平成27(行ウ)240 地位確認等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成31年2月13日 大阪地方裁判所
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判決文本文35,320 文字)

主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 原告が,被告に対し,被告の職員としての権利を有する地位にあることを確認する。 2 被告は,原告に対し,594万9674円並びに平成27年8月から本判決確定の日まで,毎月15日限り月額16万0802円及びこれらに対するそれぞれ支払期日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告に対し,350万円及びこれに対する平成24年6月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 本件事案の概要⑴ア先天性の知的障害及び自閉症を有する原告は,平成22年12月1日, 任用期間を6か月として被告職員に任用されたところ,任用期間中である平成23年4月19日に保佐開始の審判を受けた。 被告は,任用期間満了後である平成23年6月1日以降の原告の任用を行わなかった(以下「第一次不再任用」という。)。 イ原告は,その後,保佐開始の審判の取消し及び補助開始の審判を受けた ところ,被告は,平成23年12月1日,任用期間を6か月として原告を任用したが(以下「平成23年任用」という。),その期間満了日(平成24年5月31日)以降の任用を行わなかった(以下「第二次不再任用」という)。 ⑵ 本件は,原告が,被告に対し,主位的請求として,被告の職員としての権 利を有する地位の確認,並びに平成24年6月分から本判決確定の日までの 賃金及びうち平成27年7月分以降の賃金に対する各支払日の翌日から支払済みまで民法所定の5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,予備的請求として,第一次不再任用によ 決確定の日までの 賃金及びうち平成27年7月分以降の賃金に対する各支払日の翌日から支払済みまで民法所定の5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,予備的請求として,第一次不再任用による就労継続の権利の侵害等又は第二次不再任用による任用継続に対する期待権侵害を理由として,国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づき,損害賠償金(慰謝料300 万円及び弁護士費用50万円)及びこれに対する第二次不任用の日の翌日である平成24年6月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている事案である。 なお,上記地位確認及び賃金等の請求に関する原告の主張の概要は,以下のとおりである。 ア主位的主張被告による原告の任用が,障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年7月25日法律第123号。平成20年法律第96号による改正前のもの及び平成25年法律第46号による改正前のもの。以下「障害者雇用促進法」という。)に基づく期間の定めのない任用である。 イ予備的主張①期間の定めがあるとしても,障害者雇用促進法38条1項に基づく「常時勤務する職員」としての任用であるから期間の定めのない職員と同様の地位が与えられている。 ウ予備的主張② 上記ア,イのいずれでもないとしても,地方公務員法(昭和25年12月13日法律第261号。平成26年法律第34号による改正前のもの。 以下「地公法」という。)17条1項に基づく期間の定めのない任用である。 エ予備的主張③上記アないしウのいずれの任用とも認められないとしても,第二次不再 任用は解雇権濫用法理の適用ないし類推適用により無効である。 2 前提事実(当事者間に争いがない事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨によ ずれの任用とも認められないとしても,第二次不再 任用は解雇権濫用法理の適用ないし類推適用により無効である。 2 前提事実(当事者間に争いがない事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)当事者ア被告は,大阪府下の地方自治法に基づく普通地方公共団体である。 イ原告は,昭和○年○月○日生まれの男性であり,先天性の知的障害及び 自閉症を有している。 原告の被告職員としての任用等ア原告は,平成18年6月1日,被告に任用(採用)された。 原告は,同任用時,臨時雇用員誓約書に署名押印し,被告に提出した。 同誓約書には,おおむね以下の記載がある。 期間平成18年8月31日までとする新規任用開始日平成18年6月1日勤務場所 a市b部c室d課(e会)職種一般事務勤務時間午前9時から午後5時15分(うち休憩時間45分)ま で賃金日額6180円(以上について,甲3の①)原告は,上記任用後,a市役所b部c室d課e会(被告の【省略】を担当する部署)において,書類の印鑑押印,各種スタンプ作業,職員ア ンケート等のエクセルデータへのパソコン入力等の仕事に従事した。 イ被告は,上記任用以降,以下の①ないし⑭の各期間,原告を被告職員として任用し,その都度,原告から臨時雇用員誓約書への署名押印を徴し,その提出を受けた(なお,以下の①ないし⑭の記載については,年度を跨ぐ等のために同誓約書が前後に分けて2回提出されているものは,合わせ て一つの期間とした。)。 ① 平成18年6月1日から同年8月31日まで(3か月)② 平成18年9月1日から同年11月30 同誓約書が前後に分けて2回提出されているものは,合わせ て一つの期間とした。)。 ① 平成18年6月1日から同年8月31日まで(3か月)② 平成18年9月1日から同年11月30日まで(3か月)③ 平成19年1月4日から同年3月31日まで(3か月)④ 平成19年4月1日から同年6月30日まで(3か月)⑤ 平成19年8月1日から同年10月31日まで(3か月) ⑥ 平成19年11月1日から平成20年1月31日まで(3か月)⑦ 平成20年3月3日から同年5月31日まで(3か月)⑧ 平成20年6月1日から同年8月31日まで(3か月)⑨ 平成20年10月1日から同年12月31日まで(3か月)⑩ 平成21年1月1日から同年3月31日まで(3か月) ⑪ 平成21年5月1日から同年10月31日まで(6か月)⑫ 平成21年11月1日から平成22年4月30日まで(6か月)⑬ 平成22年6月1日から同年11月30日まで(6か月)⑭ 平成22年12月1日から平成23年5月31日まで(6か月)(甲3の①ないし⑱) ⑶ 原告に対する保佐開始に至る経緯等ア原告の父は,平成22年頃までに癌に罹患しており,この頃,余命宣告を受けた。なお,原告の父は,平成23年7月10日に死亡した。 イ原告は,平成23年3月22日,f家庭裁判所に保佐開始の審判を申し立てた。同日,同裁判所で行われた面接には,原告のほか,支援者で,原 告が入居するグループホームを運営する社会福祉法人Aの代表者であるB代表,被告の職員であるケースワーカーのC職員らが同席した。 ウ f家庭裁判所は,平成23年4月19日,原告につき保佐開始及び保佐人の選任の審判をし,同年5月11日,同 福祉法人Aの代表者であるB代表,被告の職員であるケースワーカーのC職員らが同席した。 ウ f家庭裁判所は,平成23年4月19日,原告につき保佐開始及び保佐人の選任の審判をし,同年5月11日,同審判は確定した。 原告の保佐人には,公益社団法人D所属の司法書士であるE司法書士が 選任された。 ⑷ 第一次不再任用アをもって原告の任用を終了し,同年6月1日以降については,原告を任用しなかった(第一次不再任用)。 イ原告の支援者であり,原告の所属する労働組合Fの執行委員長であるG委員長は,同年6月1日及び同年6月14日に,被告のb部d課室長であ ったH室長及びe会事務局長であったI事務局長と面談した。その際,G委員長らが原告を被告職員として任用することを求めたのに対し,H室長は,原告が地公法上の欠格条項に該当することになったため,公務員として任用することができない旨説明した。 ⑸ 原告に対する補助開始に至る経緯等 ア E司法書士は,平成23年8月18日,原告の保佐人として,f家庭裁判所に対し,原告に対する補助開始の審判を申し立てた。 イ f家庭裁判所は,平成23年10月6日,原告について,保佐開始の審判を取り消すとともに,補助開始の審判をした。 ⑹ 平成23年任用 ア被告は,平成23年12月1日,原告について,任用期間を6か月とする臨時雇用員として任用することとし(平成23年任用。以下,上記記載の各任用も合わせて,「本件任用」という。),原告から臨時雇用員誓約書の提出を受けた。 イ同誓約書には,おおむね以下の記載がある。 期間平成24年5月31日までとする。 新規任用開始日平成23年12月1日勤務場所 a市b部c室d課職種一般事務勤務時間午 書には,おおむね以下の記載がある。 期間平成24年5月31日までとする。 新規任用開始日平成23年12月1日勤務場所 a市b部c室d課職種一般事務勤務時間午前9時から午後5時30分(うち休憩時間45分)まで 賃金日額7330円 その他任用期間については,平成24年5月31日までとし,以後更新しない(以下,同文言について「本件不更新文言」という。)。 (以上について,甲3の⑲)⑺ 第二次不再任用被告は,平成23年任用において定められた任用期間満了日(平成24年 5月31日)以降,原告を任用しなかった(第二次不再任用)。 ⑻ 本件訴訟に至る経過ア原告は,平成27年4月30日,被告に対し,被告による違法な任用拒絶等を理由として,直近2年分の未払給与と慰謝料の支払を求める旨の催告をした(甲18の①②)。 イ原告は,平成27年7月24日,本件訴訟を提起した(当裁判所に顕著な事実)。 ウ被告は,平成29年4月18日の本件弁論準備手続期日において,第一次不再任用に係る国賠法1条1項に基づく原告の損害賠償請求権につき,消滅時効を援用するとの意思表示をした(当裁判所に顕著な事実)。 ⑼ 本件に関連する法令別紙「本件に関連する法令」記載のとおり第3 本件の争点 1 はじめに本件の争点の概要については,第8回弁論準備手続調書別紙「本件の請求及 びそれに関連する争点整理案」及び2017年7月14日付け原告準備書面記載の義務違反の内容のとおりである。 2 地位確認及び賃金請求関係本件任用の法的性質(争点1)ア障害者雇用促進法に基づく期間の定めのない任用であるか否か イ障害者雇 書面記載の義務違反の内容のとおりである。 2 地位確認及び賃金請求関係本件任用の法的性質(争点1)ア障害者雇用促進法に基づく期間の定めのない任用であるか否か イ障害者雇用促進法38条1項に基づく「常時勤務する職員」としての任 用であり,期間の定めのない職員と同様の地位を与えるものか否かウ地公法17条1項に基づく期間の定めのない任用であるか否か仮に,上記⑴アないしウが認められなかった場合について(争点2)ア公務員関係における解雇権濫用法理の適用ないし類推適用の有無イ第二次不再任用に係る解雇権濫用の有無(再任用に対する合理的期待及 び不再任用の客観的合理性・社会的相当性) 3 国家賠償請求関係(上記2[期間の定めのない任用]であることを前提として)第一次不再任用の違法性(争点3) 第二次不再任用の違法性(争点4) 原告の損害の有無及びその額(争点5) 第一次不任用に基づく国賠請求権に係る消滅時効の成否(争点6)第4 争点に関する当事者の主張 1 争点1(本件任用の法的性質)について(原告の主張) 主位的主張(障害者雇用促進法に基づく期間の定めのない任用であったこと)ア障害者雇用促進法は,障害者の職業の安定を図ることを目的とし(同法1条),知的障害者を採用する事業主に,障害者の雇用の継続を図り,安定的に雇用する責務を課している(同法5条)。そして,同法は,国及び地方 公共団体に対し,法定雇用率を定め,同雇用率以上の障害者をその職員,すなわち当該機関に「常時勤務する職員」として雇用することを義務付けている(同法38条等)。 これらの点を踏まえると,障害者が,地方公共団体等によって,①障害者雇用の趣旨で任用 障害者をその職員,すなわち当該機関に「常時勤務する職員」として雇用することを義務付けている(同法38条等)。 これらの点を踏まえると,障害者が,地方公共団体等によって,①障害者雇用の趣旨で任用され,②実態として事実上期間の定めなく任用されて いるといえる場合には,形式上は任期付きの臨時的任用職員として任用さ れていたとしても,これに優先適用されるべき障害者雇用促進法に基づき,「常時勤務する職員」として期間の定めなく任用されたものといえる。 イ被告は,障害者雇用促進法の規定によって障害者雇用率が義務化され(昭和51年),その後知的障害者雇用の義務化(平成9年)された政策の流れ等に伴い,障害者雇用促進法の目的・義務に基づき,知的障害者であるが 故に,原告を任用したのである。現に,被告は,原告を任用する理由として,「今後の知的障害者の採用を目的とした場合に,事前に雇用に向けての適職の見極めや受容れ側のサポート体制を確立する必要がある」と掲げているし,原告を任用した後は,原告の障害特性を考慮し,それに適した業務としてe会に配置し,g事業のデータ化,会員に配る配布物の編冊,書 類や封筒にe会のゴム印を押すこと等の恒常的な業務を担当させてきた。 そして,被告は,原告について,平成18年6月1日の任用当初より6か月を超過する任用を前提としており,その後,平成23年5月31日までの間,継続して原告を任用し続けてきた。すなわち,被告は,形式上臨時的任用の形態を前提に,法律上許容される最長期間である6か月間の任 用を繰り返し(3か月という書類上の任用期間は,事務手続上の必要から作成されたものにすぎず,任用期間に関してさしたる意味はない。),更に平成21年5月1日以降は,地公法22条5項後段の更新規定の解釈に基づき12か か月という書類上の任用期間は,事務手続上の必要から作成されたものにすぎず,任用期間に関してさしたる意味はない。),更に平成21年5月1日以降は,地公法22条5項後段の更新規定の解釈に基づき12か月間の任用を続け,平成20年1月31日以降の任用更新が危ぶまれたことがあった以外は,安定的に原告の任用を繰り返してきたので ある。 ウ以上によれば,被告は,障害者雇用促進法に基づき,「常時勤務する職員」として,期間の定めなく原告を任用したというべきである。 予備的主張①(障害者雇用促進法38条1項に基づく「常時勤務する職員」としての任用であり,期間の定めのない職員と同様の地位を与えるものであ ったこと) ア仮に,上記における障害者雇用促進法の「常時勤務する職員」に属する地方公務員の具体的範囲につき,「期間の定めなく勤務している職員(期間が一年以上の者を含む)」との定義に照らし,有期の任用の場合も対象としていると解されるとしても,障害者雇用促進法の要請として,「期間が一年以上の者」とは,地公法上の任用形式如何にかかわらず,事実上期間の 定めなく雇用されている実態を伴う職員であると理解すべきであるから,期間の定めのない職員と同様の地位が与えられていると解すべきである。 イしたがって,本件任用は,仮に期間の定めがあったとしても,障害者雇用促進法38条1項の「常時勤務する職員」としての任用であり,原告に対し,期間の定めのない職員と同様の地位を与えるものであった。 予備的主張②(地公法17条1項に基づく期間の定めのない任用であること)ア本件任用が上記及びのように障害者雇用促進法に基づくものと認められないとしても,地公法22条5項が「緊急の場合」又は「臨時の職に関する場合」の臨時的任 の定めのない任用であること)ア本件任用が上記及びのように障害者雇用促進法に基づくものと認められないとしても,地公法22条5項が「緊急の場合」又は「臨時の職に関する場合」の臨時的任用を認めた趣旨や,障害者雇用促進法の趣旨から すれば,形式的には「臨時的任用」として任用されたと見える場合であっても,①その業務内容が「臨時的任用」が本来予定する「緊急の場合」又は「臨時の職に関する場合」とはいえず,②実態として事実上期間の定めなく任用されているといえる場合には,地公法17条1項に基づき,期間の定めなく任用されたものというべきである。 イこの点,被告は,原告について,e会に配置し,g事業のデータ化,会員に配る配布物の編冊,書類や封筒にe会のゴム印を押すこと等を担当させてきたものであるが,かかる業務は,臨時的な業務でも季節的な業務でもなく,地公法22条5項の定める「緊急の場合」にも「臨時の職」にも当たらない。 また,上記イのとおり,被告は,平成18年6月1日から平成23年 5月31日までの間,継続して原告を任用し続けてきた。 ウ以上によれば,本件任用は,形式上は「臨時的雇用員」としての任用であったとしても,その実質を捉え,地公法17条1項に基づき,期間の定めなく原告を任用したものであったというべきである。 (被告の主張) 主位的主張(障害者雇用促進法に基づく期間の定めのない任用であったこと)及び予備的主張①(障害者雇用促進法38条1項に基づく「常時勤務する職員」としての任用であり,期間の定めのない職員と同様の地位を与えるものであったこと)についてアそもそも障害者雇用促進法は,障害者が職業生活において自立すること を促進するための措置を総合的に講じ,もって障害者の職 間の定めのない職員と同様の地位を与えるものであったこと)についてアそもそも障害者雇用促進法は,障害者が職業生活において自立すること を促進するための措置を総合的に講じ,もって障害者の職業の安定を図ることを目的とする法律であり,地公法と異なり,地方公務員の任用や勤務条件について規定するものではないから,地方公務員の任用の根拠法とはなり得ない。 イまた,障害者雇用促進法38条についても,障害者の雇用促進のための 政策的規定であって,国や地方公共団体による個別の職員に対する任用行為の性質や内容を規律するものではなく,雇用率に見合う「常時勤務する職員」の任用を義務付けていると解することもできない。したがって,被告が障害者雇用促進法に基づいて原告を任用するということはあり得ない。 ウ被告は,将来の知的障害者の雇用に向けた適職の見極めや受入れ側のサ ポート体制を確立するための検証を行うことを目的として原告を任用したものであって,結果的に障害者雇用促進法の目的や趣旨に寄与することにはなるものの,これを直接の目的として原告を任用したものではない。 エなお,障害者雇用促進法が地公法の特別法であると解する余地はなく,障害者雇用促進法が優先適用されるべきとする原告の主張は理由がないと いうべきである。 予備的主張②(地公法17条1項に基づく期間の定めのない任用であること)についてア知的障害者の雇用に向けた適職の見極めや受入れ側のサポート体制の確立という目的は,臨時雇用員任用の正当な理由であるといえ,その任用の必要性は恒久的なものではない。したがって,本件任用は,地公法22条 5項の「臨時の職」の要件を満たしているというべきである。 イまた,地公法22条5項には,臨時雇用員の任用期間 ,その任用の必要性は恒久的なものではない。したがって,本件任用は,地公法22条 5項の「臨時の職」の要件を満たしているというべきである。 イまた,地公法22条5項には,臨時雇用員の任用期間は6か月以内,1回に限り6か月を超えない期間で更新できるという制限があるところ,被告は,同制限の範囲内で任用期間を定め,原告を任用していた。被告は,任用の都度,「臨時雇用員任用申請書」により,内部手続を履践し,「臨時 雇用員誓約書」には任用期間を明記し,内容を説明の上,原告から署名捺印及び提出を受けている。また,原告に係る任用と任用の間には中断期間を設け,その間原告は被告に出勤したり,被告で業務を行うということもなく,社会保険の資格も喪失し,有給休暇の残日数も引き継がれないなど,同期間は形式的なものではなく,被告の職員たる地位を完全に失っていた。 これらの点によれば,平成18年6月1日ないし平成24年5月31日における原告の任用は,それぞれが期間を定めた個別の任用であったことは明らかである。 ウ以上によれば,本件任用が,地公法22条5項に基づく任用期間を定めた臨時雇用員としての任用であったことは明らかであり,地公法17条1 項に基づく期間の定めのない任用であったとの原告の主張には理由がないというべきである。 