令和4年11月14日判決言渡令和3年(行ケ)第10089号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和4年9月14日判決 原告株式会社バイオセレンタック 同訴訟代理人弁護士尾崎英男同上野潤一同訴訟代理人弁理士西下正石 被告コスメディ製薬株式会社 同訴訟代理人弁護士伊原友己同橋本祐太 同訴訟代理人弁理士小林良平同村田美由紀 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求特許庁が無効2013-800146号事件について令和3年6月22日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等(当事者間に争いがない。) ⑴ 原告は、発明の名称を「経皮吸収製剤、経皮吸収製剤保持シート、及び経皮吸収製剤保持用具」、平成18年1月30日(優先権主張平成17年1月31日、同年10月11日。以下合わせて「本件優先日」という。)を国際出願日とする出願(特願2007-500638号)について、平成24年1月27日に特許権の設定登録を受けた(特許第4913030号。請求項の 数21。以下、この特許を「本件特許」といい、これについての特許権を「本件特許権」という。)。 ⑵ 被告は、平成25年8月1日、本件特許について特許無効審判を請求した。 特許庁は、上記請求を無 数21。以下、この特許を「本件特許」といい、これについての特許権を「本件特許権」という。)。 ⑵ 被告は、平成25年8月1日、本件特許について特許無効審判を請求した。 特許庁は、上記請求を無効2013-800146号事件として審理した(以下「本件無効審判手続」という。)。 本件無効審判手続に先立ち、無効2012-800073号事件(以下「別件無効審判手続」という。)が係属しており、特許庁は、平成26年1月16日付けで、本件無効審判手続と別件無効審判手続を併合して審理を行う旨の併合審理通知をしたが、同年6月24日付けで併合分離通知をし、さらに、同年10月28日付けで本件無効審判手続について手続中止通知がされた。 別件無効審判手続の中で、原告は、平成30年4月13日、本件特許の請求項1ないし19について訂正請求を行い、特許庁は、平成30年6月25日、当該訂正を認め、審判請求は成り立たないとの審決をし、同審決は令和元年12月17日に確定した。 ⑶ 特許庁は、令和2年1月17日、本件審判手続について審理再開通知をし た。 原告は、同年11月16日、別件無効審判手続において訂正が確定した訂正請求により訂正された本件特許の特許請求の範囲を、請求項1及びこれに従属する請求項2~17及び19からなる一群の請求項について訂正し、この訂正に伴い明細書中の関連する記載の訂正をすることを求める訂正請求 (以下「本件訂正」という)をした。 特許庁は、令和3年6月22日に、本件訂正を認めず、「特許第4913030号の請求項1、19に係る発明についての特許を無効とする。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、令和3年7月1日、原告に送達された。 ⑷ 原告は、令和3年7月30日、本件審決の取消 の請求項1、19に係る発明についての特許を無効とする。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、令和3年7月1日、原告に送達された。 ⑷ 原告は、令和3年7月30日、本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起 した。 2 特許請求の範囲の記載本件訂正前の本件特許の請求項1ないし17、19の発明(以下「本件発明1」等といい、包括して「本件発明」という。)及び本件訂正後の本件特許の請求項1ないし17、19の発明(以下「本件訂正発明1」等といい、包括して 「本件訂正発明」という。)に係る特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。 ⑴ 本件発明【請求項1】水溶性かつ生体内溶解性の高分子物質からなる基剤と、該基剤に保持され た目的物質とを有し、皮膚(但し、皮膚は表皮及び真皮から成る。以下同様)に挿入されることにより目的物質を皮膚から吸収させる経皮吸収製剤であって、前記高分子物質は、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラン、血清アルブミン、血清α酸性糖タンパク質、 及びカルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質は除く)であり、尖った先端部を備えた針状又は糸状の形状を有すると共に前記先端部が皮膚に接触した状態で押圧されることにより皮膚に挿入される、経皮吸収製剤(但し、目的物質が医療用針内に設けられたチャンバに封止されるか、ある いは縦孔に収容されることによって基剤に保持されている経皮吸収製剤を除 く)。 【請求項2】表面に水不溶性の層が設けられ、前記目的物質が徐放される、請求項1に記載の経皮吸収製剤。 【請求項3】 前記水 保持されている経皮吸収製剤を除 く)。 【請求項2】表面に水不溶性の層が設けられ、前記目的物質が徐放される、請求項1に記載の経皮吸収製剤。 【請求項3】 前記水不溶性の層は、架橋されたものである請求項2に記載の経皮吸収製剤。 【請求項4】前記基剤は多孔性物質を含有し、前記目的物質は前記多孔性物質に保持され、前記目的物質が徐放される、請求項1に記載の経皮吸収製剤。 【請求項5】前記多孔性物質は、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸、多孔性炭酸カルシウム、多孔性リン酸カルシウム、及び多孔質シリコンからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質である請求項4に記載の経皮吸収製剤。 【請求項6】前記目的物質が長時間作用型の物質であり、前記目的物質が徐放される、請求項1に記載の経皮吸収製剤。 【請求項7】前記長時間作用型の物質は、長時間作用型インスリン又はポリエチレング リコール架橋が施されたタンパク質である請求項6に記載の経皮吸収製剤。 【請求項8】前記基剤は、さらに目的物質の吸収速度調節剤を含有する請求項1~7のいずれかに記載の経皮吸収製剤。 【請求項9】 前記吸収速度調節剤は、吸収促進剤である請求項8に記載の経皮吸収製剤。 【請求項10】前記吸収促進剤は、界面活性剤である請求項9に記載の経皮吸収製剤。 【請求項11】前記基剤は、さらに曳糸性抑制剤を含有する請求項1~10のいずれかに記載の経皮吸収製剤。 【請求項12】前記曳糸性抑制剤は、ポリエチレングリコール又はL-グルタミン酸L-リジンである請求項11に記載の経皮吸収製剤 有する請求項1~10のいずれかに記載の経皮吸収製剤。 【請求項12】前記曳糸性抑制剤は、ポリエチレングリコール又はL-グルタミン酸L-リジンである請求項11に記載の経皮吸収製剤。 【請求項13】前記目的物質は、薬物、生理活性物質、化粧品、又は栄養素に属するもので ある請求項1~12のいずれかに記載の経皮吸収製剤。 【請求項14】前記薬物は、ペプチド、タンパク質、核酸、多糖類、又はワクチンに属するものである請求項13に記載の経皮吸収製剤。 【請求項15】 前記基剤は、さらに目的物質の安定化剤を含有する請求項1~14のいずれかに記載の経皮吸収製剤。 【請求項16】表面に防湿用の層が設けられた請求項1~15のいずれかに記載の経皮吸収製剤。 【請求項17】表面の一部にくびれ又は割線を有する請求項1~16のいずれかに記載の経皮吸収製剤。 【請求項19】シート状の支持体の片面に請求項1~17のいずれかに記載の経皮吸収製 剤が1又は2個以上保持され、皮膚に押し当てられることにより前記経皮吸 収製剤が皮膚に挿入される経皮吸収製剤保持シート。 ⑵ 本件訂正発明(下線部が訂正により加えられた部分)【請求項1】水溶性かつ生体内溶解性の高分子物質からなる基剤と、該基剤に保持された目的物質とを有し、皮膚(但し、皮膚は表皮及び真皮から成る。以下同様) に挿入されることにより目的物質を皮膚から吸収させる経皮吸収製剤であって、前記基剤は自己溶解するものであり、前記高分子物質は、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラン、血清アルブミン、血清α酸性糖タンパク質、 及びカルボキシビニルポリマー するものであり、前記高分子物質は、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラン、血清アルブミン、血清α酸性糖タンパク質、 及びカルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質は除く)であり、基剤、目的物質及び水を含む曳糸性を示す糊状物が乾燥した物であり、尖った先端部を備えた針状又は糸状の形状を有すると共に前記先端部が皮膚に接触した状態で押圧されることにより皮膚に挿入される、経皮吸収製剤 (但し、目的物質が医療用針内に設けられたチャンバに封止されるか、あるいは縦孔に収容されることによって基剤に保持されている経皮吸収製剤を除く)。 【請求項2】ないし【請求項17】及び【請求項19】前記⑴本件発明の【請求項2】ないし【請求項17】及び【請求項19】と 同じ。 3 本件審決の要旨⑴ 本件の争点に関する本件審決の理由の要旨は、①本件訂正発明13は、国際公開第2004/000389号(甲2の1。以下「甲2-1文献」という。)に記載された発明(以下「引用発明2」という。)、甲2-1文献及び 国際公開第96/08289号(甲1の1。以下「甲1-1文献」という。) の記載並びに技術常識から当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではなく、請求項13についての訂正が認められないから、他の請求項に係る発明の独立特許要件について検討するまでもなく、請求項1ないし17及び19からなる 一群の請求項についての訂正及びこの訂正に関連した明細書の記載についての訂正は、一体的に認められない 求項に係る発明の独立特許要件について検討するまでもなく、請求項1ないし17及び19からなる 一群の請求項についての訂正及びこの訂正に関連した明細書の記載についての訂正は、一体的に認められない、②本件発明1は、引用発明2、国際公開第2005/058162号(甲3。以下「甲3文献」という。)の記載及び技術常識から当業者が容易に発明をすることができ、本件発明19は、甲2-1文献に記載された他の発明(以下「引用発明2’」という。)、甲3文献の 記載及び技術常識から当業者が容易に発明をすることができた、③本件発明1は、引用発明2、甲2-1文献及び甲1-1文献の記載並びに技術常識から当業者が容易に発明をすることができ、本件発明19は、引用発明2’、甲2-1文献及び甲1-1文献の記載並びに技術常識から当業者が容易に発明をすることができた、というものである。 ⑵ 本件審決が認定した引用発明2、本件訂正発明13と引用発明2の一致点及び相違点、相違点についての容易想到性の判断の要旨は、次のとおりである。 ア引用発明2薬物を保持する、固体マトリクスの可溶性(溶融性および生分解性を含 む)のポリマーを含み、皮膚の穿孔のために、末端が尖らせてあるか鋭利にされているミクロ針である微小穿孔器であって、表皮又は真皮に向けて角質層を貫通して微小穿孔器が溶解することにより皮膚を介して薬物送達がされ、皮膚に隣接して配置され、指による圧力によって皮膚内に駆動される、微小穿孔器。 イ本件訂正発明13と引用発明2の一致点及び相違点 一致点高分子物質からなる基剤と、該基剤に保持された目的物質とを有し、皮膚(但し、皮膚は表皮及び真皮から成る。以下同様)に挿入されることにより目的物質を 点 一致点高分子物質からなる基剤と、該基剤に保持された目的物質とを有し、皮膚(但し、皮膚は表皮及び真皮から成る。以下同様)に挿入されることにより目的物質を皮膚から吸収させる経皮吸収製剤であって、尖った先端部を備えた針状又は糸状の形状を有すると共に前記先端部が皮膚に接 触した状態で押圧されることにより皮膚に挿入される、経皮吸収製剤であって、前記目的物質は、薬物、生理活性物質、化粧品、又は栄養素に属するもの。 相違点a 相違点1C 本件訂正発明13は、「高分子物質」が、「水溶性かつ生体内溶解性」で、「コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラン、血清アルブミン、血清α酸性糖タンパク質、及びカルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質は除く)であり」、「基 剤」が、「自己溶解するもの」であるのに対し、引用発明2は、「ポリマー」が、「可溶性(溶融性および生分解性を含む)」とされており、「固体マトリクス」が、自己溶解するものとの特定がない点。 b 相違点2C本件訂正発明13は、経皮吸収製剤から、「但し、目的物質が医療用 針内に設けられたチャンバに封止されるか、あるいは縦孔に収容されることによって基剤に保持されている経皮吸収製剤を除く」ものであるのに対し、引用発明2には、そのような特定がされていない点。 c 相違点3C本件訂正発明13は、経皮吸収製剤が、「基剤、目的物質及び水を含 む曳糸性を示す糊状物が乾燥した物であ」るのに対し、引用発明2に は、そのような特定がされていない点。 ウ相違点の容易想到性についての判断理 、「基剤、目的物質及び水を含 む曳糸性を示す糊状物が乾燥した物であ」るのに対し、引用発明2に は、そのような特定がされていない点。 ウ相違点の容易想到性についての判断理由の要旨 相違点1Cについて甲1-1文献に記載の装置及び薬と、引用発明2における微小穿孔器とは、薬物を非経口かつ経皮的に投与する薬ないし装置に関する発 明であり、技術分野は同一であり、針を使用しないで非経口的に薬物を投与する技術的手段を発見するという技術的課題も共通し、生体内溶解性の基剤に目的物質である薬物を保持させることにより、尖った先端部を有する穿孔器ないし固体薬物を成形し、これを患者の皮膚を通して直接投与し、薬効を発現させる剤という点で、課題解決原理を同じ くする。 甲1-1文献には、活性成分の即時送達用の水溶性キャリアとして、ヒアルロン酸が例示されており、また、ヒアルロン酸は生体内溶解性を有することが技術常識であることから、ヒアルロン酸を固体マトリクスとした場合に、引用発明2の微小穿孔器が「表皮又は真皮に向けて角 質層を貫通」した皮膚内において、該固体マトリクスは自己溶解するものといえる。 引用発明2において、微小穿孔器としての強度を有し、かつ、即時送達のための可溶性を有するポリマーとして、甲1-1文献の開示及び上記技術常識に基づいて、水溶性かつ生体内溶解性であるヒアルロン 酸を採用し、皮膚(但し、皮膚は表皮及び真皮から成る。)に挿入された際に、固体マトリクスが自己溶解して薬物が送達されるものとすることは、当業者が容易になし得た。 相違点2Cについて実質的な相違点ではない。 相違点3Cについて クスが自己溶解して薬物が送達されるものとすることは、当業者が容易になし得た。 相違点2Cについて実質的な相違点ではない。 相違点3Cについて 甲2-1文献には、微小穿孔器を作製する方法として、マトリクス材料及び薬剤を含む液体溶液を、鋳型に充填し、乾燥後に鋳型から分離する方法が記載されているから、引用発明2において、ポリマーとして、ヒアルロン酸を採用して微小穿孔器を作製するに際し、その水溶性の性質を利用して、液体溶液を鋳型に充填して乾燥する上記作製方法 を採用することは、当業者が適宜なし得る。その乾燥工程において水分が除去されるに伴い、該液体溶液の濃度及び粘度が増大し、糊状物を経由する。そして、高分子溶液の濃度が高くなると、高分子は複雑に絡み合い、粘度が上昇する(糊状になる)とともに、弾性も示すようになることは、技術常識であり、また、曳糸性は、粘弾性液体に特徴的な現象 と考えられていることから、このような高分子溶液は、曳糸性を示すといえる。 そうすると、引用発明2におけるポリマーとしてヒアルロン酸を採用し、甲2-1文献における液体溶液を、鋳型で鋳造し、乾燥する方法で微小穿孔器を作製した際の、上記ヒアルロン酸、薬物及び水を含む糊 状物が乾燥した物は、「基剤、目的物質及び水を含む曳糸性を示す糊状物が乾燥した物」であるといえる。 したがって、引用発明2において、甲2-1文献及び甲1-1文献の開示並びに技術常識に基づいて、微小穿孔器を、「基剤、目的物質及び水を含む曳糸性を示す糊状物が乾燥した物」と特定することは、当業 者が容易になし得た。 本件訂正発明13の奏する効果は、甲2-1文献及び甲1 、微小穿孔器を、「基剤、目的物質及び水を含む曳糸性を示す糊状物が乾燥した物」と特定することは、当業 者が容易になし得た。 本件訂正発明13の奏する効果は、甲2-1文献及び甲1-1文献に記載の技術的事項並びに技術常識に基づいて、当業者が予測し得た範囲のものである。 ⑶ 取消事由 独立特許要件の判断の誤り 第3 当事者の主張 1 原告の主張⑴ 相違点1Cの容易想到性についてア甲1-1文献には、固体薬が皮膚を貫通して皮下層に位置することで、固体薬を皮下層にて溶解させる投与方法が記載されているが、引用発明2 と異なり、固体薬を皮膚に溶解させることは記載されていない。 甲2-1文献に対応する公表特許公報である特表2006-500973号公報(甲2の2。以下「甲2-2文献」という。)の【0010】にあるとおり、皮膚は、角質層が溶解を妨げ、表皮に血管分布が存在しないために、皮下層に比べて溶解力が低い組織であるから、ヒアルロン酸が水溶性 であり、甲1-1文献からヒアルロン酸の皮下層内溶解性が示唆されるとしても、ヒアルロン酸の固体マトリクスが、皮下層よりも溶解力が低い皮膚内でも溶解することが示唆されていることにはならない。 皮膚内における溶解の達成を目的とした引用発明2に接した当業者は、引用発明2の微小穿孔器の固体マトリクスとして、甲1-1文献に記載さ れたヒアルロン酸を適用する動機は存在しない。 イ甲2-1文献は、従来技術における可溶性の移植片として甲1-1文献の水溶性キャリア(そのうちの1つがヒアルロン酸)を挙げた上で、このような可溶性の移植片は徐放性の性質を持つため、皮膚内において迅速な溶解を目的とするマイクロニードルを製造するために使用 1-1文献の水溶性キャリア(そのうちの1つがヒアルロン酸)を挙げた上で、このような可溶性の移植片は徐放性の性質を持つため、皮膚内において迅速な溶解を目的とするマイクロニードルを製造するために使用する動機がないと 明記している。 そうすると、引用発明2の固体マトリクスに、甲1-1文献に記載されたヒアルロン酸等の水溶性キャリアの物質を適用することには阻害要因がある。 ウ引用発明2と甲1-1文献に記載の発明とは、いずれも薬を経皮的に体 内に挿入するものではあるが、その方法が根本的に異なっている。甲1- 1文献に記載の発明は、薬を皮膚へ挿入する際に、薬を中央内腔の周囲全体において支えながらブランジャーロッドで押し込む非経口導入装置を用いることから、薬は半固体状であってもよい。