昭和25(オ)109 建物明渡請求

裁判年月日・裁判所
昭和26年12月25日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 福岡高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人等の負担とする。          理    由  上告人A1、同A2代理人堤千秋の上告理由は、末尾に添えた書面記載のとおり で

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判決文本文4,188 文字)

主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人等の負担とする。 理由 上告人A1、同A2代理人堤千秋の上告理由は、末尾に添えた書面記載のとおりである。 上告人理由第一点について。 所論は、原判決が、賃貸借解約の申入について賃貸人に正当の事由があるかどうかを判断するに当つて、証拠なくして事実を認定し、審理不尽、理由不備の不法があると非難するのに帰するのであるが、その論拠の一として、被上告人等が原判決認定のような生活に窮した事実があつたにしても、被上告人の実父母であるD、E並びに親権を行う母F、また叔父Gらの親戚がいるのであるから、これらが救済すべきものであると主張するが、このような主張は、法律上何ら根拠がないばかりでなく、この論を推し進めると、人が種々の事情から、経済上窮迫に陥つたとき、自分の所有家屋があつても、たまたま他人に賃貸してある場合は、常にこれには手をつけず、先ず親族らの救助を受けて切り抜けなければならないこととなり、社会通念からいつても、一般的に当はまるかかる道義的責任ありとは認められない。 次にまた、論拠として、原判決の認定のように被上告人の借金等を支弁するため、本件の建物二棟の外なお別件として明渡訴訟を提起している殆んど町様の建物二棟までを、これに引当てなければならないとすれば、この四棟の建物の価格を、空屋として、また賃借権附として、いくら位になるかを審理しない限り、単なる臆測に過ぎないと主張するが、上告人は、原審においてこのような主張をしていないから、原審がこれについて判断をしていないのは当然であり、従つてかような主張は、この点ですでに理由がない。また原判決は、証拠によつて、被上告人が、「他に賃貸- 1 -中の本件家屋二棟を含めての貸家四棟を、他に売却して調達する をしていないのは当然であり、従つてかような主張は、この点ですでに理由がない。また原判決は、証拠によつて、被上告人が、「他に賃貸- 1 -中の本件家屋二棟を含めての貸家四棟を、他に売却して調達する以外には、その自滅を避け得る方途を見出し難いまでの窮地に追いつめられている」と認定しているのであるから、更に四棟の建物を評価し、審理をしなければならないものではない。 さらに論拠として、上告人らは、本件家屋を戦時中から借り受けていたので、互に協力して空襲よりこれを守り今日に至つたのであるから、原判決は、本件建物が従来から賃貸されていたものでないことを審理確定しない限り、空屋として売却することができる理由が不明であつて、原判決のとおりであれば、被上告人は本件家屋を空家として売却することにより、不当に利得することとなると主張するが、上告人らが戦時中協力して本件建物を空襲より守つたということは、主として、人間の自己保存の本能と、当時の社会的責務から出た行為であつて、その結果として被上告人にも大きな利益をもたらしたとはいえ、これをもつて直ちに、上告人らが法律上主張することができる権利利益とは考えられない。また論旨のように解すると、貸家として賃貸されている建物は、空屋として売却するときは、常に賃貸人たる所有者に不当な利益を与えることとなり到底理由ありとは認められない。さらにまた論拠として、原判決は、賃借居住者がいては買手がつかない現状であるため、本件建物の明渡を求めるのやむなきに至つたと認定しているのは、上告人らに不当に責任を転嫁するものであると主張するが、貨借入の居る家屋は売却するのに、空屋より遥かに困難であることは、わが国の現状においては一般的に公知の事実であると見て差し支えなく、他方原判決は、被上告人が直面している経済的危難を免れるため、選び得る 入の居る家屋は売却するのに、空屋より遥かに困難であることは、わが国の現状においては一般的に公知の事実であると見て差し支えなく、他方原判決は、被上告人が直面している経済的危難を免れるため、選び得る唯一つの最後の方策として、家屋を売却するのやむなきに至つたと認定しているのであつて、特に上告人らに対し、一般的に借家人の現住する家屋が買手がつかないという事実の責任を転嫁しているのではない。また論旨が、原判決が、本件建物について、被上告人が明渡を求めるのやむなきに至つたことを、上告人らの責任としていると非難するのであれば、責任はともかくとして(原判決は責任な- 2 -どとはいつていない)、調停の不成立、買取交渉の不調等の事実は、反対証拠がない限り、被上告人の証拠によつて、判示のように認められてもやむを得ないであろう。 以上のとおりであつて原判決には、何ら所論のような欠点はなく論旨はいずれも理由がない。 同第二点について。 