令和5年11月15日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和2年(ワ)第29523号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日令和5年8月25日判決 原告日本遮熱株式会社 同訴訟代理人弁護士堀籠佳典 服部謙太朗 同訴訟代理人弁理士福田伸一 同補佐人弁理士高橋克宗 被告プロックスマテリアル株式会社 同訴訟代理人弁護士近藤真 永松裕幹 塩飽梨栄 上村慧 同補佐人弁理士加藤久 南瀬透 主文 1 被告は、別紙工法目録記載の工事を行ってはならない。 2 被告は、原告に対し、312万2822円及びこれに対する令和2年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告のその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は、これを9分し、その4を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。 5 この判決は、第1項及び第2項に限り、仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 請求 1 主文第1項と同旨 2 被告は、原告に対し、2000万円及びこれに対する令和2年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は、発明の名称を「凹凸素材の遮熱構造」とする特許第5445808号の特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する原告が、被告による別紙工法目録記載の工法(以下「被告工法」という。)を使用した工事に 第5445808 号の特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する原告が、被告による別紙工法目録記載の工法(以下「被告工法」という。)を使用した工事によって作製された遮熱構造は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)の技術的範囲に属し、本件特許権を侵害すると主張して、被告に対し、特許法100条1項に基づき、 被告工法の使用の差止めを求めると共に、特許権侵害の不法行為に基づき、損害金2000万円(特許法102条2項により算定される額)及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和2年12月19日(不法行為後の日)から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 なお、原告は、自ら本件特許権侵害を主張する被告による施工現場を限定したり、被告から売上高及び経費に係る具体的な主張がされたりしたにもかかわらず、当初の請求額を訂正しなかったため、請求の趣旨における請求額と請求原因として主張する損害額とは一致していない。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲各証拠(特記しない限り枝 番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実) (1) 当事者原告は、一般建築工事業、省エネルギー機器の製造・販売、土木建築用資材の製造・販売、土木建設業等を業とする株式会社である(弁論の全趣旨)。 被告は、遮熱材及び断熱材の販売・輸入及び製造、遮熱材及び断熱材を用いた工事の請負・企画・設計・施工及び監理、内装仕上工事の請負・企画・ 設計・施工及び監理、屋根工事の請負・企画・設計・施工及び監理等を業とする株式会社である。 (2) 本件特許原告は、平成 た工事の請負・企画・設計・施工及び監理、内装仕上工事の請負・企画・ 設計・施工及び監理、屋根工事の請負・企画・設計・施工及び監理等を業とする株式会社である。 (2) 本件特許原告は、平成25年6月10日、本件特許に係る特許出願(優先日は同年1月10日、優先権主張国は日本国。以下「本件出願」という。)をし、平成 26年1月10日、本件特許権の設定登録(請求項の数6)を受けた(甲1、2。以下、本件出願の願書に添付した明細書及び図面を併せて「本件明細書」という。また、明細書の発明の詳細な説明中の段落番号を【0001】などと記載する。)。 (3) 本件発明に係る特許請求の範囲 本件特許の特許請求の範囲の請求項1(本件発明)の記載は、以下のとおりである。 「表面が熱源側を向いており、該熱源側に位置する凹部と非熱源側に位置する凸部とが交互に設けられた凹凸のある素材と、該凹凸のある素材の裏面側に位置するアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材とからなり、前 記凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみ前記アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を接着手段により取り付けた遮熱構造であって、前記凹部とアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材との間に空間を存在させていることを特徴とする凹凸素材の遮熱構造。」(4) 本件発明の構成要件の分説 本件発明は、以下の構成要件に分説することができる(以下、各構成要件 につき、頭書の記号に従って「構成要件A」などという。)。 A 表面が熱源側を向いており、該熱源側に位置する凹部と非熱源側に位置する凸部とが交互に設けられた凹凸のある素材と、B 該凹凸のある素材の裏面側に位置するアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材とからなり、 C 前記凹凸の に位置する凹部と非熱源側に位置する凸部とが交互に設けられた凹凸のある素材と、B 該凹凸のある素材の裏面側に位置するアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材とからなり、 C 前記凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみ前記アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を接着手段により取り付けた遮熱構造であって、D 前記凹部とアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材との間に空間を存在させている E ことを特徴とする凹凸素材の遮熱構造。 (5) 被告による遮熱シート設置工事の施工ア株式会社AA(以下「AA」という。)は、BB株式会社(以下「BB」という。)との間で、令和元年5月末日頃、BBを注文者、AAを請負人として、請負代金合計472万3920円(消費税込み)の約定で、(省略) 所在の倉庫の屋根下に遮熱シートを設置する工事(以下「本件工事」という。)を目的とする請負契約を締結した(乙74、弁論の全趣旨)。 イ前記アの後、被告は、AAとの間で、請負代金合計377万2224円(税抜代金349万2800円、消費税相当額27万9424円)の約定で、本件工事を目的とする請負契約を締結した(乙62、弁論の全趣旨)。 ウ被告は、令和元年7月5日から同月9日にかけて、複数の孫請業者と共に本件工事を施工した(乙80)。 (6) 被告が本件工事により完成させた構造(以下「被告遮熱構造」という。乙1、34、35、弁論の全趣旨)本件工事において、被告が被告工法を使用して作製(生産)した被告遮熱 構造の概要は、次のとおりである(別紙被告遮熱構造図面目録参照。以下、 頭書の記号に従って「被告遮熱構造構成a」などということがある。)。 a 凹凸のあるスレート素材で成る屋根材を備えている。 b 凹凸 とおりである(別紙被告遮熱構造図面目録参照。以下、 頭書の記号に従って「被告遮熱構造構成a」などということがある。)。 a 凹凸のあるスレート素材で成る屋根材を備えている。 b 凹凸のあるスレート素材の裏面側にアルミ遮熱シートを設けている。 c アルミ遮熱シートは、凹凸のあるスレート素材で成る屋根材の凸部の4列に対して1列の割合で凸部の裏面に貼り付けられている両面テープ を用いて、当該遮熱シートを仮留めした上、当該遮熱シートの両端部分を、当該屋根に設置されている母屋材にビス留めすることによって、固定されている。 d 凹凸のあるスレート素材とアルミ遮熱シートとの間に、凸部と凸部との間を跨いでつながっている空間が存在する。 e 凹凸のあるスレート素材の遮熱構造。 (7) 被告遮熱構造の構成要件充足性被告遮熱構造は、構成要件A、B及びEをいずれも充足する。 3 争点(1) 被告遮熱構造が本件発明の技術的範囲に属するか(争点1) ア構成要件Cの充足性(争点1-1)イ構成要件Dの充足性(争点1-2)(2) 無効の抗弁の成否(争点2)アフェアリー「ラジアントバリア:Q&A形式での入門書」(FSECエナジーリサーチセンター)(以下「乙6文献」という。)を主引用例とする進 歩性欠如(争点2-1)イ本件明細書記載の従来技術に係る発明を主引用発明とする進歩性欠如(争点2-2)ウ明確性要件違反(争点2-3)エ特開2008-127871号公報(以下「乙60文献」という。)を主 引用例とする進歩性欠如(争点2-4) (3) 差止めの必要性(争点3)(4) 原告に生じた損害の額(争点4)ア被告とAAによる共同不法行為の成否(争点4-1)イ被告及びA 用例とする進歩性欠如(争点2-4) (3) 差止めの必要性(争点3)(4) 原告に生じた損害の額(争点4)ア被告とAAによる共同不法行為の成否(争点4-1)イ被告及びAAが本件工事により受けた利益の額(争点4-2)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1-1(構成要件Cの充足性)について(原告の主張)(1) 本件発明の構成要件Cと被告遮熱構造構成cとの対比被告遮熱構造構成cにおいて、アルミ遮熱シートは、凹凸素材の凸部に両面テープ等で貼り付けられているから、「前記凹凸のある素材の凸部の裏面に 対してのみ前記アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を接着手段により取り付けた遮熱構造」を備えていると認められる。 したがって、被告遮熱構造構成cは、構成要件Cを充足する。 (2) 被告の主張に対する反論ア全ての凸部の裏面と遮熱シートを接着することの要否 被告は、本件明細書の記載(【0034】及び実施例)を根拠として挙げ、全ての凸部の裏面と遮熱シートを接着することが必要であると主張する。 しかし、本件発明は、従来技術における課題であった①屋根の下側に軽天井を設けてその上で遮熱材を貼る方法には、軽天材による天井を作る費用が大きいという問題(【0003】、【0007】)や、②折板屋根材等凹 凸のある素材の室内側に、凹凸面に沿って遮熱材を直接貼る方法には、凹凸のある全ての面に連続的に密着して遮熱材を貼る費用が大きい(【0004】、【0008】)といった問題を、「凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみ前記アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を接着手段により取り付けた遮熱構造」(構成要件C)などの構成を採用することにより解 決しようというものである。 面に対してのみ前記アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を接着手段により取り付けた遮熱構造」(構成要件C)などの構成を採用することにより解 決しようというものである。 そして、上記の課題は、全ての凸部の裏面に前記アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を接着手段により取り付けた遮熱構造としなくても、上記構成を採用することにより解決することができる。また、本件明細書の【0034】は、屋根材等の凸部にアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材5を貼り付ける際に、遮熱シートを貼り付ける箇所に関し て、空気を含ませない方が好ましいと述べているにすぎず、凸部に遮熱シートを貼り付けない箇所を設けることを禁ずる趣旨の記載ではない。 