令和6年5月24日宣告令和4年(わ)第492号 主文 被告人を懲役11年に処する。 理由 (罪となるべき事実)第1 被告人は、酒気を帯び、呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する状態で、令和4年9月11日午前8時27分頃、茨城県高萩市ab番地のc付近道路において、普通乗用自動車を運転した。 第2 被告人は、前記日時頃、前記車両を運転し、前記場所先の道路標識により最 高速度が50キロメートル毎時と指定されている左方に湾曲する上り勾配の道路を同市d方面から同市e方面に向かい進行するに当たり、先を急ぐため、その進行を制御することが困難な高速度である時速約106キロメートルで自車を走行させたことにより、自車を道路の湾曲に応じて進行させることができず、自車を対向車線に進出させ、折から、対向進行してきたA(当時53歳)運転 の普通乗用自動車前部に自車前部を衝突させ、よって、同人に外傷性くも膜下出血、頭蓋底骨折等の多発外傷の傷害を負わせ、同日午前9時41分頃、同県日立市f町g丁目h番i号株式会社BC病院において、同人を前記傷害により死亡させ、同人運転車両の同乗者D(当時79歳)に、外傷性気胸、右下腿多発開放骨折等の多発外傷の傷害を負わせ、同日午前9時48分頃、前記病院に おいて、同人を前記傷害により死亡させた。 (証拠の標目)記載省略(法令の適用)記載省略(量刑の理由)被告人は、制限速度の倍以上の高速度で見通しの悪いカーブを走行し、曲がり切 れずに対向車両と正面衝突して、何ら落ち度のない被害者2名を死亡させており、 その運転の態様は無謀かつ危険であって、生じた結果は取り返しのつかない重大なものである。草野球の試合に間に合わせるた れずに対向車両と正面衝突して、何ら落ち度のない被害者2名を死亡させており、 その運転の態様は無謀かつ危険であって、生じた結果は取り返しのつかない重大なものである。草野球の試合に間に合わせるためという身勝手な理由から、前夜の飲酒により体内にアルコールが残っている可能性を認識しつつ運転を開始し、事故現場に至るまでも高い速度で走行していながら、速度メーターは見なかったなどというのであって、速度に全く意を払わず、交通の安全に対する意識に欠けた被告人の 態度は無責任というほかなく、強い非難に値する。こうした事情、とりわけ2名の被害者を死亡させたという結果の重大さに照らせば、本件は、高速度の類型で、処断罪と同一又は同種の罪が2件ないし4件ある危険運転致死の事案の中でも、かなり重い部類に属するというべきである。 以上に加え、被告人が任意保険に加入しておらず、遺族に対する損害賠償には相 当長い期間を要すると見込まれるものの、これまでに損害賠償の一部として500万円を支払い、遺族の意向に沿って70万円を飲酒運転撲滅の活動を行う団体に寄付したこと、遺族が公判で複雑な心情を吐露し、温情は求めないが厳罰も求めないとして被告人に対する適正な処罰を希望していること、雇用主が更生への協力を約していること、被告人が自筆の謝罪文を作成し、公判でも謝罪と反省の弁を述べて いることなどの事情も考慮し、主文の刑を量定した。 (求刑懲役14年)令和6年5月24日水戸地方裁判所刑事第1部 裁判長裁判官有賀貞博 裁判官溝口千恵 裁判官宮澤裕登 裁判官 溝口千恵 裁判官 宮澤裕登
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