【DRY-RUN】○ 主文 一 原判決を取消す。 二 被控訴人らの控訴人らに対する請求をいずれも棄却する。 三 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人らの負担とする。 ○ 事実 一 控訴人ら訴訟代理人は主文同旨の判決を求め
○ 主文一原判決を取消す。 二被控訴人らの控訴人らに対する請求をいずれも棄却する。 三訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人らの負担とする。 ○ 事実一控訴人ら訴訟代理人は主文同旨の判決を求め、被控訴人ら訴訟代理人は「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人らの負担とする。」との判決を求めた。 二当事者双方の主張は、次のとおり付加するほかは、原判決事実摘示のとおりであり、証拠関係は、原審記録中の書証目録及び証人等目録並びに当審記録中の書証目録記載のとおりであるから、これを引用する。 1 被控訴人らの追加主張(一) 仮に本件金員の支出が地方自治法二四二条の二第七項の弁護士の報酬相当額の支払のためではなく、補償金又は見舞金(町議会では見舞金として支出する旨議決されている)としてなされたものとしても、補償金は、地方公共団体の適法な公務の執行により特定の者に財産上の損失を与え又は精神上の損失を与えた場合その損失を償うため必要な経費であるところ、本件金員の実質は訴訟費用及び弁護士費用を償うものであるから、右補償金には該当しない。 また、見舞金は社会的儀礼の範囲にとどめで初めで有効であり、本件のような実質は訴訟費用及び弁護士費用に該当するものを見舞金名目で甲田町が支出することは許されないから、いずれにしても、本件公金の支出は違法である。 (二) 仮に本件金員が和解金として支払われたものとすれば、甲田町が和解をするについては地方自治法九六条一項一二号の規定により町議会の議決を要するところ、本件金員はその原因たる和解につき町議会の議決を経ることなく支払われたものであるから、その支出は違法である。 仮に本件和解金の支出は地方公営企業法に基づく甲田町水道事業特別会計からなされたものであるから、和解をするにつき町議会の議決を要しないとしても(同法四〇条二項) のであるから、その支出は違法である。 仮に本件和解金の支出は地方公営企業法に基づく甲田町水道事業特別会計からなされたものであるから、和解をするにつき町議会の議決を要しないとしても(同法四〇条二項)、甲田町水道事業の管理者たる当時のA町長が本件和解契約を締結するについては書面をもってなすことを要するところ(地方自治法二三四条五項)、右和解契約は書面をもってなされていないから無効であり、従って無効の契約に基づいてなされた本件公金の支出は違法である。 2 被控訴人らの追加主張に対する控訴人らの答弁(一) (一)は否認する。予算上の名目はともかく、本件金員は和解金として支出されたものである、。 (二) (二)中本件金員が甲田町と「正す会」との和解に基づいて支出されたことは認めるが、その余は争う。A甲田町長は、甲田町を代表して第三者である「正す会」と和解をしたところ(地方自治法一四七条)右和解契約に基づく金員の支払は、普通地方公共団体の事務処理に必要な経費(同法二三二条一項、一四八条一項)として、又は地方公営企業に必要な経費として、当然に甲田町水道事業特別会計から支出し、又は甲田町の一般会計から同特別会計に繰り入れることができる(地方公営企業法一七条の二)ものであるところ、A町長は、昭和五九年第六回甲田町議会宝例会に四二号甲田町水道会計補正予算案として本公金支出を上程し、本支出が「終戦処理費」という名の実質的和解金である旨説明し、議会もこれを了解し右補正予算案を可決したものであるから、本件金員の支出は適法である。 なお、本件公金支出の予算項目は(款)水道事業費用(項)営業費用(目)総係費(節)補償金となっていたところ、前示のように、和解金であれば正しくは(節)雑費として支出すべきものとしても、同一目内の流用は差し支えないものと解されるから、右公金 業費用(項)営業費用(目)総係費(節)補償金となっていたところ、前示のように、和解金であれば正しくは(節)雑費として支出すべきものとしても、同一目内の流用は差し支えないものと解されるから、右公金の支出には会計上も何らの違法はない。 また、地方自治法二三四条五項は普通地方公共団体が契約をするすべての場合につき契約書の作成を要求している訳ではないから、本件の場合契約書の作成がなくとも和解契約は有効である。 3 控訴人らの抗弁(一) 仮に本件金員が地方自治法二四二条の二第七項の弁護士の報酬相当額として支出されたとしても、本件和解により水道料金滞納者一二四名が甲田町に対し合計五二三万七九〇〇円の水道料金を納入したのであるから、本件裁判外の和解とそれに伴う住民訴訟の取下げは、本件金員の支払を受ける住民らが住民訴訟において実質的に勝訴したと同視し得る事情がある場合に該当するから、本件支出は適法である。 (二) 仮に本件金員の支出が法令に違反する違法な支出であったとしても、本件支出は甲田町町議会の議決を経て行われているから、A町長には故意又は過失はなく、従ってA町長は損害賠償責任を負わない。 4 抗弁に対する被控訴人らの答弁(一) (一)は否認する。地方自治法二四二条の二第七項に基づく報酬額相当額の支払は、住民訴訟のうち同条一項四号の規定による訴訟の勝訴判決が確定した場合に限り許されるものであって、住民が住民訴訟において実質的に勝訴をしたと同視し得る事情がある場合であっても、その支払は許されない。 (二) (二)は争う。 ○ 理由一 (当事者)請求原因1の事実(当事者の地位)は当事者間に争いがない。 二 (監査請求)請求原因6の事実(監査請求)は当事者間に争いがない。 三 (甲田町における水道紛争の経緯)請求原因2、3の(一)、並びに被告らの主張 の事実(当事者の地位)は当事者間に争いがない。 二 (監査請求)請求原因6の事実(監査請求)は当事者間に争いがない。 三 (甲田町における水道紛争の経緯)請求原因2、3の(一)、並びに被告らの主張1の(一)及び(二)の各事実(甲田町水道事業、甲田町水道紛争の経緯の一部)は当事者間に争いがなく、右争いのない事実に成立に争いのない甲第一一号証の一ないし西、第一四ないし一八号証、第三一号証の一、四、乙第一号証、原本の存在及びその成立に争いのない甲第一二号証の一、二、証人Bの証言により真正に成立したと認められる乙第二、第三号証、証人B、同Cの証言、被控訴人D本人尋問の結果を総合すると、次の事実が認められ、右認定を覆すに足る的確な証拠はない。 1 旧小田村(後に甲立村と合併して甲田町となる。)の尾津谷、正学地域(以下、「尾津谷地域」という。)の住民においては、古くから同地域の湧水を水源として灌漑用水を取水し、余水を生活用水に利用していたところ、芸備線の開通に伴い吉田口地区の住民が漸次増加したので、その要望に応じ、これらの住民に対しても右余水を生活用水として利用させていた。 2 尾津谷簡易水道は、昭和三〇年八月、旧小田村の村営水道として発足したが、その際右水道の水源は尾津谷水系に求められ、旧小田村は、昭和三〇年七月二二日、尾津谷水系灌漑水利権者との間で右水利権の譲水契約を締結した。以後、甲田町において尾津谷簡易水道が利用されることとなり、昭和三一年に尾津谷簡易水道条例が制定、施行された。 3 その後、昭和四九年には甲田町水道事業が発足し、右事業に基づく給水地域は甲田町のほぼ全域とされ、その水源は尾津谷水系とは別の水系の可愛川に求められた。そして甲田町水道事業給水条例が制定、施行され、これに伴い尾津谷簡易水道条例は廃止されたが、甲田町水道事業給水条例 域は甲田町のほぼ全域とされ、その水源は尾津谷水系とは別の水系の可愛川に求められた。そして甲田町水道事業給水条例が制定、施行され、これに伴い尾津谷簡易水道条例は廃止されたが、甲田町水道事業給水条例中、附則2但し書において「旧尾津谷簡易水道管理及び料金徴収については上水道給水開始時まで従前通りこれを行うものとする」とされた。 一方、尾津谷地域の水利権者らは、右新条例の制定に伴い、以後は甲田町には甲田町水道による給水がなされるに至ったことから、従前の尾津谷簡易水道の水利については前記譲水契約を解除して尾津谷地域の水利権者に返還するように求めて甲田町との交渉を始め、昭和五〇年三月頃尾津谷地域の住民らと当時の町長Eとの間で、昭和五一年三月三一日までに(その後の話合いで同年四月三〇日まで返還期限を延長)これを返還する旨の話合が或立した。 右上水道事業による給水は昭和五一年ころに開始されたが、給水開始後も、吉田口地区の一部住民は、尾津谷簡易水道に比して甲田町水道によるときは、使用料が高額であることや水質が落ちること等を理由として、その給水装置の設置を拒み、尾津谷簡易水道からの受水を主張したため、従前の旧尾津谷簡易水道設備による給水も事実上継続され、吉田口地区においては甲田町水道管系と簡易水道管系の二系統の給水が併存するに至った。 そうして、甲田町は、甲田町水道の給水開始後も依然として簡易水道管系から受水している者については、前示給水条例附則2項但書(同但書は、甲田町水道事業条例制定後実際に同町が給水を開始する時まで時日を要するところからその間の経過措置を定めたもので、甲田町が給水を開始し、甲田町水道から受水ができるにも拘わらずこれをしない者に対する水道の給水ないし料金額を定めることを目的としたものではない。)に従い、旧来の廉価な水道料を徴収していた めたもので、甲田町が給水を開始し、甲田町水道から受水ができるにも拘わらずこれをしない者に対する水道の給水ないし料金額を定めることを目的としたものではない。)に従い、旧来の廉価な水道料を徴収していたところから、甲田町水道から給水を受けている者との間に著しく料金較差が生じ、甲田町水道管系利用者ないし譲水契約の早期解除を主張する水利権者らと依然として尾津谷簡易水道からの受水を継続している吉田口地区の一部住民らとの間に対立が生ずるに至った。 4 昭和五三年八月ころ、当時のE町長は、旱魃により尾津谷地域の灌漑用水の不足が生じたことから、尾津谷簡易水道の水利権者のため、同水道による配水を一時停止し(前記譲水契約には潅瀧用水優先の趣旨が明記されている。)尾津谷簡易水道利用者に対しては、これに代わって甲田町水道管系を尾津谷簡易水道管系に直結して給水した。その後、同町長は水利権者である尾津谷地域等の住民らからの強い要請を受けたことから、昭和五三年九月一六日、専決処分により前記2記載の譲水契約を解除して、甲田町の譲水を受ける権利を水利権者に返還した(なお同月一八日、議会は右専決処分を承認した。)