平成13(行ケ)554

裁判年月日・裁判所
平成14年7月11日 東京高等裁判所
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平成13年(行ケ)第554号審決取消請求事件平成14年5月9日口頭弁論終結判決原告テクサ株式会社訴訟代理人弁護士保持清同弁理士井ノ口壽被告奈良恵友堂有限会社訴訟代理人弁護士吉井昭同金本恒二郎同檜山洋子同弁理士大西孝治同大西正夫 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告特許庁が取消2000-31502号事件について平成13年10月30日にした審決を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 2 被告主文と同旨第2 前提となる事案等 1 特許庁における手続の経緯被告は,登録第3045609号商標(平成4年9月17日登録出願,平成7年5月31日設定登録。以下「本件商標」という。)の商標権者である。本件商標は,「天磁牌」の漢字を横書きしてなり,第21類「食器類(貴金属製のものを除く。)」を指定商品とする。原告は,平成12年12月14日,本件商標の登録を取り消すとの審決を求める審判請求をし,取消2000-31502号事件として審理されたが,平成13年10月30日「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決があり,その謄本は同年11月12日原告に送達された。 2 審決の理由本件審決の理由は,別紙審決書の写し(以下「審決書」という。)に記載のとおりである。要するに,原告は,審判請求の日 の審決があり,その謄本は同年11月12日原告に送達された。 2 審決の理由本件審決の理由は,別紙審決書の写し(以下「審決書」という。)に記載のとおりである。要するに,原告は,審判請求の日以前に継続して3年以上,商標権者である被告が指定商品についての登録商標である本件商標の使用をしていないとして,本件商標の登録を取り消すことを求めたものであるが,審決では,本件商標「天磁牌」を付した商品(以下「本件商品」という。)は,本件商標の指定商品である「食器類(貴金属製のものを除く。)」であることを否定することはできず,商標権者である被告は,本件審判の請求の登録の前3年以内に,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標をその指定商品である「食器類(貴金属製のものを除く。)」に属する飲み物を入れる容器について使用していたものであって,本件商標の登録は,商標法50条の規定により取り消すべきものではないとされたものである。 第3 原告主張の審決取消事由の要点 1 審決は,原告の主張を誤認した。 別紙審決書2ページ21~22行において,原告(請求人)の弁駁が「「磁石水」を作るため,永久磁石を用いた発泡剤を注入させ」と記載されているが,原告は,「磁石水を作るため,永久磁石を用い発泡剤を注入させ」と主張したのであり,現に,永久磁石と発泡剤は全く別物であり,永久磁石を用いた発泡剤なるものは用いられていない。審決は,主張を誤認し,本件商品の構造を現実の商品と異なるものとする認識に基づいてされたものである。 2 審決は,下記の点で認定,判断を誤り,本件商品が第21類のうちの「食器類(貴金属製のものを除く。)」に当たるとする誤りを犯した。本件商品の機能,用途,形状等から客観的,一般的に判断すれば,本件商品は,断熱保温特性を備えた容器であって,第21 が第21類のうちの「食器類(貴金属製のものを除く。)」に当たるとする誤りを犯した。本件商品の機能,用途,形状等から客観的,一般的に判断すれば,本件商品は,断熱保温特性を備えた容器であって,第21類でも「食器類」とは別の保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶などが属する商品群(以下「原告主張の商品群」ともいう。)に含まれるものである。 (1) 本件商品の機能本件商品は,磁化水を製造する機能を備え,磁化水を保温,保冷(断熱)保存する容器である。しかし,審決は,本件商品が飲用する液体の保温・保冷を目的とした断熱効果のある「携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶」などの飲食物を保存する容器の範ちゅうに属する商品であるとする事実を認めることはできないとしたが,これは誤りである。 (2) 本件商品の用途,形態などア持ち手について審決は,持ち手付きの容器であることを理由に食器であると誤認した。