昭和39(ネ)558 仮処分申請事件

裁判年月日・裁判所
昭和41年1月31日 大阪高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件控訴を棄却する。      控訴費用は控訴人らの負担とする。          事    実  控訴代理人は、「原判決を取消す。被控訴人らの本件仮処分申請を棄却する。訴 訟

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主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実 控訴代理人は、「原判決を取消す。被控訴人らの本件仮処分申請を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、主文同旨の判決を求めた。当事者双方の事実上の主張、証拠の提出援用認否は、控訴代理人において、「第一、 本件解散決議は有効である。 (一) 労働組合法第一〇条第二号の規定は、補充規定であり任意規定である。 即ち、(イ)労働者の団結は憲法第二一条第二八条によつて保障されており、労働組合法所定の条件を具えない労働組合(所謂法外組合)の組合員も存在の自由と意義を有し且つ労働組合法の保護の一部を享受し得る。従つて労働者は、労働組合を結成する自由を有すると共に、労働組合を結成しない自由をも有する。そして、労働組合を結成しない自由とは、労働組合から脱退する自由と労働組合を解散する自由を含むものである。 (ロ) その故、労働組合の解散について、使用者からの介入や干渉があつた場合には不当労働行為として救済が与えられるであろうけれども(本件解散が使用者の意思とは全く関係がないことは後述のとおりである)、労働者が自らの自由意思に基いて労働組合を解散することに対し、強制法規を以てこれを制約することは、それ自体憲法第二一条第一項の結社の自由の保障を侵すものである。 (ハ) さればこそ労働組合法は第一〇条第一号により「規約で定めた解散事由の発生」によつて労働組合が解散することを定めており、労働組合の解散が、法令の干渉介入によつてではなく、当該労働組合の自主的に定めたところによつてなさるべきことを明らかにしている。尤も同条においては、労働組合解散の事由として、「規約」に定められた事由 働組合の解散が、法令の干渉介入によつてではなく、当該労働組合の自主的に定めたところによつてなさるべきことを明らかにしている。尤も同条においては、労働組合解散の事由として、「規約」に定められた事由のほか「解散の決議」をも挙げているのであるが、若し規約中に「何々の手続による解散の決議」という趣旨の定めがなされているときは、その「解散決議」が同条第一号所定の解散事由に該当することは明らかである。 そうすると、同条第二号の規定は、当該労働組合の規約に何等解散事由を定めていないときの補充規定にすぎないものと言わねばならない。 (二) 本件解散決議は、控訴人第一工業製薬労働組合(以下控訴組合と言う)の組合規約に則り有効になされたものである。 (イ) 先ず、控訴組合の全員投票に関する規約の変遷について検討すると、(1)昭和二四年一二月一日から実施の規約(疏乙第三号証)では、全員投票は「機関」として考えられており、且つ代議員大会の決議に優先する旨定められており、(2)昭和二五年七月一七日から実施の規約(疏乙第四号証)では改正がなく、(3)昭和二七年一月二五日から実施の規約(疏乙第五号証)では、「機関」としての全員投票の規定は削除されたけれども、附則第六〇条において「組合に関する一切の事項に関して全員投票はあらゆる決議に優先する」と規定され、(4)昭和三〇年二月付組合規約改正委員会案(疏乙第六号証)では全員投票の規定の改正が検討されており、(5)昭和三二年七月一日から実施の規約(疏乙第七号証)では、全員投票の規定が附則から再び本規定の中に独立の章としてその位置を与えられ、全員投票は単なる機関ではなく、最高機関たる代議員大会をも超絶した全組合員による直接、最高、最終の意思決定制度であることが明らかにされた。 これは憲法改正における国民投票にも類す の位置を与えられ、全員投票は単なる機関ではなく、最高機関たる代議員大会をも超絶した全組合員による直接、最高、最終の意思決定制度であることが明らかにされた。 これは憲法改正における国民投票にも類するものであるが、国民投票は過半数を以て賛否が決せられるのであるから、全員投票による賛否が過半数によつて決せられるとする控訴組合の規約には、何ら不合理性はない。 控訴組合の規約の変遷を見ると、全員投票による賛否の決を定める数を、或る時代には決議事項の種別によつて「全組合員の五分の四」以上とか、「投票数の三分の二」以上とか、又は過半数とか、いろいろに規定していたが、その後の研究検討の結果、現行規約では決議事項の種別如何を問わず一律に全員投票は「組合員数の三分の二以上の有効投票数」により成立し、「組合員数の二分の一以上の賛否」によつて決する旨規定されるに至つたものであり、元来全組合員の三分の二の有効投票数のうち全組合員数の二分の一以上の数の組合員が解散を是とするに至つた場合に、組合を強いて存続せしめることは組合の将来の活動を麻痺させるから無理なことであり、組合を解散して出直すことこそ合理的である。 (ロ) 原判決は、控訴組合の規約の解釈を誤つている。 (1) 控訴組合の規約には、自主的に解散事由を定めた規定が存在し、如何なる見地からも補充規定たる労働組合法第一〇条第二号を適用ないし準用する余地はない。即ち、規約第六三条第一号は決議にようない解散事由(第一工業製薬株式会社が解散したとき)であり、同条第二号(代議員大会による解散決議)と第五二条(全員投票による解散決議)とは、ともに「解散の決議がなされたこと」を解散事由と定めたものであつて、正に労働組合法第一〇条第一号の規定の内容をなすものである。 (2) 控訴組合の規約においては、全員投票による決 る解散決議)とは、ともに「解散の決議がなされたこと」を解散事由と定めたものであつて、正に労働組合法第一〇条第一号の規定の内容をなすものである。 (2) 控訴組合の規約においては、全員投票による決議の方が代議員大会による決議よりも優先効があり、しかも全員投票は、代議員大会の決議を前提とするものではない。即ち、控訴組合には労働組合の最高機関であるべき総会に関する定めはないが、全員投票は総会に代る制度であると解すべきであるところ、控訴組合の全員投票は、全組合員の五分の一以上の数の組合員によつて発議されることが定められており、しかも右発議権に関しては、何等発議の内容(議案の内容)等に関する規定がなく、規約第五二条に「組合に関する一切の事項に就いて全員投票は云々」と定められているところからみても、発議内容の自由が認められているのであるから、控訴組合の解散が決議案として全員投票に附せられることを妨げるものではない。それ故に、全員投票を行うには代議員大会の決議を前提とすべき何等の根拠もない。若し原判決判示の如く、代議員大会の決議を前提要件とすれば、代議員大会が組合解散案について何等の行動をも起さないときは、組合員間において組合解散の当否を問わんとする意思が醸成されても組合員は自主的な意思を発動することが出来ず、自由な発議権の行使を制限、奪取されることとなり、且つ組合員が自らの発意で何事を決定するについでも、先ず代議員大会の決議なる迂路を経なければならぬと云う不経済を甘受しなければならないこととなる。