平成15年5月28日判決言渡甲事件平成14年(ワ)第77号出資口数確認請求事件乙事件平成14年(ワ)第1238号出資金持分引渡請求事件口頭弁論終結日平成15年3月5日判決東京都葛飾区甲,乙事件原告 X同訴訟代理人弁護士 P同 Q同 R千葉県習志野市甲事件被告有限会社Y同代表者代表取締役 C同所乙事件被告 B同所乙事件被告 C愛知県高浜市乙事件被告 D東京都北区乙事件被告 E上記5名訴訟代理人弁護士 S東京都葛飾区乙事件被告 F 主文 1 甲事件被告有限会社Yは,甲,乙事件原告に対し,甲事件被告有限会社Yの別紙社員名簿(省略,以下同じ)記載の出資の口数のうち,(1) A相続人代表乙事件被告B名義の出資の口数400口のうち100口(2) 乙事件被告B名義の出資の口数400口のうち100口(3) 乙事件被告C名義の出資の口数500口のうち125口(4) 乙事件被告D名義の出資の口数500口のうち125口(5) 乙事件被告E名義の出資の口数100口のうち25口(6) 乙事件被告F名義の出資の口数100口のうち25口を,それぞれ甲,乙事件原告名義に名義書換えをせよ。 2(1) 甲,乙事件原告と乙事件被告B,乙事件被告C,乙事件被告D,乙事件被告E及び乙事件被告 件被告F名義の出資の口数100口のうち25口を,それぞれ甲,乙事件原告名義に名義書換えをせよ。 2(1) 甲,乙事件原告と乙事件被告B,乙事件被告C,乙事件被告D,乙事件被告E及び乙事件被告Fとの間で,別紙社員名簿記載のA相続人代表乙事件被告B名義の甲事件被告有限会社Yの出資の口数400口のうち100口が,甲,乙事件原告に帰属することを確認する。 (2) 甲,乙事件原告と乙事件被告Bとの間で,別紙社員名簿記載の乙事件被告B名義の甲事件被告有限会社Yの出資の口数400口のうち100口が,甲,乙事件原告に帰属することを確認する。 (3) 甲,乙事件原告と乙事件被告Cとの間で,別紙社員名簿記載の乙事件被告C名義の甲事件被告有限会社Yの出資の口数500口のうち125口が,甲,乙事件原告に帰属することを確認する。 (4) 甲,乙事件原告と乙事件被告Dとの間で,別紙社員名簿記載の乙事件被告D名義の甲事件被告有限会社Yの出資の口数500口のうち125口が,甲,乙事件原告に帰属することを確認する。 (5) 甲,乙事件原告と乙事件被告Eとの間で,別紙社員名簿記載の乙事件被告E名義の甲事件被告有限会社Yの出資の口数100口のうち25口が,甲,乙事件原告に帰属することを確認する。 (6) 甲,乙事件原告と乙事件被告Fとの間で,別紙社員名簿記載の乙事件被告F名義の甲事件被告有限会社Yの出資の口数100口のうち25口が,甲,乙事件原告に帰属することを確認する。 3 訴訟費用は,被告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 主位的請求主文同旨。 2 予備的請求(1) 甲事件甲,乙事件原告(以下「原告」という。)と甲事件被告有限会社Y(以下「被告会社」という。)との間で, 及び理由第1 請求 1 主位的請求主文同旨。 2 予備的請求(1) 甲事件甲,乙事件原告(以下「原告」という。)と甲事件被告有限会社Y(以下「被告会社」という。)との間で,被告会社の別紙社員名簿記載の出資の口数のうち,ア A(以下「A」という。)相続人代表乙事件被告B(以下「被告B」という。)名義の出資の口数400口のうち100口イ被告B名義の出資の口数400口のうち100口ウ乙事件被告C(以下「被告C」という。)名義の出資の口数500口のうち125口エ乙事件被告D(以下「被告D」という。)名義の出資の口数500口のうち125口オ乙事件被告E(以下「被告E」という。)名義の出資の口数100口のうち25口カ乙事件被告F(以下「被告F」という。)名義の出資の口数100口のうち25口が,それぞれ原告に帰属することを確認する。 (2) 乙事件ア被告B,被告C,被告D,被告E及び被告Fは,原告に対し,被告会社の別紙社員名簿に記載されたA相続人代表被告B名義の出資の口数400口のうち100口を引き渡せ。 イ被告Bは,原告に対し,被告会社の別紙社員名簿に記載された被告B名義の出資の口数400口のうち100口を引き渡せ。 