平成12(ワ)2851 保険金請求

裁判年月日・裁判所
平成14年2月1日 名古屋地方裁判所
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判決文本文9,619 文字)

主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,1000万円及びこれに対する平成12年1月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,千代田火災海上保険株式会社(以下「千代田火災」という。)との間でヨット・モーターボート総合保険等の保険契約を締結していた原告が,千代田火災の訴訟承継人である被告に対し,モーターボートが盗難に遭うなどして損害を受けたとして,保険金1000万円及びこれに対する保険金請求より後の日である平成12年1月1日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 1 争いのない事実等以下のうち(1),(2)は当事者間に争いがない。(3)は弁論の全趣旨により認めることができる。 (1) 原告は,自動車修理,販売等を営む有限会社であり,千代田火災は,損害保険業等を営む株式会社である。 (2) 原告は,千代田火災との間で,次の保険契約を締結した。 アヨット・モーターボート総合保険証券番号  ○○○○○○○○○○保険期間平成11年6月20日から1年間保険金額  A号船体保険金額700万円イ自動車保険(販売用・陸送自動車等自動車保険契約)証券番号  ○○○○○○○○○○保険期間平成11年6月1日から1年間保険金額車両保険については各車両ごとに価格設定保険の目的 ①キャデラック②プレジデント(以下,上記アの契約を「本件ボート保険契約」といい,上記イの契約を「本件自動車保険契約」といい,双方をあわせて「本件各保険契 保険の目的 ①キャデラック②プレジデント(以下,上記アの契約を「本件ボート保険契約」といい,上記イの契約を「本件自動車保険契約」といい,双方をあわせて「本件各保険契約」という。)(3) 被告は,平成13年4月1日,合併により千代田火災の本件訴訟上の地位を承継した。 2 争点本件における主たる争点は,原告の主張する盗難事故等(以下「本件各事故」という。)が,本件ボート保険の約款の船体条項1条1項及び本件自動車保険の約款の車両条項1条1項に定められた「偶然な事故」によるものといえるかどうかという点であり,この点に関する当事者の主張は以下のとおりである。 (原告の主張)(1) 原告は,平成11年6月初めころ,Bからモーターボートを525万円で購入し,230万円をかけて補修工事をし(以下「本件ボート」という。),同月17日,千代田火災との間で本件ボート保険契約を締結した。本件ボートは昭和63年製であったが,新しい125馬力のエンジンを換装し,その他補修により新造船に近い感じとなっており,保険契約の締結にあたっては,この状態を確認したCサービスのDの調査と助言により,本件ボートの金額を700万円と定めた。 原告は本件ボートを社内に展示していたが,同年10月20日ころ,社内が展示車両で満杯となったため,原告会社入口右側の路上に引き出して保管していたところ,同月23日ころ,本件ボートの盗難に気づき,原告代表者は直ちに所轄警察署に被害届を提出し,千代田火災に連絡をした。 本件ボートはトレーラーに積載し,その前後を故障車両で挟むようにして置いており,簡単には盗むことができないように処置してあったものを窃取されたものであるが,その犯行の手口は原告側には判明していない。 本件ボートが盗難により行方不明とな 後を故障車両で挟むようにして置いており,簡単には盗むことができないように処置してあったものを窃取されたものであるが,その犯行の手口は原告側には判明していない。 本件ボートが盗難により行方不明となったことにより,原告は700万円を超える損害を受けた。 (2) 原告は,千代田火災との間で本件自動車保険契約を締結していたが,平成11年12月17日当時,原告車内には同保険の対象となる自動車であるキャデラック(尾張小牧○○す○○○○,以下単に「キャデラック」という。)及びプレジデント(尾張小牧○○○つ○○○,以下単に「プレジデント」といい,キャデラックとあわせて「本件各車両」という。)が置いてあった。同日午前9時ころ,出社した原告従業員が両車両が家屋侵入者による行為によって損壊されているのを発見し,直ちに原告代表者が被害状況を確認し,同日11時ころ所轄警察署に被害届を提出し,代理店を通じて千代田火災にも連絡した。