2 争点2(第二次不再任用に関する解雇権濫用法理の適用ないし類推適用等)について(原告の主張) 公務員関係における解雇権濫用法理の適用ないし類推適用について ア現行法の下では,勤務関係について公務員とそれ以外の労働者でさほど別異の扱いがされておらず,むしろ共通ないし一体のものと扱われ(憲法28条,地公法58条3項等),民間労働契約に関するルールを公法関係に及ぼすことも予定されているこ 公務員とそれ以外の労働者でさほど別異の扱いがされておらず,むしろ共通ないし一体のものと扱われ(憲法28条,地公法58条3項等),民間労働契約に関するルールを公法関係に及ぼすことも予定されていること,全ての公務員が公権力の行使を行う業務を遂行しているものでもなく,民間労働契約関係と変わらない状態で勤 務する公務員が増大しており,公務の中立性や能率性という要請を理由に,公務員の性質や種類を考慮せずに機械的に労働契約関係と異質であると捉えることはできないことなど,現行法の立場や民間労働と変わらない勤務実態からすれば,公務員の勤務関係の法的性質を一律に公務関係とすることは誤りであり,個別の公務員の役職等に応じて,労働契約ないしそれ に類似する契約関係と解し,契約関係の諸原則を適用することは当然に予定されているというべきである。 イこの点,被告による原告の任用については,①形式的には地公法22条5項による任用ではあるものの,職務内容や長期の勤務継続の点に照らせば,「緊急の場合」でも「臨時の職に関する場合」でもなく,本来同条が予 定しない実態となっていたこと,②当事者の意思に基づいて勤務関係が形成されている上,原告が従事していた業務はエクセルのデータ入力作業や押印作業などであって,公権力の行使とは全く関係がなく,民間労働と何ら変わらない勤務実態・業務内容であったこと,以上の点からすれば,原告の任用については,私法的な労働契約関係ないしはそれに類似する勤務 関係と捉えられるものであり,原告が再任用の期待を持つことが合理的である場合にはそれが法的に保護されなければならず,解雇権濫用法理の適用あるいは類推適用が認められるべきである。 第二次不再任用に係る解雇権濫用の有無(再任用に対する合理的期待及び不再任用の客観的合 る場合にはそれが法的に保護されなければならず,解雇権濫用法理の適用あるいは類推適用が認められるべきである。 第二次不再任用に係る解雇権濫用の有無(再任用に対する合理的期待及び不再任用の客観的合理性・社会的相当性) 以下の事情からすれば,平成24年5月31日の時点で原告が抱いていた 再任用に対する期待は合理的なものであるといえ,第二次不再任用は,客観的かつ合理的な理由を欠き,社会通念上相当とはいえないものであった。 ア原告に係る担当業務の内容及び性質 原告の担当業務は,g事業のデータ化,会員に配る配布物の編冊,書類や封筒にe会のゴム印を押すこと等であった。こうした業務は一時的 に業務量が増加したり,季節によって業務量が増加したりするようなものではなく,時期に関わりなく恒常的に行う必要のある業務である。 また,原告に係る臨時雇用員誓約書における職種は「一般事務」であり,臨時雇用員任用申請書の「任用を必要する理由(具体的な業務内容も記入してください)」欄でも具体的な業務内容には触れられていない など,原告の業務には限定がなかった。したがって,仮にe会の中で原告に与える仕事がなくなったとしても,他部署での仕事がある限り,原告の業務がなくなったとはいえない。 イ更新回数,雇用通算期間 原告は,平成18年6月に被告に任用されたが,その後,平成24年 5月31日の第二次不再任用に至るまでの間,通算6年間に,1回の任期が3か月ないし6か月の任用期間で実質的に19回(任期延長3回を含む。)の任用更新が行われた。 また,被告は,地公法22条5項に抵触することを避け,退職手当や社会保険料等の財政的な負担を免れるメリットを享受するため,長期継 続的に使用 回を含む。)の任用更新が行われた。 また,被告は,地公法22条5項に抵触することを避け,退職手当や社会保険料等の財政的な負担を免れるメリットを享受するため,長期継 続的に使用することを前提としながら,いわば脱法的に任用期間の間に空白期間を置きつつ任用継続を繰り返す取扱いを行ってきた。 さらに,被告は,任期の更新回数や通算任用年数の上限さえ設定していなかった。 ウ被告の言動・対応等 平成21年11月1日からの原告に対する任用以降,臨時雇用員誓約 書に「6か月を超える任用予定有」と明記されるようになったが,これは,それまでの実態が明文をもって約束されたものであり,原告からすれば,従前以上に任用継続に期待を抱くものであった。 また,被告は,原告が被保佐人となり地公法上の欠格条項に該当することとなったため原告を再任用しなかった(第一次不再任用)が,原告 が被保佐人でなくなった後に平成23年任用に至った。このことからして,原告が,地公法上の欠格条項さえクリアすれば再び被告での就労が継続されるとの期待を抱くことも当然といえる。 そして,原告に対する保佐開始の審判が取り消され,補助開始の審判が確定した後,被告と原告の支援者による交渉も経て,間もない時期に 原告が被告に復職したこと,同復職は元の職場に戻るという形であり,勤務内容も忙しさも従前と変わらないものであったこと,その際の任用期間も法定上限の6か月が設けられたこと,以上のような状況を踏まえると,従前までの任用継続に対する原告の期待は引き継がれ,同期待はより高まっていたといえる。 エ合理的期待を覆す事情はないこと 被告は,原告の「問題行動」を指摘しているところ,同指摘に係る原告 対する原告の期待は引き継がれ,同期待はより高まっていたといえる。 エ合理的期待を覆す事情はないこと 被告は,原告の「問題行動」を指摘しているところ,同指摘に係る原告の問題行動については,被告が原告に対する合理的配慮を欠いた処遇をした結果発生したものであり,被告の立場でこれらを非難することが許されないし,任用更新拒否を正当化するだけの事情とは到底いえない。 また,原告については,問題行動の指摘や注意を受けた後も,幾度となく任用を更新されており,この点からしても,同問題行動をもって,原告に対する任用更新拒否の理由とはなり得ないことは明らかである。 むしろ,平成23年12月からの半年間については「問題行動」の指摘はなく,平成24年5月末において任用更新の合理的期待を覆す事情は 存在しない。 (被告の主張)地方公務員の任用は,地公法に基づいて行われ,その任用形態や勤務条件は法令や条例で定められるものであり,当事者双方の合理的意思解釈によってその内容を定めることが許されない行政処分であること,このような地方公務員の勤務関係が,当事者の意思の合致によって成立する私企業における 労働関係とその性質を異にしているという趣旨を踏まえて,労働契約法(以下「労契法」という。)22条1項が地方公務員について,同法を適用しない旨明確に規定していること,以上の点に鑑みると,その業務内容が民間企業における労働内容と類似するものであるかどうか等にかかわらず,地方公務員の勤務関係について,解雇権濫用法理が適用ないし類推適用される余地は なく,原告の主張は失当といわざるを得ない。 また,上記の点を措くとして,被告の原告に対する任用行為は連続したものではなく,職員の資格を完全に失う中断期間が存在 いし類推適用される余地は なく,原告の主張は失当といわざるを得ない。 また,上記の点を措くとして,被告の原告に対する任用行為は連続したものではなく,職員の資格を完全に失う中断期間が存在していたこと,任用の都度,新たな任用手続と同じ手続が毎回行われていたから,任用手続が形骸化していた事実はないこと,以上 の点からすると,私法上の労働契約でいうところの「期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態」になっていたとはいえず,有期雇用における解雇権濫用法理を類推適用するための前提となる事実が存在しない。したがって,この点からしても,原告の本件任用について解雇権濫用法理が適用ないし類推適用されることはなく,この点に関する原告の主張は理由がない。 3 争点3(第一次不再任用の違法性)について(原告の主張)第一次不再任用の違法性について本件任用は,上記1(原告の主張)で述べたいずれかの法的性質を有する任用であるというべきところ,第一次不再任用は,以下のとおり,①理由な く原告を免職した点,②原告に対する職場環境配慮(合理的配慮)義務と失 職回避義務に違反した点,③必要な調査指導や情報提供等の環境整備義務に違反した点において,違法というべきである。 理由なく原告を免職した点についてア第一次不再任用は,平成23年5月11日に原告に対する保佐開始の審判が確定し,原告が地公法16条1号の欠格事由に該当することとなった ことを理由として決定されたものである。したがって,第一次不再任用は,期間の定めのない原告の任用についてなされた免職に該当するというべきものである。 イ障害者が公務員となる資格・地位は,憲法13条,14条,22条及び27条1項により保障されているところ,①成年後見等の利用の 原告の任用についてなされた免職に該当するというべきものである。 イ障害者が公務員となる資格・地位は,憲法13条,14条,22条及び27条1項により保障されているところ,①成年後見等の利用の際の考慮 要素と公務遂行の際の能力とは別個であることや障害者雇用促進法が地方自治体等に障害者の雇用を義務付けていること等に鑑みれば,自己の財産を管理する能力が不十分な者の公務就任権を一律に否定するという規制目的は,やむにやまれぬものとは到底いえず,②成年被後見人又は被保佐人につき職員となることや試験・選考を受けることができないとし,公務員 が在職中に成年被後見人又は被保佐人になった場合に職を失うとする規制手段についても,規制目的と全く整合しないものである。このことは,国が平成26年1月20日に批准した障害者の権利及び尊厳を保護・促進するための包括的総合的な国際条約(以下「障害者権利条約」という。)の解釈からも裏付けられるところであるし,その批准以降に国においてなされ ている欠格条項削除に向けた議論状況や法改正を巡る動向等に照らしても明らかというべきである。