主文 1 被告らは,原告Aに対し,連帯して2209万2318円及びこれに対する平成18年7月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告らは,原告Bに対し,連帯して661万5900円及びこれに対する平成18年7月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,原告Aに生じた費用の100分の73と被告らに生じた費用の100分の59を被告らの,原告Aに生じたその余の費用と被告らに生じた費用の100分の22を原告Aの,原告Bに生じた費用の100分の90と被告らに生じた費用の100分の17を被告らの,原告Bに生じたその余の費用と被告らに生じたその余の費用を原告Bの,それぞれ負担とする。 5 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告らは,原告Aに対し,連帯して3019万4717円及びこれに対する平成18年7月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支 払え。 2 被告らは,原告Bに対し,連帯して738万3250円及びこれに対する平成18年7月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,交通事故で受傷した被害者夫婦が,加害者に対して不法行為に基づき,加害車両の保有者に対して自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)3条に基づき,損害賠償金の連帯支払を求める事案である。 1 前提事実(証拠等を掲げたもののほかは当事者間に争いがない。)(1) 次の交通事故(以下「本件事故」という。)が発生した。 ア日時平成18年7月30日午後3時30分ころイ場所秋田県 証拠等を掲げたもののほかは当事者間に争いがない。)(1) 次の交通事故(以下「本件事故」という。)が発生した。 ア日時平成18年7月30日午後3時30分ころイ場所秋田県大仙市aウ加害者被告C(被告D保有普通乗用自動車〔被告車両〕を運転)エ被害者原告A(普通乗用自動車〔原告車両〕を運転)(2) 本件事故の具体的態様原告車両が本件事故現場の片側一車線道路を大仙市方面から秋田市方面に時速約60kmで直進していたところ,原告車両とは反対に秋田市方面から大仙市方面に向かって走行していた被告車両がセンターラインを越えて原告車両の走行車線に進入してきたため,原告車両と被告車両が衝突した。 被告Cが本件事故現場の約73.8m手前の地点からカーオーディオ操作に気をとられ脇見したまま走行を続けたため,本件事故に至った。 (3) 本件事故の結果ア原告A(ア) 傷害内容原告Aは,本件事故によって,右脛骨・腓骨遠位端骨折,右肘・ 左膝挫創による加療11か月の傷害を負い,その治療のため,本件事故当日から平成18年9月17日まで50日間の入院と,右足首の抜釘手術のために平成19年4月23日から同年5月2日までの10日間の入院の外,平成18年9月19日から平成19年6月12日までの258日間の間,実日数35日の通院を要した。 (イ) 後遺障害原告Aは,平成19年6月12日,上記傷害の一部につき,症状固定の診断がされ,損害保険料率算出機構によって,右足関節痛の局部に頑固な神経症状(自賠法施行令の後遺障害別等級表別表第2(以下「後遺障害別等級表」という。)の12級13号),前額中央に外貌醜状障害(同14級10号)及び右上肢の醜状障害(同14級4号)を併合した結果,後遺障害別等級表 施行令の後遺障害別等級表別表第2(以下「後遺障害別等級表」という。)の12級13号),前額中央に外貌醜状障害(同14級10号)及び右上肢の醜状障害(同14級4号)を併合した結果,後遺障害別等級表12級との判定がされた。 