令和6年(わ)第90号、第101号被告人Aに対する入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反、公契約関係競売入札妨害、加重収賄、被告人Bに対する公契約関係競売入札妨害、贈賄各被告事件 主文 被告人Aを懲役2年6月に、被告人Bを懲役2年に処する。 被告人両名に対し、この裁判確定の日から4年間、それぞれその刑の執行を猶予する。 被告人Aから金23万6601円を追徴する。 理由 (罪となるべき事実)被告人Aは、平成30年4月1日から令和2年3月31日までの間、一関市公営企業水道部給水課長として、同年4月1日から令和4年3月31日までの間、同市公営企業上下水道部次長兼水道課長として、それぞれ水道施設の設計及び工事監督に関すること等の事務を掌理する職務に従事していたもの、被告人Bは、平成13年3月28日から令和3年2月25日までの間、岩手県一関市(以下略)に本店を置き、上下水道工事、建築設備工事及び土木工事の設計、施工及び請負等を目的とする株式会社Cの取締役、同月26日から令和6年2月29日までの間、同社社員であったものであるが、第1 被告人Aは、 1 別表1(略)記載のとおり、同市が令和2年1月29日から令和3年9月30日までの間に執行した「国道4号(仮)中町歩道橋建設工事に伴う配水管移設工事」等7件の制限付一般競争入札に関し、適正に前記職務を行う義務があるのに、その職務に反し、単独で又は被告人Bと共謀の上、令和2年1月24日から令和3年9月17日頃までの間、同県内において、携帯電話機のSMS機能を利用する方法等の教示方法により、同人に対し、制限付一般競争入札に 関する秘密事項である予定価格と同額とな 1月24日から令和3年9月17日頃までの間、同県内において、携帯電話機のSMS機能を利用する方法等の教示方法により、同人に対し、制限付一般競争入札に 関する秘密事項である予定価格と同額となる同工事等7件の設計金額がそれぞれ別表1記載の税抜き金額である旨を教示するなどし、もって入札等に関する秘密を教示するなどして、公正を害すべき行為をし、 2 別表2(略)記載のとおり、同市が発注する水道施設工事の制限付一般競争入札の予定価格と同額である各水道施設工事の設計金額の教示を受けるという有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨等の下に供与されるものであることを知りながら、令和元年11月13日から令和4年3月24日までの間、前後33回にわたり、同県奥州市(以下略)「D店」等において、被告人Bから、代金合計23万6601円相当の飲食接待等を受け、よって、前記1記載の職務上不正な行為をし、もって賄賂を収受した上で職務上不正な行為をするとともに、職務上不正な行為をしたことに関して賄賂を収受し、第2 被告人Bは、 1 別表3(略)記載のとおり、同県一関市が令和3年7月29日から同年9月30日までの間に執行した「市道幸町市役所前線他配水管布設替工事」等4件の制限付一般競争入札に関し、被告人Aと共謀の上、同年7月15日頃から同年9月17日頃までの間、同県内において、携帯電話機を利用するなどの方法により、同人から制限付一般競争入札に関する秘密事項である予定価格と同額となる同工事等4件の設計金額がそれぞれ別表3記載の税抜き金額である旨の教示を受けるなどし、もって偽計を用いて、公の入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をし、 2 同市が発注する水道施設工事の制限付一般競争入札の予定価格と同額である各水道施設工事の設計金額の教示を どし、もって偽計を用いて、公の入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をし、 2 同市が発注する水道施設工事の制限付一般競争入札の予定価格と同額である各水道施設工事の設計金額の教示を受けるという有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨及び前記第1の1記載の職務上不正な行為をしたこと等に対する謝礼の趣旨の下、別表4(略)記載のとおり、同年7月20日から令和4年3月24日までの間、前後15回にわたり、同県奥州市(以下略)「E店」等において、被告人Aに対し、代金合計10万4598円相当の飲食接待等を 供与し、もって同人の職務に関し、及び、同人が職務上不正な行為をしたことに関し、賄賂を供与し、 3 別表5(略)記載のとおり、同県一関市が令和4年7月28日から令和5年6月27日までの間に執行した「新一関市立大東中学校校舎増築等(機械設備)工事」等3件の制限付一般競争入札又は指名競争入札に関し、同市建設部参事兼都市整備課技術担当課長として市有建物の建築工事の設計及び工事監理に関すること等の事務を掌理する職務に従事していたFと共謀の上、令和4年7月27日から令和5年6月22日までの間、同県内において、携帯電話機のSMS機能を利用して、同人から制限付一般競争入札及び指名競争入札に関する秘密事項である予定価格と同額となる同工事等3件の設計金額がそれぞれ別表5記載の税抜き金額(番号2については、設計金額に近接した金額)である旨の教示を受けるなどし、もって偽計を用いて、公の入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をしたものである。 (量刑の理由)被告人Aは、本件当時、一関市公営企業水道部給水課長あるいは同市公営企業上下水道部次長兼水道課長の職にあって、同部が所管する水道施設の設計、工事監督等の業務全般を指揮監 ある。 (量刑の理由)被告人Aは、本件当時、一関市公営企業水道部給水課長あるいは同市公営企業上下水道部次長兼水道課長の職にあって、同部が所管する水道施設の設計、工事監督等の業務全般を指揮監督する権限を有し、同市が発注する水道施設工事に関し、担当者が作成した実施工事設計書等の決裁を通じて、制限付一般競争入札における予定価格と同額となる設計金額を知り得る立場にあった。被告人Bは、上下水道工事、建築設備工事及び土木工事の設計、施工及び請負等を目的とする株式会社Cの取締役あるいは従業員として、工事の積算や入札業務等を担当していた。被告人Bは、遅くとも平成24年5月頃から、一関市が震災復旧工事のために発注を遅らせていた管路工事の発注見通し等に関する打合せと称して、被告人Aを誘い、同被告人もこれを受けて、会食を重ねるようになった。会食の費用については、当初こそ各々が負担していたが、遅くとも平成29年2月頃からは、被告人Bが全額を負担する ようになった。そのような状況において、被告人Bは、一関市が発注する水道施設工事の制限付一般競争入札に関し、Cにおいて、希望する工事を確実に落札するため、あるいは、高額の落札金額で落札するために、工事の秘密事項である予定価格と同額となる設計金額に関する情報を入手しようと考え、同金額を知り得る立場にあった被告人Aに対し、同金額を教示するよう依頼した。被告人Aは、被告人Bから飲食接待等を受けていたことから、その見返りとして、遅くとも平成31年頃から、被告人Bの求めに応じて設計金額を教示するようになった。 このようにして、被告人Aは、水道施設工事の設計金額を教示するという有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨及びそのような取り計らいを受けたことに対する謝礼の趣旨であることを認識しながら、被告人Bから、 うにして、被告人Aは、水道施設工事の設計金額を教示するという有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨及びそのような取り計らいを受けたことに対する謝礼の趣旨であることを認識しながら、被告人Bから、居酒屋や割烹料理店での飲食接待、温泉旅館の宿泊接待等を受け、その見返りとして、水道施設工事の設計金額を教示することを繰り返した。その数は、本件で起訴されたものだけでも、飲食接待等が令和元年11月から令和4年3月までの約2年4か月間で合計23万円余相当に、設計金額を教示した工事が7件に上る。被告人Bは、同様の趣旨で、被告人Aに対し、飲食接待等の供与を繰り返し、その見返りとして設計金額の教示を受けた。その数は、本件で起訴されたものだけでも、飲食接待等が合計10万円余相当に、設計金額の教示を受けた工事が4件に上る。そして、被告人Bは、教示を受けた設計金額を基にして最低制限価格を積算し、確実に落札したい工事については同価格に近接した金額で、受注調整により高額での落札が見込める工事については設計金額に近接した金額でそれぞれ入札するなどした。 さらに、被告人Bは、一関市が発注する管工事の制限付一般競争入札ないし指名競争入札に関し、Cにおいて、希望する工事を確実に落札し、あるいは、高額の落札金額で落札しようなどと考え、設計書の決裁等を通じて工事の設計金額を知り得る立場にあった一関市建設部参事兼都市整備課技術担当課長に対し、同金額を教示するよう依頼し、その教示を受けており、その数は、本件で起訴されたものだけでも、3件に上る。 このように、被告人両名は、長年にわたり癒着し、被告人Aが職務に関して不正な利益を得る一方で、被告人Bが他の入札参加業者に比して圧倒的に有利な立場で入札に参加することができるという有利かつ便宜な取り計らいを受けているのであっ 長年にわたり癒着し、被告人Aが職務に関して不正な利益を得る一方で、被告人Bが他の入札参加業者に比して圧倒的に有利な立場で入札に参加することができるという有利かつ便宜な取り計らいを受けているのであって、本件は、公共工事の競争入札における参加者の自由な競争を阻害し、その執行の公正さをゆがめるとともに、公共工事に関する公務の公正さやそれに対する社会の信頼を著しく損なうこととなる悪質な犯行といわなければならない。 以上の諸事情に加え、被告人両名が事実を認め、反省の態度を示していること、被告人両名にはいずれも前科がないことなどの事情を併せ考慮し、主文のとおりの刑を量定した。 よって、主文のとおり判決する。 (求刑・被告人Aにつき懲役2年6月、主文同旨の追徴、被告人Bにつき懲役2年)令和6年11月5日盛岡地方裁判所刑事部 裁判長裁判官中島真一郎 裁判官佐々木 耕 裁判官上野友輔
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