したがって,地公法16条1号とこれを受けた同法28条4項は,違憲・無効であって,かかる違憲・無効な地公法16条1号(欠格条項)を適用して,理由なく原告を免職とした第一次不再任用は,違法というべきである。 職場環境配慮義務違反及び失職回避義務違反に違反した点について ア平成19年9月の障害者権利条約への署名に伴い,平成23年に障害者基本法が改正され,平成25年には障害者差別解消法の制定及び障害者雇用促進法の改正がなされ,障害者に対する合理的配慮の提供義務が明確に定められてきたが,それ以前においても,憲法やその他の法令による障害者の権利の定め自体によ 年には障害者差別解消法の制定及び障害者雇用促進法の改正がなされ,障害者に対する合理的配慮の提供義務が明確に定められてきたが,それ以前においても,憲法やその他の法令による障害者の権利の定め自体によって,障害者に対する合理的配慮が義務付けられ ていた。したがって,被告は,本件任用に係る勤務において,原告に対し,障害特性に配慮した必要な措置を提供する義務を負っていた。 具体的には,被告は,知的障害及び自閉症を有する原告の具体的な障害特性(理解力・表現力が乏しい,抽象化・一般化した表現が困難である,先のことを予測し計画を立てて行動したり,欲求をコントロールしたりす ることが困難である,他者の気持ちを想像することや場の雰囲気,文脈を読むことが不得手である,「無視されていると思い込み,不安定になる」ことがあったり,相手の気持ちがわからないため,「周囲の人が怒っていないか確認する」ことがあったりする,言葉が出にくかったり,オウム返しをしたり,一方的に話しかけたりする,こだわりや変化への抵抗が生じ,融 通が利かなかったり気持ちの切替えができなかったり,想像を超えた出来事が起きるとパニックを起こしたりすることがある等)を前提として,①障害や障害特性について理解しようとすること,②障害の有無にかかわらず職場の一員として受け容れること,③障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備,援助を行う者の配置その他必要な措置を実施 することなどの合理的配慮を行わなければならなかった。 しかし,被告は,本件任用に係る勤務において,原告に対する合理的配慮をいずれも欠き,そのことが原因となって原告の問題行動が引き起こされたものであるから,被告には,原告に対する職場環境配慮義務に違反した違法があるというべきである。 イま する合理的配慮をいずれも欠き,そのことが原因となって原告の問題行動が引き起こされたものであるから,被告には,原告に対する職場環境配慮義務に違反した違法があるというべきである。 イまた,障害者基本法,知的障害者福祉法,障害者雇用促進法及び障害者権 利条約等の定める法令上の義務の帰結として,地方公共団体は,勤務する知的障害者の任用の促進及び維持に努めなければならない。よって,被告は,知的障害者を雇用する地方公共団体として,原告に対する保佐開始の審判が確定し,地公法16条1号(欠格条項)に抵触する状態になったからには,欠格条項の適用を排除する条例を制定するなど,原告が失職する ことを防ぐために必要な回避措置をとるべき義務を負っていた。 しかるに,被告は,かかる条例制定の検討もせずに放置し,漫然と地公法16条1号の効果を生じさせて第一次不再任用に至ったものであるから,被告には,原告に対する失職回避義務に違反した違法があるというべきである。 必要な調査指導や情報提供等の環境整備義務に違反した点についてア被告は,地方公共団体として,当時の障害者自立支援法2条1項等に基づき,原告に対して適切な調査指導や情報提供等を行うべき義務を負っていた。上記⑶イのとおり,地方公共団体は勤務する知的障害者の任用の促進及び維持に努めなければならないことにも照らすと,被告は,勤務する 知的障害者である原告が成年後見開始や保佐開始の申立てをし,地公法の欠格条項により失職するような事態が想定される場合には,欠格条項の存在・効果等を十分に説明して理解を求め,申立てを思いとどまる機会を与えることを含めた様々な情報を提供すべき義務を負っていた。 イ被告のケースワーカーであったC職員は,自身も地公法上の欠格条項の 認 等を十分に説明して理解を求め,申立てを思いとどまる機会を与えることを含めた様々な情報を提供すべき義務を負っていた。 イ被告のケースワーカーであったC職員は,自身も地公法上の欠格条項の 認識を欠いたまま,原告に対して,保佐開始の申立てを主導したものであり,その結果,原告は欠格条項を認識し得ず,自己の財産管理について他の選択肢を奪われたことにより,保佐開始の申立てに至ったものである。 ウこのように,被告は,原告に対して適切な調査指導や情報提供を行わなかったものであるから,被告には原告に対する環境整備義務に違反した違 法があるというべきである。 (被告の主張)理由なく原告を免職したとの点についてア原告は,平成23年5月11日に原告に対する保佐開始の審判が確定し,地公法16条1号の欠格事由に該当することとなったが,当時のc室長であるH室長は,同年5月中旬にこれを知り,同年5月31日の任用期間満 了をもって原告の任用を終了することとした。したがって,そもそも原告が被告の職員の地位を喪失したのは,平成23年5月31日をもって臨時雇用員としての任用期間が満了したからであり,地公法16条1号(欠格条項)を適用したことによるものではない。したがって,本件においては,地公法16条1号及び28条4項の合憲性(有効性)は問題とならない。 イ原告には問題行動(①女性職員の名札を至近距離からのぞき込む,②特定の女性職員に付きまとう,③トイレに人が入っているにもかかわらずドアを強くたたく,④勤務時間中に庁舎内を歩き回り他の部課に行く,⑤市庁舎内で走ったり,食堂で順番の列を割り込み市民からクレームが寄せられる,⑥公用車のボンネットをたたく,⑦自分の胸や顔を殴ったり壁を蹴 ったりする。)があり,被告の き回り他の部課に行く,⑤市庁舎内で走ったり,食堂で順番の列を割り込み市民からクレームが寄せられる,⑥公用車のボンネットをたたく,⑦自分の胸や顔を殴ったり壁を蹴 ったりする。)があり,被告の職員が注意してもそれらの行動が繰り返された。また,平成22年11月には,原告が女性職員のバイクを蹴り倒し損傷させるという出来事があり,H室長やI事務局長としても他の職員や市民に危害が及ぶことへの危機感を感じ,引き続き原告の任用を継続していくことは難しいと感じていた。そこで,被告としては,かかる原告の問題 行動の点も踏まえて,再任用しないこと(第一次不再任用)としたのである。 ウ以上のとおりであって,第一次不再任用につき,被告が理由なく原告を免職したとはいえず,原告が主張するような違法性は認められない。 職場環境配慮義務違反及び失職回避義務違反の点について 原告の指摘する憲法その他の法令から直ちに原告が主張するような配 慮義務が生じるわけではなく,障害者権利条約についても,具体的な立法を待たずして,国や地方公共団体に具体的な合理的配慮義務を生じさせるものではない。 また,上記の点を措くとしても,被告は,①原告がトイレに行く際などに室外への通行がしやすいよう座席のレイアウトを変更したり,原告が 仕事の内容を理解しやすいように仕事内容を実演したり,原告と一緒に作業したりしながら,e会の職員全員で原告をフォローするなど,原告が仕事をしやすい環境を作るべく相応の配慮をしていたこと,②原告が所属していたe会事務局のI事務局長は,原告が出勤したときに不安を感じないよう毎朝原告よりも早く出勤して,事務室の鍵を開けておくよ うにするなどといった配慮を行っており,原告自身もe会事務局の職員に叱られたり,被 のI事務局長は,原告が出勤したときに不安を感じないよう毎朝原告よりも早く出勤して,事務室の鍵を開けておくよ うにするなどといった配慮を行っており,原告自身もe会事務局の職員に叱られたり,被告から理由なく注意を受けたことはない旨述べていること,以上の点からすると,被告の対応や体制の悪さが原告の問題行動の原因であったとはいえない。 以上によれば,原告が主張する職場環境配慮違反の点については理由 がないというべきである。 イまた,地公法16条1号は「条例で定める場合を除くほか」と規定し,同法28条4項も「条例に特別の定がある場合を除く外」と規定しているところ,これら法律の各文言からすると,除外条例を定めるかどうかは各地方公共団体の判断に委ねられていると解するのが相当である。そうする と,原告が主張するように,被告が,除外条例を定める法的義務を負っていたと解することはできない。 したがって,原告が主張する失職回避義務違反の点についても理由がないというべきである。 必要な調査指導や情報提供等の環境整備義務違反の点について ア被告において,臨時雇用員として任用された個別の職員に対し,成年後 見や保佐の申立てを思いとどまらせるよう情報提供する法的義務を負っているとする法令上の根拠はない。 イ原告及びB代表ら支援者は,原告の財産管理等を行っていた原告の父親が平成22年12月に入院し,余命3か月と宣告される状態となり,同父親に代わり原告の財産を管理する者が必要となったことから,成年後見制 度を利用することを自ら決めたものである。C職員は,B代表との相談の中で,原告の父親以外の者が原告の財産管理や身上監護を行う方法の一つとして成年後見制度があることを説明したが,積極的にその利用を勧めたわけ することを自ら決めたものである。C職員は,B代表との相談の中で,原告の父親以外の者が原告の財産管理や身上監護を行う方法の一つとして成年後見制度があることを説明したが,積極的にその利用を勧めたわけではないし,成年後見制度には後見,保佐,補助の3類型があることを説明したが,原告がどの類型に該当するかについて説明したり,意見を 述べたことはない。そして,当時の客観的な原告の判断能力の程度に基づき,裁判所によって保佐開始の審判がなされたのである。このように,原告が地公法16条1号の欠格事由に該当したことは,被告の行為によるものでも,被告が主導したものでもない。 ウまた,C職員において,個々の福祉サービス利用者に対して,成年後見 制度を利用するか否かの判断に関して具体的指導や助言等を行う義務まではない。