イ原告B(ア) 傷害内容原告車両に同乗していた原告Bは,本件事故によって,右上腕骨折,肺挫傷等による加療15か月余の傷害を負い,その治療のため,本件事故当日から平成18年8月31日まで33日間の入院と,同年9月1日から平成19年11月19日までの445日間の間,実日数101日の通院を要した。 (イ) 後遺障害原告Bは,平成19年7月3日,左上腕抜釘手術を行う時までいったん治療を終了とし,同年11月19日,上記傷害の一部につき,同年7月3日をもって症状固定の診断がされ,その後,損害保険料率算出機構によって,右足局部に神経症状を残すもの(後遺障害別等級表14級9号)との判定がされた。なお,上記抜釘手術は現在 も未了である。(甲14,弁論の全趣旨)ウ原告Aと原告Bは夫婦である。 2 争点及び争点に関する当事者の主張本件では,被告Cが不法行為責任を負うこと,被告Dが自賠法3条の責任を負うことは争いがなく,専ら損害論が問題である。損害論に関する原告らの主張は,別紙1,2の各損害額一覧表の請求額欄及び原告の主張骨子欄記載のとおりであり,これに対する被告らの認否・反論は,別紙1,2の各損害額一覧表の被告の認否・反論の骨子欄記載のとおりである。 これによれば,本件の争点は,損害論の中でも,以下のとおりである。 (1) 原告Aの関係看護料(ア),労働能力喪失率(イ),入通院慰謝料(ウ),後遺障害慰謝料(エ),特別損害(オ),弁護士費用(カ)(2) 原 論の中でも,以下のとおりである。 (1) 原告Aの関係看護料(ア),労働能力喪失率(イ),入通院慰謝料(ウ),後遺障害慰謝料(エ),特別損害(オ),弁護士費用(カ)(2) 原告Bの関係休業損害(ア),入通院慰謝料(イ),弁護士費用(ウ)第3 当裁判所の判断 1 原告Aの関係(1) 争点(1)ア(看護料)について 5万8500円弁論の全趣旨によれば,原告の主張する事実が認められる。 (2) 争点(1)イ(労働能力喪失率)について 14%ア前提事実(3)ア(イ)に,証拠(甲11,甲13)及び弁論の全趣旨を総合すると,原告には,本件事故によって,① 右脛骨・腓骨遠位端骨折後,骨萎縮を伴う右足関節痛,右足関節の可動域制限(症状固定日時点で健側である左が背屈20度,底屈45度に対し,右が背屈15度,底屈40度),② 前額中央に2.5cm×2.5cmの陥没痕,③右肘部に20cm×8cmの刺青色の3つの瘢痕が癒合したケロイド状痕及び右肘痛,④ 左前膝部に5cm×2.5cmの赤褐色の線状痕, ⑤ 右足関節背部に15cm×3cmの淡紅色の縫合痕が残存していることが認められる。 イ損害保険料率算出機構が判定したように,これらのうち,①のうちの右足関節痛は後遺障害別等級表12級13号の局部に頑固な神経症状を残すもの,②は同14級10号の外貌醜状障害,③は同14級4号の醜状障害に該当する後遺障害であると認められ,①のうちの右足関節の可動域制限並びに④及び⑤は後遺障害等級表14級に至らない後遺障害と認められる(なお,右足関節の可動域制限について,甲12によれば,症状固定と診断された平成19年6月から約1年3か月経過した平成20年9 制限並びに④及び⑤は後遺障害等級表14級に至らない後遺障害と認められる(なお,右足関節の可動域制限について,甲12によれば,症状固定と診断された平成19年6月から約1年3か月経過した平成20年9月時点で,可動域制限の増悪があったとのことであるが,甲13によれば病院に照会しても原因不明とのことであるから,症状固定日時点の値を採用して後遺障害の程度を検討するほかない。)。 ウ原告Aは,外貌醜状障害について,男子を14級,女子を12級とする後遺障害別等級表の基準に従った認定は不合理な差別的取扱いであり,平等原則に反するから,前記②の前額中央の外貌醜状障害については後遺障害別等級表12級14号該当として評価すべきであり,原告Aの後遺障害については併合して11級該当事例として算定すべきと主張する。 