- 1 -判決 主文 1 被告は、原告に対し、1975万8025円及びこれに対する平成19年●月●●日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、これを4分し、その3を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は、原告に対し、7477万6638円及びこれに対する平成19年● 月●●日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は、原告に対し別紙1記載の「謝罪文」を交付するとともに、同文書を、本判決言渡し後1か月以内に、長崎市広報及び長崎市ホームページの分かりやすい場所に、囲みで、他の記事と同じ大きさの文字で掲載せよ。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は、●●●記者であった原告が、①被告の原爆被爆対策部長から取材対応に際して性的暴行を受けた、②被告が上記性的暴行を防止する義務を怠った、③被告の幹部職員が上記性的暴行について虚偽の風説を流布した、④被告が上記性的暴行に関連する原告の二次被害を防止する義務を怠ったなどと主張して、 被告に対し、国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づき、7477万6638円の損害賠償及びこれに対する不法行為日(性的暴行を受けた日)である平成19年●月●●日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、上記③の虚偽の風説の流布及びこれを放置したこと(上記④の注意義務違 反の一部)により、原告の名誉が棄損されたとして、国賠法4条、民法723 - 2 よる遅延損害金の支払を求めるとともに、上記③の虚偽の風説の流布及びこれを放置したこと(上記④の注意義務違 反の一部)により、原告の名誉が棄損されたとして、国賠法4条、民法723 - 2 -条に基づき、別紙1記載の謝罪文の交付及び謝罪広告の掲載(以下「謝罪広告等」という。)を求める事案である。 2 前提事実(争いのない事実並びに後掲各証拠〔枝番があるものは特記しない限り枝番を含む。以下同じ。〕及び弁論の全趣旨により認定した事実)⑴ 当事者等 ア原告は、●●●●●●●にB社(以下「本件会社」という。)に入社し、●●●●●から同社長崎支局(以下「長崎支局」という。)に配属され、記者として稼働していた。(甲95)イ Aは、昭和55年10月に長崎市役所に入庁し、平成16年4月から企画部統計課長を務めた後、平成19年4月に行われた長崎市長選挙におい て、同候補者であった市長が銃殺されたことに伴い、補充立候補をして離職した。同人は、同選挙で当選し、その後現在に至るまで長崎市長を務めている(以下「A市長」という。)。(甲95、乙53)ウ Cは、昭和46年4月に長崎市役所に入庁し、平成16年から原爆被爆対策部長を務め、平成19年8月1日から企画部長を務めた(以下「C部 長」という。)。(乙50)エ Dは、昭和46年4月に長崎市役所に入庁し、平成17年4月から選挙管理委員会事務局長を、平成19年8月1日から会計管理者を務め、平成21年3月に定年退職した(以下「D会計管理者」という。)。同人は、C部長と、高校、大学の同級生で、同期採用され、親しい間柄にあった。 (乙50)オ Eは、昭和54年に長崎市役所に入庁し、平成19年8月から平成21年3月まで秘書課長を務め、平成26年3月に定年退職した(以下 の同級生で、同期採用され、親しい間柄にあった。 (乙50)オ Eは、昭和54年に長崎市役所に入庁し、平成19年8月から平成21年3月まで秘書課長を務め、平成26年3月に定年退職した(以下「E秘書課長」という。)。(乙51)⑵ 平成19年度平和祈念式典 ア被告は、毎年8月9日に長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典(以下「平和 - 3 -記念式典」といい、平成19年度の平和記念式典を「本件式典」という。)を開催し、原爆被爆対策部長が責任者として平和記念式典を取り仕切っていた。 イ平成19年7月29日の参議院議員選挙(以下「本件選挙」という。)の結果、民主党が第1党となり、同党所属のF議員が参議院議長に就任し、 本件式典に出席した。 ⑶ 本件事件ア原告は、●●●●●●●●●●●●●●●●●頃、本件式典の際の取材に関連して、C部長に電話した。C部長は、同電話で原告を呼び出して、原告と会い、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●(以下「本件性交」といい、両者が会ってから●●●を出るまでの間の事態を「本件事件」という。)。(甲95)イ原告は、本件性交について同意していなかった。(この点について、被告は当初争っていたが、口頭弁論終結時においては争いがない。) ⑷ C部長の自殺等ア A市長は、平成19年10月30日午後11時頃、C部長から、本件事件について聴取した。 イ C部長は、同月31日又は同年11月1日の深夜、登山道付近で自殺し、同日午前1時50分頃、遺体が発見された。(乙8) ウ同日、C部長の通夜が、同月2日、葬儀(以下「本件葬儀」といい、通夜と併せて「本件葬儀等」という。)が行われた。(甲43)⑸ 本件事件 日午前1時50分頃、遺体が発見された。(乙8) ウ同日、C部長の通夜が、同月2日、葬儀(以下「本件葬儀」といい、通夜と併せて「本件葬儀等」という。)が行われた。(甲43)⑸ 本件事件及びC部長の自殺に関する報道等(下記報道は、原告についてはいずれも匿名で、C部長については一部を除き役職名で掲載された。) ア Gは、平成19年11月1日、「●●●●●●●●●●●●●●●●● - 4 -●●●●●●」との見出しで、本件事件に関する記事を掲載した。(乙7)イ A市長は、同日午後1時頃、臨時記者会見を開き、本件事件について、質疑応答した。(甲41)ウ新聞各紙は、同月2日、「●●●●●●●●」、「●●●●●●●●●●●●●●」などの見出しで、上記記者会見等を踏まえ、●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●などを内容とする記事を掲載した。(甲3の4・5、44~48、乙8)エ被告は、C部長に対して退職金を支給することとし、Gは、同月23日、その旨の記事を掲載した。(乙15)オ「●●●●●」は、●●●●●●●●●●●●●●●、「「●●●● ●●●●●●●●●●●●●」という見出しの記事を掲載した。(甲3の2、乙13) 「●●●●」は、●●、「●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●」という見出しの記事を掲載した。(甲3の3、乙14) 「●●●●●」は、●●●●●●●、「「●●●●●●」●●●●● ●「●●●●●●●」●●●●」という見出しの記事を掲載した。(甲3の1、乙17) 上記週刊誌の各記事は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●旨を記載し、●●●●●●●●●●●●● 出しの記事を掲載した。(甲3の1、乙17) 上記週刊誌の各記事は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●旨を記載し、●●●●●●●●●●●●●●●●●●記載するものであった。 ⑹ 本件事件後の原告の概況ア通院状況 原告は、●●●●●●●●●●、●●●内の●●●●●●●●●●●●●を受診し、●●●●●●●●●●●(●●●●)と診断された。 (甲5の3) 原告は、●●●●●●●、●●●内の●●●●●●●●●●●●●● - 5 -●●(以下「●●」ということがある。)を受診し、●●●●と診断され、以降、通院治療を継続している。(甲5の4、97、98)イ住居・就業状況等 原告は、●●●●●●●●●●、夏季休暇を取得して、●●●内の実家に身を寄せた後、同年9月7日、ドメスティックバイオレンス被害に あった女性とその子供のための自立支援施設である●●●●●●●●●●●●(以下「シェルター」という。)に入所した。原告は、平成20年1月11日、シェルターを退所し、実家に戻ったが、同年2月16日から平成21年1月16日まで、再度、入所し、退所後、●●●内に居住した。(甲75、81、95) 原告は、夏季休暇後、休職していたが、平成21年10月1日付けで、●●●内の本件会社本社(以下「本社」という。)に復職し、その頃、●●●内から●●●内へ転居した。原告は、復職後、本社で内勤として勤務していたが、平成27年4月以降、再度、休職状態となった。(甲97、98の3、102、103、107) ⑺ 本訴に至る経緯ア原告は、平成19年8月24日、H弁護士(以下「H弁護士」という。)及びI弁護士(以下「I弁護士」といい、併せて「前 (甲97、98の3、102、103、107) ⑺ 本訴に至る経緯ア原告は、平成19年8月24日、H弁護士(以下「H弁護士」という。)及びI弁護士(以下「I弁護士」といい、併せて「前代理人ら」という。)に対し、本件事件について相談した。原告は、同年9月上旬頃までに、本件会社人事部に本件事件について相談し、J人事部長(以下「J人事部長」 という。)らは、同月28日及び同年10月22日、前代理人ら同席の上、原告から詳細を聴取し、対応を協議した。(甲5の1、95)イ A市長及びE秘書課長は、同月31日午後、長崎市役所において、長崎支局のK支局長(以下「K支局長」という。)及びL記者(以下「L記者」という。)と本件事件について協議し、その際、K支局長は、本社の指示 で、被告に対し、原告の二次被害防止への配慮を求めた。(甲4の1、2 - 6 -3、乙6)ウ被告は、同年11月8日、E秘書課長、M人事課長(以下「M人事課長」という。)及び人事係長が本社を訪れ、本件会社のN総務局長(以下「N総務局長」という。)、J人事部長及び顧問弁護士並びに原告代理人のH弁護士と本件事件について協議した。その際、本件会社は、原告から聴取 した本件事件の経緯等を記載した報告書と抗議文を交付した。(甲4の2・3、乙9)エ被告は、同年12月25日、O総務部長(以下「O総務部長」という。)及びM人事課長がI弁護士の事務所を訪れ、前代理人ら及びJ人事部長と本件事件について協議した。その際、被告は、総務部人事課作成の同月1 3日付け調査結果報告書(甲2、乙18の2。以下「本件報告書」という。)に基づき、調査結果を報告し、全ての事実関係を明らかにすることは困難であるが、本件事件の発生に関して問題があったと考え、遺憾に思う 付け調査結果報告書(甲2、乙18の2。以下「本件報告書」という。)に基づき、調査結果を報告し、全ての事実関係を明らかにすることは困難であるが、本件事件の発生に関して問題があったと考え、遺憾に思うとともにお詫びする旨などを記載したA市長名義の原告及びN総務局長宛の文書(順次、乙18の3・4。以下、前者を「本件文書」といい、後 者を併せて「本件文書等」という。)を交付した。 オ原告は、平成20年1月頃、前代理人らとの委任契約につき実費精算し、その後、別途、本件事件について、中野麻美弁護士(本訴訴訟代理人。以下「中野弁護士」という。)に委任した。中野弁護士は、被告に対し、同年7月15日付けで、本件事件及びその後の二次被害について苦情を申し 立てるとともに、被害救済を求める旨を通知した。(甲5の5、乙19)カ原告は、中野弁護士とともに、同年8月18日及び同年10月7日、被告のO総務部長及びM人事課長と本件事件について協議した後、被告の了解を得た上で、平成21年3月6日、日本弁護士連合会(以下「日弁連」という。)に対して、本件事件及びその後の二次被害について、被告が事 実及び責任を認めて謝罪し、再発防止措置を講じるとともに、謝罪文を公 - 7 -表することを求めて、人権救済申立てをした。(甲1)キ日弁連は、平成26年2月5日、一部を除き原告の申立て内容を認めた上、要旨、次のとおり勧告したが(以下「本件勧告」という。)、被告は、本件勧告の全面的受入れはできないとして、これに応じなかった。(甲1、乙41) 被告は、C部長が原告に対してした性的行為が、記者に対する情報や取材機会の提供等に関する職務上の優越的地位を濫用し、原告の意に反して強要した人権侵害行為であったこと、及び、被告が同行為の防止措置を尽 告は、C部長が原告に対してした性的行為が、記者に対する情報や取材機会の提供等に関する職務上の優越的地位を濫用し、原告の意に反して強要した人権侵害行為であったこと、及び、被告が同行為の防止措置を尽くしていなかった責任を認め、原告に謝罪するとともに、原告の意向を尊重して、十分な再発防止策を策定し、実施すべきである。 被告は、被告関係者の言動により、被告の内外において、原告が好奇の目に晒され、原告に非があるかのような事実に反する風説が流布されたこと等により、原告が更なる精神的苦痛を強いられる二次被害の人権侵害を受けたこと、及び、被告が同被害防止措置を尽くしていなかった責任を認め、原告に謝罪するとともに、原告の意向を尊重して、十分な 再発防止策を策定し、実施すべきである。 ク原告は、平成31年4月25日、本件訴訟を提起した。 ⑻ 関係条例等ア長崎市男女共同参画推進条例被告は、平成14年9月25日、次の条項を含む長崎市男女共同参画推 進条例(以下「本件条例」という。)を制定した。 11条1項市長は、性別による差別的取扱い、セクシュアル・ハラスメント、ドメスティックバイオレンスその他の男女共同参画を阻害する要因による人権の侵害に関し、市民又は事業者から相談があった場合には、関係機 関又は関係団体と連携し、適切に処理するものとする。 - 8 - 18条1項何人も、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、性別による差別的取扱いをしてはならない。 同条2項何人も、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野におい て、セクシュアル・ハラスメントを行つてはならない。 イハラスメントの防止等に関する要綱 同条2項何人も、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野におい て、セクシュアル・ハラスメントを行つてはならない。 イハラスメントの防止等に関する要綱被告は、ハラスメントの防止等に関する要綱(以下「本件要綱」という。)を定めて、職員が他の職員及び業務遂行に伴う関係者(以下「職員等」という。)に対するハラスメントをしないよう禁止し(2条2項、3 条1項)、係長と同等以上の職にある者は、ハラスメントの防止及び排除に努め、ハラスメントに起因する問題が生じた場合には迅速、適切な対処をしなければならない旨を定めている(同条2項)。 3 争点及びこれに関する当事者の主張本件の争点は、⑴損害賠償請求に関して、①C部長による本件事件、②被告 の本件事件の発生を防止する義務の懈怠、③D会計管理者ら被告職員による本件性交につき原告が同意していた等の虚偽の風説の流布、④被告の上記①及び③に関連する原告の二次被害を防止する義務の懈怠について、国賠法1条1項の責任原因の有無(争点①~④)、⑤過失相殺の可否、⑥損害の範囲であり、⑵謝罪広告等請求に関して、上記③の虚偽の風説の流布及びこれを放置したこ と(上記④の一部)による名誉棄損の成否及び謝罪広告等の名誉回復措置の要否であり(争点⑦)、⑶両者に共通の抗弁として、和解の成否(争点⑧)であり、各争点に関する当事者の主張は、次のとおりである。 ⑴ 本件事件についての責任原因の有無(争点①)(原告の主張) ア本件事件の違法性、C部長の故意 - 9 -C部長は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● - 9 -C部長は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●(本件性交)。 以上の態様から、本件事件がC部長の故意による違法行為であることは明らかである。 イ職務関連性原爆被爆対策部長は、平和記念式典を取り仕切る権限を有し、参列者への取材の機会の確保についても権限を有していた。 原告は、本件選挙の結果、民主党から新参議院議長が選出されることが予測されたことから、本件式典への参議院議長の出席予定、取材の機会に ついての情報を得ようとしてC部長に取材を申し入れた。C部長は、上記職務権限を濫用し、原告に情報提供するかのように装って原告を呼び出し、本件性交に及んだのであるから、C部長の行為は、国賠法1条1項の公権力の行使に該当する。 ウ権利侵害 原告は、本件事件により、性的自由が侵害され、心身の健康を害された。 