令和6(ヒ)3 取締役会議事録閲覧謄写許可申立事件等

裁判年月日・裁判所
令和7年4月10日 福岡地方裁判所
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判決文本文13,409 文字)

令和6年(ヒ)第3号取締役会議事録閲覧謄写許可申立事件(基本事件)同第1号監査役会議事録閲覧謄写許可申立事件(第2事件)同第2号監査等委員会議事録閲覧謄写許可申立事件(第3事件)同第4号取締役会議事録閲覧謄写許可申立事件(第4事件) 主文 1 申立人が、参加人九電の取締役会議事録のうち、別紙1記載の部分について閲覧及び謄写することを許可する。 2 申立人が、参加人九電の監査役会議事録のうち、別紙2記載の部分について閲覧及び謄写することを許可する。 3 申立人が、参加人九電の監査等委員会議事録のうち、別紙3記載の部分について閲覧及び謄写することを許可する。 4 申立人が、参加人みらいエナジーの取締役会議事録のうち、別紙4記載の部分について閲覧及び謄写することを許可する。 5 申立人のその余の各申立てをいずれも却下する。 6 手続費用は各自の負担とする。 理由 第1 申立ての趣旨基本事件について別紙5、第2事件について別紙6、第3事件について別紙7(以上につき、「利害関係参加人」とあるのを「参加人九電」と読み替え る。)、第4事件について別紙8(なお「利害関係参加人」とあるのを「参加人みらいエナジー」と読み替える。)のとおり(以下、各別紙の①ないし⑦をそれぞれ「申立ての趣旨①」などという。なお、各別紙には該当する番号がないものがある。)。 第2 事案の概要 1 本件は、参加人九電の株主である申立人が、会社法371条2項ないし5項、 394条2項、399条の11第2項に基づき、参加人九電の取締役会議事録(基本事件)、監査役会議事録(第2事件)及び監査等委員会議事録(第3事件)、参加人みらいエナジーの取締役会議事録(第4事 394条2項、399条の11第2項に基づき、参加人九電の取締役会議事録(基本事件)、監査役会議事録(第2事件)及び監査等委員会議事録(第3事件)、参加人みらいエナジーの取締役会議事録(第4事件)(以下これらを併せて「本件各議事録」という。)のうち、申立ての趣旨記載の各部分の閲覧謄写の許可を求めるものである。 2 前提事実(証拠〈基本事件のもの。事実の後に掲記。枝番は特記しない限り省略する。〉及び審尋の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 参加人九電及び関西電力株式会社(以下「関電」という。)は、いずれも、自ら発電し又は調達した電気の小売供給を行う事業等を営む者である。参加人みらいエナジーは、参加人九電の完全子会社であり、参加人九電等から調 達した電気の小売供給を行う事業等を営む者である。(甲2、4)なお、参加人九電は、平成30年6月27日、監査等委員会設置会社となった。 (2) 申立人は、参加人九電の株式100株を保有する株主である。(甲1)(3) 関電は、令和2年10月29日、公正取引委員会(以下「公取委」とい う。)に対して、参加人らとカルテルを実施した旨の違反行為の申告をした。 (4) 参加人らは、令和3年7月13日、公取委の立入検査を受け(以下同日を「本件調査開始日」という。)、その後20日以内に課徴金減免申請を行った。参加人らは、同申請による課徴金の減免率及び減算率として、調査開始日以後の減免申請に対するものとしては最大の割合である合計30パーセン トの決定を受けた。(甲8、14、乙3)(5) 参加人らは、令和5年3月30日、公取委から排除措置命令を受け、さらに、参加人九電は、同日、27億6223万円の課徴金納付命令を受けた。 上記各命令において、下記アないしエの参加人らの独 )(5) 参加人らは、令和5年3月30日、公取委から排除措置命令を受け、さらに、参加人九電は、同日、27億6223万円の課徴金納付命令を受けた。 