- 1 - 令和元年5月15日宣告平成30年(わ)第833号傷害致死被告事件 主文 被告人を懲役5年に処する。 未決勾留日数中210日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,実子であるA(平成30年▲月▲日生。当時生後約2か月。以下「被害者」という。)がなかなか泣き止まないことや抱え込んでいたストレスなどから我を忘れ,同年6月9日午後11時頃,当時の被告人方(福岡県古賀市ab丁目c番d号(以下省略))において,被害者の身体を激しく揺さぶるなどの暴行を加え,被害者に急性硬膜下血腫等の傷害を負わせ,よって,同月10日午前7時27分頃,B病院(福岡市e区fg丁目h番i号)において,被害者を上記傷害により死亡させた。 (法令の適用)罰条刑法205条未決勾留日数の算入刑法21条訴訟費用(不負担) 刑事訴訟法181条1項ただし書(量刑の理由)被告人は,まだ首も据わっていない無抵抗の乳児の身体を,脳内の血管が切れるほど激しく揺さぶるなどし,その幼い命を失わせるという取り返しのつかない結果を生じさせた。暴行の態様は残虐とまではいえないが,生後約2か月の被害者に対する行為としては危険性の高い犯行である。被告人は,内妻の体調が優れない中,愛情をもって被害者の養育に関わっていたとはいえるが,この日に限って普段以上に夜泣きがひどく,あやしてもなかなか泣き止まない被害者に対し,日頃の育児やこれによる仕事への支障等に伴うストレスもあいまって,突発的に本件犯行に及ん- 2 - だとみられる。被害者の養育に伴う被告人の負担は軽くなかったと思われる上,一 ない被害者に対し,日頃の育児やこれによる仕事への支障等に伴うストレスもあいまって,突発的に本件犯行に及ん- 2 - だとみられる。被害者の養育に伴う被告人の負担は軽くなかったと思われる上,一定期間にわたる虐待が繰り返されたような事案とも一線を画しているものの,過去に2度乳児の養育に携わった経験があるという被告人が,被害者と生活を共にした期間が僅か1か月ほどにとどまり,内妻の親族等に育児への協力を求めるなど他の方策を真剣に考えてみることもしないまま,自らの感情を何ら落ち度のない被害者に向けて爆発させたという経緯からすると,相応の非難は免れない。これらの犯情を踏まえると,本件は,子を被害者とする単独犯の傷害致死事案の中で中程度の部類に属すると考えられ,被告人に対し刑の執行を猶予することは考えられない。 そして,被告人が犯行直後から被害者の救命のための措置を施したこと,罪を認め,後悔や反省の弁を述べていることなどの一般情状も考慮し,主文の刑を定めた。 (求刑懲役10年,弁護人の科刑意見懲役3年,執行猶予付き)令和元年5月15日福岡地方裁判所第2刑事部 裁判長裁判官溝國禎久 裁判官蜷川省吾 裁判官多田真央
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