ウ被告Cは,原告に対し,被告会社の別紙社員名簿に記載された被告C名義の出資の口数500口のうち125口を引き渡せ。 エ被告Dは,原告に対し,被告会社の別紙社員名簿に記載された被告D名義の出資の口数500口のうち125口を引き渡せ。 オ被告Eは,原告に対し,被告会社の別紙社員名簿に記載された被告E名義の出資の口数100口のうち25口を引き渡せ。 カ被告Fは,原告に対し,被告会社の別紙社員名簿に記載された被告F名義の出資の口数100口のうち25口を引き渡せ。 名簿に記載された被告E名義の出資の口数100口のうち25口を引き渡せ。 カ被告Fは,原告に対し,被告会社の別紙社員名簿に記載された被告F名義の出資の口数100口のうち25口を引き渡せ。 第2 事案の概要本件は,原告が,被告会社の別紙社員名簿に記載された出資の口数のうち,①A相続人代表被告B名義の出資の口数400口のうち100口,②被告B名義の出資の口数400口のうち100口,③被告C名義の出資の口数500口のうち125口,④被告D名義の出資の口数500口のうち125口,⑤被告E名義の出資の口数100口のうち25口及び⑥被告F名義の出資の口数100口のうち25口が,それぞれ原告に帰属する旨主張して,(1) 被告会社に対し,主位的には上記各出資の口数のとおり被告会社を除くその余の被告らから原告に対し別紙社員名簿の出資の口数の名義書換えをすること,予備的には上記各出資の口数のとおり原告に各持分が帰属する旨の確認(以上,甲事件),(2) 被告B,被告C,被告D,被告E及び被告F(以下,この者らを「乙事件被告ら」という。)に対し,主位的には上記各出資の口数のとおり原告に各持分が帰属する旨の確認,予備的には上記各出資の口数のとおり各持分の引渡し(以上,乙事件)を,それぞれ求めた事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実については証拠を掲記しない。)(1) 被告会社は,昭和44年2月4日,設立された,不動産の賃貸及び観光事業等を目的とする有限会社である。 被告会社の設立当初の出資の口数は,2000口であり,被告会社の出資一口の金額は,1000円である。 (2) 被告会社の設立当時の社員名簿上の出資の口数は,以下のとおりであった。 ア A 400口イ被告B 400口ウ被告C 500口 告会社の出資一口の金額は,1000円である。 (2) 被告会社の設立当時の社員名簿上の出資の口数は,以下のとおりであった。 ア A 400口イ被告B 400口ウ被告C 500口エ被告D 500口オ被告E 100口カ被告F 100口(3) 被告Bは,Aの妻であり,被告C,被告D,被告E及び被告Fは,Aの子である。 Aは,平成2年1月15日,死亡し,乙事件被告らがAを相続した。 (4) 原告は,Aが死亡した平成2年1月15日以降,乙事件被告らとの間で被告会社の持分について争いとなり,平成9年ころ,東京地方裁判所に被告会社の持分が原告とAとの持分2分の1の準共有であることの確認などを求める訴え(東京地方裁判所平成9年(ワ)第26692号)を提起したが,請求を棄却されたので,控訴をし(東京高等裁判所平成12年(ネ)第5423号土地建物持分移転登記手続等請求控訴事件),請求の趣旨を原告が被告会社の持分のうち2分の1を有することの確認等に変更した。東京高等裁判所は,平成13年4月26日(口頭弁論終結日は同年2月27日),1審判決を取り消し,上記(2)記載の各持分のうち,①A名義の出資の口数400口のうち200口,②被告B名義の出資の口数400口のうち200口,③被告C名義の出資の口数500口のうち250口,④被告D名義の出資の口数500口のうち250口,⑤被告Eの出資の口数100口のうち50口及び⑥被告Fの出資の口数100口のうち50口が,それぞれ原告に帰属する旨,すなわち,原告に出資の総口数2000口のうち,合計1000口が帰属する旨を確認する判決を言い渡した。そして,上記控訴審判決は,同年9月4日,確定した(甲1ないし3。以下,上記判決を「本件前訴判決」という。) 資の総口数2000口のうち,合計1000口が帰属する旨を確認する判決を言い渡した。そして,上記控訴審判決は,同年9月4日,確定した(甲1ないし3。