プレジデントは売却先が決まっていたため,修理工場に移送したが,キャデラックについては損傷がひどく,修理不能であり,そのままの状態で廃車することになった。 原告は,これらにより300万円を超える損害を受けた。 (3) 原告は,千代田火災の調査については全面的に協力し,存在する書類については全て開示し報告した。誰がどのような方法で原告に被害を与えたか,その主張立証責任は原告にはない。また,本件については所轄警察署が刑事事件として立件して調査しているものであるが,これが原告側の故意の事故として調査対象となったことは一度もない。 (被告の主張)(1) 本件ボートの盗難事故につき,原告代表者であるEは,千代田火災に対し,原告事務所前道路上にボートをトレーラーに載せてその前後を故障車両で挟みトレーラーの牽引部分を前故障車の下に差し込 )(1) 本件ボートの盗難事故につき,原告代表者であるEは,千代田火災に対し,原告事務所前道路上にボートをトレーラーに載せてその前後を故障車両で挟みトレーラーの牽引部分を前故障車の下に差し込んでいた状況から盗難されたと説明したが,前後の故障車両に移動させた形跡もなく,忽然と消えたが如くであり,その事故状況は判然としない。また,本件ボートと積載車両の所有,取得経過,取得日時,取得価格,時価,特装の詳細が合理的に理解されていない。 (2) 本件各車両の損壊事故につき,原告は,千代田火災に対し,原告の事務所続きの無施錠の倉庫,ガレージ内に夜間何者かが侵入し,原告が販売用に購入し置いていたキャデラック及びプレジデントをハンマー様の物体で叩いたような損害であると説明したが,原告においては,上記損壊事故前にも盗難事故が連続して発生していたとの説明もされている一方で,鍵のかけ忘れということは不自然であるうえ,発見されやすいような大きな音の出るような形での破壊がなぜ起こされたのかを合理的に説明することは困難である。また,キャデラック及びプレジデントの各損傷程度,箇所にはあまりにも差異があり,この点についても合理的な説明は困難である。 (3) 上記事情のほか,原告は,千代田火災の帳簿の閲覧,提出要請に対し協力を拒否していること,原告及び千代田火災の関連する保険事故が,本件保険契約以後の約半年という短期間に他にもあって集中しているため,偶然性の推定は当然には働かないこと,原告の説明は,千代田火災の数回の事情聴取に際し内容を異にしていること等に照らし,原告主張の各事故が前記各保険契約約款の「偶然な事故」に当たるということはできない。 第3 当裁判所の判断 1 乙第2号証の1,2,第4号証の1及び弁論の全趣旨によれば,本件ボート保険契約の約 し,原告主張の各事故が前記各保険契約約款の「偶然な事故」に当たるということはできない。 第3 当裁判所の判断 1 乙第2号証の1,2,第4号証の1及び弁論の全趣旨によれば,本件ボート保険契約の約款第1章船体条項1条1項には,「当会社は,沈没・座礁・座洲・衝突・火災・爆発・盗難その他偶然な事故によって保険証券記載の船舶に生じた損害に対してこの船体条項および一般条項に従い保険金を支払います。」との規定が,また,本件自動車保険契約の約款第3章車両条項1条1項には,「当会社は,衝突,接触,墜落,転覆,物の飛来,物の落下,火災,爆発,盗難,台風,こう水,高潮その他偶然な事故によって保険証券記載の自動車に生じた損害について,この車両条項及び一般条項に従い,被保険自動車の所有者に保険金を支払います。」との規定があることが認められる。 ところで,上記各約款に基づき,保険者に対して各保険金の支払を請求する者は,発生した事故が偶然な事故であることについて主張,立証すべき責任を負うものと解するのが相当である。なぜなら,本件各約款中の各保険金の支払事由は,「偶然な事故」とされているのであるから,発生した事故が偶然な事故であることが保険金請求権の成立要件であるというべきであるのみならず,そのように解さなければ,保険金の不正請求が容易となるおそれが増大する結果,保険制度の健全性を阻害し,ひいては誠実な保険加入者の利益を損なうおそれがあるからである(最高裁第二小法廷平成10年・第897号同13年4月20日判決・民集55巻3号682頁参照)。 したがって,本件においても,上記各約款に基づき,千代田火災の地位を承継した被告に対して保険金請求をする原告は,原告主張の事故がいずれも「偶然な事故」であることの主張,立証をすべき責任を負うものというべきである。 