しかしながら,労働能力の低下の程度に関して,後遺障害別等級表の等級毎の労働能力喪失率はあくまで参考にすぎず,被害者の職業,年齢,性別,後遺症の部位,程度,事故前後の稼働状況等を総合的に判断して具体的な事案に応じて評価されるのであり,後遺障害別等級表上の等級評価から演繹的に導き出されるものではない。 この点,証拠(甲18,原告A本人)及び弁論の全趣旨によって認められる,原告Aの職業・職種(銀行課長職,債権管理),年齢(症状固定時52歳),醜状の部位・形状・程度に照らし,原告Aの外貌醜状障害が労働能力に与える影響は差程とは思われず,前記①~⑤の本件の後 遺障害全体による原告Aの労働能力の低下の程度は,原告Aの上記主張の肯否にかかわらず,後遺障害別等級表12級相当の14%に留まると認めるのが相当である。 エなお,原告は,労災認定において,外貌醜状につき,労働者災害補償保険法施行規則別表第1に定める障害等級表(以下「労災障害等級表」と 別等級表12級相当の14%に留まると認めるのが相当である。 エなお,原告は,労災認定において,外貌醜状につき,労働者災害補償保険法施行規則別表第1に定める障害等級表(以下「労災障害等級表」という。)の男女差を憲法14条1項違反と判断した京都地判平成22年5月27日(平成20年(行ウ)第39号。以下「京都地裁違憲判決」という。)を根拠に前記のとおり主張する。 しかしながら,京都地裁違憲判決の事案は,男女間で12級,7級と5級の開きがある著しい外貌醜状障害が問題となった事案である。しかも京都地裁違憲判決は,男女に差が設けられていること自体が直ちに違憲であるとはいえないとしつつ,上記5級の差は大きすぎるとして違憲としたものであって,本件で問題となっている14級と12級の2級の差については何ら言及するものではない(なお,労災認定上の問題である点でも本件と事案に相違がある。)。 もっとも,証拠(甲19)によれば,厚生労働省は,京都地裁違憲判決を受けて,労災障害等級表上14級である男子の醜状障害についても,女子の醜状障害である12級に引き上げ男女差を設けない方向で検討中であることが認められる。 しかしながら,今後,実際に労災障害等級表がそのように改正され,それに倣って,自賠法施行令の後遺障害別等級表も同様の改訂がされたとしても,前記に列挙した本件の個別事情からすれば,原告Aの労働能力の低下の程度については,上記のとおり認定するのが相当と思料されるのであって,労災障害等級表や後遺障害別等級表の今後の見直しは上記認定に影響するものではない。 (3) 争点(1)ウ(入通院慰謝料)について 261万9000円 ア前提事実(2)記載の本件事故の具体的態様からするに,原告車両には全く落ち度がないのに対して,被告Cにはカーオー (3) 争点(1)ウ(入通院慰謝料)について 261万9000円 ア前提事実(2)記載の本件事故の具体的態様からするに,原告車両には全く落ち度がないのに対して,被告Cにはカーオーディオ操作に気をとられ70mにわたって脇見運転をした点で著しい過失が認められること,証拠(甲11,甲18)によって認められる原告Aの本件事故直後の受傷の重篤度(全身打撲・右足骨折・骨盤骨折疑い・頭部外傷で脳出血疑い等),本件事故直後の治療内容(ガラス片除去・骨折観血の手術(右足首に15本のボルト・釘1本・金属固定板の挿入)),その後の治療経過(抜釘手術の施工)や,夫婦で同時に受傷したため,配偶者の看護を受けられなかったことを前提事実(3)ア(ア)記載の原告Aの入通院状況と合わせ考慮すると,上記金額の入通院慰謝料を認めるのが相当である。 イ本件事故後の被告Cの態度原告らは,被告Cの本件事故後の対応が著しく不誠実であると主張する。確かに,証拠(甲18,乙3)及び弁論の全趣旨によれば,被告Cは,本件事故後,自らも傷害を負い,原告らと同じ病院に入院していたにもかかわらず,直ちに謝罪に赴かなかったこと,車イスで友人と喫煙所に赴くなどしていたことを原告らの長女に見咎められた後,本件事故から1週間程度経って,被告Dと一緒に原告らの下に車イスで謝罪に訪れたこと,その2,3日後にもう一度1人で原告らの下に車イスで謝罪に訪れたこと,以後は特段謝罪の措置をしていないことが認められる。 