更に、原判決は、代議員大会決議に対する全員投票による抑制作用を指摘するが、本件の様に代議員大会の開催が困難となつたり、代議員の動向と組合員の意思とが遊離状態に陥つた場合においても、組合員の直接意思表示が許されないとすると、全員投票による抑制作用などと 作用を指摘するが、本件の様に代議員大会の開催が困難となつたり、代議員の動向と組合員の意思とが遊離状態に陥つた場合においても、組合員の直接意思表示が許されないとすると、全員投票による抑制作用などと言らことは全く無意味なこととなり、却つて代議員大会による組合員大衆の抑圧と言う結果を招来することとなる。また原判決は、全員投票においては議案についての説明、討議が十分行われ得ないのに対し代議員大会においてはそれが可能であるから、全員投票は代議員大会の決議を前提とするを要するが如き判示をなしているが、組合員大衆や全員投票は決して無能或は低能ではないのみならず、仮に組合員大衆が無能或は低能であるとしでも、代議員大会の決議を前提としたからとて全員投票における無能が是正されるものではない。更に、規約第五二条の「組合に関する一切の事項に就いて全員投票は凡ゆる決議に優先する」との規定のうち「凡ゆる決議に」との文言を根拠として、全員投票は代議員大会の決議の成立した事後にその効力を否定するために行われるものであると解釈するのであれば、規約中に、その「効力の否定」のための全員投票は何時までに行わなければならないとの旨の規定があるべき筈であるのに、規約にはその様な定めが何等存しない。 なお右規約第五二条の「凡ゆる決議に優先する」との規定は、全員投票が代議員大会その他すべての決議よりも優越することを定めたものであり、規約第三五条の「代議員大会は組合の最高決議機関で云々」とある文言も、決議の効力の優劣を定めた規約第五二条の効力を左右するものではなく、却つて同規定によつて最高決議機関の決議の効力も全員投票の決議の効力に劣ることが明らかにされているものである。 (3) 更に原判決は、仮に全員投票が代議員大会の決議を前提としないで解散決議を行い得るとしても、それは全組合 議機関の決議の効力も全員投票の決議の効力に劣ることが明らかにされているものである。 (3) 更に原判決は、仮に全員投票が代議員大会の決議を前提としないで解散決議を行い得るとしても、それは全組合員数の四分の三以上の多数の賛成が必要である旨判示しているが、右判断も不当である。 即ち、規約では、全員投票の議決の賛否は全組合員数の過半数を以て決すべきことのみが定められているのであるから、解散の決議とその他の決議との間に差別を設けて解釈すべき余地はない。実質的に見でも、過半数の組合員が自己の労働組合の存続をもはや必要なしと判断したのに拘らず、賛成数が四分の三以上の多数でないことを理由に組合の存続を強制することは、何等必要がないのみならずむしろ労働組合及び組合員の自主性を侵し、結社の自由の反面たる解散の自由を害うものである。 尤も、規約中の代議員大会による解散決議についての規定では、代議員数の三分の二の出席議員数の四分の三、即ち代議員全数の二分の一以上の多数によつて賛否を決することに定めているが、それは代議員が単に比例代表者であつて組合員全数の二〇分の一に過ぎないところから、代議員数の間接的過半数では実質的に組合員全員の直接的意思を代表したと認めるには危険が大であり、従つて特に慎重を期したまでのことであり、右代議員大会の議決方式が全員投票における全組合員の過半数と言う直接的多数に優るものとは認められない。それ故、全員投票の解散決議の方式が、代議員大会の解散決議方式と同じか或はそれ以上の多数方式でなければならないとする合理性はない。 更に、労働組合法第一〇条第二号は前述のとおり補充規定に過ぎないから、本件の場合、総会による解散の決議方式についての規定が規約に欠けている場合であるとして、右第一〇条第二号を適用することは許されない。即ち、法は右 法第一〇条第二号は前述のとおり補充規定に過ぎないから、本件の場合、総会による解散の決議方式についての規定が規約に欠けている場合であるとして、右第一〇条第二号を適用することは許されない。即ち、法は右の様な補充規定を定めるに当り、労働組合の意義と使命に鑑み一旦成立した組合の存続をこそ望ましいとする考慮から、法が止むなく規約の補充のために干渉せんとする局面については、出来る限り慎重を期して「四分の三以上の多数による総会の決議」を要することとするならば、不当な介入干渉にはなるまいとの配慮を明示したに過ぎないのであつて、組合が規約に解散自由(決議によるもの)を定めるに当つては、それが常に「総会」による決議であること、且つそれが組合員数の四分の三以上の多数による決議でなければならぬことを強制せんとする法意ではない(補充規定である以上当然である)。 そこで、労働組合がその規約で決議による解散事由を定めるに際しては、どの程度の「多数」を以て足るとするかは、当該組合(現実には組合員)が自由にこれを定めて可なるものである。何となれば、全員の過半数が賛成であれば解散するのが是か、或は四分の三の賛成がなければ過半数の意思を無視して組合を存続させるのが是かと言うことは論証の限りではなく、その是非は結局規約に定められたところに依る外はないからである。 殊に労働組合は単なる営利団体ではなく、所属組合員が全人格を傾倒し組合と運命を共にする団体であるから、労働組合の存続については総てを組合員の決定するところに依らしめる他は妥当な方策がないのである。 (三) 本件解散は、会社の意思とは何ら関係なく、全く組合員大衆の自由意思に因つて成立したものである。 被控訴人は、控訴組合が当初御用組合的であつた旨主張するが、右主張は事実に反する。控訴組合は昭和二六年のストライキ実 社の意思とは何ら関係なく、全く組合員大衆の自由意思に因つて成立したものである。 被控訴人は、控訴組合が当初御用組合的であつた旨主張するが、右主張は事実に反する。控訴組合は昭和二六年のストライキ実施をはじめとして早くから自主的活動を続けて来たものであり、決して無力ではなかつた。また控訴人Aが会社と共に、控訴組合京都工場支部からの中央執行委員選出を妨害した事実はなく、昭和三八年七月二八日の代議員大会の流会、及び本件解散は、会社とは何の関係もないことであり、会社の支配介入は全くない。 第二、 本件仮処分については必要性がない。 (一) 労働組合が解散によつて消滅しても、所属組合員であつた労働者と当該労働組合との間の継続する法律関係につき、財産上又は精神上著しい損害が生ずる余地はない。 即ち、組合の解散により当該組合員が既得の利益を喪失することはあり得ないし、又労働者は直ちに新組合を結成する等の手段により、使用者に対し事実上の拮抗関係を維持し、既得利益の確保と将来の利益の実現を図り得る自由と能力を有する。元来労働者の団結権は使用者からの侵害に対して保障されているものであつて、何等かの事情によつて相互の結合を肯んじない個々の組合員からの侵害に対して保障されているものではない。 むしろ個々の労働者は、結社の自由を保障されていることにより、結合と不結合の権利を享有しているのであるから、結社の自由によつて結成されている組合が解散によつて消滅することにより、労働者の団結権が侵害されるものではない(結合解散の自由は労働者の団結権以前の問題である)。 尤も組合の解散により、組合財産につき清算が行われることになるが、清算は、組合員に帰属すべき財産を公正にその者に帰属せしめるものであるから、清算によつて個々の組合員に財産上の損害を生ぜしめる余地はない。 