上記各命令において、下記アないしエの参加人らの独占禁止法違反行為が認定された。(甲2、3) ア参加人九電と関電は、平成30年10月12日までに、それぞれ、相手 方の供給区域(以下「管内」ともいう。)における官公庁入札等で安値による電気料金の提示を制限することを合意した(以下「本件カルテル合意」という。)。 イ参加人みらいエナジーは、同月31日までに、参加人九電から前記アの内容を伝達されて、本件カルテル合意に参加した。 ウ参加人らと関電は、本件カルテル合意のもと、下記(ア)及び(イ)などの行動をした。 (ア) 関電は、官公庁入札等で電気料金を提示する際に基準となる下限値を引き上げたうえで、参加人九電に対し、関電管内及び参加人九電管内において関電が提示する電気料金の水準を伝える。参加人九電は、関 電が提示する電気料金の水準を参加人みらいエナジーに伝える。 (イ) 参加人らは、関電が提示した電気料金の水準を踏まえ、関電管内及び参加人九電管内の官公庁入札等で参加人らが提示する電気料金を引き上げる。 エ参加人ら及び関電は、本件カルテル合意により、関電管内及び参加人九 電管内の官公庁等に対する小売供給を行う電気の取引分野における競争を実質的に制限した。 (6) 申立人を含む参加人九電の株主11名は、令和5年10月12日頃、参加人九電の取締役らを被告として、前記の課徴金相当額及び社内調査等費用1億円の合計28億6223万円等を参加人九電に支払うよう求める旨の株主 代表訴訟を提起し(以下「本件株主代表訴訟」という。)、参加人九電は、補助参加した。本 の課徴金相当額及び社内調査等費用1億円の合計28億6223万円等を参加人九電に支払うよう求める旨の株主 代表訴訟を提起し(以下「本件株主代表訴訟」という。)、参加人九電は、補助参加した。本件株主代表訴訟において主張された請求原因の概要は以下のとおりである。(甲5)ア参加人らと関電が、前記(5)アないしエの本件カルテル合意をし、これを実施した。 イ参加人九電は、本件カルテル合意をしたことにより、前記(5)の課徴金納 付を命じられ、また、社内調査等を行う必要が生じた。 ウ参加人九電の取締役らは、下記(ア)ないし(ウ)の任務懈怠行為をした。 (ア) 故意又は過失によりカルテルに関与し又はこれを黙認した。 (イ) カルテルを防止するための内部統制システム構築義務があるのに、 これを怠った。 (ウ) 課徴金減免制度を本件調査開始日以前の早期に利用すべきであったのに、これを怠った。 3 争点及びこれに関する当事者の主張(1) 申立ての趣旨①ないし⑤及び⑦に係る本件各議事録の存否(争点1) (申立人の主張)参加人らは課徴金減免申請を行い、その真相解明への貢献度が評価されて最大の減算率による課徴金の減免を受けていることからすれば、参加人らと関電の間に、法的にカルテルと評価される可能性のあるような合意が存在することは明らかである。そして、そのようなカルテル的な合意は、重要な業 務執行の決定に当たるものとして、取締役会の決議事項あるいは報告事項となるから、これに係る記載が参加人らの各取締役会議事録に存在するはずである。この理は、参加人九電の取締役の法令違反等を監査する立場にある参加人九電の監査役会及び監査等委員会についても同様に妥当する。 (参加人らの主張) 公取委の認定し に存在するはずである。この理は、参加人九電の取締役の法令違反等を監査する立場にある参加人九電の監査役会及び監査等委員会についても同様に妥当する。 (参加人らの主張) 公取委の認定した本件カルテル合意や、申立人の主張するカルテル的な合意は存在しない。また、カルテルの合意は違法行為である以上、その内容が取締役会に上程されて協議や決定がされるということはおよそ考え難いから、申立人の主張するカルテル的な合意の重要性が本件各議事録における当該記載の存在を推認させるものとはいえない。 