本件商品の持ち手は,食品保存容器である本件商品を移動させるために,また保存されている磁化水をコップなどに取り分けるために用いられるものである。本件商品の持ち手はポットの持ち手と酷似している。 イ飲み口について本件商品の飲み口は,雄ねじの設けられている外周と中間の段部と中央部からなり,ごつごつしており,ジョッキやコップの飲み口とは違い,経口摂取に適する形状ではない。むしろ,携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶などが属する商品群のうち,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶の口の形状に酷似するものである。 ウ容量について本件商品は,内容を食器などに取り分けるに十分な300ミリリットルの容量を持っている。 エ蓋の形状について本件商品の蓋は,ねじ結合されており,審決がビールジョッキの蓋 ウ容量について本件商品は,内容を食器などに取り分けるに十分な300ミリリットルの容量を持っている。 エ蓋の形状について本件商品の蓋は,ねじ結合されており,審決がビールジョッキの蓋や湯飲み茶碗の蓋と同様な機能を持つものと認定したのは誤りである。むしろ,ねじで結合する保存びんなどの形状に似ている。 オ蓋の構造,目的(断熱機能,保温機能)について本件商品の蓋には,ポリウレタン製の杯蓋保存層があるのであり,これが蓋に断熱機能を与えている。なお,被告が本件商品として提出したものの蓋(検乙第1,2号証)には,ポリウレタンが存在しないが,それでも空気が入っており,空気の特性から断熱効果を有するものである。この蓋は,保温・保冷する断熱効果を上げる目的で用いられている。審決は,この断熱効果を看過し,「本件商品が蓋付きであることは,・・・ほこりや異物の混入,蒸発,こぼれを回避するためのものであり,液体を保温・保冷する(断熱効果を上げる)目的ではないものと認められる。」としたが,誤りである。 カ被告による商品の表示について審決は,被告が本件商品を「杯」「CUP」と表示して販売している事実を理由に挙げて本件商品が食器類に当たると認定しているが,誤っている。商品区分は客観的な基準であり,恣意により決まるものではない。 第4 被告の反論の要点 1 原告は,審決が主張を誤認したなどというが,審決が主張を誤認していないこと及び本件商品の構造を現実の商品どおり正しく認識していることは,審決の該当部分の前後脈絡から明らかである。 2 本件商品がどの商品群に属するかについては客観的,一般的に判断すべきものであり,本件商品が食器類(貴金属製のものを除く。)であることを否定することができないとした本件審決の認定は正当である。 (1) 本件 がどの商品群に属するかについては客観的,一般的に判断すべきものであり,本件商品が食器類(貴金属製のものを除く。)であることを否定することができないとした本件審決の認定は正当である。 (1) 本件商品の機能本件商品は,機能,形態に照らしても,本件商標の指定商品である食器類(貴金属製のものを除く。)に含まれる。本件商品は,断熱機能を有さない。また,原告主張の商品群は,いずれも,内部の飲食物を保存・保冷保温するため,又は移動する際の密閉性を確保するために,蓋が不可欠とされているものばかりであって,保存については,比較的長期間飲食物を貯えておくことが予定されている。これに対し,本件商標の指定商品である食器類に属する商品群のうち,通常蓋を伴うものとされるきゅうす,べんとう箱,水差しなどにあっては,いずれも比較的短時間に限り内部に飲食物を貯えておくにすぎない。本件商品は,長ければ一晩(半日)くらい貯えることもあるが,ごく短時間の後に飲んでしまうような場合には,蓋をしないで使用することもある。 (2) 本件商品の用途,形態などア持ち手について本件商品の持ち手は,その部分を手指の通る向きに水平方向から観察すればよくわかるように,容器に貯えられた飲み物を直接経口摂取するのに便宜なように取り付けられたものである。 イ飲み口について飲み口の外周には,浅い雄ねじがちょうど1周限り設けてあるだけであり,中間部分の形状は蓋の内側の形状に合致させるのではなく,経口摂取し易いように上方に行くほど厚みが薄くかつ径も小さくなっている。また,中央部は,上下唇に挟んで経口摂取がし易いよう3ミリメートル強の均一の厚みの滑らかな素材からなる筒状部分でできていて,中間部分上端よりも8ミリメートル弱上方へ飛び出ている。 