しかしながら,時期・回数・内容に照らして,被告Cの直接の謝罪は到底十分とはいい難いものの,一方で本件事故後,警察に対してや本件訴訟においても一貫して責任を認め,謝罪の言葉を述べていることも認められるのであって,被告Cの本件事故後の対応が著しく不誠実であって,当裁判所の認 い難いものの,一方で本件事故後,警察に対してや本件訴訟においても一貫して責任を認め,謝罪の言葉を述べていることも認められるのであって,被告Cの本件事故後の対応が著しく不誠実であって,当裁判所の認定額以上に慰謝料を増額しなければならないとまではいえない(この点は,原告Bの慰謝料についても同様である。)。 ウ被告らが加入する共済(以下「被告加入共済」という。)の対応原告Aは,被告加入共済の資料の不提出により,後遺症認定まで1年間余分に要してしまったのであり,その落ち度は,入通院慰謝料や後遺症慰謝料の増額事由に当たると主張する。 確かに,証拠(甲18,乙5,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,原告Aは,平成19年6月12日,症状固定と診断されたが,被告加入共済の担当者であるE(以下「E」という。)の書類作成が遅れたため,後遺症認定申請は同年11月19日となったこと,同年12月26日,右足痛につき他覚所見を認め難いとして,後遺障害全体について後遺障害別等級表併合14級との判定を受けたこと,その後,原告Aは,上記判定に疑念を持ち,自らが付保する保険会社からその教示・説明を受けて(Eからは異議申立制度の教示・説明は受けていなかった。),平成20年9月24日,異議申立てを行ったこと,異議申立後,レントゲン写真の追加提出(当初の認定の際には被告加入共済から提出されていなかった。)によって骨萎縮が明らかとなり,右足痛につき他覚所見があると認められ,その結果,症状固定から約1年5か月強経過した同年11月26日に,前提事実(3)ア(イ)のとおり,後遺障害全体について後遺障害別等級表併合12級との判定がされるに至ったことが認められる。 しかしながら,証拠(原告A本人,乙5)及び弁論の全趣旨によれば,E 実(3)ア(イ)のとおり,後遺障害全体について後遺障害別等級表併合12級との判定がされるに至ったことが認められる。 しかしながら,証拠(原告A本人,乙5)及び弁論の全趣旨によれば,Eの書類作成の遅れは,繁忙にも起因するもので意図的なものではないこと,Eは,後遺障害別等級表併合14級との判定を元に示談金額を原告Aに提示し,原告Aにおいて仮に後遺障害の点で不服とのことであれば,その段階で異議申立ての手続教示・説明をすれば足りると考えていたこと,書類作成の遅れ・異議申立手続の不告知についてはEも謝罪していること,上記レントゲン写真が提出されなかったのは病院側が遺失していたためであることがうかがわれるのであって,これらの事情も考 慮すると,被告加入共済の対応が著しく不誠実であって,当裁判所の認定額以上に慰謝料を増額しなければならないとまではいえない。 (4) 争点(1)エ(後遺障害慰謝料)について 360万円前示(2)ア,イで認定した原告の後遺障害の内容及び程度,特に後遺障害等級表14級に至らない後遺障害も含めて複数の後遺障害が残存したことなどを考慮し,上記金額を認めるのが相当である。 (5) 争点(1)オ(特別損害)について 0円ア確かに,証拠(甲8,甲9の1~18,甲10の1~88・90,甲15~甲18,原告A本人,原告B本人)によれば,本件事故後,原告らの長女は,病院に駆けつけ,両親の看護にあたり,手術の説明に立ち会うなどしたが,その過程で,精神面のバランスを崩し,平成18年8月7日から現在まで神経科での通院治療(平成19年9月17日~同年10月1日までは入院)を継続している状態であること,医師から外傷後ストレス障害と診断されたこともあったこと,平成1 し,平成18年8月7日から現在まで神経科での通院治療(平成19年9月17日~同年10月1日までは入院)を継続している状態であること,医師から外傷後ストレス障害と診断されたこともあったこと,平成18年度の後期は大学での勉学ができる状態ではなく,同年度で大学を退学し,以後自宅での療養を続けていること,原告Aが長女の治療費として28万3048円,平成18年度前期の大学授業料として68万5000円,自宅への引越費用として30万円を支出したことが認められる。 