これに対し、引用発明2の微小穿孔器は、皮膚に押し込まれる際に非経口導入装置は使用せず、周囲に支えがない状態で押圧するため、半固体の状態では折れたりつぶれたりす る。 このため、当業者は、自立した状態で皮膚に押し込むことが求められる引用発明2の微小穿孔器に対し、甲1-1文献に記載のヒアルロン酸を固体マトリクスに適用する動機付けは存在しない。 また、甲1-1文献に記載の物理的強度の薬を、引用発明2の微小穿孔 器に使用しようとすれば、引用発明2の微小穿孔器の皮膚への挿入においても、甲1-1文献に記載の非経口導入装置の使用が必要になり、引用発明2の構成自体を変更する必要が発生するので、適用を阻害する要因がある。 エよって、当業者が相違点1Cを容易に想到することはなく、かえって、阻 害要因がある。 ⑵ 相違点3Cの容易想到性についてア本件訂正に係る明細書(以下「訂正明細書」といい、図面を含めて「訂正明細書等」という。) Cを容易に想到することはなく、かえって、阻 害要因がある。 ⑵ 相違点3Cの容易想到性についてア本件訂正に係る明細書(以下「訂正明細書」といい、図面を含めて「訂正明細書等」という。)の【0075】では、基剤の種類に関し、少量の水に溶解されると糊状となる「曳糸性を有する物質」であることが特定されて いる。また、【0093】では、基剤91の塊を引き離して針状に成形する方法(以下「引離法」という。)において、基剤91の塊は、曳糸性を示す糊状物に調製することが記載されている。また、【0106】等では、基剤に少量の水を加え、よく溶解及び混和することで糊状の基剤を調整し、これを引き離すことで針状又は糸状に成形して、マイクロニードルを作製す ることが記載されている。さらに、実施例2に関する【0109】では、基 剤を一旦水に溶解及び混和した後に、溶解物から水分を蒸発させて、糊状の基剤を調製し、その後、針状に成形することが記載されている。 以上のとおり、訂正明細書の記載に基づけば、「曳糸性を示す糊状物」とは、曳糸性を有する物質に少量の水を加え、溶解及び均一化し、引き離して針状又は糸状になるように水分量を調節した有定形物であることが確認で きる。 イ訂正明細書の【0095】では、経皮吸収製剤を製造する方法の例として、鋳型を用いる方法(以下「鋳型法」という。)が記載されており、ここでは、基剤を鋳型に充填、乾燥又は硬化させる場合に、基剤が糊状であることが記載されている。また、鋳型法の実施例である実施例22及び実施例 23では、糊状に調製された基剤を鋳型に押し付けて充填し乾燥、硬化させて、マイクロニードルが製造されている。そうすると、鋳型法で成形する場合においても、基剤は液体状態のままで鋳型に充填するのでは 23では、糊状に調製された基剤を鋳型に押し付けて充填し乾燥、硬化させて、マイクロニードルが製造されている。そうすると、鋳型法で成形する場合においても、基剤は液体状態のままで鋳型に充填するのではなく、曳糸性を示す糊状物に調製してから充填することを理解することができる。 ウ基剤の液体溶液を鋳型に供して乾燥させた場合、溶媒の蒸発は、溶液が 大気に触れる表面から進行する。そのため、乾燥する工程の途中では、鋳型の開口部から出発して、大気に触れることになる表面における部分的な溶液の濃縮及び基剤の固化が生じる。その結果、鋳型の内部に不均一な有定形物が生成することとなる。これに対し、「曳糸性を示す糊状物」は、上述のとおり、基剤が均一に溶解した有定形物である。 この点、原告による実験成績証明書(甲57。以下「甲57実験成績証明書」という。)においては、ヒアルロン酸の濃度が低い場合、すなわち液体溶液の状態の場合、マイクロニードルを作製する過程で、水分が多く蒸発し、これにより基剤が収縮していることが確認できる。これに対し、濃度が高い場合、すなわち、糊状物の状態の場合、蒸発する水分量が少なく、また、 基剤の収縮の割合も小さいことから(メス型の形状のままのマイクロニー ドルが形成されている。)、ほぼ均質なマイクロニードルが形成されているということができ、このような実験結果からも上記の液体溶液の場合と曳糸性を示す糊状物との相違が確認できる。 エヒアルロン酸等のキャリアについて、甲1-1文献には、活性成分を直ちに供給するために、水溶性であるべきと記載されているから、当業 者は、徐放性ではなく、迅速に溶解する、水溶性に優れた可溶性ポリマーであり、少量の水に溶解すると一定の形状を持たないものと理解する。 被告提 、水溶性であるべきと記載されているから、当業 者は、徐放性ではなく、迅速に溶解する、水溶性に優れた可溶性ポリマーであり、少量の水に溶解すると一定の形状を持たないものと理解する。 被告提出の乙第17号証の意見書(以下「乙17意見書」という。)は、その添付資料を基に、ヒアルロン酸が曳糸性を有する旨記載するが、添付資料に記載されている発明は、ヒアルロン酸を溶液として使用するこ とを前提としており、他方で、ヒアルロン酸を成形した場合に、有定形物として強度及び溶解性を併せ持つ特性を利用する技術については何ら記載されていない。したがって、当業者は、乙17意見書の添付資料の記載から、ヒアルロン酸が曳糸性を有する物質に該当することについては理解できたとしても、「少量の水に溶解されると糊状になる「曳糸性を有す る物質」」であると理解することはできない。 仮に、ヒアルロン酸が曳糸性を有する物質であるとしても、甲2-1文献には、液体溶液を鋳型で鋳造し乾燥させて微小穿孔機を実際に製造した具体例も記載されていないし、ヒアルロン酸が糊状であると流延せず、鋳型の先端部まで充填しにくくなることから、当業者は、「ヒアル ロン酸を含む液体溶液」が一定の形状を有する「曳糸性を示す糊状物」とは理解しない。 ⑶ 顕著な作用効果についてア本件訂正発明は、基剤として、少量の水に溶解させると糊状になる曳糸性という特質を有する物質を具体的に選定し(そのうちの1つとしてヒア ルロン酸を特定)、その上で、基剤、目的物質及び水を含む曳糸性を示す糊 状物が乾燥した物であるという構成を採用することにより、マイクロニードル経皮吸収薬剤は、皮膚の角質層を貫通する物理的強度と、インターフェロン、インスリン及び低分子ヘパリン等の難経皮吸収 状物が乾燥した物であるという構成を採用することにより、マイクロニードル経皮吸収薬剤は、皮膚の角質層を貫通する物理的強度と、インターフェロン、インスリン及び低分子ヘパリン等の難経皮吸収性の薬物を皮膚から吸収させて、高い効率で真皮層の毛細血管壁を透過して静脈血流中から循環血流中へ送達する優れた水溶性という2つの効果を両立して奏するも のである。訂正明細書における本件訂正発明についての実施例1から実施例23までの23個の実施例は、本件訂正発明の経皮吸収製剤が、マウスの皮膚に挿入可能であり、物理的強度を備えており、また、実際に、目的物質の薬物をマウスの循環系に送達できることを明確に表している。 イ土井正男「鎖のダイナミックス」日本物理学会誌42巻4号(昭和62年 発行。甲11。以下「甲11文献」という。)には、「高分子の濃度をあげてゆくと溶液中の高分子は複雑に絡み合うようになる。巨視的にみると高分子の絡み合いがはじまると、溶液の粘度は急激に増大し、分子量の大きなものでは10%程度で極めて粘ちゅうな液体となる。このような高分子液体の顕著な特徴は、弾性を示すことである。例えば、高分子液体の試料に 力を加えて瞬間的に引き延ばしたとする。引き延ばした直後に力を緩めれば、試料は弾性体のように縮んでもとの形に戻る。」との記載がある。 このような記載から、高分子物質の一般的な特性として、溶液の濃度が高くなることで高分子鎖の絡み合いの程度が大きくなると、高分子物質の弾性が増大することを理解することができ、少量の水を加えて曳糸性を示 す糊状になるかどうかを確認することで高分子鎖が絡まり易い特性の高分子物質を選択し、曳糸性を示す糊状物に調製することで高分子鎖を十分に絡ませた状態を実現し、これを乾燥させて絡み合いの程度 示 す糊状になるかどうかを確認することで高分子鎖が絡まり易い特性の高分子物質を選択し、曳糸性を示す糊状物に調製することで高分子鎖を十分に絡ませた状態を実現し、これを乾燥させて絡み合いの程度が増大すれば、固形物の弾性が高まり、結果として物理的強度も高くなるという関係が十分に把握できる。したがって、曳糸性を示す糊状物に調製することは、本件 発明において顕著な作用効果を生み出す上で、重要な要素といえる。 ⑷ 小括以上によれば、本件訂正発明13には独立特許要件違反はなく、これを認めた本件審決には誤りがある。 2 被告の主張⑴ 相違点1Cの容易想到性について ア原告は、前記1⑴アのとおり、甲1-1文献には、固体薬が皮膚を貫通して皮下層に位置することで、固体薬を皮下層にて溶解させる投与方法が記載されているが、固体薬を皮膚に溶解させることは記載されていない旨主張する。しかし、甲1-1文献に対応する公表特許公報である特表平10-505526(甲1の2。以下「甲1-2文献」という。)には、「プラ ンジャー部材14のロッド36が主胴体10の一方の端部22より下2mm以内で停止することが好ましく、プランジャーロッドが主胴体10の一方の端部22より全く突出しないことが最も好ましい。」と記載されているから、皮膚表面から3mmないし5mm以上深部(真皮層より下)に位置する箇所に薬18の後端(上端部)が到達するように挿入することは、物理 的に不可能であるし、甲1発明の「薬18」の長さ寸法は、クレームでは約1mm以上と規定され、実施例には2mmのものが記載されているから、それらはその寸法からして「真皮」に収まるものであることは明白であり、皮下層までは至らない。 また、原告は、甲2-2文献の【0010 mm以上と規定され、実施例には2mmのものが記載されているから、それらはその寸法からして「真皮」に収まるものであることは明白であり、皮下層までは至らない。 また、原告は、甲2-2文献の【0010】を挙げて、皮膚は、皮下層に 比べて溶解力が低い組織である旨主張するが、同記載は、表皮(角質層と生きている表皮)について説明しているだけで、原告がいう皮膚を構成する「真皮」については全く触れられていない。甲1-1文献にヒアルロン酸の皮下層内溶解性が開示されている以上、当業者としては、微小穿孔器(マイクロニードルに相当)をヒアルロン酸で作製することは当然に想到する。 イ原告は、前記1⑴イのとおり、甲2-1文献が従来技術の可溶性の移植 片として甲1-1文献の水溶性キャリア(ヒアルロン酸を含む。)を挙げ、徐放性の性質を持つため、皮膚内において迅速な溶解を目的とするマイクロニードルを製造する引用発明2のために使用する動機がないと明記している旨主張する。 しかし、甲1-1文献には「可溶性の移植片は、徐々に溶解する処方物に おいてのみ、公知である。」という甲2-1文献の記述(【0008】)を裏付ける箇所はないし、ヒアルロン酸が徐放性であるとも記載されていない。かえって、甲1-1文献においては速放性製剤の例として実施例2があり、徐放性を意識した製剤の特許ではないことが明らかである。 ウ原告は、前記1⑴ウのとおり、当業者において、自立した状態で、皮膚に 押し込むことが求められる引用発明2の微小穿孔器に対し、甲1-1文献のヒアルロン酸を固体マトリクスとして適用する動機付けはなく、阻害要因がある旨主張する。 しかし、甲1-1文献においても、薬18(マイクロニードルに相当)に要求されているのは、「皮膚を貫通するのに のヒアルロン酸を固体マトリクスとして適用する動機付けはなく、阻害要因がある旨主張する。 しかし、甲1-1文献においても、薬18(マイクロニードルに相当)に要求されているのは、「皮膚を貫通するのに十分な構造強度のもの」である ことは明らかであり、「半固体」でもよいと記載されているから、強度が弱くても問題がないということにはならない。 エよって、当業者が相違点1Cを容易に想到するとした本件審決の判断に誤りはない。 ⑵ 相違点3Cの容易想到性について ア本件訂正発明13は物の発明であり、その新規性・進歩性を判断する発明の要旨認定では、「基剤、目的物質及び水を含む曳糸性を示す糊状物が乾燥した物」の部分については、製造方法の特定がないものとして従来技術と比較検討されるべきものである。製造過程における一時的な水溶性高分子の状態など、このマイクロニードルの発明には関係のないことである。 当業者としては、引離法であろうと、鋳型法であろうと、注射器のような 器具で押し出し成型する方法であろうと、結果として微細な針状や糸状のマイクロニードルができる方法を適宜選択すればよいはずである。 イヒアルロン酸は、その物性として、少量の水に溶解されると粘性が高まり(糊状になり)、曳糸性を示すようになる(乙17意見書)。 ヒアルロン酸を、その水溶液を固化させてマイクロニードルを作製する ために使用する場合において、当業者の常識として、濃度の低いヒアルロン酸水溶液を無理に選択して使用するようなことはなく、自身の所望するマイクロニードルの作製に好適な濃度(希釈率)のヒアルロン酸水溶液を使用することになる。 ⑶ 顕著な作用効果について 「基剤、目的物質及び水を含む曳糸性を示す糊状物」を乾燥させるという構成が、ど ニードルの作製に好適な濃度(希釈率)のヒアルロン酸水溶液を使用することになる。 ⑶ 顕著な作用効果について 「基剤、目的物質及び水を含む曳糸性を示す糊状物」を乾燥させるという構成が、どういう事柄を包含しているのか、結果的に作製されるマイクロニードルが、どのような性質を有するものであるかは、訂正明細書の記載だけからは不明である。 マイクロニードルの物理的強度や水溶性については、甲1-1文献、甲2 -1文献及び甲3文献の公知文献の開示事項並びに技術常識からすれば、本件発明(訂正の前後を問わない)では、選択された特定の水溶性高分子がその物質として当然に有する物性をうたっているだけであるから、その効果も当業者が容易に想像できる範囲内のものでしかない。 ⑷ 小括 以上によれば、本件訂正発明13について独立特許要件違反を認めた本件審決の判断に誤りはない。 第4 当裁判所の判断 1 本件訂正発明13について⑴ 訂正明細書等には、本件訂正発明13について、別紙1の記載がある(甲4 5ないし48)。 ⑵ 前記⑴によれば、訂正明細書等には、本件訂正発明13に関し、次のような開示があることが認められる。 ア本件訂正発明13は、針状又は糸状の形状を有し、タンパク質、多糖類等からなる基剤と目的物質とを有し、皮膚に挿入して使用される針状又は糸状の形状を有する自己溶解型の経皮吸収製剤に関する(【0001】)。 イマイクロニードルは、皮膚に刺しても痛みを感じないほどに微細化された針であるが、基剤に目的物質を保持させておき、皮膚に挿入された際に基剤が自己溶解することにより、目的物質を皮膚内に投与することができるものも開発されている(【0003】)。 麦芽糖からなる基剤を有するマイクロニードル 的物質を保持させておき、皮膚に挿入された際に基剤が自己溶解することにより、目的物質を皮膚内に投与することができるものも開発されている(【0003】)。 麦芽糖からなる基剤を有するマイクロニードルでは、製造過程で目的物 質が高温に曝され、高温で影響を受ける薬物には適用できない。熱に一定の耐性を有するインスリン粉末を用いると、物理的強度を保つことが困難となる。目的物質を徐放させる目的で、ポリ乳酸からなる基剤を用いると、有機溶媒を用いて溶解させる必要があるが、これにより影響を受ける目的物質がある(【0005】、【0006】)。 本件訂正発明13の目的は、高温に曝されることなく製造することができ、適当な物理的強度を有し、有機溶媒を用いることなく製造することができ、難経皮吸収性の薬物等の経皮的吸収を可能にする、針状又は糸状の形状を有する自己溶解型の経皮吸収製剤等を提供することにある(【0007】)。 ウ本様相の経皮吸収製剤においては、基剤がヒアルロン酸等からなるので室温又は低温条件下で製造することができる(【0010】)。 エ本件訂正発明13の経皮吸収製剤によれば、難経皮吸収性の薬物等であっても高い効率で皮膚から目的物質を吸収させることができる(【0059】)。 オ本件訂正発明13の経皮吸収製剤はいずれも自己溶解型のもので、水溶 性かつ生体内溶解性の高分子物質からなる基剤と、該基剤に保持された目的物質とを有し、皮膚に挿入されることにより目的物質を皮膚から吸収させるものであって、針状又は糸状の形状を有する(【0069】)。 本件訂正発明13の経皮吸収製剤の第1の様相では、基剤がコンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラ ン、血清アルブミン、血清 形状を有する(【0069】)。 本件訂正発明13の経皮吸収製剤の第1の様相では、基剤がコンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラ ン、血清アルブミン、血清α酸性糖タンパク質、及びカルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質は除く。)からなる(【0070】)。 基剤に用いる多糖類の分子量としては、ヒアルロン酸の場合は分子量120万程度のものまで使用可能であるが、分子量9万程度の比較的低分子 のものが特に好ましい。基剤として使用可能な、タンパク質、多糖類、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、及びポリアクリル酸ナトリウムは、いずれも、少量の水に溶解されると糊状になる「曳糸性を有する物質」である(【0075】)。 本件訂正発明13の経皮吸収製剤を製造する1つの方法として、フッ素 樹脂等からなる平板92の上に、目的物質を含有する基剤91を載せ、ガラス棒93の先端を接触させ(図7(a))、直ちにガラス棒93を持ち上げて、その先端に付着した目的物質を含有する基剤91を引き伸ばし(図7(b))、さらにガラス棒93を持ち上げて、目的物質を含有する基剤91を針状又は糸状に成形し(図7(c)、その後、針状又は糸状に成形した 目的物質を含有する基剤91を乾燥又は硬化させる。目的物質を含有する基剤として、水に溶解させると曳糸性を示す物質からなるものを用い、糊状とすることが好ましい(【0093】)。 本件訂正発明13の経皮吸収製剤を製造する他の方法として、鋳型を用いる方法がある。図9は、鋳型を用いる経皮吸収製剤の製造方法の例であ り、鋳型97は、平板92の正面に円錐状の孔98a、98b、98cを設 けることによ る他の方法として、鋳型を用いる方法がある。図9は、鋳型を用いる経皮吸収製剤の製造方法の例であ り、鋳型97は、平板92の正面に円錐状の孔98a、98b、98cを設 けることにより作成されている。これらの孔98a、98b、98cに目的物質を含有する基剤を充填し、乾燥又は硬化後、取り出す。なお、目的物質を含有する基剤が糊状であれば、孔から取り出した後に乾燥又は硬化させることもできる(【0095】)。 2 取消事由(独立特許要件の判断の誤り)について ⑴ 引用発明2についてア甲2-1文献には、別紙2の記載がある(同所に摘記する翻訳文は、本件審決の摘記箇所と重複する部分については、本件審決の翻訳文(甲2-2文献の必要箇所を、審判合議体が修正した訳文。