。 しかし、右譲水契約解除処分については、前記吉田口地区住民により結成された「尾津谷水道既得権を守る会」と称する団体(以下「守る会」という)に属する住民が反発し、尾津谷簡易水道の給水の停止は、旱魃による一時的な措置であり、旱魃による緊急事態が解消した以上は尾津谷簡易水道の水源からの配水を再開するべきである旨を町に対し強く求めていた。 その間も、甲田町水道管系の直結による尾津谷簡易水道管系への給水は続けられたが、接続された尾津谷簡易水道管の老朽部分の破損箇所から多量の漏水が生ずることになった。そこでE町長は、「守る会」に対し、甲田町水道から直接給水管を接続して受水すろ 簡易水道管系への給水は続けられたが、接続された尾津谷簡易水道管の老朽部分の破損箇所から多量の漏水が生ずることになった。そこでE町長は、「守る会」に対し、甲田町水道から直接給水管を接続して受水すろように求めたが、右交渉は進展せず、「守る会」の住民の多くは甲田町水道の利用を拒否した、,そのため、E町長は、昭和五五年四月二日、漏水による給水事業への支障を避けるために、尾津谷簡易水道系を通じて行う甲田町水道による給水を停止したところ、右措置に反発した「守る会』住民は、町の許可なく甲田町水道の支管や同水道利用者の給水管に尾津谷簡易水道の給水管等を接続して給水を受けるに至った。 更に甲田町が尾津谷水系からの給水を停止し、尾津谷簡易水道の給水管を通じて甲田町水道の水を給水するようになってからも、右給水を受けている「守る会」の住民らに対しては、尾津谷簡易水道の給水管には量水器の付設がないため使用水量の計量ができないこと、右住民らからは正式には甲田町水道の給水申込みがなされていないから、法的には甲田町水道事業給水条例に基づく給水とはいえないこと等を理由に、前示附則但書に基づき従前どおり尾津谷簡易水道としての旧水道料金の賦課、徴収しか行われなかったため、その他の住民らから、既に尾津谷簡易水道は廃止されており、同じ甲田町水道の水を利用しているのに水道料金に著しい較差が生じているのは不公平だとの声が一段と高まった。勝手に甲田町水道の支管や同水道利用者の給水管に接続して水道を利用している一部「守る会」の住民らに対して甲田町が見るべき措置を講じようとしなかったことも他の住民らの不満を一層募らせた。 5 昭和五五年五月には、E町長にかわりFが町長に就任したが、吉田口地区には、尾津谷簡易水道配水管に代わる水道管設備を設置することとし、その経費三五〇万円を予算に計上 住民らの不満を一層募らせた。 5 昭和五五年五月には、E町長にかわりFが町長に就任したが、吉田口地区には、尾津谷簡易水道配水管に代わる水道管設備を設置することとし、その経費三五〇万円を予算に計上してその議決を経た。これは、後述のごとく尾津谷簡易水道の給水管には量水器が付設されていなかったことから、吉田口地区の「守る会」ら住民の尾津谷簡易水道設備から新水道管設備への切替えを促進するため、町の費用をもって新水道管設備の措置をしようというものであったが、吉田口地区には既に甲田町水道管系の配水管が敷設されていて、吉田口地区の住民で尾津谷簡易水道管系から甲田町水道管系からの受水に切り替えようとする者は、条例どおり自ら給水工事費用を負担して既設の配水管に自己の給水装置を取り付ければ足りるのに、甲田町がその費用を負担するのは不公平であるとして、更にはF町長が右新設備の水源を明らかにせず、譲水契約は解除されていないから水利権者との話合いさえつけば再び尾津谷水系から水を引くことがあるかのようなあいまいな言動をしたところから、再び尾津谷地域に水源を求めるものだとして、尾津谷地域の水利権者その他の住民の反発を招く結果となった。 6 以上の実情に不満を持った尾津谷地域の水利権者らは、Cを代表とする前記「正す会」を結成し、甲田町に対する水道料金の不払いを開始するとともに、昭和五八年一月二一日C外一七名が申請人となって甲田町を相手方として旧尾津谷簡易水道水源取水設備利用による取水の差止、右設備の執行官保管、譲渡・占有移転禁止を求める仮処分を申請し(被告らの主張記載の「仮処分事件」)、昭和五八年四月二五日、C外五名が原告となり、甲田町長F及び同町長個人を被告として、旧水道料金賦課の差止、不平等な水道科金の是正措置を執らないことの違法確認、地方自治法二四二条の二第 処分事件」)、昭和五八年四月二五日、C外五名が原告となり、甲田町長F及び同町長個人を被告として、旧水道料金賦課の差止、不平等な水道科金の是正措置を執らないことの違法確認、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づき甲田町水道の漏水等の放置をしたことによる損害の賠償を甲田町に代位して求める旨、及び前記吉田口地区の新水道管設備の工事費予算三五〇万円の支出ないし右工事の施行の差止めを求める旨の訴えを提起した(請求原因記載の「住民訴訟」)一方、甲田町は、水道料金の支払いを拒んでいる住民の一部を被告として水道料金の支払いを求める訴えを提起した(請求原因記載の「水道料金訴訟」)。 また前示仮処分申請に対抗して、吉田口付近の住民であるG外一九名らは、その頃「正す会」のC外一七名を被告として、尾津谷地域を水源とする湧水利用権の確認等を求める訴訟(広島地方裁判所昭和五八年(ワ)第五九九号湧水利用権確認等請求事件)を提起した。 7 こうして、水道問題は甲田町全体を捲き込も問題にまで発展し、新たに町長選挙に立候補したAは、水道問題の全面的解決を選挙公約として掲げて町民多数の支持を受け、町長選挙に当選し、昭和五九年六月一七日町長に就任した。 四 (甲田町長と「正す会」との間の和解の成立について)前記甲第一四号証、第一五号証、乙第二号証、いずれも成立(甲第二八号各証については原本の存在、成立とも一に争いのない甲第三号証の一ないし三、第六号証、第一三号証、第二八号証の一ないし三、第三六号証、第三七号証の一、二、第三八号証ないし第四〇号証、証人B、同C、同Hの各証言並びに弁論の全趣旨を総合すると次の事実が認められ右認定を覆すに足る的確な証拠はない。 1 甲田町町長に就任したAは、前記選挙公約に従い前記三認定の甲田町における水道問題を解決したいとの意向をもち、「正す会」会 全趣旨を総合すると次の事実が認められ右認定を覆すに足る的確な証拠はない。 1 甲田町町長に就任したAは、前記選挙公約に従い前記三認定の甲田町における水道問題を解決したいとの意向をもち、「正す会」会長のCに対し、甲田町と「正す会」との間の前記紛争等に関し、話し合いによる解決を申し出、以後Cとの間で数度話し合いを行ったが、その際、A町長は、甲田町と「正す会」住民との間の訴訟の双方の取下げ、小田小学校屎尿排水管埋設工事及び町道尾津谷線の拡幅工事への協力方、及び一正す会」住民の未払い水道料金の支払いを要望し、他方、Cは「正す会」側の条件として、甲田町から「正す会」側に対するいわゆる慰藉料名目による金員の支弁や、水道料金徴収の不公平の是正、未払い水道料金の善処方を求めたところ、A町長は「正す会」側に対する町費の支出や右の不公平の是正、不払い水道料金の処置について「正す会」側の要望に応じる旨を答えた。 同年九月初旬頃、C宅で、町側はA町長と教育次長が「正す会」側はC外三名が出席のうえ、最終的に、「正す会」側は、(1)前記住民訴訟、仮処分申請を取り下げる、(2)町が水道料金訴訟を取り下げる代りに速やかに滞納水道料金を町に納付する。他方甲田町は、(1)前記住民訴訟、水道科金訴訟及び仮処分事件につき「正す会」住民らが既に負担し、あるいは負担すべき訴訟費用の実費即ち右訴訟につき「正す会」住民らの負担に係る弁護士費用相当額全額を町から支出する、(2)前記水道料金訴訟を取り下げ、「正す会」住民らの納付した水道科金の一部還付をし、並びに昭和五二年度ないし五七年度の未払水道料金の支払を一部免除する旨の合意がなされた。 また、右話合いの際、地権者である「正す会」の住民らの小田小学校屎尿排水管工事及び尾津谷線の道路拡幅工事への協力についても約束が取り交わされた。 なお 道料金の支払を一部免除する旨の合意がなされた。 また、右話合いの際、地権者である「正す会」の住民らの小田小学校屎尿排水管工事及び尾津谷線の道路拡幅工事への協力についても約束が取り交わされた。 なお、話合いの際、双方から出された条件や合意の内容については、すべて口頭により提示ないしは取り交わされたものであって、書面の作成はなされなかった。、(なお、本件水道問題の発端となった「守る会」の住民らに対する水道料金徴収の不公平の是正等につき話合いないしは一定の了解がなされたことを認めうる確たる証拠はないが、前掲甲第一一号証の三(監査通知)によれば、「守る会」の住民らも量水器の取付けを始めていることが窺われること、前示のとおり、「正す会」側も水道料金の一部還付ないし減免を受けたこと、「正す会」は前記住民訴訟を取り下げる合意をしていること並びに弁論の全趣旨によれば、依然として簡易水道管系を通じて受水しでいる吉田口地区の「守る会」の住民に対しては、甲田町の行政指導により順次甲田町水道管系からの受水に切り替えさせて行くことで「正す会」も了承し、過去の水道料金較差の是正については不問に付す旨の了解が成立したものと推認される。一 2 前記住民訴訟は、昭和五九年七月一六日付で「正す会」に属する原告らが訴えを取下げ、これにA町長及びFが同意したことにより終了し、水道料金訴訟及び仮処分事件も、そのころ、取下げ及びそれに対する相手方住民らの同意により終了した。 右各取下げにより、甲田酊と「正す会」住民との間では、当時係属していた訴訟事件、仮処分事件はすべて終了することとなった。 3 「正す会」の住民ら一二四名は、甲田町長との前示合意が成立した直後滞納水道料金合計五二三万七九〇〇円を納付した。 4 その後、小田小学校屎尿排水管工事が着工されたが、その際、「正す会」の住 た。 3 「正す会」の住民ら一二四名は、甲田町長との前示合意が成立した直後滞納水道料金合計五二三万七九〇〇円を納付した。 4 その後、小田小学校屎尿排水管工事が着工されたが、その際、「正す会」の住民が任意に土地を提供するなどしたため、町道を経由する計画の許に予算措置(約一九七〇万円)を講じていた当初の工事に比して、はるかに低額の費用(約五~六〇〇万円)で工事が完成した。 5 なお、「正す会」住民らの未払い水道料金の支払いに関しては、前示合意に基づき昭和五九年九月二〇日、A町長は、甲田町水道事業会計の処理により、未払い水道料金合計一八二万九二二〇円の支払いを減免し、既に右住民らから支払い済みの水道料金合計八五万三五〇〇円を還付することとし、同月二五日、右額の金員を対象者に還付した。 