口述試験の問題,想定問題集の作成も,同試験の考査委員の権限の範囲内である。考査委員には,自己の作成した本件問答案の利用を他の考査委員に強制する権限はないが,他の考査委員の参考資料として本件問答案を作成する権限はある。 このように,いずれも考査委員の権限の範囲内の文書であることに相違はない合否の決定という本件問答案と無関係な事項の権限の違い。「」 をもって射程外と考える理由にはならない。 (イ)平成15年度(行情)答申第46号a答申の内容「たとえ個人の作成したメモ等であっても,上司等の指示により作成,,されたものであったり他の職員への報告に利用されたような場合には当該諮問庁の職員が組織的に用いるものに該当し,そのような文書が廃棄されずに残っていた場合には,本件対象文書に該当する可能性があるものである」。 b本件問答案への当てはめ本件問答案は,ワーキンググループ等の会合の結果を会合に不参加の考査委員に報告したという性質を有しており他の職員への報告に利用,「されたような場合」として行政文書に当たる。 (ウ)平成15年度(行情)答申第392号a答申の内容「本件対象文書は,当該教授が自己の研究目的やテーマに沿って,上記討論集会に参加し,研究者として探求する研究テーマの属する研究分野の一環として述べた意見の基礎となる資料であって,当該教授が個人の研究者としてその知見に基づいて収集したものであり,①当該教授の専門分野の研究にのみ使うための研究資料として作成され,②その研究成果及びバックデータをどのような時期にどのような形で公表するのか 人の研究者としてその知見に基づいて収集したものであり,①当該教授の専門分野の研究にのみ使うための研究資料として作成され,②その研究成果及びバックデータをどのような時期にどのような形で公表するのかについても,専ら当該教授の判断にゆだねられているものであること,③他の者が当該教授の承諾なしに使うことはできないものであることか ,,らすると本件対象文書は専ら当該教授のみが研究者個人として利用し管理する個人の研究資料であると認められる」。 b本件問答案との比較これに対し,本件問答案は,①特定の考査委員が自己の研究資料として作成したものではなく,他の考査委員が本件問答案を作成する際のたたき台として利用することを予定して作成した「共通の参考資料」であり,②どのような時期にどのような形で公表するかを各考査委員が任意に決定することができる性質のものではなく,③各考査委員は本件問答案を作成者の承諾なしに当然に入手することができたのであるから,上記答申の示した性質を有しない。 (エ)平成15年度(行情)答申第641号a答申の内容「諮問庁は,本件対象文書は,①特定職員が単独で当該職員のみが使用するメモとして作成したものであり,②当該職員個人が管理する机下収蔵箱に保管し,苦情の内容に応じて,窓口に適宜携行していたと説明しているが,本件対象文書の記載内容からすると,諮問庁の本件対象文書の取扱いについての説明が不自然ということはできず,本件対象文書は,これを作成した当該職員が自ら使用する場合にのみ意味を持つ性質の文書であると認められ,また,③他の職員が利用していたものと認めることはできない。 このような本件対象文書の内容及び使用等の状況からすると,本件対象文書は,メモとして作成された個人の資料であって,これを組織とし て用いるために 職員が利用していたものと認めることはできない。 このような本件対象文書の内容及び使用等の状況からすると,本件対象文書は,メモとして作成された個人の資料であって,これを組織とし て用いるために作成され,組織的に共用している文書ということはできず,神奈川税務署における行政文書に該当すると認めることはできない」。 b本件問答案との比較これに対し,本件問答案は,①特定の考査委員が自己のみが使用する個人的メモとして作成したものではなく,他の考査委員が本件問答案を作成する際のたたき台として利用することを予定して作成した「共通の」,,参考資料であり②作成した考査委員が保管していた可能性はあるがそれは全考査委員の便宜のために責任者として保管していたのであって,作成者のみが使用できる文書として排他的に保管していたわけではなく,③複数の考査委員が「共通の参考資料」として利用していたのであるから,上記答申の示した性質を有しない。 ウ1人の考査委員が作成した本件問答案でも行政文書であること(ア)被告は本件問答案は①統一的又は画一的な発問をすることを目的,「,に作成されたものではあり得ず,飽くまで,②自己の発問,出題及び採点の準備のためにのみ作成するものである」とし,本件問答案が自己専用文書である旨主張する。 ,,,しかし①行政文書の要件としてその文書の内容を全職員が統一的に又は画一的に実行することを必要とする学説は存在しないこと,②本件問答案は,複数の考査委員が「共通の参考資料」として利用することを予定して作成されたものであり,全考査委員の便宜のために作成されたものであって,自己の発問,出題及び採点の準備のためにのみ作成したものでは ない。被告の主張は誤った事実認識に基づくものである。 (イ)被告は仮に他の考査委員が 査委員の便宜のために作成されたものであって,自己の発問,出題及び採点の準備のためにのみ作成したものでは ない。被告の主張は誤った事実認識に基づくものである。 (イ)被告は仮に他の考査委員がそれを利用するとしてもそれを参考に,「,更に自ら熟慮,検討又は工夫を加えて,発問,出題及び採点の準備材料とすることが予定されているにすぎない」とし,本件問答案が自己専用文書である旨主張する。 しかし,最終的に作成された文書(各考査委員の独自の問答案)が自己専用文書に当たるからといって,そのことゆえに,その作成過程で参考にした「共通の参考資料」が当然に自己専用文書になるわけではない。 (ウ)被告は本件問答案の作成権限については各考査委員に他の考査,「,,委員のための発問又は出題を作成する権限はなく」とし,本件問答案の作成が考査委員の権限外であるから行政文書性がないと主張する。 しかし,情報公開法の「行政文書」の定義と酷似する東京都情報公開条例の公文書の定義についての東京都の行政解釈によれば実施機関の「」,「職員が自己の職務の範囲内において事実上作成し,又は取得した場合をいい,文書等に関して自ら法律上の作成権限又は取得権限を有するか否かを問わない」とされる。 本件問答案は,作成者から見れば,他の考査委員の「共通の参考資料」を作成するという職務の範囲内で事実上作成した文書であり,取得者から見れば,自己の問答案を作成するという職務の範囲内で事実上取得した文書である。 よって,本件問答案は,自己の職務の範囲内において事実上作成し,又は取得したものであり,行政文書に当たる。 (エ)考査委員には,自己の作成した本件問答案の利用を他の考査委員に強制する法的権限はないが,他の考査委員の「共通の参考資料」として本件問答案を作 は取得したものであり,行政文書に当たる。 (エ)考査委員には,自己の作成した本件問答案の利用を他の考査委員に強制する法的権限はないが,他の考査委員の「共通の参考資料」として本件問答案を作成する法的権限はある。作成者が,他の考査委員の問答案作成の便宜のために「共通の参考資料」を作成することも,問題の作成に関する行為ということができるし,取得者が,自己の問答案作成の便宜として「共通の参考資料」を取得することも,問題の作成に関する行為ということができる。 よって,考査委員には本件問答案について法律上の作成又は取得の権限がある。 エ学説(ア)松井茂記・情報公開法によれば当該行政機関の職員が組織的に用い,「るものとしての要件について他の職員との検討のための資料として提」,「示した場合などは,組織共用文書と見るべきである。他の職員の利用を全く予定していないような職員の個人的なメモのみは,対象から除外されるべきである。国会での答弁でも,個人としての思案中の段階に作成された単なるメモや参考資料などは組織共用文書とはいえないとされている」と述べられている。 以下,本件問答案にこれを当てはめると,例えば,刑法及び刑事訴訟法については,考査委員の投票によって,6ないし7の事例と問題点を選択し,それに対する問答については,6ないし7名の考査委員がそれぞれ作成する。問答は,希望するその他の考査委員に参考までに交付することがあるとされる。 この希望するその他の考査委員に配付された問答,すなわち本件問答案は,複数の考査委員が「テンプレート的利用」をすることを予定して作成したものであるからもはや他の職員の利用を全く予定していないよう,,「な職員の個人的なメモ」や「個人としての思案中の段階に作成された単なるメモや参考資料」とは 的利用」をすることを予定して作成したものであるからもはや他の職員の利用を全く予定していないよう,,「な職員の個人的なメモ」や「個人としての思案中の段階に作成された単なるメモや参考資料」とはいえない。 (イ)同じく当該行政機関の職員が組織的に用いるものとしての要件に,「」ついて職員が職務上作成ないし受領した文書で職場のファイルに保存,「,され,他の職員が利用することが可能な形で存在する限り,それは組織的に用いるものとして保有されていると見るべきである。また。きちんと整理されていなくとも,職員の異動などの際に引き継がれるような資料も,当然これに当たるというべきであろう」と述べられている。 。 以下,本件問答案にこれを当てはめると,ファイルによる保存というのは,通常の業務形態を想定したためであって,ファイルという形式に固執する趣旨ではなく,要するに,他の職員が利用したいと思えば利用可能な状態にあれば,組織共用文書性があるという趣旨と思われる。 本件問答案は,憲法及び民事系では希望がなくても,刑事系では希望さえすれば,配付され,利用可能な状態に置かれるのであるから,組織共用文書性がある。 さらに,本件問答案の作成後,新たに考査委員に任命された者があった場合も,当該考査委員が希望すれば本件問答案が配付されると考えられるところこれは職員の異動などの際に引き継がれるような資料と同視,,「」することができ,組織共用文書性がある。 (2)本件不開示文書に記録されている情報が情報公開法5条6号柱書きの非開示情報に該当するかについて(争点(2))(被告の主張)ア前記のとおり,本件問答案及び考査委員の手控えには行政文書性は認められないが,仮に,これらの文書に行政文書性が認められるとしても,これが開示された場合には, ついて(争点(2))(被告の主張)ア前記のとおり,本件問答案及び考査委員の手控えには行政文書性は認められないが,仮に,これらの文書に行政文書性が認められるとしても,これが開示された場合には,考査委員の発問の多様性が損なわれ,受験者本来の理解力や思考能力等を測ろうとする発問者の意図を少なからず阻害し,口述試験の選抜機能自体を低下させ,また,下記のように考査委員の出題等に対する萎縮効果を招くおそれがあるから,国の機関が行う司法試験の実施事務の適正な遂行に支障を及ぼす影響があることは明らかであり,これらの文書は情報公開法5条6号柱書きに該当し,これを開示しないことは適法である。 