C職員は,B代表に成年後見制度の説明をするに当たって,成年後見制度には後見,保佐,補助の3つの類型があって,場合(類型)によっては働けなくなることも説明し,原告の失職の可能性をB代表に告げており,ケースワーカーとして不適切な指導等を行った事実や何らかの義 務に違反した事実もない。 エ以上によれば,原告が主張する環境整備義務違反の点は理由がないというべきである。 4 争点4(第二次不再任用の違法性)について(原告の主張) 原告の担当業務内容・性質,更新回数,雇用通算期間,被告の原告に対す る言動及びその対応等からすれば,被告が原告に対し,平成23年任用の期間満了後も任用が継続されると期待することが無理からぬものとみられる行為をしたというような特別の事情が存在することが明らかであるし,平成24年6月1日以降も被告において継続して勤務することについて,原告は法的に保護されるべき期待権を有してい 理からぬものとみられる行為をしたというような特別の事情が存在することが明らかであるし,平成24年6月1日以降も被告において継続して勤務することについて,原告は法的に保護されるべき期待権を有していたといえる。したがって,原告の任 用を継続しなかった第二次不再任用は国賠法上違法であるというべきである。 なお,平成23年12月1日付けの臨時雇用員任用誓約書には本件不更新文言があるが,以下のとおり,同文言は,原告の期待権を否定ないし減殺するものではない。 ア本件不更新文言は,原告に対し,今後の任用可能性を否定し,被告の職員募集への応募を不可能にするものであるが,①平等原則を定める地公法13条や,これを受けて「任期を限った任用である臨時・非常勤職員の募集・採用にあたっては,雇用対策法の趣旨も踏まえ,年齢にかかわりなく均等な機会を与える必要があることに留意すべき」である,「臨時・非常勤 職員の募集・採用にあたっては,地公法第13条の平等取扱いの原則を踏まえ,年齢や性別にかかわりなく均等な機会を与える必要があることに留意すべきである」とする総務省通知(平成19年,平成26年)に反する違法な取扱いであること,②公法上の勤務関係においても私法上の労働契約法理の趣旨が及ぶところ,有期契約労働者の雇用は不安定であり,雇止 めに関する法規制についての法的知識も不十分な状況で,使用者側から提案された不更新条項を拒否することは極めて困難であることからすれば,使用者の発意により労働者に不更新条項を締結させる行為は,強行法規たる労契法19条の趣旨に鑑み,公序良俗に違反し無効である。 イまた,本件不更新文言は,原告が平成23年12月1日から任用される ための条件として提示された一方的な文言であり,これがなければ再任用 条の趣旨に鑑み,公序良俗に違反し無効である。 イまた,本件不更新文言は,原告が平成23年12月1日から任用される ための条件として提示された一方的な文言であり,これがなければ再任用 は不可能という状況下で原告がやむなく,かつ,その趣旨を真に理解することなく,その記載のある臨時雇用員誓約書に署名押印したものであるから,これをもって不更新を承諾したことにはならない。 ウしたがって,本件不更新文言は無効であり,そうでなくとも,原告の継続的な任用に対する期待権との関係において意味を持たないものというべ きである。 (被告の主張)ア原告は,平成24年5月31日に臨時雇用員としての任用期間が満了したことにより被告の職員たる地位を失い,その後新たな任用が行われなかったにすぎないのであって,被告が原告の任用更新を拒絶したものでもな ければ,免職したものでもない。 イまた,被告は,原告の任用が連続するものでないことを明確にするために中断期間を設けていたこと,原告の任用期間を臨時雇用員誓約書に明記し,原告は任用の都度,同誓約書に署名してこれを被告に提出していたこと,平成23年12月1日に原告を再度任用した際には,原告に誤解が生 じる余地がないよう,いわば念押しの意味で臨時雇用員誓約書の「その他」欄に,「任用期間については,平成24年5月31日までとし,以後更新しない」(本件不更新文言)と明記し,被告担当者から原告に対し,その旨改めて説明していること,以上の点からすると,原告に法律上保護されるべき期待権は生じていないし,被告が原告に対し,期間満了後も任用が継続 されると期待することが無理からぬものとみとめられる行為をしたというような特別の事情は認められない。 原告の支援者であるG委員長らは,第一次 いし,被告が原告に対し,期間満了後も任用が継続 されると期待することが無理からぬものとみとめられる行為をしたというような特別の事情は認められない。 原告の支援者であるG委員長らは,第一次不再任用の直後から,被告に対し,原告の再任用を求めてきたところ,被告は,G委員長らに対し,原告については,地公法16条1号の欠格事由に該当することや任用期間中 の問題行動があることから任用することはない旨回答してきたが,その後, 原告については,保佐から補助に変更され,上記欠格事由に該当しなくなったこと,G委員長から被告のJ部長に対し,6か月間だけでいいから原告を任用してもらいたい旨強い要望があったこと,被告のh事業の見直しに伴い,一時的にe会事務局の業務が増大し,原告に頼むことができる作業があったこと,以上の点から,被告は,平成23年12月1日から6か 月間に限って原告を臨時雇用員として任用することとしたものであり,それ以上の継続任用がなされるとの認識がなかったことは,G委員長も認めているところである。そして,同任用に当たって,被告は,本件不更新文言を記載した臨時雇用員誓約書を作成し,I事務局長が原告に対し,同文言を見せて,6か月で任用期間が終了し,以後更新がないことを説明し, 原告も同説明や文言を見て知っており,「更新しない」とは任用期間終了以降は働けないという意味であると認識していたものであり,G委員長やB代表も同文言があることを認識した上で原告に署名をさせているとおり,原告及び原告の支援者としても,原告が平成24年6月1日以降被告に任用されないということを認識していた。 イ以上のとおり,原告のほか,原告の支援者であるB代表及びG委員長は,平成23年12月1日からの原告の被告における任用に当たり 1日以降被告に任用されないということを認識していた。 イ以上のとおり,原告のほか,原告の支援者であるB代表及びG委員長は,平成23年12月1日からの原告の被告における任用に当たり,任用期間が6か月間に限られており,それ以後は任用されないものであることを認識していたし,被告としても,その点を明確に説明していたのであって,被告において,原告の任用が平成24年6月1日以降も継続されることを 期待させるような態度や発言は一切行っていない。 以上のとおりであって,第二次不再任用について原告が主張するような国賠法上の違法性が認められる余地はない。 5 争点5(原告の損害の有無及びその額)について(原告の主張) 第一次不再任用に係る損害 ア原告は,正しい情報も与えられないまま成年後見制度(保佐開始申立て)の利用を余儀なくされ,成年後見制度を利用しない,あるいは成年後見制度のうち補助申立てをするという選択権を奪われた。その結果,地公法上の欠格条項に抵触する状態に至らせられ,公務員としての地位が不安定な状態に陥れられた。また,理由なき免職の結果,職員としての地位を失っ た。 イ以上のような被告の違法行為によって原告が被った精神的苦痛は計り知れず,これを金銭的に評価した場合には,その額が300万円を下ることはない。また,原告の損害回復に当たっては弁護士による法的支援が不可欠であり,弁護士費用に係る損害は50万円を下らない。 第二次不再任用に係る損害原告は,他界した家族の意向も受けながら,一人の社会人として生活していくための生活力を身に付け,被告において公務員としての職務を全うする意向であったにもかかわらず,被告の不再任用により,これが無惨にも拒絶された。第二次不再任用によ がら,一人の社会人として生活していくための生活力を身に付け,被告において公務員としての職務を全うする意向であったにもかかわらず,被告の不再任用により,これが無惨にも拒絶された。第二次不再任用による原告の精神的苦痛は筆舌に尽くし難いもので あり,これを金銭的に評価した場合には,その額が300万円を下ることはない。また,原告の損害回復に当たっては弁護士による法的支援が不可欠であり,弁護士費用に係る損害は50万円を下らない。 (被告の主張)原告の主張は,いずれも否認ないし争う。 6 争点6(第一次不再任用に基づく国賠請求権に係る消滅時効の成否)について(被告の主張)国賠法1条1に基づく損害賠償請求権の消滅時効は,同法4条により,民法724条前段の規定によるところ,同条は,同損害賠償請求権につい て,「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行 使しないとき。」は,「時効によって消滅する。」と規定する。 この点,原告の主張内容を前提とすると,原告は,第一次不再任用に係る違法行為の時点(平成23年6月1日)において,その「損害及び加害者」を知っていたものと認められる。したがって,第一次不再任用に係る原告の損害賠償請求権は,消滅時効が完成しており,被告は,同時効を援用する。 なお,原告の精神的苦痛に係る主張を前提とすれば,地公法の欠格条項に該当し,かつ職員たる地位を失った平成23年6月1日の時点で,原告の精神的損害が現実化していることは明らかであり,平成24年6月1日以降に再任用されなかったのは,損害が現実化した後の事情にすぎない。 (原告の主張) 原告は,第一次不再任用により地位を失った後,平成23年12月1日付けで復職しており,同復職により違法行為によ 用されなかったのは,損害が現実化した後の事情にすぎない。 (原告の主張) 原告は,第一次不再任用により地位を失った後,平成23年12月1日付けで復職しており,同復職により違法行為による損害は治癒されたかに思われたが,第二次不再任用により損害が現実化することとなったものである。 したがって,第一次不再任用に係る違法行為による原告の損害が確定したのは,早くとも平成24年6月1日であるから,消滅時効は完成していない。 第5 争点に対する当裁判所の判断 1 争点1(本件任用の法的性質)について 主位的主張について原告は,本件任用について,障害者雇用促進法に基づく「常時勤務する職員」としての期間の定めのない任用であった旨主張する(前記第4の1[原 )。 