五 (本件公金支出)請求原因3(三)記載のとおり本件公金の支出がなされた事実は当事者間に争いがないところ、右の争いのない事実に前掲甲第三号証の一ないし三、第六号証、第二八号証の一ないし三、成立に争いのない甲第一号証、第二号証、第四号証、第五号証、原本の存在及び成立に争いのない甲第二三号証の一ないし四、第二四号証、第二五号証の一、二、第二六号証、第二七号証、証人B、同H、同Cの各証言、被控訴人銘分元三本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨を総合すると次の事実が認められ、右認定を覆するに足る証拠はない。 1 昭和五九年九月一七日、A町長は、前示弁護士費用相当額一七八万七六一〇円を町費から支出すること並びに前記「正す会」との合意による水道科金の減免及び還付により不足する水道事業会計の財源を補填すること等を目的として、後記のとおりの甲田町一般会計補正予算案及び甲田町水道事業補正予算案を議会に提出したが、右金員支出についてA町長からなされた説明は、次のとおりである。すなわち 計の財源を補填すること等を目的として、後記のとおりの甲田町一般会計補正予算案及び甲田町水道事業補正予算案を議会に提出したが、右金員支出についてA町長からなされた説明は、次のとおりである。すなわち、まず提案理由として、「水道問題が解決して、その関係する終戦処理費」である旨の説明がなされ、その後、出席議員の質問に対し、右金員は訴訟費用である旨の答弁がなされた。そして、その後の質疑において、A町長は、「補償費で、この位の答弁でゆるしていただきたい」、「弁護士から請求書が来ており、別に何でもない金ではない」、「議員さんにはつきり申し上げてよいかどうかということは今悩んでいる」、「町民の金を使わせてもらうので、波紋になるかも知れないので、終戦処理費位でおさめていただきたい」、「それが条件で水道問題を解決しな。滞納も整理し、従来のように町に協力していただくということで条件として私がのんだ」、「補償の意味にはあたらないかも知れず、見舞金にあたるかも知れないが、色々それが条件で和ぼくした」といった旨の答弁をなし、その際水道事業会計補正予算のうち、前記予算の「説明」を「訴訟費用補償金」から「見舞金」に訂正した。その後、質疑が打ち切られ、右両予算案は賛成多数で可決された。なお、右審議の休憩中になされた議論においても、反対議員の質問に対するA町長の答弁の趣旨は、前記金員の支出によって町が当事者である紛争は解決するという意味での終戦処理費であり、字句が悪ければ訂正する、というものであった。 2 昭和五九年度甲田町一般会計予算一第三号一案は同日挙手多数により原案通り可決されたが、右案においては、歳入歳出予算の総額に、歳入歳出それぞれ二七五三万四〇〇〇円を追加することとされ、うち歳出につき款を衛生費、項を上水道費として四二八万八〇〇〇円の補正がなされ、右は上水 可決されたが、右案においては、歳入歳出予算の総額に、歳入歳出それぞれ二七五三万四〇〇〇円を追加することとされ、うち歳出につき款を衛生費、項を上水道費として四二八万八〇〇〇円の補正がなされ、右は上水道施設費として甲田町一般会計から水道特別会計に対して補助金として支出されることとされた。また同日、A町長は、昭和五九年度甲田町水道事業会計補正予算(第一号)案を提出し、同日これも議会で挙手多数により原案通り可決された。右案においては前記四二八万八〇〇〇円のうち、三二五万二〇〇〇円は款を水道事業費、項を営業費用として支出され、そのうち一七八万七六一〇円が、目を総係費、節を補償金、説明を見舞金(当初は「訴訟費用補償金」として提出されたが、議会での審議中に「見舞金」と訂正された。)として支出されることとなった。 3 同年九月一九日、A町長は、前記一般会計補正予算に基づき、上水道事業会計補助金として前記四二八万八〇〇〇円の支出を命じ、当時収入役であった境章造より、水道事業会計出納員Iの口座に右金額が振り込まれた。 4 同年九月二〇日、町長として甲田町水道事業の管理者の地位を兼ねるA町長(甲田町水道事業において町長が管理者の権限を行うものとされることは請求原因2のとおりであって、当事者間に争いがない。)は、「正す会」会長Cに対し、甲田町水道事業会計から、前記一七八万七六一〇円を、款を水道事業費、項を営業費用、目を総係費、節を補償金、摘要を見舞金として、同額の小切手を振り出し、「正す会」において、これを受領した、。 5 右の一七八万七六一〇円は、「正す会」の住民が前記仮処分事件、水道科金訴訟及び住民訴詮の代理人であった加藤公敏弁護士に対して負担し、あるいは負担すべきいわゆる弁護士費用を含む訴訟費用(仮処分事件の費用が計五一万三六五〇円、水道料金訴訟の費用が 記仮処分事件、水道科金訴訟及び住民訴詮の代理人であった加藤公敏弁護士に対して負担し、あるいは負担すべきいわゆる弁護士費用を含む訴訟費用(仮処分事件の費用が計五一万三六五〇円、水道料金訴訟の費用が計五一万円、住民訴訟の費用が計七六万三九六〇円。但し右公金支出当時すでに支払い済みのものを含む)の合計額に相当するものであり、右の金員は右公金支出の後に「正す会」を通じて同弁護士に対して前記費用のうち未払い分が支払われ、あるいはすでに支払い済みの費用相当分は「正す会」が補填をうけたものとして、これを取得した。 被控訴人らが、違法な公金支出として本訴で争っているのは、前記4の一七八万七六一〇円の公金支出のうち、右の住民訴訟費用七六万三九六〇円に相当する金員の支出(請求原因記載の「本件公金支出」、その内訳は着手金五〇万円、印紙代等一万三九〇〇円、報酬二五万円で右着手金は当時「正す会」において支払い済みであった)である。 六 (本件公金支出の違法性の有無について)被控訴人らは、本件公金支出は、「正す会」の住民が提起した前記住民訴訟は取下げにより終了したにすぎず、住民が勝訴したものではないにもかかわらず、「正す会一側が支払うべき訴訟費用を甲田町が負担するものとして、その支出がなされたものであるから、地方自治法二四二条の二第七項の規定に反する違法なものと主張し、控訴人らは、同規定は地方公共団体が紛争解決の手段として住民に対して訴訟費用相当額を支出することまでも禁止したものではなく、本件公金支出は、甲田町における水道問題を解決するために「正す会」との間でなした和解の一条件として「正す会」に対する補償金(見舞金)として、その支出がなされたものであるところ、甲田町町長が町長として、また町の実施する水道事業の管理者の権限を行う者として、その水道事業の円滑な遂行 の一条件として「正す会」に対する補償金(見舞金)として、その支出がなされたものであるところ、甲田町町長が町長として、また町の実施する水道事業の管理者の権限を行う者として、その水道事業の円滑な遂行その他町政全般の円滑な遂行を図るため、「正す会」住民らとの間に和解契約を締結することは、地方自治法、地方会営企業法その他の法規によって当然許されるところであるから、本件公金の支出は当然有効である旨主張するので、以下検討する。 1 前認定の事実経過並びに弁論の全趣旨によれば、甲田町とその住民との間の水道問題をめぐる軌轢は、遂に住民による住民訴訟の提起と水道料金の不払運動並びにこれに.対抗しての甲田町の水道料金訴訟にまで発展し、甲田町において手を洪いたまま事態が推移すれば、その水道事業の運営に重大な支障を来たすばかりか、町行政全般にわたってさまざまの弊害をもたらす虞があるような重大な段階に差しかかっていたごとが認められるが、町政全般の執行責任者であり、甲田町の経営する水道事業の管理者の権限を行う者としてその経営にも責任を負うべきA町長としては、地方自治法その他の法令により与えられた権限を最大限に行使して、かかる事態の打開を図り、円滑な町政の実現と水道事業の正常な運営の回復をすべき責務があったといわなければならない。 そこでA町長は、甲田町における右水道問題を解決するため、「正す会」との話合により、前認定のとおり昭和五九年九月一七日、同会との間で、「正す会」側は、(1)記住民訴訟、仮処分申請を取り下げる、(2)町が水道料金訴訟を取り下げる代りに「正す会」側は速やかに滞納水道料金を町に納付する、甲田町側は、(1)前記住民訴訟、水道料金訴訟及び仮処分事件につき「正す会」住民らの負担に係る訴訟費用中弁護士費用相当額の金員を町から支出する、(2)前記水道料金 速やかに滞納水道料金を町に納付する、甲田町側は、(1)前記住民訴訟、水道料金訴訟及び仮処分事件につき「正す会」住民らの負担に係る訴訟費用中弁護士費用相当額の金員を町から支出する、(2)前記水道料金訴訟を取り下げ、「正す会」ら住民の既払水道科金及び未払水道料金の一部の還付ないし免除をする旨の合意を成立させたものであるが、前認定の右合意成立の経緯並びに右合意の内容に鑑みれば、右合意は民法六九五条に規定する和解契約ないしは和解類似の契約であると解するのが相当である。 而して前記住民訴訟の如き行政事件訴訟において、訴訟物たる権利ないし法律関係については、訴訟上の和解はもとより、私法上の和解をもすることができないことは言うまでもないが、訴訟物以外の点につき私法上の和解をなした上、訴訟外で当該行政事件訴訟の取下げの合意をすることはもとより可能であり、また前示甲田町水道事業給水条例三七条の規定によれば「管理者は、公益上その他特別の理由があると認めるときは、この条例によって納付しなければならない料金、メーター使用科、手数料その他の費用を軽減又は免除することができる」とされているから、A町長が右規定を根拠にして水道料の減免措置をとることは法律上も可能であるところ、前認定の水道紛争の経過に鑑みれば、甲田町の水道行政の非を鳴らして住民訴訟を提起し、水道料金の不払運動をしている「正す会」住民らの行動には誠に無理からぬものがあり、その言分にも聞くべき点が十分あったのであるから、これら住民の協力を取り付けて住民訴訟を取り下げさせ、水道料金の不払運動をやめさせて滞納料金を納付させ、甲田町の水道事業ひいては町政を正常化するために、右訴え取下げ等の代償として右住民らが要求する訴訟費用のうちの弁護士費用相当額の支払あるいは「守る会」の住民らに対する旧水道料金の賦課の差止 納付させ、甲田町の水道事業ひいては町政を正常化するために、右訴え取下げ等の代償として右住民らが要求する訴訟費用のうちの弁護士費用相当額の支払あるいは「守る会」の住民らに対する旧水道料金の賦課の差止、不平等な水道料金の是正請求の代りに「正す会」住民らの水道料金の一部の減免措置等を講ずることはけだしやむを得ない措置というべく、従ってA町長が、本件水道紛争解決のため、「正す会」住民らの負担に係る弁護士費用を町費から支出し、あるいは水道料の減免措置を講ずることを内容とする前示和解契約を締結することは、地方自治法その他の法規に適う行為であり、かつ、町行政ないし水道事業の執行者である町長の行政裁量の範囲内の行為であって、何ら違法の点はないものといわなければならない。 