イ口述試験については,試験終了後,試験における考査委員と受験者との問答が再現され,受験情報誌等に掲載され,批評又は分析の対象とされているのは周知の事実である。 したがって,本件問答案又は考査委員の手控えが開示されることになると,口述試験の出題に関する事項が部分的に明らかになった上,短時間のうちに広く知れ渡るおそれがある。そのような事態となった場合,本来,法律問題に関し画一的ではない自由で多面的な解釈や発想が求められる法曹の適格者を選別するための司法試験において,本件問答案の表面的な文言にとらわれ,考査委員の発問の真意,問答の文脈等の要素を考慮することなく,本件問答案があたかも唯一の正解(模範解答)であったかのよう に誤解し,本件問答案をうのみにして無批判に勉学の指針とするなどの風潮が受験者の間に広がり,法曹としての適格性を判断するという口述試験本来の目的を達成できなくなるおそれがある。 すなわち,既に,筆記試験において問題化している模範解答例丸暗記型学習への依存や,これによる画一的な,又はマニュアル的な回答の頻出といった悪しき現状に拍車がかかるばかりか できなくなるおそれがある。 すなわち,既に,筆記試験において問題化している模範解答例丸暗記型学習への依存や,これによる画一的な,又はマニュアル的な回答の頻出といった悪しき現状に拍車がかかるばかりか,さらには,考査委員による発問の流れや組合せのパターン等が分析されることにより,多様な質問とその組合せをもって受験者本来の理解力や思考能力等を測ろうとする発問者の意図を少なからず阻害し,口述試験の選抜機能自体を低下させるおそれがある。 したがって,司法試験の実施という事務の性質上,本件問答案及び考査委員の手控えを開示すると,司法試験の実施事務の適正な遂行に支障を及,,ぼす影響があることは明らかであり本件問答案及び考査委員の手控えは仮に行政文書であるとしても,情報公開法5条6号柱書きに該当する。 ,,ウ口述試験の問題は短答式試験及び論文式試験における問題とは異なり確定した統一問題として受験生に提示されることが予定されているものではなく,本件問答案についても,これに基づいた出題を行うものとして作成されるものではない。本件問答案は,飽くまで口述試験の「問題」である「発問」に際しての手控えとして利用され得るものにすぎず,他に開示することが予定されているものではないから,各考査委員の個人的な見解や十分な検討がされているとは限らない見解又は不正確な記述が記載されていることもあり得る。そして,そのような記述がされていたとしても, 発問されなければ,口述試験の実施という点で何ら問題がない。 にもかかわらず,これが公開された場合には,本件問答案が短答式試験及び論文式試験の問題と同様に統一問題と誤解され,当該年度の口述試験においては,本件問答案に基づいた「出題」がされたものと誤認され,仮に,不正確な記述が存在した場合には,そのような不正確な「問題」 及び論文式試験の問題と同様に統一問題と誤解され,当該年度の口述試験においては,本件問答案に基づいた「出題」がされたものと誤認され,仮に,不正確な記述が存在した場合には,そのような不正確な「問題」に基づく口述試験の在り方,選抜機能そのものに対し,いわれのない批判を招来するおそれがある。そして,そのような批判や,批判に至らなくとも,自らの出題に関する検討の過程を知られることを避けたいという気持ちから,考査委員が口述試験の実施に当たっての手控えとしての本件問答案を作成することに対する萎縮効果が働き,以後,各考査委員は何らの手控えもなく口述試験に臨まなければならないという不合理な事態が出来しかねい。 このような事態が,司法試験の実施事務の適正な遂行に多大な支障を及ぼすことは明らかであり本件問答案は情報公開法5条6号柱書きの公,,「にすることにより,事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある文書」であって,本件不開示決定は適法である。 エ原告は,東京地方裁判所平成15年(行ウ)第396号同16年9月29日民事第38部判決以下東京地裁判決というを引いて口述試験(「」。),がマニュアル化又はパターン化しても口述試験の選抜機能が低下することにはならず,この点についての被告の主張は採用できない旨主張する。 東京地裁判決は,同事件の原告が,平成15年法律第58号による改正 前の行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律以下旧行政機関個人情報保護法という13条1項に基づき自己(「」。)の試験成績等の処理情報の開示を求めたのに対し,当時の司法試験管理委員会委員長が,開示を求められた情報のうち論文式試験及び口述試験の科目別得点,総合得点及び総合順位等につ づき自己(「」。)の試験成績等の処理情報の開示を求めたのに対し,当時の司法試験管理委員会委員長が,開示を求められた情報のうち論文式試験及び口述試験の科目別得点,総合得点及び総合順位等については,不開示情報である旧行政機関個人情報保護法14条1項1号ニ(開示することにより,学識技能に関する試験等の事務の適正な遂行に支障を及ぼすもの)及び同項3号(開示することにより,個人の生命,身体,財産その他の利益を害するもの)に該当するとして不開示としたところ,原告が同処分の取消しを求めた事案であり,判決は,それらの不開示情報のうち,口述試験の総合順位のみについて不開示処分を取り消したものである。 しかしながら旧行政機関個人情報保護法14条1項1号柱書きは次,,「に掲げる事務のいずれかの適正な遂行に支障を及ぼすこと」と規定されているのに対し,情報公開法5条6号柱書きは「・・・事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」であって,要件が明らかに異なる。そして,東京地裁判決は,同条文の文言に対応して,事務の適正な遂行に現実に支障が生じていることを否定しているにとどまり,情報公開法における不開示情報の要件である,そのような「支障が生ずるおそれ」の有無については何も判示していない。 したがって,東京地裁判決を根拠に,問答案について情報公開法5条6号柱書きの要件を満たさないとする原告の主張は誤っている。 オさらに,原告は,公認会計士試験第3次試験の口述試験が開示されたこ とから,司法試験第2次試験の口述試験問題を開示しても支障がないと主張する。 そもそも,司法試験第2次試験口述試験の問題は文書化されておらず,開示の対象とならないことから,これを公認会計士第3次試験口述問題と比較することには意味がないが,原告の主張を本件問答案の 張する。 そもそも,司法試験第2次試験口述試験の問題は文書化されておらず,開示の対象とならないことから,これを公認会計士第3次試験口述問題と比較することには意味がないが,原告の主張を本件問答案の開示に置き換えて考えてみても,これを比較することには意味がない。 すなわち,司法試験と公認会計士試験とでは,考査委員又は試験委員の権限又は役割が異なる上,公認会計士第3次試験口述試験問題は,いわゆる一問一答形式で,各問題はそれぞれ独立して連続性はなく,司法試験第2次試験口述試験のように,考査委員の発問と受験者の回答が相互に連なって発展的に進行する,双方向性を有するものとは全く性質や様相を異にするものである。司法試験第2次試験口述試験においては,この双方向性又は発展性がその本質的な部分であり,そのような性質を持たない公認会計士第3次試験口述試験と比較して,これを開示しても試験事務に支障がないとする原告の主張は失当というほかない。 カまた,原告は,法務大臣が,本件問答案を閲覧しないまま,不開示事由該当性の判断を行ったことになるとして,処分庁が対象文書を閲覧しないまました本件不開示決定は違法である旨主張する。 しかし,文書開示請求を受けた行政庁が,文書の性質上,内容を確認しなくとも行政文書に当たらないこと又は法の定める不開示理由に該当することが判断できる場合にまで,文書の内容を確認する義務があると主張する根拠は明らかでない。 特に本件開示請求において原告は請求者注釈として請求者は,,,(),「同試験を受験したが,その際,考査委員は数十頁に渡る資料をファイリングされたものを手元に用意して出題していたし,請求者が回答するたびに何かを書き込んでいた。請求者はこれらの資料が行政文書に当ると判断した上で開示請求していると記載し 数十頁に渡る資料をファイリングされたものを手元に用意して出題していたし,請求者が回答するたびに何かを書き込んでいた。請求者はこれらの資料が行政文書に当ると判断した上で開示請求していると記載しており各考査委員が口述試験時,。」,,に手元に置いていた資料を本件開示請求の対象としていたところ,そのような手控え等については,性質上,各考査委員ごとに作成の有無又は内容が異なり,また,それぞれの時点での保管の有無も個々に異なることが明らかであって,行政文書に該当しないことは明白である。 なお,平成17年度司法試験第2次試験の考査委員は,同年度の最終合格発表日の属する月の末日である平成17年11月30日をもって任期満了により退任しており,仮に,現時点において207名中の元考査委員のだれかが本件問答案を保有していたとしても,それは私的に保有していると見ざるを得ないことから,現時点においては,いずれにしても行政文書性はなく,行政文書としての本件問答案は存在せず,その内容を確認することはできない。しかし,人事課において,考査委員から本件問答案の内容を聴取して確認することによって,本件問答案の記載文言そのものは明らかでなくとも,その文書が包含する概括的内容や趣旨については明らかとなったところ,上記のとおり,本件問答案が情報公開法5条6号柱書きに該当することは優に認められる。 (原告の主張)ア口述試験の選抜機能を低下させないこと 本件問答案を不開示とする被告の主張は,要するに,本件問答案を開示,,すると①口述試験の受験者がマニュアル化又はパターン化した解答をし②考査委員が受験者の優劣の判断をすることが困難になるというものである。 しかし,①と②は別問題である。