ウ容量について本件商品は, 唇に挟んで経口摂取がし易いよう3ミリメートル強の均一の厚みの滑らかな素材からなる筒状部分でできていて,中間部分上端よりも8ミリメートル弱上方へ飛び出ている。 ウ容量について本件商品は,300ミリリットルの液体が入る飲み切りサイズの容量である。 エ蓋の形状について蓋と容器の密着性や取り外し易さだけで蓋付きジョッキ(コップ)と水筒・魔法瓶とを区別することができるものではない。仮に,そのような区別に合理性が存するとしても,本件商品の蓋は,容器部分との密着性はさほど強くなく,わずかな労力で容易に蓋を取り外すことができる。すなわち,開口部の形状をみると,中間部分も中央部も蓋の内側の形状に合致させておらず,外周と蓋とには1周限りの浅いねじが設けられているだけである。このような形状のため,蓋を取り外すのは極めて容易である上,横にしたまま時間が経ったり,強く振るとどうしても水が漏れてしまう。いずれにしても,原告が主張するような移動や保存を目的として作られた容器ではない。 オ蓋の構造,目的(断熱機能,保温機能)について本件商品の蓋は,ほこりや異物の混入,蒸発,こぼれを回避するためのものである。本件商品では,蓋,容器部分とも,保温断熱材は一切使用されておらず,断熱機能を有しない。本件商品は,もともと保温型ではなく,原告が断熱材が注入されているとする乙第16号証のものとは異なる商品,製品である。 カ被告による商品の表示について広告(乙第3号証)に「杯」「CUP」という文言を引用したのは,本件商品の客観的性状,機能と,そこから導かれる一般的用途とをふまえた宣伝文句が,発売当初から一貫して食器類を念頭においたものであって,水筒や魔法瓶を念頭においたものではないということを示したものであり,被告の主観的意図を考慮するように主 れる一般的用途とをふまえた宣伝文句が,発売当初から一貫して食器類を念頭においたものであって,水筒や魔法瓶を念頭においたものではないということを示したものであり,被告の主観的意図を考慮するように主張したわけではない。 第5 当裁判所の判断 1 取消事由1について原告は,別紙審決書2ページ21~22行における説示につき,審決が原告の主張を誤認したものである旨を主張する。 審判段階での原告の主張内容が指摘のとおりであったとすれば,審決の記載は,「用い」とすべきところを「用いた」と,「た」の1文字を追加する誤記をしたことにより,意味するところが変わってしまう結果となったことは否めないが,別紙審決書を精査しても,この点が審決の結論に影響を及ぼしたものとは認められないので,この点をもって審決を取り消すべきものとはいえない。 2 取消事由2について(1) 原告の主張は,審決が本件商品(本件審判請求の予告登録前3年以内に販売のあった商品として審決が認定したもの)を第21類のうちの「食器類(貴金属製のものを除く。)」に当たるとした認定判断が誤りであるというもので,本件商品の機能,用途,形状等から客観的,一般的に判断すれば,本件商品は,断熱保温特性を備えた容器であって,第21類でも「食器類」とは別の保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶などが属する商品群(原告主張の商品群)に含まれるものであるなどというものである。 なお,この点に関する審決の要旨は,「本件商品は,特殊な容器(CUP)ではあるが,飲み物(水・お湯・コーヒー・ジュースなど)を入れる容器であり,その形状が前記認定のとおりの形状(蓋と一対で一体をなす持ち手付きの円筒形の容器でジョッキ状をなしているもの)である点において,「食器類」であることを否定することができない。」というものと認められる の形状が前記認定のとおりの形状(蓋と一対で一体をなす持ち手付きの円筒形の容器でジョッキ状をなしているもの)である点において,「食器類」であることを否定することができない。」というものと認められる。 そこで,以下に検討する。 (2)  商標法施行令1条に基づく商標法施行規則6条に規定する別表において,第21類の四及び五は,次のように定められている。 四食器類(貴金属製のものを除く。)(一) きゅうすコップ杯皿サラダボール重箱茶わんディッシュカバーデカンター徳利鉢ビールジョッキべんとう箱水差し湯飲みわん(二) 菓子缶たる茶缶つぼパン入れ五アイスペール泡立て器魚ぐし携帯用アイスボックスこし器こしょう入れ,砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く。) 卵立て(貴金属製のものを除く。) ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く。) 