したがって、本件発明は、凸部の裏面と遮熱シートとが接着していない箇所を設けることを排除しているとはいえず、被告の上記主張が誤りであることは明らかである。 イ 「接着手段により」の意義(ア) 被告は、この点に関し、本件明細書の記載(【0017】等)を根拠として挙げ、遮熱シートを屋根材に取り付けるに当たってビス等の金具を使用することは否定されていると主張する。 しかし、本件明細書の【0017】は、屋根の下側に軽天井を設けて その上で遮熱材を貼るという従来技術との対比において、本件発明の作用効果を説明したものであるから、同段落の「余分な金具等も一切必要としない」との記載は、軽天井(天井下地)の形成に要する金具等が不要となることを述べたものであって、遮熱材の取付けに当たってビス等の金具を一切使用しないことを述べたものではないことは明らかである。 (イ) また、被告は、長期間にわたって接着した状態のままで遮熱構造を維持できないようなものは本件発明が企図する「遮熱構造」 金具を一切使用しないことを述べたものではないことは明らかである。 (イ) また、被告は、長期間にわたって接着した状態のままで遮熱構造を維持できないようなものは本件発明が企図する「遮熱構造」といえないから、遮熱シートを仮留めすることは「接着手段」として想定されていないと主張する。 しかし、本件発明の特許請求の範囲には、長期間にわたって構造を維 持するとの限定はない。 (ウ) したがって、被告の前記各主張は失当である。 ウ小括前記ア及びイのとおり、遮熱シートの両端部分が母屋材にビス留めされていることや、両面テープが屋根材の凸部の4列に対して1列の割合で貼り付けられていることは、構成要件Cの充足性を左右しない。 (被告の主張)(1) 構成要件Cの「前記凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみ前記アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を接着手段により取り付けた」の意義ア全ての凸部の裏面と遮熱シートを接着する必要があること (ア) 本件明細書の「接着する時、素材とアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材5との間には空気を含ませないことが大切であ…る。万一、空気が巻き込まれると、空気が過熱されアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材5に多くの熱が伝わり、結果的には室内側にその熱が供給され、省エネ効果の低減に繋がる。」(【0034】)との記載によれば、 本件発明において遮熱効果を奏するためには、凸部と遮熱シートとの間に空気を含ませないように接着(密着)させることが重要である。そうすると、連続した凹凸がある屋根材等に本件発明を適用するに当たり、凸部と遮熱シートを接着(密着)させない部分を設けることは、遮熱効果の観点に照らせば不適当ということとなる。 (イ) また、本 ると、連続した凹凸がある屋根材等に本件発明を適用するに当たり、凸部と遮熱シートを接着(密着)させない部分を設けることは、遮熱効果の観点に照らせば不適当ということとなる。 (イ) また、本件明細書における実施例には、基材(鉄板又はALC)とアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材(遮熱シート)とを接着しない場合の遮熱効果についての記載が一切ない。このことは、凸部と遮熱シートとを接着させないものは、本件発明の作用効果を奏するものではないため、本件発明から、凸部と遮熱シートとを接着させない構造を 排除することを意味するものといわざるを得ない。 (ウ) さらに、本件明細書には、①連続した凹凸のある屋根材等について、その一部の凸部の裏面に対してのみ遮熱シートを接着させ、他の凸部の裏面については遮熱シートを接着させない場合に、どの程度の遮熱効果があるか、②一部の凸部の裏面に遮熱シートを接着させない場合について、どの程度の割合の凸部の裏面に遮熱シートを接着させれば、本件発 明の遮熱効果を奏することができるかについて、一切言及がされていない。このように、本件明細書において、遮熱シートを接着しない凸部の割合がどの程度であれば、全面積において本件発明と同等の作用効果を奏するものであるかが開示されていない以上、一部の凸部の裏面に遮熱シートを接着させない構成が、当業者が実施可能な産業上利用できる発 明として開示されているとはいえない。 (エ) したがって、「凸部の裏面に対してのみ…輻射熱に対して高反射率の素材を…取り付けた」とは、全ての凸部の裏面と遮熱シートを接着することを意味する。 イ 「接着手段により」の意義 遮熱シートを凹凸のある素材である屋根材に固定する方法に関し、本件明細書には、凸部の裏面と た」とは、全ての凸部の裏面と遮熱シートを接着することを意味する。 イ 「接着手段により」の意義 遮熱シートを凹凸のある素材である屋根材に固定する方法に関し、本件明細書には、凸部の裏面と遮熱シートを接着させる以外の方法(例えば、ビスを用いて遮熱シートを屋根材に固定する方法)は何ら示唆されていない。むしろ、本件明細書の「折板屋根材やスレート屋根材等凹凸のある素材に直接遮熱材を貼る事により、安くて簡単に省エネルギー効果を産むこ とが出来る遮熱構造を提供する」(【0001】)、「凹凸のある素材にボンド等の接着剤で貼れば良く、誰でも簡単に施工でき施工コストが大幅に削減できる。」(【0016】)及び「工場や倉庫等では、(略)、又余分な金具等も一切必要としないので大幅なコスト削減が可能である。」(【0017】)の各記載からすれば、遮熱シートを屋根材に取り付けるに当たって、ビス 等の金具を使用することは否定されている。 また、仮に、原告が主張するように、遮熱シートを屋根材に取り付ける際に金具を用いることが排除されないとしても、金具を用いることなく、長期間にわたって接着した状態のままで遮熱構造を維持できないようなものは、本件発明が企図する「遮熱構造」といえないから、施工工事の最中に遮熱シートが落下することを防止する程度の仮留めは、凸部の表面に遮 熱シートを取り付ける「接着手段」として想定されていないというべきである。 (2) 被告遮熱構造の構成被告遮熱構造構成cは、4列に1列の割合の凸部の裏面に遮熱シートを仮留めし、母屋材であるC型鋼材へのビス留めにより屋根材に遮熱シートを実 質的に取り付けているものである。 (3) あてはめ前記(1)アのとおり、構成要件Cの「凸部の裏面に対してのみ…輻射熱 留めし、母屋材であるC型鋼材へのビス留めにより屋根材に遮熱シートを実 質的に取り付けているものである。 (3) あてはめ前記(1)アのとおり、構成要件Cの「凸部の裏面に対してのみ…輻射熱に対して高反射率の素材を…取り付けた」とは、全ての凸部の裏面と遮熱シートを接着することを意味すると解される。これに対し、被告遮熱構造では、全 体の75パーセントに当たる凸部の裏面に遮熱シートが接着されていない。 また、前記(1)イのとおり、構成要件Cの「接着手段により」は、施工工事の最中に遮熱シートが落下することを防止すれば足りる程度の仮留めや、ビス等の金具を使用することを含まない。これに対し、被告遮熱構造では、凸部の裏面に遮熱シートを仮留めした上、母屋材であるC型鋼材へのビス留め により屋根材に遮熱シートを実質的に取り付けている。 したがって、被告遮熱構造構成cは、構成要件Cを充足しない。 2 争点1-2(構成要件Dの充足性)について(原告の主張)(1) 本件発明の構成要件Dと被告遮熱構造構成dとの対比 被告遮熱構造構成dは、凹凸素材の凹部とアルミ遮熱シートの間に空間が 存在するというものであるから、構成要件Dを充足する。 (2) 被告の主張に対する反論被告は、構成要件Cにおいて、全ての凸部の裏面と遮熱シートを接着する必要があると解釈すべきことを前提として、構成要件Dの「空間」は、凸部と凸部の間で独立したものに限られ、凸部を跨いで隣に移動することができ るものは当該「空間」に当たらないと主張する。 しかし、前記1(原告の主張)(2)アのとおり、本件発明が、凸部と遮熱シートが接しない箇所を設けることを排除しているとはいえないから、被告の上記主張は、その前提において誤っている。また、構成要件 しかし、前記1(原告の主張)(2)アのとおり、本件発明が、凸部と遮熱シートが接しない箇所を設けることを排除しているとはいえないから、被告の上記主張は、その前提において誤っている。また、構成要件Dは、凸部に関する構成を規定するものではないから、全ての凸部が隣り合う凹部の空間を 遮断していることを要するとの被告の解釈は、特許請求の範囲の記載に基づかないものである。 したがって、被告の上記主張は失当である。 (被告の主張)(1) 「空間」の意義 構成要件Dの「空間」は、「素材の凸部の裏面に対してのみ前記アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を接着手段により取り付けた」(構成要件C)ことによって作り出されるものであるから、構成要件Cと構成要件Dは、一体のものとして解釈されなければならない。 そして、前記1(被告の主張)(1)アのとおり、構成要件Cの「凸部の裏面 に対してのみ…輻射熱に対して高反射率の素材を…取り付けた」については、全ての凸部の裏面と遮熱シートを接着させる必要があると解釈されるから、構成要件Dの「空間」は、凸部と凸部の間で独立したものでなければならず、凸部を跨いで隣とつながっているものは、構成要件Dの「空間」に当たらない。 本件明細書に記載されているいずれの実施例においても、基材(鉄板又は ALC)とアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材(遮熱シート)とを接着することにより、凹部とアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材の間に形成された空間は、隣り合う凹部の空間と遮断されている。これにより、凹部とアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材(遮熱シート)の間に形成された空間の熱気が、凹部とアルミホイル等輻射熱に対して高反 射率の素材(遮熱シート)の間に形成され ている。これにより、凹部とアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材(遮熱シート)の間に形成された空間の熱気が、凹部とアルミホイル等輻射熱に対して高反 射率の素材(遮熱シート)の間に形成された他の空間に移動することはないとの効果を奏している。 したがって、構成要件Dの「空間」とは、凸部と凸部の間で独立した空間を意味する。 (2) 被告遮熱構造の構成 被告遮熱構造構成dは、スレート素材で成る屋根材の凹部と遮熱シートとの間に空間が存在するものの、両面テープによる仮留めを施していない当該屋根材の凸部と遮熱シートの間には1cm程度の空間が空いており、当該空間は、凸部と凸部との間を跨ってつながっているものである。 (3) あてはめ 前記(1)のとおり、構成要件Dの「空間」とは、凸部と凸部の間で独立した空間のことをいうと解される。これに対し、前記(2)のとおり、被告遮熱構造構成dにおいて、そのほとんどの空間は独立していない。 したがって、被告遮熱構造構成dは、構成要件Dを充足しない。 3 争点2-1(乙6文献を主引用例とする進歩性欠如)について (被告の主張)(1) 乙6文献に記載された発明乙6文献(昭和62年10月25日公開)には、以下の発明(以下「乙6発明」という。)が記載されている(別紙乙6文献図面目録参照)。 a 表面が熱源側を向いている平板状屋根材(Roofdecking)と、該屋根 材の熱源側と反対の非熱源側(裏面側)に凸状に設けられた垂木からな り、前記屋根材裏面側と垂木で形成される凹部空間を有する素材と、b 該素材の裏面側に位置するアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材(Aluminumfoilmaterial)とからなり、c 前記凸状に設けられた垂 形成される凹部空間を有する素材と、b 該素材の裏面側に位置するアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材(Aluminumfoilmaterial)とからなり、c 前記凸状に設けられた垂木の裏面に対してのみ(屋根材裏面を除く意味)前記アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を取り付けた遮 熱構造であって、d 前記素材の屋根材と垂木によって形成された凹部とアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材との間に空間(Airspace)を存在させているe ことを特徴とする屋根の遮熱構造。 (2) 本件発明と乙6発明との間の一致点及び相違点 ア一致点① 表面が熱源側を向いており、非熱源側に位置する凸部によって凹凸が形成された素材から成る点② 素材の裏面側に位置するアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材(遮熱シートに相当)から成る点 ③ 素材の凸部の裏面に対してのみアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を取り付けた遮熱構造である点、すなわち、輻射熱に対して高反射率の素材を、屋根材側に折り曲げて密着させることなく、平面状のまま凸部に取り付けている点④ 素材の凹部とアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材との間に 空間を存在させている点イ相違点① 本件発明は、「素材」が、折板や波型スレートのように、それ自体が「凹部と凸部が交互に設けられた凹凸のある素材」であるのに対し、乙6発明は、「平板状屋根材(Roofdecking)と、この屋根材の裏面側に設 けられた凸状の垂木により構成され、屋根材の裏面側と垂木によって空 間(凹部)が形成された素材」である点② 本件発明は、遮熱シートが、接着手段により素材の凸部裏面に取り付けられているのに対し、乙6発明は、遮熱 され、屋根材の裏面側と垂木によって空 間(凹部)が形成された素材」である点② 本件発明は、遮熱シートが、接着手段により素材の凸部裏面に取り付けられているのに対し、乙6発明は、遮熱シートが、素材に直に取り付けられてはいるものの、ステープルによる固定である点ウ原告の主張に対する反論 前記アの一致点①について敷衍すると、素材そのものが凹凸であることと、乙6発明のように「平板状屋根材」と「垂木」によって凹凸形状が構成されたものとは、構成上の差異はあるにしても、本件発明の効果を参酌すると、技術的差異はないというべきである。 (3) 容易想到性 ア相違点①に係る本件発明の構成の容易想到性について屋根材として折板や波型スレートを使用することは、本件発明と同じ建築の分野における周知慣用技術である(乙7ないし11)。また、太陽熱による屋内空間の温度上昇の問題は、乙6発明が想定する平板状屋根材においても、折板や波型スレートの屋根材においても、共通して生じる課題で ある。 したがって、太陽熱による屋内空間の温度上昇を抑える目的をもって、乙6発明の平板状屋根材と垂木から成る屋根に代えて、折板や波型スレートの屋根材における遮熱構造を製作することは、当業者にとって容易に想到できたものである。 イ相違点②に係る本件発明の構成の容易想到性について屋根材や壁材等の素材に、遮熱シートを接着剤等で直接貼り付けることは、遮熱シートの使用に関する周知慣用の技術にすぎない(乙12ないし14)。また、遮熱シートを取り付ける際に、可能な限り取り付けるための部材を少なくするという技術課題は、遮熱構造が属する技術分野において 自明又は当業者が容易に着想し得る課題である。 したがって、乙6発明にお る際に、可能な限り取り付けるための部材を少なくするという技術課題は、遮熱構造が属する技術分野において 自明又は当業者が容易に着想し得る課題である。 したがって、乙6発明において想定される遮熱シートの取付手段に代えて、接着剤等の接着手段により遮熱シートを取り付けることは、当業者にとって容易に想到できたものである。 ウ本件発明の作用効果について本件発明の①「金属製の折板屋根材や角波外壁材、縦葺き屋根等凹凸の ある素材にボンド等の接着剤で貼れば良く、誰でも簡単に施工でき施工コストが大幅に削減できる(【0016】)、②「工場や倉庫等では、軽天材等で組むアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を取り付ける下地も、又余分な金具等も一切必要としないので大幅なコスト削減が可能である。」(【0017】)との作用効果は、乙6発明並びに前記ア及びイの各周知慣 用技術からも当然に予想しうる範囲のものにすぎない。 したがって、本件発明が格別な作用効果を奏するものとはいえない。 (4) 小括以上によれば、当業者は、本件発明について、乙6発明と周知慣用技術に基づいて、容易に発明をすることができたから、本件発明は進歩性を欠く。 (原告の主張)(1) 本件発明と乙6発明との間の相違点について被告が主張する相違点①に関しては、「平板状屋根材」と「垂木」の結合関係は不明であって、同一の素材ではないから、この点も本件発明と乙6発明の相違点である。 (2) 容易想到性についてア相違点①に係る構成について乙6文献は、米国の南部の州などの屋根裏に垂木を有する家屋において、放射障壁を簡易に取り付けるために、木製の垂木にアルミホイルを(ステープルガンで)ステープル留めすることを報告するものであるから、乙6 6文献は、米国の南部の州などの屋根裏に垂木を有する家屋において、放射障壁を簡易に取り付けるために、木製の垂木にアルミホイルを(ステープルガンで)ステープル留めすることを報告するものであるから、乙6 発明は、屋根材が木製の垂木で支えられていることを前提としている。そ うすると、この垂木を金属製や樹脂製に変更することは、乙6発明の本質を変えることにほかならないから、乙6発明における垂木を、金属等のステープル留めができない材料の部材に代える動機付けはなく、むしろ阻害要因がある。 イ相違点②に係る構成について 前記アのとおり、乙6発明においては、「屋根材」を構成しない「垂木」に遮熱シートがステープル留めされている。そのため、仮に、乙6発明に被告が主張する周知慣用技術を適用したとしても、本件発明の「凹凸のある素材の裏面に対してのみ」アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を接着手段により取り付ける構成とはならないし、乙6発明のステープ ル留めを、屋根裏の垂木から剥がれるおそれのある接着手段に代える動機付けもない。 (3) 小括以上によれば、当業者は、本件発明について、乙6発明と周知慣用技術に基づいて、容易に発明をすることができないから、本件発明は進歩性を有す る。 4 争点2-2(本件明細書記載の従来技術に係る発明を主引用発明とする進歩性欠如)について(被告の主張)(1) 本件明細書記載の従来技術に係る発明 本件明細書の【0008】の記載によれば、折板屋根や波型スレートを素材とした凹凸のある素材の屋根構造において、遮熱シートを屋根材の凹凸の面に沿って接着することは、本件出願前において公知の発明であったことが明らかである。 (2) 容易想到性について ア特開201 凸のある素材の屋根構造において、遮熱シートを屋根材の凹凸の面に沿って接着することは、本件出願前において公知の発明であったことが明らかである。 (2) 容易想到性について ア特開2012-92578号公報(平成24年5月17日公開。乙12)、 登録実用新案第3129145号公報(平成19年2月8日発行。乙13)、特開2007-7908号公報(同年1月18日公開。乙14)及び特開2007-107360号公報(同年4月26日公開。乙15)に記載されているとおり、遮熱シートを凹凸のある屋根材に用いるに当たり、遮熱シートを屋根材の形状に沿って折り曲げることなく、平面状態のまま使用 することは、公知技術である。 したがって、前記(1)の凹凸部材への遮熱シートの貼付技術を踏まえ、上記各公知技術が示すとおり、遮熱シートを平面状態のままで使用し、凸部のみに接着手段で貼り付けることにより固定し、その結果として、凹部と遮熱シートとの間に空間を形成することは、当業者において容易に想到す ることができた。 イ前記3(被告の主張)(3)ウにおいて主張したところと同様に、本件発明の作用効果は、前記(1)の公知発明及び前記アの各公知技術からも当然に予想しうる範囲のものにすぎないから、本件発明が格別な作用効果を奏するものとはいえない。 (3) 小括以上によれば、当業者は、本件発明について、本件明細書記載の従来技術と公知技術に基づいて、容易に発明をすることができたから、本件発明は進歩性を欠く。 (原告の主張) 被告は、本件明細書記載の従来技術に係る発明が、特許法29条1項各号のいずれに該当するものであるのかを明らかにしないから、この一事をもって、その主張自体失当である。 そもそも、本件明細書は、本件特 被告は、本件明細書記載の従来技術に係る発明が、特許法29条1項各号のいずれに該当するものであるのかを明らかにしないから、この一事をもって、その主張自体失当である。 そもそも、本件明細書は、本件特許の優先日(平成25年1月10日)よりも後の平成26年3月19日に公開されたものであるし、本件明細書には、折 板屋根や波型スレートを素材とした凹凸のある素材の屋根構造において、遮熱 シートを屋根材の凹凸の面に沿って接着することが本件出願日以前に公知になっていたとの記載はない。 5 争点2-3(明確性要件違反)について(被告の主張)(1) 広い面積に亘って凹凸が多数存在する素材を用いる場合の接着の範囲が不 明確であることア本件発明の技術的意義を、本件明細書の【0016】及び【0017】に記載されているとおり、「コストアップの原因となる部材を用いる必要がない遮熱構造」を提供したことにあると考えれば、遮熱材を凹凸素材へ接着させる範囲については、遮熱材が剥がれ落ちない範囲で接着させれば良 いと解することになる。しかし、広い面積に亘って凹凸が多数存在する素材を用いる場合には、遮熱材を凹凸素材へ接着する範囲をどの程度とすべきかが不明確である。 イまた、本件発明の技術的意義について、①凸部に遮熱材を直接貼り付けることで、空気層を設けるよりも低放射の性能を引き出すことができる、 ②遮熱シートと屋根材とを密着させた方が、遮熱シートと屋根材との間に空間を設けたものよりも遮熱効果が高いとの効果をもたらすことができるとの点にあると解すれば、凸部の裏面と遮熱材とを直接貼り付けた場合と、凸部の裏面と遮熱材とを貼り付けない場合とでは、遮熱効果において大きな開きが生じるものと考えざるを得ない。そうすると、広い面積に亘っ の点にあると解すれば、凸部の裏面と遮熱材とを直接貼り付けた場合と、凸部の裏面と遮熱材とを貼り付けない場合とでは、遮熱効果において大きな開きが生じるものと考えざるを得ない。そうすると、広い面積に亘って 凹凸が多数存在する素材を用いる場合に、当該効果を得るためには素材と遮熱材とを接着する範囲をどの程度とすべきかが不明確ということになる。 (2) 従来技術として記載された従来の遮熱構造との違いが不明確であること本件発明の技術的意義を前記(1)イのとおりと解すれば、凸部の裏面と遮熱材とを貼り付けた場合と、凸部の裏面と遮熱材とを直接貼り付けない場合と では、遮熱効果において大きな開きが生じるものと考えざるを得ないところ、 本件発明の特許請求の範囲記載の構成とすることにより、本件明細書に従来技術として記載された従来の遮熱構造と比べて、遮熱効果がどのように異なるのかが不明確である。 (3) 凸部の裏面への接着の程度が不明確であること本件発明の技術的意義を前記(1)イのとおりと解すれば、凸部の裏面と遮熱 材とを貼り付けた場合と、凸部の裏面と遮熱材とを直接貼り付けない場合とでは、遮熱効果において大きな開きが生じるものと考えざるを得ない。そうすると、当該効果を得るためには凸部の裏面への遮熱材の接着をどの程度とすべきかが不明確ということになる。 (4) 小括 したがって、本件発明の特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が明確なものではなく、明確性要件に違反する。 (原告の主張)本件発明の特許請求の範囲は、「前記凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみ前記アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を接着手段により取り付 けた遮熱構造」と規定しており、その範囲は明確であるから、接着の範囲及び程 、「前記凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみ前記アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を接着手段により取り付 けた遮熱構造」と規定しており、その範囲は明確であるから、接着の範囲及び程度を特許請求の範囲に記載する必要はない。 また、本件発明の凹凸素材の遮熱構造は、少なくとも「前記凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみ前記アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を接着手段により取り付け」られている点で、従来技術との違いが明確となっ ている。 6 争点2-4(乙60文献を主引用例とする進歩性欠如)について(被告の主張)(1) 乙60文献に記載された発明乙60文献(平成20年6月5日公開)には、以下の発明(以下「乙60 発明」という。)が記載されている。 a 表面が熱源側を向いており、該熱源側に位置する突条と非熱源側に位置する凹溝とが交互に設けられた凹凸のある折板と、b 該凹凸のある折板の裏面側に位置するアルミニウムからなる金属反射層を備えた熱反射シートとからなり、c 前記凹凸のある折板の凹溝の裏面に対してのみ前記熱反射シートを取 り付けた遮熱構造であって、d 前記突条と前記熱反射シートとの間に空間を存在させているe ことを特徴とする凹凸素材の遮熱構造。 (2) 本件発明と乙60発明との間の一致点及び相違点ア一致点 ① 表面が熱源側を向いており、該熱源側に位置する凹部と非熱源側に位置する凸部とが交互に設けられた凹凸のある素材から成る点② 該凹凸のある素材の裏面側に位置するアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材から成る点③ 前記凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみ前記アルミホイル等輻 射熱に対して高反射率の素材を取り付けた遮熱構造である点 に位置するアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材から成る点③ 前記凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみ前記アルミホイル等輻 射熱に対して高反射率の素材を取り付けた遮熱構造である点④ 前記凹部とアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材との間に空間を存在させている点イ相違点本件発明においては、「前記凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみ前 記アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を接着手段により取り付け」ているのに対し、乙60発明においては、接着手段により取り付けられているのか不明である点(3) 容易想到性ア特開平5-1448号公報(以下「乙61文献」という。)に記載された 発明 乙61文献(平成5年1月8日公開)には、低コストで夏季の野地板からの輻射熱に対して十分な断熱性を十分に高くするため、屋根板と垂木を含む屋根材において、屋根板との間に空気層を形成する熱反射フィルムを取り付けるものであって、熱反射フィルムはアルミ箔等からなり、この熱反射フィルムを両面テープにより貼り付けた後、ステープルにより打ち付 ける発明(以下「乙61発明」という。)が記載されている。 そして、乙61発明の作用効果は、屋根板の熱が伝導と対流により空気層に伝わると共に、屋根板の輻射熱が熱反射フィルムで遮断されて空気層に反射され、その結果、低コストで断熱性能(=遮熱性能)の高い屋根構造が構築されるというものである。 イ相違点に係る本件発明の構成の容易想到性前記アのとおり、乙61発明には、屋根板と垂木を含む屋根材において、屋根板との間に空気層を形成する熱反射フィルムを取り付ける際、熱反射フィルムを両面テープで貼り付け、ステープルで取り付けることが開示されている。 この 、屋根板と垂木を含む屋根材において、屋根板との間に空気層を形成する熱反射フィルムを取り付ける際、熱反射フィルムを両面テープで貼り付け、ステープルで取り付けることが開示されている。 この点、乙60発明と乙61発明とは、いずれも屋根の遮熱構造に関する発明であって、技術分野が共通する。また、両発明は、いずれも低コストで屋根の遮熱構造を構築するものであって、課題が共通する。さらに、両発明は、いずれも屋根材の下に熱反射シートを設け、屋根材と熱反射シートの間に空気層を形成することにより、遮熱性能の高い屋根構造とする ものであって、作用・機能が共通する。 そして、乙60発明において、屋根材の下に熱反射シートを取り付けることにより遮熱構造を構築する際、屋根材と熱反射シートとを固着しなければ、建造物としての安全性を欠くこととなるため、どのような手段で熱反射シートを取り付けるかを考慮する必要がある。そうすると、乙60発 明と同じ技術分野に係る屋根の遮熱構造であって、課題及び作用・機能が 共通する乙61発明を組み合わせて、両面テープの接着手段により熱反射シートを接着するよう構成することは、当業者が容易に想到し得る。 したがって、相違点に係る本件発明の構成は、当業者が容易に想到し得るものである。 ウ本件発明の作用効果について 前記3(被告の主張)(3)ウにおいて主張したところと同様に、本件発明の作用効果は、乙60発明及び乙61発明からも当然に予想しうる範囲のものにすぎない。 したがって、本件発明が格別な作用効果を奏するものとはいえない。 (4) 小括 以上によれば、当業者は、本件発明について、乙60発明と乙61発明に基づいて、容易に発明をすることができたから、本件発明は進歩性を欠く。 (原告の主 するものとはいえない。 (4) 小括 以上によれば、当業者は、本件発明について、乙60発明と乙61発明に基づいて、容易に発明をすることができたから、本件発明は進歩性を欠く。 (原告の主張)(1) 本件発明と乙60発明との間の相違点本件発明と乙60発明との間には、少なくとも次の相違点がある。 本件発明が、「前記凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみ前記アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を接着手段により取り付けた遮熱構造」であるのに対し、乙60発明は、「アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材」が「前記凹凸のある素材」の凸部及び取付部26の下平坦部32と支持梁10との間に挟まれて固定され、取付部26の下平坦部32は支持梁1 0にビス34で固定されているものであり、「前記凹凸のある素材の裏面に対してのみ」「接着手段により取り付けた遮熱構造」ではない点(2) 容易想到性について乙60発明は、折板製の屋根材に取付部を設けることにより、屋根材を取り付ける際の工程数を減少させ、屋根を形成するコストを低減させることを 目的とする発明である。熱反射シートについては、折板製の屋根材の支持梁 への取付け(屋根材18と支持梁10をビス34で固定する)に当たり、熱反射シート12を両者の間に挟んで固定してもよいことが記載されているが、これは、熱反射シート12を挟んで固定することにより、熱反射シートの取付けに伴う工程数の増加を最低限のものに抑えることができ、屋根を形成するコストを低減させるという目的に適うからである。 このように、乙60発明は、折板製の屋根材の支持梁への取付けを容易にする発明であるから、ビス留めをやめて、接着手段をその他の方法に代えるとの動機付けはない。また、乙60発明にお からである。 このように、乙60発明は、折板製の屋根材の支持梁への取付けを容易にする発明であるから、ビス留めをやめて、接着手段をその他の方法に代えるとの動機付けはない。また、乙60発明においては、熱反射シートは屋根材18と支持梁10で挟んで固定されており、熱反射シートの固定性に何ら問題はないから、熱反射シートを固定するために、敢えて接着手段を付加する 動機付けもない。さらに、乙60発明は、屋根を形成するコストを低減させることを目的とする発明であるところ、熱反射シートに接着手段での接着を施す工程を付加することは、余計な工程数を発生させて、屋根を形成するコストを増加させるため、乙60発明の目的に反することとなるから、この点からも動機付けはなく、むしろ阻害事由があるといえる。 (3) 小括以上によれば、当業者は、本件発明について、乙60発明と乙61発明に基づいて、容易に発明をすることができないから、本件発明は進歩性を有する。 7 争点3(差止めの必要性)について (原告の主張)前記1ないし6の各(原告の主張)のとおり、被告が、業として、被告工法を使用した工事を行うことは、本件発明の技術的範囲に属する被告遮熱構造を生産することに当たり、本件特許権を侵害するものであるから、特許法100条1項による差止めの対象となる。 そして、被告は、現在も被告工法を使用した工事を行っており、将来もこれ を行うおそれがある。 (被告の主張)争う。 8 争点4-1(被告とAAによる共同不法行為の成否)について(原告の主張) (1) 本件工事における被告とAAとの関係について、次の点を指摘することができる。 ア AAは、自社のウェブサイトにおいて、建物の屋根下への遮熱シート取付工事の ついて(原告の主張) (1) 本件工事における被告とAAとの関係について、次の点を指摘することができる。 ア AAは、自社のウェブサイトにおいて、建物の屋根下への遮熱シート取付工事の施工事例を多数掲載していることからすると、下請業者を利用するかどうかはともかくとして、遮熱シートの販売にとどまらず、遮熱シー トの屋根下施工を含めた建物への設置を請け負っていることは明らかである。 イ AAは、被告と同じく、(省略)県内に所在する会社であり、原告とTHB遮熱加盟店契約を締結し、原告の会員として、被告と共に原告の講習会に参加するなどして遮熱構造に関する原告の技術を学んでいた。そして、 本件工事において、被告代表者は、AAの担当者がBB担当者から連絡を受けた4日後に、AAの担当者と共に施工現場を訪問していることなどからも、AAと被告との間には、本件工事の施工以前から密接な営業関係があったことは明らかである。 ウ AAは、本件工事につき、窓口となって、BBからの申込みを誘引し、 遮熱シートの具体的な設置方法を提案し、自らが契約当事者となって発注を受けた。 エ AAは、被告が検討した遮熱シートの具体的な設置方法をBBに提案し、これが同社に受け入れられて、自らが契約当事者となって発注を受けたものである。そして、AAは本件工事を単独で受注している。この事実に照 らせば、AAが、BBと請負契約を締結した時点において、本件工事の施 工現場における遮熱シートの具体的な設置方法を認識していたことは明らかである。 (2) 以上のとおり、AAは、建物の屋根下への遮熱シートの設置工事を広告しており、当該広告により、BBから引き合いを受けた本件工事について、被告が検討した具体的な設置方法をBBに対して提案し、 (2) 以上のとおり、AAは、建物の屋根下への遮熱シートの設置工事を広告しており、当該広告により、BBから引き合いを受けた本件工事について、被告が検討した具体的な設置方法をBBに対して提案し、これが同社に受け入 れられ、自らが契約当事者となって発注を受けるなど、本件工事に積極的に協力・関与したものである。 したがって、AAには、少なくとも被告による本件工事の施工を幇助したものとして、共同不法行為が成立する。 (被告の主張) AAは、主として遮熱シート等の販売を行う会社であって、建屋に遮熱シートを設置する施工業務を行っておらず、内装仕上工事に係る建設業許可も受けていない。すなわち、AAは、遮熱シート設置に係る技術も資格もない。本件工事において、顧客であるBBが、窓口をAAに一本化したいとの希望を持っていたため、AAを元請業者とし、被告を下請業者とするスキームで対応する こととなったものである。 また、AAは、BBから、遮熱シートの設置を依頼されたが、具体的な設置方法の指定はされなかった。