組合の解散により、組合財産につき清算が行われることになるが、清算は、組合員に帰属すべき財産を公正にその者に帰属せしめるものであるから、清算によつて個々の組合員に財産上の損害を生ぜしめる余地はない。仮に清算費用等の若干の損害が生ずるとしても、それは著しい損害とは言い得ない。むしろ、仮処分によつて清算が停止されることにより、組合の経理が不安定となり法律関係に混乱を生ずる虞があり、却つて組合及び組合員に対し損害を及ぼすものである。 また、組合の解散に因り、解散に反対する組合員の意気沮喪を来したり、社会的不名誉による精神的損害を受けることについては、それらの労働者が新組合等を結成することにより容易に回復することが出来るし、解散せずに内部的抗争状態を維持することから生ずる精神的損害に比すれば、言うに足らないものである。 また、解散による組合専従者の収入喪失の損害は、その者と組合との間の別個の法律関係として処理さるべきものであつて、本件仮処分の必要性には関係がない。 更に、労働組合が解散した場合においても、使用者が個々の労働者に対し、従前の法律関係を変更する虞があると認むべき具体的な事実が認められない限り、継続的法律関係につき急迫な強暴が現在するとは言い得ない。例えば、使用者が組合解散を理由に従前の労働協約の消滅を宣言したとしても、その労働協約によつて組合員が享受していた従前の権益と同じ権益が現に使用者によつて承認され且つ与えられているときは、使用者と、当該組合員たる個々の労働者との間の継続的法律関係については、急迫な強暴は現存しない。 (二) 仮の地位を定めるため単に解散決議の効力を停止することは相当ではない。 即ち、解散決議の効力停止の仮処分が行われでも、当該労働組合をして正常な活動状態を維持せしめることはできない(離婚の効力を停止しでも 位を定めるため単に解散決議の効力を停止することは相当ではない。 即ち、解散決議の効力停止の仮処分が行われでも、当該労働組合をして正常な活動状態を維持せしめることはできない(離婚の効力を停止しでも正常な婚姻関係の持続につき何等意味をなさないのと同様である)。従つて目的達成に役立たない仮処分は無用であり結局必要性がない。 また解散決議の効力停止の仮処分は、その内容が不明確であつて法律関係を徒らに紛糾させるだけである。 従つて、若し仮の地位を定める必要があるとすれば、その内容は明確且つ有効なものでなければならないから、例えば、清算の停止、組合の活動範囲の規整、組合費の徴収、退職者に対する処置、解散登記申請等について、組合の規約に即した仮の地位を定めるものでなければならない。 (三) 以上の点を本件の具体的事案について検討すると、仮処分の必要性のないことが明らかである。 即ち、本件解散決議がなきれたことにより、規約に従つて控訴組合の中央執行委員会役員が清算人に就任し、控訴人Aが代表清算人に選出され、昭和三八年八月二八日清算事務の大綱を決定した。一方、解散に反対する被控訴人等を中核とする約一三八名は、「第一工業製薬労働組合を守る会」を結成し、右清算事務を妨害しているので、清算事務は未だ進捗せず、ために退職者等に対する組合の積立金返還事務も出来ず、これらの者(三七名)に対し財産権の侵害を与えている状況である。 また控訴組合の清算を遂行完了したとしても、被控訴人らに著しい損害を与えるものではないことは、前述したとおりである。 本件解散決議がなされた当時においては、解散支持派約九八〇名、解散反対派約一三八名であつたが、支持派には浮動分子はなく、却つて支持派は新組合を結成して現在組合員一、〇六七名に達したのに対し、反対派は約一一九名に減少したも 当時においては、解散支持派約九八〇名、解散反対派約一三八名であつたが、支持派には浮動分子はなく、却つて支持派は新組合を結成して現在組合員一、〇六七名に達したのに対し、反対派は約一一九名に減少したものと推定される。右の推移は、控訴組合の事実上の解消を意味し、且つ両派はいずれも新労働団体を結成しており、被控訴人等は現に新労働団体たる前記「守る会」に属し(且ついつでも新労働組合を結成しうる)、「守る会」は使用者たる会社との間に対立関係を確立し、会社との間の拮抗関係を維持して団体交渉又はこれに類似する行動によつて団体的約定を行い、従前控訴組合の名において獲得していた既得の諸権益を保有している。従つて、会社が控訴組合との間の労働協約の失効を宣言したことにより、被控訴人らが既得の権益又は将来享受すべき権益を喪うに至つたものとは認められない。 しかも会社は、支持派の新組合と反対派の「守る会」とに対し差別待遇をしていないから、従業員が二つの団体に分れている事実は結社の自由によるものであつて、団結権を侵すものではない。 要するに、控訴組合の組合員の分裂は決定的なものであつて融和の見込はなく、かかる状態の下で決議の効力を停止しでも無意味に帰するものであり、会社もまた「守る会」を、控訴組合の延長(少数派の限度で存続しているものとして)として認めているのではなく、組合解散後の新団体として取扱つているものであり、控訴組合が少数派の限度で会社に対し拮抗しているものではない(控訴組合は既に虚名と空白にすぎない)。」と陳述し、疏明として疏乙第三ないし七号証を提出し、当審証人Bの証言を援用し、被控訴代理人において、「(一) 本件解散決議は、強行規定たる労働組合法第一〇条第二号に違反して無効である。 労組法第一〇条第一号の規定は、組合の合併、分裂、使用者の事 審証人Bの証言を援用し、被控訴代理人において、「(一) 本件解散決議は、強行規定たる労働組合法第一〇条第二号に違反して無効である。 労組法第一〇条第一号の規定は、組合の合併、分裂、使用者の事業廃止等の様な規約所定の解散事由を指すものであつて、総会の決議による解散は含まれておらず、且つ総会て解散決議をする場合には、同条第二号所定の四分の三以上の数的要件を下廻る規約の定めをすることは許されない(右は最近の通説である)。その理由は、民法第六九条の様に、一応四分の三以上と言う要件を掲げながら定款でこれと異なる定めをすることを認める趣旨の但書が、労組法第一〇条には欠けていると言う形式的根拠と、解散によつて組合員は生存確保に不可欠な手段を失うことになるから、総会における解散の決議は必ず四分の三以上の多数を必要とするものと解する方が憲法による団結権保障の趣旨に合致すると言う実質的根拠に基くものである。この点につき原判決は、法が四分の三以上の多数を強制して外部から組合の存続を意図しても、組合内部において組合員相互の自覚が伴わない限り組合の真の目的を達することは出来ないとして、任意規定説を採用しているが、自主性に基く団結の必要と言うことと、労組法第一〇条第二号を任意規定と解すべきこととは、論理的に結びつけるべき必然性がない。なるほど自主的な労働者団結の確保と言う建前からすれば、法が団結の内部事項に過度の干渉を行うことは否定されねはならないが、団結保障の意義を確保実現するために、一定の必要最少限度の「わく」を設けて法がこれを強制することは、必ずしも自主性の要件に反するものではない。むしろ「わく」の中で労働者による自主的団結の確保を期待することが、法理念の現実に適合するものである。殊に組合解散は、組合内部運営上の事項とはその性質、重要性において全く 要件に反するものではない。むしろ「わく」の中で労働者による自主的団結の確保を期待することが、法理念の現実に適合するものである。殊に組合解散は、組合内部運営上の事項とはその性質、重要性において全く異なるものであるし、又我国労働組合の現状が、使用者による干渉影響を受け易い点からみても、使用者の介入による不当な解散を避ける意味においても、解散についての数的要件を加重すべき必要性がある。 (二) 本件解散決議は、組合規約に違反して無効である。 (イ) 控訴組合の規約上、全員投票は組合解散の場合を予測しておらず、且つ全員投票制度は代議員大会の前後において当該問題の結論につき組合員の賛否を問う制度であるのに、本件解散については代議員大会の議決を経ていないから、無効である。 これを組合規約の変遷に照して考えると、(1)昭和二四年一二月一日実施の規約と昭和二五年七月一七日実施の規約はほぼ同内容であるところ、この時代の決議機関としては代議員大会のみであり、この様な代表民主制の欠陥を補うものとして、「争議権の行使及び停止」は必要的に、「組合員に重大な影響ありと認められる場合」については任意的に、全員投票で決することが出来たのであるが、しかし全員投票は、代議員大会及び中央執行委員会でのみ実施出来るものとされており、「組合員に重大なる影響ある事項」は当然代議員大会が先議して議決するか或は全員投票の実施を決するのであるから、結局全員投票は、代議員大会の決議を事前に阻止し或は事後にその効力を否定する制度でしかなく、独自の組合意思創設機関ではなかつたことが明らかである。又右規約では、「全員投票による決定は総て代議員大会による決議に優先する」との定めはあるが、一方組合解散については「代議員大会で四分の三以上の支持を得て解散を決議したとき」との特別の規定を置き、 。又右規約では、「全員投票による決定は総て代議員大会による決議に優先する」との定めはあるが、一方組合解散については「代議員大会で四分の三以上の支持を得て解散を決議したとき」との特別の規定を置き、通常の代議員大会の議決方法よりも要件を厳格にしている。そして、全員投票による争議権の行使は、全組合員の五分の四以上の投票の内、投票数の三分の二以上の賛成投票を必要と規定しているのに、その他の場合は投票数の過半数で決すると規定するのみで、争議権の行使以上に組合員に重大な影響ありと認められる組合解散につき、全員投票の議決方法を何等定めていない。以上の点を考えると、右規約では組合解散については「第一一章解散」の章のみで処理する建前をとつており、代議員大会の専権事項としていたことは疑いなく、従つて全員投票による組合解散は行らことが出来なかつたものである。(2)昭和二七年一月二五日実施の規約においては、決議機関として代議員大会の他に中央委員会制度が創立されたため、従来全員投票で決することとされていた争議権の行使は代議員大会及び中央委員会の議決事項とされ、大幅に両機関の権限が強化された結果、全員投票を実施すべき場合が想定されなくなり、全員投票の規定は第六〇条の規定のみとなつて有名無実と化した(規約上、組合議決事項の全てを代議員大会と中央委員会に分担させて、全員投票の発動される場合をなくしてしまつた。この点が後日の規約改正作業中に、直接民主制を加味すべき声となり、全員投票制度復活の基因となつたものである。)。右規約第六〇条の「全員投票はあらゆる決議に優先する」とある「あらゆる決議に」との意味は、従来「代議員大会の決議に」あつたのを、新たに中央委員会が創設されたため「代議員大会又は中央委員会の決議に」とした程度の意味に過ぎず、格別の意味を有するものではない。 「あらゆる決議に」との意味は、従来「代議員大会の決議に」あつたのを、新たに中央委員会が創設されたため「代議員大会又は中央委員会の決議に」とした程度の意味に過ぎず、格別の意味を有するものではない。第一一章に解散の特別の定めがあることは前規約と同様であり、解散が代議員大会の専権事項であつたことは前規約と変りがない。(3)昭和三二年七月一日実施の規約では、再び中央委員会が廃止され、代議員大会の権限が強化されるに至り、一方かような代表民主制の欠陥を補らものとして全員投票につき第一〇章で五ヶ条が定められた。しかし、どの様な事項につき全員投票を実施しうるかといえば、同盟罷業の開始は代議員大会の議決事項であり、その他必要と認める事項は全て代議員大会の議決事項なのであるから、昭和二四、五年時代の規約の如く必要的な或は重点的な投票実施事項を持つていない。従つて、代議員大会の一般的な議決事項につき重畳的に全員投票を行える筋合である。そらすると、全員投票の実施発議権を大幅に広げて組合員にも与えている点を併せ考慮すると、全員投票は到底独自の組合意思創設機関ではなく、代議員大会の決議を事前に阻止し、或は事後にその効力を否定する限度でその役割を持つ制度に過ぎないことが理解される。けだし、全員投票を独立の意思創設機関とすれば、代議員大会と全員投票とが併列的に、別個の矛盾した決議を何時でもどの様な事項についてでも行つたり、最高議決機関たる代議員大会を無視して何でも全員投票で決めたりして、組合の機関運営の混乱を避け難い事態を招くに至るからである。右規約第五二条の「凡ゆる決議に優先する」との規定は、旧規約第六〇条をそのまま受け継いだものであり、「凡ゆる決議」の意味も、「代議員大会の決議」程度の意味であつて格別の意味はない。解散については旧規約同様、第一二章に別個の定め に優先する」との規定は、旧規約第六〇条をそのまま受け継いだものであり、「凡ゆる決議」の意味も、「代議員大会の決議」程度の意味であつて格別の意味はない。解散については旧規約同様、第一二章に別個の定めがあり、代議員大会の専権事項であつて、全員投票では行うことが出来ない。右のことは、代議員大会の議決方法のうちで、四分の三以上の支持を要するのは解散決議のみであつて、他は殆んど過半数で足りるのに、全員投票については組合員数の三分の二以上の有効投票数で成立し組合員の二分の一以上の賛成で決するとするのみで、解散に関する表決数につき別段の規定を定めていないことから見ても、全員投票は解散の場合を予測していないことが条理上当然に窺えるからである。 (ロ) また、全員投票においては、議題の説明や討議の過程が全然なく、総会と同価値のものとは言えないから、仮に全員投票において四分の三以上の賛成を得たとしても、全員投票を以て総会に替えて解散決議をなすことは許されない。仮に労働組合法第一〇条第二号を任意規定と解しても、解散が総会の専決事項であることについては変りがなく、ただ数的要件を規約によつて緩和し得るに過ぎない。そして組合の最高議決機関たる代議員大会が開催不能の状態に陥つた場合においでも、特別の事情がない限り組合解散を全員投票等によつて決すべきことを軽々に認めるべきではなく、仮にそれが許される場合があるとしても、全員投票による決議が、その手続、方法において代議員大会のそれと実質上同等視されるだけの内容を持つものでない限り、全員投票を以て代議員大会の解散決議に代えることは許されない。 (三) 本件解散は、憲法第二八条民法第九〇条に違反し無効である。即ち、本件解散は、第一工業製薬株式会社の控訴組合の破壊と言う団結権侵害の不当労働行為の意図を受けて、その目的を以 は許されない。 (三) 本件解散は、憲法第二八条民法第九〇条に違反し無効である。即ち、本件解散は、第一工業製薬株式会社の控訴組合の破壊と言う団結権侵害の不当労働行為の意図を受けて、その目的を以てなされたものである。 (イ) 控訴組合は昭和二四年一二月に単一組織として結成され、当初は御用組合的色彩が強かつたのであるが、昭和三二年頃から自主性を持つに至り、昭和三五年一〇月には専従役員をもうけ組合財政も確立し、自主的な闘う労働組合へと発展して行つた。