2 甲第 ,上記各約款に基づき,千代田火災の地位を承継した被告に対して保険金請求をする原告は,原告主張の事故がいずれも「偶然な事故」であることの主張,立証をすべき責任を負うものというべきである。 2 甲第1号証,第4号証,乙第9号証の1,第16号証,第17号証の1,2,第19号証の1ないし3,第20号証の1ないし4及び証人Fの証言,原告代表者尋問の結果,調査嘱託の結果並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 原告は,自動車・中古自動車の販売及び輸入,損害保険代理店業を目的とし,平成10年6月12日に設立登記のされた有限会社で,その代表者はEである。Eは,平成11年6月,千代田火災の取扱代理店であるCサービスのDに対し,本件自動車保険の加入申込みをし,原告と千代田火災との間で,本件自動車保険契約を締結した。本件自動車契約は,原告において扱う商品車両を包括して被保険車両とする趣旨の保険であり,毎月「販売用・陸送自動車等自動車保険包括契約通知書兼明細書」に記載・報告される車両が具体的に被保険車両となるというものであった。また,Eは,上記契約締結に際し,以前ウェイクボードをしていて他人を轢きそうになったことがあり,パンフレットを見ていたところ船体保険のあることを知ったとして,Dに対し,本件ボート保険契約の申込みをし,原告と千代田火災との間で,本件ボート保険契約を締結した。この際,Eが,船体購入価額が500万円で,塗装その他改修理額として200万円(含むトレーラー代金65万円)を支出していると申告したことから,Dも本件ボートを確認したうえ,船体保険金額は700万円と定められた。 (2) Eは,本件ボートを原告社屋の入口右側路上で保管していたところ平成11年10月23日に本件ボートが盗難に遭ったことに気づいたとして,同日所 たうえ,船体保険金額は700万円と定められた。 (2) Eは,本件ボートを原告社屋の入口右側路上で保管していたところ平成11年10月23日に本件ボートが盗難に遭ったことに気づいたとして,同日所轄警察署に被害届を提出し,同月25日Dを通じて千代田火災にその旨の連絡をした。 (3) Eは,平成11年12月17日午前1時30分から同月18日午前9時ころまでの間に,何者かが鍵をかけ忘れた窓より原告社屋内に侵入し,中にあったキャデラック及びプレジデントに損傷を与え,これにより被害を受けたとして,同日所轄警察署に被害届を提出し,同月20日Dを通じて千代田火災にその旨の連絡をした。その後,千代田火災では,キャデラックについては,車体全体に損傷があり,フロントガラスには銃の弾痕のような局所的かつ放射状の損害もみられ,他に車体にはハンマー状の物での打痕が多く見られ,修理見積り金額は約300万円となること,プレジデントについては,右フロントガラス破損に伴い,右フロント・リアトアパネルに損傷があるが,他に車室内ではメーターパネル,クラスターリッドに損傷がある程度で,損害金額としては20万円程度であることを確認した。 なお,キャデラックは,販売用・陸送自動車等自動車保険包括契約通知書兼明細書により,平成11年10月1日から同月31日までに取得または受託した自動車として被告に通知があり,保険金額は150万円と設定されていた。また,プレジデントは,販売用・陸送自動車等自動車保険包括契約通知書兼明細書により,平成11年12月1日から同月31日までに取得または受託した自動車として被告に通知があり,保険金額は625万円と設定されていた。ただし,キャデラックは,原告が同年5月23日に取得搬入した車両であり,本来原告は千代田火災に対し同月中に取得したものとして した自動車として被告に通知があり,保険金額は625万円と設定されていた。ただし,キャデラックは,原告が同年5月23日に取得搬入した車両であり,本来原告は千代田火災に対し同月中に取得したものとして通知する必要があった。 (4) Eは,平成11年11月5日,千代田火災から委託を受けた有限会社Gの調査員に対し,本件ボートの事故につき,「平成11年10月23日出社して事故に気づいた。当日,早朝から琵琶湖北部に家族とともに遊びに行くため,本件ボートをトレーラーに搭載し,社屋前面の道路に駐車しておいた。その際,前後に一般車両を駐車させ,一般車両を動かさなければ本件ボートは動かないようにしていた。」と説明した。しかし,Eは,同年12月13日に千代田火災の担当者が面談した際には,「平成11年10月23日昼ころ出社して気づいた。通常は社屋内に保管してあるが,自動車でいっぱいになってしまい,1,2週間前から道路上に出してあった。本件ボートは事故車両の間にトレーラーに積んでおいてあった。