しかしながら,障害者雇用促進法は,障害者の職業の安定を図ることを目的とし,事業主に対し,障害者の雇用の継続を図り,安定的に雇用するよう務めるべきことを定め,国及び地方公共団体に対しては,障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るための必要な施策の推進するよう努めるべきこ となどを定めるものの(同法1条,5条,6条等),同法の規定を個別に又は 全体としてみても,国又は地方公共団体における個々の職員の任用の根拠やその性質・内容を規律するものであるとは解されない。したがって,障害者雇用促進法を根拠とする原告の上記主張は理由がないといわざるを得ない。 予備的主張①について原告は,障害者雇用促進法38条1項について,障害者を「常時勤務する 職員」として雇用することを義務付けている旨主張する(前記第4の1[原告の主張]⑵)。 しかしながら,同項は,障害者雇用率の算定の対象とする職員の範囲を「当該機関に常時勤務する職員」とし,これに該当する身体 て雇用することを義務付けている旨主張する(前記第4の1[原告の主張]⑵)。 しかしながら,同項は,障害者雇用率の算定の対象とする職員の範囲を「当該機関に常時勤務する職員」とし,これに該当する身体障害者又は知的障害者の職員数を確保するための採用計画の作成を地方公共団体等に義務付ける 規定であると解され,地公法の定めるところとは別に,地方公共団体における職員の任用の根拠やその性質・内容を規律する趣旨であると解することはできない。また,もとより,被告は,原告の任用について3か月又は6か月の期間を定め,都度,原告から臨時雇用員誓約書の提出を受ける手続等をとっていること,任用期間が通算して6か月又は1年となった後に次の任用と の間に1か月の期間が設けられており,被告は,1年を超える期間について引き続き原告を雇用したことはないことからすれば,被告が原告を同項の職員(常時勤務する職員)として扱っていたとは認められず,この点からも,本件任用が同項に基づく任用であったと解する余地はないというべきである。したがって,この点に関する原告の上記主張は,理由がな いというべきである。 予備的主張②について原告は,本件任用が,地公法17条1項に基づく期間の定めない常勤職員たる正規職員としての任用である旨主張する(前記第4の1[原告の主張]⑶)。 アしかしながら,前記前提事実並びに証拠(甲2の①ないし⑫,甲3の① ないし⑱,証人I,証人H)及び弁論の全趣旨によれば,本件任用において,①被告は,原告について,3か月又は6か月の任用期間を定め,都度,同任用に係る具体的な内容を説明した上で,原告から臨時雇用員誓約書の提出を受けていたこと,②臨時雇用員誓約書には,臨時雇用員である旨及び任用期間が明記されており,他方,常勤職 任用期間を定め,都度,同任用に係る具体的な内容を説明した上で,原告から臨時雇用員誓約書の提出を受けていたこと,②臨時雇用員誓約書には,臨時雇用員である旨及び任用期間が明記されており,他方,常勤職員や期間の定めがない任用で あるとの誤解を招くような記載等はないこと,③被告は,内部的な意思決定においても,上記任用期間におおむね対応する形で,臨時雇用員任用申請書による決裁手続を経ていること(なお,臨時雇用員誓約書における任用期間よりも臨時雇用員任用申請書における任用期間が長期に設定されている場合があるが[甲2の①,⑩ないし⑫],証拠[証人H]及び弁論の全 趣旨によれば,これらは,年度毎の予算確保の必要上の措置であると認められ,これらの点をもって,任用期間の定めが形骸化していたとは解されない。),④任用期間が通算して6か月又は1年となった後に次の任用との間に1か月の期間が設けられており,その間原告は被告の職員としての地位になかったもので,同期間の設定自体が形骸化していたとみるべき具体 的な事情は認められないこと,⑤原告に係る任用の目的は,臨時雇用員任用申請書の「任用を必要とする理由」に記載された「今後,知的障害者の採用を目的とした場合に,事前に雇用に向けての適職の見極めや受容れ側のサポート体制を確立する必要があるため,引き続き臨時雇用員として任用・配置を検証するものである」であって,被告においては,原告を任用 する都度,同目的が確認されていたこと,以上の点が認められ,以上のような原告の任用に係る手続の内容,その履践状況及び任用目的等に鑑みると,原告の従事していた業務の内容・性質等を考慮したとしても,原告の任用は,その任期ごとに,地公法22条5項の「臨時の職に関する場合」としてなされた個別の任用であったと認めるのが相 用目的等に鑑みると,原告の従事していた業務の内容・性質等を考慮したとしても,原告の任用は,その任期ごとに,地公法22条5項の「臨時の職に関する場合」としてなされた個別の任用であったと認めるのが相当であり,これを一体 として地公法17条1項に基づく期間の定めのない任用であったとみるこ とはできない。 イこの点,原告は,本件任用の在り方について,地公法22条5項の定める臨時的任用職員の脱法的な利用であると主張する。 確かに,臨時・非常勤職員等の任用等に関する総務省の通達(甲26,27)によれば,「臨時的任用職員については,任用可能な場合や任期に係 る要件が地公法22条に明確に定められているところであり,任用に当たっては,こうした制度上の要件を再度確認し,特にフルタイムの臨時的任用を繰り返すことによって,事実上任期の定めのない常勤職員と同様の勤務形態を適用させるようなことは避けるべきである」とされているところ,被告は,原告について,任用と任用との間に1か月の期間を設けた上で, 3か月又は6か月の期間の任用を14回行っており,原告の被告における任用の通算期間は4年6か月の長期に及んでいるのであって,必ずしも上記通達に沿った取扱いであるとは言い難い。しかしながら,原告について,上記のような任用状況にあるとしても,上記通達をもって,原告に対する個々の任用が任期の定めのない任用に転じるものとは解されないし,かえ って,本件任用において採られた上記手続等は,上記通達が,同一の者を再度任用する場合について求める任期の設定や手続の明確性の趣旨に沿うものといえる。これらのことからすれば,原告の主張は,上記結論を左右するものではないというべきである。 ウ以上によれば,本件任用は,地公法22条5項に基づき任用期間を定め 続の明確性の趣旨に沿うものといえる。これらのことからすれば,原告の主張は,上記結論を左右するものではないというべきである。 ウ以上によれば,本件任用は,地公法22条5項に基づき任用期間を定め た臨時雇用員としての任用であったと認められ,地公法17条1項に基づく期間の定めのない任用行為であったとの原告の主張には理由がない。 小括以上のとおりであるから,本件任用が障害者雇用促進法に基づく期間の定めのない任用であること(主位的主張),期間の定めがあるとしても,同法3 8条1項に基づく「常時勤務する職員」としての任用であり,原告に期間の 定めのない職員と同様の地位を与えたものであること(予備的主張①),地公法17条1項に基づく期間の定めのない任用であること(予備的主張②)を理由とする,被告の職員としての権利を有する地位の確認並びに平成24年6月分から本判決確定の日までの賃金及び遅延損害金の支払に係る原告の請求は,いずれも理由がない。 2 争点2(第二次不再任用に関する解雇権濫用法理の適用ないし類推適用等)について原告は,公務員関係においても解雇権濫用法理の適用あるいは類推適用があり得るとした上で,被告による原告の任用は,私法的な労働契約関係ないしそれに類似する勤務関係ととらえられるものであり,再任用の期待を持つ ことが合理的である場合にはそれが法的に保護されなければならないから,解雇権濫用法理の適用あるいは類推適用が認められるべきである旨主張する(前記第4の2[原告の主張])。 この点,任命権者による地方公務員の任用について行政処分であることを窺わせる明文の規定はないものの,勤務関係を消滅させる免職が地公法49 条の2及び51条の2において行政処分として構成されていること ,任命権者による地方公務員の任用について行政処分であることを窺わせる明文の規定はないものの,勤務関係を消滅させる免職が地公法49 条の2及び51条の2において行政処分として構成されていることに照らすと,同法は地方公務員の勤務関係の早期確定を図る趣旨と考えられるから,任用についても行政処分と解するのが相当である。このような地方公務員の任用に関する法的性質に加え,地公法は地方公務員の採用等の任用行為について,その勤務条件等の内容を法定しており,これを当事者の意思や個人的 な事情等によって変更することはできないこと,地方公務員の任用に係る上記趣旨を踏まえて,労契法22条1項が同法を地方公務員について適用しないことを明記していることをも併せ鑑みると,現行法の立場や民間労働類似の勤務実態等の原告指摘の諸点を踏まえても,任用期間満了後の任用(再任用)の拒否について解雇権濫用法理(雇止め制限に関する法理を含む。)が適 用ないし類推適用される余地はないというべきである。 以上によれば,本件任用が地公法22条5項による任用であった場合において,第二次不再任用が解雇権濫用法理の適用あるいは類推適用により無効である(予備的主張③)として,被告の職員としての権利を有する地位の確認並びに平成24年6月から本判決確定の日までの賃金及び遅延損害金の支払を求める原告の請求については,第二次不再任用に係る解雇権濫用の有 無や再任用に対する期待の合理性の有無並びに同不再任用の客観的合理的な理由の有無及び社会的相当性の有無について判断するまでもなく,いずれも理由がない。 3 争点3(第一次不再任用の違法性)について⑴ 上記1で認定説示したとおり,本件任用は,地公法22条5項に基づき任 用期間を定めた臨時雇用員としての任用で く,いずれも理由がない。 3 争点3(第一次不再任用の違法性)について⑴ 上記1で認定説示したとおり,本件任用は,地公法22条5項に基づき任 用期間を定めた臨時雇用員としての任用であって,障害者雇用促進法又は地公法17条1項に基づく期間の定めのない任用である(主位的主張),期間の定めがあるとしても,同法38条1項に基づく「常時勤務する職員」としての任用であり,原告に期間の定めのない職員と同様の地位を与えたものである(予備的主張①),地公法17条1項に基づく期間の定めのない任用で ある(予備的主張②)との原告の主張にはいずれも理由がないから,本件任用が上記のいずれかの性質の任用であることを前提とする第一次不再任用に係る国賠法1条1項に基づく損害賠請求は,その前提を欠くこととなる。 ⑵ したがって,原告の第一次不再任用に係る国賠法1条1項に基づく損害賠償請求は,その限りにおいて理由がないといわざるを得ない。 4 争点4(第二次不再任用の違法性)について 原告は,平成24年6月1日以降も被告において継続して働くこと(再任用)について,法的に保護されるべき期待権を有していたものであり,第二次不再任用はこれを違法に侵害したものである旨主張する(前記第4の4[原告の主張])。 しかしながら,上記1において認定説示したとおり,平成23年5月31 日までの原告の任用は,その任期ごとになされた地公法22条5項に基づく個別の任用であると認められるところ,平成23年任用についてもこれと別異に解する合理的な理由は認められない。そうすると,第二次不再任用は,平成23年任用の期間が満了した後,任用されなかったということによるものにすぎないのであるから,本件任用の経緯 や原告の担当業務内容・性質,更 理由は認められない。そうすると,第二次不再任用は,平成23年任用の期間が満了した後,任用されなかったということによるものにすぎないのであるから,本件任用の経緯 や原告の担当業務内容・性質,更新回数,雇用通算期間,被告の言動・対応等原告の主張する諸事情について検討するまでもなく,原告が,任用期間満了後にも継続して働くこと(再任用)を期待する法的に保護されるべき利益ないし権利を有していたものとは認められない。 もっとも,任命権者が,期限付任用に係る非常勤職員に対して,任用期間 満了後も任用を続けることを確約し保障するなど,同期間満了後も任用が継続されると期待することが無理からぬものとみられる行為をしたというような特別の事情がある場合には,当事者間の信頼関係を不当に侵害するものとして,当該非常勤職員がそのような誤った期待を抱いたことによる損害につき,国賠法に基づく賠償を認める余地があり得る(最高裁判所平成6年7 月14日第一小法廷判決・裁判集民事172号819頁)。 この点,原告は,①原告の担当業務内容・性質,②更新回数,雇用通算期間,③被告の言動・対応等をもって,上記の特別の事情に当たると主張するので,以下,これらの点について検討する。 担当業務の内容・性質の点について 仮に,原告の業務は一般事務である以上に特定はされていないことや現に原告が行っていたg事業に係る業務は時期に関わりなく恒常的に行う必要のある業務であること等原告の主張する事実を前提にしたとしても,これらの点から直ちに,被告において,原告に対し期間満了後も任用が継続されると期待することが無理からぬものとみられる行為をしたとは認められない。 更新回数,雇用通算期間の点について 上記1で認定説示したとおり,本件任用は,地公 間満了後も任用が継続されると期待することが無理からぬものとみられる行為をしたとは認められない。 更新回数,雇用通算期間の点について 上記1で認定説示したとおり,本件任用は,地公法22条5項に基づく個別の任用であり,任用期間の設定や認定手続の明確性について特段問題となる点は認められず,また,任用手続が形骸化していたことを認めるに足りる的確な証拠は認められないこと,特に平成23年任用は,後記説示のとおり,第一次不再任用により任用が終了した後,原告支援者らと被告担当者ら との協議を経て,第一次不再任用から6か月後に行われた任用であり,本件任用に引き続いて従前と同様の任用がなされたものであるとはいえないこと,以上の点に鑑みれば,原告が被告に任用されていた通算の期間が長く,任用された回数自体が多数回に及んでいることをもって,直ちに,被告が原告に対し期間満了後も任用が継続されると期待することが無理からぬものとみら れる行為をしたとは認められない。 被告の言動・対応等の点についてア認定事実前記前提事実⑶ないし⑺並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 第一次不再任用に至る経緯a 原告は,平成23年3月22日,f家庭裁判所に保佐開始の審判を申し立てた。同申立てに当たっては,被告の担当ケースワーカーであったC職員が,原告の支援者であるB代表に対し,原告の財産管理や身上監護をするための制度として成年後見制度を紹介したり,申立て 準備のための診療所での受診や申立て時の家庭裁判所での手続に同行するなどしていた。 ,証人B,証人C)b 原告について,平成23年5月11日,保佐開始及び保佐人の選任の審判が確定したところ,H室長は, での受診や申立て時の家庭裁判所での手続に同行するなどしていた。 ,証人B,証人C)b 原告について,平成23年5月11日,保佐開始及び保佐人の選任の審判が確定したところ,H室長は,同年5月中旬頃,c室職員を通 じて,原告に対する保佐開始の事実を知り,原告について,地公法上 の欠格条項に該当することを確認した。 もっとも,被告は,その後,原告に対する失職の手続をとらず,同月31日の任用期間満了をもって任用を終了することとした(第一次不再任用)。 (前提事実,証人H) 第一次不再任用後における原告らと被告との交渉経過a 原告の支援者であるG委員長及びB代表は,平成23年6月1日,被告のH室長及びI事務局長と面談し,原告を改めて被告において任用するよう求めた。これに対し,H室長は,原告が被保佐人となったことで,地公法上の欠格条項に該当するため,公務員として任用する ことはできない旨回答した。 (甲51,証人G,証人H,証人I)bG委員長は,平成23年6月14日,H室長及びI事務局長と再び話合いを行った。その際にも,H室長は,原告については地公法上の欠格条項に該当することから任用することができない旨説明をした。 これに対し,G委員長は,原告側においても何とかするよう努力するので,被告においても色々と考えるようにとの要求をしたが,H室長は,もうそういうことは考えていない,これに関する交渉は今後しない旨返答した。 (証人G,証人I) cG委員長は,平成23年6月29日,被告に電話をし,原告の保佐を取り消す準備をしている旨を伝えた。これに対して,被告は,原告の任用はしない旨返答した。 (証人G)dE司法書士は,G委員長との協 委員長は,平成23年6月29日,被告に電話をし,原告の保佐を取り消す準備をしている旨を伝えた。これに対して,被告は,原告の任用はしない旨返答した。 (証人G)dE司法書士は,G委員長との協議を経て,原告について保佐から補 助への変更を進めることとし,平成23年8月18日,原告の保佐人 として,f家庭裁判所に対し,原告について補助開始の審判を申し立てた。 同裁判所は,同年10月6日,原告につき,保佐開始の審判を取り消すとともに,補助開始の審判をした。 (前提事実,証人G) eG委員長は,原告に対する補助開始の審判がなされた平成23年10月6日以降,J部長と話し合い,原告については,地公法上の欠格条項に抵触しなくなったことから,被告で任用するように求めたところ,最終的に,J部長は,G委員長に対し,原告を平成23年12月1日から被告で任用する旨返答した。 なお,H室長は,G委員長がJ部長に対し,原告を6か月に限っての任用でいいから任用してほしいという申出をした旨証言する(証人H)が,G委員長は,この点を否定しており,本件全証拠を精査しても,G委員長の同発言を認めるに足りる的確な証拠は認められない。 したがって,H室長のG委員長の発言に関する上記証言部分は採用で きない。 (証人G,証人H) 平成23年任用の経過a 被告は,平成23年11月30日付けで,原告を任用した(平成23年任用。前提事実⑹)。 同任用に係る決裁手続における臨時雇用員任用申請書には,任用を必要とする理由として,「各種i事業業務について,一時的な業務増が見込まれるため」と記載されていた。 なお,平成23年任用に係る臨時雇用員任用申請書(甲2の⑬)記載の任用期間部 申請書には,任用を必要とする理由として,「各種i事業業務について,一時的な業務増が見込まれるため」と記載されていた。 なお,平成23年任用に係る臨時雇用員任用申請書(甲2の⑬)記載の任用期間部分は,平成24年3月31日までの任期となっている ものの,これは,年度が替わるための措置であって,その後,平成2 4年4月1日付けで,任用期間を平成24年4月1日から同年5月31日までとする同内容の臨時雇用員任用申請書(甲2の⑭)も決裁されている。 (甲2の⑬,⑭,証人H,弁論の全趣旨)bH室長は,原告から提出を受ける臨時雇用員誓約書を作成するに当 たり,J部長から6か月に限った任用である旨聞いていたことから,任用期間を経過する際に再度任用するように求められる可能性を危惧し,臨時雇用員誓約書の備考欄に「その他任用期間については平成24年5月31日までとし,以後更新しない。」(本件不更新文言)と記載した上,I事務局長に対し,原告に対してその説明をするよう指 示した(甲3の⑲,証人H,証人I)。 cI事務局長は,H室長からの上記指示を踏まえ,原告に対し,臨時雇用員誓約書を示し,本件不更新文言の内容を説明した上で,原告から署名押印した臨時雇用員誓約書の提出を受けた(甲3の⑲,証人I)。 第二次不再任用の経緯 a 被告は,平成23年任用は,任用期間の満了日である平成24年5月31日をもって終了し,被告は,その後,原告について,任用しなかった(第二次不再任用)(前提事実)。 bG委員長は,第二次不再任用後の平成24年6月4日,被告に対して連絡をして,原告を被告で任用するように求めたが,被告はこれを 受け入れなかった(甲47)。 イ検討上記認定事 bG委員長は,第二次不再任用後の平成24年6月4日,被告に対して連絡をして,原告を被告で任用するように求めたが,被告はこれを 受け入れなかった(甲47)。 