昭和29(行)58 租税債務不存在確認等請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和49年9月30日 東京地方裁判所 租税
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【DRY-RUN】○ 主文 一 原告医療法人財団Aの昭和二八年分の贈与税について、被告大森税務署長が昭 和三二年一〇月三〇日付でした更正を取り消す。 二 原告医療法人財団Bの昭和二七年分の相続税について、被告荒川税務署

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○ 主文一原告医療法人財団Aの昭和二八年分の贈与税について、被告大森税務署長が昭和三二年一〇月三〇日付でした更正を取り消す。 二原告医療法人財団Bの昭和二七年分の相続税について、被告荒川税務署長が、昭和三二年八月二〇日付でした決定を取り消す。 三原告医療法人財団Bのその余の請求並びに同塩田会、同C及び同Dの各請求を棄却する。 四訴訟費用のうち、原告塩田会と被告国との間に生じたものは、同原告の負担とし、原告Cと被告中野税務署長との間に生じたものは、同原告の負担とし、原告Dと被告蒲田税務署長との間に生じたものは、同原告の負担とし、原告Aと被告大森税務署長との間に生じたものは、同被告の負担とし、原告Bと被告荒川税務署長との間に生じたものは、これを四分し、その一を同原告の負担とし、その余を同被告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一原告ら(その名称中「医療法人財団」の表示を省略する)。 1 原告塩田会(一) 原告塩田会の昭和二七年分の相続税について、下谷税務署長が昭和三二年一〇月二三日付で決定した相続税額一三三万六〇七〇円の租税債務が存在しないことを確認する。 (二) 訴訟費用は、被告国の負担とする。 との判決 2 原告C(一) 原告Cの昭和二七年分の相続税について、被告中野税務署長が昭和三二年一〇月二六日付でした更正を取り消す。 (二) 訴訟費用は、被告中野税務署長の負担とする。 との判決 3 原告D(一) 原告Dの昭和二九年分の贈与税について、被告蒲田税務署長が昭和三二年八月二一日付でした決定を取り消す。 (二) 訴訟費用は、被告蒲田税務署長の負担とする。 との判決 4 原告A(一) 原告Aの昭和二八年分の贈与税について、被告大森税務署長が昭和三二年一〇月三〇日付でした更正を取り消す。 (二) 訴訟費用は、被告大森税 、被告蒲田税務署長の負担とする。 との判決 4 原告A(一) 原告Aの昭和二八年分の贈与税について、被告大森税務署長が昭和三二年一〇月三〇日付でした更正を取り消す。 (二) 訴訟費用は、被告大森税務署長の負担とする。 との判決 5 原告B(一) 被告荒川税務署長が原告Bの昭和二七年分の相続税について昭和三二年八月二〇日付でした決定及び同原告の昭和三〇年分の贈与税について昭和三三年一一月二〇付でした決定を取り消す。 (二) 訴訟費用は、被告荒川税務署長の負担とする。 との判決二被告ら 1 原告らの各請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は、原告らの負担とする。 との判決第二原告らの請求原因一本件各処分の経緯原告らは、いずれも医療法三九条一項に基づき設立された財団形態の医療法人であり、その設立年月日、資金の総額、その設立のために受けた財産の提供及びその後に受けた贈与の内訳は、別紙第一目録記載のとおりであるところ、下谷税務署長及び被告国を除くその余の被告ら(以下「被告税務署長ら」という。)は、原告らに対し、相続税法六六条四項(昭和三三年法律第一〇〇号による改正前のもの。以下同じ。)に基づき、それぞれ別紙第二目録記載の各処分(以下「本件各処分」という。また、以下、同目録中の「原告名」及び処分の「年月日」の名欄に付した番号により、それぞれの処分を、本件(一)決定、本件(二)決定、本件(二)更正、本件(三)決定、本件(四)決定、本件(四)更正、本件(五)(1)決定、本件(五)(2)決定、本件(五)更正という。)をした。 二本件各処分の違法・無効事由しかし、本件各処分は、次の事由によつて違法ないし無効である。 1 本件各処分通知書の理由附記の不備相続税法三六条一項(昭和三七年法律第六七号による改正前のもの。以下「旧相続税法三六条一項」とい 由しかし、本件各処分は、次の事由によつて違法ないし無効である。 1 本件各処分通知書の理由附記の不備相続税法三六条一項(昭和三七年法律第六七号による改正前のもの。以下「旧相続税法三六条一項」という。)は、税務署長が課税価格又は相続税額若しくは贈与税額を更正又は決定した場合には、その理由を更正通知書又は決定通知書に附記して納税義務者に通知しなければならない旨を定めている。そして、このように、法が理由附記を要請しているのは、更正又は決定の公正を担保するためのものであり、かつ、このことは、通常の相続や贈与とは異なる相続税法六六条四項の適用される場合には、なおさら強い要請があるものといえるから、かかる理由附記を欠く決定又は更正は、違法ないし無効である。これを本件各処分についてみると、その理由附記は、次のとおりいずれも不備である。 (一) 本件(一)決定、本件(三)決定及び本件(四)決定の各決定通知書には、その理由として「相続税法第六六条第四項により申告義務があるにもかかわらず申告がないので決定する。」と附記されているに過ぎず、原告塩田会、同D、同Aがそれぞれ提供を受けた財産の内容すら記載されていない。これでは、提供を受けた財産とは関係なく、とにかく同原告らが相続税又は贈与税の納税義務者であるというのに等しく、適法な理由附記を欠くものというべきである。 (二) 本件(二)決定の決定通知書には、その理由として「相続税法第六六条四項により申告するようになつているが、申告がないので決定する。」と附記されているに過ぎず、前項と同様な理由により適法な理由附記を欠くものというべきである。 (三) 本件(五)(1)決定の決定通知書には、その理由として「申告しようようせるも申告書提出せざるため」と附記されているに過ぎない。これでは、決定する権限があるから決定す ものというべきである。 (三) 本件(五)(1)決定の決定通知書には、その理由として「申告しようようせるも申告書提出せざるため」と附記されているに過ぎない。これでは、決定する権限があるから決定するというのに等しく、決定の理由附記を全く欠くことが明らかである。 また、本件(五)(2)決定の決定通知書には、その理由として「大田区<以下略>p1が昭和三〇年一二月二〇日医療法人(財団)磯医院に対し追加出えんがあつたにもかかわらず贈与税の申告がないので相続税法第六六条第四項により決定する。」と附記されているにとどまる。これでは、原告Bに対する出捐が相続税法六六条四項に該当するから決定するというに過ぎず、p1の親族その他これらの者と特別の関係がある者の贈与税の負担が不当に減少する結果となる理由は全く記載されていないから、適法な理由附記を欠くものというべきである。 2 更正・決定をするについての調査の欠如相続税法三五条一項ないし三項(昭和三七年法律第六七号による改正前のもの。ただし、二項は昭和三三年法律第一〇〇号による改正前のもの。以下「旧相続税法三五条一項ないし三項」という。)によると、税務署長が課税価格又は相続税額若しくは贈与税額の更正又は決定をするには調査によらなければならないところ、本件各処分は、いずれも原告らが医療法人の設立認可を受けるため東京都知事に提出した設立認可申請書を唯一の資料として、他になんの調査もすることなく、財団形態の医療法人に対して財産提供、贈与等があつた場合にはすべて相続税法六六条四項に該当するとの見解のもとに行われたものである。したがつて、本件各処分は、旧相続税法三五条二項又は三項に反し、違法なものである。 (ちなみに、被告らが本件訴えにおいて提出している書証は、前記申請書のほかは、法人税決議書を除きいずれも本件各処分 。したがつて、本件各処分は、旧相続税法三五条二項又は三項に反し、違法なものである。 (ちなみに、被告らが本件訴えにおいて提出している書証は、前記申請書のほかは、法人税決議書を除きいずれも本件各処分後に収集されたものであつて、これらの処分が調査に基づかないでされたことは明らかである。) 3 相続税法六六条四項の違憲性(昭和三四年(行)第一一二号事件関係)日本国憲法八四条は租税法律主義の原則をとつているから、いかなる個人又は法人が納税の義務を負うかは、各租税法規に疑問の余地のない程明白に規定されなければならないところ、相続税法六六条四項は、次のとおり租税法律主義の原則に反し無効である。すなわち、(一) 相続税法六六条四項は、納税義務者について「公益を目的とする事業を行う法人」と規定しているが、右規定では、いかなる法人がこれに当たるかを確定することができないから、同条項を適用するには、この点を税務官庁の裁量によつて確定する以外に方法がない。このように、納税義務者が税務当局の裁量によらなければ確定し得ないような租税法規は、租税法律主義に反するものであつて、無効である。 (二) 同条項には「親族その他これらの者と第六四条第一項に規定する特別の関係がある者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果になると認められる場合」との規定があるが、右は要件となる事実を定めたものではなく、判断の経過を表わしたものにすぎず、結局、これは税務官庁が判断して、不当に減少したことになつたと認めた場合というのであつて、その判断の基準については、なんら規定するところがない。すなわち、だれに対する相続税等の負担が不当に減少したと認めるのか、「不当」とはいかなる意味であるか等の認定については、すべて税務官庁に白紙委任されており、しかも、その認定の内容は相続税又は贈与税の課 なわち、だれに対する相続税等の負担が不当に減少したと認めるのか、「不当」とはいかなる意味であるか等の認定については、すべて税務官庁に白紙委任されており、しかも、その認定の内容は相続税又は贈与税の課税標準に関するものである。 このような課税標準に関する事項が税務官庁に白紙委任され、その裁量によらなければ実施し得ないような租税法規は、租税法律主義の原則に反し無効である。 したがつて、かかる無効な条項に基づく本件各処分も無効である。 4 相続税法六六条四項の医療法人に対する適用の不当性(一) (昭和三四年(行)第一一二号事件関係)医療法人は、次のとおり相続税法六六条四項に規定する「公益を目的とする事業を行う法人」に該当しない。したがつて、これを適用して行つた本件処分は違法である。 すなわち、(1) 「公益を目的とする事業を行う法人」とは、その目的として行う事業が法律上公益性を有する法人であると解すべきである。ところが、同条項が引用する法人税法五条一項三号(昭和三七年法律第六七号による改正前のもの。以下「旧法人税法五条一項三号」といいう。)に掲げる法人たる労働組合及び国家公務員法又は地方公務員法に基づく法人たる国家公務員又は地方公務員の団体は、「公益を目的とする事業を行う法人」には当たらない。というのは、労働組合等は、労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることないしは同様の趣旨を主たる目的として組織された団体又はその連合体であつて、その目的とする事業は法律上公益性を有するものではないからである。したがつて、法人税法五条一項一号(昭和三三年法律第一七〇号による改正前のもの。以下「旧法人税法五条一項一号」という。)又は同条項三号に掲げる法人は「公益を目的とする事業を行う法人」の例示であるということはできないから、 条一項一号(昭和三三年法律第一七〇号による改正前のもの。以下「旧法人税法五条一項一号」という。)又は同条項三号に掲げる法人は「公益を目的とする事業を行う法人」の例示であるということはできないから、同条項に掲げる法人の法的性格を検討して、それに類似する法人を「公益を目的とする事業を行う法人」であると理論づけることはできない。 (2) 医療法は、医療法人については、剰余金配当禁止(五四条)、設立又は定款、寄附行為の変更に関する行政庁の認可(四四条、四五条、五〇条)、決算の届出(五一条)、業務・会計の報告(六五条)等に関し、いわゆる監督規定を置いているが、これは、医療法を改正して医療法人の制度を設けた立法趣旨である「医療事業の永続性」を図ることを確保する目的に由来するものであつて、医療法人の事業が法律上公益性を有することに由来するものではないから、このような規定の存在することをもつて医療法人が「公益を目的とする事業を行う法人」、であることの根拠とすることもできない。 (3) また、医療法人は、財団又は社団の形式をとつているが、それは、資金の蒐集、事業の永続性の確保という医療法人制度制定の歴史に由来するものであつて、医療事業の公益性によるものではないから、医療法人は民法上の公益法人又はそれに類似する公益的な法人ではないのであつて、ただ形式が公益法人と類似しているだけで、その実質は営利を目的とする病院がそのまま法人格を取得したものに過ぎない。 (4) そこで、医療法人が税法上いかなる性格の法人であるかを検討する。 (1)所得税法(昭和三九年法律第二〇号による改正前のもの。以下「旧所得税法」という。)九条一項四号、九号の規定からみて、所得税法は医業を営利事実としていることは明らかである。 したがつて、この医療事業の主体が単に法人形態に変ることによつて る改正前のもの。以下「旧所得税法」という。)九条一項四号、九号の規定からみて、所得税法は医業を営利事実としていることは明らかである。 したがつて、この医療事業の主体が単に法人形態に変ることによつて、その目的とする事業が法律上公益性を附与されるということはあり得ない。(2)旧法人税法五条一項に規定する公益法人等の営む収益事業より生じた所得に対しては法人税が課されることになつているところ、その収益事業には同法施行規則(昭和三三年政令一五号による改正前のもの。以下「旧法人税法施行規則」という。)一条の三により医療事業が含まれているから、同法が医療事業を営利法人の事業と同様に収益事業としていることは明白である。また、同法による法人の分類上、医療法人は、非課税法人(四条)、公益法人等(五条一項)、特殊法人(九条六項)ではなく、一般の法人に属するものとされていて、法人税、所得税、資産再評価税、固定資産税、住民税、登録税等すべて営利法人と同様に課税されている。医療法人を法人税法上では営利法人として取り扱い、相続税法上では公益法人類似の「公益を目的とする事業を行う法人」として取り扱うことは、租税体系上の矛盾をおかすこととなり、誤りである。(3)更に、個人の開業医が医療施設を相続し又は贈与された場合は、取得した財産が医療事業の用に供されることが確実であつても、医療事業は公益を目的とする事業ではないとして相続税法一二条一項一二号、二一条の三第一項三号(昭和三三年法律第一〇〇号による改正前のもの。以下「旧相続税法一二条一項三号、二一条の三第一項三号」という。)は、適用されず、相続税又は贈与税が課されることとなつている。したがつて、医療法人について、相続税法六六条四項により、その医療事業は「公益を目的とする事業」であるとして、個人とみなされて相続税又は贈与 適用されず、相続税又は贈与税が課されることとなつている。したがつて、医療法人について、相続税法六六条四項により、その医療事業は「公益を目的とする事業」であるとして、個人とみなされて相続税又は贈与税が課されるとするならば、相続税等の課税上、医療事業は、個人の開業医の場合には公益を目的とする事業でないということになり、他方、医療法人の場合には公益を目的とする事業であるということになるのであつて、完全な背理である。 (二) (昭和三四年(行)第一一二号事件関係)医療法人に対する財産の贈与又は遺贈等によつて、相続税法六六条四項の規定するように、「当該贈与者又は遺贈者の親族その他これらの者と特別の関係がある者(以下「同族関係者」という。)の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められる」ということは、次のとおり理論的にあり得ないから、これを医療法人に適用してした本件各処分は違法である。すなわち、(1) 医療法人は、「医療事業の永続性」を図るために特に立案制定された法人制度であつて、贈与者等の死亡による相続税又は贈与税が賦課されないことを建前とし、それが立法の目的である。したがつて、医療法人に対して相続税又は贈与税が賦課されないのは当然であつて、同族関係者の相続税又は贈与税を不当に減少する結果となると認められる場合があるとするのは、医療法人制度の立法趣旨を無視したものである。 (2) 財産の提供者の相続人の相続税を提供の時点において確定・立証すること及び贈与者より贈与を受けたといわれる者の贈与税を確定・立証することは不可能であるから、これらの相続人、受贈者の相続税又は贈与税の負担が減少すると考えること自体が不可能であり、無意味である。 (3) 旧相続税法一二条一項三号は「宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定 らの相続人、受贈者の相続税又は贈与税の負担が減少すると考えること自体が不可能であり、無意味である。 (3) 旧相続税法一二条一項三号は「宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが相続に因り取得した財産で当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの」を相続税の非課税財産とし、同法二一条の三第一項三号も右と同目的の事業を行う者で政令で定めるものか贈与又は遺贈に因り取得した財産で右と同事業の用に供することが確実なものを贈与税の非課税財産とする旨規定しているところ、右各規定の「公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるもの」について、同法施行令二条(昭和三三年政令九三号による改正前のもの。以下同じ。)は、「一宗教の普及、慈善または学術の研究もしくはその普及の事業を行う者、二学校の教育または学校教育に類する教育事業を行う者、三育英事業を行う者、四前三号に掲げる者のほかもつぱら公益の事業を行う者」を掲げているが、同法六五条一項、六六条四項にいう「その他公益を目的とする事業を行う法人」は、前記の四種の公益事業者のいずれかに当たることは確実である。