すなわち,仮に,①口述試験の受験者がマニュアル化又はパターン化した解 はパターン化した解答をし②考査委員が受験者の優劣の判断をすることが困難になるというものである。 しかし,①と②は別問題である。すなわち,仮に,①口述試験の受験者がマニュアル化又はパターン化した解答をするとしても,②口述試験は,考査委員が受験者の解答を受けて更に問答が発展していく形で,現場での双方向の多角的な質疑により,受験者の理解している内容が表面的な理解にとどまるか,真の理解に達しているかを試すことのできる試験であり,およそマニュアルの通用する試験ではなく,選抜機能が低下することのあり得ない試験である。 イ東京地裁判決の射程範囲は本件問答案にも及ぶこと被告は,東京地裁判決の射程範囲は本件問答案に及ばないとし,その理由としておそれという条文の文言の有無及び開示請求対象情報の差異,「」を挙げる。 しかし,東京地裁判決は,①口述試験の受験者がマニュアル化又はパターン化した解答をしていることにつき,そのような傾向はあるが,②考査委員が受験者の優劣の判断をすることが困難になるかという点については,特に口述試験の総合順位に限って開示しても支障がないと明記していないことからすれば,およそ口述試験はマニュアルの通用する試験ではなく,選抜機能が低下することのあり得ない試験であるという一般論を述べた趣旨と解するのが相当である。 よって東京地裁判決の射程範囲は広いものでありおそれの文言の,,「」有無及び開示請求対象情報の差異を考慮しても,東京地裁判決の趣旨は本件問答案にも妥当する。 ウ不正確な問題の記載について(ア)被告は,本件問答案には不正確な記述が記載されていることもあり得るとし,そのような記述がされていたとしても,発問されなければ,口述試験の実施という点では何ら問題がないにもかかわらず,これが公開された場合には, 問答案には不正確な記述が記載されていることもあり得るとし,そのような記述がされていたとしても,発問されなければ,口述試験の実施という点では何ら問題がないにもかかわらず,これが公開された場合には,不正確な本件問答案に基づく口述試験の在り方,選抜機能そのものに対し,いわれのない批判を招来するおそれがある旨主張する。 しかし,本件問答案に不正確な問題の記載があれば,それは批判を受けて当然であり,いわれのない批判ではない。すなわち,本件問答案の作成者は,不正確な問題をそのまま出題しているはずであるし,取得者もつられて不正確な問題を出題してしまう可能性が高い。不正確な問題があっても発問されなければよいという被告の発想は,到底容認することができない口述試験は最後のとりでとなる重要な試験であるこ。 ,「」とからすれば,不正確な発問の可能性すら回避すべきであり,そのためには本件問答案に不正確な問題の記載があってはならない。 よって,本件問答案に不正確な問題があるとの批判は正当な批判であって,いわれのない批判ではないから,考査委員はこれを甘受しなければならず,これを不開示理由とすることはできない。 (イ)さらに,被告は,そのような批判に至らなくとも,自らの出題に関 する検討の過程を知られることを避けたいという気持ちから,考査委員が口述試験の実施に当たっての手控えとしての本件問答案を作成することに対する萎縮効果が働き,各考査委員は手控えもなく口述試験に臨まなければならないという不合理な事態が出来しかねない旨主張する。 しかし,前述のとおり,上記批判は正当なものとして甘受すべきであるから,考査委員は上記批判を避けたいと考えずに,本件問答案の正確性を期す努力をすべきである。 また,被告は,本件問答案と手控えを混同している。すなわち,仮に上記 判は正当なものとして甘受すべきであるから,考査委員は上記批判を避けたいと考えずに,本件問答案の正確性を期す努力をすべきである。 また,被告は,本件問答案と手控えを混同している。すなわち,仮に上記批判を避けたいと考えた場合,考査委員はせいぜい本件問答案の作成を廃止するだけであって,全考査委員が手控えを作らないということはあり得ない。さらに,本件問答案を開示しても,どの考査委員がどの。 ,ような作成過程で各自の手控えを作成したかまでは判明しないよって本件問答案を開示すると自らの出題に関する検討の過程が知られることを避けたいという気持ちが働くという前提がそもそも誤っている。 エいったん取り消す必要があること行政処分の取消訴訟においては,理由の差し替え又は追加は認められているが,それは処分の同一性の範囲に限られる。そして,該当文書不存在を理由する不開示決定と不開示事由該当を理由とする不開示決定とは,処分の同一性を欠くので,本件不開示処分をいったん取り消した上で,考査委員から本件問答案を入手し,不開示事由該当性を改めて検討する必要がある。 被告は,文書開示請求を受けた行政庁が,文書の性質上,内容を確認し なくとも,情報公開法の定める不開示理由に該当することが判断できる場合にまで,文書の内容を確認する義務があると主張する根拠が明らかでないと主張する。 しかし,本件問答案の内容すべてが不開示理由に当たるということは,必ずしも自明ではない。すなわち,①本件問答案のうち,既に開示されているパネルと同じ内容が記載されている部分については,不開示事由に該当しない,②口述試験の問題は各司法試験予備校が再現しており,その再現内容が本件問答案とほぼ一致する場合には,最高裁平成11年(行ヒ)第28号同14年10月11日第二小法廷判決・裁判集民事208号 当しない,②口述試験の問題は各司法試験予備校が再現しており,その再現内容が本件問答案とほぼ一致する場合には,最高裁平成11年(行ヒ)第28号同14年10月11日第二小法廷判決・裁判集民事208号119頁以下最高裁平成14年判決というに照らし本件問答案を不開(「」。),示とする必要はない,③本件問答案は,その記載形式は特に定められておらず,その中には,公認会計士第3次試験口述試験の問題要旨集と同形式の,一問一答式でない形式で記載されているものもあり得ると考えられるから,そのような場合には,不開示にする必要がない。 上記①から③までの点は確認することができず,水掛け論であるが,本件問答案は,文書の性質上,内容を確認しなくとも,法の定める不開示理由に該当することが判断できる場合には該当しないのであるから,被告の主張はその前提を欠くことになる。 被告の主張は,要するに,口述試験の問題や想定問答が記載されているから直ちに不開示事由該当性ありという単純な論法である。しかし,情報公開請求があった場合,このような大雑把な判断は許されず,個々の記載内容及び記載形式を入念に確認し,部分開示の可能性がないかも含めて, 不開示事由該当性を精査しなければならない。 オ考査委員の任期切れについて被告は,平成17年度司法試験第2次試験の考査委員は,平成17年11月30日をもって任期満了により退任しており,仮に現時点において考査委員のだれかが本件問答案を保有していたとしても,それは私的に保有していると見ざるを得ないから,現時点においては,いずれにしても行政文書性はなく,行政文書としての本件問答案は存在せず,その内容を確認することはできない旨主張する。 しかし,考査委員が同日で任期切れとなっても,そのうちの相当数の者は引き続き考査委員に再 しても行政文書性はなく,行政文書としての本件問答案は存在せず,その内容を確認することはできない旨主張する。 しかし,考査委員が同日で任期切れとなっても,そのうちの相当数の者は引き続き考査委員に再任されており,再任された考査委員が本件問答案を保有するならば,それは私的に保有しているのではなく,現役の考査委員という公的な立場で保有していることになるから,法務大臣は本件問答案の内容を確認することができる。 また,仮に,元考査委員が私的に保有しているとしても,法務大臣が元考査委員に任意に本件問答案を提供するように促せば,これに応じる考査委員がいないとはいえないのであって,いったん本件不開示決定を取り消した上で,元考査委員に本件問答案の提出を促すべきである。 (3)本件不開示決定について理由不備の違法があるかについて(争点(3))(被告の主張)ア原告は,本件不開示決定において不開示の理由として記載された「行政文書として作成又は取得しておらず,保有していないため」との文言は,2通りの解釈が可能であるとしこのような多義的な理由の付記は求め,「, られる理由付記としては不十分である」と主張する。 。 原告の「理由付記としては不十分」との主張が,いかなる法的主張なのか明らかでないが,仮に,行政手続法8条に定めるところの理由の提示に不備があり処分が違法となる旨の主張と解するとしても,理由の提示が求められる理由は,行政庁の判断の慎重と合理性を担保することによるし意の抑制及び処分の相手方の不服申立てにおける便宜との点にあると解されるところ,本件不開示決定は,行政文書についての開示義務を定めた規定,「」「」に基づき行政文書である司法試験口述試験の問題及び想定問答集の開示が求められたのに対して不開示とした処分であり,不開示の理由 決定は,行政文書についての開示義務を定めた規定,「」「」に基づき行政文書である司法試験口述試験の問題及び想定問答集の開示が求められたのに対して不開示とした処分であり,不開示の理由として,原告が開示を求めた対象に該当するような行政文書を作成し,取得し,又は保有していないと記載したのであるから,行政庁のし意の抑制及び処分の相手方の不服申立てにおける便宜という法の趣旨に照らして,理由の提示として何ら欠けるところはない。 イまた,原告は,本件不開示決定における不開示理由としては,物理的に,,不存在なのか行政文書に該当しないのかを明らかにする必要があるまた不存在の場合は存在しない理由を記載すべきであるが,不開示決定通知書には「行政文書として作成又は取得しておらず,保有していない」としか記載されておらず,理由付記の不備の違法があるものとして取り消されるべきであると主張する。 まず,開示請求の対象とされた文書が,物理的に存在しないのか,存在はするが行政文書に当たらないのかを明らかにしなければならないとの点については,仮に,一般的にはそのような必要性があるとしても,本件開 示請求においては,不開示決定通知書に記載した以上には回答ができないものである。 すなわち,原告が開示を請求した口述試験の「問題」及び「各考査委員が自ら作成した手控えとしての想定問答集」については,既に述べてきたとおり,事務局において,行政文書として作成又は取得をしていないが,各考査委員が自らのための資料として手控え等を作成した可能性はある。 ただ,そのような手控え等については,各考査委員ごとに作成の有無又は内容が異なり,また,それぞれの時点での保管の有無も個々に異なるもので,事務局において管理していないものである。