平成23(行ウ)8等 所得税更正処分等取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年12月11日 東京地方裁判所 租税
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判決文本文51,190 文字)

平成24年12月11日判決言渡平成23年(行ウ)第8号所得税更正処分等取消請求事件(第1事件)平成23年(行ウ)第9号所得税更正処分等取消請求事件(第2事件)平成23年(行ウ)第10号所得税更正処分等取消請求事件(第3事件)平成23年(行ウ)第11号所得税更正処分等取消請求事件(第4事件)平成23年(行ウ)第12号所得税更正処分等取消請求事件(第5事件)平成23年(行ウ)第13号所得税更正処分等取消請求事件(第6事件)平成23年(行ウ)第14号所得税更正処分等取消請求事件(第7事件)平成23年(行ウ)第15号所得税更正処分等取消請求事件(第8事件) 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 第1事件京橋税務署長が平成21年3月9日付けで原告Aに対してした平成17年分の所得税の更正処分のうち総所得金額395万7736円,還付金の額に相当する税額3万0100円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 2 第2事件世田谷税務署長が平成21年3月9日付けで亡Bに対してした平成17年分の所得税の更正処分のうち総所得金額273万1103円,還付金の額に相当する税額1万9168円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 3 第3事件江東西税務署長が平成21年3月9日付けで原告Cに対してした平成17年分の所得税の更正処分のうち総所得金額370万6522円,還付金の額に相当する税額61万3050円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 4 第4事件船橋税務署長が平成21年3月9日付けで原告Dに対してした平成17年分の所得税の更正処分のうち純損失金額156万3 3050円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 4 第4事件船橋税務署長が平成21年3月9日付けで原告Dに対してした平成17年分の所得税の更正処分のうち純損失金額156万3610円,還付金の額に相当する税額25万9433円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 5 第5事件荻窪税務署長が平成21年3月10日付けで亡Eに対してした平成17年分の所得税の更正処分のうち総所得金額66万1727円,還付金の額に相当する税額21万0748円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 6 第6事件緑税務署長が平成21年2月27日付けで原告Fに対してした平成17年分の所得税の更正処分のうち総所得金額310万8408円,還付金の額に相当する税額4万6569円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 7 第7事件川崎北税務署長が平成21年3月9日付けで原告Gに対してした平成17年分の所得税の更正処分のうち総所得金額565万7433円,納付すべき税額13万6100円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 8 第8事件板橋税務署長が平成21年3月11日付けで原告Hに対してした平成17年分の所得税の更正処分(ただし,平成21年7月9日付けの異議決定により一部が取り消された後のもの)のうち総所得金額851万9459円,納付すべき税額22万2200円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 第2 事案の概要本件は,株式会社I(現在の株式会社J。以下「I」という。)が運営していた適格退職年金制度に基づく退職年金の各受給権者が,上記退職年金制度の終了に伴い支払われた各一時金を平成19年分の退職所得とする所得税の各確定申告書又は修正申告書 。以下「I」という。)が運営していた適格退職年金制度に基づく退職年金の各受給権者が,上記退職年金制度の終了に伴い支払われた各一時金を平成19年分の退職所得とする所得税の各確定申告書又は修正申告書を提出したところ,上記各一時金は平成17年分の一時所得に該当するとして,平成17年分の所得税の各更正処分及び各過少申告加算税賦課決定処分を受けたため,上記各受給権者又はその相続人である原告らが,上記各一時金は平成19年分の退職所得に該当すると主張して,上記各更正処分(ただし,原告Hについては異議決定により一部が取り消された後のもの)のうち上記各確定申告書又は修正申告書に記載した総所得金額等を超える部分及び各過少申告加算税賦課決定処分の各取消しを求める事案である。 1 関係法令の定め別紙2「関係法令の定め」記載のとおり。 2 争いのない事実(1) 当事者等ア原告A,亡B,原告C,原告D,亡E,原告F,原告G及び原告H(以下,併せて「本件各受給権者」という。)は,いずれもIを退職し,同社が運営する適格退職年金制度(以下「本件年金制度」という。)に基づく退職年金を受給していた者である。 イ原告Aは,昭和32年6月3日付けでIに入社し,41年9か月間の勤続の後,平成11年2月28日付けで同社を定年退職し,同日,退職功労金等の退職金781万5000円を受領するとともに,本件年金制度に基づく退職年金の受給権を取得し,平成14年3月分から,退職年金の支給を受けていた。 ウ亡Bは,昭和32年4月1日付けでIに入社し,35年3か月間の勤続の後,平成4年6月30日付けで同社を定年退職し,同日,退職功労金等の退職金570万円を受領するとともに,本件年金制度に基づく退職年金の受給権を取得し,平成6年7月分から,退職年金の支給を受けていた の後,平成4年6月30日付けで同社を定年退職し,同日,退職功労金等の退職金570万円を受領するとともに,本件年金制度に基づく退職年金の受給権を取得し,平成6年7月分から,退職年金の支給を受けていた。 亡Bは,平成▲年▲月▲日に死亡し,法定相続人である原告Kらが亡Bの権利義務を承継した。 エ原告Cは,昭和39年4月1日付けでIに入社し,38年間の勤続の後,平成14年3月31日付けで同社を定年退職し,同月29日,退職功労金等の退職金1201万5000円を受領するとともに,本件年金制度に基づく退職年金の受給権を取得し,同年4月分から,退職年金の支給を受けていた。 オ原告Dは,昭和37年4月1日付けでIに入社し,41年2か月間の勤続の後,平成15年5月31日付けで同社を定年退職し,同月30日,退職功労金等の退職金1149万8000円を受領するとともに,本件年金制度に基づく退職年金の受給権を取得し,同年6月分から,退職年金の支給を受けていた。 カ亡Eは,昭和34年4月1日付けでIに入社し,35年9か月間の勤続の後,平成6年12月31日付けで同社を定年退職し,同月28日,退職功労金等の退職金595万円を受領するとともに,本件年金制度に基づく退職年金の受給権を取得し,平成7年1月分から,退職年金の支給を受けていた。 亡Eは,平成▲年▲月▲日に死亡し,法定相続人である原告Lらが亡Eの権利義務を承継するとともに,本件訴訟を受継した。 キ原告Fは,昭和35年4月1日付けでIに入社し,41年2か月間の勤続の後,平成13年5月31日付けで同社を定年退職し,同日,退職功労金等の退職金1267万6000円を受領するとともに,本件年金制度に基づく退職年金の受給権を取得し,同年6月分から,退職年金の支給を受けていた。 ク原告Gは,昭和 退職し,同日,退職功労金等の退職金1267万6000円を受領するとともに,本件年金制度に基づく退職年金の受給権を取得し,同年6月分から,退職年金の支給を受けていた。 ク原告Gは,昭和38年4月1日付けでIに入社し,37年4か月間の勤続の後,平成12年7月31日付けで同社を定年退職し,同日,退職功労金等の退職金736万円を受領するとともに,本件年金制度に基づく退職年金の受給権を取得し,同年8月分から,退職年金の支給を受けていた。 ケ原告Hは,昭和33年4月1日付けでIに入社し,41年4か月間の勤続の後,平成11年7月31日付けで同社を定年退職し,同月30日,退職功労金等の退職金728万5000円を受領するとともに,本件年金制度に基づく退職年金の受給権を取得し,同年8月分から,退職年金の支給を受けていた。 (2) 適格退職年金制度の概要等ア我が国の年金制度全体の基本的な体系は,いわゆる三階建ての構造から成り,その一階部分に,全ての者に適用される定額の「国民年金」(基礎年金),それに上乗せする二階部分に,その者の職業・業務等に応じてそれぞれ適用される一定の報酬比例制の「被用者年金」(厚生年金,公務員等の共済年金),さらに,三階部分に「企業年金」(厚生年金基金の年金,確定給付企業年金,確定拠出年金,適格退職年金)がある。 イ上記三階部分の「企業年金」に該当する適格退職年金とは,事業主が,外部の信託会社,生命保険会社又は農業協同組合連合会との間で退職年金に関する信託,生命保険又は生命共済の契約を締結し,掛金又は保険料を拠出して実施する社外積立方式の企業年金で,当該契約の内容が税制上の適格性の要件を備えているとして国税庁長官の承認を受けたものである。 ウこのような適格退職年金制度は,退職金負担の平準化,雇用の安定,労 て実施する社外積立方式の企業年金で,当該契約の内容が税制上の適格性の要件を備えているとして国税庁長官の承認を受けたものである。 ウこのような適格退職年金制度は,退職金負担の平準化,雇用の安定,労務管理の円滑化を図ることなどの目的から社外に資金を準備していた事業主について,その拠出した掛金等又は年金資産の運用に関する税制上の取扱いを明確にするという観点で,昭和37年の税制改正において創設された企業年金制度である。 適格退職年金に係る税制上の適格要件等については,法人税法84条(平成13年法律50号による改正前のもの。)に規定されていたが,確定給付企業年金法の施行日(平成14年4月1日)以降,適格退職年金制度が廃止されるとともに,経過措置として平成24年3月31日までの10年間は同制度の継続が認められたことに伴い,上記要件等は,法人税法附則20条及び法人税法施行令附則16条等に規定されることとなった。 (3) Iが運営していた本件年金制度の概要等ア Iは,就業規則に基づき,退職金規定,退職年金規定(以下「本件年金規定」という。)及び退職年金規定細則(以下「本件年金規定細則」といい,本件年金規定と併せて「本件年金規定等」という。)を定め,同社を定年退職する従業員等に対し,退職功労金等の退職金のほか,本件年金制度に基づく退職年金等の支給を行っていた。 イ Iは,本件年金制度の運営に当たり,総幹事社であるM相互会社(以下「M」という。)との間で新企業年金保険契約(以下「本件年金保険契約」という。)を締結するとともに,副幹事社であるN信託銀行株式会社(現在のO信託銀行株式会社。以下「N信託銀行」という。)との間で年金特定金銭信託契約及び年金信託契約(以下,併せて「本件年金信託契約」という。)を締結して,年金基金(以下「本件年金 託銀行株式会社(現在のO信託銀行株式会社。以下「N信託銀行」という。)との間で年金特定金銭信託契約及び年金信託契約(以下,併せて「本件年金信託契約」という。)を締結して,年金基金(以下「本件年金基金」という。)を設定していた。 本件年金保険契約及び本件年金信託契約は,法人税法附則20条3項に規定する適格退職年金契約に該当し,本件年金制度は,税制上の適格要件を満たす適格退職年金制度であった。 ウ本件年金規定等の定めは別紙3「本件年金規定等の定め」記載のとおりであるところ,本件年金規定31条は,本件年金制度が終了したとき,①本件年金保険契約に係る年金基金は,本件年金制度終了日における勤続年数にその時の退職金算定基礎額を乗じて得た金額に比例して計算される額を各加入者に分配するが,年金受給権者には制度終了の効力は及ばないこと(1号),②本件年金信託契約に係る年金基金は,年金受給権者に年金の現価相当額に達するまで当該現価相当額に比例して分配し,なお残余があるときは年金受給権者ではない加入者に本件年金制度終了日における勤続年数にそのときの退職金算定基礎額を乗じて得た金額に比例して分配すること(2号)を定めている。 また,本件年金規定細則2条は,本件年金保険契約及び本件年金信託契約による支払の割合は,本件年金保険契約を39.8パーセント,本件年金信託契約を60.2パーセントとすることなどを定めている。 (4) 本件各受給権者に対する一時金の支払経緯等ア Iによる本件年金制度の終了(ア) Iは,平成16年8月25日付けの書面で,本件各受給権者を含む退職年金受給権者に対し,本件年金制度を平成17年3月31日をもって終了し,本件年金規定の定めるところにより,従前の年金給付の39. 8パーセント(本件年金保険契約による支払に相当する 受給権者を含む退職年金受給権者に対し,本件年金制度を平成17年3月31日をもって終了し,本件年金規定の定めるところにより,従前の年金給付の39. 8パーセント(本件年金保険契約による支払に相当する部分)は支給を継続するが,残りの60.2パーセント(本件年金信託契約による支払に相当する部分)は,年金現価に置き換えて算出した分配金として支払う旨を通知した。 (イ) Iは,平成16年9月頃から退職年金受給権者に対する説明会を実施し,本件年金制度の一部終了に伴う措置等について,次のような記載のある書面を配付した。 a 制度改定の背景本件年金制度実施後,しばらくの間は運用収益を確保できる環境にあったが,1990年代前半から給付利率(6.5パーセント)を確 保することが困難な運用環境となっている。 これに対し,Iは,年金財政の積立状況を確認するとともに,掛金拠出額の見直しを行ったほか,①年金給付のための拠出(平成12年度約163億円),②給付水準の見直し(年金給付利率や給付額の引下げ),③年金資産構成比率の見直しを行ってきた。 b 制度改定の検討今後,長期にわたり給付利率(6.5パーセントから4.5パーセント)の利息分を運用収益により確保することは極めて困難な運用環境であり,Iが当該給付利率の利息分の補てんを続けることにも限界があることから,本件年金規定に定める方法で本件年金制度を終了し,制度改定に伴う最大約100億円の現金負担をすることとした。 c 退職年金制度の終了本件年金制度の終了については,本件年金規定31条に則った手続をとることになる。 d 改定内容(a) 平成17年3月31日における退職年金受給権者に対する年金給付については,①本件年金保険契約に係る部分(39.8パーセント)は閉鎖型適格退職年金(加入者 をとることになる。 d 改定内容(a) 平成17年3月31日における退職年金受給権者に対する年金給付については,①本件年金保険契約に係る部分(39.8パーセント)は閉鎖型適格退職年金(加入者がおらず,受給権者のみで構成された適格退職年金)として給付継続となるが,②本件年金信託契約に係る部分(60.2パーセント)は,平成17年3月31日の年金現価に置き換えて算出した分配金として清算される。 (b) 本件年金制度終了に伴い,改定後の退職年金給付の支払義務はMが負うこととなる。 (ウ) Iは,平成17年4月20日付けの通知書により,本件各受給権者に対し,同月1日付けで本件年金制度を終了することに伴い本件年金信託契約を解約したこと,本件年金信託契約の最終元本総額が128 億9436万9959円であること,本件各受給権者に対する分配金の額はそれぞれ原告Aが2532万9925円,亡Bが832万4854円,原告Cが1796万8937円,原告Dが1423万2577円,亡Eが1843万4928円,原告Fが1722万8868円,原告Gが2395万2262円,原告Hが2301万5431円であること(以下,これらの金員を併せて「本件各一時金」という。),本件各受給権者が当該分配金の受領を拒否する場合は分配金を供託することをそれぞれ通知した。 (エ) N信託銀行は,平成17年6月27日,「供託者は被供託者に対し,平成17年4月1日付適格退職年金信託契約解除に基づき,年金基金の分配金返還債務を支払うため,平成17年6月27日に弁済提供したが,受領を拒否されたので供託する。」として,本件各一時金をそれぞれ東京法務局に供託した。 イ本件各受給権者による訴訟提起等(ア) 本件各受給権者は,平成17年2月28日,東京地方裁判所に対し,I及びMを されたので供託する。」として,本件各一時金をそれぞれ東京法務局に供託した。 イ本件各受給権者による訴訟提起等(ア) 本件各受給権者は,平成17年2月28日,東京地方裁判所に対し,I及びMを被告として,本件各受給権者が本件年金制度における減額前の退職年金の支払を受ける権利を有する地位にあることを確認する旨の訴訟(以下「別件訴訟」という。)を提起した。 (イ) 別件訴訟は,平成19年3月6日,要旨次のとおりの和解(以下「本件和解」という。)が成立し終了した。 a 和解条項1項Iは,本件各受給権者に対し,本件年金制度一部廃止に関する紛争の和解金として,分配金の額の10パーセントに相当する額(1万円未満の端数切上げ,最低50万円)から,年金制度終了慰労金として既に受領した金額を控除した残額(以下「本件各和解金」という。)の支払義務があることを認める。 b 和解条項5項本件各受給権者に対する供託された分配金がある場合には,当該分配金を受け取るべき本件各受給権者は,自ら同供託金の還付手続を行うものとする。 c 和解条項6項本件各受給権者及びIは,前項の分配金が将来の年金給付の総額の60.2パーセントに代えて支払われるものであることを相互に確認する。 d 和解条項11項Iは,本件各受給権者を含む年金受給権者に対し,現在,年金給付が継続されている39.8パーセントの本件年金保険契約分については,現状を維持して支払われることを確約する。 (ウ) 原告Aは平成19年4月13日に,亡Bは同年5月17日に,原告Cは同年3月30日に,原告Dは同年4月12日に,亡Eは平成20年6月4日に,原告Fは平成19年4月27日に,原告Gは同年5月1日に,原告Hは同年4月10日に,それぞれ東京法務局に供託されていた本件各一時金の還 0日に,原告Dは同年4月12日に,亡Eは平成20年6月4日に,原告Fは平成19年4月27日に,原告Gは同年5月1日に,原告Hは同年4月10日に,それぞれ東京法務局に供託されていた本件各一時金の還付を受けた。 (5) 課税処分等の経緯ア亡Eを除く本件各受給権者は,本件各一時金を平成19年分の退職所得とし,本件各和解金を同年分の一時所得として計算した同年分の所得税の確定申告書を法定申告期限内に所轄税務署長に提出した。 亡Eは,本件各和解金を平成19年分の雑所得として計算した同年分の所得税の確定申告書を法定申告期限内に所轄税務署長に提出した後,本件各一時金を退職所得として加算して,同年分の所得税の修正申告書を提出した。 イ本件各受給権者に対する各課税処分の経緯は別紙4「各課税処分の経緯」記載のとおりである。 3 被告の主張する各課税処分の根拠及び適法性被告の主張する各課税処分の根拠及び適法性は,別紙5「各課税処分の根拠及び適法性」記載のとおりであるところ,原告らは,本件各一時金が平成17年分の一時所得に該当するとした部分を除き,本件各更正処分及び本件各賦課決定処分(以下「本件各更正処分等」という。)の計算の基礎となる金額及び計算方法について争っていない。 4 争点(1) 本件各一時金は一時所得に該当するか否か。 (2) 本件各一時金は平成17年分の所得であるか否か。 5 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(本件各一時金は一時所得に該当するか否か。)についてア被告の主張(ア) 本件各一時金は退職所得に該当しないことa 法人税法附則20条3項に規定する適格退職年金契約に基づいて支給される一時金は,使用者から直接支払われるものではないから,本来,所得税法30条1項に規定する退職手当等に該当し に該当しないことa 法人税法附則20条3項に規定する適格退職年金契約に基づいて支給される一時金は,使用者から直接支払われるものではないから,本来,所得税法30条1項に規定する退職手当等に該当しない。 しかし,上記一時金については,使用者から支給される退職手当等とみなしてこれと同じ取扱いをするのが妥当であることから,所得税法31条3号及び所得税法施行令72条2項4号は,「適格退職年金契約に基づいて支給を受ける一時金で,その一時金が支給される基因となった勤務をした者の退職により支払われるもの」について,同法30条1項に規定する退職手当等とみなす旨を規定している。 b 本件各一時金は,本件年金制度の終了に伴う本件年金信託契約の解約に基因してその分配金として支払われたものであって,本件各受給権者の退職に基因して支払われたものではない。 また,本件年金規定31条は,本件年金制度が終了した際の本件年金基金の処分について,本件年金信託契約に係る年金基金の残余財産を年金受給権者等に比例分配することを定めているところ,本件各一時金は,本件年金信託契約分の最終元本総額を比例分配したものである。 さらに,本件年金規定31条は,年金受給権者に対する年金基金の分配後,なお残余があるときには年金受給権者以外の本件年金制度の加入者に対して年金基金を分配するとして,いまだ退職をしていない者に対しても年金基金を分配することがあり得る旨を定めているところ,本件年金制度の終了に伴い,実際に年金受給権者以外の加入者にも同条に基づく分配がされているのであるから,本件各一時金は,本件年金信託契約の解約に基因して支払われたことが明らかである。 c したがって,本件各一時金は,適格退職年金契約に基づいて支給を受ける一時金ではあるが,本件各受給権者の「退職によ 本件各一時金は,本件年金信託契約の解約に基因して支払われたことが明らかである。 c したがって,本件各一時金は,適格退職年金契約に基づいて支給を受ける一時金ではあるが,本件各受給権者の「退職により支払われるもの」(所得税法施行令72条2項4号)ではないから,退職所得には該当しないというべきである。 (イ) 所得税基本通達31-1(1)(以下「通達31-1(1)」という。)が適用されないことa 所得税法31条3号は,退職手当等とみなす一時金について規定しているところ,通達31-1(1)は,同号に規定する「加入者の退職により支払われるものその他これに類する一時金として政令で定めるもの」には,「適格退職年金契約に基づいて支給される年金の受給資格者に対し当該年金に代えて支払われる一時金のうち,退職の日以後当該年金の受給開始日までの間に支払われるもの(年金の受給開始日後に支払われる一時金のうち,将来の年金給付の総額に代えて支払われるものを含む。)」が含まれるとする取扱いを定めている。 b これは,年金に代えて支払われる一時金のうち,年金の受給開始日(最初に年金の支払を受ける日)以前に支払われるものについては,退職という事実がある上,年金に代えて支払われるものではなく本来の退職一時金であるとみる余地もあることから,退職所得とする一方,同日後に支払われるものは,一旦公的年金として支給が行われ,また,公的年金等に係る雑所得として課税が開始されているものであることから,原則として一時所得とし,その支払が将来の年金給付の総額に代えて支払われるものについては,退職所得として取り扱うこととしたものである。 c しかし,そもそも本件各一時金は,本件年金制度の終了に伴う本件年金信託契約の解約に基因して支払われたものであるから,本件年金規定 るものについては,退職所得として取り扱うこととしたものである。 c しかし,そもそも本件各一時金は,本件年金制度の終了に伴う本件年金信託契約の解約に基因して支払われたものであるから,本件年金規定13条や同規定16条に規定されている選択一時金や少額一時金とは性質を異にするものであり,通達31-1(1)に定める一時金には該当しない。 また,本件各受給権者は,Iを退職後,本件各一時金の分配を受ける前にいずれも本件年金制度に基づく年金を受給しているから,本件各一時金は「退職の日以後当該年金の受給開始日までの間に支払われるもの」に該当しないし,本件各受給権者が本件各一時金を受領した後においても,本件年金保険契約に係る部分については閉鎖型適格退職年金として年金の支給が継続されているから,本件各一時金は「年金の受給開始日後に支払われる一時金のうち,将来の年金給付の総額に代えて支払われるもの」にも該当しない。 d したがって,本件各一時金は,通達31-1(1)に定める一時金に該当しないから,通達31-1(1)は適用されないというべきである。 (ウ) 本件各一時金は一時所得に該当することa 一時所得は,営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で,労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しない,一時的,偶発的に発生する所得であり,継続的に生ずる所得に比して担税力が低いことから,課税所得の計算に当たっては,特別控除額を控除した後の金額の2分の1に相当する金額を課税対象とすることにより,超過累進税率の適用緩和が図られている(所得税法34条)。 b 一時所得は,他の所得分類に該当しない,いわば補充的に分類されるカテゴリーであることにも特色があり,それ自体積極的な内容を持った所得分類ではないことから,所得税基本 ている(所得税法34条)。 b 一時所得は,他の所得分類に該当しない,いわば補充的に分類されるカテゴリーであることにも特色があり,それ自体積極的な内容を持った所得分類ではないことから,所得税基本通達34-1は,一時所得に該当する一時的,偶発的な所得を例示的に掲げており,「令第183条第2項《生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算》に規定する生命保険契約等に基づく一時金(業務に関して受けるものを除く。)」に係る所得は一時所得に該当するものとして取り扱うこととしている。 そして,所得税法施行令183条2項は,「生命保険契約等に基づく一時金(法第31条各号(退職手当等とみなす一時金)に掲げるものを除く。・・・(略)・・・)の支払を受ける居住者のその支払を受ける年分の当該一時金に係る一時所得の金額の計算」について規定しているところ,ここにいう「生命保険契約等」には,退職年金に関する信託,生命保険又は生命共済の契約が含まれている(同条3項3号)。適格退職年金契約は,退職年金の支給のみを目的として事業主が信託会社等と締結した信託契約,生命保険契約又は生命共済契約(法人税法施行令附則16条1項1号及び2号)であるから,上記「生命保険契約等」に該当することになる。 そのため,適格退職年金契約に基づく一時金は,所得税法31条各号に掲げる退職手当等とみなされるもの及び業務に関して受けるものを除き,一時所得に該当することとなる。 c 本件各一時金は,本件年金制度の終了に伴う本件年金信託契約の解約に基因して支払われたものであり,所得税法31条各号に掲げる退職手当等とみなされるものに該当しないし,業務に関して受けるものにも該当しない。 したがって,本件各一時金は,本件年金制度の終了に伴う本件年金信託契約の解約という一時的 得税法31条各号に掲げる退職手当等とみなされるものに該当しないし,業務に関して受けるものにも該当しない。 したがって,本件各一時金は,本件年金制度の終了に伴う本件年金信託契約の解約という一時的,偶発的な事由に基づく所得であって,所得税法34条1項に規定する一時所得に該当するというべきである。 イ原告らの主張(ア) 本件各一時金が退職所得に該当することa 所得税法34条1項が「一時所得とは,利子所得,配当所得,不動産所得,事業所得,給与所得,退職所得,山林所得及び譲渡所得以外の所得」と補充的に規定していること,及び退職所得については所得税負担の軽減が図られていることに鑑みれば,本件各一時金の所得区分の判断に当たっては,まず,本件各一時金が退職所得に該当するか否かを判断し,退職所得に該当しないときに初めて一時所得に該当するか否かを検討すべきである。 b 所得税法30条1項が給与所得とは別に退職所得という区分を設けている趣旨,同法31条が退職手当等とみなす一時金(以下,この一時金に係る所得を「みなし退職所得」という。)を規定している趣旨に照らせば,既に退職年金を受給していたとしても,何らかの事情によって,将来の退職年金を一時金として受給する必要が生じた場合,相当長期間にわたり年金に相当する金額が一時に課税の対象となって過大な税負担が生じる事態を避けるべきとの実質的な配慮の必要性があれば,長年の役務提供の対価として,退職したことに基づいて支給される性質のものであり,本来の退職一時金と同様に考えることができる限り,その一時金は同条3号及び所得税法施行令72条2項4号の「退職により支払われるもの」に該当するというべきである。 所得税法施行令72条2項4号は,「退職により支払われる」一時金を広く退職所得に含めており,「 及び所得税法施行令72条2項4号の「退職により支払われるもの」に該当するというべきである。 所得税法施行令72条2項4号は,「退職により支払われる」一時金を広く退職所得に含めており,「退職により」と規定することで,退職の事実と一時金支給の間に因果関係が認められれば,時間的近接性を要求しないこととしている。また,所得税法施行令72条2項4号は,一時金を受け取る者全てが退職者であることも要件としておらず,飽くまでも当該個人が退職により受け取った一時金であれば足りるとしている。 cIにおいて,本件年金基金の終了の直前に5億1258万2134円を補てんしたこと,本件年金保険契約に係る年金基金から本件年金信託契約に係る年金基金に15億3000万円を移管したこと,現役従業員を確定拠出型年金制度に移行させるために84億5000万円を拠出したこと,本件和解において本件各和解金を支払っていることからすれば,本件各一時金は,本件年金基金の残余財産の分配ではなく,本件各受給権者が将来にわたって受け取る本件年金信託契約部分の退職年金総額を現在価値に引き直したものというべきである。 また,本件各受給権者は,退職年金を受給していたところ,Iの勝手な事情により,将来にわたって受け取る退職年金を一時金として受給しなければならなくなったものであり,相当長期間にわたる年金に相当する金額が一時に課税の対象となって過大な税負担が生じる事態を避けるべきとの実質的な配慮が必要である。 