平成23(ワ)5915 不当条項差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年12月21日 名古屋地方裁判所
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判決文本文22,777 文字)

平成24年12月21日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成23年(ワ)第5915号不当条項差止等請求事件口頭弁論終結日平成24年9月21日判決 主文 1 被告は,消費者との間で,Aの在学契約を締結するに際し,「AO入試,推薦入試,専願での一般・社会人入試および編入学によって入学を許可された場合,納入後の学費は理由のいかんにかかわらず返金できません。」等,納入された学費を,入学辞退の申出の時期(在学契約が解除される時期)にかかわらず,一律に返還しないとする条項を含む契約の申込み又はその承諾の意思表示を行ってはならない。 2 被告は,Aにおいて,前項記載の条項が記載された書面,電子データを破棄せよ。 3 被告は,Aにおいて,第1項記載の条項を含む契約の勧誘及び締結を行わないことを被告従業員に対して周知徹底せよ。 4 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 主文第1項ないし第4項同旨 2 仮執行宣言第2 事案の概要 1 本件は,消費者契約法13条に基づき内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体である原告が,被告が設置し運営している専門学校において,在学契約が解除される時期にかかわらず(原告は「入学辞退の申出の時期にかかわらず」との表現を訴状で用いているが,上記の趣旨と解される。),AO入試,推薦入試,専願での一般・社会人入試及び編入学によって入学を許可された場合, 納入後の学費を一切返還しないとの不返還条項が定められていることに関して,同条項は,同法9条1号により無効であるとして,同法12条3項に基づき,同条項を内容とする意思表示等の差止めを求めた事案である。 2 前提事実(証拠等の記載のないものは当事者間に争 ことに関して,同条項は,同法9条1号により無効であるとして,同法12条3項に基づき,同条項を内容とする意思表示等の差止めを求めた事案である。 2 前提事実(証拠等の記載のないものは当事者間に争いがない。) 当事者ア原告は,消費者契約法13条に基づき内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体である。 イ被告は,教育基本法及び学校教育法に従い,学校教育を行い,創造性豊かな人材を育成することを目的とする学校法人であり,専門学校である「A」を設置し,運営している。  Aにおける学則(乙11の1)及び学費返金に関する規定(乙11の2)中の学費に関する定めア Aへの入学を許可された者は,授業料,教育充実費,施設・設備維持費各1年分及び教材費(必要とする学科のみ。以下,一括して「本件学費」という。)を,指定された日までに納付しなければならない(学則25条ないし27条)。 イ選考の結果,入学を許可された者の納付した本件学費については,3月31日までに入学辞退を申し出,かつ返金手続を行った場合には返金するが,AO入試,推薦入試,専願での一般・社会人入試及び編入学によって入学を許可された場合は返金しない(学則28条2項,学費返金に関する規定。以下,「本件不返還条項」という。)。  Aのウェブサイト被告は,Aのウェブサイトにおいて,本件不返還条項に基づき,学費の返金について次のとおりの掲載をしている。(甲3)「納入後の学費は,教育機器の購入,講師との契約等を行うため返金できません。ただし,3月31日までに入学辞退・学費返金手続きを行うことが できます。AO入試,推薦入試,専願での一般・社会人入試および編入学によって入学を許可された場合は理由のいかんにかかわらず返金 ん。ただし,3月31日までに入学辞退・学費返金手続きを行うことが できます。AO入試,推薦入試,専願での一般・社会人入試および編入学によって入学を許可された場合は理由のいかんにかかわらず返金できません。」 消費者契約法41条の書面による事前の請求原告は,平成23年9月8日,被告に対し,消費者契約法41条1項所定の事項を記載した書面により本件不返還条項の利用停止等を求める差止請求をした。(甲10,11) 本訴提起原告は,平成23年10月4日,被告に対し本件訴えを提起した。 3 争点及びこれに関する当事者の主張本件の争点は,本件不返還条項に対する消費者契約法9条1号の適用の有無であり,これに関する当事者の主張は以下のとおりである。  原告の主張ア被告がAにおいて実施している入試の区分は,次のとおりである。  AO入試AO入試は,希望学科の入学資格を有し,Aを第1志望とするすべての人が出願できる入試であり,選考は,適性検査(適性診断・面接)により行われる。 平成24年度の入学者を対象とした試験日程は,平成23年5月21日,同年6月4日,同月19日,同年7月10日,同月24日,同月30日,同年8月21日,同月27日,同年9月11日,同月17日,同年10月1日である。  推薦入試推薦入試は,希望学科の入学資格を有し,Aを第1志望とする在籍高等学校の学校長または教諭による推薦を受けた人が出願できる入試であり,選考は,適性診断Ⅰ(マークシート方式),面接,作文により行われる。 平成24年度の入学者を対象とした試験日程は,平成23年10月9日,同月29日,同年11月13日,同年12月4日,同月17日,平成24年 (マークシート方式),面接,作文により行われる。 平成24年度の入学者を対象とした試験日程は,平成23年10月9日,同月29日,同年11月13日,同年12月4日,同月17日,平成24年1月22日である。  一般・社会人入試(専願)一般・社会人入試(専願)は,希望学科の入学資格を有し,Aを第1志望とするすべての人が出願できる入試であり,選考は,適性診断Ⅰ(マークシート方式),面接,作文により行われる。 平成24年度の入学者を対象とした試験日程は,1次募集が平成23年10月9日,同月29日,同年11月13日,同年12月4日,同月17日,平成24年1月22日で,1次募集に欠員が生じた場合,同年2月12日,同年3月3日に2次募集を行い,2次募集に欠員が生じた場合,同月18日に欠員募集を行う。  一般・社会人入試(併願)一般・社会人入試(併願)は,希望学科の入学資格を有し,Aとの併願をするすべての人が出願できる入試であり,選考は,適性診断Ⅰ(マークシート方式),適性診断Ⅱ(記述式),面接,作文により行われる。 平成24年度の入学者を対象とした試験日程は,併願の一般・社会人入試と同じである。  編入学編入学のための試験(以下「編入学入試」という。)は,大学・短期大学・専門学校・養成所・養成施設等で,Aの勉学と同様のカリキュラムを履修した人で,Aを第1志望とする人が出願できる入試であり,選考は,書類審査による一次選考,面接・専門知識判定検査による二次選考により行われる。 平成24年度の入学者を対象とした編入学入試は,平成23年10月1日以降,随時実施されている。 イ上記各入試区分の選考方法や試験日程からすると,Aに 考により行われる。 