申立ての趣旨⑦の独占禁止法遵守のための内部統制システムについては、 参加人らにおいて、独占禁止法という特定の法令遵守の目的を示すなどした形で内部統制システムの方針等を決議しているわけではないため、本件各議事録にそのような内容の記載は存在しない。 (2) 申立ての趣旨⑥に係る参加人九電の取締役会議事録及び監査等委員会議事録の閲覧及び謄写をすることが、株主である申立人においてその権利を行使 するために必要か(会社法371条2項柱書、399条の11第2項柱書)(争点2)(申立人の主張)参加人らが課徴金減免申請をしたことは、参加人らがカルテル行為に及んだことを自認するものであるし、また、そうでなかったとしても、課徴金減 免制度への対応の協議、報告を記載した本件各議事録の内容は、本件カルテル合意の存在を推認させるから、参加人九電の当時の取締役らの責任追及のために必要な資料である。 (参加人らの主張)課徴金減免制度を利用することは、違反行為を自認するものではない上、 参加人九電は、本件株主代表訴訟に補助参加し、必要な証拠の開示等を行うなどしているから、本件各議事録を申立人に閲覧謄写させる必要性はない。 ま することは、違反行為を自認するものではない上、 参加人九電は、本件株主代表訴訟に補助参加し、必要な証拠の開示等を行うなどしているから、本件各議事録を申立人に閲覧謄写させる必要性はない。 また、本件調査開始日である令和3年7月13日以降の記載内容は、申立人らが本件株主代表訴訟で主張する取締役らの善管注意義務違反と関連性を有さず、閲覧及び謄写の必要性がない。 (3) 申立ての趣旨⑥に係る本件各議事録の閲覧及び謄写をすることが、参加人九電に著しい損害を及ぼすおそれがあるか(会社法371条6項、399条の11第4項)(争点3)(参加人らの主張)課徴金減免制度の利用に係る内容が記載されている取締役会議事録は、企 業秘密や関係者のプライバシーにかかわる事項が顕出される可能性が類型的 に大きいものであるし、そのような議事録が取締役の責任追及の資料に使われることとなると、将来一般に課徴金減免制度の利用への萎縮効果が生じることともなるから、参加人らに著しい損害を及ぼすおそれがあり、課徴金減免制度そのものにも悪影響を及ぼす。 (申立人の主張) 参加人九電の主張する損害は一般的抽象的なものにとどまり、著しい損害を及ぼすおそれは疎明されていない。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(申立ての趣旨①ないし⑤及び⑦に係る本件各議事録の存否)について (1) まず、申立ての趣旨③Cは、平成30年8月以降同年10月までの間の、関電が参加人九電に説明した電力小売価格に関する一定の営業方針を採る理由に係る本件各議事録をその対象とするものである。そして、証拠(甲13)によれば、関電は、同期間に、競争関係にある参加人九電に対し、関電管外では入札価格を上げていく方針であるなどと伝達したものと一応認められる をその対象とするものである。そして、証拠(甲13)によれば、関電は、同期間に、競争関係にある参加人九電に対し、関電管外では入札価格を上げていく方針であるなどと伝達したものと一応認められる ことからすれば、関電がそのような営業方針を採り、これを伝えた理由は、自らが入札価格を引き上げることに伴い、参加人九電にも入札価格の引上げを求めるものと考えられ、これは、カルテルの内容そのものである。そして、申立人は、申立ての趣旨③AないしCを、カルテルの合意形成に係るものとして閲覧及び謄写を求める。 しかし、参加人らの主張するとおり、違法行為たるカルテルの合意内容そのものを本件各議事録に残すということは考え難いから、重要な業務執行の決定として取締役会議事録等への記載が当然なされているはずであるという申立人の主張は採用できない。そうすると、本件各議事録に前記記載がなされていると一応認めることはできない。 (2) 他方で、その余の申立ての趣旨である①ないし③A、B、④及び⑤につ いては、いずれもカルテルの合意内容そのものを示すものではないから、それぞれの記載に係る本件各議事録の存否について更に検討する。 アまず、申立ての趣旨①ないし③A・Bについて、証拠(甲13)によれば、平成29年から30年にかけて、関電と参加人らが、互いに他方の管内に進出するに際して、相互に進出の方針を事前に伝達したこと(申立て の趣旨①及び②関係)、その中で関電が、参加人らに対し、電力小売価格の低下についての認識や、関電の電力小売価格に関する方針について発言したこと(申立ての趣旨③A・B関係)が一応認められる。そうすると、申立ての趣旨①ないし③A、Bに係る内容は、該当する情報を参加人らが有していたこととなり、同内容は、官公庁入札における電力小 て発言したこと(申立ての趣旨③A・B関係)が一応認められる。そうすると、申立ての趣旨①ないし③A、Bに係る内容は、該当する情報を参加人らが有していたこととなり、同内容は、官公庁入札における電力小売の入札価 格を参加人らが決定する際の基礎的かつ経営上重要な情報であることに照らせば、これが参加人らの各取締役会に上程されて協議がされている蓋然性が高いということができる。よって、これを監査した記録である監査役会議事録及び監査等委員会議事録を含め、申立ての趣旨①ないし③A・Bに係る本件各議事録が存在するものと一応認められる。 イ次に、申立ての趣旨④は、「関電からのカルテルの勧誘に対し、参加人らの各取締役会における検討状況と、それを最終的に応諾することとした参加人らの営業方針」に係る本件各議事録をその対象とするところ、「関電からのカルテルの勧誘」を明確に特定可能な形で本件各議事録等に記載することは考え難いから、申立人の主張するような形で④が本件各議事録 に記載されているとの疎明があるとは認められない。ただし、カルテルの勧誘や応諾と評価すべき内容であったかはともかくとして、参加人九電に対し、申立ての趣旨③A・Bの関電からの説明があったと認められること自体は前記アでみたとおりであって、同内容が以後の電力小売価格を決定する上で経営上重要な情報であることに照らせば、「参加人らの各取締役 会における申立ての趣旨③A、Bの関電からの説明についての検討状況と そこで定まった方針」という限度では、これに関して協議又は決定した部分が、前記同様、本件各議事録に記載されていると一応認めることができる。 ウ次に、申立ての趣旨⑤A・Bについては、参加人九電と関電の各管内における官公庁に対する電力小売価格の推移に係る本件各議事録を 、前記同様、本件各議事録に記載されていると一応認めることができる。 ウ次に、申立ての趣旨⑤A・Bについては、参加人九電と関電の各管内における官公庁に対する電力小売価格の推移に係る本件各議事録をその対象 としており、同内容が官公庁入札における電力小売の入札価格を参加人らが決定する際の基礎的かつ経営上重要な情報であることに照らせば、参加人らの各取締役会に上程されて協議がされている蓋然性の高いものとして、これに係る各取締役会議事録が存在すると一応認められる。また、申立ての趣旨⑤Dについては、関電から申立ての趣旨③A、Bの説明を受けたの ちの、関電の営業活動に関して協議・報告された内容に係る議事録をその対象としており、前記アで検討した上記説明の経営上の重要性に照らせば、関電から同説明を受けた後に、関電の営業活動に関して協議等を行った蓋然性が高い。よって、前記同様、申立ての趣旨⑤Dに係る本件各議事録が存在するものと一応認められる。 申立ての趣旨⑤Cは、「関電からカルテル行為の実施について勧誘を受け、これを応諾して、カルテル行為を実施することとした上記④の参加人らの営業方針に則った参加人らによる参加人九電及び関電の各供給区域における営業活動」に係る本件各議事録をその対象としている。