2 被控訴人らは、本件公金支出は地方自治法二四二条の二第七項の弁護士の報酬費用として支出されたものである旨主張し、なるほど前記の各事実によると、本件公金支出を含む前記一七八万七六一〇円の支出は、前記認定のA町長と「正す会」との話合いの際に、「正す会」側から、「正す会」が負担し、あるいは負担すべき前記の各訴訟における弁護士報酬を含も訴訟費用については、甲田町において、その支弁方を図って欲しい旨の申し入れがなされたのに対し、A町長において、水道問題をめぐる町を当事者とする住民との間の訴設の係属を解消する目的のために、これを受け容れて、その支出を承諾し、甲田町町長及び水道事業の管理者として、前記認定の予算措置を講じて、「見舞金(訴訟費用補償金)」として「正す会」に対し、これを支出したものであり、かつ、前記認定のとおり、本件公金支出にかかる七六万三九六〇円は、前記住民訴訟における「正す会」側の訴訟代理人であった前記弁護士に支払った着手金、同弁護士に支払うべきいわゆる成功報酬及び印紙代にあた つ、前記認定のとおり、本件公金支出にかかる七六万三九六〇円は、前記住民訴訟における「正す会」側の訴訟代理人であった前記弁護士に支払った着手金、同弁護士に支払うべきいわゆる成功報酬及び印紙代にあたる金員に相当する額であり、「正す会」は、右の支出を受けた後に未払いの成功報酬及び印紙代を支払い、かつ既払いの着手金相当分を取得したものであるから、本件公金の支出は、「正す会」が前記住民訴訟を委任した弁護士に対し支払うべき報酬等を甲田町において負担し、これを支弁するためになされたもの、即ち本件公金の支出は地方自治法二四二条の二第七項に規定する報酬として支出されたものの如くである。 しかし、前認定のとおり、A甲田町長と「正す会」との和合において、水道問題をめぐる住民と甲田町との紛争を円満に解決するためになした和解の一内容として、結局「正す会」側が住民訴訟等を取り下げる代償として右住民訴訟ほか二件の訴訟等に係る訴訟費用のうち住民らが弁護士等に支払うべき手数料、報酬及び印紙代相当額を和解金として甲田町が支払うことになったことから、本件公金の支出がなされたものであるから、本件公金の支出は地方自治法二四二条の二第七項に規定する弁護士報酬相当額として支出されたものである旨の被控訴人らの主張は採用できない。 もっとも、地方自治法二四二条の二第七項の規定によれば同項に規定する住民訴訟を提起した住民らは、その勝訴判決が確定した場合に限り弁護士の報酬相当額の支払を当該普通地方公共団体に対し請求することができるとされており、本件住民訴訟は訴えの取下げにより終了したものであるから、本件が右条項に基づいて支出し得る場合に該らないことは明らかであるところ、本件公金の支出が右規定を潜脱する趣旨でなされたものとすれば、本件公金の支出は正に違法であるといわざるを得ないことになる ら、本件が右条項に基づいて支出し得る場合に該らないことは明らかであるところ、本件公金の支出が右規定を潜脱する趣旨でなされたものとすれば、本件公金の支出は正に違法であるといわざるを得ないことになるが、前示の如く、住民訴詮の場合であっても訴訟外で訴訟物以外の点について私法上の和解をすることはもとより可能であり、前認定の和解の経緯によれば、本件住民訴訟を収り下げさせるため「正す会」住民らの負担に係る弁護士費用相当額を甲田町が支払う旨の合意をすることはやむを得ない措置というべく、住民訴訟の取下げとそれに伴う水道料金不払運動の取りやめとは、甲田町にとって水道紛争を円満に解決し、水道事業の正常な運営の回復のための不可欠の事項であることに照らせば、本件和解に基づく公金の支出が、前記地方自治法の規定を潜脱する目的でなされたものとは到底認められない。 また、前認定のとおり、本件公金の支出をするための前示昭和五九年度甲田町水道事業会計補正予算においては、「補償金」として計上されていることが認められるところ、本件公金の性質は、補償金や見舞金ではなく正に和解金であるが、同一目内の予算の流用は差し支えないものと解されるから、予算上補償金として計上された金員を和解金として支出しても何ら違法な点はない。 3 被控訴人らは、本件金員の支出が和解金としての支出であるとすれば、その支出の原因となる和解について甲田町町議会の議決を要するところ、A町長は、本和解につき町議会の議決を得ていない旨主張する。 しかし、前認定のとおり本和解は甲田町の水道事業に係る和解であるところ、地方公営企業法四〇条は、地方公営企業については、条例で定める場合を除き、その和解について議会の議決を要しないものとしているのであるが、甲田町の条例に同町の経営する水道事業に係る和解についても町議会の議決を要 業法四〇条は、地方公営企業については、条例で定める場合を除き、その和解について議会の議決を要しないものとしているのであるが、甲田町の条例に同町の経営する水道事業に係る和解についても町議会の議決を要する旨の規定があるとは認められないから、被控訴人らの右主張は採用できない。 4 被控訴人らは、地方公共団体の締結する和解契約については書面によってなすことを要する旨主張し、本件和解が書面によってなされたものでないことは前認定のとおりであるが、地方公共団体のする契約の締結につき契約書の作成を要する旨の規定は存しないから、被控訴人らの右主張は理由がない。 七 (結論)以上の次第で、本件公金支出は、地方自治法二四二条の二第七項の規定に反する違法の支出である旨の被控訴人らの主張は理由がないから、これを前提とする被控訴人らの本件請求はその余の点について判断するまでもなく失当として棄却すべきところ、これと異る判断のもとに被控訴人らの請求を認容した原判決は相当でないから、これを取り消して被控訴人らの控訴人らに対する請求をいずれも棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九六条、八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官篠清宇佐見隆男難波孝一)(原裁判等の表示)○ 主文一被告Jは、広島県高田郡甲田町に対し、金三八万一九八〇円、被告K及び被告Lは、同町に対し、各自金一九万〇九九〇円及び右各金員に対する昭和五九年九月二一日から支払い済みまで年五分の割合による各金員をそれぞれ支払え。 二訴訟費用は被告らの負担とする。 三この判決は、仮に執行することができる。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨主文同旨二請求の趣旨に対する被告らの答弁l原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告ら 三この判決は、仮に執行することができる。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨主文同旨二請求の趣旨に対する被告らの答弁l原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 第二当事者の主張一請求原因 1 (当事者の地位)原告らは、いずれも広島県高田郡甲田町(以下「甲田町」という)の住民であり、亡Aは、昭和五九年六月一七日から同六一年ころまでの間同町町長の職にあった者である。亡Aは、昭和六一年一〇月三一日死亡し、被告らは、いずれも相続により同人の地位を共同して承継した。 2 (甲田町水道事業)甲田町では、地方公営企業法に基づき水道事業を行い、その経理は甲田町水道事業会計として、特別会計を設けて行っているものであるが、右水道事業においては、甲田町水道事業の設置等に関する条例(昭和四九年三月二三日条例第二三号一第三条により管理者を置かないものとすると定められているものであって、同町水道事業の管理者の権限は、町長であるA町長が行うものである。 3 (本件公金の支出等)(一) 甲田町水道事業は昭和四九年に発足したものであるが、従来同町内では尾津谷簡易水道が利用されていたところから、昭和五三年ころより甲田町と同町内の一部住民との間で、両水道の取水・給水等をめぐって紛争が生ヒ、尾津谷簡易水道の水源地域に水利権を有すると主張する住民らが、「甲田町政を正す会」と称する団体(代表者C、以下「正す会」という)を結成したうえ、昭和五八年四月二五日、当時の甲田町町長F及び同町長個人を被告として、旧水道料金賦課の差止等と地方自治法二四二条の二第一項四号に基づき甲田町水道の漏水等を放置したことによる損害の賠償を甲田町に代位して求める住民訴訟(広島地方裁判所昭和五八年(行ウ)第三号旧水道料金賦課差止等請求事件、以下これを 自治法二四二条の二第一項四号に基づき甲田町水道の漏水等を放置したことによる損害の賠償を甲田町に代位して求める住民訴訟(広島地方裁判所昭和五八年(行ウ)第三号旧水道料金賦課差止等請求事件、以下これを「住民訴訟」という)等を提起した。 (二) その後、右訴訟は、F町長に代わって就任したA町長のもとで、昭和五九年七月一六日「正す会」に属する原告らが訴えを取下げ、A町長及びFがこれに同意したことにより終了した。 (三) 右訴訟の終了に伴い、「正す会」では、訴訟代理人として訴訟の提起、追行を委任していた弁護士に対し、着手金及び報酬笠として金七六万三九六〇円を支払うものであったところ、A町長は、同町町長として、同年九月二〇日、甲田町水道事業会計から見舞金ないし補償金の名目のもとに「正す会」が負担すべき右弁護士報酬等の支払いに充てさせるために、右と同額の金員を支出して、「正す会」に支払った(以下「本件会金支出」という。なお、右七六万三九六〇円は、「正す会」から同弁護士に対し、着手金ないし報酬として、支払われた)。 4 (本件公金支出の違法性)(一) 「正す会」所属の住民らが提起した前記住民訴訟は、前記のとおり取下げにより終了したものであって、住民訴訟の原告が勝訴し、しかもその判決が確定したものではないから、地方自治法二四二条の二第七項の規定によっても、地方公共団体たる甲田町が右の弁護士報酬等を支払うべき場合に該当しないことは明らかであって、甲田町においてこれを負担すべきなんらの理由もないものである。にもかかわらず、本件公金支出は、本来「正す会」が負担、支払うべき右の弁護士報酬等を同会に代わって負担すべく、「正す会」に対し、その支出がなされたものであるから、同規定に違反する違法な公金の支出である。 (二) なお付言するに、本件公金支出にかかる金員の性質 べき右の弁護士報酬等を同会に代わって負担すべく、「正す会」に対し、その支出がなされたものであるから、同規定に違反する違法な公金の支出である。 (二) なお付言するに、本件公金支出にかかる金員の性質を見舞金、補償金ないし賠償金などに該当するとして、その支出を適法と解することはできない。 地方公共団体の支出する見舞金とは、支出根拠が必ずしも明確ではないものの、通常、災害等に遇った住民を見舞う目的で支出される社会的通念上儀礼の範囲を超えない低額な金員をいうものであり、また補償金とは、地方公共団体の適法な公務の執行により特定の者に財産上または精神上の損害を与えた場合にその損害を償うために支出する金員であり、賠償金とは、右公務の執行にあたって違法な行為により他人の権利または利益を侵害した場合にその与えた損害を補填するために支出する金員であり、さらに補助金は、「公益上必要がある場合にわいて(地方自治法二三二条の二)」、各種の行政上の目的から支出することができる金員とされているものであって、いずれも右のそれぞれの場合において所定の手続きを経てその支出が許されるものである。しかし、前記のような本件公金支出の目的、その支出先、その額、その支出の経緯(なお「正す会」自体はなんら損失あるいは損害を被ったものではない)からすれば、本件公金支出が、以上のいずれにも該当しないことはいうまでもない。 5 (A町長の賠償責任)しかるにA町長は、前記のとおり甲田町長の職にあるものとして、故意または過失により違法な本件公金支出をなし、甲田町に同額の損害を被むらしめなものであるから、甲田町に対し、前記損害金七六万三九六〇円の賠償とこれに対する右金員支出の日の翌日である昭和五九年九月二一日から支払い済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払うべき責任がある。 6 ら、甲田町に対し、前記損害金七六万三九六〇円の賠償とこれに対する右金員支出の日の翌日である昭和五九年九月二一日から支払い済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払うべき責任がある。 6 (監査請求)本件原告らを含む五〇名の甲田町町民は、昭和六〇年九月一二日甲田町監査委員に対し、本件公金支出について、地方自治法二四二条一項に基づき監査請求を行ったが、同委員は、同年一一月五日本件公金支出には違法性は認められず、監査請求は理由がない旨の監査結果を下した。 7 一結語〕よって、原告らは、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づき、A町長の行った本件公金支出によって、甲田町が被った前記損害について、甲田町に代位しで、A町長の死亡により同人の地位を法定相続分に従い共同して承継した被告らに対し、請求の趣旨記載の各金員を甲田町に対してそれぞれ支払うべきことを求める。 二請求原因に対する認否 1 請求原因1、2、3(一)、(二)の各事実はいずれも認める。同3の(三)記載の事実のうち、A町長が、同記載の日時、甲田町水道事業会計から七六万三九六〇円を支出し、「正す会」に支払ったことは認める。 2 同4及び5の主張は争う。 3 同6の事実は認める。 三被告らの主張 1 本件公金支出の経緯に次のとおりである。 (一) 前記甲田町水道事業により昭和四九年から設けられた上下水道(以下「甲田町水道」という)は、従来利用されていた尾津谷簡易水道の水源及び取水給水設備等とは別個に新設されたものであって、これによって、同町内では甲田町水道系と尾津谷簡易水道系の二系統の水道が併存することとなった。 ところで、昭和五三年八月ころ旱魃による灌漑用水の不足が生じたこと等から、当時のE町長は、尾津谷簡易水道の水源地域の水利権者のために、同水道系の水源からの取水を停止したうえ、 併存することとなった。 ところで、昭和五三年八月ころ旱魃による灌漑用水の不足が生じたこと等から、当時のE町長は、尾津谷簡易水道の水源地域の水利権者のために、同水道系の水源からの取水を停止したうえ、甲田町水道の給水管を尾津谷簡易水道系の給水管に接続するなどして、それまで尾津谷簡易水道を利用しできた住民に対しても甲田町水道によって給水することとし、甲田町は、前記の水利権者に対し、甲田町が前記水源から譲水を受ける権利を返還したが、これに反対する一部住民らが甲田町水道の利用を拒否したため、同町長は、甲田町水道系から尾津谷簡易水道系に対する給水をも停止したところ、さらに右住民らは甲田町水道の給水管に右尾津谷簡易水道の給水管を直結して無断で受水する所為に及んだ、,(二) そして、昭和五五年五月からE町長に代わって同町町長に就任したF町長は、前記両水道とは別個にさらに新たな給水管設備を設置したが、前記の住民らの受水行為を黙認し、しかも尾津谷簡易水道の給水管を通じて甲田町水道の給水を受けている右住民らに対しては尾津谷簡易水道としての旧水道料金を賦課するにとどめ、甲田町水道系の利用者との間の料金格差を残置した、、このような状況のもとにおいて、尾津谷簡易水道系の水源地域の水利権者ら(その多くが前記「正す会」に所属している者である)は、甲田町の前記のごとき水道事業行政に不公平感を募らせ、昭和五八年一月二一日前記C外一七名が申請人となって、甲田町を相手方として旧尾津谷簡易水道水源取水設備利用による取水の差止等を求める仮処分を申請したうえ(広島地方裁判所三次支部昭和五八年(ヨ)第一号仮処分申請事件、以下「仮処分事件一という)、甲田町に対して水道料金の不払いを開始したため、同町も、右料金不払いの住民の一部を被告として水道料金の支払いを求める訴えを提起し(広島地 八年(ヨ)第一号仮処分申請事件、以下「仮処分事件一という)、甲田町に対して水道料金の不払いを開始したため、同町も、右料金不払いの住民の一部を被告として水道料金の支払いを求める訴えを提起し(広島地方裁判所昭和五八年(ワ)第七六〇号事件、以下「水道料金訴訟一という)、さらに「正す会」所属の住民らのうちC外五名は、水道料金格差の是正等を求めて、F町長及び同町長個人を被告として前記住民訴訟を提起するに至った。 (三) 昭和五九年六月、F町長に代わって就任したがA町長は、広島県内に広く知れ渡った前記甲田町の水道紛争問題と右紛争に起因する同町内における他の水道事業問題を解決し、町政の混乱を解消するため、就任当初から「正す会」所属の住民らと必死の交渉を続けたが、紛争の経過や町政の状況等を総合的に判断したうえ、「正す会」との間で要旨次のとおりの合意(和解)を成立させた。 (1) 甲田町が提起している水道料金訴訟並びに「正す会」所属の住民が提起しでいる仮処分事件及び前記住民訴訟は、それぞれ訴えもしくは申請を取下げる。 (2) 甲田町は、「正す会」に対し金一七八万七六一〇円(なおこのうちに、本件公金支出にかかる七六万三九六〇円を含も一を支払う。 (3) 水道料金滞納者は、甲田町に対し滞納水道料金を支払う。 (4) 「正す会」は、甲田町の行う小田小学校屎尿配水管埋設工事や町道尾津谷線拡幅工事につき協力する、、(四) 右合意成立の結果、住民訴訟は、前記のとおり昭和五九年七月一六日「正す会」所属の住民らが訴えを取下げ、また仮処分事件及び水道料金訴訟も同様にいずれも取下げによって終了したほか、水道料金滞納者一二四名が甲田町に対し合計五二三万七九〇〇円の水道料金を納入し、さらに「正す会」所属の住民らの協力により、小学校屎尿排水管埋設工事及び町道拡幅工事は早期に施行完了し って終了したほか、水道料金滞納者一二四名が甲田町に対し合計五二三万七九〇〇円の水道料金を納入し、さらに「正す会」所属の住民らの協力により、小学校屎尿排水管埋設工事及び町道拡幅工事は早期に施行完了し得たものであり、特に前者については年間九二万四〇〇〇円の屎尿汲取料の支出が不要となったうえ、当初予算においてその工事費用は一九七〇万余円と予定されていたが、わずか四五〇万円の費用で工事を完了し得たものであり、前記合意が成立したことから、甲田町にとって多大の予算節減の利益をもたらすこととなったものである。 (五) 他方、甲田町は、前記合意に従い、原告ら主張の本件公金支出にかかる金員を含む金一七八万七六一〇円を、甲田町水道事業会計から補償金(見舞金)として支出して「正す会」に対し支払ったが、その支出に際しては甲田町議会による議決を経ているものであるうえ、右金員は、すべて、前記紛争の解決にあたり、甲田町の当時までの前記行政上の失策によって「正す会」所属の尾津谷簡易水道系の水源地域の水利権者に対し与えてきた財産上及び精神上の損害を填補するために、それを支払うこととなったものであるから、その実質からしても和解金の性質を有する補償金(見舞金)である。 2 以上のとおり、前記合意成立の経緯や本件公金支出の趣旨、殊にその当時あらゆる町政運営の支障となっていた前記の紛争を解決するためには他に取り得る施策がなく、しかも、右合意によってその後の町政の円滑な運営が可能となった等の事情を総合すれば、A町長の行った本件公金支出は、実質的には甲田町に対し何ら損害を与えていないものであるのみならず、むしろ甲田町に利益をもたらしているものであって、およそ違法性を有するものではない。 原告らが本件公金の支出を違法と主張する根拠とする地方自治法第二四二条の二第七項は、同法第一項四号 あるのみならず、むしろ甲田町に利益をもたらしているものであって、およそ違法性を有するものではない。 原告らが本件公金の支出を違法と主張する根拠とする地方自治法第二四二条の二第七項は、同法第一項四号のいわゆる代位請求訴訟を提起した者が勝訴した場合に、いわゆる公平の理念から勝訴した住民に対して相当と認める弁護士報酬を「請求権」「権利」として認めた規定であって、右規定はその紛争の渦中にあってその紛争の経過、状況等を総合的に判断して、地方自治体が住民に対してその紛争解決の条件として、住民が要した費用を支出することまでも違法として、これを禁止したものではなく、それは、その紛争の解決の方式が和解であるか、あるいは訴えの取下げによるものか、またそれが弁護士報酬相当額あるいは訴訟費用相当額であるかは、全く影響するところがないといわなければならない。 四被告らの主張に対する認否 1 被告らの主張のうち、同1の(一)及びこの事実はいずれも認める。同(三)の事実のうち、甲田町において前記水道紛争問題の解決が町行政上の一課題であったことは争わないが、甲田町と「正す会」との間に、被告ら主張のごとく和解が成立したことは否認する、A町長が「正す会」との間で行った交渉や合意内容はすべて知らない。同(四)事実のうち、前記住民訴訟のほか仮処分事件や水道料金訴訟がいずれも取下げによって終了したことは認めるが、その余の事実は知らない。