平成29(行ウ)557 所得税更正処分等取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和3年5月20日 東京地方裁判所
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判決文本文49,713 文字)

- 1 -令和3年5月20日判決言渡平成29年(行ウ)第557号所得税更正処分等取消請求事件 主文 1 板橋税務署長が平成28年4月27日付けで原告に対し てした平成24年分の所得税に係る更正処分のうち,課税される所得金額のうち総所得金額が0円を超える部分,納付すべき税額が円を超える部分及び翌年分へ繰り越す純損失の金額が円を下回る部分,並びに同更正処分 に伴う過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。 2 板橋税務署長が平成28年4月27日付けで原告に対してした平成25年分の所得税及び復興特別所得税に係る更正処分のうち,課税される所得金額のうち総所得金額 が円を超える部分及び納付すべき税額が円を超える部分,並びに同更正処分に伴う過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文1項及び2項と同旨。 第2 事案の概要 1 原告は,平成24年12月,保有していた4種類の債券(併せて以下「本件 各債券」という。)を譲渡したこと(以下「本件各譲渡」という。)により損 - 2 -失(以下「本件損失」という。)を被ったところ,平成24年分の所得税の申告において,本件損失の金額(円。以下「本件損失額」という。)を譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額として計上し,その一部につき他の所得の金額から控除(損益通算)して総所得金額及び納付すべき税額を計算するとともに,本件損失額のうち上記損益通算により控除しき れなかった金額を翌年分へ繰り越す純損失の金額とする内容の申告をし,さらに,平成25年分の所得税及び復興特別所得税(併せて以下「所得税等」という。)に係る 失額のうち上記損益通算により控除しき れなかった金額を翌年分へ繰り越す純損失の金額とする内容の申告をし,さらに,平成25年分の所得税及び復興特別所得税(併せて以下「所得税等」という。)に係る申告において,平成24年分から繰り越された純損失の金額を平成25年分の総所得金額から控除して申告をした。これらの申告につき,板橋税務署長(処分行政庁)は,本件各債券は租税特別措置法(平成25年法律第 5号による改正前のもの。以下「措置法」という。)37条の15第1項1号に規定する公社債に当たり,かつ,本件各譲渡は同法37条の16第1項各号に掲げる譲渡のいずれにも当たらないから,本件損失額については,同法37条の15第2項の規定により所得税法の規定の適用上ないものとみなされ,その金額を損益通算及び純損失の繰越控除(併せて以下「損益通算等」という。) の対象とすることはできないとして,平成24年分の所得税及び平成25年分の所得税等につき,それぞれ更正処分(併せて以下「本件各更正処分」という。)及びこれらに伴う過少申告加算税の各賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」といい,本件各更正処分と併せて「本件各処分」という。)をした。 本件は,原告が,本件各債券は租税特別措置法施行令(平成25年政令第1 69号による改正前のもの。以下「措置法施行令」という。)25条の15第2項4号(以下「本件規定」という。)に定める公社債に当たるから,措置法37条の16第1項2号,同条2項の規定により,本件損失額については同法37条の15第2項の規定は適用されず,その金額は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の額として損益通算等の対象となるなどと主張して,被告を相手に, 本件各処分(本件各更正処分については,主文1項及び2項に記載の部分)の されず,その金額は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の額として損益通算等の対象となるなどと主張して,被告を相手に, 本件各処分(本件各更正処分については,主文1項及び2項に記載の部分)の - 3 -取消しを求める事案である。 2 関係法令の定め本件に関係する所得税法,措置法,措置法施行令及び租税特別措置法施行規則(平成27年財務省令第3号による改正前のもの。以下「措置法施行規則」という。)の規定は,別紙2―1から2-4までのとおりである。 ⑴ 所得税法の定めア譲渡所得に関する定め所得税法33条1項は,譲渡所得とは,資産の譲渡による所得をいう旨を規定し,同条3項は,譲渡所得の金額は,資産の譲渡(同項1号参照)による所得につき,その年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得 の基因となった資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し,その残額の合計額(以下「譲渡益」という。)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする旨を規定する。 所得税法38条1項は,譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得費は,別段の定めがあるものを除き,その資産の取得に要した金額並びに 設備費及び改良費の額の合計額とする旨を規定する。 イ損益通算等に関する定め所得税法69条1項は,総所得金額等を計算する場合において,不動産所得の金額,事業所得の金額,山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは,政令で定める順序により,これを 他の各種所得の金額から控除する旨を規定する(損益通算)。 所得税法70条1項は,確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前3年内の各年(その年分の所得税につき青色申告書を提出している年に限る。)において生じた純損失の金額(同法69条1項に規定 算)。 所得税法70条1項は,確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前3年内の各年(その年分の所得税につき青色申告書を提出している年に限る。)において生じた純損失の金額(同法69条1項に規定する損失の金額のうち損益通算してもなお控除しきれない部分の金額をいう 〔同法2条1項25号〕。ただし,同法70条1項の規定により前年以 - 4 -前において控除されたもの及び同法142条2項の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となったものを除く。以下同じ。)がある場合には,当該純損失の金額に相当する金額(以下「繰越損失額」ということがある。)は,政令で定めるところにより,当該確定申告書に係る年分の総所得金額等の計算上控除する旨を規定する(純損失の繰越控 除)。 ⑵ 措置法の定めア公社債等の譲渡による所得を非課税とする定め措置法37条の15第1項1号は,公社債(公債及び社債〔会社以外の法人が特別の法律により発行する債券を含む。〕をいう〔措置法2条1 項5号,所得税法2条1項9号〕。ただし,新株予約権付社債を除く。 以下同じ。)並びに公社債投資信託,公社債等運用投資信託及び貸付信託の受益権並びに社債的受益権(これらを以下「公社債等」と総称する。)の譲渡による所得には,所得税を課さない旨を規定し,措置法37条の15第2項1号は,公社債等の譲渡による収入金額が当該公社債 等の所得税法33条3項に規定する取得費及びその譲渡に要した費用の額の合計額又はその譲渡に係る必要経費に満たない場合におけるその不足額は,同法の規定の適用については,ないものとみなす旨を規定する。 したがって,公社債等の譲渡により損失が生じても,損益通算等の対象とすることはできない。 イ割引債等の譲渡による所得に係る課税の特例の 規定の適用については,ないものとみなす旨を規定する。 したがって,公社債等の譲渡により損失が生じても,損益通算等の対象とすることはできない。 イ割引債等の譲渡による所得に係る課税の特例の定め措置法37条の16第1項柱書は,同項各号に掲げる所得については,同法37条の15第1項の規定(上記アの非課税規定)は適用しない旨規定し,①措置法37条の16第1項1号(以下「法1号」ということがある。)は,割引の方法により発行される公社債(以下「割引債」と いう。)で国外において発行されるものを国内において譲渡したことに - 5 -よる所得として政令で定めるものを掲げ,②同項2号(以下「法2号」ということがある。)は,利子が支払われる公社債で割引債に類するものとして政令で定めるものを国内において譲渡したことによる所得として政令で定めるものを掲げ,③同項3号(以下「法3号」ということがある。)は,国内において発行される割引債で政令で定める者により発 行されるものを譲渡したことによる所得として政令で定めるものを掲げ,④同項4号(以下「法4号」ということがある。)は,利子が支払われない公社債(割引債を除く。)を譲渡したことによる所得として政令で定めるものを掲げている(これら各号の規定と,後記⑶の令1号から4号までの規定を併せて,以下「本件各特例規定」という。また,本件各 特例規定の定める公社債を「課税の対象となる公社債」ということがある。)。 措置法37条の16第2項は,同条1項各号(法1号から4号まで)に規定する公社債の譲渡については,同法37条の15第2項の規定は適用しない旨を規定する。したがって,上記各号に該当する公社債(課税 の対象となる公社債)の譲渡により損失が生じた場合には,損益通算等の対象とす 譲渡については,同法37条の15第2項の規定は適用しない旨を規定する。したがって,上記各号に該当する公社債(課税 の対象となる公社債)の譲渡により損失が生じた場合には,損益通算等の対象とすることができる。 ⑶ 措置法施行令の定め措置法施行令25条の15第1項は,措置法37条の16第1項各号(法1号から4号まで)に規定する政令で定める所得は,居住者又は国内に恒久 的施設を有する非居住者が,当該各号に規定する公社債を譲渡した場合における当該公社債の譲渡による所得とする旨を規定する。 措置法施行令25条の15第2項柱書は,法2号に規定する割引債に類するものとして政令で定めるものは,利子が支払われる公社債のうち,同項各号のいずれかに該当するものとする旨規定し,①同項1号(以下「令1号」 ということがある。)は,その利子の利率が著しく低いものとして財務省令 - 6 -で定めるものを掲げ,②同項2号(以下「令2号」ということがある。)は,その債券が元本に係る部分と利子に係る部分とを切り離してそれぞれ独立して取引されるものを掲げ,③同項3号(以下「令3号」ということがある。)は,その利子の計算期間が1年を超えるもの又はその利子の計算期間のうちに1年を超える利子の計算期間があるものを掲げ,④同項4号(本件規定。 以下「令4号」ということがある。)は,その利子の利率のうち最も高いもの(最大値)を最も低いもの(最小値)で除して計算した割合が100分の150以上であるもの(利子を付さない期間があるものを含む。)を掲げている(本件規定が定める基準を以下「150%基準」といい,また,令1号から4号までに規定する公社債をそれぞれ以下「令1号公社債」などとい う。)。 なお,後述のとおり,150%基準の判定時期を当該公社 規定が定める基準を以下「150%基準」といい,また,令1号から4号までに規定する公社債をそれぞれ以下「令1号公社債」などとい う。)。 なお,後述のとおり,150%基準の判定時期を当該公社債の発行時と解すべきか否か,また,これが発行時であるとした場合に,上記の割合が150%以上であることが当該発行時において確実であることを要するか否かについては,当事者間に争いがある(以下においては,当該発行後に生じる実 際の利子の利率の最大値を最小値で除して計算した割合が150%以上であること又は最小値が0%であることを「150%要件」という。)。上記の判定時期を発行時とし,かつ上記の確実性を要するとする見解(被告の主張)によれば,当該公社債の発行条件からその発行期間中に150%要件を満たすことが確実である場合に限り150%基準を充足することとなる。他方, 上記の判定時期を譲渡時とする見解(原告の主位的主張)によっても,当該譲渡時において150%要件を満たす場合に限り150%基準を充足することとなるが,上記の判定時期を発行時とし,かつ上記の確実性を要しない(可能性で足りる)とする見解(原告の予備的主張)によれば,発行期間を通じて現実には150%要件を満たさない場合であっても,150%基準を 満たす余地があることとなる。 - 7 - 3 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記証拠〔書証は特記しない限り枝番を含む。以下同じ。〕及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)⑴ 原告原告は,平成24年及び平成25年当時,配当所得及び給与所得のほか,株式及び債券等の金融関係の投資による所得その他の所得区分の所得を有し ており,所得税法143条に規定する青色申告の承認を受けていた(争いがない)。 ⑵ 原告によ 配当所得及び給与所得のほか,株式及び債券等の金融関係の投資による所得その他の所得区分の所得を有し ており,所得税法143条に規定する青色申告の承認を受けていた(争いがない)。 ⑵ 原告による本件各債券の保有(甲4,7~9,12,13,16~18,弁論の全趣旨)ア原告は,平成24年12月4日(本件各譲渡の日のうち最も早い日)当 時,①Aを発行体とする米ドル円為替連動ユーロ円債(以下「本件A債券」という。),②Bを発行体とする円金利スプレッド・為替デュアルリンク債(以下「本件B債券」という。),③Bを発行体とする米ドル円為替レート連動債(2007年〔平成19年〕3月29日発行のもの。以下「本件C債券」という。),及び,④Bを発行体とする米ドル円為替レート連 動債(2007年〔平成19年〕7月23日発行のもの。以下「本件D債券」という。)の4種類の債券(本件各債券)を保有していた。 イ本件各債券の発行条件は,別紙3の表1-1,2-1,3-1及び4-1のとおりである。