しかし、カルテルの合意は黙示の合意という形でもなされ得るものである以上、「カ ルテル行為を実施することとした営業方針に則った営業活動」が何を意味するのか、一義的に明確であるとはいえないのであって、このような営業活動の範囲を画するには、対象となる地域と営業相手を特定する必要がある。そして、証拠(甲2、3)及び審尋の全趣旨に照らせば、公取委が認定して申立人が主張するカルテルとは、参加人らと関電が、参加人九電及 び関電の供給区域内におけ 域と営業相手を特定する必要がある。そして、証拠(甲2、3)及び審尋の全趣旨に照らせば、公取委が認定して申立人が主張するカルテルとは、参加人らと関電が、参加人九電及 び関電の供給区域内における少なくともすべての官公庁入札に関して、一 定の合意をなしたというものと解される。そうすると、申立ての趣旨⑤Cの意味するところは、結局、「参加人らによる、参加人九電及び関電の各供給区域内における官公庁入札での営業活動」を含意するものと解される。 そして、官公庁入札という大口の需要家に対する営業活動内容は取締役会で協議されると考えられるから、「参加人らによる、参加人九電及び関電 の各供給区域内における官公庁入札での営業活動」に関して協議又は決定した部分が、前記同様、本件各議事録に記載されていると一応認めることができる。 (3) 小括以上によれば、申立ての趣旨①ないし③A・B及び⑤A・B・Dに関して はその全部について、申立ての趣旨④及び⑤Cに関しては前記の一部について、これらに係る本件各議事録が存在すると一応認められる。そして、これらの情報(ただし、以下のとおり、申立ての趣旨③B及び⑤を除く。)は、カルテルの基礎となる情報等を参加人九電の取締役会がどのように認識し検討していたかなどを示すものとして、申立人が参加人九電の取締役らの責任 追及を行うに当たって有用なものであるから、上記の本件各議事録を閲覧及び謄写をすることが、株主である申立人がその権利を行使するために必要(会社法371条2項柱書、399条の11第2項柱書)であると認められる。 そして、申立ての趣旨③Bについては、申立人が本件株主代表訴訟で責任 追及を行う本件カルテル合意の内容が官公庁入札に関するものである以上、官公庁入札の電力小売価格に関する方針に められる。 そして、申立ての趣旨③Bについては、申立人が本件株主代表訴訟で責任 追及を行う本件カルテル合意の内容が官公庁入札に関するものである以上、官公庁入札の電力小売価格に関する方針に係る部分のみが権利行使のために必要であると認められる。また、申立ての趣旨⑤については、申立人はカルテルの実行状況に関する情報として閲覧謄写の許可を求めているものであり、申立人が責任追及を行うカルテルは、証拠上、最長でも、関電が参加人九電 に情報提供を行ったと認められる平成30年8月から、関電が公取委に対し て違反の申告を行った令和2年10月29日までの期間内のものに限られるから、同期間内に係る部分のみが権利行使のために必要であると認められる。 (4) 申立ての趣旨⑦について申立ての趣旨⑦は、独占禁止法遵守のための内部統制システムについて協議又は報告したことに係る本件各議事録を対象とするものである。これに対 し参加人らは、独占禁止法という特定の法令遵守の目的を示すなどした形で内部統制システムの方針等を決議してはいないことから、本件各議事録にそのような記載が存在しない旨主張する。 そこで検討すると、特定の法令遵守という目的を示さず又は限定することなく、内部統制システムを構築することは十分にあり得るところ、本件記録 を精査しても、参加人らにおいて、かかる目的を示してそのための内部統制システムについて協議、報告がされた事実を一応認めるに足りる証拠はない。 よって、申立ての趣旨⑦に係る内容が本件各議事録に記載されているとの疎明があるとは認められない。 2 争点2(申立ての趣旨⑥について株主である申立人の権利を行使するために 必要か)について課徴金減免制度への対応を行うに当たって参加人九電の取締役会で検討した内容は、 は認められない。 