【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人定塚道雄の上告趣意書は「原判決は原判示の傷害致死事実を六個の証拠を 綜合して認定した。すなわち、一、被告人の控訴審
主文本件上告を棄却する。 理由弁護人定塚道雄の上告趣意書は「原判決は原判示の傷害致死事実を六個の証拠を綜合して認定した。すなわち、一、被告人の控訴審法廷における供述、二、第一審公判調書中の被告人の供述記載、三、証人Aに対する予審第一、二回訊問調書を通じたる記載、四、証人Bに対する予審訊問調書中の供述記載、五、鑑定人C作成鑑定書中の記載、六、押収出刃庖丁の存在の六つである。ところが、右の三と四は証拠能力がない。蓋し、刑事被告人はすべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又公費で自己のために強制手続により証人を求める権利を有するので、もはや証拠書類の記載内容を直ちに罪証に供することは許されなくなつたのである。 刑訴応急措置法十二条はその供述者又は作成者を公判期日において訊問する機会を被告人に与へさへすれば証拠とすることができると解釈すべきではない。前記三、四の予審訊問調書を罪証に供した違法がある。それが右の証拠書類に該ることは疑ないが、公判廷における直接証拠でないためこれが証拠能力のないことの明かな以上、この二証拠を除いて原判示事実が認められるかどうかを検討せねばならぬこととなる。ところが、一及二は共に自分には傷害の意思と傷害の行為とがないという内容で、その趣旨は、「持つていた出刃が自然に上の方に向いていたので相手が倒れたときその大腿部に突刺さつた」ため傷を負うたのだというにある。五はこうした自然現象で出来た負傷の部位程度、死因を説明するのみ、六はこうして被告人の意志と行為に関聯なくして傷を作つた出刃庖丁が存在しているということにすぎない。従つて、右の一、二、五、六を綜合しても原判示事実は認定できない。 すなわち、原判決は事実理由に合致しない証拠説明を敢てしたことになるので、刑訴四百 つた出刃庖丁が存在しているということにすぎない。従つて、右の一、二、五、六を綜合しても原判示事実は認定できない。 すなわち、原判決は事実理由に合致しない証拠説明を敢てしたことになるので、刑訴四百十条十九号の判決理由に齟齬あるときに該る。」と言うにある。 - 1 -しかし証人の予審訊問調書は被告人の請求があるときはその供述者を公判期日に訊問する機会を被告人に与えなければこれを証拠とすることができないのであるからその訊問の機会を被告人に与えさへすれば現にこれを公判廷で訊問しなくともその調書を証拠とすることができると解すべきである。そして所論証人Aに対する予審第一、二回訊問調書及び証人Bに対する予審訊問調書については原審公判廷においてその供述者を訊問する機会を与えられたに拘わらず被告人においてこれが訊問を請求しなかつたことは原審公判調書の記載によつて明かであるから原判決が右の調書を罪証に供したのは正当であつて原判決には所論の如き違法があると云うことはできない。論旨は理由がない。 よつて刑事訴訟法第四百四十六条により主文の如く判決する。 この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。 検察官柳川真文関与昭和二十三年五月二十二日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官塚崎直義裁判官霜山精一裁判官栗山茂裁判官藤田八郎- 2 -
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