ところが会社は、控訴組合の右成長に対し、組合敵視政策を採るに至り、昭和三六年頃から組合攻撃を集中し、組合の分裂を策し、組合を中傷して組合員に対し組合不信をあおりたてた。 (ロ) 会社は、昭和三入年七月に開かれる代議員大会で、会社の右方針に反対する控訴組合京都工場支部から中央執行委員が選出されることを防止するため、種々策動を試みたけれども、中央執行委員候補選出の選挙の結果は会社の意図に反し、候補者二一名中、京都工場支部役員九名及びその同調者四名計一三名の多数が高位当選したので、新中央委員会は京都工場支部役員によつてその主流が占められるとみた会社は、かねての計画どおり同年七月二八日の代議員大会を役員選出の直前に流会させ、一挙に組合解散に持ち込む手段に出でたわけである。そして御用幹部たる控訴人Aは、会社と一体となつて右大会流会と組合解散の手段に出でたものである。 (ハ) 本件全員投票後同年八月一七日に会社が用意しておいた講堂において新組合の結成が行われ、会社は同月一九日控訴組合解散によりすべての協定協約が失効した旨控訴組合に通告し、解散に反対する組合役員の職務替え、配置転換を行い、「第一工業製薬労働組合を守る会」所属の者にその脱退を強要し、更に、本件仮処分申請の審理傍聴者の年次休暇を認めない態 が失効した旨控訴組合に通告し、解散に反対する組合役員の職務替え、配置転換を行い、「第一工業製薬労働組合を守る会」所属の者にその脱退を強要し、更に、本件仮処分申請の審理傍聴者の年次休暇を認めない態度をとつている。 (ニ) 以上のとおり、会社の組合攻撃、御用幹部の送り込み、中執選出の妨害工作、大会流会戦術と組合解散の手段等、会社と御用幹部の一連の行動をみれば、本件解散は、会社の組合破壊の意図を実現することにあり、その会社の目的実現に控訴人Aらが助力したことになるわけである。従つて、御用幹部が会社と共謀してなした本件解散は、会社の不当労働行為と言う違法性を帯び、憲法第二八条民法第九〇条に違反して無効である。」と陳述し、疏明として、当審証人Cの証言を援用し、疏乙第三ないし七号証の成立を認めたほか原判決事実摘示と同一(但し原判決一五枚目表五行目に「ものにすぎ」とあるを「ものにすぎず」と同一六枚目表末行に「組識」とあるを「組織」と、同一八枚目裏二行目に「証人D」とあるを「証人D」と各訂正)であるから、ここにこれを引用する。 理由 一、 控訴組合が訴外第一工業製薬株式会社の従業員を以て組織された労働組合であり、控訴人Aが控訴組合の中央執行委員会の委員長、被控訴人らが控訴組合の組合員であること、昭和三八年八月三日控訴組合(当時の組合員数は一、一三三名)の組合員四九九名から、組合規約第五四条第三号(「全員投票は組合員の五分の一以上の連名による要求があつた場合に実施する」との規定)に基き控訴組合の解散を議題とする全員投票の実施の要請が控訴組合代議員大会議長Eに宛て提出され、Eは規約第五二条(「組合に関する一切の事項に就て全員投票は凡ゆる決議に優先する」との規定)に基き、昭和三八年八月一三日から三日間にわたり会社本社等にお 請が控訴組合代議員大会議長Eに宛て提出され、Eは規約第五二条(「組合に関する一切の事項に就て全員投票は凡ゆる決議に優先する」との規定)に基き、昭和三八年八月一三日から三日間にわたり会社本社等において、控訴組合解散の是非を問う全員投票を実施し、同月一七日開票を行つたところ、その結果は投票総数一、〇二八票、解散賛成七二八票、解散反対二五四票、白紙三〇票、無効一六票であり、Eは右投票結果が規約第五六条(「全員投票は組合員数の三分の二以上の有効投票数により成立し、組合員数の二分の一以上の賛否により之を決する」との規定)を充足すると判断して控訴組合の解散を宣言したこと、そして規約第六四条により中央執行委員会役員が清算人に、控訴人Aが代表清算人に各就任したこと、以上の事実は当事者間に争がない。 二、 そこで本件全員投票による組合解散の効力について判断する。この点につき被控訴人等は、労働組合法第一〇条第二号は強行規定であるから、本件解散決議の方法として行われた全員投票が同条同号所定の「総会の決議」に該当するか否かを問うまでもなく、右全員投票による解散決議は強行法規違反として無効であると主張するに対し、控訴人等は、右労組法第一〇条第二号は、同条第一号の「規約で定めた解散事由」の定めのない場合の補充規定でかつ任意規定であるから、本件全員投票による解散は同条第一号所定の解散事由に該当し、同条第二号には該当しない(従つて牴触もしない)と反論するので按ずるに、労組法第一〇条第二号が仮りに強行規定であるとしても、その強行性は、総会決議の決議要件として法定多数を要求する点に在るものと解すべきであつて、総会決議又はこれを同視すべき方法による解散に属しない同条所定の解散事由までを制約するものとは解し難いことは勿論であるから、被控訴人等において同条第二号の強行法規性 る点に在るものと解すべきであつて、総会決議又はこれを同視すべき方法による解散に属しない同条所定の解散事由までを制約するものとは解し難いことは勿論であるから、被控訴人等において同条第二号の強行法規性による拘束力を主張する以上は、その対象となる本件全員投票が、同条同号の規定する「総会の決議」又はこれと同視し得べきものに属すること(もしそうでなければ同条同号の強行性が妥当しないこととなる)をその立論の前提とすることを要するものといわねばならない。よつて以下に先ず本件全員投票が、同条同号所定の「総会の決議」又はこれと同視し得べきものに該当するか否かを検討する。 このためには右労組法第一〇条第一号と第二号との関係を(控訴人等主張の同条第二号が第一号の補充規定であるか否かについても)検討することを要するところ、同条とこれに類似する他の諸規定(民法第六八条、商法第九四条、第四〇四条、有限会社法第六九条第一項等)を互に比照考察すれば、労組法第一〇条第一号と第二号とに掲げる各解散事由との間には、原則と例外、原則と補充等の関係はなく、対等、併立的の関係にあることが極めて明白である。(例えば、商法第四〇四条は「株主総会の決議」を第二号として別に掲げているが、これは同法第九四条各号に列記された事由のうちの第二号「総社員の同意」を株主の多数性を考慮の上修正して総会決議に改めたものと解され、また民法第六八条において「総会の決議」を第二項第一号に別掲したのは、一般法人のうちの社団法人としての特性から、構成員の意思による解散方法を一般法人の解散事由とは区別して規定したに止まり、それ以上の意味を持たぬものと解される)。従つて労組法第一〇条第二号が同条第一号の補充規定であるとする控訴人等の見解は是認できない。そしてまた前掲諸規定に関連する民法第六九条、商法第四〇五条、 り、それ以上の意味を持たぬものと解される)。従つて労組法第一〇条第二号が同条第一号の補充規定であるとする控訴人等の見解は是認できない。そしてまた前掲諸規定に関連する民法第六九条、商法第四〇五条、有限会社法第六九条第二項等が構成員の意思による解散につき法定多数を要求している点に鑑みると、労組法第一〇条第二号の法定多数の要求もまた同条同号の「総会の決議」が、同条第一号が通例予期する客観性のある特定の事由ではなくて、構成員の自由な意思という主観的なものの多数の集積に外ならないという特性に着眼したものというべきであるから、もし同条同号の規定が強行法規であるとするならば、その規定する法定多数要求の強制的適用は、同条同号に掲げる「総会の決議」には正確に一致しない構成員の意思集積という方法による解散の決定に対してもまたこれを是認する必要があるものというべく、このことは、右の「総会の決議」以外の構成員の意思集積方法が、特に組合規約で定められ、しかも右の「総会の決議」とは別種の解散事由として挙げられているとしても(即ち、仮りに外形上は、同条第一号の解散事由としての様式を採用しているとしても)、法定多数の要求の強行性という法の趣旨精神より見て、等しく肯定せらるべきであつて、かかる見地よりすれば、本件の全員投票は、控訴組合の組合員の多数の自由な意思の集積方法に外ならないから、同条第二号の強行性がもし是認せられるとすれば、本件全員投票も右の意味において同条同号の「総会の決議」と同視すべきものとして、同条同号の適用下に立つものと解すべきである。