したがつて、財団医療法人が「公益を目的とする事業を行う法人」であるとすれば、当該法人に対する贈与又は遺贈にかかる財産が公益の事業の用に供される限り、当該財産が非課税財産であることは明白であり、医療法人が贈与等を受けた財産は、すべて公益を目的とする事業、すなわち医療事業の用に供されているもののみであるから、贈与税又は相続税を課するのは違法である。もつとも、前記施行令二条の規定によれば、「その者に財産を贈与した者又はその者に財産を贈与若しくは遺贈した者の親族に対し同条各号に掲げる事業に関する施設の利用等について特別の利益を与えない場合に限る。」という留保条件が付されて 定によれば、「その者に財産を贈与した者又はその者に財産を贈与若しくは遺贈した者の親族に対し同条各号に掲げる事業に関する施設の利用等について特別の利益を与えない場合に限る。」という留保条件が付されてはいるが、原告Bの場合は右にいう「特別の利益」を与えているものではない。 (三) 相続税法六五条は、法人がその所有する施設の利用上、法人の余裕金の運用上、法人が解散した場合の法人所有の財産の分配上の特別利益を、法人が与えるものではなく、法人に対する財産の贈与者等が贈与等の時に特別利益を受ける者に直接与えたものとみなして、特別の利益を受ける者に相続税又は贈与税を課するのであり、同法六六条は、当該法人に対する財産の贈与等により、贈与者等の親族その他同族関係者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められる場合に、当該法人に対し課税するものとされているのである。ところで、被告らは、本件各処分の理由として、原告らが解散した場合の残余財産の帰属について特定の者に特別の利益を与えるかも知れないという可能性、原告らの施設の利用について特定の者に特別の利益を与えているということ、あるいは余裕金の運用において特定の者に特別の利益を与えているということを主張しているが、このような主張によれば、原告ら関係者個人に対し同法六五条を適用し得るという趣旨になるから、被告らは課税の対象及び適条を誤つて原告らに対し同法六六条四項を適用して本件各処分に及んだものである。したがつて、本件各処分は違法である。 (四) 医療法人に対して相続税法六六条四項を適用するのは、信義則又は禁反言の原則に違反するから、本件各処分は、この点からも違法である。 (1) 財団医療法人制度が制定された理由が、財団医療法人に対する贈与者等が死亡しても診療施設に相続税が課されることはないから、「 禁反言の原則に違反するから、本件各処分は、この点からも違法である。 (1) 財団医療法人制度が制定された理由が、財団医療法人に対する贈与者等が死亡しても診療施設に相続税が課されることはないから、「医療事業の永続性」が確保されるためであることは、既に述べたとおりである。すなわち、財団医療法人を設立する際の財産の提供による財産権の移転についても、また提供者等が死亡した場合も、これを原因として課税されることはないという建前であつたのであり、このことは、医療法が改正され、医療法人制度が制定される際の国会の審議においても政府委員から説明された。その後、政府は、東京都知事を通じて原告らへの寄附者らに対し財団医療法人を設立するよう強力な行政指導を行つた。 (2) 原告ら医療法人は、右のような当局の指導方針に従つて設立されたものである。ところで、原告らの当初の寄附行為中には、財団解散の場合の残余財産の処分について、財産提供者等又はその家族にこれを分配する旨の規定がなく、国、公共団体等に帰属する旨の規定が置かれていた。財産提供者等の関係者らはこのような規定を設けることは必ずしも賛成ではなかつたが、強い行政指導と個人的な利益よりもまず、医療事業の永続性の確保を優先的に考えた結果、右の行政指導に従い右のような規定を置いたのであつて、このことは、原告らの関係者らが相続税の非課税と医療事業の永続性という当局の指導方針を信用して原告らを設立したことを明らかに示している。 (3) その後、昭和二七年法律第五五号により相続税法の一部が改正され、同法六六条に四項が加えられたが、同項所定の「その他公益を目的とする事業を行う法人」との文言は、現実には財団医療法人のほかには該当するものがないのに、このようなあいまいな規定により右の点を明らかにすることを避けた。また、税務当局 同項所定の「その他公益を目的とする事業を行う法人」との文言は、現実には財団医療法人のほかには該当するものがないのに、このようなあいまいな規定により右の点を明らかにすることを避けた。また、税務当局も、この点につき関係団体等に対して解説を行うこともせず、申告をするよう指導することもなく、昭和二八年一二月二五日国税庁長官通達をもつて初めてその内容を明らかにし、財団医療法人が右規定にいう「公益を目的とする事業を行う法人」に当たるものとしたのである。さらに、国税庁長官は、その後「財団組織」を「社団組織」に切りかえるか、又は「財団医療法人」を解散して「個人」に戻るかいずれか一つを条件として、相続税法六六条四項の規定を適用しない旨の通達を出したが、これは、「財団解散に伴つて生起する法人税法上の清算所得に対する課税及び所得税法上における一時所得に対する課税の免除、財団設立に伴つて既に発生した資産再評価法による租税等の免除、更に民法、医療法、法人登記規則その他法人を拘束するあらゆる強行規定の働くことを停止して、きりかえに便宜をはかる。」という趣旨のものであつて、著しく条理にもとり、いわば通達による行政によつて医療法人のそもそもの設立の趣旨をないがしろにし、法人の解散や組織の変更を強要するものといわなければならない。 (4) 以上のとおり、医療法人への財産提供者らは、行政指導に従い、医療法人を設立することにより課税されることはないとの国の意思表示を信頼して医療法人を発足させたのであつて、その後、相続税法を改正して医療法人に対し課税することにしたのは、まさに「だましうち」のようなものであつて、許されない。 5 相続税法六六条四項の原告らに対する適用の不当性仮に、相続税法六六条四項を医療法人に対して適用することができるとしても、原告らに対する前記のような財産 しうち」のようなものであつて、許されない。 5 相続税法六六条四項の原告らに対する適用の不当性仮に、相続税法六六条四項を医療法人に対して適用することができるとしても、原告らに対する前記のような財産の贈与等により贈与者等又はその同族関係者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となつてはいないのに、そのような結果となると認められるとして、同法条を原告らに適用してした本件各処分は違法である。 三結論よつて、原告塩田会は、被告国との間において本件(一)決定にかかる相続税額一三三万六〇七〇円の租税債務が存在しないことの確認を、原告Cは、本件(二)更正の取消しを、原告Dは、本件(三)決定の取消しを、原告Aは、本件四更正の取消しを、原告Bは、本件(五)(1)決定(ただし、本件(五)更正により一部取り消された部分を除く)及び本件(五)(2)決定の取消しをそれぞれ求める。 第三請求原因に対する被告らの認否及び主張一請求原因に対する認否 1 請求原因一の事実は認める。 2 同二の1の事実のうち、本件各処分に附記された各理由が原告ら主張のとおりであることは認めるが、その余の点は争う。 3 同二の2の事実のうち、下谷税務署長及び被告税務署長らが本件処分を行うに際し、原告らが東京都知事に提出した設立申請書類を資料として収集したことは認めるが、その余の事実は争う。 4 同二の3ないし5の各点は、いずれも争う。 二被告らの主張本件各処分は、以下の各理由により適法・有効なものである。 1 理由附記の適法性(一) 相続税額又は贈与税額等を更正若しくは決定した場合の通知書に附記すべき理由の程度は、青色申告書にかかる更正の場合と異なり、当該処分がいかなる理由で行われたかを了知し得る程度で足りるものというべきである。けだし、青色申告書にかかる更正の場合は、青色申 知書に附記すべき理由の程度は、青色申告書にかかる更正の場合と異なり、当該処分がいかなる理由で行われたかを了知し得る程度で足りるものというべきである。けだし、青色申告書にかかる更正の場合は、青色申告書を提出するには、政府の承認をうけた帳簿書類を具備し、かつ、記帳することが義務づけられており、申告にかかる課税標準の計算が右の帳簿書類の記載に基づくものであることが担保されていることにより、その帳簿の記載を無視して更正されることがない旨を納税者に保障したものであるから、その更正通知書に附記すべき理由も、更正の具体的根拠を帳簿との関連においていかなる理由によつて更正するかを明らかにするものでなければならないが、これに対し、相続税及び贈与税にあつては、申告にかかる課税標準の計算は、右のような法定の帳簿書類に基づくものではなく、しかも、更正の場合に限らず、無申告の場合の決定の通知書にも理由附記を要するものとしている点にかんがみると、旧相続税法三六条一項において相続税等の更正又は決定に理由附記を要求する趣旨は、一般の行政処分について、処分の理由を被処分者に告知し、いかなる理由で当該処分がされたかを了知させることが望ましいことであるというのと異ならないものと解するのが相当だからである。 (二) ところで、原告らに対する本件各処分の通知書には、原告ら主張のとおり処分の根拠法条を摘記してあつて、原告らが相続税法六六条四項に基づき納税義務を負つていること、原告らが申告義務を履行していないこと及び被告税務署長らと下谷税務署長とが右理由により本件各処分を行つたことを明らかにしているから、旧相続税法三六条一項所定の附記理由としては、法の要求を十分充たしているものというべきである。 (三) なお、本件(五)(1)決定の通知書には、「申告しようようせるも申告書提出せ かにしているから、旧相続税法三六条一項所定の附記理由としては、法の要求を十分充たしているものというべきである。 (三) なお、本件(五)(1)決定の通知書には、「申告しようようせるも申告書提出せざるため」という理由が附記されているだけで、処分の根拠法条も明示されておらず不親切なきらいがあるが、右通知書を受けた原告Bは、右決定以前から相続税法六六条四項に基づく納税義務の存在を争う租税債務不存在確認訴訟を提起していて、同原告に対する本件(五)(1)決定が同法条に基づくものであることを承知していたのであるから、右決定の通知書の理由に根拠法条の記載がないことをもつて、直ちに同決定の取消しに値いする違法があるというべきではない。 (四) 仮に、本件各処分の前記理由附記が不備であるとしても、当時の他の税法が、青色申告書にかかる更正の場合以外にはその通知書に理由附記を要求しておらず、旧相続税法三六条一項も昭和三七年法律第六七号により削除されて相続税や贈与税の決定又は更正についても理由附記が心要でなくなつたことなどからみて、かかる理由附記の不備は、ただそれだけでは課税処分の取消事由にはならないものと解すべきである。 2  調査の存在被告税務署長ら及び下谷税務署長は、相続税法六六条四項の適用に当たり、当該法人の実態その他事業関係を明らかにする心要があつたところ、原告らが法人設立直後に同被告ら及び下谷税務署長に提出した法人設立申告書及びそれに添付の寄附行為、設立趣意書、財産目録等によつて、その組織・運営の大綱、役員の構成、寄附行為の内容等を知り得たが、また、前記設立認可申請書類によつて、設立認可の時点における原告らの状態を再確認し、より具体的な実態その他の事実関係を把握し、更に、原告らについてその他の調査も行つたうえで、前記法条の適用の可否を判定したの 設立認可申請書類によつて、設立認可の時点における原告らの状態を再確認し、より具体的な実態その他の事実関係を把握し、更に、原告らについてその他の調査も行つたうえで、前記法条の適用の可否を判定したのであるから、同被告ら及び下谷税務署長において調査欠如のまま本件処分を行つた違法はない。 3 相続税法六六条四項の合憲性(昭和三四年(行)第一一二号事件関係)(一) 租税法律主義の原則により、課税要件はできるだけ詳細かつ明確に法律又は法律に定める条件によつて定められることが要請されるのであるが、税法の対象とする社会経済上の事象は千差万別であり、その態様も日々生成・発展・変化している事情のもとでは、それらの一切を法律により一義的に規定しつくすことは困難であるから、税法においては、既定の法概念にとらわれず、社会経済の実態に即応する用語を使用することも避けられない。そして、相続税法六六条四項は、「その他公益を目的とする事業を行う法人」という用語を使用しており、右用語は実定法上必ずしも一般化されているとはいえないが、同条項で右公益を目的とする事業を行う法人の例示として掲げる旧法人税法五条一項一号又は三号に掲げる法人のほか、右と類似する法人で特別法により設立されたものを包含させているのは、同条項の趣旨・目的を達成させるためであつて、そのために右用語を使用するのも止むを得ないのである。 (二) 相続税法六六条四項の「相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められる場合」という規定も、租税法律主義に違反するものではない。けだし、同法条が租税回避を防止するため新たに租税法律関係を設定する規定であることにかんがみると、公益法人等の役員の構成、施設・資金の運用・管理及びこれらの重要事項の決定、解散した場合の残余財産の帰属等が多様であり、当該公益法人等に め新たに租税法律関係を設定する規定であることにかんがみると、公益法人等の役員の構成、施設・資金の運用・管理及びこれらの重要事項の決定、解散した場合の残余財産の帰属等が多様であり、当該公益法人等に対する財産の提供、贈与等によるその提供者、贈与者の親族等の相続税又は贈与税の回避行為の態様も多種多様であるから、右条項が前記の趣旨・目的を達成するため、右のような用語を使用することも止むを得ないというべきであり、また、右条項に該当するか否かの決定は税務官庁の裁量に委ねられているものではなく、当該公益法人等と右提供者、贈与者等又はこれらの者の親族その他の特別関係者との関係や当該法人の運営及び財産の管理の実態に照らして、合理的かつ客観的に決せられるからである。 4 相続税法六六条四項の医療法人に対する適用の相当性(一) (昭和三四年(行)第一一二号事件関係)医療法人は、同条項の「公益を目的とする事業を行う法人」に該当する。 (1) 相続税法六六条四項所定の「公益を目的とする事業を行う法人」とは、同条項が当該法人の例示として、民法三四条により設立された法人、日本赤十字社、商工会議所、社会福祉法人、宗教法人、私立学校法六四条四項により設立された法人、労働組合、国家公務員又は地方公務員の団体等を掲げていることにかんがみると、民法上の公益法人と特別法により設立された公益的法人を含むものであつて、それらの法人の行う事業がいずれも公益性をもつ点に着目して設けられた法人の包括概念と解される。 なお、この点について、原告Bは、労働組合又は公務員の団体の行う事業は公益性を有しないから、旧法人税法五条一項一号又は三号に掲げる法人は「公益を目的とする事業を行う法人」の例示とはいえない旨主張するが、労働組合等の行う事業は、労働者の経済的地位の向上という労働者共通の利益のた しないから、旧法人税法五条一項一号又は三号に掲げる法人は「公益を目的とする事業を行う法人」の例示とはいえない旨主張するが、労働組合等の行う事業は、労働者の経済的地位の向上という労働者共通の利益のために行われるものであるから、かかる事業も一種の公益を目的とする事業である。 (2) ところで、医療法人は、病院又は診療所を開設・経営することを主たる目的とし、これによつて医療事業を行うものであるところ、そもそも医療事業は、国民の健康保持のため不可欠なもので、その業務は直接国民の生命の保全、身心の健康等公衆衛生に深いかかわりをもつものであり、事の性質上営利の目的のみをもつて行われるべきでないのであつて、医師が診療につき公法上の義務を課され(医師法一九条)、医療行為等について国の指示権に服する(同法二四条の二)ごときは、その現れの一端であり、このことからも医療事業は公益性をもつ事業というべきである。そして、すべての国民に必要な医療を確保するには、公的医療機関のみならず、民間医療機関の整備・充実が図られなければならないが、私人による病院又は診療所の建設、設備の改善等は、資金の面で多くの困難を伴い、また、個人経営の病院等については、開業医の死亡により医療事業の継続に支障を来たすなど、病院等の経営の維持・継続が困難な事例がみられることから、資金の集積を容易ならしめるとともに、事業の永続性を確保するため、私人の病院等に法人格を与える必要性が認められていたところ、医療事業に法人格を付与するに当たり、これを商法上の会社とすることは前記の医療の非営利性という点から望ましいものではなく(医療法七条二項ー昭和三七年法律一五九号による改正前のものー、以下「旧医療法七条二項」という。)、他方、すべての病院が民法上の公益法人たる資格を取得することも期待し難いので、かかる いものではなく(医療法七条二項ー昭和三七年法律一五九号による改正前のものー、以下「旧医療法七条二項」という。)、他方、すべての病院が民法上の公益法人たる資格を取得することも期待し難いので、かかる医療事業の特殊性にかんがみ、医療事業について、特別法たる医療法による特別の法人(医療法人)の制度が設けられたものと解される。また、旧医療法が、医療法人は、社団又は財団の形態をとるものとし(三九条)、剰余金配当の禁止(五四条)、設立、定款、寄附行為の変更に関する行政庁の認可(四四条、四五条、五〇条)、決算の届出(五一条)、業務会計の報告(六三条)、業務停止、設立認可の取消し(六四、六六条)、解散、合併、残余財産の処分に対する行政庁の認可(五五条ないし五七条)等に関し種々の法的規制を加えているのも、医療法人の公益性を確保し、これが営利企業化することを防止し、かつ、法人形態の社会的信用を確保するため一定規模の設備の維持・充実、組織内容の公示、行政監督の徹底を図る趣旨と解される。したがつて、医療法人は、いわゆる営利法人ないし公益法人以外の法人に属し、更に医療事業の性質からみて「公益を目的とする事業を行う法人」に該当するものというべきである。 (3) 同原告は、医療法人が財団又は社団の形式をとつたのは、資金の蒐集及び事業の永続性の確保という医療法人制度制定の歴史に由来するものであつて、医療事業の公益性によるものではないと主張するが、資金蒐集、事業の永続性の確保という医療法人制度の目的は、法人格を取得することによつて達成されるのであつて、法人格を取得することと事業の営利性とは本来関係のないことである。 