2 争点2(申立ての趣旨⑥について株主である申立人の権利を行使するために 必要か)について課徴金減免制度への対応を行うに当たって参加人九電の取締役会で検討した内容は、参加人九電の内部における様々な時点での本件カルテル合意の存在を基礎づける周辺情報を含む蓋然性が高い上、併せて、そういった情報についての取締役らの認識を明らかにするものである。カルテルについて直接証拠がな い中で、申立ての趣旨⑥に係る本件各議事録の内容は、申立人が本件カルテル合意の存在や取締役らの責任を立証するに当たって重要性を有する。そして、申立人が本件株主代表訴訟を追行するためには、取締役らがその存在を争う本件カルテル合意や取締役らの責任についての重要な証拠を確保する必要があることからすれば、申立ての趣旨⑥に係る本件各議事録の閲覧及び謄写をするこ とが、株主である申立人の権利を行使するために必要であると認められる。 これに対し、参加人九電は、本件調査開始日以降に参加人らがどのように行動したとしても課徴金の額が更に減算される可能性はないから、同日以降の本件各議事録の記載内容は、申立人らが本件株主代表訴訟で主張する取締役らの善管注意義務違反(早期の減免申請)と関連性を有さず、閲覧及び謄写の必要性がないなどと主張する。しかし、申立ての趣旨⑥は、前記のとおり直接証拠 がないところで本件カルテル合意の存在を立証するために必要があり、取締役らの善管注意義務違反の立証のみに着目して必要性を否定する参加人九電の主張は採用できない。 また、参加人九電は、本件株主代表訴訟において参加人らと関電との間の当時のやりとりの主要な部分について既に証拠を開示するなどしているから、閲 覧及び謄写の必要性は認められないと主張する。しかし、本件 参加人九電は、本件株主代表訴訟において参加人らと関電との間の当時のやりとりの主要な部分について既に証拠を開示するなどしているから、閲 覧及び謄写の必要性は認められないと主張する。しかし、本件カルテル合意は黙示になされたものである可能性がある以上、参加人九電の内部における本件カルテル合意の存在を基礎づけうる情報の取扱状況は、黙示の合意の存在を推認させる事情として、前記同様閲覧及び謄写の必要性があるものと認められ、同主張を採用することはできない。 3 争点3(申立ての趣旨⑥について参加人九電に著しい損害を及ぼすおそれがあるか)について参加人九電は、課徴金減免制度の利用に係る内容が記載されている取締役会議事録につき、企業秘密や関係者のプライバシーにかかわる事項が顕出される可能性が類型的に大きいから、著しい損害を及ぼすおそれがある旨主張する。 しかし、同主張は、申立ての趣旨⑥に係る部分につき、具体的にいかなる企業秘密やプライバシー情報が含まれるか等を述べるものではないから、今後生ずべき具体的な弊害を指摘するものではなく、同主張により著しい損害を及ぼすおそれがあるということはできない。 また、参加人九電は、取締役会議事録が取締役の責任追及の資料に使われる こととなると、将来の取締役による課徴金減免制度の利用に萎縮効果が生じる と主張するが、同主張によっても具体的にいかなる萎縮効果が生じるか明確でなく、他方、申立人の責任追及の主張は、より早期に同制度を利用すべきであった旨の主張を含み(前提事実(6)ウ(ウ))、取締役会での検討状況は取締役に有利な証拠ともなるから、直ちに同制度の利用を控えさせる萎縮効果を生ずべきものということはできず、参加人九電の上記主張は採用できない。 よって、本件におい 、取締役会での検討状況は取締役に有利な証拠ともなるから、直ちに同制度の利用を控えさせる萎縮効果を生ずべきものということはできず、参加人九電の上記主張は採用できない。 よって、本件において、申立ての趣旨⑥に係る取締役会議事録を含む本件各議事録の閲覧及び謄写が参加人九電に著しい損害を及ぼすおそれがあると一応認めることはできない。 