平成24年度の入学者を対象とした編入学入試は,平成23年10月1日以降,随時実施されている。 イ上記各入試区分の選考方法や試験日程からすると,AにおけるAO入試,推薦入試及び専願での一般・社会人入試,並びに編入学入試の合格者は,他の受験者よりも一般に早期に有利な条件で入学できる地位を確保できているとは認められないから,入学することが客観的にも高い蓋然性をもって予測されるということはできない。したがって,当該合格者が3月31日までに在学契約を解除した場合,被告に消費者契約法9条1号にいう平均的な損害(本件と同種の在学契約の解除に伴い被告に生ずべき平均的な損害)は生じない。 ウ仮に,AO入試,推薦入試及び専願での一般・社会人入試の合格者が他の受験者よりも早期に有利な地位を確保できているとしても,各入試の最終日以降に一般・社会人入試(専願・併願)の2次募集及び欠員募集が実施されるから,在学契約が解除される時期によっては代わりの入学者を容易に確保でき,解除による平均的な損害が被告に生じることはない。 また,編入学入試の合格者についても,編入学入試は随時実施されているから,在学契約が解除される時期によっては代わりの入学者を容易に確保でき,解除による平均的な損害が被告に生じることはない。 エ以上より,AのAO入試,推薦入試,専願での一般・社会人入試及び編入学入試において,合格者が在学契約を解除した場合,被告に平均的な損害は生じないから,本件不返還条項は消費者契約法9条1号の適用を受ける。 オ被告は,Aにおいて,法令上定員の遵守が求められているとして,入学辞退者を織り込めないと主張する。しかし,Aは複数回入学試験を実施しているから,解除者による欠員は後の試験 用を受ける。 オ被告は,Aにおいて,法令上定員の遵守が求められているとして,入学辞退者を織り込めないと主張する。しかし,Aは複数回入学試験を実施しているから,解除者による欠員は後の試験で補充することが可能であり,入学辞退者を織り込めないとはいえない。実際に,被告においては,入学辞退者が発生した後に,それを踏まえた上で合格者を決めて定員枠どおりとしている。したがって,定員を遵守しなければならないことが被告の平 均的な損害の発生に結びつくことはない。  被告の主張ア Aは,文部科学省ではなく厚生労働省の監督を受けている看護師等養成所に属しており,法令上,東海北陸厚生局長が承認した定員を超えて学生を入学させることができず,文部科学省管轄の私立大学のように,学年定員を超過した学生を入学させることは厳しく規制されている。したがって,Aでは入学辞退者を織り込んで余剰人員と入学契約をしておくことはできず(そのようなことをすると,余剰の入学契約締結者の入学を拒否しなければならない事態を惹起することにもなる。),入学辞退者があれば,被告には平均的な損害が生ずる。多数の入学辞退者を予定して合格者を確保する学校とAとは異なるから,最高裁判所平成18年11月27日第二小法廷判決・民集60巻9号3437頁(以下「平成18年11月27日最判」という。)は,本件には妥当しない。 イ被告の設定したAの在学関係に関する条項は,フランス流の学籍登録契約を模倣しているのであり(被告B校の約款の引写し),納入後の学費はいかなる場合でも返金しない旨の条項は,平成18年11月27日最判のいう損害賠償の予定ではなく,学籍登録契約の登録料であるから,その対価の取得は授業を受けることによってのみ得られる(学籍登録料〔学費〕は,実質的には 金しない旨の条項は,平成18年11月27日最判のいう損害賠償の予定ではなく,学籍登録契約の登録料であるから,その対価の取得は授業を受けることによってのみ得られる(学籍登録料〔学費〕は,実質的には教育役務受領資格の買取代金であり,退学はその資格の中途放棄にすぎない。)。これによれば,学籍登録後,入学しない場合に学費が返金されないのは当然である。 ウ専願の合格者が入学を辞退(在学契約の非遡及的解除)することは信義則に反する行為であり,被告もかかる事態を予定せずに当該入学年度の人的物的設備を策定しているから,当該合格者が入学を辞退した場合,被告に平均的な損害が生じる。 エ例えば,Aの平成23年度看護保健学科Ⅰの入学状況をみると,80名 定員のうち76名が専願入学者で,併願入学者は1次募集(募集締切は1月21日)による4名にすぎない。また,専願入学者76名のうち2次募集(選考日2月13日,3月5日)の入学者は9名である。これによれば,Aでは,2次募集において国家試験に耐え得る学力を有しかつ授業料を完納した学生が容易に確保されることは困難な状況にあり,1次募集の合格者が在学契約を解除した場合,被告に平均的な損害が生じる。 オしたがって,本件不返還条項は,消費者契約法9条1号の適用を受けない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実(前記第2の2。以下同じ。)及び後掲の証拠等によれば,以下の事実が認められる。  入試区分等Aの入試区分等は以下のとおりである。 ア AO入試(甲5,弁論の全趣旨)AO入試は,適性検査(適性診断・面接)で希望する職種への熱意や潜在的な適性を測り選考する制度で,希望学科の入学資格を有し,Aを第1志望(専願)とする者に出願資格が認 5,弁論の全趣旨)AO入試は,適性検査(適性診断・面接)で希望する職種への熱意や潜在的な適性を測り選考する制度で,希望学科の入学資格を有し,Aを第1志望(専願)とする者に出願資格が認められる。 選考は,適性診断(マークシート方式を用いて,高校基礎レベルの内容で適性を調べるもの。臨床工学特科は数Ⅰ・数Ⅱを含む。)及びグループ面接(社会人として仕事を進めていくための協調性や積極性などを確認するもの。以下同じ。)によってされる。なお,臨床工学特科及び視能療法特科は,上記に加え,書類審査(履修科目と履修状況を確認するもの)が含まれる。 平成24年度の入学者を対象としたAO入試の試験日程は,平成23年5月21日,同年6月4日,同月19日,同年7月10日,同月24日, 同月30日,同年8月21日,同月27日,同年9月11日,同月17日,同年10月1日である。 イ推薦入試(甲6,弁論の全趣旨)推薦入試は,在籍高等学校の学校長又は教諭による推薦を受け,Aを第1志望(専願)とする者に出願資格が認められる。 選考は,適性診断Ⅰ(マークシート方式を用いて,高校基礎レベルの内容で適性を調べるもの。以下同じ。),グループ面接及び600字程度の作文(目的意識の強さや明確さを確認するもの。以下同じ。)によってされる。 平成24年度の入学者を対象とした推薦入試の試験日程は,平成23年10月9日,同月29日,同年11月13日,同年12月4日,同月17日,平成24年1月22日である。 ウ専願での一般・社会人入試(甲7,弁論の全趣旨)一般・社会人入試(専願)は,希望学科の入学資格を有し,Aを第1志望とする者に出願資格が認められる。 選考は,適性診断Ⅰ, ウ専願での一般・社会人入試(甲7,弁論の全趣旨)一般・社会人入試(専願)は,希望学科の入学資格を有し,Aを第1志望とする者に出願資格が認められる。 選考は,適性診断Ⅰ,グループ面接及び600字程度の作文によってされる。 