盆(貴金属製のものを除く。) ようじ入れ(貴金属製のものを除く。) 米びつサラダボール(貴金属製のものを除く。) ざるシェーカーしゃもじ手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひきじょうご食品保存用ガラス瓶水筒すりこぎすりばちぜん栓抜大根卸しタルト取り分け用へらなべ敷きはしはし箱ひしゃくふるいまな板魔法瓶麺棒焼き網ようじレモン絞り器ワッフル焼き型(電気式のものを除く。)上記のように,四「食器類(貴金属製のものを除く。)」として,(一),(二)のように商品の例示がされており,五においても種々の商品が例示されている。もっとも,時代の流れ,商品市場の国際化などもあって,同じ商品区分に属する商品であっても,これらの商品名をすべて網羅し得るものではなく,また,商 がされており,五においても種々の商品が例示されている。もっとも,時代の流れ,商品市場の国際化などもあって,同じ商品区分に属する商品であっても,これらの商品名をすべて網羅し得るものではなく,また,商品によっては複数の区分に属するものも想定されないではない。例えば,前記当事者の主張では,本件商品から直接に口で飲むものか否かなど様々な観点から争われているが,上記区分の例示をみると,例えば,四「食器類」に属する商品の中でも,コップやビールジョッキのように直接に口で飲むことが予定されているものがある一方で,水差しのように一定時間水を貯えて,他の容器に移し替えたり,取り分けることが予定されているものもあるなど,上記の機能,用途からどの区分に属するかが直ちに画一的に定まるものでもない。 (3) そこで,本件商品についてみるに,証拠(乙第1号証の1ないし7,第2号証の1ないし7,第3号証,検乙第1,2号証)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア本件商品には,磁石が使用されており,被告は,本件商品の広告(乙第3号証)において,衆磁効果で強力な磁力線が生じ,この磁力によって中に入れた水などがイオン活性水に変化する効果があること,イオン活性水の水質が軟化し,水に含まれる酸素量が上昇し,人体内の組織細胞と共振して生理代謝を促進させ,同時に酸素代謝の活性を増強して,身体機能の免疫力をより高めることなどを特徴とする商品である旨をうたっている。そして,被告は,上記広告において,本件商品の7ないし8分目くらいに一般に飲用する液体物(水・お湯・お茶・コーヒー・ジュースなど)を入れ,数分後に飲用するよう説明し,さらに,時間が長くなればなるほど良好で,口当たりもよく吸収し易いので,多量に飲むことができるとしている。また,眠る前に本件商品に水を入れておい ・ジュースなど)を入れ,数分後に飲用するよう説明し,さらに,時間が長くなればなるほど良好で,口当たりもよく吸収し易いので,多量に飲むことができるとしている。また,眠る前に本件商品に水を入れておいて,早朝の空腹時に飲むと更に良好であるとも説明している。なお,被告は,上記広告の中で,本件商品を「強力磁化杯」「STRONG-MAGNETIC-CUP」と称している。 イ本件商品(検乙第1,2号証,乙第1号証の1,2,乙第2号証の1,2)の形態は,次のとおりである(もっとも,検乙第1号証と同第2号証では細部においてサイズが若干異なる部分もある。)。 本件商品の概略の構成は,外側にほぼ円筒形の容器(ポリプロピレン製とみられる。以下「外側容器」という。)があり,その内側にさらに容器(陶器製とみられる。以下「内側容器」という。)を収めた構成となっている。その外側容器の下部は底部がねじ結合された上,金属製のねじで固定されており,外側容器の上部には蓋があって,ねじることで着脱できるようになっている。さらに外側容器の側面には,指が4本入る程度の大きさの持ち手が付いている。外側容器と内側容器との間には,分解しないと外部からは見えないが,磁石などが収められている。 内側容器は,直円錐台が倒置されたような形状で,上方の開口部が下底面よりもやや広くなっている。内側容器の開口部の直径は約6.5センチメートル,深さは約12.5センチメートルであり,その7~8分目まで液体を入れると,その容量は約300ミリリットルとなる。 上方の開口部付近の形状を仔細にみると,外側容器の上端は,蓋と結合するための雄ねじ状とされており(原告主張の「外周」部分),その雄ねじは外周をほぼ1周する程度のものである(甲第4号証の写真では,ねじが3周程度あるように見えるが,本件商品で 容器の上端は,蓋と結合するための雄ねじ状とされており(原告主張の「外周」部分),その雄ねじは外周をほぼ1周する程度のものである(甲第4号証の写真では,ねじが3周程度あるように見えるが,本件商品であると認められる検乙第1,2号証はこれとは異なる。)