さらに,開示請求のあった時点で200名 え等については,各考査委員ごとに作成の有無又は内容が異なり,また,それぞれの時点での保管の有無も個々に異なるもので,事務局において管理していないものである。さらに,開示請求のあった時点で200名を超える考査委員に個別に確認することは極めて困難である上,考査委員の独立性の要請から,確認すべきでないと考えられる。 ,「」「」したがって開示請求の対象とされた口述試験の問題及び手控えは,行政文書としては存在しないことは明らかであるが,行政文書以外の文書としての存否は明らかでなく存在はするが行政文書ではないと記,「。」載することもできないものであり行政文書として作成又は取得しておら,「ず,保有していない」との記載が最も適切と解された。 ,,ウ次に不存在の場合には存在しない理由を記載すべきとの点については,,,そもそもそこまでの記載が必要なのかという点も問題であるが本件はその点についての記載がされているというべきである。 原告が主張する「不存在の理由」の記載の程度については明らかでないものの,文書が,行政庁においていったんは作成され,又は取得されたものであれば,それが不存在に至った理由について,廃棄,喪失等の理由を ,,記載することも可能であろうが法令による作成が義務付けられておらず作成又は取得をしていない文書については作成又は取得していないと,「」記載する以上に詳細な不存在の理由を記載することは不要である。 エしたがって,本件不開示決定には理由付記に不備があるとの原告の主張はいずれも失当である。 (原告の主張)ア本件不開示決定の理由付記は,物理的不存在か行政文書非該当か不明である。 いずれかの明示を要求しても,それはわずかな労力で済み,開示事務の円滑な遂行に支障を来すことはないから, (原告の主張)ア本件不開示決定の理由付記は,物理的不存在か行政文書非該当か不明である。 いずれかの明示を要求しても,それはわずかな労力で済み,開示事務の円滑な遂行に支障を来すことはないから,処分庁の利益は害されない。他方,いずれか不明であると,開示請求者は,不服申立てに当たり,両方の可能性について,事実関係の調査,判例や学説の調査等を行うことを余儀なくされ,多大な負担となり,開示請求者の利益が害される。 そうすると,両者の利益衡量上,物理的不存在か行政文書非該当かは明示すべきである。 イ最高裁平成4年(行ツ)第48号同年12月10日第一小法廷判決・裁判集民事166号773頁は公文書の非開示決定通知書に付記すべき理由,「としては,開示請求者において,本条例9条各号所定の非開示事由のどれに該当するのかをその根拠とともに了知し得るものでなければならず,単に非開示の根拠規定を示すだけでは,当該公文書の種類,性質等とあいまって開示請求者がそれらを当然に知り得るような場合は別として,本条例7条4項の要求する理由付記としては十分ではないといわなければならな い」とする。 これを本件不開示決定の理由付記に付いて見るに,物理的不存在か行政文書非該当か不明であり「開示請求者において・・・非開示事由のどれ,,に該当するのかをその根拠とともに了知し得るもの」とはいえない。 ,,松井茂記教授の見解秦博之内閣府情報公開審査会事務局審査官の見解河合暁内閣府情報公開審査会事務局総務課員の見解及び総務省行政管理局の見解も,開示請求者の便宜のために,物理的不存在か行政文書非該当かは明示すべきものとしている。 ウよって,物理的不存在か行政文書非該当かの明示を欠く本件不開示決定,,の理由付記は情報公開法9条及び行政手続法8条に違反するものであり 的不存在か行政文書非該当かは明示すべきものとしている。 ウよって,物理的不存在か行政文書非該当かの明示を欠く本件不開示決定,,の理由付記は情報公開法9条及び行政手続法8条に違反するものであり本件不開示決定は取り消されるべきである。 第3争点に対する判断 認定事実前記前提事実並びに証拠(甲4,5,8,乙3,4,13)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実を認めることができる。 (1)考査委員の権限等ア考査委員の権限考査委員は,司法試験における問題の作成及び試験の採点並びに合格者の判定に関する権限を有している(旧司法試験法15条1項。 )これらの権限を行使するに当たって,各試験それぞれの合格者の判定については考査委員の合議によることとされ旧司法試験法8条具体的,(),には,司法試験委員会委員長によって招集される考査委員会議において行 うこととされている委員会令2条1項及び3項また司法試験におけ()。 ,る問題の作成及び採点並びに合格者の判定の基本方針その他これらの統一的な取扱いのために必要な事項については,考査委員会議を開いて定めることができることとされている(同条2項。 )イ口述試験の問題の作成及び出題上記のとおり,司法試験における問題の作成権限は,個々の考査委員にゆだねられているが,他方で,問題の出題については,司法試験委員会の決定及び考査委員会議においてされた考査委員の申合せに即して行われることとなる。 口述試験については,前記前提事実のとおり,出題テーマを公表することのみが司法試験管理委員会において決定され,考査委員会議申合せ事項において,問題の素材とされる一定の法律問題(テーマ)の公表の方法等のみが決せられており,短答式試験及び論文式試験と異なり,統一問題,すなわち統一的な発 員会において決定され,考査委員会議申合せ事項において,問題の素材とされる一定の法律問題(テーマ)の公表の方法等のみが決せられており,短答式試験及び論文式試験と異なり,統一問題,すなわち統一的な発問は要求されていない。これは,後に述べるような口述試験の意義によるものである。 (2)口述試験の意義と口述試験における考査委員の裁量権ア口述試験の意義等口述試験は,前記前提事実のとおり,法曹となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを,一定の法律問題(テーマ)を素材として,口頭表現という形で判定する試験である。具体的には,考査委員の発問に対する受験者の応答に応じて,更に発問が発展していく形で進められ,考査委員は,受験者の応答を通して,受験者の基礎的知識,応用 力,推理力,判断力,論理的思考力,表現力等を総合的に審査し,受験者が裁判官,検察官又は弁護士としての適格性を備えているかどうかを直接判定し,採点する。 短答式試験及び論文式試験がいわゆる一方通行の試験であるのに対し,口述試験は双方向の試験であり,受験者の応答に応じて,発問が発展していく点に大きな特色がある。口述試験は,司法試験の最終合格者の判定を行うための試験として筆記試験を補完し,短答式試験及び論文式試験では測ることのできない受験者の能力を最終確認する役割を果たしている。 このように,口述試験は,司法試験第2次試験の中でも唯一双方向性を有する際立った特徴を持つ試験であり,各考査委員が,それぞれの学識や識見を十分に発揮し,様々な角度から発問して受験者の真の理解力又は思考力を判定することが求められるため,口述試験の発問については,短答式試験及び論文式試験と異なり統一的な発問を予定することは,そのような口述試験の意義にそぐわないことになる。したがって,発問について 考力を判定することが求められるため,口述試験の発問については,短答式試験及び論文式試験と異なり統一的な発問を予定することは,そのような口述試験の意義にそぐわないことになる。したがって,発問について,考査委員に幅広い裁量が与えられるとともに,採点についても,口述試験の性格上,一義的な正解や模範解答といったものはあり得ず,各考査委員の幅広い裁量にゆだねられている。 イ口述試験における考査委員の裁量権司法試験第2次試験考査委員は,口述試験に関し,問題作成及び試験の採点並びに合格者の判定の権限を有するが,前記のとおり,考査委員会議という合議体において権限を行使することが予定されているのは,合格者の判定権限のみであり,問題作成及び採点の権限は,個々の考査委員にゆ だねられている。 さらに,前記のとおり,口述試験の特質から,統一的な発問は要求されておらず,各考査委員の発問及び採点については,幅広い裁量が認められている。 前記前提事実のとおり,平成12年度以降の口述試験については同一のテーマに基づいて出題することとされ,同15年度以降は出題テーマが公表されているがテーマの公表方法については公表するテーマの数及び,,「その字数については,特に制限は設けないが,テーマ内容が一目で分かるよう簡潔にまとめるものとすると包括的な方針が定められているにとど。」まっている。 テーマの公表方法等の検討に当たって,考査委員間においても議論が行われたが,その際,考査委員からは,テーマの公表は統一的発問の強制につながりかねないとの懸念が示され,その結果,出題テーマの公表方法に関する考査委員の申合せに添付されている書式においては冒頭に口述,,「試験は,一定の法律問題(テーマ)を素材として,法曹となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するか ーマの公表方法に関する考査委員の申合せに添付されている書式においては冒頭に口述,,「試験は,一定の法律問題(テーマ)を素材として,法曹となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを口頭表現という形で判定する試験であり,平成15年度においては,以下のテーマを中心として行われた。なお,試験の際の具体的なやり取りによっては,テーマが変更・追加されたものもあるとの注意書きが付されたこうしてテーマは。」。 ,飽くまで素材であって,具体的にどのように発問するか,例えば,具体的事例を基に発問するのか抽象的な命題を問う形で発問するのか,具体的事例を基にするとして,どのような事例を用いるのかといった点などについ ては各考査委員にゆだねられていることや,そもそも,同一テーマに基づく出題も原則にすぎず,そのテーマに基づいて発問するかどうかという点についてまで考査委員の裁量が残されていることが明示された。 このように,平成12年度以降の口述試験においては,原則として,同一テーマに基づく出題がされることとなっているが,実際に各考査委員がそのテーマに基づいて出題をするかどうか,そのテーマに基づいて出題をした場合に,どのように発問するかは,各考査委員の裁量にゆだねられており,広範囲の裁量が与えられている以上,どのような発問がされたかについての検証なども一切行われていない。 