また、本件式典における参議院議長への取材が不能となり、取材活動中に被害を受けたことで、その後、同種被害にさらされる危険性への意識を余儀なくされ、記者としての職業能力を奪われ、取材の自由を侵害された。 エしたがって、被告は、本件事件について、国賠法1条1項に基づき損害 賠償責任を負う。 - 10 険性への意識を余儀なくされ、記者としての職業能力を奪われ、取材の自由を侵害された。 エしたがって、被告は、本件事件について、国賠法1条1項に基づき損害 賠償責任を負う。 - 10 -(被告の主張)ア違法性及び故意について原告が本件性交に同意していなかったことは認めるが、C部長の故意については否認する。 原告が、本件事件前、幾度となくC部長の夜間の呼出しに応じていたこ と、東京出張帰りのC部長運転車両の後部座席に当然のように乗り込んでいたこと、本件事件当日も、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●等の諸事情から、C部長は、本件事件当時、酔余により自制心が減退していたことも相まって、原告が黙示的に同意していると誤解して、本件性交をしたと考えられ、過失にとどまる。 イ職務関連性について原爆被爆対策部長が平和記念式典を取り仕切っていたことは認め、参列者への取材の確保について権限を有していたことは否認する。参列者への取材の機会は原爆被爆対策部長の権限で設定されるものではなく、本件式典における参議院議長に対する取材のために、原告がC部長に接触するこ とは必須ではなかった。また、本件事件の際、参議院議長への取材に関する情報提供は話題となっておらず、深夜の時間帯でもあったことからすると、職務の外形を客観的に備えていたということもできず、C部長の行為が国賠法1条1項の公権力の行使に該当するとはいえない。 ウ権利侵害について 争う。 ⑵ 本件事件発生防止義務懈怠についての責任原因の有無(争点②)(原告の主張)被告は、男女共同参画社会基本法(以下「男女共同参画法」という。)3条及び5条に基づき、女性に対する暴力根絶のための施策を講じる義 防止義務懈怠についての責任原因の有無(争点②)(原告の主張)被告は、男女共同参画社会基本法(以下「男女共同参画法」という。)3条及び5条に基づき、女性に対する暴力根絶のための施策を講じる義務を負 い、その一環として本件条例を制定した。 - 11 -被告は、本件条例の制定者として、職員が一般市民を含む女性に対してセクシュアル・ハラスメント(以下「セクハラ」という。)を起こさないよう周知徹底し防止すべき注意義務を負い、特に女性記者に対しては、長崎県内外において性的暴行事件が問題となっていたことから、被告の幹部職員が取材に応じて情報提供する際にセクハラや性的暴行を振るわないよう厳しく注 意指導し、教育すべき注意義務を負っていたにもかかわらず、これを怠った。 その結果、本件事件が発生したものであり、被告は、国賠法1条1項に基づき、損害賠償責任を負う。 (被告の主張)一般論として、被告が、職員に対して、一般市民としての女性に対するセ クハラを起こさないよう防止すべき注意義務を負っていたことは認める。 被告は、職員に対して、ことさらに女性記者に情報提供する際の注意指導、教育は実施していなかったが、セクハラ防止に関する一般的な教育は行っていたものであり、本件事件の発生防止について責任はない。 ⑶ 虚偽の風説の流布についての責任原因の有無(争点③) (原告の主張)ア D会計管理者ら被告職員による虚偽の風説の流布C部長は、平成19年7月29日に原告から本件事件につき抗議を受けた際、原告の意思に反してした旨を認めたが、その後、原告と男女関係にあり、本件性交は合意の下に行われた旨をD会計管理者ら周囲の者に広め た。D会計管理者は、同年8月頃以降、本件事件につきC部長の職権濫用を隠 に反してした旨を認めたが、その後、原告と男女関係にあり、本件性交は合意の下に行われた旨をD会計管理者ら周囲の者に広め た。D会計管理者は、同年8月頃以降、本件事件につきC部長の職権濫用を隠蔽し責任回避を図るため、原告が誘った旨や自身も誘われた旨の虚偽事実を付加して被告庁舎内に広げ、これを察知したP及びGの記者が取材に動き始めた旨を同年9月21日の市議会最終日に市議会関係者から伝えられると、上記隠蔽、責任回避の動きを強めた。 D会計管理者は、本件葬儀の際やその後同年11月上旬頃に、複数の週 - 12 -刊誌記者等から取材を受け、上記隠蔽、責任回避の意図で、本件事件について原告が合意していた旨の虚偽の情報を提供し、これを踏まえて、前提事実⑸オ記載の各記事が掲載された。また、E秘書課長も、D会計管理者と同様に本件事件につき隠蔽、責任回避を図るため、週刊誌記者に虚偽の情報を提供し、これを踏まえて、前提事実⑸オ記載の記事が掲載された。 イ職務関連性D会計管理者及びE秘書課長は、それぞれ、その職務上の地位に基づいて、C部長の職権濫用を隠蔽し、責任回避を図るため、上記アの虚偽の風説の流布をしたものであり、前者について、C部長との間柄から擁護しようとしたのだとしても、会計管理者という職務上の地位に基づく権威の下 に、C部長の地位を擁護しようとしたものであるから、これらは、国賠法1条1項の公権力の行使に該当する。 ウ権利侵害原告は、上記アの虚偽の風説の流布により、人格的名誉を棄損され、さらに心身の健康を害された。 エしたがって、被告は、上記アの虚偽の風説の流布につき、国賠法1条1項に基づき損害賠償責任を負う。 (被告の主張)ア虚偽の風説の流布、職務関連性につい に心身の健康を害された。 エしたがって、被告は、上記アの虚偽の風説の流布につき、国賠法1条1項に基づき損害賠償責任を負う。 (被告の主張)ア虚偽の風説の流布、職務関連性についてD会計管理者が、平成19年10月31日、C部長、E秘書課長と話を した際に、原告から誘われたことがあると話していたこと、週刊誌記者の取材に応じたことがあったことは認め、その余は不知又は否認する。 被告は、本件事件について、O総務部長、M人事課長ら限られた人員で対応しており、D会計管理者が取材に応じた以外に情報を流布したことはない。また、D会計管理者が取材に応じたことが分かった際、O総務部長 から、取材に応じないように注意した。 - 13 -イ権利侵害について争う。 ⑷ 二次被害防止義務懈怠についての責任原因の有無(争点④)(原告の主張)被告は、本件事件につき責任を負う立場にあること、また、前提事実⑻、 前記⑵(原告の主張)のとおり本件条例及び本件要綱(以下「本件条例等」という。)を定めていることから、A市長及び被告職員は、本件条例等に従って、本件事件につき、性的風評の流布を防止し、原告又は本件会社からの要請を受けて、二次被害を防止すべく対処する義務を負うところ、次のとおり、これを怠り、隠蔽、責任回避を図るため、前記⑶の虚偽の流布を放置す るなどして、原告に二次被害を生じさせた。 原告は、これにより、人格的名誉を棄損され、さらに心身の健康を害されたから、被告は、原告に対し、国賠法1条1項に基づき損害賠償責任を負う。 ア平成19年9月下旬頃から同年10月29日まで前記⑶(原告の主張)アのとおり、C部長及びD会計管理者(以下「C 部長ら」という。)は、同年 賠法1条1項に基づき損害賠償責任を負う。 ア平成19年9月下旬頃から同年10月29日まで前記⑶(原告の主張)アのとおり、C部長及びD会計管理者(以下「C 部長ら」という。)は、同年8月以降、本件事件につき隠蔽し責任回避を図るため、C部長が原告に誘われ合意の上で性交に至った旨の虚偽の情報(以下「本件情報」という。)を流布し、同年9月中旬頃には、その噂が被告庁舎内に広がり、同月21日にはP社及びG社(以下「報道2社」という。)による取材の動きがある旨、C部長ら及び長崎市議会関係者の間 で情報共有されており、その頃には、被告も本件情報の流布について認識し得た。また、A市長は、同年10月20日、原告が強制的に休職していると認識して様子を伺うため原告にメールし、同月24日、原告から電話でC部長の辞表を受理しないよう要請されていたから、遅くともこの頃までには本件情報の流布について認識していた。 被告は、本件情報の流布による原告の人権侵害を予見し得たから、性的 - 14 -風評の流布自体が人権侵害に当たる旨を職員に周知徹底するとともに、発信源であるC部長らに対し、本件情報を流布しないよう注意指導すべき義務を負っていたにもかかわらず、これを怠った。 イ平成19年10月30日から同月31日までA市長は、同年10月30日午後8時頃、報道2社の記者から本件事件 につき確認され報道を予告され、同日深夜、C部長に事情を聴取し、本件情報と同内容の弁明及び辞意を受けた。A市長は、翌31日、E秘書課長に本件会社を訪問させ、●●●●●●●●●●●●●●●と告げ、二次被害防止のため報道を止めるよう求めた。これを受け、本件会社は、同日午後4時頃、前提事実⑺イの協議の際、本件事件は強姦事件である旨抗議し、 二次被害 ●●●●●●●●●●●●●●●と告げ、二次被害防止のため報道を止めるよう求めた。これを受け、本件会社は、同日午後4時頃、前提事実⑺イの協議の際、本件事件は強姦事件である旨抗議し、 二次被害の防止を求めた。また、C部長は、同日朝、しきりと周囲に辞意を示し、同日夜、D会計管理者と飲食した際、自殺をほのめかした。 上記経過によれば、被告は、本件事件につき、C部長の職権濫用及び原告の二次被害の可能性を認識していたといえるから、二次被害防止のため、上記アと同様、本件情報の流布を防止すべくC部長らを注意指導し、事実 究明のため原告や本件会社から事情を聴取すべき義務を負っていたところ、これを怠り、かえって、C部長の弁明に基づき本件事件の隠蔽及び責任転換を図った。また、被告は、C部長の言動からC部長の自殺を予見し得、自殺した場合、世論の同情を集め、被害者を攻撃する風潮により二次被害が深刻化することを認識し得たにもかかわらず、自殺の予防措置を講じな かった。 ウ本件葬儀の際まで前提事実⑷、⑸アないしウのとおり、C部長が自殺し、同月1日、Gによる報道がされ、A市長が記者会見を開き、翌2日、新聞各社が本件事件及びC部長の自殺について報道した。同状況に加え、被告は、同年10月 31日に本件会社から抗議及び二次被害防止の要請を受けていたのである - 15 -から、本件葬儀の際に週刊誌等の報道関係者が被告職員に接触して取材し、報道されることにより、本件事件について虚偽の風説がさらに拡大し、二次被害が深刻化することを認識し得たから、そのような事態を防止するため、職員に対し、本件葬儀の際に取材に応じないよう注意指導する義務を負っていた。 しかし、被告は、C部長の自殺及びこれに同情する風潮を利用して本件事件 たから、そのような事態を防止するため、職員に対し、本件葬儀の際に取材に応じないよう注意指導する義務を負っていた。 しかし、被告は、C部長の自殺及びこれに同情する風潮を利用して本件事件につき隠蔽及び責任転換を図る意図で、上記義務を怠った。そのため、D会計管理者が、本件葬儀の際、週刊誌記者等の取材に応じ、前記⑶(原告の主張)アのとおり、虚偽の情報を提供した。 エ本件葬儀後、週刊誌報道がされるまで 被告は、上記ウの状況及び本件葬儀の際のD会計管理者の言動を認識し又は認識し得たにもかかわらず、その後も、これを放置した。そのため、前記⑶(原告の主張)アのとおり、D会計管理者が、平成19年11月上旬頃、週刊誌記者等の取材に応じて虚偽の情報を提供し、E秘書課長も、同様に週刊誌記者に対し虚偽の情報を提供した。 また、被告は、同月8日、前提事実⑺ウの原告代理人及び本件会社との協議の際、抗議及び二次被害防止の要請を受け、同月9日、D会計管理者から事情を聴取し、週刊誌記者の取材を受け、虚偽の情報を提供した旨を認識した。 被告は、本件事件につき、原告らから二次被害防止の要請を受けていた のであるから、二次被害を防止するため、本件葬儀後、D会計管理者らから、取材に応じた週刊誌の発行主体、誌名、記者名、提供した情報の内容等を確認して、同発行主体に対し報道しないよう要請するとともに、原告らが報道差止めのための手段を講じる機会を付与するため、上記各情報を原告及び本件会社に対して提供すべきであった。 しかし、被告が、上記各注意義務を怠ったため、前提事実⑸オの各報道 - 16 -がされ、原告の人格的名誉が棄損され、さらに、これを元にした被害者に対する誹謗中傷がインターネット上に出回ったこと等により 被告が、上記各注意義務を怠ったため、前提事実⑸オの各報道 - 16 -がされ、原告の人格的名誉が棄損され、さらに、これを元にした被害者に対する誹謗中傷がインターネット上に出回ったこと等により、二次被害が拡大した。 オ報道後の対応被告は、前記のとおり、二次被害防止義務を負うところ、これを怠り、 前提事実⑸の各報道、特に同オの週刊誌の報道により、原告の人格的名誉が棄損され、二次被害が拡大することを認識し又は認識し得たのであるから、虚偽の情報を流布し提供したD会計管理者を厳重に処分して、その旨を公表することにより、原告の名誉を回復させ、二次被害を緩和すべきであったが、これを怠り、虚偽の情報を放置し続けた。 さらに、被告は、前提事実⑸エのとおり、C部長に対して退職金を支給することとして、平成19年11月23日、その旨報道された。これは、C部長の行為を正当化することを公表するものであり、原告の二次被害を拡大させた。 カ本件勧告後の対応 原告は、前提事実⑺オ、カのとおり、被害救済を求めて被告と協議し、日弁連に対する人権救済申立てを提案し、被告は、その調査に協力し、勧告を尊重する旨合意した。 そして、同キのとおり、本件性交が原告の意に反する人権侵害であり、被告が本件性交及び二次被害について防止措置を尽くしていなかった責任 を認め、原告に謝罪するとともに再発防止措置を講じるよう勧告する本件勧告が出されたのであるから、被告は、これを公表し、本件勧告に従って、謝罪及び再発防止措置を講じることにより、原告の名誉を回復し、被害の緩和を図るべきであったのに、これを怠った。 (被告の主張) 被告が本件条例等を定めたことは認め、本件事件につき責任を負う立場に - 17 -あること 原告の名誉を回復し、被害の緩和を図るべきであったのに、これを怠った。 (被告の主張) 被告が本件条例等を定めたことは認め、本件事件につき責任を負う立場に - 17 -あること及び二次被害防止義務の懈怠につき責任を負うことは否認し争う。 ア (原告の主張)アについてA市長が平成19年10月20日に原告にメールをしたこと、同月24日に原告と電話し、辞表を受理しないよう要請されたことは認め、その余は否認する。 被告が本件事件について認識したのは、A市長が報道2社の記者から情報提供を受けた同月30日であり、原告の主張は前提を欠く。 イ (原告の主張)イについて平成19年10月30日、A市長が報道2社の記者から本件事件につき情報提供を受け、C部長から事情を聴取したこと、同月31日、E秘書課 長が本件会社を訪れたこと、前提事実⑺イの協議の際、本件会社から抗議及び二次被害防止を求められたこと、C部長が辞意を表明していたことは認め、その余は不知又は否認する。 被告は、本件事件について、同月30日に認識したばかりで事実確認ができておらず、C部長が同意の上と否定していたにもかかわらず、原告主 張の二次被害を想定して、措置を講じることはできなかった。上記協議の際に想定されていた二次被害は、新聞等により報道されることについてであり、この時点で、前提事実⑸オのような週刊誌の記事が掲載されることは想定できなかった。 また、C部長がA市長やE秘書課長の前で自殺をほのめかしたことはな く、C部長の自殺を予見することはできなかった。 ウ (原告の主張)ウについて本件葬儀前の事実経過、本件葬儀の際に原告がD会計管理者に電話したことは認め、その余は不知又は否認する。 く、C部長の自殺を予見することはできなかった。 ウ (原告の主張)ウについて本件葬儀前の事実経過、本件葬儀の際に原告がD会計管理者に電話したことは認め、その余は不知又は否認する。 上記イと同様、被告は、この時点で事実確認ができておらず、前提事実 ⑸オのような週刊誌の記事が掲載されることは想定できなかった。 - 18 -エ (原告の主張)エについてD会計管理者が週刊誌の取材に応じたことがあること、平成19年11月8日、前提事実⑺ウの協議の際、抗議及び二次被害防止の要請を受けたこと、同月9日、D会計管理者から週刊誌の取材に応じた旨聴取したことは認め、その余は不知又は否認する。 被告は、D会計管理者が週刊誌の取材に応じたことが分かった後、O総務部長から取材を受けないように注意した。被告は、事前にどのような内容の週刊誌記事が報道されるか認識することはできず、報道しないよう要請したとして、実効性があるともいえず、同要請をすべき義務があるとはいえない。