平成24年度の入学者を対象とした一般・社会人入試(専願)の試験日程は,1次募集が平成23年10月9日,同月29日,同年11月13日,同年12月4日,同月17日,平成24年1月22日で,1次募集に欠員が生じた場合,同年2月12日,同年3月3日に2次募集を行い,2次募集に欠員が生じた場合,同月18日に欠員募集を行う。 エ併願での一般・社会人入試(甲7,弁論の全趣旨)一般・社会人入試(併願)は,希望学科の入学資格を有し,他校との併願をする者に出願資格が認められる。 選考は,適性診断Ⅰ,適性診断Ⅱ(約45分間の模擬授業からの出題に 記述式で答えさせ,理解力・思考力を調べるもの),グループ面接及び600字程度の作文によってされる。 平成24年度の入学者を対象とした一般・社会人入試(併願)の試験日程は,同入試(専願)の試験日程と同一である。 オ編入学(甲8,弁論の全趣旨)編入学は,各学科の入学資格を有し,基礎的な勉学修了者として認定された者が,希望学科の2年次以上へ入学する制度で,Aを第1志望(専願)とする者に出願資格が認められる。 選考は,1次選考の書類審査,2次選考の面接(社会人として仕事を進めていくための協調性や積極性を確認するもの)及び専門知識判定検査(希望学科に応じた基礎及び専門知識を確認するもの)によってされる。 平成24年度の入学者を対象とした編入学入試は,平成23年10月1日以降,随 積極性を確認するもの)及び専門知識判定検査(希望学科に応じた基礎及び専門知識を確認するもの)によってされる。 平成24年度の入学者を対象とした編入学入試は,平成23年10月1日以降,随時実施されている。  定員及び入学者数等Aの各学科,学則で定められた各学科の入学定員及び平成23年度の入試区分別入学者数は以下のとおりである。 ア救急救命学科救急救命学科の入学定員は,昼間部,夜間部共に25名で,当該定員を遵守することが厚生労働省(当時は厚生省)の通知により要請されている。 (甲3,乙9の1,2,乙11の1)平成23年度における同学科昼間部の入学者数は,AO入試の合格者11名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者9名,併願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者2名,専願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者2名,併願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者1名の合計25名である。(乙8,14)平成23年度における同学科夜間部の入学者数は,AO入試の合格者4 名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者1名の合計5名である。(乙8,14)イ臨床工学学科臨床工学学科の入学定員は,昼間部,夜間部共に40名で,当該定員を遵守することが厚生労働省の通知により要請されている。なお,夜間部については平成23年度から募集が停止されている。(甲3,乙9の1,3,乙11の1)平成23年度における同学科昼間部の入学者数は,AO入試の合格者9名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者3名,併願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者3名の合計15名である。(乙8,14)ウ臨床工学特科臨床工学特 の合格者9名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者3名,併願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者3名の合計15名である。(乙8,14)ウ臨床工学特科臨床工学特科の入学定員は40名で,当該定員を遵守することが厚生労働省の通知により要請されている。(甲3,乙9の1,3,乙11の1)平成23年度における同学科の入学者数は,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者2名である。(乙8,14)エ看護保健学科Ⅰ看護保健学科Ⅰの入学定員は80名で,保健師助産師看護師学校養成所指定規則において,一つの授業科目で同時に授業を行う学生の数を40人以下にすることが定められ,近畿厚生局長により学年定員を遵守することが要請されている。(甲3,乙1,9の12,乙11の1)平成23年度における同学科の入学者数は,AO入試の合格者45名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者23名,併願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者3名,専願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者9名の合計80名である。(乙8,14)オ看護保健学科Ⅱ看護保健学科Ⅱの入学定員は40名で,保健師助産師看護師学校養成所 指定規則において,一つの授業科目で同時に授業を行う学生の数を40人以下にすることが定められ,近畿厚生局長により学年定員を遵守することが要請されている。(甲3,乙1,9の12,乙11の1)平成23年度における同学科の入学者数は,AO入試の合格者7名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者18名,併願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者5名,専願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者4名,併願での一般・社会人入試(2次募集)の合格 専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者18名,併願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者5名,専願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者4名,併願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者4名の合計38名である。(乙8,14)カ保健学科保健学科の入学定員は40名で,保健師助産師看護師学校養成所指定規則において,一つの授業科目で同時に授業を行う学生の数を40人以下にすることが定められ,近畿厚生局長により学年定員を遵守することが要請されている。(甲3,乙1,9の12,乙11の1)平成23年度における同学科の入学者数は,AO入試の合格者30名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者6名,併願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者2名,専願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者1名の合計39名である。(乙8,14)キ助産学科助産学科の入学定員は80名で,保健師助産師看護師学校養成所指定規則において,一つの授業科目で同時に授業を行う学生の数を40人以下にすることが定められ,近畿厚生局長により学年定員を遵守することが要請されている。