すなわち、医療法人が法律上非営利的な特殊法人として設立を認められたのは、前記のように医療事業が国民の保健衛生上欠くことのできない公益性、非営利性を帯びている の営利性とは本来関係のないことである。 すなわち、医療法人が法律上非営利的な特殊法人として設立を認められたのは、前記のように医療事業が国民の保健衛生上欠くことのできない公益性、非営利性を帯びていることに基づくものにほかならない。もとより、医療事業により収益をあげることは可能である(法人税法施行規則ー昭和三三年政令一五号による改正前のもの(以下「旧法人税法施行規則」という。)ー一条の三第一項三〇号)けれども、公益性自体が収益性を否定するものではなく、また、公益法人等(旧法人税法五条一項)も収益事業を営むことはなんらその本質に矛盾するものではないから、医療法人の事業が収益性を有するからといつて、そのことから直ちに医療事業の公益性を否定することはできない。 また、同原告は、個人の医療事業については旧相続税法上公益を目的とする事業ではないとして同法一二条一項三号、二一条の三第一項三号は適用されず、所得税法上もこれを営利事業としているのに、これが法人形態に変ることにより法律上公益性を付与されることはあり得ないし、また、法人税法は医療法人を営利法人と同様に扱つているから、これを相続税法上公益法人に類似した法人とすることは、租税体系上の矛盾であつて許されないと主張する。しかし、医療事業が公益性・非営利性を有する事業であることは前述のとおりであるから、医療事業を営む者は、旧相続税法一二条一項三号、二一条の三第一項三号所定の「公益を目的とする事業を行う者」に該当するというべきであるが、非課税の取扱いを受けることができないのは、これら条項の定める政令の要件をみたすことができないためにほかならない。 また、旧所得税法九条は、医療事業から生ずる所得を事業所得として規定しているが、このことから直ちに医療事業が営利事業であるということは相当でない。更に、公益法人及 ことができないためにほかならない。 また、旧所得税法九条は、医療事業から生ずる所得を事業所得として規定しているが、このことから直ちに医療事業が営利事業であるということは相当でない。更に、公益法人及び公益を目的とする事業を行う法人が、公益目的遂行のために要する財源獲得の手段ないしは公益目的の実現として収益事業を行うことはなんら右法人の性質と矛盾するものではなく、医療法人は、法人税法上非課税法人、公益法人等以外の一般の普通法人として、課税上は営利法人と同様の取扱を受けているけれども、それは、もつぱら医療法人の行う事業が収益事業であるからにほかならず、医療法人が営利法人たる性質を有するからではない。 (4) よつて、医療法人は、相続税法六六条四項の「公益を目的とする事業を行う法人」に該当するものというべきである。(二) (昭和三四年(行)第一一二号事件関係)医療法人に対する財産の贈与又は遺贈等によつて相続税法六六条四項所定のように、当該贈与者又は遺贈者の同族関係者の「相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果になる」ことはあり得る。 (1) 同条項は、公益法人等に対し財産の提供、贈与等があつた場合に、財産の提供者、贈与者又はその親族等が当該法人の施設の利用、余裕金の運用、解散した場合の残余財産の帰属等につき一切の権限を有しているのと同様の事情にあるのにかかわらず、財産の提供者、贈与者等の親族等に相続税又は贈与税が課されず、相続税又は贈与税の負担が著しく不公平な結果となることを防止する趣旨のものであるから、出資持分の定めのある法人については同条項が適用される余地はない。しかし、出資持分の定めのない法人の場合は、財産の提供又は贈与等により当該提供、贈与等にかかる財産は、当該法人のものとなり、また、出資持分がないため持分の移転の際に相続税又は贈与 される余地はない。しかし、出資持分の定めのない法人の場合は、財産の提供又は贈与等により当該提供、贈与等にかかる財産は、当該法人のものとなり、また、出資持分がないため持分の移転の際に相続税又は贈与税を課することはあり得ず、したがつて、財産の提供者、贈与者又はその特別関係者が右財産を実質的に支配している場合には、提供者、贈与者について相続が開始し、又は親族等が当該財産を支配することとなつた際には、実質的に提供者、贈与者の相続人又は親族等が右財産を取得したのと同様の事情にあるにもかかわらず、相続税又は贈与税の課税権を行使し得ないこととなるから、財産の提供者、贈与者等の親族その他同族関係者の相続税、贈与税の負担が不当に減少する場合を生ずることがあり得るといえる。 (2) 同条項の贈与者又は遺贈者の同族関係者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となるかどうかは、当該法人に対する財産の提供又は贈与の時点において、当該法人の社会的地位、評価、定款若しくは寄附行為の定め、役員の構成、収支の経理及び財産の管理の状況等からみて、財産の提供者、贈与者の同族関係者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められる事実が存すれば足り、結果的にだれにどれだけの相続税又は贈与税の負担の減少を来たしたかを確定的に明らかにする必要はないというべきである。 (3) 財団たる医療法人は出資持分のない法人であつて、その運営の態様等によつては、相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果になることもあり得るのであるから、これに対し前記条項を適用することは可能である。 なお、原告らは、医療法人制度は、相続税又は贈与税を課さないことによつて医療事業の永続性を図るものである旨主張するが、同制度が事業の永続性を一目的とするからといつて、それがために医療法人を設立しさえ なお、原告らは、医療法人制度は、相続税又は贈与税を課さないことによつて医療事業の永続性を図るものである旨主張するが、同制度が事業の永続性を一目的とするからといつて、それがために医療法人を設立しさえすればいかなる場合においても相続税又は贈与税を課さないこととしたものとはとうてい解することができない。けだし、さもなければ、個人の開業医は、医療事業の実態はそのままにしながら法人格を取得することによつて容易に相続税又は贈与税を免れることができ、租税負担の公平を著しく害するからである。 (三) 旧相続税法一二条一項三号及び二一条の三第一項三号は、公益を目的とする事業を行う者のうち、「政令で定める者」がその公益を目的とする事業の用に供することの確実な財産だけを非課税財産としているのであり、同条の委任を受けた同法施行令二条及び四条の三は、その委任の趣旨を受付て、慈善、学術、宗教等社会通念上収益性の余地がないような事業、すなわち、専ら公益の事業を行う者がその公益を目的とする事業の用に供する財産だけを非課税財産とする旨を定めているのである。したがつて、社会通念上も現実にも収益性をもつている医療法人の事業の用に供する財産が右規定の非課税財産に当たらないことは明らかである。 (四) 相続税法六五条及び六六条四項の適用の順序については、同法六五条一項の「第六六条第四項の規定の適用がある場合の外」との規定の文言に照らして明らかなように、まず六六条四項の適用の可否が問われるべきであり、同条項の適用がない場合にだけ六五条の適用の可否が問題になるのである。したがつて、公益法人等に対して財産の贈与等が行われたことにより当該法人から特別の利益を受ける者がいるような場合であつても、その者が当該財産の贈与者等の親族等同族関係者に当たるため、当該財産の贈与等によりその者の贈与税 等に対して財産の贈与等が行われたことにより当該法人から特別の利益を受ける者がいるような場合であつても、その者が当該財産の贈与者等の親族等同族関係者に当たるため、当該財産の贈与等によりその者の贈与税等の負担が不当に減少する結果となると認められるときは、まず同法六六条四項が適用されることになるのである。 被告らは、従来から、特別の利益を受ける者に対しての課税、すなわち、同法六五条の適用を主張しているのではなく、原告らの設立に伴う財産の提供は、当該財産の提供者の親族等の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるときに該当すること、すなわち、原告らに提供された財産が提供者とその親族等の支配を完全に脱していないことの根拠として、医療法人の役員の構成等及び財産管理の状況等について主張しているものであつて、本件処分の適用法条にはなんら誤りはない。 (五) 医療法人に対して相続税法六六条四項を適用しても信義則又は禁反言の原則に違反しない。 (1) 課税処分にいわゆる信義誠実の原則又は禁反言の法理をどの程度適用し得るかは甚だ疑問であるばかりでなく、昭和二七年法律第五五号による相続税法の一部改正等は、次に述べるように、決して原告ら主張のような意図や経過によつて行われたものではない。 まず、医療法人という特殊な法人を認めることによつて私的な医療事業の経営主体に容易に法人格を取得する途を開いた昭和二五年の医療法の一部改正は、主として私人による病院建設等のための資金の集積を容易にするために行われたものであり、医療事業に対して特別な租税負担の軽減を与えることを目的として行われたものではない。また、この改正によつて期待されたのは、数人以上の開業医の共同出資等による名実ともに出資者個人とははつきりと区別された強力な経営主体の出現であつて、医療事業の ことを目的として行われたものではない。また、この改正によつて期待されたのは、数人以上の開業医の共同出資等による名実ともに出資者個人とははつきりと区別された強力な経営主体の出現であつて、医療事業の実態をそのままにしておいて相続税等の租税負担だけを免れさせることは同改正法の本旨ではなかつた。もつとも、同法立案の当局者らは病院の永続性を保たせることをもその目的の一つに挙げていたようであるが、病院が法人格を取得する結果、出資者ないしは経営者個人の財産とは別の存在となることを期待したもので、これをもつて開業医個人の財産保持に特別な便宜を与えようとしたことの根拠とすることはできない。また、原告らは、政府委員の説明を援用しているが、右説明の趣旨とするところは、当時の相続税法の下では経営主体が法人格を取得している限り、当然その法人の所有に属する財産については出資者、経営者の死亡によつては、相続税の問題は起こらないことになるという結果を説明したに過ぎないものであつて、医療法人制度が相続税の負担を免れるためにのみ利用されることを是認したり、あるいはそのために重大な課税の不公平が生ずるに至つても相続税法の改正等は絶対に行わないことなどを約束する趣旨ではなかつたのである。 (2) しかるに、この医療法によつてその後に設立された医療法人の中には、当初の期待に反して、その実体が個人の開業医時代のそれとなんら異なるところがなく、法人格は、相続税を免れるための単なる形式として利用されているに過ぎないものが多かつたので、重大な課税上の不公平を生ずるに至つた。そこで、医療法の本来の趣旨に沿わない医療法人等による租税の回避を防止し、課税の公平を回復するために、国民の総意たる国会の議決に基づいて相続税法の一部改正が行われたものであり、この改正は、まことにやむを得ない合理的 本来の趣旨に沿わない医療法人等による租税の回避を防止し、課税の公平を回復するために、国民の総意たる国会の議決に基づいて相続税法の一部改正が行われたものであり、この改正は、まことにやむを得ない合理的な立法措置というべきものであつて、もとより医療法の一部改正の趣旨に反するものではない。そして、右相続税法の一部改正規定は、昭和二七年一月一日以後に設立された医療法人等に適用されることになつた(附則一項)が、国税当局においては、数次にわたる通達や説明会を通じて、同規定の適用範囲等の周知徹底をはかるとともに、それまでの間に設立された医療法人等については相続税又は贈与税の負担を不当に減少させることにならないように組織を変更すること等を条件として、同規定の立法趣旨に反しない限度で、若干の特別措置を認めて、不用意な医療法人の設立等によつて思わぬ課税を受けることのないように配慮し、行政指導をしたのである。 5 相続税法六六条四項の原告らへの適用の根拠原告らを設立するためにされた財産の提供により、当該提供者の同族関係者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認定した根拠は、以下のとおりである。 (一) 原告塩田会について(1) 原告塩田会の設立当時の役員構成は、別紙第三目録記載のとおりであつて、親子及びその妻等の同族関係者のみからなつていたが、その後も理事五名のうち四名までが財産提供者p2の同族関係者によつて占められていて、寄附行為によると、寄附行為の変更及び財団の解散は、理事の総数の五分の三の同意を得、かつ、主務官庁の認可を受けて行い得るし、財団解散の場合の残余財産の処分は、出席理事の過半数による理事会の議決を経、かつ、主務官庁の認可を得て行い得るものと定められているのであるから、これらも容易に行うことができる。 (2) 現に同原告が財産提供 の場合の残余財産の処分は、出席理事の過半数による理事会の議決を経、かつ、主務官庁の認可を得て行い得るものと定められているのであるから、これらも容易に行うことができる。 (2) 現に同原告が財産提供者p2らの私的支配に服していることは、次の事実からも明らかである。 (ア) 同原告の開始貸借対照表には、同原告に寄附された財産とは無関係に、p2個人の医療事業用の全資産と同事業に伴う全債務とが計上されていて、同原告に帰属すべき財産がp2及び同族関係者ら個人の財産と明瞭に区別されておらず、同原告は実際には同人ら個人と別個の存在としての実態を備えていない。 (イ) 同原告は、その設立当初のころ使用人たる事務長が不正使用したという診療収入二八七万一八五〇円について、経理上雑損失の処理をすることもなく、長期間にわたつてこれを銀行預金勘定で貸借対照表の資産の部に計上していたが、この架空預金を昭和三五年四月一日から同三六年三月三一日までの事業年度において初めてその半額に当たる一四三万五九二五円について不良資産の雑損による償却の処理を行つた。このような多額の資金をなんら関連のない銀行預金勘定で処理し、また雑損で随時容易に処理できるということは、利益調整をはかつたともみることができ、私的支配の現れといえる。 (ウ) 同原告の診療収入と関係のある預金がp2の同族関係者個人、勤務医師、架空名義などでされており、また、これらの預金及び同原告名義の預金にp2の同族間係者の金銭が混同して入出金されている。すなわち、(a) 協和銀行坂本支店の普通預金(通帳番号B五八三三)は、ほとんど同原告の診療収入であるのにかかわらず、p3個人名義で預入されており、しかも、右預金には前監事p4名義の神戸銀行三河島支店の当座預金より払い出された小切手が入金されている。 (b) 神戸銀行三河 ど同原告の診療収入であるのにかかわらず、p3個人名義で預入されており、しかも、右預金には前監事p4名義の神戸銀行三河島支店の当座預金より払い出された小切手が入金されている。 (b) 神戸銀行三河島支店における○○の架空名義で設定された定期預金の利子の残額四万五三八五円が昭和三八年五月四日に同支店のp4の当座預金に入金されている。 (c) 同原告の診療収入が勤務医師p5名義で富士銀行坂本支店の普通預金口座(通帳番号新五九二八)に預入されていたが、昭和三六年八月一四日に解約して、新たに同支店にp3名義の普通預金口座を設け、更に、これを同年一二月一三日に解約して同支店に架空名義であるp6の普通預金口座を設けている。 (d) 同原告の理事長p3名義で三菱銀行上野支店の当座預金口座に預金されている診療収入から、昭和三六年一月三〇日振り出された小切手を、p4の娘p7が入手して現金化し、また、同年八月三日同預金より振出しの小切手が、p8個人名義の第一銀行本郷支店の普通預金口座(通帳番号一二、二〇〇)に入金されている。更に、前記理事長名義の当座預金より振り出された小切手の大部分が同原告の代表権のない事務長p9によつて裏書されている。 (二) 原告Cについて(1) 原告Cの設立当時の役員構成は、別紙第三目録記載のとおりであつて、その過半数は、寄附者本人である理事長p10の同族関係者によつて占められており、その後も五名の理事のうち四名がp10の同族関係者であつて、同原告の運営は同人らの意のままになつている。 (2) また、同原告の寄附行為二九条は、「本財団が解散した場合の残余財産は、理事会の議決を経、主務官庁の認可を得て処分するものとする。」と規定しており、同二一条及び二三条は、理事会の定足数が理事の過半数であり、理事会の議決は出席理事の過半数で決し、可 た場合の残余財産は、理事会の議決を経、主務官庁の認可を得て処分するものとする。」と規定しており、同二一条及び二三条は、理事会の定足数が理事の過半数であり、理事会の議決は出席理事の過半数で決し、可否同数のときは議長(理事長)の決するところによる旨定めているので、残余財産が同理事長又はその同族関係者に帰属する可能性は十分ある。 原告の資産の管理についても、理事の構成、議決方法からみて、右理事長又は同族関係者に特別の利益を与えるおそれがある。 (3) さらに、同原告が右理事長又はその同族関係者と経理・運営上完全には分離されておらず、同人らに特別の利益を与えていることは、次の各事実からも明らかである。 (ア) p11は月額四万五〇〇〇円ないし四万二〇〇〇円、p12は月額三万九〇〇〇円ないし四万六〇〇〇円、p13は月額三万円の各給与をそれぞれ同原告から受けているが、同人らの身分、事務量、地位等からみて極めて不均衝であり、過大である。 (イ) 同原告の所有不動産たる病院建物の一部一〇畳間は右理事長及び識本p11が使用しているが、賃料は支払われていない。 (ウ) 同原告の寄附行為六条一号の別紙財産目録(乙第二号証の一の二)及び開始貸借対照表(同号証の一八の二)には、同原告に寄附された財産とは無関係にそれらの書類を作成した時における右理事長個人の医療事業用の全資産と同事業に伴う全債務とが計上されている。これは、同原告に帰属すべき財産が右理事長ら個人の財産と明瞭に区別されておらず、同原告が、実際には右理事長ら個人とは別の存在としての実態を備えていなかつたことを示している。 (エ) 同原告の理事長p10は、中野区<以下略>の土地一〇一九・二〇平方メートル(三〇八・三一坪)を無条件で同原告に提供したものであるから、同人は以降右土地についてなんらの権限も有しな している。 (エ) 同原告の理事長p10は、中野区<以下略>の土地一〇一九・二〇平方メートル(三〇八・三一坪)を無条件で同原告に提供したものであるから、同人は以降右土地についてなんらの権限も有しなかつたにもかかわらず、昭和三六年四月七日の臨時理事会で右土地のうち同人の私宅敷地部分四七二・七二平方メートル(一四三坪)の借地権が同人個人に帰属することを確認する旨の決定をさせたうえ、これを売却し、その代金で北多摩郡<以下略>に同人の個人資産を取得している。 (1) 同原告の理事会は、同原告の清瀬分院の敷地が隣接地である右理事長個人の所有土地にまたがつているとして、同人が同原告に支払うべき別の土地の地代と右土地の地代とを一致させたうえ相殺する旨を議決している。 (三) 原告Dについて(1) 原告Dの役員構成は別紙第三目録記載のとおりであつて、六名のうち四名が、財産提供者であり、かつ理事長でもあるp14とその同族関係者によつて占められ、昭和三九年八月に同族関係者でない理事二名が交替したが、同人らは同原告の運営には全く関与せず、無関心である。したがつて、同原告の運営は右理事長又はその同族関係者の意のままになつている。 (2) また、同原告の設立当初の寄附行為では、「本財団が解散したときの残余財産は理事総数の三分の二以上の同意を経、且主務官庁の認可を得て本財団と類似の目的を持つ他の医療法人に寄附する。」(二六条)とされていたが、昭和二九年三月一五日に同規定は「本財団が解散したときの残余財産は、理事総数の三分の二以上の同意な経且主務官庁の認可を得て処分する。」と変更され、残余財産の処分先に関する制限が削除された。これによつて、同理事長の同族関係者が残余財産を取得する可能性がいつそう強くなつたのみならず、同原告の設立後間もなく、このような重要な寄附行為の 変更され、残余財産の処分先に関する制限が削除された。これによつて、同理事長の同族関係者が残余財産を取得する可能性がいつそう強くなつたのみならず、同原告の設立後間もなく、このような重要な寄附行為の変更を容易に行つたことは、同原告の実態を示すものである。 同原告の資産の管理についても、寄附行為の規定、理事会の構成からみて、同原告が右理事長又は同族関係者に特別な利益を与えるおそれがある。 (3) 更に、同原告が右理事長又はその同族関係者から経理・運営上完全には分離されておらず、同人らに特別の利益を与えていることは、次の諸事実からも明らかである。 (ア) 同原告所有の家屋一二五・六一平方メートル(三八坪)のうち約四九・五八平方メートル(一五坪)を右理事長が居宅として使用しているが、その賃料は、昭和三〇年一二月までは月額二〇〇〇円、その後は月額三〇〇〇円と定められており、余りにも安い。 (イ) 同原告にはほとんど毎期売上計上もれが認められるほか、右理事長の子のための学校への寄附金を同原告の損金に計上している等、右理事長の経理と同原告のそれとは分離されていない。 (ウ) 同原告の開始貸借対照表には、提供された財産とは無関係な右理事長個人の開業医当時の負債、ことにその租税公課までが掲げられていて、これを同原告が承継したことになつている。 (エ) 同原告は、その診療所及び近隣の広告板の表示にその名称を全く用いることなく、右理事長個人の開業医時代の「小川歯科医院」との名称を使用している。 (オ) 同理事長は、その所有家屋を同原告に提供したにもかかわらず、直ちにはその所有権移転登記手続をせず、昭和三七年四月三日に至り滞納処分による差押に際して初めて代位による所有権移転登記が行われた。 (カ) 同原告は、提供をうけた建物を右理事長の個人病院時代と同様に同人とそ の所有権移転登記手続をせず、昭和三七年四月三日に至り滞納処分による差押に際して初めて代位による所有権移転登記が行われた。 (カ) 同原告は、提供をうけた建物を右理事長の個人病院時代と同様に同人とその同族関係者に私的に利用させ、同人個人して負担すべき電話料、寄附金及び公租公課を同原告が負担している。 (キ) 同原告は、その剰余金の分配に当たる役員賞与を損金経理により右理事長個人に支給し、同原告の収入に計上すべき売上金を除外してp14が私的に費消した。 (ク) 同原告は、昭和三二年四月一日から同三三年三月三一日までと同三五年四月一日から同三六年三月三一日までの両事業年度に、銀行等から融資をうけて、右理事長の居宅等を増築しているが、その際その工事の内容やそれに必要な借入金等の問題が理事会にはかられた形跡はない。 (四) 原告Aについて(1) 原告Aの設立当時の役員構成は、別紙第三目録記載のとおりであつて、理事五名のうち三名及び監事が、財産提供者であり、かつ理事長でもあるp15とその同族関係者によつて占められており、残りの理事二名は同原告の使用人にすぎない。なお、その後昭和二九年二月ころ理事p16と同p17に代つて理事に就任したp18とp19はいずれも勤務医師で、実質は同原告の使用人にすぎず、結局同原告は右理事長の私的支配に服している。 (2) 同原告の設立時の寄附行為によると、原告が解散した場合の残余財産は、理事会の議決を経て、国又は地方公共団体に寄附する旨規定されている(二六条)が、右規定も理事総数の三分の二以上の同意を得、かつ、主務官庁の認可を受ければ改正できる(二三条)から、同原告の前記理事構成からみて、同原告が解散した場合の残余財産が前記理事長又はその同族関係者に帰属する余地は十分ある。現に、右規定は、昭和三一年五月三一日付で「本財団 れば改正できる(二三条)から、同原告の前記理事構成からみて、同原告が解散した場合の残余財産が前記理事長又はその同族関係者に帰属する余地は十分ある。現に、右規定は、昭和三一年五月三一日付で「本財団が解散した場合の残余財産は理事会の議決を経て医療法及民法に定める処により帰属すべきものに帰属する。」と改正されているのであつて、この場合、財産提供者本人又はその同族関係者が残余財産を取得する可能性がある。なお、右規定は、その後更に「本財団が解散したときの残余財産は、国又は地方公共団体又は本財団と類似の目的で医療事業を行う他の法人に帰属する。」(三七条)と改正された。しかし、相続税法六六条四項の規定は、個人所有の財産が財団たる医療法人に対して提供された際の相続税又は贈与税の負担を回避する行為を防止するためのものであるから、当該財産の提供があつた時点においてこれをとらえて課税すべきものである。したがつて、同条項に該当するか否かは、財産の提供の時点における当該法人の実態に即して判断すべきであつて、その後における当該法人の実態の変更により同条項に該当しないものとなつたとしても、課税処分の効力にはなんら影響ないものというべきである。してみると、仮に、同原告が、前記のとおり寄附行為二六条を変更した結果、相続税法六六条四項に該当しなくなつたとしても、同原告に対する本件各処分の効力になんらの消長をきたすものではない。 また、同原告の資産の管理は、理事会で決めた方法によつて理事長が行うべきものとされていた(寄附行為八条及び二一条一項、乙四号証の一〇の二)から、同原告の理事会の構成からみて、同原告はその資産の管理においても、同理事長又はその同族関係者に特別な利益を与えるおそれが十分にあつた。 (3) 更に、同原告が同理事長又はその同族関係者から経理・運営上完全には 理事会の構成からみて、同原告はその資産の管理においても、同理事長又はその同族関係者に特別な利益を与えるおそれが十分にあつた。 (3) 更に、同原告が同理事長又はその同族関係者から経理・運営上完全には分離されておらず、同人らに特別の利益を与えていることは、次の諸事実からも明らかである。 (ア) 同原告の理事p20は、設立当時は学生であり、その後も富山市に居住しているので理事としての職務を執行したとは考えられない。 (イ) 同原告と同理事長又はその親族、知人との間には全く不明瞭な金銭貸借が数年にわたつて行われている。 (ウ) 同原告に提供された建物が同理事長とその妻によつて無償で利用されている。 (エ) 同理事長個人が負担すべきガス・電気・水道料を同原告が負担している。 (オ) 同原告の収入に計上すべき給食収入を同理事長が私的に費消し、同原告の剰余金の分配に当たる役員賞与を損金経理により同理事長に支給している。 (カ) そのほか、同原告の経理は、極めてあいまいで、その売上もれの一部が同理事長に支給され、同理事長に対する貸付金や税金が同原告の仮払金として支払われ、同原告の収入金を同理事長個人名義の預金としている。 (4) なお、同原告は、昭和四〇年三月三一日付で大蔵大臣より租税特別措置法(昭和四〇年法律第三二号による改正前のもの。以下「旧租特法」という。)六七条の二第一項の適用について同法施行令(昭和四二年政令第一〇九号による改正前のもの。以下「旧租特法施行令」という。)三九条の一三第一項に規定する要件を充たしているものとして承認されたが、相続税法六六条四項に該当するか否かは財産の提供の時点における当該法人の実態に即して判断すべきであつて、その後の右実態の変更は右判断には関係ないことは、既に前記(2)において述べたとおりである。 (そして、同原告は に該当するか否かは財産の提供の時点における当該法人の実態に即して判断すべきであつて、その後の右実態の変更は右判断には関係ないことは、既に前記(2)において述べたとおりである。 (そして、同原告は、まさに、旧租特法施行令三九条の一三第一項所定の要件に適合するために、昭和三九年一二月一二日附で寄附行為の全部変更をしたのであつて、これにより新たに評議員制がとり入れられ、役員構成も設立当時とは全く異なるものとなり、同理事長等との間の金銭貸借も清算され、この時点において始めて同理事長又はその同族関係者等による私的支配の可能性がなくなつたのである。)(5) 原告Bについて(1) 原告Bの設立当時の役員構成は、別紙第三目録記載のとおりであつて、理事四名のうち三名及び監事は、財産の提供者かつ同原告の理事長たるp21とその同族関係者によつて占められ(しかも、理事p22は名義的なもの。)、理事p23も使用人にすぎないから、同原告の運営は、右理事長とその同族関係者の意のままに行われるおそれが十分にある。 (2) 同原告の設立時の寄附行為によると、同原告が解散した場合の残余財産は、理事会の決議を経、かつ、主務官庁の認可を得て処分することが定められており(二四条)、また、右理事会の決議は、出席理事の過半数により、可否同数のときは議長(理事長)の決するところによる旨規定されている(一九条)ので、同原告の理事の構成からみて、同原告が解散した場合の残余財産は、前記理事長又はその同族関係者に帰属する可能性が十分ある。 また、同原告の資産の管理は、理事会の決議を経て定めた方法によつて理事長が行う旨定められている(寄附行為八条)ところ、同原告の理事構成及び議決方法からみて、同原告は、その資産の管理において、同理事長又はその同族関係者に特別な利益を与えるおそれがある。 ( よつて理事長が行う旨定められている(寄附行為八条)ところ、同原告の理事構成及び議決方法からみて、同原告は、その資産の管理において、同理事長又はその同族関係者に特別な利益を与えるおそれがある。 (3) さらに、同限告が同理事長又はその同族関係者から経理・運営上完全に分離されておらず、同人らに特別の利益を与えていることは、次の諸事実からみて明らかである。 (ア) 理事p24は、非常勤理事であり、年令六二才の老女であるが、同原告の設立当初から昭和二八年一二月まで月額八〇〇〇円という比較的に高額な給与を受けており、また、p21は年額六三万円の、p25は、年額二四万円の過大な給与の支給を受けている。 (イ) p21の住居は、昭和三〇年一二月p1(p21の弟)が同原告に贈与した家屋の一部九二・五六平方メートル(二八坪)であり、同原告はこれをp21に月額三〇〇〇円の賃料で賃貸しているように経理していて、仮に右が事実であるとしても、極めて賃料は安い。 (ウ) 電話料、電気料、ガソリン代、ガス料及び水道料は、同原告がp21の分も含めて支出しており、右理事長ら個人の生活費と同原告の経費とが明確に区分されていない。 (エ) 同原告と同理事長又はその親族との間でしばしば金銭の貸借が行われている。 (オ) 同原告に同理事長が提供した財産のうち、宅地は昭和三七年に至つてもその所有権移転登記手続がされておらず、建物も、贈与された時直ちに所有権移転登記手続が経由されなかつた。 6 原告塩田会の相続税債務不存在確認の訴えについて仮に、本件(一)決定に原告塩田会の主張のような違法があつたとしても、それらはいずれも重大かつ明白な瑕疵とはいえないから、同決定が無効である理由とはならない。してみると、本件(一)決定が無効であることを前提とする同原告の相続税債務不存在確認の請求 があつたとしても、それらはいずれも重大かつ明白な瑕疵とはいえないから、同決定が無効である理由とはならない。してみると、本件(一)決定が無効であることを前提とする同原告の相続税債務不存在確認の請求は、理由がないことが明らかである。 第四被告らの主張に対する原告らの認否及び反論一被告らの主張に対する認否 1 被告らの主張1ないし4及び6の各点は、いずれも争う。 2 被告らの主張5の(一)の事実のうち、原告塩田会の役員構成が被告主張のとおりであること、同原告が事務長の横領した診療収入を当初経理上雑損失として処理せず、銀行預金勘定に計上していたが、その後これを雑損失として処理したこと、同原告の協和銀行坂本支店の普通預金が理事長の個人名義で行われていたこと、p4名義の神戸銀行三河島支店の当座預金より払い出された小切手を同原告において現金化したことがあること、○○名義の預金の利子残額が同一銀行におけるp4名義の預金に入金されたこと、同原告の診療収入が勤務医師p5名義で富士銀行坂本支店に預金されていたこと、p7が昭和三六年一月三〇日同原告振出しの三〇万円の小切手をみずから裏書きして支払いを受けたこと、同原告が同年八月三日二〇万円の小切手をp8に交付し同人はこれを第一銀行本郷支店の同人名義の預金口座に入金したこと、同原告振出しの小切手が同原告の事務長p9によつて裏書きされていることは、いずれも認めるが、その余の事実は争う。 3 被告らの主張5の(二)の事実のうち、原告Cの役員構成が被告主張のとおりであること(ただし、p11は設立当初の理事ではなく、昭和二九年の理事の増員に伴い就任したものである。)、同原告の残余財産の処分に関する寄附行為の規定が被告ら主張の内容であること、p12及びp13の月給が被告ら主張の金額であつたこと、p10が同原告の病院建物 の理事の増員に伴い就任したものである。)、同原告の残余財産の処分に関する寄附行為の規定が被告ら主張の内容であること、p12及びp13の月給が被告ら主張の金額であつたこと、p10が同原告の病院建物の一部一〇畳間を一時無償で使用したことは認めるが、その余の事実は争う。 4 被告らの主張5の(三)の事実のうち、原告Dの役員構成が被告主張のとおりであること、残余財産の処分に関する同原告の寄附行為の規定内容が被告主張のとおりであること、同原告所有の家屋のうち約一五坪の部分をp14が使用し、その家賃の定めが被告主張のとおりであること(ただし、同家屋には、同原告の住込従業員三、四名の宿舎としての使用部分が含まれている。)、同原告に昭和二九年及び同三一年一二月決算期の未収入金計上もれと同三四年四月中の日計伝票の計算違いがあつたこと、同原告が昭和三〇年四月一日から同三一年三月三一日までの事業年度に日本大学医学部に寄附し、これを損金に計上したこと、同原告が設立準備中の負債や租税債務を承継したこと、同原告がその診療所に「小川歯科医院」の名称を使用していること、p14がその提供にかかる家屋の所有権移転登記手続を経由するのが遅れたことは、いずれも認めるが、その余の事実は争う。 5 被告らの主張5の(四)の事実のうち、原告Aの設立当時の役員構成が被告主張のとおりであつたこと、同原告の残余財産の処分に関する寄附行為の規定がそれぞれ被告主張のとおりであつた(二回の変更を含む。)こと、理事p20が同原告設立当時は学生であり、その後約一年間富山市に居住していたこと、同理事長が同原告設立後暫定的に約一年間同原告の病室の八畳間に居住したこと、同原告が同理事長の右居住期間に使用したガス、電気・水道料を負担したことは認めるが、その余の事実は争う。 6 被告らの主張5の(五)の事 原告設立後暫定的に約一年間同原告の病室の八畳間に居住したこと、同原告が同理事長の右居住期間に使用したガス、電気・水道料を負担したことは認めるが、その余の事実は争う。 6 被告らの主張5の(五)の事実のうち、原告Bの設立当時の役員構成が被告主張のとおりであつたこと、同原告の残余財産の処分に関する寄附行為の規定が被告主張のとおりであること、理事p24が同原告よりその設立当初から昭和二八年一二月まで月額八〇〇〇円の給与を受けており、また、同原告から、p21が年額六三万円の、p25が年額二四万円の給与を受けていたこと、p21がp1の贈与した家屋の一部を同原告から賃借して居住し、月額三〇〇〇円の賃料を支払つていたこと(ただし賃借面積は二八坪ではなく、一四坪である。)、同原告が電話料金をp21の分も含めて支払つていること、同原告と同理事長との間で金銭の賃借関係があること(ただし、電気料金の立替の関係によるもの。)はいずれも認めるが、その余の事実は争う。 二原告らの反論 1 相続税法六六条四項の原告らに対する適用の不当性(一) 原告塩田会(1) 原告塩田会の役員構成及び寄附行為の規定は被告主張のとおりであるが、これをもつて、同原告の運営が同理事長又はその同族関係者の意のままになるとか、同原告の残余財産がそれらの者に帰属することになるということはできない。 (2) また、(ア)同原告設立当初の事務長が不正を働らき、銀行取引に使用する理事長の印を無断で改印して小切手を偽造し、これをもつて同原告の富士銀行坂本支店の預金の払戻しを受けて横領したりなどしていた。そこで、同原告としては、かかる不正が行われたのは同銀行が安易に改印届を受理したことによるものであるとして、同原告にはその責任がないものと信じていたので、右の払い戻された預金はいぜん存在するものとして で、同原告としては、かかる不正が行われたのは同銀行が安易に改印届を受理したことによるものであるとして、同原告にはその責任がないものと信じていたので、右の払い戻された預金はいぜん存在するものとして、これを当初は雑損失としては経理しなかつたが、偽造手形の所持人の同原告に対する手形金請求訴訟に敗訴し、銀行も無過失を主張して預金の払戻しに応じなかつたので、止むなく、右預金を雑損失として処理したものである。したがつて、右の会計処理は、利益調整によるものではなく、なんら同理事長らの私的支配を意味するものではない。 (イ) 協和銀行坂本支店の普通預金取引は昭和三四年ころからのものであり、その取引名義はp3となつていたが、これは同原告の取引であつて、これに個人の預金は全く含まれていなかつた。