上記のとおり、AAは、遮熱シートの設置に係る専門的な技術や知識を有していなかったため、具体的な施工方法の策定を被告に一任しており、被告から提案された施工方法及びスケジュールをBBに提示 したにすぎない。 さらに、本件工事の施工に従事したのは、被告代表者及び被告が外注した個人事業主らであった。AAの関係者は、施工中に現場を訪れたことがあったが、毎日ではなく、その用務は注文者であるBBへの挨拶や、施工に従事していた者に差入れをするためであった。 このように、AAは、本件工事の施工に直接関与しておらず、実際に施工を 行う被告と注文者であるBBの間に入って、調整を行っていたにすぎない。 したがって、本件 ためであった。 このように、AAは、本件工事の施工に直接関与しておらず、実際に施工を 行う被告と注文者であるBBの間に入って、調整を行っていたにすぎない。 したがって、本件工事の施工について、被告とAAとの共同不法行為が成立することはない。 9 争点4-2(被告及びAAが本件工事により受けた利益の額)について(原告の主張) (1) 特許法102条2項により算定される原告の損害額前記8(原告の主張)のとおり、被告とAAによる本件工事の施工に係る本件特許権侵害につき、共同不法行為が成立するから、原告が受けた損害の額と推定される特許法102条2項所定の「その利益の額」は、本件工事によって、被告が受けた利益の額とAAが受けた利益の額との合計額となる。 (2) 被告が本件工事により受けた利益の額ア請負代金377万2224円(消費税込み)イ経費について(ア) 材料費 被告が主張する材料費100万3320円(消費税込み)を認める。 (イ) 外注費、交際費、消耗品費及び車両費被告が主張する額を否認する。 (ウ) 旅費交通費被告が主張する旅費交通費310円(消費税込み)を認める。 ウ合計276万8594円(消費税込み)(3) AAが本件工事により受けた利益の額95万1696円(消費税込み)(被告の主張) (1) 特許法102条2項により算定される原告の損害額 前記8(被告の主張)のとおり、AAは、本件工事の施工について共同不法行為責任を負うことはない。 したがって、仮に被告による本件工事の施工に係る本件特許権侵害が認められるとしても、特許法102条2項所定の「その利益の額」は、被告の受けた利益の額に限られる。 行為責任を負うことはない。 したがって、仮に被告による本件工事の施工に係る本件特許権侵害が認められるとしても、特許法102条2項所定の「その利益の額」は、被告の受けた利益の額に限られる。 (2) 被告が本件工事により受けた利益の額ア請負代金349万2800円(消費税抜き)イ経費(ア) 材料費 100万3320円(消費税込み) (イ) 外注費 58万2740円(消費税込み)(ウ) 交際費 7201円(消費税込み)(エ) 消耗品費 1527円(消費税込み)(オ) 旅費交通費 310円(消費税込み)(カ) 車両費 6000円(消費税込み) ウ小括したがって、被告が本件工事により受けた利益の額は、前記アの請負代金(349万2800円)から前記イの経費(160万1098円)を差し引いた189万1702円である。 第4 当裁判所の判断 1 本件明細書の記載事項等(1) 本件明細書(甲2)の「発明の詳細な説明」には、以下の記載がある(下記記載中に引用する図面については、別紙本件明細書図面目録参照)。 ア 【技術分野】【0001】 本発明は、折板屋根材やスレート屋根材等凹凸のある素材に直接遮熱 材を貼る事により、安くて簡単に省エネルギー効果を産むことが出来る遮熱構造を提供するものである。 イ 【発明が解決しようとする課題】【0006】… 工場や倉庫等の建物は、金属製折板屋根材やスレート屋根材が殆どであるが、これらの素材は放射率が高く室内に大量の輻射熱が放射されている。しかし、スレート屋根に薄い結露防止層を設けているものはあるが、断熱施工は殆ど施されていない状況にある為、夏場の室内は非常に暑く、逆に冬場は寒 素材は放射率が高く室内に大量の輻射熱が放射されている。しかし、スレート屋根に薄い結露防止層を設けているものはあるが、断熱施工は殆ど施されていない状況にある為、夏場の室内は非常に暑く、逆に冬場は寒い劣悪な作業環境におかれている。 【0007】屋根の下側に軽天材にて天井を作り、その天井に遮熱材を貼る施工法もあるが、軽天材による天井を作る費用が大きく費用対効果を見ても大きなメリットを生み出す事は難しい。 【0008】 折板屋根材等凹凸のある素材の室内側に、凹凸面に沿って遮熱材を直接貼る方法は、放射率が低下させるので大きな省エネ効果をもたらす事が可能である。しかし、この場合凹凸のある全ての面に連続的に密着して遮熱材を貼る必要がある為、必要面積例えば水平面での屋根面積と遮熱施工面積では大きな差が出来、大幅なコストアップとなる。 例えば、100m2 の工場の折板屋根材の凹凸部の延べ面積は140m2以上と1.4倍近くになる。又、スレート材等に至っては、1.5倍近くになる。更に、軒の部分等まで考えると2倍近くの施工面積となる場合もある。 又、新築用の屋根材や外壁材等は工場にて施工するので問題はないが、 既設の建物でしかも凹凸の大きいものは、凹部の奥まで器具が届かず施 工不可能であった。 本発明は、これらの問題を解決する為になされたものである。 ウ 【課題を解決するための手段】【0009】本発明は、表面が熱源側を向いており、該熱源側に位置する凹部と非 熱源側に位置する凸部とが交互に設けられた凹凸のある素材と、該凹凸のある素材の裏面側に位置するアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材とからなり、前記凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみ前記アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を 凸のある素材と、該凹凸のある素材の裏面側に位置するアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材とからなり、前記凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみ前記アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を接着手段により取り付けた遮熱構造であって、前記凹部とアルミホイル等輻射熱に対して高反 射率の素材との間に空間を存在させていることを特徴とする凹凸素材の遮熱構造である。 【0014】本発明では、前記凹凸のある素材には、金属、コンクリート、レンガ、プラスチック、木、折板屋根材、スレート屋根材を含むことを特徴とす る。 エ 【発明の効果】【0016】本発明は、金属製の折板屋根材や角波外壁材、縦葺き屋根等凹凸のある素材にボンド等の接着剤で貼れば良く、誰でも簡単に施工でき施工コ ストが大幅に削減できる。 【0017】工場や倉庫等では、軽天材等で組むアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を取り付ける下地も、又余分な金具等も一切必要としないので大幅なコスト削減が可能である。 【0018】 金属素材に係わりなく、コンクリートやプラスチック等あらゆる素材に使用でき、広範囲の使用が可能である。 【0019】タンクでも乾燥炉でも同様、熱源の反対側の素材表面凸部にアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を取り付ければ同様の効果を産む ことが出来、多くの分野で使用可能である。 オ 【発明を実施するための形態】【0025】図1の様な凹凸のある折板屋根材1を例に説明する。熱は図1の上部から来るものとする。 高反射の性能を引き出す方法として、折板屋根材1凹部2とアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材5との間に輻射熱を反射する空気層4が必要である。即ち、アルミホイル等輻射熱に ものとする。 高反射の性能を引き出す方法として、折板屋根材1凹部2とアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材5との間に輻射熱を反射する空気層4が必要である。即ち、アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材5は、熱源側である折板屋根材1凹部2から離れていなければならない。 【0034】施工方法は非常に簡単で、例えばあらゆる素材の凸部に接着剤を塗布、その上からアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材5を貼ればよい。ただ接着する時、素材とアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材5との間には空気を含ませないことが大切であり、接着後空気が良 く抜けるようローラー等でしごく事が重要である。 万一、空気が巻き込まれると、空気が過熱されアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材5に多くの熱が伝わり、結果的には室内側にその熱が供給され、省エネ効果の低減に繋がる。 ここで、あらゆる素材の凸部に対する、アルミホイル等輻射熱に対し て高反射率の素材5の接着方法には、上記のような接着剤による接着の 他に熱溶着、両面テープなどによる接着方法がある。 なお、あらゆる素材の凸部に対する、アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材5の接着を工場にて行う場合は、熱溶着又は接着剤による接着が主体であり、現地工事の場合は、接着剤による接着又は両面テープによる接着が主体となる。 (2) 前記(1)の記載事項によれば、本件明細書には、本件発明に関し、以下のとおりの開示があると認められる。 ア工場や倉庫等の建物は、金属製折板屋根材やスレート屋根材が殆どであるが、これらの素材は放射率が高く室内に大量の輻射熱が放射されていることから、スレート屋根に薄い結露防止層を設けているものはあるが、断 熱施工は殆ど施さ 製折板屋根材やスレート屋根材が殆どであるが、これらの素材は放射率が高く室内に大量の輻射熱が放射されていることから、スレート屋根に薄い結露防止層を設けているものはあるが、断 熱施工は殆ど施されていない状況にあるため、夏場の室内は非常に暑く、逆に冬場は寒い劣悪な作業環境におかれていて、屋根の下側に軽天材にて天井を作り、その天井に遮熱材を貼る施工法もあるが、軽天材による天井を作る費用が大きく費用対効果を見ても大きなメリットを生み出す事は難しく、折板屋根材等凹凸のある素材の室内側に、凹凸面に沿って遮熱材を 直接貼る方法は、放射率が低下させるので大きな省エネ効果をもたらす事が可能であるものの、この場合凹凸のある全ての面に連続的に密着して遮熱材を貼る必要があるため、必要面積例えば水平面での屋根面積と遮熱施工面積では大きな差ができ大幅なコストアップとなり、また、新築用の屋根材や外壁材等は工場にて施工するので問題はないが、既設の建物でしか も凹凸の大きいものは、凹部の奥まで器具が届かず施工不可能であった(【0006】ないし【0008】)。 イ 「本発明」は、前記アの問題を解決することを目的として、表面が熱源側を向いており、該熱源側に位置する凹部と非熱源側に位置する凸部とが交互に設けられた凹凸のある素材と、該凹凸のある素材の裏面側に位置す るアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材とからなり、前記凹凸の ある素材の凸部の裏面に対してのみ前記アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を接着手段により取り付けた遮熱構造であって、前記凹部とアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材との間に空間を存在させていることを特徴とする凹凸素材の遮熱構造を採用したものであり、これによって、誰でも簡単に施工でき、軽天材等の下地 あって、前記凹部とアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材との間に空間を存在させていることを特徴とする凹凸素材の遮熱構造を採用したものであり、これによって、誰でも簡単に施工でき、軽天材等の下地も、余分な金具等も一切 必要としないため、施工コストが大幅に削減できる上、あらゆる素材に使用でき、広範囲かつ多くの分野での使用を可能とするとの効果を奏する(【0009】、【0016】ないし【0019】)。 