以上のとおり,口述試験については,法令上も,また,試験の性質上からも統一的な発問が予定されておらず,試験の発問,出題及び採点は,個々の考査委員の広範な裁量権にゆだねられており,同一テーマに基づく出題についても原則にすぎず,そのテーマによらない出題をすることも考査委員の裁量権の範囲のものとして許容されている。 (3)出題テーマの作成と考査委員の準備行為等ア られており,同一テーマに基づく出題についても原則にすぎず,そのテーマによらない出題をすることも考査委員の裁量権の範囲のものとして許容されている。 (3)出題テーマの作成と考査委員の準備行為等ア口述試験の出題テーマの公表のための準備行為前記のとおり,口述試験の発問,出題又は解答について,法令上,考査委員が組織的に利用するための文書を作成することは予定されていないが,他方で,平成15年度以降の口述試験については,司法試験管理委員,,会の決定により口述試験の出題テーマを公表することとされたことから考査委員は,公表対象となる口述試験の出題テーマを作成しなければならないこととなり,各科目ごとにそのための会合を開催している。 イ平成17年度の口述試験の出題テーマの公表のための準備状況等平成17年度における口述試験の出題テーマの公表のための準備状況と本件問答案の作成の経過は,下記のとおりである。 (ア)憲法についてまず,基本的にどういうテーマを選ぶのか,どういう項目を聞いたらよいのかということについての概括的な話合いをする。その後に,5名の考査委員憲法の考査委員以下本項内において同じが5つの(。 ,。),問題について,自分ならこのように聞くという本件問答案を作成する。 作成された本件問答案は同一日の出題を担当する考査委員に配付するが,その内容について適切かどうかという議論をすることはなく,他の考査委員から見て間違っていると思う場合があっても,作成した考査委。 ,,員にそれを指摘することはしないしたがって考査委員全体においてこういう問いを立ててこういう答えをすべきであるということは元々存在しない。 公表するテーマは,当初の概括的な話合いに基づいて幹事考査委員が作成し,人事課に交付する。 (イ)民法及び民事訴 おいてこういう問いを立ててこういう答えをすべきであるということは元々存在しない。 公表するテーマは,当初の概括的な話合いに基づいて幹事考査委員が作成し,人事課に交付する。 (イ)民法及び民事訴訟法について考査委員(民法又は民事訴訟法の考査委員。以下,本項内において同じはそれぞれが出題のテーマと骨子を作成し全考査委員の合意の。),,下,その中から本試験出題対象となり得る6ないし7の出題のテーマと骨子を選択する。その後,6ないし7名の考査委員が参加するワーキンググループを作り,1つの出題につき1名の考査委員が,出題テーマに 基づいて,自ら考えるところの出題の仕方や予想される解答を記載した本件問答案を作成する。作成した本件問答案は,同一日の出題を担当する考査委員に配付される。 公表するテーマは,ワーキンググループのうち1名の考査委員が作成した書面の表紙に記載されており,これを幹事考査委員が表形式で作成し,人事課に交付する。 (ウ)刑法及び刑事訴訟法について考査委員(刑法又は刑事訴訟法の考査委員。以下,本項内において同じはそれぞれが事例と事例に含まれる問題点を作成し考査委員の。),,投票によって,6ないし7の事例と問題点を選択する。それについての問答については,6ないし7人の考査委員がそれぞれ作成する。作成された本件問答案は,希望するその他の考査委員に参考までに交付されることもあるが,同一日の出題を担当する考査委員全員には渡されていない。また,本件問答案の内容について考査委員全員で話合いを行うことはない。 公表するテーマは,事例を提示する際に考査委員全員で話し合い,この話合いに基づいて幹事考査委員が作成し,人事課に交付する。 ウ平成17年度の口述試験における個々の考査委員による出題及び採点のための準備行 るテーマは,事例を提示する際に考査委員全員で話し合い,この話合いに基づいて幹事考査委員が作成し,人事課に交付する。 ウ平成17年度の口述試験における個々の考査委員による出題及び採点のための準備行為各考査委員は,口述試験の実施に当たって,発問,出題及び採点のために何らかの準備をするのが通例であり,その準備の一環として,発問,出題及び採点に関する手控えを作成するのが一般的である。 平成17年度の口述試験において,各考査委員がそれぞれどのような準備を行ったのかは明らかではないが,考査委員が,公表される出題テーマに基づいて出題し,発問することとした場合には,配付を受けた本件問答案等を基に,自分の判断で,適宜,取捨選択したり,自ら考えたものを付加するなどして,自らが行う出題,発問及び採点のための準備をし,手控えを作成するものと考えられる。 本件問答案に基づいて出題し,発問することとした場合においても,各考査委員が行う出題及び発問は,それぞれの法律についての専門的な学識経験を有する考査委員が,自らの考えに基づいて行うものであるから,実際に口述試験を行う場合の手控えについても,本件問答案をそのまま用いるのではなく,これに自らの考えに従って書き込みをしたり,自ら文書を作成するなどして作成した独自の想定問答などを用い,判例等の資料についても,配付されたものがあったとしても,これを取捨選択し,又は追加して用いることが一般的である。 考査委員によっては,配付を受けた本件問答案等を全く参考にしないこともあり得るが,そのような場合には,手控えとするため,自ら資料を収集するなどして,独自の問答案を作成する。 (4)各考査委員による出題及び採点の実施等こうして,各考査委員は,配付を受けた本件問答案や判例等の資料,さらに,これらに書き込みをし,あるいは自 料を収集するなどして,独自の問答案を作成する。 (4)各考査委員による出題及び採点の実施等こうして,各考査委員は,配付を受けた本件問答案や判例等の資料,さらに,これらに書き込みをし,あるいは自ら作成した手控え,自ら収集した資料等をファイリングするなどした上で,口述試験会場に持参し,受験者に対する出題及び採点を行うのが通例と考えられる。 前記のとおり,口述試験は,法曹となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを,一定の法律問題(テーマ)を素材として,口頭表現という形で判定する試験であって,考査委員の発問に対する受験者の応答に応じて,更に発問が発展していく形で進められる。各考査委員は,あらかじめ用意した設問のみについて質問をするのではなく,受験者の解答の内容を踏まえて,更に応用的な問題について尋ねたり,判例の立場と異なる反対説について尋ねたり,根拠や理由を尋ねるなどの発問を行っている。 このような口述試験の特質に照らすと,考査委員が配付を受けた本件問答案をそのまま利用して自らの発問を行うということは,にわかに考え難いというべきである。 (5)本件問答案の管理状況本件問答案は,遅くとも,各考査委員が,それぞれ口述試験の実施を終了した時点でその文書としての役割を終えることとなり,これを参考にしない考査委員や,参考にしたとしてもこれを基に自ら新しく想定問答等を作成した考査委員にとっては,口述試験実施前に不要となる文書である。 不要となった本件問答案の処分の方法については,申合せ等においても規定はなく,本件問答案は,組織として管理され,職員共用の保存場所で保存されるといった管理がされておらず,個々の考査委員の判断で処分されている。 なお,司法試験委員会の事務をつかさどる人事課司法試験係は,本件問答案,あるいは各考査委 管理され,職員共用の保存場所で保存されるといった管理がされておらず,個々の考査委員の判断で処分されている。 なお,司法試験委員会の事務をつかさどる人事課司法試験係は,本件問答案,あるいは各考査委員が作成した手控え等の取得,保管及び廃棄について一切関与しておらず,現時点においても,これらの文書を管理していない。 (6)平成17年度第2次試験考査委員の退任等平成17年度第2次試験考査委員は,口述試験最終日である平成17年10月26日において207名が任命されていたが,旧司法試験法15条2項において,考査委員は試験ごとに任命されることとされており,同年度第2次試験の最終合格発表日の属する月の末日である同年11月30日をもって,その任期が終了し,退任した。 本件不開示決定の取消しを求める訴えの利益の有無について(1)職権をもって本件不開示決定の取消しを求める訴えの利益の有無につき,判断する。 なお,弁論の全趣旨によれば,原告が現時点において開示を求めている文書は,本件不開示文書のうちの本件問答案と認められ,本件不開示決定のうち原告が取消しを求めている部分も,本件問答案を不開示とした部分のみと認められるから,以下,そのような前提に立って,判断する。 (2)前記認定事実によると,原告が開示を求めている文書である本件問答案は,組織として管理され,職員共用の保存場所で保存されるといった管理がされておらず,個々の考査委員の判断で処分されているものであって,司法試験委員会の事務をつかさどる人事課司法試験係は,本件問答案の取得,保管及び廃棄について一切関与しておらず,現時点においても,本件問答案を管理していないことが認められる。 そして,前記認定事実のとおり,平成17年度第2次試験考査委員は,旧司法試験法15条2項に基づき,同年度第2次試 て一切関与しておらず,現時点においても,本件問答案を管理していないことが認められる。 そして,前記認定事実のとおり,平成17年度第2次試験考査委員は,旧司法試験法15条2項に基づき,同年度第2次試験の最終合格発表日の属する月の末日である平成17年11月30日をもって任期が終了し,退任して いる。同年度第2次試験考査委員であった者のうち,現時点において,本件問答案を保管している者が存するか否かについては明らかではないが,仮に同年度第2次試験考査委員であった者の中に本件問答案を現在も保管している者がいるとしても,その者は,同年度第2次試験考査委員としては既に退任している以上,それは私的に保有しているものと考えざるを得ない。 そうすると,法務大臣は,現時点において,本件問答案を保有していないものというべきであるから,仮に,本件不開示決定が違法であるとして取り消されたとしても,原告が開示を求めている文書である本件問答案が開示される余地はなく,原告には,その取消しを求める利益はないということになる。 (3)なお平成17年度第2次試験考査委員であった者の中にはその後平,,,成18年度第2次試験考査委員に任命され,現在もその地位にある者がいると考えられるが,仮に,そのような者が原告が開示を求めている文書である同17年度口述試験に係る本件問答案を保有していたとしても,それは,同年度第2次試験考査委員であった者として私的に保有しているものと見るべきであって,同18年度第2次試験考査委員として保有しているものと見ることはできないから,法務大臣が現時点において同17年度口述試験に係る本件問答案を保有していないという点に変わりはないというべきである。 また,仮に,法務大臣が平成17年度第2次試験考査委員であった者に対して任意に本件問答案を提 現時点において同17年度口述試験に係る本件問答案を保有していないという点に変わりはないというべきである。 また,仮に,法務大臣が平成17年度第2次試験考査委員であった者に対して任意に本件問答案を提供するように促せば,これに応じる者があり得るとしても,そもそも情報公開制度とは,行政機関が現に保有している情報をそのまま公開するという制度であること(情報公開法1条,3条参照)を考 慮すると,法務大臣が現に保有していない同年度口述試験に係る本件問答案について,法務大臣がこれを入手する可能性があることを前提として,本件不開示決定の取消しを求める利益を肯定することは相当でないというべきである。 ,,,(4)以上によれば本件不開示決定の取消しを求める訴えはその利益を欠き不適法というべきである。 本件不開示文書が情報公開法2条2項にいう「行政文書」に該当するかについて(争点(1))(1)事案にかんがみ,本件における各争点について,以下判断する。 前記認定事実に基づき,原告が開示を求めている文書である本件問答案が情報公開法2条2項にいう「行政文書」に該当するか否かについて,検討する。 ア情報公開法2条2項柱書きはこの法律において行政文書とは行,「『』,政機関の職員が職務上作成し又は取得した文書図画及び電磁的記録電,,(子的方式,磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう以下同じであって当該行政機関の職員が。 。),組織的に用いるものとして,当該行政機関が保有しているものをいう。ただし次に掲げるものを除くと規定している本件問答案が同条2項た,。」。 だし書のいずれにも該当しないことは明らかであるから,本件問答案が同項にいう「行政文書」に該当するというために う。ただし次に掲げるものを除くと規定している本件問答案が同条2項た,。」。 だし書のいずれにも該当しないことは明らかであるから,本件問答案が同項にいう「行政文書」に該当するというためには,①行政機関の職員が職務上作成し,又は取得したこと,②文書,図画及び電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で 作られた記録をいう以下同じであること③当該行政機関の職員が組。 。),織的に用いるものであること,④当該行政機関が保有していることのいずれの要件をも満たすことが必要である。 イそこで,まず①の要件について検討すると,前記認定事実のとおり,本件問答案は,法務大臣から任命された考査委員が,口述試験の実施の準備作業の一環として,公表された出題テーマについて作成した口述試験の本件問答案であるから,行政機関の職員が職務上作成したものということができ,①の要件を満たす。また,②の要件についても,前記認定事実によれば,本件問答案は書面であることが認められるから,②の要件も満たすことが明らかである。さらに,④の要件についても,本件開示請求がされた平成17年10月28日の時点においては,口述試験の終了からさほど期間が経過していないことから,平成17年度第2次試験考査委員(これらの者の任期は同年11月30日までであったの中のいずれかの者によ。)って,本件問答案が保有されていたものと認めるのが相当である。 ウ次に,③の要件について検討する。 (ア)情報公開法は,開示の対象となる「行政文書」の範囲について,行政機関の保有する情報の一層の公開を図り,もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにする(情報公開法1条)という情報公開法の目的に照らし必要十分なものとするため について,行政機関の保有する情報の一層の公開を図り,もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにする(情報公開法1条)という情報公開法の目的に照らし必要十分なものとするため,地方公共団体の情報公開条例が要求していることが多いとされる決裁,供覧等の手続の終了を要件とせず,業務上の必要性に基づき保有している文書であるかどうかの実質的な要件をもって規定するものとしている。③の要 件は,このような情報公開法の目的を考慮に入れて解釈すべきものであり組織的に用いるとはその作成又は取得に関与した職員個人の段,「」,階のものではなく,組織としての共用文書の実質を備えた状態,すわな,,,,ち当該行政機関の組織において業務上必要なものとして利用され又は保存されている状態のものを意味すると解するのが相当である(以下,このような状態にある文書を「組織共用文書」という。 。)他方で,<ア>職員が単独で作成し,又は取得した文書であって,専ら自己の職務の遂行の便宜のためにのみ利用し,組織としての利用を予定していないもの自己研さんのための研究資料備忘録等<イ>職員が(,),自己の職務の遂行の便宜のために利用する正式文書と重複する当該文書の写し,<ウ>職員の個人的な検討段階にとどまるもの(決裁文書の起案前の職員の検討段階の文書等。なお,担当職員が原案の検討過程で作成する文書であっても,組織において業務上必要なものとして保存されているものは除くなどは組織的に用いるものには該当しないというべ。),(,「」。)。 きである以下このような状態にある文書を自己専用文書というそして,作成され,又は取得された文書が,どのような状態にあれば組織的に用いるものといえるかについては,文書の作成又は取得の状況 」。)。 きである以下このような状態にある文書を自己専用文書というそして,作成され,又は取得された文書が,どのような状態にあれば組織的に用いるものといえるかについては,文書の作成又は取得の状況(職員個人の便宜のためにのみ作成し,又は取得するものであるかどうか,直接的又は間接的に管理監督者の指示等の関与があったものであるかどうか当該文書の利用の状況業務上必要として他の職員又は部外),(に配付されたものであるかどうか,他の職員がその職務上利用しているものであるかどうか保存又は廃棄の状況専ら当該職員の判断で処分),( できる性質の文書であるかどうか,組織として管理している職員共用の保存場所で保存されているものであるかどうか)などを総合的に考慮し,,,て実質的な判断を行うのが相当であるから以下これらの点について検討する。 (イ)前記認定事実によると,本件問答案は,各試験科目の考査委員らの話合いに基づき定められた複数のテーマないし事例について,複数の考査委員が,自ら考えるところの出題の仕方や予想される解答を記載した書面であって,作成された書面は,憲法並びに民法及び民事訴訟法については,同一日の出題を担当する考査委員に配付され,刑法及び刑事訴訟法については,希望する他の考査委員に参考までに交付されるものである。そして,この本件問答案の配付を受けた考査委員の多くは,これに自らの考えに従って書き込みをしたり,これに基づいて自ら文書を作成するなどして,自らが口述試験の際に使用するための手控えとなる想定問答等を作成し,この手控えに基づいて受験者に対する発問を行うというものである。また,この本件問答案は,遅くとも,各考査委員がそれぞれ口述試験の実施を終了した時点でその文書としての役割を終えることとなり,不要となった本件問答案 づいて受験者に対する発問を行うというものである。また,この本件問答案は,遅くとも,各考査委員がそれぞれ口述試験の実施を終了した時点でその文書としての役割を終えることとなり,不要となった本件問答案の処分の方法についての特段の定めはなく,個々の考査委員の判断で処分されている。 このような本件問答案の作成,利用及び保存等の状況に照らすと,本件問答案は,その作成者である1人の考査委員が専ら自らの便宜のために作成したものと認めるのは相当でなく,当初から他の考査委員に配付されることを予定して作成された文書と見るべきであり,また,口述試 験の実施の準備に際しての参考資料として利用することを前提に,作成者以外の他の考査委員に配付されたものであって,配付を受けた他の考査委員の多くも,これを参考資料として利用して,自らが口述試験の際に使用するための手控えとなる想定問答等を作成していることが認められる。したがって,本件問答案は,自己専用文書と認めるのは相当でなく,組織共用文書と認めるべきである。 なお,不要となった本件問答案については,個々の考査委員の判断で処分されていることが認められるが,これは,本件問答案が各考査委員の手控え作成のための参考資料にすぎないこと,各考査委員が口述試験の実施を終了した時点でその文書としての役割を終えること,口述試験合格者の決定により考査委員の任期が終了することなどの特質から,このような取扱いがされていると考えるべきであって,この点を考慮に入れても,本件問答案を組織共用文書と認めるべきであるという結論に変わりはない。 (ウ)これに対して,被告は,口述試験については,法令上も,試験の性質上からも統一的な発問が要求されておらず,発問,出題及び採点は実,,質的に各考査委員の裁量にゆだねられていることから口述試験の発問 これに対して,被告は,口述試験については,法令上も,試験の性質上からも統一的な発問が要求されておらず,発問,出題及び採点は実,,質的に各考査委員の裁量にゆだねられていることから口述試験の発問出題又は解答について,考査委員が組織的に利用するものとしての何らかの文書を作成すること自体観念することはできないとし,1人の考査委員が作成した本件問答案が他の考査委員に交付されることはあるが,そのような本件問答案については,司法試験委員会や考査委員会議等による指示,関与等はされておらず,これを作成した考査委員は,他の考 査委員がこれを用いて発問することを予定して作成し,交付したものではなく,交付を受けた考査委員にとっては,せいぜい,自らが行う発問の準備として作成する想定問答等の資料作成のための一資料にすぎず,保存又は管理の方法としても,本件問答案は人事課において保存又は管理がされておらず,組織として用いる文書として組織的な保存又は管理がされているものではないなどとして,本件問答案が組織共用文書であることを否定する。 