本件各債券は,いずれも措置法37条の15第1項1号所定の公社債であり,同法37条の16第1項が定める法1号,3号及 び4号のいずれにも当たらず,また,法2号の委任を受けた措置法施行令25条の15第2項が定める令1号から3号までのいずれにも当たらない。 本件各債券に付された利子の利率(以下では公社債に付された利子の利率を単に「公社債の利率」などと表記することがある。)は,いずれも,その全部又は一部が,所定の時期の米ドル日本円為替レート等(以下単 に「為替レート等」ということがある。),本件各債券の発行時におい - 8 -ては未確定である指標に応じて定められている。そして,上記の発行条件(別紙3の上記各表)によれば,これらの利率がとり得 「為替レート等」ということがある。),本件各債券の発行時におい - 8 -ては未確定である指標に応じて定められている。そして,上記の発行条件(別紙3の上記各表)によれば,これらの利率がとり得る範囲の下限は,本件各債券のいずれについても0%とされているが,発行後の為替レート等の推移によっては,発行期間を通じて利率が変動しない可能性もあるものとされている。 ウまた,原告による本件各債券の保有状況(保有した数量及び取得日)は,別紙3の表1-2,2-2,3-2及び4-2のとおりである。また,原告が本件各債券を保有していた期間に実際に適用された本件各債券の利率の最大値及び最小値は,本件A債券について5.20%及び0.00%,本件B債券について6.291%及び0.100%,本件C債券について 10.00%及び0.00%,本件D債券について10.00%及び0. 00%であった。 ⑶ 本件各譲渡(甲6,11,15,20,弁論の全趣旨)ア原告は,平成24年12月4日,自身が保有する本件A債券及び本件B債券をいずれも証券会社に譲渡し,同月11日に代金の支払を受けた。 イ原告は,平成24年12月10日,自身が保有する本件C債券及び本件D債券をいずれも証券会社に譲渡し,同月17日に代金の支払を受けた。 ウ本件各譲渡に係る譲渡価格は,別紙3の表1-2,2-2,3-2及び4-2のとおりであり,その合計は,同別紙の表5のとおり円である。 また,本件各譲渡に係る上記譲渡価格の合計額から,本件各債券の取得費(所得税法33条3項,38条1項参照)を控除した際に不足する金額(本件損失額)は,別紙3の表5のとおり円である。 ⑷ 課税及び不服申立ての経緯等(後掲の証拠のほか,弁論の全趣旨) ア原告は,平成25年3 ,38条1項参照)を控除した際に不足する金額(本件損失額)は,別紙3の表5のとおり円である。 ⑷ 課税及び不服申立ての経緯等(後掲の証拠のほか,弁論の全趣旨) ア原告は,平成25年3月14日,板橋税務署長に対し,平成24年分の - 9 -所得税について,本件損失額を譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額として他の所得金額と損益通算して総所得金額の計算をし,総所得金額を円,納付すべき税額を円,翌年分へ繰り越す純損失の金額を円とする確定申告をした。 イ原告は,平成26年3月14日,板橋税務署長に対し,平成25年分の所得税等について,平成24年分から繰り越した純損失の金額円を平成25年分の所得金額から差し引き,同年分の総所得金額を円,納付すべき税額を円とする確定申告をした。 ウ原告は,平成28年2月18日,平成24年分の所得税に係る修正申告として,総所得金額を円,納付すべき税額を円,翌年分へ繰り越す純損失の金額を円とする修正申告書(以下「平成24年分修正申告書」という。)を提出した。 原告は,同日,平成25年分の所得税等に係る修正申告として,総所得金額円,納付すべき税額を円とする修正申告書(以下「平成25年分修正申告書」という。)を提出した(以下,平成24年分に係る修正申告と併せて「本件各修正申告」という。)。 エ板橋税務署長は,平成28年4月27日付けで,原告に対し,本件各譲渡は措置法37条の16第1項各号(法1号から4号まで)に規定する公社債の譲渡に該当せず,本件損失額は,同法37条の15第2項の規定により,所得税法の規定の適用上ないものとみなされるため,譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は0円であるなどとして,平成24年分の所 得税について,総 失額は,同法37条の15第2項の規定により,所得税法の規定の適用上ないものとみなされるため,譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は0円であるなどとして,平成24年分の所 得税について,総所得金額を円,納付すべき税 - 10 -額を円,翌年分へ繰り越す純損失の金額を0円とする更正処分(以下「平成24年更正処分」という。)及びこれに伴う過少申告加算税の賦課決定処分(以下「平成24年賦課決定処分」という。)をした(甲1)。 また,板橋税務署長は,同日付けで,原告に対し,平成25年分の所得 税等について,平成24年更正処分がされたことにより平成25年分の所得の金額の計算上差し引くべき繰越損失額は0円となったとして,総所得金額を円,納付すべき税額を円とする更正処分(以下「平成25年更正処分」という。)及びこれに伴う過少申告加算税の賦課決定処分(以下「平成25年賦課 決定処分」という。)をした(甲2)。 オ原告は,平成28年7月15日,本件各更正処分(平成24年更正処分及び平成25年更正処分)のうち本件各修正申告における申告額を超える部分(繰越損失額については,下回る部分)及び本件各賦課決定処分(平成24年賦課決定処分及び平成25年賦課決定処分)の全部を不服として 審査請求をしたところ,国税不服審判所長は,平成29年6月6日付けで,原告の審査請求を棄却する裁決をし,同月9日,同裁決書謄本が原告に送達された(甲3)。 カ原告は,平成29年12月4日,本件訴えを提起した。 4 税額等に関する被告の主張 本件各処分における課税の計算に係る被告の主張は別紙4記載のとおりであり,原告は,後記5の争点に関する部分を除き,その計算の基礎となる金額及び計算方法を明らかに争わない。なお,同別紙で定義した略 本件各処分における課税の計算に係る被告の主張は別紙4記載のとおりであり,原告は,後記5の争点に関する部分を除き,その計算の基礎となる金額及び計算方法を明らかに争わない。なお,同別紙で定義した略称は本文においても用いることとする。 5 争点及び当事者の主張 本件の争点は,本件各処分の適法性であり,具体的には,①本件各債券が措 - 11 -置法施行令25条の15第2項4号(本件規定)に定める公社債(令4号公社債)に該当するか,②本件各処分が信義則又は租税公平主義に反し違法であるか,③原告が本件各修正申告において本件各債券が令4号公社債に該当することを前提に税額等の計算をしたことについて通則法65条4項にいう「正当な理由」があるか,という3点が争われている。これらの争点についての当事者 の主張の要旨は別紙5のとおりである(同別紙で定義した略称は本文においても用いることとする。)。 なお,上記①に関し,本件各債券は,措置法37条の15第1項1号所定の公社債であり,課税の特例を定める同法37条の16第1項に定める法1号,3号及び4号のいずれにも当たらず,法2号の委任を受けた措置法施行令25 条の15第2項に定める令1号から3号までのいずれにも該当しない(関係法令⑵,⑶,前提事実⑵イ)から,課税の対象となる公社債のうち令4号公社債の該当性のみが争われている。本件各債券が令4号公社債に該当すれば,課税の特例により,その譲渡による所得が課税の対象となり,本件各譲渡による損失額(本件損失額)につき損益通算等の対象とすることができることとなり, 令4号公社債に該当しなければ,その譲渡による所得は課税の対象とはならず,本件損失額につき損益通算等の対象とすることができないこととなる。 そのほか,上記②は,本件各債券が令 ることとなり, 令4号公社債に該当しなければ,その譲渡による所得は課税の対象とはならず,本件損失額につき損益通算等の対象とすることができないこととなる。 そのほか,上記②は,本件各債券が令4号公社債に該当しないとしても本件各処分が信義則違反等により違法となるかが争われているものであり,上記③は,本件各更正処分が適法であるとした場合でも通則法65条4項にいう「正 当な理由」により本件各賦課決定処分が違法となるかが争われているものである。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は,本件各債券は措置法施行令25条の15第2項4号(本件規定)に規定する公社債(令4号公社債)に該当すると認められるから,本件各債券 がこれに該当しないものとして本件各譲渡から生じた損失の額(本件損失額) - 12 -につき損益通算等の対象とすることができないとした本件各更正処分(主文1項及び2項に記載の部分)及びこれを前提とする本件各賦課決定処分はいずれも違法であって取り消されるべきものであり,原告の請求は理由があるから認容すべきものと判断する。その理由の詳細は以下のとおりである。 2 争点①(本件各債券が令4号公社債に該当するか)について ⑴ 前記前提事実⑵イのとおり,本件各債券は,いずれも,その発行期間の一部又は全部の期間に係る利率がその発行時においては確定しておらず,所定の時期の為替レートなど,その発行時においては未確定の指標に応じて定まるものとされている変動利付債である。そして,これらはいずれも,その発行条件に照らせば,発行後の為替レート等の推移によっては,その発行期間 中に適用される利率の最大値を最小値で除して計算した割合が150%以上(利率の最小値が0%である場合を含む。以下同じ。)となる可能性があるものと認めら レート等の推移によっては,その発行期間 中に適用される利率の最大値を最小値で除して計算した割合が150%以上(利率の最小値が0%である場合を含む。以下同じ。)となる可能性があるものと認められ,現に,原告が本件各債券を保有していた期間に実際に適用された利率(前提事実⑵ウ)を見ても,本件各債券のいずれについてもその最大値を最小値で除して計算した割合は150%以上となっており,15 0%要件(関係法令⑶)を満たしている。他方,本件各債券の発行条件に照らせば,本件各債券の発行後に生じる利率の最大値を最小値で除して計算した割合が150%を下回る可能性も否定できず,これが実際に下回った場合には,150%要件を満たさないこととなる。 そこで,以下では,このような本件各債券が,本件規定に定める150% 基準(その利子の利率のうち最も高いものを最も低いもので除して計算した割合が100分の150以上であるもの〔利子を付さない期間があるものを含む。〕)を充足するものとして令4号公社債に該当するか否かについて検討する。 ⑵ 本件各特例規定の趣旨等 ア譲渡所得に対する課税の趣旨 - 13 -譲渡所得とは,資産の譲渡による所得をいう(所得税法33条1項)ところ,譲渡所得に対する課税は,資産の値上がりによりその資産の所有者に帰属する増加益(キャピタル・ゲイン)を所得として,その資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会にこれを清算して課税する趣旨のものである(最高裁昭和41年(行ツ)第102号同47年12 月26日第三小法廷判決・民集26巻10号2083頁,最高裁昭和47年(行ツ)第4号同50年5月27日第三小法廷判決・民集29巻5号641頁参照)。譲渡所得の金額の計算上,当該所得に係る総収入金額からその資産の 法廷判決・民集26巻10号2083頁,最高裁昭和47年(行ツ)第4号同50年5月27日第三小法廷判決・民集29巻5号641頁参照)。譲渡所得の金額の計算上,当該所得に係る総収入金額からその資産の取得に要した金額等の資産の取得費を控除するものとされている(所得税法33条3項,同法38条1項)のも,資産の増加 益(すなわち,資産の譲渡による収入金額のうち当該資産の取得に要した費用を超える部分)を清算して課税するという上記の趣旨によるものであると解される。 イ公社債等の譲渡による所得が非課税とされている趣旨これに対し,措置法37条の15第1項1号は,公社債等の譲渡による 所得については,これが資産の譲渡による所得に当たるにもかかわらず,所得税を課さない旨を規定している。その趣旨は,公社債等の譲渡により得られる増加益は,通常の場合,株式の譲渡により得られる利益とは異なり経過利子を反映しているものと考えられ,個人が利払の中途で法人にこれを譲渡した場合には,譲渡時点での経過利子に対応する所得税 相当額を譲渡人において実質的に負担することとなり,また,個人間の譲渡の場合には,譲受人が支払を受ける利子は一律に源泉分離課税の対象とされること(措置法3条,同法3条の3,所得税法181条参照)から,公社債等の譲渡による所得に対し課税しなくても,実質的に公社債等の値上がりにより当該公社債等の権利者に帰属することとなる増加 益に対して所得税を課税したのと同様の結果となるためであると解され - 14 -る(乙1,2)。 そして,措置法37条の15第2項は,公社債等の譲渡による所得が上記のとおり非課税とされていることから,公社債等の譲渡により損失が生じた場合についても,これを損益通算等の対象とすることができないこととして 措置法37条の15第2項は,公社債等の譲渡による所得が上記のとおり非課税とされていることから,公社債等の譲渡により損失が生じた場合についても,これを損益通算等の対象とすることができないこととしているものである。 ウ本件各特例規定に該当する公社債についてその譲渡による所得が課税の対象とされている趣旨他方で,公社債の種類や内容等によっては,公社債の譲渡による所得を非課税とした上記イの趣旨が当てはまらないものもあることから,措置法37条の16第1項は,課税の公平を確保するため,上記イの例外 (課税の特例)として,課税の対象となる公社債の類型を限定的に列挙しているものであり,これに伴い,同条2項は,これらに該当する公社債の譲渡により損失が生じる場合について,これを損益通算等の対象とすることができることとしているものである。 そして,措置法37条の16第1項1号(法1号)は,割引の方法によ り発行される公社債(割引債)で国外において発行されるもの(いわゆるゼロ・クーポン債〔クーポンすなわち利子の支払がない代わりに,額面よりも低い価格で発行される債券〕)を国内において譲渡したことによる所得として政令で定めるものを掲げている。