。内側容器の上部は,外側容器の上端よりも上方に約1.5センチメートル突出する形状となっており,その両容器の間に中間の部材が設けられている(原告主張の「中間の段部」。以下「中間部材」という。)。中間部材は,外側容器と内側容器の間隙を埋める形で設置され,上方に行くほど薄く,径が小さくなり,少々すぼまるようになっている。この部材は,内側容器に達した後は,内側容器の外壁に沿って内側容器を包む形で立ち上がっており,それは,前記のとおり内側容器が外側容器の上端よりも約1.5センチメートル突出しているが,その中間点あたりにまで達している。すなわち,内側容器は,中間部材の上端よりも更に0.7~0.8センチメートル上方に突出しており,この部分だけは内側容器が外部に露出する形となっている(原告主張の「中央部」)。この突出部分の内側容器の厚みは約0.3センチメートルでほぼ均一である。以上をまとめて,開口部付近を横から見ると,まず外側容器の外面があり,その上端に雄ねじが1周分あり,その上に中間部材が乗っており,外側容器の外面より径が小さくなって段差となっている。さらに中間部材の上方には内側容器が突出しており,径が更に小さくなってもう一段の段差となっている。なお,本件商品から直接に口で飲もうとすると,上記の内側容器の突出部分と中間部材あたりが口に触れるものと推認される。 蓋についてみると,内側にねじが刻まれ,外側容器上端のねじと結合するようになっている。蓋側のねじは,検乙第1号証では2周,検乙第2号証ではほぼ1周半 と中間部材あたりが口に触れるものと推認される。 蓋についてみると,内側にねじが刻まれ,外側容器上端のねじと結合するようになっている。蓋側のねじは,検乙第1号証では2周,検乙第2号証ではほぼ1周半である。蓋の内側には,中央部分が円柱状に突き出した形状の部材が設けられており,その円柱状の部分は,蓋の本体もこれに呼応するように,ほぼ円柱状に内側へ突出した形,すなわち蓋の外部からみると円柱状に陥没した形となっている。その陥没部分は,蓋上部中央の円形の小蓋で閉じられている。この蓋の陥没部分には,断熱効果のあるポリウレタンなどの物質は存在せず,中空となっている。 (4) 以上の事実によれば,次のように評価することができる。 ア本件商品は,数分間ないし数時間,水などを貯えておき,その間にイオン活性水に変えようとするものである。つまり,水などを一定時間貯えておくことが予定されている。もっとも,貯えるのは,水などを磁力によってイオン活性水に変えようとすることが主な目的であって,本件商品に入れたときのままの状態を保つという意味である保存とは必ずしも一致しない。 イ次に,被告が消費者に向けて説明しているところ(前記(3)ア)によると,本件商品から直接に口で飲むことが想定されているように理解され,少なくとも必ず本件商品からコップ,湯飲みなどに移し替えて飲む必要があるとの説明がされているとは解されないので,形態もそのような使用態様のものを予定していると認められる。 そこで,前認定の開口部付近の形状をみるに,口触りの快適さがどの程度かはともかく,少なくとも直接に口を付けて飲むのに支障があるものとは認められず,一般消費者が本件商品から直接に口で飲むことを避けるのが通常であるといえるような構造であるとも認められない。 また,本件商品の容量は なくとも直接に口を付けて飲むのに支障があるものとは認められず,一般消費者が本件商品から直接に口で飲むことを避けるのが通常であるといえるような構造であるとも認められない。 また,本件商品の容量は,約300ミリリットルであるが,比較的容量の小さい湯飲みなどに取り分けて使用することもあり得るとは思われるものの,むしろ,容器から直接に飲むことが予定されている(マグ)カップにおいて,300ミリリットルないしはそれ以上の容量を有するものも決して珍しくないことは公知であり(例えば,乙第12号証の1ないし3などもその程度の容量があることが認められる。),少なくとも本件商品から直接に飲むことが不自然な容量ではない。 なお,持ち手の構造は,手で握った場合のグリップ感などに加え,本件商品自体が通常のコップよりもやや重めであるものと認められることなどからすると,水などを入れた本件商品を口元に運んで保持することが極めて自然にできるかといえば疑問の余地もないではないが,それが通常の態様でないとか,一般の消費者ならそのような使い方を避けるというようなものであるとも認められない。 