以下,上記判決を「本件前訴判決」という。)。 なお,本件前訴判決は,被告会社の設立の際,原告は,Aとともに,100万円(出資の口数1000口に相当する。)ずつ出資した旨の事実を認定し,上記(2)記載の持分のうち2分の1に当たる持分が実質的に原告に帰属すると認めることができるとした(甲1)。 (5) 被告会社は,平成8年3月12日,出資の口数1口当たり0.5口の割合で増資をし(以下「本件増資」という。),これにより被告会社の出資の総口数が3000口となったが,原告に対し,本件増資の手続について,一切通知等をしなかった。 そして,乙事件被告らは,本件増資がされたころ,それぞれ,上記(2)記載の各持分に応じた増資分,すなわち,被告Bは,200口分,被告Cは,自己に割り当てられるべき250口分とA(当時は既に死亡していた。)に割り当てられるべき200口分,被告Dは,250口分,被告Eは,50口分,被告Fは,50口分の出資金額を払い込んだ。 (6) 原告は,被告会社の本件増資は,本件前訴判決により原告が被告会社の出資の口数合計1000口を有していることが認められたのであるから,その出資の口数合計1000口に対応する500口分の増資が原告に割り当てられるべきであるとして,平成13年7月17日,被告会社に対して,出資の口数500口分の出資金50万円を送金するとともに(甲4。なお,被告会社は,この原告から送金された50万円を供託した。),平成14年12月12日,被告Eに対し,本件増資により増資された分のうち25口の出資金額に相当する2万5000円を,同日,被告Fに 告会社は,この原告から送金された50万円を供託した。),平成14年12月12日,被告Eに対し,本件増資により増資された分のうち25口の出資金額に相当する2万5000円を,同日,被告Fに対し,本件増資により増資された分のうち25口の出資金額に相当する2万5000円を,同月13日,被告Bに対し,本件増資により増資された分のうち100口分の出資金額に相当する10万円を,同日,被告Cに対し,本件増資により増資された分のうち225口分の出資金額に相当する22万5000円を,同月17日,被告Dに対し,本件増資により増資された分のうち125口の出資金額に相当する12万5000円を,乙事件被告らが本訴において係争中のため受領しないことが明らかであるとして,それぞれ供託した(甲14ないし19。以下,原告の乙事件被告らに対する上記供託を「本件供託」という。)。 (7) 被告会社の本件口頭弁論終結時の社員名簿上の出資の口数は,以下のとおりである(乙ヘ1[別紙社員名簿])。 ア A相続人代表被告B 400口イ被告 B 400口ウ被告 C 500口エ被告 D 500口オ被告 E 100口カ被告 F 100口キ原告 1000口(8) なお,被告Fは,適式の呼出しを受けたにもかかわらず本件口頭弁論期日に出頭しないし,答弁書その他の準備書面を提出しないので,乙事件請求に係る原告の主張(請求の原因)を争うことを明らかにしないものと認め,これを自白したものとみなす。 2 争点本件の争点は,本件増資により増資された被告会社の出資の口数1000口のうち,合計500口分が原告に帰属するか否かであり,争点に関する各当事者の主張は,以下のとおり したものとみなす。 2 争点本件の争点は,本件増資により増資された被告会社の出資の口数1000口のうち,合計500口分が原告に帰属するか否かであり,争点に関する各当事者の主張は,以下のとおりである。 (1) 原告の主張ア本件増資においては,前記1,(5)記載のとおり,乙事件被告らに対し,その名義上の各持分割合に従い,出資引受権が割り当てられ,払込がされたが,社員の出資引受権は,社員が増資による持分比率の低下によって会社支配権が侵害されることや,従来有していた持分の財産的価値が減少することから保護されるために,本来,実質的な社員に当然に割り当てられるべきものである(有限会社法51条参照。)。 イ原告は,被告会社の設立に当たって出資金200万円のうち100万円を出資し,本件増資がされた時点において,被告会社の出資の口数合計1000口を有していたものであり,乙事件被告らは,それぞれ,被告会社の出資の口数をA名義で200口,被告B名義で200口,被告C名義で250口,被告D名義で250口,被告E名義で50口,被告F名義で50口を有していたにすぎない。