その趣旨は,国外で発行される割引債については,これを償還前に譲渡した場合の譲渡益につ き上記イの非課税規定の適用があるものとすると,国内で発行されている割引債(発行時にその償還差益が源泉分離課税の対象とされている。 措置法41条の12参照)や,内外の利付債の利子に対する課税との関係で均衡を失し,課税の公平を欠くこととなるから,これを防止するために,このような国外で発行される割引債の譲渡による所得を課税の対 象としているものと解される(乙3,5)。 - 15 -また,割引債と異な 公平を欠くこととなるから,これを防止するために,このような国外で発行される割引債の譲渡による所得を課税の対 象としているものと解される(乙3,5)。 - 15 -また,割引債と異なり,利子が支払われる公社債(利付債)であっても,その内容等によっては,課税上,国外で発行される割引債と同様の経済的実質を有すると評価すべきものも存すると考えられるところ,このような公社債についても,法1号が国外で発行される割引債の譲渡による所得を課税の対象とした趣旨が妥当することから,法2号は,利子が支 払われる公社債で割引債に類するものとして政令で定めるものについて,その譲渡による所得を課税の対象としている。このように,法2号が割引債に類する公社債の具体的内容について政令で定めることとしたのは,割引債(利子の支払がない代わりに額面より低い価格で発行される債券)と利付債(利子が支払われる公社債)とが一定の場合に同様の経済的実 質を有するものとされるのは,あくまでも,上記のような課税の公平を含めた税務上の観点からの評価によるものであり,その評価については,かかる観点に基づく専門的,技術的な判断を要するものとして,その評価の基準の定立を政令の定めに委ねたものと解される。 エ令1号から3号までの趣旨 措置法施行令25条の15第2項は,上記ウのような法2号の委任を受け,同号にいう「利子が支払われる公社債で割引の方法により発行される公社債に類するものとして政令で定めるもの」として,令1号において,その利子の利率が著しく低いものとして財務省令で定めるもの(令1号公社債。いわゆる低クーポン・ディープディスカウント債〔市場の 実勢発行クーポンよりも低いクーポンを付け,投資家に対しては市場実勢金利並みの利回りを保証するため,発行 省令で定めるもの(令1号公社債。いわゆる低クーポン・ディープディスカウント債〔市場の 実勢発行クーポンよりも低いクーポンを付け,投資家に対しては市場実勢金利並みの利回りを保証するため,発行価格を大幅にディスカウントして発行される債券〕)を,令2号において,その債券が元本に係る部分と利子に係る部分とを切り離してそれぞれ独立して取引されるもの(令2号公社債。いわゆるストリップス債)を,令3号において,その 利子の計算期間が1年を超えるもの又はその利子の計算期間のうちに1 - 16 -年を超える利子の計算期間があるもの(令3号公社債)を,令4号(本件規定)において,その利子の利率のうち最も高いものを最も低いもので除して計算した割合が100分の150以上であるもの(利子を付さない期間があるものを含む。)(令4号公社債)をそれぞれ掲げている。 これらの公社債は,課税上,国外で発行される割引債と同様の経済的実 質を有すると評価すべきものとして,その譲渡による所得が課税の対象とされているものである。 ところで,令1号から4号までに定める公社債のうち,令3号公社債及び令4号公社債は,昭和62年税制改正によってその譲渡による所得が新たに課税の対象とされたものである。これらのうち,令3号公社債の 譲渡による所得を課税の対象とした趣旨は,上記改正の当時,ユーロ市場等において,いわゆるディファード・ペイメント債(当初の数年間は利子の支払がなく,数年後に一括して利子が支払われる債券)が発行されていたところ,このような公社債の譲渡による所得を非課税とした場合には,これを保有する者が利払の直前に当該公社債を(利払を受けら れる利益を売却価格に反映させて)譲渡することにより,その譲渡益として,実質的に非課税で保有期間に係る利子 得を非課税とした場合には,これを保有する者が利払の直前に当該公社債を(利払を受けら れる利益を売却価格に反映させて)譲渡することにより,その譲渡益として,実質的に非課税で保有期間に係る利子(経過利子)に相当する利益を得られることとなるため,課税の公平を確保する見地から,このような公社債の譲渡による所得を課税の対象としたものと解される。 オ令4号(本件規定)の趣旨 他方,令4号(本件規定)は,公社債の利率のうち最も高いもの(最大値)と最も低いもの(最小値)との比率を基準とし,前者を後者で除して計算した割合が150%以上となる公社債について,その譲渡による所得を課税の対象とするものであり(150%基準),利率の最小値が0%である場合(最大値を最小値〔0%〕で除することができない。) についても,その括弧書において利子を付さない期間がある公社債を含 - 17 -むと定めることにより150%基準を満たすものとしている。 被告は,このような令4号の規定の趣旨につき,令3号公社債に類似するディファード・ペイメント方式の公社債(すなわち,公社債の利率に高低を設け,当初の利率を低率としながら,後の利率を高率とすることによって,利払の遅延という発行目的を達成するもの)についても,そ の譲渡による所得を課税の対象とするものであると主張する。しかし,昭和62年税制改正において令4号を設けることとなった動機が,被告の主張するようなディファード・ペイメント方式の公社債の譲渡による所得を課税の対象とすることにあったとしても,同号は,公社債の利率の最大値を最小値で除して計算した割合が150%以上であることを基 準として定めているにすぎず,その文言からして,同号がディファード・ペイメント方式以外の公社債を除外するも 号は,公社債の利率の最大値を最小値で除して計算した割合が150%以上であることを基 準として定めているにすぎず,その文言からして,同号がディファード・ペイメント方式以外の公社債を除外するものとは解されない。そして,令4号がこのように定めているのは,公社債の利率に高低が設けられる仕組み・方式には,ディファード・ペイメント方式以外にも様々なものがあり得るところ,利率の最大値が最小値の150%以上となるよ うな場合には,そのような利率の高低が設けられた仕組み・方式のいかんにかかわらず,課税の公平を確保する見地からその譲渡による所得を課税の対象とすることが相当であるとされたためであると解される。そうすると,令4号は,ディファード・ペイメント方式の公社債を含め,利率の最大値を最小値で除して計算した割合が150%以上である公社 債を,法2号に定める「割引の方法により発行される公社債に類するものとして政令で定めるもの」の一つとして掲げる趣旨であると解するのが相当である。 ⑶ 150%基準該当性の判断方法についてア本件各特例規定が定める課税の対象となる公社債のうち,法1号及び3 号に規定する「割引の方法により発行される公社債」並びに法4号に規定 - 18 -する「利子が支払われない公社債」については,いずれも,利子の支払の有無及び割引の有無という公社債の発行条件によってこれに該当するか否かが判定されるものである。そうであれば,利子が支払われる公社債のうち「割引の方法により発行される公社債」に「類するもの」を掲げる法2号についても,これに該当するか否かは発行条件により定まる当該公社債 の客観的な内容・性質から判定されることを前提としているものと解するのが合理的であるところ,現に,法2号の委任を受けた令1号か 号についても,これに該当するか否かは発行条件により定まる当該公社債 の客観的な内容・性質から判定されることを前提としているものと解するのが合理的であるところ,現に,法2号の委任を受けた令1号から3号までの各規定についても,これら各号(令1号の委任を受けた財務省令の規定を含む。)の文言上,これらに規定する公社債に該当するか否かは,利子の利率,元本と利子の分離,利子の計算期間といった発行条件により定 まる当該公社債の客観的な内容・性質によって判定されるものとなっている。そして,これら令1号から3号までの各規定については,上記⑵ウ及びエにおいて説示した趣旨に照らしても,公社債の発行条件の定めによって,措置法37条の15が公社債の譲渡による所得について非課税とした趣旨に反することとなり,課税の公平を欠くこととなるような公社債につ き,課税上,国外で発行されている割引債と同様の経済的実質を有すると評価すべきものとして,その譲渡による所得を課税の対象としたものと解され,令4号も,上記⑵オにおいて検討したところに照らせば,これと同旨であるというべきである。 これらを併せ考慮すれば,令1号から3号までと並列して規定されてい る令4号(本件規定)も,ある公社債が同号に規定する公社債(令4号公社債)に該当するか否か(150%基準の充足の有無)は,発行条件により定まる当該公社債の客観的な内容・性質によって判定されるものであることを前提としているものと解するのが相当である。 イこれに対し,原告は,本件規定の文言からは,令4号公社債の該当性に つきその発行条件から一律に判定すべきものであることを読み取ることは - 19 -できないとして,令4号公社債に該当するか否かは,当該公社債の保有時(取得時から譲渡時まで)の状況に に つきその発行条件から一律に判定すべきものであることを読み取ることは - 19 -できないとして,令4号公社債に該当するか否かは,当該公社債の保有時(取得時から譲渡時まで)の状況に応じて判定すべきである旨を主張する。 しかしながら,措置法施行令25条の15第2項及びその委任の根拠規定である措置法37条の16第1項の規定の文理及び趣旨に照らし,ある公社債が令1号から4号までに規定する公社債に該当するか否かは, その発行条件により定まる当該公社債の客観的な内容・性質によって判定し得ることを前提としているものと合理的に解することができることは,上記アにおいて説示したとおりである。 そして,仮に,ある公社債が令4号公社債に該当するか否かについて,譲渡人が当該公社債を現に保有していた期間(譲渡までの期間)に実際 に適用された利率に基づいて150%基準の充足の有無を判定すべきものとした場合,その発行条件において当初は低率な利率が適用され,後に高率の利率が適用されることが定められている公社債について,低率から高率への変動が生じる直前に当該公社債を譲渡したときは,当該譲渡までの期間(保有期間)にはかかる利率の変動がないために令4号公 社債に該当せず,その譲渡による所得が課税の対象とならないこととなるが,本件規定は,まさに,こうした公社債(ディファード・ペイメント方式の公社債)の譲渡による所得を課税の対象とすることをその趣旨の一つとするものであるから(上記⑵オ参照),上記のような状況が生じることはおよそ予定していないものというほかなく,本件規定につき このような結果を生じさせる解釈をとることはできない。 したがって,この点についての原告の主張は採用することができない。 ⑷ 本件規定が定める公社債の利率の「最も うほかなく,本件規定につき このような結果を生じさせる解釈をとることはできない。 したがって,この点についての原告の主張は採用することができない。 ⑷ 本件規定が定める公社債の利率の「最も高いもの」及び「最も低いもの」の意義についてア一般に,「利子が支払われる公社債」(利付債)には,発行時において その利子の利率ないし額が確定している確定利付債のほか,発行時点にお - 20 -いてそれらが確定していない変動利付債があるところ,本件各特例規定のうち令1号(その利子の利率が著しく低いものとして財務省令で定めるもの)の委任を受けた措置法施行規則18条の16は,令1号に規定する財務省令で定める公社債につき「確定利率により利子が支払われる公社債」で当該利率が所定のものとする旨を規定し,その対象を確定利率により利 子が支払われる公社債に限定しているが,これに対し,同じく利率に関する基準を定める令4号(本件規定)については,同条に規定するような限定が付されていない。このような令1号(及びその委任を受けた措置法施行規則18条の16)との対比によれば,令4号は,変動利付債が令4号公社債に該当し得ることを排除していないものと解される。 イそこで,変動利付債との関係で,令4号公社債該当性(150%基準充足性)の判定の基礎となる利子の利率の「最も高いもの」及び「最も低いもの」の意義をどのように解すべきかについて検討すると,上記アのとおり本件規定は変動利付債をその対象から除外していないことに加え,本件規定に該当するか否かは発行条件により定まる公社債の客観的な内容・性 質に照らして判定すべきものであること(前記⑶ア)を考慮すれば,当該変動利付債の発行条件に照らし,発行期間においてとり得るものとされている利率のうち 条件により定まる公社債の客観的な内容・性 質に照らして判定すべきものであること(前記⑶ア)を考慮すれば,当該変動利付債の発行条件に照らし,発行期間においてとり得るものとされている利率のうち,その上限となる利率(以下「上限利率」という。)及び下限となる利率(以下「下限利率」という。)がそれぞれ「最も高いもの」及び「最も低いもの」に当たると解するのが,本件規定の文理に照らして 素直な解釈というべきである。 ウこの点,被告は,令4号(本件規定)はディファード・ペイメント方式の公社債の譲渡による所得を課税の対象とすることを趣旨とするものであると主張する。しかし,前記⑵オのとおり,本件規定は,公社債の利率の最大値を最小値で除して計算した割合が150%以上であるものと規定す るのみであり,ディファード・ペイメント方式を採用しているか否かとい - 21 -ったことをその要件として規定するものではない。のみならず,本件規定は,利率の高低の比率が一定以上であることをその要件として規定するのみであり,利率の高低の先後関係等については何ら規定していないから,本件規定に形式的に該当する公社債のうち,ディファード・ペイメント方式による公社債としての実質を有しないもの(利払の遅延を伴わない公社 債)についても,本件規定の文言上,令4号公社債から除外されないと解すべきことは,前記⑵オに説示したとおりである。そうすると,本件規定は,公社債の利率の最大値を最小値で除して計算した割合が150%以上であるものについては,それがディファード・ペイメント方式による公社債としての実質を有するか否かにかかわらず,一律に課税の対象となる公 社債として取り扱うこととしたものと解するのが相当である。 エなお,以上のように解することについては, ント方式による公社債としての実質を有するか否かにかかわらず,一律に課税の対象となる公 社債として取り扱うこととしたものと解するのが相当である。 