以上から本件商品の通常の使用の仕方を推認すると,他の容器に移し替えたり,取り分けて飲むことも予想されるものの,本件商品から直接に口で飲むことも十分に予測し得るところであり,本件商品自体,それに耐え得る構造,形態となっているものと認められる。 ウ本件商品は蓋を有するが,保存容器に蓋があるのはもとよりであるが,食器類に属するコップ,ジョッキでも蓋を有するものがあることが認められる(乙第12号証の1ないし7など)。また,本件商品の蓋は,ねじ結合するようになっているが,外側容器に刻された雄ねじは外周をほぼ1周する程度であることのほか,前認定の形態に照らせば,強固に密封するような結合で 2号証の1ないし7など)。また,本件商品の蓋は,ねじ結合するようになっているが,外側容器に刻された雄ねじは外周をほぼ1周する程度であることのほか,前認定の形態に照らせば,強固に密封するような結合ではないと認められること,本件商品に水などを貯える目的が前記アのとおりであること,後記エでも述べるとおり,蓋に断熱機能があるとはいい難いことなどからすると,本件商品の蓋の主な機能は,審決が認定するとおり,イオン活性水ができあがるまでの一定時間水などを入れておく間,ほこりや異物の混入,蒸発,こぼれを回避することにあるものと認められる。 エ蓋の断熱機能についてみるに,本件商品の蓋には前認定のとおり,ポリウレタンなどの断熱効果を有する物質は存在しない。もっとも,原告は,蓋の中空に空気があるだけでも断熱効果を有するとも主張する。確かに蓋がない場合と比べれば一定の保温,保冷の効果はあるであろうが,ポリウレタンなどの断熱効果を有する物質を断熱材として使う場合とは異なるものであることは否定できず,中空のままで断熱材を用いない場合にまで断熱機能のある商品であると認めることは困難である。 (5) 以上に認定したような本件商品の機能,形態等に照らせば,「食器類」であるコップやジョッキのように,本件商品から直接に口で飲むことが,不可能ではないばかりか何ら不自然ではなく,通常の使用方法として十分に成り立ち得るものであるものと認められるほか,その余の点をみても,本件商品を「食器類」に含まれるものとすることを妨げる事由はないものと認められる。したがって,本件商品は,水などの飲料水を一定時間貯えた上で飲むという使用形態となる点で,コップやジョッキに比べてやや特殊な面も有するものの,本件商標の指定商品である「食器類(貴金属製のものを除く。)」に該当するものとい ,水などの飲料水を一定時間貯えた上で飲むという使用形態となる点で,コップやジョッキに比べてやや特殊な面も有するものの,本件商標の指定商品である「食器類(貴金属製のものを除く。)」に該当するものといって差し支えない。 原告は,本件商品が保温,保冷(断熱)保存する容器であり,保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶などの属する商品群(原告主張の商品群)に含まれるものであって,「食器類(貴金属製のものを除く。)」には含まれないなどと主張するが,上に判示したことに加え,本件商品は,断熱機能を有するものとは認めるに足りないこと,本件商品は,水などを一定時間貯えておくことを当然の前提とするが,水などを磁力によってイオン活性水に変えようとすることに主な目的があり,そのままの状態を保つという意味である保存とは必ずしも一致しないことなどからすれば,この主張は採用することができない。結局,原告の取消事由2の主張は理由がない。 そうすると,被告が本件審判請求の登録前3年以内に本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標をその指定商品「食器類(貴金属製のものを除く。)」に属する飲み物を入れる容器について使用していたものとして,本件商標の登録は,商標法50条の規定により取り消すべきでないとした本件審決は,正当として是認し得るものであり,これを取り消すべき事由は見当たらない。 3 結論以上のとおり,原告主張の審決取消事由はいずれも理由がなく,その他審決にはこれを取り消すべき瑕疵は見当たらない。 よって,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第18民事部裁判長裁判官塩月秀平裁判官古城春実裁判官 東京高等裁判所第18民事部 裁判長 裁判官 塩月秀平 裁判官 古城春実 裁判官 田中昌利

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