このことは,本件前訴判決により確定されている。 ウ上記イ記載のとおり,本件増資前の被告会社の出資の総口数2000口のうち1000口については,原告が,実質的な持分権者であったのだから,この出資の口数1000口に対する500口分,すなわち,被告会社の社員名簿に記載されたA相続人代表被告B名義の出資の口数400口のうち100口,被告B名義の出資の口数400口のうち100口,被告C名義の出資の口数500口のうち125口,被告D名義の出資の口数500口のうち125口,被告E名義の出資の口数100口のうち25口,被告F名義の出資の口数10 00口のうち100口,被告C名義の出資の口数500口のうち125口,被告D名義の出資の口数500口のうち125口,被告E名義の出資の口数100口のうち25口,被告F名義の出資の口数100口のうち25口の出資引受権は,原告に帰属していたものである。 エそうであるならば,乙事件被告らが,上記ウ記載の原告に割り当てられるべき出資引受権について,割当てを受け,払込をし,被告会社から持分の付与を受けたのは,法律上の原因なくして原告に帰属すべき財産権を取得したものと評価すべきものであるから,不当利得の法理により,原告は,乙事件被告らに対し,払い込まれた出資金を支払うことと引き換えに,乙事件被告らに帰属している本件増資により増資された分の持分を取得することができるというべきである。 オ原告は,前記1,(6)記載のとおり,乙事件被告らに対し,それぞれ本件供託をした。 カしたがって,別紙社員名簿記載の出資口数のうち,A相続人代表乙事件被告B名義の出資の口数400口のうち100口,被告B名義の出資の口数400口のうち100口,被告C名義の出資の口数500口のうち125口,被告D名義の出資の口数500口のうち125口,被告E名義の出資の口数100口のうち25口,被告F名義の出資の口数100口のうち25口,合計500口は,それぞれ原告に帰属する。 (2) 被告Fを除く被告らの主張ア上記(1)記載の原告の主張は争う。 イ(ア) 被告Fを除く被告らは,被告会社の本件増資前の原告の持分について,確定した本件前訴判決が判示する原告に出資の総口数2000口のうち,合計1000口が帰属する旨を争うものではない。 (イ) しかし,本件増資により割り当てられた出資引受権及び払込後の持分の 件前訴判決が判示する原告に出資の総口数2000口のうち,合計1000口が帰属する旨を争うものではない。 (イ) しかし,本件増資により割り当てられた出資引受権及び払込後の持分の帰属を論じるに当たっては,原告は,乙事件被告らの持分の帰属を争うことはできないというべきである。 すなわち,原告は,被告会社が設立された際,Aとともに100万円を出資したと主張するが,そうであるならば,原告は,被告会社の社員名簿に真実の記載がされていないことを知りながらこれを放置し,乙事件被告らは,それぞれ自己に前記1,(2)記載のとおりの持分が帰属する旨信じていたのであるから,原告は,被告会社の社員名簿に記載された前記1,(2)記載のとおりの持分比率と異なる主張をすることはできないというべきである。 (ウ) また,乙事件被告らは,被告会社が設立された昭和44年2月4日,それぞれ自己に前記1,(2)記載のとおりの持分が帰属する旨過失無く信じ,社員権を行使するなどして上記各持分を準占有してきたのであるから,昭和54年2月3日の経過をもって,それぞれ本件増資前の原告の持分を時効取得したものである。 ウなお,資本増加の手続きによらずして増資に係る出資口数を取得することはあり得ないところ,本件増資の際,被告会社から社員名簿に従い,出資引受権の割当てを受け,払込をし,被告会社から持分を付与されたのは乙事件被告らであり,原告ではないから,たとえ,本件前訴判決が判示するとおり,被告会社の本件増資前の原告の持分について,原告に出資の口数合計1000口が有効に帰属していることを前提としても,原告に本件増資による増資分合計500口の持分は帰属しないというべきである。 