エなお,以上のように解することについては,法2号が「割引の方法により発行される公社債に類するものとして政令で定めるもの」と規定していることとの関係で,本件各債券のようないわゆる仕組債(通貨スワップなどの金融手法を組み合わせた債券で,利率が変動するもの)も令4号公社 債に当たり得ることとなるため,このような解釈を採ると,令4号(本件規定)が法2号による委任の範囲を超えることとならないかが問題となり得る。 そこで,この観点からも検討すると,前記⑵ウのとおり,そもそも,法2号が割引債に類するものとして政令で定めるものを課税の対象とした のは,課税の公平の確保を含めた税務上の見地から,国外で発行される割引債と同様の経済的実質を有すると評価すべき公社債についてもその譲渡による所得を課税の対象とすることとしたものであって,その具体的な内容の定めについて法2号の委任を受けが措置法施行令25条の15第2項各号も,かかる委任の根拠規定である法2号の趣旨に沿って, 利子の利率,元本と利子の分離,利子の計算期間及び利率の高低といっ - 22 -た発行条件を定めることにより,国外で発行される割引債と同様に課税の公平を欠く結果をもたらすこととなるか否かといった観点から令1号公社債から令4号公社債までを定めているものと解される。このことから,同項各号には,利率を著しく低く定めるもの(令1号)や,元本と利子を分離するもの(令2号)など,金融商品としての実質から見ても 割引債に類似した性質を有するといえるものが定められている一方,昭和62年税制改正によって追加された令3号では,ディ や,元本と利子を分離するもの(令2号)など,金融商品としての実質から見ても 割引債に類似した性質を有するといえるものが定められている一方,昭和62年税制改正によって追加された令3号では,ディファード・ペイメント債(すなわち,利子の支払があることを前提にその支払を遅らせる点で,金融商品としては割引債とは異なる性質を有する公社債)についても,その譲渡による所得を非課税とすると,課税の公平を欠く結果 が生じるとして,課税の対象に加えられている。したがって,同じく昭和62年税制改正によって追加された令4号についても,これと同趣旨のものと解される以上,金融商品としての実質において割引債と異なる性質を有する公社債(仕組債等)が含まれるというだけで,法2号による委任の範囲を超えることとなるものとは解されない。 そして,令4号が,ディファード・ペイメント方式の公社債に限定することなく,利率の最大値が最小値の150%以上となる公社債を法2号に定める「割引の方法により発行される公社債に類するものとして政令で定めるもの」の一つとして掲げているのは,前記⑵オのとおり,公社債の利率に高低が設けられる仕組み・方式にはディファード・ペイメン ト方式以外にも様々なものがあり得るところ,利率の最大値を最小値で除して計算した割合が150%以上となるような場合には,利率の高低を定める仕組み・方式のいかんにかかわらず課税の公平を確保する見地からその譲渡による所得を課税の対象とすることが相当であるとされたためであると解され,そのような判断が合理性を欠くものとはいえない から(後記⑹エ参照),令4号は,法2号による委任の趣旨に沿うもの - 23 -であり,その委任の範囲を超えるものではないというべきである。 以上に照らせば,法2号が「 のとはいえない から(後記⑹エ参照),令4号は,法2号による委任の趣旨に沿うもの - 23 -であり,その委任の範囲を超えるものではないというべきである。 以上に照らせば,法2号が「割引の方法により発行される公社債に類するものとして政令で定めるもの」と規定していることとの関係で,令4号を限定的に解釈しなければ委任の範囲を逸脱することとなるものではないから,ある公社債が令4号公社債に該当するか否かは,同号に規定 する要件を充足するか否かによって形式的,客観的に判定すべきものと解するのが相当である。 オ小括以上のとおり,本件規定は,公社債の利率の最大値を最小値で除して計算した割合が150%以上であるものにつき,それが金融商品として の実質からみて割引債と同じ性質を有するか否か,あるいは,ディファード・ペイメント方式による公社債としての実質を有するか否かにかかわらず,課税上,国外で発行される割引債と同様の経済的実質を有すると評価すべき令4号公社債としてその譲渡による所得が課税の対象となるとしているものである。そして,発行時において利率等が確定してい ない変動利付債について,本件規定にいう公社債の利率の「最も高いもの」及び「最も低いもの」に当たるのは,当該変動利付債の発行条件に照らし,その発行期間においてとり得るものとされている上限利率及び下限利率であり,このような上限利率を下限利率で除して計算した割合が150%以上となる場合(下限利率が0%である場合を含む。)には, 当該変動利付債は,その発行時の現況に照らして150%要件を満たす(実際の利率の最大値を最小値で除して計算した割合が150%以上となるか,あるいは最小値が0%となる)現実的可能性がおよそないと認められるような特段の事情がない限り, に照らして150%要件を満たす(実際の利率の最大値を最小値で除して計算した割合が150%以上となるか,あるいは最小値が0%となる)現実的可能性がおよそないと認められるような特段の事情がない限り,150%基準を充足するものとして令4号公社債に該当するというべきである。 なお,変動利付債については,発行条件からはそのとり得る上限利率を - 24 -具体的な数値でもって特定することができない場合も考えられるものの(本件B債券はこれに当たる。),このような場合においても,発行条件から特定される下限利率の150%以上となる利率をとり得るか否か,また,下限利率が0%であるか否かという観点から,発行条件から定まる当該公社債の客観的な内容・性質に照らして150%基準の充足の有無を判 断することは可能であるから,上限利率を特定できない場合があることは,本件規定を上記のとおり解することの妨げとなるものではない。 ⑸ 本件各債券についての当てはめ上記⑷オの観点から,本件各債券が150%基準を充足するか否かについて検討すると,本件各債券はいずれも利子が支払われる公社債であり,その 発行期間における利率の全部又は一部が発行時において確定していない変動利付債であるところ,その発行条件(別紙3参照)によれば,発行期間においてとり得る利率の最小値(下限利率)はいずれも0%であって,また,その発行時の現況に照らし,実際の利率の最小値が0%となる(150%要件を満たす)現実的可能性がおよそないと認められるような特段の事情もうか がわれない。 したがって,本件各債券は,いずれも150%基準を充足するものとして,本件規定に定める公社債(令4号公社債)に該当するものと認められる。 ⑹ そのほかの被告の主張についてア被告は,前記 い。 したがって,本件各債券は,いずれも150%基準を充足するものとして,本件規定に定める公社債(令4号公社債)に該当するものと認められる。 ⑹ そのほかの被告の主張についてア被告は,前記⑷オに関し,本件規定は「100分の150以上であるも の」と明確に規定しているから,その文理に照らし,同規定が「100分の150以上である可能性があるもの」についてまで課税の対象としていると解することは困難である旨主張する。 しかしながら,本件規定の文理において問題となるのは,「100分の150以上であるもの」の意義ではなく,その利子の利率のうち「最も 高いもの」と「最も低いもの」の意義(又は「その利子の利率」の意義) - 25 -であるところ,前記⑷イにおいて説示したとおり,本件規定が変動利付債をその対象から除外していないことや,本件規定に該当するか否かは発行条件により定まる公社債の客観的な内容・性質に照らして判定すべきものであることを考慮すると,変動利付債については,当該公社債の発行条件に照らしてとり得る利率が「その利子の利率」に当たり,その 上限利率及び下限利率がそれぞれ「最も高いもの」及び「最も低いもの」に当たると解することが,本件規定の文理に照らしても素直な解釈というべきである。 この点,被告は,150%基準を満たすためには発行時において150%要件を満たす可能性があるだけでは足りず,それが確実であること を要する旨主張する。しかし,令4号公社債の該当性は公社債の発行条件から一律に判定されるべきものであることを前提として,本件規定を被告の主張のように解釈するためには,変動利付債については,当該公社債の発行条件に照らして発行期間における利率の上限となり得る利率の範囲及び下限となり得る利率の範囲をそれぞ を前提として,本件規定を被告の主張のように解釈するためには,変動利付債については,当該公社債の発行条件に照らして発行期間における利率の上限となり得る利率の範囲及び下限となり得る利率の範囲をそれぞれ想定した上で,前者の 範囲内での最小値が「最も高いもの」に当たり,後者の範囲内での最大値が「最も低いもの」に当たると解することになろうが,このような解釈は,技巧的である上,変動利付債において発行条件からそのような利率の範囲及びその最大値又は最小値を確定することは困難であることが多いと考えられることに照らしても,採用し難いものである。また,そ もそも,150%基準に該当するためには150%要件を満たすことが確実でなければならないことを所与の前提とすることも,以下においてさらに検討するように,法的根拠を欠くものといわざるを得ない。 イ被告は,本件各特例規定のうち本件規定以外のものはいずれも発行時においてその要件を満たすことが確実であることを前提とした規定振りとな っているから,本件規定についても,これらと同様に解すべきである旨主 - 26 -張する。 しかしながら,令4号の定める要件(150%基準)につき,前記⑷オのとおり解したとしても,令4号は,発行時においてその規定する要件(150%基準)を満たすことが確実である公社債を対象とする規定であるということができるのであり,この点において,本件各特例規定に おける他の規定と異なるものではない。一方,本件各特例規定がその対象となる公社債としていかなる要件を定めているのかという問題については,それぞれの規定の文理及び趣旨等に照らして個別に検討すべきものであるところ,令4号については,利率をその要件としている上,変動利付債がその対象から除外されていないために,変動利付 う問題については,それぞれの規定の文理及び趣旨等に照らして個別に検討すべきものであるところ,令4号については,利率をその要件としている上,変動利付債がその対象から除外されていないために,変動利付債について 適用する場合にその利率のうち「最も高いもの」及び「最も低いもの」の意義(換言すれば,150%要件を満たすことが確実であることを要するか否か)が問題となり得るのである。これに対し,本件各特例規定のうち令1号及び4号を除くものはいずれも利率をその要件として規定しておらず,また,令1号は確定利付債のみを対象としているのである から,これらの規定における規定振りやその内容が,令4号における上記問題についての解釈に対して直ちに影響を及ぼすものではないというべきである。 ウ被告は,本件規定が150%要件を満たさない可能性のある公社債にも適用されると解するのは相当でない旨主張する。 しかしながら,前記⑵オのとおり,本件規定は,公社債の利率の最大値を最小値で除して計算した割合が150%以上となることに着目して,課税の公平を確保する見地からその譲渡による所得を課税の対象とするものであるところ,当該公社債の発行条件から150%要件を満たす(実際の利率の最大値を最小値で除して計算した割合が150%以上と なるか,あるいは最小値が0%となる)ことが確実である場合に限定し - 27 -て本件規定を適用するかどうかは,現実に150%要件を満たすこととなる可能性が相当程度に上ると考えて特段の限定を付さない定めとするか,その可能性が低いと考えて限定要件あるいは除外要件を付した定めとするかといった,立法裁量ないし立法政策に属する事項というべきである。そして,本件規定においては,そのような限定要件や除外要件が 付されてい が低いと考えて限定要件あるいは除外要件を付した定めとするかといった,立法裁量ないし立法政策に属する事項というべきである。そして,本件規定においては,そのような限定要件や除外要件が 付されていないのであるから,150%要件を満たさない場合が一部に存するとしても本件規定を適用すべきものとする立法上の選択がされたものというほかない。 エ被告は,本件各債券のような,いわゆる仕組債に当たる変動利付債については,令4号(本件規定)が設けられた昭和62年税制改正当時には, 令4号公社債に該当するものとして想定されていなかったのであるから,その後の社会情勢等の変化に伴い上記のような債券が一般の個人投資家向けに販売されるようになったからといって,変動幅の下限すら確定していない変動利付債までもが令4号公社債に該当すると解することはできない旨主張する。 しかしながら,昭和62年税制改正当時において仕組債が令4号公社債に該当するものとして想定されていなかったとしても,そのことから直ちに本件規定が仕組債をその対象から除外しているものと解することはできない。むしろ,同改正後,仕組債が個人投資家の間で広く取引されるようになるなど金融市場の状況に変化が見られるようになったにもか かわらず,平成25年税制改正に至るまでの間,このような状況の変化を踏まえた立法的な手当てはされなかったものである。また,仕組債は,為替レートや株価などと連動して利率が変動するため,その利子には経過利子でないものが含まれることとなるから,そのとり得る利率の上限利率を下限利率で除して計算した割合が150%以上である場合には経 過利子でないものの割合も相応に高くなるものといえ,このような公社 - 28 -債の譲渡による所得を課税の対象に含めたとしても, 限利率で除して計算した割合が150%以上である場合には経 過利子でないものの割合も相応に高くなるものといえ,このような公社 - 28 -債の譲渡による所得を課税の対象に含めたとしても,公社債の譲渡による所得につき非課税とした措置法37条の15の趣旨に反することとなるものではなく,上記のような状況の変化を踏まえた立法的な手当てが必要とされていたということもできない(なお,平成25年税制改正においても,仕組債の譲渡による所得について課税の対象から除外された ものではない。)。そうすると,前記⑷オにおいて説示した本件規定の解釈は,ある公社債が仕組債に該当するか否かにかかわらず妥当するものというべきである。 