従つて本件全員投票が、同条第一号の解散事由に該当し、同条第二号の事由に該当しないものとして、同条第二号の強制的適用が<要旨>ないとする控訴人等の所論は理由がない。次に労組法第一〇条第二号が強行規定であるか任意規定(意思 同条第一号の解散事由に該当し、同条第二号の事由に該当しないものとして、同条第二号の強制的適用が<要旨>ないとする控訴人等の所論は理由がない。次に労組法第一〇条第二号が強行規定であるか任意規定(意思補充</要旨>規定)であるかにつき判断を進める。 (イ) まず規定の形式より検討するに、同条第二号が第一号と区別して規定せられている点より、第二号を以て第一号の補充規定であるとする控訴人等の見解は採用し難く、右第二号の総会決議は解散事由としては第一号所掲事由と対等なものと解すべきことは、前述した通りである。尤も民法第六九条によれば、その本文には解散決議に要する法定多数を掲げながら、但書において定款に別段の定めあればこれにようない旨を規定しているから、決議要件としての定数に関する限りは、定款に優位を認めるものであり、同条本文の法定数は意思補充的のものであることは否み得ないが、このことは解散決議自体を定款所定の各種の解散事由の補充的事由たらしめるものではない。 (ロ) また労組法第一〇条第二項が民法第六九条の如き但書の規定を有しないこと、即ち右民法の法条との形式的差異は、労組法における「総会の決議」自体を以て補充的解散事由と認めるものでないことは前述した通りであるから、右の但書の有無による差異は、労組法における「総会の決議」の法定要件を、民法第六九条におけるような意思補充的なものと解釈せしめない(即ち強行性のものと認むべき)理由の一つとして認める余地こそあれ、労組法第一〇条第二号における法定数を意思補充的のものとし、同条同号自体を任意規定と解釈すべき根拠としては、何等決定的のものとは為し得ない。 (ハ) 次に実質的見地より検討を加えるに、労働組合の解散につき、労組法第一〇条第二号所定の法定要件に対し、組合規約による変更(特に緩和)的規制を設 拠としては、何等決定的のものとは為し得ない。 (ハ) 次に実質的見地より検討を加えるに、労働組合の解散につき、労組法第一〇条第二号所定の法定要件に対し、組合規約による変更(特に緩和)的規制を設けることが許されると解すべきか否かについては、労働組合が労働者の経済的地位の向上のために殆ど不可欠ともいい得る程度に重要な手段であること、従つて一旦成立した労働組合の維持を図り、安易な消滅を避ける配慮は、他の通常の組合ないし団体に比し格段に必要であることが首肯されるから、組合規約により解散についての法定要件を緩和、軽減することは、むしろこれを否定することに合理的な理由が存するものというべきである。もとより国民の結社の自由及び勤労者の団結権は憲法で保障されているところであり、従つて労働者は団結(労働組合の結成)の権利と自由を有すると共に、反面団結を解く(労働組合の解散)の自由をも有し、これを尊重することを要することは勿論であるけれとも、右労組法の規定する解散の法定要件は、それ自体決して右の自由を剥奪するものでないことは明らかであり、問題はただ労働者の団結を解く自由を、市民法上の結社を解く自由と全く同程度に認める必要があるか否かの点に在るに過ぎない。そして近代法において労働者が団結する権利を認められるに至つたのは、労働者の長年にわたる努力の貴重な結果であり、単なる営利の追求等を目的とした市民法上の結社の権利とは甚だしく異るものであるから、我国憲法並びに労働組合法においでも、労働者の地位の向上をはかるため、勤労者の団結権を明文を以て保障して一いるのであつて、これらの法の精神に鑑みるときは、一旦成立した労働組合の解散については、市民法上の一般社団法人等の解散要件に比して若干の差等を設け、それを構成員各自の意思の全面的自由に委ねることなく、法定要件を定 これらの法の精神に鑑みるときは、一旦成立した労働組合の解散については、市民法上の一般社団法人等の解散要件に比して若干の差等を設け、それを構成員各自の意思の全面的自由に委ねることなく、法定要件を定めてその例外的規約を設けることを禁じていると解することは、前述の労働組合保護の精神に徴して公益的見地からも充分合理性を認め得るものと考えられる。若し仮りに労組法が組合解散の自由を無制限に認めたもの即ち同法第一〇条第二号が補充規定たり得るに過ぎないと解するならば、組合規約上解散要件の最下限を画すべき基準がなく、単純多数決で以て解散が行われることも是認する外なく、外部的干渉による解散も比較的容易となり、労働者の団結の保護育成、不当労働行為の排除と言う法の精神に背馳することは明白である(控訴人は、憲法改正の国民投票が過半数の賛否を以て決せられることを根拠として本件規約における全員投票の議決方法の合理性を主張するが、憲法はそれ自体そのままの存続(不改正)を目的とするものではないのに対し、労働組合は前示のとおり一般にそれ自体そのままの存続を目的としなるべく消滅を避けることを希求されているものであるから、この点だけから見ても、右賛否の決定方法につき労働組合の解散と憲法の改正とを同列に論ずることは出来ない。)。また労組法第一〇条第二号を強行規定と解しても、憲法の下部法規たる労組法が労働者の地位向上、労働組合の保護という公共の福祉のために結社を解く自由に一部制約を課したことは、控訴人主張のように、憲法第二一条第一項に牴触するものではない。 そして、実質的見地よりして、労組法第一〇条第二号所定の法定要件に対して、組合規約による軽減、緩和的変更を許すべきでないと考えることにつき合理的理由が見出される以上は、前掲(ロ)の形式的考察即ち同条同号に民法第六九条に見ら 、労組法第一〇条第二号所定の法定要件に対して、組合規約による軽減、緩和的変更を許すべきでないと考えることにつき合理的理由が見出される以上は、前掲(ロ)の形式的考察即ち同条同号に民法第六九条に見られるような但書の定めが存在しないことは、むしろ右の実質的根拠を支持する有力な形式的理由として、積極的にその価値を認め得るものと考える。 以上の諸点を検討した結果、当裁判所は労組法第一〇条第二号を強行規定と解するを相当とするものである。そして、本件全員投票による解散の決定は、正確には同条同号所掲の「総会の決議」には符合しないけれども、右法条の規定の趣旨に徴して、同じく右法条の規定の適用を受くべき解散事由に該当するものというべきことは、前段説示の通りである。 