第3 当 件増資前の原告の持分について,原告に出資の口数合計1000口が有効に帰属していることを前提としても,原告に本件増資による増資分合計500口の持分は帰属しないというべきである。 第3 当裁判所の判断1(1) 原告は,本件増資において,社員の出資引受権は,実質的な社員に当然に割り当てられるべきものであるから,本件増資前の被告会社の出資の総口数2000口のうち,1000口について実質的な持分権者であった原告に,これに対する500口分の出資引受権が当然に割り当てられるべきであり,乙事件被告らが,その名義上の各持分割合に従い出資引受権の割当てを受け,払込をし,被告会社から持分を付与されたのは,法律上の原因なくして原告に帰属すべき財産権を取得したものと評価すべきものであり,したがって,原告は,不当利得の法理により,乙事件被告らに対し,払い込まれた出資金を支払うことと引き換えに,乙事件被告らに帰属している増資された分の各持分を取得することができるところ,原告は,払い込まれた出資金に相当する金員を乙事件被告らに対し供託したから,本件増資分の乙事件被告ら名義の出資の口数のうち合計500口は原告に帰属する旨主張するので,以下検討する。 (2)ア前記第2,1記載の前提事実(以下「前提事実」という。)に基づき判断する。 イ本件増資により増資された持分の帰属について(ア) 出資引受権の帰属a 前提事実によれば,①本件増資前の被告会社の社員名簿上の出資の口数は,Aが400口,被告Bが400口,被告Cが500口,被告Dが500口,被告Eが100口,被告Fが100口とされていたが,②確定した本件前訴判決は,A名義の400口のうち200口,被告B名義の 400口,被告Bが400口,被告Cが500口,被告Dが500口,被告Eが100口,被告Fが100口とされていたが,②確定した本件前訴判決は,A名義の400口のうち200口,被告B名義の400口のうち200口,被告C名義の500口のうち250口,被告D名義の500口のうち250口,被告E名義の100口のうち50口及び被告F名義の100口のうち50口,合計1000口の実質的権利は,原告に帰属するとし,③被告会社は,本件前訴判決後,社員名簿上の原告の出資の口数が1000口である旨被告会社の社員名簿を書き換えたことが認められるから,原告は,本件増資前,A名義の400口のうち200口,被告B名義の400口のうち200口,被告C名義の500口のうち250口,被告D名義の500口のうち250口,被告E名義の100口のうち50口及び被告F名義の100口のうち50口,合計1000口の持分について,実質的権利を有していたということができる(なお,被告Fを除くその余の被告らは,本件増資前,原告が被告会社の出資の口数1000口を実質的に有していた事実を争わない。)。 b 次に,本件増資の際に,原告が実質的権利を有していた合計1000口の持分に対して割り当てられた出資引受権が,実質的権利者である原告に帰属したのか,あるいは,名義上の持分権者であった乙事件被告らに帰属したのかについて検討するに,①有限会社は,閉鎖的な性質を有していることから,社員相互間の信頼関係が重視され,各社員間の持分比率の維持が社員の重要な権利とされており,有限会社の社員は,法律上,原則として,増加する資本につき自己の持分に比例して出資引受権を有するとされていること(有限会社法51条本文),②乙事件被 の維持が社員の重要な権利とされており,有限会社の社員は,法律上,原則として,増加する資本につき自己の持分に比例して出資引受権を有するとされていること(有限会社法51条本文),②乙事件被告らは,原告が実質的権利を有していた合計1000口の持分について,本件増資がされた当時,社員名簿上においては社員とされていたものの,実質的には社員としての権利を何ら有していなかったのであり,本件増資による出資引受権を割り当てられるべき正当な根拠がないこと,③社員名簿の記載は,単に,被告会社が社員名簿上の記載に従って社員に対する通知などをした場合に被告会社が免責され得るにすぎないものであり(有限会社法24条4項,商法224条1項ないし3項),乙事件被告らを合計1000口の持分を有する社員であるとする社員名簿の記載をもって,乙事件被告らに対し実質的権利が付与されるものではないこと,以上を総合的に考慮すると,本件増資の際に,原告が実質的権利を有していた合計1000口の持分に対して割り当てられた出資引受権は,被告会社の社員名簿の記載にかかわらず,実質的権利を有していた原告に帰属したものと解すべきである。 (イ) 持分の帰属a 上記(ア)記載のとおり,本件増資の際に,原告が実質的権利を有していた合計1000口の持分に対して乙事件被告らに割り当てられた出資引受権は,実質的には原告に帰属したものと解すべきであるが,乙事件被告らが払込をし,被告会社から付与された増資分の合計500口の持分が原告に帰属するか否かを検討する。 b この点,上記(ア)記載のとおり,本件増資の際に,原告が実質的権利を有していた合計1000口の持分に対して割り当てられた出資引受権は,実質的権利者である原告に に帰属するか否かを検討する。 b この点,上記(ア)記載のとおり,本件増資の際に,原告が実質的権利を有していた合計1000口の持分に対して割り当てられた出資引受権は,実質的権利者である原告に帰属するものであるから,乙事件被告らが,社員名簿に従い乙事件被告らに形式的に割り当てられた出資引受権を行使して,本件増資による増資分合計500口の持分を取得したことは,実質的には,何ら法律上の原因なくして,原告に帰属すべき財産権を取得したものと評価することができる。 そして,閉鎖会社である有限会社においては,社員にとって,通常,外部者を排除して社員相互の信頼を維持し,かつ,既存の持分比率が維持されることが重要な権利であるから(有限会社法51条参照。),増資の際,名義上の社員が,出資引受権の割当てを受け,払込をし,会社から持分の付与を受けた場合,実質的な社員と名義上の社員との間の実質的な公平を図るために不当利得の法理を適用し,実質的な社員は,名義上の社員に対し,名義上の社員により払い込まれた増資分の出資金を支払うことと引き換えに,名義上の社員に付与された持分それ自体の取得を求めることができると解すべきである。 したがって,本件増資において,乙事件被告らが,社員名簿上の記載の各持分割合に従い,出資引受権の割当てを受け,払込をし,被告会社から持分を付与されたのは,法律上の原因なくし て,原告に帰属すべき増資分の合計500口の持分を得たものであり,これにより原告は損失を被ったということができるから,不当利得の法理を適用し,原告は,乙事件被告らに対し,乙事件被告らにより払い込まれた各出資金を支払うことと引き換えに,本件増資により原告が実質的権利を有していた合計1000口に対して被告会社から 利得の法理を適用し,原告は,乙事件被告らに対し,乙事件被告らにより払い込まれた各出資金を支払うことと引き換えに,本件増資により原告が実質的権利を有していた合計1000口に対して被告会社から付与された増資分の合計500口の持分を取得することができるものと解すべきである。 被告Fを除く被告らは,資本増加の手続きによらずして増資に係る出資口数を取得することはあり得ないところ,本件増資の際,社員名簿に従い,出資引受権の割当てを受け,払込をし,被告会社から持分を付与されたのは乙事件被告らであり,原告ではないから,たとえ,本件前訴判決が判示するとおり,被告会社の本件増資前の原告の持分について,原告に出資の口数合計1000口が有効に帰属していることを前提としても,原告に本件増資による増資分合計500口の持分は帰属しないと主張するが,上記判示に照らし,採用することができない。 c 原告は,前提事実のとおり本件供託をしたのであるから,乙事件被告らに対し,本件増資のため乙事件被告らにより払い込まれた各出資金を支払ったものということができる。 d したがって,本件増資の際に,原告が実質的権利を有していた合計1000口の持分について,乙事件被告らが,出資引受権の割当てを受け,払込をし,被告会社から付与された増資分の合計500口の持分,すなわち,被告会社の別紙社員名簿に記載されたA相続人代表被告B名義の出資の口数400口のうち100口,被告B名義の出資の口数400口のうち100口,被告C名義の出資の口数500口のうち125口,被告D名義の出資の口数500口のうち125口,被告E名義の出資の口数100口のうち25口は,原告が本件供託をしたことと引き換えに取得したものであ の出資の口数500口のうち125口,被告D名義の出資の口数500口のうち125口,被告E名義の出資の口数100口のうち25口は,原告が本件供託をしたことと引き換えに取得したものであり,原告に帰属する。 