また、被告は、二次被害防止のため、原告及び本件会社と折衝 を重ねていたが、原告及び本件会社から、週刊誌への掲載可能性や原告主張の措置を講ずべきことを要請されたことはなかった。 オ (原告の主張)オについて被告が、D会計管理者に対する処分をしなかったこと、C部長に対する退職金を支給することとし、その旨報道されたことは認め、その余は否認 する。 D会計管理者に対しては、前記のとおり、取材に応じないよう注意した。 また、退職金の不支給要件は、禁錮以上の刑が確定して失職したときであり、C部長はこれに該当しない。そのため、被告が支給を止めることはできず、退職金を支給することが、C部長の行為の正当化を公表するもので 金の不支給要件は、禁錮以上の刑が確定して失職したときであり、C部長はこれに該当しない。そのため、被告が支給を止めることはできず、退職金を支給することが、C部長の行為の正当化を公表するもので はない。 カ (原告の主張)カについて被告が人権救済申立てに合意したこと、日弁連が本件勧告をし、被告がこれに従った対応をしなかったことは認め、その余は否認する。 日弁連の勧告に強制力はなく、本件勧告は、被告職員に対する事情聴取 をせず、原告側の偏った判断材料により事実認定されたもので、明らかに - 19 -公平性・公正性に反するものであったことから、被告は、これに従った対応をしなかったものであり、責任はない。 ⑸ 過失相殺の可否(争点⑤)(被告の主張)前記⑴(被告の主張)アのとおり、C部長は原告が黙示的に同意している と誤解して本件性交をしたと考えられ、過失にとどまり、また、被告は、その当時の証拠状況に照らし、原告が本件性交に同意していなかったことを認識し得なかった。他方、原告には、次のとおり、本件事件の発生又は損害拡大の防止において考慮すべき過失があるから、過失相殺されるべきである。 ア本件事件前の対応 C部長は、本件事件前から原告に対するセクハラをし、平成19年5月頃には、原告を性的対象として見ていることを示すメールを送信するなど、その言動を激化させていた。 原告は、C部長の言動から、自身の性的自由に危険が及ぶ可能性を認識していたが、取材を優先して、深夜や酒席であるかを問わず、C部長の呼 出しに応じるなどし、本件会社へ相談したり、被告人事課等に通告して対応を求めるなどの適切な対処をとらなかった。原告が適切な対処をしていれば、本件事件を回避し得た。 イ本 ず、C部長の呼 出しに応じるなどし、本件会社へ相談したり、被告人事課等に通告して対応を求めるなどの適切な対処をとらなかった。原告が適切な対処をしていれば、本件事件を回避し得た。 イ本件事件の際の対応 原告は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●ことをしなかった。 原告主張の取材の目的は、本件式典の際に参議院議長の取材の機会の確保を申し入れるというもので、電話や翌日でも可能なもので、上記呼出しに応じる必要性に乏しく、従前及び当日のC部長の言動から、原告 は、C部長の目的が取材に応じることにはなかったことを認識し得た。 - 20 -また、原告が●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●ことは、原告が事後的に振り返っているとおり、比較的容易であったといえ、これらの対応をとっていれば、本件事件を回避し得た。 前記⑴(被告の主張)アのとおり、本件事件の際、C部長は原告が黙 示的に同意していると誤解していたと考えられるところ、原告の従前のC部長との距離感及び上記の本件事件の際の対応に照らすと、C部長が誤解したことについては、原告にも責任の一端がある。 ウ本件事件後の損害拡大に関する過失 後記⑻(被告の主張)のとおり、被告は、前提事実⑺エの本件文書に より原告に謝罪し、原告は、これを受け入れ、本件事件に終止符を打つとの対応を示した。しかし、原告は、同オのとおり、新たな代理人を委任して、それまでの態度を翻し、被告との交渉を再開した。 また、原告は、本訴提起前、本訴で提出した多数の証拠を被告に提示しなかった。被告は、C部長が 、原告は、同オのとおり、新たな代理人を委任して、それまでの態度を翻し、被告との交渉を再開した。 また、原告は、本訴提起前、本訴で提出した多数の証拠を被告に提示しなかった。被告は、C部長が本件事件の発覚直後に自殺し、原告に直 接事情を聴取することもできなかったところ、本訴提起前に提示された証拠からは、本件性交についての原告の同意の有無を判断できなかったが、本訴提起後に提出した証拠も提示されていれば、その判断は異なった可能性もあった。 上記の原告の対応の変遷及びの一部証拠非開示が本件事件の解決 を長期化させたものであり、これにより拡大した損害については、原告にも過失がある。 (原告の主張)前記⑴(原告の主張)アのとおり、本件事件はC部長による故意の違法行為であり、被告は、故意責任を負うから、過失相殺を主張することはできな い。また、次のとおり、原告に考慮すべき過失はない。 - 21 -ア (被告の主張)ア及びイについて被告主張のC部長の従前のセクハラ行為及び本件事件は、いずれも原告に対する加害行為であり、被告の主張は、被害者である原告に回避義務を課して、その責任転嫁を図るものにすぎず、失当である。 また、本件事件の際、原告がとった行動は、記者として通常の行動の範 囲内であり、原告に過失はない。これを理由に過失相殺をすることは、取材の自由を侵害するものであり、許されない。 イ (被告の主張)ウについて後記⑻(原告の主張)のとおり、本件文書は謝罪を示したものとはいえず、原告が受け入れる余地のないものであった。 そもそも、被告は、本件事件について責任を認めておらず、本件事件の解決が長期化したことをもって、損害の拡大について原告に過失があると主張す ず、原告が受け入れる余地のないものであった。 そもそも、被告は、本件事件について責任を認めておらず、本件事件の解決が長期化したことをもって、損害の拡大について原告に過失があると主張することは、原告への責任転嫁を図るものにすぎず、失当である。 ⑹ 損害の範囲(争点⑥)(原告の主張) 原告は、本件事件により性的自由を侵害され、●●●●を発症した。さらに、前記⑶及び⑷の(原告の主張)記載の各違法行為により、人格的名誉を棄損され、心身の健康被害が拡大して、●●●●が深刻化、長期化し、次の各損害を受けた。 ア治療費等 301万4106円 原告は、本件事件により●●●●を発症し、別紙2記載のとおり通院し、別紙3記載のとおり、●●●●●●●費用68万1875円及び診断書等の文書料5万1220円を支出した。また、別紙4記載のとおり、通院交通費等として228万1011円を支出した。 イ転居費用等 174万5400円 転居費用 91万2000円 - 22 -原告は、本件事件により被った●●●●や、前記各報道を元にしたインターネット上の攻撃やつきまとい等から逃れ、心身の安全・安心を確保するため、勤務地である長崎を離れることを余儀なくされ、その後も、シェルターへの入退去を含め、5回に渡り転居した。その転居費用は75万円を下らない。また、転居の際のコンテナ使用料として16万20 00円を支出した。 シェルター入居費用 83万3400円原告は、上記のとおりシェルターへの入居を余儀なくされ、平成19年9月7日から平成20年1月11日まで127日間入居し、その後、体調が悪化したため、同年2月16日から平成21年1月16日まで3 36日間入居し、日額1800円、 居を余儀なくされ、平成19年9月7日から平成20年1月11日まで127日間入居し、その後、体調が悪化したため、同年2月16日から平成21年1月16日まで3 36日間入居し、日額1800円、合計83万3400円を支出した。 ウ休業等損害 3190万3088円 原告は、本件事件により記者として就労することができなくなり、平成20年5月19日から休業を余儀なくされ、平成21年10月1日に復職したものの、記者として就労不能な状態が続いた。 原告は、平成19年10月(翌月払のため同年9月分の給与。以下同じ。)以降も本件会社から基本給を受給しているが、従前記者として就業中に得ていた時間外、深夜、休日の割増賃金(以下「時間外等割増賃金」という。)を得ることができなくなった。 原告の平成19年4月ないし同年8月の基本給、超勤手当、深夜手当、 休日割増賃金、手取額は、別紙5記載のとおりであり、同年5月ないし8月は重大事件等が重なり特に繁忙であったが、通常の状態にあった同年4月においても、時間外労働時間は112時間に上っていた。 本件会社は、平成31年以降、記者について裁量みなし制を導入し、所属部署ごとのみなし時間を定め、時間外単価(基本給÷152時間× 1.25)にみなし時間を乗じた裁量手当と調整手当(配属部署及び記 - 23 -者の勤続年数に対応した役割等級により算定)を時間外等割増賃金に代えて支給している。 上記の実態に照らし、原告が記者として稼働していれば得られたであろう時間外等割増賃金は、上記の裁量みなし制下の裁量手当及び調整手当の額を下回ることはない。 そして、原告が所属していた政治部記者のみなし時間は55時間、同所属及び原告の役割等級Ⅳ等級に対応した調 増賃金は、上記の裁量みなし制下の裁量手当及び調整手当の額を下回ることはない。 そして、原告が所属していた政治部記者のみなし時間は55時間、同所属及び原告の役割等級Ⅳ等級に対応した調整手当は5万円であるから、別紙6記載のとおり、原告の平成19年10月から令和3年9月までの休業損害は、合計3190万3088円となる。 エ将来の逸失利益 2156万4044円 原告は、現在も記者として就労することができず、その状態は将来も継続すると考えられる。原告に生ずる将来の逸失利益は、その期間を10年間として、直近1年間の休業損害額252万8024円(上記ウの令和2年10月ないし令和3年9月分)に10年間のライプニッツ係数(3%)8.530を乗じた2156万4044円となる。 オ慰謝料 1000万円 原告が別紙2記載のとおり長期に渡り入通院した期間に相当する精神的苦痛に対する慰謝料は500万円を下らない。また、原告が著しく名誉を毀損され、職業人及び人間としての行動の自由を奪われたことによる精神的苦痛に対する慰謝料も500万円を下らない。 被告は、前記⑸(被告の主張)記載の諸事情を減額事由として考慮すべき旨主張するが、同(原告の主張)記載のとおり、減額事由として考慮すべきではない。 カ弁護士費用 655万円上記アないしオの1割相当。 (被告の主張) - 24 -下記イのほかは否認し争う。 ア ●●●●について 原告は、●●●●の症状が継続している旨主張し、症状固定していないことを前提とした主張をしているが、症状が残存するとした場合、本件事件から14年以上経過していることからすれば、既に症状固定した ことを前提に損害額を算定すべきである。 張し、症状固定していないことを前提とした主張をしているが、症状が残存するとした場合、本件事件から14年以上経過していることからすれば、既に症状固定した ことを前提に損害額を算定すべきである。 その症状固定時期は、原告において主張立証すべきものであるが、①原告が復職した平成21年10月頃、②主たる治療が●●●●●●●となった●●●●●頃、③原告が実質的な休職状態になった平成27年4月頃、④●●●●●を中止し症状の著しい改善が認められた●●●●● ●頃のいずれかと考えられる。 イ休業損害について 平成19年4月ないし同年8月の給与の支給額は認める。 原告の本件事件前の過剰な勤務状況は労働関係法規に違反し、これが原告の心身に影響を与えていた可能性も否定できず、同勤務状況を前提 として休業損害額を算定すべきではない。また、裁量みなし制の導入は平成31年以降というのであるから、それ以前の休業損害の算定根拠として考慮することはできない。 ウ慰謝料について前記⑸(被告の主張)記載の諸事情は、慰謝料算定の際、減額事由とし て考慮されるべきである。 ⑺ 名誉棄損の成否及び名誉回復措置の要否(争点⑦)(原告の主張)原告は、前記⑶及び⑷の(原告の主張)記載のとおり、被告職員が本件事件等について虚偽の風説を流布し、被告が二次被害防止義務を怠り、これを 放置したことにより、人格的名誉及び報道記者としての職業上の社会的名誉 - 25 -を棄損された。原告が名誉を回復するためには、請求2記載の謝罪広告等が必要不可欠である。 (被告の主張)否認し争う。 ⑻ 和解の成否(争点⑧) (被告の主張)次のとおり、原告と被告との間で、本件事件について黙示的に和解が成立 の謝罪広告等が必要不可欠である。 (被告の主張)否認し争う。 ⑻ 和解の成否(争点⑧) (被告の主張)次のとおり、原告と被告との間で、本件事件について黙示的に和解が成立した。 ア前提事実アないしウのように、原告は、本件事件について前代理人らに委任するとともに、本件会社に相談し、被告は、平成19年10月31日 以降、原告及び本件会社との間で、本件事件について協議を重ねていたところ、被告は、前提事実エのとおり、平成19年12月25日の協議の際、原告及び本件会社宛の謝罪文である本件文書等を交付した。 イこれに対して、本件会社は、同月26日又は27日、J人事部長が被告のM人事課長に電話で、上記謝罪文で本件を了とする(解決する)との回 答をし、原告は、平成20年1月頃、前代理人らとの委任契約を解消し、同年3月19日、長崎市を訪れ、O総務部長に対し、被告の対応についてお礼を述べ、その後中野弁護士が通知をするまで、長らく被告に対し何ら要求をしてこなかった。 ウ被告の本件文書の交付は、黙示の和解の申入れの意思表示に当たる。他 方、本件会社の回答は、黙示的に同申入れを承諾したものといえ、その後の原告の対応や、J人事部長が同年7月23日付けで、大変残念な事態だが、原告が東京の弁護士に解決を依頼した旨のファックスを送信したことからすると、原告も、本件会社と同様に、黙示的に被告の和解の申入れを承諾したといえる。 (原告の主張) - 26 -次のとおり、黙示の和解は成立していない。被告の主張は、責任回避目的で、和解の成立要件すら充足しておらず、失当である。 ア平成19年12月25日及び平成20年3月19日の時点では、原告は、二次被害が深刻化して治療の見通しが立てられない状況にあり は、責任回避目的で、和解の成立要件すら充足しておらず、失当である。 ア平成19年12月25日及び平成20年3月19日の時点では、原告は、二次被害が深刻化して治療の見通しが立てられない状況にあり、対象となる法律上の権利義務関係が未成熟であり、紛争性の特定を欠いていた。 イ本件文書は、謝罪文と評価できる内容ではなく、その交付をもって、被告が黙示的な和解の申入れをしたということはできず、原告は、謝罪文及び和解の申入れとは認識していなかった。 ウ他方、本件文書の交付と引換えに、深刻な被害を受けた原告が一切の損害賠償請求権を放棄することは著しく不均衡であり、互譲性を基礎付ける 合理性を欠く。 エ原告の黙示の意思表示について、被告が根拠として主張する本件会社の回答及び原告の発言をしたことはない。 本件会社は原告の代理人ではなく、その回答を原告の意思表明と捉えることはできず、原告は、本件文書について何ら回答をしていない。原告は、 当時、前代理人らに委任しており、本件事件について、合意書を作成せずに、黙示の意思表示をし、被告と和解を成立させることはあり得ない。 オまた、原告は、前代理人らとの委任関係を解消後、新たに委任した中野弁護士から、被害救済を求める旨通知したが、被告は、これに対し、和解成立済みである旨は主張せず、日弁連の人権救済手続においても、同主張 をしていないことからすると、両者の間で合意が成立していないことは明らかである。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実,証拠(甲95、原告本人のほか後掲各証拠)及び弁論の全趣旨に よれば,次の各事実が認められる。 - 27 -⑴ 長崎支局の体制等(甲77、78の1)ア原告は、●●●●●●●、本件会社に入社し、本社政 のほか後掲各証拠)及び弁論の全趣旨に よれば,次の各事実が認められる。 - 27 -⑴ 長崎支局の体制等(甲77、78の1)ア原告は、●●●●●●●、本件会社に入社し、本社政治部への配属を経て、●●●●●、長崎支局に配属された。その頃から本件事件頃にかけて長崎支局には、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●が配属されていた。 イ長崎支局では、本社編成局各部の指示の下、記者2名で取材、記事の作成を担当し、年次が上の記者が長崎県政、長崎市以外の各地方自治体、経済、国政選挙等を担当し、下の記者が長崎市政、県警、各種裁判等を担当し、平和記念式典の取材は共同して担当していた。