このように修正された訳文自体については、原告は特に争っていない。)に従い、重複しない部分に ついては、甲2-2文献に従ったものである。利便性のため、甲2-2文献に従って段落番号を付した。)。 イ前記アによれば、甲2-1文献には、次のような開示があり、本件審決が認定するとおりの引用発明2を認めることができる。 引用発明は、薬物の経皮送達に関する(【0001】)。 薬物の投与の方法としては、経口投与、非経口注射等があるが、前者については十分に吸収されない場合があり、針注射は、恐怖感や痛み等の問題がある。経皮的な薬物投与が解決方法となるが、皮膚、角質層の最外層は、経皮薬物貫入に対して主なバリアを示し、多くの薬物の乏しい皮膚浸透性は、経皮送達の広い適用可能性を妨げる(【0002】ないし【0 004】)。 急速に溶解するミクロ移植片は、最小の痛みおよび不快感のみで中間用量の投与を可能にするが、ミクロ移植片の制御 透性は、経皮送達の広い適用可能性を妨げる(【0002】ないし【0 004】)。 急速に溶解するミクロ移植片は、最小の痛みおよび不快感のみで中間用量の投与を可能にするが、ミクロ移植片の制御された溶解を妨げる角質層及び表皮内の血管分布の非存在のために達成するのが困難であった。 したがって、特にミクロ針のアレイまたは皮膚の他の微小穿孔器を含む、 急速に溶解する経皮薬物送達ビヒクルを開発する必要がある(【001 0】)。 微小穿孔器は、好ましくは、必要に応じて1つ以上の選択された薬物を保持する固体マトリクスの可溶性(溶融性及び生分解性)の材料を含む。 微小穿孔器は、同じか又は異なる薬物のレザバに流体結合され得、この薬物は、ミクロ針自体によって皮膚内に運搬され得るか、又はミクロ針 による皮膚の穿孔によって作製されたチャネルによって、運搬され得る(【0012】)。 微小穿孔器の第1の機能は、角質層を貫通すること、薬物送達の迅速な開始及び中断を提供すること並びに必要に応じて引き続く薬物送達又は体液モニタリングのためにチャネルを開き続けることを助けることであ る。微小穿孔器がかなり迅速に溶解し、角質層を貫通するように十分強い限り、任意の生体適合性材料が、微小穿孔器として役立ち得る(【0024】)。 鋳型が調製されると、マトリクス材料及び選択された薬剤を含む液体溶液は、鋳型で鋳造され、乾燥される。液体溶液の粘度等に依存して、さ らなる力(例えば、遠心分離力または圧縮力)が、鋳型を満たすために必要とされ得る。固体溶液を形成するために、この溶媒は、空気乾燥されるか、真空乾燥されるか、又は凍結乾燥される必要がある。いったん固体溶液が形成されると、微小穿孔器は、鋳型から分離され、適切な形状及びサイズに切断される 液を形成するために、この溶媒は、空気乾燥されるか、真空乾燥されるか、又は凍結乾燥される必要がある。いったん固体溶液が形成されると、微小穿孔器は、鋳型から分離され、適切な形状及びサイズに切断される(【0025】)。 セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン等の、かなり多くのポリマーが、微小穿孔器のための適切なマトリクス材料である(【0028】)。 パッチシステムは、皮膚に適用され、その結果、1つ以上の微小穿孔器 が、角質層を通って、用途に依存して表皮中に、又は真皮中に貫通する。 好ましい実施形態において、パッチシステム中のレザバの薬物分子は、完全に又は部分的に溶解した微小穿孔器により作製されるチャネルを通って、表皮又は真皮中に流れる。薬物分子は、局所処置又は体を通る輸送のために真皮中に拡散する(【0048】)。 ⑵ 甲1-1文献に記載された事項について ア甲1-1文献には、別紙3の記載がある(翻訳文は、本件審決の摘記箇所と重複する部分については、本件審決の翻訳文(甲1-2文献の必要箇所を審判合議体が修正した訳文。このように修正された訳文自体については、原告は特に争っていない。)に従い、重複しない部分については、甲1-2文献に従ったものである。)。 イ前記アによれば、甲1-1文献には以下の開示があることが認められる。 甲1-1文献は、非経口導入装置に関し、特に、薬学的活性組成物の筋肉内投与又は皮下投与を行なう装置に関するものである。 非経口投与の最大の欠点は、薬物が投与される患者を不快にすることである。 そのため、針及び溶液又は懸濁液の両方を使用しない投与方 与を行なう装置に関するものである。 非経口投与の最大の欠点は、薬物が投与される患者を不快にすることである。 そのため、針及び溶液又は懸濁液の両方を使用しない投与方式を発見することに関心が集まっている。 この発明における固体薬物は、この固体薬物を位置つけるのに必要な程度まで皮膚に進入するプランジャーによって、患者の皮膚を通して直接注射される。薬は、爪楊枝の端部の形状に適切に作成され、非経口導入 装置により投与されたときに、皮膚を通って、皮下層中に貫通できるような十分な構造的強度を有している。 薬中のキャリアの量は、薬物および作用の所望の様式に依存する。 薬は、圧縮、熱溶融、または押出しのような従来の技術により調製してもよい。 熱溶融法は適切には、活性成分および所望であればキャリアを混合し て溶融する工程からなる。次いで、溶融生成物を爪楊枝形状の薬に成形する。 活性成分の即時送達用には、キャリアは水溶性であるべきである。水溶性キャリアの例としては、ヒアルロン酸、セルロース、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロ キシエチルセルロース、ゼラチン等が挙げられる。 ⑶ 相違点1Cの容易想到性についてア引用発明2と甲1-1文献に記載の装置は、薬剤の経皮投与に関するもので技術的分野を共通にし、針を使用する場合の恐怖感、不快感という共通の課題の解決を図るものである。また、引用発明2と、甲1-1文 献に記載の装置及び薬とは、生体内溶解性の基剤(マトリクス又はキャリア)に目的物質である薬物を保持させることにより、尖った先端部を有する穿孔器ないし固体薬物を成形し、これを患者の皮膚を通して直接投与し、薬効を 置及び薬とは、生体内溶解性の基剤(マトリクス又はキャリア)に目的物質である薬物を保持させることにより、尖った先端部を有する穿孔器ないし固体薬物を成形し、これを患者の皮膚を通して直接投与し、薬効を発現させる剤という点で、課題解決原理を同じくする。 引用発明2においては、微小穿孔器がかなり迅速に溶解し、角質層を 貫通するように十分強い限り、任意の生体適合性材料が、微小穿孔器として役立ち得るとされている(【0024】)。 ヒアルロン酸は、活性成分の即時送達用の水溶性キャリアとして甲1-1文献の9頁18ないし30行目に列挙された中の冒頭に記載されている。ヒアルロン酸が、生体内において、タンパク質と共に粘稠な溶液や ゲルを作って、細胞間質として組織構造の維持や、関節では潤滑作用を営む物質であり、水溶性かつ生体内溶解性であること(岩波理化学辞典第4版(甲8)の「ヒアルロン酸」の項)、皮膚は水を含み、表皮と真皮を合わせた水分量は57.7%であるが(甲33)、真皮の水分量は70%程度で(甲12)、これは、生体内の他の組織とほぼ同程度であるこ と(甲13)はいずれも技術常識に属するから、ヒアルロン酸は真皮で溶 解するといえる。 また、強度の観点からいうと、甲1-1文献の請求項1には「該薬が患者の皮膚を貫通するのに十分な構造強度のものであるときに患者の皮膚を通して押し出すことができることを特徴とする装置」との記載があるから、同文献において水溶性キャリアとして例示されているヒアルロン 酸は、皮膚を貫通する十分な構造的強度を有するものといえる。 甲2-1文献においてマトリクス材料として列挙される材料と、甲1-1文献においてキャリアとして列挙される材料とは、共通するものが複数あり(セルロース、ヒドロキシプロピル 度を有するものといえる。 甲2-1文献においてマトリクス材料として列挙される材料と、甲1-1文献においてキャリアとして列挙される材料とは、共通するものが複数あり(セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン等)、当業者は、この点からも、甲1-1 文献記載のキャリアを甲2-1文献のマトリクス材料として使用してみようと試みるものといえる。 そうすると、当業者は、引用発明2のポリマーとして、甲1-1文献記載の水溶性かつ生体内溶解性を有するヒアルロン酸を採用し、皮膚に挿入された際に自己溶解して薬物が送達されるものとすることは容易に想 到し得たものといえる。 イ原告は、前記第3の1⑴アのとおり、甲1-1文献には、固体薬を皮下層にて溶解させる投与方法が記載されているが、固体薬を皮膚に溶解させることは記載されておらず、また、甲1-1文献からヒアルロン酸の固体マトリクスが、皮下層よりも溶解力が低い皮膚内でも溶解すること が示唆されているとはいえない旨主張する。 しかし、甲1-1文献に記載された装置が皮下投与を行う装置であることからして、薬の先端は皮下まで達することを想定しているとしても、同文献には、「(薬を押し出す)プランジャー部材14のロッド36が主胴体10の一方の端部22より下2mm以内で停止することが好ましく、 プランジャーロッドが主胴体10の一方の端部22より全く突出しない ことが最も好ましい。」との記載もあり、なお、表皮の厚さが0.1~0. 3mm、真皮の厚さが1.0~2.0mmである(甲14)ことからすると、薬の少なくとも一部は表皮又は真皮内にとどまり、ここで溶解、吸収されることが理解される。 また、確かに、甲2-1文献の【0010】には、「 の厚さが1.0~2.0mmである(甲14)ことからすると、薬の少なくとも一部は表皮又は真皮内にとどまり、ここで溶解、吸収されることが理解される。 また、確かに、甲2-1文献の【0010】には、「急速に溶解するミ クロ移植片は、最小限の痛みと不快感のみで中間用量の投与を可能にするために、望ましいものである。しかしながら、その概念は、これまで、角質層及び表皮内に血管がなく、そのためにミクロ移植片の制御された溶解が妨げられることから、達成するのが困難であった。」との記載があるが、【0017】には、角質層13の下の1mm厚と3mm厚との間の 真皮層では、血管、リンパ管及び神経を含み、いったん薬物が真皮層に達すると、薬物は、系循環を通して、潅流することが記載され、さらに、前記アのとおり、皮膚のうち真皮層が生体内の他の組織とほぼ同程度の水分量を含有することが技術常識であることからすれば、真皮層を含む皮膚内全体として溶解力が低いとはいえない。 したがって、甲1-1文献からは、ヒアルロン酸の固体マトリクスが皮下層よりも溶解力が低い皮膚内でも溶解することが示唆されないということはできないから、原告の上記主張は採用できない。 原告は、前記第3の1⑴イのとおり、甲2-1文献の記載ぶりに照らし、引用発明2の固体マトリクスに、甲1-1文献に記載されたヒアル ロン酸等の水溶性キャリアの物質を適用することには阻害要因がある旨主張する。 しかし、甲2-1文献は、「・・・例えば、薬物を高速で送達するために設計されるデバイスは、微小穿孔器中のより活性な薬物、および/またはより早く溶解するマトリクスを有し得る。持続性薬物放出のために、 より少ない微小穿孔器および/または(より)遅く溶解する固体マトリ クスの使用が、有 より活性な薬物、および/またはより早く溶解するマトリクスを有し得る。持続性薬物放出のために、 より少ない微小穿孔器および/または(より)遅く溶解する固体マトリ クスの使用が、有用である。」(【0057】)としているから、そもそも引用発明2が迅速な溶解のみを目的としているという前提は失当である。 また、甲2-1文献は、「可溶性の移植片は、徐々に溶解する処方物においてのみ、公知である。・・・」(【0008】)として、甲1-1文 献等の従来文献を挙げ、「結果として、ミクロ針のアレイ又はほかのミクロ移植片を製造する動機がない。生成物が徐々に溶解される間、投与は、低用量を送達するための単一ミクロ針、またはより多くの用量の送達するための単一のより大きな針もしくはペレットを使用して、うまく制御される・・・」(【0009】)としているが、甲2-1文献には、ヒア ルロン酸を個別に取り上げて徐放性であることを示す記載はなく、甲1-1文献においても同様である。また、甲2-1文献の上記各記載は、徐々に溶解される生成物の場合は、単一ミクロ針、又は、単一のより大きな針若しくはペレットによって処理することができるので、引用発明2のような複数のミクロ針を有する(請求項1)アレイを製造する動機が なかったということを説明するにとどまると理解される。以上によれば、いずれにしても、原告主張の甲2-1文献の記載が、固体マトリクスにヒアルロン酸を採用することに阻害要因があることを意味するとはいえないから、原告の上記主張は採用できない。 原告は、前記第3の1⑴ウのとおり、当業者は、自立した状態で皮膚に 押し込むことが求められる引用発明2の微小穿孔器に対し、甲1-1文献のヒアルロン酸を固体マトリクスに適用する動機付けは存 原告は、前記第3の1⑴ウのとおり、当業者は、自立した状態で皮膚に 押し込むことが求められる引用発明2の微小穿孔器に対し、甲1-1文献のヒアルロン酸を固体マトリクスに適用する動機付けは存在せず、甲1-1文献に記載の物理的強度の薬を、引用発明2の微小穿孔器に使用しようとすれば、引用発明2の微小穿孔器の皮膚への挿入においても、甲1-1に記載の非経口導入装置の使用が必要になり、引用発明2の構 成自体を変更する必要が発生するので、これを阻害する要因がある旨主 張する。 上記主張は、甲1-1文献に記載の薬が甲2-1文献に記載のものより強度が低いことを前提にするものと解されるが、甲1-1文献には、「内腔16の内径は好ましくは、薬18の直径よりも約5-10%大きい。」と記載され、薬18は、非経口導入装置の内腔に支えられて形を保 っているものではないし、また、甲1-1文献の請求項1には、「該薬が患者の皮膚を貫通するのに十分な構造強度のものであるときに患者の皮膚を通して押し出すことができることを特徴とする装置」との記載がある。したがって、甲1-1文献の薬が甲2-1文献に記載のものより強度が低いとは必ずしもいえないから、原告の主張はその前提を欠くもの というべきである。 ⑷ 相違点3Cの容易想到性についてア甲2-1文献には、微小穿孔器を作製する方法として、マトリクス材料及び薬剤を含む液体溶液を、鋳型に充填し、乾燥後に鋳型から分離する方法が記載されており、引用発明2において、微小穿孔器としての強 度を有し、かつ、即時送達のための可溶性を有するポリマーとして、前記⑶アのとおり水溶性であり、生体内で溶解するものであるヒアルロン酸を採用して微小穿孔器を作製するに際し、ヒアルロン酸及び薬剤を含 度を有し、かつ、即時送達のための可溶性を有するポリマーとして、前記⑶アのとおり水溶性であり、生体内で溶解するものであるヒアルロン酸を採用して微小穿孔器を作製するに際し、ヒアルロン酸及び薬剤を含む液体溶液を鋳型に充填し、乾燥させる上記方法によることは、当業者が適宜なし得ることである。 さらに、前記の液体溶液を曳糸性を示す糊状物とすることの容易性について検討する。 a 「曳糸性」とは、岩波理化学辞典第5版(甲35)によると、「高分子溶液・・・などの液体をたらしたり、中に棒を突っ込んで手早く引き上げるときに、液体が長い糸をひく性質をいう。」とされる。特開平9 -71602公報(乙14。乙17意見書の添付資料1)には、「ヒア ルロン酸は生体由来の高分子物質であり、高い増粘性、粘弾性、曳糸性等の特異的な物性を有しており、しかも生体適合性が高いことから各種分野での応用が期待されている。・・・」(【0002】)、特開2004-262777公報(乙17意見書の添付資料2)には「ヒアルロン酸は生体由来の高分子物質であり、高い増粘性、粘弾性、曳糸性等 の特異的な物性、及び極めて高い保水性を有し、各種皮膚外用剤等に保湿剤として用いられている。・・・」(【0003】)、特開2002-249501公報(乙17意見書の添付資料3)には「・・・ヒアルロン酸溶液は、ヒアルロン酸の高分子性により曳糸性を有するとされているが、・・・」(【0030】)との記載がある。そうすると、本 件優先日において、ヒアルロン酸が曳糸性を有することは技術常識であったものということができる。 b 「糊状物」が何を意味するかについて、訂正明細書には記載するところはないが、広辞苑第5版(甲56)には、「糊」について、「米・正 有することは技術常識であったものということができる。 b 「糊状物」が何を意味するかについて、訂正明細書には記載するところはないが、広辞苑第5版(甲56)には、「糊」について、「米・正麩などの澱粉質から製した、粘り気のあるもの。広義には接着剤をい う。」と定義されている。そうすると、「糊状物」は、「粘り気のある物」との意味に理解される。 さらに、どの程度の粘り気が想定されているかをみるに、訂正明細書には、経皮吸収剤を製造する方法として、平板の上に、目的物質を含有する基剤を載せ、この基剤にガラス棒や櫛状部材の先端を接触させ て直ちに持ち上げ、先端に付着した基剤を引き伸ばし、さらに、ガラス棒ないし櫛状部材を持ち上げて、基剤を針状又は糸状に成形し、乾燥・硬化させる引離法と、鋳型に目的物質を含有する機材を充填して乾燥させる鋳型法が記載され、引離法では、基剤として水に溶解させると曳糸性を示す物質からなるものを用い、糊状とすることが好ましいこと、 鋳型法では、目的物質を含有する基剤が糊状であれば孔から取り出し た後に乾燥又は硬化させることができることが記載されており(【0093】ないし【0095】)、さらに、実施例として、糊状の基剤をシリコン製の鋳型に押し付けて充填し、そのまま室温(実施例10)ないし低温(実施例22、23)で乾燥して硬化させたことが記載されている(【0128】、【0129】、【0157】ないし【0161】)。 そうすると、本件訂正発明13において、「糊状」とは、引離法において引き離された形態が保持される程度の、また、鋳型法において、鋳型に押し付けて充填できる程度の賦形性を有するものであると理解でき、さらに、「曳糸性を示す糊状物」とは、そのような性質を有し、かつ、 いて引き離された形態が保持される程度の、また、鋳型法において、鋳型に押し付けて充填できる程度の賦形性を有するものであると理解でき、さらに、「曳糸性を示す糊状物」とは、そのような性質を有し、かつ、糸を引く性質を有するものであると理解できる。 他方、前記aのとおり、特開平9-71602公報や特開2004-262777公報にヒアルロン酸の増粘性、粘弾性について言及されており、岩波理化学辞典第4版(甲8)ではヒアルロン酸について、「分子量は約100万。水溶液の粘度は非常に高い。」とある。また、甲11文献には、「高分子の濃度をあげてゆくと溶液中の高分子は複雑に絡 み合うようになる。巨視的にみると高分子の絡み合いがはじまると、溶液の粘度は急激に増大し、分子量の大きなものでは10%程度で極めて粘ちゅうな液体となる。このような高分子液体の顕著な特徴は、弾性を示すことである。例えば、高分子液体の試料に力を加えて瞬間的に引き延ばしたとする。引き延ばした直後に力を緩めれば、試料は弾性体の ように縮んでもとの形に戻る。」