ウ社員名簿の書換え請求について上記イ記載のとおり,原告は,乙事件被告らに対し,それぞれ出資金額に相当する本件供託をしたことをもって,本件増資による増資分合計500口の持分を取得したものであるから,被告会社に対し,被告会社の別紙社員名簿に記載されたA相続人代表被告B名義の出資の口数400口のうち100口,被告B名義の出資の口数400口のうち100口,被告C名義の出資の口数500口のうち125口,被告D名義の出資の口数500口のうち125口,被告E名義の出資の口数100口のうち25口,被告F名義の出資の口数100口のうち25口,合計500口について,被告会社の別紙社員名簿の書換えを請求することができる。 2(1) なお,被告Fを除く被告らは,被告会社の本件増資前の原告の持分について,確定した本件前訴判決が判示する原告に出資の総口数2000口のうち合計1000口が帰属する旨を争うものではないとしながらも,本件増資により割り当てられた出資引受権及び払込後の出資持分の帰属を論じるに当たっては,原告は,乙事件被告らの持分の帰属を争うことはできないとして,①原告は,被告会社の社員名簿に真実の記載がされていないことを知りながらこれを放置し,乙事件被告らは,自己に持分が帰属する旨信じていたのであるから,原告は,社員名簿に記載された前記第2,1,(2)記載とおりの持分比率と異なる主張をすることはできない,②乙事件被告らは,被告会社が設立された昭和44年2月4日,自 のであるから,原告は,社員名簿に記載された前記第2,1,(2)記載とおりの持分比率と異なる主張をすることはできない,②乙事件被告らは,被告会社が設立された昭和44年2月4日,自己に前記第2,1,(2)記載のとおりの出資の口数が帰属する旨過失無く信じ,社員権を行使するなどして上記持分を準占有してきたのであるから,昭和54年2月3日の経過をもって,本件増資前の原告の持分を時効取得したものであると主張する。 (2) しかし,被告Fを除く乙事件被告らが自己に持分が帰属する旨信じたとの的確な証拠は存在しないし,そもそもこれらの者は,社員名簿上の名義貸与者にすぎず,虚偽の外形について新たな利害関係を作った者に当たるとは認められないから,原告が被告Fを除く乙事件被告らに対し社員名簿に記載された持分比率と異なる主張をすることができなくなるとは認められず,また,被告会社は,原告と被告Fを除く乙事件被告らとの間で社員名簿に記載された持分比率と異なる比率で出資の口数が確認される以上,原告がその確認されたところに基づき社員名簿の名義書換えを求めた場合にはこれを拒絶することができないというべきであるから,上記(1),①記載の主張は,採用することができない。 さらに,被告Fを除く乙事件被告らの上記(1),②記載の主張は,被告Fを除く乙事件被告らとの関係では本件前訴判決で争点とされた事項を蒸し返して争っているといわざるを得ないものである上,被告Fを除く被告らは,被告会社の本件増資前の原告の持分について,本件前訴判決が判示する原告に出資の総口数2000口のうち合計1000口が帰属する旨の事実を争うものではないとしているのであり,それにもかかわらず,何故,本件増資による持分の帰 について,本件前訴判決が判示する原告に出資の総口数2000口のうち合計1000口が帰属する旨の事実を争うものではないとしているのであり,それにもかかわらず,何故,本件増資による持分の帰属を論じるに当たって原告に合計1000口の持分が帰属する旨の上記事実と矛盾する主張をすることができるのか理解困難であり,被告Fを除くその余の乙事件被告らの上記(1),②記載の主張は独自の見解といわざるを得ず,採用することはできない。 3 よって,原告の主位的請求は理由があるから主文のとおり判決する。 千葉地方裁判所民事第1部裁判長裁判官小林正裁判官深野英一裁判官瀬木比呂志は,転補のため,署名押印することができない。 裁判長裁判官小林正
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