オ被告は,平成25年税制改正の立案担当者が執筆した文献(甲26)の記載によれば,少なくとも本件各債券のような「株価に連動する債券など 金利以外の要因により譲渡損益が発生する金融商品」については,同改正以前の規定によっては課税の対象とすることができなかった旨主張する。 しかしながら,平成25年税制改正の立案担当者の認識によって本件規定の解釈が左右されるものでないことはもとより,被告が指摘する上記文献の記載を見ても,同改正の立案担当者において金利以外の要因によ り譲渡損益が発生する金融商品の譲渡益につき課税の対象とすることができないものと認識していたことを直ちに読み取ることはできない。すなわち,同文献には,「金融商品の多様化により,株価に連動する債券など金利以外の要因により譲渡損益が発生する金融商品や,譲渡益が非課税であることを利用して,収益の分配を行わずに受益権等を譲渡する ことにより投資収益を回収する金融商品も販売されている状況にあります。」と記載されているところ,この記載からは,同改正前の法令の 税であることを利用して,収益の分配を行わずに受益権等を譲渡する ことにより投資収益を回収する金融商品も販売されている状況にあります。」と記載されているところ,この記載からは,同改正前の法令の下において,「株価に連動する債券など金利以外の要因により譲渡損益が発生する金融商品」の譲渡益が常に非課税とされているとの認識が示されているものとまでは読み取ることができず,上記記載は,平成25年 税制改正前の措置法37条の15及び37条の16並びに措置法施行令 - 29 -25条の15の規定に関し,必ずしもその趣旨と金融市場の実情とが合致していないことを指摘したにとどまるものというべきである。 カしたがって,被告の上記各主張はいずれも採用することができない。 3 結論以上説示したところによれば,本件各債券は,いずれも令4号公社債に該当 するものと認められるから,本件各譲渡による損失(本件損失)については,措置法37条の16第1項2号,同条2項の規定により同法37条の15第2項の規定が適用されず,その額を譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額として損益通算等の対象とすることができるものというべきである。 そうすると,原告の平成24年分の所得税及び平成25年分の所得税等の計 算上,本件損失額を損益通算等の対象としなかった本件各更正処分及びこれを前提とする本件各賦課決定処分は,その余の点について検討するまでもなく,いずれも違法であって,取り消されるべきものである。 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第51部 裁判長裁判官清水知恵子 裁判官釜村健太 京地方裁判所民事第51部 裁判長裁判官清水知恵子 裁判官釜村健太 裁判官川山泰弘は,異動のため署名押印することができない。 所得税法 (譲渡所得) 第三十三条 譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)による所得をいう。 (省略) 譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となった資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(当該各号のうちいずれかの号に掲げる所得に係る総収入金額が当該所得の基因となった資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合に) 入金額が当該所得の基因となった資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他の号に掲げる所得に係る残額から控除した金額。以下この条において「譲渡益」という。 一 資産の譲渡(前項の規定に該当するものを除く。次号において同じ。)でその資産の取得の日以後五年以内にされたものによる所得(政令で定めるものを除く。) 二 資産の譲渡による所得で前号に掲げる所得以外のもの (省略) (譲渡所得の金額の計算上控除する取得費) 第三十八条 譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得費は、別段の定めがあるものを除き、その資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額とする。 (省略) (損益通算) 第六十九条 総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において、不動産所 (損益通算) 第六十九条 総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、政令で定める順序により、これを他の各種所得の金額から控除する。 (省略) (純損失の繰越控除) 第七十条 確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前三年内の各年(その年分の所得税につき青色申告書を提出している年に限る。 )において生じた純損失の金額(この項の規定により前年以前において控除されたもの及び第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。 )がある場合には、当該純損失の金額に相当する金額は、政令で定めるところにより、当該確定申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する。 , (省略) 申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する。 第一項又は第二項の規定は、これらの規定に規定する居住者が純損失の金額が生じた年分の所得税につき確定申告書を提出し、かつ、それぞれその後において連続して確定申告書を提出している場合に限り、適用する。 第一項及び第二項の規定による控除は、純損失の繰越控除という。 租税特別措置法(平成二十五年法律第五号による改正前のもの) (公社債等の譲渡等による所得の課税の特例) 第三十七条の十五 次に掲げる所得については、所得税を課さない。 一 公社債(第三十七条の十第二項第三号に規定する新株予約権付社債を除く。)並びに公社債投資信託、公社債等運用投資信託及び貸付信託の受益権並びに社債的受益権(次項第一号において「公社債等」という。)の譲渡(所得税法第五十七条の四第三項第四号に掲 社債的受益権(次項第一号において「公社債等」という。)の譲渡(所得税法第五十七条の四第三項第四号に掲げる新株予約権付社債についての社債の譲渡で同号に定める事由によるものを除く。次項第一号において同じ。)による所得 二 次に掲げる金額は、所得税法の規定の適用については、ないものとみなす。 一 公社債等の譲渡による収入金額が当該公社債等の所得税法第三十三条第三項に規定する取得費及びその譲渡に要した費用の額の合計額又はその譲渡に係る必要経費に満たない場合におけるその不足額 二 (省略) (割引の方法により発行される公社債等の譲渡による所得の課税の特例) 第三十七条の十六 次に掲げる所得については、前条第一項の規定は、適用しない。 一 割引の方法により発行される公社債で国外において発行されるものを国内において譲渡したことによる所得として政令で定めるもの 二 利子が支払われる公社債で 行されるものを国内において譲渡したことによる所得として政令で定めるもの 二 利子が支払われる公社債で割引の方法により発行される公社債に類するものとして政令で定めるものを国内において譲渡したことによる所得として政令で定めるもの 三 国内において割引の方法により発行される公社債で政令で定める者により発行されるものを譲渡したことによる所得として政令で定めるもの 四 利子が支払われない公社債(割引の方法により発行されるものを除く。)を譲渡したことによる所得として政令で定めるもの 前項各号に規定する公社債の譲渡については、前条第二項の規定は、適用しない。 (別紙2-3) 租税法特別措置法施行令(平成二十五年政令第百六十九号による改正前のもの) (割引の方法により発行される公社債等の譲渡による所得の課税の特例) 第二十五条の十五 法第三十七条の十六第一項各号に規定する政令で定める所得は による所得の課税の特例) 第二十五条の十五 法第三十七条の十六第一項各号に規定する政令で定める所得は、居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が、当該各号に規定する公社債を譲渡した場合における当該公社債の譲渡による所得とする。 法第三十七条の十六第一項第二号に規定する割引の方法により発行される公社債に類するものとして政令で定めるものは、利子が支払われる公社債のうち、次の各号のいずれかに該当するものとする。 一 その利子の利率が著しく低いものとして財務省令で定めるもの 二 その債券が元本に係る部分と利子に係る部分とを切り離してそれぞれ独立して取引されるもの 三 その利子の計算期間が一年を超えるもの又はその利子の計算期間のうちに一年を超える利子の計算期間があるもの 四 その利子の利率のうち最も高いものを最も低いもので除して計算した割合が百分の百五十以上であるもの(利子を付さない期間がある 最も高いものを最も低いもので除して計算した割合が百分の百五十以上であるもの(利子を付さない期間があるものを含む。 ) 法第三十七条の十六第一項第三号に規定する政令で定める者は、独立行政法人住宅金融支援機構、独立行政法人住宅金融支援機構法(平成十七年法律第八十二号)附則第三条第一項の規定による解散前の住宅金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、独立行政法人都市再生機構、独立行政法人都市再生機構法(平成十五年法律第百号)附則第四条第一項の規定による解散前の都市基盤整備公団及び都市基盤整備公団法(平成十一年法律第七十六号)附則第六条第一項の規定による解散前の住宅・都市整備公団並びに外国政府、外国の地方公共団体及び国際機関とする。 (別紙2-4)- 35 -○ 租税法特別措置法施行規則(平成二十七年財務省令第三号による改正前のもの) (割引の方法により発行される公社債等の譲渡による所得の課税の特例) 第十 三号による改正前のもの) (割引の方法により発行される公社債等の譲渡による所得の課税の特例) 第十八条の十六 施行令第二十五条の十五第二項第一号に規定する財務省令で定める公社債は、確定利率により利子が支払われる公社債で当該利率が年〇・五パーセント未満(その発行の日から償還期限までの期間が十年以上十五年未満のものにあつては年〇・四パーセント未満とし、当該期間が八年以上十年未満のものにあつては年〇・三パーセント未満とし、当該期間が七年以上八年未満のものにあつては年〇・二パーセント未満とし、当該期間が七年未満のものにあつては年〇・一パーセント未満とする。 )のものとする。 項目発行条件等債券の種類(通称)米ドル円為替レート連動ユーロ円債発行体A発行日2003(平成15)年4月3日満期日2033(平成45)年4月3日額面金額25,000,000円発行価格額面表示金額の100%利子計算開始日発行日(2003(平成15)年4月3日)利払日2003(平成15)年10月3日(当日を含む)から満期日(当日を含む)までの各年の4月3 000円発行価格額面表示金額の100%利子計算開始日発行日(2003(平成15)年4月3日)利払日2003(平成15)年10月3日(当日を含む)から満期日(当日を含む)までの各年の4月3日及び10月3日利息(年利)イ FX*がクーポントリガー**以上の場合年利5.20%* FXとは,利払日の10営業日前の日の午後3時(東京時間)にロイター社スクリーン「JPNU]に発表されるアメリカ合衆国ドル(以下「米ドル」という。)円為替レートのビッドレートをいう(以下の各表において同じ)。 ** クーポントリガーとは、金利を変更する計算式を適用するFXの水準として定められた数値であり、本件A債券は、97.99である。 ロ FXがクーポントリガーを下回っている場合次の計算式に従って計算した日本円での額面表示金額当たりの金額(1円未満の端数は四捨五入をし、ゼロ未満にはならないものとする。)(26,697.18×FX)-2,500,000円繰上償還2004(平成16)年4月3日(当日を含む)から2032(平成44)年4月3日(当日を含む)までの各年4月3日に係るFXが117.99以上となった場合には、それぞれ各年4月3日に、元本金額の100%が年次で償還される。 項目内容保有額円購入日(約定日)発行時に購入したが記録保存なし購入日(受渡日)発行時に購入したが記録保存なし譲渡日(約定日)2012(平成24)年12月4日譲渡日(受渡日)2012(平成24)年12月11日譲渡価格円(表1-2) 原告による本件A債券の保有及び譲渡の状況(別紙3)(表1-1) 本件A債券の発行条件 (表2-1) 本件B債券の発行条件項目発行条件等債券の種類(通称)円金利スプレッド・為替デュアルリンク債発行体B発行日 状況(別紙3)(表1-1) 本件A債券の発行条件 (表2-1) 本件B債券の発行条件項目発行条件等債券の種類(通称)円金利スプレッド・為替デュアルリンク債発行体B発行日2007(平成19)年3月29日満期日2037(平成49)年3月30日額面金額100,000,000円発行価格額面表示金額の100%利子計算開始日2007(平成19)年3月30日利払日2007(平成19)年9月30日(当日を含む)から満期日(当日を含む)までの各年の 3月30日及び9月30日利息(年利)イ FX≺99.90の場合年利0.10%ロ FXが99.90以上の場合次の計算式に従って計算した日本円での額面表示金額当たりの金額(1円未満の端数は四捨五入、下限利率0.00%)9.00×(10年円スワップレート*-2年円スワップレート)* 円スワップレートとは、利払日の10営業日前の日の午後3時(東京時間)にTelerate「17143」に表示される当該年限のスワップ金利をいう。 繰上償還2008(平成20)年3月30日(当日を含む)から2036(平成48)年9月30日(当日を含む)までの各年3月30日及び9月30日に係るFXが114.95以上となった場合には、それぞれ各年3月30日及び9月30日に、額面金額で償還される。 