との記載があり、ヒアルロン酸水溶液の濃度をあげていくと、ヒアルロン酸分子が複雑に絡み合うようになり、粘度が急激に増大し、粘稠な液体となることが理解できる。 また、甲57実験成績証明書によれば、ヒアルロン酸の水溶解物は、0.5重量%及び5重量%のものは、水溶液であり、10重量%のもの は、粘稠な水溶液であり、30重量%及び40重量%のものは糊状物で あったとされ、被告による実験報告書2(乙19。以下「乙19実験報告書」という。)には、ヒアルロン酸の、0.5%、5%、10%、30%及び40%水溶液に関しての記載があり、40%水溶液は、液体ではなく流動性を失ったゲル状半固形物であったことが記載されており、 報告書」という。)には、ヒアルロン酸の、0.5%、5%、10%、30%及び40%水溶液に関しての記載があり、40%水溶液は、液体ではなく流動性を失ったゲル状半固形物であったことが記載されており、いずれの結果も、ヒアルロン酸濃度が低いと液体状で、濃度が高くなる と糊状(ゲル状)になることが示されている。 c 訂正明細書の【0075】には、基剤として使用可能な多糖類が、少量の水に溶解されると糊状になる「曳糸性を有する物質」であるとの記載はあるが、その技術的意義の記載はない。また、訂正明細書の【0093】では、引離法による経皮吸収製剤製造の初期段階で、フッ素樹脂 等からなる平板92の上に、目的物質を含有する基剤91を載せたとき、基剤として、水に溶解させると曳糸性を示す物質からなるものを用い、糊状とすることが好ましいとの記載があるが、これは、目的物質を含有する基剤を針状又は糸状に成形するという引離法における製造上の便宜を示したものと解される。さらに、鋳型法による場合について は、訂正明細書の【0095】に、目的物質を含有する基剤が糊状であれば孔から取り出した後に乾燥又は硬化させることができることが記載されているところ、これも、粘度が低い場合には鋳型内で乾燥又は硬化した後に取り出すことを要することと対照した製造上の利便性の記載であると解される。 したがって、訂正明細書には、経皮吸収剤が「基剤、目的物質及び水を含む曳糸性を示す糊状物が乾燥した物」であることと、経皮吸収剤それ自体の構造や特性との技術的関係についての記載は一切存在しない。 d 甲2-1文献には、「液体溶液の粘度ならびに他の物理的および化学的特性に依存して、さらなる力(例えば、遠心分離力または圧縮力) が、鋳型を満たすために必要とされ得る」( 一切存在しない。 d 甲2-1文献には、「液体溶液の粘度ならびに他の物理的および化学的特性に依存して、さらなる力(例えば、遠心分離力または圧縮力) が、鋳型を満たすために必要とされ得る」(【0025】)と記載され、 さらに、粉末形態のマトリクス材料についての記載ではあるが、「粉末形態がマトリクス材料のために使用される場合、この粉末は、有利には、鋳型にわたって分離され得る。粉末の化学的および物理的特性に依存して、次いで、粉末の適切な加熱が適用されて、鋳型内に粘稠性の材料を融解または挿入し得る。」(【0026】)との記載もある。この ような記載に接した当業者であれば、鋳型で液体溶液を乾燥させる場合、粘度が1つの重要な要素となり、粘度に応じた製法の調整をして対応するほか、粘度自体も調整の対象となり得ること、粘稠性の材料であっても鋳型に充填し得ることを理解するものといえる。 鋳型で乾燥させる液体溶液の粘度の調整については、当業者であれ ば、乾燥するという目的や、鋳型に充填する際の作業効率といった観点から行うものであり、ヒアルロン酸水溶液が糊状であるか否かは、ヒアルロン酸水溶液の粘度によって決定され、粘度がある程度以上高ければ、糊状になるといえることは前記bのとおりであるところ、上記のように、甲2-1文献の記載から、粘稠性であっても鋳型に充填し得るこ とを理解することができるのであるから、乾燥するという目的も勘案して、液体溶液の粘度を高いものとすることは容易に想到し得ることである。 そして、そのような液体溶液は粘度によって糊状にも粘稠な液体にもなり得るのであって、その差は相対的であり、いずれの状態になるよ うに調整するにしても、それは、当業者が適宜設定し得た事項にすぎない。 ヒアル 体溶液は粘度によって糊状にも粘稠な液体にもなり得るのであって、その差は相対的であり、いずれの状態になるよ うに調整するにしても、それは、当業者が適宜設定し得た事項にすぎない。 ヒアルロン酸は曳糸性を有することは前記aのとおり技術常識である以上、当業者においてこのように適宜調整された液体溶液は、曳糸性を示すものになるといえる。なお、甲57実験成績証明書及び乙19実 験報告書からみれば、希薄なヒアルロン酸水溶液は曳糸性を示さない が、鋳型で乾燥させてマイクロニードルを作るに当たって、乾燥させるという目的からみて、そのような希薄な溶液を使用することは想定されない。 以上によれば、引用発明2において、甲1-1文献に記載のヒアルロン酸を採用する際に、ヒアルロン酸と薬剤を含む液体溶液を、「曳糸性を 示す糊状物」とすることは、当業者が容易になし得たことというべきである。 イ原告は、前記第3の1⑵エのとおり、甲1-1文献には、ヒアルロン酸等のキャリアは水溶性であるべきと記載されているからすれば、当業者は、当該ヒアルロン酸は糊状(一定の形状をもつ固体状)にはならない と理解するとか、乙17意見書の添付資料の記載から、当業者は、ヒアルロン酸が曳糸性を有する物質に該当することが理解できたとしても、ヒアルロン酸が少量の水に溶解されると糊状になる、曳糸性を有する物質であることは理解しない旨主張する。 しかし、ヒアルロン酸の水溶液の濃度が高いと粘度が増大することを 理解できること、及びヒアルロン酸水溶液が糊状であるか否かは、ヒアルロン酸水溶液の粘度によって決定され、粘度がある程度以上高ければ糊状になるといえることは前記アbのとおり技術常識というべきであり、岩波理化学辞典第4版(甲8)ではヒアルロン であるか否かは、ヒアルロン酸水溶液の粘度によって決定され、粘度がある程度以上高ければ糊状になるといえることは前記アbのとおり技術常識というべきであり、岩波理化学辞典第4版(甲8)ではヒアルロン酸が水溶性かつ生体内溶解性であること、その水溶液の粘度は非常に高いことが記載されてい るのであるから、ヒアルロン酸が水溶性であることと、少量の水に溶解すると曳糸性を示す糊状物となることは矛盾しない。したがって、原告の上記主張は採用できない 原告は、前記第3の1⑵エのとおり、甲2-1文献には、液体溶液を鋳型で鋳造し乾燥させて微小穿孔機を実際に製造した具体例も記載され ていないこと、ヒアルロン酸が糊状であると流延せず、鋳型の先端部ま で充填しにくくなることから、当業者は、「ヒアルロン酸を含む液体溶液」が一定の形状を有する「曳糸性を示す糊状物」とは理解しない旨主張する。 しかし、甲2-1文献には、前記アdのとおり、液体溶液の粘度に応じて様々な方法を鋳型を満たすために使うことも記載されており(【0 025】)、ヒアルロン酸が糊状であるからといって鋳型の先端まで充填しにくくなるとはいえず、ヒアルロン酸を含む液体溶液を、曳糸性を示す糊状物とするのは当業者が適宜なし得たことというべきであるから、原告の上記主張は採用できない。 ⑸ 顕著な作用効果について ア原告は、前記第3の1⑶アのとおり、本件訂正発明は、基剤、目的物質及び水を含む曳糸性を示す糊状物を乾燥させるという構成を採用することにより物理的強度と優れた水溶性という2つの効果を両立するものであり、これらの効果は、訂正明細書(実施例1ないし23)から把握できる旨主張する。 訂正明細書の【0106】ないし【0163】には、実施例1ない 優れた水溶性という2つの効果を両立するものであり、これらの効果は、訂正明細書(実施例1ないし23)から把握できる旨主張する。 訂正明細書の【0106】ないし【0163】には、実施例1ないし24として、基剤、目的物質及び水を含む曳糸性を示す糊状物を乾燥させたこと(実施例1ないし9、11ないし21、24は引離法、実施例10、22及び23は鋳型法)、実施例3ないし6、11、12、17、18、20、21においては、上記目的物質(薬剤)をマウスに皮膚から投与し、効果が あったことが記載されている。 しかし、訂正明細書等を全体としてみても、これらの効果が奏されたことが曳糸性を示す糊状物を乾燥させるという構成を採用したことによるものであることを示唆する記載はない。前記⑷アcのとおり、訂正明細書における上記構成に係る記載は、いずれも製造上の便宜に関するものとい うべきであり、上記構成の技術的意義については何らの記載もない。 他方で、甲2-1文献には、微小穿孔器が、皮膚の穿孔のために、図2Aないし2Gに示されるような尖らせてあるか鋭利にされた形状を有すること(【0018】、【0021】)、鋳型を用いる方法等により微小穿孔器を製造することができること(【0025】)が記載されているのであるから、実際に微小穿孔器を製造したことや使用したことの記載がなくても、 物理的強度の課題を解決することについての具体的手段が示されているといえる。甲1-1文献に記載の薬も患者の皮膚を貫通するのに十分な構造強度のものであることは前記⑶イのとおりである。 そうすると、原告主張の効果は、相違点3Cに係る本件訂正発明の構成を採用することにより、当業者が予想し得る範囲のものであるというべき であるから、原告の上記主張は採用でき のとおりである。 そうすると、原告主張の効果は、相違点3Cに係る本件訂正発明の構成を採用することにより、当業者が予想し得る範囲のものであるというべき であるから、原告の上記主張は採用できない。 イ原告は、前記前記第3の1⑶イのとおり、当業者は、甲11文献の記載から、少量の水を加えて曳糸性を示す糊状になるかどうかを確認することで高分子鎖が絡まり易い特性の高分子物質を選択し、曳糸性を示す糊状物に調製することで高分子鎖を十分に絡ませた状態を実現し、これを乾燥させ て絡み合いの程度が増大すれば、固形物の弾性が高まり、結果として物理的強度も高くなるという関係が十分に把握できる旨主張する。 しかし、原告が主張する甲11文献の記載は、高分子溶液の濃度を上げた場合に生じる化学的特性に関するものであるとしても、曳糸性を示す糊状物について触れたものではないのであるから、曳糸性を示す糊状物とい う構成が本件訂正発明の作用効果を顕著に高めることを示すものとはそもそもいえない(乾燥させるという目的も勘案して液体溶液の粘度(濃度)を高いものとすること自体は、当業者が容易に想到し得るものであることは前示のとおりである。)。また、「固形物の弾性が高まり、結果として物理的強度も高くなる」という点についても、高分子液体の乾燥物の弾性につ いては言及していないし、ここでいう「弾性」とは、「例えば、高分子液体 の試料に力を加えて瞬間的に引き延ばしたとする。引き延ばした直後に力を緩めれば、試料は弾性体のように縮んでもとの形に戻る。」というものであり、引き伸ばされた試料が元の形に戻ることを示しているが、このような意味での弾性が直ちに強度を意味するものとはいえない。 したがって、原告の主張はいずれにしても採用できない。 うものであり、引き伸ばされた試料が元の形に戻ることを示しているが、このような意味での弾性が直ちに強度を意味するものとはいえない。 したがって、原告の主張はいずれにしても採用できない。 ⑹ 小括以上によれば、本件訂正発明13は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではなく、請求項13についての訂正が認められないから、請求項1~17及び19からなる一群の請求項についての訂正及びこの訂正に関連した明細書の記載についての訂正は、一体的に認められないとした本 件審決の判断に誤りはない。 3 結論以上のとおり、原告主張の取消事由は理由がなく、本件審決を取り消すべき違法が認められないことは明らかであるから、原告の請求を棄却することとし、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官 菅野雅之 裁判官本吉弘行 裁判官岡山忠広 (別紙1)【0001】本発明は、経皮吸収製剤、経皮吸収製剤保持シート、及び経皮吸収製剤保持用具に関し、さらに詳細には、針状又は糸状の形状を有し、タンパク質、多糖類等からなる基剤と目的物質とを有し、皮膚(但し、皮膚は表皮及び真皮から成る。以下同 様)に挿入して使用される針状又は糸状の形状を有する自己溶解型の経皮吸収製剤、シート状の支持体の少なくとも一方の面に該経皮吸収製剤が保持された経皮吸収製剤保持シート、及び、本体が有す 。以下同 様)に挿入して使用される針状又は糸状の形状を有する自己溶解型の経皮吸収製剤、シート状の支持体の少なくとも一方の面に該経皮吸収製剤が保持された経皮吸収製剤保持シート、及び、本体が有する貫通孔の中に針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤が保持された経皮吸収製剤保持用具に関する。 【背景技術】 【0002】薬物を非侵襲的に投与する手段の一つとして、経皮吸収製剤による経皮的な薬物投与が行なわれている。例えば、軟膏剤、クリーム、ローション剤、パップ剤、貼付剤等の剤型からなる経皮吸収製剤が従来から用いられている。これらの経皮吸収製剤は、通常、皮膚の疾患部位に対して局所的に投与する目的で使用される。これ は、皮膚には極めて高度なバリアー機能が発達しているため、投与部位である皮膚から薬物を吸収させて、全身的な薬効を発現させることは一般に困難だからである。なお、経皮吸収システム(TransdermalTherapeuticSystem、TTS)による貼付剤が一部で実用化されているが、それは、エストロゲン、硝酸誘導体、ツロブテロール、ニコチン等の極めて皮膚透過性が高く、 かつ有効血中薬物濃度が約20ng/mL以下の極めて低濃度で薬効を発揮できる薬物についてのみである。つまり、インスリンのような高分子薬物の場合は、皮膚透過性が低く経皮的に吸収させることが困難であり、経皮吸収製剤への応用が困難である。よって、これらの高分子薬物については、依然として注射剤による投与が主流である。 【0003】 このような背景の下、侵襲性が低い注射の技術開発が進められており、その一つとしてマイクロニードルが開発されている。マイクロニードルは、皮膚に刺しても痛みを感じないほどに微細化された針である。マイクロニ のような背景の下、侵襲性が低い注射の技術開発が進められており、その一つとしてマイクロニードルが開発されている。マイクロニードルは、皮膚に刺しても痛みを感じないほどに微細化された針である。マイクロニードルの材質としては、従来の注射針と同じ金属製の他、シリコン等の材質からなるマイクロニードルが開発されている(非特許文献1、非特許文献2)。これらのマイクロニードルは、注 射針と同様の中空構造を有するもので、薬液を注入するタイプである。さらに、生体内溶解性を有する物質からなる基剤を有する自己溶解型のマイクロニードルも開発されている。すなわち、基剤に目的物質を保持させておき、皮膚に挿入された際に基剤が自己溶解することにより、目的物質を皮膚内に投与することができる。例えば、麦芽糖からなる基剤を有する自己溶解型のマイクロニードルがすでに開示さ れている(特許文献1)。さらに、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、又はポリカプロラクトンからなる基剤を有する自己溶解型のマイクロニードルも公知である。 【発明が解決しようとする課題】【0005】麦芽糖からなる基剤を有する自己溶解型のマイクロニードルを製造する場合に は、融点以上の熱をかけて融解した麦芽糖に目的物質を含有させ、その後、成形する。ここで、麦芽糖の融点は約102~103℃と高温であり、麦芽糖からなる基剤を有するマイクロニードルでは、製造過程で目的物質が高温に曝される。しかし、高温で分解、変性、又は失活する薬物等の目的物質は多く、麦芽糖からなる基剤を有する自己溶解型のマイクロニードルにこのような目的物質を適用することは 困難である。特に、目的物質がペプチドやタンパク質の場合は、熱による変性と失活が避けられず、麦芽糖からなる基剤を用いることが極めて困難である。なお、目的物質がイ うな目的物質を適用することは 困難である。特に、目的物質がペプチドやタンパク質の場合は、熱による変性と失活が避けられず、麦芽糖からなる基剤を用いることが極めて困難である。なお、目的物質がインスリンである場合には、インスリン粉末を用いることで熱による変性と失活をある程度防ぐことは可能である。しかし、粉末を麦芽糖の中に分散させて硬化させると脆くなり、マイクロニードルの物理的強度を保つことが困難となる。 さらに、麦芽糖は強い吸湿性を有するので、麦芽糖からなる基剤を有する自己溶解 型のマイクロニードルは時間の経過とともに吸湿して先端部が軟化し、皮膚に刺さらなくなるという欠点を有する。そのため、麦芽糖からなる基剤を有する自己溶解型のマイクロニードルでは、目的物質を定量的に投与することが難しい場合がある。 【0006】 またさらに、目的物質を徐放させる目的で、ポリ乳酸からなる基剤が用いられる場合、ポリ乳酸は水不溶性であり塩化メチレン等の有機溶媒を用いて溶解させる必要がある。しかし、目的物質の種類によっては、有機溶媒に接触することで変性又は失活する目的物質がある。例えば、インスリン等のペプチドやタンパク質が目的物質である場合には、有機溶媒に接触することで変性又は失活することが多い。し たがって、水溶性の物質からなる基剤を有し、目的物質を徐放する自己溶解型のマイクロニードルが求められる。 【0007】本発明の目的は、高温に曝されることなく製造することができ、適当な物理的強度を有し、有機溶媒を用いることなく製造することができ、その結果、難経皮吸収 性の薬物等の経皮的吸収を可能にする、針状又は糸状の形状を有する自己溶解型の経皮吸収製剤等を提供することにある。 【課題を解決するための手段】【000 ることができ、その結果、難経皮吸収 性の薬物等の経皮的吸収を可能にする、針状又は糸状の形状を有する自己溶解型の経皮吸収製剤等を提供することにある。 【課題を解決するための手段】【0008】本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ね、基剤を構成するための物質 を多数検索し、室温又は低温条件下で製造可能な針状又は糸状の形状を有する自己溶解型の経皮吸収製剤を作製することに成功した。さらに、ポリ乳酸を用いることなく目的物質を徐放させる、針状又は糸状の形状を有する自己溶解型の経皮吸収製剤を作製することに成功した。さらに、該経皮吸収製剤を効率的に投与できる経皮吸収製剤保持シートを作製した。さらに、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製 剤を容易に皮膚に挿入することができる経皮吸収製剤保持用具を作製し、本発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。 