トレーラーの牽引部分を事故車両をジャッキアップしておいてその車両を下に置き,上から車両を置いた。」と述べ,更に,平成12年1月5日,千代田火災から委託を受けた株式会社Hの調査員に対し,「本件ボートは2,3日前から路上に出していた。以前に前日から出していたと言ったのは,代理店に相談したところ,保管責任を問われるといけないのでそのように言うように言われたためである。」と述べた。また,Eは,同月17日に千代田火災を訪ねた際,担当者に対し,「牽引部分をカローラバンのリアゲート(故障車でリアゲートがない)の上に置いたか下に置いたかは覚えていない。 クレーンで持ち上げるなどしなければ動かすことはできない。トレーラーはメーカーのものを購入した。トレーラーに車検が必要かどうかという法律 でリアゲートがない)の上に置いたか下に置いたかは覚えていない。 クレーンで持ち上げるなどしなければ動かすことはできない。トレーラーはメーカーのものを購入した。トレーラーに車検が必要かどうかという法律知識はなく,車検を受けずに使用していた。」と述べた。 なお,Dは,平成11年12月7日及び平成12年1月19日に千代田火災の担当者と面談した際,「平成11年10月22日原告宅へ寄ったところ,いつも社屋内にある本件ボートが外にあったので不審に思ったが,そのことについてEに理由を聞いたりはしなかった。しかし,そのとき,本件ボートは事故車両に挟まれているということはなく,事務所入り口を避けるように置いてあり,その後に事故車が止まっていた。」と述べた。 (5) 本件ボートは,本体は昭和63年製であり,BがIから購入し,約3年所有した後原告に譲渡したものであり,Iは,現時点での時価額は120ないし150万円程度ではないかとの意見を述べている。 プレジデントは,初度登録が平成8年10月であり,原告は,千代田火災に対し,平成11年12月16日にオークションで落札し140万円で仕入れたと申告していた。原告は,販売先が決まっていたので被害当日早急に修理工場に搬入し修理を実施した後,売却納車したとしており,平成11年12月24日に車検証の交付を受けている。しかし,その修理については,原告は全塗装が必要であると主張し,千代田火災の査定額の4倍以上の保険金請求をしたことから,修理費用についての協定は成立しなかった。 キャデラックは,1982年製の古い車両で,平成11年7月13月に車検切れになっており,原告は,千代田火災に対し,平成11年5月ころ個人から100万円で仕入れ,その後メンテナンス,アルミを付けるなどして50万円を要したと申告したが,千代田火災 11年7月13月に車検切れになっており,原告は,千代田火災に対し,平成11年5月ころ個人から100万円で仕入れ,その後メンテナンス,アルミを付けるなどして50万円を要したと申告したが,千代田火災では,キャデラックの時価は100ないし150万円くらいと査定し,修理費用が時価額を超えるとして全損の扱いをした。その後,Hの調査員は,平成12年1月22日の時点で,キャデラックが窓ガラス等の破損したまま,車両内部には廃棄様の物多数が積載され,路上に雨ざらし状態で放置されているのを確認した。 (6) 原告もしくはその周辺では,本件のほかにも次のような保険金請求がされている。 ア原告は,平成11年7月5日に原告社屋前路上に駐車していた原告所有のいすゞエルフが盗難に遭ったとして,千代田火災に対して保険金請求をし,同年8月12日,千代田火災から78万4423円の支払を受けた。 イ平成11年11月17日,Jが,原告から購入したBMW750iを寺院内に駐車中盗難にあったとして,千代田火災に保険金請求をしたが,千代田火災は上記事故には不審な点があるとして保険金を支払わなかった。 ウ平成12年1月5日,原告所有の自動車をEが運転していて,公共工事を施工していたK株式会社が道路上に設置していた工事フェンスに接触する事故を起こし,Kが責任を認めたため,千代田火災は同月25日に原告に保険金を支払った。 エ平成12年12月22日午前3時30分ころ,Lが,原告から購入し普段は原告のガレージを駐車場として使用していたが同日の5日前からは原告社屋前路上に駐車していたというBMW750iが放火による車両火災の被害に遭ったとして,住友海上火災保険株式会社に対し保険金請求をしたが,同社は保険金支払を留保している。 3 そこで,本件において,本 路上に駐車していたというBMW750iが放火による車両火災の被害に遭ったとして,住友海上火災保険株式会社に対し保険金請求をしたが,同社は保険金支払を留保している。 