尤も、本件全員投票は、控訴組合の規約第五二条により、控訴組合においでは、一切の事項について、あらゆる決議に優先するものであり、これを以て解散をも決定し得べき性質のものであることは控訴人等の自認主張するところであり(控訴人等は労組法第一〇条第二号に強行性を認めると、組合規約第六三条第二号は右法定要件を補充せず、解散は事実上不能となると主張するが、控訴組合の規約の如何により、労組法の解釈を左右し得ないことは言う迄もないから、右主張は理由がない)、むしろ被控訴人等においてこの点に疑義を懐いており(被控訴人等の予備的主張参照)、本件全員投票は、本来これを以て解散決定を為し得ないもの(解散は代議員大会の専決事項であるとの理由により)、又は、解散の決定を為し得るとしでも、議決機関たる代議員大会が一旦為した意思決定の確認又は否認の場合に限定せられるものであるとの理由で、本件全員投票が労組法第一〇条第二号の適用の対象になることにつき、一応の疑念がない訳でもないので、以下この点につき判断を加える。 成立に 定の確認又は否認の場合に限定せられるものであるとの理由で、本件全員投票が労組法第一〇条第二号の適用の対象になることにつき、一応の疑念がない訳でもないので、以下この点につき判断を加える。 成立に争ない疏甲第一号証の一(昭和三二年七月一日より実施の控訴組合の現規約、疏乙第七号証も同一内容のもの)によると、控訴組合規約第七章機関第一款代議員大会に関する規定第三八条に、代議員大会の議決を要する事項として「組合の解散」が掲げられ、また第一二章解散の章下第六二条に「組合は下の事由の一に該当する場合に解散する。(一)第一工業製薬株式会社が解散した時(二)代議員大会で四分の三以上の支持を得て解散を決議した時」と規定せられているから、会社解散の場合のほか組合の解散は原則として代議員大会の決議によるものとされていること明らかである。しかしながら他方同規約第一〇章全員投票の章下第五二条には、「組合に関する一切の事項に就て全員投票は凡ゆる決議に優先する」と規定せられ、続く第五三条ないし五五条において全員投票の手続が規定され、第五六条において「全員投票は組合員数の三分の二以上の有効投票数により成立し、組合員数の二分の一以上の賛否によりこれを決する」旨規定せられ、全員投票により決し得る事項について格別の制限を設けていない点と、全員投票は全組合員の直接の意思の表明手段で、この見地よりは労組法第一〇条第二号にいわゆる組合員の総会の決議に準ずるものである点から考えると、控訴組合の規約上組合の解散は必ずしも代議員大会の専決事項とされているものではなく、全員投票によつでも組合の解散を決議し得るものとせる趣旨であることを看取するに難くなく、またその実際の機能は別として、全員投票をもつて代議員大会の決議を前提とし、その前後においてこれを抑制する手段としてのみ全組合員の意思 解散を決議し得るものとせる趣旨であることを看取するに難くなく、またその実際の機能は別として、全員投票をもつて代議員大会の決議を前提とし、その前後においてこれを抑制する手段としてのみ全組合員の意思を問い得る制度として設けられたものであると制限的に解釈すべき確たる根拠も見出し得ない。もつとも成立に争のない疏乙第三ないし五号証、証人C(原審、当審)、同D(原審)、同B(当審)の各証言を総合すると全員投票の規定は、古く昭和二四年一二月一日実施の控訴組合規約当時から存在し、組合員に重大な影響ありと認められる場合に実施し、その効力は代議員大会の決議(後には組合に関する一切の事項に関しあらゆる決議)に優先するものとされていたが、未だかつて組合の解散についでも実施し得るや否やについて問題が起きたことはなく、昭和二七年一月二五日から施行の旧規約から昭和三二年七月一日施行の現規約に改正されるに至つたのも、主として旧規定には全員投票実施のための手続規定が欠けていたためとして、全員投票制度を実際に活用し得るように新たに具体的な手続的規定を附加することにあつたものであり、従つて右改正の審議の過程においでも、全員投票制度の性格や解散の是非を全員投票によつて問い得るか否かの点については格別の審議も討議もなされず、現規約の立案者ないし制定者はむしろ、全員投票をもつて組合の存続を前提とし、代議員大会その他組合の機関構成者の意思が組合員多数の意思と遊離背反する場合に全組合員の意思を直接表明せしめ、これを組合機関の意思に優先せしめる趣旨の制度として理解し、全員投票による組合の解散というが如きことは予想していなかつたものと認められるけれども、右の如き沿革、規約審議の過程ないし制定者の意思は、控訴組合において全員投票の規定を運用する場合の指針となるは格別、現規約の趣旨自体の 散というが如きことは予想していなかつたものと認められるけれども、右の如き沿革、規約審議の過程ないし制定者の意思は、控訴組合において全員投票の規定を運用する場合の指針となるは格別、現規約の趣旨自体の解釈上格別拘束力を持つものではなく、一旦成文化された規約は、明文に従つて合理的に解釈されねばならず、この観点に立つて現規約を解釈すると、規約五二条の規定の趣旨は前示の如く解するを相当と認める(因みに規約六三条に「代議員大会で四分の三以上の支持を得て」とある四分の三とは、規約四三条会議の条項に関する規定と対照して解釈すると、会議開催のため出席を要する代議員三分の二以上の四分の三の趣旨と解せられるから、規約五六条に定める全員投票の場合の定足数と実質的には差異がないものと認められる。)。 そうすると控訴組合が解散の是非を全員投票に付議したこと自体については規約違反はないものといわなければならない。従つてまた、本件全員投票は解散について組合規約上決定権があり、この点から見でも労組法第一〇条第二号の対象たり得ることは明白といわねばならぬ。 ところで、本件解散に関する全員投票の賛成票数は七二八票であり、組合員総数一、一三三名の四分の三に達しないのみならず、有効投票数一、〇一二票の四分の三にも達しないことが明らかであるから、本件全員投票の結果は労組法第一〇条第二号所定の法定要件を充足するに足りず、従つて控訴組合解散の効力は生じないものと言わねばならない。 三、 次に仮処分の必要性について判断する。 被控訴人等は控訴組合の組合員として、本案判決までに、控訴組合の本件全員投票による解散の無効なることを定め、代表清算人として選任された控訴人Aの職務執行の停止を求めるものであるところ、本件解散の無効であることは、控訴人等において極力これを争い、その有効性を主 本件全員投票による解散の無効なることを定め、代表清算人として選任された控訴人Aの職務執行の停止を求めるものであるところ、本件解散の無効であることは、控訴人等において極力これを争い、その有効性を主張していることは弁論の全趣旨により明白であるから、本案判決以前において仮処分により本件解散の効力を判定し、一応の規制を示すことの必要性は当然に認められる。また控訴人Aにおいても、清算人として就任した以上は、その清算事務を遂行する職責があり、しかも同控訴人及び控訴組合において、いずれも本件解散が有効であることを極力主張している以上、控訴人Aとしても他に格別の支障なき限り、自己が適法な清算人であるものとして、その清算事務の実施に着手するであろうことは、極めて容易に推測せられるところであるから、本件解散が無効である以上、清算人選任も当然無効であり、清算事務の遂行は違法であるから、その進行を防止することは一般的に必要であり、そのためには代表清算人たる控訴人Aに対し清算人としての職務執行を差止めることの必要は容易に肯定せられる。 