原告は、配属当初、後者を担当していたが、平成19年5月、先輩記者が異動し、後輩のL記者 が配属されたことに伴い、担当業務を同記者に引き継ぎ、前者を担当するようになった。 ⑵ 本件事件前の経緯等ア原告は、長崎支局赴任後直ぐに、原爆被爆対策部長であったC部長と面識を持ち、その後、取材の際や、被告職員と記者との懇親会の際などにC 部長と顔を合わせる機会が度々あり、C部長が主催する懇親会に呼ばれることもあった。また、原告は、A市長とは企画部統計課長当時から取材を通じて面識を有し、E秘書課長やD会計管理者とも前任時から面識を有するなど、被告内に知己を広げていた。(甲83、84、86)イ原告は、平成19年5月、上記⑴イの引継ぎの際、仕事用の携帯電話を L記者に譲り、新しく仕事用の携帯電話を取得し、約700件の登録先に携帯番号が変わった旨を一斉に送信した。これに対して、C部長は「Xちゃんどうしたんですか?彼氏と別れたんですか?それなら彼氏に立候補しちゃう」などと返信した。 ウ C部長は 、約700件の登録先に携帯番号が変わった旨を一斉に送信した。これに対して、C部長は「Xちゃんどうしたんですか?彼氏と別れたんですか?それなら彼氏に立候補しちゃう」などと返信した。 ウ C部長は、平成19年5月23日深夜、原告に対して、「何それ、意味 分かんない。来週は俺と飲まないってことですか。勝手に行けよ。」、 - 28 -「X~今度の土曜、平和宣言文起草委員会の後にうちでどう?かみさん旅行でいないしさ。」、「質問です。最近キレイになりすぎですが?」などと、飲食や自宅に誘う旨のメールを送信した。 原告は、原爆被爆対策部平和推進室長であったQ(以下「Q室長」という。)や被告職員のR(以下「R」という。)に相談し、C部長に対し、 同月26日、メールで「部長からのメールを快く受け取れなかったので、当分やり取りを控えさせて下さい。」などと抗議し、同月31日、原爆被爆対策部で、直接、上記メールにつき抗議をした。これに対し、C部長は、同月26日、謝罪する旨のメールを送信し、同月31日、原告に謝り、原告は、上記メールを消去した。 (甲5の1、69、乙3)エ C部長は、同年6月6日夜、長崎県の職員と飲食していた際、原告に対し、同職員を紹介するとして、原告を呼び出し、原告は、飲食店を訪れたが、その際の、C部長らの揶揄するような様子を見て、すぐに同飲食店を出ようとした。(乙3) オ C部長は、同年7月3日、Q室長とともに、防衛大臣の発言を契機としたA市長の東京への日帰り出張に同行した。原告は、出張帰りのA市長を取材しようと長崎空港を訪れ、A市長が公用車で同空港を離れた後、帰庁するC部長運転車両にQ室長とともに同乗した。原告は、同日夕方、A市長の記者会見に出席し、その後、本件会社本社と連絡をとり情勢を確認 取材しようと長崎空港を訪れ、A市長が公用車で同空港を離れた後、帰庁するC部長運転車両にQ室長とともに同乗した。原告は、同日夕方、A市長の記者会見に出席し、その後、本件会社本社と連絡をとり情勢を確認す るなどしながら、その合間に、C部長主催の酒席に参加して、出張の様子を聞くなどした。(甲31、32、乙57)カ C部長は、同年7月10日、原告から情報提供を受け、「早速のFAXありがとうございました。いつも助けて頂き感謝しております。今日は江戸も雨です。いつかゆっくり飲みに行きましょうネ」とのメールを送信し た。(甲68、69) - 29 -⑶ 本件事件の際の経緯等(甲5の1、35、乙9の2のほか後掲各証拠)ア原告は、平成19年7月●●●●●●●●●●●、殺人被疑事件の取材のため捜査機関幹部の官舎へ夜回り取材に車で向かう途中、本社から電話で、本件選挙の結果、与党が敗北して戦後初の野党出身の参議院議長が選任される見通しであり、その場合、本件式典への参列が初公務となること を念頭において取材をするように指示され、本件式典の実情を説明し、本件式典直後に取材の機会を得ることができないか主催者に確認することとした。 イ原告は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●で降りる旨を告 げて、電話を切った。 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●で降りる旨を告 げて、電話を切った。 ウ原告は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●(甲76) - 30 -エ ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●(甲87) オ原告は、同月●●●●●●●●●●●、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●。(甲33、34、96)カ ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●。(甲19、20、101、乙57)キなお、本件事件の際の経緯等に関する原告の陳述書(甲95)及びこれに沿う原告の供述は、各摘示の客観的証拠と整合し、詳細かつ迫真性に富 むものであり、基本的に信用することができるが、予定していた夜回り取材先の官舎の位置と経路とが整合しない(甲76)など記憶の減退又は変容によると考えられる正確性に疑問がある部分もあり、また、本件事件直後のC部長との電話(甲35。概要は後記⑷アのとおり。)や前代理人ら作成の書面(甲5の1)と一部齟齬する部分もある。前者は、電話の際 の状況や有力な取材対象であるC部長との関係性に配慮し、徒にC部長を - 31 -刺激しないような表現にとどめたものとも考えられるが、その際の会話に現れた経緯の概要や心情については、本件事件直後の当事者間の会話であることから信用性が高く、後者は、後記⑷ないし⑹の経緯のとおり、本件事件から間もない時期に、C部長らの弁明内容も把握した上で、前代理人らが原告から聴視した事情に基づき作成されたものであるから信用性が高 く 用性が高く、後者は、後記⑷ないし⑹の経緯のとおり、本件事件から間もない時期に、C部長らの弁明内容も把握した上で、前代理人らが原告から聴視した事情に基づき作成されたものであるから信用性が高 く、これらと齟齬する部分については、採用することはできない。以上に加え、原告の上記陳述書等は、被害状況について詳細に陳述等するものであるが、本件性交が原告の意思に反することについては争いがないことに鑑み、争点の判断に必要な範囲で、詳細については捨象し、上記のとおり認定するにとどめた。 ⑷ 本件事件後、C部長の自殺に至るまでの経緯ア原告の動向等 原告は、本件事件の衝撃で、平常どおり稼働できず、不眠状態の中、平成19年7月28日夕方には長崎支局に出勤し、翌日の本件選挙に備え深夜まで稼働した。 C部長は、翌29日、原告に対し、午前8時12分に「毎日、猛暑の中の取材、お疲れ様です。今日も激務の一日になりそうですね。持ち前の鋭い取材能力で頑張って下さい。あらためて慰労会をやりましょう。」とのメールを、午後0時27分に「暑いでしょう今日はリポート、遅くならないようにネ応援してます」とのメールを送信した。 原告は、C部長のメールに絶望し、同日午後4時半頃、C部長に対して電話し、本件事件について確認し、問い詰めた。その際、原告は、従前の接し方に誤解されるようなところがあれば誤るが、どこに行くかも知らず、自分の身に何が起きたのかよく分からず、事後に普通に接してしまったことや、はねつけることができなかったが、本件性交は暴力で あること、やめて下さいと何度も言い、聞こえなかったはずはないこと - 32 -などを述べ、C部長は、不適切であり、申し訳ないと思う旨を述べ、原告がやめて下さいと言ってい 性交は暴力で あること、やめて下さいと何度も言い、聞こえなかったはずはないこと - 32 -などを述べ、C部長は、不適切であり、申し訳ないと思う旨を述べ、原告がやめて下さいと言っていたことは聞こえていたと認めつつ、原告に特別な感情を抱いていることや、自然発生的にそうなったものとして、大人の立場で理解したらいいなどと述べ、これを否定し、仕事の関係であったのに、仕事ができなくなる旨述べる原告に対し、これまで通り取 材に来るよう求め、変に避けると他社に発覚し不審がられるなどと述べ、原告は、市政担当はL記者に代わった旨を告げ、これ以上、C部長とは仕事ができず、二度と会わないので、連絡しないよう告げた。 (甲35,66、69、89) 原告は、同年8月1日頃、被告の広報課長であり男女共同参画センタ ーアマランス相談室(以下「アマランス」という。)室長であったSに、女性のDV被害の相談窓口を問い合わせ、事前予約の上、同月4日、匿名でアマランスに相談し、報道関係者であり市役所関係者から被害を受けたとして本件事件の概要を告げ、専門医や●●●●●●●の受診等を勧められた。(乙1、2)。 長崎支局は、本件選挙後、本件式典まで繁忙な時期にあったが、原告は、本件事件の影響で一部欠勤して、周囲から心配され、また、C部長の話題が出ると、恐怖に震撼することがあった。 原告は、同月9日、本件式典の際にC部長と会わなければならないと思い蒼白となったが、L記者らと手分けして、本件式典及びその後の関 連行事の取材をした。C部長は、同日午後0時22分、首相と被爆者団体が面会した際に、原告の様子を見て「ペンを食わえるな!!」とのメールを送信した。原告は、その後、報道陣の被爆者団体の囲み取材に加わり、L記者には被 た。C部長は、同日午後0時22分、首相と被爆者団体が面会した際に、原告の様子を見て「ペンを食わえるな!!」とのメールを送信した。原告は、その後、報道陣の被爆者団体の囲み取材に加わり、L記者には被告関係者を取材するよう指示した。その際、L記者は、自分ではC部長が喋ってくれないので原告が取材した方がよい旨述 べたが、原告は重ねて同指示をした。 - 33 -原告は、同日夜、長崎支局の打上げの際、虚脱した様子であり、長崎で仕事を続けることができないと思い、翌10日から同月20日まで休暇を予定していたL記者に、その後負担をかけることを案じ、体を大事にするように告げた。 (甲67、78の1、91) 原告は、同月10日、Rと食事をした。その際、Rは、原告の様子からC部長との間に問題が生じたことを察し、原告は、Rに本件事件について打ち明け相談した。 原告は、同月14日、上司であった本社の元政治部長にセクハラ被害の相談窓口を聞き、同月15日、窓口である本社総務局人事部次長に相 談した。また、同月17日、H弁護士に電話で相談した。 原告は、同月16日、知人の●●●●●●●に相談し、その紹介で、●●●●●、●●●●を受診し、●●●●●と診断され、●●●●●、●●●●●●●●●を受診し、●●●●と診断された。 原告は、同月20日、被告人事課に匿名で電話し、本件事件に触れず、 被告のセクハラに関する規定が外部女性への加害も対象となるか、該当する場合の懲戒処分の基準等について確認し、対応した職員は、M人事課長に確認の上で、同日及び翌日に回答した。 (甲2、5の1・3、37、乙3、4、43の3)原告は、●●●●●、夏季休暇を取得し、●●●内の実家に戻り、同 月24日、前代理 、M人事課長に確認の上で、同日及び翌日に回答した。 (甲2、5の1・3、37、乙3、4、43の3)原告は、●●●●●、夏季休暇を取得し、●●●内の実家に戻り、同 月24日、前代理人らに対し、本件事件について相談した。 原告は、休暇中に、仙台を訪れ、Tら本件会社の同期女性に本件事件について相談するなどしたが、心身の状態は改善しなかった。 原告は、同月31日、長崎に戻ることを諦め、本社人事部次長と相談して、同年9月は休職することとし、同月7日、シェルターに入居した。 原告は、同月4日、本社元政治部長に本件事件について相談し、同月 - 34 -5日、J人事部長から、本件事件について、本件会社としても対応をとり、被告に措置を求める旨の連絡を受けた。本社人事部は、長崎支局に原告が休職する旨は伝えていたが、その理由は伏せていた。 L記者は、同月以降も1人で取材等をすることになり、原告が就業していないことは被告を含む主な取材先や他の報道関係者の間にも広く知 れ渡り、次第に原告不在の理由をいぶかしむ声が大きくなっていった。 (甲5の1、77、78の1、81、96、100)C部長は、原告に対し、同年9月20日から同月21日にかけて、3回、連絡を求める旨のメールを送信し、4回、電話したが、原告は応答しなかった。(甲5の1、39) 原告は、同月28日、前代理人ら同席の上で、J人事部長らから本件事件について聴取を受け、対応を協議した。 原告は、●●●●●、●●●●●●●を受診し、●●●●と診断され、翌月以降も休職を継続し、以降、定期的に、●●●●●●へ通院し、また、●●●内で●●●●●●●を受けた。 (甲5の1・4、71、74、75、97、98の1)イ被告側の対応等 断され、翌月以降も休職を継続し、以降、定期的に、●●●●●●へ通院し、また、●●●内で●●●●●●●を受けた。 (甲5の1・4、71、74、75、97、98の1)イ被告側の対応等 D会計管理者は、平成19年9月末頃、被告市議会の事務局長からC部長と原告との関係についてP社の取材の動きがある旨の話を聞き、C部長にその旨を伝え、C部長から、本件事件について、原告運転車両で ●●●に行った旨を聞いた。(乙10、50、証人D) L記者は、同年10月15日、G社の記者から、原告がC部長からセクハラ被害を受けたとの情報を把握していること、直ちに報道するつもりはないが、原告の意思がはっきりすれば報道せざるを得ないと考えていること、被告内では、市長も人事部も知らず、限られた者のみが知っ ていることなどを聞き、その旨、K支局長には報告せず、直接、本社の - 35 -J人事部長に報告し、原告に連絡した。 K支局長は、同月18日から19日にかけて、本社に出張した際、原告の休職の事情を確認し、J人事部長から本件事件について聞いた。 原告は、同月22日、前代理人ら及び本件会社の女性弁護士に本件事件の詳細を説明した上、J人事部長も交えて、本件事件について告訴等 も視野に入れて対応を協議した。 L記者は、同月23日、P社の記者からも、G社の記者と同様の話を聞き、同月24日、その旨、原告に連絡し、その際、P社の記者はC部長をよく思っていない部長級の者から聞いたらしい旨や、最近のC部長の様子がおかしいことなどを伝えた。 (甲22、40、77、78の1、証人K、同L) A市長は、同月20日、原告に対して、「どうしてる? 休みを強制的にとらされたのは知ってるけど最近顔を見ないの ことなどを伝えた。 (甲22、40、77、78の1、証人K、同L) A市長は、同月20日、原告に対して、「どうしてる? 休みを強制的にとらされたのは知ってるけど最近顔を見ないので心配してます。」とのメールを送信した。 原告は、同月24日、A市長に対して電話し、C部長の依願退職を受 け付けないよう求めた。その際、A市長は、心当たりがないような口調であり、C部長との間で問題が生じたのか確認し、原告は、これを肯定したが、本件事件については伝えなかった。 (甲5の1、92、乙43の3)L記者は、同月30日、報道2社の記者から、被告幹部の間で本件事 件に関する情報が広がっている模様であり、合意があったとの認識のようであるが、合意の有無にかかわらず、被告の内部調査が入り、事実を認めた時点で記事にするつもりである旨を聞き、その旨、J人事部長に報告した。(甲78の1、証人L)報道2社の記者は、同日午後8時頃、市長公舎を訪れ、A市長に対し て、C部長のセクハラ事件に関する情報があり、放置するとC部長側か - 36 -ら都合のいいように捏造した情報が流れる可能性があるので、匿名及びC部長に確認した話の提供を条件に、情報提供したいとして、原告に対するセクハラ被害の情報を伝えた。 A市長は、E秘書課長に指示して、C部長を市長公舎に呼び出し、同日午後11時頃、C部長に事実関係を確認した。C部長は、本件事件に ついて、原告が警察への取材に行きたくない旨を述べ不安定な様子であったので、会うことになり、原告の運転で●●●に行き、話をした後、性的関係を持ったが、無理強いしたわけでも、暴力をふるったわけでもなく、合意の上であった旨を述べるとともに、辞意を表明し、A市長は、改めて総務部で調査し なり、原告の運転で●●●に行き、話をした後、性的関係を持ったが、無理強いしたわけでも、暴力をふるったわけでもなく、合意の上であった旨を述べるとともに、辞意を表明し、A市長は、改めて総務部で調査し、事実関係を確認する旨を告げた。 A市長は、上記面談後、その概要を上記各記者に伝えた。 (乙5、51、証人E、被告代表者本人)D会計管理者は、同日午後10時頃、C部長が呼出しを受けたことを知り、E秘書課長の留守番電話に連絡を求める旨の伝言を残し、同月31日午前8時30分頃、会計管理者室を訪れたE秘書課長に状況を聞い たが、E秘書課長は、同席しておらず内容を聞いていない旨答えた。