同五の事実のうち、A町長によって甲田町水道事業会計から「正す会」に対し本件公金支出にかかる金員を含む合計金一七八万七六一〇円が支出されたこと及び右支出に関し甲田町議会の議決がなされていることは認めるが、その余の事実は否記する。 なお、前記金員のうち本件公金支出にかかる金員を除くその余の金員も、「正す会」においで前記仮処分事件及び水道料金訴訟の訴 に関し甲田町議会の議決がなされていることは認めるが、その余の事実は否記する。 なお、前記金員のうち本件公金支出にかかる金員を除くその余の金員も、「正す会」においで前記仮処分事件及び水道料金訴訟の訴訟代理人であった前記弁護士に対して支払うべき各着手金や報酬等につき、本件公金支出と同様にして、甲田町が「正す会」に代わってこれを負担すべく同会に対し、その支出がなされたものである。また違法な公金支出は、議会の議決を経たことによって適法になるものでないことはいうまでもない。 2 同2の主張はすベて争う。 一 (当事者)請求原因1の事実は当事者間に争いがない。 二 (監査請求)請求原因6の事実は当事者間に争いがない。 三 (本件公金支出に至る経緯)請求原因2、3の(一)、並びに被告らの反論1の(一)及び(二)の各事実は当事者間に争いがなく、右争いない事実に成立に争いのない甲第一一号証の一ないし四、第一三ないし一八号証、第三一号証の一、四、乙第一号証、原本の存在及びその成立に争いのない甲第一二号証の一、二、証人Bの証言により真正に成立したと認められる乙第二、第三号証並びに証人Bの証言及び原告D本人尋問の結果を総合すると、次の事実が認められ、右認定を覆す証拠はない。 1 甲田町においては、尾津谷簡易水道の水源のある尾津谷・正学地域(以下「尾津谷地域」という)の尾津谷水系灌漑水利権者と、従前尾津谷簡易水道より給水を受けていた吉田口地区の住民との間において、従来より尾津谷水系の水利権の帰属に関連する紛争が存在していた。その紛争の経緯の概要は以下のとおりである。すなわち、 2 尾津谷簡易水道は、昭和三〇年八月、旧小田村の村営水道として発足したが、その際右水道の水源は尾津谷水系に求められ、陪小田村は、昭和三C年七月平石、尾津谷水系灌漑水利権者との間で右水利権 なわち、 2 尾津谷簡易水道は、昭和三〇年八月、旧小田村の村営水道として発足したが、その際右水道の水源は尾津谷水系に求められ、陪小田村は、昭和三C年七月平石、尾津谷水系灌漑水利権者との間で右水利権の譲水契約を締結した。以後、甲田町において尾津谷簡易水道が利用されることとなり、昭和三一年に尾津谷簡易水道条例が制定、施行された。 3 その後、昭和四九年には甲田町水道事業が発足し、右事業に基づく給水地域は甲田町のほぼ全域とされ、その水源は尾津谷水系とは別に求められた。そして甲田町水道事業給水条例が制定、施行され、これに伴い尾津谷簡易水道条例は廃止されたが、甲田町水道事業給水条例中、附則2但し書において「旧尾津谷簡易水道管理及び料金徴収については上水道給水開始時まで従前通りこれを行うものとする」とされた。 一方、尾津谷地域の水利権者らは、右新条例の制定に伴い、以後は甲田町には甲田町水道による給水がなされるに至ったことから、従前の尾津谷簡易水道の水利については前記譲水契約を解除して尾津谷地域の水利権者に返還するように求めて町に対する交渉を始め、他方では、尾津谷水系を水源とする水を生活用水として利用する権利を有すると主張する吉田口付近の住民との対立が深まった。 右上水道事業による給水は昭和五一年ころに開始されたが、給水開始後も、吉田口地区の一部住民は、尾津谷簡易水道に比して甲田町水道によるときは、使用料が高額であることや水質が落ちること等を理由として、その給水措置の設置を拒み、尾津谷簡易水道からの受水を主張したため、従前の旧尾津谷簡易水道設備による給水も事実上継続され、吉田口地区においでは甲田町水道管系と簡易水道管系の二系統の給水が併存するに至った。 4 昭和五三年八月ころ、当時のE町長は、旱魃により尾津谷地域の灌漑用水の不足が生じたことから、尾津 実上継続され、吉田口地区においでは甲田町水道管系と簡易水道管系の二系統の給水が併存するに至った。 4 昭和五三年八月ころ、当時のE町長は、旱魃により尾津谷地域の灌漑用水の不足が生じたことから、尾津谷簡易水道の水利権者のため、同水道による配水を一時停止し、尾津谷簡易水道利用者に対しては、これに代わって甲田町水道管系を尾津谷簡易水道管系に直結して給水した。その後、同町長は尾津谷地域等の住民らからの強い要請を受けたことから、昭和五三年九月一六日、専決処分により前記2記載の譲本契約を解除して、甲田町の譲水を受ける権利を水利権者に返還した(なお同月一八日、議会は右結処分を承認した)。 しかし、右譲水契約解除処分については、前記吉田口地区住民により結成された「尾津谷水道既得権を守る会」と称する団体(以下「守る会」という)に属する住民が反発し、尾津谷簡易水道の給水の停止は、日旱魃による一時的な措置であり、旱魃による緊急事態が解消した以上は尾津谷簡易水道の水源からの配水を再開するべきである旨を町に対し強く求めていた。 その間も、甲田町水道管系の直結による尾津谷簡易水道管系への給水は続けられたが、接続された尾津谷簡易水道管の老朽部分の破損箇所から多量の漏水が生ずることになった。そこでE町長は、「守る会」に対し、甲田町水道から直接給水管を接続して受水するように求めたが、右交渉は進展せず、「守る会」の住民の多くは甲田町水道の利用を拒否した。そのため、E町長は、昭和五五年四月二日、漏水による給水事業への支障を避けるために、尾津谷簡易水道系を通して行う甲田町水道による給水を停止したところ、右措置に反発した「守る会」住民は、町に許可なく甲田町水道の支管や同水道利用者の給水管に尾津谷簡易水道の給水管等を接続して給水を受けるに至った。 5 昭和五五年五月には、E町長に 水を停止したところ、右措置に反発した「守る会」住民は、町に許可なく甲田町水道の支管や同水道利用者の給水管に尾津谷簡易水道の給水管等を接続して給水を受けるに至った。 5 昭和五五年五月には、E町長にかわりFが町長に就任したが、吉田口地区には、尾津谷簡易水道配水管に代わる水道管設備を設置することとし、その経費三五〇万円を予算に計上してその議決を経た。これは、後述のごとく尾津谷簡易水道の給水管には量水器が付設されていなかったことから、新水道管設備による給水に代えることにより、前記の旧給水管によって給水を受けている者も使用水量の計量を可能とすることを一目的としたものではあったが、右新設備の水源を未確定のままにしたために、尾津谷地域の水利権者からは、尾津谷地域に水源を求めるものだとして反発を招いた。 また、尾津谷簡易水道の給水管を通じて甲田町水道の給水を受けている「守る会」の住民らに対しては、尾津谷簡易水道の給水管には量水器の付設がないため使用水量の計算ができないこと、及び、正式には甲田町水道の給水申込がなされていない等の理由から、前記甲田町水道事業給水条例の附則規定に基づき、従前どおり尾津谷簡易水道としての旧水道料金の賦課・徴収しか行われなかったため、甲田町水道の利用者に比して、水道料金が低額になるという格差が残されたままになっていた。 6 以上の実情に不満を持った尾津谷地域の水利権者らは、Cを代表とする前記「正す会」を結成し、甲田町に対する水道料金の不払いを開始するとともに、昭和五八年一月二一日C外一七名が申請人となって甲田町を相手方として旧尾津谷簡易水道水源取水設備利用による取水の差止、右設備の執行官保管、譲渡・占有移転禁止を求める仮処分を申請し(被告らの主張記載の「仮処分事件」)、昭和五八年四月二五日、C外五名が原告となり、甲田町長F及 易水道水源取水設備利用による取水の差止、右設備の執行官保管、譲渡・占有移転禁止を求める仮処分を申請し(被告らの主張記載の「仮処分事件」)、昭和五八年四月二五日、C外五名が原告となり、甲田町長F及び同町長個人を被告として、旧水道料金賦課の差止、不平等な水道料金の是正措置を執らないことの違法確認、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づき甲田町水道の漏水等を放置したことによる損害の賠償を甲田町に代位して求める旨、及び前記吉田口地区の新水道管設備の工事費予算玉五〇万円の支出ないし右工事の施行の差止めを求める旨の訴えを提起した(請求原因記載の「住民訴訟」)一方、甲田町は、水道料金の支払いを拒んでいる住民の一部を被告として水道料金の支払いを求める訴えを提起した(請求原因記載の「水道料金訴訟」)。 その後、昭和五九年六月一七日、甲田町町長には新たにAが就任することとなった。 四 (本件公金支出)請求原因3(二)及び同(三)記載のとおり本件公金の支出がなされた事実は当事者間に争いがないところ、右の争いない事実に、成立に争いのない甲第一、第二号証、第三号証の一ないし三、第四ないし第六号証、原本の存在及びその成立に争いのない甲第二三号証の一ないし四、第二四号証、第二五号証の一、二、第二六、第二七号証、第二八号証の一ないし三並びに証人B、同H、同Cの各証言及び原告D本人尋問の結果を総合すると次の事実が認められ、右認定を覆す証拠はない。 1 A町長は、昭和五九年九月一七日、甲田町議会に対し、昭和五九年度甲田町一般会計補正予算(第三号)案を提出し、右案は同日挙手多数により原案通り可決されたが、右案においては、歳入歳出予算の総額に、歳入歳出それぞれ二七五三万四〇〇〇円を追加することとされ、うち歳出につき款を衛生費、項を上水道費として四二八万八〇〇〇円の補正がな より原案通り可決されたが、右案においては、歳入歳出予算の総額に、歳入歳出それぞれ二七五三万四〇〇〇円を追加することとされ、うち歳出につき款を衛生費、項を上水道費として四二八万八〇〇〇円の補正がなされ、右は上水道施設費として甲田町一般会計から水道特別会計に対して補助金として支出されることとされた。また同日、A町長は、昭和五九年度甲田町水道事業会計補正予算(第一号)案を提出し、同日これも議会で挙手多数により原案通り可決された。 右案においては前記四二八万八〇〇〇円のうち、三二五万二〇〇〇円を水道事業費、項を営業費用として支出され、そのうち一七八万七六一〇円が、目を総係費、節を補償金、説明を見舞金(当初は「訴訟費用補償金」として提出されたが、議会での審議中に「見舞金」と訂正された)として支出されることとなった。 2 同年九月一九日、A町長は、前記一般会計補正予算に基づき、上水道事業会計補助金として前記四二八万八〇30円の支出を命じ、当時収入役であった境章造より、水道事業会計出納員Iの口座に右金額が振り込まれた。 