【0009】本発明の経皮吸収製剤における第1の様相は、水溶性かつ生体内溶解性の高分子物質からなる基剤と、該基剤に保持された目的物質とを有し、皮膚に挿入されるこ とにより目的物質を皮膚から吸収させる経皮吸収製剤であって、前記基剤は自己溶解するものであり、前記高分子物質は、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラン、血清アルブミン、血清α酸性糖タンパク質、及びカルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質は除く)であり、基剤、目的物質及 び水を含む曳糸性を示す糊状物が乾燥した物であり、尖った先端部を備えた針状又は糸状の形状を有すると共に前記先端部が皮膚に接触した状態で押圧されることにより皮膚に挿入される、経皮吸収製剤である(但し、目的物質が医 糸性を示す糊状物が乾燥した物であり、尖った先端部を備えた針状又は糸状の形状を有すると共に前記先端部が皮膚に接触した状態で押圧されることにより皮膚に挿入される、経皮吸収製剤である(但し、目的物質が医療用針内に設けられたチャンバに封止されるか、あるいは縦孔に収容されることによって基剤に保持されている経皮吸収製剤を除く)。 【0010】本様相の経皮吸収製剤は、水溶性かつ生体内溶解性の高分子物質からなる基剤と、該基剤に保持された目的物質とを有し、皮膚に挿入されることにより目的物質を皮膚から吸収させる自己溶解型の経皮吸収製剤にかかるものである。本様相の経皮吸収製剤においては、基剤が自己溶解するものであり、基剤がコンドロイチン硫 酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラン、血清アルブミン、血清α酸性糖タンパク質、及びカルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質は除く)からなり、基剤、目的物質及び水を含む曳糸性を示す糊状物が乾燥した物であり、針状又は糸状の形状を有する。本様相の経皮吸収製剤においては、基剤がコンドロイ チン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸等からなるので室温又は低温条件下で製造する ことができる。したがって、基剤に保持されている目的物質が製造過程で高温に曝されることがない。すなわち、熱に対して不安定な目的物質であっても、製造過程でその活性が損なわれることがない。その結果、本様相の経皮吸収製剤によれば、目的物質を高い効率で皮膚から吸収させることができる。さらに、本様相の経皮吸収製剤では、基剤が医薬品分野において種々の製剤で使用実績がある物質からなる ので、人体に対する安全性が高い。 【発明の効果】【0059】 収させることができる。さらに、本様相の経皮吸収製剤では、基剤が医薬品分野において種々の製剤で使用実績がある物質からなる ので、人体に対する安全性が高い。 【発明の効果】【0059】本発明の経皮吸収製剤によれば、難経皮吸収性の薬物等であっても高い効率で皮膚から目的物質を吸収させることができる。 【発明を実施するための最良の形態】【0069】本発明の経皮吸収製剤はいずれも自己溶解型の経皮吸収製剤であり、水溶性かつ生体内溶解性の高分子物質からなる基剤と、該基剤に保持された目的物質とを有し、皮膚に挿入されることにより目的物質を皮膚から吸収させる経皮吸収製剤であ って、針状又は糸状の形状を有するものである。そして、本発明の経皮吸収製剤は2つの主な様相からなる。このうち、第1の様相は針状又は糸状の形状を有する製剤(通常の製剤と徐放性製剤)に関するものである。第2の様相は、2個以上の第1の様相の経皮吸収製剤が直列に連結された経皮吸収製剤に関するものである。 【0070】 本発明の経皮吸収製剤の第1の様相では、基剤がコンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デキストラン、プルラン、血清アルブミン、血清α酸性糖タンパク質、及びカルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれた少なくとも1つの物質(但し、デキストランのみからなる物質は除く)からなる。これらの高分子物質については、1つだけを用いてもよいし、複数種を組み合わせて 用いてもよい。基剤に目的物質を保持させる方法としては特に限定はなく、種々の 方法が適用可能である。例えば、目的物質を基剤中に超分子化して含有させることにより、目的物質を基剤に保持させることができる。その他の例をしては、溶解した基剤の中に目的物質を加えて懸 の 方法が適用可能である。例えば、目的物質を基剤中に超分子化して含有させることにより、目的物質を基剤に保持させることができる。その他の例をしては、溶解した基剤の中に目的物質を加えて懸濁状態とし、その後に硬化させることによっても目的物質を基剤に保持させることができる。 【0075】 基剤に用いる多糖類の分子量としては、例えば、ヒアルロン酸の場合は分子量120万程度のものまで使用可能であるが、分子量9万程度の比較的低分子のヒアルロン酸が特に好ましい。・・・なお、基剤として使用可能な、タンパク質、多糖類、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、及びポリアクリル酸ナトリウムは、いずれも、少量の水 に溶解されると糊状になる「曳糸性を有する物質」である。 【0093】本発明の経皮吸収製剤を製造する方法について説明する。本発明の経皮吸収製剤を製造する方法は、特に限定されず、種々の方法が適用可能である。1つの例では、平板と棒を用いる。図7は、本発明の経皮吸収製剤を製造する手順を模式的に 表し、図7(a)は製造の初期段階を模式的に表す側面図であり、図7(b)は製造の中間段階を模式的に表す側面図であり、図7(c)は製造の最終段階を模式的に表す側面図である。図7(a)~(c)に表されるように、本製造方法では、まず、フッ素樹脂等からなる平板92の上に、目的物質を含有する基剤91を載せる。このとき、基剤として、水に溶解させると曳糸性を示す物質からなるものを用 い、糊状とすることが好ましい。次に、目的物質を含有する基剤91にガラス棒93の先端を接触させる(図7(a))。直ちにガラス棒93を持ち上げて、ガラス棒93の先端に付着した目的物質を含有する基剤91を引き伸ばし(図7(b))、さらにガラス棒93を する基剤91にガラス棒93の先端を接触させる(図7(a))。直ちにガラス棒93を持ち上げて、ガラス棒93の先端に付着した目的物質を含有する基剤91を引き伸ばし(図7(b))、さらにガラス棒93を持ち上げて、目的物質を含有する基剤91を針状又は糸状に成形する(図7(c))。その後、針状又は糸状に成形した目的物質を含有する基剤9 1を乾燥又は硬化させることにより、略円錐の形状を有する経皮吸収製剤1を製造 する。このとき、ガラス棒としては、例えば直径5mm以下のものを用いることができる。また、ガラス棒に限らず、ポリプロピレン等の水不溶性の材質の棒であれば使用可能である。 【0094】図7(a)~(c)では1個の経皮吸収製剤を製造する方法の例を示したが、同 様の原理で複数の経皮吸収製剤を製造することも可能である。そのような製造方法の例を図8に示す。図8は本発明の経皮吸収製剤を製造する別の方法を模式的に表し、図8(a)は製造の初期段階を模式的に表す側面図であり、図8(b)は製造の最終段階を模式的に表す側面図である。すなわち、図8(a)に表されるように、この例では棒ではなく複数の突起を有する櫛状部材95を用いる。そして、図 8(b)に表されるように、図7(a)~図7(c)と同様の操作を行うことによって、5個の経皮吸収製剤1a~1eが製造される。もちろん、櫛状部剤95の櫛の数を増やすことにより、さらに多数の経皮吸収製剤を製造することも可能である。 【0095】 本発明の経皮吸収製剤を製造する方法の他の例としては、鋳型を用いる方法が挙げられる。図9に、鋳型を用いる経皮吸収製剤の製造方法の例を示す。図9は本発明の経皮吸収製剤を製造する方法の他の例を表す分解斜視図である。図9に表されるように、鋳型97は、 は、鋳型を用いる方法が挙げられる。図9に、鋳型を用いる経皮吸収製剤の製造方法の例を示す。図9は本発明の経皮吸収製剤を製造する方法の他の例を表す分解斜視図である。図9に表されるように、鋳型97は、フッ素樹脂等からなる平板92の正面に円錐状の孔98a、98b、98cを設けることにより作成されている。これらの孔98a、98 b、98cに目的物質を含有する基剤を充填し、乾燥又は硬化後、取り出す。これにより、針状又は糸状の経皮吸収製剤1f、1g、1hを製造することができる。 なお、目的物質を含有する基剤が糊状であれば、孔から取り出した後に乾燥又は硬化させることもできる。なお、平板92はフッ素樹脂製以外でもよく、例えばシリコン樹脂製やABS樹脂製のものでもよい。 【実施例1】 【0105】本実施例では、ヒト血清アルブミンからなる基剤にインターフェロン(目的物質)が保持された、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0106】150mgのヒト血清アルブミン(シグマ社)に約0.2mLの精製水を加えて よく溶解及び混和し、ヒト血清アルブミンからなる糊状の基剤を調製した。この基剤に10μLのインターフェロンアルファ注射液(登録商標スミフェロン、600万単位/mL、住友製薬社)(6万IUに相当)を加え、よく混和し、インターフェロンを保持させた。このインターフェロンが保持された糊状の基剤に、直径約3mmのガラス棒の先端を押し当てた後、徐々に引き離して針状又は糸状とした。そ のまま低温で乾燥することにより硬化させ、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0107】体重約30gのマウスをペントバルビタール麻酔下で、腹部の除毛を施した後、手術台に固定した。この時点でまず頸静脈より 硬化させ、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0107】体重約30gのマウスをペントバルビタール麻酔下で、腹部の除毛を施した後、手術台に固定した。この時点でまず頸静脈より約0.25mL採血した。次に、本 実施例で調製した経皮吸収製剤を、除毛したマウスの腹部に挿入し、インターフェロンを皮膚から投与した。投与量は10、000IU/kgとした。投与後4時間にわたり頸静脈より採血を行い、循環血液を採取した。得られた各血液から血清サンプルを調製し、各血清サンプル中のインターフェロン濃度を、ELISAにて測定した。全てのデータは1群当たり3~4匹のマウスの平均値±標準偏差(SD) として算出した。結果を第1表に示す。NDは検出限界以下を表す(以下の表においても同じ)。その結果、投与1時間目からインターフェロン濃度が上昇し始め、投与3時間目に最高濃度(22.9±7.9IU/mL)を示した。以上より、本実施例の経皮吸収製剤によってインターフェロンを皮膚から投与できることが示された。 【表1】 【実施例2】【0108】本実施例では、ウシ血清α-酸性糖タンパク質(AAG)からなる基剤にインターフェロン(目的物質)が保持された、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤 を作製した。 【0109】50mgのウシAAG(シグマ社)に約50μLの精製水を加えてよく溶解及び混和し、水分を蒸発させ、ウシAAGからなる糊状の基剤を調製した。この基剤に10μLのインターフェロンアルファ注射液(登録商標スミフェロン、600万単 位/mL、住友製薬社)(6万IUに相当)を加え、よく混和し、インターフェロンを保持させた。実施例1と同様にして、ガラス棒を用いて、針状又は糸状の形状を 液(登録商標スミフェロン、600万単 位/mL、住友製薬社)(6万IUに相当)を加え、よく混和し、インターフェロンを保持させた。実施例1と同様にして、ガラス棒を用いて、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【実施例3】【0110】 本実施例では、ヒト血清アルブミンからなる基剤にFITCラベル化アルブミン(目的物質)が保持された、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。FITCラベル化アルブミンはモデルワクチンとして用いた。 【0111】ヒト血清アルブミンをフルオレセインイソチオシアネート(FITC)で蛍光ラ ベルし、FITCラベル化アルブミンを調製した。一方、130mgのヒト血清アルブミン(シグマ社)に約0.2mLの精製水を加えてよく溶解及び混和し、ヒト血清アルブミンからなる糊状の基剤を調製した。この基剤に20mgのFITCラ ベル化アルブミンを加え、よく混和し、FITCラベル化アルブミンを保持させた。このFITCラベル化アルブミンが保持された糊状の基剤に、直径約2mmのポリプロピレン製棒の先端を押し当てた後、徐々に引き離して針状又は糸状とした。そのまま低温で乾燥することにより硬化させ、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0112】体重約30gのマウスをエーテル麻酔下で、腹部の除毛を施した後、手術台に固定した。この時点でまず頸静脈より約0.25mL採血した。次に、本実施例で作製した経皮吸収製剤5本を、除毛したマウスの腹部に挿入し、FITCラベル化アルブミンを皮膚から投与した。翌日、全血を採取した。得られた各血液から血清サ ンプルを調製した。各血清サンプルを精製水で20倍希釈し、蛍光分光光度計にて励起波長490nm、蛍光波長510 化アルブミンを皮膚から投与した。翌日、全血を採取した。得られた各血液から血清サ ンプルを調製した。各血清サンプルを精製水で20倍希釈し、蛍光分光光度計にて励起波長490nm、蛍光波長510nmの条件で蛍光強度を測定した。その結果、投与後の血清サンプルは、投与前の血清サンプルに比べて20倍の蛍光強度を示した。以上より、本実施例の経皮吸収製剤によって、モデルワクチンとしてのFITCラベル化アルブミンを皮膚から投与できることが示された。 【実施例4】【0113】本実施例では、コンドロイチン硫酸Cナトリウムからなる基剤にインスリン(目的物質)が保持された、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0114】 200mgのコンドロイチン硫酸Cナトリウム(ナカライテスク社)に約0.1mLの精製水を加え、加温しながらよく溶解及び混和し、コンドロイチン硫酸Cナトリウムからなる糊状の基剤を調製した。この基剤を室温に戻した後、10μLのインスリンナトリウム水溶液(100mg/mL、自家調製品)を加え、よく混和し、インスリンを保持させた。このインスリンが保持された糊状の基剤に、直径約 3mmのポリプロピレン製棒の先端を押し当てた後、徐々に引き離して針状又は糸 状とした。さらに、直径20μmのワイヤーにて表面に割線を入れた。そのまま低温で乾燥することにより硬化させ、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0115】マウスにおける血糖降下作用を指標として、本実施例で作製した経皮吸収製剤を 評価した。体重約30gのマウスをペントバルビタール麻酔下で、腹部の除毛を施した後、手術台に固定した。この時点でまず頸静脈より約0.25mL採血した。 次に、本実施例で作製した経皮吸収製剤 剤を 評価した。体重約30gのマウスをペントバルビタール麻酔下で、腹部の除毛を施した後、手術台に固定した。この時点でまず頸静脈より約0.25mL採血した。 次に、本実施例で作製した経皮吸収製剤5本(1.0IU/kgに相当)を、除毛したマウスの腹部に挿入し、インスリンを皮膚から投与した。投与後3時間にわたり頸静脈より採血を行い、循環血液を採取した。得られた各血液から血清サンプル を調製し、各血清サンプル中のグルコース濃度(血糖値)を、グルコースアッセイキット(グルコースC-IIテストワコー、和光純薬社)を用いて測定した。各血糖値は、投与前における血糖値を100%としたときの相対値で表した。全てのデータは1群当たり3~4匹のマウスの平均値±SDとして算出した。結果を第2表に示す。その結果、わずか投与1時間目で血糖値が最低値を示しており、インスリ ンの効果が認められた。以上より、本実施例の経皮吸収製剤によってインスリンを皮膚から投与できることが示された。 【表2】 【実施例5】 【0116】 本実施例では、デキストリンからなる基剤にインスリン(目的物質)が保持された、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0117】2gのデキストリン(和光純薬社)に約1mLの精製水を加え、乳鉢内にて乳棒によりよく溶解及び混和し、デキストリンからなる糊状の基剤を調製した。この基 剤100mgに10μLのインスリンナトリウム水溶液(100mg/mL、自家調製品)を加え、よく混和し、インスリンを保持させた。このインスリンが保持された糊状の基剤に、直径約3mmのガラス棒の先端を押し当てた後、徐々に引き離して針状又は糸状とした。さらに、直径20μmのワイヤーにて表面に割線を入れた。その ンを保持させた。このインスリンが保持された糊状の基剤に、直径約3mmのガラス棒の先端を押し当てた後、徐々に引き離して針状又は糸状とした。さらに、直径20μmのワイヤーにて表面に割線を入れた。そのまま低温で乾燥することにより硬化させ、針状又は糸状の形状を有する経 皮吸収製剤を作製した。 【0118】実施例4と同様にして、マウスを使った動物実験を行った。結果を第3表に示す。その結果、わずか投与1時間目で血糖値が最低値を示しており、インスリンの効果が認められた。以上より、本実施例の経皮吸収製剤によってインスリンを皮膚 から投与できることが示された。 【表3】 【実施例6】【0119】 本実施例では、ヒドロキシプロピルセルロースからなる基剤にエリスロポエチン(目的物質)が保持された、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0120】2gのヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC、日本曹達社)に約1mLの 精製水を加え、乳鉢内にて乳棒によりよく溶解及び混和し、ヒドロキシプロピルセルロースからなる糊状の基剤を調製した。この基剤100mgに10μLのエリスロポエチンEPO注射液(商品名エスポー、24、000IU/mL、キリンビール社)を加え、よく混和し、エリスロポエチンを保持させた。このエリスロポエチンが保持された糊状の基剤に、直径約3mmのガラス棒の先端を押し当てた後、 徐々に引き離して針状又は糸状とした。そのまま低温で乾燥することにより硬化させ、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0121】体重約30gのマウスをペントバルビタール麻酔下で、腹部の除毛を施した後、手術台に固定した。本実施例で作製した経皮吸収製剤を、除毛したマウスの 形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0121】体重約30gのマウスをペントバルビタール麻酔下で、腹部の除毛を施した後、手術台に固定した。