その直後、同室に来たC部長が、E秘書課長に、A市政の足を引っ張ることになり、市長に謝っておいて欲しい旨を述べたところ、D会計管理者は、「やっぱりあの件か。受けて立つしかなかやろう。あの女は俺のとこに来たとぞ。Cと関係ば持ったと言うて、俺も誘われたとぞ。何で俺 が、Cとした女とせんばとかって言うたとさ。」などと述べた。 C部長は、同日午前8時40分頃、E秘書課長と打合せ中のA市長に対し、上記同旨の謝罪をして、辞表を提出したが、A市長は、辞表を保留とし、総務部長に指示して調査をする旨を告げ、E秘書課長は、同人と連絡が取れるようにするよう伝えた。C部長は、その直後、D会計管 理者に対し、辞表を提出し、保留となった旨を伝えた。 - 37 -(乙6、10)E秘書課長は、同日昼頃、長崎支局を訪れ、K支局長と面談し、本件事件について協議し、その際、原告運転車両で●●●に行った旨を告げ、K支局長は、面談後、その旨、本社に報告した。 K支局長は、J人事部長の指示を受けて、L記者とともに、被告庁舎 を訪れ、同日午後4時頃 協議し、その際、原告運転車両で●●●に行った旨を告げ、K支局長は、面談後、その旨、本社に報告した。 K支局長は、J人事部長の指示を受けて、L記者とともに、被告庁舎 を訪れ、同日午後4時頃、A市長及びE秘書課長と面談し、本件会社の認識、意向として、J人事部長作成の書面に基づき、本件事件は強姦事件であること、原告は●●●●と診断され治療中であり、極めて深刻な状態にあり、回復に相当な時間を要する見込みであること、本人の回復を待って加害者に対する法的措置等をとることを検討していること、本 件事件が表面化した場合の二次被害への配慮が必要であり、被告に対し秘密保持の徹底などの配慮を求めることなどを伝えた。A市長及びE秘書課長は、被告としても二次被害への配慮が必要であると認識している旨を伝えるとともに、報道2社の動きについて、K支局長らと情報を共有し、二次被害防止のため、本件会社から報道2社に申入れすることを 提案し、K支局長は本社に伝える旨を述べた。 報道2社の記者は、同日午後5時半頃、L記者に電話し、本件事件について、長崎支局への取材を申し入れ、その際、被告において内部調査が行われること、C部長に直当たりし、C部長は、大筋で認めているが、無理やりではないと述べていること、P社は同日夜の、G社は翌日朝の 報道を予定していることなどを伝え、本件会社は、同日午後7時以降、本社総務局において、これに対応した。 原告は、同日夜、J人事部長やL記者と電話し、上記経過等について聞いた。 (甲4の1、23、77、78の1~3、乙6、51、54、証人E、 同K、同L) - 38 -E秘書課長は、同日午後6時20分頃、C部長に電話し、取材対応中とのことで、同日午後6時45分頃に折り返したC部長に対し、上 、乙6、51、54、証人E、 同K、同L) - 38 -E秘書課長は、同日午後6時20分頃、C部長に電話し、取材対応中とのことで、同日午後6時45分頃に折り返したC部長に対し、上記本件会社との協議内容と報道される可能性が高い旨を伝えた。C部長は、上記と同様の弁明をするとともに、「新聞に出たら、俺は終わりばい。」などと述べ、E秘書課長は、翌日以降人事課で行う調査の日時場 所が決まったら連絡する旨を伝えた。(乙6)C部長は、同日午後8時15分から午後10頃までの間、D会計管理者と居酒屋で飲食し、その際、「こんげんひどか女て思わんやったばい。 こんげんことで命落とすて思わんかったばい。」などと述べた。 D会計管理者は、飲食後、C部長を自宅まで送り届けたが、C部長は、 その後、登山道付近で自殺し、翌日午前1時50分頃、遺体が発見された。 (乙6、8、10、50)⑸ C部長の自殺後、週刊誌報道頃までの経緯ア Gは、平成19年11月1日、「●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●」との見出しで、本件事件に関する記事を掲載し、被告が内部調査に着手したことやC部長の弁明の概要等を報じた。また、G社は、同日朝、C部長の自殺について、インターネット上の速報記事を出し、原告も、これを確認した。同日午前、長崎支局に報道各社から問合せが殺到し、本社において対応した。(甲78の1、乙7) イ A市長は、同日午後1時頃、臨時記者会見を開き、本件事件について、質疑応答し、本件事件について把握した経緯や、C部長の弁明内容、本件会社から聞いた原告側の認識、事実関係を調査する予定であったが、C部長が自殺したことを受けて対応を検討中であることなどを説明した。 新聞各紙は、同月2日、「●●●●●● 、C部長の弁明内容、本件会社から聞いた原告側の認識、事実関係を調査する予定であったが、C部長が自殺したことを受けて対応を検討中であることなどを説明した。 新聞各紙は、同月2日、「●●●●●●●●」、「●●●●●●●●● ●●●●●」などの見出しで、上記記者会見等を踏まえ、女性記者にわい - 39 -せつ行為をした疑惑で調査中の被告の部長が自殺したことなどを内容とする記事を掲載した。 (甲3の4・5、41、44~48、乙8)ウ同月1日、C部長の通夜が行われ、同月2日午後1時頃から、C部長の告別式(本件葬儀)が行われた。 原告は、C部長の自殺直前の状況等を確認しようとして、同日、D会計管理者に電話した。D会計管理者は、式の最中のため、電話に出なかったが、E秘書課長に、携帯電話の着信画面を示して、「こういう女ぞ」などと述べた。 原告は、同日午後2時頃、E秘書課長に電話し、E秘書課長は、出棺中 である旨を告げて、同日午後3時頃、折り返した。その際、原告は、C部長には自殺をせず謝罪して欲しかった旨を述べ、E秘書課長から、C部長の弁明や、D会計管理者が原告からC部長と関係を持ったと聞いたと言っていた旨を聞いて、これを否定し、本件事件の際、原告運転車両で●●●に行き、暴力は振るわれていないが、何度もやめるように言い拒否してい た旨を述べた。 Rは、同日深夜、原告に電話し、C部長の本件葬儀等に出席していないが、D会計管理者が、通夜の際に、C部長の家族や親戚らの前で、C部長の弁明や原告と複数回関係を持った旨を話していたと聞いた旨を伝えた。 E秘書課長は、同月3日、原告と電話し、D会計管理者が上記前日同様 の話をしていた旨や、その話を複数人にしていた旨、自身も誘われたと言っていた旨 持った旨を話していたと聞いた旨を伝えた。 E秘書課長は、同月3日、原告と電話し、D会計管理者が上記前日同様 の話をしていた旨や、その話を複数人にしていた旨、自身も誘われたと言っていた旨などを述べ、原告は、これを否定し、D会計管理者に確認するよう求めた。 (甲24、25、49、乙6)エ被告は、前提事実⑺ウのとおり、同月8日、E秘書課長、M人事課長及 び被告人事係長が本社を訪れ、本件会社及び原告代理人のH弁護士と、本 - 40 -件事件について協議した。その際、原告側は、原告から聴取した本件事件の経緯等を記載した本件会社作成の報告書及び抗議文を交付して、原告側の認識を伝え、被告側から生前に聴取したC部長の弁明等について報告を受けた後、刑事告訴、損害賠償請求等も視野に入れて方針を検討中であるが、原告としては、被告が責任を認めて謝罪することを望んでいる旨を伝 え、被告に対し、情報漏洩に注意して、対応、回答することを求めた。 (甲4の2・3、50、乙9)オ D会計管理者は、同月上旬、「●●●●●」及び「●●●●●」を兼任する記者から取材を受け、C部長の弁明に沿う内容の話などをした。また、「●●●●」の記者からも取材の申込みを受けたが、断った。 D会計管理者は、同月9日、被告人事課係長らから、本件事件について事情聴取を受け、原告から、同年7月27日の人事異動の内示日より前の日に、C部長と関係を持ったと聞いたことなどを話した。 被告は、上記事情聴取の際、D会計管理者が週刊誌記者の取材を受けたことを認識したが、直ぐには注意をせず、週刊誌掲載後の同月下旬頃、O 総務部長から、今後、取材に応じないよう注意をした。 (乙10、50、証人D)カ本件事件及びC部長の自殺について、同月22日、 したが、直ぐには注意をせず、週刊誌掲載後の同月下旬頃、O 総務部長から、今後、取材に応じないよう注意をした。 (乙10、50、証人D)カ本件事件及びC部長の自殺について、同月22日、前提事実⑸オ及びのとおり、「●●●●●」及び「●●●●」の記事が掲載され、●●●●●●●、同のとおり、「●●●●●」の記事が掲載された。 上記各記事には、事実経過、C部長の弁明に関係する取材源として、「●●●●●」については、「●●●●●●●●●●●」、「●●●●●●」、「●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●」が、「●●●●●」については、「●●●●●」が記載されているが、「●●●●」については、被告関係者であることを窺わせる取材源の記載はない。 (甲3、乙13、14、17) - 41 -⑹ 被告の調査報告及び報告後の経緯等ア被告は、上記⑸エの協議を踏まえ、関係職員に事情を聴取するなどして、報告書を作成することとし、平成19年11月14日、E秘書課長からH弁護士に、その旨連絡するとともに、謝罪を求める意思に変わりないか確認した。 H弁護士は、同月20日のM人事部長からの電話に被告の事実確認への消極的姿勢を感じ、同月28日、原告及び前代理人らで打合せの上、同月29日、被告に原告が相談した被告職員等の情報を提供した。 前代理人らは、上記打合せの際、原告の精神状態から民事訴訟の提起が困難な状態と考えられることも踏まえ、原告の気持ちの整理のため、原告 が信頼を寄せているA市長と意見交換する機会を設けることを提案した。 原告は、●●●●●●●、●●●●●●●において●●●●との診断書を取得し、前代理人らは、同月8日付けで本件事件前後の経緯を整理した書面を作成した。原告は、同日、 機会を設けることを提案した。 原告は、●●●●●●●、●●●●●●●において●●●●との診断書を取得し、前代理人らは、同月8日付けで本件事件前後の経緯を整理した書面を作成した。原告は、同日、前代理人らと、A市長と非公式に面会し、同書面や上記診断書等を基に本件事件の経緯や原告の状況等を説明し、二 次被害の防止を求めた。 (甲5、乙11、16、53、被告代表者本人)イ被告は、総務部人事課において、同年11月4日から同年12月11日までの間に、本件事件に関して、A市長、E秘書課長、D会計管理者及び原告が相談した職員4名から事情聴取するなどして調査した結果をまとめ た同月13日付けの本件報告書を作成し、A市長は、本件事件の発生に関して問題があったと考え、遺憾に思うとともにお詫びする旨などを記載した同月25日付けの本件文書等を作成した。 被告は、同日、O総務部長及びM人事課長が、前代理人ら及びJ人事部長に対し、本件報告書及び本件文書等を交付して、その趣旨を説明した。 その際、H弁護士から、本件文書のお詫びの文言について、前提として合 - 42 -意の有無の認識を問われ、O総務部長は、その点について判断を示すものではなく、合意の有無に関わらず、本件事件の発生自体不適切であり、お詫びする趣旨である旨を説明し、J人事部長は、お詫びの文言があることに一定の理解を示した。 A市長は、同月26日、原告に対し、本来の原告とまた会える日を楽し みにしている旨のメールを送信した。 (甲2、93、乙18、証人M)ウ原告は、平成20年1月24日頃、前代理人らとの委任契約につき、実費精算し、その後、同契約を解消した。 原告は、被告がセクハラ防止の研修を行うことを知り、関係先への離任 の挨拶を兼ね ウ原告は、平成20年1月24日頃、前代理人らとの委任契約につき、実費精算し、その後、同契約を解消した。 原告は、被告がセクハラ防止の研修を行うことを知り、関係先への離任 の挨拶を兼ねて、同年3月17日、長崎市を訪れ、同月19日、同研修の際、O総務部長と会い、被告が一定の対応をしていることについてお礼を述べた。 (甲5の5、75、乙19、56)エ原告は、同年4月頃、本件事件について、中野弁護士に委任し、中野弁 護士は、被告に対し、同年7月15日付けで、本件事件及びその後の二次被害について苦情を申し立てるとともに、調査を実施の上、被害救済を求める旨、そのための協議を申し入れる旨を通知した。J人事部長は、これを知り、同月23日、M人事課長に対し、残念な事態だが、原告が弁護士に解決を依頼した旨の連絡をした。 被告は、同月31日、上記通知に対し、協議に応じる旨回答し、O総務部長及びM人事課長が、中野弁護士の事務所を訪れ、原告らと協議したが、本件文書により解決済みである旨の主張はしなかった。中野弁護士は、同協議の際、第三者委員会を設置し調査を行うことを提案し、M人事課長は、同年9月4日、中野弁護士に対し、予算措置を伴うため、被告市議会等へ の説明が必要であり、調査結果の公表が想定される旨を伝えた。 - 43 -原告は、同年10月7日、中野弁護士とともに、O総務部長及びM人事課長と協議し、その際、本件文書につき、前代理人らからは謝罪を得られたことを喜ぶべきと言われたが、問題の所在が不明なまま謝っているという疑念が消えず、本件事件が解決したとは思っていない旨を述べ、O総務部長は、被告としても解決したとは認識していない旨を述べた。 (甲103、乙19~21、23~25)オ中野弁 いるという疑念が消えず、本件事件が解決したとは思っていない旨を述べ、O総務部長は、被告としても解決したとは認識していない旨を述べた。 (甲103、乙19~21、23~25)オ中野弁護士は、被告に対し、O総務部長宛ての同月27日付け及び同年11月21日付け書面により、日弁連に対する人権救済申立てをし、被告にその協力と、同申立ての結果を尊重して具体的措置を講じることを提案するとともに、勧告後の措置の実現に向けて被告と意見調整を図ることを 求める旨を通知し、被告は、同月10日付け書面及び同年12月付け書面により、人権救済申立てに了解し、その審査及び結果について可能な限り対応する旨、勧告がされた場合の意見調整に了解する旨の回答をした。 原告は、前提事実⑺カのとおり、平成21年3月6日、本件事件及びその後の二次的被害について、人権救済申立てをし、日弁連は、平成26年 2月5日、本件勧告をした。 (甲1、乙26~32)カ被告は、本件勧告を受け、同年9月9日、日弁連に対し、再発防止策等の実施について、セクハラ防止等のための職員研修の拡充、外部有識者による相談窓口、調査委員会の設置をしたほか、職員を対象としたアンケー ト調査結果を踏まえ、一層の再発防止策等に努める旨を回答するとともに、原告の意向等確認について、協議日時の調整中である旨を回答した。 原告は、中野弁護士を通じて、被告に対し、平成27年12月22日、本件勧告の履行について協議を求め、平成29年3月31日、本件勧告を踏まえた要望書を送付し、両者の間で協議がされたが、被告は、同年8月 22日、原告に対し、本件勧告の事実認定の手法及びその結果に疑義があ - 44 -り、本件勧告の全面的受入れはできない旨の回答をした。 原告は、 で協議がされたが、被告は、同年8月 22日、原告に対し、本件勧告の事実認定の手法及びその結果に疑義があ - 44 -り、本件勧告の全面的受入れはできない旨の回答をした。 原告は、その後、被告に対し、再度、本件勧告の履行を求めて要望し、被告から、原告の請求放棄を含む和解案を提示するなど、両者の間で、本件事件及びその後の被告の対応について、和解を含めた協議がされたが、合意するには至らなかった。 (乙33~49)⑺ 原告の症状、就業状況等(甲5の3・4、71~75、81、97、98、102、103、107)ア原告は、●●●●●●●●●●、●●●●●●●●●を受診し、●●●●と診断され、本件事件以降、●●●●●、●●●●、●●●●●●●● 等の症状が持続し、次第に●●●●、●●●●、●●●●、●●●●●等が増強し、記者として就業することが不能な状態であり、長期的な●●●●及び●●●●が必要と診断された。 イ原告は、●●●●●、夏季休暇を取得して、実家に戻り、同年9月以降、休職し、同月7日からシェルターに入所した。 原告は、●●●●●、●●●●●●●●●の紹介で、●●●●●●●を受診し、●●●●と診断され、以降、●●●●●●の医師を主治医として、別紙2記載のとおり、●●●●●●●を受診し、また、別紙3記載のとおり、●●●●●●●を受診している。 ウ原告は、●●●●●●●受診当初は、●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●となった。 原告は、主治医により、●●●●●●●には、●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●となった。 