このような取扱いは、事務の未熟に由来するものと思われ、昭和三八年一〇月ころ監督官庁たる東京都知事から注意を受けた後は、右取引名義を同原告名義に改めている。 また、p4名義の神戸銀行三河島支店の当座預金は、同人個人のものである。右預金から払い出された小切手がp3名義の預金口座に入金されたのは、p4の子であるp7が同原告に勤務しており、p4がp7に金銭を与えるために小切手を振り出し、p7がこれを同原告に依頼して現金化し、同原告がこれを前記預金口座に振り込んだことによるのである。 (ウ) 京極p4は、p4の旧姓名であつて、同名義の預金はp4個人のものである。京極p4名義の預金の利子残額がp4名義の預金に入金されたことは、同一銀行における同人の預金口座に同人の別口座の預金が移されたことを意味するにすぎない。 (エ) 同原告の診療収入が勤務医師p5名義の富士銀行坂本支店の普通預金口座に預入されたのは、同医師がそのころ事務長p9と共謀して同原告の診療収入を横領して同口座に預入 ことを意味するにすぎない。 (エ) 同原告の診療収入が勤務医師p5名義の富士銀行坂本支店の普通預金口座に預入されたのは、同医師がそのころ事務長p9と共謀して同原告の診療収入を横領して同口座に預入したためである。 (オ) 同原告の預金口座から振り出された小切手をp7が現金化したのは、同人が同原告に勤務していて、右小切手の支払いをうけたうえ同原告の昭和三六年一月末日の諸支払いに充てたためである。また、同原告の振出しにかかる小切手がp8名義の預金口座に振り込まれたのは、同原告が昭和三六年七月末に同人から借り受けた二〇万円の債務について右小切手をもつて弁済したからである。更に、同原告の振出しにかかる小切手はp9事務長によつて裏書きされたのは、同原告の預金化する方法にすぎない。(二) 原告C(1) 原告Cの設立当初の役員構成並びに残余財産の処分及び理事会の議決方法に関する寄附行為の規定は被告主張のとおりである(ただし、p11は設立当初からの理事ではない。)が、これをもつて同原告の運営が同理事長又はその同族関係者の意のままになつているとか、同原告の残余財産が同理事長らに帰属することになるということはできない。 (2) また、(ア)同原告は、昭和二九年に清瀬分院を設け、p11がその事務長兼理事に就任したところ、同分院の事務長の職務は多忙で残業も多かつたから、同人に対する給与としては、月額四万二〇〇〇円ないし四万五〇〇〇円は相当であつたが、現実には月額約三万円が支給されるにとどまつた。p12は、同原告の中野本院の事務長兼理事であるところ、本院には数十名の従業員がおり、約五〇のベツトの設備があるうえ、同人は同原告の全体の経理事務を担当していたのであるから、同人が月額三万九〇〇〇円ないし四万六〇〇〇円の給与を受けるのは相当であつて、過大ではなかつた。p 員がおり、約五〇のベツトの設備があるうえ、同人は同原告の全体の経理事務を担当していたのであるから、同人が月額三万九〇〇〇円ないし四万六〇〇〇円の給与を受けるのは相当であつて、過大ではなかつた。p13は、同原告の医療社会事業部長兼理事であり、右医療社会事業は入退院の相談とその手続、医療に対する社会保障を受けることの相談とその手続、患者の精神的・経済的な諸問題の相談及びその解決等であつて、これを担当するためには広い知識が必要であつたので、同人に対する月額三万円の給与は相当であつて、過大ではない。 (イ) 同原告の病院の一部一〇畳間をp11が使用したことはなく、同人は練馬区<以下略>の自宅に居住していた。また、同理事長は、病院に隣接して自宅を所有しており、同原告の病院拡張のためこれを同原告に賃貸して病室に改修した際、一時右一〇畳間に居住したことはあるが、これは一時的であり、しかも同原告の便宜のためやむを得ずにしたことであつて、むしろ同原告としては同理事長に相当の立退料を支払うべきところこれをも支払わず、いわんや賃料を請求できる筋合のものではない。 (ウ) 同原告の同理事長は、提供財産たる土地の西側の一一五坪六合四勺の部分に木造建物を所有していたので、右土地を同原告に提供した後は右部分については借地権を有することとなつたが、同三六年一月ころ右建物を取りこわし、その敷地部分の借地権を他へ譲渡したものである(同人が右敷地部分として一四三坪の借地権を譲渡したのは、錯誤に基づくもので、その差額分は後日同原告に返済した。)。 (三) 原告D(1) 原告Dの役員構成並びに残余残産の処分に関する寄附行為の規定は被告主張のとおりであるが、これをもつて同原告の運営が同理事長又はその同族関係者の意のままになつているとか、同原告の残余財産が同理事長らに帰属するこ 員構成並びに残余残産の処分に関する寄附行為の規定は被告主張のとおりであるが、これをもつて同原告の運営が同理事長又はその同族関係者の意のままになつているとか、同原告の残余財産が同理事長らに帰属することになるということはできない(そもそも、相続税法六六条四項の規定からみて、理事長(又は財産提供者)に残余財産が帰属する可能性を問題にすることは無意味である。また、寄附行為の変更後も残余財産の処分について主務官庁の認可を要する点は変りがないし、右変更自体行政指導に従つたものである。)。 (2) また、(ア)同原告所有の家屋三八坪(一二五・六一平方メートル)のうち同理事長の居宅部分と被告が主張する約一五坪(四九・五八平方メートル)には、同原告の住込み従業員三、四名の宿舎となつている部分が含まれており、病院の慣例上医師、看護婦等の宿泊は通常のことである。したがつて、右住込み従業員の占用部分と同理事長の占用部分との比率を考えると、同理事長の月額二〇〇〇円ないし三〇〇〇円の家賃が安すぎるということはない。 (イ) 同原告についてほとんど毎期売上計上もれが認められると被告は指摘するが、これは窓口事務の不慣れによる診療日計表の計算違いであつて、その金額は微々たるものである。また、医業界においては、医療技術上の諸問題の解決、医師の補充等の面から、医師とその出身大学との間には密接な関係があり、これは医療事業経営上必要であつて、病院がそのため大学に寄附をすることがあるが、これは右の観点から医療事業上の経費と認められるべきものである。被告が問題視している同原告の昭和三〇年四月一日から同三一年三月三一日までの事業年度中の合計六〇〇〇円の日本大学医学部に対する寄附金は、その額も僅少であり、同理事長の子が右大学医学部に入学したのは昭和三八年四月であるから、そのために前記寄 月一日から同三一年三月三一日までの事業年度中の合計六〇〇〇円の日本大学医学部に対する寄附金は、その額も僅少であり、同理事長の子が右大学医学部に入学したのは昭和三八年四月であるから、そのために前記寄附をしたものでないことは明らかである。 (ウ) 同原告の開始貸借対照表に寄附された財産以外に負債等が掲げられているのは、設立申請の日から設立認可の日までに数か月が経過しているためで、この間業務を継続し、同原告の設立準備もしなければならなかつたから、設立準備中の負債や未払いの租税債務を承継したことになるのであつて、その間に資産の内容に変化が生ずるのは当然である。 (エ) 同原告がその診療所に「小川歯科医院」の表示を用いているのは、同原告の医療法人としての名称と診療所名とが異なるためにほかならず、同原告の実態が同理事長の個人開業医時代のそれと変りがないためではない。 (オ) 同理事長の同原告に対する家屋の所有権移転登記手続が遅延したのは、同原告の資金繰りの関係から登録税及び不動産取得税の負担を考慮したからである。 (カ) 昭和三二年四月一日から同三三年三月三一日までと同三五年四月一日から同三六年三月三一日までの両事業年度の工事は、いずれも同原告の診療施設等の拡充に伴う増改築であつて、同理事長の居宅等の増築ではない。また、寄附行為所定の理事会附議事項における「借入金額の最高限度」とは、その事業年度の限度額であるから、借入の都度理事会の決議を要するものではない(なお、前記増改築に伴う銀行等からの借入についても、このような理事会の決議があつたことはいうまでもない。)。 (四) 原告A(1) 原告Aの設立当時の役員構成は、被告主張のとおりであるが、これをもつて同原告の運営が同理事長又はその同族関係者の意のままとなつているということはできない(なお、同原告の )。 (四) 原告A(1) 原告Aの設立当時の役員構成は、被告主張のとおりであるが、これをもつて同原告の運営が同理事長又はその同族関係者の意のままとなつているということはできない(なお、同原告の理事は、昭和三〇年八月一三日現在すでに五名中p19、p26、p27の三名が同理事長の同族関係者ではなかつたのであり、さらに同三六年一一月九日現在も同様であつた。)。 (2) 同原告の現行の寄附行為三六条は、解散したときの残余財産は国若しくは地方公共団体又は同原告と類似の目的で医療事業を行う他の法人に帰属するものと定め、財産提供者やその親族らがこれを取得することはできないこととなつており、また同原告の役員としては理事、監事のほかに評議員の制度があり、これらを相互に兼ねることはできないし、その選任については親族関係者及びこれらと特殊な関係にある者の数が役員総数の一〇分の四未満となるようにしなければならず、資産管理の方法、事業計画及び収入予算、剰余金の処理については、理事会及び評議員会双方の議決を要し、決算については、監事の監査を経たうえ理事会及び評議員会双方の承認を受けなければならないこととなつてあり、現にそのとおり実施されている。 (3) 更に、(ア)理事p20は同原告設立当時は明治大学の学生であり、昭和二九年三月卒業後は約一年間富山市に居住したが、その後は東京に居住しており、理事の職務を執行し得ない状況にあつたわけではない。 (イ) 同理事長が、同原告設立後暫定的に約一年間病室の八畳間に居住したことはあつたが、右居住は、宿直医を兼ねていたものである。また、その一年間に同理事長が個人として使用した同所のガス、電気、水道の各料金を同原告に負担させたとしても、それは計量器の関係上料金を分離して計算できなかつたためでおり、金額としても微々たるものに過ぎ 、その一年間に同理事長が個人として使用した同所のガス、電気、水道の各料金を同原告に負担させたとしても、それは計量器の関係上料金を分離して計算できなかつたためでおり、金額としても微々たるものに過ぎず、同理事長に不当の利益を与えたという程のものでもない。 (ウ) 同原告の売上計上もれの一部が同理事長に支給されていると被告は主張するが、右は同原告の設立後の不慣れのためのもので、現実に同理事長に支給されたものではなく、税務処理上、同理事長に対する賞与と認定されたものである。また、被告は、同原告の仮払金中に同理事長に対する貸付金や税金等がある旨主張するが、そのこと自体両者の経理が分離されていることを示すもので、現在は返済されている。更に、同原告がその収入金を同理事長個人名義の預金としているとすれば、それは事務処理の不慣れによるものに過ぎない。 (4) そのうえ、同原告は、昭和四〇年三月三一日大蔵大臣より旧租特法六七条の二第一項の適用について、同法施行令三九条の一三第一項所定の要件を充たしたものとして承認された。したがつて、同原告の運営を財産提供者ないしその同族関係者が支配し、特別の利益を得ているとはいえない。 (五) 原告磯病銃(1) 原告Bの設立当時の役員構成並びに残余財産の処分及び理事会の議決方法に関する寄附行為の規定は被告主張のとおりであるが、これをもつて、同原告の運営が同理事長又はその同族関係者の意のままになつているとか、同原告の残余財産が右理事長らに帰属することになるということはできない(残余財産が同理事長に帰属する可能性の有無を問題にすることが無意味であることは既に述べたとおりである。)。 (2) また、(ア)同原告がp24に対しその設立当初より昭和二八年一二月分まで月額八〇〇〇円の給与を支払つていたのは、同人が同原告の入院患者のま とが無意味であることは既に述べたとおりである。)。 (2) また、(ア)同原告がp24に対しその設立当初より昭和二八年一二月分まで月額八〇〇〇円の給与を支払つていたのは、同人が同原告の入院患者のまかない関係を指示する職務に従事していたことに対する報酬であつて、多額に過ぎるものではない(なお、同人は当時五七才で健康であつた。)。p21は、同原告の理事長であるばかりでなく、医師の資格も有するのであるから、同人が仮に他の病院に医師として勤務すれば、月額一〇万円の給与を受け得る経験と能力とを有していたのであつて、年額六三万円の給与はむしろ過少である。p25は、同原告の常勤理事、理事長代理であるうえ、事実上の事務長でもあり、普通病院の事務長の月給は三万円ないし四万円であつたから、年額二四万円の給与は過大ではない。 (イ) 同理事長が居住していたのは、同原告に贈与された建物のうち、一四坪(四六・二八平方メートル)に過ぎず、しかも同原告の入院患者が多い場合はここを病室として利用しており、かつ、同理事長は常時当直医の職務をも担当しているから、同人の賃料が低額に過ぎるということはない。 (ウ) ガス、水道のメーターは、同理事長個人の使用分と同原告のそれとは別個に設けられていて、その料金も別個に支払われている。電気については、別個にメーターが設けられてはいないが、いつたん同原告がその料金を支払つた後、決算期に同理事長個人の使用分を合理的に算出したうえ、これを同理事長から同原告に支払つている。また、同原告の自動車を同理事長及びその家族が個人的に使用するようなことはなく、ただ電話料金は、個人的使用の記録がないため、同原告が全額負担している。 (エ) 同原告と同理事長との間の金銭貸借関係が決算期末に行われていることは事実であるが、前記の電気料金が決算期末に清算さ く、ただ電話料金は、個人的使用の記録がないため、同原告が全額負担している。 (エ) 同原告と同理事長との間の金銭貸借関係が決算期末に行われていることは事実であるが、前記の電気料金が決算期末に清算されているので、当然のことである。また、同理事長がその所有の資産を売却してその代金を同原告に貸与し、同原告がこれをその所有不動産の改築資金に充てたことはあるが、これは、同理事長が同原告の経営に熱心な証左であり、同人と同原告とが経理・運営上分離されていないためではない。 2 原告塩田会の相続税債務不存在確認の訴えについて納税者が租税債務の存否について、既に国に対する債務不存在確認の訴えによつてこれを争い、司法審査を求めている間に、課税庁が右債務が存在するものとして課税処分をした場合には、当該納税者が右処分を争うことは明らかであるから、同人は訴願前置の手続を経ることなく、右訴えを随時右処分取消しの訴えに変更し得るものと解すべきである。 ところで、原告塩田会の変更後の訴えは、取消訴訟の形をとつていないが、その不存在確認訴訟の係属中に本件(一)決定がされたのであつて、かかる場合には取消訴訟への訴えの変更をするまでもなく、同決定の一切の違法事由が同決定に基づく租税債務不存在の確認の理由になるとみるべきであるから、右債務不存在の要件として、同決定に重大かつ明白な瑕疵があることは要しないものと解すべきである。 第五証拠関係(省略)○ 理由一本件各処分の経緯請求原因一の事実は、すべて当事者間に争いがない。 二本件各処分についての違法・無効事由の存否 1 本件各処分の理由附記の適否(一) 旧相続税法三六条一項は、税務署長が相続税額又は贈与税額を更正し、又は決定した場合には、その理由を附記した書面によりこれを納税義務者に通知する旨定めているが、その附記すべ 分の理由附記の適否(一) 旧相続税法三六条一項は、税務署長が相続税額又は贈与税額を更正し、又は決定した場合には、その理由を附記した書面によりこれを納税義務者に通知する旨定めているが、その附記すべき理由の程度は、右理由附記を命じた法の趣旨及び行政処分の性質に照らすと、青色申告書にかかる更正の理由附記の場合とは異なり、当該処分がどのような理由でされたかを被処分者において知り得る程度のもので足りると解すべきである。思うに、青色申告書にかかる更正の場合に理由附記が要求されるのは、青色申告書の提出は、政府の承認をうけた法定の帳簿書類を備え付け、申告にかかる所得の計算が右の帳簿書類の正当な記載に基づくものであることが制度上担保されていることにより、その帳簿の記載を無視して更正されることがない旨を納税者に保障しているのであるから、その更正通知書に附記すべき理由も、帳簿との関連においていかなる具体的根拠に基づいて更正するかを明らかにする程度のものでなければならないのであるが、これに対し、相続税又は贈与税の場合は、右のように申告にかかる課税標準の計算が法定の帳簿書類の正当な記載に基づくものであることを担保し得る制度があるわけではなく、しかも、更正のみならず無申告の場合の決定の通知書にも理由附記を要求しているのであるから、青色申告書にかかる更正の場合と同程度の理由附記を要すると解するのは相当でなく、相続税又は贈与税にかかる更正又は決定の通知書に理由附記を命じた法の趣旨が、一般行政処分における理由告知の場合と同じく、行政庁の恣意を抑制するとともに被処分者の不服申立てに便宜を与えることにあることにかんがみ、被処分者が当該処分がどのような理由でされたかを了知し得る程度で足りるものと解すべきであるからである。 (二) そこで、本件各処分についてこれをみると、( 立てに便宜を与えることにあることにかんがみ、被処分者が当該処分がどのような理由でされたかを了知し得る程度で足りるものと解すべきであるからである。 (二) そこで、本件各処分についてこれをみると、(1) 本件(一)ないし(四)決定の各通知書には「相続税法第六六条第四項により申告義務があるにもかかわらず申告がないので決定する。」との理由ないしは同旨の理由が附記されていたこと、本件(五)(2)決定の通知書には「大田区<以下略>p1が昭和三〇年一二月二〇日医療法人(財団)磯医院に対し追加出えんがあつたにもかかわらず贈与税の申告がないので相続税法第六六条第四項により決定する。」との理由が附記されていたことは、当事者間に争いがないところ、以上の附記理由は、原告らが相続税法六六条四項に基づき納税義務を負つていること、原告らが右の申告義務を履行していないこと並びに被告税務署長ら及び下谷税務署長が右理由により前記各処分をしたことを明らかにしているから、これをもつて旧相続税法三六条一項所定の理由附記の要件を充足しているものというべきである。したがつて、前記各決定並びに本件(二)決定を前提とする本件(二)更正及び本件(四)決定を前提とする本件(四)更正に関する限り、原告らのこの点についての主張は失当である。 (2) ところが、本件(五)(1)決定の通知書には、「申告しようようせるも申告書提出せざるため」その理由が附記されているにすぎないことは当事者間に争いがないが、右の附記理由をもつては、いかなる理由により原告Bが納税義務を負うのかすら明らかでなく、前記条項の要求する附記理由としては全く不十分であるから、同決定は違法というほかなく、取消しを免れない。 2 更正・決定をするについての調査の存否(一) 旧相続税法三五条一項ないし三項は、税務署長が更正又は決定をす る附記理由としては全く不十分であるから、同決定は違法というほかなく、取消しを免れない。 2 更正・決定をするについての調査の存否(一) 旧相続税法三五条一項ないし三項は、税務署長が更正又は決定をするには、その調査によるべき旨を定めているが、その趣旨とするところは、更正又は決定が全く根拠となるべき資料もなくしてされてはならないとすることにあるものと解すべきである。 (二) そこで、本件各処分について以下この点を検討する。 いずれも成立に争いのない乙第一号証の一、同号証の一二の一ないし五、第二号証の一の一、二、同号証の四ないし六、第三号証の一、三、四、同号証の一三の一、二、第四号証の一、同号証の一〇の一ないし四、第六号証の一の一ないし三、同号証の二、三及び弁論の全趣旨を総合すると、被告税務署長ら及び下谷税務署長は、本件各処分当時において、少くとも同被告ら及び同税務署長に対する原告らの各法人設立申告書及びその添付書類である各原告の寄附行為、財産目録、貸借対照表(ただし、原告C、同Bについての貸借対照表の添付の有無は不明。)等によつて、それぞれ各原告の組織・運営の大綱、役員構成、寄附行為の内容(解散時の残余財産の処分方法、理事会の議決方法等を含む。)等を把握していたことが認められ、右認定を覆すに足りる証拠はないから、同被告ら及び同税務署長は、少くとも右のような資料に基づいて本件各処分をしたものと推認される。したがつて、本件各処分には、原告ら主張のような調査欠如の違法はないものというべきである。 3 相続税法六六条四項の違憲性の有無相続税法六六条四項の違憲性をめぐる争点については、既に昭和二九年(行)第五八号、同三三年(行)第四七号の各事件に関しては、その中間判決において当裁判所の判断が示されているので、ここでは右判決後に右各事件に併合された昭和 憲性をめぐる争点については、既に昭和二九年(行)第五八号、同三三年(行)第四七号の各事件に関しては、その中間判決において当裁判所の判断が示されているので、ここでは右判決後に右各事件に併合された昭和三四年(行)第一一二号事件に関する限度において、この点を判断することとする(後記4の各争点についても同様である。)。 (一) 相続税法六六条四項の趣旨相続税法六六条四項の趣旨は、公益を目的とする事業を行う法人(以下「公益事業法人」という。)を設立するための財産の提供があり、又は公益事業法人に財産の贈与若しくは遺贈があつたときに、その財産の提供者、贈与者又は遺贈者の同族関係者が当該法人を私的に支配して、その提供等にかかる財産の使用・収益を事実上享受し、あるいは当該財産が最終的にこれらの者に帰属することになるような状況にある場合には、実質的には前記の同族関係者等が当該財産を取得したのと同様な状態にあるのにかかわらず、これらの者には相続税又は贈与税が課されないことになるが、そのうえ当該法人も個人でないためこれに対しても課税が行われないとするならば、相続税又は贈与税の負担に著しく不公平な結果をもたらすことになるので、このような同族関係者等の相続税又は贈与税の負担の回避を防止するため、右のような場合には、当該法人を個人とみなして、財産の提供等があつた時点において、当該法人に対して相続税又は贈与税を課することとしたものであるということができる。 (二) 憲法八四条の趣旨ところで、日本国憲法八四条は、いわゆる租税法律主義の原則を宣明しているところ、同原則の趣旨は、課税要件を法定することにより行政庁の恣意的な徴税を排除し、国民の財産的利益が侵害されないようにすることにあるのであつて、その趣旨からすれば、課税要件については、とくに実定法のうえで明確に規定され 、課税要件を法定することにより行政庁の恣意的な徴税を排除し、国民の財産的利益が侵害されないようにすることにあるのであつて、その趣旨からすれば、課税要件については、とくに実定法のうえで明確に規定されていることが要請されるのであるが、他方、税法の対象とする国民の経済生活上の現象は、千差万別であるうえ生成・変化しているのであるから、税法においては、既定の法概念にとらわれず社会経済現象の実態に即応する用語を使用することも避けられない。そして、税法といえども、その法解釈によつて規定の意味内容を明らかにすることが許されるのは当然であつて、当該用語の合理的な法解釈によつてその規定の意味内容が客観的に認識できる場合には、その課税要件が不明確であるとはいえないから、そのような法規も租税法律主義に反しないものと解するのが相当である。 (三) 相続税法六六条四項の「公益を目的とする事業を行う法人」なる用語の明確性そこで、まず、前記(二)の観点から右条項の「公益を目的とする事業を行う法人」という用語について検討する。なるほど、右用語は実定法上必ずしも一般化されたものではなく、右概念を類型的に把握することは困難であるが、「公益」及び「法人」の概念は私法上の解釈に依拠すればその意味内容は明確であるから、前記用語の内容はおのずから一定の限界を画し得るばかりでなく、同条項は「その他公益を目的とする事業を行う法人」と規定していて、その例示として旧法人税法五条一項一号又は三号所定の法人を掲げているから、前記用語の意味する法人がこれらの法人と類似する法人であることが明らかである。したがつて、右用語は、以上の各点及び同法条の前記(一)の趣旨・目的に照らして解釈することによつて、その意味内容を客観的に認識し得るものということができ、租税法律主義に反するものではない。 (四) したがつて、右用語は、以上の各点及び同法条の前記(一)の趣旨・目的に照らして解釈することによつて、その意味内容を客観的に認識し得るものということができ、租税法律主義に反するものではない。 (四) 同条項所定の、同族関係者の相続税等の「負担が不当に減少する結果となると認められる場合」なる用語の明確性相続税法六六条四項が租税回避を防止するための規定であることは前記(一)のとおりであるところ、公益事業法人に対する財産の提供、贈与等によるその提供者、贈与者等又はその同族関係者の相続税又は贈与税の回避行為の態様は多種多様であるから、同条項の趣旨・目的を達成するためには右のような用語を用いることも止むを得ないのであるが、右条項に該当するか否かの判断は、原告Bの主張のように、税務官庁の裁量に委ねられるものではなく、当該法人と財産提供者等又は同族関係者との関係、当該法人の経理及び財産の運用・管理の実態等に照らし、経験則に従つて合理的かつ客観的に行うべきであり、かつ、そのように行い得るということができる。したがつて、右用語も適用上明確性に欠けるところはなく、租税法律主義に反するものとはいえない。 よつて、この点に関する同原告の主張は、いずれも理由がない。 4 相続税法六六条四項の医療法人に対する適用の可否(一) まず、医療法人が同条項所定の「公益を目的とする事業を行う法人」に該当するか否かについて検討する。 (1) 相続税法六六条四項所定の「公益を目的とする事業を行う法人一とは、その例示として、日本赤十字社、商工会議所、民法三四条の規定により設立した法人、社会福祉法人、宗教法人、私立学校法六四条四項の規定により設立した法人及び労働組合等、要するに、民法上のいわゆる公益法人と特別法により設立された公益的法人を掲げていることにかんがみると、これらの法人の行 福祉法人、宗教法人、私立学校法六四条四項の規定により設立した法人及び労働組合等、要するに、民法上のいわゆる公益法人と特別法により設立された公益的法人を掲げていることにかんがみると、これらの法人の行う事業がいずれも公益性を有する点に着目して設けた法人の包括概念である、と解すべきである。 原告Bは、この点について、労働組合等は公益性を有するものではないと主張するが、労働組合等の行う事業は、労働条件の維持改善その他労働者の経済的地位の向上という労働者共通の利益のために行われるものであるから、このような事業も一種の公益を目的とするものということができ、同原告の主張は失当である。 (2) ところで、医療法人は病院又は診療所を開設・経営して医療事業を行うことを主たる目的とするものであるところ、そもそも医療事業は、国民の健康保持のために不可欠なもので、その業務は、直接国民の生命の保全、身心の健康等公衆衛生に深いかかわりをもつものであつて、事の性質上利益の追求を第一目的とするものでないことは明らかであるから、その事業は公益性を有する事業ということができる。ところが、すべての国民に必要な医療を確保するには、公的医療機関のみならず、民間医療機関の整備・充実が図られなければならないところ、個人経営の病院等については、施設の建設・改善のための資金調達面で困難を伴ううえ、開業医の死亡により医療事業の継続に支障をきたすこともあるので、資金の集積を容易化するとともに、事業の永続性を確保するため、これらの病院等に法人格を与える必要があつた。そこで、医療事業に法人格を付与するに当たり、これを商法上の会社とすることは医療の非営利性に照らして望ましいものではなく(旧医療法七条二項)、他方、あらゆる病院が民法三四条による公益法人の資格を取得することも期待し難いので、医療事業に たり、これを商法上の会社とすることは医療の非営利性に照らして望ましいものではなく(旧医療法七条二項)、他方、あらゆる病院が民法三四条による公益法人の資格を取得することも期待し難いので、医療事業について特別法たる医療法による医療法人の制度が設けられたものと解される。医療法が、医療法人は社団又は財団の形態をとるものとし(三九条)、剰余金配当の禁止(五四条)その他経理面(五一条、六三条)、組織面等(四四条、四五条、五五ないし五七条、六四条、六六条)において種々の法的規制を加えているのも、その趣旨の一半は医療法人の公益性を確保し、その営利企業化を防止することにあるというべきである。 したがつて、医療法人は、営利法人でないことは明らかであり、また公益法人そのものでもないが、むしろ、両者の中間的存在であつて、公益を目的とする事業を行う法人に該当するものということができる。 (3) 同原告は、医療法人が財団又は社団の形式をとつたのは、資金の蒐集・事業の永続性の確保という医療法人制度制定の沿革に由来するものであつて、医療事業の公益性によるものではない旨主張するが、医療法人が同原告主張の右目的を達成するには法人格を取得すれば足りるのであつて、法人格の取得と事業の営利性・公益性とはもともと関係のない事柄である。もつとも、医療法人がその事業により収益をあげることは可能であり、医療事業が収益事業と認められることもあり得る(旧法人税法施行規則一条の三第一項三〇号)が、公益法人等も収益事業を営むことができ(旧法人税法五条一項)、そのこと自体なんら公益性と矛盾するものではないから、医療法人が収益事業を営むことをもつて直ちに医療事業を営利事業ということはできない。 また、同原告は、個人の医療事業については、相続税法上公益を目的とする事業でないとして旧相続税法一二条一 ないから、医療法人が収益事業を営むことをもつて直ちに医療事業を営利事業ということはできない。 また、同原告は、個人の医療事業については、相続税法上公益を目的とする事業でないとして旧相続税法一二条一項三号、二一条の三第一項三号の非課税財産の規定の適用はなく、所得税法上もこれを営利事業としているので、これが法人形態に変わることにより法律上公益性を付与されることはあり得ないうえ、法人税法も医療法人を営利法人と同様に扱つているから、これを相続税法上公益法人類似の法人とすることは、租税体系上の矛盾であつて許されないと主張する。 しかし、医療事業が公益性を帯びていて、本来非営利的性質を有する事業であることは、前記(二)のとおりであつて、医療事業を営む者は旧相続税法一二条一項三号、二一条の三第一項三号所定の「公益を目的とする事業を行う者」に該当するものというべきであるが、非課税の取扱いを受けることができないのは、これらの条項の定める政令の要件を充たすことができないからにほかならず、相続税法上、医療事業が「公益を目的とする事業」に該当しないからではない。また、旧所得税法九条は医療事業から生ずる所得を事業所得として規定しているが、同法上の事業所得は、商業、工業、農業、水産業、医業、著述業等の一定の事業から生ずる所得をいうのであつて、同法上事業所得として規定されていることをもつて、直ちに医療事業が営利事業であるとすることができないのはいうまでもない。更に、公益を目的とする事業を行う法人が収益事業を行うことがなんら右法人の公益性と矛盾するものでないことは、既に述べたとおりであるところ、医療法人は、法人税法上非課税法人、公益法人等以外の一般の法人として、課税上は営利法人と同様の取扱いを受けているが、それは専ら医療法人が収益事業を営むからにほかならず、医療法人 とおりであるところ、医療法人は、法人税法上非課税法人、公益法人等以外の一般の法人として、課税上は営利法人と同様の取扱いを受けているが、それは専ら医療法人が収益事業を営むからにほかならず、医療法人が営利法人たる性質を有するからではない。よつて、同原告のこの点に関する主張も理由がない。 (4) したがつて、医療法人は相続税法六六条四項所定の「公益を目的とする事業を行う法人」に該当しないとの同原告の主張は採用するに由ない。 (二) 次に、医療法人に対する財産の提供、贈与等については、相続税法六六条四項所定の財産の提供者、贈与者等の同族関係者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるということはあり得ないか否かについて考察する。 (1) 相続税法六六条四項は、前記3の(一)の趣旨からすれば、出資持分の定めのある法人については、財産の提供、贈与等の後も持分の移転の際に相続税又は贈与税を課し得るから、その適用の余地はないが、これに対し、財団形態の医療法人のように出資持分の定めのない法人については、前記3の(一)のとおり当該法人に対する財産の提供、贈与等の後もその財産の提供者、贈与者等又はその同族関係者がこれを取得したのと同様な状態にあるのにかかわらず、相続税又は贈与税を課されないこととなり、これらの者の相続税、贈与税の負担が不当に減少する結果となる場合もあり得るというべきである。 そして、同条項の規定のように、同族関係者らの相続税、贈与税の負担が不当に減少する結果となるか否かは、財産の提供、贈与等の時点において当該法人の定款若しくは寄附行為の定め、役員の構成、財産管理の状況等に照らして、財産の提供等のない場合に比し同族関係者らの相続税又は贈与税の負担が不当に軽減する結果となるといい得れば足りるのであつて、同原告主張のように、結果 行為の定め、役員の構成、財産管理の状況等に照らして、財産の提供等のない場合に比し同族関係者らの相続税又は贈与税の負担が不当に軽減する結果となるといい得れば足りるのであつて、同原告主張のように、結果的にいかなる者にどれ程の相続税等の負担の減少をきたしたかを確定する必要はないものと解するのが相当である。 (2) ところで、同原告は、医療法人制度の立法趣旨は、相続税又は贈与税を課さないことによつて医療事業の永続性を図るものであると主張する。しかし、医療法人制度の一つの目的が医療事業の永続性の確保にあるからといつて、そのために医療法人に対してはいかなる場合にも相続税又は贈与税を課さないこととしたものと解することはできない。けだし、仮にいかなる医療法人に対しても相続税又は贈与税を課し得ないとするならば、個人の開業医は、医療事業の実態はそのままにしながら法人格を取得することによつて容易に相続税を免脱することができ、租税負担の公平を著しく害することになるからである。 また、同原告は、医療法人が取得する財産は旧相続税法一二条一項三号又は二一条の三第一項三号に当たるから相続税又は贈与税を課し得ない旨主張する。しかし、右の各条項は、「公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるもの」が当該公益を目的とする事業の用に供することが確実な財産に限り非課税にしているところ、右政令に当たる同法施行令二条及び四条の三は、前記法条の趣旨に則り慈善、学術、宗教等社会通念上およそ収益の余地がないような事業、すなわち、専ら公益の事業を行う者がその公益を目的とする事業の用に供する財産に限つて非課税財産とする旨を定めている。とすれば、医療法人の事業は、社会通念上も現実にも収益事業を含んでいるのであるから、その事業の用に供する財産が右規定上の非課税財産に該当しないことは明らかという つて非課税財産とする旨を定めている。とすれば、医療法人の事業は、社会通念上も現実にも収益事業を含んでいるのであるから、その事業の用に供する財産が右規定上の非課税財産に該当しないことは明らかというべきである。 (3) よつて、医療法人に対する財産の提供、贈与等により、贈与者等の同族関係者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少することはあり得ないとの同原告の主張は、採用することができない。 5 課税の対象及び適用法条を誤つた違法の有無原告らは、被告税務署長ら及び下谷税務署長は原告らの解散時における残余財産の帰属について特定の者に特別の利益を与える可能性、原告らの施設の利用について特定の者に特別の利益を与えていることなどを処分理由として主張しているから、これによれば相続税法六五条を適用すべきこととなり、同法六六条四項を適用してした本件各処分は違法であると主張する。しかし、同法六五条は、このような場合について明文で「第六六条第四項の規定の適用がある場合を除く外」適用される旨を定めているから、後者が前者に優先して適用されるべきことは明らかであつて、原告らの右主張は失当というほかない。 6 相続税法六六条四項の適用による信義則違反等の有無更に、医療法人に対して相続税法六六条四項を適用するのが、原告ら主張のように、政府当局者等の言動に照らして、信義則又は禁反言の原則に反するか否かについて検討する。 