(甲3,乙1,9の12,乙11の1)平成23年度における同学科の入学者数は,AO入試の合格者36名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者38名,併願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者1名の合計75名である。(乙8,14)ク理学療法学科 理学療法学科の入学定員は,昼間部,夜間部共に40名で,当該定員を遵守することが厚生労働省(当時は厚生省)の通知により要請されている。 (甲3,乙9の1,4,乙11の1)平成23年度における同学科昼間部の入学者数は,AO入試の合格者1 ,当該定員を遵守することが厚生労働省(当時は厚生省)の通知により要請されている。 (甲3,乙9の1,4,乙11の1)平成23年度における同学科昼間部の入学者数は,AO入試の合格者17名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者9名,併願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者3名,専願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者6名,併願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者2名の合計37名である。(乙8,14)平成23年度における同学科夜間部の入学者数は,AO入試の合格者8名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者3名,専願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者3名の合計14名である。(乙8,14)ケ作業療法学科作業療法学科の入学定員は,昼間部,夜間部共に40名で,当該定員を遵守することが厚生労働省(当時は厚生省)の通知により要請されている。 (甲3,乙9の1,4,乙11の1)平成23年度における同学科昼間部の入学者数は,AO入試の合格者6名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者2名,専願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者3名,併願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者1名,専願での一般・社会人入試(欠員募集)の合格者1名の合計13名である。(乙8,14)平成23年度における同学科夜間部の入学者数は,AO入試の合格者4名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者3名,専願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者1名,専願での一般・社会人入試(欠員募集)の合格者1名の合計9名である。(乙8,14)コ言語聴覚学科言語聴覚学科の入学定員は,昼間部,夜間部共に40名で,当該定員を 遵守することが厚生労働 試(欠員募集)の合格者1名の合計9名である。(乙8,14)コ言語聴覚学科言語聴覚学科の入学定員は,昼間部,夜間部共に40名で,当該定員を 遵守することが厚生労働省(当時は厚生省)の通知により要請されている。 (甲3,乙9の1,5,乙11の1)平成23年度における同学科昼間部の入学者数は,AO入試の合格者11名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者5名,専願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者3名,併願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者1名,専願での一般・社会人入試(欠員募集)の合格者1名の合計21名である。(乙8,14)平成23年度における同学科夜間部の入学者数は,AO入試の合格者2名である。(乙8,14)サ視能療法学科視能療法学科の入学定員は,昼間部20名,夜間部40名で,当該定員を遵守することが厚生労働省の通知により要請されている。なお,夜間部については平成23年度から募集が停止されている。(甲3,乙9の1,6,乙11の1)平成23年度における同学科昼間部の入学者数は,AO入試の合格者10名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者3名,併願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者1名,専願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者1名の合計15名である。(乙8,14)シ視能療法特科視能療法特科の入学定員は40名で,当該定員を遵守することが厚生労働省の通知により要請されている。(甲3,乙9の1,6,乙11の1)平成23年度における同学科の入学者数は,AO入試の合格者1名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者1名,併願での一般・社会人入試(欠員募集)の合格者1名の合計3名 乙11の1)平成23年度における同学科の入学者数は,AO入試の合格者1名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者1名,併願での一般・社会人入試(欠員募集)の合格者1名の合計3名である。(乙8,14)ス鍼灸学科鍼灸学科の入学定員は,昼間部30名,夜間部57名で,当該定員を遵 守することが厚生労働省(当時は厚生省)の通知により要請されている。 (甲3,乙9の1,7,乙11の1)平成23年度における同学科昼間部の入学者数は,AO入試の合格者10名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者6名,併願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者1名,専願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者4名の合計21名である。(乙8,14)平成23年度における同学科夜間部の入学者数は,AO入試の合格者19名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者6名,専願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者6名の合計31名である。(乙8,14)セ鍼灸・あん摩マッサージ教員養成学科鍼灸・あん摩マッサージ教員養成学科の入学定員は25名であるが,平成23年度から募集が停止されている。(乙11の1)ソ柔道整復学科柔道整復学科の入学定員は,昼間部30名,夜間部60名で,当該定員を遵守することが厚生労働省(当時は厚生省)の通知により要請されている。