原告は、主治医により、●●●●●●●には、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●旨診断され、●●● - 45 -●●●●●●●には、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●と診断された。 エ原告は、平成21年1月16日、シェルターを退所し、●●●●●●には、主治医により、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●と診断された。 原告は、同日付けで、本社に復職し、その頃、●●●内から●●●内へ転居したが、事情を一から説明することが難しいことから、その後も、●●●●●●●への通院を継続し、●●●●●●において、●●●●●●●も受診するようになった。 オ原告は、本社の内勤として復職したが、週2、3回程度の出勤が続き、 出勤時間が午後になることも多く、出勤後、医務室等で休憩をとることもたびたびあった。 原告は、●●●●●●●●●、主治医により、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●との 診断をされた。 カ原告は、同年5月頃には復職し、同年6月22日の面談の際には、アメリカ留学の一次審査に通ったため、休職したい旨を述べ、同年9月中旬頃からしばらく、毎日勤務するようになったが、平成25年4月には、無断欠勤が続くなど安定せず、平成27年4月以降、再度、休職状態となった。 キ原 ったため、休職したい旨を述べ、同年9月中旬頃からしばらく、毎日勤務するようになったが、平成25年4月には、無断欠勤が続くなど安定せず、平成27年4月以降、再度、休職状態となった。 キ原告は、●●●●●●頃から、●●●が減り、●●●●●●●を中心とする治療に移行し、目に見えて体調が改善した。 主治医は、長崎労働基準監督署長の原告の症状等の照会に対し、令和元年11月25日付けで、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● - 46 -●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●旨を回答した。 クまた、主治医は、令和3年7月14日付け意見書において、●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●を述べている。 2 損害賠償請求について ⑴ 本件事件についての責任原因の有無(争点⑴)についてア本件事件の違法性、C部長の故意について 本件性交について原告が同意していなかったことは争いがなく、本件性交は原告の性的自由を侵害するものであるから、違法であると認められる。 また、C部長は、前記認定事実⑶エのとおり、原告がやめるよう繰り返し訴 ていなかったことは争いがなく、本件性交は原告の性的自由を侵害するものであるから、違法であると認められる。 また、C部長は、前記認定事実⑶エのとおり、原告がやめるよう繰り返し訴え、拒絶し続けていたにもかかわらず、本件性交に及んだこと、同⑷アのとおり、本件事件直後の原告との電話の際、原告がやめるよう述べていたことは聞こえていたことを認めた上で、本件事件が表沙汰にならないように原告に働きかけていることからすれば、原告が同意し ていなかったことを認識していたものと認められ、本件事件は故意による違法行為であると認められる。 この点、被告は、前記第2の3⑴(被告の主張)アのとおり、C部長が原告が黙示的に同意していると誤解していた旨主張する。 しかし、本件事件前の原告の行動については、前記認定事実⑵のとお り、取材の一環又は取材対象であるC部長との関係を良好に維持するた - 47 -めのものにすぎず、C部長のいう特別の感情に基づくものと考えられる誘いのメールに対しては、これを拒否していること、本件事件の際に原告運転車両により●●●に行ったことについては、前記認定事実⑶の経過によれば、C部長は、原告が本件式典の際の取材への協力を求めて連絡してきたことを奇貨として、これに協力するかのような態度を示しつ つ、拒否し難い立場にある原告に対し、執拗に指示して●●●に入ったものであって、C部長が、そのような関係性に乗じて執拗に指示した結果にすぎず、その後も取材のための話を聞き出そうとする原告に対して、その抵抗を排して本件性交に及んだことも併せれば、同意していると誤解するような事情ということはできない。 以上のとおり、C部長が原告が黙示的に同意していると誤解していたとは認め その抵抗を排して本件性交に及んだことも併せれば、同意していると誤解するような事情ということはできない。 以上のとおり、C部長が原告が黙示的に同意していると誤解していたとは認められず、被告の主張は採用できない。 イ職務関連性について 前提事実⑴ウ、⑵アのとおり、C部長は、原爆被爆対策部長として、本件式典を取り仕切る立場にあり、その職務には、本件式典に関係する 取材対応又はその窓口となることも含まれていたと認められる。(乙8)そして、前記認定事実⑶のとおり、原告が本件式典の際の参議院議長の取材への協力を求めるためにC部長に電話し、C部長は、これに協力するかのような態度を示して、原告に会うことを求め、その際に本件性交に及んだのであるから、外形的には、本件式典に関係する取材への協 力というC部長の職務に関連する行為に際して、本件性交に及んだものといえ、本件事件は職務関連性を有するものと認められる。 この点、被告は、前記第2の3⑴(被告の主張)イのとおり、職務関連性がない旨主張する。 しかし、前記認定事実⑶のとおり、本件事件は、原告が本件式典の際 の参議院議長の取材への協力を求めてC部長に電話し、C部長が会おう - 48 -としたことを端緒とするものであり、原爆被爆対策部長に参列者への取材の機会を確保する権限がなかったとの点については、同イのとおり、C部長が参列者側と調整することを示唆する言動をしていることからして、参列者側に問い合わせるなどして取材の可否を確認することも、原爆被爆対策部長の職務権限に含まれていたか、そうでないとしても、そ の外形を有していたと認められるから、上記権限の有無は、職務関連性の有無に影響しない。また、深夜の時間帯で を確認することも、原爆被爆対策部長の職務権限に含まれていたか、そうでないとしても、そ の外形を有していたと認められるから、上記権限の有無は、職務関連性の有無に影響しない。また、深夜の時間帯であったことは、記者の取材活動が深夜に及ぶことがあり得ることは、前記認定の経過からも明らかであるから、職務関連性を否定する事情とはいえず、被告の主張は採用できない。 ウ権利侵害そして、上記アのとおり、本件性交は原告の権利を侵害するものといえるから、被告には、本件事件について国賠法1条1項に基づく責任原因があると認められる。 ⑵ 本件事件発生防止義務懈怠についての責任原因の有無(争点②)について 原告は、前記第2の3⑵(原告の主張)のとおり、被告が、本件条例の制定者として、職員が一般市民を含む女性に対してセクハラを起こさないよう周知徹底し防止すべき義務を負う旨主張し、一般論として、被告が同義務を負うことは争いがない。 もっとも、男女共同参画法は、男女共同参画社会の形成に関する基本理念 を定め、国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、施策の基本事項を定めることにより、男女共同参画社会の形成を推進することを目的としたものであり(1条)、これを受けて制定された本件条例の関係規定も、被告ないしその機関である市長に対し、一般的義務として適切な処理をすべきこと(11条1項)などを規定したものであり、これにより、直ちに不法行 為法上の注意義務を形成するものとはいえない。 - 49 -そして、被告は、本件事件当時、セクハラ防止等のための職員研修を行い、市内部の相談員等による相談体制等を整備するなど、職員によるセクハラの防止について一定の措置を講じていたことが認められる(乙35 そして、被告は、本件事件当時、セクハラ防止等のための職員研修を行い、市内部の相談員等による相談体制等を整備するなど、職員によるセクハラの防止について一定の措置を講じていたことが認められる(乙35、41、弁論の全趣旨)ところ、本件事件の発生前に、C部長と原告との間に、その発生を予見し得るような具体的事情が存在し、これを被告が認識し得たことを 認めるに足りる証拠はないから、被告が、上記の措置を超えて、本件事件の発生を防止するために具体的措置を講ずべき、不法行為法上の注意義務を負っていたとは認められない。 この点、原告は、当時、長崎県内外において女性記者に対する性的暴行事件(甲18等)が問題となっていた旨指摘するが、女性記者に対する一般的 状況を指摘するにとどまり、本件事件発生を予見し得る具体的事情ということはできないから、被告の講じていた上記措置で施策として十分であったか否かはさておき、不法行為法上の注意義務を基礎付けるものとはいえず、上記判断を左右するものとはいえない。 したがって、原告の主張を採用することはできず、この点について、被告 に国賠法1条1項の責任原因があるとは認められない。 ⑶ 虚偽の風説の流布についての責任原因の有無(争点③)についてア虚偽の風説の流布について 前記認定事実⑷のとおり、C部長は、平成19年9月末頃、D会計管理者に対し、本件事件について、原告運転車両で●●●に行った旨を話 したこと(同⑷イ)、同年10月30日午後11時頃、A市長に対し、本件事件について、上記事情等から、合意の上であった旨の弁明をしたこと(同)が認められる。 また、同⑷、⑸のとおり、D会計管理者は、C部長から上記のとおり本件事件について聞き、同月31日午前8時30分 、上記事情等から、合意の上であった旨の弁明をしたこと(同)が認められる。 また、同⑷、⑸のとおり、D会計管理者は、C部長から上記のとおり本件事件について聞き、同月31日午前8時30分頃、C部長及びE秘 書課長に対し、原告がC部長と関係を持ったと言ってきた旨、自身も誘 - 50 -われた旨を話したこと(同⑷イ)、同年11月1日及び2日の本件葬儀等の際に、C部長の弁明やC部長と原告が複数回関係を持った旨を話したこと(同⑸ウ)、同月上旬、週刊誌記者に対し、C部長の上記弁明に沿う話をしたこと(同オ)が認められる。 C部長の上記弁明は、原告運転車両で●●●に行ったとの点は事実を 話したものであるが、前記⑴のとおり、本件事件の経過に照らし、原告が同意していなかったことを認識していたと認められるから、合意の上であったとの点は、虚偽の弁明であったと認められる。 また、D会計管理者は、上記及びその基となる前記各認定事実の経過に照らし、平成19年9月末頃、C部長から話を聞いた際に、合意の 上であった旨も聞き、その後も、自殺するまで、随時、連絡を取り合っており、情報を共有していたものと認められる。そして、合意の上との点については、D会計管理者が、これが虚偽であると認識していたと認めるに足りる証拠はないから、主観的には事実と認識していたとしても不自然ではないが、原告がC部長と関係を持ったと話したとの点は、そ の後に本件事件より前に聞いたと話していること(前記認定事実⑸オ)から、虚偽であることが明らかであり、自身も誘われたとの点も、上記虚偽の話と同時にした話であり、他にその形跡がないことから、虚偽であると認められ、本件葬儀等の際に話した複数回関係を持ったとの点も、他にその形跡がないことから かであり、自身も誘われたとの点も、上記虚偽の話と同時にした話であり、他にその形跡がないことから、虚偽であると認められ、本件葬儀等の際に話した複数回関係を持ったとの点も、他にその形跡がないことから、虚偽であると認められる。 原告は、前記第2の3⑶(原告の主張)アのとおり、C部長らが、同年8月頃以降、本件事件について、隠蔽、責任回避を図るため、虚偽の事実を付加して広めた旨主張するが、上記より前の時期にC部長らが虚偽の情報を広めたことを認めるに足りる証拠はない。 この点、前記認定事実⑷イの経過から、C部長は、報道2社の記者が 同年10月30日にA市長を訪れた後、同月31日には各記者の取材を - 51 -受け、上記同様の弁明をしたことが認められるが、C部長は、本件事件につき報道されることをおそれていたのであり、それより前に本件事件について話を広めたことを認めるに足りる的確な証拠はない。 また、D会計管理者が、同年9月末頃、C部長に本件事件について聞いたのは、取材の動きがある旨の話を聞いたことを契機としたものであ り(前提事実⑷イ)、L記者も、同年10月15日、G社の記者から情報を聞いているが(同)、その内容は定かではなく、原告が同年9月以降も休職していたことは関係者に周知の状態となり(同ア)、本件事件前、C部長の原告に対する対応が他の記者と差異があったことが窺われ(同)、本件事件以降、原告にC部長に対する拒否的反応がみ られ(同)、C部長が同月20日に原告に連絡をとろうとし(同)、同年10月下旬頃には様子がおかしい状態であったこと(同イ)などの諸事情からすれば、原告の休職が、C部長との間に問題が生じたことによるものと推測して当たりをつけ、取材を始めたとしても不自 同)、同年10月下旬頃には様子がおかしい状態であったこと(同イ)などの諸事情からすれば、原告の休職が、C部長との間に問題が生じたことによるものと推測して当たりをつけ、取材を始めたとしても不自然とはいえず、上記取材の動きがC部長らが責任回避のため虚偽の事実を広め たことを基礎付けるものとはいえない。 また、原告は、前記第2の3⑶(原告の主張)アのとおり、E秘書課長が、週刊誌記者に虚偽の情報を提供した旨主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。原告は、その根拠として、「●●●●●」の記事(甲3の2、乙13)中の「●●●●●●」はD会計管理者を指し、 「●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●」はE秘書課長を指す旨主張するが、D会計管理者も後者に該当し、後者がE秘書課長の取材を基にしたものであると特定するに足りる証拠はないから、採用することはできない。 イ職務関連性、権利侵害について 上記アのとおり、C部長は虚偽の弁明をしたところ、本件事件は、前 - 52 -記⑴のとおり、外形上、C部長の職務に関連するものということができるが、取材に協力するように装って本件性交に及んだというものであって、職務には該当せず、C部長が、D会計管理者や取材記者に、その弁明内容を伝えたことは、私的行為としてしたものといえ、取材の時点では、その内容に照らし、職務に該当しないことが明らかであるから、職 務関連性を有するとは認められない。 他方、A市長から聴取された際の弁明は、被告の職員として弁明したものといえるが、同弁明は、内部調査に対してしたものであり、原告に対して向けられたものではないから、原告に対する権利侵害行為に当たるということはできない。 また、上記アのと したものといえるが、同弁明は、内部調査に対してしたものであり、原告に対して向けられたものではないから、原告に対する権利侵害行為に当たるということはできない。 また、上記アのとおり、D会計管理者は、本件事件に関連して、虚偽の事実を広めたものであるが、その職務上、本件事件について対応すべき立場にあるとは認められない。前記認定事実⑷イのとおり、A市長は、平成19年10月30日に本件事件について認識した後、総務部人事課において調査することとし、E秘書課長にもこれに関与させることとし たものであり、本件事件への対応は、D会計管理者の職務に属さず、その外形を有するとも認められない。 したがって、D会計管理者が、本件事件に関連して、虚偽の話を広めたことは、私的行為としてしたものであり、職務関連性を有するとは認められない。 ウしたがって、虚偽の風説の流布について、被告に国賠法1条1項の責任原因があるとは認められない。 ⑷ 二次被害防止義務懈怠についての責任原因の有無(争点④)についてア原告は、前記第2の3⑷(原告の主張)のとおり、被告が二次被害を防止すべき義務に違反した旨主張するところ、その内容は、①C部長ら及び 被告職員に対し、本件事件に関連して、C部長の弁明に沿った情報等を拡 - 53 -散しないよう注意指導すべき義務(上記(原告の主張)ア~エ)、②本件事件について、その原因を究明すべき義務(同イ)、③C部長の自殺を防止すべき義務(同イ)、④週刊誌に虚偽の情報が掲載されることを防止すべき義務(同エ)の各違反、⑤D会計管理者を処分して公表すべきこと及びC部長に退職金を支給して公表したこと(同オ)、⑥本件勧告に従い謝 罪及び再発防止措置を講ずべき義務の違反に大別される 防止すべき義務(同エ)の各違反、⑤D会計管理者を処分して公表すべきこと及びC部長に退職金を支給して公表したこと(同オ)、⑥本件勧告に従い謝 罪及び再発防止措置を講ずべき義務の違反に大別される。 