確かに,口述試験については,法令上も,また,試験の性質上も,統一的な発問が要求されておらず,考査委員は,同一テーマに基づくことなく,独自のテーマについて出題をする権限を有している。しかしながら,既に認定判断したとおり,平成12年度以降の口述試験では,原則として,同一テーマに基づく出題がされることとなっており,同17年度の口述試験においては,各科目において,5人ないし7人の考査委員が,他の考査委員に配付することを前提に,各テーマに基づく本件問答案を作成して,これを他の考査委員に配付しており,配付を受けた考査委員の多くは,これを基に自らの手控えを作成して口述試験の発問に用いているのであって,このような事実関係の下では,口述試験 く本件問答案を作成して,これを他の考査委員に配付しており,配付を受けた考査委員の多くは,これを基に自らの手控えを作成して口述試験の発問に用いているのであって,このような事実関係の下では,口述試験においては統一的な発問が要求されていないこと,各考査委員は配付を受けた本件問答案の利用を強制されないこと,仮に本件問答案を利用する場合であっても各考査委員がする発問の準備のための一資料にすぎないこと,また,本件問答案の作成,配付,利用,保存等について司法試験委員会や人事課等の関与がないことをもって,本件問答案の組織共用文書とし ての性質を否定する根拠とすることはできない。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 (2)以上によれば原告が開示を求めている文書である本件問答案は情報公,,開法2条2項にいう「行政文書」に該当するというべきである。 本件不開示文書に記録されている情報が情報公開法5条6号柱書きの非開示情報に該当するかについて(争点(2))(1) 証拠 乙11から15まで及び弁論の全趣旨によると以下の事実を認(),めることができる。 ア現在,大手とされている司法試験予備校が数校あり,これらの司法試験予備校は,論点ごとに判例や学説を要領よく整理して,設問やその解答を記載した教材や,過去の試験問題や想定問題とそれらの解答例を集めた問題集などを編さんしており,これらを使用して受験指導を行っている。また,司法試験に関する情報を掲載した受験情報誌等も発刊している。 口述試験についても,試験終了後,試験における考査委員と受験者との問答の内容を再現し,考査委員の氏名が判明した事例についてはその実名を明らかにして,受験情報誌に掲載するなどしており,問答の内容が批評や分析の対象とされている。 ,,,。 イ現在 受験者との問答の内容を再現し,考査委員の氏名が判明した事例についてはその実名を明らかにして,受験情報誌に掲載するなどしており,問答の内容が批評や分析の対象とされている。 ,,,。 イ現在受験者の多くは司法試験予備校に通って受験勉強をしているこれらの受験者の多くは,受験勉強の開始の当初から,司法試験予備校が,。 編さんした前記教材を読み論点ごとの判例や学説の状況を記憶していくそして,それが終わると,過去の試験問題等を集めた問題集を読んで,解答例を記憶していくという勉強方法を採っている。このように,現在の受 験者には,論点及び解答例暗記型の勉強方法を採っている者が多いのが実情のようである。 ウ考査委員からは,ここ数年の論文式試験の答案について,①表面的,画一的,いわゆる金太郎飴的な答案が多い,②同じような表現のマニュアル化した答案が非常に多い,③答案のパターン化が進んでおり,同じ間違いをしている答案が多いなどの指摘がされている。 これは,受験者の多くが,前記のような論点及び解答例暗記型の勉強方法を採っており,自分の頭で論理を構成したり,説得的な論述を工夫したりすることなく,覚えた知識を吐き出すだけの答案作成方法を採っていることが原因と考えられる。このような画一的答案の増加のため,受験者の能力判定が年々困難になってきており,合格者数の増加ともあいまって,合格者の質の低下を来しているとの認識が考査委員に共通のものとなっている。 このような事態への対処として,考査委員の側でも,出題や採点に当たっては,様々な工夫をしており,種々の法律上の問題点を有機的に組み合わせ,全体としての論述構成に工夫を要するような問題を作成したり,また問題にヴァリエーションを持たせるためになお○○の場合はどう,,「,かなどの付加問を付ける の問題点を有機的に組み合わせ,全体としての論述構成に工夫を要するような問題を作成したり,また問題にヴァリエーションを持たせるためになお○○の場合はどう,,「,かなどの付加問を付けるなどしているしかし上述のとおり多数の。」。 ,,受験者が論点及び解答例暗記型の答案を作成するため,せっかくの出題の工夫が生かされていないのが現状であり,付加問についても,司法試験予備校の指導等に従ってこれを無視する受験者が少なくないとの指摘がある。 エ口述試験についても,論文式試験と同様にパターン化が顕著であるとされており,考査委員からは,①典型的な論点については答えることができるが,少し応用的な問題については,全く答えられない者が多い,②一般の基本書には書かれていないような内容を,一言一句違わずに述べる受験者が増加している,③自分自身で考えているのではなく,暗記している知識をいかに出すかということのみに終始している者が多いなどの指摘がされている。 しかしながら,口述試験は,論文式試験とは異なり,考査委員と受験者が対面して行われるものであるから,考査委員において,あらかじめ用意した設問のみについて質問をするのではなく,受験者の解答の内容を踏まえて,更に応用的な問題について尋ねたり,判例の立場と異なる反対説に,。 ついて尋ねたり根拠や理由を尋ねるなどの工夫をすることが可能であるそして,実際にも,各考査委員は,このような方法によって,単なる表面的な知識ではなく,受験者の真の理解力や思考力等を評価し,その結果として,法曹としての適格性を判断するという口述試験の目的が達成されている。 (2)前記認定事実を踏まえ本件問答案を開示した場合に司法試験の実施事,,務の適正な遂行に支障を及ぼす影響があるか否かについて,検討する。 性を判断するという口述試験の目的が達成されている。 (2)前記認定事実を踏まえ本件問答案を開示した場合に司法試験の実施事,,務の適正な遂行に支障を及ぼす影響があるか否かについて,検討する。 ア前記認定事実のとおり,口述試験については,試験終了後,試験における考査委員と受験者との問答が再現され,受験情報誌等に掲載され,批評又は分析の対象とされている。したがって,本件問答案が開示されることになると,被告の主張するように,口述試験の出題に関する事項が部分的 に明らかになった上,司法試験予備校関係者や受験生に対し,短時間のうちに広く知れ渡ることが十分に予想される。 そのような事態となった場合には,開示された本件問答案の表面的な文言にとらわれ,考査委員の発問の真意,問答の文脈等の要素を考慮することなく,本件問答案があたかも唯一の正解であったかのように誤解し,本件問答案をうのみにして無批判に勉学の指針とするなどの風潮が受験者の間に一層広がり,既に筆記試験において問題化している模範解答例丸暗記型学習への依存や,これによる画一的な,又はマニュアル的な回答の頻出といった悪しき現状に拍車がかかるばかりか,さらには,考査委員による発問の流れや組合せのパターン等が分析されることにより,多様な質問とその組合せをもって受験者本来の理解力や思考力等を測ろうとする発問者の意図を少なからず阻害するおそれがあるといわざるを得ない。 イなお,証拠(乙15)によると,東京地裁判決に係る事案は,同事件の原告が,旧行政機関個人情報保護法13条1項に基づき司法試験第2次試験ファイルに記録された自己の試験成績等の処理情報の開示を求めたのに対し,当時の司法試験管理委員会委員長が,開示を求められた情報のうち論文式試験及び口述試験の科目別得点,総合得点及び総合順位等について ファイルに記録された自己の試験成績等の処理情報の開示を求めたのに対し,当時の司法試験管理委員会委員長が,開示を求められた情報のうち論文式試験及び口述試験の科目別得点,総合得点及び総合順位等については,不開示情報である同法14条1項1号ニ(開示することにより,学識技能に関する試験等の事務の適正な遂行に支障を及ぼすもの)及び同項3号(開示することにより,個人の生命,身体,財産その他の利益を害するもの)に該当するとして不開示としたところ,原告が同処分の取消しを求めたものであり,判決は,それらの不開示情報のうち,口述試験の総合順 位のみについて,口述試験においては,解答の画一化やパターン化の進行によって受験者の能力判定が困難になり,選抜機能が低下するという現象が現に生じているとは認め難く,さらに,仮に科目別得点が開示されることになったとしても,口述試験の選抜機能が損なわれるとは考え難く,これを認めるに足りる証拠はないとして,不開示処分を取り消したものであることが認められる。 しかしながら,仮に,本件問答案を開示した場合には,これによって生じる受験者の回答の画一化やパターン化の程度は,口述試験の総合順位の開示の場合に比して格段に高くなると考えられる上,これに加えて,前記のとおり,考査委員による発問の流れや組合せのパターン等を分析するための重要な手がかりを司法試験予備校関係者や受験生に与えてしまうことになるのであって,その結果,多様な質問とその組合せをもって受験者本来の理解力や思考力等を測ろうとする発問者の意図が阻害されるおそれがあるというべきであるから,口述試験の総合順位と本件問答案を同列に論じる原告の主張は失当である。 ウしたがって,司法試験の実施という事務の性質上,本件問答案を開示すると,司法試験の実施事務の適正な遂行に支障を及ぼ あるから,口述試験の総合順位と本件問答案を同列に論じる原告の主張は失当である。 ウしたがって,司法試験の実施という事務の性質上,本件問答案を開示すると,司法試験の実施事務の適正な遂行に支障を及ぼす影響があることが認められるから,本件問答案は,情報公開法5条6号柱書きに該当するというべきである。 エなお,被告は,本件問答案が公開された場合には,当該年度の口述試験においては,本件問答案に基づいた「出題」がされたものと誤認され,仮に,不正確な記述が存在した場合には,そのような不正確な「問題」に基 づく口述試験の在り方,選抜機能そのものに対し,いわれのない批判を招,,,来するおそれがあるとした上でそのような批判や批判に至らなくとも自らの出題に関する検討の過程を知られることを避けたいという気持ちから,考査委員が口述試験の実施に当たっての手控えとしての問答案を作成することに対する萎縮効果が働き,各考査委員は何らの手控えもなく口述試験に臨まなければならないという不合理な事態が出来しかねない旨主張する。 