4 小括よって、申立ての趣旨⑥に係る本件各議事録の閲覧及び謄写をすることにつ いて、申立人が株主の権利を行使するために必要であると認められる一方で、参加人九電に著しい損害を及ぼすおそれがあるとは認められない。 5 まとめ以上によれば、申立ての趣旨①ないし③A及び⑥は、その全部につき、申立ての趣旨③B、④、⑤は、主文第1項、第3項及び第4項の限度で、それぞれ 本件各議事録の存在及び権利行使のための必要性が認められ、かつ、参加人らに著しい損害を及ぼすおそれがあるとは認められないから、その閲覧及び謄写を許可することが相当である。他方で、申立ての趣旨③B、④、⑤のその余の部分及び申立ての趣旨③C及び⑦については、これに係る本件各議事録の存在又は権利行使の必要性が認められないから、その閲覧及び謄写を許可すること は相当ではない。 第4 結論よって、主文のとおり決定する。 令和7年4月10日福岡地方裁判所第4民事部 裁判長裁判官松葉佐隆之 裁判官光本洋 裁判官清水洋佑 別紙1 参加人九電の取締役会議事録の閲覧及び謄写の許可部分 参加人九電の取締役会議 洋 裁判官清水洋佑 別紙1 参加人九電の取締役会議事録の閲覧及び謄写の許可部分 参加人九電の取締役会議事録のうち、第94期事業年度(平成29年〈2017年〉4月1日から平成30年〈2018年〉3月31日)から第99期事業年度(令和4年〈2022年〉4月1日から令和5年〈2023年〉3月31日)まで における下記事項について協議又は決定した部分記① 平成29年12月頃に関電から参加人九電に対し、「仁義切り」と称して、参加人九電の供給区域内の官公庁入札等に参加する旨の営業方針を伝えたことについての認識及びその影響についての予測と対策、それ以降の関電との情報交換の 在り方② 平成30年3月に、参加人九電が関電に対し、「仁義切り」と称して、参加人みらいエナジーが関電の供給区域内に進出する旨の営業方針を伝えるに至った経緯③ 平成30年8月以降同年10月までの間、関電が参加人九電に説明した以下の 事項A 互いの供給区域内(参加人九電にとっては関電の供給区域、関電にとっては参加人九電の供給区域。以下同じ。)の電力小売価格の低下についての当時の関電の現状分析B 互いの供給区域内における関電の今後の官公庁入札の電力小売価格に関する 方針④ 参加人らの各取締役会における上記③の関電からの説明についての検討状況とそこで定まった方針⑤ 平成30年8月以降令和2年10月29日までの間のA 参加人九電の供給区域内における官公庁に対する電力小売価格の推移 B 関電の供給区域内における官公庁に対する電力小売価格の推移 C 参加人らによる、参加人九電及び関電の各供給区域内における官公庁入札での営業活動D に対する電力小売価格の推移 B 関電の供給区域内における官公庁に対する電力小売価格の推移 C 参加人らによる、参加人九電及び関電の各供給区域内における官公庁入札での営業活動D 関電の上記期間の営業活動に関して報告された内容⑥ 令和5年3月30日に、参加人九電が、公取委より課徴金納付命令を受ける以前に、課徴金減免制度(リーニエンシー制度)の対応を協議・報告した内容 以上 別紙2 参加人九電の監査役会議事録の閲覧及び謄写の許可部分 参加人九電の監査役会議事録のうち、第94期事業年度(平成29年〈2017年〉4月1日から平成30年〈2018年〉3月31日)及び第95期事業年度(同年4月1日から平成31年〈2019年〉3月31日)における下記事項につ いて協議又は決定した部分記① 平成29年12月頃に関電から参加人九電に対し、「仁義切り」と称して、参加人九電の供給区域内の官公庁入札等に参加する旨の営業方針を伝えたことについての認識及びその影響についての予測と対策、それ以降の関電との情報交換の 在り方② 平成30年3月に、参加人九電が関電に対し、「仁義切り」と称して、参加人みらいエナジーが関電の供給区域内に進出する旨の営業方針を伝えるに至った経緯以上 別紙3 