令和6年第1181号、第1613号死体遺棄、保護責任者遺棄被告事件令和6年12月19日千葉地方裁判所刑事第2部判決 主文 被告人を懲役2年6月に処する。 この裁判確定の日から4年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、第1 令和6年5月30日午前9時20分頃、千葉県市川市(以下略)被告人方において女児を出産したものであるが、同児の母親として、同児の出産後、同児の体温を適切に保つため、同児の身体をタオル等でくるむなど、同児の生存に必要な処置を講ずるとともに、同児の泣き声が弱かった上、同児が泣き声をあげなくなるなどの状況があったことなどから、119番通報するなどして同児に適切な医療措置を受けさせるなど同児の生存に必要な保護をすべき責任があったにもかかわらず、その頃から同年6月1日頃までの間、出生直後の同児を裸のまま、ベッドに寝かせるなどして同児の生存に必要な処置を講じず、かつ、出産後、119番通報するなどして同児に適切な医療措置を受けさせることなく同児を前記被告人方に放置し、もって幼年者かつ病者である同児の生存に必要な保護をしなかった第2 同日頃、前記被告人方において、被告人が同年5月30日頃に出産した女児の死体をタオル等で巻いてスーツケースに入れた上、自室のクローゼット内に入れてこれを隠匿し、もって死体を遺棄したものである。 (量刑の理由)被告人は、予期せぬ妊娠が判明したものの、家族等に相談することもないままに自宅で被害女児を出産した後、同児の存在を認識する唯一の存在であったにもかかわらず、出産直後の同児をしば (量刑の理由)被告人は、予期せぬ妊娠が判明したものの、家族等に相談することもないままに自宅で被害女児を出産した後、同児の存在を認識する唯一の存在であったにもかかわらず、出産直後の同児をしばらく裸のままベッドに寝かせるなどして適切な保温措置をせず、同児の泣き声が弱くなるなどした際にも119番通報等をせずに適切な医療措置を受けさせなかったもので、その態様は危険で悪質なものである。被告人が必要な保護をすれば、被害女児が今も生存していた可能性も相応にあると認められ、その生存可能性を奪った結果は重い。被告人は、家族等に相談するなど容易に取りうる手段があったにもかかわらず、自己の都合を優先し、問題を先送りして適切な対処をすることのないままに本件に至ったもので、その身勝手かつ無責任な犯行経緯に酌量の余地はない。また、被告人は、同児の死後にも適切な対処をすることのないまま、交際相手との約束を優先し、その死体を、死臭が漏れて発覚するのを防ぐための保冷剤とともにスーツケースに入れた上で自室のクローゼットに隠匿しており、その犯行は社会一般の宗教的感情を害する悪質なものである。 以上によれば、被告人の刑事責任は重い。 しかしながら、他方、被告人が本件各犯行を認めて反省の態度を示していること、被告人に前科前歴はないこと、被告人の母が公判廷でその監督を誓っていることなど、被告人のために酌むべき事情も認められるので、主文の刑を科した上、その執行を猶予して社会内での更生の機会を与えるのが相当と判断した。 (求刑懲役2年6月)(裁判官一場修子)
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