原判決が、上告人A1が家族数も少く、本件借家の二階を訴外人に転貸している事実をもつて、上告人が必ずしも本件家屋のような広さ構造の家を一家のため必要とするわけでないと認定していることに対し、上告人は、これは余裕住宅税が賦課されるようになつたためやむを得ない事情であつたと主張するが、この点については、上告人の立証がないばかりでなく、余裕住宅税の賦課は、当然に転貸を正当ならしめるものでもなく、また余裕住宅税の賦課のため訴外人に転貸したということは、却て上告人の本件借家に、転貸する余裕ある間数があつたと認められないことはない。また上告人は家族数の少ないことは、他に転住することが可能であると認められない限り、当然に明渡が可能であると推認することはできないと主張するが、家族数の少いこと(上告人の場合三人、借家は八畳二間四畳二間三畳 人は家族数の少ないことは、他に転住することが可能であると認められない限り、当然に明渡が可能であると推認することはできないと主張するが、家族数の少いこと(上告人の場合三人、借家は八畳二間四畳二間三畳一間)は、多い場合より、転住について困難さが少ないことは、今日の社会常識であり、裁判所に顕著の事実でもあるから、上告人の主張は理由がない。 上告人A2についての原判決の認定に対し、論旨は、上告人A2が本件家屋の買取を申出でたのにかかわらず、被上告人において取あわず、単に明渡を求めているのであり、かくして買取方の交渉、明渡調停の不成立等の責任を全部上告人に転嫁していると非難しているが、この点は、第一点の末段に説示したとおりであつて、原判決の「遂に控訴人側をして円満解決を断念させるの羽目に追い込んだのであつた」と認定したのは、反対の証拠のない限り相当であるといわなけれはならない- 3 -上告人は、被上告人が、佐世保市及び福岡市に貸地貸家を有し、本件建物が被上告人の唯一の財産ではないのに対し、上告人等が転住する建物もなく、福岡市の住宅難が解消していないことは実験則上明らかであるから、両者の立場を比較して考えても、被上告人が直面している経済的危難を免かれるため選び得る唯一つの最後の方策とは考えられないと主張するが、仮に、被上告人には、上告人主張のように、佐世保市に賃貸してある他人と共有の土地があること、及び佐世保市に二軒福岡市に二軒の貸家があることが認められるとしても、原審が証拠調を行つて、所論の財産についても、書証と証人によつて充分な検討を遂げたことは、記録上認められるところであつて、これを本件家屋明渡しの事情と具に比較考量した上、判示のような認定ができないことはないから、その間に違法を認めることはできない。所論の、福岡市における住宅難は実験 、記録上認められるところであつて、これを本件家屋明渡しの事情と具に比較考量した上、判示のような認定ができないことはないから、その間に違法を認めることはできない。所論の、福岡市における住宅難は実験則上明らかであるという主張は、仮りに然りとしても、かかる事情は、全国の戦災都市を通じて、なお且つ相対的な事情であることも実験則上明らかであり、その程度によつて、被上告人の本件家屋明渡しの事情と軽重難易を比較する場合の考量の因子たるべきものに過ぎない。従つて、原判決の認定をもつて、実験則に反するものと断ずることはできない。本件において、上告人側においても、住宅難の現状からいつて、本件建物を明渡すことは相当に困難であることは、原判決が、「賃借居住者である被控訴人等の犠牲もさることながら」と認定している点からも、うかがえるところである。しかし、原判決の認定した被上告人のように、賃貸人が、戦災者で且つ学業中の未成年者であり、その家族は、祖母だけで消費一方の存在である場合、多額の諸税金の納付、学資、家計費の調達等のため、現在賃貸している家屋明渡しを求めて処分する以外に方法がないと認められるときは、他方、賃借人の家族の数並びに職業と家屋との関係、賃借人の家屋買取についての態度条件及び賃借人の家屋明渡の調停についての態度条件、転住の困難の程度等を精査し、これを賃貸人の事情と比較考量した上、なお且つ賃貸人が直面し- 4 -ている経済的危難を免れるたみには、その家屋の明渡しを求め、これを処分することが、唯一つの方策であることが認められる場合は、借家法一条の二にいわゆる正当の事由ある場合に該当すると認めなけれはならない。よつて論旨は理由がない。 同第三点について。 所論は、原審において主張しなかつた事実であるのみならず、本件の場合は、被上告人の母が当時行方不 正当の事由ある場合に該当すると認めなけれはならない。よつて論旨は理由がない。 同第三点について。 所論は、原審において主張しなかつた事実であるのみならず、本件の場合は、被上告人の母が当時行方不明で親権を行う者がなかつたため、旧民法下の後見人が、民法八七四条、六五四条により、代理権を行使しているのであつて、その間になんら違法はない。 同第四点に一ついて。 本件における後見人Eの代理権は、前説示のように、なんら瑕疵はないのであるから、所論はすでに理由はない。 よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い主文のとおり判決する。 右は裁判官全員一致の意見である。 最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官井上登裁判官島保裁判官小林俊三- 5 -

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