イしかしながら,証拠(原告A本人)によれば,原告らの長女は,平成16年度に大学入学後,平成17年度は精神的に不安定となり休学(神経科に通院),平成18年4月から復学していたといった事情も認められる。 また,原告らの長女は,本件事故時に原告車両に同乗又は間近で本件事故を目撃するなどしていたわけでもないし,本件事故は,死亡事故ではなく,原告らに極めて重篤な後遺障害が残ったといった事情もない。 これらによれば,原告Aが主張する特別損害につき,予見可能性(相当 因果関係)は肯定し難い。 (6) 争点(1)カ(弁護士費用)について 200万円以上に従い,既払金を控除した後の損害額を算出すると,別紙1の損害額一覧表の「認定額」欄記載のとおり,弁護士費用を除く損害額の小計が2009万2318円となる。そして,本件に顕れた一切の事情を考慮すると,本件事故と相当因果関係のある弁護士費用としては,上記小計額の1割弱である200万円をもって相当と認める。 2 原告Bの関係(1) 争点(2)ア(休業損害)について 98万0813円ア証拠(甲14,乙4,乙5)及び弁論の全趣旨によれば,以下のとおり認められる。 (ア) 平成1 原告Bの関係(1) 争点(2)ア(休業損害)について 98万0813円ア証拠(甲14,乙4,乙5)及び弁論の全趣旨によれば,以下のとおり認められる。 (ア) 平成19年4月17日,原告Bから被告加入共済の担当者であるE宛に原告Aの抜釘手術に伴う入院の際休業損害が補償されるか否かの確認の電話があった。 Eは,抜釘手術後に治療が終了し,後遺障害の診断を受ける原告Aの場合,後遺障害診断の際判定される症状固定日まで休業損害は補償され,抜釘手術の入院の際も休業損害が補償される旨回答した。 (イ) 同年6月4日,原告BからE宛に抜釘手術をいつまで待ってもらえるのか(抜釘手術をいつまでに行えば,その費用が補償の対象となるのか。)確認の電話があり,Eは3年位は待てると回答した。 (ウ) 同年7月6日,原告AからE宛に原告Bの治療をいったん終了とし,3年後位に抜釘手術をする旨の連絡があった。 (エ) 同年8月2日,原告BからE宛に自らの休業損害の補償は打ち切りになるのか問合せがあり,Eは,① 釘を入れたまま治療終了とし,後遺症診断を受けた場合,症状固定日は平成19年7月3日となり,休業損害の補償もその日までとなること,② 3年後に抜釘 手術を受けた後に後遺症診断を受けた場合,抜釘手術の際の休業損害を含む費用も補償される旨回答し,②を勧める趣旨の回答をした。 イ原告Bは,抜釘手術を留保した状態で,後遺症認定の申入れをしたが,Eから抜釘手術を受けるまでは後遺症認定できないという誤った教示により,症状固定日である平成19年7月3日から同年11月19日まで,治療に要すべき期間と考えて万全の復職を考えることができなかったのであるから,この間は休業損害を取得する権利があると主張する。 しかしながら,原告Bの記憶は 7月3日から同年11月19日まで,治療に要すべき期間と考えて万全の復職を考えることができなかったのであるから,この間は休業損害を取得する権利があると主張する。 しかしながら,原告Bの記憶は曖昧であって原告Bの尋問結果を根拠に原告Bの上記主張を採用することは困難である。 確かに,前示ア(エ)の内容は,交通事故の損害賠償実務について知識のない原告Bにとって容易に理解できるものとはいい難く,原告Bがこれをもって上記主張のとおり理解したとしても,無理からぬ面があることは否めない。 