2 争点1-1(構成要件Cの充足性)について(1) 構成要件Cの「前記凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみ前記アルミ ホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を接着手段により取り付けた」の意義ア本件発明の技術的意義について構成要件Cの前記文言を解釈する前提として、本件発明の技術的意義について検討する。 本件明細書の【0008】、【0009】、【0016】及び【0017】の各記載によれば、本件発明によって解決すべき従来技術における課題は、「凹凸面に沿って」「全ての面に連続的に密着して遮熱材を貼る」と、「水平面での屋根面積と遮熱施工面積では大きな差が出来」ることから「大幅なコストアップとなる」こと(課題①)及び「既設の建物でしかも凹凸の 大きいものは、凹部の奥まで器具が届かず施工不可能であ」ること(課題②)であって、これらの課題を本件発明に係る構成により解決するものと理解できる。 そうすると、構成要件Cの「前記凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみ前記アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を接着手段により 取り付け」ること及び構成要件Dの「前記凹部とアルミホイル等輻射熱に 対して高反射率の素材との間に空間を存在させている」ことという構成は、これらを採用することによって、輻射熱に対し 取り付け」ること及び構成要件Dの「前記凹部とアルミホイル等輻射熱に 対して高反射率の素材との間に空間を存在させている」ことという構成は、これらを採用することによって、輻射熱に対して高反射率の素材を、凹凸面に沿って全ての面に連続的に密着させることなく、凹部と素材との間に空間を存在させるように凸部の裏面に対してのみ取り付け、遮熱材を平面的に配置して、水平面での屋根面積と遮熱施工面積の差を小さくすると共 に、輻射熱に対して高反射率の素材を凹部の奥へ取り付ける作業をなくし、課題①及び②を解決しようとするものであることが理解できる。 イ全ての凸部の裏面と遮熱シートとを接着することの要否について(ア) 構成要件AないしCの記載によれば、本件発明の「遮熱構造」が「凹凸のある素材」と「アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材」に より構成されており、「アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材」が、「凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみ」、「接着手段により取り付け」られていると理解できる。 一方、構成要件Cは、その文言上、「凹凸のある素材」の全ての「凸部」に対し、アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を取り付けなけ ればならないことまでは規定していないし、他の特許請求の範囲及び本件明細書の記載においても、そのような限定はされていない。 むしろ、構成要件Cは、前記アのとおり、アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を、凹凸面に沿って全ての面に連続的に密着させることなく、凸部の裏面に対してのみ取り付けることにより、水平面での 屋根面積と遮熱施工面積の差を小さくすると共に、輻射熱に対して高反射率の素材を凹部の奥へ取り付ける作業をなくすことで課題①及び②を解決するものであると理解でき、輻射熱に対して り、水平面での 屋根面積と遮熱施工面積の差を小さくすると共に、輻射熱に対して高反射率の素材を凹部の奥へ取り付ける作業をなくすことで課題①及び②を解決するものであると理解でき、輻射熱に対して高反射率の素材が接着手段によって取り付けられていない凸部が存在することにより、上記の課題解決が妨げられるとは認められないから、その存在を許容している と認めるのが相当である。 (イ) 被告は、本件明細書の【0034】の記載を指摘して、全ての凸部の裏面と遮熱シートを接着することが必要であると主張するが、この記載は、凸部に輻射熱に対して高反射率の素材が接着手段によって取り付けられている箇所において、空気を含ませないことが大切であると述べているにとどまり、輻射熱に対して高反射率の素材が接着手段によって取 り付けられていない凸部が存在することを排除しているものと理解することはできない。 また、被告は、本件明細書の実施例を上記主張の根拠として挙げるが、本件明細書の実施例1ないし8は、いずれも空気層の有無による影響について検証しているものと認められるものの、凸部と遮熱シートとを接 着させない構成が前記アの課題解決を妨げることを示すものとはいえない。 したがって、被告の上記主張を採用することはできない。 ウ 「接着手段により」の意義について(ア) 構成要件Cは、二つの「素材」の「取り付け」について規定する一方、 その文言上、「取り付け」の手段に関し、「接着手段」によってのみ取り付けなければならないとは規定していないし、他の特許請求の範囲の記載及び本件明細書の記載においても、そのような限定はされていない。 むしろ、構成要件Cは、前記アのとおり、アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を、凹凸面に沿って全ての 、他の特許請求の範囲の記載及び本件明細書の記載においても、そのような限定はされていない。 むしろ、構成要件Cは、前記アのとおり、アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を、凹凸面に沿って全ての面に連続的に密着させる ことなく、凸部の裏面に対してのみ取り付けることにより、水平面での屋根面積と遮熱施工面積の差を小さくすると共に、輻射熱に対して高反射率の素材を凹部の奥へ取り付ける作業をなくすことで課題①及び②を解決していることが理解でき、取付手段として「接着手段」以外の手段を用いたとしても、上記の課題解決が妨げられるとは認められないから、 そのような手段を排除しているとはいえない。 (イ) 被告は、本件明細書の【0001】、【0016】及び【0017】の記載を指摘して、遮熱シートを屋根材に取り付けるに当たってビス等の金具を使用することは否定されていると主張するが、これらの記載は、屋根等の素材に遮熱材をボンド等の接着剤で直接貼れば良く、遮熱材を取り付ける下地や余分な金具等を必要としないと述べているにとどまり、 取付手段として「接着手段」以外の手段を排除しているものと理解することはできない。そうすると、凸部の裏面に輻射熱に対して高反射率の素材が少なくとも接着手段によって取り付けられていれば足りると解するのが相当である。 また、被告は、金具を用いることなく、長期間にわたって接着した状 態のままで遮熱構造を維持できないようなものは、本件発明が企図する「遮熱構造」といえないから、施工工事の最中に遮熱シートが落下することを防止する程度の仮留めは、遮熱シートを取り付ける「接着手段」として想定されていないと主張する。しかし、前記アの本件発明の技術的意義に照らせば、本件発明は、輻射熱に対して高反射率の素材を凸部 ることを防止する程度の仮留めは、遮熱シートを取り付ける「接着手段」として想定されていないと主張する。しかし、前記アの本件発明の技術的意義に照らせば、本件発明は、輻射熱に対して高反射率の素材を凸部 の裏面に対してのみ取り付けることによって作用効果を奏するものであり、この作用効果を実現するため、上記の取付方法として少なくとも「接着手段」によるべきことが特定されているにすぎないと認められるから、「接着手段」と他の取付手段とを併用することによって長時間剥がれないようにする構造を排除しているとはいえない。 したがって、被告の上記各主張を採用することはできない。 (2) あてはめ前提事実(6)のとおり、被告遮熱構造構成cは、アルミ遮熱シートは、凹凸のあるスレート素材で成る屋根材の凸部の4列に対して1列の割合で凸部の裏面に貼り付けられている両面テープを用いて、当該遮熱シートを仮留めし た上、当該遮熱シートの両端部分を、当該屋根に設置されている母屋材にビ ス留めすることによって、固定されているというものである。 前記(1)イのとおり、構成要件Cは、輻射熱に対して高反射率の素材が接着手段によって取り付けられていない凸部が存在することを許容していると認められる。また、前記(1)ウのとおり、凸部の裏面に輻射熱に対して高反射率の素材が、少なくとも「接着手段」によって取り付けられていれば足り、「接 着手段」と他の取付手段とを併用することによって長時間剥がれない構造を排除しているとはいえない。 したがって、被告遮熱構造構成cは、構成要件Cを充足すると認められる。 3 争点1-2(構成要件Dの充足性)について(1) 構成要件Dの「空間」の意義について 構成要件AないしDの記載によれば、「凹凸のある素材」の cは、構成要件Cを充足すると認められる。 3 争点1-2(構成要件Dの充足性)について(1) 構成要件Dの「空間」の意義について 構成要件AないしDの記載によれば、「凹凸のある素材」の「凹部」と同「素材」の「凸部」の裏面に取り付けた「アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材」との間に「空間」が存在していると理解できる一方、構成要件Dは、文言上、その「空間」が「凸部」と「凸部」の間で独立したものでなければならないとは規定していないし、他の特許請求の範囲の記載及び本 件明細書の記載においても、そのような限定はされていない。 この点に関し、被告は、構成要件Cについて、全ての「凸部」の裏面と遮熱シートとを接着させる必要があるとの主張を前提として、構成要件Dの「空間」は、「凸部」と「凸部」の間で独立したものでなければならず、「凸部」を跨いで隣とつながっているものは、構成要件Dの「空間」に当たらな いと主張する。しかし、前記2(1)イにおいて説示したとおり、構成要件Cは、輻射熱に対して高反射率の素材が接着手段によって取り付けられていない「凸部」が存在することを許容していると認められるから、被告の主張は、その前提を欠くものであって、採用することができない。 (2) あてはめ 前提事実(6)のとおり、被告遮熱構造dは、凹凸のあるスレート素材とアル ミ遮熱シートとの間に、凸部と凸部との間を跨いでつながっている空間が存在するというものである(別紙被告遮熱構造図面目録参照)。 したがって、被告遮熱構造構成dは、構成要件Dを充足すると認められる。 4 争点2-1(乙6文献を主引用例とする進歩性欠如)について(1) 乙6文献に記載された発明について ア証拠(乙6)によれば、乙6文献には、次の発明が 成要件Dを充足すると認められる。 4 争点2-1(乙6文献を主引用例とする進歩性欠如)について(1) 乙6文献に記載された発明について ア証拠(乙6)によれば、乙6文献には、次の発明が記載されていると認められる。 a 表面が熱源側を向いている平板状屋根材(Roofdecking)と、該屋根材の熱源側と反対の非熱源側(裏面側)に凸状に設けられた垂木を有し、前記平板状屋根材裏面側と垂木によって凹部空間が形成されており、 b 垂木の裏面側に位置するアルミホイルを有し、c 前記凸状に設けられた垂木の裏面に対してのみ(屋根材裏面を除く意味)前記アルミホイルをステープルによって取り付けた遮熱構造であって、d 平板状屋根材裏面側と垂木によって形成された凹部空間と、アルミホ イルと間に空間(Airspace)を存在させているe ことを特徴とする屋根の遮熱構造イ被告の主張について被告は、専ら前記認定の構成aに関し、乙6文献には、「表面が熱源側を向いている平板状屋根材(Roofdecking)と、該屋根板の熱源側と反対の 非熱源側(裏面側)に凸状に設けられた垂木からなり、前記屋根材裏面側と垂木で形成される凹部空間を有する素材」から成る構成が記載されていると主張する。 しかし、別紙乙6文献図面目録記載の図によれば、平板状屋根材と垂木とは、独立した別個の部材であると認められる。そして、「素材」の一般的 字義は、「①もととなる材料。原料。②造材によってできた材種で、まだ製 材されていないもの。」