本実施例で作製した経皮吸収製剤を、除毛したマウスの腹部に 挿入し、エリスロポエチンを皮膚から投与した。投与量は100IU/kgとした。投与前および投与後5時間にわたり頸静脈より採血を行い、循環血液を採取した。得られた各血液から血清サンプルを調製し、各血清サンプル中のエリスロポエチン濃度をELISAにて測定した。結果を第4表に示す。すなわち、投与1時間目からエリスロポエチン濃度が上昇し始め、投与5時間目まで上昇し続けていた。 以上より、本実施例の経皮吸収製剤によってエリスロポエチンを皮膚から投与できることが示された。 【表4】 【実施例7】【0122】本実施例では、ヒト血清アルブミン及びヒドロキシプロピルセルロースからなる基剤にインスリン(目的物質)が保持された、針状又は糸状の形状を有する経皮吸 収製剤を作製した。 【0123】150mgのヒト血清アルブミンと25mgのヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC、日本曹達社)に約0.2mLの精製水を加えよく溶解及び混和し、ヒト血清アルブミン及びヒドロキシプロピルセルロースからなる糊状の基剤を調製 した。この基剤100mgに10μLのインスリンナトリウム水溶液(100mg/mL、自家調製品)を加え、よく混和し、インスリンを保持させた。このインスリンが保持された糊状の基剤に、直径約2mmのポリプロピレン製棒の先端を押し当てた後、徐々に引き離して針状又は糸状とした。さらに、直径20μmのワイヤーを基剤と棒との境界近くに押し当てて回転させ、切断用のくびれを入れた。その まま低温で乾 プロピレン製棒の先端を押し当てた後、徐々に引き離して針状又は糸状とした。さらに、直径20μmのワイヤーを基剤と棒との境界近くに押し当てて回転させ、切断用のくびれを入れた。その まま低温で乾燥することにより硬化させ、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【実施例8】【0124】本実施例では、デキストリンからなる基剤にインスリン(目的物質)が保持さ れ、さらにポリエチレングリコールからなる防湿用の層が設けられた、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0125】 2gのデキストリン(和光純薬社)に約1mLの精製水を加え、乳鉢内にて乳棒によりよく溶解及び混和し、デキストリンからなる糊状の基剤を調製した。この基剤100mgに10μLのインスリンナトリウム水溶液(100mg/mL、自家調製品)を加え、よく混和し、インスリンを保持させた。このインスリンが保持された糊状の基剤に、直径約3mmのガラス棒の先端を押し当てた後、徐々に引き離 して針状又は糸状とした。さらに、直径20μmのワイヤーを基剤と棒との境界近くに押し当てて回転させ、切断用のくびれを入れた。そのまま低温で乾燥することにより硬化させ、針状又は糸状の形状を有する固形物を得た。一方、5%ポリエチレングリコール20000(PEG20000、ナカライテスク社)の塩化メチレン溶液を調製した。この溶液に、得られた針状又は棒状の固形物をくびれ部分まで 浸漬した後に風乾し、固形物の表面をPEG20000でコーティングした。このようにして、表面に防湿用の層が設けられた針状又は棒状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【実施例9】【0126】 本実施例では、ゼラチン及びデキストリンからなる基剤にインスリン(目 にして、表面に防湿用の層が設けられた針状又は棒状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【実施例9】【0126】 本実施例では、ゼラチン及びデキストリンからなる基剤にインスリン(目的物質)が保持され、さらにポリエチレングリコールからなる防湿用の層が設けられた、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0127】3gのゼラチン(和光純薬社)及び0.8gのデキストリン(和光純薬社)に約 3mLの精製水を加え、約50℃に加温しながら乳鉢内にて乳棒によりよく溶解及び混和し、ゼラチン及びデキストリンからなる糊状の基剤を調製した。この基剤100mgに10μLのインスリンナトリウム水溶液(100mg/mL、自家調製品)を加え、よく混和し、インスリンを保持させた。その後、実施例8と同様にして、くびれを有する針状又は糸状の固形物を得た。さらに、実施例8と同様にして 固形物の表面をPEG20000でコーティングした。このようにして、表面に防湿用の層が設けられた針状又は棒状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【実施例10】【0128】本実施例では、ゼラチン及びデキストリンからなる基剤にインスリン(目的物 質)が保持され、さらに大豆トリプシンインヒビター(安定化剤)を含有する針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0129】3gのゼラチン(和光純薬社)、0.8gのデキストリン(和光純薬社)、及び1mgの大豆トリプシンインヒビター(シグマ社)に約3mLの精製水を加え、約4 0℃に加温しながら乳鉢内にて乳棒によりよく溶解及び混和し、大豆トリプシンインヒビターを含有するゼラチン及びデキストリンからなる糊状の基剤を調製した。 この基剤100mgに10μLのインスリン 0℃に加温しながら乳鉢内にて乳棒によりよく溶解及び混和し、大豆トリプシンインヒビターを含有するゼラチン及びデキストリンからなる糊状の基剤を調製した。 この基剤100mgに10μLのインスリンナトリウム水溶液(100mg/mL)を加え、よく混和し、インスリンを保持させた。一方、ハンマーにてパーフルオロアルコキシPFA樹脂板に木綿針を打ちつけ、針状又は糸状の鋳型を形成し た。この鋳型に、インスリンを保持させた基剤を約40℃に加温しながら流し込んだ。そのまま室温に放置して冷却し、インスリンを保持させた基剤を硬化させた。 鋳型から硬化した固形物を取り出し、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を得た。 【実施例11】 【0130】本実施例では、コンドロイチン硫酸Cナトリウムからなる基剤に低分子へパリン(目的物質)が保持され、さらにPEG20000(曳糸性抑制剤)及びカプリル酸(吸収促進剤)を含有する針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0131】 100mgのコンドロイチン硫酸Cナトリウム(ナカライテスク社)に50μLの5%PEG20000水溶液(ナカライテスク社)を加えてよく溶解及び混和し、PEG20000を含有するコンドロイチン硫酸Cナトリウムからなる糊状の基剤を調製した。この基剤に5mgの低分子ヘパリン(Parnaparin)及び5mgのカプリル酸(和光純薬社)を加え、よく混練し、低分子ヘパリンとカプ リル酸を保持させた。この低分子ヘパリンとカプリル酸が保持された糊状の基剤に、直径約2mmのガラス棒の先端を押し当てた後、徐々に引き離して針状又は糸状とした。さらに、直径20μmのワイヤーにて表面に割線を入れた。そのまま低温で乾燥することにより硬化させ、針状又は糸状の に、直径約2mmのガラス棒の先端を押し当てた後、徐々に引き離して針状又は糸状とした。さらに、直径20μmのワイヤーにて表面に割線を入れた。そのまま低温で乾燥することにより硬化させ、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。マウスを使った動物実験による評価は、後述の実施例12で同時に行っ た。 【実施例12】【0132】本実施例では、実施例11と同様の経皮吸収製剤であって、割線のない経皮吸収製剤を作製した。 【0133】実施例11と同様にして、PEG20000を含有するコンドロイチン硫酸Cナトリウムからなる糊状の基剤を調製し、さらに低分子ヘパリンとカプリル酸を保持させた。この低分子ヘパリンとカプリル酸が保持された糊状の基剤に、直径約3mmのガラス棒の先端を押し当てた後、徐々に引き離して針状又は糸状とした。その まま低温で乾燥することにより硬化させ、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0134】実施例11及び実施例12の比較例として、カプリル酸を含有しない以外は実施例11と同様の針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0135】 体重約30gのマウスをペントバルビタール麻酔下で、腹部の除毛を施した後、手術台に固定した。実施例11、実施例12、及び比較例で作製した各経皮吸収製剤を、除毛したマウスの腹部に挿入し、低分子ヘパリンを皮膚から投与した。投与量は100IU/kgとした。投与前および投与後4時間にわたり頸静脈より採血を行い、循環血液を採取した。得られた各血液から血清サンプルを調製し、各血清 サンプル中のヘパリン活性(抗Xa活性)をヒーモスアイエル・ヘパリン・アッセイキット(米国インスツルメンテーションラボラトリーズ社、輸入 採取した。得られた各血液から血清サンプルを調製し、各血清 サンプル中のヘパリン活性(抗Xa活性)をヒーモスアイエル・ヘパリン・アッセイキット(米国インスツルメンテーションラボラトリーズ社、輸入販売元(株)三菱化学ヤトロン)を用いて測定した。結果を第5表に示す。実施例11及び実施例12の経皮吸収製剤では、投与1時間目あるいは2時間目から抗Xa活性が上昇し始め、投与3時間目に最高活性を示した。一方、比較例の経皮吸収製剤では、投与 後4時間目でも抗Xa活性が検出されなかった。以上より、低分子ヘパリンが目的物質の場合は、カプリル酸のような吸収促進剤が必要であることがわかった。 【表5】 【実施例13】 【0136】本実施例では、グリコーゲンからなる基剤にインターフェロン(目的物質)が保持された、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0137】1gのグリコーゲン(ナカライテスク社)に約1mLの精製水を加え、加温しな がらよく溶解及び混和し、グリコーゲンからなる糊状の基剤を調製した。この基剤 に10μLのインターフェロンアルファ注射液(登録商標スミフェロン、600万単位/mL、住友製薬社)(6万IUに相当)を加え、よく混和し、インターフェロンを保持させた。このインターフェロンが保持された糊状の基剤に、直径約3mmのガラス棒の先端を押し当てた後、徐々に引き離して針状又は糸状とした。そのまま低温で乾燥することにより硬化させ、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製 剤を作製した。 【実施例14】【0138】本実施例では、カルボキシビニルポリマーからなる基剤にインスリン(目的物質)が保持され、さらにPEG20000(曳糸性抑制剤)を含有する針状又は糸 状の形 【実施例14】【0138】本実施例では、カルボキシビニルポリマーからなる基剤にインスリン(目的物質)が保持され、さらにPEG20000(曳糸性抑制剤)を含有する針状又は糸 状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0139】3gのカルボキシビニルポリマー(商品名ハイビスワコー103、和光純薬社)に2mLの1%PEG20000水溶液(ナカライテスク社)を加えてよく溶解及び混和し、PEG20000を含有するカルボキシビニルポリマーからなる糊状の 基剤を調製した。この基剤100mgに10μLのインスリンナトリウム水溶液(100mg/mL、自家調製品)を加え、よく混和し、インスリンを保持させた。直径約3mmのポリプロピレン製棒の先端を押し当てた後、徐々に引き離して針状又は糸状とした。実施例8と同様にして切断用のくびれを入れ、そのまま低温で乾燥することにより硬化させ、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を得 た。 【実施例15】【0140】本実施例では、デキストラン及びヒアルロン酸からなる基剤にビタミンC(目的物質)が保持された、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0141】 80mgのデキストラン(分子量17万~20万、ナカライテスク社)、2mgのヒアルロン酸(平均分子量9万、商品コードFCH-SU、紀文フードケミファ社)、及び5mgのビタミンC(L-アスコルビン酸、和光純薬社)に約50μLの精製水を加えて溶解及び混和した。これにより、ビタミンCを保持し、デキストラン及びヒアルロン酸からなる糊状の基剤を調製した。このビタミンCが保持され た糊状の基剤に、直径約3mmのガラス棒の先端を押し当てた後、徐々に引き離して針状又は糸状とした。そのまま低温で ストラン及びヒアルロン酸からなる糊状の基剤を調製した。このビタミンCが保持され た糊状の基剤に、直径約3mmのガラス棒の先端を押し当てた後、徐々に引き離して針状又は糸状とした。そのまま低温で乾燥することにより硬化させ、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【実施例16】【0142】 本実施例では、プルラン及びヒアルロン酸からなる基剤にビタミンC(目的物質)が保持された、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0143】50mgのプルラン(商品コードPI-20、林原社)、1mgのヒアルロン酸(平均分子量9万、商品コードFCH-SU、紀文フードケミファ社)、及び2m gのビタミンC(L-アスコルビン酸、和光純薬社)に約50μLの精製水を加えて溶解及び混和した。これにより、ビタミンCを保持し、プルラン及びヒアルロン酸からなる糊状の基剤を調製した。このビタミンCが保持された糊状の基剤に、直径約3mmのガラス棒の先端を押し当てた後、徐々に引き離して針状又は糸状とした。そのまま低温で乾燥することにより硬化させ、針状又は糸状の形状を有する経 皮吸収製剤を作製した。 【実施例17】【0144】本実施例では、ヒト血清アルブミンからなる基剤に低分子ヘパリン(目的物質)が保持された、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0145】 150mgのヒト血清アルブミンに約0.2mLの精製水を加えてよく溶解及び混和し、血清アルブミンからなる糊状の基剤を調製した。この基剤に5mgの低分子ヘパリン(Parnaparin)を加えてよく混練し、低分子ヘパリンを保持させた。この低分子ヘパリンが保持された糊状の基剤に、直径約2mmのガラス棒の先端を押し当てた した。この基剤に5mgの低分子ヘパリン(Parnaparin)を加えてよく混練し、低分子ヘパリンを保持させた。この低分子ヘパリンが保持された糊状の基剤に、直径約2mmのガラス棒の先端を押し当てた後、徐々に引き離して針状又は糸状とした。そのまま風乾させ ることにより硬化させ、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0146】体重約30gのマウスをペントバルビタール麻酔下で、腹部の除毛を施した後、手術台に固定した。本実施例で作製した経皮吸収製剤を、除毛したマウスの腹部に挿入し、低分子へパリンを皮膚から投与した。投与量は100IU/kgとした。 投与前および投与後6時間にわたり頸静脈より採血を行い、循環血液を採取した。 得られた各血液から血清サンプルを調製し、各血清サンプル中のへパリン活性(抗Xa活性)を、ヒーモスアイエル・ヘパリン・アッセイキット(米国インスツルメンテーションラボラトリーズ社、輸入販売元(株)三菱化学ヤトロン)を用いて測定した。結果を第6表に示す。すなわち、投与前と投与後1時間目においては、血 清中の抗Xa活性は検出限界(0.1U/mL)以下であり、その後、4時間目まで徐々に抗Xa活性が上昇していた。以上より、本実施例の経皮吸収製剤によって低分子ヘパリンを皮膚から投与できることが示された。 【表6】 【実施例18】【0147】 本実施例では、ヒト血清アルブミンからなる基剤に低分子ヘパリン(目的物質)が保持され、低分子ヘパリンが徐放される、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0148】実施例17と同様の手順で、針状又は糸状の形状を有する固形物を得た。一方、 10mLのエタノールに2mLの25%グルタルアルデヒド水溶液(ナ を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0148】実施例17と同様の手順で、針状又は糸状の形状を有する固形物を得た。一方、 10mLのエタノールに2mLの25%グルタルアルデヒド水溶液(ナカライテスク社)を加えてよく混和した。この混和液に、得られた針状又は棒状の固形物を5分間浸漬し、固形物の表面に架橋処理を施した。処理後の固形物をエタノールと蒸留水にそれぞれ30秒ずつ浸漬し、表面を洗浄した。洗浄後、該固形物を風乾させることにより、針状又は棒状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0149】本実施例で作製した経皮吸収製剤について、37℃で5時間の条件で溶出試験を行なった。溶出液としてラット皮膚組織のホモジネートを等張リン酸バッファー(pH7.4)にて10倍に希釈した液10mLを用いた。溶出液の抗Xa活性を上記のヒーモスアイエル・ヘパリン・アッセイキットを用いて測定した。比較例と して実施例17で作製した経皮吸収製剤を用いて同様の試験を行なった。結果を第7表に示す。すなわち、本実施例で作製した経皮吸収製剤では、試験開始から試験開始後10分経過時までは抗Xa活性が検出されず、試験開始後30分経過時にようやく抗Xa活性が検出された。また、抗Xa活性は試験開始後3時間経過時においても高い値を示していた。一方、実施例17で作製した経皮吸収製剤において は、試験開始後2分経過時から抗Xa活性が検出された。以上より、本実施例の経皮吸収製剤においては、低分子ヘパリンが徐々に溶出されていることが示された。 【表7】 【実施例19】【0150】本実施例では、ヒト血清アルブミンからなる基剤にインスリン(目的物質)が保持され、インスリンが徐放される、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤 【実施例19】【0150】本実施例では、ヒト血清アルブミンからなる基剤にインスリン(目的物質)が保持され、インスリンが徐放される、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作 製した。 