そのうち上記①については、イの限度で理由があり、被告には、二次被害防止義務違反について、国賠法1条1項の責任原因があると認められるが、その余については、原告の主張を採用することはできない。その理由は以下のとおりである。 イ原因究明、情報を拡散しないよう注意指導すべき義務について 原告は、二次被害防止義務の根拠として、被告が本件事件につき責任を負う立場にあること及び男女共同参画法を受けて本件条例等を制定していることを主張するところ、男女共同参画法及びこれを受けて制定された本件条例が直ちに不法行為法上の注意義務の根拠となるものではな いことは、前記⑵のとおりであり、本件要綱についても同様に解される。 もっとも、前記認定事実⑷の経過によれば、被告は、同イ以下のとおり、本件事件について、平成19年10月30日、A市長が、報道2社の記者から情報を得て、C部長から事情を聴取して、内部調査をすることとし、また、同月31日、長崎支局を通じて本件会社と協議し、原 告の認識を把握しており、本件事件が、C部長の弁明を前提としても、原爆被爆対策部長という被告の要職にある者が、記者であり、取材を通じて職務上の関係を有する原告と性的関係を持ったというもので、被告への信頼という公益に関わる可能性のある問題であり、かつ、その弁明が原告の認識と異なり、原告の認識どおりであったとすれば、違法行為 であり、被告としても、国賠法上の責任を問われる可能性のある問題で - 54 -あることを認識していたか、容 、その弁明が原告の認識と異なり、原告の認識どおりであったとすれば、違法行為 であり、被告としても、国賠法上の責任を問われる可能性のある問題で - 54 -あることを認識していたか、容易に認識し得たと認められる。不法行為法の構造上、一般に、その責任を追及されている側に原因を究明すべき義務があるということはできず、被告が、原告に対し、同義務を負うということはできないが、被告は、上記のような公益上の必要性から、本件事件について事実関係を明らかにするため、内部調査をすることとし ていたものであり、また、被告にとって、事実関係を明らかにすることは、国賠法上の責任の有無を検討し、必要な対応をとる上でも有益であったといえる。そして、性的被害を受けた者が、加害者に対する責任追及等の過程や、当該事案の報道等により周囲に知られ、ときには不正確又は誤った情報が流布することなどにより、さらに精神的苦痛を受ける など、その後の状況により被害が拡大する二次被害を受けるおそれがあり得ることは、周知の事実であり、被告は、本件事件の性質及びこれを把握した経過から、報道の可能性が高いことを認識し、また、本件会社を通じて、原告から、二次被害防止の要請を受けていたのであるから、以上のような諸事情の下においては、本件事件に関する調査の過程や、 その公表の有無を含む報道対応等をする際に、被告の職員により、原告に二次被害が生ずることがないよう配慮すべきであり、二次被害の発生を予見し得る具体的事情を認識したときには、これを防止すべく被告の関係職員に指導注意するなどの対応をとるべき不法行為法上の注意義務を負っていたと認めるのが相当である。 上記のとおり、被告は、平成19年10月31日には、被告の職員により、原告に二次被害が生ずるこ するなどの対応をとるべき不法行為法上の注意義務を負っていたと認めるのが相当である。 上記のとおり、被告は、平成19年10月31日には、被告の職員により、原告に二次被害が生ずることがないよう、その発生を予見し得る具体的事情を認識したときには、これを防止すべく関係職員に指導注意するなどの対応をとるべき注意義務を負っていたと認められる(なお、原告は、本件事件に関する情報の流布について、被告が同年9月下旬頃 には認識し得、A市長が同年10月下旬頃には認識していた旨主張する - 55 -が、前記認定事実⑷の経過及び前記⑶アで説示したところに照らし、採用することはできず、上記より前の時点で、上記注意義務を負うとは認められない。)。 前記認定事実⑷イないしの経過によれば、被告は、同月30日の時点で、C部長の弁明を認識し、同月31日の時点で、C部長と親しい 関係にあったD会計管理者が、C部長の弁明に沿う言動をし、さらに自身も誘われたなどとC部長の弁明にもない話をしていたことを認識していたのであるから、同日時点で、これらが、原告の認識と異なることを認識していたと認められ、また、同月30日時点で、報道2社の記者が、C部長にも取材をし、近日中に報道する可能性があることを認識してい たのであるから、本件事件が原告の認識するとおりであったとすれば、C部長らの言動により、原告が二次被害を受けるおそれがあることを認識し得たと認められる。 そうすると、被告としては、C部長に対しては、原告の二次被害にも留意して、慎重な対応をとるべき旨の指導注意をし、D会計管理者に対 しては、前記認定事実⑷、⑸のとおり、本件事件の調査を総務部で行い、関与すべき人員をO総務部長、M人事課長及びE秘書課長等の一定 意して、慎重な対応をとるべき旨の指導注意をし、D会計管理者に対 しては、前記認定事実⑷、⑸のとおり、本件事件の調査を総務部で行い、関与すべき人員をO総務部長、M人事課長及びE秘書課長等の一定の者に限定し、D会計管理者については、その職務上、関与すべき立場になかったのであるから、事実関係が不明な段階で、本件事件について言及しないよう指導注意すべきであったと認められる。 しかるところ、被告がC部長らに対して、上記注意義務を尽くした形跡はなく、C部長については、同月31日に被告が原告の認識と異なることを認識した以降、自殺するまでの間に、他に弁明内容を広めたことを認めるに足りる証拠がないものの、D会計管理者については、前記⑶アのとおり、本件葬儀等の際に虚偽の情報を広め、週刊誌の取材に応じ、 C部長の弁明に沿う虚偽の話をしたことが認められ、前記認定事実⑸の - 56 -経過に照らし、被告は、D会計管理者に対して、週刊誌報道がされるまで、原告の二次被害を防止すべく指導注意しなかったことが認められるから、上記注意義務に違反したと認められる。 なお、E秘書課長が、本件事件について、週刊誌記者に情報を提供したと認めるに足りないことは、前記⑶アのとおりである。 そして、前記認定事実⑸及び⑺の経過並びに同認定に際し挙示した関係各証拠によれば、原告は、D会計管理者が本件葬儀等の際に虚偽の情報を広めたことや、D会計管理者が応じた取材も基にして掲載された週刊誌の報道に接したことも要因となって、●●●●の症状が悪化したことが認められ、上記注意義務違反により、その権利を侵害されたと認め られるから、被告には、上記注意義務違反について、国賠法1条1項に基づく責任原因があると認められる。 ウ 症状が悪化したことが認められ、上記注意義務違反により、その権利を侵害されたと認め られるから、被告には、上記注意義務違反について、国賠法1条1項に基づく責任原因があると認められる。 ウ C部長の自殺を防止すべき義務について原告は、二次被害防止義務の一環として、被告が、C部長の自殺を防止すべき義務を負っていた旨主張する。 しかし、前記認定事実⑷イないしの経過によれば、被告がC部長の自殺を予見し得たとは認められないから、原告の主張は採用できない。 エ週刊誌に虚偽の情報が掲載されることを防止すべき義務について 原告は、前記第2の3⑷(原告の主張)エのとおり、被告が、平成19年11月9日にD会計管理者から事情を聴取し、週刊誌記者の取材を 受け、虚偽の情報を提供した旨を認識したのであるから、発行主体に対し、報道しないよう要請し、また、原告らによる報道差止めの機会を付与するため、情報を提供すべき義務を怠った旨主張する。 しかし、週刊誌の記事の掲載は、その発行主体たる出版社の責任と判断において行われるものであるところ、前記イで二次被害防止義務に ついて説示したところに照らしても、被告が、第三者に対する働きかけ - 57 -をするという積極的作為義務を負うとまでは認められない(なお、地方公共団体である被告が、出版社に対し働きかけを行うことは、報道の自由と抵触しかねない。)。原告の上記主張は、前記イの注意義務違反の結果が影響して作出された状態の積極的除去を求めるものであるところ、金銭賠償の原則(民法722条1項、417条)に照らし、その結果を 放置することが、当然に別途の違法行為を構成するものとはいえず、原告の主張を採用することはできない。 また、原告は、原告らによる報道 則(民法722条1項、417条)に照らし、その結果を 放置することが、当然に別途の違法行為を構成するものとはいえず、原告の主張を採用することはできない。 また、原告は、原告らによる報道差止めの機会を付与するため、情報を提供すべき義務を怠った旨主張するが、上記同様、本件の事情の下で、被告が、同義務を負うとまでは認められない。被告が情報を提供した場 合の原告らによる報道差止めの実効性についても定かではなく(証人Kは新聞記事の差止めについて否定的な供述をしている。)、上記の点について、被告による原告の権利侵害があったということもできず、原告の主張を採用することはできない。 オ D会計管理者の処分、C部長への退職金の支給等について 原告は、前記第2の3⑷(原告の主張)オのとおり、原告の名誉回復、二次被害緩和のため、D会計管理者を処分し、その旨公表すべきであるのに、これをしなかったこと、C部長に退職金を支給し、その旨公表し、二次被害を拡大させたことが違法である旨主張する。 しかし、地方公務員に対する処分は、任用関係に基づき、所定の要件の 下に行われるものであり、退職金の支給についても同様であるから、その有無により、原告の権利を侵害するものということはできない。また、処分及び退職金の支給の有無を公表することが、本件事件について原告又はC部長の見解を肯定又は否定することを意味するということはできず、実際にされた退職金支給に関する報道(乙15)がC部長の見解を肯定する ことを意味したとも認められないから、これにより、原告の権利を侵害す - 58 -るものということもできず、原告の主張を採用することはできない。 カ本件勧告に従い謝罪及び再発防止措置を講ずべき義務について原告は、前記第2の により、原告の権利を侵害す - 58 -るものということもできず、原告の主張を採用することはできない。 カ本件勧告に従い謝罪及び再発防止措置を講ずべき義務について原告は、前記第2の3⑷(原告の主張)カのとおり、被告が、日弁連の勧告を尊重する旨合意し、本件勧告が出されたにもかかわらず、これに従い、謝罪及び再発防止措置を講じなかったことが違法である旨主張する。 しかし、日弁連の人権救済申立て制度による勧告は、法的拘束力を有するものではなく、また、前記認定事実⑺エないしカの経過によれば、被告は、原告の提案を受けて、人権救済申立てに了解し、勧告が出された場合の意見調整に了解する旨合意したことが認められるが、その合意内容は勧告を尊重することにとどまり、勧告に従うことを内容とするものではなく、 これにより法的拘束力が生ずるものでもない。 そして、再発防止措置については、その性質上、原告の権利に影響するものではなく、謝罪についても、原告の損害回復に資するものではあるが、これをしないことが、別途、違法性を有するとはいえないから、原告の主張は採用できない。 ただし、上記経過にも関わらず、被告が本件勧告を尊重せず、謝罪しなかったことは、慰謝料算定の際の一事情として考慮することが相当である。 ⑸ 和解の成否(争点⑧)について被告は、前記第2の3⑻(被告の主張)のとおり、本件文書の交付等により、本件事件について、黙示の和解が成立した旨主張する。 しかし、前記認定事実⑹のとおり、本件文書は、本件事件の発生につき問題があり遺憾に思うとともにお詫びする旨を表明したにとどまり、これをもって、和解の申入れと解することはできない。また、原告は、その後、間もない時期に中野弁護士を選任して、本件事件につ の発生につき問題があり遺憾に思うとともにお詫びする旨を表明したにとどまり、これをもって、和解の申入れと解することはできない。また、原告は、その後、間もない時期に中野弁護士を選任して、本件事件について、被告との協議を再開し、被告は、その過程において、O総務部長らにおいて、被告としても問題 が解決したとは認識していない旨を述べ、本件勧告後には、本件文書の交付 - 59 -時と異なり、書面による和解案を提示して、和解を含めた協議をしているのであるから、被告主張の事情により、黙示の和解が成立したとは認められず、被告の主張は採用できない。 なお、被告は、J人事部長がM人事課長に本件を了とするとの回答をした旨主張し、証人Mはこれに沿う供述をするが、本件会社に原告を代理する権 限はなく、仮にJ人事部長の回答が原告の意向を踏まえたものであったとしても、本件文書等の交付の経緯及び内容に鑑み、謝罪を受け入れたということ以上の意味を有するものではないから、これを考慮したとしても和解が成立したということはできない。 ⑹ 過失相殺の可否(争点⑤)について 被告は、前記第2の3⑸(被告の主張)のとおり、過失相殺を主張するが、次のとおり、原告に相殺すべき過失があるとは認められず、採用することはできない。 ア本件事件前及び本件事件の際の過失について 被告は、上記部分に関する過失相殺の前提として、本件事件が、原告 が同意していると誤解したC部長の過失によるものである旨主張するが、前記⑴アのとおり、C部長は、原告が本件性交に同意していなかったことを認識していたと認められ、故意による違法行為と認められるから、同主張を採用することはできない。 そして、前記認定事実⑵、前記⑴アのとおり、本件事件前の対応に 交に同意していなかったことを認識していたと認められ、故意による違法行為と認められるから、同主張を採用することはできない。 そして、前記認定事実⑵、前記⑴アのとおり、本件事件前の対応に ついては、原告は、C部長からの誘いのメール等を拒否していたのであるから、これをもって、原告に相殺すべき過失があるということはできない。 また、前記認定事実⑶、前記⑴アのとおり、本件事件の際の対応についても、C部長は、原告からの取材協力を求める連絡を奇貨として、 これに協力するかのような態度を示しつつ、拒否し難い立場にある原告 - 60 -に対し、執拗に指示して●●●に入ったものであり、原告の対応次第では、本件事件による被害を回避し得た余地があったとしても、そのような原告の状況を認識しつつ、原告との関係性に乗じて、本件性交に及んだものであるから、これを相殺すべき原告の過失として考慮することは相当ではない。 イ本件事件後の損害拡大に関する過失について 被告は、前記第2の3⑸(被告の主張)ウのとおり、原告が本件文書による謝罪を受け入れ、本件事件に終止符を打つとの対応を示したのに、これを翻した旨主張するが、前記⑸のとおり、被告も、本件文書により問題が解決したとは認識していなかったのであるから、被告の主張 は採用できない。 被告は、同のとおり、原告が証拠を開示しなかったことが、本件事件の解決の長期化の要因となった旨主張するが、交渉段階において、原告に本訴提出の証拠をすべて開示すべき義務があるということはできない。また、前記認定事実⑹の経過によれば、本件事件後、本訴提起まで 長期間経過した主たる要因は、日弁連の人権救済申立て及びその勧告を踏まえた解決を模索し、これに時間を要し るということはできない。また、前記認定事実⑹の経過によれば、本件事件後、本訴提起まで 長期間経過した主たる要因は、日弁連の人権救済申立て及びその勧告を踏まえた解決を模索し、これに時間を要したことにあると認められ、被告もその手続に協力し、勧告を尊重して原告と意見調整することには同意していたのであるから、上記長期化した要因をもって、原告に相殺すべき過失があるとは認められない。 ⑺ 損害の範囲(争点⑥)についてア ●●●●について 原告は、前記第2の3⑹(原告の主張)のとおり、本件事件により●●●●を発症し、同⑶及び⑷の(原告の主張)記載の各違法行為により、心身の健康被害が拡大して、●●●●が深刻化、長期化し、現在も通院 治療中である旨主張し、被告は、これを否認し、同⑹(被告の主張)ア - 61 -のとおり、症状が残存するとした場合、症状固定したことを前提として、損害額を算定すべき旨主張する。 前記認定事実⑶ないし⑺の経過及び同認定に際し挙示した関係各証拠によれば、原告は、本件事件により●●●●を発症し、その後、C部長が自殺したことや、その後の報道等により、症状が悪化し、深刻化、長 期化したものであり、現在も、完治まではしておらず、その治療のため、通院中であることが認められる。 