3 同年九月二〇日、町長として甲田町水道事業の管理者の地位を兼ねるA町長(甲田町水道事業において町長が管理者の権限を行うものとされることは請求原因2どおりであって、当事者間に争いがない))は、「正す会」会長Cに対し、甲田町水道事業会計から、前記一七八万七六一〇円を、款を水道事業費、項を営業費用、目を総係費、節を補償金、摘要を見舞金として、同額の小切手を振り出し、「正す会」においで、これを受領した。 4 右の一七八万七六一〇円は、「正す会」の住民が前記仮処分事件、水道料金訴訟及び住民訴訟の代理人であった前記弁護士に対して負担し、あるいは負担すべきいわゆる弁護士費用を含も訴訟費用(仮処分事件の費用が計五一万三六五〇円、水道料金訴詮の費用が が前記仮処分事件、水道料金訴訟及び住民訴訟の代理人であった前記弁護士に対して負担し、あるいは負担すべきいわゆる弁護士費用を含も訴訟費用(仮処分事件の費用が計五一万三六五〇円、水道料金訴詮の費用が計五一万円、住民訴詮の費用が計七六万三九六〇円。但し右公金支出当時すでに支払い済みのものを含む)の合計額に相当するものであり、右の金員は右公金支出の後に「正す会」を通じて同弁護士に対して前記費用のうち未払い分が支払われ、あるいはすでに支払い済みの費用相当分は「正す会」が補填をうけたものとして、これを取得した。 原告らが、違法な公金支出として本訴で争っているのは、前記3の一七八万七六一〇円の公金支出のうち、右の住民訴訟費用七六万三九六〇円に相当する金員の支出(請求原因記載の「本件公金支出」、その内訳は着手金五〇万円、印紙代等一万三九〇〇円、報酬二五万円で右着手金は当時「正す会」において支払い済みであった)である。 五 (本件公金支出の違法性及びAの責任) 1 原告らは、本件公金支出は、「正す会」の住民が提起した前記住民訴訟は取下げにより終了したにすぎず、住民が勝訴したものではないにもかかわらず、「正す会」側が支払うべき訴訟費用を甲田町が負担するものとして、その支出がなされたものであるから、地方自治法二四二条の二第七項の規定に反する違法なものと主張するところ、被告らは、同規定は地方公共団体が紛争解決の手段として住民に対して訴訟費用相当額を支出することまでも禁止したものではなく、本件公金支出は、甲田町における水道問題を解決するために「正す会」との間でなした和解の一条件として「正す会」に対する補償金(見舞金)として、その支出がなされものであり、その結果、その後の町政の円滑な運営が可能となったものであるから、その違法性を欠くと主張するので、以下、右の各主 の一条件として「正す会」に対する補償金(見舞金)として、その支出がなされものであり、その結果、その後の町政の円滑な運営が可能となったものであるから、その違法性を欠くと主張するので、以下、右の各主張について検討する。 2 前記甲第三号証の一ないし三、第四ないし第六号証、成立に争いのない第一三ないし第一五号証、第三六号証、第三七号証の一、二、第三八ないし第四〇号証、前記甲第二三号証の一ないし四、第二四号証、第二五号証の一、二、第二六、第二七号証、第二八号証の一ないし三、乙第二号証並びに証人B、同H、同Cの各証言及び原告D本人尋問の結果を総合すると、次の事実が認められ、右認定を覆す証拠はない。 (一) 昭和五九年六月一七日に甲田町町長に就任したAは、前記三認定の甲田町における水道問題を解決したいとの意向をもち、「正す会」会長のCに対し、甲田町と「正す会」との間の前記紛争等に関し、話し合いによる解決を申し出、以後Cとの間で数度話し合いを行ったが、その際、A町長は、甲田町と「正す会」住民との間の訴訟の双方の取下げ、小田小学校屎尿排水管埋設工事及び町道尾津谷線の拡幅工事への協力方、及び「正す会」住民の未払い水道料金の支払いを要望し、他方、Cは「正す会」側の条件として、甲田町から「正す会」側に対するいわゆる慰藉料名目による金員の支弁や、水道料金徴収の不公平の是正、未払い水道料金の善処方を求めたところ、A町長は「正す会」側に対する町費の支出や右の不公平の是正、不払い水道料金の処置について「正す会」側の要望に応じる旨を答えた。 同年九月初旬ころ、C宅で、町側はA町長と教育次長が、「正す会」側は、C外三名が出席のうえ、最終的に話合いがまとまったが、その際、A町長は「正す会」側の要求を受け容れ、甲田町から「正す会」に対し、前記住民訴訟、水道料金訴訟及び仮処 町長と教育次長が、「正す会」側は、C外三名が出席のうえ、最終的に話合いがまとまったが、その際、A町長は「正す会」側の要求を受け容れ、甲田町から「正す会」に対し、前記住民訴訟、水道料金訴訟及び仮処分事件につき「正す会」住民が負担し、あるいは負担すべき費用の相当額である前記一七八万七六一〇円を町から支出し、その支払いをする旨の合意がなされた。また、右話合いの際、右各訴訟の双方による取下げとその同意をなす旨のほか併せて、「正す会」住民の従前の滞納水道料金の支払い、小田小学校屎尿排水管工事及び尾津谷線の犯幅工事への協力についても約束が取り交わされた。 なお、甲田町から右の一七八万七六一〇円を支出するについては、A町長限りの判断で決定したものであった。また、話合いの際、双方から出された条件や合意の内容については、すべて口頭により提示ないしは取り交わされたものであって、書面の作成はなされなかったものである(前記各訴訟の取下げと前記滞納水道料金の支払いのほかには、前記のいわゆる水道問題をめぐる水道事業に関する確たる話合いないし了解がなされたことを認め得る証拠はない)。 (二) 前記住民訴訟は、昭和五九年七月一六日付で「正す会」に属する原告らが訴えを取下げ、これにA町長及びFが同意したことにより終了し、水道料金訴訟及び仮処分事件も、そのころ、取下げ及びそれに対する相手方住民らの同意により終了した。 右各取下げにより、甲田町と「正す会」住民との間では、当時係属していた訴訟事件、仮処分事件はすべて終了することとなったが、甲田町の水道紛争問題に起因するとみられる訴訟としては、他に、吉田口付近の住民であるG外一九名が「正す会」のC外一七名を被告として提起していた尾津谷地域を水源とする湧水利用権の確認等を求める訴訟(広島地方裁判所昭和五八年(ワ)第五九九号湧水利 としては、他に、吉田口付近の住民であるG外一九名が「正す会」のC外一七名を被告として提起していた尾津谷地域を水源とする湧水利用権の確認等を求める訴訟(広島地方裁判所昭和五八年(ワ)第五九九号湧水利用権確記等請求事件、以下「湧水利用権確認訴訟」という)があり、右訴訟はその後も依然として係属したままであった。 (三) 昭和五九年九月一七日、A町長は、右(1)の金員一七八万七六一〇円を町費から支出することを一目的として、前記四1認定のとおり、甲田町一般会計補正予算案及び甲田町水道事業補正予算案を議会に提出し、同日可決の決議を経たが、右金員支出についてA町長からなされた説明は、次のとおりである。すなわち、まず提案理由として、「水道問題が解決して、その関係する終戦処理費」である旨の説明がなされ、その後、出席議員の質問に対し、右金員は訴訟費用である旨の答弁がなされた。そして、その後の質疑において、A町長は、「補償費で、この位の答弁でゆるしていただきたい」、「弁護士から請求書が来ており、別に何でもない金ではない」、「議員さんにはつきり申し上げてよいかどうかということは今悩んでいる」、「町民の金を使わせてもらうので、波紋になるかも知れないので、終戦処理費位でおさめていただきたい」、「それが条件で水道問題を解決した。滞納も整理し、従来のように町に協力していただくということで条件として私がのんだ」、「補償の意味にはあたらないかも知れず、見舞金にあたるかも知れないが、色々それが条件で和ぼくした」といった旨の答弁をなし、その際水道事業会計補正予算のうち、前記予算の「説明」を「訴訟費用補償金」から「見舞金」に訂正した。その後、質疑が打ち切られ、右両予算案は賛成多数で可決された。なお、右審議の休憩中になされた議論においても、反対議員の質問に対するA町長の答弁の趣 説明」を「訴訟費用補償金」から「見舞金」に訂正した。その後、質疑が打ち切られ、右両予算案は賛成多数で可決された。なお、右審議の休憩中になされた議論においても、反対議員の質問に対するA町長の答弁の趣旨は、前記金員の支出によって町が当事者である紛争は解決するという意味での終戦処理費であり、字句が悪ければ訂正する、というものであった。 (四) その後、小田小学校屎尿排水管工事が着工されたが、その際、「正す会」の住民が任意に土地を提供するなどしたため、町道を経由する計画の許に予算措置を講じていた当初の工事に比して、低額の費用で工事が完成した。 (五) なお、「正す会」住民らの未払い水道料金の支払いに関しては、昭和五九年九月二〇日、A町長は、甲田町水道事業会計の処理により、未払い水道料金合計一八二万九二二〇円の支払いを減免し、既に右住民らから支払い済みの水道料金合計八五万三五〇〇円を還付することとし、同月二五日、右額の金員を対象者に還付した(したがって、右の住民は、右減免額ないし還付額に相当する額の水道料金の支払いを免れたことになるものであった)。 3 そこで前記2認定の事実及び前記三、四認定の各事実によって、本件公金支出が違法というべきかについて検討する。 一前記の芥事実に圭ると、本件公金支出を合む前記一七八万七六一〇円の支出は、前記認定のA町長と「正す会」との話合いの際に、「正す会」側から、「正す会が」が負担し、あるいは負担すべき前記の各訴訟における弁護士報酬を含む訴訟費用についでは、甲田町において、その支弁方を図って欲しい旨の申し入れがなされたのに対し、A町長において、水道問題をめぐる町を当事者とする住民との間の訴訟の係属を解消する目的のなめに、これを受け容れて、その支出を承諾し、甲田町町長及び水道事業の管理者として、前記認定の予算措置を講 対し、A町長において、水道問題をめぐる町を当事者とする住民との間の訴訟の係属を解消する目的のなめに、これを受け容れて、その支出を承諾し、甲田町町長及び水道事業の管理者として、前記認定の予算措置を講じて、「見舞金(訴訟費用補償金)」として「正す会」に対し、これを支出したものであり、かつ、前記認定のとおり、本件公金支出にかかる七六万三九六〇円は、前記住民訴訟における「正す会」側の訴訟代理人であった前記弁護士に支払った着手金、同弁護士に支払うべきいわゆる成功報酬及び印紙代にあたる金員に相当する額であり、「正す会」は、右の支出を受けた後に未払いの成功報酬及び印紙代を支払い、かつ既払いの着手金相当分を取得したものであるから、本件公金の支出は、「正す会」が前記住民訴訟を委任した弁護士に対し支払うべき報酬及び右訴訟に要した手数科を、甲田町において負担し、これを支弁するなめになされたものというべきである。 