(甲3,乙9の1,8,乙11の1)平成23年度における同学科昼間部の入学者数は,AO入試の合格者12名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者3名,専願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者5名,併願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者1名,専願での一般・社会人入試(欠員募集)の 2名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者3名,専願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者5名,併願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者1名,専願での一般・社会人入試(欠員募集)の合格者3名の合計24名である。(乙8,14)平成23年度における同学科夜間部の入学者数は,AO入試の合格者12名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者10名,専願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者1名,専願での一般・社会人入試(欠員募集)の合格者2名の合計25名である。(乙8,14) タ介護福祉学科介護福祉学科の入学定員は40名であるが,平成22年度から募集が停止されている。(乙11の1)チ介護福祉・保育学科介護福祉・保育学科の入学定員は,昼間部40名,夜間部20名で,当該定員を遵守することが厚生労働省の通知により要請されている。(甲3,乙9の1,9,乙11の1)平成23年度における同学科昼間部の入学者数は,AO入試の合格者9名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者4名,併願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者1名,専願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者2名,専願での一般・社会人入試(欠員募集)の合格者1名の合計17名である。(乙8,14)平成23年度における同学科夜間部の入学者はいない。(乙8)ツ精神保健福祉学科精神保健福祉学科の入学定員は,昼間部,夜間部共に40名で,当該定員を遵守することが厚生労働省の通知により要請されている。(甲3,乙9の1,11,乙11の1)平成23年度における同学科昼間部の入学者数は,AO入試の合格者12名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格 労働省の通知により要請されている。(甲3,乙9の1,11,乙11の1)平成23年度における同学科昼間部の入学者数は,AO入試の合格者12名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者9名,専願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者3名,専願での一般・社会人入試(欠員募集)の合格者1名の合計25名である。(乙8,14)平成23年度における同学科夜間部の入学者はいない。(乙8)テ診療情報管理学科診療情報管理学科の入学定員は,昼間部,夜間部共に20名である。(甲3,乙11の1)平成23年度における同学科昼間部の入学者数は,AO入試の合格者6 名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者3名,専願での一般・社会人入試(2次募集)の合格者1名の合計10名である。(乙8,14)平成23年度における同学科夜間部の入学者はいない。(乙8)ト医療秘書学科医療秘書学科の入学定員は,昼間部,夜間部共に20名であるが,平成23年度の入学者はいない。(甲3,乙8,11の1)ナアスレティックトレーナー学科アスレティックトレーナー学科の入学定員は,昼間部,夜間部共に20名である。(甲3,乙11の1)平成23年度における同学科昼間部の入学者数は,AO入試の合格者5名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者3名の合計8名である。(乙8,14)平成23年度における同学科夜間部の入学者数は,AO入試の合格者1名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者1名の合計2名である。(乙8,14)ニスポーツトレーナー学科スポーツトレーナー学科の入学定員は20名であるが,平成23年度の 名,専願での一般・社会人入試(1次募集)の合格者1名の合計2名である。(乙8,14)ニスポーツトレーナー学科スポーツトレーナー学科の入学定員は20名であるが,平成23年度の入学者はいない。(甲3,乙8,11の1) 2 本件不返還条項に対する消費者契約法9条1号の適用の有無について 在学契約の解除被告の経営するAにおける各種入学試験の合格者が,入学に先立ち,必要書類を提出すると共に,指定期日までに入学金及び本件学費を納付することによって,被告との間で在学契約が成立すると認められ(前提事実ア,弁論の全趣旨),入学手続を完了して被告と在学契約を締結した学生が,Aに入学する意思を失い,入学辞退を申し出ることは,在学契約の解除の意思表示と評価することができる。  本件学費と本件不返還条項の性質被告と在学契約を締結した学生が納付した入学金は,在学契約が解除された場合であっても,その性質上,特段の事情のない限り,被告に返還義務はない。これに対し,被告と在学契約を締結した学生が納付した本件学費に係る本件不返還条項は,入学辞退(在学契約の解除)によって被告が被る可能性のある授業料等の収入の逸失その他有形,無形の損失や不利益等を回避,てん補する目的,意義を有するほか,早期に学力水準の高い学生をもって適正な数の入学予定者を確保するという目的に資する側面も有するのであり,在学契約の解除に伴う損害賠償の予定又は違約金の定めの性質を有するものと解するのが相当である。  本件不返還条項の消費者契約法上の効力(総論)ア被告と学生との間の在学契約には消費者契約法の適用がある。そして,消費者契約法9条1号の規定により,「当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し,又は違約金を定 約法上の効力(総論)ア被告と学生との間の在学契約には消費者契約法の適用がある。そして,消費者契約法9条1号の規定により,「当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し,又は違約金を定める条項」(本件不返還条項がこの性質を有することは前記説示のとおり)は,「当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害」(以下「平均的な損害」という。)を超える部分が無効とされるところ,在学契約の解除に伴い被告に生ずべき平均的な損害は,一人の学生と被告との在学契約が解除されることによって,被告に一般的,客観的に生ずると認められる損害をいうものと解するのが相当である。 