参加人九電の監査等委員会議事録の閲覧及び謄写の許可部分 参加人九電の監査等委員会議事録のうち、第95期事業年度(平成30年〈2018年〉4月1日から平成31年〈2019年〉3月31日)から第99期事業年度(令和4年〈2022年〉4月1日から令和5年〈2023年〉3月31日)ま でにおける下記事項について協議又は決定した部分記① 平成29年12月頃に関電から参加人九電に対し、「 期事業年度(令和4年〈2022年〉4月1日から令和5年〈2023年〉3月31日)ま でにおける下記事項について協議又は決定した部分記① 平成29年12月頃に関電から参加人九電に対し、「仁義切り」と称して、参加人九電の供給区域内の官公庁入札等に参加する旨の営業方針を伝えたことについての認識及びその影響についての予測と対策、それ以降の関電との情報交換の 在り方② 平成30年3月に、参加人九電が関電に対し、「仁義切り」と称して、参加人みらいエナジーが関電の供給区域内に進出する旨の営業方針を伝えるに至った経緯③ 平成30年8月以降同年10月までの間、関電が参加人九電に説明した以下の 事項A 互いの供給区域内の電力小売価格の低下についての当時の関電の現状分析B 互いの供給区域内における関電の今後の官公庁入札の電力小売価格に関する方針④ 参加人らの各取締役会における上記③の関電からの説明についての検討状況と そこで定まった方針⑤ 平成30年8月以降令和2年10月29日までの間のA 参加人九電の供給区域内における官公庁に対する電力小売価格の推移B 関電の供給区域内における官公庁に対する電力小売価格の推移C 参加人らによる、参加人九電及び関電の各供給区域内における官公庁入札で の営業活動 D 関電の上記期間の営業活動に関して報告された内容⑥ 令和5年3月30日に、参加人九電が、公取委より課徴金納付命令を受ける以前に、課徴金減免制度(リーニエンシー制度)の対応を協議・報告した内容以上 別紙4 参加人みらいエナジーの取締役会議事録の閲覧及び謄写の許可部分 参加人みらいエナジーの取締役会議事録のうち、第9期事業年度(平成29年〈2017年〉4月1日から 別紙4 参加人みらいエナジーの取締役会議事録の閲覧及び謄写の許可部分 参加人みらいエナジーの取締役会議事録のうち、第9期事業年度(平成29年〈2017年〉4月1日から平成30年〈2018年〉3月31日)から第14期事業年度(令和4年〈2022年〉4月1日から令和5年〈2023年〉3月31 日)までにおける下記事項について協議又は決定した部分記① 平成29年12月頃に関電から参加人九電に対し、「仁義切り」と称して、参加人九電の供給区域内の官公庁入札等に参加する旨の営業方針を伝えたことについての認識及びその影響についての予測と対策、それ以降の関電との情報交換の 在り方② 平成30年3月に、参加人九電が関電に対し、「仁義切り」と称して、参加人みらいエナジーが関電の供給区域内に進出する旨の営業方針を伝えるに至った経緯③ 平成30年8月以降同年10月までの間、関電が参加人九電に説明した以下の 事項A 互いの供給区域内の電力小売価格の低下についての当時の関電の現状分析B 互いの供給区域内における関電の今後の官公庁入札の電力小売価格に関する方針④ 参加人らの各取締役会における上記③の関電からの説明についての検討状況と そこで定まった方針⑤ 平成30年8月以降令和2年10月29日までの間のA 参加人九電の供給区域内における官公庁に対する電力小売価格の推移B 関電の供給区域内における官公庁に対する電力小売価格の推移C 参加人らによる、参加人九電及び関電の各供給区域内における官公庁入札で の営業活動 D 関電の上記期間の営業活動に関して報告された内容以上 庁入札での営業活動 D 関電の上記期間の営業活動に関して報告された内容以上

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