3 そこで,本件において,本件ボート及び本件各車両について「偶然の事故」といえる事情があるかどうかについて検討する。 (1) 原告は,本件ボートを525万円で購入し,230万円をかけて補修工事をしたと主張するが,本件ボートの時価額は150万円を上回ることはなかったと考えられるうえ,製造後10年を経過していたものであるところ,乙第20号証の3及び証人Fの証言によれば,700万円あれば本件ボートと同程度の新造船が購入できることが認められ,本件ボートの保険金額700万円が客観的に相当な額であったかどうかについては疑問があるといわざるをえない。 また,原告が千代田火災及びHの担当者に説明した本件ボートの保管状況については変遷が見られるうえ,原告代表者は代表者尋問においてもこの点を明確には供述していないところ,本件ボートを積載したトレーラーを故障車両の間に挟むということは大変な手間のかかる作業であり,そのこと自体現実性に乏しい面があるうえ,仮にそのような手間のかかる作業をしたのであれば,記憶に残っていてしかるべきであると考えられる。しかも,原告は,平成11年7月5日に原告社屋前路上に駐車していた原告所有のいすゞエルフが盗難に遭ったとしているのであるから,そのような場所に原告の主張するように700万円もの価値のある本件ボートを放置したとすることは合理的とはいえない。 (2) プレジデントについては,仕入れ価格は140万円であり,その保険価格を625万円としている点は合理性に乏しいといわざるをえない。 また,キャデラックについては,相当に年式の古い車両であるうえ,平成12年 ジデントについては,仕入れ価格は140万円であり,その保険価格を625万円としている点は合理性に乏しいといわざるをえない。 また,キャデラックについては,相当に年式の古い車両であるうえ,平成12年1月22日の時点で,窓ガラス等の破損したまま,車両内部には廃棄様の物多数が積載され,路上に雨ざらし状態で放置されているのが確認されており,原告において真に販売する意思があったのか疑問である。そのうえ,平成11年5月に取得したとしながら,被害にあったとする直前の同年10月になって保険対象車両として千代田火災に届けられており,この経緯について合理的な説明はされていない。そのうえ,キャデラックは全損扱いとなる被害を受けているのに対し,より商品価値の高いと考えられるプレジデントは比較的軽微な被害しか受けておらず,その後速やかに修理され売却されている点も不自然であるといわざるをえない。 なお,甲第20号証の4によれば,原告代表者は,千代田火災に対し,本件各車両の被害については,「何者かが鍵を掛け忘れた窓より自車工場に侵入」して行った行為によるものであると説明していたことが認められるところ,原告は,この時点で既に他車両の盗難事故,本件ボートの盗難事故の被害に遭っていたことになるから,そのような不用心な態度でいたとするのは不自然であるうえ,原告代表者は,代表者尋問において,「事務所の横に畑があり,その畑から乗り越えてきたのではないかと思う。鍵の掛け忘れではない。」と上記と異なる供述をしており,この説明の変遷にも合理性があるとはいえない。そして,上記のキャデラックが受けた被害状況に照らせば,相当な音量の破壊音が生じたと考えられるところ,乙第9号証の1,第20号証の2及び弁論の全趣旨によれば,原告社屋は付近が住宅街であるが,Hの調査員の調査の結果によれば, 受けた被害状況に照らせば,相当な音量の破壊音が生じたと考えられるところ,乙第9号証の1,第20号証の2及び弁論の全趣旨によれば,原告社屋は付近が住宅街であるが,Hの調査員の調査の結果によれば,平成11年12月18日の未明にそのような音を聞いたとする者は近隣住民にはいなかったことが認められ,原告の主張する同日の被害の実態については不明な点が多いというほかない。 (3) 上記のとおり,本件ボートの被害,本件各車両の被害は個別的にみても不自然な点が多いうえ,そのような事故が連続しているということ,更に,前記2・のとおり,原告もしくはその周辺では本件のほかにも保険金請求がされていることなどに照らすと,原告の主張する本件ボート及び本件各車両についてあったとする被害は「偶然の事故」によるものであると認めることはできないというべきである。 4 よって,原告の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第5部裁判官濱口浩

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