イ在学契約の解除と授業料等の不返還特約の消費者契約法上の効力について,平成18年11月27日最判は,大学の場合について,おおむね次のとおり判示している。 大学が合格者を決定するに当たって織り込み済みのものと解される在学契約の解除,すなわち,学生が当該大学に入学することが客観的にも高い蓋然性をもって予測される時点よりも前の時期における解除については, 原則として,当該大学に生ずべき平均的な損害は存しないというべきであるところ,一般に,大学の入学年度が始まる4月1日には,学生が特定の大学に入学することが客観的にも高い蓋然性をもって予測されることから,在学契約の解除の意思表示がその前日である3月31日までにされた場合には,原則として,大学に生ずべき平均的な損害は存しないものであって,授業料等を返還しない旨の不返還特約は無効となる。もっとも,入学試験要項の定めにより,その大学,学部を専願あるいは第1志望とすること,又は入学することを確約することができることが出願資格とされている推薦入学試験(これに類する入学試験を含む。)に もっとも,入学試験要項の定めにより,その大学,学部を専願あるいは第1志望とすること,又は入学することを確約することができることが出願資格とされている推薦入学試験(これに類する入学試験を含む。)に合格して当該大学と在学契約を締結した学生については,上記出願資格の存在及び内容を理解,認識した上で,当該入学試験を受験し,在学契約を締結したものであること,これによって,他の多くの受験者よりも一般に早期に有利な条件で当該大学に入学できる地位を確保していることに照らすと,学生が在学契約を締結した時点で当該大学に入学することが客観的にも高い蓋然性をもって予測されるものというべきであるから,当該在学契約が解除された場合には,その時期が当該大学において当該解除を前提として他の入学試験等によって代わりの入学者を通常容易に確保することができる時期を経過していないなどの特段の事情がない限り,当該大学には当該解除に伴い初年度に納付すべき授業料等及び諸会費等に相当する平均的な損害が生ずるものというべきである。 ウ被告の経営するAは,大学ではなく専修学校(学校教育法第11章)ではあるが,その中でも専門学校であり,入学資格の点において大学と同等で,修業年限が一部の学科を除き2年ないし4年であること(乙11の1),春期入学の入学年度が始まるのは4月1日であること(乙11の1),受験者が他の専門学校等を併願受験する状況が想定されていること等からすれば,在学契約の解除と本件不返還条項の消費者契約法上の効力について, 大学の場合と別異に解する理由はなく,上記イの判断基準が妥当するので,次項でこれに沿って具体的に検討する。  Aの各入試区分における本件不返還条項と消費者契約法9条1号の適用の有無ア AO入試AのAO入試は イの判断基準が妥当するので,次項でこれに沿って具体的に検討する。  Aの各入試区分における本件不返還条項と消費者契約法9条1号の適用の有無ア AO入試AのAO入試は,希望学科の入学資格を有しAを第1志望(専願)とする者に出願資格が認められていること,平成24年度入学の入試(以下「平成24年度入試」等という。)の場合,平成23年5月21日から同年10月1日までの間に試験日が設定されているのに対し,併願での一般・社会人入試(以下「併願での入試」という。)では同月9日から試験日が設定されており(平成25年度入試もおおむね同様の状況と推認できる。),併願での入試の場合と比べて相当早期に入学資格を確保できること,選考方法が適性診断(マークシート方式)及び面接であり,併願での入試では更に適性診断Ⅱ(模擬授業からの出題に記述式で答えさせるもの)及び作文が課されるのと比べて試験方法も異なっていること等からすれば(認定事実〔前記1。以下同じ。〕,弁論の全趣旨),AのAO入試に合格して在学契約を締結した学生については,上記出願資格の存在及び内容を理解,認識した上で,AO入試を受験し,在学契約を締結したものであり,これによって,他の多くの受験者よりも早期に有利な条件でAに入学できる地位を確保しているということができるから,当該学生が在学契約を締結した時点でAに入学することが客観的にも高い蓋然性をもって予測されるものというべきである。 しかし,Aの平成24年度入試では,AO入試が終了した後も,推薦入試,専願での一般・社会人入試(1次募集)及び併願での入試(同)が同年1月22日まで複数回実施されているだけでなく,専願での一般・社会人入試及び併願での入試の2次募集(以下「2次募集」ともいう。)の試 験日 会人入試(1次募集)及び併願での入試(同)が同年1月22日まで複数回実施されているだけでなく,専願での一般・社会人入試及び併願での入試の2次募集(以下「2次募集」ともいう。)の試 験日が2月12日及び3月3日に設定されており(なお,同月18日に欠員募集の試験日も設定されている。),平成25年度入試もおおむね同様の状況と推認されるから(認定事実,弁論の全趣旨),少なくとも2次募集の最終試験日までに在学契約が解除された場合には,Aは,解除者がいることを前提に2次募集の合格者を決定できるのであり,解除者の代わりの入学者を通常容易に確保することができると認められる。 また,Aの平成23年度入試において,AO入試及び一般・社会人入試(専願・併願)の1次募集段階で定員が確保された学科はない上,救急救命学科,看護保健学科Ⅰ,看護保健学科Ⅱ,保健学科,理学療法学科,作業療法学科,言語聴覚学科,視能療法学科,鍼灸学科,柔道整復学科,介護福祉・保育学科,精神保健福祉学科,診療情報管理学科については,一般・社会人入試(専願・併願)の2次募集で合格した者がいるのであり,現在もおおむね同様の状況と推認できるから(認定事実,弁論の全趣旨),Aは,従前から,1次募集のみならず,2次募集をも通じてAへ入学させるにふさわしい一定水準の学力を持った学生を確保している状況にあるといえる。そうすると,2次募集の最終試験日までに在学契約が解除され,Aがこれを前提に2次募集の合格者を決定する場合であっても,従前とは異なった一定水準の学力を持たない者を合格者とすることにはつながらない。 したがって,AO入試の合格者が2次募集の最終試験日までに在学契約を解除した場合,Aは,解除者の代わりの一定水準を持った入学者を通常容易に確保することができるのであり はつながらない。 したがって,AO入試の合格者が2次募集の最終試験日までに在学契約を解除した場合,Aは,解除者の代わりの一定水準を持った入学者を通常容易に確保することができるのであり,平成18年11月27日最判のいう特段の事情があるから,被告に生ずべき平均的な損害は存しないと認められ,解除の時期にかかわらず本件学費を返還しないとする本件不返還条項のAO入試に関する部分のうち,2次募集の最終試験日までに解除された場合について本件学費を返還しないとする部分は,消費者契約法9条1 号に該当し無効となる。 