そうすると,本件各一時金は,適格退職年金契約に基づき,受給権者が将来にわたって受け取ることのできる退職年金総額を現在価値に引き直したもので,長年の役務提供に対する対価として退職に基づいて支給される性質のものであり,本来の退職一時金と同様に考えることができるので,所得税法施行 け取ることのできる退職年金総額を現在価値に引き直したもので,長年の役務提供に対する対価として退職に基づいて支給される性質のものであり,本来の退職一時金と同様に考えることができるので,所得税法施行令72条2項4号の「適格退職年金契約に基づいて支給を受ける一時金で,その一時金が支給される基因となった勤務をした者の退職により支払われるもの」に該当するというべきである。 d 通達31-1(1)の趣旨は,退職後の事情の変更によって年金に代わる一時金の支給を受けた者について,相当長期間にわたる年金に相当する金額が一時に課税の対象となって過大な税負担が生じる事態を避けることが必要であるとの実質的な配慮の下に,当該一時金が過去の勤務に基づいて支給される年金給付の将来の総額に代えて支払われるものであれば退職所得と認めようというものである。 そうすると,「将来の年金給付の総額に代えて支払われるもの」という要件は,退職年金を分割して取得する場合のように退職一時金と同視することができない場合を除外するためのものであるといえる。 本件年金基金は,実質的には,途中解散が可能な本件年金信託契約に係る年金基金と,途中解散をすることができない本件年金保険契約に係る年金基金に分離されていたところ,Iが解散したのは,前者の本件年金信託契約に係る年金基金の全てであり,本件各一時金は,本件年金信託契約における将来年金給付の総額に代えて支払われたものにほかならない。 また,本件各受給権者にとっては,個人的事情で年金を一時金として受け取る選択一時金と,Iの都合で本件年金信託契約に係る年金基金が終了したことにより支払われる本件各一時金とでは,退職年金を一時金で受け取ることは同じであり,老後の生活の糧である一時金に累進税率の適用を緩和すべきという必要性も変わりな 金信託契約に係る年金基金が終了したことにより支払われる本件各一時金とでは,退職年金を一時金で受け取ることは同じであり,老後の生活の糧である一時金に累進税率の適用を緩和すべきという必要性も変わりないから,選択一時金と本件各一時金を区別して,前者のみに通達31-1(1)を適用する理由はない。 そうすると,本件各一時金には通達31-1(1)が適用又は準用されるべきである。 e したがって,本件各一時金については,「適格退職年金契約に基づいて支給を受ける一時金で,その一時金が支給される基因となった勤務をした者の退職により支払われるもの」(所得税法施行令72条2項4号)に該当し,また,通達31-1(1)も適用又は準用されるから,みなし退職所得に該当するというべきである。 (イ) 本件各一時金は一時所得に該当しないこと一時所得は,労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有さず,一時的,偶発的な所得をいうものとされているが,本件各一時金は,本件各受給権者が将来にわたって受け取る本件年金信託契約分の退職年金総額を現在価値に引き直したものであって,長年の勤務に対する対価性が認められるから,一時的,偶発的な所得とはいえない。 したがって,本件各一時金は一時所得に該当しない。 (2) 争点(2)(本件各一時金は平成17年分の所得であるか否か。)についてア被告の主張(ア) 所得税法36条1項は,その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額については,別段の定めがあるものを除き,その年において収入すべき金額とする旨規定している。 この規定を受けて,所得税基本通達36-13は,「一時所得の総収入金額の収入すべき時期は,その支払を受けた日によるものとする。ただし,その支払を受けるべき て収入すべき金額とする旨規定している。 この規定を受けて,所得税基本通達36-13は,「一時所得の総収入金額の収入すべき時期は,その支払を受けた日によるものとする。ただし,その支払を受けるべき金額がその日前に支払者から通知されているものについては,当該通知を受けた日により,令第183条第2項《生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算》に規定する生命保険契約等に基づく一時金・・・(略)・・・のようなものについては,その支払を受けるべき事実が生じた日による。」との取扱いを定めている。 所得税基本通達36-13は,一時所得が,一時的,偶発的な所得で,しかも,労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものとされており(所得税法34条1項),その収入金額は,その支払があって初めて収入のあったことを認識する場合が多いものと考えられることから,その計上時期は,一般的には,その支払があった日によるものとし,事前にその支払があることを当事者が認識しているような場合には,その支払日によらず,その支払があることを知った日又は支払を受けるべき権利が確定した日をもって,一時所得の収入金額の計上時期とすることを明らかにしたものであり,この取扱いは合理的なものである。 (イ) 本件各一時金は,本件年金制度の終了に伴って本件年金信託契約が解約されたことにより,本件年金基金の一部が本件年金規定31条の定めに従って本件各受給権者に分配されたものである。そして,本件年金信託契約は,所得税法施行令183条3項3号に規定する「退職年金に関する信託契約」に該当し,本件各一時金は,同条2項に規定する「生命保険契約等に基づく一時金」に該当するから,本件各一時金の収入すべき時期は「その支払を受けるべき事実が生じた日」となる。 そして 関する信託契約」に該当し,本件各一時金は,同条2項に規定する「生命保険契約等に基づく一時金」に該当するから,本件各一時金の収入すべき時期は「その支払を受けるべき事実が生じた日」となる。 そして,本件各受給権者に本件各一時金の支払を受けるべき事実が生じた日とは,本件年金信託契約が解約された平成17年4月1日である。 (ウ) したがって,本件各一時金の収入すべき時期は,平成17年4月1日の属する年分である平成17年分というべきである。 イ原告らの主張(ア) 本件年金制度は,受給権者及び加入者とIの間の退職年金契約,IとN信託銀行の間の本件年金信託契約,IとMの間の本件年金保険契約から成り立つ制度であり,Iが本件年金信託契約を解約したとしても,退職年金契約を解約しない限り,本件年金制度は終了せず,Iは退職年金の支払を余儀なくされる状況にあった。 そこで,Iは,退職年金契約を解約するために,受給権者及び加入者に対し,一時金の支払を条件とする合意解約の申入れを行ったが,本件各受給権者は,解約に合意せず,別件訴訟を提起した。別件訴訟においては,退職年金契約が平成17年3月31日に終了したか否かが争われ,Iが本件各和解金を支払うことなどを条件として,平成19年3月6日に本件和解が成立した。 すなわち,本件各受給権者は,平成19年3月6日の本件和解によって初めて退職年金契約の解約に合意したものであり,この合意解約によって,本件各受給権者が収入すべき権利が確定したものである。 (イ) したがって,本件各一時金の支払が確定したのは本件和解が成立した平成19年3月6日であるから,本件各一時金は平成19年分の所得に帰属するというべきである。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件各一時金は一時所得に該当するか否か。)について が成立した平成19年3月6日であるから,本件各一時金は平成19年分の所得に帰属するというべきである。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件各一時金は一時所得に該当するか否か。)について(1) 本件各一時金について,被告は所得税法34条1項に規定する一時所得に該当すると主張し,原告らは同法31条に規定するみなし退職所得に該当する旨主張しているところ,同法34条1項が,一時所得とは「利子所得,配当所得,不動産所得,事業所得,給与所得,退職所得,山林所得及び譲渡所得以外の所得」である旨規定していることから,初めに本件各一時金がみなし退職所得に該当するか否かについて検討し,その後,本件各一時金が一時所得に該当するか否かについて検討することとする。 (2) みなし退職所得についてア退職所得に関する所得税法の定め(ア) まず,みなし退職所得について検討する前提として,退職所得に関する所得税法の定めをみるに,同法において,退職所得とは「退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与」(以下「退職手当等」という。)に係る所得をいうものとされている(同法30条1項)。そして,所得税法は,退職所得について,その金額は,その年中の退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額とする(同法30条2項)とともに,上記退職所得控除額は,勤続年数に応じて増加することとして(同条3項),課税対象額が一般の給与所得に比較して少なくなるようにしており,また,税額の計算についても,他の所得と分離して累進税率を適用することとして(同法89条),税負担の軽減を図っている。 このように,退職所得について,所得税の課税上,他の所得と異なる優遇措置が講じられているのは,一般に,退職手 の所得と分離して累進税率を適用することとして(同法89条),税負担の軽減を図っている。 このように,退職所得について,所得税の課税上,他の所得と異なる優遇措置が講じられているのは,一般に,退職手当等の名称で退職を原因として一時に支給される金員は,その内容において,退職者が長期間特定の事業所等において勤務してきたことに対する報償及び上記期間中の就労に対する対価の一部分の累積たる性質を持つとともに,その機能において,受給権者の退職後の生活を保障し,多くの場合いわゆる老後の生活の糧となるものであって,他の一般の給与所得と同様に一律に累進税率による課税の対象とし,一時に高額の所得税を課することとしたのでは,公正を欠き,かつ社会政策的にも妥当でない結果を生ずることになるとの考え方に基づくものと解される。 そして,ある金員が,所得税法30条1項にいう「退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与」に当たるというためには,それが,①退職すなわち勤務関係の終了という事実によって初めて給付されること,②従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部の後払の性質を有すること,③一時金として支払われることとの要件を備えることが必要であり,また同項にいう「これらの性質を有する給与」に当たるというためには,それが,形式的には上記の各要件の全てを備えていなくても,実質的にみてこれらの要件の要求するところに適合し,課税上,上記「退職により一時に受ける給与」と同一に取り扱うことを相当とするものであることを必要とすると解すべきである(最高裁昭和58年9月9日第二小法廷判決・民集37巻7号962頁参照)。 (イ) そうすると,従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部の後払の性質を有する金員であっても,「退職に 高裁昭和58年9月9日第二小法廷判決・民集37巻7号962頁参照)。 (イ) そうすると,従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部の後払の性質を有する金員であっても,「退職により」支給されるものではないもの,例えば,在職中に使用者から支払われる一時金等は,原則として退職所得に該当せず,給与所得(所得税法28条1項)に該当するというべきであり,また,「一時に」支払われるものではないもの,例えば,退職後に使用者から継続的に支払われる年金は,原則として退職所得に該当せず,公的年金等に係る雑所得(同法35条3項2号)に該当するというべきである。 そして,退職に際し,従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部の後払の性質を有する金員を「一時に」支払うのではなく,継続的に年金として支払うこととされた場合において,年金支給が開始された後に,何らかの事由により上記年金がまとめて支給されることになったとしても,この支給される金員は,「退職」という事実によって初めて支給されるものとはいい難いだけでなく,雑所得としての性質を有する公的年金が一部繰上支給されたものとみるのが相当であるから,「退職により一時に受ける」給与であるとはいえず,原則として退職所得に該当しないというべきである。 イみなし退職所得に関する所得税法の定め(ア) 次に,みなし退職所得に関する所得税法の定めをみるに,同法31条は,①国民年金法及び厚生年金保険法(第9章の規定を除く。)等に基づく一時金等(同条1号),②厚生年金保険法第9章の規定に基づく一時金で,加入員の退職に基因して支払われるもの等(同条2号),③確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける一時金で,加入者の退職により支払われるものその他これに類する一時金として政令 に基づく一時金で,加入員の退職に基因して支払われるもの等(同条2号),③確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける一時金で,加入者の退職により支払われるものその他これに類する一時金として政令で定めるもの(同条3号)を,同法30条1項に規定する退職手当等とみなす旨規定している。 そして,所得税法施行令72条2項4号は,「適格退職年金契約に基づいて支給を受ける一時金で,その一時金が支給される基因となった勤務をした者の退職により支払われるもの」は所得税法31条3号に規定「一時金」に該当する旨規定している。 (イ) ここで,所得税法31条に規定する国民年金法,厚生年金保険法若しくは確定給付企業年金法に規定する制度又はこれに類する退職年金制度等に基づき支給される金員は,いずれも内部に留保されて使用者から直接支給されるものではなく,外部に拠出して運用されてそこから支給されるものであり,また,上記各制度は,公的年金等に係る雑所得(所得税法35条2項,3項)として課税の対象となる「年金」を支給することを目的とするものである。 それにもかかわらず,所得税法が同法31条各号に規定する各金員を退職手当等とみなすこととした趣旨は,これらの金員の大多数は,過去の雇用関係又は勤務関係を前提として,退職により支給されるものであって,その原資の一部は使用者が負担したものであることに加え,「年金」ではなく「一時金」として支払われるものであることから,上記アで述べた退職所得に優遇措置を講じている趣旨に照らし,使用者から支払われる退職手当等とみなして,これと同じ取扱いをするのが妥当であるという考え方によるものであると解される。 そして,みなし退職所得とされる「退職により支払われる」一時金と退職所得に該当する退職手当等は,支払を行うものが使用者であ いをするのが妥当であるという考え方によるものであると解される。 そして,みなし退職所得とされる「退職により支払われる」一時金と退職所得に該当する退職手当等は,支払を行うものが使用者であるか,それとも使用者以外の者であるかという相違があるものの,基本的性質は共通するから,みなし退職所得についても,上記アで退職所得について述べたところが該当するものというべきである。 (3) 本件各一時金のみなし退職所得該当性についてそこで,本件各一時金について,所得税法施行令72条2項4号に規定する「適格退職年金契約に基づいて支給を受ける一時金」で「退職により支払われるもの」として,みなし退職所得に該当するといえるかについて検討する。 アまず,本件各一時金が支払われるに至った経緯をみるに,前記争いのない事実及び証拠(甲2,3,乙4の2,5の2,6,N信託銀行に対する調査嘱託の結果)によれば,以下の各事実が認められる。 (ア) 本件各受給権者は,いずれもIに満10年以上勤続して定年退職したことにより,本件年金規定10条1項に基づき,本件年金制度に基づく退職年金の受給権を取得したところ,本件年金規定14条1項に規定する退職時の選択一時金を選択せず,退職年金の受給を開始していた。 (イ) Iは,本件年金制度の給付利率を確保することが困難な運用環境となり,給付利率を確保するための補てんを続けることにも限界があったことから,平成17年3月31日をもって,本件年金規定31条に基づき本件年金制度を終了し,退職年金の給付については,従前の年金給付の39.8パーセント(本件年金保険契約による支払に相当する部分)は,閉鎖型適格退職年金として給付を継続し,残りの60.2パーセント(本件年金信託契約による支払に相当する部分)は,同日の年金現価相当額,す 8パーセント(本件年金保険契約による支払に相当する部分)は,閉鎖型適格退職年金として給付を継続し,残りの60.2パーセント(本件年金信託契約による支払に相当する部分)は,同日の年金現価相当額,すなわち,運用利息を考慮して割引計算した上で将来の年金を一括で支払うこととして算出した金額を分配金として支払うこととし,平成16年8月以降,本件各受給権者を含む退職年金受給権者に対し,上記内容を通知するとともに,説明会を開催した。 また,Iは,平成16年11月18日,Iの従業員で組織される労働組合との間で,本件年金制度の終了に伴って本件年金制度の加入者(現役従業員)を確定拠出年金制度に移行させることに合意した。 (ウ) Iは,本件年金規定31条に基づき,平成17年4月1日付けで本件年金制度を終了させ,本件年金信託契約に係る年金基金の最終元本総額128億9436万9959円については,本件年金信託契約を解約した上で,同規定31条2号に基づき退職年金受給権者に対して分配金(合計126億9266万2770円)を支払い,残余は加入者に対して分配金の支払又は確定拠出年金制度への移換を行い,本件年金保険契約に係る年金基金の最終元本総額108億7601万6297円については,同規定31条1号に基づき,退職年金受給権者に対しては閉鎖型適格退職年金(その責任準備金が合計106億7772万5496円)として年金給付を継続し,加入者に対しては分配金の支払又は確定拠出年金制度への移換を行った。 本件年金信託契約に係る年金基金の最終元本総額128億9436万9959円については,本件年金規定31条2号に基づき,退職年金の保証部分(75歳までの期間)及び終身部分の60.2パーセントの年金現価計算を行った上で,その年金現価相当額が退職年金受給権者に対して分 59円については,本件年金規定31条2号に基づき,退職年金の保証部分(75歳までの期間)及び終身部分の60.2パーセントの年金現価計算を行った上で,その年金現価相当額が退職年金受給権者に対して分配され,その残余の部分(128億9436万9959円と126億9266万2770円の差額)が加入者に分配されるなどした。 なお,本件年金規定14条3項に基づく年金受給中の選択一時金の額は,選択時から保証期間(75歳までの期間)満了時までに支給を受けるべき年金現価相当額の全部であり,選択時における退職年金月額に残余支給期間に応じた率を乗じて算出することとされているところ,本件年金規定31条2号に基づき算出された上記分配金の方が退職年金受給権者に有利なものとなっていた。 (エ) Iは,平成17年4月20日付けの通知書により,本件各受給権者に対し,本件各一時金の額とともに,本件各一時金の受領を拒否する場合はこれを供託することを通知したが,本件各受給権者が本件各一時金の受領を拒否したため,N信託銀行が本件各一時金を供託した。 本件各受給権者は,I等を被告として,本件各受給権者が本件年金制度における減額前の退職年金の支払を受ける権利を有する地位にあることを確認する旨の別件訴訟を提起し,平成19年3月6日,本件各一時金が将来の年金給付の総額の60.2パーセントに代えて支払われるものであることを相互に確認し,Iが39.8パーセントの本件年金保険契約分は現状を維持して支払われることを確約することなどを内容とする本件和解をし,その後,本件各一時金の還付を受けた。 イ以上の各事実によれば,本件各受給権者は,既にIを退職して本件年金制度に基づく退職年金の受給を開始していたところ,Iが本件年金規定31条に基づき本件年金制度を終了させ,これに伴い本件 受けた。 イ以上の各事実によれば,本件各受給権者は,既にIを退職して本件年金制度に基づく退職年金の受給を開始していたところ,Iが本件年金規定31条に基づき本件年金制度を終了させ,これに伴い本件年金信託契約を解約したことにより,本件年金信託契約に基づき,将来の年金給付の総額の60.2パーセントに代えて本件各一時金の支払を受けることになったものであり,また,本件各一時金の額についても,退職年金受給権者の選択により支払われる選択一時金とは異なる計算方法により同条2号に基づき算出されたもので,退職年金受給権者に一時金として分配した後の本件年金信託契約に係る年金基金の残余は,加入者に対して分配金として支払われるなどしたものであると認められる。 そうすると,本件各一時金については,「適格退職年金契約に基づいて支給を受ける一時金」に該当するとは認められるものの,本件各一時金の支給は,Iが本件年金制度の終了に伴い適格退職年金契約である本件年金信託契約を解約し,本件年金信託契約に係る年金基金を退職年金受給権者及び加入者に分配したことによって行われたものであって,本件各受給権者がIを「退職」したという事実によって初めて支給されたものとは認められないこと,また,本件各一時金は,既にIを退職して本件年金制度に基づく退職年金を受給しており,公的年金等に係る雑所得としての課税関係が開始されていた本件各受給権者に対し,将来の年金給付の総額の60. 2パーセントに相当する金員が繰上支給されたものといえることからすれば,上記(2)で述べたところに照らし,「退職により支払われるもの」(所得税法施行令72条2項4号)には該当しないというべきである。 ウこれに対し,原告らは,Iが本件各一時金の支払前に本件年金基金に資金を拠出したことなどからすれば,本件各 により支払われるもの」(所得税法施行令72条2項4号)には該当しないというべきである。 ウこれに対し,原告らは,Iが本件各一時金の支払前に本件年金基金に資金を拠出したことなどからすれば,本件各一時金は,本件年金基金の残余財産の分配ではなく,本件各受給権者が将来にわたって受け取る本件年金信託契約部分の退職年金総額を現在価値に引き直したものというべきである旨主張するところ,確かに,上記アのとおり,本件各一時金は,本件各受給権者の将来の年金給付の総額の60.2パーセントの年金現価計算を行って算出された上で支払われたものであることが認められる。 しかしながら,Iが本件年金制度終了前に本件年金基金に資金を拠出するなどしたとしても,そのことによって,本件各一時金が本件各受給権者がIを「退職」したという事実によって初めて支給されたことになるわけではないから,本件各一時金が「退職により支払われるもの」(所得税法施行令72条2項4号)に該当するとはいえない。 エまた,原告らは,本件各一時金には通達31-1(1)が適用又は準用されるから,みなし退職所得に該当する旨主張するところ,確かに,通達31-1(1)は,所得税法31条3号に規定する「加入者の退職により支払われるものその他これに類する一時金として政令で定めるもの」には,「適格退職年金契約に基づいて支給される年金の受給資格者に対し当該年金に代えて支払われる一時金のうち,退職の日以後当該年金の受給開始日までの間に支払われるもの(年金の受給開始日後に支払われる一時金のうち,将来の年金給付の総額に代えて支払われるものを含む。)」が含まれるとしている。 しかしながら,上記アのとおり,本件各一時金は,既に退職年金の受給を開始している本件各受給権者に対して,その将来の年金給付の総額の60.2 代えて支払われるものを含む。)」が含まれるとしている。 しかしながら,上記アのとおり,本件各一時金は,既に退職年金の受給を開始している本件各受給権者に対して,その将来の年金給付の総額の60.2パーセントに代えて支払われたものであって,通達31-1(1)にいう「適格退職年金契約に基づいて支給される年金の受給資格者に対し当該年金に代えて支払われる一時金のうち,退職の日以後当該年金の受給開始日までの間に支払われるもの」に該当しないことはもとより,「年金の受給開始日後に支払われる一時金のうち,将来の年金給付の総額に代えて支払われるもの」に該当するともいえないから,本件各一時金には通達31-1(1)が適用又は準用されるのでみなし退職所得に該当する旨の原告らの主張は,その前提が欠けるものというほかない。 オしたがって,本件各一時金については,所得税法施行令72条2項4号に規定する「退職により支払われるもの」とは認められないから,みなし退職所得に該当するとはいえない。 (4) 本件各一時金の一時所得該当性について次に,本件各一時金が一時所得に該当するといえるかについて検討する。 アまず,一時所得に関する所得税法の規定をみるに,同法において,一時所得とは「利子所得,配当所得,不動産所得,事業所得,給与所得,退職所得,山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち,営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう」と規定されており(同法34条1項),一時所得は,一時的,偶発的に生じた所得であり,他の所得分類に該当しない所得であることに特色がある。 イ本件各一時金については,上記(3)アで述べたとおり,本件年金制度の終了に伴う本件年金信託契約の解約という一時的, じた所得であり,他の所得分類に該当しない所得であることに特色がある。 イ本件各一時金については,上記(3)アで述べたとおり,本件年金制度の終了に伴う本件年金信託契約の解約という一時的,偶発的な事由に基づき生じた所得であると認められるところ,本件各一時金は,利子所得,配当所得,不動産所得,事業所得,給与所得,退職所得,山林所得及び譲渡所得のいずれにも該当しないから,所得税法34条1項に規定する一時所得に該当するものというべきである。 また,所得税法施行令183条2項は,「生命保険契約等に基づく一時金(法第31条各号(退職手当等とみなす一時金)に掲げるものを除く。・・・(略)・・・)の支払を受ける居住者のその支払を受ける年分の当該一時金に係る一時所得の金額の計算」について規定しているところ,ここにいう「生命保険契約等」には,「退職年金に関する信託,生命保険又は生命共済の契約」が含まれている(同条3項3号)。そして,適格退職年金契約は,退職年金の支給のみを目的として事業主が信託会社等と締結した信託契約,生命保険契約又は生命共済契約(法人税法施行令附則16条1項1号及び2号)であり,上記「生命保険契約等」に該当するから,所得税法施行令183条2項は,適格退職年金契約に基づく一時金であって,みなし退職所得に該当しないものについては,一時所得に該当することを前提としているものと解される。そうすると,本件各一時金は,上記(3)で述べたとおり,適格退職年金契約に該当する本件年金信託契約に基づき支払われた一時金であって,みなし退職所得に該当しないから,この点からも,一時所得に該当するものというべきである。 これに対し,原告らは,本件各一時金は本件各受給権者が将来にわたって受け取る本件年金信託契約分の退職年金総額を現在価値に引き直したも いから,この点からも,一時所得に該当するものというべきである。 これに対し,原告らは,本件各一時金は本件各受給権者が将来にわたって受け取る本件年金信託契約分の退職年金総額を現在価値に引き直したものであって,長年の勤務に対する対価性が認められるから,一時所得には該当しない旨主張する。しかしながら,本件各受給権者において,長年勤務したことの対価として本件年金制度に基づく退職年金を受給していたという事情が存在したとしても,上記のとおり,本件各一時金が本件各受給権者に支払われることになったのは,本件年金制度の終了に伴う本件年金信託契約の解約という一時的,偶発的な事由によるものである以上,本件各一時金は一時所得に該当するものというべきである。 (5) まとめ以上によれば,本件各一時金については,みなし退職所得(所得税法31条1項3号,所得税法施行令72条2項4号)には該当せず,一時所得(同法34条1項)に該当するものというべきである。 2 争点(2)(本件各一時金は平成17年分の所得であるか否か。)について(1) 所得税法36条1項は,その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,その年において「収入すべき金額」と定め,収入した金額によるとしていないことからすると,同法は,現実の収入がなくても,その収入の原因となる権利が確定した場合には,その時点で所得の実現があったものとして上記権利確定の時期の属する年分の課税所得を計算するといういわゆる権利確定主義を採用しているものと解される(最高裁昭和49年3月8日第二小法廷判決・民集28巻2号186頁,最高裁昭和53年2月24日第二小法廷判決・民集32巻1号43頁参照)。所得税法がこのような権利確定主義を採用したの ものと解される(最高裁昭和49年3月8日第二小法廷判決・民集28巻2号186頁,最高裁昭和53年2月24日第二小法廷判決・民集32巻1号43頁参照)。所得税法がこのような権利確定主義を採用したのは,課税に当たって常に現実収入のときまで課税することができないとしたのでは,納税者の恣意を許し,課税の公平を期し難いので,徴税政策上の技術的見地から,収入の原因となる権利の確定した時期をとらえて徴税することとしたものと解される。 そして,いかなる場合に上記の収入の原因となる権利が確定するかについては,所得税法やその他関係法令をみても特に定められておらず,収入の原因となる権利にも様々な種類があることからすると,権利ごとにその特質を考慮して決定せざるを得ないものと解されるが,現実の収入がなくても,収入となるべき権利が発生した後,これを法律上行使することができるようになり,権利実現の可能性を客観的に認識することができる状態になったときは,権利が確定したといい得るものと解される。 (2) そこで,本件各一時金について,これを法律上行使することができるようになり,権利実現の可能性を客観的に認識することができる状態になったのはいつであるかについて検討するに,上記1のとおり,本件各一時金は,Iが本件年金制度の終了に伴い本件年金信託契約を解約したことによって支払われたものであるところ,前記争いのない事実(4)によれば,Iは平成17年4月1日付けで本件年金制度を終了させ本件年金信託契約も解約したことが認められるから,本件各一時金については,平成17年4月1日の時点で,これを法律上行使することができるようになり,権利実現の可能性を客観的に認識することができる状態になったものということができる。 (3) これに対し,原告らは,平成19年3月6日の本件 日の時点で,これを法律上行使することができるようになり,権利実現の可能性を客観的に認識することができる状態になったものということができる。 (3) これに対し,原告らは,平成19年3月6日の本件和解によって初めて本件各受給権者は退職年金契約の解約に合意し,この合意解約によって収入すべき権利が確定したものである旨主張する。 確かに,前記争いのない事実(4)によれば,本件各受給権者は,本件年金制度の終了を争って本件各一時金を受領せず,別件訴訟において本件和解が成立した後に,供託されていた本件各一時金の還付を受けたことが認められる。 しかしながら,前記争いのない事実(4)によれば,本件各受給権者は,平成17年4月20日付けの通知書により本件各一時金の額の通知を受けた後は,いつでも本件各一時金を受領し,又は供託された本件各一時金の還付を受けることが可能であっただけでなく,別件訴訟における本件和解においては,Iが本件年金制度終了に関する紛争の和解金を支払うことになったものの,供託された本件各一時金の額については何ら変更されることはなく,むしろ,本件各一時金が将来の年金給付の総額の60.2パーセントに代えて支払われるものであることを確認し,本件各受給権者が供託された本件各一時金の還付手続を行うものとされたことが認められる。 そうすると,本件各受給権者が本件年金制度の終了を争っていたとしても,本件各一時金については,平成17年4月1日の時点で,これを法律上行使することができるようになり,権利実現の可能性を客観的に認識することができる状態であったことには変わりがないし,平成19年3月6日にされた本件和解がこのような状態に変化を及ぼしたともいえないから,本件和解によって本件各一時金の支払を受ける権利が確定したとは認められない。 (4 あったことには変わりがないし,平成19年3月6日にされた本件和解がこのような状態に変化を及ぼしたともいえないから,本件和解によって本件各一時金の支払を受ける権利が確定したとは認められない。 (4) したがって,本件各一時金については,平成17年4月1日にその支払を受ける権利が確定したものであるから,本件各一時金は平成17年分の所得に帰属するものというべきである。 3 本件各更正処分等の適法性(1) これまで検討してきたところによれば,本件各一時金は,本件各受給権者の平成17年分の一時所得に該当するので,これに基づき算出した本件各受給権者の平成17年分の各所得税額は,別紙5「各課税処分の根拠及び適法性」記載のとおりであると認められ,これらは,本件各更正処分における本件各受給権者の平成17年分の各所得税額と同額であるから,本件各更正処分はいずれも適法というべきである。 (2) また,上記のとおり本件各更正処分は適法であるところ,本件各受給権者が本件各更正処分により新たに納付すべきこととなった税額については,その計算の基礎となった事実のうちに本件各更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて通則法65条4項に規定する正当な理由があると認められる事実があるとは認められないから,本件各受給権者の平成17年分の所得税に係る各過少申告加算税の額は,別紙5「各課税処分の根拠及び適法性」記載のとおりであると認められ,いずれも本件各賦課決定処分における各過少申告加算税の額と同額であるから,本件各賦課決定処分はいずれも適法というべきである。 第4 結論よって,原告らの請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 第4 結論よって,原告らの請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官定塚誠 裁判官竹林俊憲 裁判官馬場俊宏 別紙2関係法令の定め 1 所得税法(平成18年法律第10号による改正前のもの。以下同じ。)(1) 30条(退職所得)ア 1項退職所得とは,退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与(以下この条において「退職手当等」という。)に係る所得をいう。 イ 2項退職所得の金額は,その年中の退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額とする。 ウ 3項前項に規定する退職所得控除額は,次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額とする。 一政令で定める勤続年数(以下この項において「勤続年数」という。)が20年以下である場合 40万円に当該勤続年数を乗じて計算した金額二勤続年数が20年を超える場合 800万円と70万円に当該勤続年数から20年を控除した年数を乗じて計算した金額との合計額(2) 31条(退職手当等とみなす一時金)次に掲げる一時金は,この法律の規定の適用については,前条第1項に規定する退職手当等とみなす。 一国民年金法,厚生年金保険法(・・・(略)・・・)(第9章(厚生年金基金及び企業年金連合会)の規定を除く。),国家公務員共済組合法(・・・(略)・・・),地方公務員等共済組合法(・・・(略)・・ 一国民年金法,厚生年金保険法(・・・(略)・・・)(第9章(厚生年金基金及び企業年金連合会)の規定を除く。),国家公務員共済組合法(・・・(略)・・・),地方公務員等共済組合法(・・・(略)・・・),私立学校教職員共済法(・・・(略)・・・)及び独立行政法人農業者年金基金法(・・・(略)・・・)の規定に基づく一時金その他これらの法律の規定による社会保険又は共済に関する制度に類する制度に基づく一時金(これに類する給付を含む。第3号において同じ。)で政令で定めるもの二厚生年金保険法第9章の規定に基づく一時金で同法第122条(加入員)に規定する加入員の退職に基因して支払われるもの及び石炭鉱業年金基金法(・・・(略)・・・)の規定に基づく一時金で同法第16条第1項(坑内員に関する給付)又は第18条第1項(坑外員に関する給付)に規定する坑内員又は坑外員の退職に基因して支払われるもの三確定給付企業年金法(・・・(略)・・・)の規定に基づいて支給を受ける一時金で同法第25条第1項(加入者)に規定する加入者の退職により支払われるもの(・・・(略)・・・)その他これに類する一時金として政令で定めるもの(3) 34条(一時所得)ア 1項一時所得とは,利子所得,配当所得,不動産所得,事業所得,給与所得,退職所得,山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち,営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。 イ 2項一時所得の金額は,その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため,又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)の合計額を控除し,その残額から一時所得の特別控除額を控除し 入金額からその収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため,又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)の合計額を控除し,その残額から一時所得の特別控除額を控除した金額とする。 ウ 3項前項に規定する一時所得の特別控除額は,50万円(同項に規定する残額が50万円に満たない場合には,当該残額)とする。 (4) 35条(雑所得)ア 1項雑所得とは,利子所得,配当所得,不動産所得,事業所得,給与所得,退職所得,山林所得,譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。 イ 2項雑所得の金額は,次の各号に掲げる金額の合計額とする。 一その年中の公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を控除した残額二その年中の雑所得(公的年金等に係るものを除く。)に係る総収入金額から必要経費を控除した金額ウ 3項前項に規定する公的年金等とは,次に掲げる年金をいう。 一第31条第1号及び第2号(退職手当等とみなす一時金)に規定する法律の規定に基づく年金その他同条第1号に規定する制度に基づく年金(これに類する給付を含む。第3号において同じ。)で政令で定めるもの二恩給(一時恩給を除く。)及び過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金三確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金(・・・(略)・・・)その他これに類する年金として政令で定めるもの(5) 36条(収入金額)1項その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもって収入する場合には,その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。 2 所得税法施行令 定めがあるものを除き,その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもって収入する場合には,その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。 2 所得税法施行令(平成18年政令第124号による改正前のもの。以下同じ。)(1) 72条(退職手当等とみなす一時金)2項法第31条第3号に規定する政令で定める一時金(これに類する給付を含む。)は,次に掲げる一時金とする。 一から三まで ・・・(略)・・・四法人税法附則第20条第3項(退職年金等積立金に対する法人税の特例)に規定する適格退職年金契約に基づいて支給を受ける一時金で,その一時金が支給される基因となった勤務をした者の退職により支払われるもの(・・・(略)・・・)五から七まで ・・・(略)・・・(2) 82条の2(公的年金等とされる年金)2項法第35条第3項第3号に規定する政令で定める年金(これに類する給付を含む。)は,次に掲げる給付とする。 一から三まで ・・・(略)・・・四法人税法附則第20条第3項(退職年金等積立金に対する法人税の特例)に規定する適格退職年金契約に基づいて支給を受ける退職年金(・・・(略)・・・)五 ・・・(略)・・・(3) 183条(生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算上控除する保険料等)ア 2項生命保険契約等に基づく一時金(法第31条各号(退職手当等とみなす一時金)に掲げるものを除く。以下この項において同じ。)の支払を受ける居住者のその支払を受ける年分の当該一時金に係る一時所得の金額の計算については,次に定めるところによる。 一から三まで ・・・(略)・・・イ 3項前2項に規定する生命保険契約等とは,次に掲げる契約又は規約をいう。 一,二 ・・・(略)・ 時所得の金額の計算については,次に定めるところによる。 一から三まで ・・・(略)・・・イ 3項前2項に規定する生命保険契約等とは,次に掲げる契約又は規約をいう。 一,二 ・・・(略)・・・三退職年金に関する信託,生命保険又は生命共済の契約四から六まで ・・・(略)・・・ 3 法人税法附則20条(退職年金等積立金に対する法人税の特例)3項前2項に規定する適格退職年金契約とは,退職年金に関する信託,生命保険又は生命共済の契約(平成14年4月1日前に締結されたもの(・・・(略)・・・)に限る。)で,その契約に係る掛金又は保険料及び給付の額が適正な年金数理に基づいて算定されていることその他の政令で定める要件を備えたものをいう。 4 法人税法施行令附則16条(適格退職年金契約の要件等)1項法附則第20条第3項(適格退職年金契約の意義)に規定する政令で定める要件を備えたものは,その契約の内容が次に掲げる要件に該当するものとして国税庁長官の承認を受けた退職年金に関する信託,生命保険又は生命共済の契約とする。 一退職年金(退職年金の支給要件が満たされないため,又は退職年金に代えて支給する退職一時金を含む。以下この項において同じ。)の支給のみを目的とするものであること。 二事業主が信託会社(・・・(略)・・・),生命保険会社(・・・(略)・・・)又は農業協同組合連合会(・・・(略)・・・)と締結した信託契約,生命保険契約又は生命共済契約で,事業主がその使用人(・・・(略)・・・)を受益者,保険金受取人又は共済金受取人(・・・(略)・・・)として掛金又は保険料(・・・(略)・・・)を払い込み,信託会社,生命保険会社又は農業協同組合連合会が当該受益者等の退職について退職年金を支給することを約したものであること。 (・・・(略)・・・)として掛金又は保険料(・・・(略)・・・)を払い込み,信託会社,生命保険会社又は農業協同組合連合会が当該受益者等の退職について退職年金を支給することを約したものであること。 三以下 ・・・(略)・・・別紙3本件年金規定等の定め第1 本件年金規定 1 3条(退職年金制度への加入および脱退)退職年金制度への加入資格は,従業員に採用されたときに取得する。 ・・・(略)・・・加入した従業員を加入者という。 加入者が退職(役員就任を含む。)または死亡したときは,加入者の資格を喪失する。 2 4条(給付の種類)退職年金制度に基づく給付の種類は,次のとおりとする。 (1) 年金ア退職年金イ遺族年金(2) 退職一時金 3 10条(退職年金の支給事由)(1) 1項勤続満10年以上の加入者が定年退職したときに,退職年金を支給する。 (2) 3項前2項により退職年金の受給権を取得した者を退職年金受給権者という。 4 11条(退職年金の支給期間及び支給開始時期)1項前条第1項による退職年金の支給期間は,定年退職日の属する月の翌月を支給開始時期として終身とする。但し,保証期間は,支給開始後満75歳に達する日の属する月までの期間とする。 5 13条(退職年金に代わる一時金の選択)(1) 1項加入者又は退職年金受給権者が,次の各号の一に該当する事由によって,退職年金の一時払を希望したときは,保証期間中に支給を受けるべき年金の現価相当額の一定割合を一時金(以下「選択一時金」という。)として選択することができる。 1 災害 2 重疾病,後遺症を伴う重度の心身障害(・・・(略)・・・) 3 生計を一にする親族の死亡 4 住宅の取得 5 生計を一にする親族(配偶者 という。)として選択することができる。 1 災害 2 重疾病,後遺症を伴う重度の心身障害(・・・(略)・・・) 3 生計を一にする親族の死亡 4 住宅の取得 5 生計を一にする親族(配偶者を除く。)の結婚又は進学 6 債務の弁済 7 その他前各号に準ずる事由(2) 2項選択一時金は,退職時から3年以内までの間にのみ選択できる。 ただし,前項第1号から第3号に該当するときは,退職時から保証期間の間に選択することができる。 6 14条(選択一時金の額)(1) 1項退職時の選択一時金の額は,加入者の希望により,次のいずれかの額とする。 