成立に争いのない甲第五、第八号証によると、医療法人制度を創設するための医療法の一部を改正する法律案が審議された第七回国会厚生常任委員会において、政府委員たる厚生省医務局次長が、右法律案提出の根本目的は、病院建設促進のための資金の集積を容易ならしめること及び病院の永続性を確保することにあるが、後者の目的は、個人開設の病院について、その病院長が年輩になり後継者 医務局次長が、右法律案提出の根本目的は、病院建設促進のための資金の集積を容易ならしめること及び病院の永続性を確保することにあるが、後者の目的は、個人開設の病院について、その病院長が年輩になり後継者に病院を承継させる場合に多額の相続税を課されるために病院経営を継続し得ないことが起つている実情であるので、かかる場合にも医療法人に組織替えしておくことによりそのような問題を解決することも目指している旨、提案理由を説明し、また、同委員会の質疑において、医療法人設立に当たり出資された場合に医療法人又は出資者に対して課税がされるかとの問に対し、「出資をした場合には税金はかかりません。それから最近税法改正の方針が変りましたようでありまして、財団法人に寄附をいたします場合、・・・・・・贈与税を課さないということに方針が改まつたということを聞いております。」と回答していることが認められるが、これらの発言は、当時の相続税法の下では、法人の財産について、出資者等の死亡による相続税の課税の余地がないから、結果的に医療法人に対しても相続税の問題は起らないとの趣旨を説明したほか、財団法人に対する贈与税の課税に関する法改正の見込みを述べたものに過ぎず、これをもつて、医療法人制度が相続税等の負担を免れるために利用されることまで、政府において是認したものとはとうてい解されず、一方、証人p28、同p29の各証言及び原告A、同Bの各代表者尋問の結果中には、当時、当局の職員等が、医療法人の設立により開業医の死亡等による相続税の課税等を免れ得るとしてその設立を勧奨又は指導したとする供述があるが、これらの当局職員等の指導・勧奨の趣旨は、結局、前認定の第七回国会厚生常任委員会における政府委員の説明と同趣旨に出たものであつて、もとより、その後、医療法人制度が相続税等の免脱のために利 があるが、これらの当局職員等の指導・勧奨の趣旨は、結局、前認定の第七回国会厚生常任委員会における政府委員の説明と同趣旨に出たものであつて、もとより、その後、医療法人制度が相続税等の免脱のために利用される事態を生じても、医療法人に対する相続税等の課税を許容するような法改正はいつさい行わないことまでも保障したものでないことは自明の理であつて、当時右のような当局者の指導があつたことを根拠として、その後、相続税法六六条四項のごとき法律を制定すること及び同法条に基づいて課税処分を行うことが信義に反するということはできない。 よつて、医療法人に対し相続税法六六条四項を適用するのは信義則ないし禁反言の原則に反するとの原告らの主張は、失当というほかない。 7 相続税法六六条四項の原告らへの適用の可否相続税法六六条四項の趣旨が公益事業法人に対する財産の提供者、贈与者等又はその同族関係者による前記3の(一)のような相続税又は贈与税の負担回避を防止することにあることは、既に述べたとおりであるから、公益事業法人に対する財産の提供、贈与等があつた場合に、当該提供、贈与等の時点において、当該法人の役員等の構成・機能、収入支出の経理、財産の管理状況、解散のときの残余財産の帰属、その他の定款・寄附行為の定め等からみて、当該財産の提供者、贈与者等又はその同族関係者が当該提供等にかかる財産を私的に支配し、その使用、収益を事実上享受し、あるいは当該財産が最終的にこれらの者に帰属するような状況にあるときは、同条項所定のこれらの者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められる場合に該当するものと解するのが相当である。 そこで、以下、これを各原告について考察する。 (一) 原告塩田会原告塩田会は、本件(一)決定にかかる租税債務の不存在確認請求をしているが、このよ められる場合に該当するものと解するのが相当である。 そこで、以下、これを各原告について考察する。 (一) 原告塩田会原告塩田会は、本件(一)決定にかかる租税債務の不存在確認請求をしているが、このような租税債務不存在確認請求は、当該債務の原因たる課税処分に無効事由、すなわち、重大かつ明白な違法があることを前提とするほかないところ、本件(一)決定については、前記1ないし6の各点に関して違法のないことは既にみたとおりであるうえ、相続税法六六条四項の同原告に対する適用に関しても、同原告の役員構成並びに寄附行為の変更、同原告の解散及び解散に伴う残余財産の処分についての寄附行為の規定が被告国の主張のとおりであることは当事者間に争いがない以上、一応財産提供者等による提供財産の私的支配の事実を認めるべき根拠があるものということができ、仮に、同原告が反論1の(一)で指摘するような同原告における諸経理の解釈等をめぐる事実についての下谷税務署長の誤認があつたとしても、これらは、本件(一)決定について重大かつ明白な違法事由に当たらないことは明らかであるから、同原告の主張自体失当といわざるを得ない。 ところで、同原告は、納税者が課税処分以前から当該租税債務について不存在確認の訴えによつてこれを争つている間に課税処分がされた場合には、当該処分について訴願前置手続を経ることなく、前記訴えを当該処分取消しの訴えに変更し得るから、当該処分に基づく租税債務不存在確認請求についても無効事由の存在は不必要である旨主張するが、処分取消しの訴えに変更し得るからといつて、該処分に基づく租税債務不存在確認の請求において処分の無効事由の存在を要しないとするのは独自の見解であつて、採用できない。 (二) 原告C(1) 役員の構成等原告Cにおける設立当初(財産提供当時、以下同じ。)の役員 債務不存在確認の請求において処分の無効事由の存在を要しないとするのは独自の見解であつて、採用できない。 (二) 原告C(1) 役員の構成等原告Cにおける設立当初(財産提供当時、以下同じ。)の役員構成がp11の点を除き、別紙第三目録記載のとおりであることは当事者間に争いがなく、これによれば、当初の理事四名中理事長p10、理事p30の親子は、いずれも同原告に財産を提供した本人であるうえ、証人p12の証言によると、その他の理事たるp12及びp13は、いずれも同原告設立以前からp10の使用人(後者は、同人の元患者の妻でもある。)であり、その後も同原告の事務職員であつたことが認められる(なお、成立に争いのない乙第二号証の二〇及び証人p12の証言によると、昭和二九年一〇月以降は、p10の次女p11が理事として加わり、その結果、同族関係者のみで理事会の過半数を占めることになつたことが認められる。)。また、成立に争いのない乙第二号証の二によると、同原告の監事p31もp10の娘の夫であることが認められる。 したがつて、同原告の運営は、後記(2)の理事会の議決方法を考え合わせると、織本一雉及びその同族関係者の意思に基づいて行われるおそれがあつたということができる。 (2) 残余財産の処分等に関する寄附行為の規定同原告の寄附行為は、同原告が解散した場合の残余財産は理事会の議決を経、主務官庁の認可を得て処分すること、また、理事会の議決は、出席理事の過半数で決し、可否同数のときは議長(理事長)の決するところによると定めていることは、当事者間に争いがないから、同原告の解散の場合には、主務官庁の認可が要るとはいえ、残余財産がp10又はその同族関係者に帰属することになる蓋然性が高いことは否めない。 また、成立に争いのない乙第二号証の一の一によると、寄附行為上、同原 解散の場合には、主務官庁の認可が要るとはいえ、残余財産がp10又はその同族関係者に帰属することになる蓋然性が高いことは否めない。 また、成立に争いのない乙第二号証の一の一によると、寄附行為上、同原告の資産は理事会の議決を経て定めた方法によつて理事長が管理する旨定められているから、前記の理事会の構成及び議決方法等にかんがみ、同原告の資産が理事長であるp10又はその同族関係者の意向のままに管理されるおそれがあつた。 (3) 経理状況及び財産管理の実状(ア) 成立に争いのない乙第二号証の一〇二及び証人p12の証言によると、同原告に対して寄附行為により提供された財産には、その設立認可の日の前日の状態におけるp10、p30の医療事業上の全資産及び同事業に伴う全債務が含まれていることが認められる。 (イ) 前掲乙第二号証の一の二及び証人p12の証言によると、p10は、前記の財産提供後も、その提供にかかる財産の一部である同原告の建物(同人の従前の私宅)を無償で使用し続け(次女p11も一時同居した。)、昭和三二年右建物が同原告の病室として使用されるに至つた後は、同原告の他の建物の一〇畳間を無償で使用していたことが認められる。 (ウ) いずれも成立に争いのない乙第二号証の九ないし一一、同号証の一二の一、二、同号証の一三ないし一五、同号証の一九の一ないし三及び証人p12の証言並びに弁論の全趣旨を総合すると、p10は、同人所有の中野区<以下略>所在の土地を、同原告に対し、なんの留保もなしに提供したにもかかわらず、昭和三六年四月七日同原告の臨時理事会において右土地のうち同人の元私宅敷地部分の借地権が同人に帰属することを確認させたうえ、これを、同原告の承諾を得てp32ほか二名に売却し、その代金で北多摩郡<以下略>に自己の土地、建物を取得したこと、また、同理事会 ち同人の元私宅敷地部分の借地権が同人に帰属することを確認させたうえ、これを、同原告の承諾を得てp32ほか二名に売却し、その代金で北多摩郡<以下略>に自己の土地、建物を取得したこと、また、同理事会において同原告の清瀬分院の建物が隣接地たるp10の所有土地にまたがつていることを確認させたうえ、右土地分の賃料と同人が同原告に支払うべき別の土地の賃料とを一致させたうえ相殺する旨を決議させたことが認められる。 (エ) 更に、被告中野税務署長は、以上のほかに、同原告の理事たるp11、p12、p13の各給与が不当に高額である旨主張するが、本件全証拠によつても右事実を認めるに足らない。 したがつて、右認定の(ア)ないし(ウ)の事実からすれば、同原告の経理、財産管理は、p10及びp30又はその同族関係者のそれと実質上明瞭には区別されていないことが推認できる。 (4) 以上の(1)ないし(3)の各事実を総合すると、同原告が新たに医療法人の法人格を取得した後も、その経営の実態はp10が個人として経営していた当時の病院の経営と実質的に異なるところはなく、同原告は財産の提供者たるp10及びp30又はその同族関係者によつて私的に支配され、その提供財産の使用、収益は事実上同人らによつて享受され、同原告の残余財産は最終的には同人らに帰属するおそれがあるため、右財産提供者の同族関係者らの相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となるものと認めることができる。したがつて、この点に関する同原告の主張も採用するに由ない。 (三) 原告D(1) 役員の構成等原告Dの設立当時の役員の構成が別紙第三目録記載のとおりであることは、当事者間に争いがなく、これによると、理事六名のうち四名が財産提供者たるp14及びその同族関係者である。また、成立に争いのない5乙第三号証の二、七による の構成が別紙第三目録記載のとおりであることは、当事者間に争いがなく、これによると、理事六名のうち四名が財産提供者たるp14及びその同族関係者である。また、成立に争いのない5乙第三号証の二、七によると、その他の理事のうちp33はp14の知人である関係上理事として名を貸したに過ぎず、理事会に出常したことも、議事録や決算書に目を通したこともなく、同原告の運営には全く関与しなかつたこと、後に理事に就任したp34もp14の知人で、理事会には年一、二回出席する程度であまり熱心に同原告の運営に参加したものではないことが認められる。したがつて、同原告の運営は、後記(2)の理事会の議決方法を勘案すると、p14及びその同族関係者の意向に沿つて行われるおそれがあつたということができる。 (2) 残余財産の処分等に関する寄附行為の規定同原告の解散時における残余財産の処分に関する規定(設立当初のもの及びその後改正されたもの)が被告蒲田税務署長主張のとおりであることは当事者間に争いがなく、成立に争いのない乙第三号証の六によると、現在の規定は設立二か月後に変更されたものであることが認められるが、変更後の規定によれば、当初の規定にあつた残余財産の処分先についての制限も削除され、これをただ理事総数の三分の二以上の同意と主務官庁の認可によつて処分し得る旨を定めている(なお、証人p29の証言によると、同原告がこのような寄附行為の変更をしたのは、同被告から原告の組織を社団法人か個人経営かに変えるよう二者択一を迫られた結果であることが窺われるが、その後同原告は社団法人又は個人経営に変つたわけではなく、しかも規定は右変更を加えたままのものである。)。 したがつて、同原告が解散したときの残余財産がp14又はその同族関係者に帰属する蓋然性は十分あるということができる。 また、成立に つたわけではなく、しかも規定は右変更を加えたままのものである。)。 したがつて、同原告が解散したときの残余財産がp14又はその同族関係者に帰属する蓋然性は十分あるということができる。 また、成立に争いのない乙第三号証の一によると、同原告の資産は、寄附行為上、理事会の議決を経て定めた方法により理事長が管理する旨定められていることが認められる。したがつて、前記理事会の構成を考え合わせると、同原告の資産は、理事長でもあるp14又はその同族関係者の意向に従つて管理されるおそれがある。 (3) 経理及び財産管理等の実状(ア) 成立に争いのない乙第三号証の一三の一、二及び証人p29の証言によると、同原告の開始貸借対照表には、p14個人の開業医当時の借入金、未払代金、租税債務等の消極財産が掲げられており、結局同原告は同人の開業医時代の積極・消極の事業用財産をすべて引き継いだものであること、同原告は、昭和二九年四月から同三〇年三月までの事業年度における法人税の申告の際にも、損金としてp14個人の都民税、事業税等を計上していることが認められる。 (イ) 成立に争いのない乙第三号証の一一の二及び証人p29の証言によると、p14は同原告に提供した建物の一部を使用し、その月額賃料を二〇〇〇円ないし三〇〇〇円と定めていたが、右賃料は必ずしも毎月支払われたわけではなく、半年分一括して支払われたり、同人の債権と相殺勘定により決済されたりしていたことが認められる(なお、同被告は、右賃料が不当に低額である旨主張するが、本件全証拠によつてもこれを認めるに足らない。)。 (ウ) 成立に争いのない乙第三号証の四、五及び証人p29の証言によると、同原告の病院の電話はp14及びその家族も使用していたが、同人らがその料金を負担することはしなかつたこと、同原告は昭和三〇年四月から同三一 に争いのない乙第三号証の四、五及び証人p29の証言によると、同原告の病院の電話はp14及びその家族も使用していたが、同人らがその料金を負担することはしなかつたこと、同原告は昭和三〇年四月から同三一年三月までの間に日本大学に対し六〇〇〇円を寄附したが、右はp14が研究その他の点で大学とのつながりをもつ必要があつたためであることが認められ、右認定に沿わない乙第三号証の四の一部は証人p29の証言及び弁論の全趣旨に照らして採用できない。 (エ) 成立に争いのない乙第三号証の八及び証人p29の証言によると、p14が同原告の設立の時に同原告に提供した建物の登記簿上の所有名義は、八年余の後に滞納処分のため代位による所有権移転登記手続が経由されるまで同原告に移転されなかつたことが認められる。 (オ) 証人p29の証言によると、同原告は昭和三五年四月から同三六年三月までの事業年度にその診療所の建物の一部を改築した際に、p14の居宅部分を増築したことが認められる。 (カ) しかし、前掲乙第三号証の四、五及び証人p29の証言によつても、いまだ同原告がp14に役員賞与を損金経理により支給し、また、同原告の収入に計上すべき売上金をp14が私的に費消したとの同被告の主張事実は認めるに足らず、他に右事実を認めるべき証拠もない。また、同被告は、同原告が診療所等の表示にその名称を用いず、p14の個人開業医時代の名称を用いている点を指摘するが、これは、前掲乙第三号証の一及び弁論の全趣旨によると、同原告が寄附行為により診療所として「小川歯科医院」を設置する旨を定めている結果であつて、これをもつて直ちにp14による同原告に対する私的支配の徴ひようとみることは相当でない。 右認定にかかる(ア)ないし(オ)の事実からすれば、同原告の経理及び財産管理は、p14又はその同族関係者のそ これをもつて直ちにp14による同原告に対する私的支配の徴ひようとみることは相当でない。 右認定にかかる(ア)ないし(オ)の事実からすれば、同原告の経理及び財産管理は、p14又はその同族関係者のそれと実質上明瞭には区別されておらず、また、右財産の事実上の使用、収益が同人らによつて享受されていることが推認できる。 (4) 以上の(1)ないし(3)の事実を総合すると、同原告の経営の実態は、医療法人となつた後もp14の個人開業医時代の診療所の経営と実質的に異なるところはなく、同原告は財産の提供者たるp14又はその同族関係者によつて私的に支配され、その提供財産の使用、収益は事実上同人らによつて享受され、同原告の残余財産は最終的には同人らに帰属することになるおそれがあるため、右同族関係者らの相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となるものと認めることができる。したがつて、この点に関する同原告の主張も採用することができない。 (四) 原告A(1) 役員の構成原告Aの設立当時の役員構成が別紙第三目録記載のとおりであることは当事者間に争いがなく、これによれば、理事五名のうち三名及び監事は、財産提供者であり、かつ、理事長でもあるp15とその同族関係者により占められていることが明らかである。 しかし、成立に争いのない甲第一三号証の一、二及び同原告代表者尋問の結果によると、その後右理事については、設立後まもない昭和二九年二月p16及びp17に代つて同原告の勤務医師小野光春、p19が理事に就任して以来、数回にわたり理事の交代があつたが、すべてこのような勤務医師の理事就任であり、新理事はいずれもp15の同族関係者ではなかつたこと、現在では、理事五名中p15とp35を除く三名及び二名の監事全員は全く右p15と同族関係はなく、寄附行為の規定上も、同族関係者は役 事就任であり、新理事はいずれもp15の同族関係者ではなかつたこと、現在では、理事五名中p15とp35を除く三名及び二名の監事全員は全く右p15と同族関係はなく、寄附行為の規定上も、同族関係者は役員総数の一〇分の四未満でなければならない旨定められていることが認められる。 なお、被告は、理事p20は当時学生であり、その後も富山市に居住していたので理事の職務を執行しなかつた旨主張するが、同原告代表者尋問の結果及び弁論の全趣旨(一部争いのない事実を含む。)