しかしながら,そもそも後遺症認定の時期にかかわらず,いったん治療を終了とした以上,その間は休業損害が発生するとは認め難い(原告Bもその間についてまで休業損害が補償されるものとは考えていなかったはずである。)。 したがって,休業損害の発生は,本件事故日から平成19年7月3日の症状固定日までに限定すべきである。 ウ以上を前提に,証拠(乙1の1~6)及び弁論の全趣旨を総合すると,休業損害は,被告らの主張のとおり,98万0813円に留まると認めるのが相当である。 (2) 争点(2)イ(入通院慰謝料)について 257万8500円ア前示1(3)アのとおり,原告車両には全く落ち度がないこと,被告Cには著しい過失が認められること,証拠(甲14,甲18)によって認められるとおり,原告Bの本件事故直後の受傷の重篤度(全身打撲・左 上腕骨折・肺挫傷,頭部外傷で脳出血疑い,リスフラン関節靱帯損傷等),本件事故直後の治療内容(骨折・靱帯損傷につき手術),後日抜釘手術が必要であること,医師からはあと17日間入院が必要と指示されたが,長女の精神不安定等の事情から入院期間を短縮せざるを得なかったこと,夫婦で同時に受傷したため,配偶者の看護を受けられなかった 釘手術が必要であること,医師からはあと17日間入院が必要と指示されたが,長女の精神不安定等の事情から入院期間を短縮せざるを得なかったこと,夫婦で同時に受傷したため,配偶者の看護を受けられなかったことを前提事実(3)イ(ア)記載の原告Bの入通院状況に合わせ考慮すると,上記金額の入通院慰謝料を認めるのが相当である。 イ被告加入共済の対応原告Bは,Eから抜釘手術を受けるまでは後遺症認定できないという誤った教示を受けたことにより,後遺症認定のための診断まで4か月間余分に要してしまったのであり,その落ち度は,慰謝料の増額事由に当たると主張する。 しかしながら,前示(1)ア(ア)~(エ)及び弁論の全趣旨によれば,Eは,3年後の抜釘手術費用の補償を考えて前記のとおり勧める趣旨の回答をしたものと思われること,被告加入共済において,説明の不足を認め,後遺症診断日までの治療費を支払うとともに,後遺症診断日までの通院期間を前提とした入通院慰謝料の算出に応じていることが認められ,これらも考慮すれば,被告加入共済の対応が著しく不誠実であって,当裁判所の認定額以上に慰謝料を増額しなければならないとは認め難い。 (3) 争点(2)ウ(弁護士費用)について 60万円以上に従い,既払金を控除した後の損害額を算出すると,別紙2の損害額一覧表の「認定額」欄記載のとおり,弁護士費用を除く損害額の小計が601万5900円となる。そして,本件に顕れた一切の事情を考慮すると,本件事故と相当因果関係のある弁護士費用としては,上記小計額の1割弱である60万円をもって相当と認める。 3 以上の次第であるから,原告らの請求は,被告Cに対して不法行為による損 害賠償請求権に基づき,被告Dに対して自賠法3条による損害賠償請求権に 額の1割弱である60万円をもって相当と認める。 3 以上の次第であるから,原告らの請求は,被告Cに対して不法行為による損 害賠償請求権に基づき,被告Dに対して自賠法3条による損害賠償請求権に基づき,原告Aについて2209万2318円,原告Bについて661万5900円,並びに上記各金員に対する本件事故日の翌日である平成18年7月31日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金(因みに,口頭弁論終結時における確定遅延損害金を上記各元本と合計すると,原告Aについては2684万円強,原告Bについては804万円弱となる。)の支払を求める限度で理由があるので認容し,その余は理由がないのでこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 秋田地方裁判所民事第一部 裁判官佐藤久貴
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