1 (退職一時金算定基礎額)×(勤続年数に応じ別表(2)イに定める退職一時金支給率) 2 前号により算出した額の75% 3 第1号により算出した額の50% 4 第1号により算出した額の25%(2) 3項年金受給中の選択一時金の額は,選択時から保証期間満了時までに支給を受けるべき残余の年金現価相当額の全部とし,選択時における退職年金月額に,保証期間満了月までの残余支給期間に応じ,別表(3)に定める率を乗じて算出する。 7 15条(一時金選択後の退職年金の取扱い)(1) 1項加入者又は退職年金受給権者が前2条により退職年金の全部を一時金として選択したときは,以後の退職年金は支給しない。 (2) 2項加入者又は退職年金受給権者が前2条により退職年金の一部を一時金として選択したときの退職年金の月額は,以後次の各号の一に定める額とする。 1から3まで ・・・(略)・・・ 8 16条(少額年金の一時払)第12条第1項及び第2項又は第15条第2項の計算により得られた当該退職年金の月額が10000円未満のときは,将来の年金の支給に代えて保証期間中に支給を受けるべき年金現 16条(少額年金の一時払)第12条第1項及び第2項又は第15条第2項の計算により得られた当該退職年金の月額が10000円未満のときは,将来の年金の支給に代えて保証期間中に支給を受けるべき年金現価相当額を一時に支給し,以後退職年金は支給しない。 9 26条(契約の締結)会社は,退職年金制度を運営するために,生命保険会社と新企業年金保険契約を,信託会社と年金特定金銭信託契約及び年金信託契約を法人税法に基づく適格退職年金契約としてそれぞれ締結し,年金基金を設定する。 27条(掛金)この規定に定める給付の財源に充てるため,適正な年金数理に基づいて算定された所要の掛金は,全額会社が負担する。 11 31条(基金の分配)退職年金制度が終了したときは,年金基金を次の各号により処分する。 1 新企業年金保険契約に係る年金基金は,退職年金制度終了日における勤続年数にその時の退職金算定基礎額を乗じて得た額に比例して計算される額を各加入者に分配する。但し,年金の支給を受ける権利を有している者には終了の効力は及ばない。 2 年金特定金銭信託契約及び年金信託契約に係る年金基金は,年金の支給を受ける権利を有する者に年金の現価相当額に達するまで当該現価相当額に比例して分配し,なお残余があるときは,年金の支給を受ける権利を有しない加入者に退職年金制度終了日における勤続年数にその時の退職金算定基礎額を乗じて得た額に比例して分配する。 第2 本件年金規定細則 1 1条(趣旨)退職年金制度の運営の細部については,この細則の定めるところによる。 2 2条(契約の割合)退職年金規定第26条に定める新企業年金保険契約ならびに年金特定信託契約及び年金信託契約による支払い及び掛金の拠出の割合は,次の通りとする。 1 支払拠出の割合① 。 2 2条(契約の割合)退職年金規定第26条に定める新企業年金保険契約ならびに年金特定信託契約及び年金信託契約による支払い及び掛金の拠出の割合は,次の通りとする。 1 支払拠出の割合① 新企業年金保険契約 39.8%② 年金特定信託契約 0%③ 年金信託契約 60.2% 2 掛金の拠出の割合① 新企業年金保険契約 52.1%② 年金特定信託契約 0%③ 年金信託契約 47.9%別紙5各課税処分の根拠及び適法性第1 原告A 1 更正処分の根拠被告が本訴において主張する原告Aの平成17年分の所得税額等は,次のとおりである。 (1) 総所得金額 1605万7605円上記金額は,次のアの雑所得の金額とイの一時所得の金額の2分の1に相当する金額1241万4962円との合計額である(所得税法22条2項)。 ア雑所得の金額 364万2643円上記金額は,所得税法35条2項1号の規定に従って,原告Aの平成17年中の公的年金等の収入金額520万8992円(社会保険庁から支払われた老齢基礎厚生年金に係る収入金額288万5592円とMから支払われた適格退職年金契約に基づく年金に係る収入金額232万3400円との合計額)から,同条4項に規定する公的年金等控除額(租税特別措置法(平成20年法律第23号による改正前のもの。)41条の15の2第1項の特例を適用したもの。以下同じ。)を控除した残額である。 イ一時所得の金額 2482万9925円上記金額は,原告Aに分配されることとなった本件各一時金の額2532万9925円から,所得税法34条3項に規定する一時所得の特別控除 時所得の金額 2482万9925円上記金額は,原告Aに分配されることとなった本件各一時金の額2532万9925円から,所得税法34条3項に規定する一時所得の特別控除額50万円を,同条2項の規定に基づいて控除した後の金額である。 (2) 所得控除の額の合計額 130万6929円上記金額は,次のア及びイの各金額の合計額である。 ア社会保険料控除の額 31万7939円上記金額は,原告Aが平成18年3月15日に京橋税務署長に提出した平成17年分所得税の確定申告書に記載した社会保険料控除の額36万2519円から,原告Aの妻が平成17年中に支払った介護保険料の額4万4580円を控除した残額である。 イその他の所得控除の額 98万8990円上記金額は,原告Aが上記確定申告書に記載した医療費控除の額17万5990円,生命保険料控除の額5万円,損害保険料控除の額3000円,配偶者控除の額38万円及び基礎控除の額38万円の合計額と同額である。 (3) 課税総所得金額 1475万円上記金額は,上記(1)の総所得金額1605万7605円から上記(2)の所得控除の額の合計額130万6929円を控除した後の金額(ただし,国税通則法(以下「通則法」という。)118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 (4) 納付すべき税額 270万6400円上記金額は,次のアの課税総所得金額に対する税額から,イの定率減税額及びウの源泉徴収税額の各金額を差し引いた後の金額(ただし,通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの 上記金額は,次のアの課税総所得金額に対する税額から,イの定率減税額及びウの源泉徴収税額の各金額を差し引いた後の金額(ただし,通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 ア課税総所得金額に対する税額 319万5000円上記金額は,上記(3)の課税総所得金額1475万円に所得税法89条1項の税率を乗じて算出した金額である。 イ定率減税額 25万円上記金額は,経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律(ただし,平成17年法律第21号による改正前のもの。以下「負担軽減措置法」という。)6条2項の規定により算出した定率減税額である。 ウ源泉徴収税額 23万8600円上記金額は,原告Aが上記確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。  2 更正処分の適法性被告が本訴において主張する原告Aの平成17年分の所得税の納付すべき税額は,上記1の(4)で述べたとおり270万6400円であるところ,当該金額は,京橋税務署長が平成21年3月9日付けで原告Aに対してした平成17年分の所得税の更正処分(以下「原告A更正処分」という。)に係る納付すべき税額と同額であるから,原告A更正処分は適法である。 3 過少申告加算税賦課決定処分の根拠上記2のとおり,原告A更正処分は適法であるところ,原告Aが原告A更正処分により新たに納付すべきこととなった税額273万6500円については,その計算の基礎となった事実のうちに原告A更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて通則法65条4項に規定する「正当な理由」があると認められる事実があるとは認められない については,その計算の基礎となった事実のうちに原告A更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて通則法65条4項に規定する「正当な理由」があると認められる事実があるとは認められない。 したがって,原告A更正処分に伴って賦課される過少申告加算税の額は,通則法65条2項の規定に基づき,①同条1項により原告Aが原告A更正処分によって新たに納付すべきこととなった税額273万円(同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に,100分の10の割合を乗じて算出した金額27万3000円に,②上記新たに納付すべきこととなった税額273万6500円のうち,期限内申告税額(同法65条3項2号)に相当する金額20万8500円と50万円とのいずれか多い金額を超える部分に相当する税額223万円(同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に,100分の5の割合を乗じて算出した金額11万1500円を,加算した金額38万4500円である。 4 過少申告加算税賦課決定処分の適法性被告が本訴において主張する過少申告加算税の額は,上記3のとおり38万4500円であるところ,当該金額は,京橋税務署長が平成21年3月9日付けで原告Aに対してした平成17年分の所得税の過少申告加算税賦課決定処分における過少申告加算税の額と同額であるから,上記A賦課決定処分は適法である。 第2 亡B 1 更正処分の根拠被告が本訴において主張する亡Bの平成17年分の所得税額等は,次のとおりである。 (1) 総所得金額 664万3530円上記金額は,次のアの雑所得の金額とイの一時所得の金額の2分の1に相当する金額391万2427円との合計額である(所得税法22条2項)。 ア 664万3530円上記金額は,次のアの雑所得の金額とイの一時所得の金額の2分の1に相当する金額391万2427円との合計額である(所得税法22条2項)。 ア雑所得の金額 273万1103円上記金額は,亡Bが平成18年3月15日に世田谷税務署長に提出した平成17年分の所得税の確定申告書に記載した雑所得の金額と同額である。 イ一時所得の金額 782万4854円上記金額は,亡Bに分配されることとなった本件各一時金の額832万4854円から,所得税法34条3項に規定する一時所得の特別控除額50万円を,同条2項の規定に基づいて控除した後の金額である。 (2) 所得控除の額の合計額 96万9000円上記金額は,亡Bが上記確定申告書に記載した所得控除の額の合計額と同額である。 (3) 課税総所得金額 567万4000円上記金額は,上記(1)の総所得金額664万3530円から上記(2)の所得控除の額の合計額96万9000円を控除した後の金額(ただし,通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 (4) 納付すべき税額 48万3700円上記金額は,次のアの課税総所得金額に対する税額から,イの定率減税額及びウの源泉徴収税額の各金額を差し引いた後の金額(ただし,通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 ア課税総所得金額に対する税額 80万4800円上記金額は,上記(3)の課税総所得金額567万4000円に所得税法89条1項の税率を乗じて算出し 捨てた後のもの。)である。 ア課税総所得金額に対する税額 80万4800円上記金額は,上記(3)の課税総所得金額567万4000円に所得税法89条1項の税率を乗じて算出した金額である。 イ定率減税額 16万0960円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により算出した定率減税額である。 ウ源泉徴収税額 16万0128円上記金額は,亡Bが上記確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 2 更正処分の適法性被告が本訴において主張する亡Bの平成17年分の所得税の納付すべき税額は,上記1の(4)で述べたとおり48万3700円であるところ,当該金額は,世田谷税務署長が平成21年3月9日付けで亡Bに対してした平成17年分の所得税の更正処分(以下「亡B更正処分」という。)に係る納付すべき税額と同額であるから,亡B更正処分は適法である。 3 過少申告加算税賦課決定処分の根拠上記2のとおり,亡B更正処分は適法であるところ,亡Bが亡B更正処分により新たに納付すべきこととなった税額50万2800円については,その計算の基礎となった事実のうちに亡B更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて通則法65条4項に規定する「正当な理由」があると認められる事実があるとは認められない。 したがって,亡B更正処分に伴って賦課される過少申告加算税の額は,通則法65条1項の規定に基づき,亡Bが亡B更正処分によって新たに納付すべきこととなった税額50万円(同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に,100分の10の割合を乗じて算出した金額5万円である。 4 過少申告加算税賦課決定処分の適法性被告が 0万円(同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に,100分の10の割合を乗じて算出した金額5万円である。 4 過少申告加算税賦課決定処分の適法性被告が本訴において主張する過少申告加算税の額は,上記3のとおり5万円であるところ,当該金額は,世田谷税務署長が平成21年3月9日付けで亡Bに対してした過少申告加算税賦課決定処分における過少申告加算税の額と同額であるから,上記賦課決定処分は適法である。 第3 原告C 1 更正処分の根拠被告が本訴において主張する原告Cの平成17年分の所得税額等は,次のとおりである。 (1) 総所得金額 1244万0990円上記金額は,次のアの事業所得の金額,イの雑所得の金額及びウの一時所得の金額の2分の1に相当する金額873万4468円の合計額である(所得税法22条2項)。 ア事業所得の金額 25万8683円上記金額は,原告Cが平成18年3月15日に江東西税務署長に提出した平成17年分の所得税の確定申告書に記載した事業所得の金額と同額である。 イ雑所得の金額 344万7839円上記金額は,原告Cが上記確定申告書に記載した雑所得の金額と同額である。 ウ一時所得の金額 1746万8937円上記金額は,原告Cに分配されることとなった本件各一時金の額1796万8937円から,所得税法34条3項に規定する一時所得の特別控除額50万円を,同条2項の規定に基づいて控除した後の金額である。 (2) 所得控除の額の合計額 78万8869円上記金額は,原告Cが上記確定申告書に記載した所得控除の額の合計額 同条2項の規定に基づいて控除した後の金額である。 (2) 所得控除の額の合計額 78万8869円上記金額は,原告Cが上記確定申告書に記載した所得控除の額の合計額と同額である。 (3) 課税総所得金額 1165万2000円上記金額は,上記(1)の総所得金額1244万0990円から上記(2)の所得控除の額の合計額78万8869円を控除した後の金額(ただし,通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 (4) 納付すべき税額 114万3000円上記金額は,次のアの課税総所得金額に対する税額から,イの住宅借入金等特別税額控除額,ウの定率減税額及びエの源泉徴収税額の各金額を差し引いた後の金額(ただし,通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 ア課税総所得金額に対する税額 226万5600円上記金額は,上記(3)の課税総所得金額1165万2000円に所得税法89条1項の税率を乗じて算出した金額である。 