イ推薦入試Aの推薦入試は,在籍高等学校の学校長又は教諭による推薦を受けたAを第1志望(専願)とする者に出願資格が認められているところ,上記高等学校の学校長等は,被推薦者が在学契約を解除した場合の次年度以降の当該高等学校からの受験者への影響を考慮し,推薦をするに当たって合格した場合のAへの入学の意思の確認を相当程度行っていると推認でき,Aの推薦入試に合格して在学契約を締結した学生については,上記出願資格の存在及び内容を理解,認識した上で,推薦入試を受験し,在学契約を締結していると認められること,選考方法が適性診断Ⅰ(マークシート方式),面接及び作文であり,併願での入試では更に適性診断Ⅱ(模擬授業からの出題に記述式で答えさせるもの)が課されるのと比べて試験方法も異なっており,併願での入試の場合と比べて有利な条件でAに入学できる地位を確保しているといえること,平成24年度入試の場合,平成23年10月9日から平成24年1月22日までの間に試験日が設定されているのに対し,併願での入試では二次募集も含めれば同年3月3日までの間に試験日が設定されており(平成25年度入試もおおむね同様の状況と推認できる。 ら平成24年1月22日までの間に試験日が設定されているのに対し,併願での入試では二次募集も含めれば同年3月3日までの間に試験日が設定されており(平成25年度入試もおおむね同様の状況と推認できる。),併願での入試の場合と比べて早期に入学資格を確保できる場合もあること等からすれば(認定事実,弁論の全趣旨),当該学生が在学契約を締結した時点でAに入学することが客観的にも高い蓋然性をもって予測されるものというべきである。 しかし,Aの平成24年度入試では,推薦入試が終了した後も,専願での一般・社会人入試及び併願での入試の2次募集の試験日が2月12日及び3月3日に設定されており(なお,同月18日に欠員募集の試験日も設定されている。),平成25年度入試もおおむね同様の状況と推認されることは前記説示のとおりであり,少なくとも2次募集の最終試験日までに 在学契約が解除された場合には,Aは,解除者がいることを前提に2次募集の合格者を決定できるのであり,解除者の代わりの入学者を通常容易に確保することができると認められる(また,このように解除者がいることを前提に2次募集の合格者を決定する場合であっても,従前とは異なった一定水準の学力を持たない者を合格者とすることにはつながらないことは,前記説示のとおりである。)。 したがって,推薦入試の合格者が2次募集の最終試験日までに在学契約を解除した場合,Aは,解除者の代わりの一定水準を持った入学者を通常容易に確保することができるのであり,平成18年11月27日最判のいう特段の事情があるから,被告に生ずべき平均的な損害は存しないと認められ,解除の時期にかかわらず本件学費を返還しないとする本件不返還条項の推薦入試に関する部分のうち,2次募集の最終試験日までに解除された場合について本件学費を返還しないと 均的な損害は存しないと認められ,解除の時期にかかわらず本件学費を返還しないとする本件不返還条項の推薦入試に関する部分のうち,2次募集の最終試験日までに解除された場合について本件学費を返還しないとする部分は,消費者契約法9条1号に該当し無効となる。 ウ専願での一般・社会人入試Aの専願での一般・社会人入試は,平成24年度入試の場合,併願での入試の場合と試験日が同一であって(平成25年度入試もおおむね同様の状況と推認できる。),併願での入試の場合と比べて早期に入学資格を確保することができるとはいえないものの,Aを第1志望とする者に出願資格が認められており,Aの一般・社会人入試(専願)に合格して在学契約を締結した学生については,上記出願資格の存在及び内容を理解,認識した上で,一般・社会人入試(専願)を受験し,在学契約を締結していると認められること(認定事実,弁論の全趣旨),選考方法が適性診断Ⅰ(マークシート方式),面接及び作文であり,併願での入試では更に適性診断Ⅱ(模擬授業からの出題に記述式で答えさせるもの)が課されるのと比べ,少ない科目の試験によって合格が可能であるし,単にマークシート方式に よる解答をする試験と模擬授業からの出題に記述式によって解答する試験とでは受験者の負担も相当に異なっていると認められること(認定事実,弁論の全趣旨)等からすると,併願での入試の場合と比べて有利な条件でAに入学できる地位を確保しているということができるから,当該学生が在学契約を締結した時点でAに入学することが客観的にも高い蓋然性をもって予測されるものというべきである(なお,本件訴訟において提出されている証拠等からは上記のとおりであるが,被告と在学契約を解除した学生との間に個別の紛争が生じた場合には,当該年度の具体的 然性をもって予測されるものというべきである(なお,本件訴訟において提出されている証拠等からは上記のとおりであるが,被告と在学契約を解除した学生との間に個別の紛争が生じた場合には,当該年度の具体的試験方法,併願での入試の場合との合格者の判定方法の差異,合格者数が定員に達していたか否か等を含め,提出された証拠に基づいて具体的に判断されることになる。)。 しかし,Aの平成24年度入試では,専願での一般・社会人入試の一次募集の最終試験日が平成24年1月22日ではあるものの,専願での一般・社会人入試及び併願での入試の2次募集の試験日が2月12日及び3月3日に設定されており(なお,同月18日に欠員募集の試験日も設定されている。),平成25年度入試もおおむね同様の状況と推認されることは前記説示のとおりであり,少なくとも2次募集の最終試験日までに在学契約が解除された場合には,Aは,解除者がいることを前提に2次募集の合格者を決定できるのであり,解除者の代わりの入学者を通常容易に確保することができると認められる(また,このように解除者がいることを前提に2次募集の合格者を決定する場合であっても,従前とは異なった一定水準の学力を持たない者を合格者とすることにはつながらないことは,前記説示のとおりである。)。 したがって,専願での一般・社会人入試の合格者が2次募集の最終試験日までに在学契約を解除した場合,Aは,解除者の代わりの一定水準を持った入学者を通常容易に確保することができるのであり,平成18年11 月27日最判のいう特段の事情があるから,被告に生ずべき平均的な損害は存しないと認められ,解除の時期にかかわらず本件学費を返還しないとする本件不返還条項の専願での一般・社会人入試に関する部分のうち,2次募集の最終試験日までに解除された場合につ 生ずべき平均的な損害は存しないと認められ,解除の時期にかかわらず本件学費を返還しないとする本件不返還条項の専願での一般・社会人入試に関する部分のうち,2次募集の最終試験日までに解除された場合について本件学費を返還しないとする部分は,消費者契約法9条1号に該当し無効となる。 エ編入学Aの編入学入試は,平成24年度入試の場合,同年10月1日以降,随時実施され(平成25年度入試もおおむね同様の状況と推認できる。),基礎的な勉学修了者と認定された者が,希望学科の2年次以上へ入学する制度で,Aを第1志望(専願)とする者に出額資格が認められるところ(認定事実,弁論の全趣旨),他の学校等からAの2年次以上への入学を希望する状況からすれば,Aの編入学入試に合格して在学契約を締結した学生については,当該学生が在学契約を締結した時点でAに入学することが客観的にも高い蓋然性をもって予測されるものというべきである。また,編入学は,希望学科の2年次以上へ入学する制度であるから,1年次へ入学する者を選考するAO入試,推薦入試,一般・社会人入試(専願・併願)によって代わりの入学者を確保することはできない。 