【0151】150mgのヒト血清アルブミンに約0.2mLの精製水を加えてよく溶解及び混和し、ヒト血清アルブミンからなる糊状の基剤を調製した。この基剤100mgに10μLのインスリンナトリウム水溶液(100mg/mL、自家調製品)を加 え、よく混和し、インスリンを保持させた。このインスリンが保持された糊状の基剤に、直径約2mmのポリプロピレン製棒の先端を押し当てた後、徐々に引き離して針状又は糸状とした。その後、実施例18と同様にしてグルタルアルデヒド処理を施すことにより、針状又は糸状の経皮吸収製剤を作製した。 【実施例20】 【0152】本実施例では、多孔性無水ケイ酸又は多孔性ケイ酸カルシウム(多孔性物質)にインスリンが保持され、インスリンが徐放される、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0153】 多孔性物質として、4種の多孔性無水ケイ酸(商品名Sylysia350、Sylysia440、Sylysia550、及びSylysia730、富士シ リシア化学社)と1種の多孔性ケイ酸カルシウム(商品名Fluorite、エーザイ社)を検討した。以下、Sylysia350を用いた実施例を実施例20-1、Sylysia440を用いた実施例を実施例20-2、Sylysia550を用いた実施例を実施例20-3、Sylysia730を用いた実施例を実施例20-4、Fluoriteを用いた実施例を実施例20-5とする。一方、ウ シ膵臓インスリン(和光純薬社)を精製水に 0を用いた実施例を実施例20-3、Sylysia730を用いた実施例を実施例20-4、Fluoriteを用いた実施例を実施例20-5とする。一方、ウ シ膵臓インスリン(和光純薬社)を精製水に溶解し、濃度9.6mg/mLのインスリン溶液を調製した。15.9mgの多孔性物質に0.1mLのインスリン溶液を加え、よく混和した後、乾燥させて、インスリン吸着粉末を調製した。一方、317.5mgのコンドロイチン硫酸Cナトリウム(ナカライテスク社)に約0.15mLの精製水を加えてよく溶解及び混和し、コンドロイチン硫酸Cナトリウムか らなる糊状の基剤を調製した。この基剤に16.86mgのインスリン吸着粉末を加えてよく混和した。このインスリンを保持した多孔性物質を含有する基剤に、直径約3mmのガラス棒の先端を押し当てた後、徐々に引き離して針状又は糸状とした。そのまま低温で乾燥することにより硬化させ、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を5種作製した。マウスを使った動物実験による評価は、後述の実施例 21で同時に行った。 【実施例21】【0154】本実施例では、中間型インスリン(長時間作用型の物質)が保持され、さらにL-グルタミン酸L-リジン(曳糸性抑制剤)を含有し、インスリンが徐放される、 針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0155】312.8mgのコンドロイチン硫酸Cナトリウム(ナカライテスク社)及び153.8mgのL-グルタミン酸L-リジン(味の素社)に約0.45mLの精製水を加えてよく溶解及び混和し、コンドロイチン硫酸Cナトリウムからなる糊状の 基剤を調製した。この基剤に0.167IUの中間型インスリン(ペンフィルN、 ノボ社)を加えてよく混和した。この中間型インスリン 和し、コンドロイチン硫酸Cナトリウムからなる糊状の 基剤を調製した。この基剤に0.167IUの中間型インスリン(ペンフィルN、 ノボ社)を加えてよく混和した。この中間型インスリンを保持した基剤に、直径約3mmのガラス棒の先端を押し当てた後、徐々に引き離して針状又は糸状とした。 そのまま低温で乾燥することにより硬化させ、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0156】 マウスにおける血糖降下作用を指標として、実施例20及び実施例21で作製した経皮吸収製剤を評価した。すなわち、体重約30gのマウスをペントバルビタール麻酔下で、腹部の除毛を施した後、手術台に固定した。実施例20又は実施例21で作製した各経皮吸収製剤を、除毛したマウスの腹部に挿入し、インスリンを皮膚から投与した。投与量は2.5IU/kgとした。投与前および投与後24時間 にわたり頸静脈より採血を行い、循環血液を採取した。得られた各血液から血清サンプルを調製し、各血清サンプル中のグルコース濃度(血糖値)をグルコースアッセイキット(グルコースC-IIテストワコー、和光純薬)を用いて測定した。各血糖値は、投与前における血糖値を100%としたときの相対値で表した。全てのデータは1群当たり3~4匹のマウスの平均値±SDとして算出した。結果を図1 6に示す。図16は、実施例20と実施例21の経皮吸収製剤を皮膚に挿入した場合における血糖値の経時変化を表すグラフであり、図16(a)は実施例20-1、20-2、又は20-3の経皮吸収製剤を皮膚に挿入した場合における血糖値の経時変化を表すグラフであり、図16(b)は実施例20-4、20-5、又は21の経皮吸収製剤を皮膚に挿入した場合における血糖値の経時変化を表すグラフ である。図16( した場合における血糖値の経時変化を表すグラフであり、図16(b)は実施例20-4、20-5、又は21の経皮吸収製剤を皮膚に挿入した場合における血糖値の経時変化を表すグラフ である。図16(a)(b)のグラフの縦軸は血糖値、横軸は時間である。コントロールは、基剤のみからなる経皮吸収製剤を用いた場合である。その結果、実施例20で作製した5種の経皮吸収製剤では、投与後12時間に渡って血糖値が低下していた。また、実施例21で作製した経皮吸収製剤では、投与後9時間に渡って血糖値が低下していた。以上より、実施例20又は21の経皮吸収製剤によってイン スリンを皮膚から徐放的に投与できることが示された。 【実施例22】【0157】本実施例では、ヒアルロン酸及びデキストランからなる基剤にインスリン(目的物質)が保持された、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0158】 厚さ約2.0mmのアクリル板に直径約1mmの穴を30個開けた。これらの穴に木綿針を貫通させ、針先がアクリル板の表面から200μm程度出る状態とした。さらに、接着剤を針の挿入側から注入し、針をアクリル板に固定した。一方、シャーレにシリコン樹脂を入れた。このシャーレ内のシリコン樹脂の上面に上記の針付きアクリル板を乗せ、そのまま一晩放置した。シリコン樹脂が硬化したことを 確認した後、針付きアクリル板を取り除き、シリコン樹脂製の鋳型を作製した。 【0159】2.4mgのヒアルロン酸(平均分子量9万、商品コードFCH-SU、紀文フードケミファ社)及び2.4mgのデキストラン(分子量5万~7万、ナカライテスク社)に2.5μLの精製水を加えてよく溶解及び混和し、ヒアルロン酸及びデ キストランからなる糊状の基剤を調製した。 ードケミファ社)及び2.4mgのデキストラン(分子量5万~7万、ナカライテスク社)に2.5μLの精製水を加えてよく溶解及び混和し、ヒアルロン酸及びデ キストランからなる糊状の基剤を調製した。この基剤に0.2mgのインスリンナトリウム(自家調製品)を加え、よく混和し、インスリンを保持させた。このインスリンが保持された糊状の基剤を、上記のシリコン製の鋳型に押し付けて充填した。基剤をそのまま低温で乾燥することにより硬化させた。硬化させた基剤を鋳型から剥がすことにより、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【実施例23】【0160】本実施例では、キトサンからなる基剤にビタミンC(目的物質)が保持された、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0161】 0.3gのキトサン(ダイキトサンVL、大日精化社)に100μLの酢酸及び約1mLの精製水を加え、ホットスターラー上にて攪拌して溶解させた。さらに、1NNaOHを加えていき、pHを約6.5に調整した。この溶液を温風下で攪拌して水分を蒸発させ、キトサンからなる糊状の基剤を調製した。この基剤に5mgのビタミンC(L-アスコルビン酸、和光純薬社)を加え、よく混和し、ビタミン Cを保持させた。このビタミンCが保持された糊状の基剤を、実施例22と同様にして鋳型に押し付けて充填した。基剤をそのまま低温で乾燥して硬化させた。硬化させた基剤を鋳型から剥がすことにより、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【実施例24】 【0162】本実施例では、コンドロイチン硫酸Cナトリウムからなる基剤にインスリン(目的物質)が保持され、インスリンが徐放される、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【 【0162】本実施例では、コンドロイチン硫酸Cナトリウムからなる基剤にインスリン(目的物質)が保持され、インスリンが徐放される、針状又は糸状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【0163】 4.8mgのコンドロイチン硫酸Cナトリウム(ナカライテスク社)に2.5μLの精製水を加えてよく溶解及び混和し、コンドロイチン硫酸Cナトリウムからなる糊状の基剤を調製した。この基剤に0.2mgのインスリンナトリウム(自家調製品)を加え、よく混和し、インスリンを保持させた。このコンドロイチン硫酸Cナトリウムが保持された糊状の基剤に、ポリプロピレン製の棒の先端を押し当てた 後、徐々に引き離して針状又は糸状とした。この針状又は糸状の基剤を飽和塩化カルシウム水溶液中に浸漬し、4℃にて1時間放置して硬化させた。これにより、表面に水不溶性の層が形成された。該固形物を風乾させることにより、針状又は棒状の形状を有する経皮吸収製剤を作製した。 【図1】 【図2】 【図3】 【図7】 【図8】 【図9】 【図10】 (別紙2)【特許請求の範囲】【請求項1】システムであって、以下:溶媒の供給源、および該溶媒との接 【図10】 (別紙2)【特許請求の範囲】【請求項1】システムであって、以下:溶媒の供給源、および該溶媒との接触の際に急速に溶解する複数の微小穿孔器を 有するアレイ、を備える、システム。 【0001】(発明の分野)本発明は、薬物の経皮送達に関する。 【背景技術】【0002】(発明の背景)有効な任意の薬物は、体内に、治療有効な速度および量で、1つ以上の生物学的バリアを横切って輸送されなければならない。多くの例において、薬物は、十分効果的 に経口投与され得るが、多くの他の例において、その経口経路は、胃腸管内の重大な分解、腸膜内の乏しい吸収、および/または肝臓による最初の通過の分解のために、効果的ではない。これらの障害は、タンパク質成分、ペプチド成分およびDNA成分を含む多くのさらに新しい薬物に対して、特に問題である。例えば、組換えヒトインスリン、成長ホルモン、エリスロポエチン、インターフェロンおよび他のタンパク質 は全て、現在において、経口以外の幾つかの様式で投与されなければならない。 【0003】代替の方法として、経皮的に、すなわち皮膚を通過または横切って、薬物を経皮的に送達させることが挙げられる。代表的には、これは、標準的なシリンジまたはカテーテルを用いる非経口注射(perentalinjection)を使用して 達成される。不運にも、針注射は、多くの患者において、針の恐怖感、実質的な痛み、 および皮膚に対する局所的損傷を引き起こし得る。針注射はまた、薬物の連続送達または連続診断の場合に問題である。 【0004】これらの問題の1つの解決策は、経皮的に薬物を投与すること および皮膚に対する局所的損傷を引き起こし得る。針注射はまた、薬物の連続送達または連続診断の場合に問題である。 【0004】これらの問題の1つの解決策は、経皮的に薬物を投与することであり、これは、通常薬物の皮膚を横切る拡散を含む。一旦、薬物が真皮の深さ(表皮層の下)に到達す ると、薬物は、血液循環を介して、深い組織層およびその系の他の部分まで急速に拡散する。しかし、皮膚の最外層である角質層は、経皮薬物浸透に対して主要なバリアを示すため、多くの薬物の貧弱な皮膚透過性は、経皮送達の幅広い適用可能性を妨げる。 【0008】 可溶性の移植片は、徐々に溶解する処方物においてのみ、公知である。その例は、Buch-Rasmussenらの米国特許第6485453号(2002年11月)、Yamahisaらの米国特許第5021241号(1991年6月)、およびSocietedeConseilsdeRechercheetd'ApplicationsScientifiques、S.A.のWIPO WO/9608289(1996年3月公開)である。結果として、可溶性の移植片の使用は、長時間にわたって低用量を投与することが望ましいホルモンや他の物質に主に制限されてきた。 【0009】結果として、ミクロ針のアレイまたは他のミクロ移植片を製造する動機がない。 生成物が徐々に溶解される間、投与は、低用量を送達するための単一ミクロ針、またはより多くの用量の送達するための単一のより大きな針もしくはペレットを使用して、うまく制御される・・・。 【0010】急速に溶解するミクロ移植片は、最小限の痛みと不快感のみで中間用量の投与を 可能にするために、望ましいものである。しかしながら、その概念は、これ て、うまく制御される・・・。 【0010】急速に溶解するミクロ移植片は、最小限の痛みと不快感のみで中間用量の投与を 可能にするために、望ましいものである。しかしながら、その概念は、これまで、角 質層及び表皮内に血管がなく、そのためにミクロ移植片の制御された溶解が妨げられることから、達成するのが困難であった。従って、特にミクロ針のアレイまたは皮膚の他の微小穿孔器を含む、急速に溶解する経皮薬物送達ビヒクルを開発する必要がある。 【0011】 急速に溶解する微小穿孔器(「RDMP」)を使用して薬物を経皮的に送達する装置および方法が記載される。本明細書において使用される場合、用語「微小穿孔器」は、一般的に、断面の形状に関わらず、針、刃、カッティング器、穿孔器、または1mm未満の平均直径を測定する任意の他のデバイスをいう。 【0012】 微小穿孔器は、好ましくは、必要に応じて1つ以上の選択された薬物を保持する固体マトリクスの可溶性(溶融性および生分解性を含む)の材料を含む。マトリクス材料内の薬物は、間質的にまたは任意の他の適切な様式で分布され得る。微小穿孔器は、同じかまたは異なる薬物のレザバに流体結合され得、この薬物は、ミクロ針自体によって皮膚内に運搬され得るか、またはミクロ針による皮膚の穿孔によって作 製されたチャネルによって、運搬され得る。・・・【0014】微小穿孔器は、本明細書中において、薬物の適用ならびに物理/化学的特性に依存して、単一の薬物または薬物の混合物のいずれかを含むことが企図される。好ましい実施形態において、微小穿孔器は、急速に溶解し、これは、本明細書中において、 微小穿孔器の少なくとも50%が投与1時間以内に皮膚内または皮膚上で溶解することを意味すると定義さ される。好ましい実施形態において、微小穿孔器は、急速に溶解し、これは、本明細書中において、 微小穿孔器の少なくとも50%が投与1時間以内に皮膚内または皮膚上で溶解することを意味すると定義される。 【0016】(発明の最良の形態の説明)図1は、角質層13、表皮層または表皮15および真皮層または真皮17を含む、 皮膚11の上層の断面図である。皮膚の最外層である角質層13は、通常10ミク ロン(μm)厚と20ミクロン(μm)厚との間の、死んだ細胞層である。この角質層13は、脂質の疎水性細胞外マトリクス、主にセラミドによって囲まれた親水性ケラチノサイトを含む。構造的特徴および組成的特徴のために、角質層13は、体内への薬物または他の分子の経皮流れならびに体外への体液および他の分析物の経皮流れ、に対する最大のバリアを提供する。角質層13は、2~3週の平均回転時間 で、角質細胞の脱離によって連続的に再生される。 【0017】角質層13の下に、50μm厚と100μm厚との間の生きた表皮または表皮層15が存在する。表皮は、血管を含まず、表皮15の直下に位置する真皮17への及び真皮17からの拡散によって自由に代謝物を交換する。真皮は、1mm厚と3m m厚との間にあり、血管、リンパ管および神経を含む。一旦薬物が真皮層に達すると、薬物は、系循環を通して、潅流する。 【0018】好ましい薬物送達システムは、急速に溶解する微小穿孔器のアレイ(好ましくは、約1cm2の領域中、5、10、25、50、100または200の微小穿孔器)を 含み、少なくとも1つは、1つまたは複数の針または刃の固体マトリクスとして形成されており、各々が、第1の末端において、皮膚の穿孔のために、尖らせてあるか鋭利にされている。各 の微小穿孔器)を 含み、少なくとも1つは、1つまたは複数の針または刃の固体マトリクスとして形成されており、各々が、第1の末端において、皮膚の穿孔のために、尖らせてあるか鋭利にされている。各微小穿孔器は、角質を貫通するのに十分な強度を有し壊れないものであり、この微小穿孔器(および薬物)が薬物レザバ内の体液および/または溶媒と共に患者の体内に貫入されたとき、生分解性であるか、または可溶性である。 この生分解プロセスまたは溶解プロセスは、有利にも、数十秒と数時間との間の所望された時間間隔で起こり得る。 【0021】微小穿孔器は、任意の適切な形状(図2A~2Gに示されるように、例として、真っ直ぐまたは先細のシャフト、角錐、くさび、または刃が挙げられる)を有し得る。 好ましい実施形態において、微小穿孔器の外径は、基部または第2端部において最 も大きく(約1~1000μm)、そして第1端部近くの微小穿孔器の外径は、好ましくは、5~500μm、より好ましくは、第1端部において5~25μmである。 微小穿孔器は、有利には、20μm以下の最小先端直径を有し得る。微小穿孔器の長さは、代表的に、1~2000μmの範囲、より好ましくは、100~1000μmの範囲である。皮膚は、平坦およびでこぼこな表面ではなく、顕微鏡的に異なる深さ を有する。さらに、角質層の厚みおよび皮膚の弾性は、人から人で、そして任意の人の身体の場所から場所で変化する。望ましい貫入深さは、有効な薬物送達および比較的痛みのない無血の貫入のための、単一値よりもむしろある範囲を有する。微小穿孔器の貫入深さは、疼痛および送達効率に影響し得る。経皮適用において、微小穿孔器の「貫入深さ」は、好ましくは、100μm未満であり、その結果、角質層を通 って皮膚内 ろある範囲を有する。微小穿孔器の貫入深さは、疼痛および送達効率に影響し得る。経皮適用において、微小穿孔器の「貫入深さ」は、好ましくは、100μm未満であり、その結果、角質層を通 って皮膚内に挿入される微小穿孔器が、表皮を超えて貫通することはない。これは、神経および血管に接触することを避けるための最適なアプローチである。このような適用において、微小穿孔器の実際の長さは、RDMPシステムが皮膚の過剰な弾性および/または粗さに起因して皮膚内に完全に挿入されないことに関連して、基底層を考慮するためにより長くあり得る。 