イ住宅借入金等特別税額控除額 13万0600円上記金額は,原告Cが上記確定申告書に記載した住宅借入金等特別税額控除額と同額である。 ウ定率減税額 25万円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により算出した定率減税額である。 エ源泉徴収税額 74万1930円上記金額は,原告Cが上記確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 2 更正処分の適法性被告が本訴において主張する原告Cの平成17年分の所得税の納付すべき税額 万1930円上記金額は,原告Cが上記確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 2 更正処分の適法性被告が本訴において主張する原告Cの平成17年分の所得税の納付すべき税額は,上記1の(4)で述べたとおり114万3000円であるところ,当該金額は,江東西税務署長が平成21年3月9日付けで原告Cに対してした平成17年分の所得税の更正処分(以下「原告C更正処分」という。)に係る納付すべき税額と同額であるから,原告C更正処分は適法である。 3 過少申告加算税賦課決定処分の根拠上記2のとおり,原告C更正処分は適法であるところ,原告Cが原告C更正処分により新たに納付すべきこととなった税額175万6000円については,その計算の基礎となった事実のうちに原告C更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて通則法65条4項に規定する「正当な理由」があると認められる事実があるとは認められない。 したがって,原告C更正処分に伴って賦課される過少申告加算税の額は,通則法65条2項の規定に基づき,①同条1項により原告が原告C更正処分によって新たに納付すべきこととなった税額175万円(同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に,100分の10の割合を乗じて算出した金額17万5000円に,②上記新たに納付すべきこととなった税額175万6000円のうち,期限内申告税額(同法65条3項2号)に相当する金額12万8880円と50万円とのいずれか多い金額を超える部分に相当する税額125万円(同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に,100分の5の割合を乗じて算出した金額6万2500円を,加算した金額23万7500円である。 4 過少申告加算税賦課決定処分の適法性被告が 定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に,100分の5の割合を乗じて算出した金額6万2500円を,加算した金額23万7500円である。 4 過少申告加算税賦課決定処分の適法性被告が本訴において主張する過少申告加算税の額は,上記3のとおり23万7500円であるところ,当該金額は,江東西税務署長が平成21年3月9日付けで原告Cに対してした過少申告加算税賦課決定処分における過少申告加算税の額と同額であるから,上記賦課決定処分は適法である。 第4 原告D 1 更正処分の根拠被告が本訴において主張する原告Dの平成17年分の所得税額等は,次のとおりである。 (1) 総所得金額 205万6057円上記金額は,次のアの事業所得の金額(損失の額)をイの雑所得の金額及びウの一時所得の金額から順次控除し(所得税法69条1項及び同法施行令198条),当該控除後の一時所得の金額の2分の1に相当する金額608万4517円(同法22条2項2号)から,エの平成16年分から繰り越された純損失の金額(同法70条1項)を控除した後の金額である。 ア事業所得の金額 △378万2950円上記金額は,原告Dが平成18年2月20日に船橋税務署長に提出した平成17年分の所得税の確定申告書に記載した事業所得の金額と同額である。 なお,金額の前の△は,損失の額を表す。 イ雑所得の金額 221万9407円上記金額は,所得税法35条2項1号の規定に従って,原告Dの平成17年中の公的年金等の収入金額345万9210円(社会保険庁から支払われた老齢基礎厚生年金に係る収入金額231万6130円とMから支払われた適格退職年金契約に基づく年金に係る収入金額11 Dの平成17年中の公的年金等の収入金額345万9210円(社会保険庁から支払われた老齢基礎厚生年金に係る収入金額231万6130円とMから支払われた適格退職年金契約に基づく年金に係る収入金額114万3080円との合計額)から,同条4項に規定する公的年金等控除額を控除した残額である。 ウ一時所得の金額 1373万2577円上記金額は,原告Dに分配されることとなった本件各一時金の額1423万2577円から,所得税法34条3項に規定する一時所得の特別控除額50万円を,同条2項の規定に基づいて控除した後の金額である。 エ平成16年分から繰り越された純損失の金額 402万8460円上記金額は,所得税法143条に規定する青色申告の承認を受けている原告Dが,平成16年分の事業所得について生じた純損失の金額であるとして,同年分の青色申告書に記載した金額である。 (2) 所得控除の額の合計額 38万円上記金額は,原告Dが平成17年分の確定申告書に記載した所得控除の額の合計額と同額である。 (3) 課税総所得金額 167万6000円上記金額は,上記(1)の総所得金額205万6057円から上記(2)の所得控除の額の合計額38万円を控除した後の金額(ただし,通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 (4) 納付すべき税額 △12万5353円上記金額は,次のアの課税総所得金額に対する税額から,イの定率減税額及びウの源泉徴収税額の各金額を差し引いた後の金額である。 なお,金額の前の△は,還付金の額に相当する税額を表す。以下同じ。 ア課税総所得金額に対する税額 金額に対する税額から,イの定率減税額及びウの源泉徴収税額の各金額を差し引いた後の金額である。 なお,金額の前の△は,還付金の額に相当する税額を表す。以下同じ。 ア課税総所得金額に対する税額 16万7600円上記金額は,上記(3)の課税総所得金額167万6000円に所得税法89条1項の税率を乗じて算出した金額である。 イ定率減税額 3万3520円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により算出した定率減税額である。 ウ源泉徴収税額 25万9433円上記金額は,原告Dが上記確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 2 更正処分の適法性被告が本訴において主張する原告Dの平成17年分の所得税の納付すべき税額は,上記1の(4)で述べたとおり△12万5353円であるところ,当該金額は,船橋税務署長が平成21年3月9日付けで原告Dに対してした平成17年分の所得税の更正処分(以下「原告D更正処分」という。)に係る納付すべき税額と同額であるから,原告D更正処分は適法である。 3 過少申告加算税賦課決定処分の根拠上記2のとおり,原告D更正処分は適法であるところ,原告Dが原告D更正処分により新たに納付すべきこととなった税額13万4000円については,その計算の基礎となった事実のうちに原告D更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて通則法65条4項に規定する「正当な理由」があると認められる事実があるとは認められない。 したがって,原告D更正処分に伴って賦課される過少申告加算税の額は,通則法65条1項により原告が原告D更正処分によって新たに納付することとなった税額13万円(同法118条3項の規定により1万円未 したがって,原告D更正処分に伴って賦課される過少申告加算税の額は,通則法65条1項により原告が原告D更正処分によって新たに納付することとなった税額13万円(同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)を基礎として,これに100分の10の割合を乗じて算出した金額1万3000円である。 4 過少申告加算税賦課決定処分の適法性被告が本訴において主張する過少申告加算税の額は,上記3のとおり1万3000円であるところ,当該金額は,船橋税務署長が平成21年3月9日付けで原告Dに対してした過少申告加算税賦課決定処分における過少申告加算税の額と同額であるから,上記賦課決定処分は適法である。 第5 亡E 1 更正処分の根拠被告が本訴において主張する亡Eの平成17年分の所得税額等は,次のとおりである。 (1) 総所得金額 962万9245円上記金額は,次のアの雑所得の金額とイの一時所得の金額の2分の1に相当する金額896万7464円との合計額である(所得税法22条2項)。 ア雑所得の金額 66万1781円上記金額は,次の(ア)及び(イ)の各金額の合計額である。 (ア) 公的年金等に係る雑所得の金額 321万3631円上記金額は,所得税法35条2項1号の規定に従って,亡Eの平成17年中の公的年金等の収入金額470万4272円(社会保険庁から支払われた老齢基礎厚生年金に係る収入金額286万5192円とMから支払われた適格退職年金契約に基づく年金に係る収入金額183万9080円との合計額)から,同条4項に規定する公的年金等控除額を控除した残額である。 (イ) 上記(ア)以外の雑所得の金額 △255万1850円 契約に基づく年金に係る収入金額183万9080円との合計額)から,同条4項に規定する公的年金等控除額を控除した残額である。 (イ) 上記(ア)以外の雑所得の金額 △255万1850円上記金額は,所得税法35条2項2号の規定に従って,亡Eの平成17年中の上記(ア)以外の雑所得に係る収入金額9万0128円から,当該収入金額に係る必要経費264万1978円を控除した金額である。 なお,金額の前の△は損失を表す。 イ一時所得の金額 1793万4928円上記金額は,亡Eに分配されることとなった本件各一時金の額1843万4928円から,所得税法34条3項に規定する一時所得の特別控除額50万円を,同条2項の規定に基づいて控除した後の金額である。 (2) 所得控除の額の合計額 115万1255円上記金額は,亡Eが平成18年3月2日に荻窪税務署長に提出した平成17年分の所得税の確定申告書に記載した所得控除の額の合計額と同額である。 (3) 課税総所得金額 847万7000円上記金額は,上記(1)の総所得金額962万9245円から上記(2)の所得控除の額の合計額115万1255円を控除した後の金額(ただし,通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 (4) 納付すべき税額 90万4600円上記金額は,次のアの課税総所得金額に対する税額から,イの定率減税額及びウの源泉徴収税額の各金額を差し引いた後の金額(ただし,通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 ア課税総所得金額に対する税額 136万5400円 税額の各金額を差し引いた後の金額(ただし,通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 ア課税総所得金額に対する税額 136万5400円上記金額は,上記(3)の課税総所得金額847万7000円に所得税法89条1項の税率を乗じて算出した金額である。 イ定率減税額 25万円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により算出した定率減税額である。 ウ源泉徴収税額 21万0748円上記金額は,原告が上記確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 2 更正処分の適法性被告が本訴において主張する亡Eの平成17年分の所得税の納付すべき税額は,上記1の(4)で述べたとおり90万4600円であるところ,当該金額は,荻窪税務署長が平成21年3月10日付けで亡Eに対してした平成17年分の所得税の更正処分(以下「亡E更正処分」という。)に係る納付すべき税額と同額であるから,亡E更正処分は適法である。 3 過少申告加算税賦課決定処分の根拠上記2のとおり,亡E更正処分は適法であるところ,亡Eが亡E更正処分により新たに納付すべきこととなった税額111万5300円については,その計算の基礎となった事実のうちに亡E更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて通則法65条4項に規定する「正当な理由」があると認められる事実があるとは認められない。 したがって,亡E更正処分に伴って賦課される過少申告加算税の額は,通則法65条2項の規定に基づき,①同条1項により亡Eが亡E更正処分によって新たに納付すべきこととなった税額111万円(同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のも 加算税の額は,通則法65条2項の規定に基づき,①同条1項により亡Eが亡E更正処分によって新たに納付すべきこととなった税額111万円(同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に,100分の10の割合を乗じて算出した金額11万1000円に,②上記新たに納付すべきこととなった税額111万5300円のうち,期限内申告税額(同法65条3項2号)に相当する金額0円と50万円とのいずれか多い金額を超える部分に相当する税額61万円(同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に,100分の5の割合を乗じて算出した金額3万0500円を,加算した金額14万1500円である。 4 過少申告加算税賦課決定処分の適法性被告が本訴において主張する過少申告加算税の額は,上記3のとおり14万1500円であるところ,当該金額は,荻窪税務署長が平成21年3月10日付けで亡Eに対してした平成17年分の所得税の過少申告加算税賦課決定処分における過少申告加算税の額と同額であるから,上記賦課決定処分は適法である。 第6 原告F 1 更正処分の根拠被告が本訴において主張する原告Fの平成17年分の所得税額等は,次のとおりである。 (1) 総所得金額 1147万2842円上記金額は,次のアの雑所得の金額とイの一時所得の金額の2分の1に相当する金額836万4434円との合計額である(所得税法22条2項)。 ア雑所得の金額 310万8408円上記金額は,原告Fが平成18年2月10日に緑税務署長に提出した平成17年分の所得税の確定申告書に記載した雑所得の金額と同額である。 イ一時所得の金額 1672万8868円 が平成18年2月10日に緑税務署長に提出した平成17年分の所得税の確定申告書に記載した雑所得の金額と同額である。 