しかしながら,公開された本件問答案に誤りがあった場合には,そのような誤りのある本件問答案に基づいて実際の発問がされた可能性があるから,そのような本件問答案に対する批判を「いわれのない批判」ということはできず,また,本件問答案が公開されることが,直ちに各考査委員が作成する手控えとしての問答案を作成することに対する萎縮効果を招くことになるとは考えられないから,被告の上記主張は採用することができない。 (3)アこれに対して,原告は,該当文書不存在を理由とする不開示決定と不開示事由該当を理由とする不開示決定とは,処分の同一性を欠くので,本件不開示処分をいったん取り消すべきである旨主張する。 しかしながら情報公開法9条2項は行政機関の長は を理由とする不開示決定と不開示事由該当を理由とする不開示決定とは,処分の同一性を欠くので,本件不開示処分をいったん取り消すべきである旨主張する。 しかしながら情報公開法9条2項は行政機関の長は開示請求に係,,「,る行政文書の全部を開示しないとき(前条の規定により開示請求を拒否するとき及び開示請求に係る行政文書を保有していないときを含むは開。),示をしない旨の決定をし,開示請求者に対し,その旨を書面により通知しなければならないと規定しているこれによれば開示請求に係る行政。」。 , 文書に不開示情報が記録されているときであっても,行政機関が行政文書を保有していないときであっても,いずれも「開示をしない旨の決定」がされることになるから,いずれの場合であっても処分は同一であるというべきであり,原告の上記主張は採用することができない。 イまた,原告は,①本件問答案のうち,既に開示されているパネルと同じ内容が記載されている部分については,不開示事由に該当しない,②口述試験の問題は各司法試験予備校が再現しており,その再現内容が本件問答案とほぼ一致する場合には,最高裁平成14年判決に照らし,本件問答案を不開示とする必要はない,③本件問答案は,その記載形式は特に定められておらず,その中には,公認会計士第3次試験口述試験の問題要旨集と同形式の,一問一答式でない形式で記載されているものもあり得ると考えられるから,そのような場合には,不開示にする必要がないとして,個々の記載内容,記載形式を入念に確認し,部分開示の可能性がないかも含めて,不開示事由該当性を精査しなければならないところ,上記①から③の点は確認することができない旨主張する。 しかしながら,不開示情報を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは部分開 て,不開示事由該当性を精査しなければならないところ,上記①から③の点は確認することができない旨主張する。 しかしながら,不開示情報を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは部分開示の対象とならないとされているところ情,(報公開法6条1項ただし書本件対象文書のうち既に開示されているパ),,ネルと同じ内容が記載されている部分については,これを開示することに有意性を認めることはできないから,部分開示の対象とならないと認める。 ,,,のが相当であるまた前記認定事実のとおり実際の口述試験の発問は本件問答案を参考資料として各考査委員が作成した手控えに基づいて行わ れるものである上,考査委員の発問に対する受験者の応答に応じて,更に発問が発展していく形で進められるものであるから,各司法試験予備校による再現内容が本件問答案と一致するとは考え難い。さらに,前記認定事実のとおり,司法試験の口述試験の問答案は,公認会計士第3次試験口述試験の問題要旨集とは異なり,出題及びこれに対して予想される解答が記載されたものと認めるのが相当である。 したがって,原告の上記主張はいずれも採用することができないというべきである。 ウさらに,原告は,法務大臣は本件問答案を閲覧しないまま,不開示事由該当性の判断を行ったことになるとし,不開示決定をするためには,処分庁は対象文書を閲覧しなければならず,閲覧しないままの不開示決定は違法であると主張する。 しかしながら,文書開示請求を受けた行政庁が,文書の性質上,内容を確認しなくとも,行政文書に当たらないこと又は法の定める不開示理由に該当することが判断し得る場合にまで,文書の内容を確認する義務があると解することはできないから,当該行政庁が文書の内容を確認することなく不開示決定をしたとしても,当該 こと又は法の定める不開示理由に該当することが判断し得る場合にまで,文書の内容を確認する義務があると解することはできないから,当該行政庁が文書の内容を確認することなく不開示決定をしたとしても,当該不開示決定に違法があるということはできず,原告の上記主張は,失当というべきである。 本件不開示決定について理由不備の違法があるかについて(争点(3))(1)原告は本件不開示決定の理由付記が物理的不存在か行政文書非該当か,,不明であるとして,本件不開示決定は,情報公開法9条及び行政手続法8条違反として取り消されるべきである旨主張する。 (2)行政手続法8条1項本文は行政庁は申請により求められた許認可等を,「,拒否する処分をする場合は,申請者に対し,同時に,当該処分の理由を示さなければならないと規定しこれを受けて同条2項は前項本文に規定。」,,,「する処分を書面でするときは,同項の理由は,書面により示さなければならないと規定しているしたがって行政機関の長は情報公開法9条2項。」。 ,,に基づき「開示をしない旨の決定」をし,その旨を書面により通知する場合は,その理由を書面により示さなければならないこととなる。 ,,,そして付記すべき理由を示す場合には理由の提示が求められる理由は行政庁の判断の慎重と合理性を担保することによるし意の抑制及び処分の相手方の不服申立てにおける便宜との点にあると解されることにかんがみ(最高裁昭和36年(オ)第409号同37年12月26日第二小法廷判決・民集16巻12号2557頁,最高裁昭和36年(オ)第84号同38年5月31日第二小法廷判決・民集17巻4号617頁参照開示請求者において当),,該不開示決定がされた理由が,開示請求に係る行政文書を保有していないためで 最高裁昭和36年(オ)第84号同38年5月31日第二小法廷判決・民集17巻4号617頁参照開示請求者において当),,該不開示決定がされた理由が,開示請求に係る行政文書を保有していないためであるのか,あるいは,当該行政文書に不開示情報が記録されているためであるのか,非開示情報が記録されているためであるときには,情報公開法所定の非開示事由のいずれに該当するのかをその根拠とともに了知し得るものでなければならないと解するのが相当である(最高裁平成4年(行ツ)第48号同年12月10日第一小法廷判決・裁判集民事166号773頁。 ),,(),(3)そこでこの点について見るに前記前提事実及び証拠甲3によると不開示決定通知書には本件問答案を不開示とした理由について上記(1)な,,「いし(3)の資料は行政文書として作成又は取得しておらず保有していない,, ため」と記載されていることが認められる。 。 ,,,かかる理由付記について原告は本件問答案が物理的に存在していないあるいは本件問答案は物理的には存在するが行政文書に該当しないと,,「」いう2つの意義の解釈が可能であるとして,このような多義的な理由の付記は,求められる理由付記としては不十分である旨主張する。 (4)確かに開示請求に係る行政文書を保有していないことを理由に不開示決,定をする場合には,①請求に係る文書を作成し,又は取得していない,②請求に係る文書が保存期間の満了等により廃棄された,③請求に係る文書が組織共用文書に当たらないなどの場合があり,前掲の最高裁平成4年判決の趣旨に照らせば,不開示決定に際して,このような具体的な理由を明らかにすることが望ましいというべきである。 しかしながら,これらのいずれの場合についても,情報公開法9条2項括弧 最高裁平成4年判決の趣旨に照らせば,不開示決定に際して,このような具体的な理由を明らかにすることが望ましいというべきである。 しかしながら,これらのいずれの場合についても,情報公開法9条2項括弧書きの「開示請求に係る行政文書を保有していないとき」に当たるのであるから,当該行政文書を保有していない理由を具体的に明らかにすることまで,法律上要求されていると解することは困難である。 さらに,本件においては,当初から原告が開示請求をしていた文書が,本件問答案のみであるのか,それとも,本件問答案のほかに,各考査委員が自ら使用するために作成した手控えも含まれるのかが,必ずしも明らかでなかった上甲1弁論の全趣旨により認められる前記認定事実のとおりこ(,。),,れらの文書は,人事課において作成し,又は取得しておらず,殊に各考査委員が作成した手控え等については,各考査委員ごとに作成の有無又は内容が異なり,また,それぞれの時点での保管の有無も個々に異なるもので,開示 請求のあった時点で200名を超える考査委員に対し個別にその作成の有無等につき確認することは極めて困難である上,口述試験の特性にかんがみ,考査委員の独立性の要請から,これを確認すべきでないと人事課の側において考えたことにも,相当の理由があるというべきである。 (5)上記の諸点を総合すると開示請求の対象とされた口述試験の問題及,「」び「手控え」は,行政文書としては存在しないが,行政文書以外の文書としての存否は明らかでなく存在はするが行政文書ではないと記載すること,「。」もできないものであり行政文書として作成又は取得しておらず保有して,「,いない」との記載が最も適切と考え,不開示決定通知書にその旨記載したことには合理性があるということができるから,本件不 」もできないものであり行政文書として作成又は取得しておらず保有して,「,いない」との記載が最も適切と考え,不開示決定通知書にその旨記載したことには合理性があるということができるから,本件不開示決定の理由付記には違法がないというべきであり,原告の主張は失当である。 第4 結論 以上のとおり,本件訴えは不適法であるから,これを却下することとし,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部裁判長裁判官杉原則彦裁判官市原義孝 裁判官島村典男
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