そしで、前記住民訴訟は、「正す会」の住民が勝訴したものではなく、訴えの取下げによって終了したものであることは、先に認定したとおりであるから、本件公金支出は、地方自治法二四二条の二第七項に基づいて支出し得る場合にはあたらないことは明らかである。 二ところで、被告らは、前記1記載のとおり主張するところ、確かに、前記(2)認定のとおり、A町長と「正す会」との間で、数度話合いの席がもたれ、その際、本件公金支出相当額を含む一七八万七六一〇円の公金支出の合意にともなって、甲田町と「正す会」住民との間の訴訟等の取下げのほか、「正す会」住民の滞納水道科金の支払い、小田小学校屎尿排水管工事及び町道尾津谷線の拡幅工事への「正す会」住民の協力についても話合いがなされたことが認められ、また、その後、前記住民訴訟、水道料金訴訟及び仮処分事件はそれぞれ取下げにより終了しさら 校屎尿排水管工事及び町道尾津谷線の拡幅工事への「正す会」住民の協力についても話合いがなされたことが認められ、また、その後、前記住民訴訟、水道料金訴訟及び仮処分事件はそれぞれ取下げにより終了しさらに難航していた小田小学校屎尿排水管工事も完了し、右の工事費用額は当初予算額よりも低額にとどまったとの事情も認められるものであって、以上の事実からすれば、A町長と「正す会」との間で、本件公金支出をその内容の一部とする話合いがなされ、合意をみたことにより、結果的には甲田町に利益をもたらした面も存することは、直ちには否定し難いところではある。 しかし地方自治法二四二条の二第七項は、「第一項第四号の規定による訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む。 )した場合において、弁護士に報酬を支払うべきときは、普通地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払いを請求することができる。」と規定するところ、右規定の趣旨は、同法二四二条の二の住民訴訟が、住民の個人的な権利利益を擁護するためではなく、住民全体の公共の利益を確保するために提起されるものであることから、訴訟に要した費用の全部を常に原告たる住民に負担させるのは適当ではなく、特に同条一項四号の代位請求訴訟にあっては、住民が普通地方公共団体に代わって訴訟を提起するものであり、原告たる住民が勝訴したときは、普通地方公共団体が利益を受けることとなるため、公平の理念から、原告たる住民は相当と認められる弁護士報酬額の支払いを請求し得るとしたものと解される。 したがって、右規定は、住民訴訟における住民側の弁護士報酬あるいは訴訟費用等について、必ずしも住民側が勝訴した場合のほかは、およそ地方公共団体がこれを負担することを直接禁止したものとは解されないとしても、右規定は、普通地方公共団体が住民の勝訴により明 酬あるいは訴訟費用等について、必ずしも住民側が勝訴した場合のほかは、およそ地方公共団体がこれを負担することを直接禁止したものとは解されないとしても、右規定は、普通地方公共団体が住民の勝訴により明確に利益を受けることから、住民側の弁護士報酬を負担することを肯定した趣旨の規定であることに鑑みるならば、当該地方公共団体以外の訴訟当事者が本来負担すべきものである住民訴訟における弁護士報酬あるいは訴訟費用等を、地方公共団体が支出、負担することが適法視されるためには、右支出が地方公共団体と住民との間の住民訴訟にかかる紛争の解決のためになされた合意に基づくものであれば、その支出を受ける住民が住民訴訟において実質上勝訴したと同視し得る事情がある場合に限られるものと解すべきであり、右事情が存在しないのにもかかわらず、地方公共団体が、住民との合意により、住民が負担すべきである弁護士報酬その他の費用を支弁するために、当該住民に対し右相当額を支出することは、右規定を潜脱する違法なものというべきである。そして、右の理は、その支出が地方公営企業の特別会計からなされる場合であっても異なるものではない。 まず、被告らは、本件公金支出をも含む前記の合意により、甲田町におけるいわゆる水道問題が解決したと主張するところ、甲田町を当事者とする訴訟は終了したものの、なおも町民間においては、前記のとおり水道問題に関連する湧水利用権をめぐる訴訟が係属しているものであって、抜本的な解決に至ったといい得るか疑問なきを得ない。のみならず、前記認定のとおり前記の合意中には、住民訴訟等の取下げ、未払水道料金の支払いの合意がなされてはいるものの、それらのほかには、前記住民訴訟において違法との主張がなされていたいわゆる水道問題をめぐる諸事項に関しては、他にはみるべき合意等はないものであること 未払水道料金の支払いの合意がなされてはいるものの、それらのほかには、前記住民訴訟において違法との主張がなされていたいわゆる水道問題をめぐる諸事項に関しては、他にはみるべき合意等はないものであることに、その後の町側の右の合意に基づくという措置等をも併せ検討すると、前記住民訴訟において住民が違法と主張した甲田町の水道事業に関する行為ないしその施設の管理、公金の支出に関しては、それらのうち違法と評価すべきものについては、前記の合意に基づき、その適正な是正がなされたものとは、これを認め難いものであって(ちなみに、前記のとおり滞納水道料金についても、「正す会」の住民は、還付ないし減免措置を受けて、その負担を免れているものである)、住民が住民訴訟に勝訴したと同視し得る事情があるものとはにわかに解し難い。 また、被告らは、前記合意がなされたことにより、屎尿排水管工事及び道路拡幅工事について住民の協力が得られたものであって、その結果、甲田町に対し利益をもたらしたと主張するところ、住民訴訟を含む前記の各訴訟の係属やそれをめぐる住民の反発が、これら施策の円滑な実施を事実上困難としていた事情があるものとしても、これらの施策は、たまたま関係する住民が共通であったというに過ぎず、いわゆる水道問題とはその事案ないし紛争の実質を異にする案件であって、これらは、本来水道問題や前記住民訴訟等の帰趨とは別に、町において、町政上その実施の必要あるときは、それを理由に協力を求めるべき行政上の案件というべく、他の町政上の懸案を処理するために、右の協力を要請することは町政の正常な運営とは直ちにはいい難い。しかるに、前記認定の事実によると、A町長においては、本件公金支出を含も前示町費を支出することによって、住民が利得を得ることから、いわばその代償として、それら案件に対する地元住民 直ちにはいい難い。しかるに、前記認定の事実によると、A町長においては、本件公金支出を含も前示町費を支出することによって、住民が利得を得ることから、いわばその代償として、それら案件に対する地元住民の協力方を要請したものであり、住民らもその意を酌んでこれに応じたものと窺われるところであって、前記の諸工事が円滑に進行し得たなどの事情があるとしても、そのことから、本件公金支出を適法視し得るものではなく、もとより、これら事情が「正す会」住民が前記住民訴訟において勝訴したと同視し得る事情たり得るものとは解し難いから、これをもって、本件公金支出を適法とするには至らないものというべきである。従って本来「正す会」住民が負担すべき前記弁護士報酬相当額等を支出した本件公金支出は、地方自治法二四二条の二第七項の規定の趣旨に反する違法なものといわざるを得ない。 4 また、被告らの主張中には、本件公金支出は、「正す会」住民に対して甲田町が行政上の失策によって与えてきた財産上及び精神上の損害を填補するための補償金として支出したものであると主張するものと解されるところもあるが、補償金とは、地方公共団体が適法な公務の執行により特定の者に対して財産上または精神上の損害を与えた場合にその損害を填補するために支出するものであるところ、「正す会」住民の被ったという財産上または精神上の損害の具体的内容が不明であるばかりでなく、前記認定の公金支出の経緯からすれば、本件公金支出を右趣旨の補償金の支出として適法と解することはできない。 5 前記認定の公金支出の経緯からすれば、Aは、本件公金支出当時、甲田町長ないしは甲田町水道事業管理者として、本件公金支出が違法であることを知っていたか、少なくとも知らなかったことに重過失があったと認められるから、故意又は重大な過失により違法に本件公金 出当時、甲田町長ないしは甲田町水道事業管理者として、本件公金支出が違法であることを知っていたか、少なくとも知らなかったことに重過失があったと認められるから、故意又は重大な過失により違法に本件公金支出をなしたものというべきであるつ六 (損害の発生、被告らの承継)そうすると、Aは、本件七六万三九六〇円の公金支出により、右と同額の損害を甲田町に対して被むらせたものである。 なお、被告らは、本件公金支出が一条件となっている前記合意の成立により、「正す会」所属の住民が、小田小学校屎尿排水管埋設工事に協力したことから、年間九二万四〇〇〇円の汲取料が不要となったうえ、当初一九七〇万余円とされていた工事費用がわずか四五〇万円にとどまったのであるから、本件公金支出によりなんら甲田町は損害を受けていないとも主張するが、前記認定の本件公金支出の経緯からすれば、仮に右のように甲田町にとって利益となる事情も存したとしても、それが直接本件公金支出による損害を填補する関係に立つものとは到底解し難い以上、前記損害の発生を否定する理由とはならない。 そうすると、甲田町長であったAは、甲田町に対し、前記七六万三九六〇円の損害の賠償と、これに対する本件公金支出の日の後で損害発生の後である昭和五九年九月二一日から支払い済みまで年五分の割合による遅延損害金を支払うべき義務あるところ、同人は請求原因1記載のとおり昭和六一年一〇月三一日死亡したものであって、被告らが同記載のとおりその相続人であることは、前記のとおり争いがないから、被告らは、Aの甲田町に対する前記債務につき、その相続分に応じて、これを承継したものというべく、従って、甲田町に対し、被告Jにおいては、金三八万一九八〇円とこれに対する前同日から支払い済みまで年五分の割合による遅延損害金を、被告K、同Lにおいては、金一九 じて、これを承継したものというべく、従って、甲田町に対し、被告Jにおいては、金三八万一九八〇円とこれに対する前同日から支払い済みまで年五分の割合による遅延損害金を、被告K、同Lにおいては、金一九万〇九九〇円とこれに対する前同日から支払い済みまで同率の遅延損害金を支払うべき義務あるものというべきである。 七 (結論)よって、原告らが被告らに対し、甲田町に対じ前記金員の支払いを求める本訴請求はその理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。
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