項目内容保有額円購入日(約定日)2007(平成19)年3月8日購入日(受渡日)2007(平成19)年3月30日譲渡日(約定日)2012(平成24)年12月4日譲渡日(受渡日)2012(平成24)年12月11日譲渡価格円(表2-2) 原告による本件B債券の保有及び譲渡の状況 (表3-1) 本件C債券の発行条件項目発行条件等債券の種類(通称)米ドル円為替レート連動債発行体B 12月11日譲渡価格円(表2-2) 原告による本件B債券の保有及び譲渡の状況 (表3-1) 本件C債券の発行条件項目発行条件等債券の種類(通称)米ドル円為替レート連動債発行体B発行日2007(平成19)年3月29日満期日2037(平成49)年3月30日額面金額100,000米ドル発行価格額面表示金額の100%利子計算開始日2007(平成19)年3月30日利払日2007(平成19)年9月30日(当日を含む)から満期日(当日を含む)までの各年の 3月30日及び9月30日利息(年利)次の計算式に従って計算した金額(1セント未満の端数は四捨五入、上限利率10.00%、下限利率0.00%)(FX-99.90)×1.00%繰上償還2008(平成20)年3月30日(当日を含む)から2036(平成48)年9月30日(当日を含む)までの各年3月30日及び9月30日に係るFXが114.35以上となった場合には、それぞれ各年3月30日及び9月30日に、額面金額で償還される。 項目内容保有額米ドル購入日(約定日)2007(平成19)年3月8日購入日(受渡日)2007(平成19)年3月30日譲渡日(約定日)2012(平成24)年12月10日譲渡日(受渡日)2012(平成24)年12月17日譲渡価格米ドル2007年3月8日TTM 115.892012年12月10日TTM 82.55(表3-2) 原告による本件C債券の保有及び譲渡の状況(参考) 円換算レート (表4-1) 本件D債券の発行条件項目発行条件等債券の種類(通称)米ドル円為替レート連動債発行体B発行日2007(平成19)年7月23日満期日2037(平成49)年7月24日額面金額100,000米ドル発 条件項目発行条件等債券の種類(通称)米ドル円為替レート連動債発行体B発行日2007(平成19)年7月23日満期日2037(平成49)年7月24日額面金額100,000米ドル発行価格額面表示金額の100%利子計算開始日2007(平成19)年7月24日利払日2008(平成20)年1月24日(当日を含む)から満期日(当日を含む)までの各年の1月24日及び7月24日利息(年利)年利10.00%ロ 2008(平成20)年1月24日(当日を含む)から2037(平成49)年7月24日(当日を含む)までの期間次の計算式に従って計算した金額(1セント未満の端数は四捨五入、上限利率10.00%、下限利率0.00%)(FX-109.90)×1.00%繰上償還2008(平成20)年1月24日(当日を含む)から2037(平成49)年1月24日(当日を含む)までの各年1月24日及び7月24日に係るFXが118.90以上となった場合には、それぞれ各年1月24日及び7月24日に、額面金額で償還される。 項目内容保有額米ドル購入日(約定日)2007(平成19)年6月27日購入日(受渡日)2007(平成19)年7月24日譲渡日(約定日)2012(平成24)年12月10日譲渡日(受渡日)2012(平成24)年12月17日譲渡価格米ドル2007年6月27日TTM 123.022012年12月10日TTM 82.55(表4-2) 原告による本件D債券の保有及び譲渡の状況(参考) 円換算レートイ 2007(平成19)年7月24日から2008(平成20)年1月24日(当日を除く)までの期間 (単位:円)項目本件A債券本件B債券本件C債券本件D債券譲渡価額(a)取得費(保有価額)( 平成19)年7月24日から2008(平成20)年1月24日(当日を除く)までの期間 (単位:円)項目本件A債券本件B債券本件C債券本件D債券譲渡価額(a)取得費(保有価額)(b)譲渡所得の金額(-は損失)(a)-(b)譲渡価額合計取得価額合計譲渡損失合計(表5) 本件各債券の譲渡に係る譲渡損益 - 41 -(別紙4)課税の根拠及び計算 1 平成24年更正処分の根拠原告の平成24年分の所得税の納付すべき税額等は,次のとおりである。 ⑴ 総所得金額円上記金額は,次のアからカまでの各金額の合計額である(所得税法〔平成24年分については平成25年法律第5号による改正前のもの,平成25年分については平成26年法律第10号による改正前のもの。以下同じ。〕22条2項及び69条1項)。なお,以下において,金額の前に記載した「△」は,特 に断りのない限り,損失の金額であることを表すものである。 ア事業所得の金額円上記金額は,原告が平成24年分修正申告書に記載した事業所得の金額と同額である。 イ不動産所得の金額円 上記金額は,原告が平成24年分修正申告書に記載した不動産所得の金額と同額である。 ウ配当所得の金額円上記金額は,原告が平成24年分修正申告書に記載した配当所得の金額と同額である。 エ給与所得の金額円上記金額は,原告が平成24年分修正申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 オ雑所得の金額円上記金額は,原告が平成24年分修正申告 上記金額は,原告が平成24年分修正申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 オ雑所得の金額円上記金額は,原告が平成24年分修正申告書に記載した雑所得の金額と同 額である。 - 42 -カ譲渡所得の金額円本件各譲渡により生じた損失の金額(本件損失額)は,所得税法の規定の適用上ないものとみなされるから,譲渡所得の金額は0円となる。 ⑵ 株式等に係る譲渡所得等の金額円上記金額は,次のア及びイの各金額の合計額であり,原告が平成24年分修 正申告書に記載した株式等に係る譲渡所得等の金額と同額である。 ア上場株式等に係る譲渡所得等の金額円上記金額は,原告が平成24年分修正申告書に記載した上場株式等に係る譲渡所得等の金額と同額である。 イ上場株式等に係る配当所得の金額円 上記金額は,原告が平成24年分修正申告書に記載した上場株式等に係る配当所得の金額と同額である。 ⑶ 所得控除の額の合計額円上記金額は,原告が平成24年分修正申告書に記載した所得控除の額の合計額と同額である。 ⑷ 課税総所得金額円上記金額は,前記⑴の総所得金額円から前記⑶の所得控除の額の合計額円を控除した後の金額(ただし,国税通則法〔平成24年分については平成25年法律第5号による改正前のもの,平成25年分については平成26年法律第10号による改正前のもの。以下 「通則法」という。〕118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。後記2⑷及び⑸において同じ。)である。 ⑸ 分については平成26年法律第10号による改正前のもの。以下 「通則法」という。〕118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。後記2⑷及び⑸において同じ。)である。 ⑸ 納付すべき税額円上記金額は,次のアの金額からイ,ウ及びエの各金額を控除した後の金額である。 なお,上記「納付すべき税額」の前に記載した「△」は,還付金の額に相当 - 43 -する税額を表す。 ア課税総所得金額に対する税額円上記金額は,前記⑷の課税総所得金額円に所得税法89条1項に規定する税率を乗じて算出した金額である。 イ配当控除額円 上記金額は,前記⑴ウの配当所得の金額円に100分の5を乗じて計算した金額である(所得税法92条1項3号イ)。 ウ源泉徴収税額円上記金額は,次の及びの各金額の合計額である。 修正申告額円 上記金額は,原告が平成24年分修正申告書に記載した源泉徴収税額である。 更正処分時の認容額円上記金額は,原告が,平成24年中に,Cの組合員として,同組合から分配を受けた利益に係る源泉徴収額である。 エ予定納税額円上記金額は,原告が平成24年分修正申告書に記載した予定納税額と同額である。 ⑹ 翌年へ繰り越す純損失の金額円前記⑴カのとおり,本件各譲渡により生じた本件損失額は,所得税法の規定 の適用上ないものとみなされるから,翌年へ繰り越す純損失の金額は,円となる。 ⑺ 翌年へ繰り越 円前記⑴カのとおり,本件各譲渡により生じた本件損失額は,所得税法の規定 の適用上ないものとみなされるから,翌年へ繰り越す純損失の金額は,円となる。 ⑺ 翌年へ繰り越す株式等に係る譲渡損失の金額円上記金額は,原告が平成24年分修正申告書に記載した翌年へ繰り越す株式等に係る譲渡損失の金額と同額である。 2 平成25年更正処分の根拠 - 44 -原告の平成25年分の所得税等の納付すべき税額等は,次のとおりである。 ⑴ 総所得金額円上記金額は,次のアからキまでの各金額の合計額である(所得税法22条2項及び69条1項)。 ア事業所得の金額円 上記金額は,原告が平成25年分修正申告書に記載した事業所得の金額と同額である。 イ不動産所得の金額円上記金額は,原告が平成25年分修正申告書に記載した不動産所得の金額と同額である。 ウ配当所得の金額円上記金額は,原告が平成25年分修正申告書に記載した配当所得の金額と同額である。 エ給与所得の金額円上記金額は,原告が平成25年分修正申告書に記載した給与所得の金額と 同額である。 オ雑所得の金額円上記金額は,原告が平成25年分修正申告書に記載した雑所得の金額と同額である。 カ譲渡所得の金額円 上記金額は,原告が平成25年分修正申告書に記載した譲渡所得の金額と同額である。 キ本年分で差し引く繰越損失額円前記1⑹のとおり,平成24年分の 上記金額は,原告が平成25年分修正申告書に記載した譲渡所得の金額と同額である。 キ本年分で差し引く繰越損失額円前記1⑹のとおり,平成24年分の所得税について,翌年へ繰り越す純損失の金額は円であるから,平成25年分で差し引く繰越損失額も円とな る。 - 45 -⑵ 株式等に係る譲渡所得等の金額円上記金額は,次のアの金額からイの金額を差し引いた後の金額であり,原告が平成25年分修正申告書に記載した株式等に係る譲渡所得等の金額と同額である。 ア繰越損失額控除前の株式等に係る譲渡所得の金額 円上記金額は,原告が平成25年分修正申告書に記載した株式等に係る繰越損失額を控除する前の株式等に係る譲渡所得等の金額と同額である。 イ本年分で差し引く株式等に係る繰越損失額円上記金額は,原告が平成25年分修正申告書に記載した本年分で差し引く 株式等に係る繰越損失額の金額と同額である。 ⑶ 所得控除の額の合計額円上記金額は,原告が平成25年分修正申告書に記載した所得控除の額の合計額と同額である。 ⑷ 課税総所得金額円 上記金額は,前記⑴の総所得金額円から前記⑶の所得控除の額の合計額円を控除した後の金額である。 ⑸ 株式等に係る課税譲渡所得金額円上記金額は,原告が平成25年分修正申告書に記載した株式等に係る課税譲渡所得金額と同額である。 ⑹ 納付すべき税額円上記金額は,次のア,イ及びエの各金額の合計額からウ,オ及びカの各金額を控除した後の た株式等に係る課税譲渡所得金額と同額である。 ⑹ 納付すべき税額円上記金額は,次のア,イ及びエの各金額の合計額からウ,オ及びカの各金額を控除した後の金額である(ただし,通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。)。 ア課税総所得金額に対する税額円 上記金額は,前記⑷の課税総所得金額円に所得 - 46 -税法89条1項に規定する税率を乗じて算出した金額である。 イ株式等に係る課税譲渡所得金額に対する税額 円上記金額は,原告が平成25年分修正申告書に記載した株式等に係る課税譲渡所得金額(前記⑸)に対する税額と同額である。 ウ配当控除額円上記金額は,原告が平成25年分修正申告書に記載した配当控除額と同額である。 エ復興特別所得税額円上記金額は,前記ア及びイの各税額の合計額から前記ウの配当控除額を控 除した後の金額円に東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法13条に規定する100分の2.1の税率を乗じて計算した金額である。 オ外国税額控除額円上記金額は,原告が平成25年分修正申告書に記載した外国税額控除額と 同額である。 カ源泉徴収税額円上記金額は,原告が平成25年分修正申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 3 本件各更正処分の適法性 被告が本件において主張する原告の平成24年分の所得税の還付金の額に相当する税額及び平成25 原告が平成25年分修正申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 3 本件各更正処分の適法性 被告が本件において主張する原告の平成24年分の所得税の還付金の額に相当する税額及び平成25年分の所得税等の納付すべき税額は,前記1⑸及び2⑹のとおり,それぞれ円及び円であるところ,これらの金額は,平成24年更正処分における還付金の額に相当する税額及び平成25年更正処分における納付すべき税額とそれぞれ同額である。 4 本件各賦課決定処分の根拠及び適法性 - 47 -⑴ 本件各賦課決定処分の根拠原告が本件各更正処分により新たに納付すべきこととなった税額の計算の基礎となった事実のうちに,本件各更正処分前における税額の計算の基礎とされていなかったことについて,通則法65条4項に規定する「正当な理由」があると認められるものはない。 したがって,本件各更正処分に伴い原告に賦課される平成24年分及び平成25年分の過少申告加算税の額は,通則法65条1項及び同条2項に基づき算定された次のア及びイの各金額となる。 ア平成24年分の過少申告加算税の額円上記金額は,次の及びの各金額の合計額である。 通常分の過少申告加算税の額円上記金額は,通則法65条1項の規定に基づき,原告が平成24年更正処分により新たに納付すべき税額円(ただし,通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。後記イにおいて同じ。)に100分の10の割合を乗じて計算した金額であ る。 加重分の過少申告加算税の額円上記金額は,通則法65条2項の規定に基づき,原告が平成24年更正処分により新たに納付すべき税額円のうち,平 金額であ る。 加重分の過少申告加算税の額円上記金額は,通則法65条2項の規定に基づき,原告が平成24年更正処分により新たに納付すべき税額円のうち,平成24年分の所得税に係る期限内申告税額(同条3項2号)に相当する 金額0円と50万円とのいずれか多い方の金額である50万円を超える部分に相当する税額円(ただし,通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に100分の5の割合を乗じて計算した金額である。 