他方で、原告は、平成21年10月に内勤として復職し、不定期ながら勤務を継続し、一時休職状態となった時期を挟み、平成24年9月中旬頃からしばらくは毎日勤務するようになり、平成27年4月以降、再 度、休職状態となったものの、●●●●●●頃から、●●●が減り、目に見えて体調が改善し、令和元年11月25日付けの主治医の回答によれば、身辺日常生活レベルがほぼ正常となった状態にあり、上記稼働期間中よりも 状態となったものの、●●●●●●頃から、●●●が減り、目に見えて体調が改善し、令和元年11月25日付けの主治医の回答によれば、身辺日常生活レベルがほぼ正常となった状態にあり、上記稼働期間中よりも、状態が改善されていることが認められる。 そして、原告の●●●●は、本件事件に起因して発症したものである ものの、その症状が悪化し、深刻化、長期化した要因は、C部長が自殺したことや、その後の報道等が影響しているところ、C部長の自殺は原告に対する違法行為を構成するものとはいえず、また、本件事件後の原告主張の違法行為のうち、被告に二次被害防止義務違反による責任が認められるのは、前記⑷の限度にとどまることからすると、上記深刻化、 長期化した要因を、すべて本件事件及び上記違法行為(以下併せて「本件違法行為」という。)に帰すことはできない。 以上の観点から、原告の●●●●の状況も考慮して考察すると、本件事件が原告の●●●●の主たる要因であることに鑑み、原告の症状が明らかに改善し、身辺日常生活レベルがほぼ正常となった令和元年11月 までの症状については、本件違法行為との因果関係を認めるのが相当で - 62 -あるが、そのすべてを帰すことはできないことから、これを超えて本件違法行為との間に相当因果関係を有するものとは認められない。 これを前提として、以下、損害の範囲について判断する。 イ治療費等 前記認定事実⑺、同認定に際し挙示した関係各証拠及び弁論の全趣旨 によれば、原告は、●●●●を発症し、その治療のため(●●●●に起因すると認められる体調不良を含む。)、別紙2記載のとおり、●●●●●●●等に通院し、別紙3記載のとおり、●●●●●●●を受け、各居住地からの上記各通院交通費等として、別 の治療のため(●●●●に起因すると認められる体調不良を含む。)、別紙2記載のとおり、●●●●●●●等に通院し、別紙3記載のとおり、●●●●●●●を受け、各居住地からの上記各通院交通費等として、別紙4記載のとおり(ただし後記を除く。)、支出したことが認められるが、このうち令和元年1 2月以降の分については、前記アのとおり、本件違法行為に起因するとは認められない。 原告は、前記認定事実⑺エのとおり、平成21年10月1日付けで本社に復職し、その頃、●●●内から●●●内へ転居したが、その後も●●●●●●●への通院を継続している。しかし、転居後の住居付近で● ●●●の治療を受けることができなかったことを認めるに足りる証拠はないから、転居後の通院交通費等(別紙4記載の99~102、104~142、144~151、153~224、226~261、264~307)が本件違法行為に起因するものとは認められない。もっとも、転居後も通院を要したことは認められ、原告は、別紙2,4記載のとお り、令和元年11月までの間に55回●●●●●●●に通院しているから、●●●内の交通事情にも鑑み、1回当たり500円、合計2万7500円の限度で通院交通費を認めるのが相当である。 前記認定事実⑹ウのとおり、原告が平成20年3月17日に長崎を訪れたのは、治療を主たる目的とするものではないから、別紙4記載の支 出のうち38、40~44については、本件違法行為に起因する損害と - 63 -は認められない。また、同記載91の●●から●●への移動費も治療等に必要な支出とは認められず、本件違法行為に起因する損害とは認められない。 以上によれば、本件違法行為に起因する治療費等は、別紙3記載の●●●●●●●費用等のうち令和元 への移動費も治療等に必要な支出とは認められず、本件違法行為に起因する損害とは認められない。 以上によれば、本件違法行為に起因する治療費等は、別紙3記載の●●●●●●●費用等のうち令和元年8月26日までの分71万9895 円と別紙4記載1~37、39、45~90、92~98、103、143、152、225、262、263の8万2180円、上記の2万7500円の合計82万9575円と認められる。 ウ転居費用等 転居費用 原告は、前記第2の3⑹(原告の主張)イのとおり、本件事件後、5回に渡り転居した旨主張するところ、前提事実⑹イ、前記認定事実⑺のとおり、長崎市から●●●内に転居した後、2度に渡りシェルターに入退所し、計5回に渡り転居したことが認められ、当時の原告の状況に鑑み、本件事件による被害にあった長崎市を離れ、実家のある●●●内 に転居し、シェルターに入退所したことは、必要な措置であったといえ、その転居費用は、本件違法行為に起因する損害と認められる。なお、原告の5回の転居が上記を指すのか必ずしも明らかではなく、原告は、その後、復職時に●●●内から●●●内に転居しているが、同転居費用については、復職場所の都合によるものであるから、本件違法行為に起因 する損害とは認められない。 原告は、転居費用及びその際のコンテナ使用料として計91万2000円を支出した旨主張するが、これを裏付ける証拠はない。もっとも、長崎市から●●●内への転居には相当額の費用がかかること、同所から、シェルターへの入退所については、その距離及び施設の性質に鑑み、さ ほど費用がかかるとは認めがたいことを考慮し、転居費用として併せて - 64 -50万円を認めるのが相当である(弁論の全趣旨) ターへの入退所については、その距離及び施設の性質に鑑み、さ ほど費用がかかるとは認めがたいことを考慮し、転居費用として併せて - 64 -50万円を認めるのが相当である(弁論の全趣旨)。 シェルター入居費用原告は、前記第2の3⑹(原告の主張)イのとおり、シェルターに入居し、83万3400円を支出した旨主張するところ、前提事実⑹イのとおり、原告主張のとおりシェルターに入所したことが認められ、 その主張する額も相当と認められる(弁論の全趣旨)から、同入居費用は本件違法行為に起因する損害と認められる。 エ休業損害、将来の逸失利益について 原告は、前記第2の3⑹(原告の主張)ウのとおり、本件事件により、休業を余儀なくされ、復職後も本件事件前と同様に記者として稼働する ことができなくなり、平成19年10月以降、時間外等割増賃金を得ることができなかったとして、同月から令和3年9月までの時間外等割増賃金相当の休業損害を受けた旨主張し、同エのとおり、同様に、その直近1年分の休業損害額を基に10年分の将来の逸失利益相当の損害を受けた旨主張する。 前記アのとおり、原告の●●●●の症状は、令和元年11月までについては、本件違法行為に起因するものと認められる。そして、本件事件前の収入に関し、原告は、平成19年4月から同年8月まで、別紙5記載のとおり時間外等割増賃金を得ていたところ、前記認定事実⑺のとおり、本件事件後、休業を余儀なくされ、復職後も従前どおり稼働するこ とができず、再度、休職状態に陥っており、時間外等割増賃金額を得られなかったことが認められるから、令和元年12月の給与分までについては、本件事件による被害を受けなければ、時間外等割増賃金を得られた蓋然性を有すると認 休職状態に陥っており、時間外等割増賃金額を得られなかったことが認められるから、令和元年12月の給与分までについては、本件事件による被害を受けなければ、時間外等割増賃金を得られた蓋然性を有すると認められる額について、休業損害が認められる。 他方、上記のとおり、同月以降の●●●●の症状については、本件違 法行為に起因するものとは認められないから、令和2年1月以降の給与 - 65 -分の休業損害及び将来の逸失利益については、原告の主張は採用できない。 上記時間外等割増賃金の額について、原告は、前記第2の3⑹(原告の主張)ウのとおり、別紙5記載の稼働状況から、本件会社において平成31年以降に採用された裁量みなし制下の裁量手当及び調整手当の額 を下回ることはなく、別紙6記載のとおりとなる旨主張する。 上記裁量みなし制は、原告主張のとおり、所属部署ごとのみなし時間を定め、時間外単価(基本給÷152時間×1.25)にみなし時間を乗じた裁量手当と調整手当(配属部署及び記者の勤続年数に対応した役割等級により算定)を時間外等割増賃金に代えて支給するものであると ころ、そのみなし時間は、配属部署により1か月当たり5.5時間から55時間まで差異があり、最も長い55時間と定められているのは本社政治部、社会部及び経済部の一部や●●支社の一部に限られ、原告の所属していた長崎支局は5.5時間と定められていること、調整手当は、本社政治部及び社会部の一部を除くと、1等級から5等級まで5000 円刻みで3万5000円から5万5000円までとされていることが認められる(甲105)。また、本件会社の就業規則によると、平成27年10月以降、25歳以下が1等級、26歳ないし28歳が2等級、29歳ないし31歳が3等級、32 万5000円までとされていることが認められる(甲105)。また、本件会社の就業規則によると、平成27年10月以降、25歳以下が1等級、26歳ないし28歳が2等級、29歳ないし31歳が3等級、32歳以上が4等級以上と定められていたこと、原告は、本件事件当時●●歳であったことが認められる(甲98 の1、104)。 上記裁量みなし制は、本件会社の勤務実態を反映して導入されたものと考えられ、これを参照して、原告が得られたであろう時間外等割増賃金を算定することは一定の合理性があるが、導入されたのが平成31年であることからすると、そのまま参照することはできず、上記諸事情に 加え、原告が記者として稼働していたとして、配属部署が本社政治部等 - 66 -の55時間のみなし時間が適用される部署とは限らず、部署ごとに大きな差異があること、また、本件事件前の原告の稼働状況は、原告も自認するとおり、重大事件等が多発し、特に繁忙な状況であったもので、その状況が継続するとは認めがたいことも考慮すると、平均的なみなし時間を用いて上記裁量みなし性を参照して算定した場合の額に近い程度の 額の時間外等割増賃金を得た蓋然性を有することは認められるが、これを超える蓋然性を有するとまでは認められないから、全期間を通じて、同算定額をやや下回る程度の月額10万円を基礎として、時間外等割増賃金を算定するのが相当である。 そして、上記休業損害は、12年3月分と長期間に及ぶのに対し、違 法行為時に発生したものとして算定され、遅延損害金が付加されることからすると、中間利息を控除して算定することが相当であるから、原告の休業損害は、以下のとおり、1079万5050円と認める。 120万円×{8.8633〔12年ライプニッツ係数・5% ることからすると、中間利息を控除して算定することが相当であるから、原告の休業損害は、以下のとおり、1079万5050円と認める。 120万円×{8.8633〔12年ライプニッツ係数・5%〕+3/12×(9.3936〔13年ライプニッツ係数・5%〕-8.86 33)}=1079万5050円オ慰謝料 前記認定のとおり、原告は、本件事件の被害に遭い、●●●●にり患し、さらに、被告の二次被害防止義務違反によるD会計管理者による虚偽の情報の拡散も影響して、その症状が深刻化、長期化し、著しい精神 的苦痛を受けたと認められる。 そして、本件事件が、被告の原爆被爆対策部長という地位にあるC部長が、記者であり、取材を通じて職務上の関係を有する原告と、その関係性に乗じて、取材への協力を依頼されたことを奇貨として、原告の意に反して本件性交に及んだというもので、原告の性的自由を侵害すると ともに、取材活動に支障を生じさせるものであり、そのことが、原告の - 67 -復職を困難にした要因となったと考えられること、また、上記のような本件事件の性質や上記二次被害防止義務違反も影響して、本件事件及びC部長の自殺について、過熱した報道等がされ、後記2⑴のとおり、原告が名誉感情を害されたと認められること、他方で、原告の●●●●が深刻化、長期化した要因は、上記によるところが大きいと考えられるも のの、C部長の自殺も、相応に影響したと考えられ、この点については、被告の責任に帰すことはできないものであること、そのほか、被告が、日弁連の人権救済申立て制度による勧告を尊重する旨を合意しながら、本件勧告を尊重して謝罪することをしていないこと等、本件に現れた諸般の事情を総合考慮すると、原告の慰謝料額を500万円と認め 被告が、日弁連の人権救済申立て制度による勧告を尊重する旨を合意しながら、本件勧告を尊重して謝罪することをしていないこと等、本件に現れた諸般の事情を総合考慮すると、原告の慰謝料額を500万円と認めるのが 相当である。 なお、被告は、前記第2の3⑹(被告の主張)ウ、同⑸(被告の主張)記載の諸事情を、慰謝料算定の減額事由として考慮すべき旨主張するが、前記⑹で説示したところに照らし、減額事由として考慮することも相当ではない。 カ弁護士費用以上の損害額は合計1795万8025円であり、その1割相当の180万円をもって相当と認める(弁論の全趣旨)。 ⑻ 小括以上の次第で、被告は、原告に対し、国賠法1条1項に基づき、1975 万8025円の損害賠償及びこれに対する遅延損害金の支払義務を負う。 2 謝罪広告等請求について⑴ 名誉棄損の成否及び名誉回復措置の要否(争点⑦)についてア原告は、前記第2の3⑺(原告の主張)のとおり主張するところ、前記2⑶及び⑷のとおり、被告は、同⑷記載の二次被害防止義務違反により、 同⑶記載のとおり、D会計管理者が、本件葬儀等の際にC部長の弁明や原 - 68 -告と複数回関係を持った旨を話したこと、週刊誌記者に対しC部長の弁明に沿う話をしたことについて、責任を負うにとどまる。 イ上記D会計管理者の虚偽の情報の流布について、D会計管理者が本件葬儀等の際にした話については、本件証拠上、その相手及び内容を具体的に特定することはできず、また、その直前の●●●●●●●●●●のGの本 件事件に関する報道により、C部長については識別可能であったが、原告については匿名でされ、本件事件の被害者が原告であると特定可能な者は一部の者に限定されていたことも ●●●●●●●●●のGの本 件事件に関する報道により、C部長については識別可能であったが、原告については匿名でされ、本件事件の被害者が原告であると特定可能な者は一部の者に限定されていたことも考慮すると、本件葬儀等の際のD会計管理者の発言により、その相手が原告であったと識別可能であったと認めるには足りず、これにより、原告の社会的評価を低下させるものであったと 認めるには足りない。 また、D会計管理者が、週刊誌記者に対しC部長の弁明に沿う話をしたことについては、取材に応じたにとどまり、出版社が、その責任と判断により、同取材だけではなく他の取材も基にして、記事を作成し掲載したものであるから、D会計管理者の同行為により、原告に対する名誉棄損が成 立するとは認められない。 ウ以上のとおり、D会計管理者の虚偽の情報の流布により、名誉棄損が成立するとは認められず、D会計管理者の虚偽の情報の流布について、二次被害防止義務違反により間接的に責任を負うにとどまる被告について、原告に対する名誉棄損が成立するとは認められない。 エまた、原告は、人格的名誉(名誉感情)の棄損についても主張し、前記認定事実⑷イ、⑸、⑺の経過及び同認定に際し挙示した関係各証拠によれば、原告は、D会計管理者が虚偽の情報を流布したことを知り、D会計管理者が、C部長による本件事件を隠蔽し、その責任を回避し、原告に転嫁しようとしているものと感じ、週刊誌の発行主体たる出版社の表現行為が 介在し、匿名による記事となっているとはいえ、D会計管理者が話した内 - 69 -容も基にして自己の認識と反する内容の記事が掲載されたことにより、心情を害され、名誉感情を害されたことが認められるが、名誉感情の侵害は、民法723条の名誉回復のための処 話した内 - 69 -容も基にして自己の認識と反する内容の記事が掲載されたことにより、心情を害され、名誉感情を害されたことが認められるが、名誉感情の侵害は、民法723条の名誉回復のための処分の前提となる名誉棄損に該当しない(最高裁昭和45年12月18日第二小法廷判決・民集24巻13号2151頁参照)。 ⑵ 小括したがって、原告の謝罪広告等請求は理由がない。 3 結論以上の次第で、原告の請求は、主文第1項の限度で理由があるからその限度で認容し、その余は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決す る。なお、仮執行宣言は相当でないから付さない。 長崎地方裁判所民事部 裁判長裁判官天川博義 裁判官松本武人 裁判官松本恭平は、転補につき、署名押印することができない。 裁判長裁判官天川博義
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