イ一時所得の金額 1672万8868円上記金額は,原告Fに分配されることとなった本件各一時金の額1722万8868円から,所得税法34条3項に規定する一時所得の特別控除額50万円を,同条2項の規定に基づいて控除した後の金額である。 (2) 所得控除の額の合計額 113万9306円上記金額は,原告Fが上記確定申告書に記載した所得控除の額の合計額と同額である。 (3) 課税総所得金額 1033万3000円上記金額は,上記(1)の総所得金額1147万2842円から上記(2)の所得控除の額の合計額113万9306円を控除した後の金額(ただし,通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 (4) 納付すべき税額 141万5800円上記金額は,次のアの課税総所得金額に対する税額から,イの定率減税額及びウの源泉徴収税額の各金額を差し引いた後の金額(ただし,通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 ア課税総所得金額に対する税額 186万9900円上記金額は,上記(3)の課税総所得金額1033万3000円に所得税法89条1項の税率を乗じて算出した金額である。 イ定率減税額 25万円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により算出した定率減税額である。 ウ源泉徴収税額 20万4089円上記金額は,原告が上記確定申告書に記 25万円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により算出した定率減税額である。 ウ源泉徴収税額 20万4089円上記金額は,原告が上記確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 2 更正処分の適法性被告が本訴において主張する原告Fの平成17年分の所得税の納付すべき税額は,上記1の(4)で述べたとおり141万5800円であるところ,当該金額は,緑税務署長が平成21年2月27日付けで原告Fに対してした平成17年分の所得税の更正処分(以下「原告F更正処分」という。)に係る納付すべき税額と同額であるから,原告F更正処分は適法である。 3 過少申告加算税賦課決定処分の根拠上記2のとおり,原告F更正処分は適法であるところ,原告Fが原告F更正処分により新たに納付すべきこととなった税額146万2300円については,その計算の基礎となった事実のうちに原告F更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて通則法65条4項に規定する「正当な理由」があると認められる事実があるとは認められない。 したがって,原告F更正処分に伴って賦課される過少申告加算税の額は,通則法65条2項の規定に基づき,①同条1項により原告Fが原告F更正処分によって新たに納付すべきこととなった税額146万円(同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に,100分の10の割合を乗じて算出した金額14万6000円に,②上記新たに納付すべきこととなった税額146万2300円のうち,期限内申告税額(同法65条3項2号)に相当する金額15万7520円と50万円とのいずれか多い金額を超える部分に相当する税額96万円(同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に,10 (同法65条3項2号)に相当する金額15万7520円と50万円とのいずれか多い金額を超える部分に相当する税額96万円(同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に,100分の5の割合を乗じて算出した金額4万8000円を,加算した金額19万4000円である。 4 過少申告加算税賦課決定処分の適法性被告が本訴において主張する過少申告加算税の額は,上記3のとおり19万4000円であるところ,当該金額は,緑税務署長が平成21年2月27日付けで原告Fに対してした平成17年分の所得税の過少申告加算税賦課決定処分における過少申告加算税の額と同額であるから,上記賦課決定処分は適法である。 第7 原告G 1 更正処分の根拠被告が本訴において主張する原告Gの平成17年分の所得税額等は,次のとおりである。 (1) 総所得金額 1738万3564円上記金額は,次のアの給与所得の金額,イの雑所得の金額及びウの一時所得の金額の2分の1に相当する金額1172万6131円の合計額である(所得税法22条2項)。 ア給与所得の金額 254万1600円上記金額は,原告Gが平成18年11月16日に川崎北税務署長に提出した平成17年分の所得税の修正申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 イ雑所得の金額 311万5833円上記金額は,原告が上記修正申告書に記載した雑所得の金額と同額である。 ウ一時所得の金額 2345万2262円上記金額は,原告Gに分配されることとなった本件各一時金の額2395万2262円から,所得税法34条3項に規定する一時所得の特別控除額50万円を,同条2項の規定に 2345万2262円上記金額は,原告Gに分配されることとなった本件各一時金の額2395万2262円から,所得税法34条3項に規定する一時所得の特別控除額50万円を,同条2項の規定に基づいて控除した後の金額である。 (2) 所得控除の額の合計額 65万2111円上記金額は,原告Gが上記修正申告書に記載した所得控除の額の合計額と同額である。 (3) 課税総所得金額 1673万1000円上記金額は,上記(1)の総所得金額1738万3564円から上記(2)の所得控除の額の合計額65万2111円を控除した後の金額(ただし,通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 (4) 納付すべき税額 313万8600円上記金額は,次のアの課税総所得金額に対する税額から,イの定率減税額及びウの源泉徴収税額の各金額を差し引いた後の金額(ただし,通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 ア課税総所得金額に対する税額 378万9300円上記金額は,上記(3)の課税総所得金額1673万1000円に所得税法89条1項の税率を乗じて算出した金額である。 イ定率減税額 25万円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により算出した定率減税額である。 ウ源泉徴収税額 40万0616円上記金額は,原告Gが上記修正申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 2 更正処分の適法性被告が本訴において主張する原告Gの平成17年分の所得税の納付すべき税額は,上記1の(4)で 円上記金額は,原告Gが上記修正申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 2 更正処分の適法性被告が本訴において主張する原告Gの平成17年分の所得税の納付すべき税額は,上記1の(4)で述べたとおり313万8600円であるところ,当該金額は,川崎北税務署長が平成21年3月9日付けで原告Gに対してした平成17年分の所得税の更正処分(以下「原告G更正処分」という。)に係る納付すべき税額と同額であるから,原告G更正処分は適法である。 3 過少申告加算税賦課決定処分の根拠上記2のとおり,原告G更正処分は適法であるところ,原告Gが原告G更正処分により新たに納付すべきこととなった税額300万2500円については,その計算の基礎となった事実のうちに原告G更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて通則法65条4項に規定する「正当な理由」があると認められる事実があるとは認められない。 したがって,原告G更正処分に伴って賦課される過少申告加算税の額は,通則法65条2項の規定に基づき,①同条1項により原告Gが原告G更正処分によって新たに納付すべきこととなった税額300万円(同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に,100分の10の割合を乗じて算出した金額30万円に,②上記新たに納付すべきこととなった税額300万2500円に累積増差税額(同法65条3項1号)6万0800円を加算した金額306万3300円のうち,期限内申告税額(同項2号)に相当する金額47万5916円と50万円とのいずれか多い金額を超える部分に相当する税額256万円(同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に,100分の5の割合を乗じて算出した金額12万8000円を,加算した金額42万8000円 超える部分に相当する税額256万円(同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に,100分の5の割合を乗じて算出した金額12万8000円を,加算した金額42万8000円である。 4 過少申告加算税賦課決定処分の適法性被告が本訴において主張する過少申告加算税の額は,上記3のとおり42万8000円であるところ,当該金額は,川崎北税務署長が平成21年3月9日付けで原告Gに対してした過少申告加算税賦課決定処分における過少申告加算税の額を上回るから,上記賦課決定処分は適法である。 第8 原告H 1 更正処分の根拠被告が本訴において主張する原告Hの平成17年分の所得税額等は,次のとおりである。 (1) 総所得金額 1977万7174円上記金額は,次のアの不動産所得の金額,イの給与所得の金額,ウの雑所得の金額及びエの一時所得の金額の2分の1に相当する金額1125万7715円の合計額である(所得税法22条2項)。 ア不動産所得の金額 8万1829円上記金額は,原告Hが平成18年3月7日に板橋税務署長に提出した平成17年分の所得税の確定申告書に記載した不動産所得の金額と同額である。 イ給与所得の金額 499万2000円上記金額は,原告Hが上記確定申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 ウ雑所得の金額 344万5630円上記金額は,原告Hが上記確定申告書に記載した雑所得の金額と同額である。 エ一時所得の金額 2251万5431円上記金額は,原告Hに分配されることとなった本件各一時金の額2301万5431円から,所得税法34 所得の金額と同額である。 エ一時所得の金額 2251万5431円上記金額は,原告Hに分配されることとなった本件各一時金の額2301万5431円から,所得税法34条3項に規定する一時所得の特別控除額50万円を,同条2項の規定に基づいて控除した後の金額である。 (2) 所得控除の額の合計額 122万4083円上記金額は,原告Hが上記確定申告書に記載した所得控除の額の合計額と同額である。 (3) 課税総所得金額 1855万3000円上記金額は,上記(1)の総所得金額1977万7174円から上記(2)の所得控除の額の合計額122万4083円を控除した後の金額(ただし,通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 (4) 納付すべき税額 343万3300円上記金額は,次のアの課税総所得金額に対する税額からイの政党等寄附金特別控除の額,ウの定率減税額及びエの源泉徴収税額の各金額を差し引いた後の金額(ただし,通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 ア課税総所得金額に対する税額 437万4610円上記金額は,上記(3)の課税総所得金額1855万3000円に所得税法89条1項の税率(負担軽減措置法4条の特例を適用したもの。)を乗じて算出した金額である。 イ政党等寄附金特別控除の額 3万9600円上記金額は,原告Hが平成17年中に支出した政党等に対する寄附金の額13万2200円について,租税特別措置法41条の18第2項の規定により算出した金額である。 ウ定率減税額 上記金額は,原告Hが平成17年中に支出した政党等に対する寄附金の額13万2200円について,租税特別措置法41条の18第2項の規定により算出した金額である。 ウ定率減税額 25万円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により算出した定率減税額である。 エ源泉徴収税額 65万1688円上記金額は,原告Hが上記確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 2 更正処分の適法性被告が本訴において主張する原告Hの平成17年分の所得税の納付すべき税額は,上記1の(4)で述べたとおり343万3300円であるところ,板橋税務署長が平成21年3月11日付けで原告Hに対してした平成17年分の所得税の更正処分(ただし,平成21年7月9日付けの異議決定により一部が取り消された後のもの。以下「原告H更正処分」といい,本件各受給権者に対する各更正処分を併せて「本件各更正処分」という。)に係る納付すべき税額と同額であるから,原告H更正処分は適法である。 3 過少申告加算税賦課決定処分の根拠上記2のとおり,原告H更正処分は適法であるところ,原告Hが原告H更正処分により新たに納付すべきこととなった税額321万1100円については,その計算の基礎となった事実のうちに原告H更正処分前の税額の基礎とされていなかったことについて,通則法65条4項に規定する正当な理由があるとは認められない。 したがって,原告H更正処分に伴って賦課される過少申告加算税の額は,通則法65条2項の規定に基づき,①同条1項により原告Hが原告H更正処分によって新たに納付すべきこととなった税額321万円(同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に,100分の1 条2項の規定に基づき,①同条1項により原告Hが原告H更正処分によって新たに納付すべきこととなった税額321万円(同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に,100分の10の割合を乗じて算出した金額32万1000円に,②上記新たに納付すべきこととなった税額321万1100円のうち,期限内申告税額(同法65条3項2号)に相当する金額87万3888円と50万円とのいずれか多い金額を超える部分に相当する税額233万円(同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に,100分の5の割合を乗じて算出した金額11万6500円を,加算した金額43万7500円である。 4 過少申告加算税賦課決定処分の適法性被告が本訴において主張する過少申告加算税の額は,上記3のとおり43万7500円であるところ,当該金額は,板橋税務署長が平成21年3月11日付けで原告Hに対してした過少申告加算税賦課決定処分(以下,本件各受給権者に対する各過少申告加算税賦課決定処分を併せて「本件各賦課決定処分」という。)における過少申告加算税の額と同額であるから,上記賦課決定処分は適法である。 

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