などと認められるところ(甲11)、本件明細書の【0001】、【0014】、【0016】、【0018】、【0019】、【0025】、【0034】において、「素材」とは、屋根材のもととなる材料であ 。」などと認められるところ(甲11)、本件明細書の【0001】、【0014】、【0016】、【0018】、【0019】、【0025】、【0034】において、「素材」とは、屋根材のもととなる材料であるという上記の一般的字義を前提とした記載がされているのに対し、別部材を組み合わせたものを「素材」として扱うことを示す記載はない。 そうすると、乙6文献には、「表面が熱源側を向いている平板状屋根材(Roofdecking)と、該屋根材の熱源側と反対の非熱源側(裏面側)に凸状に設けられた垂木からなり、前記屋根材裏面側と垂木で形成される凹部空間を有する素材」から成る構成が記載されているとはいえず、むしろ、それぞれ別個の部材である前記平板状屋根材の裏面側と垂木とから凹部空 間が形成されているとの構成が記載されていると認めるのが相当である。 したがって、被告の上記主張を採用することはできない。 (2) 本件発明と乙6発明との間の一致点及び相違点前記(1)において認定した乙6発明によれば、本件発明と乙6発明との間の一致点及び相違点は、次のとおりと認められる。 ア一致点① 熱源側と非熱源側とを隔てる構造である点② 表面が熱源側を向き、熱源側と非熱源側とを隔てる素材と、非熱源側(裏面側)に位置するアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材(遮熱シートに相当)とから成る遮熱構造である点 ③ 表面が熱源側を向いている素材とアルミホイル輻射熱に対して高反射率の素材との間に空間が設けられている点イ相違点①´ 本件発明は、折板や波型スレートのように、単一の「凹部と凸部が交互に設けられた凹凸のある素材」自体により凹部空間が形成されてい るのに対して、乙6発明は、「平板状の屋根材(Roofdecking)」と、 折板や波型スレートのように、単一の「凹部と凸部が交互に設けられた凹凸のある素材」自体により凹部空間が形成されてい るのに対して、乙6発明は、「平板状の屋根材(Roofdecking)」と、こ の屋根材の裏面側に設けられた「凸状の垂木」という別個の部材により、屋根材の裏面側に凹部空間が形成されている点②´ 本件発明は、遮熱シートが、「接着手段により」、「前記凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみ」取り付けられているのに対し、乙6発明は、「ステープルにより」、「前記凸状に設けられた垂木の裏面に対しての み」取り付けられている点(3) 容易想到性についてア相違点①´に係る本件発明の構成の容易想到性について被告は、当該相違点に関し、屋根材として折板や波型スレートを使用するという周知慣用技術を適用することで、当業者は、当該相違点に係る本 件発明の構成を容易に想到することができたと主張する。 しかし、前記(1)のとおり、屋根材と垂木とは別個の部材であるから、上記周知慣用技術を適用しても、折板や波型スレートから成る屋根材を乙6発明の垂木で支持する構成となるにすぎず、相違点①´に係る本件発明の構成に至らない。 イ相違点②´に係る本件発明の構成の容易想到性について被告は、当該相違点に関し、屋根材や壁材等の素材に、遮熱シートを接着剤等で直接貼り付けることは、遮熱シートの使用に関する周知慣用の技術にすぎないし、遮熱シートを取り付ける際に、可能な限り取り付けるための部材を少なくするという技術課題は、遮熱構造が属する技術分野にお いて自明又は当業者が容易に着想し得る課題であるから、当業者は、当該相違点に係る本件発明の構成を容易に想到することができたと主張する。 しかし、前記(1)のとおり、屋 造が属する技術分野にお いて自明又は当業者が容易に着想し得る課題であるから、当業者は、当該相違点に係る本件発明の構成を容易に想到することができたと主張する。 しかし、前記(1)のとおり、屋根材と垂木とは別個の部材であるから、上記周知慣用技術を適用しても、垂木に遮熱シートを接着する構成となるにすぎず、相違点②´に係る本件発明の構成に至らない。 そして、垂木ではなく、屋根材に直接遮熱シートを取り付けることにつ いて、乙6文献には明示の記載も示唆もされておらず、このほかに、当業者において、このような構成とすることの動機付けがあると認めるに足りる証拠はない。 ウまとめ以上によれば、当業者において、相違点に係る本件発明の構成を容易に 想到することができたとはいえない。 (4) 小括したがって、当業者は、本件発明について、乙6発明と周知慣用技術に基づいて、容易に発明をすることができたとはいえない。 5 争点2-2(本件明細書記載の従来技術に係る発明を主引用発明とする進歩 性欠如)について(1) 被告は、本件明細書の【0008】の記載から、折板屋根や波型スレートを素材とした凹凸のある素材の屋根構造において、遮熱シートを屋根材の凹凸の面に沿って接着することは、本件出願前において公知の発明であったから、当業者は、本件発明について、本件明細書記載の従来技術に係る発明と 公知技術に基づいて、容易に発明をすることができたことが明らかであると主張する。 (2) そこで検討すると、本件全証拠によっても、折板屋根や波型スレートを素材とした凹凸のある素材の屋根構造において、遮熱シートを屋根材の凹凸の面に沿って接着することが、本件特許の優先日より前に公然知られた発明、 公然実施をされた発明又は頒布 屋根や波型スレートを素材とした凹凸のある素材の屋根構造において、遮熱シートを屋根材の凹凸の面に沿って接着することが、本件特許の優先日より前に公然知られた発明、 公然実施をされた発明又は頒布された刊行物に記載された発明であると認めることはできない。 また、本件明細書の【0008】は、「折板屋根材等凹凸のある素材の室内側に、凹凸面に沿って遮熱材を直接貼る方法」について言及しているものの、同段落の「大きな省エネ効果をもたらす事が可能である。しかし、…大幅な コストアップとなる。」及び「新築用の屋根材…等は…問題はないが、既設の 建物でしかも凹凸の大きいものは、…施工不可能であった。」との記載に照らすと、当該方法は、技術的には可能であるが、実際に施工することは現実的でない旨が記載されていると理解することができる。そうすると、本件明細書の【0008】の記載から、直ちに、当該方法の公知性が認められているということはできないというべきである。 そして、本件発明は、凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を接着手段により取り付けた遮熱構造(構成要件C)であるのに対し、被告が主張する本件明細書記載の従来技術は、凹凸のある素材の屋根構造において、遮熱シートを屋根材の凹凸の面に沿って接着するものであるから、両者は同一の発明ではなく、何らかの相違 点が存在することが明らかであるところ、当業者が、相違点に係る本件発明の構成を容易に想到できたことについて、具体的な主張立証はない。 (3) したがって、その余の点について判断するまでもなく、被告の前記主張を採用することはできない。 6 争点2-3(明確性要件違反)について (1) 本件発明の技術的意義についてア被告は したがって、その余の点について判断するまでもなく、被告の前記主張を採用することはできない。 6 争点2-3(明確性要件違反)について (1) 本件発明の技術的意義についてア被告は、本件発明の技術的意義を、「コストアップの原因となる部材を用いる必要がない遮熱構造」を提供したことにあると考えれば、第3の5(被告の主張)(1)の点について、①凸部に遮熱材を直接貼り付けることで、空気層を設けるよりも低放射の性能を引き出すことができる、②遮熱シー トと屋根材とを密着させた方が、遮熱シートと屋根材との間に空間を設けたものよりも遮熱効果が高いとの効果をもたらすことができるとの点にあると解すれば、第3の5(被告の主張)(1)ないし(3)の点について、それぞれ明確性要件違反の無効理由があると主張する。 イそこで、本件発明の技術的意義について検討すると、前記2(1)アのとお り、本件発明によって解決すべき従来技術における課題は、「凹凸面に沿っ て」「全ての面に連続的に密着して遮熱材を貼る」と、「水平面での屋根面積と遮熱施工面積では大きな差が出来」ることから「大幅なコストアップとなる」こと(課題①)及び「既設の建物でしかも凹凸の大きいものは、凹部の奥まで器具が届かず施工不可能であ」ること(課題②)であって、これらの課題を本件発明に係る構成により解決するものと理解できる。 これに対し、本件明細書において、本件発明の技術的意義が、被告が主張する上記①及び②であるとする記載はなく、それらを示唆するような記載もない。 したがって、本件発明の技術的意義が被告の主張する上記①及び②であることを前提とする、明確性要件違反の主張(第3の5(被告の主張)(2) 及び(3))は採用することができない。 (2) 。 したがって、本件発明の技術的意義が被告の主張する上記①及び②であることを前提とする、明確性要件違反の主張(第3の5(被告の主張)(2) 及び(3))は採用することができない。 (2) 広い面積に亘って凹凸が多数存在する素材を用いる場合の接着の範囲が不明確であるとの主張(第3の5(被告の主張)(1))について被告は、本件発明に係る特許請求の範囲の記載によれば、遮熱材を凹凸素材へ取り付けるに当たり、遮熱材が剥がれ落ちない範囲で接着させれば良い と解することができるものの、広い面積に亘って凹凸が多数存在する素材を用いる場合には、遮熱材を凹凸素材へ接着する範囲をどの程度とすべきかが不明確であると主張する。 しかし、前記2(1)イ及びウにおいて説示したとおり、本件発明は、輻射熱に対して高反射率の素材が、少なくとも接着手段によって凸部の裏面に取り 付けられていれば、その技術的範囲に属することになるのであるから、本件発明に係る特許請求の範囲は、本件発明の技術的範囲に属するか否かを当業者が理解できるように記載されているといえる。 したがって、本件発明に係る特許請求の範囲の記載が明確性要件に適合しないものであるとはいえず、被告の上記主張を採用することはできない。 7 争点2-4(乙60文献を主引用例とする進歩性欠如)について (1) 乙60文献に記載された発明についてア証拠(乙60)によれば、乙60文献には、次の発明が記載されていると認められる。 a 表面が熱源側を向いており、該熱源側に位置する突条と非熱源側に位置する凹溝とが交互に設けられた凹凸のある折板と、 b 該凹凸のある折板の裏面側に位置し、支持梁に挟まれて固定されているアルミニウムからなる金属反射層を備えた熱反射シートとからな 非熱源側に位置する凹溝とが交互に設けられた凹凸のある折板と、 b 該凹凸のある折板の裏面側に位置し、支持梁に挟まれて固定されているアルミニウムからなる金属反射層を備えた熱反射シートとからなり、c 前記凹凸のある折板の凹溝の裏面に対してのみ前記熱反射シートを取り付けた遮熱構造であって、d 前記突条と前記熱反射シートとの間に空間を存在させている e ことを特徴とする凹凸素材の遮熱構造。 イ被告の主張について被告は、専ら前記構成bに関し、乙60発明においては、折板の裏面に設けられている熱反射シートの取付手段について、接着手段により取り付けられているのか不明であるとのみ主張する。 しかし、証拠(乙60)によれば、熱反射シートが接着手段により取り付けられているか否かは不明であるものの、少なくとも折板と支持梁に挟まれて固定されていることが明らかに示されているから、「支持梁に挟まれて固定されている」という点も、乙60発明の構成として認定すべきである。 したがって、被告の上記主張を採用することはできない。 (2) 本件発明と乙60発明との間の一致点及び相違点前記(1)において認定した乙60発明によれば、本件発明と乙60発明との間の一致点及び相違点は、次のとおりと認められる。 