【0022】医療的必要性に依存して、真皮への微小穿孔器の貫入は、いくつかの適用に必要とされ得る。これらの場合において、微小穿孔器の貫入部分は、いくつかの変数(基底層または支持層の長さ、寸法、機械的特性、ならびに微小穿孔器の挿入のストロークおよび速度)を調節すること、ならびに標的皮膚弾性、皮膚硬さおよび表面粗さを 考慮することによって最適化され得る。 【0024】微小穿孔器の第1の機能は、角質層を貫通すること、薬物送達の迅速な開始および中断を提供すること、ならびに必要に応じて引き続く薬物送達または体液モニタリングのためにチャネルを開き続けることを助けることである。微小穿孔器がかな り迅速に溶解し(これは、状況に依存する)、そして角質層を貫通するように十分強 い限り、任意の生体適合性材料が、微小穿孔器として役立ち得る。 【0025】・・・一旦、鋳型が調製されると、液体溶液(マトリクス材料および選択された薬剤を含む)は、鋳型で鋳造され、そして乾燥される。液体溶液の粘度ならびに他の物理的および化学的特性に依存して、さらなる力(例えば、遠心分離力または圧縮力) が、鋳型を満たす 料および選択された薬剤を含む)は、鋳型で鋳造され、そして乾燥される。液体溶液の粘度ならびに他の物理的および化学的特性に依存して、さらなる力(例えば、遠心分離力または圧縮力) が、鋳型を満たすために必要とされ得る。 固体溶液を形成するために、この溶媒は、空気乾燥されるか、真空乾燥されるか、または凍結乾燥される必要がある。一旦、固体溶液が形成されると、微小穿孔器は、鋳型から分離され、そして適切な形状およびサイズに切断される。 【0026】 粉末形態がマトリクス材料のために使用される場合、この粉末は、有利には、鋳型の上に広げられ得る。粉末の化学的および物理的特性に依存して、次いで、粉末の適切な加熱が適用されて、鋳型内に粘稠性の材料を融解または挿入し得る。 【0028】かなり多くのポリマーが、微小穿孔器のための適切なマトリクス材料であり、・・ ・セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、・・・ゼラチン、・・・および他のバイオポリマーが挙げられるがこれらに限定されない。 【0033】本明細書中で使用されるように、微小穿孔器の「アレイ」とは、それらが規則的に 間隔を空けて配置されるか否かに関わらず、少なくとも9個の微小穿孔器の任意の配置を意味する。代表的に、アレイは、より多くの微小穿孔器、好ましくは、100以上を含む。製造の簡便さのために、アレイの微小穿孔器は、一般的に(必ずではないが)、全て、ほぼ同じサイズおよび形状であり、全て、実質的に同じ組成を有する。 【0034】 図3は、患者の皮膚の他の領域から穿孔領域を分離するために、接着剤および抗 菌剤(任意)を含む環状領域33を含む基底層に あり、全て、実質的に同じ組成を有する。 【0034】 図3は、患者の皮膚の他の領域から穿孔領域を分離するために、接着剤および抗 菌剤(任意)を含む環状領域33を含む基底層によって必要に応じて取り囲まれた微小穿孔器のアレイ31の上に形成されたパッチシステムの平面図である。接着剤の環状領域33は、皮膚にアレイを保持し、そして外来物体の侵入および/または外部感染を妨げるまたは可能性を減少させることが意図される。必要に応じて、薬物レザバ(図3において図示しない)は、微小穿孔器アレイ31の上に配置され得、 そして/または接着剤の環状領域33によって囲われ得る。 【0040】図9は、穿孔活性化機構90を示す断面立面図であり、ここで、1つ以上の微小穿孔器91が、指又は他の圧力機構93によって手動で適用される、微小穿孔器の1つの側面への圧力によって患者の皮膚92内に駆動される。 【0041】必要に応じて、図10に示される薬物パッチシステム100は、第1薬物と同じであるかまたは異なり得る第2薬物であり得る第2薬物を含む薬物レザバ101を含み、これは、微小穿孔器アレイ102の上に隣接して配置され、そして独立して制御されるレザバ薬物送達システム103を有する。薬物パッチシステム100は、 好ましくは、薬物レザバ101を取り囲むバッキングフィルム104を備え、そして皮膚穿孔領域106を取り囲みシールする環状接着領域105(基底層、図3において最も良く示される)を備える。プラスチックリリースライナー107は、皮膚穿孔の前にはぎ取られ、そしてこのライナーがはぎ取られるまでアレイを保護する。 【0044】 アレイの微小穿孔器が、皮膚と接触して(皮膚内または皮膚上で)溶解することが重要である。溶解は、 孔の前にはぎ取られ、そしてこのライナーがはぎ取られるまでアレイを保護する。 【0044】 アレイの微小穿孔器が、皮膚と接触して(皮膚内または皮膚上で)溶解することが重要である。溶解は、化学的または物理的(例えば、皮膚温度で溶解することによって)、またはその両方で生じ得る。微小穿孔器の適切な溶解は、微小穿孔器の少なくとも50%(重量)が、投与の4時間以内で溶解することを意味するように本明細書中で規定される。より速い速度の溶解が好ましい多くの場合において、微小穿孔器 の少なくとも50%(重量)が、投与の2時間以内、1時間以内、30分以内、また は10分以内でさえ溶解する。迅速な溶解は、微小穿孔器の少なくとも50%(重量)が、投与の1時間以内に溶解することを意味するように本明細書中で規定される。 【0045】微小穿孔器は、これらが穿孔器内に含まれる薬物を投与するのに必要な程度まで 皮膚に貫通するように十分に固体である限り、「実質的に固体」であると思われる。 【0048】パッチシステムは、好ましくは、皮膚に適用され、その結果、1つ以上の微小穿孔器が、用途に応じて表皮または真皮に向けて、角質層を貫通する。 好ましい実施形態において、パッチシステム中のレザバの薬物分子は、完全にま たは部分的に溶解した微小穿孔器により作製されるチャネルを通って、表皮または真皮中に流れる。薬物分子は、局所処置または体を通る輸送のために真皮中に拡散する。 【0049】バッチおよび他のRDMPシステムは、皮膚および他の組織を介して、薬物およ びワクチンならびに他の生物活性分子を含む、広範な治療剤および/または予防剤を輸送し得る。このようなシステムは、組織への最小の損傷、痛みおよび/または刺激で皮膚または他 織を介して、薬物およ びワクチンならびに他の生物活性分子を含む、広範な治療剤および/または予防剤を輸送し得る。このようなシステムは、組織への最小の損傷、痛みおよび/または刺激で皮膚または他の組織障壁を通る体液への薬物送達および接近方法(access)を可能にする。薬物送達適用において、微小穿孔器は、有利には、主に、所望される薬物プロフィールに応じて、活性薬物及び溶解又は膨潤する固体マトリクスを 含み得る。これは、即時の薬物源および続く皮膚を介する薬物送達のためのチャネルクリエーターの両方として働く。・・・【0056】任意の薬物または他の生物活性剤が、RDMPシステムを使用して送達され得る。 送達される薬物は、タンパク質、ペプチド、DNA、遺伝子、多糖類ならびに合成有 機化合物および無機化合物であり得る。・・・ 【0057】・・・例えば、薬物を高速で送達するために設計されるデバイスは、微小穿孔器中のより活性な薬物、および/またはより早く溶解するマトリクスを有し得る。持続性薬物放出のために、より少ない微小穿孔器および/または(より)遅く溶解する固体マトリクスの使用が、有用である。・・・ 【図1】 【図2】 【図9】 【図10】 (別紙3)【特許請求の範囲】1.薬を非経口投与できる、針を有しない装置であって、該装置が胴体部材およびプランジャーを備え、該胴体部材が第1と第2の端部および固体形態にある薬を収容する内腔を有し、該内腔が前記胴体の第1の端部から第2の端部まで延在し、前記 プランジャーが前記内腔の内径と実質的に同一の外径を有する え、該胴体部材が第1と第2の端部および固体形態にある薬を収容する内腔を有し、該内腔が前記胴体の第1の端部から第2の端部まで延在し、前記 プランジャーが前記内腔の内径と実質的に同一の外径を有する細長いロッドからなり、該ロッドが前記胴体の第2の端部で前記内腔中に挿入され、前記プランジャーが前記内腔内で移動して、前記薬を前記胴体部材の第1の端部から、前記胴体部材が患者の皮膚に対して押し、該薬が患者の皮膚を貫通するのに十分な構造強度のものであるときに患者の皮膚を通して押し出すことができることを特徴とする装置。 (12頁1ないし15行目)・・・15.患者に非経口経路で投与されるように適用された薬であって、約0.2mmから約2mmまでの直径および約1mmから約5cmまでの長さ、並びに患者の皮膚を貫通するのに十分な構造的な完全さを有することを特徴とする薬。(14頁12な いし17行目)発明の属する技術分野本発明は、非経口導入装置に関し、特に、薬学的活性組成物の筋肉内投与または皮下投与を行う装置に関するものである。(1頁3ないし7行目)発明の背景 非経口経路は、多くの場合に経口経路よりも好ましい。例えば、投与すべき薬物が胃腸管内で部分的または全体的に分解するような場合に、非経口投与が好ましい。 同様に、緊急事態で迅速な応答が必要とされる場合に、通常非経口投与が経口投与よりも好ましい。 したがって、現在実施されているように、非経口投与は多くの用途において望ま しいが、これには重大な欠点もある。おそらく、最大の欠点は、薬物が投与される患 者を不快にすることであろう。非経口製剤は一般的に、薬物が懸濁または溶解されている多量の液体を含んでいる。キャリアに対する活性成分の比率は通常、1 らく、最大の欠点は、薬物が投与される患 者を不快にすることであろう。非経口製剤は一般的に、薬物が懸濁または溶解されている多量の液体を含んでいる。キャリアに対する活性成分の比率は通常、1:100から1:1000までに亘る。特に、活性成分が、溶解性に乏しいかまたは懸濁が困難な場合、あるいは、高供給量で投与すべき場合、もしくは両方が重なった場合、かなり多量の液体を注射しなければならない。針の注射およびかなり多量の液体の 導入により、非経口投与が多少苦痛であり、ほとんどの人にとっては、少なくとも不愉快である。さらに、その性質に依存して、溶剤または懸濁剤はそれ自体苦痛の原因かもしれない。 液体キャリア中の薬物を投与するさらなる欠点は、薬物がしばしば液体中で安定ではないことである。したがって、液体と薬物とは、実質的に注射と同時期に混合さ れなければならない。このことは、例えば、伝染病をくい止めるために、連日に亘って数百人を処置しなければならない場合に、実質的に欠点となり得る。 したがって、針および溶液または懸濁液の両方を使用しない投与方式を発見することに関心が集まっている。(1頁8行目ないし2頁13行目)発明の概要 出願人は今、非経口経路により固体または半固体の薬物を即座に投与する、比較的安価な装置を発見した。出願人の装置では、完全に針を使用する必要がない。固体薬物は、この固体薬物を位置づけるのに必要な程度まで皮膚に進入するプランジャーによって、患者、例えば、人または動物の皮膚を通して直接投与される。薬は、爪楊枝の端部の形状に適切に作成される。すなわち、薬は、円柱部分まで徐々に先太に なる尖った端部を有している。薬は、本発明の非経口導入装置により投与されたときに、皮膚を通って、皮下層中に貫通でき 楊枝の端部の形状に適切に作成される。すなわち、薬は、円柱部分まで徐々に先太に なる尖った端部を有している。薬は、本発明の非経口導入装置により投与されたときに、皮膚を通って、皮下層中に貫通できるような十分な構造的強度を有している。 このように、薬物が皮膚を貫通して、薬物を非経口投与するための針の不快感を感じる必要がない。(2頁23行目ないし3頁6行目)発明の詳細な説明 最初に、本発明の非経口導入装置の分解図である第1図を参照する。ここには、3 つの基本的構成部材、すなわち、主胴体10、スリーブ部材12、およびプランジャー部材14がある。主胴体10には、この主胴体10の一方の端部22から他方の端部20まで延在する中央内腔16がある。薬18(第2図参照)がこの中央内腔16内に収容されている。主胴体10は、以下に記載するように、停止体として機能する突出環状部材24および26を備えている。スリーブ部材12は、頂端部28お よび底端部30の両方で開いている。スリーブ部材12は、以下に記載するようにスリーブの移動を制限する肩部32および34を備えている。プランジャー部材14は、プランジャーロッド36および端部キャップ38を備えている。端部キャップ38は、円形板40および環状形フランジ42を有している。プランジャーロッド36は、少なくともその一部が、内腔16の内径と実質的に同じか、またはやや小 さい外径を有している。 第2図は、第1図の非経口導入装置の組み立てられた状態であって、輸送と貯蔵に適した状態を示すものである。プランジャー部材14に、スリーブ12の端部が嵌め込まれている。スリーブ12には、肩部32が環状部材24を越えて通過し、環状部材26でとどまるように、主胴体10が押し込められる。スリーブ部材は ある。プランジャー部材14に、スリーブ12の端部が嵌め込まれている。スリーブ12には、肩部32が環状部材24を越えて通過し、環状部材26でとどまるように、主胴体10が押し込められる。スリーブ部材は、主胴 体10の外面と滑るように噛み合っている。肩部32と環状部材26とが隣接することにより、プランジャー14が薬を不注意に移動させたり、主胴体10の一方の端部を通して押し出さないように、スリーブ12と主胴体10の相対的な位置が維持される。環状部材24は、スリーブ12と主胴体10とが離れる前に肩部32と噛み合うので、スリーブ12が主胴体10から意図せずに分離されてしまうのを防 ぐ。投与する時間まで薬18の無菌状態を維持するために、セルロースまたはゼラチンのような、生物学的に適合性のある材料のシール44を主胴体10の端部22に施してもよい。あるいは、もしくはさらに、全体的な機構を、ホイルまたはセロファンパック(図示せず)のような無菌雰囲気内に貯蔵しても差支えない。(3頁27行目ないし5頁2行目) 次に第3図を参照する。ここには、使用中の装置が示されている。主胴体10の一 方の端部22が、薬が注射される区域に張力を施すような様式で、処置すべき患者の皮膚48に対して配置されている。互いに移動するプランジャー14およびスリーブ12が、肩部34が環状部材24と接触するまでプランジャー14の端部キャップ38に圧力を加えることにより、主胴体10に押し付けられている。プランジャーロッド36は、主胴体10の内腔16の長さだけ移動し、薬18を患者の皮膚 48を通して、皮下層46中に押し込む。スリーブ12の肩部34が主胴体10の環状部材24と組み合わさって、主胴体10内におけるプランジャーロッド36の移動の範囲が制限される。 18を患者の皮膚 48を通して、皮下層46中に押し込む。スリーブ12の肩部34が主胴体10の環状部材24と組み合わさって、主胴体10内におけるプランジャーロッド36の移動の範囲が制限される。プランジャー部材14のロッド36が主胴体10の一方の端部22より下2mm以内で停止することが好ましく、プランジャーロッドが主胴体10の一方の端部22より全く突出しないことが最も好ましい。(5頁3ないし 21行目)薬18は好ましくは、皮膚を容易に貫通して、皮下層に進入できように、爪楊枝の一方の端部の形状に作成する。良く知られているように、爪楊枝の一方の端部には、円柱部分まで先太となる針頭がある。薬を固体と称しているが、壊れずに皮膚に貫通する十分な構造的な完全さがある限り、固体または半固体のいずれであってもよ い。縦方向で少なくとも約8キリポアズ(killipoise)の圧縮強さを有する薬が十分に強く、それより小さい圧縮強さのものも、大人よりも柔らかい皮膚を有する子供に投与する場合には特に、使用できることが分かった。 薬中のキャリアの量は、薬物および作用の所望の様式に依存する。一般に、薬中の活性成分の量は少なくとも約50%である。十分な構造強度を有する適切な薬に関 しては、本発明の薬の量は100%までであっても差支えない。薬は、圧縮、熱溶融(thermofusion)、または押出しのような従来の技術により調製してもよい。圧縮法は適切には、爪楊枝形状の微小錠剤が形成される錠剤形成工程からなる。熱溶融法は適切には、活性成分および所望であればキャリアを混合して溶融する工程からなる。次いで、溶融生成物を爪楊枝形状の薬に成形する。押出法は適切に は、活性成分および所望であればキャリアを、液体と混合して、半固体ペーストを形 ればキャリアを混合して溶融する工程からなる。次いで、溶融生成物を爪楊枝形状の薬に成形する。押出法は適切に は、活性成分および所望であればキャリアを、液体と混合して、半固体ペーストを形 成する工程からなる。次いで、このペーストを小さい直径の開口部に通して押し出して、ロッドを形成する。針状の先端は、半固体ロッドの乾燥の前または後に形成しても差支えない。 薬18のサイズは、直径で2mmまでであってもよいが、薬の円柱部分の直径で、好ましくは、約0.2-0.8mm、最も好ましくは、約0.25-0.5mmであ り、長さで約1mmから約3cmまでである。もちろん、サイズは、投与すべき供給量およびキャリアの量と比較して存在する活性成分のレベルに依存する。 内腔16の内径は好ましくは、薬18の直径よりも約5-10%大きい。これにより、製造中に内腔16中に導入されるかもしれない、バリのような小さい欠陥により、薬が「詰まったり」またはすじを付けられたりしないようにする。同時に、装 置が作動状態となる前に、薬が内腔から意図せずに移動させられにくいように、直径は摩擦して噛み合うように制限されている。(7頁5行目ないし8頁19行目)活性成分はペプチドまたはタンパク質であって差支えない。 ・・・活性成分の即時送達用には、キャリアは水溶性であるべきである。水溶性キャリアの例としては、ヒアルロン酸、セルロース、例えば、ヒドロキシプロピルメチル セルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、およびヒドロキシエチルセルロース(HEC)、・・・ゼラチン、・・・が挙げられる。(8頁29行目ないし9頁23行目)実施例1インシュリンヒト組換え体(IHR)およびインシュリンウシ膵臓(IBP)につ いて試験を行 ス(HEC)、・・・ゼラチン、・・・が挙げられる。(8頁29行目ないし9頁23行目)実施例1インシュリンヒト組換え体(IHR)およびインシュリンウシ膵臓(IBP)につ いて試験を行なった。・・・インシュリンは、乾燥固体として供給でき、ボーラス注射のための通常の非経口配合物のように正確に機能する。本発明の装置に必要とされる量は、直径が0.45mmである2mm長の円柱としての固体形態で投与するのに十分に小さい。患者は、本発明の装置により、固体インシュリンの実質的に痛みを伴わない導入を容易に経 験できる。インシュリンのこの形態はまた、室温で長期間に亘り安定であり、通常の 液体形状よりも高くない。(10頁1ないし21行目) 【図1】 【図2】 【図3】
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