イ平成25年分の過少申告加算税の額円 上記金額は,通則法65条1項の規定に基づき,原告が平成25年更正処 - 48 -分により新たに納付すべき税額円に100分の10の割合を乗じて計算した金額である。 ⑶ 本件各賦課決定処分の適法性前記⑴ア及びイのとおり,平成24年更正処分及び平成25年更正処分に伴い原告に賦課される過少申告加算税の額は,それぞれ円及び 円であるところ,当該各金額は,本件各賦課決定処分における過少申告加算税の額とそれぞれ同額となる。 以上 - 49 -(別紙5)争点に関する当事者の主張の要旨 1 争点①(本件各債券が令4号公社債に該当するか)(被告の主張の要旨) ⑴ 本件各債券は,次のとおり,150%基準(関係法令⑶)を満たさず令4号公社債に該当しないから,措置法37条の15第2項により,本件損失額を損益通算等の対象とすることはできない。 ⑵ 公社債等の譲渡による所得の課税に係る特例制度の概要等ア措置法37条の15第1項は,公社債等の譲渡による所得については,所 得税を課さないものとしており,同条2項は,公社債等の譲渡による所得が非課税とされることと 課税に係る特例制度の概要等ア措置法37条の15第1項は,公社債等の譲渡による所得については,所 得税を課さないものとしており,同条2項は,公社債等の譲渡による所得が非課税とされることとの関係で,公社債等の譲渡による所得の金額の計算上生じた損失の金額は,所得税法の規定の適用についてないものとみなす旨規定している。 このように,措置法が公社債等の譲渡による所得につき非課税とした趣旨 は,公社債等の譲渡により得るキャピタルゲインの大部分は,株式の場合と異なり経過利子を反映しているものであり,個人が利払の中途で法人に譲渡した場合には,経過利子に対応する所得税相当額を負担していると認められ,また,個人間の譲渡の場合には譲受人が支払を受ける利子に対して一律に源泉分離課税の対象とされているので実質的に公社債等の譲渡益に所得税を課 税したのと同様となるためであるとされている。 イ以上のとおり,本件各譲渡時点において,公社債等の譲渡による所得は,原則として非課税とされていたところ,措置法37条の16第1項は,公社債をその満期償還前に譲渡した場合に生じた譲渡益を非課税とした場合に課税上の問題が生じると認められる一定の公社債をターゲットとして,課税の 公平の観点から,課税対象とすべき公社債の類型を限定的に列挙し,同項各 - 50 -号に該当する公社債の譲渡による所得については,同法37条の15第1項の規定にかかわらず,課税の対象とする旨規定しているものである。 そして,措置法37条の16第1項1号(法1号)は,国外において発行される割引債(いわゆるゼロ・クーポン債)を国内で譲渡したことによる所得を課税対象とし,法2号は,利子が支払われる公社債で割引債に類するも のとして政令で定めるものを国内で譲渡したことによる 行される割引債(いわゆるゼロ・クーポン債)を国内で譲渡したことによる所得を課税対象とし,法2号は,利子が支払われる公社債で割引債に類するも のとして政令で定めるものを国内で譲渡したことによる所得を課税対象としているところ,同号の規定は,利子が支払われる公社債のうち,ゼロ・クーポン債と同様の経済効果を有するものを法1号と同様に課税対象とするものである。また,法2号によりその譲渡が課税の対象される公社債の具体的な内容については,同号の委任を受けた措置法施行令25条の15第2項各号 (令1号から4号まで)が規定しているところ,令3号及び令4号は,割引債に類似する公社債の範囲を拡大し,いわゆるディファード・ペイメント債の譲渡による所得も課税の対象に加えるため,昭和62年税制改正の際に追加されたものである。なお,上記税制改正において,令3号公社債のみならず,令4号公社債をも課税の対象として明記したのは,ディファード・ペイ メント債が利子の支払日を任意に定めて当初の数年間は利払を行わずに遅延させるものであるため,当初の数年間について僅かでも利子を支払うこととしていれば令3号公社債に該当せず課税の対象とされないこととなってしまうことから,これを防止する目的で,令3号公社債に類似するディファード・ペイメント方式の公社債を課税の対象とするためである。 ⑶ 150%基準を満たすか否かは公社債の発行条件から一律に判定すべきものであること上記⑵のとおり,公社債等の譲渡による所得は原則として非課税とされ,例外的に本件各特例規定(法1号から4号まで,令1号から4号まで)が課税の対象とする公社債の類型を限定的に列挙しているところ,これら本件各特例規 定は,ある公社債が課税の対象とされるものに当たるか否かについては,当該 - ら4号まで,令1号から4号まで)が課税の対象とする公社債の類型を限定的に列挙しているところ,これら本件各特例規 定は,ある公社債が課税の対象とされるものに当たるか否かについては,当該 - 51 -公社債の発行条件に照らせば一律に判定することができることを前提とした規定振りとなっている。 さらに,上記⑵イの令4号公社債の譲渡が課税の対象とされた趣旨に照らしても,令4号公社債は,公社債の発行条件に照らし一律に判定できることが前提となっているというべきである。 以上のとおり,本件各特例規定は,その文言や制定趣旨に鑑みれば,ある公社債が,上記各規定に掲げる課税の対象とされる公社債に該当するか否かに関し,その公社債ごとに一律に判定すること,具体的には,当該公社債の商品設計を表す発行条件から一律に判定することを前提としていると解すべきであり,本件規定(令4号)に関しても,ある公社債が150%基準を満たすか否かは, その公社債の発行条件から一律に判定すべきである。 ⑷ 150%基準を満たすためには,150%要件を満たす可能性があるだけでは足りず,それが確実であることを要することア上記⑶のとおり,ある公社債が150%基準を満たすか否かは,その公社債の発行条件から一律に判定すべきところ,次のとおり,同基準を満たすた めには,その発行時において150%要件を満たす可能性があるだけでは足りず,それが確実であることを要するものと解すべきである。 イすなわち,租税法規はみだりに規定の文言を離れて解釈すべきものではないところ,本件規定(令4号)は,「…100分の150以上であるもの」と明確に規定しているのであるから,その文理に照らし,同規定が「…10 0分の150以上である可能性があるもの」についてまで課税対象とし 件規定(令4号)は,「…100分の150以上であるもの」と明確に規定しているのであるから,その文理に照らし,同規定が「…10 0分の150以上である可能性があるもの」についてまで課税対象としていると解することは困難であり,本件規定の文理を離れてこのように解することは,課税に対する納税者の信頼及び予測可能性を損なうこととなる。 ウまた,本件各特例規定のうち,本件規定以外の規定が掲げる公社債をみると,いずれもその要件を満たすことが「確実」であることを前提とした規定 振りとなっており,このことからすれば,本件規定についても,他の上記各 - 52 -規定と同様に,その定める要件を充足する可能性があれば足りるとしたものではないと解するのが自然かつ合理的である。 エさらに,本件規定の趣旨目的等からも,150%基準を満たすためには発行時において150%要件を満たすことが確実であることを要すると解するべきである。 すなわち,債券購入時に,あえて固定利率の公社債ではなく変動利率の公社債を選択する場合には,150%要件を満たす可能性のある利率帯が設定されることは相当数あると想定され,それにもかかわらず,変動利付債につき150%要件を満たす可能性さえあれば令4号公社債に該当すると解した場合には,変動利付債の多くが令4号公社債に該当することになりかねない。 しかし,前記⑵のとおり,公社債の譲渡による所得は原則非課税とされていることからすれば,法改正なくして変動利付債の多くが令4号公社債に該当するような解釈をすることは,上記イの文理解釈の原則の観点から許されないというべきである。また,令4号公社債は,昭和62年税制改正によりその譲渡が課税の対象とされたものであり,本件規定は,上記⑵のとおり,デ ィファード・ペイメン 理解釈の原則の観点から許されないというべきである。また,令4号公社債は,昭和62年税制改正によりその譲渡が課税の対象とされたものであり,本件規定は,上記⑵のとおり,デ ィファード・ペイメント方式の公社債について利払の遅延をどの程度実現し得るかという観点から,発行条件に定められた各利払期間の利率のうち最も高い利率と最も低い利率の割合が150%以上であるか否かという枠組みを設け,150%基準を満たす公社債を抽出すべく設けられた規定であると解される。そして,上記⑶のとおり,本件各特例規定による課税の対象とされ る公社債に当たるか否かは,当該公社債の発行条件から一律に判定されるべきところ,発行時点で150%基準を満たす可能性がある公社債とは,150%基準を満たさない可能性のある公社債であるから,本件規定が,そのように150%基準を満たさない可能性のある公社債をも抽出しようとした規定であると解することはできない。 以上に加え,本件各債券は,いわゆる仕組債(通貨スワップなどの金融手 - 53 -法を組み合わせた債券で,利率や償還額が変動する債券)に当たる変動利付債であるところ,そのような債券は,昭和62年税制改正当時には,令3号公社債又は令4号公社債に該当するものとして想定されていなかったものと解され,そうである以上,その後の社会情勢等の変化に伴い上記のような債券が一般の個人投資家向けに販売されるようになったからといって,変動幅 の下限すら確定していない変動利付債までも課税対象となる令3号公社債又は令4号公社債に該当すると解することはできない。 この点,公社債の譲渡益を原則として非課税とする取扱いは平成25年税制改正により改められ,課税方式を20%分離課税とする金融所得課税の一体化の対象とされることとなったとこ と解することはできない。 この点,公社債の譲渡益を原則として非課税とする取扱いは平成25年税制改正により改められ,課税方式を20%分離課税とする金融所得課税の一体化の対象とされることとなったところ,平成25年税制改正の立案担当者 が執筆した文献の記載は,少なくとも本件各債券のような「株価に連動する債券など金利以外の要因により譲渡損益が発生する金融商品」については,平成25年度税制改正までに置かれていた規定によって課税対象とすることはできなかったことを端的に示しており,本件規定が仕組債等による譲渡益を課税対象としていなかったことは明らかである。 ⑸ 本件各債券が令4号公社債に該当しないこと以上を前提に本件各債券についてみるに,本件各債券は,いずれも,その発行条件に照らしてその全利払期間を通じて利率が一定となる可能性があるものであるから,150%要件を満たすことが確実であるとはいえず,本件規定が定める令4号公社債には該当しない。 したがって,本件各譲渡により生じた損失の額(本件損失額)について損益通算等の対象とならないものとしてした本件各更正処分及びこれを前提とする本件各賦課決定処分はいずれも適法である。 ⑹ 原告の主張についてア原告は,本件各債券が150%基準を満たすか否かについては,その保有 期間中に実際に適用された利率に基づき判定すべき旨主張する。 - 54 -しかし,150%基準を満たすか否かは公社債の発行条件から一律に判定すべきことは,上記⑶のとおりである。原告の主張を前提とすると,公社債の保有者の保有期間や保有時期により公社債の課税関係が異なることになるが,本件各特例規定がそのようなことを前提にしているとは考え難い。また,ある公社債が150%基準を満たすか否かにつき原告が主張 債の保有者の保有期間や保有時期により公社債の課税関係が異なることになるが,本件各特例規定がそのようなことを前提にしているとは考え難い。また,ある公社債が150%基準を満たすか否かにつき原告が主張する方法により 判定するとした場合,その課税要件の適用判断が不明確となり,かえって納税者の法的安定性や予見可能性を阻害し,金融取引の安定性を損なうものといわざるを得ない。 イまた,原告は,本件各債券を譲渡した場合の価格は経過利子とは関係ないから,本件各債券の譲渡による所得については,公社債の譲渡益を非課税と する趣旨が当てはまるものではなく,措置法37条の16の趣旨に照らし,課税対象として取り扱うべき旨主張する。 しかし,仮に,本件各債券の譲渡による所得について,措置法37条の15の非課税規定の趣旨が当てはまらないとしても,例外的に一定の公社債の譲渡による所得を課税対象としている本件各特例規定が定める課税要件を満 たさない場合には,原則に戻って非課税となるから,明文の規定によらず,公社債の譲渡による所得に関する措置法37条の15及び同法37条の16の趣旨のみをもって,本件各債券の譲渡による所得が課税の対象となり得るものではないことは明らかである。 ウさらに,原告は,東京国税局審理課長(以下「本件回答者」という。)名 の平成16年3月12日付け「個人投資家における株価指数等連動債の償還時及び譲渡時の税務上の取扱いについて(平13.12.14付照会に対する回答)」(甲48の2。以下「本件文書回答」という。)を根拠として本件各債券が令4号公社債に該当する旨主張するが,本件文書回答は,株価指数連動利付社債一般について回答したものではなく,150%基準を充足す るか否かを公社債の商品設計を表す発行条件から一律に判定 各債券が令4号公社債に該当する旨主張するが,本件文書回答は,株価指数連動利付社債一般について回答したものではなく,150%基準を充足す るか否かを公社債の商品設計を表す発行条件から一律に判定することができ - 55 -る個別具体的な債券について回答したものであるから,原告が主張する本件規定の解釈の根拠となるものではない。 (原告の主張の要旨)⑴ 本件各債券は,次のとおり,150%基準を満たすものとして令4号公社債に該当するから,措置法37条の16第2項の規定により同法37条の15第 2項の規定は適用されないこととなり,本件損失額を損益通算等の対象とすることができる。 ⑵ 本件規定の文理解釈ア租税法規はみだりに規定の文言を離れて解釈すべきものではないところ,本件規定の文言から導き出される課税要件事実は,「その利子の利率のうち 最も高いもの」を(その利子の利率のうち)「最も低いもの」で除して計算した割合が100分の150以上であることの1点であり,それ以外の課税要件事実を本件規定の文言から読み取ることはできない。