のみならず原審における証人F、同Gの証言、被控訴人H、控訴人A各本人訊問の結果に弁論の全趣旨を総合すると、控訴組合では昭和三入年八月一七日開票にかかる本件全員投票の結果控訴組合の解散が決定したとして、中央執行委員会役員が規約により清算人に就任し、控訴人Aが代表清算人として同年八月二人目清算人会を開催し(但し清算人となるべき者のらち二名は解散の無効を主張して欠席)、右清算人会において、「控訴組合につき速やかに解散登記をなすこと、組合財産たる組合会館については清算事務が一応結了してからその処分を決定するが、それまでの間は被控訴人らから使用申込のある三部屋を除き他の部分を閉鎖すること、控訴組合名義で銀行に預けてある特別闘争積立金等 たる組合会館については清算事務が一応結了してからその処分を決定するが、それまでの間は被控訴人らから使用申込のある三部屋を除き他の部分を閉鎖すること、控訴組合名義で銀行に預けてある特別闘争積立金等は整理がつき次第早急に各組合員に分配返還すること、組合書記は当分清算事務に従事させること」等の清算事務の大綱を決定したこと、そして右大綱に従い清算事務が執行されることになり、控訴人Aら清算人は、控訴組合の重要書類、印鑑等をすべて保管し、組合会館に施錠の上使用禁止の貼紙をなし、机その他若干の少額備品の売却をなしたこと、しかし解散登記については清算人たるべき者のうち一部の捺印を得られないためこれをなすことが出来ず、また解散に反対する被控訴人Iらが控訴組合が存続するものとして代表者名義の変更登記をしてしまつたため、積立金等の引出、返還をなすことが出来ず、清算事務は事実上停滞したままの状態に在ること、控訴組合の組合員は解散支持派(多数派)と反対派(少数派)に分たれ、支持派は新たな労働組合を結成し、反対派は「第一工業製薬労働組合を守る会」を組織していること、会社は本件解散決議により控訴組合が既に解散したとの見解の下に、控訴組合と会社との間の労働協約は失効した旨の主張をなし、支持派と反対派の両者について、これを夫々別個の従業員団体として取扱い各個別に交渉をなしていること、以上の事実を認めることが出来る。 右認定の事実によれば、本件解散決議の結果、現実にはすでに控訴組合は清算状態に入り、労働組合としての本来の機能と活動を全面的に停止し、清算人が控訴組合の重要書類と印鑑をすべて保管し、清算事務の執行として組合所有の組合会館内の部屋の使用を制限し一部備品を売却する等の行為をなしている結果、控訴組合の組合員たる被控訴人らは、本来組合解散がなければ当然享受しうべ と印鑑をすべて保管し、清算事務の執行として組合所有の組合会館内の部屋の使用を制限し一部備品を売却する等の行為をなしている結果、控訴組合の組合員たる被控訴人らは、本来組合解散がなければ当然享受しうべき控訴組合を通じての正当な団結行為と各種の組合活動を著しく妨げられていることは明らかであり、また控訴組合の清算事務は現在事実上停滞しているけれども、清算人会において既に前記の如き清算事務執行の大綱を決定している以上、いずれは右方針に従つて清算事務が続行される危険性も多分に存するわけであるから、清算の遂行による被控訴人らの組合員としての地位の不安定化、損失の増大化の虞は極めて見易いところである。そうすると、被控訴人らは控訴組合が清算状態に入り、清算事務が開始されたこと、及びこれが続行されることにより、組合員として著しい損害を被ることが明らかであるから、これを避けるため仮処分をなす必要性は具体的にも是認せられるものと言わねばならない。 尤も、控訴組合が清算状態に入つたとしても、被控訴人等は使用者たる会社に対する関係において直ちに既得の権益を失うものではなく、また控訴組合とは別個の労働者団体を結成して会社に対抗しうることは勿論であるけれども、そのために所属労働組合に対する関係で解散の効力の判定や清算活動の停止を求める利益を失う筈はなく、控訴組合が清算状態に在る以上、被控訴人らの控訴組合を通じての団結行為、組合活動が現に妨げられていることは前記のとおりであり、被控訴人らが解散なかりせば享受しうる筈の控訴組合を通じての団結による利益や組合活動を殊更断念させられて、別個の新団体の結成による団結や組合活動のみを強制さるべきいわれはない。また控訴人らは、清算は組合員に帰属すべき財産を公正にその者に帰属せしめるものであるから、清算によつて個々の組合員に財産上 れて、別個の新団体の結成による団結や組合活動のみを強制さるべきいわれはない。また控訴人らは、清算は組合員に帰属すべき財産を公正にその者に帰属せしめるものであるから、清算によつて個々の組合員に財産上の損害を生ぜしめる余地はない旨主張するが、本件清算は違法であり、しかも清算すべきでない時期に違法な清算を行うことは、その事自体組合員の利益を害するものであるのみならず、元来組合財産は、個々の組合員にとつて単なる金銭的分配返還の対象として意味があるものではなく、労働者団体たる組合自体の重要な活動手段に供される点に本来の意味を有するものであるから、組合が存続しているにも拘らず、組合財産の分配返還がなされることは、財産の利用価値自体についでも個々の組合員に損失を与えることになることは言うまでもない。 また控訴人等は、本件清算による損害は著大でないと主張するけれども、違法な解散の効果を停止する必要は、財産処分の損害の大小のみでは決せられず、社団の分解による損害は容易に算定し難いのが通例であるから、本件損害の小なることを理由に、仮処分の必要性なしとする主張は失当である。 次に仮処分の内容につき、控訴人らは、「解散の効力停止」なる仮処分はその内容が不明確であり、且つ控訴組合の組合員の分裂は決定的なものであつて控訴組合はもはや虚名の存在に過ぎないから、解散決議の効力を停止しても無意味に帰する旨主張するが、「解散の効力停止」なる仮処分の実質は、控訴組合の解散が無効であることを確認宣言すると共に、控訴組合に対し解散に伴う清算その他諸種の行為を為すことが違法であることを了知せしめ、これらの行為を為すべからざる地位に在ることを仮に定めるものであり、その重点は何よりも、当事者の紛争の中核である解散の効力の本案前の判定にあり、爾余の事項は各当事者において右の基本的事 を了知せしめ、これらの行為を為すべからざる地位に在ることを仮に定めるものであり、その重点は何よりも、当事者の紛争の中核である解散の効力の本案前の判定にあり、爾余の事項は各当事者において右の基本的事項に関する判定に応じて然るべく対処すれば、紛争の早期裁定としての価値は充分に認められるから、右仮処分の内容が不明確であることを理由に、かかる仮処分を拒否することは出来ない。また「解散の効力停止」なる仮処分が行われたからとて、当然には控訴組合の正常な解散前の団結、活動状態が復活するものでないことは勿論であるけれども、本件当事者や他の組合員が本件仮処分の判定を知り、これに聴従することにより、自発的に控訴組合の適正な状態に復帰することは可能であり、又仮りに控訴組合の組合員の分裂が一応決定的であり解散反対派が少数にすぎないとしでも、その反省並びに善後策の立案につき本件仮処分はその基準たり得るものとなるから、本件仮処分が組合員たる被控訴人らにとつて無意味であるとは到底言い得ない。更に、控訴人Aに対し清算執行禁止の仮処分をなすべき必要があることは、既述したところにより明白である。 四、 よつて本件仮処分申請は理由があり、これを認容した原判決は正当であるから、本件控訴はこれを棄却すべく、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条第九三条を適用の上、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官岡垣久晃裁判官宮川種一郎裁判官奥村正策)

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