ア一致点 ① 表面が熱源側を向いており、該熱源側に位置する凹部と非熱源側に位 置する凸部とが交互に設けられた凹凸のある素材から成る点② 該凹凸のある素材の裏面側に位置するアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材から成る点③ 前記凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみ前記アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を取り付けた遮熱構造である点 ④ 前記凹部とアルミホイル等輻射熱に対して高反射率 素材から成る点③ 前記凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみ前記アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を取り付けた遮熱構造である点 ④ 前記凹部とアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材との間に空間を存在させている点イ相違点本件発明においては、前記凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみ前記アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を接着手段により取り付 けているのに対し、乙60発明においては、熱反射シートが、接着手段により取り付けられているか否かは不明であるものの、折板と支持梁に挟まれて固定されている点(3) 容易想到性について被告は、乙61文献に、「屋根板と垂木を含む屋根材において、屋根板との 間に空気層を形成する熱反射フィルムを取り付けるものであって、熱反射フィルムはアルミ箔等からなり、この熱反射フィルムを両面テープにより貼り付けた後、ステープルにより打ち付ける発明」(乙61発明)が記載されており、これを乙60発明に適用することによって、当業者は、相違点に係る本件発明の構成を容易に想到できたと主張する。 しかし、前記(2)のとおり、乙60発明においては、熱反射シートが折板と支持梁に挟まれて固定されているところ、乙60文献には、その固定性能に問題があることの明示の記載も示唆もない上、本件全証拠によっても、乙60発明において、熱反射シートを固定するために、更に接着手段を用いることの動機付けがあるとは認められない。 このほか、被告は種々の主張をするが、当業者において、相違点に係る本 件発明の構成を容易に想到することができたと認めることはできず、いずれも採用することができない。 (4) 小括したがって、当業者は、本件発明について、乙60発明と乙61発明に基 件発明の構成を容易に想到することができたと認めることはできず、いずれも採用することができない。 (4) 小括したがって、当業者は、本件発明について、乙60発明と乙61発明に基づいて、容易に発明をすることができたと認めることはできない。 8 争点3(差止めの必要性)について前提事実(6)及び前記2ないし7のとおり、被告が、業として、被告工法を使用した工事を行うことは、本件発明の技術的範囲に属する被告遮熱構造を生産することに当たり、本件特許権を侵害する。 そして、被告が、本件訴訟において、前記第3の各(被告の主張)のとおり 主張し、被告遮熱構造が本件発明の技術的範囲に属すること及び本件特許の有効性のいずれについても争っていることを考慮すると、被告に対し、被告工法を使用した工事を行うことを差し止める必要があると認めるのが相当である。 9 争点4-1(被告とAAによる共同不法行為の成否)について(1) 後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、本件工事の施工におけるAAの関 与について、次の事実を認めることができる。 ア AAは、遮熱材及び関連機材の販売、設置工事に関する業務を目的とする株式会社である(甲20)。 イ AAは、自社のウェブサイトにおいて、遮熱シートの屋根下施工の施工例を掲載していたところ、BBの担当者がこれを見たことを機に、同社は、 AAに、本件工事の施工を発注した(甲13ないし17、弁論の全趣旨)。 ウ AAは、本件工事を直接施工することはなかったものの、同社担当者は、被告代表者と共に複数回現場に赴いて、施工範囲の確認などをしていた上、被告から遮熱シートの具体的な設置方法や施工スケジュールを伝えられていた(弁論の全趣旨)。 (2) 前記(1)の認定事実に照らせば、AA 複数回現場に赴いて、施工範囲の確認などをしていた上、被告から遮熱シートの具体的な設置方法や施工スケジュールを伝えられていた(弁論の全趣旨)。 (2) 前記(1)の認定事実に照らせば、AAは、自社のウェブサイトに遮熱シート の施工例を掲載し、BBからの本件工事の施工の申込みを誘引した上で、同社との間で請負契約を締結したものであるから、注文者である同社との関係で本件工事の実質的な窓口になっていたといえる。また、AAの担当者は、被告代表者と共に施工現場に赴いて施工範囲を確認しただけでなく、被告から遮熱シートの具体的な設置方法を伝えられていたのであるから、本件工事 によって被告遮熱構造が作製されることも認識しながら、本件工事が円滑に施工されるための事務を遂行したものと評価できる。 このように、AAは、注文者との関係で被告側の実質的な窓口となり、本件工事の内容も把握した上で、被告による本件工事の施工が円滑に行われるように事務を遂行する役割を担っていたということができるから、本件工事 の施工に直接関与していなかったとしても、被告による本件工事の施工を少なくとも幇助したものと認めるのが相当である。 (3) したがって、AAは、民法719条2項により、被告を幇助したものとして、共同不法行為者とみなされる。 争点4-2(被告及びAAが本件工事により受けた利益の額)について (1) 特許法102条2項所定の「その利益の額」について前記9において説示したとおり、被告とAAによる本件工事の施工に係る本件特許権侵害について共同不法行為が成立するから、原告が受けた損害の額と推定される特許法102条2項所定の「その利益の額」は、本件工事によって、被告が受けた利益の額とAAが受けた利益の額との合計額となる。 について共同不法行為が成立するから、原告が受けた損害の額と推定される特許法102条2項所定の「その利益の額」は、本件工事によって、被告が受けた利益の額とAAが受けた利益の額との合計額となる。 (2) 被告の受けた利益の額ア売上高前提事実(5)イのとおり、被告が受領した本件工事の施工についての請負代金の額は、377万2224円(税抜代金349万2800円、消費税相当額27万9424円)と認められる。 そして、消費税法基本通達5-2-5柱書及び(2)によると、「無体財 産権の侵害を受けた場合に加害者から当該無体財産権の権利者が収受する損害賠償金」は、資産の譲渡等の対価に該当するものとされていることからすれば、特許法102条2項の「侵害の行為により利益を受けているとき」にいう「利益」には消費税相当分も含まれると解すべきである。 したがって、特許法102条2項所定の損害額算定の基礎となる売上高 は、377万2224円(消費税込み)というべきである。 イ控除すべき経費(ア) 材料費 100万3320円(消費税込み)当事者間に争いがない。 (イ) 外注費 58万2740円(消費税込み) 証拠(乙64ないし69)によれば、被告は、本件工事の一部の施工を下請業者に発注し、日当、残業代、ガソリン代及び高速料金代並びに飲料水代として、合計58万2740円(消費税込み)を支払ったことが認められる。 そして、証拠(乙80)により認められる本件工事の施工期間、施工 内容等に照らせば、上記支払のうち、日当、残業代、ガソリン代及び高速料金代は、本件工事の施工に直接関連して必要となった経費に当たるものと認められる。 また、証拠(乙80)によれば、上記の下請業者に対する支払のうち、飲料水 のうち、日当、残業代、ガソリン代及び高速料金代は、本件工事の施工に直接関連して必要となった経費に当たるものと認められる。 また、証拠(乙80)によれば、上記の下請業者に対する支払のうち、飲料水代については、暑い現場で作業している下請業者が水分補給でき るようにとの趣旨で購入されたものと認められるところ、その内容及び金額の水準に照らせば、当該支払についても、本件工事の施工に直接関連して必要となった経費に当たると認めるのが相当である。 (ウ) 交際費 7201円(消費税込み)証拠(乙70、80)によれば、被告は、本件工事の施工期間中、前 記(イ)の下請業者の昼食代として合計7201円(消費税込み)を負担し たことが認められるところ、その内容及び金額の水準に照らせば、当該負担は、本件工事の施工に直接関連して必要となった経費に当たるものと認められる。 (エ) 消耗品費 1527円(消費税込み)証拠(乙71)によれば、被告は、ポリ袋及びコピー用紙を合計69 7円(消費税込み)で、ナチ六角軸鉄工ドリル及び「リポビタンD」という商品名の栄養ドリンク剤を合計830円(消費税込み)で、それぞれ購入したことが認められる。 そして、証拠(乙80)によれば、上記ポリ袋は、現場において発生した廃材を処理するため、上記コピー用紙は、現場においてメモをとる ため、上記ナチ六角軸鉄工ドリルは、母屋材にビス孔を空けるドリルの交換用として、それぞれ購入したものと認められるから、これらの支払は、本件工事の施工に直接関連して必要となった経費に当たるものと認められる。 また、証拠(乙80)によれば、上記「リポビタンD」は、暑い現場 で作業している下請業者が栄養補給できるようにとの趣旨で購入されたもの 接関連して必要となった経費に当たるものと認められる。 また、証拠(乙80)によれば、上記「リポビタンD」は、暑い現場 で作業している下請業者が栄養補給できるようにとの趣旨で購入されたものと認められるところ、その内容及び金額の水準に照らせば、本件工事の施工に直接関連して必要となった経費に当たると認めるのが相当である。 (オ) 旅費交通費 310円(消費税込み) 当事者間に争いがない。 (カ) 車両費 6000円(消費税込み)証拠(乙78、80)によれば、被告代表者は、本件工事の施工期間である令和元年7月5日から同月9日まで、数名の作業員や様々な工具類・装備品を同乗・積載させた車両を運転して、当時の被告所在地(省 略)と施工現場との間を往復したこと、当時の被告所在地と施工現場と の間の道のりは40キロメートル以上であることがそれぞれ認められる。 そして、弁論の全趣旨によれば、1キロメートル当たりのガソリン代は15円(消費税込み)を下回らないと認められるから、これらを基礎として算定したガソリン代相当額6000円(=15円×40キロメートル×2×5日)は、本件工事の施工に直接関連して必要となった経費 に当たるものと認められる。 (キ) 合計 160万1098円(消費税込み)ウ小括前記ア及びイによれば、被告が本件工事の施工により受けた利益の額は、217万1126円(消費税込み)と認められる。 (3) AAの受けた利益の額ア売上高前提事実(5)アによれば、特許法102条2項所定の損害額算定の基礎となる売上高は、472万3920円(消費税込み)と認められる。 イ控除すべき経費 前提事実(5)イによれば、特許法102条2項所定の損害額算定の基 許法102条2項所定の損害額算定の基礎となる売上高は、472万3920円(消費税込み)と認められる。 イ控除すべき経費 前提事実によれば、特許法102条2項所定の損害額算定の基礎となる控除すべき経費は、377万2224円(消費税込み)と認められる。 ウ小括前記ア及びイによれば、AAが本件工事の施工により受けた利益の額は、95万1696円(消費税込み)と認められる。 損害額前記及びによれば、特許法102条2項により算定される原告の損害額は、312万2822円と認められる。 第5 結論以上の次第で、原告の請求は、主文の限度で理由があるからこれを認容することとし、その余は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 なお、仮執行免脱宣言は、相当でないから、これを付さないこととする。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 國分隆文 裁判官 間明宏充 裁判官 バヒスバラン薫 別紙工法目録 工場、倉庫等の建物の屋根材等の凹凸素材に、その凸部の全部又は一部に接着手段でアルミ遮熱シートを取り付ける屋根下遮熱工事ないしは屋根下遮熱シート施工以上 別紙被告遮熱構造図面目録 建物の屋根材等の凹凸素材に、その凸部の全部又は一部に接着手段でアルミ遮熱シートを取り付ける屋根下遮熱工事ないしは屋根下遮熱シート施工 別紙被告遮熱構造図面目録 【屋根を軒側から見た断面図】 別紙乙6文献図面目録 別紙本件明細書図面目録図1
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