しかし,編入学入試は上記のとおり,入学年度の前年10月1日以降随時実施されており,少なくとも入学年度の2月1日までに在学契約が解除されれば,もともと出願者自体が少ないとしても,3月31日までには2か月の余裕があり,Aは,解除者がいることを前提に編入学の合格者を決定することができるのであり,一定水準の学力を持った代わりの入学者を通常容易に確保することができると認められる。 したがって,編入学入試の合格者が入学年度の2月1日までに在学契約を解除した場合,Aは,解除者の代わりの一定水準を持った入学者を通常容易に確保することができるのであり,平 とができると認められる。 したがって,編入学入試の合格者が入学年度の2月1日までに在学契約を解除した場合,Aは,解除者の代わりの一定水準を持った入学者を通常容易に確保することができるのであり,平成18年11月27日最判のい う特段の事情があるから,被告に生ずべき平均的な損害は存しないと認められ,解除の時期にかかわらず本件学費を返還しないとする本件不返還条項の編入学入試に関する部分のうち,入学年度の2月1日までに解除された場合について本件学費を返還しないとする部分は,消費者契約法9条1号に該当し無効となる。 オ被告の主張に対する判断 被告は,Aは,法令上,東海北陸厚生局長が承認した定員を超えて学生を入学させることができず,多数の入学辞退者を予定して合格者を確保する学校とは異なると主張する。 たしかに,Aの学科(現在募集が停止されている学科は除く。)のうち診療情報管理学科,医療秘書学科,アスレティックトレーナー学科及びスポーツトレーナー学科以外の学科は,厚生労働省等の通知により定員の遵守が要請されている(認定事実)。しかしながら,前記のとおり,Aは専門学校であって,大学の場合と同様の規律が妥当するというべきである。また,定員を遵守するため合格者を余分に確保することができないとしても,在学契約が解除される時期によっては,他の入学試験等によって代わりの入学者を確保することは可能であり,この場合に被告に生ずべき平均的な損害が存しないことは前記説示のとおりである。 したがって,この点に関する被告の主張は採用できない。  被告は,専願の合格者が在学契約を解除することは信義則に反する行為であり,被告もかかる事態を予定せずに当該入学年度の人的物的設備を策定していることや,2次募集において1 の主張は採用できない。  被告は,専願の合格者が在学契約を解除することは信義則に反する行為であり,被告もかかる事態を予定せずに当該入学年度の人的物的設備を策定していることや,2次募集において1次募集の合格者に並ぶ学力を有し,授業料も納める者を確保することは困難であることから,専願者の解除は被告に平均的な損害を生じさせると主張する。 しかし,前記認定のAにおける専願の入試日程に照らせば,被告にお いて専願の合格者が在学契約を解除することがおよそ想定外のことであるとはいえないし,解除の時期によっては代わりの入学者を確保でき,この場合に被告に生ずべき平均的な損害が存しないことや2次募集において国家試験に耐え得る学力を有しかつ授業料を完納した学生を確保することが困難であるといえないことは,前記説示のとおりである。 したがって,この点に関する被告の主張は採用できない。  被告は,本件学費について,学籍登録の対価であると主張し,これによれば,入学辞退者に対し本件学費を返金しないことは当然であると主張する。 しかし,授業料(通常は初年度の最初の学期分又は初年度分)や,実験実習費,施設設備費,教育充実費などの費目の金員は,その費目の名称に照らしても,一般に,教育役務の提供等,在学契約に基づく学生に対する給付の対価としての性質を有するものと解され(平成18年11月27日最判参照),入学金とは異なり,これを単なる学籍登録の対価であるということはできない。 したがって,この点に関する被告の主張は採用できない。 4 消費者契約法12条3項に基づく本件不返還条項を含む意思表示等の差止めの可否について本件不返還条項は,AO入試,推薦入試,専願での一般・社会人入試及び編入学入試によ 採用できない。 4 消費者契約法12条3項に基づく本件不返還条項を含む意思表示等の差止めの可否について本件不返還条項は,AO入試,推薦入試,専願での一般・社会人入試及び編入学入試によりAへの入学資格を得て(以下「AO入試等により入学資格を得て」という。),被告との間で在学契約を締結した者について,在学契約が解除される時期(入学辞退の申出の時期)にかかわらず,一律に本件学費を返還しないとする条項であるところ,前記3のとおり,①同条項のAO入試,推薦入試及び専願での一般・社会人入試に関する部分のうち,2次募集の最終試験日までに在学契約が解除された場合について,本件学費を返還しないとする部分は,消費者契約法9条1号に該当し無効となり,②同条項の編入学入試に関 する部分のうち,入学年度の2月1日までに解除された場合について,本件学費を返還しないとする部分は,消費者契約法9条1号に該当し無効となる。 そして,原告は,消費者が,AO入試等により入学資格を得て,被告との間で在学契約を締結した場合,在学契約が解除される時期(入学辞退の申出の時期)にかかわらず,一律に本件学費を返還しないとする条項(本件不返還条項)を含む契約の申込み又は承諾の意思表示の差止めを求めているところ(主文第1項関係),被告は,消費者契約(在学契約)を締結するに際し、不特定かつ多数の消費者との間で,同法第9条1号を含む消費者契約(本件不返還条項を含む在学契約)の申込み又はその承諾の意思表示を現に行うものと認められるから,同法12条3項に基づき,適格消費者団体である原告は,事業者である被告に対し,当該行為の停止(本件不返還条項を含む在学契約の申込み又はその承諾の意思表示の差止め)を求めることができる(本件不返還条項は前記説示のとおり,同法9条1号に 体である原告は,事業者である被告に対し,当該行為の停止(本件不返還条項を含む在学契約の申込み又はその承諾の意思表示の差止め)を求めることができる(本件不返還条項は前記説示のとおり,同法9条1号により一部無効であるが,同法12条3項は,このような不当な契約条項を含む消費者契約の申込み又は承諾の意思表示の差止めを認めていると解される。なお,原告は,本件不返還条項を現状のまま使用することの差止めを求めているのであって,本件不返還条項を修正して使用することまで差し止める趣旨でないことは明らかである。)。 また,原告は,Aにおいて,本件不返還条項が記載された書面,電子データを破棄すること(主文第2項関係)及び本件不返還条項を含む契約の勧誘及び締結を行わないことを被告従業員に対して周知徹底すること(主文第3項関係)を求めているところ,原告は,同法12条3項により,「当該行為に供した物の廃棄」及び「その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとること」を請求することができるから,原告の上記各請求には理由がある。 第4 結論以上によれば,原告の請求はいずれも理由があるからこれを認容することとし,仮執行宣言については,相当でないからこれを付さないこととして,主文 のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第8部 裁判長裁判官片田信宏 裁判官鈴木陽一郎 裁判官古賀千尋

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