イ検討上記認定事実によれば,①被告が平成23年任用に至ったのは,再度の任用について一貫して拒否する対応を続けるも,原告支援者からの強い要望がなされた末の判断であったこと,②それ故,被告は,任用の際 の臨時雇用員誓約書に本件不更新文言を設け,同文言について,原告に 説明した上で同誓約書の提出を受けるなどしており,合意としての効力の有無にかかわらず,少なくとも原告に対し,任用が継続するか否かについて誤った期待(今後も任用は継続されるという期待)を生じさせないための明確な措置を講じていたといえること,③平成23年任用の任用期間中においても,原告について,今後任用が継続されるとの期待を 抱かせるような被告の言動や具体的な出来事があったとは窺われないこと,以上の点が認められ,これらの点に鑑みれば,平成23年任用に関し,被告が,原告に対し,その期間満了後も任用が継続されると期待することが無理からぬものとみられる行為をしたというような特別の事情があるとは認められない。 この点,原告は,第一次不再任用に先立つ保佐開始審判の申立てに関し,被告のC職員の情報提供等に問題があった旨主張するが,上記で認定説示したとおり,第一次不再任用は,原告が地公法上の欠格条項に該当することを理由とするものではなく,飽くまでも,任用期間が満了したことを理由とするものであると認めら れ,この点を踏まえると,平成23年任用の期間満了後の再任用に係る原告の期待に結びつくような事情であるとはいえないから,上記の特別の事情を肯定すべき事由には当たらない。 ると認めら れ,この点を踏まえると,平成23年任用の期間満了後の再任用に係る原告の期待に結びつくような事情であるとはいえないから,上記の特別の事情を肯定すべき事由には当たらない。 小括以上によれば,原告が主張する上記①ないし③の各事情を総合的に勘案 したとしても,第二次不再任用につき,任用期間満了後も任用が継続されると期待することが無理からぬものとみられる行為をしたというような特別の事情があったとは認められず,この点に関する原告の主張は理由がないといわざるを得ない。したがって,第二次不再任用に係る国賠法1条1項に基づく損害賠償請求は,その余の点(争点5)について判断するまでもなく, 理由がない。 5 結論以上のとおりであって,原告の本件各請求はいずれも理由がないから,いずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第5民事部 裁判長裁判官内藤裕之 裁判官大和之 裁判官池上裕康 別紙本件に関連する法令(地方公務員法)第十六条(欠格条項)次の各号の一に該当する者は,条例で定める場合を除くほか,職員となり,又は 競争試験若しくは選考を受けることができない。 一成年被後見人又は被保佐人 第十七条(任命の方法) 1 職員の職に欠員を生じた場合においては,任命権者は,採用,昇任,降任又は 転任のいずれか一の方法により,職員を任命することができる。 2 人事委員会(競争試験等を行う公平委員会を含む。以下この条から第十九条まで,第二十一条及び第二十二条において同じ。)を置く地方公共団体におい いずれか一の方法により,職員を任命することができる。 2 人事委員会(競争試験等を行う公平委員会を含む。以下この条から第十九条まで,第二十一条及び第二十二条において同じ。)を置く地方公共団体においては,人事委員会は,前項の任命の方法のうちのいずれによるべきかについての一般的基準を定めることができる。 3 人事委員会を置く地方公共団体においては,職員の採用及び昇任は,競争試験によるものとする。但し,人事委員会の定める職について人事委員会の承認があつた場合は,選考によることを妨げない。 4 人事委員会を置かない地方公共団体においては,職員の採用及び昇任は,競争試験又は選考によるものとする。 5 人事委員会(人事委員会を置かない地方公共団体においては,任命権者とする。 以下第十八条,第十九条及び第二十二条第一項において同じ。)は,正式任用になつてある職についていた職員が,職制若しくは定数の改廃又は予算の減少に基く廃職又は過員によりその職を離れた後において,再びその職に復する場合における資格要件,任用手続及び任用の際における身分に関し必要な事項を定めること ができる。 第二十二条(条件附採用及び臨時的任用) 1 臨時的任用又は非常勤職員の任用の場合を除き,職員の採用は,すべて条件附のものとし,その職員がその職において六月を勤務し,その間その職務を良好な成績で遂行したときに正式採用になるものとする。この場合において,人事委員 会は,条件附採用の期間を一年に至るまで延長することができる。 2 人事委員会を置く地方公共団体においては,任命権者は,人事委員会規則で定めるところにより,緊急の場合,臨時の職に関する場合又は任用候補者名簿がない場合においては,人事委員会の承認を得て,六月をこえない期間で臨時的任用 公共団体においては,任命権者は,人事委員会規則で定めるところにより,緊急の場合,臨時の職に関する場合又は任用候補者名簿がない場合においては,人事委員会の承認を得て,六月をこえない期間で臨時的任用を行うことができる。この場合において,その任用は,人事委員会の承認を得て, 六月をこえない期間で更新することができるが,再度更新することはできない。 3 前項の場合において,人事委員会は,臨時的任用につき,任用される者の資格要件を定めることができる。 4 人事委員会は,前二項の規定に違反する臨時的任用を取り消すことができる。 5 人事委員会を置かない地方公共団体においては,任命権者は,緊急の場合又は 臨時の職に関する場合においては,六月をこえない期間で臨時的任用を行うことができる。この場合において,任命権者は,その任用を六月をこえない期間で更新することができるが,再度更新することはできない。 6 臨時的任用は,正式任用に際して,いかなる優先権をも与えるものではない。 7 前五項に定めるものの外,臨時的に任用された者に対しては,この法律を適用 する。 第二十八条(降任,免職,休職等)1ないし3項略 4 職員は,第十六条各号(第三号を除く。)の一に該当するに至つたときは,条例 に特別の定がある場合を除く外,その職を失う。 (障害者の雇用の促進等に関する法律)【平成20年法律第96号による改正前のもの】第三十八条(雇用に関する国及び地方公共団体の義務) 1 国及び地方公共団体の任命権者(委任を受けて任命権を行う者を除く。以下同じ。)は,職員(当該機関(当該任命権者の委任を受けて任命権を行う者に係る機 関を含む。以下同じ。)に常時勤務する職員(一週間の勤務時間が,当該機関に勤務する通常の職員の一 行う者を除く。以下同じ。)は,職員(当該機関(当該任命権者の委任を受けて任命権を行う者に係る機 関を含む。以下同じ。)に常時勤務する職員(一週間の勤務時間が,当該機関に勤務する通常の職員の一週間の勤務時間に比し短く,かつ,第四十三条第一項の厚生労働大臣の定める時間数未満である常時勤務する職員(以下「短時間勤務職員」という。)を除く。)であつて,警察官,自衛官その他の政令で定める職員以外のものに限る。以下この節及び第三十九条の十一において同じ。)の採用について, 当該機関に勤務する身体障害者又は知的障害者である職員の数が,当該機関の職員の総数に,第四十三条第二項に規定する障害者雇用率を下回らない率であつて政令で定めるものを乗じて得た数(その数に一人未満の端数があるときは,その端数は,切り捨てる。)未満である場合には,身体障害者又は知的障害者である職員の数がその率を乗じて得た数以上となるようにするため,政令で定めるところ により,身体障害者又は知的障害者の採用に関する計画を作成しなければならない。 2 前項の身体障害者又は知的障害者である職員の数の算定に当たつては,重度身体障害者又は重度知的障害者である職員は,その一人をもつて,政令で定める数の身体障害者又は知的障害者である職員に相当するものとみなす。 【平成25年法律第46号による改正前のもの】第三十八条(雇用に関する国及び地方公共団体の義務) 1 国及び地方公共団体の任命権者(委任を受けて任命権を行う者を除く。以下同じ。)は,職員(当該機関(当該任命権者の委任を受けて任命権を行う者に係る機 関を含む。以下同じ。)に常時勤務する職員であつて,警察官,自衛官その他の政 令で定める職員以外のものに限る。以下この節及び第三十九条の十一において同じ を受けて任命権を行う者に係る機 関を含む。以下同じ。)に常時勤務する職員であつて,警察官,自衛官その他の政 令で定める職員以外のものに限る。以下この節及び第三十九条の十一において同じ。)の採用について,当該機関に勤務する身体障害者又は知的障害者である職員の数が,当該機関の職員の総数に,第四十三条第二項に規定する障害者雇用率を下回らない率であつて政令で定めるものを乗じて得た数(その数に一人未満の端数があるときは,その端数は,切り捨てる。)未満である場合には,身体障害者又 は知的障害者である職員の数がその率を乗じて得た数以上となるようにするため,政令で定めるところにより,身体障害者又は知的障害者の採用に関する計画を作成しなければならない。 2 前項の職員の総数の算定に当たつては,短時間勤務職員(一週間の勤務時間が,当該機関に勤務する通常の職員の一週間の勤務時間に比し短く,かつ,第四十三 条第三項の厚生労働大臣の定める時間数未満である常時勤務する職員をいう。以下同じ。)は,その一人をもつて,厚生労働省令で定める数の職員に相当するものとみなす。 3 第一項の身体障害者又は知的障害者である職員の数の算定に当たつては,身体障害者又は知的障害者である短時間勤務職員は,その一人をもつて,厚生労働省 令で定める数の身体障害者又は知的障害者である職員に相当するものとみなす。 4 第一項の身体障害者又は知的障害者である職員の数の算定に当たつては,重度身体障害者又は重度知的障害者である職員(短時間勤務職員を除く。)は,その一人をもつて,政令で定める数の身体障害者又は知的障害者である職員に相当するものとみなす。 5 第一項の身体障害者又は知的障害者である職員の数の算定に当たつては,第三項の規定にかかわらず,重度身体障害 ,政令で定める数の身体障害者又は知的障害者である職員に相当するものとみなす。 5 第一項の身体障害者又は知的障害者である職員の数の算定に当たつては,第三項の規定にかかわらず,重度身体障害者又は重度知的障害者である短時間勤務職員は,その一人をもつて,前項の政令で定める数に満たない範囲内において厚生労働省令で定める数の身体障害者又は知的障害者である職員に相当するものとみなす。 以上

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