そして,本件各債券については,原告が保有していた期間の適用利率の状況(前提事実⑵ウ)をみれば,上記割合が100分の150以上であることは明らかであるから, いずれも本件規定に該当することとなる。 イこの点,被告は,措置法及び措置法施行令は,ある公社債が課税の対象とされるものに当たるか否かについては当該公社債の発行条件に照らして一律に判定することができることを前提とした規定振りとなっている旨主張するが,本件規定の文言から,150%基準に該当するか否かを発行条件から一 律に判定すべきであると規定していると読み取ることは不可能であり,現実の利息を当てはめて150%基準の充足を判定すべきも が,本件規定の文言から,150%基準に該当するか否かを発行条件から一 律に判定すべきであると規定していると読み取ることは不可能であり,現実の利息を当てはめて150%基準の充足を判定すべきものと解することがその文言の素直な解釈である。「発行条件から一律に判定すべき」ことを条文に明記することは可能であり,かつ容易であったにもかかわらず,そのような文言がなく,またそのように読み取る手がかりもない条文の解釈において, 「発行条件から一律に判定すべき」旨を解釈として読み込むことは,条文に - 56 -ない要件を付加するものにほかならず,租税法律主義に明白に反する。 ウまた,被告は,本件各特例規定について,公社債の保有者が公社債の保有時の状況に応じて個々に公社債の課税・非課税を判定すること,及びその結果,同一の公社債であるにもかかわらず,保有者の保有時の状況により課税・非課税の取扱いが異なることを前提にしているものとは考え難いと主張 する。しかし,譲渡所得の趣旨に照らせば,資産の譲渡に関して問題となるのは,資産の保有者の保有期間における所得の有無及び金額であるから,同一の公社債であったとしても,「保有者の保有時の状況」において,担税力や所得の性格が異なるのは何ら不自然でなく,実際,我が国の所得税法においても,かつて,株式譲渡益に関し,「保有者の保有時の状況」によって課 税・非課税を判断する規定を採用していた時期がある。 なお,被告は,公社債の譲渡による所得は非課税が原則であり,本件各特例規定は例外的に一定の公社債に限定して課税することとしていることからすれば,本件規定に該当するか否かは厳格な基準で判断すべきである旨主張するが,昭和63年税制改正により有価証券の譲渡所得を非課税とする所得 税法の規定が撤廃さ て課税することとしていることからすれば,本件規定に該当するか否かは厳格な基準で判断すべきである旨主張するが,昭和63年税制改正により有価証券の譲渡所得を非課税とする所得 税法の規定が撤廃されて以降は,措置法37条の15と同法37条の16は,原則・例外の関係ではなく並列の関係にあり,被告の主張はその前提を誤っている。 ⑶ 本件各譲渡には公社債非課税規定の趣旨は当てはまらず,むしろ課税規定の制度趣旨が妥当すること ア措置法37条の15は,公社債の譲渡により得るキャピタルゲインの大部分は経過利子を反映しており,そのようなキャピタルゲインを課税の対象とした場合には,譲渡益に対する課税と,利子に対する課税と,実質的に同じ経済的利益に対して二重に課税する結果となることから,公社債の譲渡による譲渡益を非課税としているものである。 しかし,本件各債券は,その利率が為替レートに連動して決定されるもの - 57 -であって日々の経過によって一定割合の利子が発生する通常の利子とは性格が全く異なり,経過利息を反映したものではないから,措置法37条の15の非課税規定の趣旨は当てはまらない。むしろ,本件各債券のような為替連動債や株価連動債の利子は,経済的意味における(狭義の)「利子」ではなく,為替レート等の他の要素を反映した経済的実質を有する「利子」であり, そのキャピタルゲインは包括的所得概念に含まれる「所得」にほかならないから,このような公社債の譲渡については,公社債の譲渡を非課税とする措置法37条の15ではなく,むしろそのような公社債を課税対象とする措置法37条の16の趣旨が当てはまる。 イこの点,被告は,本件規定はディファード・ペイメント方式による公社債 を対象としたものであるとして,これに当たらない本件 うな公社債を課税対象とする措置法37条の16の趣旨が当てはまる。 イこの点,被告は,本件規定はディファード・ペイメント方式による公社債 を対象としたものであるとして,これに当たらない本件各債券は令4号公社債に該当しないかのように主張する。 しかし,昭和62年税制改正において,本件規定の立案担当者がディファード・ペイメント方式による公社債を対象とすることを企図していたとしても,本件規定の文言は,公社債の利子の利率のうち「最も高いもの」と「最 も低いもの」を比較するのみであり,後者が前者に先行すべき旨は記載されておらず,同規定の文言から「利払を行わずに遅延させる」との先後関係の存在を読み取ることはできない。 そして,本件規定の制定後約30年を経過する間に,経済的意味(狭義)における「利子」以外のもの(為替差益,株価の値上がり)を名目上の「利 子」とする仕組債など,措置法37条の15及び同法37条の16の立法者が想定していなかった多数の公社債が出現したものであって,このことは,本件各譲渡時点においては公知の事実として税務当局も認識しており,金融商品の多様化によって出現した株価に連動する債券など,金利以外の要因により譲渡損益が発生する金融商品については課税の取扱いをすべきであると の認識が広く一般化していたものである。このように本件規定の制定後に立 - 58 -法事実が大きく変動したことを踏まえれば,重要なのは,対象となる公社債の経済的特質を踏まえた上で,我が国における有価証券譲渡所得課税の体系全体の中において,本件各債券を正しく位置付けた上で,措置法37条の15又は同法37条の16のいずれが適用されるべきかを検討することであり,このような観点からすると,上述のとおり,株価に連動する債券など金利以 本件各債券を正しく位置付けた上で,措置法37条の15又は同法37条の16のいずれが適用されるべきかを検討することであり,このような観点からすると,上述のとおり,株価に連動する債券など金利以 外の要因により譲渡損益が発生する金融商品については,その利子の経済的実質は経過利子ではないから,経過利子を反映した譲渡益を非課税とする措置法37条の15の趣旨は及ばず,同条を適用する実質的な根拠は既に失われているのであり,同条の射程外にある。 ⑷ 被告は本件各債券と同種の債券に本件規定を適用する旨の文書回答を行って いること。 ア東京国税局に所属していた本件回答者は,東京証券取引所取引参加者協会からの株価指数連動利付社債(計算期間における株価指標が基準価格以上である場合の利率を10%,基準価格未満である場合の利率を2%とする債券)に関する平成13年12月14日付け事前照会に対し,国税庁の見解として, 平成16年3月12日付けで,上記社債は令4号公社債に該当する旨回答しているところ(本件文書回答),本件文書回答の対象となった株価指数連動利付社債と本件各債券は,いずれも150%基準を充足するか否かを当該公社債の商品設計を表す発行条件から一律に判定することができない点において共通するから,税務当局は,本件各債券のような為替連動債に関しても, 平成16年時点において,明らかに本件規定の適用を肯定する解釈を採用していたものである。本件文書回答は,その発出の当時,株価が上昇基調にあり,譲渡益が生じ得る例が多数あったと推察されるところ,課税の対象としないことは課税の公平の観点から問題があるとの懸念があったことによるものと思われるが,納税者に譲渡損失が発生する場合には,本件規定を適用せ ずに非課税の取扱いをすることは,一貫性を欠 対象としないことは課税の公平の観点から問題があるとの懸念があったことによるものと思われるが,納税者に譲渡損失が発生する場合には,本件規定を適用せ ずに非課税の取扱いをすることは,一貫性を欠く。被告の主張は,過去の課 - 59 -税実務につき,突然,何ら税務当局としての方針を明らかにすることもなく,その法令解釈を変更するものであり,法的安定性を害し予見可能性を損なうことは著しく,課税の公平に反し許されない。現に,本件文書回答の存在及び内容は,仕組債の組成・販売を行う証券会社において広く周知されており,仕組債の譲渡損益の取扱いに関するいわば税務当局による唯一の公式見解と して高い通用力を有し,金融業界関係者及び顧客に周知されていた。そのため,本件各債券と同様の為替連動債については,有価証券届出書・目論見書において,本件規定が適用され,課税され得る旨が記載されており,証券業界関係者も同様の認識を有していたものであって,課税当局が本件規定の文言にない要件を付加した解釈を主張することは,金融取引関係者が安心して 取引を行うことをできなくする事態を招くものである。 イなお,本件文書回答は,150%基準充足の判定時点を,被告の主張と同様に公社債の発行時点としているように見受けられる点で,それを当該公社債の譲渡時とする原告の主張とは異なる。しかし,本件文書回答は,必ずしも公社債の発行条件から150%要件を満たすことが確定していなくても, その可能性があれば本件規定が適用されるというものである一方,原告の主張は,譲渡時までの利息計算期間に実際に適用された利率をもって150%基準の充足の有無を判定すべきとするものであり,発行時点において,発行条件からみて150%要件を充足する可能性がないにもかかわらず,事後に150%要 息計算期間に実際に適用された利率をもって150%基準の充足の有無を判定すべきとするものであり,発行時点において,発行条件からみて150%要件を充足する可能性がないにもかかわらず,事後に150%要件を満たす結果が生じることはあり得ないから,本件文書回答の 回答内容は,原告の主張と比較しても,より広く本件規定の適用を認めるものであって,実質的には原告の主張を包含するものである。 2 争点②(本件各処分が信義則又は租税公平主義に反し違法であるか)について(原告の主張の要旨)⑴ 争点①について主張したとおり,東京国税局は,本件文書回答によって,発 行当時に150%要件を充足する可能性があるか又は具体的に適用される利率 - 60 -が150%要件を充足する場合には本件規定の適用があると解され得る公的見解を表示し,そのような見解は周知され,課税実務及び金融実務において浸透していた。そのため,原告は,上記公的見解を信頼し,損益通算等が可能であると信じて本件各債券を売却したにもかかわらず,後に本件文書回答に反して損益通算等を否認する課税処分が行われ,原告は損益通算等を受けられない経 済的不利益を受けたものであるが,上記公的見解は本件文書回答の公表を通じて課税実務及び金融実務において周知のものであったから,これを信頼しその信頼に基づいて行動したことについて原告の責めに帰すべき事由はない。しかたがって,本件各処分は信義則に反し違法である。 ⑵ また,為替連動債や株価連動債の譲渡損失について,少なくとも平成25年 頃までの期間において,本件文書回答に基づき,実現した利子が150%要件を満たしている場合には,総合課税の対象となり損益通算等が認められるとの理解の下で確定申告や更正の請求を行う実務が行われており,東京国税局を含 おいて,本件文書回答に基づき,実現した利子が150%要件を満たしている場合には,総合課税の対象となり損益通算等が認められるとの理解の下で確定申告や更正の請求を行う実務が行われており,東京国税局を含む複数の国税局の管内において税務当局もそれを是認していた。したがって,これに反する本件各処分は,租税法律主義ないし課・徴税平等の原則に違反す ることにより,違法である。 (被告の主張の要旨)⑴ 本件文書回答は,本件規定の適用に当たって,債券の発行条件を基に判断していると解され,そもそも,具体的に適用される利率が150%要件を充足する場合には本件規定の適用があると解され得る旨の公的見解ではないことは明 らかである。 また,本件文書回答の内容は,あくまで,仮定の発行条件で発行された債券に関する照会について回答したものであって,株価指数連動利付社債一般についての照会について回答したものではない。このように,本件文書回答で回答した公社債の課税関係については,一般性を持つものではなく,個別事案に対 する回答を知らせるものであることは明らかであるから,本件文書回答による - 61 -内容がそのまま本件各債券の譲渡による所得に該当することにはならず,本件文書回答が,原告が売却した本件各債券の譲渡による所得の取扱いについて公的見解を表示したといえないことは明らかである。 さらに,本件文書回答において対象とされた債券と本件各債券とは,その発行条件が異なる上,原告の主張は,本件文書回答の内容とも整合していないか ら,原告が本件文書回答の内容を信頼して行動した,すなわち本件各債券を売却したとは認められないことは明らかであるし,そうすると,仮に原告が,本件各債券の譲渡による損失を損益通算等の対象とし得ると誤信して本件各債券を売却 の内容を信頼して行動した,すなわち本件各債券を売却したとは認められないことは明らかであるし,そうすると,仮に原告が,本件各債券の譲渡による損失を損益通算等の対象とし得ると誤信して本件各債券を売却したものだとしても,それは,原告自身の解釈の誤りに基づくものといわざるを得ず,原告に責めに帰すべき事由がないとはいえない。 したがって,本件各処分が信義則の法理に反するものとはいえない。 ⑵ また,原告は,為替連動債や株価連動債の譲渡損失について,少なくとも平成25年頃までの期間において,実現した利子が150%要件を満たしている場合には,総合課税の対象となり損益通算等が認められるという理解の下で確定申告や更正の請求を行い実務が行われていたなどとして本件各処分が租税公 平主義に反する旨主張するが,原告が主張するような課税実務が行われていたとは認められないから,原告の主張はその前提を欠く。 3 争点③(原告が本件各修正申告において本件各債券が令4号公社債に該当することを前提に税額等の計算をしたことについて通則法65条4項にいう「正当な理由」があるか) (原告の主張の要旨)争点②について主張したところからすれば,原告が本件各債券に本件規定が適用されるとの解釈に基づき本件各修正申告において損益通算等を行うことには国税通則法65条4項所定の「正当な理由」があり,少なくとも,本件各賦課決定処分は取り消されるべきである。 (被告の主張の要旨) - 62 -争う。 以上

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