によると、p20は、理事就任当時は大学四年生であつたが、卒業後同原告の事務を担当する予定であつたため理事に就任したもので、その後家庭の事情から会社に就職し、転勤により約一年間富山市に転居したが、その間富山市在住の時期を除き、理事会に出席していたのであり、欠席の時は理事長に委任状を提出していたことが認められ、右認定を覆すに足る証拠はないから、被告の右主張は理由がない。 また、前掲甲第一三号証の一、二、成立に争いのない乙第四号証の一二によると、現行の寄附行為では、同原告の役員として、理事と監事のほかに、評議員制度が設けられていて、評議員(一二名ないし一八名)は、他の役員との兼任を禁止されるうえ、その総数のうちいわゆる同族関係者は一〇分の四未満に制限されているところ、役員の選任、寄附行為の変更、資産管理方法、収支決算、財団の解散等重要事項については理事会のみならず評議員会の議決ないし承認を得なければならない旨定められており、現にそのとおり実施されていることが認められる。 してみると、同原告の運営が、役員構成の点からp15及びその同族関係者の意のままに行われるおそれがあると断ずることはできない(なお、相続税法六六条四項に該当するか否かの判断の基準時が、被告指摘のとおり、医療法人に対する財産提供の時と の点からp15及びその同族関係者の意のままに行われるおそれがあると断ずることはできない(なお、相続税法六六条四項に該当するか否かの判断の基準時が、被告指摘のとおり、医療法人に対する財産提供の時と解すべきことは、既に前記7の冒頭において述べたところであるが、このことは、その後の事実関係を基準時における当該医療法人の諸状況を推認する徴ひようとして斟酌することを妨げるものではない。)。 (2) 残余財産の処分等に関する寄附行為の規定同原告の解散時における残余財産の処分に関する寄附行為の規定(変更後のものも含む。)が同被告主張のとおりであることは当事者間に争いがなく、これによると、設立当初は、解散時の残余財産は理事会の議決を経て国又は地方公共団体に寄附する旨定められ、現在も、残余財産は国又は地方公共団体又は本財団と類似の目的で医療事業を行う他の法人に帰属すると定められているが、その間昭和三一年五月には、残余財産は理事会の議決を経て医療法及び民法に定めるところにより帰属すべきものに帰属すると改正されている。なるほど、右改正により寄附先についての制限が削除され、私的支配がより容易になつたことは明らかであるが、同原告代表者尋問の結果によると、右改正は、当時の同原告の事務長が組織を社団法人に変えざるを得なくなるときのことを考慮のうえ行つたもので、その後同原告は、法人格を変更しないことに決めた時に直ちに現在のような規定に戻したことが認められるから、右改正は特殊事情に基づく暫定的なものであつたとみることができる。そして、設立当初及び現在の規定によると、同原告の残余財産がp15又はその同族関係者に帰属する余地は全くないというべきである。 また、成立に争いのない乙第四号証の一〇の二及び前掲甲第一三号証の一、二によると、同原告の資産の管理は、寄附行為上、設立当 余財産がp15又はその同族関係者に帰属する余地は全くないというべきである。 また、成立に争いのない乙第四号証の一〇の二及び前掲甲第一三号証の一、二によると、同原告の資産の管理は、寄附行為上、設立当初は、理事会が定めた方法によつて理事長が行う旨定められていたが、現在では、理事会及び評議員会の議決を経て定めた方法によつて理事長が行うものとされていることが認められる。したがつて、同原告の資産の管理は、設立当時の規定においては、p15又はその同族関係者の意向に沿つて行われるおそれがあると解する余地もなくはなかつたが、むしろその後の規定等の諸状況からみて、同原告の場合、そのようなおそれはなかつたものと推認するのが相当である。 (3) 経理及び財産管理等の実状(ア) p15が同原告設立後暫定的に約一年間同原告の病院の八畳間に無償で居住していたことは当事者間に争いがなく、同原告代表者尋問の結果によると、同人の妻も同室に同居していたが、同人らの居住は、当時同病院には他に適当な当直医がいなかつたため、同人が当直医を兼ねたことにもよることが認められ、また、p15が右の病院居住の期間中使用したガス・電気・水道の料金をみずから負担しなかつたことは当事者間に争いがないが、同原告代表者尋問の結果及び弁論の全趣旨によると、右料金部分はメーターの関係上金額の分離が困難であるうえ、極めて少額である一方、p15は同原告から宿直医の手当の支給を受けていなかつたことが認められる。したがつて、p15がこのように賃料や光熱費を支払わなかつたことは、当直医が必要であり、かつ、当直医手当が支給されていなかつたことを考慮すると、あながち同人が不当な利益を受けていたというには当たらない。 (イ) 成立に争いのない乙第四号証の六ないし八及び同原告代表者尋問の結果によると、同原告が法人税の 支給されていなかつたことを考慮すると、あながち同人が不当な利益を受けていたというには当たらない。 (イ) 成立に争いのない乙第四号証の六ないし八及び同原告代表者尋問の結果によると、同原告が法人税の申告に当たりp15に対する賞与を損金に計上したため被告により否認されたこと、また、同申告について、入院患者・付添看護婦の給食収入の計上もれが指摘されたことが認められるが、前掲乙第四号証の八その他本件全証拠によつてもいまだp15が右給食収入を私的に費消したとの点は認めるに足らず、右認定の事実をもつて、p15が同原告を私的に支配していることの一徴ひようとすることは困難である。 (ウ) 更に、被告大森税務署長は、同原告とp15又はその親族等との間に不明瞭な金銭貸借関係がある旨主張する。そして、前掲乙第四号証の六、成立に争いのない同号証の二、四、五、七及び同原告代表者尋問の結果によると、同原告がp15から、又は同人らを通じてその親戚等から短期借入れをしていることが認められるが、右事実によつて、直ちに、同原告の経理とp15のそれとが明瞭に区別されていないとか、同人が同原告から特別の利益を得ているということができないのはいうまでもない。 (エ) かえつて、前掲乙第四号証の一〇の二、成立に争いのない同号証の一〇の三、四及び弁論の全趣旨によると、p15らから同原告に提供された財産には、他の同種医療法人の設立の場合に往々にしてみられるように財産提供者の負債等が含まれているというような事実は全くないことが認められる。 (4) 旧租特法六七条の二の大蔵大臣の承認等同原告が昭和四〇年三月三一日旧租特法六七条の二第一項の適用上、公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運営されていることにつき同法施行令三九条の一三第一項所定の要件を充たしているものとして大蔵大臣の承認を受け 和四〇年三月三一日旧租特法六七条の二第一項の適用上、公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運営されていることにつき同法施行令三九条の一三第一項所定の要件を充たしているものとして大蔵大臣の承認を受けたこと、したがつて、同原告については右時点において財産提供者らによる私的支配、利益享受等がなかつたことは、当事者間に争いがない。 また、前掲乙第四号証の一〇の三、四及び同原告代表者尋問の結果によると、同原告は、設立当初は資産六三五万余円、病院一、従業員二〇名余であつたのが、現在では、資産約二億円、病院三、従業員一〇〇名余となつて、着実に拡大・充実されてきたことが認められる。 (5) 以上認定の(1)ないし(4)の事実を総合勘案すると、同原告は、被告主張のように、設立当初はp15の個人開業医時代の病院経営とさして変らなかつたのに、その後一〇年を経て前記の大蔵大臣の承認をうけた時点において、その承認にふさわしい実態をもつものに変容したとみるべきではなく、むしろ設立当初からp15又はその同族関係者によつて私的に支配され、その財産の使用・収益を同人らが享受するという状況にはなかつたものと推認するのが相当である。 よつて、同原告に対して相続税法六六条四項を適用してした本件四更正は、違法であつて、取消しを免れない。 (五) 原告B原告Bに対する本件各処分のうち、本件(五)(1)決定が理由附記の不備によつて違法であることは前示のとおりであるから、ここでは本件(五)(2)決定について検討する。したがつて、相続税法六六条四項の適用の可否を判断すべき基準時は、p1から当該財産の贈与がされた時点である。 そして、成立に争いのない乙第一号証の五及び同原告代表者尋問の結果によると、p21の弟にあたるp1が同原告に贈与したとされる財産たる建物は、昭和一八年にp21が家督相 財産の贈与がされた時点である。 そして、成立に争いのない乙第一号証の五及び同原告代表者尋問の結果によると、p21の弟にあたるp1が同原告に贈与したとされる財産たる建物は、昭和一八年にp21が家督相続により取得したところ、同人の応召中に同人の同意を得ることなくその所有名義がp1に変更されていたもので、本来p21の所有であつて、その所有名義も同人に回復されるべきものであるところ、同人はすでに同原告を設立しており、その事業用財産を同原告にすべて提供していたので、p1から直接同原告に贈与する形式をとつたことが認められるから、その実質はp21による贈与とみるべきものである。 (1) 役員の構成同原告の設立当初の役員の構成が別紙第三目録記載のとおりであることは当事者間に争いがないが、成立に争いのない乙第一号証の三、七及び証人p28の証言並びに同原告代表者の尋問の結果によると、右役員のうち、p22は昭和二九年一〇月一日p36と交代し、p23は、同三一年一〇月一日p21の母p24と交代したことが認められる。したがつて、同原告設立当時は、同原告の理事四名のうち三名及び監事がp21及びその同族関係者であつたのであり、更に、p1から同原告に建物が贈与された(以下「本件贈与」という。)のち、まもなく、理事四名のうち三名が同人の近親者によつて占められるに至つたのである。そして、成立に争いのない乙第一号証の六、同号証の一二の一ないし三及び原告代表者尋問の結果によると、同原告の定時理事会は毎年度二回、四月及び三月に開催される建前になつているが、実際には年一回四月ころ開催されるに過ぎず、ときには理事会は、決議録を各理事の間に回してその押印を得ることをもつて代えられていたことが認められる。 したがつて、同原告の運営は、後記(2)の理事会の議決方法を考え合わせると、本 れるに過ぎず、ときには理事会は、決議録を各理事の間に回してその押印を得ることをもつて代えられていたことが認められる。 したがつて、同原告の運営は、後記(2)の理事会の議決方法を考え合わせると、本件贈与の前後を通じてp21及びその同族関係者の意向に沿つて行われるおそれがあつたということができる。 (2) 残余財産の処分等に関する寄附行為の規定同原告の寄附行為上、同原告が解散した場合の残余財産は、理事会の決議を経、かつ、主務官庁の認可を得て処分する旨、また、右理事会の決議は、出席理事の過半数により、可否同数のときは議長(理事長)の決するところによる旨定められていることは、当事者間に争いがないから、同原告の残余財産は、前記の理事の構成からみて、p21又はその同族関係者に帰属することになる蓋然性が高いということができる。 また、前掲乙第一号証の一二の三によると、同原告の資産は、理事会の決議を経て定めた方法によつて理事長が管理する旨定められていることが認められるところ、同原告の前記の理事の構成及び議決方法を考え合わせると、同原告がその資産の管理上、p21又はその同族関係者に特別な利益を与えるおそれが十分あるというべきである。 (3) 経理及び財産管理の実状(ア) p21が本件贈与になる建物の一部(一四坪)を本件贈与の時以降同原告から当初の月額賃料三〇〇〇円の約で賃借してきたことは、当事者間に争いがなく、前掲乙第一号証の七、証人p28の証言及び同原告代表者尋問の結果によると、p21は右居住により同原告の宿直医を担当していたが、同人のほかにその家族も右建物に居住してきた(同建物のその他の部分は、時により同原告の炊事場、従業員宿舎、病室等に使用されたことがある。)ところ、その賃料は必ずしも定期的に支払われているわけではなく、p21の同原告に対する貸 物に居住してきた(同建物のその他の部分は、時により同原告の炊事場、従業員宿舎、病室等に使用されたことがある。)ところ、その賃料は必ずしも定期的に支払われているわけではなく、p21の同原告に対する貸金債権をもつて相殺勘定されたり、ときには全くその支払いがなかつたため、同原告の法人税の申告につき被告荒川税務署長からこの点を指摘されたことがあることが認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。 しかし、右賃料(その後増額されたものも含む。)が低額に過ぎるとの同被告の主張は、p21が前示のとおり当直医を兼ねていたこと及び同人とその家族の占用部分が明確でないことなどを考慮すると、前掲乙第一号証の七その他本件全証拠によつても、これを認めるに足らない。 (イ) 前掲乙第一号証の七、証人p28の証言及び弁論の全趣旨を総合すると、p21とその家族の光熱費及び水道料金は、昭和三三年にメーターが分離されるまでは同原告によつて一括して支払われていたが、同人は毎月その自己負担分の支払いをしたわけではなく、期末に同人の同原告に対する貸金債権をもつて相殺勘定したり、ときには全く支払いがされなかつたために同被告によつてその旨指摘されたこともあること、また、p21やその家族は同原告の電話を使用したが、その料金は計算が困難であるとの理由により全く支払われていないこと、更に、同原告は、入院患者や従業員のための賄用の食品とともにp21及びその家族分も一括して購入することがあつたが、これがその都度清算されていた形跡はなく、同原告の法人税の申告につき、同被告によりその賄費の一部が否認されたことがあること、p21が同原告の自動車を私的に使用することもなくはなかつたが、そのガソリン代等を負担したことは全くなかつたことが認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。 (ウ) 前掲乙第一 れたことがあること、p21が同原告の自動車を私的に使用することもなくはなかつたが、そのガソリン代等を負担したことは全くなかつたことが認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。 (ウ) 前掲乙第一号証の七、成立に争いのない乙第一号証の一三及び証人p28の証言によると、p21は、同原告に提供した財産のうち土地の登記簿上の所有名義を同原告に移転しなかつたが、これは、同人が右土地を取得してその登記手続をしたときにその地番を隣地のそれと取り違えて了い、そのままになつていて、隣地所有者の承諾を得て訂正する必要があつたためであることが認められ、右認定を動かすに足りる証拠はない。 (エ) 前掲乙第一号証の七及び証人p28の証言によると、同原告から、p21は昭和三三年ころ年額六三万円、同三七年ころ月額九万二七〇〇円、p25は同三三年ころ年額二四万円、同三七年ころ月額二万一九〇〇円、p24は、設立当初月額八〇〇〇円、昭和三七年ころ月額二万円の各給与の支払いを受けていたこと、しかし、p21については、昭和三三年ころ他の病院に勤務した場合には月額一〇万円近くの給与の支給を受け得たのであり、また、p25は同原告の会計・人事等を担当し事務長的職務に従事していたものであるところ、病院の事務長は当時通常三万円以上の月給を受けていたから同女の前記給与は決して高いものではなく、更にp24は設立当時五七才で健康であり、亡夫が開業医であつた関係上病院経営に明るく、同原告の賄・支払関係の事務を担当していたのであるから、その前記給与も当時の見習看護婦の月給七〇〇〇円ないし八〇〇〇円に比して高きに過ぎるものではなかつたことが認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。 (オ) 同被告は、同原告とp21等との間には金銭貸借関係があるから、両者間の経理の分離が明瞭に行われていない旨 して高きに過ぎるものではなかつたことが認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。 (オ) 同被告は、同原告とp21等との間には金銭貸借関係があるから、両者間の経理の分離が明瞭に行われていない旨主張するが、同原告程度の規模の法人がその代表者等から融資を受けることは往々にしてあることであつて、単にこのような金銭貸借関係があることのみをもつて両者の経理が明瞭に区別されていないことの徴ひようとすることができないから、同被告の右主張は失当というべきである。 しかしながら、右認定の(ア)及び(イ)の各事実をもつてしても、同原告の経理がp21又はその同族関係者のそれと実質上明瞭には区別されておらず、同人らが同原告から特別の利益を受けていることを推認するに十分である。 (4) 以上認定の(1)ないし(3)の各事実を総合すると、同原告は、本件贈与の時点においても、実質的な贈与者であるp21又はその同族関係者によつて私的に支配され、その財産の使用、収益は事実上同人らによつて享受され、同原告の残余財産は最終的には同人らに帰属することになるおそれがあるため、右同族関係者らの相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となるものと認めることができる。 したがつて、この点に関する同原告の主張も失当というほかない。 三結論以上判示の理由により、本件(四)更正は相続税法六六条四項の適用を誤り違法であり、また、本件(五)(1)決定は理由附記の不備により違法であるから、それぞれその取消しを求める原告A及び同Bの各請求部分を認容し、その余の本件各処分には原告らの主張のような違法はないから、原告Bのその余の請求及び原告塩田会、原告C及び原告Dの各請求をいずれも失当として棄却することとし、訴訟費用の負担について民訴法八九条、九二条及び九三条を適用して主文のとおり判決する。 ないから、原告Bのその余の請求及び原告塩田会、原告C及び原告Dの各請求をいずれも失当として棄却することとし、訴訟費用の負担について民訴法八九条、九二条及び九三条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判官杉山克彦加藤和夫石川善則)

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